特表2016-507461(P2016-507461A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-507461自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材用の結合材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-507461(P2016-507461A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(54)【発明の名称】自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材用の結合材
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/06 20060101AFI20160212BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20160212BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20160212BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20160212BHJP
【FI】
   C04B28/06
   C04B18/08 Z
   C04B22/06 Z
   C04B24/26 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-556493(P2015-556493)
(86)(22)【出願日】2014年2月6日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月30日
(86)【国際出願番号】EP2014052341
(87)【国際公開番号】WO2014122217
(87)【国際公開日】20140814
(31)【優先権主張番号】2013/0082
(32)【優先日】2013年2月6日
(33)【優先権主張国】BE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515214660
【氏名又は名称】エタブリッセメンツ ウブロ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノネット、オーレリアン
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MA00
4G112MD00
4G112PA27
4G112PB03
4G112PB31
(57)【要約】
自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために使用することが意図されている水硬性結合材組成物であって、前記水硬性結合材組成物はフライアッシュ、アルミナセメント、及び消石灰を含んでおり、前記水硬性結合材組成物は顆粒組成物及び水と混合して前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成することが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために使用されることが意図されている水硬性結合材組成物であって、
−前記水硬性結合材組成物の総重量に対して65重量%〜95重量%、好ましくは70重量%〜90重量%、有利には75重量%〜85重量%に含まれる含有量のフライアッシュ;及び
−前記水硬性結合材組成物の総重量に対して5重量%〜35重量%、好ましくは15%〜20重量%に含まれる含有量のアルミナセメント;
−前記水硬性結合材組成物の総重量に対して0.05重量%〜15%、好ましくは0.5重量%〜6重量%、有利には1重量%〜5重量%に含まれる含有量の消石灰
を含み、
前記水硬性結合材組成物は、前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために顆粒組成物及び水と混合されることが意図されている、上記水硬性結合材組成物。
【請求項2】
前記フライアッシュが、0.04mm〜0.125mmに含まれるd80により特徴付けられる粒度曲線を有する、請求項1に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項3】
前記フライアッシュが、2.31×10kg/m±0.20×10kg/mの体積密度を有する、請求項1又は2に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項4】
好ましくはポリカルボン酸誘導体、有利にはポリカルボン酸エーテルの誘導体の群から選択される少なくとも1種の流動化剤を含み、前記流動化剤が前記結合材の総重量に対して2.7×10−4重量%〜3.4×10−3重量%に含まれる含有量で存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項5】
アルミナセメント及び消石灰の総重量に対して1重量%〜15重量%、好ましくは7重量%〜15重量%に含まれる含有量の消石灰を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項6】
粉末形態であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項7】
水を含み、スラリーとして存在することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の水硬性結合材組成物。
【請求項8】
顆粒組成物及び請求項1から7までのいずれか一項に記載の前記水硬性結合材組成物を含む自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材組成物であって、前記埋め戻し材組成物は自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために水と混合される準備ができている、上記埋め戻し材組成物。
【請求項9】
− 前記埋め戻し材組成物の総重量に対して80重量%〜95重量%、好ましくは80.5重量%〜95重量%に含まれる含有量の前記顆粒組成物;及び
− 前記埋め戻し材組成物の総重量に対して4重量%〜14重量%、好ましくは6重量%〜10重量%に含まれる含有量の前記水硬性結合材組成物
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項10】
前記顆粒組成物が次のフラー・トンプソン式
【数1】

[式中:
− pは、粒子及び/又は顆粒若しくは砂粒の重量の貫通分率(前記顆粒組成物の総重量に対する%)を表し;
− dは、篩のメッシュのサイズ(mm)を表し;
− Dは、前記粒子及び/又は前記顆粒グレインの最大直径(mm)を表し、5〜10mmに含まれ;
− Nは、0.30〜0.55に含まれる値の範囲で選択される実験係数である]
で定義される粒度範囲に中心をもつ粒度曲線を有し、
pが、0〜100に含まれ、有利には
a)pMIN=p−15の値から、
b)pMAX=p+10の値まで
に含まれる値を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項11】
前記顆粒組成物が、6mm〜17mmに含まれるd100、5mm〜12mmに含まれるd95、1mm〜5mmに含まれるd50、及び0.3mm〜1mmに含まれるd30により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する、請求項8から10までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項12】
前記顆粒組成物が3〜7mmに含まれるd70により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する、請求項8から11までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項13】
前記顆粒組成物が0.3〜0.9mmに含まれるd30により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する、請求項8から12までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項14】
前記顆粒組成物が0.1〜0.5mmのd20により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する、請求項8から13までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項15】
前記顆粒組成物が、天然砂、砕砂、採石場顆粒及び再生顆粒又はそれらの混合物の1つである粒子及び/又はグレインを含む、請求項8から14までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物。
【請求項16】
請求項8から15までのいずれか一項に記載の前記埋め戻し材組成物及び水を含む自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材。
【請求項17】
請求項16に記載の前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を製造する方法であって、
c)所定の第1の体積(V1)の顆粒組成物を、所定の第2の体積(V2)を有する混練チャンバー中に提供するステップ;
d)第3の体積(V3)の、請求項1から7までのいずれか一項に記載の前記水硬性結合材組成物及び水又は水性相の混合物を提供するステップ;及び
e)前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために、前記顆粒組成物、水又は水性相、及び前記水硬性結合材組成物を混練するステップ
を含む、上記方法。
【請求項18】
前記第3の体積(V3)を提供するステップに先立って、前記所定の第2の体積(V2)と前記所定の第1の体積(V1)との体積差(ΔV)を測定するステップを含み、前記第3の体積(V3)は少なくとも前記測定された体積差(ΔV)に等しい、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の体積(V3)及び前記体積差(ΔV)が0.75〜1.5に含まれる(V3)/(ΔV)比で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
この方法の前記第1のステップに先行して、前記第1の体積(V1)の前記顆粒組成物を形成するために、各々の顆粒が所定の体積で提供される少なくとも2つの顆粒を提供することにより前記顆粒組成物を形成するステップがある、請求項17から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
この方法の前記第1のステップに先行して、前記水硬性結合材組成物を水又は水性相と混合することにより前記第3の体積(V3)の結合性組成物のスラリーを形成するステップがある、請求項17から20までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記水又は水性相、及び前記水硬性結合材組成物が別々に混練チャンバー中に提供される、請求項17から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記水又は水性相が、前記顆粒の供給材料に、前記混練チャンバーに、前記埋め戻し材組成物に、又はさらに前記水硬性結合材組成物の供給材料に提供される、請求項17から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種の流動化剤が、前記顆粒組成物、前記水硬性結合材組成物、又は水に、或いはさらに別々に前記混練チャンバーにさらに加えられる、請求項17から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前述のステップが同時に行われる、請求項17から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材をトレンチ内に配置するステップを含む、請求項17から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の前記水硬性結合材組成物の、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するための使用であって、前記水硬性結合材組成物は前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために顆粒組成物及び水と混合されることが意図されている、上記使用。
【請求項28】
請求項9から15までのいずれか一項に記載の埋め戻し材組成物の、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するための使用であって、前記埋め戻し材組成物は前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために水と混合されることが意図されている、上記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Belgian Walloon Regionの2012年版手引きQualirouteに準じてクラス1(MAR1)又は2(MAR2)の速硬性を有する自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材の結合材組成物に関する。より詳細には、本結合材組成物は、例えば、掘削トレンチなどのいろいろなタイプの埋め戻しトレンチ又は水、ガス、電気、電話回線網、等に接続するためのトレンチの範囲内で使用される埋め戻し材を作製するのに使用することが意図されており、前記埋め戻し材は路上及び路傍の両方で達成することができる。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に出回っており、処理済道路セグメント、例えば道路又は高速道路の交通(例えば高速道路交通)への迅速な復帰を可能にする自己充填性埋め戻し材は、次の2つの異なる原理(一方、他方又は両者の組合せ)を利用している。
1)多量の結合材(通常Portland(登録商標)セメントタイプ、多くの場合CEM I 52,5R);
2)水のかなりの部分を周囲媒体に排水することにより行われる耐力の改良、これにより排水可能なタイプのMARに分類される。
【0003】
残念ながら、多量の結合材を添加すると、即ち埋め戻し材1m当たり50kgより多くのセメントを使用すると、一般に、最終製品(即ち埋め戻し材)の再掘削可能性はクラス1(MAR1といわれる)から、時にはクラス2(MAR2)からも外れてしまう。
【0004】
その結果、前述のタイプの埋め戻し材で覆われたネットワークは、その後損傷を受けることなく除去され得るということがもはや保証されない。さらに、このタイプの埋め戻し材の硬化に必要とされる遅延時間は、現在の急速硬化型のもので、常におよそ2〜3時間の程度である。
【0005】
その上、埋め戻し作業を行う媒体が排水可能な場合にのみ可能である排水ステップは通常遅く、しかも短い経過時間内に(例えば処理済道路セグメントを迅速に(2〜12時間の遅延時間内に)交通に復帰させるように)達成されるべきであり、且つ埋め戻し作業位置に関する摂動の時間が制限される埋め戻し方法にあまり好都合ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、排水可能な(透過性)媒体及び排水可能でない(不透過性)媒体の両方において速硬性、容易な再掘削可能性及び増大した効率を有する自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材の作製を可能にする結合材組成物を提供することにより技術水準の欠点を克服することである。
【0007】
本発明の意味で「速硬性」という用語は、埋め戻し材の適用後最大60分の時間経過以内、好ましくは20〜40分の遅延時間以内に、プレート試験[C.R.R.(Roadwork Research Centre‐Belgium)の測定方法‐MR40/78、1978年発行]で測定して17MPaより大きい耐力を達成する能力を意味する。
【0008】
「容易な再掘削可能性」という用語は、クラスMAR1又はMAR2の埋め戻し材、即ち立方体の破砕値がクラス1の場合0.7MPa未満であり、又はクラス2の場合0.7〜2MPaに含まれる埋め戻し材を意味する。この値は0.3〜0.6MPaに含まれるのが好ましい。破壊荷重に対応する破砕値は、埋め戻し材を適用し且つ20℃±4℃の温度及び50%±10%の空気の相対湿度に28日保った後、立方体で測定される。
【0009】
「排水可能でない媒体でも増大した効率」という用語は、処理済道路セグメントが、後に最大60分の遅延時間内に、好ましくは埋め戻し材を排水するステップを必要とすることなく、即ち埋め戻し材1m当たり15Lより多い量の水を土壌により吸収するか又は人為的に(即ち人間の行為により、例えば排水又はポンプ揚水により)除去する必要なく、交通に復帰させるのに必要且つ充分な性能を達成していることを意味する。
【0010】
この問題を解決するために、本発明に従って、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために使用されることを意図した水硬性結合材組成物が提供され、前記水硬性結合材組成物は、
− 水硬性結合材組成物の総重量に対して65重量%〜95重量%、好ましくは70重量%〜90重量%、有利には75重量%〜85重量%に含まれる含有量のフライアッシュ、
− 水硬性結合材組成物の総重量に対して5重量%〜35重量%、好ましくは15%〜20重量%に含まれる含有量のアルミナセメント、
− 水硬性結合材組成物の総重量に対して0.05重量%〜15%、好ましくは0.5重量%〜6重量%、有利には1重量%〜5重量%に含まれる含有量の消石灰
を含み、
水硬性結合材組成物は、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために顆粒の組成物及び水と混合されることが意図されている。
【0011】
本発明の意味で、「顆粒組成物」という用語は、モルタル及びコンクリートを構成する砂、砂利及び石の、複数の粒子及び/又は顆粒のグレイン又は複数の粒子及び/又は顆粒のグレインの混合物を意味する。
【0012】
本発明の意味で、「グレイン」という用語は、凝結体又は粒子の凝集体を意味する。
【0013】
凝結体は、本発明の範囲内で、強い凝集力を介して、即ち水素結合タイプの力、共有結合タイプの凝集力又はイオン性タイプの力によって互いに結合された一組の原子及び/又は分子として定義される。さらに、前記凝結体は粒子間の少なくとも1つの強い凝集力の作用によって形成され得ると理解されなければならない。
【0014】
粒子の凝集体は、強い凝集力により、即ちファンデルワールスタイプの力により互いに結合された一組の原子及び/又は分子の集合体である。さらに、前記凝集体は粒子間のこれらの弱い凝集力の少なくとも1つの作用により形成され得ると理解されるべきである。
【0015】
本発明の範囲内で、驚くべきことに、結合材は、埋め戻し材を構成する顆粒組成物の粒子及び/又はグレイン間の潤滑剤の役割を果たすと共に、本発明の水硬性結合材組成物で形成される埋め戻し材の硬化、したがって機械的強度の起点における水硬性現象による粒子間の結合材の役割を果たすことが観察された。
【0016】
即ち、一面において、本発明の水硬性結合材組成物では、その潤滑特性の故に、後の再掘削を容易に行うことができる埋め戻し材が得られる可能性があり、そのため(埋め戻し材が水を通さない媒体内におかれたときでも硬化することができる場合)排水可能でないタイプのクラスMAR1又は2の埋め戻し材が得られる。
【0017】
クラスMAR1又は2の埋め戻し材が得られることは、前記埋め戻し材の再掘削が被覆されたケーブル及び導管の近くで行われる、即ち埋め戻し材の再掘削が正確な実行を必要とし、そのためモーター駆動式の実行を可能な限り少なくし、さらには手動で実行するという特別な作業条件で行われる場合、尚更有利である。
【0018】
別の一面において、水による硬化のため、本水硬性結合材組成物には、特に短い遅延時間でクラスMAR1又は2の埋め戻し材が得られる可能性があり、処理済道路セグメントの交通への迅速な復帰が可能になる。このとき、この埋め戻し材は、埋め戻し材の硬化後の17MPa以上の耐力値及び埋め戻し材の硬化前の24cm以上のAbrams円錐崩壊値の基準を満たす。
【0019】
また、水硬性結合材組成物は、アルミナセメント及び消石灰の総重量に対して1重量%〜15重量%、好ましくは7重量%〜15重量%に含まれる含有量の消石灰を含む。
【0020】
消石灰の役割はアルミナセメントの水中硬化を促進することである。
【0021】
有利なことに、水硬性結合材組成物は、前記フライアッシュが0.04mm〜0.125mmに含まれるd80で特徴付けられる粒度曲線を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の範囲内で、例えば0.04mmに等しいd80は、フライアッシュの(フライアッシュの総重量に対して)80重量%の部分が0.04mm未満の直径の粒子及び/又はグレインを有することを表す。
【0023】
場合により、水硬性結合材組成物は、前記フライアッシュが2.31×10kg/m±0.20×10kg/mの体積密度を有することを特徴とする。
【0024】
好ましくは、本発明による水硬性結合材組成物の100%がフライアッシュ、アルミナセメント及び消石灰からなる。
【0025】
特に、水硬性結合材組成物は粉末形態である。
【0026】
しかし、水硬性結合材組成物はさらに少なくとも1種の流動化剤及び/又は水を含んでいてもよい。
【0027】
前記流動化剤、水、フライアッシュ、アルミナセメント及び消石灰が水硬性結合材組成物の重量の100%となるのが好ましい。
【0028】
或いは、水を含む水硬性結合材組成物はスラリーとして存在する。
【0029】
特定の実施形態において、水硬性結合材組成物は、好ましくはポリカルボン酸導体、有利にはポリカルボン酸エーテルの誘導体の群から選択される少なくとも1種の流動化剤を含み、前記少なくとも1種の流動化剤は水硬性結合材組成物の総重量に対して2.7×10−4重量%〜3.4×10−3重量%の乾燥抽出物含量で存在することを特徴とする。
【0030】
「乾燥抽出物」という用語は、本発明の意味内で無水の流動化剤であると理解されたい。
【0031】
流動化剤の役割は、埋め戻し材を生成するのに必要とされる水の量を減らすことである。
【0032】
本発明による水硬性結合材組成物のその他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0033】
本発明はさらに、顆粒組成物及び本発明の水硬性結合材組成物を含む埋め戻し材組成物に関する。
【0034】
この埋め戻し材組成物は、前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために、水と混合される準備ができており、好ましくは水と混合される。これは、埋め戻し材の硬化又は水中硬化といわれる。
【0035】
優先的な実施形態において、組成物は、前記埋め戻し材組成物の総重量に対して80重量%〜95重量%、好ましくは80.5重量%〜95重量%に含まれる含有量の顆粒組成物、及び前記埋め戻し材組成物の総重量に対して4重量%〜14重量%、好ましくは6重量%〜10重量%に含まれる含有量の本発明の水硬性結合材組成物を含む。
【0036】
埋め戻し材組成物は、場合により、水又は例えばエアエントレイナーのような他の添加剤を補足してもよい。
【0037】
場合により、本発明の埋め戻し材組成物は次のフラー・トンプソン式により定義される粒度範囲を中心とする粒度曲線を有する顆粒組成物を含む。
【数1】

ここで、
pは、粒子及び/又は顆粒若しくは砂粒の重量の貫通分率を表し(顆粒組成物の総重量に対する%);
dは、篩のメッシュサイズを表し(mm);
Dは、粒子及び/又は顆粒グレインの最大直径を表し(mm)、5〜10mmに含まれ;
Nは、0.30〜0.55に含まれる値の範囲で選択される実験係数である。
【0038】
本埋め戻し材組成物の特定の実施形態において、これらのパラメーターは次の通り設定される。
dは0mm〜12.5mmに含まれ;
Dは値10mmを有し;且つ
nは0.40に設定される。
【0039】
この特定の実施形態について、d及びpの値は例えば次の通りである。
【表1】
【0040】
pは0〜100に含まれるのが好ましく、pMINの値からpMAXの値までに含まれる値を有するのが有利である。
【0041】
埋め戻し材組成物は、6mm〜17mmのd100、5mm〜12mmのd95、1mm〜5mmのd50、及び0.3mm〜1mmに含まれるd30により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する顆粒組成物を含むのが有利である。
【0042】
埋め戻し材組成物は、3〜7mmに含まれるd70により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する顆粒組成物を含むのが好ましい。
【0043】
優先的な実施形態において、埋め戻し材組成物は、0.3〜0.9mmに含まれるd30により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する顆粒組成物を含む。
【0044】
顆粒組成物は、優先的に、0.1〜0.5mmに含まれるd20により特徴付けられる粒子及び/又は粒度分布を有する。
【0045】
本発明の範囲内で、表記dはmmで表した直径を表し、測定される粒子及び/又はグレインの(顆粒組成物の総重量に対して)X重量%がより小さい。
【0046】
顆粒組成物は、天然砂、砕砂、採石場顆粒及び再生顆粒、又はこれらの混合物の1つである粒子及び/又はグレインを含むのが有利である。
【0047】
顆粒組成物は、次の混合物の1つである粒子及び/又はグレインを含むのが好ましい。
− 天然砂/砕砂;
− 天然砂/採石場顆粒;
− 天然砂/再生顆粒;
− 砕砂/採石場顆粒;
− 砕砂/再生顆粒;
− 採石場顆粒/再生顆粒;
− 天然砂/砕砂/採石場顆粒;
− 天然砂/砕砂/再生顆粒;
− 採石場顆粒/再生顆粒/天然砂;又は
− 採石場顆粒/再生顆粒/砕砂。
【0048】
本発明の埋め戻し材組成物の他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0049】
本発明はさらに、本発明による前記埋め戻し材組成物及び水を含む自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材に関する。
【0050】
水は、前記埋め戻し材組成物の総重量に対して、6%〜15重量%、好ましくは7%〜8重量%に含まれる、理想的には7.1重量%の含有量で前記埋め戻し材組成物に添加されるのが好ましい。
【0051】
本発明による埋め戻し材は、さらに、好ましくはポリカルボン酸誘導体、有利にはポリカルボン酸エーテルの誘導体の群から選択される少なくとも1種の流動化剤を含んでいてもよく、前記少なくとも1種の流動化剤は埋め戻し材1m当たり0.1L〜1.0Lに含まれる含有量で存在する。
【0052】
本発明の埋め戻し材の他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0053】
道路向けに有用な埋め戻し材の範囲内で、本発明はまた、以下のステップを含む、本発明による自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を作製する方法にも関する。
− 第1の所定の体積(V1)の顆粒組成物を、第2の所定の体積(V2)を有する混練チャンバー内に提供するステップ;
− 第3の体積(V3)の、前記水硬性結合材組成物及び水又は水性相の混合物を提供するステップ;及び
− 前記顆粒組成物、水又は水性相、及び前記水硬性結合材組成物を混練するステップであって、前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成する上記ステップ。
【0054】
本方法は、前記第3の体積(V3)を提供するステップの前に、前記所定の体積(V2)と前記第1の所定の体積(V1)との体積差(ΔV)を測定するステップを含むのが好ましく、前記第3の体積(V3)及び体積差(ΔV)は0.75〜1.5に含まれる(V3)/(ΔV)比で存在する。
【0055】
或いは、前記第3の体積(V3)は少なくとも前記測定された体積差(ΔV)に等しい。
【0056】
この方法の前記第1のステップに先行して、前記第1の体積(V1)の前記顆粒組成物を形成するために、各々の顆粒が所定の体積で提供される少なくとも2つの顆粒を提供することにより前記顆粒組成物を形成するステップがあるのが有利である。
【0057】
場合により、この方法の前記第1のステップに先行して、前記水硬性結合材組成物を水又は水性相と混合することにより前記第3の体積(V3)の結合材組成物のスラリーを形成するステップがある。
【0058】
優先的に、水(又は水性相)及び前記水硬性結合材組成物は、別々に混練チャンバーに提供される。
【0059】
或いは、水(又は水性相)は、顆粒の供給材料に、前記混練チャンバー中に、前記埋め戻し材組成物に、又はさらに前記水硬性結合材組成物の供給材料に供給される。
【0060】
場合により、さらに、少なくとも1種の流動化剤が、前記顆粒組成物に、前記水硬性結合材組成物に、又は水に、或いはさらに別途混練チャンバーに加えられる。
【0061】
前述のステップは同時に行うのが有利である。
【0062】
本方法はさらに前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材をトレンチに配置するステップを含む。
【0063】
本発明による方法の他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0064】
さらに、本発明は、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するための本発明の水硬性結合材組成物の使用に関し、前記水硬性結合材組成物は前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために顆粒組成物及び水と混合されることが意図されている。
【0065】
本発明によるこの使用の他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0066】
本発明はまた、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するための本発明による埋め戻し材組成物の使用にも関し、前記埋め戻し材組成物は前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために水と混合されることが意図されている。
【0067】
本発明によるこの使用の他の実施形態は添付の特許請求の範囲に示されている。
【0068】
さらに、本発明のその他の特徴、詳細及び利点は以下に非限定的に述べる説明から明らかとなる。
【0069】
水硬性結合材組成物の優先的な組成
本発明の水硬性結合材組成物の優先的な実施形態において、水硬性結合材組成物は、
(i)フライアッシュ;
(ii)アルミナセメント;
(iii)水;及び場合により
(iv)消石灰;並びに/又は代わりに
(v)少なくとも1種の流動化剤添加剤
を含むスラリーとして存在する。
【0070】
フライアッシュは産業副産物である。
【0071】
フライアッシュの役割は、水硬性結合材組成物が生成されたときから硬化の始まり、即ち顆粒組成物と混合されるときまで、水硬性結合材組成物の流動性を確保することである。
【0072】
フライアッシュの粒度曲線は、フライアッシュの総重量に対して20重量%±10重量%の画分を含み、アッシュの粒子又はグレインが0.04mmより大きい直径を有する。
【0073】
フライアッシュの体積密度は2.31±0.20メートルトン/mである。
【0074】
優先的に、生成される埋め戻し材1m当たりのkgで表したフライアッシュの画分は65kg/m〜225kg/mに含まれる。
【0075】
水硬性結合材組成物の溶融セメントともいわれるアルミナセメントは、2005年のEN14647規格に適合しており、得られる埋め戻し材1m当たり24.9kgの最適の含有量で存在する。
【0076】
アルミナセメント含有量は埋め戻し材1m当たり15.0kg〜45.0kgに含まれる。アルミナセメント含有量に対するかかる範囲の値は、MAR1強度クラスについては0.7MPa以下の値又はMAR2強度クラスについては2.0MPaで1辺15cm±1cmの立方体を実験室内で破砕することで特徴付けられる、破砕強度を制限しつつ、5分〜60分に含まれる経過時間内のプレート上での車道耐力試験[C.R.R.(Roadwork Research Centre‐Belgium)の測定方法‐MF40/78]において17MPaの耐力性能を得る可能性を与える。
【0077】
水硬性結合材組成物中に存在する消石灰は粉末状石灰が好ましい。
【0078】
消石灰含有量はアルミナセメント含有量に依存する。
【0079】
水硬性結合材組成物は、アルミナセメント及び消石灰の総重量に対して7重量%〜15重量%に含まれる含有量の消石灰を含むのが好ましい。
【0080】
水硬性結合材組成物はアルミナセメント及び消石灰の総重量に対して11%の石灰を含む。
【0081】
所望の流動性を得るために、さらに、ポリカルボン酸エーテルのようなポリカルボキシラートファミリーから、水を極めて低減する流動化剤を水硬性結合材組成物に配合することが可能である。例えば、流動化剤はSikaのViscoCrete 1020(登録商標)又はViscoCrete 2200HE(登録商標)でもよい。流動化剤の用量は、埋め戻し材1m当たり0.2L〜1.0L、理想的には埋め戻し材1m当たり0.3L〜0.5Lに含まれ、乾燥抽出物含量は流動化剤の34体積%である。
【0082】
したがって、100%に濃縮されたポリカルボキシラートに換算された用量は埋め戻し材1m当たり0.06kg〜0.35kg、好ましくは0.10kg〜0.17kgに含まれる範囲の値に相当する。
【0083】
既に述べたように、1種又は数種の流動化剤添加剤を使用すると、埋め戻し材を作製するのに必要とされる水の量を低減する可能性が得られる。
【0084】
場合により、スラリーを形成するために水を粉末状の水硬性結合材組成物に加えてもよい。
【0085】
しかし、粉末状の組成物に加えられる水の量は、24cm以上の埋め戻し材のAbrams円錐崩壊を確実にするのに必要且つ充分な量を超えないように確かめるべきである。
【0086】
水硬性結合材組成物の量に応じて、また顆粒組成物の量及び化学的性質及び/又は粒度特性に応じて、さらにまた顆粒組成物の含水量に応じて、粉末状の水硬性結合材組成物に加えられる水の量は埋め戻し材1m当たり50L〜200Lに含まれる。
【0087】
優先的な埋め戻し顆粒組成物
本発明の範囲内でさらに「埋め戻し顆粒」といわれる顆粒組成物は、天然顆粒若しくは再生顆粒、又は両者の混合物を含み得る。さらに、埋め戻し顆粒は幾つかの顆粒又は少なくとも1種の砂と少なくとも1種の顆粒の混合物であるのが好ましく、各々の砂及び各々の顆粒はある特定の粒度曲線を有する。
【0088】
これに関連して、埋め戻し顆粒の粒度曲線[2012年版Qualiroute規格−CME 01.01‐ANALYSE GRANULOMETRIQUE DES SOLS:METHODE PAR TAMISAGE ET METHODE AREOMETRIQUE(土壌の粒度分析:篩い分け方法及び比重測定方法)に準じて乾燥条件下で測定される]は、次の範囲に含まれる連続的な粒度を得るために幾つかの特定の粒度曲線からなる。
【表2】
【0089】
この粒度曲線は採石場顆粒、天然砂、再生顆粒、コンクリート再生顆粒、砕砂、合成顆粒又は合成砂で作成され得る。
【0090】
顆粒の粒度曲線は直径が40mmより大きい粒子及び/又はグレインを含有するべきではない。グレイン又は粒子は5mm〜15mmに含まれる最大直径を有するのが理想的である。粒子及び/又はグレインは5mm〜10mmに含まれる最大直径を有するのが最適である。
【0091】
顆粒の粒子及び/又はグレインの最大直径は天然顆粒で10mm以下、小さい煉瓦を含む再生顆粒で15mm以下であるのが好ましい。より大きい直径の粒子及び/又はグレインでは、手動の手段で得られる埋め戻し材を後に再掘削することは困難であるか又は不可能でさえある(事実、クラスMAR1又は2の埋め戻し材からクラスMAR2又は3の埋め戻し材になる)ことに留意すべきである。
【0092】
粒子又はグレインの粒度曲線は、埋め戻し顆粒の粒子及び/又はグレイン間に生じる空間を充填するために必要とされる水硬性結合材組成物の量を可能な限り制限するように選択される。
【0093】
埋め戻し顆粒の粒度曲線は、フラー・トンプソンの式(そのパラメーターnは0.30〜0.55に含まれる)で定義される粒度範囲に中心があるように選択されるのが好ましい。
【0094】
顆粒組成物の粒度プロフィールが選択されたフラー・トンプソン曲線に近づけば近づく程、顆粒組成物を構成する顆粒の混合物の求められる最適な密度に近づく。したがって、砂と顆粒はこの目標を達成するために混合される。
【0095】
埋め戻し顆粒を生成するのに使用することができるいろいろな構成成分は次のものである。
(i)様々な天然砂の混合物;
(ii)様々な砂と再生顆粒の混合物;
(iii)様々な天然顆粒(破砕又はロールした)の混合物;
(iv)様々な再生顆粒(コンクリート破片、天然石又は混合破片)の混合物;
(v)様々な人工顆粒の混合物;又は
(vi)前述の混合物の少なくとも1つの組合せ。
【0096】
優先的に、埋め戻し顆粒は少なくとも1つのタイプの砂及び少なくとも1つのタイプの顆粒を含む。特定の粒度曲線が選択される各々の砂/顆粒の対について、予め所望した埋め戻し材の粒度曲線を達成するために水硬性結合材組成物の組成及び量を適合させる必要がある。
【0097】
埋め戻し材を作製する方法及びそれを適用する方法
「製造方法」という用語は、本発明の意味において、自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を製造するための第1及び第2の方法を意味する。
【0098】
この製造方法は次のステップを含む:
− 第1の所定の体積(V1)の顆粒組成物を、所定の第2の体積(V2)を有する混練チャンバーに提供するステップ;
− 第3の体積(V3)の、前記水硬性結合材組成物及び水又は水性相の混合物を提供するステップ;及び
− 前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材を形成するために、前記顆粒組成物、水及び前記水硬性結合材組成物を混練するステップ。
【0099】
本方法は、前記第3の体積(V3)を提供するステップに先立って、前記第2の所定の体積(V2)と前記所定の第1の体積(V1)との間の体積差(ΔV)を測定するステップを含むのが好ましく、前記第3の体積(V3)及び体積差(ΔV)は0.75〜1.5に含まれる(V3)/(ΔV)比で存在する。
【0100】
或いは、前記第3の体積(V3)は少なくとも前記測定された体積差(ΔV)に等しい。
【0101】
この方法の前記第1のステップに先行して、前記第1の体積(V1)の前記顆粒組成物を形成するために、各々所定の体積にされる少なくとも2種の顆粒を提供することにより前記顆粒組成物を形成するステップが存在するのが有利である。
【0102】
場合により、この方法の前記第1のステップに先行して、前記水硬性結合材組成物を水又は水性相と混合することにより前記第3の体積(V3)の結合材組成物のスラリーを形成するステップが存在する。
【0103】
優先的に、水及び前記水硬性結合材組成物は別々に混練チャンバーに供給される。
【0104】
或いは、水又は水性相は、顆粒の供給材料に、前記混練チャンバー中に、前記埋め戻し材組成物に、又はさらに前記水硬性結合材組成物の供給材料に供給される。
【0105】
場合により、少なくとも1種の流動化剤が、さらに、前記顆粒組成物に、前記水硬性結合材組成物に、又は水(又は水性相)に、さらにはまた別途混練チャンバーに加えられる。
【0106】
前述のステップは同時に行われるのが有利である。
【0107】
例として、顆粒組成物は予め以下のようにして最適化することができる。この顆粒組成物が所望の粒度曲線を有さない場合、例えば砂と砂利の混合物を生成させて、結果としてこの混合物から得られる顆粒組成物が、この例の範囲内で0.40のnの設定値及び10mmのDの値に対してフラー・トンプソンにより定義される最適な理論粒度曲線に近づく粒度プロフィールを有するようにすることが必要である。
【0108】
これに関連して、顆粒と砂の混合物、したがって顆粒組成物は、空の体積(ΔV)を制限するために最適化される。
【0109】
水硬性結合材組成物及び配合水を含む第3の体積の理想的な用量は1.05×(ΔV)であるが、0.75×(ΔV)〜1.50×(ΔV)の範囲で選択し得る。
【0110】
できたばかりの製品を取り扱う時間は数分の程度であるから、材料は掘削又は埋め戻されるトレンチにできるだけ近い使用の現場で生成させ適用するべきである。
【0111】
前述の方法はさらに前記自己充填性且つ再掘削可能な埋め戻し材をトレンチに配置するステップを含む。
【0112】
この第1の製造方法による埋め戻し材の適用は2つの優先的な経路をとることができる。
【0113】
1)現場での連続製造
可搬系は、トラック又はトレーラーに固定式又は可動式に搭載することができ、埋め戻し材の製造並びに用量及び調製系に関係するあらゆる構成要素を含有する。
【0114】
埋め戻し材の様々な構成成分は、所望の配合物を得るように連続混練機の入口で同時に導入される。この混練機の出口で、混合物は埋め戻されるトレンチ又は掘削穴に直接注入される。連続混練機の使用の範囲内で、埋め戻し材の全ての構成要素を必要とされる割合で予め同時に導入することが重要である。埋め戻し材のいろいろな構成要素の用量は実際調節することができ、その結果として埋め戻さなければならないトレンチのタイプに適合させることができる。
【0115】
したがって、埋め戻し顆粒を構成する粒子及び/又はグレインの物理化学的組成並びに所望の埋め戻し材のクラスに応じて、水硬性結合材組成物の成分の割合、埋め戻し材の顆粒割合、及び水の割合を調節しなければならない。
【0116】
さらに、次のようなプリミックスを生成することが可能である:
(i)顆粒及び砂の混合物;
(ii)顆粒と砂及びアルミナセメントの混合物との混合物;
(iii)顆粒と砂、アルミナセメント及び消石灰からなる混合物との混合物;
(iv)水及び少なくとも1種の流動化剤添加剤の混合物;
(v)水及び消石灰の混合物;並びに
(vi)水と少なくとも1種の流動化剤添加剤及び消石灰の混合物との混合物。
【0117】
連続混練機の混練チャンバー内の2分より少ない滞留時間は、1分未満が理想的である。
【0118】
2)埋め戻し材の構成成分を工場で予混合し、構成成分の混合物を現場で生成する
ここで、問題は、適用場所と異なる場所(例えば工場)で2つの混合物を調製することである。一方では、規定の粒度曲線を有する埋め戻し顆粒を生成するために様々な顆粒の混合物を達成する。他方で、問題は、結合材組成物及び場合により1つ又は幾つかの流動化剤添加剤の混合物を調製することである。現場では、水とこれらの混合物の両方とを既定のそれぞれの含有量で混練装置に導入する。この混練装置はセメントミキサー、遊星歯車混練機、さらにはまた連続混練機(製造方法1参照)であり得る。
【0119】
その製造後、埋め戻し材は直ちに適用するべきである。埋め戻し材は混練チャンバーの出口で埋め戻される掘削又は連結トレンチ中に直接注入してもよいし、ポンプで送ってもよいし、さらにはまた大型容器、アルキメデス・ポンプ、又はベルトで輸送してもよい。
【0120】
しかし、これらの前述の実施形態の各々で、埋め戻される領域に混合物が到達した際に取扱い容易性が常に充分であるように確保するべきである。
【0121】
具体的な製造方法は中心容量又は重量トラックの使用である。このトラックは、埋め戻し顆粒(又はその構成成分)を受け取るように配置された1つ又は2つのホッパー、及び水硬性結合材組成物若しくはその構成成分、又は後者のプリミックスを受け取る可能性を与える1つ〜3つのサイロを含有する。埋め戻し材のいろいろな構成成分は、水及び任意の添加剤と同様に、アルキメデス・ポンプ及び/又は1つ若しくは幾つかのベルトによって混練機の入口に提供される。次いで、いろいろな構成成分は混練された後、埋め戻される掘削又は連結トレンチ内に注入される。
【0122】
性能及び強度の経時変化
追跡した埋め戻し材の2つの主要な特性は次の通り:
i)プレート試験による耐力の特性決定(MPaで測定される);及び
ii)試験立体を破砕することによる再掘削可能性の特性決定(MPaで測定される)。
【0123】
通常のプレート試験値は次の通り:
a)適用後60分以内、理想的には適用後30分未満内に得られる17MPa以上の値;
b)120分及び180分で測定される、好ましくは25MPaより大きく、好ましくは25〜60MPaに規定される値の範囲に含まれるプレート試験値の経時変化;及び
c)立方体を破砕する際の超えてはならない許容可能な閾値は、28日で測定され、クラス1(MAR1)の埋め戻し材で0.7MPaに設定される。
【0124】
その適用中、埋め戻し材は流動性である。そのAbrams円錐崩壊値は24cm以上である。
【0125】
埋め戻し材は4つの車軸をもつトラックに搭載されたRA−850タイプの可搬セントラルシステムREIMERによって適用される。
【0126】
その適用後数分で埋め戻し材は硬化し、性能が低下することになるのでもはや動いてはならない。
【0127】
本発明の範囲内で、埋め戻し材を適用した後60分の遅延時間後プレート試験(C.R.R.規格MF40/78)によって測定される耐力値は33.0MPa以上が観察され、一方1辺15cmの立方体の自由な崩壊の際の強度値は適用後28日の遅延時間内で0.47MPa、又は28日の遅延時間内で0.38〜0.55MPaが観察された。
【0128】
これらの性能は、埋め戻し材1m当たり以下の構成成分からなる2.139kg/mの密度を有する埋め戻し材について、水で飽和した排水可能でない再掘削媒体で達成される:
1)以下のものからなる湿度レベル4%(重量)を有する顆粒組成物:
a)次の範囲内に含まれる連続的な粒度曲線を有する採石場砂利顆粒1,123kg/m
【表3】

b)次の範囲内に含まれる連続的な粒度曲線を有する川砂813kg/m
【表4】

2)次のものを含む水硬性結合材組成物156kg/m(即ち砂利/砂/水硬性結合材組成物混合物を含む埋め戻し材組成物の重量に対して7重量%):
a)フライアッシュ:128kg/m(即ち水硬性結合材組成物の総重量に対して82重量%);
b)アルミナセメント:24.9kg/m(即ち水硬性結合材組成物の総重量に対して16重量%);
c)消石灰:3.1kg/m(即ち水硬性結合材組成物の総重量に対して2重量%);場合により
d)流体化剤(Sika 1020(登録商標)):0.4L/m
3)流体化剤の存在下で加えられる水95L/m;又は
4)流体化剤の不在下で加えられる水120L/m
【0129】
本発明はいかなる意味でも上記実施形態に限定されることがなく、また添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの修正を施すことが可能であることと理解されたい。
【国際調査報告】