特表2016-507392(P2016-507392A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-507392切断ラインに沿ってワークピースを切断する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-507392(P2016-507392A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(54)【発明の名称】切断ラインに沿ってワークピースを切断する装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 45/02 20060101AFI20160212BHJP
   B23D 45/04 20060101ALI20160212BHJP
   B23D 47/08 20060101ALI20160212BHJP
   B23Q 17/22 20060101ALI20160212BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20160212BHJP
【FI】
   B23D45/02 C
   B23D45/04 B
   B23D47/08
   B23Q17/22 Z
   B23Q17/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-557460(P2015-557460)
(86)(22)【出願日】2014年2月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2014053063
(87)【国際公開番号】WO2014128095
(87)【国際公開日】20140828
(31)【優先権主張番号】102013202754.0
(32)【優先日】2013年2月20日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー, ペーター
【テーマコード(参考)】
3C029
3C040
【Fターム(参考)】
3C029AA29
3C029AA31
3C029FF01
3C040AA01
3C040BB03
3C040BB11
3C040CC02
3C040EE01
3C040EE04
3C040FF00
3C040GG44
(57)【要約】
第1終点(E1)と第2終点(E2)との間の切断ライン(63)に沿ってワークピース(18)を切断する装置は、鋸ヘッド(12)と、ガイドキャリッジ(24)及び進行モータ(25)を備え、ガイドキャリッジ(24)上に配置された鋸ヘッド(12)を進行方向(26)に進行モータ(25)によって移動可能な進行機構(13)と、鋸ヘッド(12)、進行機構(13)及び/又は加工プロセスを監視するための少なくとも1つのセンサ要素(37,38)を備えたセンサシステム(36)と、鋸ヘッド(12)、進行機構(13)及びセンサシステム(36)を制御するための制御要素(51)及びセンサシステム(36)によって検出された少なくとも1つの測定量(α,X)を評価するための評価要素(52)を備えた制御ユニット(27,31)と、鋸ヘッド(12)及び進行機構(13)を作動させる作動手段(32)と、表示手段(33)とを具備する。センサシステム(36)によって検出された少なくとも1つの測定量(α,X)に基づき、制御ユニット(27,31)は加工プロセスの瞬間的な加工結果(ΔT12,ΔT23,E1,E2,L)を演算し、該加工結果(ΔT12,ΔT23,E1,E2,L)は表示手段(33)に表示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1終点(E1)と第2終点(E2)との間の切断ライン(63)に沿ってワークピース(18)を切断する装置(10)であって、
駆動モータ(21)及び鋸刃(14)を備え、該鋸刃が回転軸線(16)の回りを前記駆動モータ(21)によって回転可能である鋸ヘッド(12)と、
ガイドキャリッジ(24)及び進行モータ(25)を備え、前記鋸ヘッド(12)が前記ガイドキャリッジ(24)上に配置された前記鋸ヘッド(12)を進行方向(26)に沿って前記進行モータ(25)によって移動可能とする進行機構(13)と、
前記鋸ヘッド(12)、前記進行機構(13)及び/又は加工プロセスを監視するために幾つかのセンサ要素(37,38)を備えたセンサシステム(36)と、
前記鋸ヘッド(12)、前記進行機構(13)及び前記センサシステム(36)を制御するための制御要素(51)及び前記センサシステム(36)によって検出された少なくとも1つの測定量(α,X)を評価するための評価要素(52)を備えた制御ユニット(27,31)と、
前記鋸ヘッド(12)及び前記進行機構(13)を作動させる作動手段(32)と、
表示手段(33)と
を具備し、
前記センサシステム(36)によって検出された少なくとも1つの測定量(α,X)に基づき、前記制御ユニット(27,31)は前記加工プロセスの瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)を演算し、該演算された瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)が前記表示手段(33)に表示されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(27,31)は記憶要素(53,54)を有し、該記憶要素は前記センサシステム(36)によって検出された前記測定量(α,X)を前記記憶要素(53,54)内の前記瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)とともに格納することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記記憶要素(53,54)内に格納された前記測定量(α,X)及び前記瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)に基づき、前記制御ユニット(27,31)は加工プロセスのための付加的な特性値(ΔT12,ΔT23,E1,E2,L)を演算し、該特性値を前記表示手段(33)に表示させることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記作動手段(32)及び前記表示手段(33)を備え、前記制御ユニット(27,31)に通信接続(35)を介して接続された遠隔制御ユニット(28)を具備したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(27,31)は第1制御ユニット(27)及び第2制御ユニット(31)を含み、前記第1制御ユニット(27)が前記鋸ヘッド(12)内に配置されている一方、前記第2制御ユニット(31)が前記遠隔制御ユニット(28)内に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)は前記第1制御ユニット(27)で演算されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1制御ユニット(27)は、前記センサシステム(36)によって検出された前記測定量(α,X)を前記第2制御ユニット(31)に伝送し、前記瞬間的な加工結果(T1,T2,T3)は前記第2制御ユニット(31)で演算されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1における前提部の装置に係わり、切断ラインに沿ってワークピースを切断する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
切断ラインに沿ってワークピースを切断する従来の装置は壁鋸として構成され、ガイドレールと、該ガイドレール上を移動可能に配置された鋸ヘッドと、ガイドレールに沿って鋸ヘッドを移動させるモータ駆動型進行機構とからなる。鋸ヘッドは鋸刃を備え、該鋸刃は鋸アームに取り付けられ、回転軸線の回りに駆動モータによって駆動される。鋸アームは、旋回軸線の回りに旋回モータによって旋回可能に構成されている。駆動モータ及び旋回モータは鋸ヘッドの装置ハウジング内に配置されている。モータ駆動型進行機構はガイドキャリッジ及び進行モータを備え、該進行モータは鋸ヘッドの装置ハウジング内に配置されている。鋸ヘッドはガイドキャリッジ上に据え付けられ、ガイドレールに沿う進行方向に進行モータによって移動可能に構成されている。上述のモータとは別に、装置ハウジング内には制御ユニットが組み込まれ、該制御ユニットは壁鋸を制御するのに役立つ。
【0003】
壁鋸は、手動又は少なくとも部分的に自動化されたプロセスで作動される。切断ラインに沿ってワークピースを切断する手動プロセスにおいて、作業者はそのプロセス中、モータ駆動型進行機構を手動で制御して切断ラインの終点にアプローチしなければならない。鋸刃がブレードガードで囲繞されているならば、ワークピース内の鋸刃の出口点は作業者にとって殆ど又は少しも視認できず、これにより、作業者は加工プロセス中、切断ラインの終端を決定することができない。作業者は瞬間的な加工結果に関して、制限された情報量のみを受け取るに過ぎない。ワークピース内への鋸刃の瞬間的な切込み深さは、例えばブレードガートに設けた目盛で読み取り可能である。ここでの欠点は、ブレードガード無しに切断がなされる場合、瞬間的な切込み深さを表示できないことである。鋸ヘッド全体に覆うようなブレードガードは加工プロセス中、屡々、非常に汚くなり、目盛りの読み取り性は更に損なわれる。更に、加工プロセス中、作業者は或る安全な距離を壁鋸から維持していなければならず、この結果、特に水平な切断の場合、目盛りの読み取り性は更に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
欧州特許公開第1693173号明細書(EP 1693173 A1)は切断ラインに沿ってワークピースを切断するために少なくとも部分的に自動化された方法、また、該方法の実施に適した壁鋸を開示する。通常の構成部品とは別に、壁鋸は、旋回角センサ及び位置センサを有するセンサシステムを備えており、旋回角センサは鋸アームの旋回角を監視し、一方、位置センサはガイドレール上の鋸ヘッドの位置を監視する。ワークピースを切断する従来の方法は連続した3つの方法工程を必要とし、これら方法工程は順次実施される。第1方法工程において、鋸アームは部分切込みの深さに相当する旋回角で傾斜されている。第2方法工程において、鋸ヘッドは切断ラインの第1終点に達するまで進行方向に沿ってガイドレール上を前進方向に移動される。第3方法工程において、鋸ヘッドは切断ラインの第2終点に達するまで進行方向に沿ってガイドレール上を後進方向に移動される。切込みは幾つかの部分切込みからなる。このような3つの方法工程は所望の切込み深さが達するまで連続的に繰り返される。自動化された切断方法は、幾つかのルーチン手順から作業者を自由にすることを意図しており、作業者は加工プロセスの監視に集中することができる。しかしながら、加工プロセスを監視するうえで、作業者がどのように期待されているかは開示されていない。
【0005】
発明の提示
本発明の目的は、加工プロセスの監視が作業者に容易となるようにワークピースを切断する装置を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上述の目的はワークピースを切断する上述の装置において、請求項1の特徴部によって達成される。有利な改善は従属請求項に提示されている。
【0007】
本発明は、センサシステムによって検出された測定量に基づき、制御ユニットが瞬間的な加工結果を演算し、該瞬間的な加工結果が表示手段に表示されることを提供する。瞬間的な加工結果は、数値及び/又はグラフの形態で表示手段に表示可能である。作業者は、演算された瞬間的な加工結果に基づき、加工プロセスを監視できる。手動プロプロセスの場合、特に鋸刃の瞬間的な切込み深さ及び終点の位置は加工プロセスを監視するうえでの適切な量である。センサシステムの測定量や既知の他の装置パラメータに基づいて演算された加工結果に関しての情報の全てが表示手段に表示可能である。
【0008】
好ましくは、制御ユニットは記憶要素を有し、該記憶要素内の瞬間的な加工結果と同様に、記憶要素はセンサシステムによって検出された測定量を格納する。記憶要素内にセンサシステムの測定量及び演算された瞬間的な加工結果が格納されているならば、制御ユニットは、加工プロセスを監視するために付加的な特性値を演算することができるか、又は、グラフの形態で付加的な特性を表示可能である。
【0009】
特に好ましくは、記憶要素に格納された測定量及び瞬間的な加工結果に基づき、制御ユニットは加工プロセスのための付加的な特性値を演算し、該付加的な特性値を表示手段に表示する。加工プロセスのための付加的な特性値は数値及び/又はグラフの形態で表示可能である。ワークピース内の鋸刃の瞬間的な切込み深さとは別に、例えば、ワークピース内の切断のコースが作業者の関心事ともなる。加工プロセスの付加的な特性値は、主切込み深さ、切込みの終点位置、切込みの長さを含んでいる。
【0010】
好適な実施例では遠隔制御ユニットが備えられている。該遠隔制御ユニットは、作動手段及び表示手段を含み、前記制御ユニットに通信接続を介して接続されている。遠隔制御ユニット上での瞬間的な加工結果の表示は、作業者が演算された瞬間的な加工結果及び付加的な特性値に基づき、加工プロセスを監視できるという利点を有する。加工プロセス中、作業者はその手の中に遠隔制御ユニットを把持し、加工プロセスの監視に必要な情報の全てを表示手段で受け取る。
【0011】
特に好ましくは、制御ユニットは第1制御ユニット及び第2制御ユニットを含み、第1制御ユニットは鋸ヘッド内に配置され、一方、第2制御ユニットは遠隔制御ユニット内に配置されている。作業者は遠隔制御ユニットの作動手段を使用して、所望の装置及び作動パラメータをセットできる。第2制御ユニットは装置及び作動パラメータを鋸ヘッド及びモータ駆動型進行機構のための対応した制御指令に変換する。制御指令は第2制御ユニットにより通信接続を介して第1制御ユニットに伝送される。第1制御ユニットは鋸ヘッド及びモータ駆動型進行機構に制御指令を付与する。
【0012】
好適な実施形態において、瞬間的な加工結果は、鋸ヘッド内に配置された第1制御ユニットで演算される。瞬間的な加工結果の演算及び表示は瞬時に行われると考えられ、この結果、作業者は瞬間的な加工結果に基づき、加工プロセスを監視でき、必要ならば、加工プロセスに干渉することもできる。測定データの伝送経路が短ければ短い程、時間遅延は短くなる。第1制御ユニットでの瞬間的な加工結果の演算は、表示手段に表示しなければならない加工結果のみが遠隔制御ユニットに通信接続を介して伝送されるだけとなる利点を必然的に伴う。
【0013】
代替の好適な実施形態において、第1制御ユニットはセンサシステムによって検出された測定量を第2制御ユニットに伝送し、そして、瞬間的な加工結果は第2制御ユニットで演算される。遠隔制御ユニット内に配置された第2制御ユニットに通信接続を介して測定量を伝送することは、特別な遠隔制御ユニットを必要とし、そして、如何なる遠隔制御ユニットでも実施できない状況への適用に適する。
【0014】
実施形態
本発明の実施形態は図面を参照して以下に説明される。図面は真の縮尺で実施形態を描く必要はなく、むしろ、図面は説明の目的上必要なら、概略的及び/又は変形して示されている。図面から直接的に収集可能な教示に係る如何なる追加に関して、その参照は関連技術をなすものである。ここで、実施形態の形状及び詳細に係る多くの改良や変更が本発明の概念から逸脱することなく可能であることに留意すべきである。明細書、図面及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々又は如何なる組合せに拘わらず、本発明の改善のために本質的なものである。更にまた、明細書、図面及び/又特許請求の範囲に開示された少なくとも2つの特徴の全ての組合せは、本発明の範囲内に含まれる。本発明の概念は、以下の記載される好適な実施形態の正確な形態又は詳細に制限されるものではないし、特許請求の範囲に記載の主題との対比にておいて、その主題を制限するものでもない。また、所定の評価範囲にて、特定の制限値内の値は制限値として開示され、特許請求の範囲にて使用且つ請求可能である。以下、簡略化を図るため、同一又は同様な機能をなす同一又は同様な部材には同一の参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ガイドレール、該ガイドレール上を移動可能に配置された鋸ヘッド及びガイドレールに沿って鋸ヘッドを移動させるモータ駆動型進行機構からなり、ワークピースを切断するガイドレール型装置システムを示す図である。
図2】鋸ヘッド内に配置された第1制御ユニットと図1に示された装置システムの遠隔制御ユニットとの間の相互作用をフローチャートの形態で示す図である。
図3図1の装置システムを使用して3つの部分切込みからなる切込みが形成されワークピースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1はガイドレール型装置システム10の概略図であり、該装置システムはガイドレール11と、該ガイドレール11上を移動可能に配置された動力工具12と、ガイドレール11に沿って動力工具12を移動させるモータ駆動型進行機構13とからなる。
【0017】
動力工具は鋸ヘッド12として構成されている。鋸ヘッド12は鋸刃14を備え、該鋸刃は鋸アーム15に取り付けられ、回転軸線16の回りに駆動される。鋸アー15は旋回軸線17の回りに旋回可能に構成されている。鋸刃14の切断深さは、旋回軸線17の回りの鋸アーム15の旋回運動によって変化する。鋸アーム15の旋回角及び鋸刃14の直径は、処理されるべきワークピース18に突入する鋸刃14の深さを決定する。旋回軸線17の回りの鋸アーム15の旋回運動の代替として、鋸アーム15は例えばリニア駆動又は他の駆動ユニットによっても調整可能である。作業者を保護するため、鋸刃14はブレードガードによって囲繞でき、該ブレードガードはブレードガートホルダによって鋸アーム15に取り付けられている。
【0018】
鋸刃14は回転軸線16の回りに駆動モータ21によって回転され、一方、鋸アー15は旋回軸線17の回りに旋回モータ22によって旋回される。駆動モータ21及び旋回モータ22は鋸ヘッド12の装置ハウジング23内に配置されている。モータ駆動型進行機構13はガイドキャリッジ24と、進行モータ26とを備え、該進行モータは装置ハウジング23内に配置されている。鋸ヘッド12はガイドキャリッジ24上に据え付けられ、ガイドレール11に沿い進行モータ25によって進行方向26に移動可能に構成されている。装置ハウジング23は、モータ21,22,25のみならず、鋸ヘッド12を制御する第1制御ユニット27及びモータ駆動型進行機構13もまた収容する。
【0019】
装置システム10は制御ユニット28により作動され、該制御ユニット28は図1に示された実施形態では遠隔制御ユニットとして構成されている。該遠隔制御ユニット28は装置ハウジング29と、該装置ハウジング29に作動手段32とともに収容された第2制御ユニット31と、表示手段33とを備え、該表示手段33は装置ハウジング29の上面34に配置されている。第2制御ユニット31は第1制御ユニット27に通信接続35を介して接続されている。通信接続35はハードワイヤ接続又は無線通信接続として構成され、例えば無線通信接続は赤外線、Bluetooth(登録商標)、無線LAN又はWi-Fi接続の形態なす。上記の無線接続技術の他に、データ伝送のための全ての既知又は将来的な無線接続技術もまた適する。
【0020】
装置システム10は、装置システム10及び加工プロセスの監視のために、幾つかのセンサ要素を備えたセンサシステム36を有する。第1センサ要素37は旋回角センサとして構成され、一方、第2センサ要素38は位置センサ3として構成されている。旋回角センサ37は鋸アーム15の瞬間的な旋回角を測定する。鋸アーム15の旋回角及び鋸刃14の直径はワークピース18内に突入する鋸刃14の深さを決定する。位置センサ38はガイドレール11上の鋸ヘッド12の瞬間的な位置を測定する。旋回角センサ37及び位置センサ38からは第1制御ユニット27に測定量α,Xがそれぞれ伝送される。
【0021】
図2は、装置システム10の第1制御ユニット27と遠隔制御ユニット28との間の相互作用をフローチャートの形態で示す。
【0022】
第1制御ユニット27は、鋸ヘッド12、モータ駆動型進行機構13及びセンサシステム36を制御するのに役立つ。第1制御ユニット27は制御要素51及び評価要素52を備える。鋸ヘッド12、モータ駆動型進行機構13及びセンサシステム36は制御要素51によって制御される。評価要素52は加工プロセス中、センサシステム36によって検出された測定量を評価するのに役立つ。制御及び評価要素51,52とは別に、第1制御ユニット27は記憶要素53を有し、該記憶要素52にセンサシステム36によって検出された測定量を格納可能である。
【0023】
作業者は、遠隔制御ユニット28の作動手段32により、所望の装置及び作動パラメータをセットする。第2制御ユニット31は装置及び作動パラメータを鋸ヘッド12及びモータ駆動型進行機構13のための対応した制御指令に変換する。この点に関して、語句「制御指令」は、装置の構成部品の制御に役立つ1つの制御ユニットの全指令を包含する。制御指令は第2制御ユニット31により通信接続35を介して第1制御ユニット2に伝送される。第1制御ユニット27の制御要素51は鋸ヘッド12及びモータ駆動型進行機構13に制御指令を発する。
【0024】
処理中、鋸ヘッド12、モータ駆動型進行機構13及び加工プロセスはセンサシステム36によって監視される。センサシステム36のセンサ要素37,38は幾つかの測定量を検出し、ここで、測定量は連続的(アナログ的)又はサンプリング周期的(デジタル的)に検出可能である。図1の実施形態において、旋回角センサ37は鋸アーム15の旋回角αを検出し、一方、位置センサ38は鋸ヘッド12の位置Xを検出する。検出された測定量はセンサ要素37,38から第1制御ユニット27の評価要素52に伝送される。検出された測定量α,Xや、鋸刃14の直径等の装置パラメータに基づき、評価要素52は加工プロセスにおける瞬間的な加工結果を演算する。例えば、ワークピース内への鋸刃14の突入深さが鋸アーム15の旋回角α及び鋸刃14の直径に基づいて演算される。
【0025】
演算された瞬間的な加工結果は通信接続35を介して第2制御ユニット31に伝送され、そして、遠隔制御ユニット28の表示手段33に表示される。瞬間的な加工結果は数値及び/又はグラフの形態で表示可能である。作業者は瞬間的な加工結果に基づき、加工プロセスを監視できる。手動方法において、特に、瞬間的な切断深さに相当するワークピース18内への鋸刃18の突入深さや終点の位置は、加工プロセスを監視するうえで適切な量となる。センサシステム36の測定量に基づいて演算可能な加工結果に関しての全ての情報は遠隔制御ユニット28の表示手段33に表示可能である。
【0026】
検出された測定量α,X及びこれらに基づいて演算された瞬間的な加工結果は、第1制御ユニット27の記憶要素53に格納可能である。代替として、測定量α,X及び瞬間的な加工結果は、第2制御ユニット31の記憶要素54にも格納可能である。瞬間的な加工結果に基づき、第2制御ユニット31は加工プロセスを監視するうえで付加的な特性値を演算可能であるか、又は、グラフの形態で加工プロセスの進行を表示可能である。ワークピース18内への鋸刃18の瞬間的な突入深さとは別に、例えば、ワークピース18での切断コースもまた作業者の関心事となる。
【0027】
図2の実施形態において、瞬間的な加工結果は第1制御ユニット27の評価要素52で演算される。代替的には、センサシステム36の測定量α,Xは第2制御ユニット31に通信接続35を介して伝送可能であり、一方、瞬間的な加工結果の評価は第2制御ユニット31で行われる。測定量α,X及びこれらに基づいて演算された瞬間的な加工結果は、第2制御ユニット31の記憶要素54に格納される。
【0028】
第1制御ユニット27は、付加的な表示手段56に付加的な通信接続55を介して接続可能である。本実施形態において、瞬間的な加工結果が第1制御ユニット27にて演算され、次に、第1制御ユニット27から演算された加工結果が表示手段33,56に伝送されるのが有利となる。演算と表示手段33,56での表示との間の時間遅延が減少される。瞬間的な加工結果が第2制御ユニット31で演算されるならば、付加的な表示手段56が遠隔制御ユニット28に付加的な通信接続57を介して接続されるべきである。
【0029】
図3はワークピース18を示し、該ワークピース内には図1の装置システムによって切込み61が形成さている。切込み61は深さ方向62に深さTを有し、第1終点E1と第2終点E2との間を切断ライン63に沿い進行方向26に走っている。切込み61は3つの部分切込み64,65,66からなる。第1部分切込み64は案内切込みとして、第2部分切込み65は第1主切込みとして、第3部分切込み66は第2主切込みとしてそれぞれ参照される。
【0030】
第1部分切込み64は第1深さT1を有する。該第1深さは鋸アーム15の第1旋回角α1に相当し、第1及び第2終点E1,E2間に前進方向67でもって形成される。第2部分切込み65は第2深さT2を有する。該第2深さは鋸アーム15の第1旋回角α2に相当し、第1及び第2終点E1,E2間に後進方向67でもって形成される。ここで、後進方向6は前進方向67とは逆向きである。第3部分切込み66は第3深さT3を有する。該第3深さは鋸アーム15の第3旋回角α3に相当し、第1及び第2終点E1,E2間に前進方向67でもって形成される。第3部分切込み65の後、ワークピース18の切込み61が完成する。
【0031】
部分切込み64,65,66の深さT1,T2,T3は鋸アーム15の旋回角α1,α2,α3に基づいて演算でき、これら旋回角は鋸刃14の直径に基づき、旋回角センサ37によって検出される。切込み深さT1,T2,T3に基づき、前記主切込み深さは、第1及び第2切込み深さ間の差T2−T1である第1主切込み深さΔT12を考慮して決定でき、一方、第2主切込み深さΔT23は第2及び第3切込み深さ間の差、T3−T2となる。終点E1,E2の位置は位置センサ38によって検出された鋸ヘッド12の位置、鋸刃14の直径及び鋸アーム15の旋回角αに基づいて演算可能である。切込み61の長さLは終点E1,E2間の距離となる。
【0032】
センサシステム36での測定量に基づいて演算される切込み61又は部分切込み64,65,66に関し、図3に示された情報の全ての細目が遠隔制御ユニット28の表示手段33に表示可能である。センサシステム36の測定量、瞬間的な加工結果及び付加的な特性値は数値及び/又はグラフの形態で表示手段に表示可能である。センサシステム36の測定量に基づいて演算された瞬間的な加工結果は特に、鋸刃14の切込み深さT1,T2,T3を含む。付加的な特性量は、主切込み深さΔT12,ΔT23、切込み6における終点E1,E2の位置及び切込み61長さLを含む。
図1
図2
図3
【国際調査報告】