特表2016-509995(P2016-509995A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ガルダ ケミカルズ エルティーディーの特許一覧

特表2016-509995ビスピリバックナトリウム塩およびその中間体の調製プロセス
<>
  • 特表2016509995-ビスピリバックナトリウム塩およびその中間体の調製プロセス 図000004
  • 特表2016509995-ビスピリバックナトリウム塩およびその中間体の調製プロセス 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-509995(P2016-509995A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(54)【発明の名称】ビスピリバックナトリウム塩およびその中間体の調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/60 20060101AFI20160307BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20160307BHJP
【FI】
   C07D239/60
   B01J23/30 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-557570(P2015-557570)
(86)(22)【出願日】2014年2月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】IN2014000087
(87)【国際公開番号】WO2014128719
(87)【国際公開日】20140828
(31)【優先権主張番号】329/MUM/2013
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】332/MUM/2013
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】465/MUM/2013
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515220306
【氏名又は名称】ガルダ ケミカルズ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】GHARDA CHEMICALS LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(74)【代理人】
【識別番号】100126871
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マトゥール スーシェ エス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャヤン アニース
(72)【発明者】
【氏名】ヌーガレ ヴィナヤク エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ボーサル サチン アール
(72)【発明者】
【氏名】ダパケ マンゲシュ ケー
(72)【発明者】
【氏名】パーカー スレシュクマール ディー
(72)【発明者】
【氏名】ダマーニア プラグネシュ ディー
(72)【発明者】
【氏名】ジャグタップ ナンキショー エス
(72)【発明者】
【氏名】カリラジャン エー
(72)【発明者】
【氏名】カムカー ラーフル エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン ナンクマール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】モア マヘンドラ エム
(72)【発明者】
【氏名】アヘール サティアワン ビー
(72)【発明者】
【氏名】パドワル サチン エス
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BC02A
4G169BC02B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169CB07
4G169CB79
4G169DA02
(57)【要約】
本発明はビスピリバックナトリウム塩を、少なくとも一つの塩基と少なくとも一つの溶媒の存在下において、2,6-ジヒドロキシ安息香酸を2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンと縮合することにより、調製するプロセスに関する。本発明は2,6-ジヒドロキシ安息香酸と2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンの調製プロセスにも関わる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,6-ジヒドロキシ安息香酸を2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンと、温度範囲20℃〜80℃で少なくとも一つの塩基と少なくとも一つの溶媒の存在下において縮合することから成るビスピリバックナトリウム塩の調製プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、塩基は水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムおよび水素化カルシウムから成る群から選択されるビスピリバックナトリウム塩の調製プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、溶媒はテトラヒドロフラン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルフォルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、スルホラン、モノグライムおよびジグライム.から成る群から選択されるビスピリバックナトリウム塩の調製プロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンは2-(メチルスルフォニル)-4,6-ジメトキシピリミジンであるビスピリバックナトリウム塩の調製プロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記の4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンは以下の手順で調製される:
i.ジアルキルマロネートとチオウレアをナトリウムアルコキシドとアルコールの存在下において反応させ、チオバルビツール酸ナトリウム塩を得る、
ii.前記のチオバルビツール酸塩を塩化アルキルでアルキル化して2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得る、
iii.前記の2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを塩化ホスホリル(POCl3)で塩素化処理し、2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得る、
iv.前記の2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンをナトリウムアルコキシドでアルコキシル化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを得て、
v.前記の4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを過酸化水素、酢酸および触媒の存在下において酸化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンを得るビスピリバックナトリウム塩の調製プロセス。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスにおいて、ジアルキルマロネートはジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジ-n-プロピルマロネートおよびジ-n-メチルマロネートから成る群から選択され、好ましくは、ジアルキルマロネートはジメチルマロネートであるプロセス。
【請求項7】
請求項5に記載のプロセスにおいて、ナトリウムアルコキシドはナトリウムメトキシドであるプロセス。
【請求項8】
請求項5に記載のプロセスにおいて、塩化アルキルは塩化メチルであるプロセス。
【請求項9】
請求項5に記載のプロセスにおいて、2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンは2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンであるプロセス。
【請求項10】
請求項5に記載のプロセスにおいて、2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンは2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンであるプロセス。
【請求項11】
請求項5に記載のプロセスにおいて、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンは4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンであるプロセス。
【請求項12】
請求項5に記載のプロセスにおいて、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンは4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンであるプロセス。
【請求項13】
請求項5に記載のプロセスにおいて、アルコールはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコールおよびn-ブチルアルコールから成る群から選択されるプロセス。
【請求項14】
請求項5に記載のプロセスにおいて、手順(i)は、ジメチルマロネートとチオウレアをメタノールに添加し、反応生成物を得て、この反応生成物を温度範囲50℃〜70℃に加熱し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を前記の反応生成物と混合し、混合物を得、前記の混合物を温度範囲50℃〜70℃に1〜5時間維持し、メタノールを蒸留して前記の混合物から除去し、第二の生成物を得て、前記の生成物を冷却して冷却された生成物を得て、前記の生成物をろ過し、ケーキを得、前記のケーキをメタノールで洗浄し、次に乾燥してチオバルビツール酸のナトリウム塩を得ることから成るプロセス。
【請求項15】
請求項5に記載のプロセスにおいて、手順(ii)はチオバルビツール酸のナトリウム塩と水酸化ナトリウム溶液とメタノールを混合し、反応生成物を得て、塩化メチルを前記の生成物に添加し、攪拌して2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得ることから成るプロセス。
【請求項16】
請求項5に記載のプロセスにおいて、手順(iii)は、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、POCl3、少なくとも一つの芳香族炭化水素および少なくとも一つの塩基を混合し混合物を得、前記の混合物を温度範囲40℃〜90℃に加熱し、加熱された混合物を得て、POCl3および塩素を前記の加熱された混合物に添加し、次に温度40℃〜60℃で攪拌して、2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得ることから成るプロセス。
【請求項17】
請求項5に記載のプロセスにおいて、手順(iv)はナトリウムメトキシドのアルコール溶液、塩化第一銅およびよう化ナトリウムを混合して混合物を得、前記の混合物を冷却し、次に2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを温度範囲15℃〜25℃で添加し、反応生成物を得て、前記の生成物を温度範囲30℃〜50℃で加熱し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを得ることから成るプロセス。
【請求項18】
請求項5に記載のプロセスにおいて、手順(v)は4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジン、タングステン酸ナトリウムおよび酢酸を混合して混合物を得、前記の混合物を加熱しながら過酸化水素(H2O2)を添加して、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンを得ることから成るプロセス。
【請求項19】
請求項5に記載のプロセスにおいて、触媒がタングステン酸ナトリウムであるプロセス。
【請求項20】
請求項16に記載のプロセスにおいて、芳香族炭化水素はモノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択されるプロセス。
【請求項21】
請求項16に記載のプロセスにおいて、塩基はトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択されるプロセス。
【請求項22】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記の2,6-ジヒドロキシ安息香酸は以下の手順:
i)レゾルシンを二酸化炭素と少なくとも一つの塩基の存在下において、少なくとも一つの溶媒中で温度範囲100℃〜200℃でカルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得て、さらに
ii)前記の混合物を少なくとも一つの酸で酸性化し、純度>95 %の2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得、この際、酸性化手順は前記の混合物のpHを≦1に調整する
手順で調製されるプロセス。
【請求項23】
請求項22に記載のプロセスにおいて、前記のプロセスは以下から構成される:
− レゾルシンを二酸化炭素と少なくとも一つの塩基の存在下において、少なくとも一つの溶媒中で温度範囲100℃〜200℃でカルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得、さらに
− 前記の混合物を温度140℃〜180℃で1〜10時間維持し、
− この混合物を冷却して冷却された混合物を得、
− 前記の冷却された混合物をpH 5.5〜6まで酸で酸性化し、次に90〜110℃に1〜20時間維持して、酸性化した反応生成物を得、前記の反応生成物を冷却し、
− 前記生成物のpHを酸で2〜3に調整し、次にろ過、洗浄および乾燥して、反応生成物の固定物およびろ液を得、次に
− 前記のろ液に酸を添加し、pH 0.8〜1に調整し、次に攪拌、冷却、ろ過、洗浄および乾燥して純度>95 %の2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得る
ことから成るプロセス。
【請求項24】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、カルボキシル化は温度範囲140℃〜180℃で実行されるプロセス。
【請求項25】
請求項22または23に、前記の酸は塩酸、硫酸および酢酸.から成る群から選択されるプロセス。
【請求項26】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、前記の塩基は炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択されるプロセス。
【請求項27】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、溶媒はトルエン、N,N-ジメチルフォルムアルデヒド、N,N-ジエチルフォルムアルデヒド、エタノール、メタノール、アセトン、水およびこれらの組み合わせから成る群から選択されるプロセス。
【請求項28】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、カルボキシル化手順は圧力範囲5 kg/cm2 〜45 kg/cm2のリアクター内部で実行されるプロセス。
【請求項29】
請求項23に記載のプロセスにおいて、乾燥は温度範囲40℃〜70℃で実行されるプロセス。
【請求項30】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、2,6-ジヒドロキシ安息香酸の純度は> 99%であるプロセス。
【請求項31】
請求項22または23に記載のプロセスにおいて、2,4-ジヒドロキシ安息香酸と4,6-ジヒドロキシイソフタル酸の脱炭酸手順を経てレゾルシンを得、前記のレゾルシンを再利用することを含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビスピリバックナトリウム塩およびその中間体の調製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ビスピリバックナトリウム塩
IUPAC名: 2,6-ビス(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルオキシ)安息香酸ナトリウム
構造式:
化学式:C19H17N4NaO8
分子量:452.4
物理的形状:白色粉末
融点:223℃〜224℃
水溶性:73.3g/l 25℃で
作用形態:選択的、全身作用、発芽後散布除草剤、葉および根から吸収。
【0003】
ビスピリバックナトリウム塩は植物組織を通って移動する全身除草剤である。成長に欠かせない植物の酵素アセト乳酸シンターゼ(ALS)の生産を阻害することによって機能する。直播米において雑草、カヤツリグサ科草本および広葉の野草類、特にヒエ属を管理するために使用されている。さらに穀物以外にも野草類の成長を阻害するために使用されている。
【0004】
ビスピリバックナトリウム塩は微生物により分解され、半減期(有効成分が分解して半減するまでに要する期間)が42〜115日である。ビスピリバックナトリウム塩の主な分解生成物は2-(4,6-ジメトキシピリミジン-2-イルオキシ6-(4-ヒドロキシ-6-メトキシピリミジン-2-イル)安息香酸ナトリウムである。ビスピリバックナトリウム塩は土壌に結合せず、土中で軽度の抵抗力を持ち、若干移動性がある。試験によるとビスピリバックナトリウム塩の水生製剤は魚や無脊椎動物に対して無害であることが判明している。ビスピリバックナトリウム塩は鳥類および哺乳類にも無害である。
【0005】
ビスピリバックナトリウム塩を合成するための中間体の一つは4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンである。
【0006】
4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの合成は、先行文献において開示されている。例えば、WO2000046212は4.6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンの調製法を開示している。そのプロセスは2-メチルチオバルビツール酸をキシレン、トリフェニルホスフィンオキシドとテトラブチルアンモニウムクロライドに混合し、次に付加物の反応が完了するまでホスゲンを加熱し通過させる。その後の段階では、ホスゲンを反応生成物から除去し、次に有機相を水で抽出し、50℃でナトリウムメチラートと反応させ、4,6-ジメトキシ-2-メチルチオピリミジンを生成する。さらに、タングステン酸ナトリウム5 mol%とテトラブチルアンモニウムクロライド5 mol%を反応混合物に添加し、85℃で2モル相当量の過酸化水素と混合する。
【0007】
WO2002008207は4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)-1,3-ピリミジンを不活性有機溶媒中においてアルカリ金属メトキシドと反応させ、この反応生成物4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)-1,3-ピリミジンを水性酸性溶媒内に移動し、次にこの化合物を触媒としてトリカプリルメチルアンモニウム塩化物の存在下において酸化し、この酸化に続いて、水性酸性反応混合物を水性基でpH範囲5〜8に調整して、有機溶媒の存在下または非存在下において、攪拌することによって精製することによる、4,6-ジメトキシ-2-)メチルスルフォニル)-1,3-ピリミジンの調製プロセスを開示している。
【0008】
CN 101747283は4,6-ジヒドロキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを塩素化処理し、4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリミジンを取得し、この4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリミジンをメトキシル化して4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを得て、これを酸化することによる4,6-ジメトキシ-2-(メタンスルフォニル)ピリミジンの調製方法を開示している。CN 101747283が開示したプロセスは、メトキシル化反応の際に特にトリフルオロメタンスルホン酸塩、第四級アンモニウム塩または有機基の触媒を使用する。前記触媒はトリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメチルスルホン酸錫、トリオクチルメチルクロライドアンモニウム、第三級塩化アンモニウムおよびトリエチルアミンから成る群から選択される。
【0009】
ビスピリバックナトリウム塩の合成には2,6-ジヒドロキシ安息香酸としても知られるレソルシル酸がもう一つの中間体として使用される。2,6-ジヒドロキシ安息香酸の合成は以下のような種々の先行文献に開示されている。
【0010】
GB 9165481963はレゾルシンの無水モノカリウム塩を130℃で化学式RCON(R1)2の形をとる溶媒の存在下において、カルボキシル化することによる2,6-ジヒドロキシ安息香酸の合成を開示している。この化学式においてRは水素または低級アルキル基であり、R1は炭素原子を1〜4個有する低級アルキル基である。N,N-ジメチルフォルムアルデヒドおよびN,N-ジエチルフォルムアルデヒドは優先的に選択される溶媒である。レゾルシンのアルカリ塩はin situ(現場で)レゾルシンをアルカリ金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩と反応させて取得することができる。2,6-ジヒドロキシ安息香酸の分離は塩酸を用いる酸性化、その次に分別結晶化によって行う。
【0011】
US 5304677はレゾルシンを適切な溶媒に溶解し、次に、この溶液に塩基化合物の存在下において二酸化炭素が吸収されなくなるまで、二酸化炭素を吹き込むことによる2,6-ジヒドロキシ安息香酸の合成を開示している。アルコール、アルコキシアルコール、ジメチルフォルムアルデヒド、水およびこれらの混合物を溶媒として使用することができる。塩基化合物はレゾルシンとほぼ等モルの炭酸カリウム塩、水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウムを使用することができる。温度範囲100℃〜200℃で大気圧下において、または二酸化炭素ガス圧30 kg/cm2下において、反応させることができる。この特許は塩基水溶液を有機酸または鉱酸によってpH 5 〜7まで酸性化し、混合物を90℃から水溶液の沸点まで加熱することによって得る混合物から2,4-ジヒドロキシ安息香酸を分解する方法も開示している。分解反応の完了後、この混合物に硫酸を添加し、pH 3とした後、不溶性物質をろ過する。硫酸をさらにpH 1となるまでろ液に添加し、最終的に2,6-ジヒドロキシ安息香酸を5 ℃でろ過して分離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、既存の発明によるビスピリバックナトリウム塩、4,6-二置換2-アルキルスルフォニルピリミジンおよび2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製方法は高濃度の不純物、低収率、反応の遅さおよび費用対効果の低さなどいくつかの欠点を持つ。従って、以上の化合物の簡明かつ経済的で高収率の調製プロセスの必要性が認識された。
【0013】
本発明の目的のうち若干のものを以下に説明するが、そのうち少なくとも一つは実施例をもって示す。
【0014】
本発明の目的は簡明であり高収率のビスピリバックナトリウム塩の調製プロセスを提供することである。
本発明のもう一つの目的はビスピリバックナトリウム塩の時間節約的な調製プロセスを提供することである。
本発明のもう一つの目的は弱塩基を使用してプロセスを経済的にする、ビスピリバックナトリウム塩の調製プロセスを提供することである。
本発明のさらに一つの目的は強酸を使用しない、ビスピリバックナトリウム塩の調製プロセスを提供することである。
本発明のさらに一つの目的は4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスを提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は簡明で費用効果の高い、4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスを提供することである。
本発明のさらにもう一つの目的は高収率の4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスを提供することである。
本発明のさらに一つの目的は高純度の4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスを提供することである。
本発明のもう一つの目的は2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスを提供することである。
本発明のもう一つの目的は高収率の2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスを提供することである。
本発明のまたさらに一つの目的は環境に無害な、2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスを提供することである。
本発明の以上に加えさらに一つの目的は経済的な2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスを提供することである。
本発明のその他の目的および利点は添付図面とともに以下の説明によりいっそう明確にするが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に従いビスピリバックナトリウム塩の調製プロセスが提供される。前記のプロセスは2,6-ジヒドロキシ安息香酸を2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンと温度範囲20℃〜80℃において少なくとも一つの塩基と少なくとも一つの溶媒の存在下において縮合することから成る。
典型的に、塩基は水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムおよび水素化カルシウムから成る群から選択される。
典型的に、溶媒はテトラヒドロフラン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルフォルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、スルホラン、モノグライムおよびジグライムから成る群から選択される。
典型的に、2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンは2-(メチルスルフォニル)-4,6-ジメトキシ ピリミジンである。
【0016】
本発明のもう一つの側面に従い4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスが提供される。前記のプロセスは以下の手順から成る:
i. ジアルキルマロネートとチオウレアをナトリウムアルコキシドとアルコールの存在下において反応させ、チオバルビツール酸ナトリウム塩を得る
ii. 前記のチオバルビツール酸塩を塩化アルキルでアルキル化し、2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得る
iii. 前記の2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを塩化ホスホリル(POCl3)で塩素化処理し、2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得る
iv. 前記の2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンをナトリウムアルコキシドでアルコキシル化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを得て
v. 前記の4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを過酸化水素、酢酸および触媒の存在下において酸化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンを得る。
【0017】
この際典型的に、ジアルキルマロネートはジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジ-n-プロピルマロネートおよびジ-n-メチルマロネートから成る群から選択されるが、好ましくはジアルキルマロネートはジメチルマロネートである。
【0018】
典型的に、ナトリウムアルコキシドはナトリウムメトキシドである。
典型的に、塩化アルキルは塩化メチルである。典型的に、2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンは2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンである。典型的に、2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンは2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンである。典型的に、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンは4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンである。典型的に、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンは4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンである。
典型的に、アルコールはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコールおよびn-ブチルアルコールから成る群から選択される。
【0019】
一つの実施形態において、手順(i)は、ジメチルマロネートとチオウレアをメタノールに添加し、反応生成物を得て、この反応生成物を温度範囲50℃〜70℃に加熱し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を前記の反応生成物と混合し、混合物を得、前記の混合物を温度範囲50℃〜70℃に1〜5時間維持し、メタノールを蒸留して前記の混合物から除去し、第二の生成物を得、前記の生成物を冷却して冷却された生成物を得て、前記の生成物をろ過し、ケーキを得、前記のケーキをメタノールで洗浄し、次に乾燥してチオバルビツール酸のナトリウム塩を得ることから成る。
【0020】
一つの実施形態において、手順(ii)はチオバルビツール酸のナトリウム塩と水酸化ナトリウム溶液とメタノールを混合し、反応生成物を得て、塩化メチルを前記の生成物に添加し、攪拌して2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得ることから成る。
【0021】
一つの実施形態において、手順(iii)は、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、POCl3、少なくとも一つの芳香族炭化水素および少なくとも一つの塩基を混合して混合物を得、前記の混合物を温度範囲40℃〜90℃に加熱し、加熱された混合物を得、POCl3 および塩素を前記の加熱された混合物に添加し、次に温度40℃〜60℃で攪拌して、2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得ることから成る。
【0022】
一つの実施形態において、手順(iv)はナトリウムメトキシドのアルコール溶液、塩化第一銅およびよう化ナトリウムを混合して混合物を得、前記の混合物を冷却し、次に2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを温度範囲15℃〜25℃で添加し、反応生成物を得、前記の生成物を温度範囲30℃〜50℃で加熱し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを得ることから成る。
【0023】
一つの実施形態において、手順(v)は4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジン、タングステン酸ナトリウムおよび酢酸を混合して混合物を得、前記の混合物を加熱しながら過酸化水素(H2O2)を添加して、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンを得ることから成る。
【0024】
一つの実施形態において、触媒はタングステン酸ナトリウムである。
典型的に、芳香族炭化水素はモノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
典型的に、塩基はトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0025】
本発明のもう一つの側面に従い、2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスが提供される。前記のプロセスは以下の手順から成る:
・ レゾルシンを二酸化炭素と少なくとも一つの塩基の存在下において、少なくとも一つの溶媒中で温度範囲100℃〜200℃でカルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得、さらに
・ 前記の混合物を少なくとも一つの酸で酸性化し、純度>95 %の2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得る。この際、酸性化手順は前記の混合物のpHを≦1に調整するものである。
・ 一つの実施形態において、2,6-ジヒドロキシ安息香酸を以下のプロセスによって調製する:
・ レゾルシンを二酸化炭素と少なくとも一つの塩基の存在下において、少なくとも一つの溶媒中で温度範囲100℃〜200℃でカルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得、さらに
・ 前記の混合物を温度140℃〜180℃で1〜10時間維持し、
・ この混合物を冷却して冷却された混合物を得る、
・ 前記の冷却された混合物をpH 5.5〜6まで酸で酸性化し、次に90〜110℃に1〜20時間維持して、酸性化した反応生成物を得、前記の反応生成物を冷却し、
・ 前記生成物を酸でpH 2〜3に調整し、次にろ過し、洗浄および乾燥して、反応生成物の固定物およびろ液を得、次に
・ 前記のろ液に酸を添加し、pH 0.8〜1に調整し、次に攪拌、冷却、ろ過、洗浄および乾燥して純度>95 %の2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得る。
【0026】
典型的に、カルボキシル化手順は温度範囲140℃〜180℃で実行される。
典型的に、前記の酸は塩酸、硫酸および酢酸から成る群から選択される。
典型的に前記の塩基はカリウム炭酸塩、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
典型的に、溶媒はトルエン、N,N-ジメチルフォルムアルデヒド、N,N-ジエチルフォルムアルデヒド、エタノール、メタノール、アセトン、水およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
典型的に、このカルボキシル化手順は圧力範囲5 kg/cm2〜45 kg/cm2のリアクター内部で実行される。
典型的に、乾燥は温度範囲40℃〜70℃で実行される。
【0027】
一つの実施形態において2,6-ジヒドロキシ安息香酸の純度は>99%である。
一つの実施形態において、2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスは2,4-ジヒドロキシ安息香酸と4,6-ジヒドロキシイソフタル酸の脱炭酸によって、レゾルシンを得、このレゾルシンを再利用する手順から成る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に従うビスピリバックナトリウム塩の調製のための反応スキームを示す図である。
図2】2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンの調製のための反応スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に従いビスピリバックナトリウム塩の調製プロセスが提供される。このプロセスでは、2,6-ジヒドロキシ安息香酸を2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンと温度範囲20℃〜80℃で、水素化ナトリウム、水素化カリウム、リチウムおよび水素化カルシウムから成る群から選択される少なくとも一つの塩基およびテトラヒドロフラン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルフォルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、スルホラン、モノグライムおよびジグライムから成る群から選択される少なくとも一つの溶媒の存在下において縮合させ、ビスピリバックナトリウム塩を得る。本発明に従い、2-(アルキルスルフォニル)-4,6-ジアルコキシピリミジンは2-(メチルスルフォニル)-4,6-ジメトキシピリミジンである。
【0030】
もう一つの側面においては4,6-ジアルコキシ-2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンの調製プロセスが提供される。
第一の手順においては、ジアルキルマロネートをチオウレアの存在下においてナトリウムアルコキシドおよびアルコールと反応させ、チオバルビツール酸のナトリウム塩を得る。
【0031】
本発明に従いジアルキルマロネートはジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジ-n-プロピルマロネートおよびジ-n-メチルマロネートから成る群から選択される。一つの実施形態においてジアルキルマロネートはジメチルマロネートである。アルコールはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコールおよびn-ブチルアルコールから成る群から選択される。
取得されたチオバルビツール酸塩を塩化アルキルでアルキル化し、2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得る。
次の手順では、2-アルキルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを塩化ホスホリル(POCl3)で塩素化処理し、2-アルキルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得、次にこれをナトリウムアルコキシドでアルコキシル化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを得る。
【0032】
最後に、取得された4,6-ジアルコキシ2-(アルキルチオ)ピリミジンを過酸化水素、酢酸および触媒の存在下において酸化し、4,6-ジアルコキシ2-(アルキルスルフォニル)ピリミジンを得る。酸化手順で使用される触媒はタングステン酸ナトリウムである。
【0033】
本発明は特に4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンの調製方法を提供する。
第一の手順においては、ジメチルマロネートをナトリウムメトキシドとメタノールの存在下においてチオウレアと反応させ、チオバルビツール酸のナトリウム塩を得る。取得されたチオバルビツール酸塩を塩化メチルでアルキル化し、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン得る。
【0034】
次の手順では、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを塩化ホスホリル (POCl3)と接触させて塩素化処理し、2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得、次にこれを、ナトリウムメトキシドを使用してアルコキシル化し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを得る。
最後に、取得された4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを過酸化水素、酢酸および触媒の存在下において酸化し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンを得る。
【0035】
一つの代表的実施形態においては、チオバルビツール酸のナトリウム塩を以下の手順で調製する:
- ジメチルマロネートとチオウレアをメタノールに添加し、反応生成物を得、この反応生成物を温度範囲50℃〜70℃まで加熱する、
- ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を前記の生成物に2時間混合して、混合物を得、前記の混合物を温度範囲50℃〜70℃に1〜5時間維持する、
- メタノールを蒸留して前記の混合物から除去し、第二の生成物を得る、前記の生成物を冷却して冷却された生成物を得て、前記この生成物をろ過しケーキを得る、
- 前記のケーキをメタノールで洗浄し、次に乾燥してチオバルビツール酸のナトリウム塩を得る。
【0036】
一つの代表的実施形態においては、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンは以下の手順で調製される:
- チオバルビツール酸のナトリウム塩を水酸化ナトリウム溶液およびメタノールと混合し、反応生成物を得る、
- 塩化メチルを前記の反応生成物に添加し、前記の生成物を攪拌して2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンを得る。
【0037】
一つの代表的実施形態においては、2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンは以下の手順で調製される
- 2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン、POCl3、少なくとも一つの芳香族炭化水素と少なくとも一つの塩基を混合して、混合物を得る、
- 前記の混合物を温度範囲40℃〜90℃に加熱し、加熱された混合物を得る、
- POCl3および塩素を加熱された混合物に添加し、次に温度40℃〜60℃で攪拌し、2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを得る。
【0038】
芳香族炭化水素はモノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンおよびこれらの組み合わせからから成る群から選択され、塩基はトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
一つの代表的実施形態においては、4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンは以下の手順で調製される:
- ナトリウムメトキシド、塩化第一銅とよう化ナトリウムのアルコール溶液を混合して、混合物を得る、
- 混合物を冷却し、次に2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンを温度範囲15℃〜25℃で添加し、反応生成物を得る、
- 前記の生成物を温度範囲30℃〜50℃で加熱し、
- 4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンを得る。
【0039】
一つの代表的実施形態においては、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンは以下の手順で調製される:
- 4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジン、タングステン酸ナトリウムおよび酢酸を混合して混合物を得る、
- 過酸化水素(H2O2)を混合物に添加して 4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンを得る。
【0040】
もう一つの側面においては出発物質としてレゾルシンを使用する2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製プロセスが提供される。
【0041】
このプロセスは以下の手順による:
第一の手順においては、レゾルシンを少なくとも一つの溶媒に温度範囲100℃〜200℃の下におかれる二酸化炭素および少なくとも一つの塩基の存在下において、カルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得る。取得された混合物を少なくとも一つの酸で酸性化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得る。酸性化手順は混合物のpHを≦1に調整する。本発明のプロセスによって得られる2,6-ジヒドロキシ安息香酸の純度は>95 %、好ましくは99%を超える。酸は塩酸、硫酸および酢酸から成る群から選択され、塩基はカリウム炭酸塩、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせから成る群から選択され、溶媒はトルエン、N,N-ジメチルフォルムアルデヒド、N,N-ジエチルフォルムアルデヒド、エタノール、メタノール、アセトン、水およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。本発明に従いカルボキシル化を温度範囲140℃〜180 ℃で実行する。典型的に、このカルボキシル化は圧力範囲5 kg/cm2〜45 kg/cm2のリアクターで実行される。
【0042】
一つの実施形態において、本プロセスは以下の手順で調製される:
・ レゾルシンを二酸化炭素と少なくとも一つの塩基の存在下において、少なくとも一つの溶媒中で温度範囲100℃〜200℃でカルボキシル化し、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸および4,6-ジヒドロキシイソフタル酸を含む混合物を得る、さらに
・ 前記の混合物を温度140℃〜180℃で1〜10時間維持し、
・ この混合物を冷却して冷却された混合物を得る、
・ 前記の冷却された混合物をpH5.5〜6まで酸で酸性化し、次に90-110℃に1〜20時間維持して、酸性化した反応生成物を得、前記の反応生成物を冷却し、
・ 前記生成物を酸でpH2〜3に調整し、次にろ過、洗浄および乾燥して、反応生成物の固定物およびろ液を得る、次に
・ 前記のろ液に酸を添加し、pH0.8〜1に調整し、次に攪拌、冷却、ろ過、洗浄および乾燥して純度>95 %の2,6-ジヒドロキシ安息香酸を得る。
・ 温度範囲40℃〜70℃で乾燥する。
【0043】
一つの実施形態において、本プロセスは2,4-ジヒドロキシ安息香酸と4,6-ジヒドロキシイソフタル酸の脱炭酸により、レゾルシンを得、前記のレゾルシンを再利用する。
【0044】
以下に本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ビスピリバックナトリウム塩の調製[例1-5]
例1:
2,6-ジヒドロキシ安息香酸154gを500mlのジメチルスルホキシドに溶解した透明な溶液を、市販の(油中60%エマルジョン)水素化ナトリウム130gを2リットルのジメチルスルホキシドに30℃〜32℃で溶解した混合物に2〜3時間かけて添加する。この反応生成物をさらに2時間30℃〜32℃で攪拌し、これに4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)-ピリミジン480g を2時間かけて添加する。ビスピリバックナトリウム塩が得られるまで反応を30℃〜32℃で維持する。反応をHPLCでモニターした。この反応生成物をろ過し、DMSOで洗浄した。含水固形物をメタノール1000 ml、次に、75%水メタノール1000 ml中に再度スラリー化した。この含水固形物をオーブンで乾燥し、ビスピリバックナトリウム塩435gを得た。このビスピリバックナトリウム塩を還流温度でトルエン1200 ml中で再びスラリー化し、冷却、ろ過、乾燥してビスピリバックナトリウム塩385 g(純度98.7% HPLC)を得た。
【0045】
例2:
2,6-ジヒドロキシ安息香酸154gを500 mlのジメチルスルホキシドに溶解した透明な溶液を、市販の(油中60%エマルジョン)水素化ナトリウム130gをジメチルスルホキシド1500 mlに30℃〜32℃で溶解した混合物に2〜3時間かけて添加する。この生成物を2時間かけて30℃〜32℃でさらに攪拌し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)-ピリミジン480gのスラリーをDMSO750 mlに2〜3時間かけて添加する。ビスピリバックナトリウム塩が得られるまで反応を30℃〜32℃で維持する。反応をHPLCでモニターした。この反応生成物をろ過し、DMSOで洗浄した。含水固形物をメタノール1000 ml、次に、75%水メタノール1000 ml中で再度スラリー化した。この固形物をオーブンで乾燥し、ビスピリバックナトリウム塩430gを得た。このビスピリバックナトリウム塩の粉末をトルエン1200 mlに還流温度で再びスラリー状にし、冷却、ろ過および乾燥して380gのビスピリバックナトリウム塩(純度 98.3% HPLC)を得た。
【0046】
例3:
2,6-ジヒドロキシ安息香酸154gを500 mlのジメチルスルホキシドに溶解した透明な溶液を、市販の(油中60%エマルジョン)水素化ナトリウム130 gを1500 mlのジメチルスルホキシドに30〜32℃で溶解した混合物に2〜3時間かけて添加する。この混合物を2時間かけて30℃でさらに攪拌し、DMSO750 ml中の 4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)-ピリミジン480gのスラリーに添加する。ビスピリバックナトリウム塩が得られるまで反応を30℃〜32℃で維持する。この反応生成物をろ過し、DMSOで洗浄した。含水固形物をメタノール1000 ml、次に、75%水メタノール1000 ml中で再度スラリー化した。この固形物をオーブンで乾燥し、ビスピリバックナトリウム塩440gを得た。このビスピリバックナトリウム塩粉末をトルエン1200 ml中で還流温度で再びスラリー状にし、冷却、ろ過、乾燥してビスピリバックナトリウム塩380gを得た(純度98.5% HPLC)。
【0047】
例4:
2,6-ジヒドロキシ安息香酸154 gを500 mlのジメチルスルホキシドに溶解した透明な溶液を、市販の(油中60%エマルジョン)水素化ナトリウム130 gを2リットルのジメチルスルホキシドに30〜32℃で溶解した混合物に2〜3時間かけて添加する。この混合物を2時間かけて30℃でさらに攪拌し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)-ピリミジン480gのDMSO750 ml中のスラリーを添加する。ビスピリバックナトリウム塩が得られるまで反応を30℃〜32℃で維持する。この反応生成物をろ過し、DMSOで洗浄した。含水固形物をメタノール1000 ml、次に75%水メタノール1000 ml中でスラリーとした。この固形物をオーブンで乾燥し、ビスピリバックナトリウム塩435gを得た。このビスピリバックナトリウム塩粉末をトルエン1200 ml中で還流温度で再びスラリー状にし、冷却、ろ過および乾燥して385gのビスピリバックナトリウム塩(純度 98.6% HPLC)を得た。
【0048】
例5:
2,6-ジヒドロキシ安息香酸154gを500 mlのジメチルスルホキシドに溶解した透明な溶液を、市販の(油中60%エマルジョン)水素化ナトリウム130 gを1500 mlのジメチルスルホキシドに30〜32℃で溶解した混合物に2〜3時間かけて添加する。この混合物を2時間かけて30℃でさらに攪拌し、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)-ピリミジン480gの透明溶液をDMSO1500 mlに添加する。ビスピリバックナトリウム塩が得られるまで反応を30℃〜32℃で維持する。この反応混合物をろ過し、DMSOで洗浄した。含水固形物をメタノール1000 ml、次に、 75%水メタノール1000 ml中で再度スラリー化した。固形物をオーブンで乾燥し、ビスピリバックナトリウム塩400gを得た。このビスピリバックナトリウム塩の粉末をトルエン1200 ml中で還流温度で再びスラリー状にし、冷却、ろ過および乾燥して、350gのビスピリバックナトリウム塩(純度 98.6% HPLC)を得た。
【0049】
4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンの調製 [例6-10]
例6:チオバルビツール酸のナトリウム塩調製
チオウレア1.10mとジメチルマロネート1.0mをメタノール280mlに溶解した溶液を還流し、1.0mナトリウムメトキシドをメタノール150mlに溶解した溶液を15〜45分かけて添加した。この生成物を4時間還流し、メタノールの一部を蒸留した。この結果得られた生成物を30℃未満へ冷却し、ろ過し、メタノールで洗浄した。取得されたケーキを乾燥して、チオバルビツール酸のナトリウム塩を得る(収率:90%)。
ろ液を250〜280 mlまで濃縮した。この濃縮溶液に、ジメチルマロネート0.1mとナトリウムメトキシド溶液0.1mを添加した。取得された反応生成物を上記の手順で処理した。チオバルビツール酸のナトリウム塩の収率は2%であった。
【0050】
例7:
2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジンの調製
SS高圧蒸気釜の中で1 N水酸化ナトリウム水溶液1.5mとメタノール50 mlにチオバルビツール酸のナトリウム塩1.0mを溶解し、混合物を得た。これに塩化メチル0.5mを1〜2時間かけて添加した。取得された反応生成物を2〜6時間25〜30℃で攪拌し、塩化メチル0.5mの第二ロットを1〜2時間かけて添加し、反応生成物を25℃〜30℃で6〜8時間攪拌した。これに、塩化メチル0.05mを添加し、反応生成物を2〜6時間攪拌した。反応終了後にHPLCは2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン85%と2-メチルチオ-4-メトキシ-6-ヒドロキシピリミジン5%を示した。生成物の収率は75〜80モル%であった。
【0051】
例8:
2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジンの調製
モノクロロベンゼン4mに、2-メチルチオ-4,6-ジヒドロキシピリミジン1.0mを添加した。これに、POCl3 2.2mを1〜2時間かけて添加し、トリエチルアミン2.2mを2〜4時間かけて40〜50℃で添加した。取得された混合物を80℃に加熱したところ、透明な溶液が得られ、これを4〜8時間攪拌して反応生成物を得た。取得された生成物を60℃まで冷却した。これに三塩化燐2.0mを添加した。次に塩素2.0mを6〜10時間かけて60℃で添加し、60℃で8〜10時間攪拌した。側鎖の塩素化を防止するため、Cl2の添加は暗闇で実行した。POCl3 を真空蒸留し、モノクロロベンゼン200mlを添加して蒸留を継続し、POCl3を完全に除去した。POCl3 4.0m〜4.3mが回収された。残留生成物を氷水200mlに浸漬し、モノクロロベンゼンを使用して抽出した。モノクロロベンゼン層に、水100 mlを添加し、NaHCO3で中和した。層を分離し、モノクロロベンゼン層を真空下で濃縮した。生成物の収率は85〜87%であった。
製品を真空蒸留し、次にメタノールを使用して結晶化させ、純度99%で85モル%を得た。
【0052】
例9:
4,6-ジメトキシ-2-(メチルチオ)ピリミジンの調製
メタノールに溶解させた3Nナトリウムメトキシド溶液2.2 mに塩化第一銅2m%とよう化ナトリウム2m%を添加して混合物を得て、これを20℃まで冷却した。2-メチルチオ-4,6-ジクロロピリミジン1.0mをメタノール400mlに溶解し、混合物に3〜6時間かけて溶解し、20℃で1時間攪拌して反応生成物を得た。反応生成物の温度を30℃へ上げ、次に40℃まで加温し、40℃で6〜12時間攪拌したところ、HPLCが2-メチルチオ-4,6-ジメトキシピリミジン95〜96%と2-メチルチオ-4-メトキシ-6-クロロピリミジン0.5%を示した。この反応生成物を冷却し、塩化ナトリウムをろ過して除去した。ろ液からメタノールを蒸留し、水を残留生成物に添加し、トルエンで抽出した。トルエン層を水で洗浄してから濃縮した。生成物の収率は90%であった。
【0053】
例10:4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルフォニル)ピリミジンの調製
酢酸200mlをタングステン酸ナトリウム3m%に添加した。これに、2-メチルチオ-4,6-ジメトキシピリミジン1.0mを添加し、反応生成物を得た(透明な溶液)。反応生成物を40℃まで加熱した。加熱された反応生成物に30%H2O2 2.1mを4〜8時間かけて添加し、40℃で3〜5時間かけて攪拌した。さらに、0.05m 30 % H2O2を添加して完全に変換されるまで40℃で攪拌した。反応は40℃で実行された。反応混合物を冷却し、固形物をろ過した。取得されたケーキを酢酸水溶液、次に水で洗浄した。次にケーキを乾燥した。収率= 83%であった。
ろ液を二塩化エチレンで抽出した。取得された二塩化エチレン層を濃縮した。wt = 42g、生成物の収率は約1〜1.5%であった。
【0054】
2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製 [例11-15]
例11:2,6-ジヒドロキシ安息香酸の調製:
レゾルシン(110g、1.0モル)、トルエン(250 ml)および水酸化カリウム(86 %を65.1g、1.0モル)の混合物をリアクター中で攪拌し、これにディーン・スターク装置を用いて反応生成物を得る。ディーン・スターク装置の側腕から脱水し、取得された生成物を脱水した。ディーン・スターク装置の側腕から水が観察されなくなったら、トルエンを完全に蒸留し、N,N-ジメチルフォルムアルデヒド(330 ml)を添加して溶液を調製した。
ここで得られた溶液を乾燥ステンレス圧力リアクターへ移した。このリアクターを二酸化炭素で加圧し、150℃まで加熱して反応混合物を得た。取得された反応混合物を150℃で6時間、二酸化炭素ガス圧9 kg/cm2の下に維持した。
混合物を50℃に冷却し、二酸化炭素圧を解放し、二酸化炭素をアルカリスクラバーへ抜いた。次に混合物をガラスリアクターへ移管し、N,N-ジメチルフォルムアルデヒドを液体温度110℃、10 mm Hg圧で蒸留し、反応生成物を得た。この反応生成物を周囲温度まで冷却し、水に溶解した。反応生成物のHPLC組成は2,6-ジヒドロキシ安息香酸56.61 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸4.97 %、レゾルシン9.32 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸12.73%であった。
この水溶生成物を濃塩酸でpH 5.5〜6まで酸性化し、100℃で6時間維持した。反応の進捗をHPLCで監視した。
反応生成物を30℃へ冷却し、濃塩酸でpH 2.85までさらに酸性化し、ろ過、洗浄し、60℃で乾燥して、15.35gの乾燥固形物(HPLC組成= 4,6-ジヒドロキシイソフタル酸95.2%、2,6-ジヒドロキシ安息香酸2.97%)を得た。pH 2.85のろ液を濃塩酸でpH 0.8〜1まで酸性化し、10℃まで冷却してろ過し、水で洗浄した。この含水固形物を60℃で乾燥した結果、HPLC組成では2,6-ジヒドロキシ安息香酸96.1 %を含む固形物53.9gが得られた。
【0055】
例12
レゾルシン(2.0モル)220 g、50 % (v/v)水エタノール1300 mlおよび炭酸カリウム76 g (2.0モル)の混合物を乾燥したステンレススチール製高圧リアクターに加えた。リアクターを二酸化炭素で5 kgまで加圧し、170℃まで加熱した。この混合物を、二酸化炭素圧力38〜39 kg/cm2を維持しながら170℃に5時間保持した。
反応混合物を周囲温度まで冷却し、アルカリスクラバーを解放して二酸化炭素を抜いた。
次に混合物をガラスリアクターへ移動し、HPLCで分析した。
HPLC組成:2,6-ジヒドロキシ安息香酸38.43 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸34.6 %、レゾルシン9.40 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸16.42 %。
この混合物をpH = 5.5〜6まで濃塩酸で30℃で酸性化し、次に、エタノール/水を混合物から液体温度100℃で蒸留した。濃塩酸を添加してこの反応混合物をさらに12.5時間還流し、pH 5.5〜6に維持した。
100℃に12.5時間維持した後、HPLCによる反応生成物の組成は、2,6-ジヒドロキシ安息香酸55.25 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸3.6 %、レゾルシン20.35%、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸19.90 %であった。
2,4-ジヒドロキシ安息香酸の分解完了後、濃塩酸を混合物に添加し、pH 2.83とした。取得された固形物をろ過し、含水固形物をさらに水中でスラリー化した。これに、濃塩酸を添加し、pH 0.90とした。固形物をろ過、洗浄し、一定重量になるまで60 ℃で乾燥し、乾燥固形物11.8gを得た。(HPLC組成:4,6- ジヒドロキシイソフタル酸93.5、2,6-ジヒドロキシ安息香酸5.84 %)。
PH 2.83のろ液を濃塩酸でpH 0.9〜1.0までさらに酸性化し、1時間攪拌した。その結果得たスラリーを0℃まで冷却し、1時間攪拌し、ろ過した。含水ケーキをさらに水中で再度スラリー化し、55〜60℃で1時間攪拌して0℃まで冷却し、ろ過した。この固形物を氷水で洗浄し、一定重量になるまで60℃で乾燥して、2,6-ジヒドロキシ安息香酸の乾燥固形物99.2gを得た。(HPLC組成による純度96.4 %)
【0056】
例13
レゾルシン(2モル)220g、50 % (v/v)水エタノール1300 ml、炭酸カリウム138g (1.0 m)の混合物をステンレススチール高圧リアクターに加えた。混合物を二酸化炭素で5kgまで加圧し、170℃まで加熱し、170℃で5時間、二酸化炭素圧23〜25 kg/cm2で維持した。
この反応混合物を周囲温度まで冷却し、二酸化炭素を放出し、アルカリスクラバーに抜いた。
この混合物を30℃で、濃硫酸でpH 5.5〜6まで酸性化し、エタノール/水を混合物から液体温度98〜100 ℃で蒸留した。この反応混合物をさらに11時間還流に維持した。加熱中は濃硫酸を添加して反応混合物をpH 5.5〜6に維持した。
11時間後この反応生成物のHPLC組成は2,6-ジヒドロキシ安息香酸55.72 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸2.81 %、レゾルシン38.14 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸2.15 %(対比として、初期値の2,6-ジヒドロキシ安息香酸52.47 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸20.20 %、レゾルシン24.2 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸2.47 %)であった。
この反応生成物を周囲温度まで冷却し、濃硫酸を添加して混合物をpH 4にした。この混合物をろ過し、硫酸カリウムを除去した。ろ液を濃硫酸でpH 0.9〜1.0までさらに酸性化した。この反応生成物を1時間攪拌した。その結果得たスラリーを10℃まで冷却し、1時間攪拌し、ろ過した。含水固形物をさらに水中で再度スラリー化し、55〜60℃で1時間攪拌し、25℃まで冷却し、ろ過した。この固形物を水で洗浄し、60℃で一定重量になるまで乾燥して2,6-ジヒドロキシ安息香酸110.4gの乾燥固形物を得た。(HPLC組成による純度99.1 %)
水性ろ液にメチルエチルケトンを混合して数回抽出した。メチルエチルケトンの結合した抽出物を減圧下で濃縮し、142gの高粘性生成物を得た。このHPLC組成はレゾルシン85.7 %、2,6-DHBA7.8 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸1.6 %、4,6-ジヒドロキシ安息香酸2.1 %であった。
後蒸留残留物から高濃度のレゾルシンを含むメチルエチルケトンが得られ、これを再利用した。
【0057】
例14
例13で得たメチルエチルケトン142 gの濃縮生成物(レゾルシン1.107m、2,6-DHBA 0.072m)に90.3 gの新品レゾルシン(0.821モル)を混合し、レゾルシンの数量を2モル、炭酸カリウム151.8 g (1.10m)、50 % (v/v)水エタノール1300 mlに調節した。
この混合物を二酸化炭素で5 kgまで加圧し、170℃まで加熱し、170℃で5時間、二酸化炭素圧23〜25 kg/cm2で維持した。この反応混合物を周囲温度まで冷却し、二酸化炭素を放出し、アルカリスクラバーに抜いた。
この混合物を30℃で、濃硫酸でpH 5.5〜6まで酸性化し、エタノール/水を混合物から液体温度98〜100℃で蒸留した。この反応混合物をさらに12時間還流に維持した。加熱中は濃硫酸を添加して反応混合物をpH 5.5〜6に維持した。
12時間維持した後のHPLC組成は、2,6-ジヒドロキシ安息香酸55.48 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸0.1 %、レゾルシン41.04 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸0.93 %(対比として、初期値は2,6-ジヒドロキシ安息香酸35.52 %、2,4-ジヒドロキシ安息香酸30.21 %、レゾルシン26.27 %、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸6.41 %)であった。4,6-ジヒドロイソフタル酸は100℃で濃硫酸を使用したところ完全に脱炭酸された。
【0058】
この混合物にpH 3.96になるまで濃硫酸を添加した。このスラリーを30℃で1時間平衡させ、ろ過し、硫酸カリウムを除去した。ろ液をさらに、濃硫酸でpH 0.9〜1.0になるまで酸性化し、1時間攪拌した。その結果得たスラリーを10℃まで冷却し、1時間攪拌し、ろ過した。
含水固形物をさらに水中で再度スラリー化し、55〜60℃で1時間攪拌し、25℃まで冷却し、ろ過した。この固形物を水で洗浄し、60℃で一定重量になるまで乾燥して2,6-ジヒドロキシ安息香酸のケーキ76.5gを得た。(HPLC組成による純度99.0 %)
【0059】
例15
例13と14に示されるように、主反応および2,6-ジヒドロキシ安息香酸の分離後、水性ろ液を再利用した。
この水性ろ液を炭酸カリウムでpH 7に中和し、次に木炭で処理後、ろ過して木炭を除去した。この水性ろ液中のレゾルシン濃度をHPLCで測定し、レゾルシン2.0モルのバッチサイズにおけるレゾルシンの不足分は新品レゾルシンを添加して補完し、次に例13と14の手順でカルボキシル化した。
2,6-ジヒドロキシ安息香酸の収率は33 %(新品レゾルシンを使用)、水性ろ液の第一回再利用後で35 %、水性ろ液の第二回再利用後で32 %であった。
【0060】
「値の範囲が指定されている場合は常に、指定された値の範囲の最小値および最大値よりそれぞれ最大10 %小さい/大きい値が本発明の範囲に含まれる。」
【0061】
好ましい実施例について相当に強調してきたが、多様な実施形態が可能であるとともに、好ましい実施例においては多くの変更が発明の趣旨から乖離することなく可能であることは明らかである。好ましい実施例及び本発明の他の実施形態の以上のおよびその他の修正は、本発明に基く当該分野における当業者には自明である。この際本明細書は本発明の説明としてのみ解釈されるべきものであり、本発明を限定するものではない。
【0062】
本明細書全体を通して用語「成る」は、「構成される」あるいは「本明細書全体を通して用語「成る」又は「構成される」あるいは「包含する」等の表現は、記載されている要素、完全体(integer)、手順、あるいは、複数の要素、完全体、または手順の群を含意する一方、その他の要素、完全体、または手順あるいは、複数の要素、整数、または手順の群を除外するのではないものとして理解されるべきものである。
「少なくとも」または「少なくとも一つ」という表現の使用は、一つまたは複数の目標とする対象物または結果を達成するための本発明の実施例におい使用される場合があるように、一つまたは複数の要素または成分または数量の使用を意味する。
【0063】
本明細書に記載された文書、動作、材料、装置、文献等についての検討は本明細書においては発明に文脈を付与するための目的のみを持つ。以上の材料のうち任意のものまたは全てが既知の発明の基礎を成すまたは本発明に関連する分野において本願の優先権主張日より前に任意の場所に存在した共通の一般的知識であったものと、許容することを意味してはいない。
【0064】
異なる物理的パラメータ、寸法、または、数量について表記されている数値は概数にすぎず、本明細書において特に断らない限り、同パラメータ、寸法、または、数量に割り当てられた数値より高いまたは低い値も本発明の対象範囲に含まれる。
図1
図2
【国際調査報告】