(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-511400(P2016-511400A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】位置検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/06 20060101AFI20160318BHJP
G01S 11/10 20060101ALI20160318BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20160318BHJP
【FI】
G01S5/06
G01S11/10
G01S5/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-557291(P2015-557291)
(86)(22)【出願日】2014年2月4日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月13日
(86)【国際出願番号】AU2014000078
(87)【国際公開番号】WO2014124483
(87)【国際公開日】20140821
(31)【優先権主張番号】2013900479
(32)【優先日】2013年2月14日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515222746
【氏名又は名称】ディーキン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】DEAKIN UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】プブドゥ ニシャーンタ パサーラーナ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA01
5J062AA12
5J062BB05
5J062CC12
5J062DD23
5J062DD25
5J062FF01
5J062FF04
5J062FF06
(57)【要約】
【解決手段】ユーザの体の部分の位置を検出するための方法及び装置。ウェアラブルなエミッタユニット(16)がユーザにより装着され、エミッタユニットはユーザの体の一部に近接した位置に装着される。エミッタユニット(16)から送信される無線信号は、アンテナ(52)にて受信ユニット(14)によって受信される。アンテナ(52)の4つの異なる対のそれぞれに到達する無線信号の到達時間を決定し、検出された差から、エミッタユニット、従って、ユーザの体の一部の三次元的位置を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人のユーザの体の一部分の位置を検出するための装置であって、該装置は、前記ユーザの体の前記部分に近接した位置にユーザが装着するのに適した、ウェアラブルなエミッタユニットで、該エミッタユニットから無線信号を発生して、送信する無線送信機を有しているエミッタユニットと受信ユニットとを備え、前記受信ユニットは、
a)前記エミッタユニットからの無線信号を受信するための無線受信手段と、
b)前記無線信号を受信するために、全てが単一平面内に配置されているのではない、少なくとも5つの空間的に離れたアンテナと、
c)前記アンテナの4つの異なる対のそれぞれに到達する前記信号の到達時間差を検出し、前記検出された差から前記受信ユニットに対する前記エミッタユニットの三次元位置を決定するためのコンピューティング手段と、を有している、位置検出装置。
【請求項2】
前記エミッタユニットは、前記ユーザの体のそれぞれの部分に近接したそれぞれの前記位置に前記ユーザが装着するのに適した、それぞれが前記信号を発生して送信するための前記無線送信機を有している複数のエミッタユニットのうちの1つであり、前記受信ユニットのコンピューティング手段は、前記アンテナの前記4つの異なる対のそれぞれに到達する前記信号の各到達時間差を検出し、検出された差から前記受信ユニットに対する前記各エミッタユニットの三次元位置を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エミッタユニットは、使用中、前記装置の反復動作サイクル中に連続する異なる時間周期の間に送信するように制御される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記エミッタユニットの各々は、前記サイクル中で次に送信するエミッタユニットに割り当てられた前記時間周期が開始するときに、該エミッタユニットの直前に送信しているエミッタユニットがまだ送信しているかどうかを検出して、その先行エミッタユニットが送信をやめるまで、前記次に送信するエミッタユニットからの送信を遅延させる手段を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記エミッタユニットは、そこからの送信の開始時点と、当該エミッタユニットが送信を開始するために前記サイクルに割り当てられた時間の開始時点との間の遅延を検知し、前記遅延が所定値に達した場合に信号を発生する手段を有し、前記受信手段は、その信号を受信し、且つその受信に応答してリセット信号を送信するように配置され、前記エミッタユニットは前記リセット信号の受信に応答して、前記サイクルに割り当てられたそれぞれの期間に送信するために、各エミッタユニットを同期させる手段を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのエミッタユニットは、前記サイクルの間に送信する最後のエミッタユニットである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記無線信号の送信周波数を基準周波数と比較することによって、前記又は各エミッタユニットの相対速度を決定するための手段を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記又は少なくとも1つの前記エミッタユニットは、当該エミッタユニットの前記位置についての位置情報を提供するための慣性測定ユニットと、前記受信ユニットに前記位置情報を送信するための手段とを有し、前記受信ユニットは、前記位置情報を受信するための手段を有し、前記装置は、前記又は少なくとも1つの前記エミッタユニットの正確な位置を提供するために、前記位置情報を、前記検出された差から決定される前記エミッタユニットの前記位置についての情報と組み合わせるための手段を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記組み合わせを行うよう構成されたカルマンフィルタを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記位置についての前記情報は、加速度情報、ジャイロスコープ情報、及び磁力計情報であり、前記ジャイロスコープ情報及び前記磁力計情報は融合されて、前記カルマンフィルタに適用するために加速度情報と組み合わされる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記受信ユニットは、慣性測定ユニットを有し、該慣性測定ユニットから得られる情報から前記受信ユニットの基準位置を決定する手段が設けられている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記受信ユニットは、前記ユーザがウェアラブルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記受信ユニットは、前記ユーザに前記受信ユニットを支持させるために前記ユーザがウェアラブルなベルトを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
人のユーザの体の一部分の位置を検出する方法であって、ウェアラブルなエミッタユニット及びウェアラブルな受信ユニットが前記ユーザにより装着され、前記エミッタユニットは、前記ユーザの体の前記部分に近接する位置の近くに装着され、前記方法は、
a)前記エミッタユニットから無線信号を送信するステップと、
b)前記受信ユニットの、全てのアンテナが同一平面内にあるのではない、少なくとも5つのアンテナで、前記送信された無線信号を受信するステップと、
c)前記アンテナの4つの異なる対のそれぞれに到達する前記無線信号の到達時間差を検出するステップと、
d)前記検出した差から前記受信ユニットに対する前記エミッタユニットの三次元位置を決定するステップと、を含む、位置検出方法。
【請求項15】
前記エミッタユニットは、前記ユーザの体のそれぞれの部分に近接したそれぞれの前記位置にユーザが各々装着するのに適し、各前記エミッタユニットから前記無線信号を送信し、前記アンテナの異なる4つの対のそれぞれに到達する前記信号の各到達時間差を検出し、かつ前記検出された差から前記受信ユニットに対する前記それぞれのエミッタユニットの前記三次元的位置を検出する、複数のエミッタユニットのうちの1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エミッタユニットは、使用中、前記装置の反復動作サイクル中に連続した異なる時間周期の間に送信するように制御される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、次に送信するエミッタユニットに割り当てられた前記時間周期が開始するときに、該エミッタユニットの直前に送信しているエミッタユニットがまだ送信しているかどうかを検出して、その先行エミッタユニットが送信をやめるまで、前記次に送信するエミッタユニットからの送信を遅延させるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、少なくとも1つのエミッタユニットによる送信の開始時点と、当該エミッタユニットが送信を開始する、前記サイクル中の前記割り当てられた時間の開始時点との間の遅延を検出し、該遅延が所定値に達した場合に信号を発生するステップを含み、前記受信手段は、その信号を受信し、且つその受信に応答してリセット信号を送信するように配置され、前記エミッタユニットは前記リセット信号の受信に応答して、前記サイクル中に前記割り当てられたそれぞれの期間に送信するために、各エミッタユニットを同期させる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのエミッタユニットは、前記サイクルの間に送信する最後のエミッタユニットである、請求項18に記載の方法、
【請求項20】
前記エミッタユニットから送信される前記無線信号の送信周波数を基準周波数と比較することによって、前記エミッタユニットの相対速度を決定するステップを含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
第1の前記エミッタユニットは、該第1のエミッタユニットの前記位置についての位置情報を提供するための慣性測定ユニットを有し、前記方法は、前記受信ユニットに前記情報を送信し、前記第1のエミッタユニットの正確な位置を提供するために、前記送信された位置情報を前記検出された差から決定される第1のエミッタユニットの位置についての情報とを組み合わせるステップを含む、請求項14〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記位置についての前記情報は、加速度情報、ジャイロスコープ情報、磁力計情報であり、前記ジャイロスコープ情報及び前記磁力計情報は融合されて、前記カルマンフィルタに適用するために加速度情報と組み合わせられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
カルマンフィルタによって前記組み合わせが行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記受信ユニットは、慣性測定ユニットを有し、該慣性測定ユニットから得られる情報から前記受信ユニットの基準位置を決定する手段が設けられている、請求項14〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記受信ユニットは、前記ユーザがウェアラブルである、請求項14〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記受信ユニットは、前記ユーザによって装着されるベルト形式である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記又は各エミッタユニットは、単一の周波数信号として前記無線信号を送信するよう配置される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記又は各エミッタユニットから送信される前記無線信号は、単一周波数信号である、請求項14〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサが実行する複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、該プログラムは、前記1つ以上のプロセッサが実行される際に、前記コンピュータシステムに、請求項14〜26のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項30】
請求項29に記載の、ストレージに記憶される前記コンピュータプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読データストレージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の動き解析システムは、最新のヘルスケア、娯楽及びスポーツ産業において多数の用途がある。多くの用途において、視覚情報(ビデオカメラ)又はマイクロ電気機械システム(MEMS)のセンサに基づくキャプチャシステムは、人の動きを追跡する主要な手段として用いられている。例えば、商標名Wiiで市販されているようなゲームコントローラは、モーションパターンをキャプチャするのに慣性測定技術(すなわち、加速度計)を用いている(特許文献1)。他のゲーム機器は、視覚に基づくモーションキャプチャシステムを用いており、例えば、商標名Kineticで市販されているものは、ゲームコントローラの前にいる人の動きをキャプチャするのにビデオ及び赤外線撮像技術を用いており、商標名Sony Playstation Moveはで市販されている動き追跡コントローラは、テレビ搭載カメラの視界内でのプレイヤーの腕(又はハンドヘルドコントローラ)をキャプチャするために視覚及び慣性測定(加速度、ジャイロ運動及び磁場測定)データを用いている(特許文献2)。
【0003】
視覚情報に基づくモーションキャプチャはエンターテインメント業界に首尾良く適用されているが、それは体の異なる部分の独特のモーションパターンをキャプチャするための特別なスタジオロケーション及び特殊な衣装を必要とする。これに対して、MEMSに基づくアプローチは、非標準設定で(すなわち、自然環境において)モーションデータをキャプチャするのに用いることができ、ヘルスケア用途、特にパーキンソン病の患者及び脳卒中や事故からのリハビリテーション過程の患者に関心を集めている。
【0004】
慣性センサに基づく位置決めシステムは、本質的に、経時的な誤差累積に関連している。有意な研究は、そのような誤差累計をフィルタリング及び推定法によりなくすことに向けられている。一方、到達時間(ToA)又は到達時間差(TDоA)に基づくエミッタ位置決めシステムによる測定は、そのような人の動き追跡システムには用いられていなかった。そのような遅延時間測定システムは、航空宇宙産業(レーダシステム)、ヘルスケア産業(超音波走査機構)及びグローバルポジショニングシステム(GPS)ナビゲーションシステムにて用いられている。これらのうち、レーダ及び超音波の測距法は、反射信号の飛行時間(ToA)及びドップラー位相シフトを用い、GPSシステムはTDоAアプローチを用いて、受信機の位置を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,774,155号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0105475号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概して、上記のゲームシステムは比較的簡単で、安価であり、人の位置又は動きを検知することができるが、それらは、一般に、例えば人間に影響を与えている病状の診断に必要とされる精度でこのようなことを行うことはできない。上記のものよりもっと複雑なシステムがおそらく適するかもしれないが、それらは一般に高価で扱いにくい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、人のユーザの体の一部の位置を検知するための装置であって、該装置は、前記ユーザの体の前記部分に近接した位置にユーザが装着するのに適した、ウェアラブルなエミッタユニットで、該エミッタユニットから無線信号を発生して、送信する無線送信機を有しているエミッタユニットと、受信ユニットとを備え、前記受信ユニットは、
a)前記エミッタユニットからの無線信号を受信するための無線受信手段と、
b)前記無線信号を受信するために、全てが単一の平面内に配置されているのではない、少なくとも5つの空間的に離れたアンテナと、
c)前記アンテナの4つの異なる対のそれぞれに到達する前記信号の到達時間差を検出し、前記検出された差から前記受信ユニットに対する前記エミッタユニットの三次元的位置を決定するためのコンピューティング手段と、を有している、位置検出装置が提供される。
【0008】
本発明は、人のユーザの体の一部分の位置を検出する方法であって、ウェアラブルなエミッタユニット及びウェアラブルな受信ユニットが前記ユーザにより装着され、前記エミッタユニットは、前記ユーザの体の前記部分に近接する位置の近くに装着され、前記方法は、
a)前記エミッタユニットから無線信号を送信するステップと、
b)前記受信ユニットの、全てのアンテナが同一平面内にあるのではない、少なくとも5つのアンテナで、前記送信された無縁信号を受信するステップと、
c)前記アンテナの4つの異なる対のそれぞれに到達する前記無線信号の到達時間差を検出するステップと、
d)前記検出した差から前記受信ユニットに対する前記エミッタユニットの三次元位置を決定するステップと、を含む位置検出方法も提供する。
【0009】
本発明は、コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサが実行する複数の命令を含むコンピュータプログラムであって、該プログラムは、前記1つ以上のプロセッサが実行される際に、前記コンピュータシステムに、上述の方法を実行させる、コンピュータプログラムも提供する。
【0010】
本発明は、記憶装置に記憶される上述のコンピュータプログラムも含む、非一時的コンピュータ可読データストレージも提供する。
【0011】
本発明を、さらに、添付の図面を参照しながら単なる例による説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】受信機ユニットと数個のエミッタユニットを有する、本発明により形成された装置を装着した人のユーザを示す図である。
【
図2】ウェアラブルなベルト内に組み込まれる、
図1の装置の受信ユニットの概略正面斜視図である。
【
図3】
図2の受信ユニットの概略背面斜視図である。
【
図4】
図2及び
図3の受信ユニットのアンテナ構造の正面図である。
【
図5】
図2及び
図3の受信ユニットのアンテナの配置を示す概略斜視図である。
【
図6】
図1の装置のエミッタユニットと、
図2及び
図3の受信ユニットの一部を示す図である。
【
図7】
図6のエミッタユニットの構成要素のブロック図である。
【
図8】
図1及び
図6の受信ユニットの構成要素のブロック図である。
【
図9】RF位相オフセットを決定し、I/Q変調測定を行うための、本発明の受信ユニットのオフセット信号測定ユニットの構成要素のブロック図である。
【
図10】本発明の受信ユニットに組み込まれる基準オフセット信号測定ユニットのブロック図である。
【
図11】本発明のエミッタユニットからの送信信号を例示する波形図である。
【
図12】本発明の実施形態に適用可能な位相決定の原理を例示する一連の図である。
【
図13】本発明の受信ユニットとエミッタユニットとの間の通信のための構成要素を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態における信号処理を例示するフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態におけるさらなる信号処理を例示するフローチャートである。
【
図16】本発明の好適な実施形態の動作を説明するのに用いられる基準フレームを示す図である。
【0013】
図に示される装置10は、人のユーザの体の部分の相対的な位置に関する情報を提供するように設計される。装置10は、その様々な構成要素が装置10の使用時にユーザによって装着されるユニット内に組み込まれているからウェアラブルである。このために、これらのユニットには、ユーザの体に対する固定位置に、例えば直接又はユーザの服にそれらを取り付けるか、又は固定するための手段が設けられている。ユニットには、受信ユニット14及び6つのエミッタユニット16、18、20、22、24、26がある。ユニット14は、使用時にユーザの腰に位置付けられ、ユニット16、18はユーザの各肩に近接する位置に、ユニット20、22はユーザの各手首に近接する位置に、ユニット24、26はユーザの各足首に位置付けられる。受信ユニット14は、例えば、ユーザの腰の周りにループを形成するように連結可能なフックとループのコネクタ51(
図2)の要素によってユーザの腰の周りに位置付けることができるベルト15を含む。ユニット20、22、24、26は、同様に形成される手首及び足首バンド40、42、44、46を用いてユーザに取り付けることができ、ユニット16、18はフックとループのコネクタ48、50によって取り付け可能であり、その一方の要素は各ユニット上にあり、他方はユーザの服の各肩部に取り付けられる。
【0014】
図2及び
図3は、受信ユニット14内に組み込まれる受信要素30、32、34、36を示している。それぞれは2つに無線アンテナ52を有している。ユーザの正面と背面で、ユーザの片側にある要素32、36は、前後方向に互いに離間し、正面と背面でユーザの他の側にある要素30、34も同様に、前後方向に互いに離間している。
【0015】
要素30、32、34、36は、ユーザが立っている時には、概して水平面に配置される。しかしながら、より具体的には、各受信要素30〜36におけるアンテナ52のうちの第1のものは実質的に同一平面である第1平面53(
図5)にあり、各受信要素におけるアンテナ52のうちの第2のものは、第1のアンテナが配置される平面から離間して下方にある、他の共通平面55に配置される。これらの平面は、ユーザが立っている時は概して水平である。
【0016】
本発明のこの実施形態は、三次元の位置を特定するためのものであり、そのためにはアンテナ52の少なくとも5つを利用する必要があり、全てのアンテナを利用する必要はない。具体的には、使用する全てのアンテナが共通平面にない限り、任意の5つのアンテナを利用することができる。一例として、以下、上述した平面のうちの上側の平面である平面53における3つのアンテナが、他の下側の平面55における2つのアンテナと共に使用され、これらのアンテナが
図5に概略的に例示したアレイ54を形成することを前提とする。
【0017】
通常、エミッタユニット16〜26の各々は、960MHzのような、適切な周波数の無線信号を発生し、これはどのエミッタも同じである。信号は、各エミッタユニットにて独立して発生される。
図11を参照するに、エミッタユニットからの無線信号の送信は、反復時間サイクルTにて行われる。各サイクル中に、エミッタユニットの各々は、それぞれ同様の一定の時間周期a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、lの間に所定の順序で一度に送信する。送信がそのように行われる順序は重要ではなく、但し受信ユニット14でその順序を識別可能とする必要がある。都合のいいことに、このようなことは各エミッタユニット内のプロセッサの制御の下で行われ、受信ユニットは送信を同様に識別するためにそれ相応にプログラムされている。受信ユニット14は、エミッタユニットからの信号をアレイ54において利用されるアンテナ52によって次々に受信する。そのようにしてそれぞれのエミッタユニットからの受信信号は、受信ユニット14のプロセッサ56で個別に処理される。エミッタユニットから送信されて受信される各信号に対して、プロセッサは、アンテナ52のうちの1つである、基準アンテナから得られる信号と比較して、基準アンテナにエミッタユニットの信号が到達する時間と他の4つのアンテナのそれぞれに到達する時間との4つの各時間差を決定する。すなわち、4つの時間差とは、
a)基準アンテナ52に信号が到達する時間とアンテナ52のうちの第2のアンテナに信号が到達する時間との差、
b)基準アンテナ52に信号が到達する時間とアンテナ52のうちの第3のアンテナに信号が到達する時間との差、
c)基準アンテナ52に信号が到達する時間とアンテナ52のうちの第4のアンテナに信号が到達する時間との差、及び
d)基準アンテナ52に信号が到達する時間とアンテナ52のうちの第5のアンテナに信号が到達する時間との差である。
【0018】
これらの差から、プロセッサ56は関連するエミッタユニットの基準アンテナに対する相対的な三次元の空間的配置を算出する。各送信サイクルでは、このようなプロセスはエミッタユニットからの各送信に対して連続的に繰り返され、各エミッタユニットの位置を繰り返し決定する。従って、このような情報は、エミッタユニットから送信されて受信される各サイクル毎に周期的に更新される。このようにして、装置10の着用者の手首、肩、足首の相対的な三次元配置についての情報が生成され、順次更新される。
【0019】
本発明のこの実施形態では、ユーザの体の部分の位置情報を提供することに加えて、エミッタユニットから送信され、受信ユニット14によって受信される信号におけるドップラーシフトを検出することによって速度情報が生成される。さらに、エミッタユニットはそれぞれ、慣性測定ユニット(「IMU」)96を含み、これは、グローバル基準フレームに対する各エミッタユニットの向きに関する情報をキャプチャして受信ユニットに送信するための加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を有している。
【0020】
図6は、1つのエミッタユニット16と、受信ユニット14のプロセッサ56内の構成要素を示している。受信ユニットは、
図6にOSM
1、OSM
2、…OSM
nと表すオフセット信号測定装置60を含む。利用される各アンテナ52に対して1つの装置60があり、この場合には、5つのアンテナが利用されるので、n=5である。受信ユニット14は、装置60とコンピューティング要素64との間の通信転送用のバス66によって、装置60に接続されるコンピューティング要素64を含む。プロセッサ56は、周波数f
TXの発振正弦波信号を発生する周波数発生器68も含む。
【0021】
図8は、コンピューティング要素64の要素を示す。これは、組み込み型コンピュータ70、Wifi通信モジュール72、4G通信モデム74、USBポート75、SDGCストレージ76、ローカルフラッシュストレージ77、電源とバッテリーの管理ユニット79を含む。
【0022】
エミッタユニット16〜26は、どれも同じであり、例えば
図7にエミッタユニット16が示されている。図示のエミッタユニットは、一定周波数の正弦波信号f
TX、すなわち発生器68によって発生されるのと同じ周波数の信号を発生する信号発生器80を含む。発生器80からの信号は、アンテナ86を介して無線信号として送信するための無線送信機82に送られる。
【0023】
エミッタユニット16は、信号発生器を制御し、他の制御機能も実行するための組み込み型コンピュータ88を含む。これは特に、前述したように、特定のエミッタユニットに割り当てられる上述した各時間サイクルにおける特定の期間中にのみ、無線送信機82にアンテナ86を介して無線信号を送信させるように配置される。図示の送信機の追加の構成要素は、例えば、送信に関するデータを記憶するためのローカルフラッシュストレージ90、エミッタユニットへの及びそれからのデータ転送用のUSBポート92、エミッタユニット及び外部装置への及びそれからの通信用のWifiモジュール94、慣性測定ユニット96、及び電源とバッテリーの管理ユニット98である。
【0024】
図6のOSM
1は、基準のオフセット信号測定装置を構成し、それは
図10にも例示されている。それは、アレイ54の1つのアンテナ52からの無線周波数信号を受信する無線受信機93を有し、その信号は、エミッタユニットから送信される無線信号から得られる。そのようにして得られる信号は、不所望な信号成分を除去するためにバンドパスフィルタ96に送られ、また、OSM
1、OSM
2…OSM
nへの出力端97にも送られる。
【0025】
図9は、OSM
2、…OSM
nのうちの1つを示し、これらの構成は同じである。このようなOSMは、アレイ54のアンテナ52の1つに接続される無線受信機100を含む。エミッタユニット14からの無線信号は、アンテナ52で受信され、対応する無線周波数信号を受信機100に送り、その出力はバンドパスフィルタ102を経て、OSM
1からの出力も受信する、位相差測定ユニット164に送られる。ユニット164から得られる出力165は、OSM
1が接続されるアンテナ52にエミッタユニットからの信号が到達する時間に対する、それぞれOSM
2…OSM
nが接続されるアンテナ52にエミッタユニット16〜26からの信号が到達する到達時間差を示す。この差は、アナログ―デジタル変換器106でデジタル形式に変換され、コンピューティング要素64に伝えられる。
【0026】
コンピューティング要素64は、各OSM
2…OSM
nのA/D変換器からの出力を受信し、これらに基づいてそれぞれのエミッタユニットの位置を算出する。上述した各動作サイクルの間、この計算は各エミッタユニットに対して順次成される。
【0027】
エミッタユニット16〜26からの無線送信の同期化のための措置が取られる。装置のターンオン時には、動作も初期化するために、受信ユニット14からエミッタユニットに信号が送られる。これに応答して、前述のように、それぞれのエミッタユニットからの周期的な送信が実行され、エミッタユニットは、受信器に記憶されたプログラム情報に従って、サイクルT内のそれぞれ異なる所定のタイムスロットの間に、所定のシーケンスで、各サイクルにおいて一度送信する。このようなプログラミングを通じて、OSM装置60から送信される位置情報は特定の受信ユニットに一意に関連付けることができる。ユニット内の信号発生器はフリーランニングしているため、時間の経過とともにドリフトが発生する可能性がある。これを補償するために、各エミッタユニット16〜26は他のユニットからの信号送信を受信することができ、これらには検出回路が含まれており、各動作サイクルTの間のエミッタの送信時間における累積ドリフトが所定のレベルに達する場合に、受信ユニット14に信号を送信して、エミッタユニットの動作をリセットし、再初期化する。
【0028】
図10を参照するに、OSM
1は、信号発生器68(
図6)からの周波数f
TXの信号と、バンドパスフィルタ96からの出力を受信するI/Q復調器101を含む。復調器101は、関連するアンテナ52で明らかとなるように、送信しているエミッタユニットの速度の空間的な成分を示す出力を発生する。復調信号は、A/D変換器102でデジタル形式に変換されて、コンピューティング要素64に送られる。各OSM
2…OSM
nでは、信号発生器68(
図6)からの信号が受信されて、受信器100及び、そのOSMのバンドパスフィルタ102からの信号も受信するI/Q復調器130に送られ、後者の信号の周波数は、OSMにより処理される時間の間にエミッタユニットから送信される周波数であるため、エミッタユニットの速度に依存する。I/Q復調器130は、関連するアンテナ52で明らかとなるように、送信しているエミッタユニットの速度の空間的成分を示す出力を発生する。この出力は、OSMのA/D変換器106に送られ、そこでデジタル形式に変換されてコンピューティング要素64に送られる。OSM
1でも同様である。OSMにおける、I/Q復調器のデジタル化された出力から、コンピューティング要素64はエミッタユニット16〜26が送信している時間のベクトル速度を算出し、これは、各エミッタユニットに対する上述した各動作サイクル内で繰り返される。
【0029】
上述したような、アンテナ52の対で受信される信号間の位相シフトの計算は、任意の適切なプロセスによっても達成することができる。
図12は、2つの信号間の位相変位がそれぞれ異なる、同じ周波数の2つの正弦波信号「LO出力」と「RF出力」をグラフによって示している。「Dout」で示されるように、これらの信号を組み合わせた結果は、同じ周波数の正弦波信号だが、相対的な位相変位に応じた振幅値となり、このRMS値を検出することにより、位相の変化を表す出力を提供する。この技術を、コンピューティング要素64に用いて、1つのアンテナ52から得られる基準信号と、他の各アンテナ52から得られる信号とを比較できるようにして、アンテナにおける信号の位相差(到達時間)を確定することができる。
【0030】
前記I/Q復調器は、通常の形式のものでもよく、これは、キャリア信号に生じる周波数変動が、この周波数変動に関する情報を提供するために復号することができる同相及び直交成分を有するフェーザ―として処理されることに基づいて動作する。
【0031】
コンピューティング要素64で生成されるような、装置10によって得られる情報は、任意の都合のよい形で、例えば、通信モデム74を介して外部送信用に提示するか、又は受信ユニットのSDHDカードに書き込むことができる。
【0032】
受信ユニット14とエミッタユニット16〜26との間の、装置10の制御のための通信及び、エミッタユニット同士間の同じく制御のための通信は、位置及び速度情報を決定するための送信とは別のそれらユニット間の無線送信によって達成される。特に、
図13は、それぞれがこの目的のために各アンテナ142に接続され、組み込み型コンピュータ88又はコンピュータ70にもそれぞれ接続される無線トランシーバ140を有するようなエミッタユニット16〜26と受信ユニット14を示している。コンピュータ70の制御下で、受信ユニット14のトランシーバ140は、動作を開始するためにアンテナ142を介してエミッタユニットに前述の初期化信号を送信し、また、送信における許容ドリフトが所定値に達したことを示す信号が受信されると、エミッタユニットが再同期動作のためにリセット信号も送信する。エミッタユニットにおけるトランシーバ140も、ドリフトを決定する目的のためにエミッタユニット間で信号を送信するのに用いられる。特に、各期間T中の、エミッタユニット16〜26からの位置及び速度の決定に用いる信号の送信順序は、各エミッタユニットのコンピューティング要素88において個別にプログラムされるが、各エミッタユニット16〜26は、トランシーバ140及びアンテナ142を介して、各エミッタユニット16〜26によって送られる信号も受信する。エミッタユニットのコンピューティング要素88は、当面のエミッタユニットが送信を開始するようプログラムされている時点に、先に送信しているエミッタユニットがまた送信しているかどうかを検出し、先のエミッタユニットの送信が終了するまで送信の開始を遅らせるようにプログラムされる。最後のエミッタユニットが送信するときのサイクルにおける、時間間隔が所定の時間間隔よりも長い場合には、その最後のエミッタユニットのコンピューティング要素88の制御下で、その最後のエミッタユニットによる送信の終了時に、そのエミッタユニットはトランシーバ140及びアンテナ142を介して前述の信号を受信ユニット14に送信し、受信ユニットはリセット信号をエミッタユニットに送らせる。リセット信号は受信ユニットによって受信され、エミッタユニットは、リセット信号の受信に応答して、再送信する。リセットのプロセスは、コンピュータ要素88の制御下において各エミッタユニットの同期が必要であり、そのため、それらは各送信サイクルにおけるそれぞれの所定の開始時点に順次送信を開始するように再プログラムされる。
【0033】
以下、本発明の具体的な実装について説明する。ここにおいて、用語「タグ」とは、エミッタ16〜26のことを言う。ジャイロ、磁力計、加速度計は、特に断りのない限りIMU96に組み込まれる。
【0034】
1.ベルトに対するタグの位置決め
前述のように、最少5つの非同一平面上の受信機がモバイルのタグの位置を突き止めるためにベルトに位置付けられる。時間遅延は、到達の位相差を用いて算出される。
【0035】
モバイルタグの位置決めは、以下のように達成される。
仮に、
【数1】
は、モバイルタグの位置を示すとする。そして、ベルト上の知られている受信局の位置は、S
o、S
i、S
j、S
k、S
lとする。cがRF波の伝播速度を示し、τ
iが基準受信機Оに対して受信機i∈{i,j,k,l}に到達する遅延時間を示すとすれば、次式が成立する。
【数2】
【0036】
仮に、
【数3】
及び
【数4】
とすると、連立方程式は以下の形式で表すことができる。
【数5】
ここで、
【数6】
である。
【0037】
全体のグローバル座標系は、S
oにおけるものである。
【0038】
2.ベルトに対するタグの向き
この欄では、ベルト14に対するタグの向きを決定するために、エミッタ16〜26に組み込まれるIMUからの情報を、どのように活用するかについて説明記載する。
【0039】
(a)磁力計の読みからの回転行列
仮に、タグのフレームにおける磁力計の読みをM
tとし、ベルトフレームでの読みをM
bとする。すると、ロドリゲスの公式によって与えられる回転行列は、
【数7】
となり、
ここで、
【数8】
であり、
はそれぞれドット積とクロス積を示し、
【数9】
は、時間tにおける回転行列を示す。
【0040】
(b)ジャイロの読みからの回転行列
仮に、ジャイロの読みが、表示は以下のように表され、サンプル時間はτで表される。
【数10】
であり、サンプリング時間がτであるとすると、ジャイロから推定される回転行列は、
【数11】
となり、
ここで、
【数12】
である。また、
【数13】
は、x軸を中心とするθxの回転を伴う回転行列を示す。このような回転行列は、ジャイロスコープの読みから完全に推定される。
【0041】
(c)漸進的な回転行列の融合
全体の回転行列は、以下の数式によって表され、W(t)は時変の重み行列であり、tが小さいときには、重みが低くなる。
【数14】
【0042】
3.位置の絞り込みのための漸進的な送信機のフィルタリング
この欄では、カルマンフィルタを用いてタグの位置を絞り込むためのフィルタリングについて説明する。
【0043】
数式(1)から推定された位置は、数式(2)から推定された回転行列からベルトの座標系に変換される。送信機における加速度測定値も、ベルトフレームに変換される(ベルト測定加速度)。そして、カルマンフィルタに入力される測定入力は、送信機の位置と加速度である、
【数15】
であり、カルマンフィルタの出力は、位置、速度及び加速度から成る正確な状態である(以下に記載する参考文献1及び2を参照)
【0044】
4.ベルトの初期設定段階位置及び向きの推定
起動時に、ベルトの位置及び向きは、以下のように基準として決定することができる。
【0045】
システム(受信ユニット14)を静止位置に保持し、(加速度計からの)重力を用いて地面の方向を見つけ、初期の座標フレーム位置を確立する。
【0046】
向き及び位置の漸進的推定
向きは、元の位置及び向きに対して、数式(2)のように漸次的に推定され、位置は加速度計の読みから推定される(前述の3に似ているが、位置の読みを除く)。
【0047】
[参考文献1]
Pathirana, P.N., Savkin, A.V., Ekanayake, S.W., Bauer, N.J., "A Robust Solution to the Stereo-Vision Based Simultaneous Localization and Mapping Problem with Steady and Moving Landmarks", Advanced Robotics, 25(6-7};765-788, 2011
[参考文献2]
Pathirana, P.N and Herath,S,C.K and Savking, A.V. "Multi-target Tracking via Space Trans- formations Using a Single Frequency Continuouse Wave Radar", IEEE Transaction of Signal Processing, Accepted on the 7th June, 2012
【0048】
上述の動作は、
図14及び
図15に要約される。
【0049】
図14と上記1.及び2.での説明を参照すると、エミッタ16〜26では、IMU96が、エミッタフレームにおける加速度測定値200と、ジャイロスコープからの向き情報202と、磁力計からの向き情報204を生成する。エミッタユニットの組み込み型コンピュータ88では、ジャイロスコープからの向き情報を磁力計からの向き情報と融合させて、ベルトフレーム(ベルト14)に対するエミッタ送信機のフレームの融合回転を表す、出力208を発生させる。後者の出力情報は、加速度測定値200と一緒にエミッタによってベルト14に無線送信され、組み込み型コンピューティング要素64によってベルトで行われる到着時間の計算を精緻化するために用いられる。この目的達成のために、前述のように組み込み型コンピュータによって最初に計算済みの時間遅延時の情報210は、加速度測定値200及び融合された回転情報208と一緒に、カルマンフィルタ212に供給される。カルマンフィルタ212は、供給された情報に再帰的に作動して、ベルトフレームに予め記憶された動的モデル214に準拠して、位置情報210を精緻化する。
【0050】
図15は、受信ユニット14に含まれるIMU170(
図8)からの磁力計、ジャイロスコープ、加速度計の測定値230、232、234がベルト15の位置及び向きを得るためにどのように利用されるかを示している。この情報は、時間t=0におけるベルト位置及び向きを示している情報236と共にベルトに組み合わされる。その情報は、例えば、地面の方向を提供するために、数秒のような所定の時間ベルトを固定の位置及び向きに維持して得られるIMU170の磁力計から得ることができる。
【0051】
融合された、磁力計及びジャイロスコープの測定値230、232は、時間t=0におけるエミッタに関する融合回転情報238を生成するために、情報236と一緒にベルト15に供給される。
【0052】
時間t=0における加速度計の測定値234は、位置及び向き情報248を生成するため、融合回転情報248と一緒に、カルマンフィルタ244及びフィルタ238の出力に別個に供給される。加えて、十分なGPS信号がある、特に屋外の状況では、GPS情報はフィルタ244に供給することができる。
【0053】
前記参考文献[1]及び[2]の開示内容は、本明細書の開示の一部を形成するものとして組み込まれる。
【0054】
融合回転情報208、238の取得を含む、カルマンフィルタ212、124への入力を提供するために、
図14の200、204、206及び
図5の234、232、230に記載される加速度計、ジャイロスコープ、磁力計から得られるデータの使用は、例えば、下記の文献3に記載されているような、既知のプロセスによって達成することができ、この文献の開示は、本明細書の開示の一部を形成するものとして組み込まれる。
Rong Zhu and Zhaoying Zhou: A Real-Time Articulated Human Motion Tracking Using Tri-Axis Inertial/Magnetic Sensors Package, IEEE Transactions On Neural Systems And Rehabilitation Engineering, Vol. 12, No. 2, June 2004
【0055】
記載された実施形態では、6つのエミッタユニット16〜26は利用され、
図1に示すように、ユーザの肩、手首及び足首に位置付けられる。このような配置は、例えば人の症状の診断に関連する人体の複数部分の位置の追跡を可能にするのに非常に良好であることが分かった。しかしながら、関連用途に応じて、より少ない又はより多くのエミッタを使用することができ、及び/又は異なる位置付けとすることができる。例えば、
図1はユーザの頭に位置付けられたヘッドバンド182に付けられた追加のエミッタユニット180を示しており、ユーザの頭の位置の追跡を可能にしている。
【0056】
記載された実施形態では、エミッタは単一の周波数で信号を送信する。
【0057】
本発明の方法は、エミッタの位置特定化のためにエミッタからの信号の到達時間差を用いることによって、関連するデータにおける誤差に対する有意な免疫を付与することができるので、特に有利である。それに関する性能は、
図14に示すような加速度計、ジャイロスコープ、磁力計の情報の追加的な使用によっても同様に向上する。
【0058】
上記構成は一例としてのみ提示され、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの補正及び変形を行うことができ、本発明に記載した任意の新規の特徴及び特徴との組み合わせを含む。
【0059】
本明細書及び以下の特許請求の範囲にわたって、文脈上他に要求されない限り、単語「含む」及び「含んでいる」等の派生語は、整数又はステップ又は整数もしくはステップの群の包含を意味するものと理解され、他のいかなる整数又はステップ又は整数もしくはステップの群も除外するものではない。
【0060】
本開示において参照する任意の先行文献(又はそこから得られた情報)や任意の知られた方法の参照は、先行文献(又はそこから得られた情報)又は一般に公知の知識の部分を形成する知られた方法であると認識又は容認又は任意の形態の示唆として受け取られるものではなく、受け取られるべきものでもない。
【符号の説明】
【0061】
10 装置
12 ユーザ
14 受信ユニット
15 ベルト
16、18、20、22、24、26 エミッタユニット
30、32、34、36 要素
40、42、44、46 足首バンド
48、50 コネクタ
52 無線アンテナ
53 第1の平面
54 アレイ
55 共通の平面
56 プロセッサ
60 測定装置
64 コンピューティング要素
68 発生器
70 コンピューティング要素
72 通信モジュール
74 モデム
75、92 USBポート
76 SDHCストレージ
77 フラッシュストレージ
79 管理ユニット
80 信号発生器
82 無線送信機
86 アンテナ
88 コンピューティング要素
90 フラッシュストレージ
94 Wifiモジュール
100 受信機
101 I/Q復調器
102 バンドバスフィルタ
104 測定ユニット
106 A/D変換器
130 I/Q変調器
140 無線トランシーバ
142 アンテナ
170、96 IMU
200 測定値
202、204 向き情報
208 回転情報
210 到達情報
212 フィルタ
230、232、234 加速度計測定値
236 情報
238、244 フィルタ
248 回転情報
【国際調査報告】