特表2016-506974(P2016-506974A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-506974CDRグラフトのためのアクセプターフレームワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-506974(P2016-506974A)
(43)【公表日】2016年3月7日
(54)【発明の名称】CDRグラフトのためのアクセプターフレームワーク
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20160208BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20160208BHJP
   C12N 15/00 20060101ALI20160208BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20160208BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20160208BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20160208BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20160208BHJP
【FI】
   C07K16/18
   C12N15/00 A
   C12N15/00ZNA
   C12N1/19
   C12N1/21
   C12N1/15
   C12N5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-557333(P2015-557333)
(86)(22)【出願日】2013年2月15日
(85)【翻訳文提出日】2015年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2013053039
(87)【国際公開番号】WO2014124677
(87)【国際公開日】20140821
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】502233344
【氏名又は名称】エスバテック − ア ノバルティス カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】エッシャー, ドミニク
【テーマコード(参考)】
4B024
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B024AA01
4B024AA11
4B024BA41
4B024DA06
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA01
4B065AA26X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA10
4H045BA13
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA06
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、抗体アクセプターフレームワーク、および非ヒト抗体、例えば、ウサギ抗体を、特によく適した抗体アクセプターフレームワークを使用して、グラフトする方法に関する。本発明の方法によって生成された抗体は、種々の診断および治療の用途に有用である。本発明によれば、例えば、配列番号1を含むヒト重鎖アクセプターフレームワークが提供される。本発明のアクセプターフレームワークをコードする単離された核酸もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1を含むヒト重鎖アクセプターフレームワーク。
【請求項2】
位置12、103、および/または144(Ahoナンバリング)にアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のヒト重鎖アクセプターフレームワーク。
【請求項3】
前記置換が、
(a)位置12のセリン(S)、
(b)位置103のセリン(S)またはスレオニン(T)、及び/または
(c)位置144のセリン(S)またはスレオニン(T)である、請求項2に記載のヒト重鎖アクセプターフレームワーク。
【請求項4】
請求項1に記載のアクセプターフレームワークをコードする単離された核酸。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸を含むベクター。
【請求項6】
請求項5に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項7】
所望の抗原に特異的であるイムノバインダーであって、
(a)ウサギ目動物イムノバインダーの可変軽鎖CDRを含む、軽鎖アクセプターフレームワークと、
(b)ウサギ目動物イムノバインダーの可変重鎖CDRを含む、請求項1に記載のヒト重鎖アクセプターフレームワークと、を含むイムノバインダー。
【請求項8】
前記軽鎖アクセプターフレームワークが、配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有する、請求項7に記載のイムノバインダー。
【請求項9】
前記可変軽鎖フレームワークと前記重鎖アクセプターフレームワークを結合するリンカー配列をさらに含み、前記リンカー配列が配列番号4である、請求項7に記載のイムノバインダー。
【請求項10】
抗原結合に関与するドナーフレームワーク残基をさらに含む、請求項7に記載のイムノバインダー。
【請求項11】
前記イムノバインダーが、scFv抗体、完全長イムノグロブリン、またはFabフラグメントである、請求項7に記載のイムノバインダー。
【請求項12】
ウサギイムノバインダーをヒト化する方法であって、
(a)ドナーウサギイムノバインダーからのCDR H1、CDR H2、及びCDR H3配列からなる群の少なくとも1つの重鎖CDRを、請求項1に記載のヒト重鎖アクセプターフレームワークにグラフトすることと、
(b)ドナーウサギイムノバインダーからのCDR L1、CDR L2、およびCDR L3配列からなる群の少なくとも1つの軽鎖CDRを、ヒト軽鎖アクセプターフレームワークにグラフトすることであって、ここで前記軽鎖アクセプターフレームワークが配列番号2に対して少なくとも85%の同一性を有することと、を含む、前記方法。
【請求項13】
前記ヒト重鎖アクセプターフレームワークおよび前記ヒト軽鎖フレームワークのうちの1つまたは両方の中のフレームワーク残基を、前記ドナーウサギイムノバインダーのフレームワーク残基で置換することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記重鎖アクセプターフレームワークが、重鎖アミノ酸位置12、103、および144(AHoナンバリング)のうちの1つ以上に置換を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
位置12、103、および144のうちの1つ以上の前記置換が、
(a)位置12のセリン(S)、
(b)位置103のスレオニン(T)、及び
(c)位置144のスレオニン(T)、からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法に従ってヒト化されたイムノバインダー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
モノクローナル抗体、それらの結合体および誘導体は、治療剤および診断剤として商業的に非常に重要である。非ヒト抗体は、通常、単一の低用量注射後、患者において強い免疫応答を誘発する(Schroff,1985 Cancer Res 45:879−85,Shawler.J Immunol 1985 135:1530−5; Dillman,Cancer Biother 1994 9:17−28)。したがって、マウスおよび他の齧歯動物の抗体の免疫原性を低減するためのいくつかの方法、ならびに、完全ヒト抗体を、例えば、トランスジェニックマウスまたはファージディスプレイを用いて生成する技術が開発された。齧歯動物の可変領域をヒト定常領域と共に併せ持つキメラ抗体(例えば、Boulianne Nature 1984 312:643−6)が遺伝子工学的に構築され、免疫原性の問題をかなり低減させた(例えば、LoBuglio,Proc Natl Acad Sci 1989 86:4220−4;Clark,Immunol Today 2000 21:397−402)。ヒト化抗体も構築された。ヒト化抗体では、可変領域自体の齧歯動物配列が、少なくとも元のCDRを保存しながら、できるだけヒト配列に近くなるように遺伝子工学的に操作されたか、あるいは齧歯動物抗体のCDRがヒト抗体のフレームワーク中にグラフトされた(例えば、Riechmann,Nature 1988 332:323−7;米国特許第5,693,761号)。ウサギ(rabbit)ポリクローナル抗体は、ELISAまたはウエスタンブロットなどの生物学的アッセイに広く用いられている。ポリクローナルウサギ抗体は、それらが通常はるかに高い親和性を有するので、ポリクローナル齧歯動物抗体よりもしばしば好まれる。さらに、ウサギは、しばしば、マウスにおいて免疫原性が低く、および/またはファージディスプレイにおいて使用されるときに良好なバインダーを生じさせない抗原への良好な抗体応答を誘発することができる。ウサギ抗体のこれらの周知の利点のため、ウサギ抗体は、治療用抗体の発見および開発での使用に理想的である。これが一般的になされない理由は、主に、モノクローナルウサギ抗体の生成における技術的困難にある。骨髄腫様の腫瘍は、ウサギでは知られておらず、モノクローナル抗体を生成する従来のハイブリドーマ技術は、ウサギ抗体には適用できない。ウサギ抗体発現細胞の融合細胞系パートナーを提供する先駆的研究は、Knightおよび同僚によって行われ(Spieker−Polet et al.,PNAS 1995,92:9348−52)、改善された融合パートナー細胞系が2005年にPytelaらによって記載された(例えば、米国特許第7429487号参照)。しかしながら、対応するノウハウが基本的に単一の研究グループによって制御されているため、この技術は広範に普及していない。RT−PCRを介した、選択された抗体発現細胞からの抗体のクローニングを伴うモノクローナル抗体の生成のための代替方法は文献に記載されているが、ウサギ抗体については一度も成功の報告がなされていない。
【0002】
ウサギ抗体は、ヒト治療に用いたならば、マウス抗体と同様に、強い免疫応答を誘発すると予測され、したがって、ウサギ抗体は、それらが臨床的に使用され得る前に、ヒト化される必要がある。しかしながら、それぞれ、ウサギ抗体とマウス抗体との間、およびウサギ抗体とヒト抗体との間の構造差のため、ヒト化齧歯動物抗体を作るのに用いられる方法をウサギ抗体に対して当てはめることは容易にはできない。例えば、軽鎖CDR3(CDRL3)は、以前に知られていたヒトまたはマウス抗体由来のCDRL3よりはるかに長いことが多い。
【0003】
従来技術に記載されたウサギ抗体ヒト化アプローチがごくわずかに存在するが、それらは、非ヒトドナーCDRがヒトアクセプター抗体に移植される古典的なグラフトアプローチではない。WO04/016740は、いわゆる「リサーフェーシング(resurfacing)」ストラテジーを記載する。「リサーフェーシング」ストラテジーの目標は、非ヒトフレームワークの溶媒アクセス可能残基を、それらが、よりヒト様(more human−like)になるように再構築することである。WO04/016740号に記載されている、ウサギ抗体のための類似のヒト化技法が当該技術分野で公知である。WO08/144757およびWO05/016950の両方が、ウサギモノクローナル抗体をヒト化する方法を開示しており、これらは、親ウサギ抗体のアミノ酸配列と類似ヒト抗体のアミノ酸配列との比較を含む。続いて、親ウサギ抗体のフレームワーク領域が、類似ヒト抗体の同等なフレームワーク領域に、配列においてより類似するように、親ウサギ抗体のアミノ酸配列が改変される。良好な結合能を得るためには、各イムノバインダーについて個々に、手間のかかる開発努力を行う必要がある。
【0004】
上述のアプローチの潜在的問題は、ヒトフレームワークが使用されておらず、ウサギフレームワークが、それがよりヒト様に見えるように遺伝子工学的に操作されることである。そのようなアプローチは、タンパク質のコアに埋められているアミノ酸ストレッチがなお免疫原性T細胞エピトープを含み得るという危険性を有する。
【0005】
これまでに、本出願者らは、現況技術のグラフトアプローチを適用することによってヒト化されたウサギ抗体を同定していない。これは、ウサギCDRがヒトまたは齧歯動物CDRとはかなり異なったものであり得るという事実によって説明され得る。当該技術分野で公知の通り、多くのウサギVH鎖が、マウスおよびヒトの対応物と比較して、追加の対システインを有する。cys22とcys92との間で形成される保存されたジスルフィド架橋に加えて、cys21−cys79架橋もあり、さらに、いくつかのウサギの鎖では、CDRH1の最後の残基とCDRH2の最初の残基との間で形成されるCDR間S−S架橋もある。その上、対のシステイン残基がCDR−L3でしばしば見出される。さらに、多くのウサギ抗体CDRは、以前から公知のいかなる標準的構造にも属さない。特に、CDR−L3は、ヒトまたはマウスの対応物であるCDR−L3よりもはるかに長いことが多い。
したがって、ヒトフレームワーク中への非ヒトCDR抗体のグラフトは主要なタンパク質工学的課題である。自然進化したフレームワークから、人工的に選択された異なるヒトフレームワークへの抗原結合ループの移行は、抗原結合のために天然ループコンフォメーションが保持されるように行われなければならない。抗原結合親和性が、ループグラフト後に大きく低減するか、または消失することがよくある。抗原結合ループのグラフトにおいて、慎重に選択されたヒトフレームワークの使用によって、ヒト化分子において結合親和性を保持する確率が最大となる(Roguzkaら、1996年)。文献中の利用可能な多くのグラフト実験はCDRグラフトのおおまかな手引きを提供するが、パターンを一般化することは不可能である。典型的な問題は、CDRループをグラフトした後に、特異性、安定性または産生能を失うことにある。
したがって、治療剤および診断剤として使用するため、ウサギ抗体を確実かつ迅速にヒト化するための改良法について緊急の必要性がある。さらに、ウサギ抗体を確実にヒト化するためのヒトアクセプターフレームワークの必要性があり、このヒトアクセプターフレームワークは、薬物様生物物理特性を有する機能的抗体および/または抗体フラグメントを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,693,761号明細書
【特許文献2】米国特許第7,429,487号明細書
【特許文献3】国際公開第04/016740号
【特許文献4】国際公開第08/144757号
【特許文献5】国際公開第05/016950号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Schroff,1985 Cancer Res 45:879−85
【非特許文献2】Shawler.J Immunol 1985 135:1530−5
【非特許文献3】Dillman,Cancer Biother 1994 9:17−28
【非特許文献4】Boulianne Nature 1984 312:643−6
【非特許文献5】LoBuglio,Proc Natl Acad Sci 1989 86:4220−4
【非特許文献6】Clark,Immunol Today 2000 21:397−402
【非特許文献7】Riechmann,Nature 1988 332:323−7
【非特許文献8】Spieker−Polet et al.,PNAS 1995,92:9348−52
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、品質管理(QC)アッセイによって同定された(WO0148017およびAuf der Maur et al (2001),FEBS Lett508,p.407−412で開示される通りの)高度に可溶性および安定性があるヒト抗体フレームワークは、他の非ヒト動物種からのCDR、例えば、ウサギCDRに対応するのに特に好適であることが見出された。その結果、第1の態様において、本発明は、ジスルフィド架橋がCDR中に存在するかどうかとは無関係で、異なる結合特異性の、アクセプターとして、様々な抗体、特にウサギ抗体からのCDRに好適な特定のヒト抗体の重鎖可変領域(いわゆる、「a58」VHフレームワーク配列)を提供する。
【0009】
ウサギCDRの、この高度に適合する可変鎖フレームワークへのグラフトによって生成されるヒト化イムノバインダーは、ドナーCDRが由来するウサギ抗体の空間識を一貫して、確実に維持する。したがって、ドナーイムノバインダーの構造的に重要な位置をアクセプターフレームワーク中に導入する必要がない。これらの利点のため、結合能の最適化なしで、またはほとんどなしで、ウサギ抗体のハイスループットな(high−throughput)ヒト化を実現することができる。
【0010】
したがって、別の態様において、本発明は、本明細書に開示の可溶性および安定性のある軽鎖および/または重鎖ヒト抗体フレームワーク配列中に、ウサギCDRおよび他の非ヒトCDRをグラフトさせ、それによって、優れた生物物理特性を有するヒト化抗体を生成する方法を提供する。特に、本発明の方法によって生成されたイムノバインダーは、溶解性および安定性などの優れた機能特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】高度に可溶性および安定性のあるヒト抗体フレームワーク中に、ウサギモノクローナル抗体由来の抗原結合部位をグラフトさせるためにここで使用されるCDR H1の定義を示す。
図2】Kabatデータベースから抽出されたウサギ抗体配列の分析は、CDR3の可変重鎖が、典型的には、マウスの対応物より3個のアミノ酸分長いことを確定する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本発明がより容易に理解され得ることを目的として、特定の用語を以下の通りに定義する。さらなる定義は、この詳細な説明全体にわたって記載される。
【0013】
「「抗体」という用語は、完全な抗体および任意の抗原結合フラグメントを指す。「抗原結合ポリペプチド」および「イムノバインダー」という用語は、本明細書で同時に使用される。「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続されている少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含み、場合によりグリコシル化されているタンパク質またはその抗原結合部分を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVと略記される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわちCH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVと略記される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、すなわちCLを含む。VおよびV領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域と、超可変領域が散在する、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域とにさらに細区画できる。各VおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、以下の順序、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で、アミノ末端からカルボキシ末端へ配置されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有している。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)を含めた、宿主組織または因子へのイムノグロブリンの結合を媒介し得る。
【0014】
抗体の「抗原結合部分」(または、単純に「抗体部分」)という用語は、抗原(例えば、TNF)に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体のフラグメントによって行われ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例には、(i)V、V、CLおよびCH1ドメインからなる1価フラグメントであるFabフラグメント、(ii)ヒンジ領域のジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメントであるF(ab’)2フラグメント、(iii)VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)抗体の単腕のVおよびVドメインからなるFvフラグメント、(v)1つのVドメインからなる、単一ドメインすなわちdAbフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、または(vii)合成リンカーによって場合により連結されていてもよい2つ以上の単離されたCDRの組合せが挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン、すなわちVおよびVは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、それらを単一タンパク質鎖として作るのを可能にする合成リンカーによる組換え方法を用いて連結でき、この単一タンパク質鎖では、VおよびV領域が対をなして一価の分子(単鎖Fv(scFv)として公知、例えば、Bird et al.(1988)Science 242:423−426、およびHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883を参照)を形成する。そのような単一鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものとする。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来の技法を用いて得られ、インタクトな抗体と同じ様式において有用性を求めてスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技法によって産生されたものでも、インタクトなイムノグロブリンの酵素的または化学的切断によって産生されたものでもよい。抗体は、異なったアイソタイプ、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgM抗体のものであり得る。
【0015】
「イムノバインダー」という用語は、イムノバインダーは、標的抗原を特異的に認識するように、抗体の抗原結合部位の全部または一部、例えば、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインの全部または一部を含有する分子を指す。イムノバインダーの非限定的な例として、完全長のイムノグロブリン分子およびscFv、さらに、これらに限定されないが、(i)Fabフラグメント、すなわち、Vドメイン、Vドメイン、CドメインおよびC1ドメインからなる一価のフラグメント、(ii)F(ab’)フラグメント、すなわち、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結されている2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメント、(iii)本質的には、ヒンジ領域の一部を有するFabであるFab’フラグメント(FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul ed.,3rd ed.1993)を参照されたい)、(iv)VドメインおよびC1ドメインからなるFdフラグメント、(v)抗体の単腕のVドメインおよびVドメインからなるFvフラグメント、(vi)VドメインまたはVドメインからなるDabフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546)、ラクダ抗体(Hamers−Casterman,et al.,Nature 363:446−448(1993)、およびDumoulin,et al.,Protein Science11:500−515(2002)を参照されたい)、またはサメ抗体(例えば、サメIg−NAR Nanobodies(登録商標))等の単一ドメイン抗体、ならびに(vii)単一の可変ドメインを含有する重鎖可変領域および2つの定常ドメインであるナノボディを含めた、抗体フラグメントが挙げられる。
【0016】
「単鎖抗体」、「単鎖Fv」、または「scFv」という用語は、リンカーによって連結されている抗体重鎖可変ドメイン(または領域、V)および抗体軽鎖可変ドメイン(または領域、V)を含む分子を指す。かかるscFv分子は、一般構造、NH−V−リンカー−V−COOHまたはNH−V−リンカー−V−COOHを有することができる。現況技術における好適なリンカーは、反復GGGGSアミノ酸配列またはその改変体からなる。本発明の好ましい実施形態において、配列番号8に記載のアミノ酸配列の(GGGGS)4リンカーが使用されるが、1〜3反復の改変体も可能である(Holliger et al.(1993),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448)。本発明に使用できる他のリンカーは、Alfthan et al.(1995),Protein Eng.8:725−731、Choi et al.(2001),Eur.J.Immunol.31:94−106、Hu et al.(1996),Cancer Res.56:3055−3061、Kipriyanov et al.(1999),J.Mol.Biol.293:41−56、およびRoovers et al.(2001),Cancer Immunol.によって記載されている。
【0017】
本明細書で使用する場合、「機能特性」という用語は、例えば、ポリペプチドの製造上の特性または治療有効性を改善するために、当業者にとって、(例えば、従来のポリペプチドと比べた)改善が望ましくかつ/または好都合であるポリペプチド(例えば、イムノバインダー)の特性である。1つの実施形態において、機能特性は、安定性(例えば、熱安定性)である。別の実施形態において、機能特性は、(例えば、細胞性条件下における)溶解性である。さらに別の実施形態において、機能特性は、凝集挙動である。さらに別の実施形態において、機能特性は、(例えば、原核生物細胞中における)タンパク質発現である。さらに別の実施形態において、機能特性は、製造プロセスにおける封入体の可溶化後のリフォールディング挙動である。特定の実施形態において、機能特性は抗原結合親和性の改善ではない。別の好ましい実施形態において、1つ以上の機能特性の改善はイムノバインダーの結合親和性に実質的な影響を与えない。
【0018】
「CDR」という用語は、抗原の結合に主に寄与する抗体の可変ドメイン内の6つの超可変領域の1つを意味する。6つのCDRに対して最も一般的に用いられる定義の1つは、Kabat E.A.et al.,(1991)Sequences of proteins of immunological interest.NIH Publication 91−3242)によって提供されたものである。本明細書で用いられるように、CDRのKabatの定義は、軽鎖可変ドメインのCDR1、CDR2、およびCDR3(CDR L1、CDR L2、CDR L3、またはL1、L2、L3)ならびに重鎖可変ドメインのCDR2およびCDR3(CDR H2、CDR H3、またはH2、H3)に対してのみあてはまる。しかし、本明細書で用いられる場合、重鎖可変ドメインのCDR1(CDR H1またはH1)は、位置26で始まり位置36の前で終了する残基の位置(Kabatナンバリング)よって定義される。これは、基本的には、KabatおよびChotiaにより異なって定義されるCDR H1の融合物である(説明のために図1も参照されたい)。
【0019】
本明細書で用いられる「抗体フレームワーク」という用語は、可変ドメインの抗原結合性ループ(CDR)に対する骨格として働く、VLまたはVHいずれかの可変ドメインの部分を意味する。本質的に、これはCDRのない可変ドメインである。
【0020】
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、イムノグロブリンまたは抗体が特異的に結合する抗原上の部位を指す(例えば、TNF分子上の特定部位)。エピトープは通常、特有の空間的コンフォメーションにある少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の連続または非連続のアミノ酸を含んでいる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照。
【0021】
「特異的な結合」、「選択的結合」、「選択的に結合する」および「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原のエピトープへの抗体結合を指す。通常、抗体は、約10−8M未満、約10−9M未満もしくは約10−10M未満またはさらに低い値などの、約10−7M未満の親和性(K)で結合する。「K」または「Kd」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離平衡定数を指す。通常、本発明の抗体は、例えば、BIACORE装置の表面プラズモン共鳴(SPR)技術を用いて決定した場合、約10−8M未満、約10−9M未満もしくは約10−10M未満またはさらに低い値などの、約10−7M未満の解離平衡定数(K)でTNFに結合する。
【0022】
「核酸分子」という用語は、本明細書で使用される場合、DNA分子およびRNA分子を指す。核酸分子は、1本鎖でも、2本鎖でもよいが、2本鎖DNAであることが好ましい。核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係に置かれている場合に、「作動可能に連結されている」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響を与える場合に、その配列に作動可能に連結している。
【0023】
「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を輸送できる核酸分子を指す。一実施形態において、ベクターは「プラスミド」であり、これは、追加のDNAセグメントが結紮され得る環状2本鎖DNAループを指す。別の実施形態において、ベクターはウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントはウイルスゲノム中に結紮され得る。本明細書で開示されるベクターは、それらが導入される宿主細胞における自律複製が可能であり得るか(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソームの哺乳動物ベクター)、または宿主細胞への導入の際に、宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るので、宿主ゲノムと共に複製される(例えば、非エピソームの哺乳動物ベクター)。
【0024】
用語「宿主細胞」は、発現ベクターが導入された細胞を指す。宿主細胞は、細菌、微生物、植物、または動物細胞、好ましくは、大腸菌、枯草菌、出芽酵母、ピキアパストリス、CHO(チャイニーズハムスター卵巣系統)、またはNS0細胞を含む。
【0025】
「ウサギ目動物(lagomorph)」という用語は、分類学上のウサギ目(Lagomorpha)のメンバーを指し、ウサギ科(Leporidae)(例えば、ノウサギ(hare)およびウサギ(rabbit))およびナキウサギ科(Ochotonidae)を含む。最も好ましい実施形態において、ウサギ目動物はウサギである。「ウサギ」という用語は、本明細書で使用される場合、ウサギ科に属する動物を指す。
【0026】
本明細書で用いられる「同一性」は、2つのポリペプチド間、分子間、または2つの核酸間でマッチする配列を意味する。比較された2つの配列の両方におけるある位置が同じ塩基、または同じアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合(例えば、各々の2つのポリペプチドにおけるある位置がリジンによって占められている場合)、それぞれの分子はその位置で同一である。2つの配列間の「同一性パーセント」は、それら2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である。一般的に、2つの配列を、最大の同一性をもたらすようにアライメントさせた場合に比較が行われる。かかるアラインメントは、例えば、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップウェイト16、14、12、10、8、6、または4およびレングスウェイト1、2、3、4、5、または6を用いて、GCGソフトウェアパッケージにおいてGAPプログラム中に組み入れられた、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))のアルゴリズムの方法を用いて提供され得る。
【0027】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および物質に類似または同等の方法および物質を本発明の実施または試行に用いることができるが、好適な方法および物質は下記に記載のものである。相反する場合には、定義を含めた本明細書が優先される。加えて、物質、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定することを意図しない。
【0028】
本発明の様々な態様を、以下のサブセクションにおいてさらに詳しく記載する。様々な実施形態、選択、および範囲を任意に組み合わせることができることが理解される。さらに、特定の実施形態によっては、選択された定義、実施形態、または範囲を適用しなくてもよい。
【0029】
別段の言及がない場合、アミノ酸位置はAHoナンバリングスキームに従って示される。AHoナンバリングシステムは、Honegger,A.and Pluckthun,A.(2001)J.Mol.Biol.309:657−670)にさらに記載されている。代替的には、Kabatら(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242)に、より詳細に記載されたKabatナンバリングシステムを使用できる。抗体重鎖および軽鎖可変領域内のアミノ酸残基位置を同定するのに使用される2通りの異なったナンバリングシステムの変換表が、A.Honegger,J.Mol.Biol.309(2001)657−670に提供されている。
【0030】
第1の態様において、本発明は、ウサギ目動物種、例えば、ウサギからのCDRのグラフトのためのヒトアクセプターフレームワーク配列を提供する。ヒト単一鎖VHフレームワークa58(配列番号1)は、驚くべきことに、本質的にウサギ抗体の抗原結合部位に高度に適合することが見出された。したがって、a58VHは、ウサギループのグラフトに由来する安定したヒト化scFv抗体フラグメントを構築するために好適な骨格を表す。
【0031】
したがって、一態様において、本発明は、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するVH配列を含むイムノバインダーアクセプターフレームワークを提供する。
【0032】
該配列は、任意の他の好適な可変軽鎖と組み合わされ得る。好ましい可変軽鎖は、配列番号2であり、これはWO03/097697にも開示され、WO03/097697で開示される通り、KI27、または任意の他のVL配列に指定された。
【0033】
好ましい実施形態において、可変重鎖フレームワークは、リンカーを介して可変軽鎖フレームワークに結合される。リンカーは、任意に好適なリンカー、例えば、1〜4反復の配列GGGGS(配列番号:5)、好ましくは、(GGGGS)ペプチド(配列番号:4)を含むリンカー、またはAlfthan et al.(1995)Protein Eng.8:725−731で開示されるようなリンカーであり得る。
【0034】
その結果、本発明は、
(i)配列番号1に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変重鎖フレームワークと、及び/または
(ii)配列番号2に対して少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有する可変軽鎖フレームワークと、を含むイムノバインダーアクセプターフレームワークを提供する。
【0035】
より好ましい実施形態において、本発明は、配列番号3に対して少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の同一性を伴う配列を有するイムノバインダーを提供する。
【0036】
フレームワークは、実質的にはいかなるウサギCDRにも適合する。異なるウサギCDRを含むことによって、よく表され、ウサギ野生型単一鎖に反して良好に生じ、元々のドナーウサギ抗体の親和性を依然としてほぼ完全に保持する。
【0037】
本明細書に記載のイムノバインダーアクセプターフレームワークは、重鎖フレームワーク、好ましくは位置12、103、および144(AHoナンバリング)に、溶解性を促進する置換を含み得る。好ましくは、疎水性アミノ酸は、より親水性のアミノ酸によって置換される。親水性アミノ酸とは、例えば、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、セリン(S)およびスレオニン(T)である。より好ましくは、重鎖フレームワークは、(a)位置12のセリン(S)、(b)位置103のセリン(S)もしくはスレオニン(T)、及び/または(c)位置144のセリン(S)もしくはスレオニン(T)を含む。
【0038】
さらに、可変軽鎖フレームワークの位置1、3、4、10、47、57、91、および103(AHoナンバリング)のうちの1つ以上に安定性増強アミノ酸が存在してもよい。可変軽鎖フレームワークは、位置1のグルタミン酸(E)、位置3のバリン(V)、位置4のロイシン(L)、位置10のセリン(S)、位置47のアルギニン(R)、位置57のセリン(S)、位置91のフェニルアラニン(F)及び/または位置103のバリン(V)を含むことが、より好ましい。
【0039】
グルタミン(Q)は脱アミノ化(desamination)の傾向があるので、別の好ましい実施形態において、VHが位置141にグリシン(G)を含む。この置換はタンパク質の長期保存を改善し得る。
【0040】
例えば、本明細書に開示のアクセプターフレームワークは、非ヒトCDRが由来する非ヒト抗体の結合特性を保持するヒトまたはヒト化抗体を生成するのに使用できる。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、ドナーイムノバインダー、好ましくは哺乳動物イムノバインダー、より好ましくはウサギ目動物イムノバインダー、最も好ましくはウサギからの重鎖CDR1、CDR2およびCDR3、及び/または軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3をさらに含む、本明細書に開示のイムノバインダーアクセプターフレームワークを包含する。したがって、一実施形態において、本発明は、
(i)ウサギ目動物の可変軽鎖CDRと、
(ii)配列番号1に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、および最も好ましくは100%の同一性を有するヒト可変重鎖フレームワークと、を含む、所望の抗原に特異的であるイムノバインダーを提供する。
【0041】
好ましくは、ウサギ目動物はウサギである。より好ましくは、イムノバインダーは、ドナーイムノバインダーからの重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3、ならびに軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
【0042】
当該技術分野で公知の通り、多くのウサギVH鎖が、マウスおよびヒトの対応物と比較して、追加の対システインを有する。cys22とcys92との間で形成される保存されたジスルフィド架橋に加えて、cys21−cys79架橋もあり、さらに、いくつかのウサギの鎖では、CDRH1の最後の残基とCDRH2の最初の残基との間で形成されるCDR間S−S架橋もある。さらに、CDR−L3において、対システイン残基がしばしば見出される。さらに、多くのウサギ抗体CDRは、以前から公知のいかなる標準構造にも属さない。特に、CDR−L3は、ヒトまたはマウスの対応物であるCDR−L3よりもはるかに長いことが多い。
【0043】
上述の通り、本明細書に開示のフレームワークへの非ヒトCDRのグラフトは、該CDRが適切なコンフォメーションで現れる分子を産する。必要な場合、イムノバインダーの親和性は、非ヒトドナーイムノバインダーの抗原相互作用フレームワーク残基をグラフトさせることによって改善され得る。これらの位置は、例えば、
(i)それぞれの生殖細胞系前駆体配列を同定すること、または代替的には、高い相同性のフレームワーク配列の場合にはコンセンサス配列を用いることと、
(ii)ステップ(i)の生殖細胞系前駆体配列またはコンセンサス配列とドナー可変ドメイン配列との配列アラインメントを生成することと、
(iii)相違している残基を同定することと、によって同定され得る。
【0044】
分子の表面上の相違している残基は、多くの場合、おそらく抗原への親和性を生成するために、インビボにおける親和性生成プロセス中に変異させられた。
【0045】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のイムノバインダーアクセプターフレームワークを含むイムノバインダーを提供する。例えば、前記イムノバインダーは、scFv抗体、完全長イムノグロブリン、Fabフラグメント、Dabまたはナノボディーであり得る。
【0046】
好ましい実施形態において、イムノバインダーは、1つ以上の分子、例えば、細胞毒性剤、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子もしくは他のシグナル伝達分子などの治療剤、造影剤、または転写活性化因子もしくはDNA結合ドメインなどの第2のタンパク質に結合している。
【0047】
本明細書に開示のイムノバインダーは、例えば、診断適用、治療適用、標的評価または遺伝子療法で使用できる。
【0048】
本発明は、本明細書に開示のイムノバインダーアクセプターフレームワークまたは本明細書に開示のイムノバインダー(複数可)をコードする単離された核酸をさらに提供する。
【0049】
別の実施形態において、本明細書に開示の核酸を含むベクターを提供する。
【0050】
本明細書に開示の核酸またはベクターは、例えば、遺伝子療法で用いることができる。
【0051】
本発明は、本明細書に開示のベクター及び/または核酸を含む宿主細胞をさらに包含する。
【0052】
さらに、本明細書に開示のイムノバインダーアクセプターフレームワーク、本明細書に開示のイムノバインダー、本明細書に開示の単離された核酸または本明細書に開示のベクターを含む組成物を提供する。
【0053】
本明細書に開示の配列は、以下のものである(X残基はCDR挿入部位であり、少なくとも3個および最大50個のアミノ酸を含む)。
配列番号1:可変重鎖フレームワークa58
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(X)n=3−50WVRQAPGKGLEWVS(X)n=3−50RFSVSRDNSKNTVYLQINSLRAEDTAVYYCAM(X)n=3−50WGQGTLVTVSS
配列番号2:可変軽鎖フレームワークKI27
EIVMTQSPSTLSASVGDRVIITC(X)n=3−50WYQQKPGKAPKLLIY(X)n=3−50GVPSRFSGSGSGAEFTLTISSLQPDDFATYYC(X)n=3−50FGQGTKLTVLG
配列番号3:フレームワーク配列
EIVMTQSPSTLSASVGDRVIITC(X)n=3−50WYQQKPGKAPKLLIY(X)n=3−50GVPSRFSGSGSGAEFTLTISSLQPDDFATYYC(X)n=3−50FGQGTKLTVLGGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(X)n=3−50WVRQAPGKGLEWVS(X)n=3−50RFSVSRDNSKNTVYLQINSLRAEDTAVYYCAM(X)n=3−50WGQGTLVTVSS
配列番号4:リンカー
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS
【0054】
別の態様において、本発明は、安定的かつ可溶性の抗体フレームワークに非ヒトドナー抗体のCDRをグラフトさせることによって非ヒト抗体をヒト化する方法を提供する。特に好ましい実施形態において、ウサギ抗体からのCDRステムおよびフレームワークは上述のものである。
【0055】
米国特許第5225539号でWinterによって、WO9007861A1でQueenらによって、ヒトアクセプターフレームワーク中にCDRをグラフトさせる一般的方法が開示されており、それらの全体において、参照により本明細書に組み込まれる。ウサギモノクローナル抗体からのCDRを、選択されたフレームワークにグラフトさせる一般戦略は、WinterらおよびQueenらのものに関連するが、特定の主要な点で異なっている。特に、本発明の方法は、本明細書で開示されるヒト抗体フレームワークが、特にヒトまたは非ヒトドナー抗体のアクセプターとして好適であるという点で当該技術分野において公知の典型的なWinterおよびQueen方法論とは異なる。したがって、WinterおよびQueenの一般的方法とは異なり、本発明のヒト化方法に使用されるフレームワーク配列は、必ずしも、ドナーCDRが由来する非ヒト(例えば、ウサギ)抗体の配列に最高の配列類似性を示すフレームワーク配列ではない。加えて、CDRコンフォメーションを支持するためにドナー配列からのフレームワーク残基グラフトは必要とされない。最大で、フレームワーク中に位置する抗原結合アミノ酸または体細胞超変異中に起きた他の変異が導入され得る。
【0056】
高い可溶性および安定性を有するヒト化されたウサギ由来抗体を生成するグラフト方法の特定の詳細を以下に記載する。
【0057】
本発明の方法の例示的実施形態において、CDRドナー抗体のアミノ酸配列が最初に同定され、該配列は、従来の配列アラインメントツール(例えば、Needleman−WunschアルゴリズムおよびBlossumマトリックス)を用いてアラインメントされる。ギャップの導入および残基位置の命名は、従来の抗体ナンバリングシステムを用いて行われ得る。例えば、イムノグロブリン可変ドメインについてAHoナンバリングシステムを使用できる。Kabatナンバリングスキームは、抗体中の残基をナンバリングするのに最も広く採用されている標準法であるので、これも適用できる。Kabatナンバリングは、例えば、SUBIMプログラムを用いて割り当てることができる。このプログラムは、抗体配列の可変領域を分析し、Kabatらによって確立されたシステムに従って配列をナンバリングする(Deretら、1995年)。フレームワーク領域およびCDR領域の定義は、通常、Kabatの定義に従って行われるが、これは配列可変性をベースにしたものであり、最も一般的に使用されている。しかし、CDR−H1については、そのような指定は、好ましくは、Kabatの定義、3D複合体構造のサブセットの抗体と抗原との間の接触の分析によって生成された平均接触データ(MacCallumら、1996年)、および構造的ループ領域の位置に基づくChotiaの定義の組合せである(図1も参照)。抗体重鎖および軽鎖の可変領域のアミノ酸残基位置を同定するのに使用される2つの異なったナンバリングシステムの変換表がA.Honegger,J.Mol.Biol.309(2001)657−670に提供されている。Kabatナンバリングシステムは、Kabatら(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242)に、より詳細に記載されている。AHoナンバリングシステムは、Honegger,A.and Pluckthun,A.(2001)J.Mol.Biol.309:657−670)で、より詳細に記載されている。
【0058】
ウサギモノクローナル抗体の可変ドメインは、例えば、配列分析アルゴリズムのEXCELインプリメンテーション(implementation)およびヒト抗体レパートリーの分析に基づいた分類方法を用いて、例えば、対応するヒトサブグループに分類できる(Knappik et al.,2000,J Mol Biol.Feb 11;296(1):57−86)。
【0059】
CDRコンフォメーションをドナー抗原結合領域に割り当てることができ、続いて、様々な標準構造を維持するのに必要な残基位置を同定することもできる。ウサギ抗体の6つの抗体超可変領域のうち5つ(L1、L2、L3、H1、およびH2)のCDRの標準構造はChothia(1989年)の定義を用いて決定される。
【0060】
本発明の抗体は、強化された機能特性、例えば、強化された溶解性および/または安定性を示すようにさらに最適化することができる。特定の実施形態において、本発明の抗体は、2008年3月12日に出願された、「Sequence Based Engineering and Optimization of Single Chain Antibodies」という名称のPCT出願第PCT/EP2008/001958号に開示されている「機能的なコンセンサス(functional consensus)」法に従って最適化され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
置換のための例示的フレームワーク残基位置および例示的フレームワーク置換は、「Methods of Modifying Antibodies,and Modified Antibodies with Improved Functional Properties」という名称の、2008年6月25日出願のPCT出願第PCT/CH2008/000285号、および「Sequence Based Engineering and Optimization of Single Chain Antibodies」という名称の、2008年6月25日出願のPCT出願第PCT/CH2008/000284号に記載されている。
【0062】
他の実施形態において、本発明のイムノバインダーは、「Solubility Optimization of Immunobinders」という名称の、2008年6月25日出願の、米国仮出願第61/075,692号に記載されている、安定性を増強する変異を1つ以上含んでいる。ある好ましい実施形態において、イムノバインダーは、12、103、および144(AHoナンバリング法)からなる重鎖アミノ酸位置の群から選択されるアミノ酸位置に溶解性を増強する変異を含んでいる。好ましい一実施形態において、イムノバインダーは、(a)重鎖アミノ酸位置12のセリン(S)、(b)重鎖アミノ酸位置103のセリン(S)またはスレオニン(T)、及び(c)重鎖アミノ酸位置144のセリン(S)またはスレオニン(T)からなる群より選択される置換を1つ以上含んでいる。別の実施形態において、イムノバインダーは、以下の置換、(a)重鎖アミノ酸位置12のセリン(S)、(b)重鎖アミノ酸位置103のセリン(S)またはスレオニン(T)、及び(c)重鎖アミノ酸位置144のセリン(S)またはスレオニン(T)を含んでいる。
【0063】
特定の好ましい実施形態において、イムノバインダーは、AHoナンバリングシステムによる軽鎖可変領域の位置1、3、4、10、47、57、91、及び103のうちの少なくとも1つに、軽鎖アクセプターフレームワークのフレームワーク残基で安定性増強変異を含む。好ましい実施形態において、軽鎖アクセプターフレームワークは、(a)位置1のグルタミン酸(E)、(b)位置3のバリン(V)、(c)位置4のロイシン(L)、(d)位置10のセリン(S)、(e)位置47のアルギニン(R)、(e)位置57のセリン(S)、(f)位置91のフェニルアラニン(F)、及び(g)位置103のバリン(V)からなる群より選択される1つ以上の置換を含む。
【0064】
上述の変異を含むヒト化抗体を産生する様々な利用可能な方法のいずれを用いることもできる。
【0065】
したがって、本発明は、本明細書に記載の方法に従ってヒト化されたイムノバインダーを提供する。
【0066】
特定の好ましい実施形態において、該イムノバインダーの標的抗原はVEGFまたはTNFαである。
【0067】
例えば、当該技術分野で公知の技法を用いて、本発明に記載のポリペプチドまたは本発明の方法で生成されたポリペプチドを合成できる。代替的には、所望の可変領域をコードする核酸分子を合成すること、および組換え法によってポリペプチドを生成することができる。
【0068】
例えば、ヒト化可変領域の配列がひとたび決定されると、分子生物学の分野で周知の技法によって、その可変領域またはそれを含むポリペプチドを生成することができる。より具体的には、核酸配列で宿主細胞を形質転換することによって、広範なポリペプチドを産生するのに、組換えDNA技法を用いることができる(例えば、所望の可変領域をコードするDNA配列(例えば、改変重鎖または軽鎖、その可変ドメインまたはその他の抗原結合性フラグメント))。
【0069】
一実施形態において、少なくともVまたはVをコードするDNA配列に作動可能に連結するプロモーターを含む発現ベクターを調製できる。必要または望ましい場合、相補的な可変ドメインをコードするDNA配列に作動可能に連結するプロモーターを含有する第2の発現ベクターを調製することができる(すなわち、親発現ベクターがVをコードし、第2の発現ベクターがVをコードする場合逆もまた同様である)。その後、細胞系(例えば、不死化哺乳動物細胞系)を該発現ベクターの一方または両方で形質転換し、キメラ可変ドメインまたはキメラ抗体の発現を可能にする条件下で培養することができる(例えば、Neubergerらの国際特許出願第PCT/GB85/00392号を参照)。
【0070】
一実施形態において、ドナーCDRおよびアクセプターFRのアミノ酸配列を含む可変領域を作り、次いで、CDRアミノ酸置換をもたらすように核酸分子に変化を導入し得る。
【0071】
ポリペプチドのアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子を作るための当該技術分野で認識されている例示的方法には、部位特異的(またはオリゴヌクレオチド媒介)変異誘発、PCR変異誘発、および該ポリペプチドをコードする事前調製DNAのカセット変異誘発による調製が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
部位特異的変異誘発は、置換改変体を調製するのに好ましい方法である。この技法は、当該技術分野で周知である(例えば、Carter et al.Nucleic Acids Res.13:4431−4443(1985)およびKunkel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488(1987)を参照)。簡潔には、DNAの部位特異的変異誘発を行う際に、親DNAの改変を、最初に、上記親DNAの単一鎖に所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせることによって行う。ハイブリダイゼーションの後に、ハイブダイズしたオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、親DNAの単一鎖を鋳型として用いて、DNAポリメラーゼを用いて第2鎖全体を合成する。それによって、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドが、結果として得られる2本鎖DNAに組み込まれる。
【0073】
PCR変異誘発もポリペプチドのアミノ酸配列改変体を作るのに適している。Higuchi,in PCR Protocols,pp.177−183(Academic Press,1990)、およびVallette et al.,Nuc.Acids Res.17:723−733(1989)を参照。簡潔には、PCRにおける出発物質として少量の鋳型DNAが用いられる場合、鋳型DNAの対応する領域と配列が若干異なるプライマーを使用して、プライマーが鋳型と異なっている位置のみで鋳型配列と異なっている、比較的多量の特異DNAフラグメントを生成することができる。
【0074】
改変体を調製するための別の方法であるカセット変異誘発は、Wells et al.,Gene34:315−323(1985)によって記載された技法に基づいている。出発物質は、変異導入されるDNAを含むプラスミド(または他のベクター)である。変異導入される親DNA中のコドン(複数可)を同定する。同定された変異部位(複数可)の各側に特異な制限エンドヌクレアーゼ部位がなければならない。そのような制限酵素認識部位が存在していない場合、ポリペプチドをコードするDNA中の適切な位置に制限酵素認識部位を導入する上述のオリゴヌクレオチド媒介変異誘発方法を用いて、生成させることができる。これらの部位でプラスミドDNAを切断して、それを線状化する。制限酵素認識部位間のDNAの配列をコードするが、所望の変異(複数可)を含有する2本鎖オリゴヌクレオチドは標準的手順を用いて合成され、ここで、オリゴヌクレオチドの2本の鎖は、標準的な技法を用いて別々に合成され、次いで、互いにハイブリダイズされる。この2本鎖オリゴヌクレオチドはカセットと呼ばれる。このカセットは、プラスミドに直接的に結紮されるように、線状化されたプラスミドの末端と適合する5’末端および3’末端を有するように設計される。このプラスミドは、この時点で、変異導入されたDNA配列を含有する。
【0075】
本発明の方法によって生成された可変領域は、リモデリングを行って、抗原結合性がさらに増強するようにさらに改変することができる。したがって、上述のステップは、例えば、親和性成熟を含めた追加ステップに先行することも、それらの後にくることもできる。加えて、さらなる最適化に、経験的な結合データを用いることもできる。
【0076】
アミノ酸置換とは別に、本発明では、例えば、改変されたエフェクター機能を有するFc領域改変体を生成するためのFc領域アミノ酸配列への他の改変も企図されている。例えば、FcRへの結合を減少または促進するために、Fc領域の1つ以上のアミノ酸残基を除去することができる。一実施形態において、そのようなFc領域改変体を生成するために、1つ以上のFc領域残基を改変することができる。通常、本発明のこの実施形態によれば、1以下〜約10のFc領域残基が除去される。1つ以上のアミノ酸欠失を含む本明細書のFc領域は、好ましくは、開始Fc領域または天然配列ヒトFc領域の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%を保持する。
【0077】
一実施形態において、本発明に記載されているポリペプチド、または本発明の方法で生成されたポリペプチド、例えば、ヒト化Ig可変領域および/またはヒト化Ig可変領域を含むポリペプチドは、組換え法によって産生されたものであり得る。例えば、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を組換え発現に好適な発現ベクターに挿入できる。ポリペプチドが抗体である場合、定常領域に場合により連結された、追加の軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドが同じかまたは異なった発現ベクターに挿入され得る。親和性タグ配列(例えば、His(6)タグ)を、下流の精製を容易にするためにポリペプチド配列に場合により結合または包含させることができる。イムノグロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、イムノグロブリンポリペプチドの発現を確実にする、発現ベクター(複数可)中の制御配列に作動可能に連結されている。発現制御配列としては、プロモーター(例えば、天然付随または異種のプロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメントおよび転写終結配列が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクター中の真核細胞プロモーター系である。ひとたびベクターが適切な宿主に組み入れられれば、ヌクレオチド配列の高レベル発現ならびにポリペプチドの収集および精製に好適な条件下で宿主は維持される。
【0078】
これらの発現ベクターは通常、エピソームとして、または宿主染色体DNAに組み込まれた部分として宿主生物内で複製可能である。一般的に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするために、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性またはネオマイシン耐性)を含有している(例えば、米国特許第4,704,362号参照)。
【0079】
大腸菌は、本発明のポリヌクレオチド(例えば、DNA配列)をクローニングするのに特に有用な原核細胞の宿主の1つである。使用に好適な他の微生物の宿主には、枯草菌(Bacillus subtilus)などの桿菌、ならびにサルモネラ、セラチアおよび様々なシュードモナス種などの他の腸内細菌科が含まれる。
【0080】
酵母などの他の微生物も発現に有用である。サッカロミセスおよびピキアは例示的酵母宿主であり、好適なベクターは、所望により、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製開始点、終止配列などを有する。典型的なプロモーターとしては、3−ホスホグリセレートキナーゼおよび他の解糖系酵素が挙げられる。誘導性酵母プロモーターとしては、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソシトクロムC由来のプロモーター、ならびにメタノール、マルトースおよびガラクトース利用を担っている酵素群由来のプロモーターが挙げられる。
【0081】
本発明の範囲内では、大腸菌および出芽酵母が好ましい宿主細胞である。
【0082】
微生物に加えて、哺乳動物組織培養も、本発明のポリペプチドを発現および産生させるのに使用できる(例えば、イムノグロブリンまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)。Winnacker、From Genes to Clones、VCH Publishers、N.Y.,N.Y(1987)を参照されたい。種タンパク質(例えば、インタクトなイムノグロブリン)を分泌できる多くの好適な宿主細胞系が当該技術分野で開発されているので、真核細胞が事実上好ましく、それらには、CHO細胞系、様々なCos細胞系、HeLa細胞、293細胞、骨髄腫細胞系、形質転換B細胞およびハイブリドーマが挙げられる。これらの細胞のための発現ベクターは、複製開始点、プロモーターおよびエンハンサーなどの発現制御配列(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、ならびにリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、転写ターミネータ配列などの必要なプロセシング情報部位を含むことができる。好ましい発現制御配列は、イムノグロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、サイトメガロウイルスなどから得られたプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)を参照されたい。
【0083】
目的のポリヌクレオチド配列(例えば、重鎖および軽鎖をコードする配列ならびに発現制御配列)を含有するベクターを、周知の方法(細胞宿主のタイプに応じて異なる)によって宿主細胞内に導入できる。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核細胞に一般的に利用され、一方、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション、バイオリスティクス(biolistics)またはウイルスベースのトランスフェクションは他の細胞宿主に使用され得る(全般的にSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press,2nd ed.,1989を参照)。哺乳動物細胞を形質転換するのに使用される他の方法には、ポリブレンの使用、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、および微量注入が挙げられる(全般的に、Sambrook et al.,上記参照)。トランスジェニック動物の産生には、受精卵母細胞内に導入遺伝子を微量注入すること、または、胚幹細胞のゲノム中に組み入れ、そのような細胞の核を除核卵母細胞内に導入することができる。
【0084】
トランスジェニック動物のゲノム中に導入して、それに続いて、例えば、トランスジェニック動物の乳中に発現させるために、対象となるポリペプチドを導入遺伝子に組み入れることもできる(例えば、Deboerらの第5,741,957号、Rosenの第5,304,489号、およびMeadeの第5,849,992号を参照)。好適な導入遺伝子には、カゼインまたはベータラクトグロブリンなどの乳腺特異的遺伝子由来のプロモーターおよびエンハンサーに作動可能に連結した、軽鎖および/または重鎖のコード配列が挙げられる。
【0085】
ポリペプチドは、単一ベクターを用いて発現させることも、2つのベクターを用いて発現することもできる。例えば、抗体重鎖および軽鎖を、別々の発現ベクターにクローニングして、細胞中に共トランスフェクト(co−transfect)してもよい。
【0086】
一実施形態において、本発明のポリペプチドの発現を促進するのに、シグナル配列を使用できる。
【0087】
ひとたび発現されれば、そのポリペプチドを、硫酸アンモニウム沈殿、親和性カラム(例えば、プロテインAまたはプロテインG)、カラムクロマトグラフィー、HPLC精製、ゲル電気泳動などを含めた、当該技術分野の標準的手順(全般的に、Scopes,Protein Purification(Springer−Verlag,N.Y.(1982))を参照のこと)に従って精製することができる。
【0088】
ヒト化Ig可変領域またはそれらを含むポリペプチドを宿主細胞または培養細胞系によって発現させることができる。それらは、インビボの細胞で発現させることもできる。改変された抗体を産生するように形質転換(例えば、トランスフェクト)される細胞系は、不死化哺乳動物細胞系であり得、例えば、リンパ球系出自のものである(例えば、骨髄腫、ハイブリドーマ、トリオーマ、またはクアドローマ細胞系)。この細胞系としてはまた、ウイルス(例えば、エプスタインーバーウイルス)を用いた形質転換によって不死化された、B細胞などの正常なリンパ系細胞が挙げられ得る。
【0089】
ポリペプチドを産生するのに使用される細胞系は通常、哺乳動物細胞系であるが、他の供給源からの細胞系(細菌および酵母など)も使用できる。特に、大腸菌由来の細菌株を使用でき、とりわけ、例えば、ファージディスプレイを使用できる。
【0090】
骨髄腫細胞株など、一部の不死化リンパ系細胞系は、それらの正常な状態で、単離されたIg軽鎖または重鎖を分泌する。本発明の方法中に調製された改変抗体を発現するベクターでそのような細胞系が形質転換された場合、通常分泌される鎖が、事前に調製されたベクターによってコードされたIg鎖の可変ドメインに相補的な鎖であるという条件では、該方法の残りのステップを実行する必要はない。
【0091】
不死化細胞系が分泌しない、または相補鎖を分泌しない場合、適切な相補鎖またはそのフラグメントをコードするベクターを細胞内に導入することが必要である。
【0092】
不死化細胞系が相補的な軽鎖または重鎖を分泌する場合、形質転換細胞系は、例えば、好適な細菌細胞をベクターで形質転換し、次いで、その細菌細胞を不死化細胞系と(例えば、スフェロプラスト融合によって)融合させることによって産生され得る。代替的には、エレクトロポレーションによってDNAが不死化細胞系に直接的に導入され得る。
【0093】
一実施形態において、本発明で記載されるヒト化Ig可変領域、または本発明の方法によって生成されるヒト化Ig可変領域は、任意の抗体の抗原結合性フラグメント中に存在し得る。これらのフラグメントは、組換えによって産生され得、ならびにタンパク質分解酵素で抗体を消化することによって操作、合成または産生され得る。例えば、フラグメントは、Fabフラグメントであり得、パパインによる消化は、2本の重鎖を連結する鎖間(すなわち、V−V)ジスルフィド結合の前に領域で抗体を切断する。これは、軽鎖ならびに重鎖のVおよびC1ドメインを含有する2つの同一なフラグメントの形成をもたらす。代替的には、このフラグメントは、F(ab’)フラグメントであり得る。これらのフラグメントは、ペプシンで抗体を消化することによって生成され得る。ペプシンは、鎖間ジスルフィド結合の後で重鎖を切断し、その結果、両方の抗原結合部位を含有するフラグメントをもたらす。さらに別の代替手段は、「単一鎖」抗体を用いることである。単鎖Fv(scFv)フラグメントは、様々な方法で構築できる。例えば、VのC末端をVのN末端に連結できる。通常、リンカー(例えば、(GGGGS)、配列番号4)をVとVとの間で配置する。しかし、鎖が連結され得る順序は、逆にすることができ、検出または精製を容易にするタグ(例えば、Mycタグ、HisタグまたはFLAGタグ)が含まれ得る(これらなどのタグを本発明の任意の抗体または抗体フラグメントに追加することができる、それらの使用はscFvに限定されない)。したがって、以下に述べるように、タグ付きの抗体は本発明の範囲内である。代替的な実施形態において、本明細書に記載の抗体または本明細書に記載の方法によって生成される抗体は、重鎖2量体または軽鎖2量体であり得る。さらに、抗体軽鎖もしくは重鎖またはその部分、例えば単一ドメイン抗体(DAb)も使用できる。
【0094】
別の実施形態において、本発明に記載のヒト化Ig可変領域、または本発明の方法で生成されるヒト化Ig可変領域は、単一鎖抗体(ScFv)またはミニボディー(minibody)で存在する(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1参照)。ミニボディーは、それぞれScFv分子(1つ以上の抗原結合部位を含む単一ポリペプチド、例えば、接続ペプチドを介してCH3ドメインに融合したVドメインに柔軟なリンカーによって連結されたVドメイン)を含む2本のポリペプチド鎖で作られた2量体分子である。ScFv分子は、V−リンカー−V配向または、V−リンカー−V配向で構築できる。抗原結合部位を作るVおよびVドメインを連結する柔軟なヒンジは、好ましくは、約10〜約50アミノ酸残基を含む。この目的のための例示的接続ペプチドは、(Gly4Ser)3である(Huston et al..(1988)、PNAS,85:5879)。他の接続ペプチドは当該技術分野において公知である。
【0095】
単一鎖抗体を生成する方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、Ho et al.(1989),Gene,77:51、Bird et al.(1988),Science 242:423、Pantoliano et al.(1991),Biochemistry 30:10117、Milenic et al.(1991),Cancer Research,51:6363、Takkinen et al.(1991),Protein Engineering 4:837。ミニボディーは、当該技術分野で記載されている方法を用いて、ScFv成分および接続ペプチド−CH成分を構築することによって生成できる(例えば、米国特許第5,837,821号またはWO94/09817A1参照)。これらの成分を、別々のプラスミドから制限フラグメントとして単離し、その後、適切なベクター中に結紮および再クローニングすることができる。適切なアセンブリを制限酵素消化およびDNA配列分析で確かめることができる。一実施形態において、本発明のミニボディーは接続ペプチドを含む。一実施形態において、接続ペプチドは、Gly/Serリンカー、例えば、GGGSSGGGSGG(配列番号6)を含む。
【0096】
別の実施形態において、4価のミニボディーを構築できる。例えば、アミノ酸配列(GS)AS(配列番号7)を有する柔軟なリンカーを用いて2個のScFv分子が連結されることを除けばミニボディーと同じ方法で、4価のミニボディーを構築することができる。
【0097】
別の実施形態において、本発明で記載するヒト化可変領域、または本発明の方法で生成されるヒト化可変領域はダイアボディーで存在し得る。ダイアボディーはscFv分子に類似しているが、通常、両方の可変ドメインを接続する短い(10未満、好ましくは1〜5)アミノ酸残基リンカーを有し、それゆえ、同一ポリペプチド鎖上のVドメインとVドメインとは相互作用できない。代替的には、1本のポリペプチド鎖のVおよびV領域が(それぞれ)第2のポリペプチド鎖上のVおよびVドメインと相互作用する(WO02/02781)。
【0098】
別の実施形態において、本発明のヒト化可変領域は、FcR結合部分に作動可能に連結した抗体(例えば、scFv分子、ミニボディー、4価のミニボディー、またはダイアボディー)の免疫反応性フラグメントまたは部分に存在し得る。例示的な一実施形態において、FcR結合部分は完全なFc領域である。
【0099】
好ましくは、本明細書に記載のヒト化法は、ドナー抗体と比較して実質的に抗原の親和性が変化していないIg可変領域をもたらす。
【0100】
一実施形態において、本発明の可変ドメインを含むポリペプチドは、約10−1、約10−1、約10−1、約10−1、約10−1、約1010−1、約1011−1または約1012−1超の(またはそれに等しい)結合定数Kaの結合親和性で抗原に結合する(これらの値の中間値の親和性を含む)。
【0101】
様々な方法で親和性、結合活性および/または特異性を測定できる。通常、親和性が定義または測定される正確な方法に関わらず、本発明の方法によって、作製元の抗体(または複数の抗体)よりも臨床適用の任意の側面で優れた抗体が生成される場合、該方法は、抗体親和性を改善するものである(例えば、改変された抗体が、作製元の抗体(または複数の抗体)よりも低用量または低頻度または好都合な投与経路で投与できる場合、本発明の方法は有効または好成果であると考えられる)。
【0102】
より詳細には、抗体と、それが結合する抗原との間の親和性は、例えば、ELISAアッセイ、BiaCoreアッセイまたはKinExA(商標)3000アッセイ(Sapidyne Instruments(Boise(ID))から入手可能)を含めた様々なアッセイで測定できる。簡潔には、セファロースビーズを共有結合によって抗原(本発明の方法で使用される抗原は、任意の目的の抗原(例えば、がん抗原、細胞表面タンパク質または分泌タンパク質、病原体の抗原(例えば、細菌またはウイルス抗原(例えば、HIV抗原、インフルエンザ抗原または肝炎抗原))、アレルゲンであり得る)でコーティングする。試験される抗体の希釈物を調製し、各希釈物をプレートにおける指定された穴に添加する。次いで、それぞれの穴に検出抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgG−HRP結合体)を添加し、続いて色素形成の基質(例えば、HRP)を添加する。次いで、プレートをELISAプレートリーダーで450nMにて読み取り、EC50値を計算する。(しかしながら、本明細書に記載された方法は概ね適用可能であり、それらは、いかなる特定の抗原または抗原のクラスに結合する抗体の産生にも限定されないと理解される)。
【0103】
当業者ならば、親和性の決定が常に単一の数値を見るだけですむほど単純ではないと認識するであろう。抗体は2つの腕を有するので、通常、それらの見かけの親和性は、可変領域と抗原との間の固有の親和性よりはるかに高い(これは結合活性によるものと考えられている)。scFvまたはFabフラグメントを用いて固有の親和性を測定できる。
【0104】
別の一態様において、本発明は、細胞毒、薬物(例えば、免疫抑制薬)、または放射性毒などの治療用部分に結合体化している、ヒト化ウサギ抗体、またはそのフラグメントを特色としている。かかる複合体を、本明細書において「イムノコンジュゲート」と呼ぶ。
【0105】
本発明の抗体結合体を用いて、所与の生物学的応答を調節することができ、薬物部分は古典的な化学療法剤に限定されると解釈してはならない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってよい。かかるタンパク質としては、例えば、酵素的に活性な毒素、またはその活性なフラグメント、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナスの体外毒素、もしくはジフテリア毒素γ、腫瘍壊死因子もしくはインターフェロン−γなどのタンパク質、または生物学的応答調節物質、例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、もしくは他の成長因子が挙げられ得る。
【0106】
かかる治療部分を、抗体に結合体化するための技術は周知であり、例えば、Arnon et al.,”Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243−56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.,”Antibodies For Drug Delivery”,in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623−53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,”Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”,in Monoclonal Antibodies84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475−506(1985);”Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwin et al.(eds.),pp.303−16(Academic Press 1985),およびThorpe et al.,”The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.,62:119−58(1982)を参照。
【0107】
1つの態様において、本発明は、疾患の処置のためのヒト化ウサギ抗体を含む薬学的処方物を提供する。用語「薬学的処方物」とは、明白に有効である抗体または抗体誘導体の生物活性を可能にするような形態であり、処方物を投与した被験体に毒性のある追加の成分を含まない調製物をいう。「薬学的に許容される」賦形剤(媒介物、添加剤)とは、被験体である哺乳動物に合理的に投与し、採用する活性成分の有効用量を実現できるものである。
【0108】
(均等物)
前述の記載を考慮すると、本発明の多くの修正および代替の実施例が、当業者には明らかであろう。したがって、この記載は、単なる例示として解釈すべきであり、本発明を実行するのに最良の様式を当業者に教示するためのものである。構造の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく実質的に変えることができ、添付の特許請求の範囲内となるすべての修正の独占的使用権を保有する。本発明は、添付の特許請求の範囲および適用可能な法律の規則によって要求される程度にのみ制限されるものであると意図する。
【0109】
特許、特許出願、論説、書籍、論文、論述、ウェブページ、図および/または添付書類を含む、この出願に引用された全文献および類似物は、かかる文献および類似物の書式に関わらず、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。組み込まれた文献および類似物の1つ以上が、定義された用語、用語の使用法、記載された技法または同様のものを含むこの明細書と異なるか相反する場合には、本明細書が優先される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2015年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】