(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-510849(P2016-510849A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(54)【発明の名称】再熱および容量整合によるコージェネ熱負荷整合
(51)【国際特許分類】
F02C 9/22 20060101AFI20160314BHJP
F02C 3/10 20060101ALI20160314BHJP
F02C 3/14 20060101ALI20160314BHJP
F23R 3/34 20060101ALI20160314BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20160314BHJP
F02C 3/073 20060101ALI20160314BHJP
F02C 9/28 20060101ALI20160314BHJP
F01D 15/08 20060101ALI20160314BHJP
【FI】
F02C9/22 B
F02C3/10 501
F02C3/14
F23R3/34
F02C6/00 B
F02C6/00 Z
F02C3/073
F02C9/28 D
F01D15/08 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-561332(P2015-561332)
(86)(22)【出願日】2013年12月23日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月4日
(86)【国際出願番号】US2013077465
(87)【国際公開番号】WO2014137456
(87)【国際公開日】20140912
(31)【優先権主張番号】61/785,950
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/773,103
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/135,532
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/773,100
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515243969
【氏名又は名称】インダストリアル タービン カンパニー (ユーケイ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Industrial Turbine Company (UK) Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ ルベル
(72)【発明者】
【氏名】カール カーソン
(57)【要約】
一例のガスタービンエンジンは、ガス発生機と、当該ガス発生機より下流に配置された再熱燃焼器と、当該再熱燃焼器より下流に配置された出力タービンとを有することができ、当該出力タービンは複数のノズル案内羽根を有する。再熱燃焼器は、当該再熱燃焼器の温度を上昇させて所要の排気温度に整合するために、燃料流を増加させるように構成されている。ノズル案内羽根は、前記所要排気温度に比例して、出力タービン入口における実容量を増加させるように構成されている。再熱燃焼器より上流のガス発生機出口における一定の見かけ容量は、温度および実容量の相互の比例増加に応じて、一定に保たれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生機と、
前記ガス発生機より下流の再熱燃焼器と、
複数のノズル案内羽根を備えた、前記再熱燃焼器より下流の出力タービンと
を有するガスタービンエンジンであって、
前記再熱燃焼器は、当該再熱燃焼器の温度を上昇させて所要排気温度に整合するために、燃料流を増加させるように構成されており、
前記ノズル案内羽根は、前記所要排気温度に比例して、前記出力タービンの入口における実容量を増加させるように構成されており、
前記再熱燃焼器より上流の、前記ガス発生機の出口における一定の見かけ容量は、前記温度および前記実容量の相互の比例増加に応じて、一定に保たれる
ことを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記再熱燃焼器と、前記出力タービンの部品セットとは、前記ガス発生機の出口における当該出力タービンの見かけ容量を設定するように構成されている、
請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
前記ノズル案内羽根は、前記出力タービンの入口における実容量を設定するように構成されており、
前記見かけ容量が一定に保たれる場合、前記出力タービンにおける実容量によって排気ガスの温度が決定される、
請求項2記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
前記ガス発生機は、前記再熱燃焼器に連通している2軸ガス発生機であり、
前記再熱燃焼器は、前記出力タービンに連通している、
請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記2軸ガス発生機は、
高圧圧縮機と、
高圧タービンと、
前記高圧圧縮機と前記高圧タービンとの間に接続された第1のシャフトと、
中圧圧縮機と、
中圧タービンと、
前記中圧圧縮機と前記中圧タービンとの間に接続された第2のシャフトと、
外部負荷に結合されている、前記中圧タービンより下流に設けられた低圧タービンと、
を有し、
前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとは相互に分離されている、
請求項4記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記ガス発生機は、前記再熱燃焼器に連通している3軸ガス発生機であり、
前記再熱燃焼器は、前記出力タービンに連通している、
請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
前記3軸ガス発生機は、
高圧圧縮機と、
高圧タービンと、
前記高圧圧縮機と前記高圧タービンとの間に接続された第1のシャフトと、
中圧圧縮機と、
中圧タービンと、
前記中圧圧縮機と前記中圧タービンとの間に接続された第2のシャフトと、
低圧圧縮機と、
外部負荷に結合された低圧タービンと、
前記低圧圧縮機と前記低圧タービンとの間に接続された第3のシャフトと
を有し、
前記第1のシャフトと、前記第2のシャフトと、前記第3のシャフトとは、相互に結合されていない、
請求項6記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
前記外部負荷は、発電機、ガス圧縮機および冷蔵装置のいずれか1つである、
請求項7記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記ガス発生機の出口から前記出力タービンの入口までの前記再熱燃焼器における圧力降下は、無視できる程度である、
請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記複数のノズル案内羽根は、コージェネレーション発電所により要求される熱負荷に対応する最適容量の一対の上下限を成す高実容量との低実容量との間の範囲内に、前記出力タービンの入口における実容量を設定するように構成されている、
請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
ガス発生機と、
前記ガス発生機より下流に配置された再熱燃焼器と、
前記再熱燃焼器より下流の出力タービンと
を有するガスタービンエンジンであって、
前記再熱燃焼器は、当該再熱燃焼器の温度を上昇させて所要排気温度に整合するために、燃料流を増加させるように構成されており、
前記出力タービンは、コージェネレーションプラントの熱負荷に整合するように構成された複数のノズル案内羽根を有し、
前記複数のノズル案内羽根は、複数の可変面積ノズル案内羽根であり、
前記可変面積ノズル案内羽根は、コージェネレーションプラントの可変の熱負荷に整合して、前記再熱燃焼器より上流の前記ガス発生機の出口における見かけ容量を一定に維持するため、当該再熱燃焼器の温度上昇に応じて、前記出力タービンの入口において複数の実容量を設定すべく変化するように構成されている
ことを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記再熱燃焼器と、前記出力タービンの部品セットとは、前記ガス発生機の出口における当該出力タービンの見かけ容量を設定するように構成されている、
請求項11記載のガスタービンエンジン。
【請求項13】
前記ノズル案内羽根は、前記出力タービンの入口における実容量を設定するように構成されており、
前記見かけ容量が一定に保たれる場合、前記出力タービンにおける実容量によって排気ガスの温度が決定される、
請求項12記載のガスタービンエンジン。
【請求項14】
前記ガス発生機は、2軸ガス発生機および3軸ガス発生機のうちいずれか1つである、
請求項11記載のガスタービンエンジン。
【請求項15】
コージェネレーションプラントの熱負荷要求に整合する方法であって、
再熱燃焼器の温度を上昇して所要排気温度に整合するため、当該再熱燃焼器の燃料流を増加させることと、
前記再熱燃焼器の上昇した前記温度に比例して、当該再熱燃焼器より下流の出力タービン入口における実容量を増加させることと、
前記実容量と前記温度との相互の比例増加に応じて、前記再熱燃焼器より上流のガス発生機出口における見かけ容量を一定に維持することと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
ノズル案内羽根の少なくとも2つのセットを組み合わせて、コージェネレーション発電所の最適容量を実現する構成にする、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
さらに、セットを成す複数の可変面積ノズル案内羽根を変化させることを含む、
請求項15記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記出力タービン入口における実容量を増加させるため、前記セットの前記可変面積ノズル案内羽根を開放することを含む、
請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互引用
本願は、米国仮出願第61/785,950号(出願日:2013年3月14日)、米国仮出願第61/773,103号(出願日:2013年3月5日)、米国仮出願第61/773,100号(出願日:2013年3月5日)および米国特許出願第14/135,352号(出願日:2013年12月19日)の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントにおいて電気および熱を生成するコージェネレーションシステム用のガスタービンエンジンを開示するものであり、具体的には、当該プラントの熱負荷要求を整合するように構成された再熱燃焼器および出力タービンを使用するガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0003】
熱電併給(「CHP」または「コージェネ」)とは、火力発電所によって電気および熱を同時に生産するものである。具体的には、典型的な発電所は、発電する1つまたは複数のガスタービンエンジンを有し、このガスタービンエンジンは、発電の副産物として、ある程度の量の熱を生じさせる。CHPはこの熱のうち一部または全部を捕捉して、病院、商業用ビル、または、発電所に地理的に近い場所に位置する他の種々の建物の暖房に用いる。他の一例としては、地区給水を加熱するためにCHPを用いることも可能である。
【0004】
通常のガスタービンエンジンには2種類あり、これには、元々工業発電用に設計されたもの(「工業用機」)と、典型的には航空エンジンから派生したもの(「航空用機由来型」)とが含まれる。前者は高重量であり、メンテナンスオーバーホールを行う頻度を少なくして長寿命を実現するため、ロバストな構成となっている。後者は、始動、負荷変動および遮断が工業用機よりも迅速に行われる。その上、航空用機由来型の圧力比は工業用機よりも大きく、高効率であり、かつ排気温度が低いので、複合サイクル型およびCHP型においてこの航空用機由来型が生成する蒸気は比較的少ない。CHPについて障害となり得るものに、発電所によって要求された通りに熱負荷および電気的負荷の量的および時期的な整合を行うことが含まれる。
【0005】
よって、ノズル案内羽根(「NGV」)の十分なセットを有する出力タービンおよび再熱燃焼器を用いて、または択一的に、熱負荷が可変である場合には可変ノズル案内羽根(「VNGV」)を用いて、いかなる熱負荷要求も満たすガスタービンエンジンを実現する必要がある。
【0006】
特許請求の範囲は、特定の実施例に限定されることはないが、その複数の実施例についての説明を読めば、本発明の種々の対象を最も良好に理解することができる。図面を参照すると、実施例の詳細が示されている。図面に実施例を示しているが、本図面は必ずしも実寸の比率通りであるとは限らず、実施例の特徴的な構成をより分かりやすく説明するため、特定の構成を誇張して示している場合がある。さらに、ここで開示している実施例は、以下の詳細な説明および図面にて記載および図示した具体的な形状や配置構成に絶対的に限定または減縮等するものではない。以下、図面を参照して、実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】再熱および容量整合によってコージェネ熱負荷整合を実現するように互いに協働する再熱燃焼器と出力タービンとを含む、一実施例のガスタービンエンジンの分解組立図である。
【
図2】可変面積ノズル案内羽根を備えた出力タービンを含む、他の一実施例のガスタービンエンジンの分解組立図である。
【
図3】
図1の出力タービンの実容量に対応するコージェネレーション熱負荷のグラフである。
【
図4】
図1に示したガスタービンエンジンの概略図である。
【
図5】他の一実施例のガスタービンエンジンの概略図である。
【0008】
詳細な説明
以下の記載と図面とを参照すれば、実施例の詳細が分かる。図面には、一部の実施可能な態様を示しているが、本図面は必ずしも実寸の比率通りであるとは限らず、本発明をより分かりやすく説明するため、特定の構成を誇張もしくは除去し、または特定の構成の一部断面のみを示している場合がある。さらに、ここで記載している説明は、特許請求の範囲を、以下の詳細な説明および図面にて記載および図示した具体的な形状や配置構成に絶対的に限定または減縮等するものではない。
【0009】
一例のガスタービンエンジンは、ガス発生機と、当該ガス発生機より下流に配置された再熱燃焼器と、当該再熱燃焼器より下流に配置された出力タービンとを有することができ、当該出力タービンは複数のノズル案内羽根を有する。再熱燃焼器は、当該再熱燃焼器の温度を上昇させて所要の排気温度に整合するために、燃料流を増加させるように構成されている。ノズル案内羽根は、前記所要排気温度に比例して、出力タービン入口における実容量を増加させるように構成されている。再熱燃焼器より上流のガス発生機出口における一定の見かけ容量は、温度および実容量の相互の比例増加に応じて、一定に保たれる。
【0010】
他の一例のガスタービンエンジンは、ガス発生機と、当該ガス発生機より下流に配置された再熱燃焼器と、当該再熱燃焼器より下流に設けられた出力タービンとを有することができ、当該再熱燃焼器は、再熱燃焼器の温度を上昇させて所要の排気温度に整合するために、燃料流を増加させるように構成されている。出力タービンは、コージェネレーションプラントの熱負荷に整合するように構成された複数のノズル案内羽根を有し、当該ノズル案内羽根は、再熱燃焼器の温度上昇に応じて、出力タービン入口において複数の実容量を設定すべく変化するように構成された可変面積ノズル案内羽根(「VNGV」)である。このような構成により、ガスタービンエンジンはコージェネレーションプラントの可変の熱負荷に整合することとなり、再熱燃焼器より上流のガス発生機出口における見かけ容量を一定に維持することができる。
【0011】
コージェネ発電所により要求される熱負荷に整合する方法の一例は、再熱燃焼器の温度を上昇させて所要排気温度に整合するため、当該再熱燃焼器への燃料流を増加させるステップを含むことができる。この方法はまた、再熱燃焼器の上昇した当該温度に比例して、当該再熱燃焼器より下流の出力タービン入口における実容量を増加させるステップも含むことができる。さらに前記方法は、前記実容量と温度との相互の比例増加に応じて、前記再熱燃焼器より上流のガス発生機出口における見かけ容量を一定に維持することも含むことができる。
【0012】
図1を参照すると、一実施例のガスタービンエンジン100は一般的に、ガス発生機102と、出力タービン104と、再熱燃焼器106とを有することができ、当該再熱燃焼器106はガス発生機102と出力タービン104との間に配置される。一例では、出力タービン104は、ノズル案内羽根のセット107(「NGV」)を有することができ、このノズル案内羽根セット107は、出力タービン104の入口108において実容量を、または当該出力タービン104内を流れる体積流量を設定するように構成されている。とりわけ、前記NGVセットは、コージェネ発電所により要求される熱負荷のための最適容量に対応する高容量と低容量との間の範囲内に実容量を設定するように構成することができる。コージェネ発電所熱負荷のためのこの最適容量は、2つのNGVセット間に貯蔵しておくことが可能である。その際には、2つ以上のNGVセットを混合して整合することにより、たとえば、1つのセットは使用可能な高実容量を設定し、他の1つのセットは使用可能な低実容量を設定し、これらを合わせて得られる実容量が、コージェネ発電所により要求された熱負荷に相応する熱負荷を生成するようにすることが可能である。
【0013】
図2に示した他の一実施例のガスタービンエンジン200は出力タービン204を有する。同図のガスタービンエンジン200の大部分は、
図1のガスタービンエンジン100と同様の構成であり、その出力タービン204の、出力タービン104と同様の構成要素には、200番台の同様の符号を付している。しかし、それぞれ1つの実容量のみを設定するように構成された2つ以上の固定面積NGVセットを組み合わせたものを有する
図1の出力タービン104とは異なり、
図2の出力タービン204は、可変面積ノズル案内羽根のセット207(「VNGV」)を有することができ、この可変面積ノズル案内羽根セット207の構成は、複数の実容量を設定し、コージェネ発電所により要求された可変の熱負荷に整合ために変化するように構成されている。よって、VNGVを変化または調整することにより、出力タービン入口208内に流れる体積流量または実容量を調整し、コージェネ発電所の可変の熱負荷に整合することが可能である。たとえば、コージェネ発電所が日中に必要とする熱負荷は、夜間に必要とされる熱負荷より高くなることがある。したがって、日中には、出力タービン入口における体積流量または実容量を増大させて、VNGVが夜間に設定する実容量または体積流量より大きくするため、当該VNGVを開放または変化させることが可能である。
【0014】
再び
図1を参照すると、再熱燃焼器106は流入部110と流出部112とを有することができる。流入部110はガス発生機出口114に対して設けられており、当該流入部110は、出力タービン104内における、当該ガス発生機出口114に対応した見かけ容量または体積流量に対応して設けられている。また、流出部112は出力タービン入口108に対して設けられており、当該流出部112は、出力タービン104内における、当該出力タービン入口108に対応した実容量または実体積流量に対応して設けられている。流入部110と流出部112との間における再熱燃焼器106の圧力降下は無視できる程度のものであり(P
2=P
1)、燃焼過程の効率は最大100%とすることができ、2つの平面間において冷却空気が取り出されたり注入されることはない(W1=W
2−W
fuel)。これらの条件に基づき、タービンエンジン100の下流タービン容量Qを以下の数式セットによって表すことができる。
【0015】
ガス発生機(GG)出口流における出力タービン104の見かけ容量Q
1と流入部110とに関する流れ関数は、以下のようになる:
(数式1) Q
1=W
1√T
1/P
1
【0016】
さらに、出力タービン104の入口108における当該出力タービン104の実容量Q
2と流出部112とに相当する流れ関数は、以下のようになる:
(数式2) Q
2=W
2√T
2/P
2
【0017】
P
2=P
1であると仮定すると、数式2は、
Q
2=W
2√T
2/P
1
P
1=W
2√T
2/Q
2
となる。
【0018】
数式1に代入すると、以下のようになる:
Q
1=W
1√T
1/(W
2√T
2/Q
2)
=(W
1/W
2)*(√T
1/√T
2)*Q
2
=((W
2−W
fuel)/W
2)*(√T
1/√T
2)*Q
2
=(1−(W
fuel/W
2))*(√T
1/√T
2)*Q
2
【0019】
本実施例の燃料流がコア流の2%であると仮定すると、W
fuel=W
2の2%となる。
(数式3) Q
1=0.98*(√T
1/√T
2)*Q
2
【0020】
したがって、数式3から、実容量Q
2を比例増加して見かけ容量Q
1を一定値に維持することにより熱負荷要求に整合するためには、再熱温度T
2を上昇して排気温度を上昇させることが可能であることが分かる。
【0021】
図3に、数式3によるガスタービンエンジン100の動作を示す。また、ガス発生機102の作動サイクル全体における熱負荷が変化する場合、可変の実容量Q
2を設定するように構成された出力タービン104を用いることによって、ガス発生機出口114における所望の見かけ容量を維持できることが、数式3から明らかである。したがって、1つのガス発生機を複数の用途に用いることができ、これにより、インベントリとエンジンの変形態様とを最小限にすることができ、かつ、ガスタービンサイクルを熱負荷要求に合わせて調整することにより、コージェネ発電所効率と出力とを改善することもできる。
【0022】
図3には、複数のガスタービンエンジンにより設定される複数の異なる熱負荷を示している。たとえば、データ項目116は、コージェネ熱負荷供給所要量が低いコージェネプラントに設置される、複数のNGVセットを組み合わせたものを備えたガスエンジンタービンの一例を表している。この組み合わされた複数のNGVセットは、固定熱負荷のプラントの第1の熱負荷要求118に一致するかまたは当該第1の熱負荷要求118を満たすのに十分な低い再熱出口温度T
2で、ガス発生機の所要見かけ容量Q
1を規定値に維持するため、小さい容量Q
2を設定するように構成されている。データ項目120は、複数のNGVセットを組み合わせたものを備えた、中間的なコージェネ熱負荷の他の一例のガスエンジンタービンを表しており、当該NGVセットは、固定熱負荷プラントの第2の熱負荷要求122を満たすかまたは当該第2の熱負荷要求122に一致するのに十分な中程度の再熱出口温度T
2で、ガス発生機の所要見かけ容量Q
1を事例116と同じ規定値に維持するため、中程度の容量Q
2を設定するように構成されている。データ項目124は、複数のNGVセットを組み合わせたものを備えた、さらに他の一例のガスエンジンタービンを表しており、当該ガスタービンエンジンのコージェネ熱負荷は高い。この複数のNGVセットは、固定熱負荷プラントの第3の熱負荷要求126を満たすかまたは当該第3の熱負荷要求126に一致するのに十分な高い再熱出口温度T
2で、ガス発生機の所要見かけ容量Q
1を事例116と同じ規定値に維持するため、高い容量Q
2を設定するように構成されている。さらに、連続体バー128は、可変面積ノズル案内羽根を備えたガスタービンエンジンの一例を表しており、この可変面積ノズル案内羽根は、コージェネプラント所要排気熱要求に応じて低い再熱出口温度118から高い再熱温度126まで変化する可変の再熱出口温度T
2の組合せに応じて、ガス発生機の所要見かけ容量Q
1を一定の規定値に維持するため、事例116と事例124との間で実容量Q
2を変化させるように構成されている。この可変容量は、上記の数式3を満たすように、再熱燃料流量に相関する再熱出口温度に比例して変化させることができる。
【0023】
図4を参照すると、2軸ガス発生機402が再熱燃焼器406に連通しており、この再熱燃焼器406は、出力タービン404または低圧タービンに連通している。このガス発生機402は、高圧圧縮機450と、高圧タービン452と、第1のシャフト454とを有しており、当該第1のシャフト454は高圧圧縮機450と高圧タービン452との間に接続されている。ガス発生機402はさらに、中圧圧縮機456と、中圧タービン458と、第2のシャフト460とを有することもでき、当該第2のシャフト460は中圧圧縮機456と中圧タービン458との間に接続される。また、前記低圧タービン404を中圧タービン458より下流に配置して、外部負荷462に結合することも可能である。第1のシャフト454および第2のシャフト460は相互に分離している。
【0024】
低圧タービンまたは出力タービン404は、たとえばノズル案内羽根セット等の、複数の異なる部品セットを有することができ、各セットがそれぞれ、出力タービン入口408において異なる実容量Q
2を生成することができる。出力タービンの見かけ容量と実容量との比は、再熱燃焼器406における所望の温度上昇量に依存するので、ガス発生機出口414における容量Q
1が一定に保たれる場合、より大きな容量を設定するように構成された出力タービン部品セットによって、再熱温度T
2を高くすることができる。よって、高温を必要とする場合には、コージェネ発電所の温度を高くすることができる。
【0025】
図5を参照すると、3軸ガスタービンエンジン500が低圧タービン504を有しており、この3軸ガスタービンエンジン500の大部分は、低圧タービン404を備えた
図4の2軸ガスタービンエンジン400と同様の構成である。しかし、ガスタービンエンジン500はさらに低圧圧縮機550を有し、前記低圧タービン504は第3のシャフト564によって低圧圧縮機550に結合されている。低圧タービンはさらに、外部負荷562にも結合されている。外部負荷562の例として、発電機、ガス圧縮機または冷蔵冷凍装置が含まれる。低圧タービン504は、たとえばノズル案内羽根セット等の、複数の異なるタービン部品セットを有することができ、各セットがそれぞれ、出力タービン入口508において異なる実容量を生成することができる。タービン見かけ容量とタービン実容量との比は、再熱モジュールにおける温度上昇量に依存するので、より大容量のセットを用いることにより、再熱温度T
2を高くすることができ、よって、高温を必要とする場合、コージェネ発電所の排気温度をより高くすることができる。
【0026】
上記方法および装置は、一部の構成要素やステップを除くように変更することができ、または、他の構成要素やステップを追加して変更することも可能であり、これらの変更はすべて、本発明の思想の範囲内であるとみなされるものであることは明らかである。特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の思想を逸脱することなく、これらの特定の実施形態に施すことが可能な改良や変更は、種々存在することが明らかである。本願明細書および図面は、本発明の思想を限定するものではなく、単なる一例であると解すべきものである。
【国際調査報告】