特表2016-507466(P2016-507466A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-507466格子フレームワークの外表面上にヘテロ原子置換を持つ新規なゼオライト系材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-507466(P2016-507466A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(54)【発明の名称】格子フレームワークの外表面上にヘテロ原子置換を持つ新規なゼオライト系材料
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20160212BHJP
【FI】
   C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-558989(P2015-558989)
(86)(22)【出願日】2014年2月21日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月19日
(86)【国際出願番号】US2014017616
(87)【国際公開番号】WO2014130782
(87)【国際公開日】20140828
(31)【優先権主張番号】61/768,234
(32)【優先日】2013年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/185,115
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515230327
【氏名又は名称】ゾーンズ、ステイシー、イアン
(71)【出願人】
【識別番号】515230338
【氏名又は名称】カッツ、アレキサンダー、エス.
(71)【出願人】
【識別番号】515230420
【氏名又は名称】荻野 勲
(71)【出願人】
【識別番号】515230350
【氏名又は名称】オーヤン、シャオイン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾーンズ、ステイシー、イアン
(72)【発明者】
【氏名】カッツ、アレキサンダー、エス.
(72)【発明者】
【氏名】荻野 勲
(72)【発明者】
【氏名】オーヤン、シャオイン
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA56
4G073BA57
4G073BA69
4G073BA75
4G073BA80
4G073BA81
4G073BA82
4G073BB03
4G073BB06
4G073BB47
4G073BB48
4G073BC02
4G073CZ41
4G073CZ51
4G073FB02
4G073FC13
4G073FC19
4G073FC25
4G073FC27
4G073GA19
4G073UA01
4G073UA06
(57)【要約】
ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上に非ホウ素ヘテロ原子を有し、及び、当該格子フレームワークの残りの全体にわたり、ホウ素加水分解から形成されたシラノール又は、Bヘテロ原子を有する、ゼオライト材料を提供する。当該ゼオライト材料の当該格子フレームワークは、当該フレームワークの外表面に大孔12員環又はより大きい開口を含み、及び、当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を含む。当該ゼオライト系材料を調製する方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上に非ホウ素ヘテロ原子を有し、及び、当該格子フレームワークの残りの全体にわたり、ホウ素加水分解から形成されたシラノール又は、Bヘテロ原子を有する、ゼオライト材料。
【請求項2】
当該格子フレームワークが、当該フレームワークの外表面に大孔12員環又はより大きい開口を含み、及び、当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を含む、請求項1のゼオライト材料。
【請求項3】
当該フレームワークの外表面が、当該外表面12員環開口の下に10員環開口を持つ12員環開口を含む、請求項2のゼオライト材料。
【請求項4】
ゼオライト材料が、格子フレームワークの外表面上にAl、Fe又はTiヘテロ原子を有する、請求項1のゼオライト材料。
【請求項5】
ゼオライト材料が、格子フレームワークの外表面上にAl、Fe又はTiヘテロ原子を有する、請求項2のゼオライト材料。
【請求項6】
ゼオライト材料が、SSZ−70及びERB−1から成る群から選択されるフレームワーク構造である、請求項1のゼオライト材料。
【請求項7】
ゼオライト材料が、MWWフレームワーク構造である、請求項1のゼオライト材料。
【請求項8】
ゼオライト材料が、剥離ゼオライト系材料である、請求項1のゼオライト材料。
【請求項9】
ゼオライト材料が、剥離ゼオライト系材料である、請求項6のゼオライト材料。
【請求項10】
ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上にAlヘテロ原子を有し、及び、当該格子フレームワークの残りの全体にわたり、Bヘテロ原子を有するゼオライト系材料であって、当該フレームワークの外表面は、外表面12員環開口の下に10員環開口を持つ12員環開口を含み、及び、ゼオライト系材料が、剥離ゼオライト系材料である、ゼオライト系材料。
【請求項11】
以下の工程を含む、請求項1のゼオライト系材料を調製する方法:
(i)格子フレームワークの外表面に大孔12員環又はより大きい開口を含み、及び、当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を含み、及び、当該格子フレームワーク全体にわたりホウ素加水分解から形成されたシラノール又はBヘテロ原子を含む、格子フレームワークを持つ構造を有するゼオライト系材料を調製又は選択する工程;及び
(ii)当該ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上のBヘテロ原子又はシラノールを非ホウ素ヘテロ原子に置換する工程。
【請求項12】
外表面上の(ii)におけるBヘテロ原子又はシラノールをAl、Fe又はTiヘテロ原子に置換する、請求項11の方法。
【請求項13】
(i)のゼオライト系材料を硝酸アルミニウム溶液と接触させることによって、当該置換を実施する、請求項12の方法。
【請求項14】
当該接触を、50−200℃の温度で1−7日間実施する、請求項13の方法。
【請求項15】
(i)のゼオライト系材料が、SSZ−70及びERB−1から成る群から選択されるフレームワーク構造である、請求項11の方法。
【請求項16】
(i)のゼオライト系材料が、MWWフレームワーク構造である、請求項11の方法。
【請求項17】
(i)のゼオライト系材料が、剥離ゼオライト材料である、請求項11の方法。
【請求項18】
塩化物及びフッ化物アニオン及び層状のゼオライト材料の水性混合物を調製し、当該水性混合物を、剥離をもたらす時間、5〜150℃の範囲の温度で維持し、そしてその後に剥離ゼオライト材料を回収することによって、当該剥離ゼオライト材料が得られる、請求項17の方法。
【請求項19】
請求項1のゼオライトを含む触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、選択的な置換を持つゼオライト系材料に関する。さらに具体的に言うと、本発明は、外表面上で選択的に置換されたゼオライト系材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
関連技術の記述
何年もの間、ゼオライト中のホウ素ヘテロ原子(B)の代わりにアルミニウムヘテロ原子(Al)への交換又は置換がされてきた。この交換は、弱酸ゼオライトを、より高度な酸に変える。酸サイトによる触媒作用は、化学反応の速度、物質移動の速度、生成物に対する選択性、及び孔システム又は触媒サイトの非活性化に影響し得る。酸サイトの一層良好な制御は、全体の触媒作用の選択的制御を提供するのに役立つであろう。
【0003】
ホウ素の代わりにアルミニウムへの置換は従来利用されてきたけれども、その結果は極端であった:本質的にヘテロ原子交換が起こらない10−MRゼオライトの使用(例えば、ZSM−11)又は本質的に全てのBヘテロ原子が交換される大−又は特大孔ゼオライトの使用(例えば、SSZ−33)。例えば以下を参照:Chen, C.Y.; Zones, S.I., “Method for Heteroatom Lattice Substitution in Large and Extra-Large Pore Borosilicate Zeolites,” U.S. Patent 6,468,501 B1, October 22, 2002; Chen, C.Y.; Zones, S.I., “Method to Improve Heteroatom Lattice Substitution in Large and Extra-Large Pore Borosilicate Zeolites,” U.S. Patent 6,468,501 B1, September 14, 2004; Chen, C.Y.; Zones, S.I. In Studies in Surface Science and Catalysis”; Galarneau, A., Fajula, F., Di Renzo, F., Vedrine, J., Eds.; Elsevier: 2001; Vol. 135; Chen, C.Y.; Zones, S.I. In Zeolites and Catalysis; and Cejka, J., Corma, A., Zones, S.I., Eds. 2010, Vol. 1, p. 155。これらの場合には、フレームワークからのSiの溶解を妨げるために酸性条件が好ましい。使用される水性Al(NO溶液では、ZSM−11などの10−MR孔に入るにはAl−交換で使用される水和アルミニウムカチオンはあまりにも大きい。例えば、以下を参照:Chen, C.Y.; Zones, S.I. In Studies in Surface Science and Catalysis, Galarneau, A., Fajula, F., Di Renzo, F., Vedrine, J., Eds., Elsevier: 2001, Vol. 135; Chen, C.Y.; Zones, S.I. In Zeolites and Catalysis, Cejka, J., Corma, A., Zones, S.I., Eds. 2010, Vol. 1, p. 155。B−SSZ−33のAl−交換において、Si/B値は18から200超に、及び、Si/Al値は12から24に増加し、これは、ほとんどのBヘテロ原子のAl用との交換を示す。以下を参照:Chen, C.Y.; Zones, S.I. In Studies in Surface Science and Catalysis, Galarneau, A., Fajula, F., Di Renzo, F., Vedrine, J., Eds., Elsevier: 2001, Vol. 135。結果は、全てのホウ素が交換されたか又はホウ素が全く交換されなかったかのいずれかである。何の選択的制御も可能ではない。
【0004】
格子フレームワークの全体にわたりそれ故に全ての3個の孔システム中にAlヘテロ原子を含有するアルミノケイ酸塩である、MCM−22による触媒作用は、大孔ゼオライトと中間孔ゼオライトとの間として、特徴づけられる。なぜなら、それは、10−MR(中間)孔及び12−MR(大)孔の両方から成るからである。外表面ヘミケージ上の酸サイトの役割は、触媒サイトを汚染又はコークス化する実験(すなわち、孔システム中の炭素質の堆積物の形成)を通した内部の孔システムのそれとは異なることが決定されてきた。以下を参照:Laforge, S.; Martin, D.; Paillaud, J.L.; Guisnet, M. J. Catal. 2003, 220, 92; Laforge, S.; Martin, D.; Guisnet, M. Microporous Mesoporous Mater. 2004, 67, 235; Laforge, S.; Martin, D.; Guisnet, M. Appl. Catal. A: Gen.2004, 268, 33; Matias, P.; Lopes, J.M.; Laforge, S.; Magnoux, P.; Guisnet, M.; Ramoa Ribeiro, F. Appl. Catal. A: Gen. 2008, 351, 174; Matias, P.; Lopes, J.M.; Laforge, S.; Magnoux, P.; Russo, P.A.; Ribeiro Carrott, M.M.L.; Guisnet, M.; Ramoa Ribeiro, F. J. Catal. 2008, 259, 190。外表面上で酸サイトを選択的に使用できることは、触媒作用を制御する能力を大きく改善し、及び産業への価値が大であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、ヘテロ原子が本質的に外表面上のみにあるように、格子フレームワーク中のBヘテロ原子をAlなどの他のヘテロ原子に置換する方法を提供する。これらのフレームワークヘテロ原子のサイト選択的交換は、例えば、MWWフレームワークゼオライトにおいてサイト選択的吸着又は触媒作用を可能にする。驚いたことに、Bヘテロ原子又はシラノールから成る外表面サイトを、Al、Ti又はFeヘテロ原子などの非ホウ素ヘテロ原子で置換することを選択的に可能にする方法が発見された。
【0006】
10−及び12−MRから成るゼオライト中のBの例えばl、Ti又はFeへのヘテロ原子交換は、外表面で特に起こることが示された。例えばAlサイトを持つそのような外表面機能性は、特定の位置にAlが配置されることを可能にし、それらは、触媒作用及び吸着のためにバルキーな分子にはいりやすい。その結果得られたゼオライト系材料は、ゼオライト格子フレームワークの外表面上に、Al、Ti又はFeヘテロ原子などの非ホウ素ヘテロ原子を有し、及び、当該格子フレームワークの残りの全体にわたり、ホウ素加水分解から形成されるシラノール又はBヘテロ原子を有する。
【0007】
ある形態では、ゼオライト系材料を調製する方法は、格子フレームワークの外表面に大孔12員環(MR)又はより大きい開口を有し及び当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を有する格子フレームワークを持つ構造、及び、当該格子フレームワーク全体にわたりシラノール及びBヘテロ原子を有するゼオライト系材料を最初に調製又は選択することを含む。当該ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上のBヘテロ原子又はシラノールは、その後、Al、Ti又はFeヘテロ原子などの非ホウ素ヘテロ原子で置換又は交換される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の図の簡単な記述
図1図1は、MWWフレームワーク構造の略図を示す。
【0009】
図2図2は、Al交換されたERB−1ゼオライト中のブレンステッド酸サイトの数を決定するのに使用された、ピリジン(a)及びアクリジン(b)の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な記述
本発見は、従来は利用できなかった新しいサイト選択的触媒に導く、外表面上のサイト選択的交換に結果としてなる、アルミニウムカチオンなどの、非ホウ素ヘテロ原子を大きさによって排除するいくつかの孔システムから成るゼオライトを使用する。
【0011】
驚いたことに、特に10−及び12−員環を持つゼオライトにとって、より大きい孔にのみバルキーな分子のアクセスを選択的に可能にし、そして、Bヘテロ原子の特定のフラクションをAlなどのヘテロ原子に置換することに結果としてなる、方法が発見された。この発見は、従来可能でなかったサイト選択的吸着又は触媒作用のための手段を提供する。
【0012】
使用されるゼオライトの一例は、3個の異なる及び交差しない孔システム:共に10−MR開口を通してのみ入りやすい内部のスーパーケージ及び内部のシヌソイドチャンネル;及び12−MR開口を通して入りやすい外部のヘミケージ、を含有する(図1)MWWゼオライト、ERB−1である(Belussi, G., Perego, G., Clerici, M.G. and Giusti, A. Eur. Pat. Appl. EP0293032, 1988を参照)。当該孔システムの各々における酸サイトによる触媒作用は、例えば、化学反応の速度、物質移動の速度、生成物に対する選択性、及び触媒サイト又は孔システムの非活性化の点で、異なり得る。
【0013】
図1には、MWWフレームワーク構造の略図が示される。頂点は、ケイ素又はヘテロ原子を表し、そして、酸素原子は、明瞭化のために省略されている。影のついた領域は、二重の6リングによって接続された、背中合わせの2個の12MR「カップ」を示し;表面上の12−MRヘミケージは、10MR開口を通してアクセスすることを要求しない。MWWスーパーケージは、太字でも強調されている。第3の孔システムは、10MR孔を経由してアクセスされる10MR層内シヌソイドチャンネルである。
【0014】
ある形態では、ゼオライト系材料を調製する方法は、格子フレームワークの外表面に大孔12員環(MR)又はより大きい開口を有し及び当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を有する格子フレームワークを持つ構造、及び、当該格子フレームワーク全体にわたりシラノール又はBヘテロ原子を有するゼオライト系材料を最初に調製又は選択することを含む。ホウ素を除去して形成されるシラノール又は、当該ゼオライト系材料格子フレームワークの外表面上のBヘテロ原子は、その後、Al、Ti又はFeヘテロ原子などの適切な非ホウ素ヘテロ原子で置換又は交換される。
【0015】
ある形態では、当該方法は、12員環又はより大きい開口を含むフレームワークの外表面を持ち、当該外表面12員環開口の下に10員環又はより小さい開口を持つゼオライト系材料を包含するであろう。例えば、当該ゼオライト系材料は、SSZ−70及びERB−1などのフレームワーク構造を有するゼオライト材料の群から選択できる。
【0016】
ある形態では、交換されたゼオライト系材料は、剥離(層間剥離)材料である。いかなる剥離方法も使用できる。しかし、ある形態では、剥離は、塩化物及びフッ化物アニオン剥脱作用の使用を通して実現される。そのような方法の使用は、酸化物材料中の非晶相の存在を避け、それによって二次元のゼオライト層の更に大きな完全性を維持し、それは、他の従来の剥離層状のゼオライト材料と比較して、例えば、X線回折パターンの20−30 2θ/度範囲におけるより強いシャープなピークによって、特徴づけられる。
【0017】
層状のゼオライト材料のハロゲン化物アニオン剥離を包含する本方法では、剥離に影響を及ぼす上で、塩化物及びフッ化物アニオンの水性混合物又は有機溶媒混合物を使用する。臭化物アニオンも存在できる。一般に、例えばセチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)などの界面活性剤を使用する。そのような界面活性剤の使用は、好ましい形態である。
【0018】
当該混合物を、5〜150℃の範囲の温度で、所望の剥離をもたらすのに十分な時間、例えば、30分〜1ヶ月、維持する。当該混合物は、その後、高周波音(超音波)による分解にかけることができ、又は、当該方法は、高周波音による分解の不存在下で完結できる。しかし、高周波音による分解は好ましい。酸化物生成物が、しばしば遠心分離を使用して、回収される。
【0019】
水性混合物を使用する時、塩化物及びフッ化物アニオン、例えばアルキルアンモニウムハロゲン化物、及び層状のゼオライト材料の水性混合物、新規な酸化物生成物が、12未満のpH、例えば約9で調製され、そして、5〜150℃の範囲の温度で、所望の剥離をもたらすのに十分な時間、維持される。酸化物生成物は、その後、例えば高周波音により分解してその後の遠心分離によって、回収される。
【0020】
その代わりに、塩化物及びフッ化物アニオンの非水性混合物、すなわち、有機溶媒を含む混合物を使用する時、当該混合物も、所望の剥離をもたらすために5〜150℃の範囲の温度で維持される。有機溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)などの出発材料を膨潤させるいかなる適切な有機溶媒でもよい。剥離生成物は、その後、当該混合物から回収できる。一般に、回収より前に高周波音による分解を用いる。
【0021】
ある形態では、剥離された層状のゼオライト材料を調製する方法は、剥離されるべき層状のゼオライト材料と塩化物及びフッ化物アニオンとの水性混合物を調製することを含む。当該混合物も、一般に、CTABなどの界面活性剤を含有する。当該水性混合物は、所望の剥離をもたらすために、12以下のpH、例えば約9で、一般に5〜150℃の範囲の温度で、維持される。剥離されたゼオライト材料は、その後、遠心分離後に回収され、そして、90wt%を超える収率で得ることができる。水溶液を使用する合成の間、特にpHのより穏やかな条件の使用は、非晶相の形成を実質的に避ける。
【0022】
他の形態では、剥離された層状のゼオライト材料を調製する方法は、剥離されるべき層状のゼオライト材料と塩化物及びフッ化物アニオンとの非水性混合物を調製することを含む。当該混合物も、一般に、CTABなどの界面活性剤を含有する。当該混合物は、所望の剥離をもたらすために、一般に約5〜150℃の範囲の温度で、加熱される。当該非水性混合物は、ジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶媒を一般に含む。剥離されたゼオライト材料は、その後、ろ過後に回収され、又は、その代わりに、剥離されたゼオライト材料は、その後、脱イオン水洗浄及びろ過後に、回収される。
【0023】
他の形態では、剥離された層状のゼオライト材料を調製する方法は、剥離されるべき層状のゼオライト材料と塩化物及びフッ化物アニオンとの、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒を例えば使用する、非水性混合物を調製することを含む。当該混合物も、一般に、CTABなどの界面活性剤を含有する。所望の剥離に影響を及ぼすために約5〜150℃の範囲の温度で当該混合物を加熱した後、混合物は、高周波音による分解及びろ過にかける。剥離されたゼオライト材料は、その後、回収される。
【0024】
前述の方法によって、例えばアルキルアンモニウムフッ化物及び塩化物界面活性剤の組合せから、塩化物及びフッ化物アニオンの組合せを使用することにより剥離されたゼオライト材料を調製できる。当該方法は、アモルファスシリカ相の形成を避ける。水性混合物を使用する時、当該方法によって、従来可能であったよりもより穏やかな条件のpHを可能とする。pHは、12未満であってもよく、そして、アモルファスシリカ相の形成を本質的に避ける。例えば、pH12以下の水溶液では、層状のゼオライト材料の剥離が実現され、安定な生成物を提供する、当該方法は、高周波音による分解が使用できる非水性混合物中でも実行できる。
【0025】
外表面層が12員環又はより大きい開口を含み、そして、下の層が10員環又はより小さい開口を含む限り、本方法に従って剥離されるべき当該層状のゼオライト材料は、いかなる層状のゼオライト材料であることができる。最終的な生成物は、出発材料及び使用される特定の方法工程に依存するであろう。適切な層状のゼオライト材料の例は、SSZ−25、ERB−1、好ましくは、SSZ−70(例えば、B−SSZ−70)及びNu−6(1)を含む。
【0026】
塩化物及びフッ化物アニオンは、いかなるアニオン源から得ることができる。水溶液中にアニオンを提供するいかなる化合物も使用できる。カチオンは重要ではない。ただし、フッ化物及び塩化物アニオンは重要である。カチオンは、いかなるカチオンでもよく、ある形態では、アルキルアンモニウムカチオンの使用が適切である。そのようなカチオンのアルキル基はいかなる長さでもよく、ある形態では、範囲は1〜20炭素である。テトラブチルアンモニウムカチオンが特に有用であることが見出された。塩化物:フッ化物アニオンのモル比は、100以下でもよく、一般に100:1〜1:100である。ある形態では、当該比は50:1〜1:50の範囲でもよい。
【0027】
重要であると見出されたのは、フッ化物及び塩化物アニオンの組合せである。塩化物なしでフッ化物で剥離を試みた時、乾燥した生成物のPXRDパターンは、強い001及び002ピークの保持をはっきりと示した。このことは、効果的な剥離は塩化物アニオンを更に要求することを示している。他方では、フッ化物は必要な成分でもある。なぜなら、フッ化物が存在しない塩化物のみを使用する剥離は、一部分の剥離という結果になるからである。
【0028】
水性混合物が使用される時に本合成で使用されるpHは、剥離合成において一般に使用されるものよりも低い。pHは、一般に12以下であるが、アモルファスシリカ相を形成するゼオライト中のシリカをアモルファス化しないようないかなるpHでもよい。12以下のpHが、この仕事を一般に成し遂げ、そしてそれによって、非晶相が実質的にない剥離された層状のゼオライト材料を得ることを可能にする。他の形態では、pHは11以下であり、10以下でもあり、約9以下のpHも完全に有利である。
【0029】
水性又は非水性混合物のいずれかのための方法で使用される温度は、広い範囲であることができる。一般に、水溶液の温度は5〜150℃が適切である。他の形態では、温度範囲は50〜100℃でもよい。
【0030】
水溶液中でゼオライトを膨潤させ及び剥離する時間は、大きく変わり得る。一般に、当該時間は30分〜1ヶ月で変わり得る。ある形態では、当該時間の範囲は、2時間〜50時間である。他の形態では、当該時間は、生成物の収集より前に、5〜20時間の範囲であることができる。
【0031】
外表面Bヘテロ原子を、Al、Ti又はFeヘテロ原子、特にAlヘテロ原子に置換又は交換する上で、従来の交換技術を使用できる。例えば、BをAl原子に交換する上で、硝酸アルミニウム溶液を使用できる。一般に、硝酸アルミニウム溶液は、当該交換をもたらすのに十分な時間及び温度でゼオライト系材料と接触するために使用される。当該温度の範囲は50〜200℃であることができ、そして、当該時間の範囲は1〜7日であることができる。
【0032】
得られたゼオライト系材料は、ゼオライト系格子フレームワークの外表面上にAl、Ti又はFeヘテロ原子などの非ホウ素ヘテロ原子を有することができ、そして、格子フレームワークの残りの全体にわたり、ホウ素加水分解から形成されたシラノール又は、Bヘテロ原子を有することができる。ある形態では、Alヘテロ原子が当該外表面上にある。当該格子フレームワークは、当該フレームワークの外表面に大孔12員環又はより大きい開口を含み、及び、当該外表面大孔開口の下に10員環又はより小さい開口を含む。ある形態では、当該フレームワークの外表面は、12員環開口の下に10員環開口を持つ12員環開口を含む。ある形態では、当該ゼオライト材料は、SSZ−70及びERB−1から選択されるフレームワーク構造である。MWWフレームワークのゼオライト材料は、全く適切である。
【0033】
結果として得られたゼオライト系材料は、触媒として完全に適用できる。例えば、当該ゼオライト系材料は、炭化水素反応における触媒として使用でき、そしてそれ故に調整され得る。
【0034】
以下の実施例は、本発明を更に例証するために提供されるが、限定する意味は決してない。
【0035】
実施例1
Al−交換ERB−1の有用性の一例が、図2に示される、小さい(ピリジン)及びバルキーな(アクリジン)アミンの両方の化学吸着において示される。ピリジンは、10及び12−MR孔の両方に容易に組み込まれることができる小さい分子である。アクリジンは、12−MR孔のみに組み込まれることができるバルキーな分子であり、そして、10−MR孔から排除される。
【0036】
Al−交換ERB−1は、下記のとおりに合成した:製造したままのERB−1を、以下のランププログラムを使用して希釈空気中で焼成した:1℃/分で120℃へ、2時間保持しその後1℃/分の速度で550℃に昇温させて、5時間保持。典型的な処理では、0.20gの焼成したERB−1を13mLの水及び2gの硝酸アルミニウム9水和物を含む48mLガラス管反応器中に置いた。加熱より前にpHを測定したところ約2.7であった。その後、ガラス管反応器を、100時間100℃で激しく撹拌しながらオイルバス中で加熱した。その後反応を中止し、pHを再び測定したところ、典型的にpH2よりも低下する。十分に混合したスラリーを精密ガラス漏斗濾過器中に注ぎ、濾過して液体から固体を分離した。当該ガラス漏斗中では、真空を適用して溶液を直ちに濾過する前に10分間、100mLのpH=2のHCl溶液中に固体を再懸濁させた。この工程を、100mLのHCl溶液で再度繰り返した。最後に、当該固体を200mL脱イオン水で洗浄した。その後、当該材料を、上記のランププログラムを使用して550℃に焼成し、Al−交換ERB−1を得た。
【0037】
ブレンステッド酸サイトの数は、アミン化学吸着によって決定した。ピリジン吸着は、TA Instruments TGA 2950を使用することによって熱重量分析(TGA)によって実行した。約30mgの焼成Al−交換ERB−1をTGAサンプルパン中に装填した。(真空トラップによって精製した)Nを、100mL/分の速度で炉中に流した。サンプル温度を2.5℃/分の速度で周囲温度から550℃に加熱し、そして、この温度で3時間保持した。その後、温度は200℃に低下した。この温度で安定した(例えば、近似定常状態マス)サンプルのマス後に、TGA炉中に導くガス流路中に、50μLのピリジン(シグマ)を注入した。アミン注入後に近似定常状態が実現するとすぐに、ピリジンの分子量(MW=79.1g/mol)を使用することによって質量(mg)の増加をピリジンのμmolに変換することによって、そして、当該プロセスライン中にアミンを注入するちょうど前のゼオライトの質量によってこの値を割り算することによって、酸サイトの数を決定するために、化学吸着したピリジンの質量を使用した。
【0038】
アクリジン化学吸着実験は、Varian Cary 400 UV−VISスペクトロメーター上で実行する。ゼオライトサンプルは、175℃で一晩中乾燥し及び乾燥器中で冷却する。アクリジン(供給者、等級)は、エタノール中で3回再結晶し、そして、500μmolアクリジン/gヘキサンストック溶液を調製するのに使用する。2mLのアクリジンストック溶液を滴定のために約3.00mgゼオライトに添加する。滴定溶液は、滴定後に1時間集め、そして、0.45μmシリンジフィルターを通過させる。滴定溶液とストック溶液のUV−vis吸光度の相違は、UV−visスペクトロメーターによって記録され及び計算される。滴定後のUV−vis吸光度の低下は、外部の酸サイトを計算するために使用される。
【0039】
表1の、アミン化学吸着結果は、ピリジン及びアクリジンの同様の取込みを示す。この結果は、Alヘテロ原子が、ゼオライトの外表面上に交換されるのみであり、ピリジン及びアクリジンの両方に入りやすいか否かが、予想されるのみである。ピリジン吸着は、アクリジンよりもわずかに大きく、及び、格子中に接近して配置されるAlの可能性によって説明されることができ、それによって、単一のバルキーなアクリジンは、隣接するAlヘテロ原子に吸着する他のアクリジン分子の能力をブロックした。ピリジンは、より小さく、及び、アクリジンと同じ程度には隣接するサイトをブロックしないであろう。しかし、ピリジン及びアクリジンの吸着量の類似性は、それらは共に同じ外表面サイトを主にサンプリングしていることを示唆する。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例2
この実施例では、UCB−4材料の調製が記載され、それは、その後、アルミニウム用のホウ素サイトの部分リポピュレーションにかけられ、そこでは、それらは、外側シート上の大孔ポケット又はカップ中にのみある。
【0042】
合成を指揮するための構造指向剤(SDA)としてジイソブチルイミダゾリウムカチオンが使用されるArcher法(Microporous and Mesoporous Materials 130, 201 pp. 255-265)を使用することによって、ホウケイ酸塩ゼオライト(前駆体)B−SSZ−70を合成する。生成物は、xrd分析によって、SSZ−70であると確認される。
【0043】
その後、B−SSZ−70は、以下の一連の処理において部分剥離にかける。
【0044】
3.19グラムのゼオライトを、3.6グラムのセチルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB)界面活性剤及びそれぞれ5.5グラムのテトラブチルアンモニウムフッ化物及びテトラブチルアンモニウム塩化物を含む45mlのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中に混合する。この処理は、Ogino et al (UC Berkeley assignee, J. Am. Chem. Soc. 2011)の従前の方法から得られる。当該従前の方法とは異なり、混合物は、16時間の代わりに95℃で4日間加熱された。反応は、混合なしでオーブン中のガラスびん中で実行された。最後の時間に、反応を冷却し、そして、冷却用氷浴中に配置されたオープンカップ中に混合物を移した。その後、Oginoに記載されたパルスシーケンスを使用して、高周波音による分解処理が開始された。当該処理は90分間であり、そして、温度が観察され、それを囲むアイスバッチでの反応中30℃未満に維持された。当該材料を遠心分離によって集め、DMF反応溶液から固体を分離した。当該固体は、テトラヒドロフラン中で再懸濁され、そしてその後、再遠心分離された。この方法を繰り返し、そして、第二の遠心分離を実施してジエチルエーテル中に固体を混合して濾過した。(いかなる水も見られない)集めた乾燥固体は、界面活性剤のインターカレーションに関連した大きな強い新しいラインと一致したXRDパターンを与える。
【0045】
その後、固体材料を、オーブン中への空気のわずかな流出を伴う窒素雰囲気中で焼成した。当該材料を1℃/分で120℃に加熱し、そして、そこで2時間保持した。その後、同じランプを540℃に継続し、そして、材料を、この温度で5時間保持した。生成物検査は、以下の表に示される。
【0046】
UCB−4材料(上記工程2からの生成物)から外側カップ又はポケット上へAlサイトを配置するアルミニウム再挿入実験は、下記のとおりに実行された:
【0047】
キャップを持つガラスびん中で、2.03グラムのUCB−4を、50mlの水中の7.5グラムの硝酸アルミニウム9水和物と混合する。当該びんを、混合しないで95℃に5日間加熱する。他のホウケイ酸塩ゼオライト用の処理の従前の範囲は、以下によって記載された:Chen and Zones(C.Y. Chen and S.I. Zones in “ Zeolites and Catalysis, synthesis , reactions and applications “ Edited by J. Cejka, A. Corma and S.I. Zones, pages 155-170及びここで引用される文献、Wiley-VCH, 2010)。その後、冷却された溶液は、溶液がデカントされ、そして、(酸性溶液中で安定な、未反応アルミニウムカチオンを除去する必要のある)50mlのpH=2のHCl溶液で置換される。この洗浄を繰り返し、そしてその後、固体をろ過によって集め、そして、水で洗浄する。当該処理の有効性は、以下に示される。
【0048】
【表2】
【0049】
表2から、(1)剥離手順は、焼成されたもとのBSSZ−70の測定外表面積を2倍にすることがわかる。次に、ミクロ細孔容積は(予想どおり)低下を示す(2)。Alによる外部のホウ素サイトのリポピュレーションは、剥離処理後にはよりかなり大きい。
【0050】
ここで参照された全ての特許及び文献は、矛盾しない範囲で参照としてここに取り込まれる。上記記載の形態の上述の構造、機能、及び作業のいくつかは、本発明を実施するのに必要ではなく、そして、例示の形態の単純な完全性のために明細書に含まれる。更に、上述で参照された特許及び文献に記述された特定の構造、機能、及び作業は、本発明に関連して実施できるが、それらは実施のために必須ではないことが、理解されよう。それ故に、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の本質及び範囲から実際に離れることなしに具体的に記載されたものとは別のやり方で本発明を実施してもよいことが、理解されよう。
図2
図1
【国際調査報告】