(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-509279(P2016-509279A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(54)【発明の名称】カウンタ
(51)【国際特許分類】
G06M 1/04 20060101AFI20160226BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20160226BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20160226BHJP
G06M 3/00 20060101ALI20160226BHJP
【FI】
G06M1/04 E
A61M11/00 D
A61M15/00 Z
G06M3/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-548755(P2015-548755)
(86)(22)【出願日】2013年12月18日
(85)【翻訳文提出日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】GB2013053334
(87)【国際公開番号】WO2014096814
(87)【国際公開日】20140626
(31)【優先権主張番号】1223008.2
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】599108792
【氏名又は名称】ユーロ−セルティーク エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カハル・ドゥイグナン
(57)【要約】
本発明は、全体的に、カウンタに、特にディスペンサと共に使用するためのカウンタに、及び、上記カウンタを備えるディスペンサに、関する。より具体的には、本発明は、定量吸入器(MDI)のような定量ディスペンサと共に使用されるカウンタに関する。特に、本発明は、カウンタを提供しており、このカウンタは、第1印を有し、インクリメントで軸回りに回転可能な第1リング部材であって、第1印がカウントを表示する、第1リング部材と、規制機構を備える規制部材と、を備え、規制機構は、第1リング部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分を備え、第1リング部材に接触して第1リング部材が規制部材に対して軸回りに自由に回転することを規制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印を有し、インクリメントで軸回りに回転可能な第1リング部材であって、前記第1印がカウントを表示する、第1リング部材と、
規制機構を備える規制部材と、
を備え、
前記規制機構が、前記第1リング部材に対して径方向で作用するように構成された規制部材係合部分を備え、前記第1リング部材に接触して前記第1リング部材が前記規制部材に対して前記軸回りに自由に回転することを規制することを特徴とするカウンタ。
【請求項2】
前記規制部材係合部分が、前記第1リング部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備えることを特徴とする請求項1に記載のカウンタ。
【請求項3】
前記第1リング部材が、前記規制部材係合部分と協働するように構成された係合部分を備え、前記第1リング部材に接触して前記第1リング部材が前記規制部材に対して前記軸回りに自由に回転することを規制することを特徴とする請求項1または2に記載のカウンタ。
【請求項4】
前記第1リング部材にある前記係合部分が、当該第1リング部材の内周面にある複数の歯を備えることを特徴とする請求項3に記載のカウンタ。
【請求項5】
前記第1リング部材の前記内周面にある複数の前記歯が、ラチェット歯であることを特徴とする請求項4に記載のカウンタ。
【請求項6】
前記規制部材係合部分の1以上の歯が、1以上の三角形状のまたはラチェット形状の歯であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項7】
前記規制機構が、案内部を備え、
前記案内部が、固定関係にあり、前記規制部材係合部分から間隔をあけた腕部を備え、
前記案内部が、前記規制部材係合部分が前記第1リング部材と接触したままとなるように前記第1リング部材に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項8】
前記案内部が、前記第1リング部材を外周面に接触させることを特徴とする請求項7に記載のカウンタ。
【請求項9】
前記規制機構が、固定端部と自由端部とを有する基部に支持されており、
前記固定端部が、前記規制部材に連結され、
前記自由端部が、前記規制部材から自由であり、
前記基部が、前記自由端部が前記第1リング部材に対して径方向で移動可能なように前記固定端部において可撓性を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項10】
前記規制部材係合部分が、前記基部の前記自由端部に位置することを特徴とする請求項9に記載のカウンタ。
【請求項11】
前記規制部材が、前記第1リング部材と同じ軸回りで同軸に配置された規制リング部材を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項12】
前記規制リング部材が、当該規制リング部材の前記軸回りでの回転を防止することに関して、筐体内にある対応する形状の突出部と係合するために、上側周面に配設された1以上の位置付け凹所を備えることを特徴とする請求項11に記載のカウンタ。
【請求項13】
前記規制機構が、前記第1リング部材の前方計数方向において前記第1リング部材に摩擦抵抗を付与し、反計数方向での前記第1リング部材の移動を防止するように構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項14】
第2印を有する第2リング部材あって、前記第1リング部材と同じ軸回りにインクリメントごと回転可能であり、前記第2印が、計数を表示する、第2リング部材と、
前記第2リング部材を前記第1リング部材と開放可能に連結するための連結機構であって、連結すると前記第2及び第1リング部材を協働して回転させることを可能とし、かつ、連結していないと前記第2リング部材の独立した回転を可能とする、連結機構と、
を備え、
前記連結機構が、第1及び第2係合手段を備え、
前記第1係合手段が、前記軸に対して、径方向外側及び径方向内側に移動可能であることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項15】
前記連結機構が、前記第1係合手段を径方向外側に反らせる反らせ板を備えることを特徴とする請求項14に記載のカウンタ。
【請求項16】
前記第2リング部材が所定角度回転した後に、前記第1係合手段が、径方向外側に反らせられ、
前記第2リング部材の所定の回転量が、前記軸回りの前記第2リング部材の全回転未満であることを特徴とする請求項15に記載のカウンタ。
【請求項17】
前記第1係合手段が、前記第2リング部材に接続されている、または、前記第2リング部材と一体化されていることを特徴とする請求項15から16のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項18】
前記第1係合手段が、スロット及び接触端部を有する腕部を備え、
好ましくは、前記第1係合手段が、それぞれがスロット及び接触端部を有する4つの腕部を備えることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項19】
前記接触端部が、前記反らせ板と接触する上方延在構成部材を備えることを特徴とする請求項18に記載のカウンタ。
【請求項20】
前記第2係合手段が、前記第1リング部材に接続されている、または、前記第1リング部材と一体化されていることを特徴とする請求項14から19のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項21】
前記第2係合手段が、複数の突出部を備えることを特徴とする請求項14から20のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項22】
前記突出部が、等間隔を開けていることを特徴とする請求項21に記載のカウンタ。
【請求項23】
前記第1係合手段が径方向外側に移動されると、前記第1係合手段が、前記突出部のうちの1つと係合することを特徴とする請求項21または22に記載のカウンタ。
【請求項24】
前記第1係合手段が前記突出部のうちの1つと係合すると、前記第1係合手段が、前方計数方向における前記規制機構の摩擦抵抗を克服し、前記第1リング部材が、前記前方計数方向に回転することを特徴とする請求項23に記載のカウンタ。
【請求項25】
反らせ板が、前記規制部材に接続されている、または、前記規制部材と一体化されていることを特徴とする請求項15から24のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項26】
前記第1リング部材が、前記第2印の視認を塞ぐための表示カバー素子を備えることを特徴とする請求項14から25のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項27】
前記第2リング部材を回転させるための駆動機構を備え、
前記駆動機構の少なくとも一部が、前記第2リング部材と一体化されていることを特徴とする請求項14から26のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項28】
前記駆動機構が、爪−歯機構を備えることを特徴とする請求項27に記載のカウンタ。
【請求項29】
前記爪−歯機構が、
複数の歯と係合可能な第1及び第2爪、
を備え、
前記第1及び第2爪それぞれが、複数の前記歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合するための駆動係合面と、複数の前記歯のうち1つをスライドして越えるためのスライド係合面と、を備えることを特徴とする請求項28に記載のカウンタ。
【請求項30】
前記第1及び第2爪が、
前記第1爪が、前記駆動機構の計数ストローク中に、複数の前記歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合し、
前記第2爪が、前記駆動機構の帰還ストローク中に、複数の前記歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合する、
ように構成されていることを特徴とする請求項29に記載のカウンタ。
【請求項31】
前記第1及び第2爪が、
前記第2爪が、前記駆動機構の計数ストローク中に、複数の前記歯のうちの1つを乗り越え、
前記第1爪が、前記駆動機構の帰還ストローク中に、複数の前記歯のうちの1つを乗り越える、
ように構成されていることを特徴とする請求項29または30のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項32】
前記第1及び第2爪が、前記第2リング部材と一体化されており、
複数の前記歯が、前記第2リング部材の孔部内で往復移動可能に構成された歯支持部材に配設されており、
前記爪−歯機構が、前記第2リング部材の前記孔部内での前記歯支持部材の往復移動が前記第2リング部材の回転移動を引き起こすように、構成されていることを特徴とする請求項29から31のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項33】
薬剤容器を受けるための本体と前記薬剤容器から用量の薬剤を分配するための分配機構とを有するディスペンサに連結した場合に、前記第2リング部材の回転が、前記ディスペンサを作動させることに応じて生じることを特徴とする請求項14から32のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項34】
前記計数が、前記薬剤容器から分配されたまたは前記薬剤容器に残存する薬剤の用量を示すことを特徴とする請求項33に記載のカウンタ。
【請求項35】
前記第1印が、数字、着色部、文字及び記号のうちの1以上を備えることを特徴とする請求項1から34のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項36】
前記第2印が、数字、着色部、文字及び記号のうちの1以上を備えることを特徴とする請求項14から34のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項37】
前記第2印が、第1列の数字を備え、
前記第1印が、第2及び第3列の数字を備えることを特徴とする請求項35または36に記載のカウンタ。
【請求項38】
前記第1列の数字が、一の位の桁を示し、
前記第2列の数字が、十の位の桁を示し、
前記第3列の数字が、百の位の桁を示すことを特徴とする請求項37に記載のカウンタ。
【請求項39】
前記第1列の数字が、繰り返した複数組の整数を備えることを特徴とする請求項37または38に記載のカウンタ。
【請求項40】
前記第2列の数字が、繰り返した複数組の整数を備え、
前記第3列の数字が、一組の整数を備えることを特徴とする請求項37から39のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項41】
前記第1及び第2印が、前記第1及び第2リング部材に印刷され、前記第1及び第2リング部材から形抜きされ、前記第1及び第2リング部材にエンボス加工され、前記第1及び第2リング部材に成形され、前記第1及び第2リング部材に接着され、前記第1及び第2リング部材に組み込まれ、かつ/または、前記第1及び第2リング部材に塗布されていることを特徴とする請求項35から40のいずれか1項に記載のカウンタ。
【請求項42】
請求項1から41のいずれか1項に記載のカウンタを備えることを特徴とするディスペンサ。
【請求項43】
薬剤容器を受けるための本体と、
薬剤容器と、
前記薬剤容器から用量の薬剤を分配するための分配機構と、
請求項1から41のいずれか1項に記載のカウンタと、
を備えることを特徴とするディスペンサ。
【請求項44】
加圧型定量吸入器(pMDI)であることを特徴とする請求項42または43に記載のディスペンサ。
【請求項45】
前記薬剤容器から用量の薬剤を分配するための前記分配機構が、呼吸作動型であることを特徴とする請求項42から44のいずれか1項に記載のディスペンサ。
【請求項46】
軸回りでの回転部材の自由な回転を規制するための規制機構であって、
回転軸を有する回転部材と、
前記回転部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分であって、前記回転部材に接触し、当該規制機構に対して前記軸回りでの前記回転部材の自由な回転を規制する、係合部分と、
を備え、
前記係合部分が、前記回転部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備えることを特徴とする規制機構。
【請求項47】
軸回りでの回転部材の自由な回転を規制するための規制機構であって、
回転軸を有する回転部材と、
前記回転部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分であって、前記回転部材に接触し、当該規制機構に対して前記軸回りでの前記回転部材の自由な回転を規制する、規制機構係合部分と、
固定関係にある前記規制機構係合部分から間隔をあけた腕部を備える案内部であって、前記規制機構係合部分が前記回転部材と接触したままとなるように前記回転部材に接触するように構成されている、案内部と、
を備えることを特徴とする規制機構。
【請求項48】
前記規制機構係合部分が、前記回転部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備えることを特徴とする請求項47に記載の規制機構。
【請求項49】
前記回転部材が、前記規制機構係合部分と協働するように構成された係合部分を備え、前記軸回りでの当該規制機構に対する前記回転部材の自由な回転を規制することを特徴とする請求項46から48のいずれか1項に記載の規制機構。
【請求項50】
前記回転部材にある前記係合部分が、前記回転部材の内周面にある複数の歯を備えることを特徴とする請求項49に記載の規制機構。
【請求項51】
前記回転部材の前記内周面にある複数の前記歯が、ラチェット歯であることを特徴とする請求項50に記載の規制機構。
【請求項52】
前記規制機構係合部分の1以上の歯が、1以上の三角形のまたはラチェット状の歯であることを特徴とする請求項48から51のいずれか1項に記載の規制機構。
【請求項53】
案内部を備え、
前記案内部が、固定関係にある前記規制機構係合部分から間隔をあけた腕部を備え、
前記案内部が、前記規制機構係合部分が前記回転部材と接触したままとなるように前記回転部材に接触するように構成されていることを特徴とする請求項46に記載の規制機構。
【請求項54】
案内部が、前記回転部材を外周面に接触させることを特徴とする請求項47から53のいずれか1項に記載の規制機構。
【請求項55】
前記規制機構係合部分が、固定端部及び自由端部を有する基部に支持されており、
前記基部が、前記固定端部において規制部材に取り付けられており、
前記基部が、前記固定端部において曲がるように構成されており、それにより、自由端部が、回転部材に対して径方向で移動可能であることを特徴とする請求項46から54のいずれか1項に記載の規制機構。
【請求項56】
前記規制部材が、前記回転部材と同じ軸回りに同軸に配置されていることを特徴とする請求項55に記載の規制機構。
【請求項57】
前記規制機構係合部分が、前記基部の前記自由端部に位置することを特徴とする請求項55または56に記載の規制機構。
【請求項58】
当該規制機構が、前方回転方向において前記回転部材に摩擦抵抗を付与し、逆回転方向での前記回転部材の移動を防止するように構成されていることを特徴とする請求項46から57のいずれか1項に記載の規制機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタに、特にディスペンサと共に使用するためのカウンタに、及び、上記カウンタを備えるディスペンサに、関する。より具体的には、本発明は、定量吸入器(MDI)のような定量ディスペンサと共に使用するためのカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
カウンタは、幅広い用途で有用であり、医療用ディスペンサの分野で特に重要であり、この分野では、薬剤容器内に残存する複数の用量の薬剤を別の方法で得難いことがある。このような医療用ディスペンサの一例は、定量吸入器である。
【0003】
定量吸入器(MDI)は、例えばエアゾール形態にある薬剤を肺へ分配するためのデバイスである。大まかに言って、MDIのようなディスペンサは、2つの構成部材、すなわち、容器及び送達デバイスからなる。容器は、例えば液状を維持するために高圧下にある高圧ガス内に溶解されているまたは懸濁されている薬剤を保持する。また、容器は、しばしば、内部絞り弁を備えており、この絞り弁は、弁を作動させると正確な再現可能な定量の薬剤を解放するように設計されている。送達デバイスは、主として、アクチュエータ及びマウスピースを有する。アクチュエータは、例えば吸入または手動操作など、ユーザによって始動され、主として、容器の絞り弁と相互作用し、用量の解放を引き起こす。マウスピースは、薬剤をユーザに向けて方向付ける機能を果たす。
図1は、呼吸作動式ディスペンサを示す図であり、以下で詳述する。
【0004】
薬剤容器は、主として、アルミニウムのような不透明材料で形成され、送達デバイス内に完全に収容されており、一般的に、ユーザがそこにどの程度の用量の薬剤が残存しているか効果的に読み取ることが可能ではない。このため、ユーザは、複数用量の薬剤を収容しているにもかかわらずMDIを早まって廃棄するまたは悪いことにその推奨使用期間を越えて使用する結果となることがある。両方の状況も望ましくない、すなわち、前者は、無駄である一方、後者は、危険である可能性がある。ユーザは、時々、MDIを振って薬剤がそこにあるかの判定を得ようとするが、これは、容器の内容物の非常に大雑把な質的判断しかもたらさない。例えば、それは、ユーザが、十分な薬剤及び高圧ガスを有して用量を形成する容器と多量の薬剤及び絞り弁を満たすのに必要なもの未満の高圧ガスを有する容器とを判別することを可能としないことがある。すなわち、ユーザが容器内にある薬剤の量を過大評価し、実際にはそうではない場合に別の用量のために十分な薬剤が残存していると誤って結論付ける危険性がある。また、ユーザには、使用中の容器を使い切る前に替わりの薬剤容器を得るための十分な警告がなされないことがある。
【0005】
したがって、カウンタ機構を有する例えば吸入器などのディスペンサを提供することが望ましく、このカウンタ機構は、ユーザがディスペンサから何用量分配したか、相補的に、何用量が残存しているか、追跡することを可能とする。実際には、米国の食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMEA)のような取締機関は、用量カウンタの実装を奨励するガイドラインを発行している(食品医薬品局、2003年の「産業のためのガイドライン:MDI製剤への用量計数機構の組み込み」、欧州医薬品庁、2005年の「吸入及び鼻製品の品質に関する最終ガイドライン」)。
【0006】
用量カウンタは、一般的には、「カウント」を記録する態様にしたがって分類されており、これらは、例えば容器/筐体の変位などの結果として生ずる移動または機械的力に応じる一連の移動部品からなる機械式カウンタ、電子回路を有して音声、温度または圧力変化のような作動に関連する事象を検出する電子式カウンタ、並びに、電子的及び機械的部品を組み合わせた電子・機械式カウンタ、である。
【0007】
用量カウンタに関するいくつかの背景となる従来技術としては、特許文献1(Dispensing Apparatus Comprising a Dosage Counting Device)、特許文献2(Inhaler Dose Counter)、特許文献3(Indicator Device Responsive to Axial Force)、特許文献4(Improved Dose Indicator for Fluid Product Dispensing Device)、特許文献5(Dosage Counting Device)、特許文献6(Indicating Device with Warning Dosage Indicator)、特許文献7(Dose Counter for Dispensers)、及び、特許文献8(Dispenser for Medicamen)が挙げられる。
【0008】
用量カウンタの分野における他の発展には、Bang & Olufsen Medicomの「Insulair(登録商標)」デバイス、並びに、特許文献9(Dispenser with Doses Counter)、特許文献10(Actuation Indicator for a Dispensing Device)、特許文献11(Canister-Supported Rotating Ring Count Readout Assembly for a Metered Dose Inhaler)、及び、特許文献12(Device for counting dosed administration of liquid, pastes and solid products, comprises two counting rings, a ring coupling device and a switching unit)が挙げられる。
【0009】
出願人は、同様に、特許文献13において、ディスペンサ及びカウンタを説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第1169245号明細書
【特許文献2】国際公開第1998/028033号
【特許文献3】国際公開第1996/039337号
【特許文献4】国際公開第2004/070705号
【特許文献5】英国特許第2372542号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/041850号
【特許文献7】国際公開第2005/060535号
【特許文献8】米国特許第7047964号明細書
【特許文献9】国際公開第98/056444号
【特許文献10】国際公開第04/001664号
【特許文献11】国際公開第07/012854号
【特許文献12】独国特許第10061723号明細書
【特許文献13】国際公開第2010/103315号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このようなデバイスが容器から分配された薬剤の用量数及び/またはそこに残存している用量数に関するいくつかの判定を提供できるという利点を提供するが、改善の余地がある。特に、容器から薬剤用量の解放を信頼性良く「計数する」用量カウンタを提供することが困難であることが証明されている。直面する困難性は、主として絞り弁のステムにおける比較的小さな移動を検出して計数に変換する必要があることである。この困難性は、薬剤容器の長さにおける製造許容誤差であって一貫性のある長さを有していないことを意味する製造許容誤差、並びに、計数機構及び分配機構へのその連結体を備える構成部材の寸法における製造許容誤差、によって悪影響を及ぼされる。同時に、カウンタが実際よりも多い数の容量が残存していると表示することを引き起こすので、移動が計数されないことは非常に望ましくない。さらに、計数の失敗数を最小化する規制圧力がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、カウンタを提供し、このカウンタは、第1印を有し、インクリメントで軸回りに回転可能な第1リング部材であって、第1印がカウントを表示する、第1リング部材と、規制機構を備える規制部材と、を備え、規制機構が、第1リング部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分を備え、第1リング部材に接触して第1リング部材が規制部材に対して軸回りに自由に回転することを規制する。
【0013】
第1リング部材に径方向で作用する規制機構を設けることによって、(第1リング部材に作用する径方向に対して垂直な)垂直方向における製造許容誤差に関連する問題を軽減する。垂直方向における許容誤差は、第1リング部材に対して径方向で作用する規制部材の作用に与える影響が小さい。このように、規制機構のより信頼性のある動作が可能となる。
【0014】
係合部分は、第1リング部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備えてもよい。あるいは、係合部分は、第1リング部材の外周面に接触するように構成されてもよい。
【0015】
第1リング部材は、規制部材係合部分と協働するように構成された係合部分を備えてもよく、第1リング部材に接触して第1リング部材が規制部材に対して軸回りに自由に回転することを規制する。第1リング部材にある係合部分は、好ましくは、第1リング部材の内周面にある複数の歯を備える。あるいは、複数の歯は、第1リング部材の外周面に位置してもよい。第1リング部材の内周面または外周面にある複数の歯は、ラチェット歯であってもよい。ラチェット歯を設けることによって、一方向(好ましくは計数方向)における限定的な回転を可能とし、反計数方向での回転を防止できる。
【0016】
規制部材係合部分の1以上の歯は、1以上の三角形状のまたはラチェット形状の歯であってもよい。これにより、係合部分が、第1リング部材にある係合部分と相互作用することができ、その自由な回転を規制する。
【0017】
規制機構は、案内部を備えてもよく、案内部は、固定関係にあり、規制部材係合部分から間隔をあけた腕部を備え、案内部は、規制部材の係合部分が第1リング部材と接触したままとなるように第1リング部材に接触するように構成されている。
【0018】
径方向で移動可能であってもよい係合部分から一定距離に案内腕部を設けることによって、係合部分は、第1リング部材をより確実に辿り、係合部分が第1リング部材にある係合部分と接触したままとすることを保証する。すなわち、第1リング部材が径方向外側に移動すると(腕部が第1リング部材と接触しているために)腕部が第1リング部材の移動にまたは第1リング部材が有し得る輪郭に追従し、第1リング部材が径方向内側に移動すると係合部分が第1リング部材の移動に追従するので、(例えば第1リング部材と規制リング部材との間にいくらかの径方向遊びがある場合に)径方向での第1リング部材の移動は、係合部分を第1リング部材にある係合部分と係合解除させない。
【0019】
好ましくは、案内部は、第1リング部材を外周面に接触させる。第1リング部材にある係合部分が第1リング部材の外周面にある形態において、案内部は、内周面に作用する。
【0020】
規制機構は、固定端部と自由端部とを有する基部に支持されてもよく、固定端部は、規制部材に連結され、自由端部は、規制部材から自由であり、基部は、自由端部が第1リング部材に対して径方向で移動可能なように固定端部において可撓性を有する。好ましくは、規制部材係合部分は、基部の自由端部に位置する。したがって、係合部分は、第1リング部材に対して径方向内側及び外側に移動し得る。
【0021】
規制部材は、同様に、第1リング部材と同じ軸回りで同軸に配置された規制リング部材を備えてもよい。
【0022】
規制機構が規制リング部材を備える場合、規制リング部材が、規制リング部材の軸回りでの回転を防止することに関して、筐体内にある対応する形状の突出部と係合するために、上側周面に配設された1以上の位置付け凹所を備えてもよい。このような配置により、規制機構が第1リング部材に対する固定関係のままとなることができる。
【0023】
上述したいずれかの規制機構において、規制機構は、第1リング部材の前方計数方向において第1リング部材に摩擦抵抗を付与し、反計数方向での第1リング部材の移動を防止するように構成されてもよい。このように、この配置は、前方計数方向で計数しすぎることに対する予防を提供し、反計数方向でのカウンタの回転を防止する。
【0024】
カウンタは、同様に、第2印を有する第2リング部材あって、第1リング部材と同じ軸回りにインクリメントごと回転可能であり、第2印が、計数を表示する、第2リング部材と、第2リング部材を第1リング部材と開放可能に連結するための連結機構であって、連結すると第2及び第1リング部材を協働して回転させることを可能とし、かつ、連結していないと第2リング部材の独立した回転を可能とする、連結機構と、を備え、連結機構は、第1及び第2係合手段を備え、第1係合手段は、軸に対して、径方向外側及び径方向内側に移動可能である。
【0025】
第1リング部材と同軸に配置された第2リング部材は、そこに印付けられた複数の印を有するカウンタを提供し、より多くの計数を記録できる。例えば、第1印は、十の位及び百の位を表示してもよく、第2印は、一の位を表示してもよい。
【0026】
第2リング部材を有する形態において、連結機構は、第1係合手段を径方向外側に反らせる反らせ板を備える。好ましくは、第2リング部材が所定角度回転した後に、第1係合手段は、径方向外側に反らせられ、第2リング部材の所定の回転量は、軸回りの第2リング部材の全回転未満である。反らせ板は、第2リング部材に接続されてもよく、または、第2リング部材と一体化されてもよい。
【0027】
第1係合手段は、第2リング部材に接続されてもよい、または、一体化されてもよい。第1係合手段は、同様に、スロット及び接触端部を有する腕部を備えてもよく、好ましくは、第1係合手段は、それぞれがスロット及び接触端部を有する4つの腕部を備える。接触端部は、反らせ板に接触する上方延在構成部材を備えてもよい。
【0028】
第2リング部材を有する形態において、第2係合手段は、第1リング部材に接続されてもよい、または、一体化されてもよい。さらに、第2係合手段は、複数の突出部を有してもよく、これら突出部は、互いに等間隔を開けてもよい。
【0029】
第1係合手段は、径方向外側に移動されてもよい。径方向外側に移動されると、第1係合手段は、突出部のうちの1つと係合する。係合されると、第1リング部材は、前方計数方向において規制機構の摩擦抵抗を克服し、第1リング部材は、前方計数方向で回転する。
【0030】
第1リング部材は、第2リング部材にある第2印の視認を塞ぐための表示カバー素子を備える。これにより、薬剤容器に残っている用量が尽きたことをユーザに通知できる。
【0031】
カウンタは、同様に、第2リング部材を回転させるための駆動機構を備えてもよく、駆動機構の少なくとも一部は、第2リング部材と一体化されている。好ましくは、駆動機構は、爪−歯機構を備える。
【0032】
爪−歯機構を有するいくつかの形態において、爪−歯機構は、複数の歯と係合可能な第1及び第2爪を備えてもよく、第1及び第2爪それぞれが、複数の歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合するための駆動係合面と、複数の歯のうち1つをスライドして越えるためのスライド係合面と、を備える。
【0033】
第1及び第2爪は、第1爪が、駆動機構の計数ストローク中に、複数の歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合し、第2爪が、駆動機構の帰還ストローク中に、複数の歯のうちの1つと駆動係合する状態で係合する、ように構成されてもよい。
【0034】
さらに、第1及び第2爪は、第2爪が、駆動機構の計数ストローク中に、複数の歯のうちの1つを乗り越え、第1爪が、駆動機構の帰還ストローク中に、複数の歯のうちの1つを乗り越える、ように構成されてもよい。
【0035】
いくつかの形態において、第1及び第2爪は、第2リング部材と一体化されており、複数の歯は、第2リング部材の孔部内で往復移動可能に構成された歯支持部材に配設されており、爪−歯機構は、第2リング部材の孔部内での支持部材の往復移動が第2リング部材の回転移動を引き起こすように、構成されている。
【0036】
薬剤容器を受けるための本体と薬剤容器と薬剤容器から用量の薬剤を分配するための分配機構とを有するディスペンサに連結すると、カウンタの第2リング部材の回転は、ディスペンサを作動させることに応じて発生する。計数は、容器から分配されたまたは容器に残存する薬剤の用量を示す。
【0037】
第1印は、数字、着色部、文字及び記号のうちの1以上を備えてもよい。さらに、第2印は、同様に、数字、着色部、文字及び記号のうちの1以上を備えてもよい。
【0038】
第2印は、同様に、第1列の数字を備えてもよく、第1印は、第2及び第3列の数字を備える。このような形態において、第1列の数字は、一の桁を示し、第2列の数字が、十の桁を示し、第3列の数字が、百の桁を示す。第1列の数字は、繰り返した複数組の整数を備えてもよい。
【0039】
第2列の数字は、繰り返した複数組の整数を備えてもよく、第3列の数字は、一組の整数を備えてもよい。
【0040】
第1及び第2印は、第1及び第2リング部材に印刷され、第1及び第2リング部材から形抜きされ、第1及び第2リング部材にエンボス加工され、第1及び第2リング部材に成形され、第1及び第2リング部材に接着され、第1及び第2リング部材に組み込まれ、かつ/または、第1及び第2リング部材に塗布されてもよい。
【0041】
本発明は、同様に、上述したようなカウンタを備えるディスペンサを提供する。
【0042】
ディスペンサは、薬剤容器を受けるための本体と、薬剤容器と、薬剤容器から用量の薬剤を分配するための分配機構と、上述したカウンタと、を備えてもよい。
【0043】
このようなディスペンサでは、ディスペンサは、加圧型定量吸入器(pMDI)であってもよい。さらに、薬剤容器から用量の薬剤を分配するための分配機構は、呼吸作動型であってもよい。
【0044】
本発明は、同様に、軸回りでの回転部材の自由な回転を規制するための規制機構を提供し、この規制機構は、回転軸を有する回転部材と、回転部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分であって、回転部材に接触し、規制機構に対して軸回りでの回転部材の自由な回転を規制する、係合部分と、を備え、係合部分は、回転部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備える。
【0045】
回転部材に径方向で作用する規制機構を設けることによって、(回転部材に作用する径方向に対して垂直な)垂直方向における製造許容誤差に関連する問題を軽減する。垂直方向における許容誤差は、回転部材に対して径方向で作用する規制部材の作用に与える影響が小さい。このように、規制機構のより信頼性のある動作が可能となる。
【0046】
規制機構は、案内部を備えてもよく、案内部は、固定関係にある規制機構係合部分から間隔をあけた腕部を備え、案内部は、規制機構係合部分が回転部材と接触したままとなるように回転部材に接触するように構成されている。
【0047】
本発明は、同様に、軸回りでの回転部材の自由な回転を規制するための規制機構を提供し、この規制機構は、回転軸を有する回転部材と、回転部材に対して径方向で作用するように構成された係合部分であって、回転部材に接触し、規制機構に対して軸回りでの回転部材の自由な回転を規制する、係合部分と、固定関係にある規制機構係合部分から間隔をあけた腕部を備える案内部であって、規制機構係合部分が回転部材と接触したままとなるように回転部材に接触するように構成されている、案内部と、を備える。
【0048】
回転部材に径方向で作用する規制機構を設けることによって、(回転部材に作用する径方向に対して垂直な)垂直方向における製造許容誤差に関連する問題を軽減する。垂直方向における許容誤差は、回転部材に対して径方向で作用する規制部材の作用に与える影響が小さい。このように、規制機構のより信頼性のある動作が可能となる。
【0049】
径方向で移動可能であってもよい係合部分から一定距離に案内腕部を設けることによって、係合部分は、回転部材をより確実に辿り、係合部分が回転部材にある係合部分と接触したままとすることを保証する。すなわち、回転部材が径方向外側に移動すると(腕部が回転部材と接触しているために)腕部が回転部材の移動にまたは回転部材が有し得る輪郭に追従し、係合部材が径方向内側に移動すると係合部分が回転部材の移動に追従するので、(例えば回転部材と規制部材との間にいくらかの径方向遊びがある場合に)径方向での係合部材の移動は、係合部分を回転部材と係合解除させない。
【0050】
係合部分は、回転部材の内周面に接触するように構成された1以上の歯を備えてもよい。さらに、回転部材は、規制機構の係合部分と協働するように構成された係合部分を備えてもよく、軸回りでの規制機構に対する回転部材の自由な回転を規制する。回転部材にある係合部分は、回転部材の内周面にある複数の歯を備えてもよい。回転部材の内周面にある複数の歯は、ラチェット歯であってもよい。
【0051】
規制機構係合部分の1以上の歯は、1以上の三角形のまたはラチェット状の歯であってもよい。
【0052】
案内部は、回転部材を外周面に接触させてもよい。あるいは、回転部材係合部分が回転部材の外周面に配設されている場合、案内部は、回転部材を内周面に接触させてもよい。
【0053】
規制機構係合部分は、固定端部及び自由端部を有する基部に支持されてもよく、基部は、固定端部において規制部材に取り付けられており、基部は、固定端部において曲がるように構成されており、それにより、自由端部は、回転部材に対して径方向で移動可能である。規制機構係合部分は、基部の自由端部に位置してもよい。
【0054】
規制部材は、回転部材と同じ軸回りに同軸に配置された規制リング部材を備えてもよい。
【0055】
規制機構は、前方回転方向において回転部材に摩擦抵抗を付与し、逆回転方向での回転部材の移動を防止するように構成されてもよい。
【0056】
添付の図面を参照しながら、単なる例として、本発明のこれら及び他の態様をここでさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明にかかるカウンタを取り付け得るディスペンサを示す横断面図である。
【
図2】本発明にかかるカウンタを有するディスペンサを示す斜視図である(図示の目的で部品を除去している)。
【
図3】本発明にかかるカウンタを有するディスペンサを示す斜視図である(図示の目的で部品を除去している)。
【
図4a】本発明にかかるカウンタのための駆動機構を示す図である。
【
図4b】本発明にかかるカウンタのための駆動機構を示す図である。
【
図5a】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図5b】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図5c】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図5d】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図6a】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の別の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図6b】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の別の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図6c】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の別の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図6d】本発明にかかるカウンタのための駆動機構の動作原理の別の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図7a】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構を示す図である。
【
図7b】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構を示す図である。
【
図8a】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図8b】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図8c】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図8d】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図9a】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図9b】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図9c】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図9d】本発明にかかるカウンタのための好ましい駆動機構の動作原理の一部を示す概略ダイアグラムである。
【
図10】本発明にかかるカウンタを示す斜視図である。
【
図11】
図10のカウンタの第2リング部材を示す斜視図である。
【
図13a】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す斜視図である。
【
図13b】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す斜視図である。
【
図13c】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す斜視図である。
【
図13d】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す斜視図である。
【
図14a】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す頂面図である。
【
図14b】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す頂面図である。
【
図14c】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す頂面図である。
【
図14d】本発明にかかるカウンタの動作原理を概略的に示す頂面図である。
【
図15a】本発明にかかるカウンタの動作原理を示す概略ダイアグラムである。
【
図15b】本発明にかかるカウンタの動作原理を示す概略ダイアグラムである。
【
図15c】本発明にかかるカウンタの動作原理を示す概略ダイアグラムである。
【
図16】本発明にかかるカウンタを有するディスペンサを示す斜視図である。
【
図17】本発明にかかるカウンタを有するディスペンサを示す斜視図である。
【
図20a】本発明に係る規制リング部材を示す斜視図である。
【
図20b】本発明に係る規制リング部材を示す斜視図である。
【
図20c】本発明に係る規制リング部材を示す斜視図である。
【
図20d】本発明に係る規制リング部材を示す斜視図である。
【
図21】
図20aから
図20dの規制リング部材と連動する計数リング部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
ディスペンサ
本発明を説明するため、例示的なディスペンサのいくつかの特徴及び動作原理の概要を最初に提供する。本明細書で使用するように、用語「ディスペンサ」は、製品を保持する容器を受けるのに適した本体を有し、作動すると容器から製品を分配する機構を有する任意のデバイスを意味することを意図する。
【0059】
図1は、一例の呼吸作動式キンク弁ディスペンサを部分断面図で示す。ディスペンサ100は、マウスピース104を有する本体102と、回動可能なマウスピースカバー106と、を備える。マウスピースカバーは、本体の下部にありかつカム手段に支持された軸A回りで中央指110と共に回動可能であり、このカム手段は、2つのカムローブ(一方のカムローブ108のみを図示する)を備える。本体は、薬剤容器114を受けるための開口部112を有する。容器は、本体の上端部において、本体が容器の絞り弁組立体(図示略)の全周に延在する場所において、所定位置に固定式に保持されている。絞り弁組立体は、定量チャンバ116及び出口ステム118を備える。あるいはまたはさらに、容器を完全にディスペンサ内に収容する場合には、例えば外側筐体のキャップ部分によって、その絞り弁組立体の先端側の端部で容器を保持してもよい。
【0060】
開口部112の内側には、本体の内側に成形された内側溝部(図示略)がある。接合部材120は、本体内にスライド式に収容されており、溝部は、その周囲にあるリブと係合している。接合部材は、フラップ122を接合部材120に回動式に位置付けるための一対の回動クリップ(図示略)を有する。中央には、接続部材は、絞り弁組立体の出口ステム118のためのソケット124を有する。ソケットは、経路126に続いており、この経路は、薄肉のキンク可能部分及びノズル端部を有する。ノズル端部は、接合部材の移動可能部分にある。接合部材の主要部分及び移動可能部分は、活性ヒンジによって接続されている。
【0061】
接合部材120の移動可能部分は、同様に、一対の逆鉤(sear)(図示略)を支持しており、これら逆鉤は、後述するように、フラップ122の下面にあるラッチと係合するように構成されている。接合部材の移動可能部分は、同様に、カム手段と係合するための指を支持する。
【0062】
最初に、ディスペンサを閉じると、フラップは、ラッチ解除され、接合部材の移動可能部分は、その下方位置にある。しばしばキンカブル弁(kinkable valve)と称されるキンカブル部分は、開放する。マウスピースカバー106の開口部において、カム手段の中央指は、接合部材の移動可能部分に作用し、キンク弁(kink valve)を閉じる。接合部材の移動可能部分の移動は、同様に、移動可能部分の逆鉤をフラップのラッチと係合させるように機能し、これにより、フラップを上方位置で固定する。接合部材120は、同様に、容器の内側へのステム118の変位を伴って、絞り弁組立体の内部バネ(図示略)に抗して主カムローブ108によって上昇される。マウスピースカバー106をさらに上昇させると、容器弁を開放させ、定量を管体の上側部分内に開放させ、用量は、閉止弁として機能する閉じたキンク弁によって保持される。
【0063】
マウスピースを介して息を吸うと、ディスペンサを通した気流を引き起こし、フラップ122に作用する。これにより、逆鉤を解放させ、キンク管体は、それ自体の弾性作用により直線状になる傾向がある。このため、用量は、吸入のためにノズルを通ってマウスピース内へ解放される。フラップは、同様に、指(図示略)を支持しており、この指は、接合部材の移動可能部品に作用し、フラップを呼吸作動させるとキンク弁が開放することを保証する。
【0064】
例示的なディスペンサのこれら及び他の特徴は、Clinical Designs社のPCT出願である国際公開第1998/41254号(米国特許第6422234号明細書)、国際公開第2002/11802号(米国特許第7036505号明細書)、国際公開第2002/058772号(米国特許第6866038号明細書)、及び、特に国際公開第2004/073776号(米国特許出願公開第2007 062522号明細書)において詳述されており、参照として、これらすべての開示を完全に本願明細書に組み込む。
【0065】
カウンタ
駆動機構
用語「駆動機構」は、薬剤容器からの容量の分配をカウンタによってなされる計数に連関させる任意の手段として広く解釈される。望ましい実施形態において、用量の分配は、
図1を参照して上述したように、例えば接合部材120の垂直移動によって生じる。説明した好ましい実施形態において、この垂直移動は、計数されるインクリメント回転に変換される。他の実施形態において、インクリメント回転に変換される垂直移動は、薬剤容器の移動である。
【0066】
図2及び
図3は、カウンタ203及び駆動機構205を有するディスペンサ200を概略的に示す。カウンタは、第2リング部材201及び第1リング部材202を備える。駆動機構205は、爪支持部材204(
図3では図示略)と歯支持部材206(
図2において部分的に隠れている)とを有する爪−歯機構である。この特有の実施形態において、歯支持部材206は、第2リング部材201と一体化した中空シリンダである。爪支持部材は、歯支持部材206の全周に延在する。逆の構造を使用してもよい、すなわち、爪支持部材204は、第2リング部材201に一体化してもよい。この配置を
図7に示す。
【0067】
2つの爪208は、爪支持部材204の切欠部分によって画成される。爪は、以下で詳述するように、爪の先端にある内方延在突出部を用いて、歯支持部材206の外方を向く表面に成形されたリングの歯210と動作式に係合する。一対の腕部212a、212bは、絞り弁組立体の各側にある爪支持部材から下方に延在する。腕部は、接合部材の上側部分(図面からは隠れている)に対してバネ付勢されている、または、上記上側部分に固定されている。接合部材は、用量を分配するときに垂直に移動する。あるいは、腕部は、例えば移動する薬剤容器など移動する容器に対してバネ付勢されていてもよい、または、容器に対して固定されていてもよい。
【0068】
接合部材120を上昇させる作動(加圧薬剤容器114から用量の解放を引き起こす)は、ディスペンサ200の垂直軸214に平行な方向で爪支持部材204に押上力をかける。これにより、爪と歯との間の摩擦係合が生じる。そして、歯支持部材206及び第2リング部材201は、インクリメントだけ垂直軸214回りに(この特有の場合において時計回りに)回転される。
【0069】
いったん用量を解放してマウスピースカバーを閉じていくまたは閉じると、接合部材及び爪支持部材は、例えば薬剤容器114の内部バネ(図示略)によって、それらの初期位置まで下方へ移動できる。この下方移動により、同様に、爪支持部材及び歯支持部材間の摩擦係合を生じさせ、結果として、部材206、201を垂直軸214回りにおいてインクリメントだけ時計回りでさらに回転させる。
【0070】
総合すると、これら2つのインクリメント回転は、第2リング状部材201の第1から第2位置への「完全な」インクリメント回転を規定する。
【0071】
図4aは、駆動機構205を示しており、この駆動機構において、リングの歯210は、歯支持部材206の内側を向く表面に配設されており、爪支持部材204は、その孔部に配設されている。理解されることは、駆動機構の動作原理がほぼ同じであるが、爪支持部材及び歯支持部材が
図2及び
図3に示す構造と比較して逆の構造にあることである。
【0072】
2つの爪402a、402bは、その本体の切欠部分によって、爪支持部材204に一体的に画成されている。その斜方から見ると、各爪は、爪支持部材204の環状平面において、同じ(だが反対側の)角度α、βでリングの歯210に向けて延在している。第2の(下側の)爪402bは、第1の(上側の)爪402aに対して周方向でずらされている。爪それぞれは、基部及び自由端部を有する。縁部408a、408bは、自由端部それぞれから径方向外側に突出し、歯と動作式に係合する。
【0073】
絞り弁組立体の弁ステム118は、爪支持部材204の基部にある隙間穴を通って下方へ挿通し、ステムブロック412にある棚部410に載置される。これは、
図1に示す好ましい構造とは異なる。当然ながら、この際は、それ自身において、駆動機構の背景において特有の意味はない。
【0074】
動作において、この斜方から見ると、爪支持部材204は、歯支持部材206に対して上下動し、回転する。便宜上、爪支持部材204の上方移動及び下方移動それぞれを「計数ストローク」及び「帰還ストローク」と称する。これら用語は、便宜上使用されているのみであり、計数が計数ストローク中のみで生じることを意味するように解釈されない。当業者に(及び以下の説明から)当然ながら、計数は、計数ストローク中、帰還ストローク中、両ストロークの組合せ中に生じてもよい。
【0075】
図5aから
図5dは、計数ストローク中の駆動機構の一連の横断面図を示す。
図5aにおいて、爪支持部材は、突出ブロック510を用いて歯に静止している。爪支持部材への上方を向く力により、最初に、第1の(上側の)爪402aの縁部408aと歯502の垂直面512との間の摩擦係合を生じさせる。この作用は、第2の(下側の)爪402bの縁部408bが歯506の下側の傾斜面514と係合するときまで(
図5b)、爪支持部材をほぼ垂直方向上方へ案内する。これは、上方への斜め移動をもたらし、この移動は、縁部408bが歯506の頂点516に達して越えるまで継続する(
図5c及び
図5d)。同時に、第1の(上側の)爪402aは、内側へ若干曲がり、縁部408aが歯502を通過することを可能とする(
図5c)、破線矢印は、移動方向を示す。
【0076】
図6aから
図6dは、帰還ストローク中の駆動機構の一連の横断面図を示す。
図5の要素と同様の要素には、同様の参照符号を付す。
【0077】
図5dとほぼ対応する
図6aにおいて、第1の(上側の)爪402aの縁部408aは、歯502の上側の傾斜面518と摩擦係合するまで、下方へ垂直移動し、その結果、下方への斜め移動を生じさせる。
図6bにおいて、縁部408aは、面518に向けて下方へさらに進み、ここで、ブロック510は、歯504の上側の傾斜面520に係合する。このとき、第2の(下側の)爪402bは、内方に若干曲がり、縁部408bが歯504を通過することを可能とする。これは、爪支持部材が再び歯に載置するまで継続する(
図6c及び
図6d)。
図6dは、
図5aとほぼ対応するが、1つの歯分だけ、すなわち歯506から歯504まで、回転されている。
【0078】
図4bを参照すると、この図は、爪402a及び402b並びに縁部408a及び408bの側面外形を示す。各縁部は、駆動係合面440を備え、この駆動係合面は、その縁部408の駆動係合中に歯に接触する。各縁部は、同様に、スライド係合面430を備え、このスライド係合面は、縁部408が歯を係合させることなく歯に接触して歯を上昇させることを可能とする。大きい矢印は、一方のストローク中に歯に接触する爪縁部の面を示す。(図における垂直軸に対する縁部のスライド係合面430のスロープ角である)角度γは、縁部408aを歯と係合させると(すなわち、駆動係合面440aが歯と接触し歯と駆動式に係合すると)縁部408bが歯から離間するように上昇して歯を乗り越えることができるのに十分に大きくなければならない。15°より大きい角度が好ましい。角度が15°未満である場合、爪は、歯の上方へ上昇しないことがある。
【0079】
図7aは、好ましい実施形態にかかる駆動機構205を示し、この駆動機構において、リングの歯210は、歯支持部材206の外方を向く表面に配設されており、この歯支持部材は、爪支持部材204の孔部内に配置されている。
【0080】
2つの爪402a、402bは、その本体の切欠部分によって爪支持部材204に一体的に画成されている。この斜めから見ると、各爪は、爪支持部材204の環状平面においてリングの歯210に向けて延在する2つの腕部を備える。第2爪402bは、第1爪402aに対して周方向でずらされており、2つの腕部が接触する点から径方向外側に突出し、歯と動作式に係合する。
【0081】
図7bは、爪402a、402bの側面外形を示す。
図4bの参照符号は、
図7bの同様の機能を示す。
図4bのように、角度γ(すなわち、図面の垂直からのスライド係合面430の角度)は、スライド係合面430が歯(図示略)の上方へ上昇して歯を乗り越えることができるのに十分な大きさでなければならない。例えば、角度は、好ましくは、15°より大きい。より好ましくは、角度は、約45°である。同様に留意することは、第1爪402aの向きが
図4bの向きとは逆であることである。当然ながら、係合した爪(すなわち、歯と駆動係合している爪)は、圧縮力を受けており、この圧縮力は、係合中に、爪を歯付面に向けて推し進める。
【0082】
動作中に、これを斜めから見ると、歯支持部材206は、(上述のように接合部材の作動によって駆動されて)上下動し、爪支持部材204を歯支持部材206に対して回転させる。便宜上、歯支持部材206の上方移動及び下方移動それぞれを「計数ストローク」及び「帰還ストローク」と称する。
【0083】
図8aから
図8dは、計数ストローク中の好ましい駆動機構の一連の横断面図を示す。
図8aにおいて、歯支持部材及び爪支持部材は、静止している。抗スリップバー450は、爪支持部材の内面から延在する突出部を備え、係合位置にあり、この係合位置は、爪支持部材の計数されない回転(すなわち、計数中に爪支持部材の回転とは逆方向にある爪支持部材の回転)を防止するために歯に揃えられている。抗スリップバー450は、爪支持部材の運動を阻害することによって、非計数方向での歯支持部材と爪支持部材との間の相対的な回転を防止するように構成されている。バーは、爪支持部材の内面から1つの歯に当接するまでほぼ延在しているが、歯支持部材の他面には延在していない。
【0084】
歯支持部材への上方に向けた力は、最初は、縁部408aの端部を歯502の傾斜面512と摩擦係合させることを引き起こし、抗スリップバー450を経路から外れるように移動させて回転を許可する。歯支持部材のさらなる上方移動は、(図において左に向けた)爪支持部材の回転移動を引き起こす。同時に、縁部408bの非垂直内面(
図7bにおいて矢印で示す)は、歯520の垂直非先端部522に接触し、この垂直非先端部は、爪402bを歯の平面から離間するように上昇させ、爪402bが係合することなく爪を乗り越えることを可能とする。
【0085】
爪支持部材の回転移動は、縁部408aと表面512とがもはや接触しなくなるまで継続する。この点において、縁部408bは、歯520を解放し、爪の腕部が弾性変形可能であるので、歯の平面に戻る。歯支持部材のさらなる上方運動は、爪支持部材の回転にはこれ以上影響を及ぼさない。しかしながら、(抗スリップバー450と同様に構成されている)第2抗スリップバー452は、歯の経路に至らされ、爪支持部材の後方(すなわち、非計数)回転を防止する。
【0086】
図9aから
図9dは、帰還ストローク中の駆動機構の一連の横断面を示す。
図8の要素と同様の要素は、同様の参照符号で示される。
【0087】
図8dにほぼ続く
図9aにおいて、歯支持部材は、第2爪402bの縁部408bが歯502の下側の傾斜面518と摩擦係合するまで、降下される(同時に、第2抗スリップバー452は、歯の経路から移動される)。歯支持部材のさらなる下方移動は、面518及び縁部408aが摩擦係合しているので、爪支持部材の回転移動を引き起こす。
【0088】
面518は、縁部408bをさらに下方に進む。同時に、縁部408aの非垂直内面は、歯の垂直非先端部に接触し、垂直非先端部は、歯の平面から離間するように爪402aを上昇させ、爪402aが係合することなく歯を乗り越えることを許可する。
【0089】
爪支持部材の回転移動は、縁部408b及び表面518がもはや接触しなくなるまで継続する。この点において、縁部408aは、縁部が乗り越える歯を解放し、爪の腕部が弾性変形可能であるので、歯の平面に戻る。歯支持部材のさらなる下方移動は、爪支持部材の回転にはこれ以上影響を及ぼさない。しかしながら第1抗スリップバー450は、歯の経路に至らされ、爪支持部材の後方回転を防止する。
【0090】
爪支持部材が軸回りで回転する(全体としてディスペンサに対して回転する)場合を上記説明が説明しているが、歯支持部材が回転することは同様に可能である。当然、歯が歯支持部材の周囲回りのいずれかの方向を向くことも可能である。
【0091】
当然ながら、回転変位は、2つの係合を手段として実行される必要はなく(これが有用であるが)、垂直及び回転移動を有する必要はない。例えば、回転運動のみをもたらす、すなわち垂直移動のない駆動機構を用いてもよい。
【0092】
計数機構
図10から
図19は、詳細なカウンタの様々な記述を提供する。
【0093】
まず
図10を参照すると、カウンタ203は、第2リング部材201及び第1リング部材202からなる。リング部材は、中心軸214回りに回転可能にかつ同軸に配置されており、ディスペンサの容器を取り囲む。第1リング部材は、第2リング部材の頂部にほぼ同一平面に配置されており、これらの外周面は、2つのリング部材が接触するところの細い線720によってのみ中断されるほぼ連続的な表面を形成するように揃えられている。駆動機構の爪支持部材204は、第2リング部材201に一体化されている。
【0094】
第1列の数字701(「8」「9」「0」「1」)は、第2リング部材201に表示されており、第2列の数字702(「0」「1」「2」「3」「4」)及び第3列の数字703(「1」「1」「1」)は、第1リング部材202に表示されている。明確にするため、一部の数字のみを示す。連結機構700は、腕部704、一連の等間隔を開けた突出部705及び反らせ板1002を備えており、同様に示されている。連結機構は、第2リング部材201を第1リング部材202に連結することを可能とし、それにより、これらリング部材は、後述すように、連結すると、駆動機構によって協力して回転される。等間隔を開けた突出部705は、第1リング部材202の内面に形成されており、この特有の場合において、軸の周囲の途中までのみ延在する。
【0095】
そのうち明らかになることは、使用する計数計画に応じて、複数の腕部及び/または反らせ板を設けてもよいことである。しかしながら、明確にするのみの目的で、これら図面には、1つのみの腕部及び/または反らせ板を示す。好ましい実施形態のカウンタにおいて、連結機構700は、第2リング部材の上側径方向面の周りに等間隔を開けた4つの腕部704を備える。
【0096】
ここで
図11を参照すると、腕部704は、環状帯体802と一体的に形成されており、この環状帯体は、第2リング部材201の上側径方向面804の凹所に固定式に載置している。あるいは、腕部704は、上側径方向面804に直接取り付けられてもよい、または、上側径方向面と一体的であってもよい。腕部704は、第2リング部材201とほぼ同じ曲率で弓状に延在するスロット付本体712と、上方に延在する接触端部710と、を有する。
【0097】
図10を上方から見た
図12を参照すると、第1リング部材202(影付きのリングとして示される)は、第2リング部材(空白のリングとして示されており、影付きのリングの下方にあるその一部が隠されている)の上側径方向面804にスライド可能に取り付けられている。この観点から、当然ながら、「t2」で示される第1リング部材202の厚さは、「t1」で示される第2リング201の厚さの約1/3である。第2リング部材201の厚さは、その高さに沿って一定であってもよく、テーパ状とされてもよく、その上側径方向面804において最も厚い。破線は、腕部と第1リング部材202の内面902に形成された間隔をあけた突出部705との間の仮想境界線を示す。
【0098】
図13及び
図14それぞれは、一連の対応する斜視図及び下面図で連結機構の動作を示す。
【0099】
図13a及び
図14aは、反らせ板1002から所定距離にある腕部704を示す。
図13b及び
図14bにおいて、第2リング部材201及び腕部704は、反時計回りに回転され、それにより、腕部704の上方に延在する接触端部710は、反らせ板1002に接近する。反らせ板1002は、容器に、あるいは、ディスペンサの筐体の上側部分にかつ/もしくは容器を囲むスリーブに、固定されている。反らせ板は、腕部の本体712が妨げられずに下方を通過することを可能とする程度でのみ下方に延在する。
【0100】
接触端部710が反らせ板1002の傾斜面1004に達すると、腕部704は、外方へ反らされる(
図13c及び
図14c)。この点において、スロット714の後端部は、1つの歯1102を捕捉し、これにより、第1リング部材202を沿うように引っ張らせる。接触端部が反らせ板の面1006を下方へ降下させると、歯1102は、スロットの後端部によって解放され、腕部は、その非曲位置に復帰する(
図13d及び
図14d)。
図14bに示すように、腕部704の上方に延在する接触端部710は、反らせ板1002の傾斜面1004を補完する面720を有しており、滑らかに反らせることを可能とする。好ましくは、接触端部710は、反らせ板1002の頂点に達すると腕部がその非曲位置に復帰し始めるように向けられている。
【0101】
本明細書で示すように、スロット714は、腕部704の係合部分を形成しているが、理解することは、任意の適切な係合手段をフックとして用いてもよいことである。したがって、突出部の替わりに凹所を第1リング部材に形成してもよい。
【0102】
腕部704は、十分な可撓性を有し、そのように促されると径方向外側に(すなわち、突出部に向けて)反ることを可能とするが、同様に、その本体の位置に復帰するのに十分な弾性を有する。カウンタは、第2の反らせ板をさらに備えてもよく、この第2の反らせ板は、係合手段(例えば腕部704)をその非曲位置に戻るように移動させるまたは反らせるように機能する。第2の反らせ板は、例えば、第1リング部材202の内面に固定されていてもよい、または、上記内面と一体的にされてもよい。さらに、第1リング部材は、好ましくは、第2リング部材にスライド可能に取り付けられており、それにより、腕部と歯との間で係合がないときに回転に逆らう。
【0103】
ここで、200用量用に構成されたカウンタのための例示的な計数計画を
図15aから
図15cを参照しながら説明し、これら
図15aから
図15cは、3つの異なる表示位置にある第2及び第2リング部材を示す。便宜上、リング部材201、202を平坦なリングとして示す。突出部705、反らせ板1002、これを通ってカウンタを視認する窓部1202、及び表示カバー素子1204を同様に示す。
【0104】
この特有の計画において、第2リング部材201は、4回繰り返した組の連続整数「0」から「9」、すなわち、
【表1】
を備える第1列の数字を有する。
【0105】
各組の整数は、第2リング部材201の1/4回転にわたっており、ここでは、計数の「一の位」の桁を示す。
【0106】
第1リング部材202は、第2及び第3列の数字を有する。第2列は、「0」によって分離された2回繰り返した組の連続整数「1」から「9」を備える一方、第3列は、場合によっては「2」が続く10の「1」を備えており、例えば、
【表2】
となっている。
【0107】
同様に、第2及び第3列における各組の整数は、第1リング部材202の1/4回転にわたっている。ここで、第2列は、「十」の桁を示しており、第3列は、計数の「百」の桁を示している。第1リングには、エクスクラメーションマーク「!」の形態からなる警告記号が示されている。
【0108】
実際には、最初に第1リング部材202を回転させなければならなくなることを避けるために、「200」よりは例えば「199」で開始することが便利である。したがって、
図15aにおいて窓部1202の右側に見える数字「200」を形成する整数を省略することがある。このため、第2及び第1リング部材を初期的にディスペンサの筐体に揃えると、(上方下に読むと)第1、第2及び第3列は、協働して数字「199」を表示させる、すなわち、
【表3】
となっており、ここで、「−」は空白スペースを示す。
【0109】
最初の9回の分配用量それぞれについて、第2リング部材は、インクリメントごと反時計回りに回転される、すなわち、数字「190」を表示するまで、「9」から「0」までカウントダウンする。そして、10回目の分配用量について、第2及び第1リング部材は、連結機構によって連結され、それにより、部材は、インクリメントだけ協力して回転される。これにより、窓部1202を通して数字「189」を表示させる。その後の9回の分配用量について、第2リング部材は、数字「180」を表示するまで、同様にインクリメントごと反時計回りに回転される。20回目の分配用量について、連結機構は、同様に係合され、それにより、第2及び第1リング部材は、インクリメントだけ協力して回転され、窓部1202を通して数字「179」を表示させる。
【0110】
図15bは、中間計数位置を示しており、この中間計数位置では、数字「72」を表示している。この位置において、第3列はなくなり、その替わりに空白スペースが現れる。あるいは、空白スペースを数字以外の色のような印で埋めてもよい。
【0111】
容器を使い切り始める、例えば10用量以下が残存していると、第2列の数字は、エクスクラメーションマーク「!」または他の警告表示によって置き換えられる。この目的のための好ましい警告表示は、着色部(例えば赤色)である。いったん最後の容量を分配すると(
図15c)、好ましくは第1リング部材に取り付けられておりしたがって同じ速度で回転されるカバー素子1204は、窓部1202に揃えられる。これは、印からの視界を塞ぐ。カバーは、例えばカバーに記載された用語「空」を有してもよい。
【0112】
ディスペンサをさらに作動させると、以前として、第2リング部材201を回転させる。しかしながら、歯が第1リング部材202の途中までのみ配設されているので、連結機構は、もはや係合されない、すなわち、係合するための腕部のスロットに対する歯がない。このため、第1リング部材202のさらなる回転を生じさせず、それにより、表示カバー素子1204は、ディスペンサをさらに作動させることによって第2リングをさらに回転させても、所定位置にあるままである。
【0113】
好ましい実施形態において、突出部(例えば歯)は、等間隔を開けている。特に好ましくは、突出部は、リング部材回りに3/4(約270°)のみ延在する、依然としてより好ましくは、突出部は、リング部材回りに1/4から半分の間(例えば約90°、108°もしくは180°、またはこれらの間の任意の角度)のみ延在する。
【0114】
当然ながら、(
図15では示されていない)反らせ板及び/または腕部の数は、実行する計数計画による。例えば
図15において、第2リング部材201は、4回繰り返された組の連続整数「0」から「9」を備える第1列の数字を有し、それにより、各組は、第2リング部材201の1/4回転にわたっており、1つの反らせ板1002を設けている場合、カウンタは、90°間隔をあけた4つの腕部を有する。もちろん、他の構成も可能である。例えば、第2リング部材201が2回繰り返した組の連続整数「0」から「9」を備える第1列の数字を有し、それにより、各組が第2リング部材201の半回転にわたっており、1つの反らせ板1002を設けている場合、カウンタは、180°間隔をあけた2つの腕部を有する。あるいは、単一の腕部と間隔をあけた複数の反らせ板1002とを有してもよい、または、複数の腕部と複数の反らせ板とを有してもよい。
【0115】
図16及び
図17は、カウンタを有するディスペンサの斜視図である。
図2及び
図3とは対照的に、歯支持部材ではなく爪支持部材を第2リング部材201と一体化している。同様に、
図16には、第3列の数字703に続く帯状の着色部が示されている。
図17は、計数(「199」)がどのようにしてディスペンサの筐体1402の窓部1202から視認されるかを示す。
【0116】
規制機構
図18aから
図18cは、特許文献13で説明されたカウンタの一部を示す。この種類のカウンタでは、第1リング部材1510は、上述のように(かつ
図10及び
図11に示すように)中心軸214回りで回転可能でありかつ第2リング部材201と同軸に配置されている。特許文献13は、その第2リング部材としてリング部材1510を説明しているが、本明細書の用語と一致させるために用語を変更している。明確にするため、第2リング部材201をこれら図面では示していない。
【0117】
上述した実施形態のように、第1リング部材は、第2リング部材の頂部とほぼ同一面となるように配置されており、これらの外周面は、2つのリング部材が接触するところの細い線によってのみ中断されるほぼ連続的な表面を形成するように揃えられている。駆動機構の爪支持部材204は、第2リング部材201に一体化されている。
【0118】
この種類のカウンタでは、カウンタは、第3リング部材1502をさらに備えており、この第3リング部材は、第1リング部材1510と同軸に配置されている。第3リング部材は、第2リング部材201にある腕部704を反らせる反らせ板1504を備えており、
図13及び
図14を参照して上述したような態様で、第1リング部材1510の内面にある突出部1516と係合する。わかるように、第3リング部材は、その外壁部に間隙1518を有しており、腕部704を外方へ反らせることができる。窓部1518の後方境界にある傾斜縁部は、腕部704の縁部と係合し、腕部が歯1516と係合した後に歯1516から離間するように腕部704を押圧する。これにより、十の位の(第2の)リングにおける望まないさらなる係合(これは不正確な用量値を表示させる)が発生しないことを保証する。
【0119】
第3リング部材1502は、規制機構1506をさらに備えており、この規制機構は、可撓性を有しかつ弾性変形可能な部分を備え、この部分は、第1リング部材1510の上側周面に圧力をかける。規制機構は、第3リング部材に対する第1リング部材の回転量を規制する。より具体的には、規制機構は、腕部が正確に連結解除することを失敗したときに第1リング部材が2つの突出部(すなわち2カウント)だけ不正確に回転することを防止する。この実施形態において、第1リング部材1510は、同様に、上側周面にある複数の突出部1512を備えており、第3リング部材1502の規制機構1506と係合する。好ましくは、突出部1512は、第1リング部材の内面にある突出部1516とほぼ同じ間隔を有する。
【0120】
図13及び
図14を参照して上述したように、第2及び第1リング部材を連結すると、(第2及び第1リング部材が連結解除され始めるまで)第1リング部材は、第2リング部材と同じ速度で回転する。(第2及び第1リング部材間の連結機構の一部を形成する)突出部1516とほぼ同じ距離で突出部1512の間隔をあけることによって、腕部が正確に連結解除されなくても、第1リング部材が求めるよりもさらに回転することを防止し、このさらに回転することは、不正確な係数を示す。
【0121】
さらに、第3リング部材は、同様に、上側周面に複数の位置付け凹所1508a、1508b及び1508cを備える。図示の種類において、対応する形状をなす突出部は、これら凹所に位置しており、第3リング部材を所定位置で保持し、したがって、第3リング部材が回転することを防止する。突出部は、容器またはディスペンサに(例えばディスペンサキャップに)位置してもよい。第3リング部材が回転することを防止することによって、反らせ板1504が第2及び第1リング部材に対して一定の位置にあるままとすることを保証する。
【0122】
容器またはディスペンサに位置する複数の対応する形状をなす突出部は、キー機能を提供するように非対称に設計されている。すなわち、第3リング部材は、容器及びディスペンサ、ひいては第2及び第1リング部材に対して1つの回転位置にのみ位置する。これにより、第3リング部材が第2及び第1リング部材に対して常に正確に位置することを保証し、係数を正確に記録することを可能とする。
【0123】
第1リング部材1510は、(
図15を参照して上述したように)第1印を目立たなくするための表示カバー素子1514をさらに備え、ディスペンサが空であることを示すゼロに達したことを係数が示す。
【0124】
図19a及び
図19bは、第1リング部材のない第3リング部材を示す。参照符号は、
図18の参照符号に対応している。
【0125】
わかることは、第3リング部材1502を参照して上述した規制機構1506が、第1リング部材の過回転または逆回転を常には信頼性良く防止しないことである。留意することは、規制機構1506が、垂直方向(すなわち、ディスペンサ及びカウンタのリングの長手方向軸に平行な方向)で作用すること、であり、すなわち、規制機構1506の可撓性を有しかつ弾性を有する部分が、垂直方向で圧力をかけ、垂直方向で変形して規制機構として機能すること、である。
【0126】
しかしながら、わかることは、作動する構成部材それぞれにおけるまたは垂直経路における製造許容誤差が、許容可能な値を越えることがあることである。このように、規制機構は、第1リング部材の回転を常には規制しないことがある。
【0127】
したがって、より信頼性のある動作を提供する改良型の規制機構についての必要性を理解している。
【0128】
ここで、改良型の規制機構を
図20から
図22を参照しながら説明し、
図20aから
図20dは、本発明にかかる規制リング部材を示す斜視図であり、
図21は、
図20aから
図20dの規制リング部材と連動するように構成されたカウンタリング部材(例えば第1リング部材)を示す斜視図であり、
図22aから
図22cは、
図21のカウンタリング部材と連結された
図20aから
図20dの規制リング部材を示す斜視図である。
【0129】
好ましい実施形態にかかるカウンタにおいて、第1リング部材1610は、上述したように(かつ
図10及び
図11に示すように)、中心軸214回りで回転可能でありかつ第2リング部材201と同軸に配置されている。明確にするため、第2リング部材201をこれら図面では示していない。
【0130】
上述した実施形態のように、第1リング部材は、第2リング部材の頂部とほぼ同一面となるように配置されており、これらの外周面は、2つのリング部材が接触するところの細い線によってのみ中断されるほぼ連続的な表面を形成するように揃えられている。駆動機構の爪支持部材204は、第2リング部材201に一体化されている。
【0131】
好ましい実施形態にかかるカウンタでは、カウンタは、規制リング部材1602をさらに備えており、この規制リング部材は、第1リング部材1610と同軸に配置されている。規制リング部材1602は、第1リング部材1610上に載置されており、規制リング部材1602の縁部1650は、第1リング部材1610の縁部1652に接触しかつ載置している。
【0132】
使用時において、規制リング部材1602は、回転しない。規制リング部材は、第2リング部材201にある腕部704を反らせる反らせ板1604を備えており、
図13及び
図14を参照して上述したような態様で、第1リング部材1610の内面にある突出部1616と係合させる。わかるように、規制リング部材は、その外壁部に間隙1618を有しており、腕部704を外方へ反らせることができる。窓部1618の後方境界にある傾斜縁部は、腕部704の縁部と係合し、腕部が歯1616と係合した後に歯1616から離間するように腕部704を押圧する。これにより、十の位の(第1の)リング部材における望まないさらなる係合(これは不正確な用量値を表示させる)が発生しないことを保証する。
【0133】
規制リング部材1602は、規制機構1606をさらに備えており、この規制機構は、第1リング部材1610に対して径方向(内側及び/または外側)に作用するように構成された係合部分1620を備えており、第1リング部材と接触し、同軸回りで規制部材に対して第1リング部材が自由に回転することを規制する。係合部分1620は、好ましくは、歯である。
【0134】
規制機構の目的は、第1リング部材が自由に回転することを防止することである。すなわち、第1リング部材を駆動して計数を記録するときに、第1リング部材が過回転することを防止することである。計数中に第1リング部材が過回転することにより、不正確な用量値を表示させることを招く。規制機構は、同様に不正確な用量値を表示することを防止するために、同様に、反計数方向に自由に回転することを規制するように構成されている。好ましくは、規制機構は、反計数方向での自由な回転を防止し、さらに、反計数方向での任意の回転を防止する。
【0135】
係合部分1620は、好ましくは、基部またはパネル1622に位置する。パネル1622の一端部は、場所1626において規制リング部材1602に固定されている。パネル1622の他端部は、自由端部である。パネルは、場所1626において規制リング部材1602に曲げ可能に固定されており、それにより、パネルの自由端部は、第1リング部材に対して径方向に揺動する。このように、自由端部は、第1リング部材に対して径方向内側及び外側に移動可能である。好ましくは、係合部分1620は、パネルの自由端部に位置する。このように、自由端部が径方向で移動することにより、係合部分を第1リング部材の表面に接触させることができる。係合部分1620は、第1リング部材1610の内面または外面に接触するように構成されてもよい。好ましくは、係合部分1620は、第1リング部材1610の内面に接触する。
【0136】
第1リング部材1610の内面には、好ましくは、同様に、係合部分1630が設けられており、この係合部分は、好ましくは、規制機構の係合部分1620と協働するように形付けられた複数の歯を備える。係合部分の歯1630は、好ましくは、ラチェット歯または鋸歯形状の歯である。
【0137】
ディスペンサを使用していない(すなわち計数動作を実行していない)とき係合部分1620は、第1リング部材1610の隣接する歯1630間で静止している。
【0138】
第1リング部材1610を計数方向で移動させる(すなわち、
図13及び
図14を参照して上述したような態様で、反らせ板1604が第2リング部材201にある腕部704を反らせて第1リング部材1610の内面にある突出部1616と係合させる場合に計数を記録する)必要があるとき、係合部分1620は、歯1630の表面に乗り上げる。このようにすることで、基部1622は、点1626において曲がり、係合部分1620が第1リング部材にある次の対の隣接する歯1630間に収まるまで、歯の高さに適応する。点1626において基部1622が曲がるときに弾性があるので、かつ、係合部分1620と歯1630の表面との間に摩擦接触があるので、第1リング部材1610が回転できるようにするために、係合部分1620と歯1630との間の摩擦力より大きい力が必要となる。これは、第2リング部材を回転させ、順に第1リング部材を駆動させる駆動機構によって実現される。しかしながら、摩擦力は、第1リング部材の自由な回転を規制する、すなわち、第1リング部材は、自由には回転できない。
【0139】
このため、駆動機構によって駆動される第2リング部材201の回転は、第1リング部材1610を1インクリメントだけ回転させる。歯1630がラチェット歯または鋸歯状の歯であるので、反計数方向における歯1630の表面の傾斜角は、順計数方向における歯1630の表面の角度よりも大きい。このように、歯1630の急傾斜は、係合部分1620に当接し、第1リング部材が反計数方向で回転することを防止する。
【0140】
図示の実施形態において、歯1630の間隔は、第2及び第1リング部材間の連結機構における突出部1616間の間隔の半分である。このように、突出部1616すべてに関して、係合部分1620は、2つの歯1630分前方に移動する。もちろん、当業者が想定することは、歯1630の間隔が突出部1616間の間隔の半分より大きくてもよいまたは突出部間の間隔の半分より小さくてもよいことである。例えば、歯1630の間隔は、1:1であってもよく、または、1/3、1/4、1/5のようにより小さくてもよい。
【0141】
規制機構1606は、同様に、腕部1624の形状にある案内部を備え、この腕部は、基部またはパネル1622から突出する。腕部1624の目的は、係合部分1620を第1リング部材1610にある係合部分歯1630と接触させたままとすることである。このように、腕部1624は、係合部分1620に対して固定関係で配置されており(すなわち、腕部は、一定距離離間したままである)、腕部は、第1リング部材1610のうち係合部分歯1630とは反対側の表面に接触する。したがって、図示した実施形態において、腕部1624は、第1リング部材1610の外面に接触する。そのため、この位置にあるとき、
図22aから
図22cに示すように、第1リング部材は、腕部1624と係合部分1620との間に位置する。
【0142】
第1リング部材に対して径方向で作用する規制機構1606を使用することによって、従来の種類の規制機構1506に関連する垂直方向での製造許容誤差の問題を軽減する。垂直方向で達する製造許容誤差全てに替えて、改良型の規制機構1606の動作に影響する製造許容誤差のみは、規制機構1606自体を製造することに関連する許容誤差及び第1リング部材1610の径方向寸法である。このように、規制部材のより信頼性のある動作が認められる。
【0143】
さらに、固定された可撓性を有する端部1626に起因して径方向で移動する基部1622の係合部分1620から一定距離で案内腕部1624を設けることによって、係合部分1620は、第1リング部材をより確実に辿り、係合部分1620が第1リング部材1610にある係合部分歯1630と接触したままとすることを保証する。すなわち、第1リング部材が径方向外側に移動するときに(第1リング部材と接触しているので)腕部1624が第1リング部材の移動または第1リング部材が有し得る輪郭に追従するので、かつ、第1リング部材が径方向内側に移動するときに係合部分1620が第1リング部材の移動に追従するので、(例えば第1リング部材と規制リング部材との間にいくらかの径方向遊びがある場合に)径方向での第1リング部材1610の移動は、係合部分1620を歯1630から係合解除させない。
【0144】
実施形態において、規制リング部材は、同様に、上側周面にある位置付け凹所1608a、1608b及び1608cを備える。対応する形状をなす突出部は、これら凹所に位置しており、規制リング部材を所定位置で保持し、したがって、規制リング部材が回転することを防止する。突出部は、容器またはディスペンサに(例えばディスペンサキャップに)位置してもよい。規制リング部材が回転することを防止することによって、反らせ板1604が第2及び第1リング部材に対して一定の位置にあるままとすることを保証する。
【0145】
容器またはディスペンサに位置する複数の対応する形状をなす突出部は、キー機能を提供するように非対称に設計されている。すなわち、規制リング部材は、容器及びディスペンサ、ひいては第2及び第1リング部材に対して1つの回転位置にのみ位置する。これにより、規制リング部材が第2及び第1リング部材に対して常に正確に位置することを保証し、計数を正確に記録することを可能とする。
【0146】
第1リング部材1610は、同様に、(
図15を参照して上述したように)第1印を目立たなくするための表示カバー素子1614を備え、ディスペンサが空であることを示すゼロに達したことを計数が示す。
【0147】
規制機構1606が2リングカウンタ機構(すなわち、第2の一の位のリング部材及び第1の十の位のユニットのリング部材)を参照して説明したが、その替わりに、規制機構は、単一リング部材のカウンタ機構(すなわち、第2の単一のリングのみを用いる)と共に使用されてもよい。このような実施形態において、第2リング部材は、上述のような爪機構を備えているが、連結腕部704を備えていない。さらに、規制機構は、同様に、2つより多いリング部材を有するカウンタ機構、例えば3または4リングカウンタ機構で使用されてもよい。
【0148】
第1リング部材と同軸に配設された規制リング部材を参照して規制機構を説明したが、その替わりに、規制機構がディスペンサキャップまたはキャニスタから突出するように、すなわち第1リング部材と同軸に配置された規制リング部材を備えないように、設けられることを想定してもよい。この代替構成において、規制機構1606は、第1リング部材と固定関係のままでなければならない。上述した好ましい実施形態のように、代替の規制機構は、同様に、径方向に作用し、基部に配設された係合部分1620を備え、この基部は、自由端部及び固定端部を有し、上述のように案内腕部を有する。このような代替実施形態において、反らせ板1604は、同様に、キャニスタ又はディスペンサ又はディスペンサキャップから突出するように構成される必要があり、第1リング部材に対して固定位置のままである。
【0149】
さらに、カウンタという枠の中で規制機構を説明したが、回転部材の自由な回転を規制するために必要な場合に、このような規制機構のための別の使用があってもよい。このような実施形態において、第2または第1カウンタリング部材は、回転部材に置換される。
【0150】
当然ながら、この実施形態が、正確な残存用量を示す計数に関して、第2及び第1リング部材に対して固定回転位置のままとすることを必要としているので、規制リング部材は、印を備えておらず、印を担持することを意図していない。
【0151】
特定の実施形態の説明およびこれらの用途によって本発明を例示したが、上記事項が、読者によって、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。
【符号の説明】
【0152】
100 ディスペンサ、102 本体、104 マウスピース、106 マウスピースカバー、108 主カムローブ、110 中央指、112 開口部、114 薬剤容器、116 定量チャンバ、118 出口ステム,弁ステム,ステム、120 接合部材、122 フラップ、124 ソケット、126 経路、200 ディスペンサ、201 第2リング状部材,第2リング部材,第2リング,リング部材,部材、202 第1リング部材、203 カウンタ、204 爪支持部材、205 駆動機構、206 歯支持部材,部材、208 爪、210 歯、212a,212b 腕部、214 垂直軸,中心軸、402a 第1の(上側の)爪,第1爪,爪、402b 第2の(下側の)爪,第2爪,爪、408,408a,408b 縁部、410 棚部、412 ステムブロック、430 スライド係合面、440 駆動係合面、450 第1抗スリップバー,抗スリップバー、452 第2抗スリップバー、502,504,506 歯、510 突出ブロック,ブロック、512 傾斜面, 垂直面,表面、514 傾斜面、516 頂点、518 下側の傾斜面,表面,面、520 歯,傾斜面、522 垂直非先端部、700 連結機構、701 第1列の数字、702 第2列の数字、703 第3列の数字、704 連結腕部,腕部、705 突出部、710 接触端部、712 スロット付本体,本体、714 スロット、720 細い線,面、802 環状帯体、804 上側径方向面、902 内面、1002,1504 反らせ板、1004 傾斜面、1006 面、1102 歯、1202 窓部、1204 表示カバー素子,カバー素子、1402 筐体、1502 第3リング部材、1506 規制機構、1508a,1508b 位置付け凹所、1510 第1リング部材,リング部材、1512 突出部、1514 表示カバー素子、1516 突出部,歯、1518 間隙,窓部、1602 規制リング部材、1604 反らせ板、1606 規制機構、1608a,位置付け凹所、1610 第1リング部材、1614 表示カバー素子、1616 突出部,歯、1618 間隙,窓部、1620 係合部分、1622 基部,パネル、1624 案内腕部,腕部、1626 端部,点,場所、1630 係合部分歯,係合部分,歯、1650,1652 縁部
【国際調査報告】