特表2016-511388(P2016-511388A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インダストリアル タービン カンパニー (ユーケイ) リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000003
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000004
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000005
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000006
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000007
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000008
  • 特表2016511388-リーン方位角炎燃焼器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-511388(P2016-511388A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】リーン方位角炎燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/58 20060101AFI20160318BHJP
   F23R 3/12 20060101ALI20160318BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20160318BHJP
   F23R 3/32 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   F23R3/58
   F23R3/12
   F23R3/28 D
   F23R3/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-500118(P2016-500118)
(86)(22)【出願日】2013年12月5日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月11日
(86)【国際出願番号】US2013073280
(87)【国際公開番号】WO2014143239
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】61/780,835
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515243969
【氏名又は名称】インダストリアル タービン カンパニー (ユーケイ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Industrial Turbine Company (UK) Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ エル. ホッブズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エイ.エム. サイディ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エル. ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】エパミノンダス マストラコス
(72)【発明者】
【氏名】ジル ブルク
(57)【要約】
燃焼室が、中心軸線(A)を備えた室を形成する、壁(108)によって互いに接続された第1の面(102)及び第2の面(104)を有している。前記第1の面は排気開口(102)を有していて、前記第2の面はパイロット開口(110)を有しており、前記排気開口とパイロット開口とは前記中心軸線に沿って整列している。複数の入口ポートが、前記室内に空気を供給するように形成されている。複数の燃料ポート(122)は、前記室内に燃料を供給するように前記第2の面の内面に配置されている。入口ポートからの空気と燃料ポートからの燃料とは、前記第2の面の近位で生成物の渦(118)を形成するように互いに逆方向に向けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室であって、該燃焼室には、
室を形成する、壁によって互いに接続された第1の面及び第2の面が設けられており、
前記第1の面は、複数の第1の開口を有していて、該第1の開口は外側の径と、該外側の径よりも小さい内側の径とを有し、空気流及び/又は燃料流が、外側の径のところから入って内側の径のところを通過して前記室内に入るように形成されており、
前記第2の面は、複数の第2の開口を有していて、該第2の開口は燃料を受け取るように形成されており、前記第1の開口からの空気流と前記第2の開口からの燃料とは、前記第2の面の近くで生成物の渦を形成するように互いに逆向きであることを特徴とする、燃焼室。
【請求項2】
前記第1の開口の前記内側の径は、前記第2の開口の径よりも大きい、請求項1記載の燃焼室。
【請求項3】
前記第1の開口は、前記壁からオフセットされていて、前記壁に対して垂直である、請求項1記載の燃焼室。
【請求項4】
前記第1の開口はそれぞれ、前記壁から等しくオフセットされている、請求項3記載の燃焼室。
【請求項5】
前記第2の面は、空気と燃料のうちの少なくとも一方を受け取るように形成された入口開口を有していて、これによりさらに空気流が形成される、請求項1記載の燃焼室。
【請求項6】
さらに、前記入口開口においてパイロットを有している、請求項5記載の燃焼室。
【請求項7】
前記第1の開口の数は、前記第2の開口の数よりも多い、請求項1記載の燃焼室。
【請求項8】
前記各燃料孔からの燃料流は、前記渦内の生成物の少なくとも一部と反応するように形成されている、請求項1記載の燃焼室。
【請求項9】
燃焼室であって、該燃焼室には、
中心軸線を有した室を形成する、壁によって互いに接続された第1の面及び第2の面が設けられており、前記第1の面は排気開口を有していて、前記第2の面はパイロット開口を形成しており、前記排気開口と前記パイロット開口とは、前記室の前記中心軸線に沿って整列していて、
前記第1の面の内面に配置された複数の入口ポートが設けられており、該入口ポートはそれぞれ、半径方向内側に前記排気開口に向かって延在していて、各入口ポートは、前記室に空気を供給するように構成されており、
前記第2の面の内面に配置された複数の燃料ポートが設けられており、該燃料ポートはそれぞれ、前記第2の面の縁部から半径方向内側に向かって延在していて、前記室に燃料を供給するようになっており、
前記入口ポートからの空気流と、前記燃料ポートからの燃料とは、前記第2の面の近くで生成物の渦を形成するように互いに逆向きであることを特徴とする、燃焼室。
【請求項10】
前記入口ポートからの空気流の運動量は、前記燃料ポートからの燃料の運動量よりも大きい、請求項9記載の燃焼室。
【請求項11】
前記入口ポートはそれぞれその端部に、前記室に空気を供給する少なくとも1つの第1の開口を有している、請求項9記載の燃焼室。
【請求項12】
前記第1の開口は外側の径と、該外側の径よりも小さい内側の径とを有している、請求項11記載の燃焼室。
【請求項13】
前記第1の開口はそれぞれ、前記壁に対して方位角を有している、請求項12記載の燃焼室。
【請求項14】
前記第1の入口ポートの数は、前記燃料ポートの数よりも多い、請求項9記載の燃焼室。
【請求項15】
前記燃料ポートは、前記渦内の生成物の少なくとも一部と反応するように形成されている逆流噴射口である、請求項9記載の燃焼室。
【請求項16】
前記パイロット開口は、中央流を形成しながら空気と燃料のうちの少なくとも一方を前記室内に供給するように形成されていて、前記中央流体流の一部は、前記排気開口のところで前記室から出て行き、前記中央流体流のその他の部分は、前記第1の側からの空気流に接触して、前記中央流の周りで再循環流を形成する、請求項9記載の燃焼室。
【請求項17】
燃焼室内に渦を形成する方法であって、
前記燃焼室の第1の面で第1の運動量を持った空気流を受け取り、該空気流は前記第1の面に対して所定の角度を成しており、
前記燃焼室の第2の反対の側で、第2の運動量を持った燃料流を受け取り、前記第1の運動量は、前記第2の運動量よりも大きく、衝突する流体流によって、前記第2の面の近くで、生成物の回転する渦を形成することを特徴とする、燃焼室内に渦を形成する方法。
【請求項18】
前記第2の面に設けられた中央の噴射器において燃料及び空気の少なくとも一方を含む中央流を受け取り、該中央流は、前記第1の面からの空気流とは逆向きである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記中央流の一部は、前記第1の面に形成された排気開口のところで前記燃焼室を出る、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1の面からの前記空気流は、前記中央流と衝突するように形成されていて、前記中央流のその他の部分を、再循環流を形成するように前記第2の面に向かって方向付ける、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
この出願は、その内容の全てを本明細書に含ませることができる2013年3月13日に提出された米国仮特許出願No.61/780835の優先権を請求する。
【0002】
技術分野
本発明は、ガスタービンエンジンの改良された燃焼室に関する。
【0003】
背景技術
ガスタービンエンジンの燃焼の改良は、エミッションの低減と、様々な燃料源の燃焼を可能にすることに焦点が当てられている。窒素酸化物(NOx)と一酸化炭素(CO)を低排出にするためのいくつかの要件により、特定の設計上の制約が生じる。低COの達成は一般的に、完全燃焼と、熱力学的に平衡にある生成ガスに関連している。低NOxの達成は、低い燃焼温度及び短い滞留時間に関連しており、これは、リーンな空燃比及び/又は希釈によってもたらされるものである。燃焼ガスの希釈は、排ガス再循環(EGR)及び煙道ガス再循環(FGR)のように排ガスによって達成される。これにより、結果として不完全燃焼が生じる恐れがあり、これは高いCOの放出につながる。
【0004】
不完全燃焼を防止するために、従来の燃焼システムは、適切な体積を有したサイズとなっている。しかしながら高希釈(EGR又はFGR)を伴うこのようなアプローチは、可燃性と温度制限により限界がある。従って、超低NOx・CO排出での燃焼が行われるように形成された燃焼室が必要である。
【0005】
特許請求の範囲は、特定の図に限定されるものではないが、図示した様々な実施態様を議論することにより、様々な側面が理解される。図面を参照すると、実施態様の図が詳しく示されている。図面は実施態様を示しているが、図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、実施態様の革新的な側面をより良好に図示し、説明するためにいくつかの特徴を誇張して示すことができる。さらに、ここに記載した実施態様は、全てを網羅しているわけではなく、又は別の形式を制限するものではなく、図示され、以下の詳細な説明に開示された厳密な形式と構成に制限するものではない。以下に、図面につき、本発明の実施態様を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書で説明される改良点を含むガスタービンエンジンを概略的に示した図である。
図2】燃焼室の実施態様を示した斜視図である。
図3】燃焼室の別の実施態様を示した斜視図である。
図4】運転中の図3の燃焼室の実施態様を示した斜視図である。
図5】燃焼室の実施態様を示した断面図である。
図6】燃焼室の流体の流れを示す図である。
図7】流体の流路が示された燃焼室の図である。
【0007】
詳細な説明
ここで説明する燃焼室は、燃焼室の出口端部からの空気と、燃焼室の入口端部において噴射された燃料との混合により燃焼室内に渦を形成するように構成されている。空気が燃焼室の出口端部に進入する方式により、空気と燃料の混合の反応により形成された生成ガスは、部分的に捕捉され、その一部は強制的に入口端部に戻される。さらに、反応物を供給するために、方位角反応物噴出口を燃焼室内に間隔を置いて配置することができる。これらの噴出口は、逆流スワール噴射口であって良く、バルク流体運動を起こさせるので、1つの噴射口における生成ガスは、次のための反応物を提供する。即ち、各反応は、その前の反応からの生成ガス流によってサポートされている。しかしながら形成されるスワールは、渦崩壊を引き起こすには十分ではなく、単に円錐状の流路を形成するのに十分である。ここに記載される実施態様は、安定した高希釈燃焼を達成するリーン方位角炎(LEAF)燃焼器に関するものである。このような構成を提供するために、出口端部で燃焼室に入る空気流は、方位角流を形成することができる。即ち、この空気流は、空気流の終端部が、ここで記載されているように、空気孔からオフセットされるように角度付けられていて良い。
【0008】
図1には、一般的な発電機を提供するように形成することができるガスタービンエンジン10が示されている。このエンジン10は、低圧圧縮機14、中圧圧縮機(図示せず)、高圧圧縮機16、燃焼器18、高圧タービン20、中圧タービン(図示せず)、低圧タービン22をそれぞれ有していて良い。高圧圧縮機16は第1のロータ軸24に接続されていて、低圧圧縮機14は第2のロータ軸26に接続されている。中圧圧縮機は第3のロータ軸を介して中圧タービンに接続されている。これらの軸は軸方向に延在していて、長手方向中心軸線28と平行である。このエンジン10は、ここに開示する改良された特徴を有する、改良された燃焼室18を有している。
【0009】
図2には、燃焼器18の燃焼室100の実施態様の斜視図が示されている。この燃焼室100は、ジェット燃料エンジン又は産業用ガスタービン内での燃焼のために、燃料と空気の混合を促進することができる。燃料は、気体、液体、固体、又はこれらのいずれの組み合わせであって良い。気体燃料の一般的な例としては、天然ガス(これに限定するわけではないが、メタン及び/又はエタン及び/又はプロパン及び/又はブタン及び/又はペンタン(及び/又はそれらの異性体変種)、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、水等から成っている)、かつ/又は合成ガス(これに限定するわけではないが、水素及び/又は一酸化炭素、メタン、二酸化炭素、窒素、水等から成っている)のいずれか、又はこれらのいずれかの組み合わせであって良い。液体燃料の例は、アルコール、灯油、ディーゼル等のいずれか、又はこれらのいずれかの組み合わせであって良い。固体燃料の例は、粉砕された石炭であって良い。空気は酸化体であって良く、様々なソースから成る複数の組成を含むことができる。燃料と空気は予混合することができ、又は予混合されていなくても良い。燃焼室100内で燃料と空気は混合され、反応する。このような反応は燃焼を促進することができる。混合された燃料と空気は、本明細書では「生成ガス」と呼ぶことができる。
【0010】
燃焼室100は、以後、出口端部102と称する第1の面と、以後、入口端部104と称する第2の面とを有している。2つの端部102,104は、円形又は別の幾何学的形状で構成されていて良く、円筒状の燃焼室100を形成するように壁108によって互いに接続されている。入口端部104は少なくとも1つの入口開口110を有していて良い。出口端部102は少なくとも1つの出口開口112を有していて良く、この出口開口112は、排気物が燃焼室100から出られるように構成されている。排気は、タービン(図示せず)にエネルギを供給することができる。開口110,112はそれぞれ各端部102,104の軸線Aに沿って軸方向で整列していて良い。
【0011】
入口開口110は、中央の噴射器114(図4参照)を収容するように形成されていて良い。中央の噴射器114は、燃焼室100に中央の反応区域を提供するように構成することができる。中央の反応区域は、燃焼室100の安定性を維持することができる。これは、燃焼室のための反応を提供することによって行われる。パイロットを含むことができるが必須ではない。パイロットは、生成ガスを点火するために使用され、燃焼室100内での反応を促進する。安定化は、パイロット燃料が継続的に点火されることによって得られる。付加的に、又は選択的に、中央の噴射器114も、ここに記載したように、燃焼室100に燃料と空気とを供給することができる。出口開口112は、ガスと排気とが燃焼室100から出ることができるように形成されて良い。軸線Aは一般的に燃焼室100の中央に配置されるように示されているが、排気112及び/又は中央の噴射器114は、燃焼室100の中心からずらされていて良い。
【0012】
出口端部102は、以後、空気孔120と称する複数の第1の孔を有することができる。これらの空気孔120は、燃焼室100内部へ空気を供給し、燃焼室100内でのバルク流体運動を促進するように形成されている。入口端部104は、以後、燃料孔122と称する複数の第2の孔を有することができる。これらの燃料孔122は、燃焼室100の内部に予混合燃料を供給するように形成することができる。空気孔120は、「逆」入口と考えることができる。何故ならば、これらの空気孔120は、中央流を通る排気流の全体的な方向とは反対向きだからである。空気孔120からの空気流は、バルク流体運動を提供することができる。空気孔120は、円錐台形又はピラミッド状であって良い。空気孔120は、外側の径と、この外側の径よりも小さな内側の径を有している。空気は、外側の径のところで空気孔120へと流入し、内側の径のところで燃焼室100内に流入する。円錐台形及び/又はピラミッド状のこれらの孔120により空気は、孔120が円筒状であった場合よりも高い運動量で燃焼室100内に入ることができる。付加的に又は選択的に、空気孔120の内側の径は、燃料孔122の直径よりも大きくて良い。即ち、燃料よりも多くの空気が燃焼室100内に入ることができる。付加的に、空気は、燃料よりも高い運動量で燃焼室100内へと流入することができる。空気孔120の数は燃料孔122よりも多くて良く、これにより燃料よりも多くの空気が燃焼室100内に入ることができる。より多くの空気が出口端部102で受け取られるならば、燃料孔122の数よりも空気孔120の数が多い必要はない。ここで記載するように、リーンシステムでは、空気流は、燃料流よりもずっと大きな体積を有していて良い。
【0013】
入口開口110で導入される燃料と空気により、燃焼室100内での燃焼が促進される。このような燃料流及び空気流によっても、入口開口110から出口開口112への生成ガスの流れを促進することができる。これは、以後、中央流と呼ぶ。この中央流により、生成ガスは出口開口112から燃焼室100を出ることができる。空気孔120からの空気流は、中央流よりも大きな流れを有していて良い。これにより、中央流の生成ガスの一部を、入口端部104に向かって押し戻すことができ、生成ガスの少なくとも一部を燃焼室100内に留めることができる。このことは図6につきより詳しく説明される。さらに、燃料孔122からの燃料流は、空気孔120からの下方への空気流と結びついて、燃焼室100内で生成ガスの渦を形成する。
【0014】
図3及び図5には、燃焼室100の別の実施態様が示されている。この実施態様では、複数の入口ポート130が半径方向内側に向かって、出口開口112に向かって延在している。この入口ポート130は、出口端部102で、燃焼室100の外側から空気を燃焼室100の内部へと供給するように形成された空気通路を形成することができる。各入口ポート130は少なくとも1つの入口ポート孔132を有することができる。これらの孔132は、上述した空気孔120と類似のものであって良い。入口ポート孔132は、燃焼室100の出口端部102において空気を供給することができ、これにより入口端部104の近くにおいて、方位角回転及びスワールを伴う渦118(図4参照)の形成を促進する。入口ポート孔132は、空気孔120について上述した通り、円錐台形の形を有していて良い。
【0015】
図4には、運転中の燃焼室100の実施態様の斜視図が示されている。燃焼室100は円筒状に示されているが、中心軸線Aを有する任意の形のものであって良い。燃焼室100は軸線Aに関して対称的に示されているが、必ずしも対称的である必要はない。渦118は燃焼室100内に形成される。渦118は少なくとも部分的に、空気孔120からの空気流148と、燃料孔122からの燃料流150(図5参照)とによって形成されている。このことは図6及び図7につきより詳しく後述する。渦118は入口端部104の近くにあって良く、燃焼室100内で再循環流とバルクスワールを形成することにより、生成ガスの少なくとも一部を燃焼室100内に維持することができる。一実施態様では、空気流148は、第1の運動量で出口端部102から受け取ることができる。燃料は、入口端部104で第2の運動量で受け取られる。空気流は、燃料流の運動量よりも大きな運動量であって良い。空気流148は、中央の噴射器114からの中央流の運動量よりも大きな運動量であっても良い。従って、空気流148は中央流152(図5参照)と燃料流150に対して逆向きであって良く、生成ガスの少なくとも一部を強制的に、入口端部104へと戻して生成ガスの渦118を形成し、燃焼室100内で再循環させる。排気の一部は、出口開口112から燃焼室100を出て行くことができる。
【0016】
図5には、燃焼室100の実施態様の断面図が例として示されている。この実施態様では、入口ポート130が空気を燃焼室100へと供給する。付加的に複数の燃料ポート138が入口端部104において燃料を燃焼室100へと供給する。燃料ポート138は、入口端部104の近くで、壁108に入る燃料通路として示されている。例として、燃料流150も示されている。燃料流150は壁108に平行に示されているが、別の例の燃料流も考えられる。例えば、燃料は、壁108からずらされて流れることができる。付加的に又は選択的に、燃料は、入口端部104に対して平行に流れることができる。例として、空気流148も示されている。この実施態様では、空気流148は、この空気流148の終端又は先端が、空気孔120における空気流の始点からオフセットしているように角度付けられて良い。即ち、空気は、中央流に平行に流れるのではなく、所定の角度だけオフセットさせることができる。この実施態様では、各空気流148が方位角のような空気流を形成することができる。一実施態様では、入口ポート孔132はそれぞれ、燃焼室全体にわたって連続的な方位角流を形成するように同じオフセットで角度付けされていて良い。別の例では、入口ポート孔132は異なる角度で角度付けされていて良い。空気流148の角度付けにより、燃焼室100内でのスワール流の形成を促進することができる。
【0017】
上述した例は入口ポート130に関するものであるが、同じオフセットは図2及び図4につき説明したような、出口端部102における空気孔120の形成により達成することができる。
【0018】
スワール流は、中央の噴射器114によってもさらに促進することができる。中央の噴射器114は、燃料と空気の少なくとも一方、及びパイロット燃料を燃焼室100に供給することができる。これにより中央流152を形成することができ、この中央流は部分的に再循環流へと再循環させることができる(図6参照)。
【0019】
図6には、燃焼室100の流体の流れを示す図の例がされている。上述したように、空気孔120又は入口ポート孔132及び燃料孔122又は燃料ポート孔140(図5参照)は、それぞれ空気流148と燃料流150を形成するように構成されている。付加的に、入口開口110で中央の噴射器114を通った空気及び/又は燃料は、中央流152を形成するように構成することができる。中央流152のいくつかの部分は、出口開口112のところで燃焼室100を出て行くことができる。しかしながら中央流152の残りの部分は、再循環流154を形成するために空気流148によって変向されることができる。再循環流154は、空気と燃料の両方を含み、出口端部102から入口端部104へと流れ、入口端部104において生成ガスの渦118に再統合される。
【0020】
図7には、等しく間隔を置いて配置された燃料ポート138を介して燃料が供給されている運転中にある燃焼室100の実施態様が斜視図で示されている。これらの燃料ポート138は、反応物、例えば燃料を、燃焼室100へと同時に供給するように形成された方位角噴出口として形成することができる。燃料ポート138は燃焼室100の周囲に沿って均等に間隔を置いて配置することができる。各燃料ポート138は、燃焼室100の一領域に燃料を供給するように構成されている。各領域は、生成ガスの少なくとも一部を次の領域に供給するように形成されているので、各燃料ポート138における反応のための生成ガス124の継続的な供給が行われる。付加的に、この渦118は、生成ガス及び反応物のバルクスワールを含むことができ、生成ガスを強制的に入口端部104へと戻しながら、燃焼室100内で生成ガスを部分的に再循環させるように構成されている。
【0021】
燃料流は、図5に示されたように、壁108に対して垂直に導入される。燃料流は、図7に示されたように角度付けされていても良い。説明したように、燃料(反応物)は逆流空気噴流によって形成された渦118を貫通することができ、これにより、生成ガス124の方位角円錐流の形成を促進する。パイロット燃料及び生成ガスにより一度、燃焼が開始されると、各燃料噴出口又はポート138は、先行する反応による生成ガス124の近くで入る。燃料ポート138はいくつ使用しても良い。適正な循環によっては、1つだけのポート138が必要である。付加的に3つのポート138を考えることができ、約4〜12のポート138が、燃焼室100の周囲に沿って配置されて良い。
【0022】
燃料流150は、点火が行われる前に燃料を環状の方位角渦にするために十分な運動量を伴って、燃料ポート138(又は燃料孔122)から導入することができる。付加的に又は選択的に、空気流148は燃料流をスワールにするのに十分な運動量を供給することができ、点火が行われるまで高温の燃焼ガスとの混合を促進する。このことは、渦118にバルクスワールを与える角度付けられた空気孔120によって促進される。
【0023】
本開示は燃焼室に関して説明しているが、記載した流体流は、限定的な体積の例での生成物の再循環及び/又は反応物の希釈化により利点が得られる任意の反応工程にも適用することができる。上述した装置及び方法により、十分な希釈、混合、エネルギが達成され、加えて、反応の方位安定を形成することにより燃焼室のバルクにおける安定的な高度に希釈された燃焼状態が達成される。
【0024】
入口端部の近くで生成物のこのような渦を形成することにより、生成物の組成及び温度の極めて高い均一性が、燃焼室にわたって維持される。最高火炎温度も減じられ、従って燃焼室の壁や噴射器における熱負荷は最小になる。付加的に、極めて低いCO、NOx、UHC(未燃炭化水素)エミッションが達成される。さらに、上述したシステムは、完全に口火なしで運転可能である。このシステムは幅広い範囲の運転で使用することができ、比較的長い滞留時間及び高度な混合により良好な燃料フレキシビリティを有する。
【0025】
上述した方法及び装置は、いくつかの構成要素とステップを省くように改良することができ、又は付加的な構成要素及びステップを追加するように改良することができ、それら全ては、本開示の思想の範囲内にあると考えられる。本開示により、特定の実施態様につき詳細な説明がなされているが、様々な変化態様及び変更は、特許請求の範囲に記載された本開示の範囲から逸脱することなく、これらの実施態様に対してなされ得ることが理解されるであろう。明細書及び図面は、限定的な思想ではなく、1つの例示的思想であると見なすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】