特表2016-506744(P2016-506744A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-506744(P2016-506744A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(54)【発明の名称】タバコの処理方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/12 20060101AFI20160208BHJP
   A24B 3/04 20060101ALI20160208BHJP
   A24B 7/00 20060101ALI20160208BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20160208BHJP
【FI】
   A24B3/12 A
   A24B3/04
   A24B7/00
   A24B15/24
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-556562(P2015-556562)
(86)(22)【出願日】2014年1月31日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月11日
(86)【国際出願番号】GB2014050263
(87)【国際公開番号】WO2014125251
(87)【国際公開日】20140821
(31)【優先権主張番号】1302485.6
(32)【優先日】2013年2月13日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン、トマス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルゼル、アルカディウス
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA11
4B043BA17
4B043BA29
4B043BA47
4B043BA59
4B043BA71
4B043BC02
4B043BC11
4B043BC35
(57)【要約】
タバコを処理する方法を開示する。該方法はタバコの水分量を第1の量まで上昇させる第1の調整工程と、タバコのpHを少なくともpH7まで上昇させる別個の第2の調整工程とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコの水分量を第1の量まで上昇させる第1の調整工程と、タバコのpHを少なくともpH7まで上昇させる別個の第2の調整工程とを含むタバコの処理方法。
【請求項2】
第2の調整工程がタバコのpHをpH9〜10に上昇させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の調整工程がナトリウム塩を含有するアルカリ性溶液をタバコに添加することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の調整工程がタバコの水分量を少なくとも19%MCWBにまで上昇させることを含み、第2の調整工程がタバコの水分量をスラリーが形成されるまでさらに上昇させることを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2の調整工程の間にタバコの水分量を少なくとも25%MCWBにまで上昇させることを特徴とする請求項4にに記載の方法。
【請求項6】
第2の調整工程の後に、タバコ抽出物を調製するためにタバコを処理することを含む第3の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
タバコを乾燥させるための熱処理を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
熱処理されたタバコの実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程を含み、タバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の調整工程の後、第2の調整工程の前にタバコを切断または破砕することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第2の調整工程が28〜140℃、28〜95℃、28〜75℃、または40〜75℃の温度で実行されることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
タバコの水分量を増加させる工程、その後タバコを熱処理する工程、続いてタバコの実際の水分量を決定して実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程を含むタバコの処理方法。
【請求項12】
タバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
熱処理の温度および時間がタバコの実際の水分量によって選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
熱処理の温度が100℃以下であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
タバコの実際の水分量が所定の水分量を下回った場合にタバコを冷却する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法により得られるタバコ。
【請求項17】
タバコ産業製品を製造することを目的とした、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法により得られるタバコの使用。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコの処理方法に関する。この方法で処理されたタバコは燃焼性、非燃焼性いずれのタバコ産業製品にも適している。
【背景技術】
【0002】
喫煙品に使用される乾燥タバコ葉を調製する主要工程は、一連の連続した処理作業を含む。これら処理作業は、乾燥タバコ葉を切断または破砕しやすくするために乾燥タバコ葉の水分量を上昇させる工程を含む。その後、紙巻きタバコのような喫煙品の製造に適するようにタバコ葉を乾燥させて水分量を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のある側面として、タバコの水分量を第1の量まで上昇させる第1の調整工程と、タバコのpHを少なくともpH7まで上昇させる別個の第2の調整工程とを含むタバコを加工する方法が提供される。
【0004】
第2の調整工程はタバコのpHをpH9〜10に上昇させることを含んでも良い。
【0005】
ある実施態様では、第2の調整工程はナトリウム塩を含有するアルカリ性溶液をタバコに添加することを含んでいる。
【0006】
別の実施態様では、第1の調整工程がタバコの水分量を少なくとも19%MCWBにまで上昇させることを含み、第2の調整工程がタバコの水分量をスラリーが形成されるまでさらに上昇させることを含む。
【0007】
第2の調整工程の間に水分量を少なくとも25%MCWBにまで上昇させても良い。
【0008】
さらに別の実施態様では、本発明の方法は第2の調整工程の後に、タバコ抽出物を調製するためにタバコを加工する第3の工程をさらに含む。
【0009】
ある実施態様では、本発明の方法はタバコを乾燥させるための熱処理工程を含む。
【0010】
本発明の方法は熱処理されたタバコの実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程と、タバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する工程を含んでも良い。
【0011】
ある実施態様では、第1の調整工程の後、第2の調整工程の前にタバコを切断または破砕する。
【0012】
別の実施態様では、第2の調整工程は28〜140℃、28〜95℃、28〜75℃、または40〜75℃の温度で実行される
【0013】
第2の調整工程は−35〜35bar(g)の圧力で実行しても良い。
【0014】
いくつかの実施態様では、本発明の方法は時間経過に応じて圧力を制御する工程を含む。
【0015】
本発明の方法は第1の調整工程および/または第2の調整工程の間にタバコを振動させる工程を含んでも良い。
【0016】
本発明の方法は第1の調整工程および/または第2の調整工程の実行中にタバコをマイクロ波エネルギーにさらす工程を含んでも良い。
【0017】
ナトリウム塩は炭酸ナトリウムでも良い。
【0018】
本発明の他の側面として、タバコの水分量を増加させる工程、その後タバコを熱処理する工程、続いてタバコの実際の水分量を決定して実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程を含むタバコの処理方法が提供される。
【0019】
好ましくは、本発明の方法はタバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する。
【0020】
熱処理の温度および時間はタバコの実際の水分量によって選択しても良い。
【0021】
好ましくは、熱処理の温度は100℃以下である。
【0022】
本発明の方法はタバコの実際の水分量が所定の水分量を下回った場合にタバコを冷却する工程を含んでも良い。
【0023】
本発明のある側面として、本発明の方法により得られるタバコが提供される。
【0024】
本発明の別の側面として、タバコ産業製品を製造することを目的とした、本発明の方法により得られるタバコの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施態様に対応するタバコの処理方法の工程に関するフローチャートを示す。
図2】本発明のさらなる実施態様に対応するタバコの処理方法の工程に関するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施態様を添付図面を参照し、あくまで例示を目的として説明する。
【0027】
本発明は、タバコを調製する主要工程を改良して、ユーザーの感覚をより刺激する好ましい量の温度感受性分子を含有しながら特定成分の量を低減させたタバコ製品を提供することを目的とする。
【0028】
図を参照すると、図1は第1の実施態様に対応するタバコの処理方法のフローチャートを示している。本発明の方法は、従来法によって製造されたタバコと比較してユーザーにとってより刺激的な刻みタバコを製造することを目的として、未処理の乾燥タバコ葉を調製および処理する工程を含む。本発明の方法は以下により詳しく説明する様々な連続的な工程を含む。
【0029】
本発明の方法の第1工程S101は細断または破砕するためのスライサーに未処理の乾燥タバコ葉の塊を導入することを含む。この工程において、一般的にタバコは8〜12%MCWBの水分と5.2〜6.5のpHを有する。なお、本発明の方法はこれら特徴を有するタバコの処理に限定されるものではない。
【0030】
次の工程S102において、ウエイトバンド上でタバコの質量を測定する。その後、第1の調整工程S103中にタバコは処理される。第1の調整工程S103は、例えば直接的な調整シリンダー(DCC)等の容器にタバコを導入することを含む。ここでおよそ2〜3分、飽和蒸気を当ててタバコの水分量を8〜12%MCWBから19〜22%MCWBにまで増加させる。タバコはDCC内にある間または別の箇所にある間に、ケーシング液によって処理することもでき、別途ケーシング液で処理するためのケーシングシリンダーにDCCから送り込まれる。ケーシング液はタバコを滑らかにするものであり、概してグリセリンベースの液を含有するがそれに限定されない。
【0031】
次の工程において、タバコはバルク化と混合のためのサイロS104に導入される。次の工程までタバコは混合、貯蔵される。バルク化と混合の工程の間にタバコは混ざり合って単一のブレンドを形成するため、タバコが様々な種類のタバコの混合物である場合にはこの工程は特に重要である。
【0032】
バルク化と混合の工程の後、タバコ葉の大きさを小さくするためにタバコはカッターS105を通過する。例えば、紙巻きタバコのような喫煙品に適するようにタバコを薄く切断および/または細かく破砕しても良い。
【0033】
切断工程S105の次の工程は、タバコをさらに処理する第2の調整工程S106である。この工程は、およそ5.2〜6.5であるタバコのpHを7以上、例えば、pH7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5または14、にまで上昇させるための調整ドラムにタバコが入ることを含む。ある実施態様ではpHを9〜10まで上昇させる。タバコのpHはアルカリ性溶液の添加によって上昇する。該溶液は塩を含有する水溶液でも有機系溶液でも良い。塩は、炭酸ナトリウムのようなナトリウム塩でも良い。例えば、溶液は炭酸ナトリウムを含有するエタノールベースの溶液でも良い。タバコのpHを上昇させるためにアンモニアを使用しないと有利である。タバコのpHを上昇させることで、タバコ中の望ましい温度感受性分子の量が増加し、タバコ製品中に使用されるタバコを減少させることができ、結果として特定成分の量が減少する。
【0034】
第2の調整工程S106は28〜140℃の温度で実行され、別の実施態様では第2の調整工程は28〜75℃の温度で実行される。第2の調整工程S106は少なくとも10分間実行される。ある実施態様では第2の調整工程S106はタバコブレンドに応じて10〜150分間実行される。別の実施態様では、第2の調整工程の時間は10〜90分である。
【0035】
さらに、第2の調整工程は異なる圧力下で実行されうる。例えば、第2の調整工程は大気圧で実行できる。もしくは正圧および/または負圧を適用しても良い。ある実施態様では圧力は−35〜35bar(g)である。別の実施態様では圧力は−15〜15bar(g)である。第2の調整工程に大気圧とは異なる圧力を適用する際はドラムなどの密閉型圧力容器を使用する。圧力は時間依存的であっても良い(p=f(t)、ここでpは圧力、fは関数、tは時間を意味する)。例えば、圧力は正圧と負圧の間を変化するような時間に応じた周期的プロファイルに従っても良いし、または正圧と負圧のいずれかを維持したまま連続的に変化しても良い。圧力プロファイルは、タバコと添加溶液との間の反応速度を最適化することを目的としてタバコブレンドに応じて異なっていても良い。
【0036】
図示していないが、別の実施態様では、第2の調整工程S106は不活性ガス中および/または反応性を高めるガス雰囲気中で実行する。先程と同様、圧力は大気圧でも良い。もしくは正圧および/または負圧を適用しても良い。ある実施態様では圧力は−35〜35bar(g)である。圧力も上述したような時間の関数のように時間依存的であっても良い(p=f(t)、ここでpは圧力、fは関数、tは時間を意味する)。
【0037】
上述したいずれの実施態様の第2の調整工程も、反応速度を制御するために圧力および温度を変化させるように変更させることができる。温度および圧力を上げると反応速度を上昇させることができる。ある実施態様では、圧力が大気圧とほぼ同じ条件下において第2の調整工程S106の温度は40〜75℃の間である。
【0038】
第2の調整工程S106の全体を通してまたは一部の間にタバコに振動を与えることで、タバコの性状をさらに変化させることができる。振動はいずれの振動数でも良いが、ある実施態様では振動は巨視的である。振動は第2の調整工程を強化し反応速度を高める。
【0039】
また第2の調整工程S106の全体を通してまたは一部の間にタバコにマイクロ波を与えることで、タバコの性状をさらに変化させることができる。マイクロ波は第2の調整工程を強化し反応速度を高める。
【0040】
第2の調整工程によりタバコの水分量は25〜55%MCWBにまで上昇する。これはタバコのpHを変えるためにタバコに添加したアルカリ性溶液によるものである。ある実施態様ではタバコの水分量を少なくとも27%、30%、35%、40%、45%または50%MCWBにまで増加させる。
【0041】
上述したように第2の調整工程中にタバコの水分量を増加することによって、タバコは流体混合物またはスラリーを形成すると有利である。このスラリーは、吸入器や他のタバコ抽出物デリバリーデバイスなどの非燃焼性タバコ製品用のタバコ抽出物を作成するためにさらに処理することができる。これを図1の工程S115で示している。
【0042】
紙巻きタバコなどの燃焼性タバコ製品用のタバコを調製する場合の、第2の調整工程の次の工程はタバコの熱処理である。熱処理は緩衝供給工程S107、加熱および/または膨張トンネルS108、乾燥工程S109の3つの個々の工程を含む。より詳細に説明する。
【0043】
第2の調整工程S106の後、タバコは加熱および/または膨張トンネルS108へのタバコの質量流量を制御する緩衝供給工程S107に移行する。緩衝供給工程S107は、タバコ中に本来存在する相当量のアンモニアを除去する加熱および/または膨張トンネルS108に単一のカーペット状のタバコを供給する。加熱トンネルは、スラリーを60〜95℃にまで加熱する振動トレーまたは回転ドラムを備えている。この温度帯でアンモニアはタバコから蒸発するが、タバコの膨張を避けるには十分低い温度である。さらに、次の乾燥工程S109を長引かせないために、水分量がさらに増加するのを防ぐため過熱蒸気および/または高温空気がスラリーの加熱のために使用される。過熱蒸気および/または高温空気はタバコの混合にも役立つ。
【0044】
加熱トンネルS108の後、タバコは乾燥工程S109に移行する。この工程の間、タバコはタバコを100℃にまで加熱する乾燥用ドラムに入る。この温度において水は蒸発し水分量が減少するが、100℃になるとタバコが膨張し、第2の調整工程S106の間に添加されたアルカリ性溶液の成分が蒸発するため温度は100℃を超えない。
【0045】
乾燥工程S109は所定の時間継続して行われ、続いてタバコはタバコを冷却する冷却工程S110に入る。
【0046】
ある実施態様では、本発明の方法は制御装置および水分計測器をさらに使用する。S116で表したように、制御装置は乾燥工程S109の乾燥ドラムにある一群のタバコの水分量を測定するために水分計測器を作動させる。制御装置はタバコの水分量と所定の数値、例えば14.5%MCWB、とを比較する。タバコの水分量が所定の数値、例えば14.5%MCWB、を超えていると制御装置が判断した場合、制御装置は一群のタバコを緩衝供給工程S107に送り返し、タバコは加熱および/または膨張トンネルS108そして乾燥工程S109の熱処理をもう一度通過する。この手順は乾燥工程S109にあるタバコの水分量が所定の数値(例えば14.5%MCWB)を下回ったと制御装置が判断するまで繰り返される。その後、タバコは、冷却工程S110に入り、そこに入っている間冷却される。
【0047】
もしタバコを再度熱処理に送出する必要があると制御装置が決定した場合、制御装置はタバコの特定の特性に熱処理に適合するように次の熱処理の温度および時間を調節することができる。
【0048】
熱処理工程の全体を通してまたは一部の間にタバコに振動を与えても良い。これはタバコが均一に熱処理され、タバコからアンモニアを一様に除去することに役立つ。
【0049】
上述した通り、熱処理工程の後タバコはタバコを冷却する冷却工程S110に入る。その後、フローチャート上のS111に示したように、風味剤をタバコに添加しても良い。さらに、S112に示したように、再構成タバコ(recon)、バーレータバコ、ダストおよび/またはCRSなどのタバコをベースとした製品の粒子を当該処理タバコに導入しても良い。次にタバコは、バルク化と混合のためのサイロS113に移動し、ここでさらに混合されパッケージ工程S114の準備のために保管される。そして紙巻きタバコなどの喫煙品の製造において使用される。
【0050】
当然のことながら本発明は上記の工程および順序に限定されない。例えば、スライシング工程S101および質量測定工程S102は任意の工程であり、また加工するタバコが未加工、未切断、および塊状になっている場合に推奨されるだけの工程である。
【0051】
さらに加熱トンネルS108の工程もまた任意の工程である。タバコ中に本来存在する相当量のアンモニアは乾燥工程S109の間に蒸発し、除去されるからである。
【0052】
風味剤およびタバコベース製品を添加する工程S111および工程S112のそれぞれもまた任意の工程である。当該処理工程全体を通じてタバコベース製品の粒子は添加可能であるが、ある実施態様ではバルク化および混合する工程のS104およびS113の両方または一方の前に当該粒子を添加する。別の実施態様では、第2の調整工程S106の間にタバコベース製品の粒子を添加する。そしてまた別の実施態様では、第2の調整工程S106の間および熱処理工程の後にタバコベース製品の粒子を添加する。
【0053】
また当然のことながら上記の実施態様はバルク化および混合する工程のS104およびS113を含むものに限定されない。これら工程は、タバコが複数のタバコ種を含有している場合、タバコにタバコベース製品の粒子が添加されている場合、および/または2つの工程間でタバコを一時的に保管する必要がある場合に推奨される工程である。
【0054】
当然のことながらカッターによってタバコを効率的に切断するためには第2の調整工程S106通過後のタバコの水分量は多過ぎるので、第2の調整工程S106は切断工程S105の前ではなく後に実行される。また調整する前にタバコを切断すると非常に乾燥しており脆く壊れやすく粉末化させ易いであろうことから、第1の調整工程および第2の調整工程を合体させることは望ましくない。加えて、タバコがカッターで切断するのが難しい程度に水分を含んだスラリーを形成することから、連続した調整工程直後におけるタバコは切断に適していない。従って、第1の調整工程および第2の調整工程は連結させない方が有利である。
【0055】
また異なる群の処理タバコを混合すること、特に第1および/または第2の調整工程S103、S106のパラメータが異なる群の処理タバコを混合することも想定される。
【0056】
前述の実施態様は冒頭に記載した従来技術と比べて優れている。本発明のタバコの処理方法は燃焼性および非燃焼性のタバコの両方に使用できるからである。さらに、第2の調整工程S106は、タバコによる感覚を刺激する効果を高めるために行われていたアンモニアの使用を不要のものとする。
【0057】
図2を参照すると、タバコの処理方法の別の実施態様が図示されている。この実施態様では、小片のタバコを作るために乾燥タバコ葉を処理する。この実施態様は、図1を参照して説明した実施態様とほぼ同じで、切断工程S201、質量測定工程S202、第1の調整工程S203、バルク化と混合工程S204、第2の調整工程S206、緩衝供給工程S207、加熱および/または膨張トンネルS208、乾燥工程S209、冷却工程S210、切断工程S210a、風味付け工程S211、アッドバックS212、バルク化と混合工程S213、そしてパッケージ工程S214を含む。当然のことながらこれら工程は図1を参照して説明した関連ある工程に相当する。しかしながら、図2において示した実施態様は、熱処理の後、より具体的には冷却工程S210の後にタバコを切断する工程S210aがある点および切断工程S210aがタバコをより大きな片に切断することを含む点で異なっている。従ってこの実施態様は、図1を参照して説明した実施態様を同じ利点を含む。さらにこの実施態様は、燃焼性および非燃焼性タバコの処理に使用でき、特にこの実施態様は、図1を参照して説明した工程S115に類似の工程S215で示すようなタバコ抽出物の調製を任意に含む。
【0058】
当然のことながら図2を参照して説明した実施態様は、図1を参照して説明した任意の工程のいずれも含んで良い。
【0059】
図示していないが、ある実施態様では、タバコの処理方法は図1を参照して説明した実施態様とほぼ同じであるが、タバコを切断する工程を含まず、タバコ葉全体的に処理する。この実施態様も図1を参照して説明した任意の工程のいずれも含んで良い。
【0060】
上述の実施態様のいずれにおいても記載したように、第2の調整工程S106、S206の間に揮発成分は除去されうる。さらに、本来タバコに含まれるアンモニアは熱処理の間に除去される。従って、第2の調整工程S106、S206、緩衝供給工程S107、S207、加熱トンネルS108、S208そして乾燥工程S109、S209は、アンモニアと揮発成分を空気から除去するフィルターに接続された吹き出し口を介して換気されるように制御された周囲が囲まれた環境下で実行することができる。
【0061】
振動は処理工程全体またはそのいずれの一部においても適用することができ、これによってタバコが均等に配置されてより均質な最終製品を得ることに役立つ。
【0062】
本発明の方法によって製造されたタバコは、従来の方法によって製造されたタバコと比べて温度感受性分子の濃度が増加している。従って、本発明の方法によって製造されたタバコを含有するタバコ産業製品は、従来よりも少ないタバコの量で製造できる。結果として、そのようなタバコ産業製品の消費者は、従来のタバコ産業製品よりも低い濃度の特定成分に触れるだけで済む。
【0063】
本明細書で使用されているように、「風味料」および「風味剤」は、各国の規制が認可し所望の味または風味を作り出すために製品に使用してよい材料を意味する。
【0064】
様々な課題を解決し技術を発展させることを目的として、図示を含むこの開示全体は、請求項に係る発明を実施して可燃性および不燃性のタバコ製品用の従来よりも優れたタバコを提供し得る種々の実施態様を示している。この開示の利点および特徴は、実施態様という典型的な例を示すことのみであって、包括的および/または排他的ではない。それらは理解を助けるため、および請求された原理を教示するためだけに提出される。それらは全ての請求項に係る発明の典型例ではないと理解されるべきである。このように開示の特定の側面はここでは議論されていない。別の実施態様は本発明の特定の一部としては提示されていないかもしれない。記述されていない別のさらなる実施態様が本発明の一部として利用可能であるかもしれず、これらの別の実施態様を放棄したものと考えるものではない。これら記述されない実施態様の多くは本発明と同一の原理を組み入れるものであり、また他の実施態様も全く同じであると解されるべきである。ゆえに、他の実施態様を利用しても良く、開示の範囲および/またはその意図から外れない限り変更を加えても良いと理解されるべきである。このように実施例および/または実施態様の全てはこの開示全体を通して限定されない。また本明細書で説明した実施態様と説明しなかった実施態様とを比較して推論するべきではない。これらはスペースの節約および繰り返し表現の低減といった目的以外に差はない。種々の実施態様は、説明した要素、成分、特徴、部品、工程、手法などの種々の組み合わせを適宜含んでも良いし、それらのみから構成されても良いし、またはそれらを主に構成されても良い。説明した特徴、要素、実施などの中には1つの実施態様において同時に存在し得ない、相反するものがあっても良い。同様に、いくつかの特徴は開示したある側面では適用可能であるが、他の側面では適用することができない。加えて、この開示は現在請求していない他の発明を含んでいる。出願人は、現在請求していないこれら発明を請求するために追加出願、継続出願、一部継続出願、分割出願および/またはこれらに準ずるものを提出する権利を含む、それら発明に関する全ての権利を保有する。このように、開示の利点、実施態様、例示、機能、特徴、構造および/または他の側面は請求項または請求項の均等物の限定によって定義されるように、開示されたものに限定されない。





図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2014年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコの水分量を第1の量まで上昇させる第1の調整工程と、タバコのpHを少なくともpH7まで上昇させる別個の第2の調整工程とを含み、第1の調整工程の後、第2の調整工程の前にタバコを切断または破砕するタバコの処理方法。
【請求項2】
第2の調整工程がタバコのpHをpH9〜10に上昇させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の調整工程がナトリウム塩を含有するアルカリ性溶液をタバコに添加することを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の調整工程がタバコの水分量を少なくとも19%MCWB(Moisture Content Wet Basis;湿量基準含水率)にまで上昇させることを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2の調整工程の間にタバコの水分量を少なくとも25%MCWB(Moisture Content Wet Basis;湿量基準含水率)にまで上昇させることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2の調整工程の後に、タバコ抽出物を調製するためにタバコを処理することを含む第3の工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
タバコを乾燥させるための熱処理を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
熱処理されたタバコの実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程を含み、タバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2の調整工程が28〜140℃、28〜95℃、28〜75℃、または40〜75℃の温度で実行されることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1および第2の調整工程後にタバコを熱処理する工程、続いてタバコの実際の水分量を決定して実際の水分量と所定の水分量とを比較する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
タバコの実際の水分量が所定の水分量を超えている間は熱処理を継続する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
熱処理の温度および時間がタバコの実際の水分量によって選択されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
熱処理の温度が100℃以下であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
タバコの実際の水分量が所定の水分量を下回った場合にタバコを冷却する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法により得られるタバコ。
【請求項16】
タバコ産業製品を製造することを目的とした、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法により得られるタバコの使用。
【国際調査報告】