(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-511393(P2016-511393A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】発生源共振器のための物体検出システム
(51)【国際特許分類】
G01V 11/00 20060101AFI20160318BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20160318BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20160318BHJP
G01V 8/10 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
G01V11/00
G01B11/24 K
G01B11/02 H
G01V9/04 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-553719(P2015-553719)
(86)(22)【出願日】2013年10月7日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月9日
(86)【国際出願番号】US2013063657
(87)【国際公開番号】WO2014113093
(87)【国際公開日】20140724
(31)【優先権主張番号】13/744,618
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ピーター・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,リチャード・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,リチャード・エイ
【テーマコード(参考)】
2F065
2G105
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065AA51
2F065CC16
2F065FF04
2F065FF44
2F065JJ19
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2F065QQ31
2G105AA01
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2G105BB17
2G105EE02
2G105EE06
2G105GG01
2G105HH05
(57)【要約】
無線エネルギ伝達システムの部分である発生源共振器に近い異物を検出するシステムおよび方法。無線エネルギ伝達システムは、電気車両の電池を無線で充電するために使用されるものであってよい。可視光カメラおよび複数区間の温度センサからのデータは、金属製物体または動物などの異物が発生源共振器の近傍または発生源共振器のごく近くにあるかどうかを決定するために、組み合わされ、または融合される。システムは、発生源共振器により放出されるエネルギを減少または抑制させるために、異物が検出されるかどうかに基づいて、発生源共振器に提供される電流を制御する。可視光カメラは、単色またはカラーのカメラであってよく、温度センサは、赤外線カメラまたは熱電対列配列であってよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生源共振器(14)に近い異物(12)を検出するシステム(10)であって、
前記発生源共振器(14)を含むカメラ視野(20)を有するように搭載され、カメラ(16)内の画素により検出される可視光強度を表す画像データを出力するように構成される、可視光カメラ(16)と、
前記発生源共振器(14)を含み、前記カメラ視野(20)と同様である、センサ視野(22)を有するように搭載され、複数区間の各々の区間温度を表す熱データを出力するように構成される、複数区間の温度センサ(18)と、
前記可視光カメラ(16)および前記複数区間の温度センサ(18)と通信し、
前記カメラ(16)から可視光画像データを受け取り、
強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップ(38)を決定し、
前記強度マップ(38)の区域上に強度対象物(42)を指定し、
前記複数区間の温度センサ(18)から前記熱データを受け取り、
熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップ(44)を決定し、
前記熱マップ(44)の区域上に熱対象物(46)を指定し、
前記強度対象物(42)と前記熱対象物(46)が交差すると前記異物(12)を検出し、
前記異物(12)が検出されると前記発生源共振器(14)に提供される電流(34)を制御する
するように構成されるコントローラ(32)と
を備える、システム(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(10)において、
前記カメラ(16)が可視光色を表す画像データを出力するようにさらに構成され、前記コントローラ(32)が、
色相データセルの配列として特徴付けられる色相マップを決定し、
前記色相マップの区域上に色相対象物を指定し、
前記色相対象物、前記強度対象物(42)、および前記熱対象物(46)が交差すると前記異物(12)を検出する
ようにさらに構成される、システム(10)。
【請求項3】
請求項1に記載のシステム(10)において、
前記カメラ(16)が可視光色を表す画像データを出力するようにさらに構成され、前記コントローラ(32)が、
彩度データセルの配列として特徴付けられる彩度マップを決定し、
前記彩度マップの区域上に彩度対象物を指定し、
前記彩度対象物、前記強度対象物(42)、および前記熱対象物(46)が交差すると前記異物(12)を検出する
ようにさらに構成される、システム(10)。
【請求項4】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記異物(12)が検出されるときに警告信号を生成する機能を有する前記コントローラ(32)に結合される警告インジケータをさらに備える、システム(10)。
【請求項5】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記可視光カメラ(16)および前記複数区間の温度センサ(18)が、車両(26)の下側(24)に搭載される、システム(10)。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム(10)において、前記可視光カメラ(16)および前記複数区間の温度センサ(18)が、獲得共振器(30)のごく近くに搭載される、システム(10)。
【請求項7】
請求項1に記載のシステム(10)において、前記カメラ(16)が100,000画素以上を有し、前記複数区間の温度センサ(18)が、1000区間未満を有する、システム(10)。
【請求項8】
発生源共振器(14)に近い異物(12)を検出する方法(100)であって、前記検出が、前記発生源共振器(14)を含むカメラ視野(20)を有するように搭載される可視光カメラ(16)、および前記発生源共振器(14)を含み前記カメラ視野(20)と同様であるセンサ視野(22)を有するように搭載される複数区間の温度センサ(18)からの画像データに基づき、前記方法(100)が、
前記カメラ(16)から可視光画像データを受け取るステップ(110)であって、前記画像データが、前記カメラ(16)内の画素により検出される可視光強度を表す、ステップ(110)と、
強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップを決定するステップ(112)であって、各強度データセルが、前記画素のうちの1つまたは複数により検出される前記画像データの強度特性に基づいた強度値を有する、ステップ(112)と、
参照強度マップ(40)と比較して目立つ強度値を有する強度データセルのクラスタが存在する前記強度マップの区域上に強度対象物を指定するステップ(114)と、
前記複数区間の温度センサ(18)からの熱データを受け取るステップ(130)であって、前記熱データが、前記複数区間の各々の区間温度値を含む、ステップ(130)と、
熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップを決定するステップ(132)であって、各熱データセルが、前記複数の区間のうちの1つまたは複数の温度特性に基づいた温度値を有する、ステップ(132)と、
温度閾値と比較して目立つ温度値を有する熱データセルのクラスタが存在する前記熱マップの区域上に熱対象物を指定するステップ(138)と、
前記強度対象物と前記熱対象物が交差すると前記異物を検出するステップ(144)と、
前記異物(12)が検出されると前記発生源共振器(14)に提供される電流を制御するステップ(148)と
を含む、方法(100)。
【請求項9】
請求項8に記載の方法(100)であって、
前記カメラ(16)から可視光画像データを受け取るステップ(110)であって、前記画像データが、前記カメラ(16)内の前記画素により検出される可視光色を表す、ステップ(110)と、
色相データセルの配列として特徴付けられる色相マップを決定するステップ(118)であって、各色相データセルが、前記画素のうちの1つまたは複数により検出される前記画像データの色相特性に基づいた色相値を有する、ステップ(118)と、
参照色相マップと比較して目立つ色相値を有する色相データセルのクラスタが存在する前記色相マップの区域上に色相対象物を指定するステップ(120)と、
前記色相対象物、前記強度対象物、および前記熱対象物が交差すると前記異物を検出するステップ(144)と
をさらに含む、方法(100)。
【請求項10】
請求項9に記載の方法(100)であって、色相対象物の形状および色相対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、前記色相対象物として指定される色相データセルの数を増加するステップをさらに含む、方法(100)。
【請求項11】
請求項8に記載の方法(100)であって、
前記カメラ(16)から可視光画像データを受け取るステップ(110)であって、前記画像データが、前記カメラ(16)内の前記画素により検出される可視光色を表す、ステップ(110)と、
彩度データセルの配列として特徴付けられる彩度マップを決定するステップ(124)であって、各彩度データセルが、前記画素のうちの1つまたは複数により検出される前記画像データの彩度特性に基づいた彩度値を有する、ステップ(124)と、
参照彩度マップと比較して目立つ彩度値を有する彩度データセルのクラスタが存在する前記彩度マップの区域上に彩度対象物を指定するステップ(126)と、
前記彩度対象物、前記強度対象物、および前記熱対象物が交差すると前記異物を検出するステップ(144)と
をさらに含む、方法(100)。
【請求項12】
請求項11に記載の方法(100)であって、彩度対象物の形状および彩度対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、前記彩度対象物として指定される彩度データセルの数を増加するステップをさらに含む、方法(100)。
【請求項13】
請求項8に記載の方法(100)であって、強度対象物の形状および強度対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、前記強度対象物として指定される強度データセルの数を増加するステップ(116)をさらに含む、方法(100)。
【請求項14】
請求項8に記載の方法(100)であって、熱対象物の形状および熱対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、前記熱対象物として指定される熱データセルの数を増加するステップ(142)をさらに含む、方法(100)。
【請求項15】
請求項8に記載の方法(100)であって、前記異物(12)が検出されるときに警告信号を生成するステップ(150)をさらに含む、方法(100)。
【請求項16】
請求項8に記載の方法(100)であって、前記異物(12)を検出する前記ステップが、前記異物(12)の前記検出が持続時間閾値よりも長い時間持続することを決定するステップを含む、方法(100)。
【請求項17】
請求項8に記載の方法(100)であって、前記熱マップを決定する前記ステップが、
少なくとも1つの区間の区間温度値に基づいて背景温度値を決定するステップ(134)と、
各区間の差分温度値を決定するステップであって、前記背景温度値と、対応する区間温度値との間の差に基づき各区間の差分温度値を決定するステップ(136)と、
前記差分温度値の差分温度閾値との比較に基づいて熱2値マップを生成するステップと
を含む、方法(100)。
【請求項18】
異物(12)が発生源共振器(14)に近いことを検出するように構成されるシステム(10)用のコントローラ(32)であって、前記システム(10)が、前記発生源共振器(14)を含むカメラ視野(20)を有するように搭載され前記カメラ(16)内の画素により検出される可視光強度を表す画像データを出力するように構成される可視光カメラ(16)と、前記発生源共振器(14)を含み前記カメラ視野(20)と同様であるセンサ視野(22)を有するように搭載され複数区間の各々の区間温度を表す熱データを出力するように構成される複数区間の温度センサ(18)とを備え、前記コントローラ(32)が、
前記カメラ(16)から可視光画像データを受け取り、
強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップを決定し、
前記強度マップの区域上に強度対象物を指定し、
前記複数区間の温度センサ(18)から前記熱データを受け取り、
熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップを決定し、
前記熱マップの区域上に熱対象物を指定し、
前記強度対象物と前記熱対象物が交差すると前記異物(12)を検出し、
前記異物(12)が検出されると前記発生源共振器(14)に提供される電流を制御する
ように構成されるコントローラ(32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、無線エネルギ伝達システム内の発生源共振器の近傍の異物検出に関し、より詳細には、可視光カメラおよび複数区間の温度センサからの情報を組み合わせ、または融合させて、発生源共振器に近い異物を検出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]無線エネルギ伝達システムは、磁気エネルギを伝達するように構成されるコイルを含む第1の共振器構造(発生源共振器)、および無線で伝達された磁気エネルギを受け取るように構成されるコイルをやはり含む、離間した第2の共振器構造(獲得共振器)を組み込むことが知られている。そのような無線エネルギ伝達システムは、電気車両またはハイブリッド車両の電池などのエネルギ貯蔵デバイスを電気的に充電するために使用され得る。そのようなシステムでは、発生源共振器は、表面、例えば車庫の床または駐車場の床面上に配置され、または埋め込まれてよく、獲得共振器は、車両上に配設されてよい。
【0003】
[0003]そのような無線エネルギ伝達システムの動作期間に、獲得共振器が発生源共振器の上に概ね位置合わせされるように、充電される車両が駐車される。発生源共振器および獲得共振器は、車両のシャーシの底部と地面との間の典型的な間隔である、車両の最低地上高に近い距離だけ離される。いくつかの車両用途では、最低地上高は、約10センチメートル(cm)から20cmの範囲であってよい。そのような配置では、発生源共振器と獲得共振器との間の最低地上高空間は、典型的には、アルミニウムの炭酸飲料の缶または鉄鋼製の工具などの異物が発生源共振器上または発生源共振器の近くに存在する場所を提供するのに十分な程、大きい。発生源共振器の近傍にあるこれらのような金属製の異物は、共振器のエネルギ伝達効率を減少させる可能性があり、異物の誘導性発熱に起因する望ましくない局所的な発熱を引き起こす可能性がある。発生源共振器と獲得共振器との間の空間はまた、例えば、犬または猫といった小さい動物が共振器間に来ることが可能になるのに十分な程、大きい可能性がある。無線エネルギ伝達システムが動作しているとき、共振器間または共振器のごく近くに動物がいることは、懸念材料となる可能性がある。発生源共振器および発生源共振器の周りの区域で異物を監視して、異物が検出されるときに、システムの動作を防止する、または変更するように無線エネルギ伝達システムを制御することが望ましい可能性がある。
【0004】
[0004]異物を検出することが可能な無線エネルギ伝達システムは提案されており、Hallらにより2011年3月31日に出願された、米国特許出願第2011/074346号を参照されたい。これらの無線エネルギ伝達システムは、典型的には、システムの動作により引き起こされる異物の発熱を検出することに依拠する。
【0005】
[0005]背景技術の節において議論された主題は、単に、背景技術の節において主題を言及したことの結果として、従来技術であると推定されるべきでない。同様に、背景技術の節において言及された、または背景技術の節の主題に関連する問題は、従来技術において以前に認識されたと推定されるべきではない。背景技術の節における主題は、単に異なる手法を表しており、本質的に、それ自体も発明である可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本発明の一実施形態によれば、発生源共振器に近い異物を検出するシステムが提供される。システムは、発生源共振器を含むカメラ視野を有するように搭載される可視光カメラを含む。カメラは、カメラ内の画素により検出される可視光強度を表す画像データを出力するように構成される。カメラは、100,000画素以上を有してよい。システムは、発生源共振器を含み、カメラ視野と同様である、センサ視野を有するように搭載される複数区間の温度センサも含む。センサは、複数区間の各々の区間温度を表す熱データを出力するように構成される。複数区間の温度センサは、1000区間未満を有してよい。システムは、カメラから可視光画像データを受け取り、強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップを決定し、強度マップの区域上に強度対象物を指定し、複数区間の温度センサからの熱データを受け取り、熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップを決定し、熱マップの区域上に熱対象物を指定し、強度対象物と熱対象物が交差すると異物を検出し、異物が検出されると発生源共振器に提供される電流を制御するように構成されるコントローラをさらに含む。
【0007】
[0007]カメラは、可視光の色を表す画像データを出力するようにさらに構成されてよく、コントローラは、色相データセルの配列として特徴付けられる色相マップを決定し、色相マップの区域上に色相対象物を指定し、色相対象物、強度対象物、および熱対象物が交差すると異物を検出するようにさらに構成されてよい。代替または追加として、コントローラは、彩度データセルの配列として特徴付けられる彩度マップを決定し、彩度マップの区域上に彩度対象物を指定し、彩度対象物、強度対象物、および熱対象物が交差すると異物を検出するように構成されてよい。
【0008】
[0008]可視光カメラおよび複数区間の温度センサは、車両の下側に搭載され得る。可視光カメラおよび複数区間の温度センサは、獲得共振器のごく近くに搭載され得る。
【0009】
[0009]システムは、異物が検出されるときに警告信号を生成する機能を有するコントローラに結合される警告インジケータをさらに含んでよい。
【0010】
[0010]本発明の別の実施形態では、発生源共振器に近い異物を検出する方法が提供される。その検出は、発生源共振器を含むカメラ視野を有するように搭載される可視光カメラ、および発生源共振器を含みカメラ視野と同様であるセンサ視野を有するように搭載される複数区間の温度センサからの画像データに基づく。方法は、以下のステップを含む。
【0011】
[0011]カメラから可視光画像データを受け取るステップ。画像データは、カメラ内の画素により検出される可視光強度を表す。
【0012】
[0012]強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップを決定するステップ。各強度データセルは、画素の1つまたは複数により検出される画像データの強度特性に基づく強度値を有する。
【0013】
[0013]参照強度マップと比較して目立つ強度値を有する強度データセルのクラスタが存在する強度マップの区域上に強度対象物を指定するステップ。
【0014】
[0014]複数区間の温度センサからの熱データを受け取るステップ。熱データは、複数区間の各々の、区間温度値を含む。
【0015】
[0015]熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップを決定するステップ。各熱データセルは、複数区間の1つまたは複数の温度特性に基づく温度値を有する。このステップは、少なくとも1つの区間の区間温度値に基づいて背景温度値を決定するステップ、各区間の差分温度値を決定するステップであって、背景温度値と、対応する区間温度値との間の差に基づいて各区間の差分温度値を決定するステップ、および差分温度値の差分温度閾値との比較に基づいて熱2値マップを生成するステップといった追加ステップを含み得る。
【0016】
[0016]温度閾値と比較して目立つ温度値を有する熱データセルのクラスタが存在する熱マップの区域上に熱対象物を指定するステップ。
【0017】
[0017]強度対象物と熱対象物が交差すると異物を検出するステップ。このステップは、異物の検出が、持続時間閾値よりも長い時間持続することを決定するステップといった追加ステップを含み得る。
【0018】
[0018]異物が検出されると発生源共振器に提供される電流を制御するステップ。
【0019】
[0019]発生源共振器に近い異物を検出する方法は、以下のステップをさらに含んでよい。
【0020】
[0020]カメラから可視光画像データを受け取り、可視光画像データが、カメラ内の画素により検出される可視光色をさらに表すステップ。
【0021】
[0021]色相データセルの配列として特徴付けられる色相マップを決定するステップ。各色相データセルは、画素の1つまたは複数により検出される画像データの色相特性に基づく色相値を有する。
【0022】
[0022]参照色相マップと比較して目立つ色相値を有する色相データセルのクラスタが存在する色相マップの区域上に色相対象物を指定するステップ。
【0023】
[0023]色相対象物、強度対象物、および熱対象物が交差すると異物を検出するステップ。
【0024】
[0024]色相対象物の形状および色相対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、色相対象物として指定される色相データセルの数を増加するステップ。
【0025】
[0025]彩度データセルの配列として特徴付けられる彩度マップを決定するステップ。各彩度データセルは、画素の1つまたは複数により検出される画像データの彩度特性に基づく彩度値を有する。
【0026】
[0026]参照彩度マップと比較して目立つ彩度値を有する彩度データセルのクラスタが存在する彩度マップの区域上に彩度対象物を指定するステップ。
【0027】
[0027]彩度対象物、強度対象物、および熱対象物が交差すると異物を検出するステップ。
【0028】
[0028]彩度対象物の形状および彩度対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、彩度対象物として指定される彩度データセルの数を増加するステップ。
【0029】
[0029]強度対象物の形状および強度対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、強度対象物として指定される強度データセルの数を増加するステップ。
【0030】
[0030]熱対象物の形状および熱対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、熱対象物として指定される熱データセルの数を増加するステップ。
【0031】
[0031]異物が検出されるときに警告信号を生成するステップ。
【0032】
[0032]本発明のさらに別の実施形態によれば、異物が発生源共振器に近いことを検出するように構成されるシステム用のコントローラが提供される。システムは、発生源共振器を含むカメラ視野を有するように搭載される可視光カメラを備える。カメラは、カメラ内の画素により検出される可視光強度を表す画像データを出力するように構成される。システムは、発生源共振器を含みカメラ視野と同様であるセンサ視野を有するように搭載される複数区間の温度センサも含む。センサは、複数区間の各々の区間温度を表す熱データを出力するように構成される。コントローラは、カメラから可視光画像データを受け取り、強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップを決定し、強度マップの区域上に強度対象物を指定し、複数区間の温度センサからの熱データを受け取り、熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップを決定し、熱マップの区域上に熱対象物を指定し、強度対象物と熱対象物が交差すると異物を検出し、異物が検出されると発生源共振器に提供される電流を制御するように構成される。
【0033】
[0033]本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例としてのみ与えられる、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な記載を読み、添付の図面を参照すると、より明らかとなろう。
【0034】
[0034]本発明は、添付の図面を参照し、例としてここで記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】[0035]一実施形態による、発生源共振器に近い異物を検出するシステムの図である。
【
図2】[0036]一実施形態による、
図1のシステムを装備した車両の側面図である。
【
図3】[0037]一実施形態による、
図1のシステムの強度対象物を含む強度マップを描く図である。
【
図4】[0038]一実施形態による、
図1のシステムの参照強度マップを描く図である。
【
図5】[0039]一実施形態による、
図1のシステムの熱対象物を含む熱マップを描く図である。
【
図6】[0040]一実施形態による、
図1のシステムの強度対象物と熱対象物の交差部分を描く図である。
【
図7】[0041]一実施形態による、発生源共振器がエネルギ伝達を開始する前の、
図1のシステムの発生源共振器と獲得共振器との間にいる動物を描く図である。
【
図8】[0042]一実施形態による、発生源共振器がエネルギ伝達を開始した後の、
図1のシステムの発生源共振器と獲得共振器との間の金属製の異物を描く図である。
【
図9】[0043]一実施形態による、
図1のシステムにより実行される方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[0044]本明細書に記載されるシステムは、無線エネルギ伝達システムの部分である発生源共振器上または発生源共振器の近くの異物を検出するように構成される。システムは、カメラ視野内に発生源共振器を含むカメラ視野を提供するように搭載される可視光カメラを含む。カメラは、カメラからの画像データに基づいて異物である可能性がある物体を視覚的に識別するように構成されるコントローラと通信する。システムは、センサ視野内に発生源共振器を含むセンサ視野を提供するように搭載される複数区間の温度センサも含む。センサ視野は、カメラ視野と同様であってよい。センサもまた、コントローラと通信する。コントローラは、センサからの熱データに基づいて異物である可能性がある熱対象物を識別するように構成される。視覚的対象物と熱対象物が交差する、すなわち、視覚的対象物の位置が熱対象物の位置と重なることをコントローラが決定すると、異物が発生源共振器上または発生源共振器の近くにあることをコントローラが決定することができ、発生源共振器により放出されるエネルギを抑制、停止、または減少させるために発生源共振器に供給される電流をコントローラが制御することができる。
【0037】
[0045]可視光カメラおよび複数区間の温度センサからの情報を組み合わせ、または融合させて、車両に近い物体をより容易に検出するシステムおよび方法の例は、2012年5月22日出願の米国特許出願第13/477122号に記載されており、本明細書に参照により組み込まれる。
【0038】
[0046]
図1は、例えば金属製のレンチといった異物12が発生源共振器14に近いことを検出するように全体として構成されるシステム10の非限定的な例を図示する。システム10は、可視光カメラ16および複数区間の温度センサ18を含む。
【0039】
[0047]本明細書で使用する、可視光カメラ16は、可視光スペクトル(390ナノメートル(nm)〜750nm)内の波長を有する電磁エネルギに最も感度が高いデジタル撮像デバイスである。可視光カメラ16、以降カメラ16は、カメラ視野20内の画素(図示せず)により検出される可視光強度を表す画像データ(例えば、単色画像データ)を出力するように全体として構成される。カメラ16は、追加で、例えば色相および彩度といった可視光色を表す画像データ(例えば、多色画像またはフルカラー画像データ)を出力するように構成され得る。カメラ16の好適な解像度は、640×480、合計307,200画素により特徴付けられる画素配列によって提供され得る。より高い、およびより低い解像度のカメラが、種々の供給元から市販されている。画像データが解析されるときに、発生源共振器14の近くまたは発生源共振器14上の物体を見分けるために十分なディテールが存在するように、カメラ16は、十分な解像度を有する必要がある。
【0040】
[0048]本明細書で使用する、複数区間の温度センサ18は、赤外線(IR)スペクトル(750nm〜1000nm)の波長を有する電磁エネルギに最も感度が高いデバイスである。複数区間の温度センサ18、以降センサ18は、センサ視野22内の複数区間の各個別区間の区間温度を表す熱データを出力するように全体として構成される。個別区間は、それぞれ、個別区間の間に検出間隙をもたらす可能性のある比較的小さい領域であってよく、または区間は、センサ視野22内のほとんどまたは全ての場所が個別区間のうちの1つによりカバーされるようにサイズ決定および形状決定されてよく、または区間は、何らかの場所が個別区間のうちの2つ以上の個別区間によりカバーされるように、個別区間にいくらかの重複があるようサイズ決定および形状決定されてよい。複数区間の温度センサ18は、可視光カメラ16の解像度と同様の解像度を提供するIR撮像カメラを含んでよい。あるいは、センサ18は、ドイツ、ドレスデンに位置するHeimann Sensor GmbHから入手可能なセンサのように、複数の熱電対列センサの配列を含んでよい。センサ18の好適な解像度は、センサ視野22内に992の別個の温度区間が見えるように構成され得る、32×31の熱電対列配列により提供され得る。IRカメラの代わりに熱電対列センサのそのような配列を使用することは、自動車用途で重要な要因である、システム10の費用を低く保つために好ましい可能性がある。
【0041】
[0049]
図2に示される非限定的な例では、カメラ16およびセンサ18は、発生源共振器14が駐車面28上に配置され、または埋め込まれるとき、発生源共振器14を含むことができるカメラ視野20およびセンサ視野22を有するように、車両26の下側24に搭載される。この非限定的な例では、カメラ視野20は、車両26の下に向けられる。しかし、システム10は、発生源共振器14が車両26の傍ら、または前にあるときに異物12を検出する場所にカメラ16およびセンサ18が搭載されて構成されてよいことは明らかであろう。一般的に、センサ18は、発生源共振器14を含むことができるセンサ視野22を有するように、車両26の下側24に搭載される。この例では、カメラ16およびセンサ18は、単に図示する目的のために、かなり離されて図示される。カメラ16およびセンサ18は、好ましくは、両方が本質的に同じ視野20、22を有するように共設されることが認識される。非限定的な例として、無線エネルギ伝達のため獲得共振器30と発生源共振器14が適切に位置合わせされるとき、発生源共振器14を含むカメラ視野20およびセンサ視野22を提供するために、カメラ16およびセンサ18は、獲得共振器30のごく近くに配置されてよい。カメラ16およびセンサ18は、獲得共振器30も含む単一の筐体内に組み込まれてよい。カメラ16およびセンサ18が離される場合、見かけの視野20、22を変換して実質的に対応するため、知られている画像処理技法が使用され得る。本明細書で使用される、カメラ視野20と同様のセンサ視野22を有することは、車両26が発生源共振器14の上にある可能性がある場所で、発生源共振器14が一方の視野20内に存在する場合、発生源共振器14は、他方の視野22内にも存在することを意味する。
【0042】
[0050]
図1に再び戻って、システム10は、カメラ16から可視光画像データとして特徴付けられる画像データを受け取るように構成されるコントローラ32を含む。一般的に、画像データは、カメラ16内の画素により検出されるような、カメラ視野20内の光景の可視光強度(明度)を表す。コントローラ32はまた、センサ18から熱データを受け取るようにも構成される。熱データは、センサ視野22内の複数区間の各々の、区間温度値を含む。コントローラ32は、発生源共振器14に電力源36によって供給される電流34を制御するようにも構成される。コントローラ32は、発生源共振器14への電流34を制御するために、電力源36と通信する無線送信器(図示せず)を含んでよい。
【0043】
[0051]コントローラ32は、当業者には当然明らかであるような、マイクロプロセッサまたは他の制御回路などのプロセッサ(図示せず)を含み得る。コントローラ32は、1つまたは複数のソフトウェアルーチン、閾値、および取り込まれたデータ値を記憶するため、電気消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)などの不揮発性メモリを含む、メモリ(図示せず)を含んでよい。本明細書に記載されるように、画像データと熱データを組み合わせ、または融合させるためコントローラ32により受け取られた信号を処理するステップ、および発生源共振器14に供給される電流34を制御するステップを実施するため、1つまたは複数のルーチンがプロセッサにより実行され得る。
【0044】
[0052]後続の記載で明らかとなるように、異物12が発生源共振器14の近傍にあるかどうかをコントローラ32が決定できるようなやり方で、画像データと熱データが組み合わされ、または融合される。特に、コントローラ32は、
図3に示されるような、カメラ16からの強度データに基づいた強度マップ38を、
図4に示されるような、異物12が存在しない発生源共振器14の画像データに基づいた参照マップ40と比較する。強度マップ38と参照マップ40との間に著しい違いがある場合、コントローラ32は、
図3に示されるような、異物12である可能性がある、強度対象物42を識別する。コントローラ32は、
図5に示されるような、センサ18からの熱データに基づいた熱マップ44も生成し、熱閾値を超えるまたは予想される熱範囲から逸脱するマップ内の任意の領域が、異物12である可能性がある熱対象物46として識別される。次いで、コントローラ32は、強度マップ38を熱マップ44と比較し、
図6に示されるように、強度対象物42の場所と熱対象物46が交差するとコントローラ32が決定すると、コントローラ32は、異物12が存在すると決定する。
【0045】
[0053]
図7に示されるように、コントローラ32は、無線エネルギ伝達が開始される前に、発生源共振器14の近傍で異物12を検査するようにプログラムされてよい。エネルギ伝達の前に異物12が熱的に検出される場合、センサ18により検出される熱対象物46は、発生源共振器14近くの動物48の体熱によりもたらされる可能性がある。あるいは、無線エネルギ伝達システムが一定の期間動作した場合、発生源共振器は、周囲の区域よりも暖かい可能性がある。暖かい発生源共振器14は、(猫などの)動物48を引きつける可能性がある。この場合、動物の体温は、発生源共振器14の温度よりも低い可能性があり、異物12は、熱閾値または予想される温度範囲よりも冷たい可能性がある。無線エネルギ伝達システムが動作した後で、風により発生源共振器上に吹き寄せられる、金属製のガムの包みまたはアルミニウムの飲料の缶などの金属製の異物12が導入される場合もあり得る。これらの場合、システム10は、無線エネルギ伝達に起因する物体が自己発熱する以前に異物12の存在を検出することができ、コントローラ32は、電流34が発生源共振器14に送られるのを認めないことにより、無線エネルギ伝達を抑制することができる。
【0046】
[0054]
図8に示されるように、コントローラ32は、無線エネルギ伝達が開始された後に、異物12を検査するようにプログラムされてもよい。電力源36が発生源共振器14に電流34を送り、獲得共振器30に無線エネルギ伝達50が開始された後で異物12が検出される場合、センサ18により検出される熱対象物46は、発生源共振器14近くの金属製の物体52、例えばレンチの誘導性発熱により引き起こされる可能性がある。この場合、コントローラ32は、発生源共振器14に送られる電流34を減らすまたはなくすことにより無線エネルギ伝達を減らす、またはなくしてよい。あるいは、コントローラ32が強度対象物42を検出するが熱対象物46を検出しない場合、コントローラ32は、異物12が本当に検出されるのかを決定するために、発生源共振器14に供給される電流34を、所定の期間、低電力モードに制限してよい。異物12が検出されない場合、コントローラ32は、発生源共振器14に供給される電流34を、全電力モードに増加してよい。異物12が検出される場合、コントローラ32は、低電力モードを継続して、または発生源共振器14への電流34を遮断してよい。
【0047】
[0055]画像データと熱データを融合させることにより、無線エネルギ伝達システムがエネルギ伝達を開始する前に、動物48などのそれ自体で熱を生成する異物12、ならびに、金属製の物体52など無線エネルギ伝達システムの動作により発熱される異物12を検出するという利点をシステム10が提供する。システム10は、無線エネルギ伝達システムが電力の伝達を開始した後で導入される、発生源共振器14よりも冷たい異物12も検出し得る。
【0048】
[0056]
図1をもう1度参照して、システム10は、(例えば、車両26の下の陰、夜間といった)低輝度状態で、カメラ16用に追加の明かりを提供するために、照明器54を含み得る。照明器54は、白熱電球、発光ダイオード(LED)、蛍光灯、エレクトロルミネッセントデバイス、または当業者によく知られた他の発光デバイスであってよい。
【0049】
[0057]カメラ16およびセンサ18が車両26の下側24に配置される場合、カメラ16およびセンサ18は、車両26の動作中にカメラ16およびセンサ18上に集まる路上のほこりによって覆い隠されやすい可能性がある。システム10は、カメラ16および/またはセンサ18を清掃する設備(図示せず)を含んでよい。必要なときに洗浄液流を向けるようにカメラ16および/またはセンサ18に向けられるノズル、またはきれいな視野20、22を提供するのを進めることができる回転膜など、当業者に知られた既存の技法が、カメラ16および/またはセンサ18を清掃するために使用され得ることが意図される。
【0050】
[0058]
図1に示されるように、システム10は、表示灯または可聴警報などの警告インジケータ(警告表示器)も含み得る。一般的に、警告インジケータは、異物12が検出されると、コントローラ32から警告信号を受け取り、これに応じて、操作者の注意を引くために、警告インジケータが光、音、または他の動作を出力するように構成される。
【0051】
[0059]
図9は、発生源共振器14に近い異物12を検出する方法100を図示する。上に記載されたように、検出は、一般的に、発生源共振器14のカメラ視野20を有するように車両26に搭載される可視光カメラ16からの画像データに基づく。検出は、カメラ視野20と同様のセンサ視野22を有するように車両26に搭載される複数区間の温度センサ18からの熱データにも基づく。
【0052】
[0060]一般的に、非限定的な例を含んで下でより詳細に説明されるように、システム10は、カメラ16の画素により検出されるような、強度(明度)値、色相値、および彩度値などの属性を表す、データセルのさまざまな配列を試験することにより、異物12を検出しようと努める。カメラ16の解像度が、物体を検出するのに必要であるより大きい場合、さまざまなデータ配列の各データセルに記憶される値は、2つ以上の画素に基づいてよい。これらのさまざまな配列の試験は、データ配列を、近傍に異物12がない発生源共振器14の眺めに対応する参照配列と比較することにより、潜在的な異物12を検出することに向けられる。センサ18からの温度区間データは、同様に配列に記憶され、金属製または生物学的のいずれかの異物12の存在を表す可能性がある閾値を温度が超える、データのクラスタの事例を試験される。次いで、潜在的な異物12が2つ以上のマップに存在する事例を探すために、画像データおよび熱データのこれらの配列またはマップのさまざまな組合せが、実際には互いに「重ねられて」比較される。
【0053】
[0061]下の説明で明らかとなる、システム10および方法100の別の特徴として、カメラ視野20とセンサ視野22との間の潜在的な位置ずれが、より小さい物体が不検出になることを引き起こす可能性があることが認識されたことがある。これは、配列またはマップが論理的に重ね合わされ、2つの視野20、22が位置をずらされると、カメラデータに基づいた画像マップ内の潜在的な物体が、センサデータに基づいた熱マップ内の潜在的な物体と場所が一致しない可能性があるからである。この問題に対処するために、潜在的な物体の見かけの大きさは、下に記載されるように増加または「拡大」されて、潜在的な物体が確認される、または潜在的な物体が検出済みの物体の状態へと促進される機会を増加し得る。というのは、マップが重ね合わされると潜在的な物体の交差部分が存在するからである。
【0054】
[0062]ここで
図9を参照すると、ステップ110、画像データを受け取るステップは、カメラ16から可視光画像データを受け取るステップを含む。一般的に、画像データは、カメラ16内の画素により検出される可視光強度を表す(光の輝度を意味する)データを含む。これは、単色カメラから出力される画像データに対応してよく、または画像データは、例えば(測定された色の角度または主波長を意味する)色相および/または(白色光と比較して含まれる色の量を意味する)彩度といった、可視光の色を表すデータをさらに含み得る。これは、カラーのカメラから出力される画像データに対応し得る。
【0055】
[0063]ステップ112、強度マップを決定するステップは、強度データセルの配列として特徴付けられる強度マップ38を決定するステップを含み、各強度データセルは、画素のうちの1つまたは複数により検出される画像データの強度特性に基づいた強度値を有する。限定ではなく例として、強度値は、相対値を表すために、(16進数の0とFFに等しい)0から255の間の数として表されてよく、または強度値は、ルーメン/平方センチメートルの輝度など、強度測定の特定の単位/単位面積に対応する数として表されてよい。
【0056】
[0064]ステップ114、強度対象物を指定するステップは、参照強度マップ40と比較して目立つ強度値を有する強度データセルのクラスタが存在する強度マップ38の区域上に強度対象物42を指定するステップを含む。強度対象物42は、参照強度マップ40の対応する部分の強度値と異なる強度値を有する強度データセルのクラスタに基づいて決定される。非限定的な例によれば、参照強度マップ40は、コントローラ32のメモリ内に記憶され、存在する異物12を有さない発生源共振器14の視野の強度マップ38であってよい。参照強度マップ40は、典型的な発生源共振器14に対応してよく、または特定の発生源共振器14に対応してよい。コントローラ32は、無線エネルギ伝達システムと通信することにより、特定の発生源共振器14の参照強度マップ40を決定し得る。コントローラ32は、異物12が検出されないそれぞれのときに、各特定の発生源共振器14の参照強度マップ40を記憶し得る。
【0057】
[0065]ステップ116、強度対象物を拡大するステップは、強度対象物42の形状および強度対象物42のサイズのうちの1つまたは複数に基づいて、強度対象物42として指定される強度データセルの数を増加するステップを含む、任意選択のステップである。上に記載されたように、潜在的な物体に関連するデータセルの数を拡大するステップは、カメラ視野20とセンサ視野22の位置ずれのために、小さい物体の検出失敗を回避する役に立つ。上で示唆され、後続のさらなる記載で明らかとなるように、物体が小さく、視野20、22が位置をずらされる場合、画像データに基づくセルと熱データに基づくセルの交差部分が生じない恐れがある。そのため、拡大の百分率または度合いは、典型的には、大きい潜在的な物体と比較して、小さい潜在的な物体ではより大きくなる。これを達成するやり方は、強度対象物42の近くおよび強度対象物42の外側の強度マップ38上のデータセルの強度値を、強度対象物42のデータセル値に対応するデータセル値に変えることである。
【0058】
[0066]ステップ118、色相マップを決定するステップは、色相データセルの配列として特徴付けられる色相マップを決定するステップを含む、任意選択のステップである。これらのデータセルは、コントローラ32内のメモリの場所であってよい。一般的に、各色相データセルは、カメラ視野20の部分に対応するカメラ16内の画素のうちの1つまたは複数により検出される画像データの一部分の色相特性に基づく色相値を有する。限定ではなく例として、色相値は、0が赤を指定するために使用され、120が緑を指定するために指定され、240が青を指定するために使用され、360が紫を指定するために使用され、他の中間値は、よく知られているように色スペクトルの色を指定するために使用される、0から360の間の数であってよい。
【0059】
[0067]ステップ120、色相対象物を指定するステップは、目立つ大きさおよび形状を有する潜在的な物体を描き得る、色相閾値と比較して目立つ色相値を有する色相データセルのクラスタが存在する色相マップの区域上に色相対象物を指定するステップを含む任意選択のステップである。例えば、色相対象物は、色相データセルのクラスタが、取り囲む色相値より目立って異なる色相値を有するので指定され得る。あるいは、色相対象物は、特定の色相値が知覚される背景とどれだけ異なるのかに関わらず、色相値にのみ基づいて指定され得る。例えば、色相対象物は、色相データセルのクラスタの色相値が20未満であり、そのため実質的に赤である単純な理由で指定され得る。当業者により認識されるように、カメラ視野20によってカバーされる区域、カメラ16の解像度または画素数、およびこれまで実施された試験を含む多くの他の考察に基づいて、特定の閾値が決定されることを理解されたい。
【0060】
[0068]ステップ122、色相対象物を拡大するステップは、色相対象物の形状および色相対象物の大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、色相対象物の部分として指定される色相データセルの数を増加するステップを含む、任意選択のステップである。拡大された色相対象物はステップ116の拡大された強度対象物に匹敵してよく、色相対象物を拡大することの利点は、強度対象物と同じであり、下に記載される熱対象物46の一部分と交差する強度対象物42を有さない恐れを減少させることを理解されたい。
【0061】
[0069]ステップ124、彩度マップを決定するステップは、彩度データセルの配列として特徴付けられる彩度マップを決定するステップを含む、任意選択のステップであり、各彩度データセルは、画素のうちの1つまたは複数により検出される画像データの彩度特性に基づいた彩度値を有する。限定ではなく例として、彩度値は、カメラ16内の対応する画素により検出される色彩度の百分率に対応する、0から100の間の数により表されてよい。
【0062】
[0070]ステップ126、彩度対象物を指定するステップは、彩度閾値と比較して目立つ彩度値を有する彩度データセルのクラスタが存在する彩度マップの区域上に彩度対象物を指定するステップを含む、任意選択のステップである。色相対象物を決定するステップと同様に、彩度対象物は、取り囲む背景に関連する彩度値とは別個で対照的である彩度値を有する彩度データセルのクラスタに基づいて決定されてよい。
【0063】
[0071]ステップ128、飽和対象物を拡大するステップは、他の拡大するステップのように、飽和対象物の形状および大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、飽和対象物の部分として指定される飽和データセルの数を増加するステップを含む、任意選択のステップである。拡大された飽和対象物はステップ116の拡大された強度対象物に匹敵してよく、飽和対象物を拡大することの利点は、強度対象物と同じであり、下に記載される熱対象物46の一部分と交差する飽和対象物を有さない恐れを減少させることを理解されたい。
【0064】
[0072]ステップ130、熱データを受け取るステップは、複数区間の温度センサ18(センサ18)からの熱データを受け取るステップを含み、前記熱データは、複数区間の各々の、区間温度値を含む。
図5は、熱電対列配列に検出される温度値の非限定的な例を図示する。区間温度値は、実際の温度に対応するが、説明を簡単にするために、発生源共振器14に対応する区域に向けられる熱電対列は「0」と標示され、熱対象物46に対応する区域に向けられる熱電対列は「X」と標示されることを理解されたい。
【0065】
[0073]ステップ132、熱マップを決定するステップは、熱データセルの配列として特徴付けられる熱マップ44を決定するステップを含み、各熱データセルは、複数の区間のうちの1つまたは複数の温度特性に基づいた温度値を有する。
【0066】
[0074]ステップ134、背景温度値を決定するステップは、少なくとも1つの区間の区間温度値もしくはいくつかの選択された区間の平均値に基づいて、または全ての温度区間の平均値に基づいて、背景温度値を決定するステップを含む、任意選択のステップである。
【0067】
[0075]ステップ136、差分温度値を決定するステップは、「各区間の差分温度値を決定するステップであって、背景温度値と、対応する区間温度値との間の差に基づき得る各区間の差分温度値を決定するステップ」を含む、任意選択のステップである。
【0068】
[0076]ステップ140、熱対象物を指定するステップは、温度閾値と比較して目立つ温度値を有する熱データセルのクラスタが存在する熱マップ44の区域上に熱対象物46を指定するステップを含む。使用される温度閾値は、金属製異物12を検出するために無線エネルギ伝達が開始される後で使用される温度閾値と、生物学的異物12を検出するための無線エネルギ伝達が開始される前で異なってよい。
【0069】
[0077]ステップ138、熱2値マップを生成するステップは、差分温度値の差分温度閾値との比較に基づいて熱データを熱2値マップに変換することにより熱2値マップを生成するステップを含む、任意選択のステップである。
【0070】
[0078]ステップ142、熱対象物を拡大するステップは、他の拡大するステップのように、熱対象物46の形状およびの大きさのうちの1つまたは複数に基づいて、熱対象物46として指定される熱データセルの数を増加するステップを含む、任意選択のステップである。拡大された熱対象物はステップ116の拡大された強度対象物に匹敵してよいが、拡大された熱対象物は、
図5に示される極めて画素化した形状を依然として有する可能性があり、あるいは、他の画像処理を使用することにより、拡大された熱対象物により丸みを帯びた滑らかな形状を与えることができることを理解されたい。前述のように、熱対象物46を拡大することの利点は、強度対象物42と同じであり、上に記載される強度対象物42(または色相対象物もしくは彩度対象物)の一部分と交差する熱対象物46を有さない恐れを減少させることである。
【0071】
[0079]ステップ144、異物を検出するステップは、強度対象物42と熱対象物46が交差する場合、色相対象物、強度対象物42、および熱対象物46が交差する場合、または彩度対象物、強度対象物42、および熱対象物46が交差する場合、対象物マップの区域上に検出された異物12を指定するステップを含む。
図6は、強度対象物42と熱対象物46の交差部分において異物12を検出する非限定的な例を図示する。
【0072】
[0080]ステップ146、異物が持続することを決定するステップは、検出された物体が、例えば0.1秒以上、または画像フレームレートが30フレーム/秒であるとき3フレーム以上といった、持続時間閾値より長い時間持続することを決定するステップなどの、他の試験を含む、任意選択のステップである。このステップは、異物12の誤検出を減らす役に立つ場合がある。
【0073】
[0081]ステップ148、電流を制御するステップは、異物12が検出されると、電力源36によって発生源共振器14に提供される電流34を制御するステップを含む。非限定的な例として、コントローラ32は、異物12が検出されると、発生源共振器14に供給される電流34を減少させるまたは停止するよう、電力源36に指令してよい。
【0074】
[0082]ステップ150、警告信号を生成するステップは、異物12が検出されるまたは確認されるとコントローラ32が警告信号を生成または出力するステップを含む、任意選択のステップである。警告信号の非限定的な例は、車両26の計器盤上の表示灯、無線エネルギ伝達システムの電力源36上の表示灯、または可聴警報であってよい。
【0075】
[0083]したがって、無線エネルギ伝達システムの発生源共振器14に近い異物12を検出するシステム10、システム10用のコントローラ32、および方法100が提供される。システム10は、可視光カメラ16および複数区間の温度センサ18からの情報を融合し異物12の検出を改善し、無線エネルギ伝達システムの効率的な動作を妨げる可能性があり、またはシステムに損害を与える可能性がある、発生源共振器14上または発生源共振器14の近くの、生物学的異物12(動物48)および金属製異物12の両方を検出する。さらに、カメラ16および/またはセンサ18により検出される潜在的な異物12が拡大されて、拡大された潜在的な物体のデータマップが交差する潜在的な物体を有する可能性がより高くなるように可能性を増加させ、それによって、カメラ視野20とセンサ視野22の位置ずれに起因する異物12の検出を失敗する恐れを減少させることができる。
【0076】
[0084]本発明は、その好ましい実施形態に関して記載されてきたが、そのように制限することは意図されず、むしろ後続の請求項に記載される範囲にのみ制限されることが意図される。さらに、「第1の」「第2の」などの用語の使用は、何ら重要度の順序を意味せず、むしろ「第1の」「第2の」などの用語は、1つの要素を別のものから区別するために使用される。さらに、「a」「an」などの用語の使用は、量の制限を意味せず、むしろ、参照される項目の少なくとも1つの存在を意味する。
【国際調査報告】