特表2016-511374(P2016-511374A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-511374燃料電池システムのための流体インターフェースモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-511374(P2016-511374A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】燃料電池システムのための流体インターフェースモジュール
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/14 20060101AFI20160318BHJP
   H01M 8/04225 20160101ALI20160318BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20160318BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20160318BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20160318BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20160318BHJP
   F16K 31/02 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   F16K7/14 A
   H01M8/04 X
   H01M8/04 Y
   H01M8/04 N
   F16K31/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-562378(P2015-562378)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月4日
(86)【国際出願番号】IB2014000817
(87)【国際公開番号】WO2014140809
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】13/836,789
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】イアコニス、ジャン−ルイ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】タム、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
3H062
5H127
【Fターム(参考)】
3H062AA01
3H062AA12
3H062BB33
3H062CC10
3H062DD11
3H062FF21
3H062HH10
5H127AA06
5H127AA07
5H127AA09
5H127AB05
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA24
5H127BA59
5H127BA60
5H127DA01
5H127DA11
5H127DC02
5H127DC09
5H127DC56
5H127DC90
5H127EE19
(57)【要約】
手動でONにするが、燃料電池(108)の電気の生成が既定のレベル、例えば、定常状態またはその付近に到達すると自動的または電気的にOFFになるパージ弁(109、109'、200)が開示される。パージ弁は、システム始動時に開放されてもよいし、あるいは、システムシャットダウン時に開放されて、次回の始動時にパージ弁の準備ができており、かつ燃料電池システムがパージされているようにしてもよい。また、これらのパージ弁のうちの1つを含む様々な流体に関わる構成要素を含む一体型流体インターフェースモジュール(10)も開示される。一体型流体インターフェースモジュール(10)は、受動的に、またはプロセッサにより能動的に制御されることなく動作できる。また、燃料電池システムがシステム始動の際にパージまたは排気される燃料電池システムの動作方法が開示される。パージは、アノードプレナムが完全にパージされ、燃料と置き換わった時に、自動的に停止する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブであって、
入口と、出口と、ダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムを前記入口または出口に向けて封止位置まで付勢して、前記バルブを閉じる付勢部材と、
前記付勢部材を開位置まで動かして、前記ダイヤフラムを前記入口または出口から離れるように動かすことができるようにして、前記バルブを開放するスライダと、
前記付勢部材に接続され、電流によって作動されて、前記付勢部材を前記開位置に動かす、形状記憶合金(SMA)アクチュエータと
を備える、バルブ。
【請求項2】
バルブであって、
入口と、出口と、ダイヤフラムと、前記入口または出口から離れるように付勢される付勢部材と、
一方の方向に動いて、前記付勢部材及び前記ダイヤフラムを前記入口または出口に向けて封止位置まで動かして、前記バルブを閉鎖するスライダであって、前記スライダが、別の方向に動いて、前記付勢部材を開位置まで動かして、前記ダイヤフラムを前記入口または出口から離れるように動かすことができるようにして、前記バルブを開放する、スライダと、
前記付勢部材に接続され、電流によって作動されて、前記付勢部材を前記開位置に動かす、形状記憶合金(SMA)アクチュエータと
を備える、バルブ。
【請求項3】
前記電流が、燃料電池によって始動の間または動作の間に生産される、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記SMAアクチュエータが、前記燃料電池の電流から隔てられて、前記付勢部材が前記封止位置に戻ることができるようにする、請求項3に記載のバルブ。
【請求項5】
前記付勢部材を前記開位置に保つ所定の位置に前記スライダを保持するためのラッチ機構をさらに備える、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項6】
作動させると、前記SMAアクチュエータが、前記付勢部材を動かして、前記ラッチ機構を解除し、かつ前記スライダを解除する、請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記スライダが少なくとも1つのばねにより付勢される、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項8】
前記付勢部材が、片持ち梁である、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項9】
前記ダイヤフラムが、前記SMAアクチュエータを前記バルブを通過する流体から隔てるように配置される、請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項10】
バルブであって、
形状記憶合金(SMA)アクチュエータに連結された、実質的に一定の直径を有する本体部分を備える可動シャトルであって、前記本体部分が、封止部分と、開放部分とを有し、閉鎖配置では、前記封止部分が、封止部材に隣接して配置されて、封止部を形成し、開放配置では、前記開放部分が、前記封止部材に隣接して配置されて、前記バルブを通る流路を形成する、可動シャトルを備え、
前記シャトルが前記閉鎖配置から前記開放配置に動かされると、前記SMAアクチュエータが燃料電池に電気的に接触し、前記燃料電池からの前記電力が前記SMAアクチュエータを収縮させて、前記シャトルを前記閉鎖配置に動かし、前記SMAアクチュエータを前記燃料電池から係脱させる、
バルブ。
【請求項11】
前記本体部分が、前記開放部分に配置される切り欠きをさらに備え、前記流路が、前記切り欠きを通る流れを含む、請求項10に記載のバルブ。
【請求項12】
前記SMAワイヤが、2つの固定された柱の間に支持される、請求項10に記載のバルブ。
【請求項13】
前記SMAワイヤが、前記シャトルの前記本体部分上の溝内に挿入される、請求項10に記載のバルブ。
【請求項14】
請求項1、2または10のいずれか1項に記載のバルブと、前記燃料電池システムをONにするスイッチとを備える燃料電池システムであって、前記スイッチが前記バルブを開く、燃料電池システム。
【請求項15】
前記燃料電池システムがONになった時に、前記スイッチが前記バルブを開く、請求項14に記載の燃料電池システム。
【請求項16】
前記燃料電池システムがOFFになった時に、前記スイッチが前記バルブを開く、請求項14に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
燃料電池システムであって、請求項1、2または10のいずれか1項に記載のバルブと、伸長して燃料カートリッジの遮断弁を開放し、収縮して前記遮断弁を閉じるインターフェースポートとを備える、燃料電池システム。
【請求項18】
燃料電池システムであって、請求項10に記載のバルブと、伸長して燃料カートリッジの遮断弁を開放し、収縮して前記遮断弁を閉じるインターフェースポートとを備え、前記インターフェースポートが、前記インターフェースポートが伸張した時に前記シャトルを前記開放配置に押す、燃料電池システム。
【請求項19】
燃料電池システムであって、請求項10に記載のバルブと、伸長して燃料カートリッジの遮断弁を開放し、収縮して前記遮断弁を閉じるインターフェースポートとを備え、前記インターフェースポートが、前記インターフェースポートが収縮した時に前記シャトルを前記開放配置に押す、燃料電池システム。
【請求項20】
前記燃料電池からの前記電力が、始動時の前記燃料電池の調整フェーズの間に生産される、請求項1、2または10のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項21】
前記SMAアクチュエータが、前記調整フェーズの終了付近で収縮する、請求項20に記載のバルブ。
【請求項22】
ユーザが前記バルブを前記閉鎖配置から前記開放配置に動かす、請求項1、2または10のいずれか1項に記載のバルブ。
【請求項23】
少なくとも1つの燃料電池を備える燃料電池システムに燃料カートリッジを接続する、一体型流体インターフェースモジュールであって、前記モジュールが、
収縮可能なインターフェースポートであって、前記インターフェースポートが前記燃料カートリッジの遮断弁を開く伸長位置と、前記遮断弁が閉鎖されている収縮位置との間で移動可能である、収縮可能なインターフェースポートと、
前記少なくとも1つの燃料電池のアノード室をパージするパージ弁と、
スイッチと
を備え、
前記スイッチを作動させて、前記インターフェースポートを前記伸長位置及び前記収縮位置の間で動かし、前記パージ弁を開放配置に動かす、
モジュール。
【請求項24】
前記パージ弁が、前記燃料電池システムの始動時に前記開放配置に動かされる、請求項23に記載の一体型流体インターフェースモジュール。
【請求項25】
前記パージ弁が、前記燃料電池システムのシャットダウン時に前記開放配置に動かされる、請求項23に記載の一体型流体インターフェースモジュール。
【請求項26】
少なくとも1つの燃料電池を備える燃料電池システムに燃料カートリッジを接続する、受動一体型流体インターフェースモジュールであって、前記モジュールが、
収縮可能なインターフェースポートであって、前記インターフェースポートが前記燃料カートリッジの遮断弁を開く伸長位置と、前記遮断弁が閉鎖されている収縮位置との間で移動可能である、収縮可能なインターフェースポートと、
前記少なくとも1つの燃料電池のアノード室をパージするパージ弁と、
スイッチと
を備え、
前記パージ弁が、前記スイッチを作動させることによって手動で開放され、
前記燃料電池が、プロセッサにより能動的に制御されることなく、あるいは別の電力源により電力を供給されることなしに、前記少なくとも1つの燃料電池からの電力により前記パージ弁を閉じる、
モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、燃料電池システムのための流体インターフェースモジュールに関し、より具体的には、モバイル燃料電池電源内にあり、水素源に接続するように適合される、一体型流体インターフェースモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池とは、反応物質、すなわち、燃料及び酸化剤の化学的エネルギーを直流(DC)電力に直接変換する装置である。リチウムイオン電池などの携帯用蓄電池はもちろんのこと、化石燃料の燃焼などの従来型の発電よりも燃料電池の方が高効率となる用途の数が増えている。特に、燃料電池の1つの使用法は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、個人向けゲーム機、グローバルポジショニング装置、充電式バッテリーなどの携帯用またはモバイルの民生用電子デバイスのためのモバイル電源となることである。
【0003】
既知の燃料電池には、アルカリ形燃料電池、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池及び酵素燃料電池が含まれる。燃料電池は、一般に、水素(H2)燃料で作動し、純水素以外の水素燃料も消費することができる。純水素以外の燃料電池には、メタノールを使用する直接メタノール燃料電池(DMFC)などの直接酸化形燃料電池、または炭化水素を高温で使用する固体酸化物形燃料電池(SOFC)が含まれる。水素燃料は、圧縮した形態で貯蔵することもできるし、あるいは、アルコールもしくは炭化水素などの化合物、または水素燃料及び副生成物に改質または変換し得る他の水素含有物質内に貯蔵することもできる。水素はまた、水またはアルコールと反応して水素及び副生成物を生成する、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)などのケミカルハイドライドに貯蔵することもできる。水素はまた、第1の圧力及び温度でランタン−ペンタニッケル(LaNi5)などのメタルハイドライドに吸着または吸収させ、その後、第2の圧力及び温度で燃料電池に放出させることもできる。水素はまた、水素化マグネシウム(MgH2)などのメタルハイドライドの加熱分解を通じて放出することもできる。
【0004】
ほとんどの低温型水素燃料電池は、水素イオン(proton)交換膜または高分子電解質膜(PEM)を有し、これは、水素の水素イオン(hydrogen'sproton)を通過させるが、電子を外部回路へ通す。外部回路は、有利なことに、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、電動工具、または電子の流れすなわち電流を使用する任意の装置であり得る。燃料電池の反応は、次のように表すことができる。
燃料電池のアノードでの半反応:
H2→2H+2e
燃料電池のカソードでの半反応:
2(2H+2e)+O2→2H2O
【0005】
一般に、PEMは、パーフルオロスルホン酸ポリマーであるDuPont社から入手可能であるNafion(登録商標)など、電解質として作用する水素イオン交換ポリマーまたは他の好適な膜から作られる。アノードは、典型的には、テフロン(テフロンは商標である)加工された(Teflonized)炭素紙製の支持体から作られ、その上には、白金ルテニウムなどの触媒の薄層を堆積させてある。カソードは、典型的には、白金粒子を膜の片側に結合させてあるガス拡散電極である。
【0006】
特許文献及び科学文献においては、水素燃料の生成、流体の制御、周辺機器(balanceofplant)及び発電を含む、完全かつ商業利用可能な燃料電池システムがほとんど開示されていない。これらの文献は、燃料電池システム、特に、モバイル燃料電池システムのための流体インターフェースシステムについて論じていない。したがって、そのような燃料電池システムに関する必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料電池システムのための一体型流体インターフェースシステムまたはモジュールを対象とし、このシステムまたはモジュールは、水素などの燃料源と組み合わされ、流入する燃料圧力を燃料電池で使用可能な低い圧力に調整し、ユーザが燃料電池システムをONまたはOFFにした時に、燃料電池内の燃料プレナムをパージする。ユーザがしなければならない動作はそれだけである。一実施形態では、一体型流体インターフェースシステムは、モジュール上の流体に関わる構成要素をすべて作動させるために、単一のスイッチまたはON/OFFボタンを有する。
【0008】
本発明は、燃料電池システムのための受動一体型インターフェースシステムまたはモジュールをさらに対象とし、このシステムまたはモジュールは、ユーザによるON/OFF作動、水素などの流入する燃料の圧力及び燃料電池が発電した電気以外の電源によって電力を供給されることなしに、コントローラまたはマイクロプロセッサで能動的に制御されることなく前節で論じた機能を行う。そのような電源には、内部電池もしくは外部電池、または燃料電池システムが電力を供給する装置からの電力が含まれるが、限定されるものではない。
【0009】
本発明はまた、燃料電池システムの動作方法に関し、燃料電池システムは、システム始動の際にパージまたは排気される。パージは、アノードプレナムが完全にパージされ、その内容物が燃料と置き換わった時に、自動的に停止する。本発明はまた、手動でONにするのであるが、燃料電池の電気の生成が既定のレベル、例えば、定常状態またはその付近に到達すると自動的にOFFになる独創的なパージ弁に関する。パージ弁は、システム始動時に開放されてもよいし、あるいは、システムシャットダウン時に開放されて、次回の始動時にパージ弁の準備ができており、かつ燃料電池システムがパージされているようにしてもよい。一実施形態では、本発明のパージ弁は、機械的に作動または準備されて開き、電気で作動されて閉じる。
【0010】
本発明は、パージ弁として機能し得るバルブに関し、バルブは、形状記憶合金(SMA)アクチュエータに連結された、実質的に一定の直径を有する本体部分を有する、可動のシャトルを備える。本体部分は、封止部分と、開放部分とを有し、閉鎖配置では、封止部分が、封止部材に隣接して配置されて、封止部を形成し、開放配置では、開放部分が、封止部材に隣接して配置されて、バルブを通る流路を形成する。シャトルが閉鎖配置から開放配置に動かされると、SMAアクチュエータが燃料電池に電気的に接触し、そして、燃料電池からの電力がSMAアクチュエータを収縮させて、シャトルを閉鎖配置に動かし、かつSMAアクチュエータを燃料電池から係脱させる。本体部分は、開放部分に配置される切り欠きを画定し、流路は、切り欠きを通る流れを含む。
【0011】
本発明はさらに、パージ弁として機能し得る別のバルブに関し、入口と、出口と、ダイヤフラムと、ダイヤフラムを入口または出口に向けて封止位置まで付勢して、バルブを閉じる付勢部材と、付勢部材を開位置まで動かして、ダイヤフラムを入口または出口から離れるように動かすことができるようにして、バルブを開放するスライダとを備える。バルブはまた、付勢部材に接続された形状記憶合金(SMA)アクチュエータを有し、電流によって作動されて、付勢部材を開位置に動かす。バルブは、付勢部材を開位置に保つスライダを所定の位置に保持するためのラッチ機構をさらに備える。好適には、ダイヤフラムは、バルブを通る流体からSMAアクチュエータを隔てるように配置されて、SMAワイヤと流体との間における熱伝達を最小化する。
【0012】
本発明はさらに、本明細書で説明するパージ弁、及び燃料電池システムをONまたはOFFにするためのスイッチのうちの1つを備える燃料電池システムに関し、スイッチが、開放配置にバルブを押す。ON/OFF押しボタンのスイッチは、付勢された部材を閉鎖配置から離れるように開放配置に押すように適合される1つのバルブのスライダを押してもよい。スイッチは、別のバルブのシャトルの肩部を開放配置に押すように適合されるプッシャを備える。スイッチは、燃料電池システムがONになった時または燃料電池システムがOFFになった時、シャトルを開放配置に押してもよい。
【0013】
本発明はさらに、本明細書で説明するパージ弁、及び伸長して燃料カートリッジの遮断弁を開放し、収縮して遮断弁を閉じるインターフェースポートのうちの1つを備える燃料電池システムに関し、インターフェースポートが、シャトルを開放配置に押す。インターフェースポートは、インターフェースポートが伸長した時またはインターフェースポートが収縮した時に、1つのパージ弁のシャトルを開放配置に押す。インターフェースポートは、シャトルの肩部を開放配置に押すように適合されるプッシャを備える。インターフェースポートはまた、別のパージ弁のスライダを押して、バルブを開放配置に動かしてもよい。
【0014】
本発明はさらに、少なくとも1つの燃料電池を備える燃料電池システムに燃料カートリッジを接続する、一体型流体インターフェースモジュールに関する。モジュールは、インターフェースポートが燃料カートリッジの遮断弁を開く伸長位置と、遮断弁が閉鎖されている収縮位置との間で移動可能である収縮可能なインターフェースポートと、少なくとも1つの燃料電池のアノード室をパージするパージ弁と、スイッチとを備える。スイッチを作動させて、インターフェースポートを伸長位置及び収縮位置の間で動かし、パージ弁を開放配置に動かす。燃料電池システムの始動時または燃料電池システムのシャットダウン時に、パージ弁を開放配置に動かしてもよい。
【0015】
本発明はまた、少なくとも1つの燃料電池を備える燃料電池システムに燃料カートリッジを接続する、受動一体型流体インターフェースモジュールに関する。モジュールは、インターフェースポートが燃料カートリッジの遮断弁を開く伸長位置と、遮断弁が閉鎖されている収縮位置との間で移動可能である収縮可能なインターフェースポートと、少なくとも1つの燃料電池のアノード室をパージするパージ弁と、スイッチとを備える。パージ弁は、スイッチを作動させることにより手動で開放され、燃料電池は、プロセッサにより能動的に制御されることなく、あるいは別の電力源により電力を供給されることなしに、少なくとも1つの燃料電池からの電力によりパージ弁を閉じる。
【0016】
本明細書の一部を形成し、これと共に読まれるべきものであり、類似の参照番号が、様々な図及び様々な実施形態において類似の部品を指すように用いられる、添付の図面において:
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の一体型流体インターフェースモジュール10の基準面22からの斜視図である。
図1B】本発明の一体型流体インターフェースモジュールの基準面22の反対側にある基準面24からの斜視図である。
図1C図1Bの断面図である。
図2A】例示的な燃料カートリッジの上方斜視図である。
図2B】例示的なカートリッジ遮断弁の断面図である。
図2C】例示的なカートリッジ遮断弁の断面図である。
図2D】例示的な燃料電池システムの下方斜視図である。
図3A図1Bの部分分解図である。
図3B】モジュールインターフェースポート18の作動を示す図1Bの断面図である。
図3C】モジュールインターフェースポート18の作動を示す図1Bの断面図である。
図4A】スイッチ12によるモジュールインターフェースポート18の一連の作動を示す、基準面24からの本発明の一体型流体インターフェースモジュール10の斜視図である。
図4B】スイッチ12によるモジュールインターフェースポート18の一連の作動を示す、基準面24からの本発明の一体型流体インターフェースモジュール10の斜視図である。
図4C】スイッチ12によるモジュールインターフェースポート18の一連の作動を示す、基準面24からの本発明の一体型流体インターフェースモジュール10の斜視図である。
図4D】スイッチ12によるモジュールインターフェースポート18の一連の作動を示す、基準面24からの本発明の一体型流体インターフェースモジュール10の斜視図である。
図5】圧力調整器60の個々の部品を示す、図1Bの部分分解図である。
図6A】燃料マニホールドを示す、本発明の一体型流体インターフェースモジュールの基準面22からの斜視図である。
図6B】圧力フィードバック流路を示す、本発明の一体型流体インターフェースモジュールの基準面24からの斜視図である。
図7】例示的な燃料電池の断面図である。
図8A】本発明のパージ弁を示す、本発明の一体型流体インターフェースモジュールの基準面22からの部分分解図である。
図8B図8Aのさらなる部分分解図である。
図8C図1Cと同様であるが、基準面22からの図である。
図8D図8Cのパージシャトルの拡大図である。
図8E】パージ流マニホールドを示す、本発明の一体型流体インターフェースモジュールの基準面24からの斜視図である。
図9】本発明のパージシャトルの3つの斜視図である。
図10A】本発明のパージ弁の開放及び閉鎖配置を示す、図8Cと同様の図である。
図10B】本発明のパージ弁の開放及び閉鎖配置を示す、図8Cと同様の図である。
図10C】PC基板を有する本発明の一体型流体インターフェースモジュールを示す分解図である。
図10D】逆パージ弁を有する本発明の一体型流体インターフェースの断面図である。
図11】代替的なパージシャトルの斜視図である。
図12】代替的なモジュールインターフェースポートの斜視図である。
図13】別の代替的なパージシャトルの斜視図である。
図14】本発明の燃料電池システムの動作方法を説明する流れ図である。
図15】本発明の燃料電池システムの動作方法を説明する流れ図である。
図16】別の一体型流体インターフェースモジュールの断面図である。
図17A】一体型流体インターフェースモジュールの作動を示す、一体型流体インターフェースモジュールの斜視図である。
図17B】一体型流体インターフェースモジュールの作動を示す、一体型流体インターフェースモジュールの斜視図である。
図18A】オフ、オン及び解除配置にある、別のパージ弁の斜視図である。
図18B】オフ、オン及び解除配置にある、別のパージ弁の斜視図である。
図18C】オフ、オン及び解除配置にある、別のパージ弁の斜視図である。
図18D図18Aに示す、パージ弁の長軸に沿った断面図である。
図18E図18BCに示す、パージ弁の長軸に沿った断面図である。
図18F図18Cに示す、パージ弁の長軸に沿った断面図である。
図19A】オフ及びオン配置にある、さらに別のパージ弁の斜視図である。
図19B】オフ及びオン配置にある、さらに別のパージ弁の斜視図である。
図19C図19Aに示す、パージ弁の長軸に沿った断面図である。
図19D図19Bに示す、パージ弁の長軸に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書の最後に、図面で使用した参照番号を本明細書で使用した部品名に対応させている部品リストを記す。
【0019】
本発明の一体型流体インターフェースモジュールは、メタノールもしくはブタンの燃料カートリッジ、水素貯蔵装置、または水素発生装置などの燃料カートリッジをPEM燃料電池、DMFC、SOFC、または他の燃料電池などの燃料電池に接続する流体モジュールである。本発明の一体型流体インターフェースモジュールは、燃料カートリッジに対するドッキングポートまたは接続を提供して、燃料がカートリッジから一体型流体インターフェースモジュールに流れることができるようにする。一体型流体インターフェースモジュールはまた、流入する燃料の圧力を燃料電池に好適なより低い圧力に調整する。本発明の一体型流体インターフェースモジュールはまた、燃料電池をパージして、燃料電池のアノードに望ましくないガスを半自動的に、または手動で除去する。
【0020】
図1A図1Cを参照すると、一体型流体インターフェースモジュール10(以下、モジュール10とする)が、上側及び下側のそれぞれから示されている。モジュール10は、「ON」セグメント14及び「OFF」セグメント16を有するスイッチ12を有する。モジュール10はまた、図2Aに示す燃料カートリッジ20に接続するようにサイズ及び寸法決めされたモジュールインターフェースポート18を有する。モジュール10の上側22及び下側24は、以下に詳述する複数のマイクロ流体チャネルを含む。「上(top)」及び「下(bottom)」の語は、相対的な語であり、本発明の説明を容易にするために使用されていることに留意されたい。表面22及び24は、本発明の説明を助けるための基準面である。これらの語は、必ずしも、実際の動作の間、全体としてモジュール10または燃料電池システムの向きを指すものではない。燃料カートリッジ20、モジュール10及びモジュール10を組み込む燃料電池システムは、任意の向きで作動し得る。
【0021】
図2A図2Cは、モジュール10と共に使用される、例示的な燃料カートリッジ20及び例示的なカートリッジ遮断弁26を示している。燃料カートリッジ20は、米国特許出願公開US2011/0212374、US2011/0099904、及びUS2011/0104021ならびにUSD673、497に説明され、バルブ26は、米国特許出願公開US2011/0121220、US2011/0189574、US2011/0212374、及びUS2011/0099904に説明されている。これらの引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。モジュールインターフェースポート18は、外側の保護部28と、内側のチューブ30とを備える。チューブ30は、図2B図2Cに示すカートリッジ遮断弁26を開くようにサイズ及び寸法決めされる。遮断弁26は、センターポスト32を有していてもよく、センターポストは、弁箱36及び/または封止部保持体38と間隙34を形成する。モジュールインターフェースポート18のチューブ30は、間隙34に入って、1つ以上の封止部40を開放する。チューブ30がカートリッジバルブ26から引き抜かれると、封止部(複数可)40は、燃料カートリッジ20を再び閉じる。モジュール10と共に使用可能な他の好適な遮断弁26には、米国特許第7,537,024号、第7,762,278号、第7,059,582号、及び第6,924,054号、ならびに米国特許出願公開US2008/0145739が含まれるが、限定されるものではない。
【0022】
モジュールインターフェースポート18の外側の保護部28は、カートリッジ20の対応する溝42に合うようにサイズ及び寸法決めされる。保護部28及び適合する溝42を有する1つの利点は、モジュール10または燃料電池システム21に、適切な燃料カートリッジが確実に使用されることである。保護部28及び溝42は、楕円、星形、多角形または任意の規則的もしくは不規則な形状などの他の形状を有していてもよい。
【0023】
図2Dは、本発明のモジュール10を組み込み得る例示的な燃料電池システム21を示している。スイッチ12もまた、図2Dに示されている。燃料カートリッジ20は、燃料電池システム21の開口部に挿入されてもよい。燃料電池システム21は、その表面にUSB充電ポートまたはDCポート(図10Cで後に示す)を有する燃料電池充電器であってもよい。燃料電池システム21はまた、民生用電子デバイス、懐中電灯、ラジオ、MP3プレーヤなどの音楽プレーヤ、コンピュータタブレット、またはラップトップであってもよい。燃料電池システムは、挿入後、内部にカートリッジ20をしっかりと保持するクランプ23を有していてもよい。クランプ23はまた、作動または押されて、カートリッジ20を切り離す。他の実施形態では、燃料電池システムは、カートリッジ20を燃料電池システムに連結する他の手段、例えば、クリップ、凹部やボスなどの幾何学的機構、摩擦嵌合、または他の連結機構を有していてもよい。本発明は、任意の特定の燃料電池システムの用途または使用法に限定されるものではない。
【0024】
図3A図3Cを参照すると、スイッチ12は、モジュールインターフェースポート18と相互作用して、燃料カートリッジ20のバルブ26を開放する。モジュールインターフェースポート18は、好適には、その側面上に、互いに反対側にある2つのノブ44を有する。スイッチ12は、図3Aに最も良く示されているように、ノブ44の周囲に嵌まるように適合されるU字型の端部48を形成する、2つの対応するヨーク46を有する。U字型の端部48は、ノブ44よりも大きい空間を画定しており、その結果、スイッチ12のONセグメント14を押した場合、U字型の端部48の下部が、ノブ44及びモジュールインターフェースポート18を矢印50の方向に持ち上げて、モジュールインターフェースポート18及びチューブ40をカートリッジバルブ26に向けて動かして、カートリッジバルブを開放する。燃料電池システム(図示せず)の硬質面に対するばねアーム52の作用に起因してスイッチ12がその休止位置に戻ると、U字型の端部48のアームの間の余剰空間は、モジュールインターフェースポート18を収縮させることなく、スイッチ12がその中立または休止位置に戻ることを可能にする。このことにより、モジュールインターフェースポート18が係合状態に維持されて、カートリッジバルブ26を開放状態に保つ。
【0025】
一部の実施形態では、モジュールインターフェースポート18は、遮断弁を含まず、カートリッジ遮断弁26が、燃料電池システム21のための流体遮断弁として使用される。モジュール10上で遮断弁を省略することの利点には、繰り返し使用されるそのようなバルブの損耗(wearandtear)が起こらないようにすることと、そのようなバルブの不具合の可能性を最小限にすることとが含まれる。カートリッジ遮断弁26に依ることの利点には、新しいカートリッジになるたびに新しいバルブが提供されるということが含まれる。他の実施形態では、モジュールインターフェースポート18は、遮断弁を含んでもよい。そのような遮断弁は、カートリッジが挿入されていない場合に、システム内への空気または他の物質の侵入を阻止するために使用されてもよいし、あるいはシステムによって制御される遮断シーケンスを可能にするように使用されてもよい。
【0026】
図3Bに示す中立または休止位置によれば、ヨーク46は、モジュール10に対して実質的に平行である。一実施形態では、スイッチ12は、スイッチ12を枢動または回転可能にする枢動ボス54を有する。ONセグメント14を方向56に押すと、ヨーク46は方向58に回転する。この動きが、上述のように、モジュールインターフェースポート18を方向50に、図3Cに示す係合位置へと動かす。
【0027】
モジュールインターフェースポート18は、モジュール10の別の機械式機構と協働して、スイッチ12がその中立位置に戻った後、モジュールインターフェースポート18を図3Cに示す係合位置に保つ、機械式戻り止め45をさらに備える。モジュールインターフェースポート18は、脚部47をさらに備え、脚部は、モジュール10を通り抜けて突出して、モジュールインターフェースポート18が図3Cに示す係合位置にある時はいつでも、燃料電池回路を含むプリント回路基板(PCB)上の電気スイッチを作動させる。
【0028】
この一連のモジュールインターフェースポート18の動作について、図4A図4Dにさらに示す。図4Aに示すモジュール10は、モジュールインターフェースポート18が収縮しているOFF状態にあり、ばねアーム52が、スイッチ12をその中立位置に保っている。枢動ボス54の周りで方向58にヨーク46を回転させ、かつ方向50にモジュールインターフェースポート18を伸長して、モジュール10を作動またはON位置にする、方向56に、ユーザがスイッチ12のONセグメント14を動かす。上述のように、モジュールインターフェースポート18を伸長することにより、カートリッジ20の遮断弁26が開いて、カートリッジからモジュール10を通って燃料電池システム21に至る燃料の流れを生じさせる。ユーザがスイッチ12を放すと、図4Cに示すように、ばねアーム52が、燃料電池システム(図示せず)の硬質面を押して、スイッチ12及びヨーク46をそれぞれ反対方向56'及び方向58'に動かして戻す。モジュールインターフェースポート18は、伸長した状態が維持され、ヨーク46のU字型の端部48の上部は、モジュールインターフェースポート18のノブ44の上に載る。燃料電池システムの動作中、モジュール10は、図4Cの配置に維持されるべきである。燃料電池システムをOFFにするには、ユーザは、スイッチ12のOFFセグメント16を方向56に動かす。これにより、図4Dに示すように、ノブ44及びモジュールインターフェースポート18を方向50'に動かす方向58'にヨーク46が回転されて、モジュールインターフェースポート18を収縮して、カートリッジ20の遮断弁26を閉位置に戻す。ユーザがスイッチ12を放すと、モジュール10は、図4Aの配置に戻る。
【0029】
図4Bまたは図4Dの配置では、スイッチ12のONセグメント14またはOFFセグメント16が作動されて、燃料電池のアノード側をパージするのと実質的に同時に、パージ弁が作動または準備されてもよいことに留意されたい。モジュール10'のパージ弁の動作及び構造については後述する。また、図4Bに示すようにモジュールインターフェースポート18が伸長すると、燃料電池回路が作動する、またはONになり、図4Dに示すようにモジュールインターフェースポート18が収縮すると、燃料電池回路が作動停止する、またはOFFになる。
【0030】
別の実施形態では、モジュールインターフェースポート18は、それぞれ遮断弁を有しており、そのことは、モジュールインターフェースポート18が燃料カートリッジに向けて進み、かつそこから収縮する必要性を除去する。カートリッジ20が挿入されると、それぞれの遮断弁26は、開放状態に維持され、燃料ガスの流れは、モジュールインターフェースポートの遮断弁によって制御される。この遮断弁は、受動機械式弁であってもよいし、あるいはコントローラにより制御され得る電気機械式ガス遮断弁であってもよい。
【0031】
燃料、例えば、水素ガスが、モジュールインターフェースポート18を介してモジュール10に流入した後、燃料の圧力は、圧力調整器60によって調整される。図1C及び図5に最も良く示されているように、燃料は、内側のチューブ30を通って流入し、モジュール10の上側22に到達し、ここで、燃料は、圧力調整器60の入口側または高圧側に流れる。好適な圧力調整器は、入口ダイヤフラムまたは高圧ダイヤフラム62と、シャトル64と、出口ダイヤフラムまたは低圧ダイヤフラム66とを備える。シャトル64は、出口ダイヤフラム66と接触する大端部68と、入口ダイヤフラム62と接触する小端部70とを有し、シャトルハウジング72に収容される。ばね74は、圧力調整器60の内側に配置され、シャトル64の大端部68と入口ダイヤフラム62との間に配置される。ばね74のばね力及びダイヤフラム62及び66の弾力性、ならびに出口室76の圧力が、圧力調整器60の開弁圧力またはクラッキング圧力を規定する。入口室78は、入口ダイヤフラム62とモジュール10の上側22の一部分との間に配置される。好適には、シャトルハウジング72は、基準圧力と流体連通している。一例では、シャトルハウジング72には、大気圧にアクセスするための少なくとも1つの通気孔73が設けられている。
【0032】
可動シャトルを有する好適な圧力調整器の動作は、同一出願人による特許及び特許出願によく説明されており、これには、米国特許US8,002,853、ならびに米国特許出願公開US2010/0104481、US2011/0189574及びUS2011/0212374、ならびに同一出願人による「FluidicComponentsSuitableforFuelCellSystemsIncludingPressureRegulatorsandValves」と題する整理番号BIC−169の本願と同日に出願の特許出願が含まれる。本引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。他のタイプの好適な圧力調整器には、米国特許出願公開US2008/0233446及びWO2011/127608に説明されたものが含まれるが、限定されるものではない。これらの引用文献に説明された任意の圧力調整器をモジュール10で使用することができる。これらの引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。
【0033】
図1Cを参照すると、燃料は、チューブ30を通って流入して、モジュール10の上側22に到達する。図6Aに最も良く示されているように、チューブ30の終端部30'において、燃料は、入口チャネル80に向けられ、圧力調整器60の入口84へと方向82に流れる。出口室76の出口圧力及びばね74及びダイヤフラム62及び66がかける圧力が、調整器60の開弁圧力よりも低い場合、入口ダイヤフラム62は、出口ダイヤフラム66に向けて撓み、流入する燃料が入口84に入口室78内へと流入する。ここで入口室は、膨張し、膨張に起因して圧力が低下する。
【0034】
図6Aに最も良く示されているように、膨張及び圧力低下の後、燃料は、圧力調整器60を出口86で出て、出口チャネル88を通って方向90に流れ、モジュール10からモジュール出口92で出て、後述の図7に示す燃料電池(複数可)、及び燃料電池システム21に流れる。2つの出口チャネル88が示されているが、任意の数の出口を利用することができる。
【0035】
出口圧力及び/または燃料電池内の圧力を導いて出口ダイヤフラム66に戻すための圧力フィードバック構造もまた提供され、その結果、圧力調整器60が閉じて、すなわち、シャトル64が入口ダイヤフラム62を入口80に向けて押して、出口圧力または燃料電池の圧力が低下するまで、圧力調整器を通る燃料の流れを停止してもよい。図6Aに示されているように、フィードバックポート94は、出口チャネル88上に提供される。図6Bに最も良く示されているように、ポート94は、方向98を向く第1のフィードバックチャネル96に接続され、そして、方向102に沿う第2のフィードバックチャネル100に沿って出口室ポート104に接続され、ここで、燃料出口圧力を出口ダイヤフラム66により感知できる。ダイヤフラム62及び66の撓み状態に応じてフィードバック流の方向98及び102が確保され得るように、圧力フィードバック構造は、専用の出口を持たない、すなわち、止まり穴であることに留意されたい。
【0036】
加えて、図6A及び図6Bに示す流路は、燃料が流路から出ないように、薄層で覆って、閉じた流路を形成することもできる。こうした薄い覆いは、水素、酸素またはメタノールなどの燃料電池の燃料に対して不活性な物質から作られる薄い接着剤フィルムであり得る。このような薄い被覆フィルムは、図1C図3A図3C図4A図4D図5A以下において要素106として示され、さらに後述のパージチャネルを覆うために使用することもできる。
【0037】
代替的な実施形態では、一般に金属または金属合金から作られるコイルばね74は、スイッチ12にあるばねアーム52と同様のばねアームなどの成形機構で置き換える。この成形機構は、金属または金属合金から作られてもよいし、あるいは、プラスチックまたは好適な機械的特性を備える他の材料であってもよい。加えて、圧力調整器60に入口84及び出口86を提供することに代えて、圧力調整器は、バイパスチャネル、すなわち、出口室76を入口室78に繋ぐためにダイヤフラム62及び66ならびにシャトル64を通る内部チャネルによって接続される。このバイパスチャネルは、シャトル64ならびにダイヤフラム62及び66から離間しており、出口室76を入口室78に繋ぐ。ダイヤフラム及びシャトルを通る内部チャネルを有する圧力調整器は、同一出願人によるPCT国際公開WO2013/093646に十分に開示され、より具体的には、前記PCT公開公報の図8A図8Dに十分に開示されている。WO2013/093646は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。
【0038】
一体型流体インターフェースモジュール10はまた、残留ガスを燃料電池のアノードプレナムから除去する、パージシステムまたはパージ弁(以下、参照番号109または109'で示す)を備える。例示的な燃料電池108は、図7に示され、図7は、同一出願人の国際公開WO2011/079377に開示された並列平板型PEM燃料電池を示している。平板型でスタック型の燃料電池を含む、他の好適な燃料電池について以下に論じる。副生成物、不活性ガス及び水蒸気を含む残留ガスは、燃料電池108のアノード側107に溜まり得る。定期的に、またはシステム始動時またはシステムシャットダウン時に、燃料カートリッジ20から水素ガスなどの燃料を用いて、これらの残留ガスをアノード107からパージすることが望ましい。燃料電池または燃料電池システムをパージすることは、アノードプレナムを排気することである。一実施形態では、パージ弁が開放されると、燃料がモジュール10に流入し、圧力調整器60を通って、そしてモジュール出口92から出て、燃料電池108のアノード107に流れる。燃料ガスは、アノードからの残留または不活性ガスをモジュール10に押し戻し、パージ弁を通して、排出する。
【0039】
後述及び図8A図10Bに示す、パージ弁システムの一実施形態では、パージ弁109は、好適には、ユーザにより手動で、例えば、スイッチ12のONセグメント14を押すことによって作動されて、燃料電池システムを始動する。パージ弁109は、スイッチがその中立または休止位置に戻った時に、ONまたは開放された状態に維持される。換言すると、パージ弁の閉鎖は、スイッチ12に結びついていない。その代わりに、燃料電池が電気を生産するための始動時調整プロセス後、定常レベルに到達した時に、パージ弁109は、閉鎖またはOFF位置に動かされる。調整プロセスは、燃料電池が自身を暖気及び加湿する始動プロセスである。燃料電池からの電気は、抵抗負荷に伝えられ、このことが、抵抗負荷を熱する。既定のレベルまで加熱されると、形状記憶合金などの抵抗負荷は、その形状を変え、または収縮して記憶している形状に戻り、パージ弁を閉じる、またはこれをOFF位置に動かす。抵抗負荷は、SMA及び暖気プロセスを加速するために優先的に配置され得る他の抵抗体を含んでもよい。したがって、本発明のパージ弁システムは、手動で、または機械的に作動され、電気的及び/または熱的に作動停止される。換言すると、パージ弁109は、半自動パージ弁である。本発明は、パージ弁を閉じるように抵抗負荷/形状記憶合金負荷を作動させるのに十分な電力を産み出す燃料電池の能力に依っている。本発明は、アノードが水素で満たされているかどうかの検出するために、センサまたは制御システムに頼るものではない。本発明は、水素ガスセンサ及びパージ弁を閉じるための電源の両方として燃料電池を用いる。
【0040】
モジュール10における本発明のパージシステム109は、図1C図8A図8D及び図10A図10Bに示されているように、Oリングまたは封止ディスクなどの封止部材112と協働するパージシャトル110を少なくとも備える。図9A図9Cに最も良く示されているように、シャトル110は、封止部分114と、開放部分116と、肩部118と、オプションの延長部120とを備える。開放部分116は、切り欠きまたは開いたノッチ122を含み、これは、残留ガスを通して出す切り欠きである。図10Bに示されているような閉鎖配置では、パージシャトル110の封止部分114は、封止部材112の隣に配置される。図10Aに示す、ガスを排気する開放配置では、開放部分116及びノッチ122は、封止部材112の隣に配置されて、ノッチ122及びパージシャトルを通る流路を形成して、残留ガスを排気する。
【0041】
図10Bを参照すると、圧縮された封止部材112によりパージシャトル110の封止部分114にかかる圧縮力は、方向113を向いており、図10Bの閉鎖配置から図10Aの開放配置にシャトル110を動かす作動力は、方向115を向いている。方向113及び115は、実質的に互いに直交する。封止部分114及び開放部分116の直径は、実質的に同じであり、これらの直径は、封止部材112の内径よりも大きく、したがって、封止部材112は、方向113に圧縮され、力を及ぼす。摩擦以外の軸方向または長手方向の力は存在せず、あるいはパージシャトル110に動いた時に作用するばねからの付勢力は存在せず、それによって、パージシャトル110がそのように動かされても、パージシャトル110を閉位置及び開位置に止まることを可能にする。
【0042】
図8Aを参照すると、パージシャトル110は、2つの柱126に吊るされたワイヤ124上に支持されている。柱は、モジュール10の本体に固定されている。モジュール10は、ワイヤ124を収めるようにサイズ及び寸法決めされる溝127を有する。ワイヤ124は、パージシャトル110の肩部118の下に挿入される。図9Bに最も良く示されているように、パージシャトル110は、チャネル130に対して開かれているスリット128を有する。スリット128は、ワイヤ124が擦り抜け、チャネル130内に遊動可能に保持されるようにサイズ及び寸法決めされる。一実施形態では、ワイヤ124は、既定の温度に加熱されると元の形状に戻る材料から作られる、または材料を含む。ワイヤ124のための好適な材料は、形状記憶合金(SMA)である。SMA材料は、導電性を有し、かつ電気抵抗を有するため、これに、例えば、燃料電池108から電流が流れると、電流はさらに、SMAワイヤを熱する。好適なSMA材料には、Flexinol(商標)として市販されているニッケル−チタンすなわちニチノールが含まれるが、限定されるものではない。他の好適なSMA材料には、様々な濃度のAg−Cd、Au−Cd、Cu−Al−Ni、Cu−Sn、Cu−Zn、Cu−Zn−X(X=Si、Al、Sn)、Fe−Pt、Mn−Cu、Fe−Mn−Si、Pt合金、Co−Ni−Al、Co−Ni−Ga、Ni−Fe−Ga、Ti−Pd、Ni−Ti−Nb及びNi−Mn−Gaの合金が含まれる。ワイヤ124は、パージ弁109の一部を形成する。
【0043】
この実施形態では、ユーザがスイッチ12のONセグメント14を作動した時、ユーザはまた、パージ弁を開く。スイッチ12は、図8Bに最も良く示されているように、ヨーク46に加えて、さらにパージ弁プッシャ132を有し、パージ弁プッシャの終端は、2つの指部134となっている。指部134は、上述の方向58にパージシャトル110の肩部118を押し下げる。この動きが、パージシャトル110を図10Aの開放配置に動かす。パージシャトル110の延長部120は、燃料電池から外部負荷(例えば、電子デバイス)を切り離し、ワイヤ124を燃料電池に接続する。残留ガスがアノード107からパージされ、水素燃料で置き換えられると、燃料電池108は、さらに電気を生産し、電気は、ワイヤ124を伝わり、ワイヤを熱する。燃料電池における生成がパージプロセスが完了したことを示す所望または定常状態レベルに到達すると、ワイヤ124は十分に加熱されて、その記憶してある形状に戻る、すなわち、ワイヤは、その長さを収縮して、パージシャトルを引き、図10Bに示されているような、その閉鎖配置に戻す。パージシャトルが閉鎖配置に戻ると、ワイヤ124は燃料電池回路から切り離され、外部負荷が燃料電池に再接続される。ワイヤ124は、冷えてそのより長い長さに戻ることができるようになる。
【0044】
図10Cに示すように、中でも、電気回路を含むPC基板135がインターフェースモジュール10の側面22に隣接して配置される。PC基板135は、好適には、燃料電池108が発電した電気を外部負荷または電子デバイスに伝えるために、USBポートなどの電気的な出力ポート137を有する。外部負荷には、DC−DC変換器、電力変換(powerconditioning)要素、電気的な調整器及び調整した電力を電子デバイスに供給するための他の電気的な構成要素が含まれるが、限定されるものではない。
【0045】
図8C図8Eを参照すると、パージされる残留ガスは、方向136に流れ、パージポート138を通ってモジュール10に入る。モジュール10の内側では、残留ガスは、パージチャネル140を通って方向142に沿って流れ、図8Dに示すように、パージシャトル110にある開放部分116のノッチ122を介してモジュール10を方向142に沿って出る。残留ガスには、燃料電池システムが停止している時、高分子交換膜(PEM)を通して、そして、燃料カートリッジがなんらシステムに接続されていない時、燃料導管を通ってアノードプレナム内に移動する不活性ガス、水蒸気及び凝縮水が含まれる。
【0046】
したがって、本発明のパージ弁システム109は、燃料電池システムがスイッチ12を押すことによってユーザによってONにされた時、手動で作動され、燃料電池が十分にパージされた時、自動的に作動停止される。燃料電池自体が、アノード室(複数可)が十分にパージされた時を判定する。十分にパージされた時は、水素ガスが残留ガスに置き換わった時の電気の生産と一致する。自動的に起こる作動停止プロセス自体は、好適には、燃料電池が完全に調整された後、電気を消費しない。この過渡的な調整期間の間に燃料電池の生産する電力は、装置に電力を供給する役には立たないが、ワイヤ124を加熱するために使用される。調整期間の間に生産される電力はまた、燃料電池システム21の他の構成要素を加熱するために使用することもできる。パージ弁システム109を作動停止するためには、なんら有用な電気を使用する必要はない。
【0047】
ワイヤ124の長さ及び幅は、定常状態出力及び/または燃料電池の調整の間の出力、SMA材料の熱伝導率及び熱容量、SMA材料がその記憶した形状に戻る温度、SMA材料による収縮量、及びパージシャトルを閉鎖配置から開放配置に動かすために必要な力により、容易に特定することができる。これらの因子は、容易に調査または測定できる。
【0048】
このパージ弁システムの利点は、燃料電池のパージが不十分な場合、パージプロセスが完了し、水素ガスなどの燃料が燃料電池内で反応して、電気を生産するまで、バルブが開放状態に維持されるということである。
【0049】
従来型のパージ弁に対する半自動パージ弁109の利点は、容易に分かる。手動で操作されるパージ弁は、パージが短すぎて、燃料電池内に残留ガスを残すこともあり、あるいはパージが長すぎて、燃料ガスを浪費することもある。時間を経過させる、または時間を決める方式のパージ弁は、手動でパージされるバルブと同じ不利益を被り、タイミング機構のための余分な構成要素を必要とする。電子的に作動されるパージ弁は、定常状態で動作する燃料電池から電力と、電磁弁及びセンサなどの余分な部品とを必要とする。電子的に作動されるバルブはまた、定常状態電力がないことから、始動時に操作することができない、あるいは電池などの独立の電源なしでは機能することができない。電子的に作動されるバルブはまた、機能するために、マイクロプロセッサまたはコントローラを必要とする。従来型のパージ弁の欠陥は、上述及び図8A図10Bに示すパージ弁109、ならびに後述の逆パージ弁109'によって改善される。
【0050】
別の実施形態では、SMAワイヤ124と、パージシャトル110と、封止部材112とを有するこのパージ弁は、多くの用途で、SMAワイヤにトリガをかけるシステム温度が特定の既定のレベルに到達するとあらゆるシステムを遮断する安全遮断弁として配置され得る。パージシャトル110は、SMAワイヤが収縮した時に回路を開く電気スイッチのように作用し得る。パージシャトルを手動で押すことによる手動リセットは、回路を閉じて、システムを再始動するのに必要である。
【0051】
この安全遮断機能を適用して、燃料電池システムが遊休状態にある時に燃料電池システムをシャットダウンすることができる。燃料電池に負荷がかかっていない場合、例えば、燃料電池式充電器に電子デバイスがなにも接続されていない場合、電流をパージ弁109に流して、収縮して燃料電池をオフにするようにSMAワイヤ124を加熱する。一例では、SMAワイヤをモジュールインターフェースポート18に接続することもできる。燃料電池システムがオーバーヒートすると、SMAワイヤが方向50'に収縮して、チューブ30を遮断弁26から引き抜いて、システムをオフにする。この動作は、スイッチ12のOFFセグメント16を押さずにシステムをシャットダウンするのに等しい。別の例では、パージ弁109または109'のSMAワイヤ124と、USBポート137との間に単純な回路が接続される。ゲートに接続されるサーミスタなどの温度センサがこの回路に配置される。閾値温度に到達すると、ゲートが開いて、USBポートを燃料電池回路から分離し、この回路をSMAワイヤ124に接続して、ワイヤを収縮させて、システムを停止する。別の例では、システム遮断温度またはその付近で収縮するようにSMAワイヤ124の材料が選択されて、システム温度が遮断温度に到達した時に自動的にシステムをシャットダウンする。別の例では、好適にはPCB基板135上に配置されるプロセッサまたはマイクロプロセッサが、既定の作動停止期間の後、電流をSMAワイヤ124に流す。
【0052】
別の実施形態では、パージシャトルは、図11に最も良く示されているように、2つの開放部分116及び116'を有していてもよく、両口パージシャトル144と表す。両口パージシャトル144をマニホールドにおける流体制御部として使用してもよい。例えば、1つのSMAワイヤ124を肩部118の下方の溝130に配置することができ、第2のSMAワイヤ124を肩部118の上方に配置することができる。燃料電池もしくは別の電気システムまたはコントローラは、一方の特定のワイヤ124を選択的に作動させて、パージ両口シャトル144を第1の開放部116に動かすことができ、また他方のワイヤ124を作動させて、両口パージシャトル144を他方の開放部116'に動かすことができる。異なる長さの第3のSMAワイヤ124を肩部118の上方または下方に配置して、両口パージシャトル144を封止部分114に動かしてもよい。両口パージシャトル144の位置を変えることによって、マニホールド内における特定の流れチャネルを選択できる。
【0053】
別の実施形態では、パージ弁109'は、逆の仕方で動作する。逆パージ弁109'は、燃料電池システムがOFFにされた時、準備または開放される。この構成では、燃料電池システムがOFFの場合、逆パージ弁109'は開放され、燃料電池システムは、燃料電池システムが再びONになった時にパージされる準備が整う。上述の実施形態と同様に、燃料電池は、その生産する電気で逆パージ弁109'を閉じる。スイッチ12にわずかな調整を加えて、このシーケンスを達成する。図8Bを参照すると、スイッチ12のONセグメント14と関連するパージ弁プッシャ132は、再配置され、スイッチ12のOFFセグメント16に取り付けされ、その結果、OFFセグメント16の作動により、逆パージ弁がON配置に動かされる。あるいは、スイッチ12及びパージ弁プッシャ132は、図8Bに示されるのと実質的に同じに維持されてもよく、パージシャトル110が、図13に示すように修正されて、開放部分116を一方の端部に配置し、封止部分114をその端部から離れて配置した、逆パージシャトル110'となる。加えて、パージシャトルの肩部118は、パージ弁プッシャ132の反対側となるように再配置される。図10Dに示すように、OFFセグメント16が方向56に押され、パージ弁プッシャ132を方向58'に動かすと、パージ弁プッシャ132は、パージシャトル110'を方向50'に動かして、開放部分116を封止部112と位置を合わせて、逆パージ弁109'を開放及び準備させて、次にシステムがONになった時に排気する。
【0054】
逆パージ弁109'の1つの利点は、燃料電池システムの動作中にユーザがスイッチ12のONセグメント14を繰り返し押しても、あるいはONセグメント14を長時間押し下げても、バルブがパージしないことであり、それは、逆パージ弁109'がONセグメント14から切り離されているためである。燃料電池がフルに稼働している間にシステムをパージすることは、燃料を浪費し、燃料電池の動作を混乱させ、SMAワイヤ12に損傷を与え、他の悪影響をもたらす。
【0055】
逆パージ弁109'の別の利点は、燃料電池システムの稼働中、過度のパージを防ぐため、パージ動作を行うことができないことである。ユーザは、まず、OFFセグメント16を作動させてシステムをOFFにし、これにより、全システムがOFFになり、パージ弁が開き、次いで、ユーザは、ONセグメント14を作動させて、燃料電池システムをONに戻し、かつシステムをパージする。
【0056】
逆パージ弁109'の別の利点は、燃料電池システムのシャットダウン時、かつ逆パージ弁109'が開放配置にある時、アノード及び燃料電池システムの残りの部分は、減圧して、周囲環境と平衡になることである。このことは、燃料電池が冷える際、燃料電池システム内における水の凝縮量を低減し、それによって、次回の起動の際、パージ継続時間を減らす。
【0057】
さらに別の実施形態では、パージ弁プッシャ132が図12に示すようなモジュールインターフェースポート146に接続され、モジュールインターフェースポートは、上述のように、スイッチ12によって、方向50に、カートリッジ20に接続する伸長位置まで動かされる、または方向50'に、カートリッジ20から切り離される収縮位置まで動かされる。モジュールインターフェースポート146を方向50に動かすと、この動きは図3B図3Cに示すモジュールインターフェースポート18と同じであるが、パージ弁プッシャ132は、方向50にパージシャトル110を押す。この実施形態では、プッシャ132は、図9Bに示す肩部118の表面148上に配置される。これにより、ノッチ122及び開放部分116を封止部材112の反対側に配置し、それによって、パージ弁109を開放配置に切り替える。
【0058】
パージシャトルを修正すると、前節のパージシステムを逆の方法で動作させることができる、すなわち、システムをオフにすると、パージ弁が開く。図13に示すように、パージシャトル110'は、パージシャトル110と同様であるが、ただし、シャトルの封止部分114の位置と開放部分116の位置とが入れ替わっていることが異なる。システムがシャットダウンまたはOFFに切り替わって、モジュールインターフェースポート146が収縮すると、モジュールインターフェースポート146に取り付けられ、肩部118の表面150に接触するパージ弁プッシャ132は、方向50'に動いて、開放部分116及びノッチ122を封止部材112の反対側に配置して、パージ弁を開放する。
【0059】
パージ弁プッシャ132がモジュールインターフェースポート146に取り付けられている実施形態では、プッシャ132が肩部118の表面148または150に配置され、その結果、モジュールインターフェースポート146は、手動でのみ一方向50または50'にパージシャトル110、110'を動かすことができることに留意されたい。SMAワイヤ124は、反対側の表面に配置されて、パージ弁を自動的に閉じる。
【0060】
モジュールインターフェースポート146及びパージシャトル110'を逆の方法で用いるパージシステムは、新しいカートリッジ20が燃料電池システム内に挿入されるたびに、逆パージ弁109'が開放配置に移動する、または留まり、燃料電池システムはパージされる準備が整うということを含む、いくつかの利点を提供する。古いまたは空のカートリッジ20を取り外し、スイッチ12をOFFにすると、モジュールインターフェースポート146が収縮し、パージシャトル110'を有するパージ弁109'が開放配置になり、燃料電池システムは新しいカートリッジが挿入され、スイッチ12がONにされた時にパージされる準備が整う。
【0061】
しかしながら、古いまたは空のカートリッジ20を取り外し、スイッチ12がON位置のままであると、モジュールインターフェースポート146は、伸長したままになり、パージ弁109'が閉鎖配置に止まる。有利なことに、新しいカートリッジが挿入されると、モジュールインターフェースポート146とのカートリッジの摩擦及び接触に起因して、挿入動作がモジュールインターフェースポート146を収縮位置に押し、パージ弁109'が開放配置になり、燃料電池システムが次回の始動時にパージされる準備が整う。
【0062】
したがって、逆の方法で動作するモジュールインターフェースポート146及びパージシャトル110'を用いるパージシステムは、新しいカートリッジを始めて使用する時に、燃料電池システムが、次回の始動時、ならびに燃料電池システムをOFFにし、次いで再びONした後、パージされる準備が確実に整うようにする。
【0063】
別のパージ弁200を図18A図18Fに示す。上述のパージ弁109及び109'と同様に、パージ弁200はまた、SMAワイヤ124を備える。この実施形態では、SMAワイヤ124は、OFF位置及びON位置に予め応力をかけた片持ち梁によって伸展されており、OFF及びON位置の両方に実質的に同じ長い長さを有する。パージ弁200は、ラッチ機構によってON位置に維持され、また、ラッチ機構またはSMAワイヤによる収縮によってON位置に保持されなければ、バルブがOFF位置に戻るようにばねで負荷をかけられている。バルブ200をON位置からOFF位置に動かすために、アノード107がパージされ、水素燃料ガスがアノードを十分に満たして、燃料電池108がSMAワイヤ124を加熱し収縮させるのに十分な電流を生成した時、燃料電池108によって、SMAワイヤ124を一時的に加熱する。SMAワイヤ124が収縮すると、これが片持ち梁を引っ張ってラッチ機構を解除し、予め応力をかけた片持ち梁は、OFF位置に戻り、加熱停止時にSMAワイヤ124を伸展する。したがって、パージ弁200は、手動で、好適には、ユーザがONボタンを押すと開放され、バルブ109及び109'とは異なり、ばねで負荷をかけたラッチ機構によってON位置に保持され、予め応力をかけた片持ち梁によってOFF位置に保持される得る別の半自動バルブであり、燃料電池が生成する電流によって自動的に閉鎖される。有利なことに、パージ弁200はまた、SMAワイヤに一時的な電流を印加することによって、燃料電池システムの動作の間、所望の期間だけ、ユーザがONボタンを押した後、必要に応じて断続的に開放され得る。パージ弁109/109'及び200の間で類似する要素は、同じ参照番号を共有している場合がある。
【0064】
図18A図18Cは、それぞれ、OFF位置からON位置まで、そして解除位置のパージ弁200のシーケンスを示している。図18D図18Fは、同じシーケンスを示しているが、バルブ200の長軸に沿った断面図を用いている。
【0065】
OFFまたは閉位置にあるパージ弁200を示す図18A及び図18Dを参照すると、バルブ200は、入口138を有し、パージされるガスが、方向136にパージ弁200へ流入し、また、流出方向142に出口202から流出する。パージされるガスの流れの方向136及び142、及びパージ入口138を、図18D及び図18Eに示す。パージ弁200はまた、SMAワイヤ124を有し、これは、端部204で弁箱に固定される。SMAワイヤ124は、片持ち梁208の自由端部206の周囲に巻きつく。自由端部206は、SMAワイヤ124を所定の位置に保持する肩部210を有する。片持ち梁は、予め応力をかけて、自由端部206が入口138の隆起部またはリップ上に下方に付勢されて、バルブを閉じるようにする。パージ弁200はまた、可動の付勢されたスライダ212を有し、これは、本体214と、鉤状端部218を有する叉状脚部216とを有する。叉状脚部216は、ばねを形成し、以下に詳述するように、脚部216が互いに向けて押された時にエネルギーを蓄積する。
【0066】
スライダ212は、1つ以上のばねにより図18A及び図18Dに示すOFF位置に向けて付勢される。弁箱上のレッジ222と、スライダ212の本体214との間に巻きばね220を配置して、開位置に向けてスライダ212を押すこともできる。加えて、ばねアーム224もまた、図示のように、本体214上に配置することができ、ばねアームは、図18B及び図18Eに最も良く示されているように、屈曲して、スライダ212をON位置に動かした時に位置エネルギーを蓄積し得る。加えて、弁箱もまた、ばねアーム226を有していてもよく、ばねアームは、屈曲して、スライダ212をON位置に動かした時にエネルギーを蓄積することができる。
【0067】
パージ弁200は、入口138及び出口202の間に流体的に配置される可撓性のダイヤフラム228をさらに備える。OFF位置では、自由端部206の延長部230が、ダイヤフラム228を入口138上の隆起部に向けて押して、入口138を閉じ、パージされるガスがバルブ200を通って流れるのを阻止する。ダイヤフラム228は、好適には、入口138を封止できるエラストマー材料から作られ、その弛緩または非伸展状態では、図18Dに最も良く示されているように、入口138及び出口202を接続する、入口138上の隆起部の上方の空間240または流路を形成するようにサイズ及び寸法決めされる。延長部230は、好適には、入口138よりも大きい直径を有し、予め応力をかけた片持ち梁208からの下方に延びる力に起因して、延長部230は、ダイヤフラム228を入口138の隆起部に対して押して、入口を封止する。
【0068】
バルブ200及びスライダ212をOFF位置に維持するため、弁箱は、その上に画定されるノッチ232を有し、ノッチは、図8A及び図8Dに最も良く示されるように、スライダ212の叉状脚部216の鉤状端部218を受けるようにサイズ及び寸法決めされる。叉状脚部216のばね様特性に起因して、鉤状端部218は、ノッチ232に保持され、スライダ212及びバルブ200は、OFF位置に保持される。
【0069】
バルブ200を開放して、燃料電池108アノード側をパージするには、図18B及び図18Eに示されているように、ユーザは、スライダ212に機械的に取り付けられたONボタンを方向234に押し、コイルばね220を圧縮し、ばねアーム224、226を屈曲する。図18B図18C図18D及び図18Fには重なり合っているように示されているが、ばねアーム224及び226は、互いに重なり合わない。しかし、図示の重なり量に実質的に等しい総量だけ屈曲または変位する。ただ1セットのばねアーム224または226が屈曲され得ることに留意されたい。ONボタンの作動、またはスライダ212を方向234に押すこともまた、叉状脚部216の遠位端部上の第1の傾斜部236に起因して、鉤状端部218をノッチ232から離れるように端部204に向けて押す。この動作はまた、スライダ212を片持ち梁208と係合する。自由端部206及びその肩部210は、図18B及び図18Dに最も良く示されているように、肩部210が第2の傾斜部238を捕捉するまで、第2の傾斜部238に乗り上げ、スライダ212は、ON位置に保持またはラッチされる。したがって、肩部210及びラッチ機構のための第2の傾斜部238は、スライダ212またはバルブ200をON位置に保持する。OFF位置(図18A)からON位置(図18B)への動作は、SMAワイヤ124の長さを著しく変えることはない。
【0070】
また、ON位置では、自由端部206が第2の傾斜部238により上方に持ち上げられ、自由端部206の延長部230を入口138の隆起部から離れるように動かす。ダイヤフラム228の可撓性またはばね様特性は、延長部230が入口138の隆起部から離れるように動くと、パージされるガスがダイヤフラム228の下方に配置された空間240に流入し、方向142に出口202を通ってバルブ200から流出するように設計される。ダイヤフラム228は、図18D図18Fに示されるように、その周縁242を封止されて、パージされるガスが、確実に1つの入口138及び1つの出口142を有するようにすることに留意されたい。
【0071】
上述のように、ON位置では、ワイヤ124は、燃料電池に接続され、水素ガスがアノード側を満たすと燃料電池により加熱され、パージの完了を示し、ワイヤ124は、その記憶しているより短い長さに収縮する。図18C及び図18Fに最も良く示されているように、短くなったSMAワイヤ124は、自由端部206を上方に引き、肩部210を第2の傾斜部238から係脱させ、それによって、スライダ212を解放する。ばね220及び/またはばねアーム224及び/または226は、端部204から離れるようにスライダ212を押して、図18A及び図18Dに示すOFF位置に戻す。この上向きの動作はまた、燃料電池からSMAワイヤ124を係脱させ、SMAワイヤ124は、上述のように、冷却及び/または弛緩し、予め応力をかけた片持ち梁208は、そのOFF位置に戻り、SMAワイヤ124を伸展させる。片持ち梁208の延長部230は、入口138上の隆起部に向けてダイヤフラム228を再び押して、バルブ200を閉じる。
【0072】
バルブ200の1つの利点は、SMAワイヤ124が、ダイヤフラム228によってパージされるガスの流れから隔てられていることである。この隔離は、パージされるガスの流れから上述の金属合金から作られるSMAワイヤ124を遮蔽する。パージ弁109及び109'では、パージされるガスは、パージシャトル110のノッチ122を通って流れ、SMAワイヤ124がこのガスに曝され、熱が、ワイヤ124からパージされるガスに伝達され得る。この熱伝達は、サイズ及び合金の組成構成に応じて、SMAワイヤ124の変化率に影響し得る。このことは、SMAワイヤを早期に冷却してしまうことがある。パージ弁200では、SMAワイヤ124は、ダイヤフラム228によってパージされるガスから隔てられ、それによって、この問題を最小化または取り除く。
【0073】
パージ弁200の別の利点は、これが断続的に開放されて、動作中、燃料電池をパージし得ることである。上述のように、OFF位置(図18A及び図18D)では、SMAワイヤは、予め応力をかけた片持ち梁208により伸展される。燃料電池システムが、SMAワイヤ124にこれがOFF位置にある間に電流を流すと、SMAワイヤは、図18C及び図18Fに示される解除位置にある場合と同様に、片持ち梁208の自由端部206を収縮して上方に引っ張る。これにより、自由端部206の延長部230及びダイヤフラム228を入口138上の隆起部から持ち上げて、パージ弁を開放する。パージ弁を閉じるために、電流が停止し、SMAワイヤ124が冷却され、OFF位置に戻ると予め応力をかけた片持ち梁により伸展される。
【0074】
したがって、システム始動時のユーザが作動したモードでは、パージ弁200のための一連の動作は、以下のようになる、すなわち、(i)ユーザが始動ボタンを押すことにより、OFF位置からON位置へ、(ii)パージプロセスが完了した時の燃料電池からの電流が、SMAワイヤを加熱してこれを短くすることにより、ON位置からRELEASE位置へ、(iii)スライダ212がそのOFF位置に戻ることによって、及び/またはスライダの位置を読み取る燃料電池システムの制御システムによって制御され、SMAワイヤを通る電流が停止することにより、RELEASE位置からOFF位置へ、となる。
【0075】
燃料電池システムの正常動作の間、断続的なパージは、以下の順序である、すなわち、(i)パージするために電流が一時的にSMAワイヤを通って流れることにより、OFF位置(図18A)からRELEASE位置(図18C、スライダ212が動かないことを除く)へ、(ii)燃料電池システムの制御システムによって、SMAワイヤを通る電流が停止することにより、前記RELEASE位置からOFF位置へ、である。
【0076】
別のパージ弁200'を図19A図19Dに示す。バルブ200'は、バルブ200と同様であるが、ただし、片持ち梁208に予め応力をかけて、入口138(または出口202)から上向き、または離れるように付勢してあること、そして、スライダ212が一方の方向に移動して、自由端部206を下向き、または入口138に向けて押して、バルブ200'を閉じることが異なる。スライダ212を反対の方向に動かすと、片持ち梁208の自由端部206を入口138から上向き、または離れるように動かして、バルブ200'を開放することができる。スライダ212は、ばね220によってOFFまたは閉位置にばね付勢されたままであり、ラッチ機構は、SMAワイヤ124が加熱され、縮んで、ラッチ機構を解除するまでは、スライダ212をONまたは開位置に保持している。
【0077】
OFF位置にあるパージ弁200'を示す、図19A及び図19Cを参照すると、スライダ212の端部213が、上方に動こうとする片持ち梁208の付勢傾向に逆らって、片持ち梁208の終端部209を入口138に向けて下向きに保持している。自由端部206の延長部230は、ダイヤフラム228を押して、入口138の隆起部を封止して、バルブ200'を閉じる。図19B及び図19Dは、ON位置にあるパージ弁200'を示している。例えば、ON/OFF押しボタンが押されると、スライダ212が図示の方向に移動し、片持ち梁208の終端部209は、図示のように終端部209がスライダ212の端部213を捕捉するまで、片持ち梁の付勢傾向に起因して上向きに動く。これにより、ラッチ機構が形成され、スライダ212を片持ち梁208に対して保持する。この構成では、延長部230はまた、入口138から離れて上向きに動いて、バルブ200'をON位置に開放する。SMAワイヤ124はまた、バルブのハウジングに固定され、片持ち梁208の終端部209の周囲に巻き付けられる。燃料電池で加熱されると、SMAワイヤ124は縮んで、終端部209をスライダ212の端部213から離れるように引っ張って、ラッチを解除する。ばね220あるいはばねアーム224または226(図19A図19Dに示さず)によって付勢されたスライダ212は、OFF位置に移動して戻る。
【0078】
片持ち梁208及びその延長部部材230はまた、上述のように入口138を閉鎖するのではなく、出口202を閉鎖することによって、バルブ200及び200'を閉じることができることにさらに留意されたい。
【0079】
パージ弁200は、パージ弁109及び109'が行うことができるあらゆる機能を行うことができることに留意されたい。例えば、バルブ200は、燃料電池システム21がONにされた時、またはOFFにされた時、ON位置にあることができる。第2のバルブ200はまた、一体型流体インターフェースモジュールに含まれて、例えば、システム21が遊休の場合にシステムから電流が流れない場合、自動的に燃料電池システム21をオフにすることが可能である。第2のバルブ200は、ポート18の内側のチューブ30の終端部30'と流体接続される。第2のバルブ200の入口は、終端部30'に接続され、第2のバルブ200の出口は、図1Cに最も良く示されているような圧力調整器60と流体接続する新しい終端部30'になる。図18Fはまた、終端部30'が記載されている。第2のバルブ200はまた、流体回路内のあらゆる場所に配置することができる。例えば、入口は、圧力調整器60の下流側に接続され得、出口は、燃料電池に接続する出口92であり得る。
【0080】
第2のバルブ200は、第1のパージ弁200をON位置にするのと同じ動きまたは同じ押しボタンによってON位置にすることができ、そのため、ユーザは、1つの動作をするだけでよい。パージステップ後、燃料電池は、第1のパージ弁200を加熱して、これを閉じるが、第2のバルブ200は開いたままでいる。基板135上の回路またはチップが提供されて、燃料電池システム21が遊休状態かどうかを確かめる、あるいは、燃料電池システム21から電流を引いている(drawingorwithdrawing)装置が場合、この回路は、第2のバルブのSMAワイヤ124に電流を流して、OFF位置に動かして、燃料を遮断し、燃料電池システム21をシャットダウンすることができる。これは、ユーザの入力なしで自動的に行われる。
【0081】
したがって、本発明の別の実施態様は、少なくとも1つの燃料電池と、自動遮断弁(200)とを備える燃料電池システムの動作方法を含む。本方法は、以下のステップを含む。
(a)自動遮断弁(200)を開放するステップ;
(b)電流を生産するために燃料電池システムに燃料を流すステップ;
(c)燃料電池が生産し、民生用デバイスに送られた電流を監視するステップ、及び
(d)前記電流が既定の閾値まで低減された場合、少なくとも1つの燃料電池を自動遮断弁の導電性素子に接続して前記遮断弁を閉じるステップ。
導電性素子は、形状記憶合金(SMA)であってもよく、ステップ(d)では、燃料電池は、収縮して遮断弁を閉位置に動かす導電性素子を加熱する。
【0082】
スライダ(複数可)212だけを一方向に動かすことになるため、パージ弁(複数可)200を使用する際にユーザが作動させるONボタンは、より簡素である。加えて、カートリッジ20をシステム21内に挿入する動作が、さらにスライダ(複数可)212をON位置に動かす場合、ONボタンの初期作動を省略できる。第2のバルブ200を使用する場合、燃料電池システム21は、使用しない場合、自動的に自信をオフにすることができ、ユーザは、次に使用する場合、ONボタンを作動させるだけでよい。
【0083】
本発明は、上述のパージ弁109及び109'または他のパージ弁を用いる、燃料電池システムの動作方法をさらに含む。まず、方法152を図14に示す。本発明の一体型の実施態様を実証すると、ユーザは、ステップ154で一度システムを作動させる、例えば、スイッチ12を作動させる。この作動の結果、システムは、(i)燃料遮断弁26を開くモジュールインターフェースポート18を作動させること、(ii)燃料調整器60を用いて流入する燃料の圧力を調整すること、(iii)パージ弁システム109を作動させ、燃料電池をパージ弁システムに電気的に接続して、燃料電池のアノードプレナムを排気すること、及び(iv)パージ弁システムが作動停止された後、燃料電池を外部負荷に接続することを含む、少なくとも4つの機能またはステップを実行する。システムがシャットダウンするまでユーザがしなければいけないことはなにもない。その後、パージが完了した場合、システムは、燃料電池からのそれ自身の電力を使用し、パージ弁を自動的に閉じる、例えば、SMA材料を用い、マイクロプロセッサ、センサまたはユーザにより能動的に制御することはない。次いで、システムは、正常に動作して、負荷部を動かすための電気を生産する。ユーザがシステムをシャットダウンしたい時は、ユーザは、スイッチ12を作動停止させる。このことにより、モジュールインターフェースポート18を収縮させることにより遮断弁26が閉じ、燃料電池回路が作動停止する。
【0084】
図15は、燃料電池の別の動作方法を示している。逆の方法158は、方法152と同様であるが、ただし、作動ステップ160では、システムは、燃料電池システムをパージする、または燃料電池のアノードプレナムを排気し、作動停止ステップ162では、パージされたシステムが準備される、すなわち、システムがシャットダウンされた場合、上述のように、逆パージ弁が開放されることが異なる。
【0085】
本発明の受動的な実施態様を実証すると、一体型流体インターフェースモジュール10、方法152及び逆の方法158は、操作するためにコントローラまたはマイクロプロセッサを必要とせず、また、ON/OFFスイッチの作動以外、ユーザとのやりとりも必要ではない。システムを始動するために電池などの外部電源を必要としない。代替的に、方法152及び158は、電気式のバルブ、例えば、電磁弁を制御するプロセッサによって、能動的な制御で動作させてもよい。
【0086】
SMAワイヤ124を有する第2のバルブ200を用いて、遊休状態の場合、または燃料電池から電流がなんら引かれていない場合、自動的に燃料電池システムをオフにする、燃料電池システムの別の動作方法もまた上述されている。
【0087】
別の一体型流体インターフェースモジュールが図16図17Bに示されている。モジュール10と同様に、モジュール170は、可動のモジュールインターフェースポート18と、カートリッジ20上のバルブ26を解放するためのチューブ30とを有する。モジュール170はまた、圧力調整器60と、チューブ30を、圧力調整器60、及び燃料電池108へ向かうモジュールから出る出口92に流体接続する、流れマニホールド172とを有する。
【0088】
モジュール170は、手動のパージ弁174を有し、これは、ボール弁と、ボールアクチュエータ176とを備える。ボール弁は、ばね180によって封止要素182内に付勢された封止ボール178を備える。アクチュエータボール176は、封止ボール178に直に隣接して収まり、アクチュエータボール176は、ばね180の力に逆らって封止ボール178に向けて押され、パージ弁174を開放する。燃料電池からの残留ガスは、パージポート138でモジュール170に流入し、及び流出孔184でモジュール170から出て、排気される。
【0089】
モジュール170上のスイッチ186は、スイッチ12と同様であり、さらに、モジュールインターフェースポート18を伸長及び収縮するために使用される。スイッチ186は、モジュール170の本体に枢動可能に取り付けられる。ユーザがスイッチ186のONセグメント14を押すと、この動作は、方向190にアクチュエータプレート188を動かし、ばねアーム52を圧縮する。この動作は、モジュールインターフェースポート18上のサイドノブ44を傾斜部またはカム面192に乗り上げさせ、それによって、図17Aに示すように、モジュールインターフェースポート18を方向50に伸長する、または動かす。この構成では、モジュールインターフェースポート18は、カートリッジ20に向けて進んで、遮断弁26を開放する。解除されると、スイッチ186は、ばねアーム52がその蓄積したエネルギーを解放するのに起因して、その休止位置に戻り、アクチュエータプレート188は、図17Aの構成に止まって、モジュールインターフェースポート18をカートリッジ20と係合させた状態に保つ。
【0090】
ユーザがスイッチ186のOFFセグメント16を押すと、この動作は、方向190'にアクチュエータプレート188を動かす。この動作は、モジュールインターフェースポート18上のサイドノブ44を傾斜部またはカム面192に乗り降ろさせ、それによって、図17Bに示すように、モジュールインターフェースポート18を方向50'に収縮させる、または動かす。この構成では、モジュールインターフェースポート18は、カートリッジ20から引き出され、カートリッジ遮断弁26を閉鎖可能にする。
【0091】
モジュール10と同様に、モジュール170のスイッチ186はまた、手動パージ弁174を作動させる。図16を参照すると、スイッチ186は、パージアクチュエータ194に接続される。ユーザがスイッチ186のONセグメントを押すと、パージアクチュエータ194もまた方向190に移動して、パージアクチュエータ194の縁部196がアクチュエータボール176の上でパージ弁174を開放するように動く。パージアクチュエータ194の縁部196と残りの部分との間の間隔に起因して、スイッチ186が休止位置に戻ると、縁部196は、アクチュエータボール176から離れるように動き、パージ弁174が閉じる。パージ弁174が開く継続時間は、スイッチ186がON位置に保持される継続時間に依存する。アクチュエータプレート188とは異なり、パージアクチュエータ194は、スイッチ186にしっかりと接続されて、これらの2つの構成要素が一緒に動くようにする。
【0092】
上述のように、スイッチ186は、燃料電池回路を作動させるだけではなく、遮断弁26を開放するためのモジュールインターフェースポート18と、パージ弁174との両方を作動させる。
【0093】
燃料電池システム10では、水素を消費する任意の既知の燃料電池を使用できる。好適には、平板型または並列型の燃料電池が使用される。好適な燃料電池は、中でも、米国特許第5,989,741号、第6,127,058号、第7,632,587号、第7,378,176号、及び第7,474,075号、米国特許出願公開第2002/0182475号、第2004/0224190号、第2006/0127734号、第2007/0184330号、第2007/0196701号、第2008/0233454号、第2009/0081493号、US2009123803、US2009169945、第2009/0311561号、第2009/0162722号、第2009/0130527号、US2011/0003299、US2011/0165495、及びUS2013059225、ならびに国際公開WO2007020242、WO2009/105896、WO2011/079378、及びWO2011/079377に開示されている。これらの引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。
【0094】
任意の既知の水素貯蔵または生成カートリッジまたはシステムを使用することができる。そのようなシステムは、中でも、米国特許第7,674,540号、第8,002,853号、第7,481,858号、第7,727,293号、及び第7,896,934号、ならびに米国特許出願公開第2010/0104481号、第2011/0189574号、第2011/0243836号、及び第2009/0123342号に開示されている。これらの引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。米国特許第7,172,825号及び第7,059,582号に開示されている、ブタンまたはメタノールなどの液体燃料電池燃料を含む燃料カートリッジを本発明の様々な実施形態において使用することができる。
【0095】
好適な圧力調整器は、米国特許第8,002,853号、国際公開WO2011/127608号ならびに米国特許出願公開第2008/0233446号、第2010/0104481及び第2011/0212374号に開示されている。これらの引用文献は、参照することによりその全体を本明細書に援用される。
【0096】
燃料電池システム21は、内圧が特定のレベルを超えた場合に水素燃料または他の燃料を放出するための逃し弁または放出弁も有していてもよい。
【0097】
先の詳細な説明は、実施形態の例の様々な詳細を示す添付の図面を参照している。本説明では、少なくとも部分的にこれらの図面を参照しながら本発明の主題の様々な例を扱っており、図示の実施形態を、当業者がその実施形態を実施するのに十分に詳細に、説明している。本明細書で論じた説明のための例以外に、多くの他の実施形態を利用してもよく、本発明の主題の範囲から逸脱することなく、具体的に本明細書で論じた代替策に加えて、多くの構造的及び動作上の変更がなされてもよい。
【0098】
先の説明を通して、本発明のより完全な理解を提供するために、具体的な詳細を説明した。しかしながら、本発明は、これらの細部なしで実施されてもよい。他の場合では、不必要に本発明を不明瞭にするのを避けるために、よく知られた要素については、図示または詳細に説明をしていない。図面は、例として、本発明が実施され得る具体的な実施形態を示している。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態を組み合わされてもよいし、他の要素を利用してもよいし、あるいは構造的または論理的な変更を行ってもよい。したがって、本明細書及び図面は、制限的ではなく、説明的な意味で解釈されるべきである。
【0099】
本文書で引用したすべての刊行物、特許及び特許文献は、個々に参照することにより援用されるように、参照することによりその全体を本明細書に援用される。本文書と、このように参照により援用されたそれらの文書との間で使用が矛盾する場合、援用された引用文献における使用は、本文書における使用に対する補足的なものとみなされるべきである。妥協できない矛盾については、本文書における使用が優先する。
【0100】
以下の部品リストは、図面で使用した参照番号を本明細書で使用した部品名に対応させている。

参照番号部品名
10一体型流体インターフェースモジュール
12スイッチ
14ONセグメント
16OFFセグメント
18モジュールインターフェースポート
20燃料カートリッジ
21燃料電池システム
22上側
23燃料電池システム21上のクランプ
24下側
26カートリッジ遮断弁
28カートリッジポート18の外側の保護部
30カートリッジポート18の内側のチューブ
32バルブ26のセンターポスト
34チューブ30を受けるためのバルブ26上の間隙
36バルブ26の弁箱
38バルブ26の封止部保持体
40バルブ26の封止部(複数可)
42保護部28に一致するカートリッジ20上の溝
44モジュールインターフェースポート18上のノブ
45ポート18上の戻り止め
46スイッチ12上のヨーク(複数可)
47戻り止め45の脚部
48ヨーク46のU字型の端部
50、50'ポート18の動作方向
52スイッチ12上のばねアーム
54スイッチ12上の枢動ボス
56、56'スイッチ12の動作方向
58、58'ヨーク12の動作方向
60圧力調整器
62入口ダイヤフラム
64シャトル
66出口ダイヤフラム
68シャトル64の大端部
70シャトル64の小端部
72シャトルハウジング
73シャトルハウジング通気孔
74圧力調整器60内のばね
76出口室
78入口室
80入口チャネル
82流入燃料の流れの方向
84圧力調整器60の入口
86圧力調整器60の出口
88出口チャネル
90流出燃料の流れの方向
92モジュール出口
94フィードバックポート
96第1のフィードバックチャネル
98フィードバック流の方向
100第2のフィードバックチャネル
102フィードバック流の方向
104出口室ポート
106薄い被覆フィルム
107アノード(複数可)
108燃料電池(複数可)
109半自動パージ弁
109'半自動逆パージ弁
110パージシャトル
110'逆パージシャトル
112パージ弁のための封止部材
113パージ弁のための封止方向
114パージシャトル110の封止部分
115パージシャトルのための動作方向
116パージシャトル110の開放部分
118パージシャトル110の肩部
120パージシャトル110上の延長部
122パージシャトル110上のノッチ
124形状記憶合金(SMA)ワイヤ
126ワイヤ124を支持する柱
127ワイヤ124を収めるモジュール10上の溝
128肩部118の下のスリット
130ワイヤ124のためのパージシャトル110上の溝
132パージ弁プッシャ
134プッシャ132上の指部
135PC基板
136パージガスの方向
137出力/USBポート
138モジュール10上のパージポート
140パージチャネル(複数可)
142パージされるガスの方向
144両口パージシャトル
146プッシャ132を有するモジュールインターフェースポート
148、150肩部118の反対向きの両面
152〜156燃料電池システムの動作方法
170一体型流体インターフェースモジュール
172モジュール170内のマニホールド
174手動パージ弁
176作動ボール
178封止ボール
180ばね
182封止部材
184パージ排出孔
186スイッチ
188作動プレート
190、190'作動プレート188の動作方向
192傾斜部またはカム面
194パージアクチュエータ
196パージアクチュエータ194の縁部
200パージ弁及び自動遮断弁
200'パージ弁
202出口
204端部
206自由端部
208片持ち梁
209終端部
210肩部
212可動の付勢されたスライダ
213スライダの端部
214本体
216叉状脚部
218鉤状端部
220巻きばね
222レッジ
224ばねアーム
226ばねアーム
228可撓性ダイヤフラム
230延長部
232ノッチ
234方向
236第1の傾斜部
238第2の傾斜部
240空間
242周縁
【0101】
本発明のさらに別の実施態様によれば、流路中の減径部(複数可)または流路中の屈曲部などの流量制限器を、流体回路内に挿入することができる。一例では、流量制限器は、パージポート138に近接して配置されて、パージされるガスの流量を、これがパージ弁109、109'または200に到達する前に、抑制または制御し得る。他の例では、流量制限器を、燃料電池の上流またはモジュール10の出口92の上流に配置することもでき、流量制限器を、圧力調整器60の上流または下流とすることもできる。
【0102】
加えて、燃料電池(複数可)への2つの出口92を示したが、本発明は、燃料電池のいかなる数にも限定されるものではなく、これは、1つの燃料電池または3つ以上の燃料電池であり得る。
【0103】
本明細書及び例は、単なる例示としてみなされることが意図されると同時に、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及びその均等物で示される。本発明の他の実施形態は、本明細書で開示された本発明の明細書及び実施例を検討すれば、当業者には明らかになる。加えて、1つの実施形態の構成要素または特徴は、他の実施形態で利用することができる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A
図19B
図19C
図19D
【国際調査報告】