特表2016-511429(P2016-511429A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-511429放射性環境をモニタリングするためのアクチニド酸化物構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-511429(P2016-511429A)
(43)【公表日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】放射性環境をモニタリングするためのアクチニド酸化物構造
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/108 20060101AFI20160318BHJP
   G21C 17/10 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   G21C17/10 F
   G21C17/10 W
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-501857(P2016-501857)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】US2014025474
(87)【国際公開番号】WO2014197063
(87)【国際公開日】20141211
(31)【優先権主張番号】13/800,451
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515256165
【氏名又は名称】アイダホ ステート ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック エー.バゲット
(72)【発明者】
【氏名】トニー エス.ヒル
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075CA08
2G075CA38
2G075DA03
2G075DA04
2G075DA05
2G075DA08
2G075FA05
2G075FA18
2G075FB04
(57)【要約】
検出デバイスの結晶性アクチニド酸化物ベースの材料は、放射性環境の少なくとも1つの運転状態のモニタリングを可能にする。デバイスは、第1の発振信号を生成し得る1または複数の水晶発振器ユニットと、1または複数の水晶発振器ユニットのうちの少なくとも1つに機能的に結合され、第1の発振信号を受信するように構成された、アクチニド酸化物ベースのユニットとを備える。アクチニド酸化物ベースのユニットは、第2の発振信号を供給し得、第2の発振信号は、第1の発振信号に基づき、放射性環境の運転状態を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発振信号を生成するように構成された、1または複数の水晶発振器ユニットと、
前記1または複数の水晶発振器ユニットのうちの少なくとも1つに機能的に結合されるアクチニド酸化物ベースのユニットであって、前記第1の発振信号を受信し、前記第1の発振信号に基づき、第2の発振信号を生成するように構成されたアクチニド酸化物ベースのユニットと、
を備える装置。
【請求項2】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは、電気エネルギーに変換されることになる分裂、放射性崩壊、または熱エネルギーを通じて電力を生成する前記アクチニド酸化物ベースのユニットの少なくとも一部にエネルギーを供給する電力ユニットを備え、前記1または複数の水晶発振器ユニットを駆動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の発振信号と前記第2の発振信号は、原子炉の状態を示すことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記1または複数の水晶発振器ユニットは、燃料構造の燃料要素上の様々な位置に分散されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは、結晶性アクチニド酸化物材料を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記結晶性アクチニド酸化物材料は、真性アクチニド酸化物材料、P型アクチニド酸化物材料、およびN型アクチニド酸化物材料を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは、
前記P型アクチニド酸化物材料および前記N型アクチニド酸化物材料のP−N接合、
前記P型アクチニド酸化物材料および前記N型アクチニド酸化物材料のN−P−N接合、
前記P型アクチニド酸化物材料および前記N型アクチニド酸化物材料のP−N−P接合、
前記P型アクチニド酸化物材料、前記真性アクチニド酸化物材料、および前記N型アクチニド酸化物材料のP−i−N接合、または
前記N型アクチニド酸化物材料、前記真性アクチニド酸化物材料、および前記P型アクチニド酸化物材料のN−i−P接合
の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは、前記P−N接合、前記N−P−N接合、前記P−N−P接合、または前記P−i―N接合の少なくとも1つから製造される、少なくとも1つの論理ゲートを備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
さらに、P−N接合、N−P−N接合、P−N−P接合、またはP−i−N接合の少なくとも1つからのアクチニド酸化物ベースのフィルタを備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記P−N接合、前記N−P−N接合、前記P−N−P接合、または前記P−i―N接合の少なくとも1つからのアクチニド酸化物ベースの増幅器を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記電力ユニットは処理ユニットに電流を供給し、それに応じて、前記処理ユニットは前記第1の発振信号の変調された実現物(realization)を増幅することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは
233U、234U、235U、または238Uのウランの同位体、
238Pu、または239Puのプルトニウムの同位体、
232Thのトリウムの同位体、および
241Amのアメリシウムの同位体
で構成されるグループから選択されるアクチニド元素の1または複数の同位体を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記P型アクチニド酸化物材料は、MOCVDを用いて、少なくとも1つの遷移金属を真性アクチニド酸化物材料にドーピングすることによって得られることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記P型アクチニド酸化物材料は、MOCVDを用いて、真性アクチニド酸化物材料における酸素化学量論比の調整によって得られることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記N型アクチニド酸化物材料は、MOCVDを用いて、少なくとも1つの炭素またはホウ素を真性アクチニド酸化物材料にドーピングすることによって得られることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項16】
前記N型アクチニド酸化物材料は、MOCVDを用いて、真性アクチニド酸化物材料における酸素化学量論比の調整によって得られることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項17】
処理回路と、少なくとも前記処理ユニットにエネルギーを供給する電源とを備える、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供するステップと、
原子炉炉心の状態を示す発振信号を前記処理回路によって生成するステップと、
前記アクチニド酸化物ベースのユニットを前記原子炉炉心の核燃料構造に結合するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
前記発振信号の生成するステップは、前記原子炉炉心の運転状態を示す第1の発振信号を生成する1または複数の水晶発振器ユニットにアクチニド酸化物ベースのユニットを結合するステップと、前記第1の発振信号を処理して前記発振信号を生成するステップとを備えることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理回路によって生成するステップは、さらに複数の水晶発振器によって生成された複数の発振信号を多重化するステップを備え、前記複数の発振信号の各々は、少なくとも弁別的な発振周波数を有することを特徴とする請求項17または請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、P−N接合、N−P−N接合、P−N−P接合、またはP−i−N接合の少なくとも1つからのアクチニド酸化物ベースのフィルタを提供するステップを備えることを特徴とする請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
さらに、前記P−N接合、前記N−P−N接合、前記P−N−P接合、または前記P−i−N接合の少なくとも1つからのアクチニド酸化物ベースの増幅器を提供するステップを備えることを特徴とする請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記アクチニド酸化物ベースのユニットは、
233U、234U、235U、または238Uのウランの同位体、
238Pu、または239Puのプルトニウムの同位体、
232Thのトリウムの同位体、および
241Amのアメリシウムの同位体
で構成されるグループから選択されるアクチニド元素の1または複数の同位体を備えることを特徴とする請求項17から請求項21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
アクチニド酸化物ベースの検出器を備える原子炉炉心の運転状態に応答して、前記アクチニド酸化物ベースの検出器によって生成された電磁(EM)放射を取得するステップと、
前記原子炉炉心の前記運転状態を示すデータを少なくとも前記EM放射から抽出するステップと
を備える方法。
【請求項24】
前記原子炉炉心の前記運転状態は出力電力であり、前記抽出するステップは、前記EM放射の一部として受信される発振信号の振幅を決定するステップと、前記原子炉炉心の前記出力電力の値を決定するステップとを備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記原子炉炉心の前記運転状態は核燃料要素の温度であり、
前記抽出するステップは、先に受信された発振信号に対する前記EM放射の一部として受信された発振信号のドップラ偏移を決定するステップを備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記原子炉炉心の前記運転状態は、中性子エネルギースペクトルの少なくとも一部であり、
前記抽出するステップは、
前記EM放射に基づいて、複数の特定の核分裂閾値エネルギーに関する、前記原子炉炉心の出力電力の複数の値を決定するステップと、
前記複数の特定の核分裂閾値エネルギーに関する、前記原子炉の出力電力の前記複数の値をアンフォールディングするステップと、
前記アンフォールディングに基づいて、前記中性子エネルギースペクトルの一部を生成するステップと、
を備えることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般に、放射性環境の無線モニタリングに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0266448号明細書
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Sanchez他、「NeutronSpectra Unfolding with Artificial Neural Networks」、ENIINVIE、(2005)
【非特許文献2】Wang他、「Fermilab Neutron Therapy Facility Neutron Spectrum Determination by Threshold Foils」、Proceedings of Science(PoS(FNDA2006)041)
【非特許文献3】Sunden他、「Evaluation of Spectral Unfolding Techniques for Neutron Spectroscopy」、EFDA−JET−CP(07)04/10
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明される様々な態様および例示的な実施形態によれば、本発明の開示は、一般に、放射性環境の無線モニタリングに関する。本明細書で説明される様々な実施形態は、半導体グレードの結晶性二酸化ウランなどの結晶性アクチニド酸化物ベースの材料から生成された半導体材料から少なくとも部分的に形成される、複雑さが増した構造および関連するアーキテクチャを利用する。一態様では、そのような実施形態は、放射性環境の1または複数の運転状態のモニタリングを可能にする。本発明の開示の態様に従ってモニタリングされ得る運転状態は、原子炉燃料消費、原子炉燃料要素の温度、冷却材の温度、冷却材流レート、冷却材流蒸気品質、燃料状態、中性子スペクトル、および原子炉の出力電力のうちの1または複数を含み得る。別の態様では、いくつかの実施形態は、炉心計装のための、または核燃料状態と関連付けられたデータの収集およびそれらの分析に適用され得るモニタリングシステムのための、汎用電源および無線送信構造を提供し得る。構造および関連するアーキテクチャ(例えば、デバイス)は、運転中原子炉の内部、放射および燃焼後の使用済み燃料プール、乾式貯蔵、または長期貯蔵庫貯蔵などの、様々なシナリオにおいて利用され得る。
【0005】
態様では、本発明の開示は、第1の発振信号を生成し得る1または複数の水晶発振器ユニットと、1または複数の水晶発振器ユニットのうちの少なくとも1つに機能的に結合(coupled)され、第1の発振信号を受信するように構成された、アクチニド酸化物ベースのユニットとを備える、例示的なデバイスを提供する。アクチニド酸化物ベースのユニットは、第2の発振信号を無線で送信するアンテナに第2の発振信号を供給し得、第2の発振信号は、第1の発振信号に基づき、放射性環境の運転状態を示す。アンテナは、放射性環境の一部である。
【0006】
別の態様では、本発明の開示は、処理回路および少なくとも処理ユニットにエネルギーを供給する(energize)電源を備える、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供するステップと、原子炉炉心の状態を示す発振信号を処理回路によって生成するステップと、アクチニド酸化物ベースのユニットを原子炉炉心の核燃料構造に結合するステップと、原子炉炉心の核燃料構造の少なくとも一部を介して発振信号を無線で送信するステップであって、燃料構造の一部が、アンテナとしての役割を果たす、ステップとを含む、例示的な方法を提供する。
【0007】
また別の態様では、本発明の開示は、アクチニド酸化物ベースの検出器を備える原子炉炉心の運転状態に応答して、アクチニド酸化物ベースの検出器によって生成された、電磁(EM)放射または荷電粒子(CP)放射を取得するステップと、原子炉炉心の運転状態を示すデータを少なくともEM放射から抽出するステップとを含む、例示的な方法を提供する。
【0008】
また別の態様では、本発明の開示は、アクチニド酸化物ベースのデバイスによって、またこのデバイスおよび他のデバイスにリモートで給電する手段を提供するための電荷および電圧を生成する半導体酸化ウラン構造におけるイオン化イベントによって、生成された電磁(EM)放射または荷電粒子(CP)放射を取得するステップを含む、例示的な方法を提供する。
【0009】
原子炉炉心において具体化される放射性環境の場合、本発明の開示の様々な実施形態を通して原子炉炉心の運転状態に関連するデータを提供することは、技術者または他の専門家が、沸騰の高さ、蒸気品質、燃料減損など、原子炉の運転に関する状態を評価することを可能にし得る。
【0010】
本発明の開示のさらなる利点は、一部は以下の説明において説明され、一部はそのような説明および添付の図面から明らかであり、または本発明の開示の実施によって知られ得る。本発明の開示の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって実現および達成され得る。上述の概略的な説明および以下の詳細な説明はともに、例示的および説明的なものにすぎず、本発明の開示の様々な態様、特徴、または利点を制限しないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の明細書に組み込まれ、その一部である、添付の図面は、本発明の開示のいくつかの例示的な実施形態を図説し、説明と共に、本発明の開示において説明される原理を説明するのに役立つ。
【0012】
図1】本明細書で開示される態様による、放射性環境の運転状態をモニタリングするための例示的なプロトコルのステージを示す図である。
図2】本発明の開示の態様による、放射性環境の運転状態をモニタリングするためのアクチニド酸化物ベースの構造(例えば、ユニット、デバイス)の生産を可能にする製造ステージのグループを示す図である。
図3A】本発明の開示の態様による、例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図3B】本発明の開示の態様による、例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図4A】本発明の開示の態様による、他の例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図4B】本発明の開示の態様による、他の例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図5A】本発明の開示の態様による、さらに他の例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図5B】本発明の開示の態様による、さらに他の例示的なアクチニド酸化物ベースの構造を示す図である。
図6】本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、放射性環境140)の運転状態をモニタリングする例示的なシステムを示す図である。
図7】本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)の運転状態をモニタリングする例示的なシステムの例示的な実施形態を示す図である。
図8】本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)の運転状態を示す無線信号を生成および放射するための例示的な方法を示す図である。
図9】本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)の運転状態を示す無線信号を生成および放射するための例示的な方法を示す図である。
図10】本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)の運転状態を表す無線信号を検出する例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の開示は、本発明の開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を参照することによって、また図ならびにそれらについての上述の説明および以下の説明を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0014】
本発明の化合物、合成物、物品、デバイス、装置、システム、および/または方法が、開示および説明される前に、本発明の開示は、特定の合成法、特定の材料および材料の組合せに、または特定の形状もしくは形態に限定されず、したがって、もちろん、変更し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としているにすぎず、限定的であることは意図されていないことも理解されたい。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈によって示されない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「an integrated circuit(集積回路)」に対する言及は、単一の集積回路、または2以上の集積回路の組合せに言及しており、「a crystal oscillator unit(水晶発振器ユニット)」に対する言及は、直接的または間接的に結合され得る2以上のリング発振器の組合せを含み、「a crystalline oxide material(結晶性酸化物材料)」に対する言及は、単一もしくは複数の材料、または2以上のそのようなステージに言及しており、他も同様である。
【0016】
本明細書では、範囲は、「約」特定の1つの値から、および/または「約」特定の別の値までとして表され得る。範囲がそのように表される場合、別の実施形態は、特定の1つの値から、および/または特定の他の値までを含む。同様に、先行する「約」を使用することによって、値が近似値として表される場合、特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されよう。各々の範囲の端点は、他方の端点と関連して、また他方の端点とは独立に意味があることがさらに理解されよう。
【0017】
本発明の開示およびそれに続く特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義される数々の用語に対する言及が行われ、すなわち、「optional(任意選択の)」または「optionally(任意選択で)」は、続いて説明されるイベントまたは状況が、発生することも、または発生しないこともあること、および説明は、イベントまたは状況が発生する場合と、発生しない場合とを含むことを意味する。
【0018】
本発明の明細書の説明および特許請求の範囲のどこであっても、「comprise(〜を含む/備える)」という語、ならびに「comprising」および「comprises」などのこの語の活用形は、「〜を含むが、それらだけに限定されない」を意味し、例えば、他の付加(additives)、構成要素、整数、ステップ、および動作などを排除することは意図されていない。加えて、本発明の開示では、「including(〜を含む)」および「having(〜を有する)」という用語は、「comprising」という用語と同様に利用される。「exemplary(例示的な)」は、「〜の例」を意味し、好ましい実施形態または理想的な実施形態である旨の暗示を担うことは意図されていない。「such as(〜などの)」は、制限的な意味では使用されず、説明の目的で使用される。
【0019】
本発明の開示の態様による位相変化発振器およびパルス発生器のいくつかの例示的な実施形態に対する言及が、今から詳細に行われる。可能な場合はいつでも、同じ参照番号は、図面のどこであっても、同じまたは類似の部分を参照するために用いられる。
【0020】
以下でより詳細に説明されるように、本発明の開示の1または複数の実施形態は、原子炉健全性モニタリングのための無線炉心モニタリングシステムを提供する。本明細書で説明される様々な実施形態は、半導体グレードの結晶性二酸化ウランなどの結晶性アクチニド酸化物ベースの材料から生成される半導体材料から少なくとも部分的に形成される、構造および関連するアーキテクチャを利用する。これは、大きな結晶性アクチニド酸化物ベースの材料を製造および加工することに部分的に基づいた、新規な原子炉モニタリングシステムである。アクチニド酸化物ベースの半導体の特性は、結晶性真性アクチニド酸化物ベースの材料のドーピングもしくは共ドーピングによって、または酸素化学量論比の制御によって、カスタマイズ(例えば、生成、調整、または生成および調整など)され得る。本発明の開示の様々な実施形態は、いくつかの(「原子炉健全性」とも呼ばれる)原子炉運転状態のうちの1または複数のリアルタイムモニタリングを可能にし、モニタリングは、継続的に(例えば、リアルタイムに)、または実質的に継続的に(例えば、ほぼリアルタイムに)、または特定の時点に(例えば、スケジュールに従って、もしくは原子炉修理に合わせて)実行され得る。例として、燃料の燃焼度として一般に知られる、原子炉燃料消費が、モニタリングされ得る。別の例として、原子炉燃料要素(例えば、燃料棒)の温度が、モニタリングされ得る。また別の例として、(「燃料健全性」とも呼ばれる)燃料状態が、モニタリングされ得る。他の例として、原子炉の中性子スペクトルおよび出力電力が、モニタリングされ得る。本発明の開示の様々な実施形態を通してそのようなデータを提供することは、技術者または他の専門家が、沸騰の高さ、蒸気品質、燃料減損など、原子炉の運転に関する状態を評価すること(推測すること、または他の方法で判定すること、報告すること)を可能にし得る。本開示の態様に従って形成されたデバイスは、核燃料の健全性をモニタリングするために、または放射性環境における様々な機器(例えば、モニタリングシステム)のための電源もしくは無線送信要素もしくは両方としての役割を果たすために、運転中の原子炉において、放射および燃焼後の使用済み燃料プールにおいて、乾式貯蔵または長期貯蔵庫貯蔵において利用され得る。
【0021】
図面を参照すると、図1は、本明細書で開示される態様による、放射性環境の運転状態をモニタリングするための例示的なプロトコルのステージ100の図である。本発明の開示の1または複数の実施形態は、示されるステージを少なくとも部分的に可能にし得る。構造供給ステージ110では、複数の機能要素(コンポーネント、ユニット、デバイス、装置など)が、製造される。そのような機能要素は、予算上の制約、構造供給ステージ110を実施するために利用可能な製造施設、モニタリングされる対象の運転状態、またはそのような構造を配備するために利用可能な放射性環境内の空間的リソースなどを含む、いくつかの運転ファクタによって規定され得る、モジュール式の複雑さが増したアーキテクチャを有する。いくつかの実施形態では、構造供給ステージ110において生産される構造は、モノリシックとすることができ、機能要素(ユニット、デバイス、接続子、相互接続子、配線、マスク、または接触子など)は、製造および材料加工(研磨、プラズマエッチング、ウェットエッチング、ドライエッチング、リソグラフィ、フォトリソグラフィなど)の様々なステージの組合せによって、一体化される。しかしながら、構造供給ステージ110では、非モノリシックデバイスも生産され得ることを理解されたい。非モノリシックデバイスは、モノリシック構造(例えば、P−N接合、N−P接合、P−N−P接合)を統合して、増幅器またはトランスデューサなどの機能要素にすることができる。
【0022】
構造供給ステージ110において生産された構造は、放射性環境140の内部に配備され得、現場モニタリングステージ120および無線送信ステージ130を可能にし得る。実施形態では、放射性環境140は、原子炉の炉心である。そのような環境における運転状態は、過酷であり得、温度および圧力は、それぞれ、約200℃から約2100℃、および約1気圧から約150気圧の範囲にあり、放射線場の強度は強い。別の実施形態では、放射性環境は、核攻撃または原子力事故の現場とすることができる。また別の実施形態では、放射性環境は、未踏査の地球外の場所とすることができる。
【0023】
本発明の開示の態様では、現場モニタリングステージ120および無線送信ステージ130は、放射性環境140の範囲内で行われ得る。そのようなステージは、継続的に、ほぼ継続的に、またはある時点に(例えば、スケジュールに従って)、行われ得る。現場モニタリングステージ120では、放射性環境140の運転状態を示す信号が、生成される。1または複数のデバイスが、そのような信号を生成することができる。例示的な実施形態では、単一のデバイスが、放射性環境140の少なくとも1つの運転状態を示す信号(例えば、電流、電圧など)を生成し、処理することができる。そのような例示的なデバイスは、第1の発振信号を生成することができる1または複数の水晶発振器ユニットを備えることができる。
【0024】
加えて、現場モニタリングステージ120では、信号が、無線送信ステージ130の少なくとも一部を実施する1または複数の機能要素(ユニット、デバイス、装置など)に供給される。後者において、信号は、無線送信に適した方法で処理され、例えば、現場モニタリングステージ120から受信された信号は、変調、増幅もしくはフィルタリング、アップコンバートもしくはダウンコンバート、または多重化などを施され、アンテナ構造に供給され得る。態様では、アンテナ構造は、放射性環境140の一部である。別の態様では、信号は、事前に決定された変調および多重化方式に従って、変調または多重化され得る。実例として、上述の例示的な実施形態の例示的なデバイスは、1または複数の水晶発振器ユニットのうちの少なくとも1つに機能的に結合された、アクチニド酸化物ベースのユニットを備えることができる。アクチニド酸化物ベースのユニットは、第1の発振信号を受信し、第2の発振信号をアンテナ構造に供給する(例えば、生成し、送信する)ように構成され得、次に、アンテナ構造は、第2の発振信号を無線で送信することができる。したがって、第2の発振信号は、第1の発振信号に基づいており、放射性環境の運転状態を示している。第2の発振信号は、これ以前に説明されたように、無線送信のために適切に処理される。
【0025】
現場モニタリングステージ120および無線送信ステージ130を実行する例示的なデバイスは、放射性環境140(例えば原子炉炉心)の運転状態に応答して発振信号を生成し、アンテナ構造を介して発振信号を送信する、アクチニド酸化物ベースの検出器を具体化することができる。そのような検出器は、構造供給ステージ110において提供される複数の複雑さが増した構造のうちの1つとすることができる。
【0026】
無線送信ステージ130において生成される信号は、無線送信ステージ130において処理および伝達される電磁(EM)放射で具体化され得る。無線検出ステージ150では、そのような電磁(EM)放射の少なくとも一部が、取得され得、放射性環境140(例えば、原子炉炉心)の運転状態を示すデータが、少なくともEM放射から抽出され得る。1または複数の機能要素(ユニット、デバイス、装置など)は、そのようなデータを抽出することができる。
【0027】
図において100で示される上述のステージの実施は、いくつかの機能要素、および構造供給ステージ110、現場モニタリングステージ120、無線送信ステージ130、または無線検出ステージ150の1または複数に含まれる他のステージによって、達成され得る。そのような実施の実例となる態様が、これ以降で詳細に説明される。
【0028】
図2は、本発明の開示の態様による、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニットを生産するための例示的なボトムアップ手法200を示している。そのような手法は、構造供給ステージ110を具体化することができる。(付着(deposition)204とも呼ばれる)付着ステージ204は、放射性環境のためのモニタリングユニットとしての役割を果たす、アクチニド酸化物ベースのユニット240の製造の一部を可能にする。アクチニド酸化物ベースのユニット240は、様々な度合いの複雑さを有することができ、いくつかの実施形態では、アクチニドベースのユニット240は、モノリシックである。付着ステージ204は、有機金属CVD(MOCVD)などの化学蒸着(CVD)、電子ビームPVDなどの物理蒸着(PVD)、または分子線エピタキシ(MBE)などを含む、様々な付着技術に従って実施され得る。そのような付着技術は、アクチニド酸化物ベースのユニット240の供給を可能にする製造の様々なステージを可能にし得る。
【0029】
態様では、付着ステージ204は、MOCVDによるアクチニドベース酸化物ベースのユニットの製造を含む。MOCVDによる製造は、アクチニド酸化物ベースのユニット240の一部とすることができる結晶性アクチニド酸化物材料の生産を可能にする。いくつかの実施形態では、アクチニド酸化物ベースのユニット240は、結晶性アクチニド酸化物材料(Uxy、Thuv、Amqpなど、インデックスx、y、u、v、q、pは、酸化物の組成を伝達する実数である)を含むことができる。態様では、そのような材料は、単結晶アクチニド酸化物の固体、多結晶アクチニド酸化物の固体、またはそれらの組合せとすることができる。別の態様では、結晶性アクチニド酸化物材料は、真性アクチニド酸化物材料(例えば、材料210)、N型アクチニド酸化物材料(例えば、材料220)、P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料230)、またはそれらの組合せを含むことができる(例えば、図3A図3B図4A図4B、および図5A図5Bを参照)。
【0030】
付着204は、異質(heterogeneous)であり、異種アクチニド酸化物ベースの材料を含む、真性材料の製造も可能にする。例えば、材料210は、真性であり、(白抜きブロックで表される)第1のアクチニド酸化物ベースの材料と(塗り潰しブロックで表される)第2のアクチニド酸化物ベースの材料との層状ヘテロ構造を備える。第2のアクチニド酸化物ベースの材料は、第1のものと異なることができ、例えば、第1のアクチニド酸化物ベースの材料はUO2などのUyxとすることができ、第2のアクチニド酸化物ベースの材料はThstとすることができる。加えて、第2のアクチニド酸化物ベースの材料は、第1のアクチニド酸化物ベースの材料に同位体を添加した実現物(realization)とすることができる。例えば、第1のアクチニド酸化物ベースの材料に同位体を添加した実現物は、233U、234U、235U、または238Uを含む1または複数の同位体が添加された酸化ウランを含むことができる。別の例では、第1のアクチニド酸化物ベースの材料は、238Puまたは239Puを含む1または複数の同位体が添加された酸化プルトニウムを含むことができる。また別の例では、第1のアクチニド酸化物ベースの材料は、232Thを含む1または複数の同位体が添加された酸化トリウムを含むことができる。さらに別の例では、第1のアクチニド酸化物ベースの材料は、241Amを含む1または複数の同位体が添加されたアメリシウムを含むことができる。
【0031】
前の一節において指摘されたように、付着ステージ204において生産される真性アクチニド酸化物ベースの材料は、(ドーピング208とも呼ばれる)ドーピングステージ208においてドーピングされ得る。MOCVDによる製造は、遷移金属、金属、または半金属のうちの少なくとも1つを真性アクチニド酸化物材料にドーピングすることによって、P型アクチニド酸化物材料の生産を可能にし得る。例えば、Si、Al、In、Pt、Ir、Os、As、Ga、またはZnは、P型ドーピングのためのドーパントとして利用され得る。ドーパントは、MOCVD蒸着器における前駆体源を介して導入され得る。あるいは、または加えて、MOCVDによる製造は、また、2以上の遷移金属、金属、または半金属を用いる真性アクチニド酸化物材料(例えば、材料240)の共ドーピングも、P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料230)を生産するために利用され得ることを可能にする。別の態様では、MOCVDによる製造は、炭素、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、またはホウ素のうちの少なくとも1つを真性アクチニド酸化物材料(例えば、材料210)にドーピングすることによって、N型アクチニド酸化物材料(例えば、材料220)の生産を含むことができる。炭素もしくはホウ素、または他の元素の組合せを用いる共ドーピングも、可能である。
【0032】
さらなる実施形態または代替的実施形態では、MOCVDによる製造は、P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料230)の生産を、MOCVDを介する真性アクチニド酸化物材料(例えば、材料210)における酸素化学量論比の調整によっても可能にし得る。同様に、全く同じではないが、他の代替的実施形態またはさらなる実施形態では、MOCVDによる製造は、N型アクチニド酸化物材料(例えば、材料220)の生産を、MOCVDを介する真性アクチニド酸化物材料(例えば、材料210)における酸素化学量論比の調整によっても可能にし得る。真性アクチニド酸化物材料の酸素化学量論比の調整を可能にするほとんどどの製造プロセスも、P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料230)またはN型アクチニド酸化物材料(例えば、材料230)を生産するために利用され得ることに留意されたい。
【0033】
酸素化学量論比の調整によって達成されるドーピングは、付着204およびドーピング208によって生産された他のアクチニド酸化物ベースの材料と比較して、高められたまたは最大限高められた放射線耐性を有する、P型材料およびN型材料を産出する。一態様では、放射線に対する高められた回復力は、酸素化学量論比の調整によってドーピングされた真性アクチニド酸化物材料の結晶格子に与える損傷が小さいまたは最低限であることに少なくとも部分的に起因する。別の態様では、放射線に対する高められた回復力は、ドーピングが、ドーパント原子の包接の代わりに、酸素化学量論比の調整によって達成されたために、温度勾配に応答してP型ドーパント原子またはN型ドーパント原子の移動が生じないことに少なくとも部分的に起因する。
【0034】
付着204およびドーピング208は、(A/P212とも呼ばれる)組み立ておよび加工(A/P)ステージ212の一部として、様々なシーケンスで実施され得る。そのようなシーケンスは、一般に、対象または目標とするアクチニド酸化物ベースのユニット240に固有の製造手順によって少なくとも部分的に規定される。図3A図3B、および図4A図4Bは、A/Pステージ212において生産され得る例示的な接合を示している。例示的なP−N接合310は、P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料314)とN型アクチニド酸化物材料(例えば、材料318)との組み立てを含む。P−N接合310は、そのような接合を含む放射性環境によって供給された熱の存在下では、熱電対列としても動作する。そのようなシナリオでは、P−N接合310は、直流(DC)電圧ΔV=V(+)−V(-)を供給することができ、ΔVは、約1.2Vであり、出力電力のオーダーは、mWである。望ましい正味のDC電圧出力および出力電力を達成するために、2以上のP−N接合が、直列式で機能的に結合され得る。望ましいDC電圧および出力電力は、本発明の開示の態様に従って供給される無線信号の許可された、または意図された(例えば、放射性環境を包含する容器構造を貫通(penetrate)するように設計された)送信電力によって規定され得る。例として、無線信号の送信電力は、約1ワットから約数百ワットまでの範囲にあることができる。P型アクチニド酸化物材料(例えば、材料364)と真性(i)アクチニド酸化物材料(例えば、材料362)とN型アクチニド酸化物材料(例えば、材料368)との組み立てを含む例示的なP−i−N接合360など、他の構造も生産され得る。同様に、接合310と全く同じではないが、P−i−N接合360も、放射性環境内において、DC電圧ΔV=V(+)−V(-)〜1.2Vと、mWのオーダーの出力電力とを供給する、熱電対列として動作することができる。望ましい正味のDC電圧出力および出力電力を達成するために、2以上のP−i−N接合が、直列式で機能的に結合され得る。これ以前に説明されたように、望ましい出力電力は、放射性環境を包含する容器構造を貫通するように設計され得る。組み立ておよび加工ステージ212は、P型アクチニド酸化物材料と真性アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料とを含むN−i−P接合(図示されず)の生産も可能にする。
【0035】
図4A図4Bは、A/P212を通して生産され得る他の例示的な接合を提示している。例示的なP−N−P接合410は、P型アクチニド酸化物材料(材料414および材料422)と、N型アクチニド酸化物材料(例えば、材料418)とを含む。N−P−N接合460は、P型アクチニド酸化物材料(材料464および材料472)と、N型アクチニド酸化物材料(例えば、材料468)とを含む。いくつかの実施形態では、半導体オンインシュレータ(SOI)ユニット(接合、デバイス、集積回路など)も、製造され得る。図5Aに示されるように、P−i−N接合(例えば、接合510)は、基板(例えば、基板518)上に存在する絶縁体(例えば、絶縁体514)上に付着させ得る。同様に、全く同じではないが、図5Bは、基板(例えば、基板518)上に存在する絶縁体(例えば、絶縁体514)上に付着させたN−i−P接合(例えば、接合560)を示している。一実施形態では、基板は、特定の結晶方位<qrs>に沿って配向されたアクチニド酸化物材料(例えば、UO2またはU38などのUxy)の結晶の大きい(例えば、直径1〜2インチ(2.54〜5.08cm))インゴットまたはブールから切り出され得、ここで、qrsは、ミラー指数である。そのようなインゴットは、CVDまたはバルク結晶成長を通して成長させ得る。別の実施形態では、基板およびその上に付着された接合は、非巨視的とすることができ、焼結された燃料ペレット内に存在する個々の結晶粒のサイズと同等のサイズを有する。そのような粒のサイズは、約数マイクロメータから約数千マイクロメータの範囲にあることができる。
【0036】
1または複数の製造手順の実施(例えば、実行)を通して、A/P212は、アクチニド酸化物ベースのユニット240の製造を可能にし得る。態様では、A/P212は、これ以前に説明されたように、基本ブロック(接合、SOI接合など)の製造を可能にする。そのような基本ブロック(例えば、P−N接合、N−P−N接合、P−N−P接合、P−i−N接合、またはそれらの組合せ)に基づいて、A/P212は、複雑さ(例えば、構造的な複雑さ、機能的な複雑さ)が増した1または複数のブロック(論理回路、アナログ回路、デジタル回路など)の製造を可能にすることによって、アクチニド酸化物ベースのユニット240の製造を可能にする。態様では、1または複数のブロックのA/P212および関連する生産は、アクチニド酸化物材料(例えば、UO2またはU38などのUxy)を扱うために適切に変更された半導体製造技術(例えば、Si技術製造技術またはGaAs技術製造技術など)を用いて、基本ブロックを加工することを含むことができる。例示的な適切な変更は、汚染を低減または最小化するための、多周波RIE、ICP−RIE、超低温ICP−RIE、および/またはエッチングプロセスの適合を含むことができる。別の例示的な適切な変更は、アルミニウム酸化亜鉛(AZO)などの高温導電体の付着を可能にするための、製造技術の適合を含むことができる。特に、排他的にではないが、そのような技術の変更は、高濃縮ウラン(HEU)などの高濃縮材料を扱うことができる技術の開発を含むことができる。態様では、1または複数のブロックは、ORゲート、ANDゲート、NANDゲート、NORゲート、およびXORゲートなど、アクチニド酸化物ベースの論理ゲートを備えることができる。別の態様では、1または複数のブロックは、帯域通過フィルタなど、アクチニド酸化物ベースのフィルタを備えることができる。また別の態様では、1または複数のブロックは、線形増幅器または遅延増幅器など、アクチニド酸化物ベースの増幅器を備えることができる。
【0037】
態様では、1または複数のブロックは、アクチニド酸化物ベースのユニット240の一部であり、変調、多重化、フィルタリング、アナログ−デジタル変換、デジタル−アナログ変換、論理記憶、デジタル通信、およびデジタル論理などの、事前に決定された機能を達成するように設計および生産され得る。したがって、A/P212を通して、1または複数のブロックは、本明細書で説明される機能を、アクチニド酸化物ベースのユニット240に提供する処理回路248を具体化することができる。
【0038】
一般に、処理回路248は、集積回路(IC)内に具体化され得る。処理回路248は、受動デバイスもしくは能動デバイス、またはそれらの組合せを含むことができる。処理回路248は、抵抗、コンデンサ、インダクタンス、接合、ダイオード、トランジスタ、論理ゲート、インバータ、フィルタ、および増幅器など、様々な複雑さの機能要素(デバイス、回路など)を含む。加えて、そのような機能要素は、プラチナ、オスミウム、イリジウム、様々な希土類元素などから製造される、接続マスク、配線、接続子、垂直相互接続子アクセス(VIA)のうちの1または複数を含むことができ、またはそれらのうちの1または複数を通して機能的に結合され得る。接続子は、酸化タングステンなどの絶縁体材料で包み込まれ得る。処理回路248は、特定用途向けIC(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはマイクロプロセッサなどの、高度に統合された動作可能な回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、そのような高度に統合された動作可能な回路は、ラベル「プログラミング」を有する矢印によって示されるように、プログラムされ得る。デバイスのプログラミングは、製造後に影響を受ける可能性があり、またはデバイスの配備もしくは設置後に達成され得る。例えば、処理回路248の少なくとも一部は、アクチニド酸化物ベースのユニット240のライフサイクルの間に受け取られる特定のプログラミングが施された、ファームウェアとして実施され得る。
【0039】
アクチニド酸化物ベースのユニット240は、自己給電式とすることができる。そのような特徴は、アクチニド酸化物ベースのユニット240が、無線信号を送信することができる1または複数の機能要素(例えば、ユニットまたは関連する回路)にエネルギーを供給することを可能にし得る。1または複数の電源244が、例えば、A/P212の間に、アクチニド酸化物ベースのユニット240内に埋め込まれ得る。様々なアクチニド酸化物ベースの構造が、1または複数の電源244のうちの電源を具体化することができる。そのような構造は、アクチニド酸化物ベースのユニット240、核分裂副産物、またはアクチニド酸化物ベースのユニット240の一部とすることができる様々なアクチニド酸化物材料のうちの少なくとも1つの放射性によって利用可能にされたアルファ崩壊などの放射線源を含む、放射性環境内に存在する熱を利用することができる。これらの構造の相互接続、および放射性レベルが高いまたは低い特定の放射性同位体の選択を通して、構造は、数千ワットの電力を発生させることができる。
【0040】
図6は、本発明の開示の態様による、放射性環境(例えば、放射性環境140)の運転状態をモニタリングする例示的なシステム600のブロック図を示している。例示的なシステム600は、また、放射性環境に関連付けられた他の機器(例えば、モニタリングシステム)にエネルギーを供給するために、もしくは無線通信機能を提供するために、または両方のために利用され得る。いくつかの実施形態では、前の一節において説明されたように、放射性環境は、原子炉の炉心または原子炉の内部の他の場所とすることができる。他の放射性環境(例えば、核燃料の乾式貯蔵または使用済み核燃料の長期貯蔵庫など)も、企図されることを理解されたい。例示的なモニタリングシステム600の運転に関する様々な機能的結合(例えば、熱的結合、電気的結合など)は、矢印によって表される。例示的なシステム600は、放射性環境の定着物620に機能的に結合された、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610を備える。そのようなユニットは、アクチニド酸化物ベースのユニット240を具体化する。加えて、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、やはり定着物620に機能的に結合された、1または複数の水晶発振器ユニット630のセットに機能的に結合される。態様では、定着物620は、信号の無線送信のためのアンテナ(またはアンテナ構造)としての役割を果たす。放射性環境が原子炉の炉心であるシナリオでは、定着物620は、原子炉燃料構造とすることができ、例えば、燃料構造は、核燃料棒の被覆とすることができる。
【0041】
示されるように、実施形態では、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、プロセッサユニット612と、電力ユニット614とを備える。態様では、電力ユニット614は、少なくともプロセッサユニット612にエネルギーを供給する。そのようなプロセッサユニット612は、例えば、印加された電圧または電流によってともに表され得るデータおよびシグナリングをプロセッサユニット612が操作することを可能にする回路を有する、処理回路を含む。データおよびシグナリングを操作することによって、プロセッサユニット612は、信号の受信および送信、信号の増幅、信号のフィルタリング、信号の変調、または信号の多重化など、様々な動作を可能にすることができる。態様では、1または複数の水晶発振器ユニット630のうちの少なくとも1つが、第1の発振信号を提供し、プロセッサユニット612は、第1の発振信号を受信し、第1の発振信号を処理することによって、第2の発振信号を生成することができる。第2の発振信号は、放射性環境の運転状態を示すデータを伝達するように、処理(例えば、変調または多重化など)を施され得る。
【0042】
1または複数の水晶発振器ユニット630のうちの水晶発振器ユニットは、特定の周波数fの発振信号を生成する。水晶発振器ユニットは、水晶発振器ユニットに周波数fまたは関連する高調波で発振信号(例えば、電圧、電流などのアナログ信号)を供給させる、周波数およそfで共振する固体結晶を備える。そのような周波数fは、固体結晶の結晶方位(klm)の関数とすることができ、k、l、mは、ミラー指数である。固体結晶は、残価亜鉛結晶、酸化シリコン結晶、または酸化ジルコニウム素結晶のうちの1つとすることができる。タンタル酸リチウム7、ニオブ酸リチウム7、ホウ酸リチウム7、ベルリナイト、ガリウムヒ素、四ホウ酸リチウム、リン酸アルミニウム、ビスマスゲルマニウムオキサイド、チタン酸ジルコニウム、アルミナ、シリコン−亜鉛セラミック、酒石酸ジカリウム、リン酸ガリウム、ランガサイト、ランガナイト、ラガネイト(laganate)、鉛チタン酸亜鉛(鉛チタン酸亜鉛)などの、しかし、これらに限定されない、他の結晶も企図されている。
【0043】
加えて、特定の周波数fは、水晶発振器ユニットと熱的に接触する媒質の温度の関数でもある。ある結晶(例えば、シリカ、ジルコニア)の場合、fは、約0℃から約1000℃の範囲にある内部の温度に線形に依存する。周波数fは、一般に、温度とともに増加する。1または複数の水晶発振器ユニット630のうちの水晶発振器は、定着物620に、例えば、熱導体との接触または熱導体を介する接続により熱的に結合されるなど、機能的に結合され得るので、水晶発振器は、定着物(例えば、原子炉燃料構造)の少なくとも一部の温度に応答した、したがって、それを示す未処理の発振信号を発生させることができる。上で説明されたように、プロセッサユニット612は、未処理の発振信号を処理し、定着物の少なくとも一部の温度を示す処理された発振信号を供給することができる。定着物620が、原子炉燃料構造であり、少なくとも1つの水晶発振器が、原子炉燃料構造の一部である燃料棒などの燃料要素に熱的に結合されるシナリオでは、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、原子炉にまたはほとんどどの核環境にも含まれる核燃料の温度を示す発振信号を生成することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、1または複数の水晶発振器ユニット630は、複数の水晶発振器ユニットを備えることができ、複数の水晶発振器ユニットのうちの各ユニットは、分散式で、定着物620に、例えば、熱的に結合されるなど、機能的に結合され得、複数の水晶発振器ユニットは、定着物620の全域に分散される。例えば、定着物620が、核燃料要素(例えば、核燃料棒)を含む実施では、1または複数の水晶発振器ユニットの各々は、燃料構造の燃料要素上のそれぞれの位置(または場所)において熱的に結合され得る。したがって、一態様では、水晶発振器ユニットCK(Kはそのようなユニットにラベルを付与する整数インデックスである)は、位置RK(Rは3次元位置ベクトルを表す)において核燃料要素に熱的に結合され得、したがって、CKは、温度依存の周波数fKを有する発振信号(例えば、アナログ発振信号)を発生させることができる。(定着物620を具体化することができる)核燃料要素内に存在する、温度の空間的変動または温度の勾配は、それぞれの周波数gK=fK(T(RK))を有する複数の発振信号をもたらすことができ、T(RK)は、位置RKにおける温度を示す。
【0045】
複数の発振信号は、複数の水晶発振器ユニット{CK}を有する定着物620の温度プロファイルに特有であり得る、特定の干渉パターンを生成することができる。そのようなパターンは、温度プロファイルのフィンガプリントになり得る。一実施形態では、プロセッサユニット612は、複数の水晶発振器ユニットから生成された複数の発振信号を収集することができ、それらを単一の処理された発振信号に多重化することができる。態様では、プロセッサユニット612は、そのような単一の処理された発振信号を生成するために、(マルチプレクサとも呼ばれる)アクチニド酸化物ベースのマルチプレクサユニットを含むことができる。適切なユニット(例えば、検出ユニット750)によって実行され得る逆多重化に応答して、周波数gKのセットが決定され得、したがって、核燃料要素全域の温度分布が決定され得る。加えて、またはあるいは、複数の水晶発振器ユニット{CK}について、fKの温度依存が一致させられ得る実施では、核燃料要素全域の温度の変化が決定され得る。
【0046】
プロセッサユニット612は、1または複数の水晶発振器ユニット630から発せられ、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態を示す発振信号を、送信プロトコル(例えば、振幅変調、振幅偏移変調(ASK)、周波数変調、周波数偏移変調(FSK)、位相変調、位相偏移変調(PSK)など)に従って、操作(例えば、処理)することができる。送信プロトコルは、送信プロトコルによって少なくとも部分的に規定され得る、信号変調(振幅変調(AM)、周波数変調(FM)など)、多重化、増幅(例えば、線形モード)、フィルタリング(例えば、低域通過、帯域通過、高域通過)についての、無線通信のための様々な方式を少なくとも部分的に決定する。態様では、プロセッサユニット612は、発振信号を変調することができる。いくつかの実施形態では、少なくともそのような目的のために、プロセッサユニット612は、発振信号を変調するためのアクチニド酸化物ベースの変調器ユニット(図示されず)を備えることができる。別の態様では、プロセッサユニット612は、発振信号を増幅することができ、いくつかの実施形態では、少なくともその目的のために、プロセッサユニット612は、アクチニド酸化物ベースの増幅器(図示されず)を含むことができる。また別の態様では、プロセッサユニット612は、上で説明されたように、例えば、1または複数の水晶発振器ユニット630のうちの複数の水晶発振器ユニットによって生成された信号ストリームのグループを多重化することができ、複数の発振信号の各々は、少なくとも弁別的な発振周波数を有する。少なくともそのような目的のために、いくつかの実施形態では、プロセッサユニット612は、アクチニド酸化物ベースのマルチプレクサユニット(図示されず)を含むことができる。
【0047】
いくつかの実施では、放射性環境において発生する核反応の電力出力レベル、およびそのような環境に存在する中性子の中性子エネルギースペクトルなど、放射性環境における、中性子分光を示すデータ、もしくは選択同位体の燃焼度を示すデータ、または両方を提供するために、プロセッサユニット612は、検出ユニット614に結合され得、検出ユニット614によって発生させられた信号(例えば、電流)を処理することができる。一実施形態では、検出ユニット614は、プロセッサユニット612に結合された場合に、選択された同位体の燃焼度の直接的な測定を、その同位体における核分裂レートをモニタリングすることによって可能にすることができる、アクチニドレイヤを備えることができる。一態様では、アクチニドレイヤの質量の直接的な探査は、例えば、混合された酸化物燃料と様々な超ウランの燃焼度に対する直接的な相関を可能にすることができる。一実施形態では、検出ユニット614は、特定の方向(例えば、ヘテロ構造の成長方向)に沿って共形またはエピタキシャルに成長させられた核分裂材料の2以上のレイヤのうちの複数を有するアクチニド酸化物ヘテロ構造とすることができる。核分裂材料(例えば、アクチニド酸化物ベースの材料の同位体が添加された種)の各レイヤは、特定の核分裂閾値を有する。したがって、態様では、核分裂について異なるエネルギー閾値を有する核分裂材料の包含は、中性子分光を実行するための追加のエネルギーチャネルまたはエネルギービン(energy bin)を提供する。加えて、検出ユニット616は、出力される信号を、例えば、核分裂材料のレイヤから出力される電流を選択するのに適した回路を含むことができる。そのような回路は、読み出し電圧を印加するための第1の電圧源を含むことができる。検出ユニット616は、選択された信号(例えば、電流)を出力するのに適した回路を含むことができ、そのような回路は、ドライバとすることができる。さらに、検出ユニット616は、検出ユニット616の感度(例えば、電流出力)を少なくとも部分的に決定するゲート電圧を印加するための第2の電圧源を含むことができる。いくつかの実施では、プロセッサユニット612は、核分裂材料の各レイヤを読み出し、核分裂材料のレイヤから読み出された電流に従ったベース発振信号の増幅からもたらされる多重化された発振信号を生成することができる。
【0048】
検出ユニット616における核分裂材料の1または複数のレイヤは、少なくとも1つのアクチニド元素および1または複数のその同位体を備えることができる。態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、ウランを含むことができ、1または複数の同位体は、233U、234U、235U、または238Uのうちの1または複数を含むことができる。そのような同位体の関連する、しかし排他的ではない特徴は、以下を含み、(i)238Uは、約0.5MeVを上回るエネルギーを有する中性子に反応する閾値核分裂同位体であり、(ii)235Uは、熱中性子および高速中性子のために核分裂する。別の態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、プルトニウムを含み、1または複数の同位体は、238Pu、または239Puのうちの1または複数を含む。また別の態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、トリウムを含むことができ、1または複数の同位体は、232Thを含むことができる。さらに別の態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、アメリシウムを含み、1または複数の同位体は、241Amを含む。いくつかの代替的または追加的態様では、少なくとも1つのアクチニド元素の1または複数の同位体は、233U、234U、235U、または238U、238Pu、または239Pu、232Th、および241Amのうちの1または複数を含むことができる。検出ユニットにおいて利用されるアクチニド材料および関連する同位体の数が多いほど、放射性環境における中性子スペクトルに関する分光データは豊富になる。
【0049】
いくつかの実施では、プロセッサユニット612は、検出ユニット616から信号(例えば、電流)を受信し、そのような信号を利用して、1または複数の水晶発振器ユニット630のうちの水晶発振器ユニットから受信されたベースまたは未処理の発振信号を増幅する。例えば、プロセッサユニット612の一部であるアクチニド酸化物ベースの増幅器は、電流モードでベース発振信号を増幅することができ、検出ユニット616における検出チャネルから受け取られた電流が、そのような増幅を行うために利用される。プロセッサユニット612は、そのような増幅された発振信号を、送信プロトコル(例えば、802.11a、b、n、または他の標準的な無線通信プロトコル)に従って、操作することもできることを理解されたい。
【0050】
これ以前に説明されたように、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、モノリシックであり、自己給電式である。放射性環境(例えば、放射性環境140)は、熱源を提供し、これ以前に説明されたものなど、熱電対列を駆動することができる。実施形態では、電力ユニット614は、第1のドーピング型(例えば、P型またはN型)を有する第1のアクチニド酸化物(例えば、UO2またはU38などのUxy)と、第1の型とは異なる第2のドーピング型(例えば、N型またはP型)を有する第2のアクチニド酸化物(例えば、UO2またはU38などのUxy)との間の少なくとも1つの接合から形成される、熱電対列とすることができる。例えば、電力ユニット614は、P−N接合(例えば、接合310)で具体化され得る。別の実施形態では、電力ユニット614は、第1のドーピング型(例えば、P型またはN型)を有する第1のアクチニド酸化物材料(例えば、UO2またはU38などのUxy)と、真性アクチニド酸化物(例えば、UO2またはU38などのUxy)との間の少なくとも1つの接合、および第2のアクチニド酸化物材料(例えば、UO2またはU38などのUxy)と、第1の型とは異なる第2のドーピング型(例えば、N型またはP型)との間の少なくとも1つの接合から形成される、熱電対列とすることができる。
【0051】
放射性環境(例えば、原子炉炉心)に存在する熱を利用するのに加えて、アクチニドベースの酸化物材料(例えば、UO2またはU38などのUxy)の放射性は、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)に存在する中性子によってトリガされる核分裂イベントから部分的にもたらされる結果に応答して、荷電キャリア(例えば、電子または正孔)の流れを提供することができる。代替的実施形態では、電力ユニット614は、ドーピングされたアクチニド酸化物ベースの材料および真性アクチニド酸化物ベースの材料(例えば、UO2もしくはU38などのUxy、またはAcxy、ここで、Acは、アルファ、ベータ、もしくは自発的核分裂アクチニド同位体)を用いて形成されたP−i−N接合(例えば、接合360)とすることができ、そこでは、そのようなアルファ崩壊イオン化の結果として、電子−正孔(e−h)対が形成される。いくつかのシナリオでは、大量のe−h対(例えば、109程度の量のe−h対)の生成は、約195MeVのエネルギーを解放する核分裂イベントを通して達成され得る。そのようなe−h対は、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニットにエネルギーを供給し、その動作を駆動することができる電圧を生成することができる。
【0052】
発振信号を処理した後、プロセッサユニット612は、結果の発振信号を定着物620に伝達し、結果の信号を無線で送信する定着物620の励起を引き起こすことができる。定着物620およびその部分は、無線送信のためのアンテナ構造として動作する。
【0053】
図7は、検出ユニット710と組み合わされた例示的なモニタリングシステム700の例示的な実施形態700を示している。例示的な実施形態700の表現は、図面であり、したがって、実寸に比例していない。アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、上で説明されたように、1または複数の水晶発振器ユニット630から未処理の発振信号を受信することができる。未処理の発振信号の受信に応答して、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610は、未処理の発振信号を処理し、それを核燃料棒710の被覆720に供給することができる。被覆720および燃料棒710は、図6において提示された定着物620を具体化したものである。被覆720は、アクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット610によって供給された発振信号によって励起され、それに応答して、発振信号730の形態の電磁放射を放出する。態様では、発振信号730の周波数は、Mhzのオーダーにある。いくつかの実施形態では、プロセッサユニット612は、被覆720に約1Hzから約1GHzまでのオーダーの周波数で放出させるように、未処理の発振信号をアップコンバートまたはダウンコンバートすることができる。そのような周波数領域における動作は、数メートル(例えば、1〜10メートル)程度の波長を有する発振信号を提供し、それは、長い距離を貫通することができ、原子炉内の圧力容器、(「燃料ミート」とも呼ばれる)反応燃料材料、または冷却材料(水、ジュウテリウムなど)などの高密度媒質内であまり散乱しない。
【0054】
(無線検出器740とも呼ばれる)無線検出器ユニット740は、発振信号730を受信するように構成される(例えば、コンピュータ実行可能命令を用いてプログラムされる)。無線検出器740は、放射性環境、例えば、原子炉炉心の運転状態に関連する少なくとも1つのパラメータを示すデータを抽出するために、送信プロトコルに従って、発振信号730を復調し、逆多重化し、または他の方法で処理することができる。少なくとも1つのパラメータは、燃料要素(例えば、燃料棒)もしくはその一部(例えば、場所)の温度、中性子生成量((MeV sr)-1を単位として表され得、ここで、srは、立体角の単位であるステラジアンを表す記号である)、または電力値のうちの1または複数を含むことができる。
【0055】
態様では、検出器ユニット740は、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態に少なくとも基づいた様々なモダリティに従って、少なくとも1つのパラメータを抽出することができる。例として、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態が、出力電力である場合、検出器ユニット740は、発振信号730の振幅を決定し、決定された振幅に基づいて放射性環境(例えば、原子炉炉心)の出力電力の値を決定することができる。
【0056】
放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態が、核燃料構造(例えば、燃料棒)の温度であるシナリオでは、検出器ユニット740は、先に無線で受信された異なる発振信号に対する発振信号730のドップラ偏移を決定することができる。放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態が、中性子エネルギースペクトルの少なくとも一部であるシナリオでは、検出器ユニット740は、発振信号730から、複数の特定の核分裂閾値エネルギーについての、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の出力電力の複数の値を決定することができる。態様では、中性子エネルギースペクトルの一部を決定するために、検出器ユニットは、複数の特定の核分裂閾値エネルギーについての、原子炉の出力電力の複数の値をアンフォールディング(unfold)し、アンフォールディングの結果に基づいて、中性子エネルギースペクトルの一部を生成することができる。
【0057】
これ以前に説明された様々な態様に鑑みて、開示される本発明に従って実施され得る例示的な方法は、図8図10のフローチャートを参照してより良く理解され得る。説明を簡潔にする目的で、図8図10において開示される例示的な方法は、一連の動作またはステップとして提示され、説明される。しかしながら、いくつかの動作またはステップは、本明細書で示され、説明されるものとは異なる順序で、および/または他の動作と同時に発生することができるので、例示的な方法800〜1000、および本発明の開示において説明される様々なプロセスまたは方法は、動作またはステップの順序によって限定されないことを理解し、認識されたい。さらに、本発明の開示に従ってプロセスまたは方法を実施するために、示される動作またはステップの必ずしもすべてが必要とされなくてもよい。さらに、開示される方法またはプロセスの2以上は、本明細書で説明される1または複数の特徴または利点を達成するために、互いに組み合わせて実施され得る。
【0058】
図8図10は、それぞれ、本発明の開示の態様による、放射性環境の運転を無線でモニタリングするための例示的な方法800、900、1000のフローチャートである。例示的な方法800は、そのような運転の特徴を示す無線信号を発生させ、放出することに向けられており、一方、例示的な方法900は、無線信号を検出することに向けられている。例示的な方法800に関して、ステップ810において、アクチニド酸化物ベースのユニットが提供される。アクチニド酸化物ベースのユニットは、処理回路と、電源とを備える。態様では、電源は、少なくとも処理回路にエネルギーを供給する。いくつかの実施形態では、これ以前に説明されたように、アクチニドベースのユニットは、モノリシックである。加えて、処理回路は、プロセッサユニット612を具体化したものであり、電源は、電力ユニット614を具体化したものである。
【0059】
態様では、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供することは、単結晶アクチニド酸化物の固体、多結晶アクチニド酸化物の固体、またはそれらの組合せとすることができる、結晶性アクチニド酸化物材料を含む、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供することを含む。結晶性アクチニド酸化物材料は、真性アクチニド酸化物材料、P型アクチニド酸化物材料、N型アクチニド酸化物材料、またはそれらの組合せを含むことができる(例えば、図3A図3B、および図4A図4Bを参照)。いくつかの実施形態では、アクチニドベース酸化物ベースのユニットを提供することは、有機金属化学蒸着(MOCVD)によってアクチニド酸化物ベースのユニットを製造することを含む。MOCVDによる製造は、アクチニド酸化物ベースのユニットの一部とすることができる結晶性アクチニド酸化物材料を提供することを可能にする。したがって、態様では、MOCVDによる製造は、遷移金属、金属、または半金属のうちの少なくとも1つを真性アクチニド酸化物材料にドーピングすることによって、P型アクチニド酸化物材料の生産すること、したがって、提供することを含むことができる。例えば、Si、Al、In、Pt、Ir、Os、As、Ga、またはZnは、P型ドーピングのためのドーパントとして利用され得る。2以上の遷移金属、金属、または半金属を用いる共ドーピングも、P型アクチニド酸化物材料を生産するために利用され得る。別の態様では、MOCVDによる製作は、炭素(C)、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、またはホウ素(B)のうちの少なくとも1つを真性アクチニド酸化物材料にドーピングすることによって、N型アクチニド酸化物材料を製造すること、したがって、提供することを含むことができる。CとBまたは元素の他の組合せを用いる共ドーピングも、可能である。
【0060】
追加的または代替的実施形態では、これ以前に説明されたように、アクチニドベース酸化物ベースのユニットを提供することは、MOCVDを介する真性アクチニド酸化物材料において酸素化学量論比を調整することによって、P型アクチニド酸化物材料を提供することを含むことができる。同様に、全く同じではないが、他の代替的またはさらなる実施形態では、アクチニドベース酸化物ベースのユニットを提供することは、MOCVDを介する真性アクチニド酸化物材料において酸素化学量論比を調整することによって、N型アクチニド酸化物材料を提供することを含むことができる。アクチニド酸化物材料の付着中における酸素状態(例えば、酸素の部分圧力)を調整することができる他の製造プロセスが、P型アクチニド酸化物材料またはN型アクチニド酸化物材料を生産するために利用され得る。
【0061】
いくつかの態様では、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供することは、(1)P型アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料のP−N接合(例えば、図2Aを参照)、(2)P型アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料のN−P−N接合、(3)P型アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料のP−N−P接合、(4)P型アクチニド酸化物材料と真性(i)アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料のP−i−N接合、または(5)P型アクチニド酸化物材料と真性アクチニド酸化物材料とN型アクチニド酸化物材料のN−i−P接合のうちの1または複数を備えるそのような1つのユニットを提供することを含む。
【0062】
そのような基本ブロックに基づいて、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供することは、P−N接合、N−P−N接合、P−N−P接合、もしくはP−i−N接合、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つから、アクチニド酸化物ベースの論理ゲート、アクチニド酸化物ベースのフィルタ、またはアクチニド酸化物ベースの増幅器のうちの1または複数を製造することを含むことができる。製造は、アクチニド酸化物材料を扱うために適切に変更された半導体加工技術を用いて、基本ブロックを加工することを含むことができる。1または複数の実施形態では、アクチニド酸化物ベースのユニットを提供することは、少なくとも1つのアクチニド元素の1または複数の同位体を含むそのような1つのユニットを提供することを含む。態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、ウランを含むことができ、1または複数の同位体は、233U、234U、235U、または238Uのうちの1または複数を含むことができる。別の例では、少なくとも1つのアクチニド元素は、プルトニウムを含み、1または複数の同位体は、238Pu、または239Puのうちの1または複数を含む。また別の例では、少なくとも1つのアクチニド元素は、トリウムを含むことができ、1または複数の同位体は、232Thを含むことができる。さらに別の態様では、少なくとも1つのアクチニド元素は、アメリシウムを含み、1または複数の同位体は、241Amを含む。いくつかの代替的または追加的態様では、少なくとも1つのアクチニド元素の1または複数の同位体は、233U、234U、235U、または238U、238Pu、または239Pu、232Th、および241Amのうちの1または複数を含むことができる。
【0063】
動作820において、放射性環境の運転状態を示す発振信号が生成される。発振信号は、アクチニド酸化物ベースのユニットの一部である処理回路によって少なくとも部分的に生成され得る。態様では、運転状態は、放射性環境に含まれる核燃料の温度、放射性環境において発生する核反応の電力出力レベル、および放射性環境に存在する中性子の中性子エネルギースペクトルを含むことができる。実施形態では、そのような発振信号の生成は、アクチニド酸化物ベースのユニットを放射性環境の運転状態を示す未処理の発振信号を生成する1または複数の水晶発振器ユニットに結合することと、未処理の発振信号に対する処理(操作、作用、増幅など)によって、放射性環境の実行状態を示す発振信号を生成することとを含むことができる。アクチニドベースの酸化物ユニット内に含まれる処理回路は、そのような処理を実行することができる。
【0064】
態様では、未処理の発振信号の処理は、放射性環境の運転状態を示す未処理の発振信号を変調することを含むことができる。別の態様では、未処理の発振信号の処理は、放射性環境の運転状態を示す第1の発振信号を増幅することを含むことができる。また別の態様では、生成する動作は、1または複数の水晶発振器ユニットのうちの複数の水晶発振器ユニットによって生成された複数の発振信号を多重化することを含み、複数の発振信号の各々は、少なくとも異なる発振周波数を有する。
【0065】
ステップ830において、アクチニド酸化物ベースのユニットは、放射性環境(例えば、原子炉の炉心)内の定着物(例えば、核燃料構造)に結合される。ステップ840において、発振信号が、放射性環境内の定着物の少なくとも一部を少なくとも部分的に介して、無線で送信される。定着物の少なくとも一部は、アンテナとしての役割を果たすことができる。
【0066】
図9に示されるような、例示的な方法900の例示的な実施形態では、放射性環境は、原子炉の内部(または炉心)であり、アクチニド酸化物材料は、UO2、U38、またはより一般には、Uxyなどの、酸化ウランである。ステップ910において、酸化ウランベースのユニットが提供される。そのようなユニットを提供することは、動作810の様々な態様に従って達成され得る。ステップ910において、酸化ウランベースのユニットは、1または複数の水晶発振器ユニットのセットの一部とすることができる水晶発振器ユニットに(電気的に結合、または熱的に結合されるなど)結合される。上で説明されたように、水晶発振器ユニットは、温度に依存する固定された周波数で発振信号を生成する。発振信号は、ステップ930において処理される第1の発振信号とすることができる。処理は、これ以前に説明されたように、達成され得る。一括して、ステップ920とステップ930は、原子炉の運転状態を示す発振信号を生成する(全く同じではないが動作830に類似した)発生させる動作を表す。ステップ940において、酸化ウランベースのユニットは、原子炉内の核燃料構造に結合される。そのような構造は、燃料棒と、一般に金属構造である被覆とを備えることができる。態様では、結合は、酸化ウランベース上に入射する中性子束を軽減し、したがって、そのようなユニット内の非ウランまたは非アクチニドの機能要素の動作ライフサイクルを増加させる方法で局所化され得る。例えば、燃料構造が燃料棒を含む燃料ピンを含むシナリオでは、酸化ウランベースのユニットは、燃料棒の上部に取り付けられ(または他の方法で結合され)得る。
【0067】
ステップ940において、原子炉の運転状態を示す第2の発振信号が、無線で送信される。態様では、第2の発振信号を無線で送信することは、第2の発振信号を用いて核燃料構造の少なくとも一部を励起し、したがって、核燃料構造の少なくとも一部に第2の発振信号を送信させることを含む。
【0068】
例示的な方法1000に関連して、ステップ1010において、アクチニド酸化物ベースのデバイスが、放射性環境内に設置される。態様では、これ以前に説明されたように(例えば、図7を参照)、アクチニド酸化物ベースのデバイスは、少なくとも1つの水晶発振器ユニット(例えば、水晶発振器ユニット630)に機能的に結合されたアクチニド酸化物ベースのモニタリングユニット(例えば、ユニット610)を備えることができる。別の態様では、アクチニド酸化物ベースのデバイスの設置は、そのようなデバイスを放射性環境(例えば、原子炉炉心)内の定着物に機能的に結合(取り付け、備え付けなど)することを含むことができる。放射性環境は原子炉の容器である実施形態では、定着物は、原子炉における燃料棒の被覆、または燃料ピンの少なくとも一部とすることができる。
【0069】
ステップ1020において、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態に応答してアクチニド酸化物ベースのデバイスによって生成される電磁(EM)放射が取得される。態様では、これ以前に説明されたように、運転状態は、放射性環境に含まれる核燃料の温度、放射性環境において発生する核反応の電力出力レベル、および放射性環境に存在する中性子の中性子エネルギースペクトルを含むことができる。別の態様では、EM放射は、放射性環境の運転状態を表す。
【0070】
ステップ1030において、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態に関する少なくとも1つのパラメータを示すデータが、抽出される。少なくとも1つのパラメータは、燃料要素(例えば、燃料棒)もしくはその一部(例えば、場所)の温度、冷却材温度、冷却材圧力、冷却材品質、中性子生成量((MeV sr)-1を単位として表され得、ここで、srは、立体角の単位であるステラジアンを表す記号である)、または電力値のうちの1または複数を含むことができる。これ以前に説明されたように、少なくとも1つのパラメータの抽出は、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態に応じた様々な方法で達成され得る。放射性環境(例えば、原子炉炉心)の運転状態が、出力電力であるシナリオでは、抽出は、EM放射の一部として受信される発振信号の振幅を決定することと、そのような振幅に基づいて原子炉炉心の出力電力の値を決定することとを含むことができる。加えて、またはあるいは、原子炉炉心の運転状態が、核燃料要素(例えば、燃料棒)の温度であるシナリオでは、抽出は、先に受信された発振信号に対するEM放射の一部として受信された発振信号のドップラ偏移を決定することを含むことができる。別の代替として、またはさらに加えて、原子炉炉心の運転状態が、中性子エネルギースペクトルの少なくとも一部であるシナリオでは、抽出は、複数の特定の核分裂閾値エネルギーについての、放射性環境(例えば、原子炉炉心)の出力電力の複数の値をEM放射から決定することと、複数の特定の核分裂閾値エネルギーについての、原子炉の出力電力の複数の値をアンフォールディングすることと、アンフォールディングの結果に基づいて中性子エネルギースペクトルの一部を生成することとを含むことができる。アンフォールディングプロセスは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、文献(例えば、非特許文献1、特許文献1、非特許文献2、非特許文献3を参照)において説明されているプロセスに類似し得る。
【0071】
上述の説明から、従来技術に対する本発明の開示の様々な利点が、明らかになる。例えば、放射性環境をモニタリングするために利用される様々な構造は、そのような環境に密接な関係がある材料(例えば、アクチニド酸化物)から製造される。例えば、いくつかのアクチニド酸化物材料は、原子炉における燃料としての役割を果たし、燃焼可能であり、原子炉における中性子の効率的使用に最低限の影響しか有さない。したがって、そのような構造から生産されるユニットおよびデバイスなどは、放射性環境の過酷な運転状態(高い放射線、高められた温度および圧力など)に対して回復力に富む。別の例では、モニタリングは、放射性環境の範囲内に局所化され、そのような環境の空間依存のモニタリングを可能にすることができる。放射性環境をモニタリングすることを可能にする様々な構造は、放射性環境内に配備され、許容可能に(例えば、少なくとも1つの性能基準を満たす性能内で)動作することができる。また別の例では、放射性環境の運転状態に関する情報は、無線で転送または送信され、したがって、放射性環境に対する曝露と関連付けられたリスクは、軽減または回避される。加えて、放射性環境の外部部分にデータを転送するための配線および他の手段の配備に関連付けられた運転コストは、回避される。さらにまた別の例では、放射性環境をモニタリングするための構造は、モジュール式であり、運転モニタリングユニットの複雑さの度合いは、予算、製造施設の利用可能性、および放射性環境への接近可能性など、様々なファクタに基づいて調整され得る。
【0072】
基礎ダイオード構造が、酸化ウラン、アクチニド酸化物、および超ウランベースの材料上に構築されたp−i−n、p−n、n−pである、半導体構造が、リモート電源として使用され得る。電力は、本出願において規定される請求項に類似する、核分裂生成物崩壊、超ウランもしくは他のアルファ放出同位体のアルファ崩壊、ベータ放出同位体、またはガンマ放出同位体を通して生成される。これらのユニットは、直列、並列、または並列と直列の組合せで配置され得る。酸化ウランまたは超ウラン酸化物電源は、運転の持続期間にわたって、必要とされる電力出力を得るために、電力接合を駆動する同位体の選択、並列および直列の接合の数を通して、調整され得る。これらの電力接合は、数立方センチメートルの体積において、数キロワットの電力を生産することができる。これらの電力接合は、コンピューティングデバイス、モバイルデバイス、通信デバイス、光デバイス、光源、および視覚化デバイスなどを含む、一定の電力を必要とするモバイルデバイスにおける拡張された使用のためにも使用され得る。
【0073】
提案される技術の別の態様では、耐放射性電子機器が生成された。これらの耐放射性電子機器は、炉心センサの中核である。それらが原子炉炉心における全燃料サイクル持続期間を耐えることができるのは、ひとえに耐放射性に理由がある。半導体のバイナリ性、ウランおよび酸素、半導体材料は、放射線によって引き起こされる損傷に対してあまり脆弱ではない。トランジスタ、増幅器、論理回路、およびより高次の電子回路の基本構築ブロックから、コンピュータチップおよびプロセッサのそれらまでを形成することができる、ダイオード構造の生成を通して、酸化ウラン半導体は、1000C超での継続運転も可能にする、放射線に対して最も回復力に富む半導体構造のための基礎を提供することができる。ダイオード構造は、プリスティンな成長および製造を通してのみ、これらの特徴を取得する。これらは、他のすべての半導体構造を性能面で上回る。それらは、EM放射、ガンマおよびX線放射ばかりでなく、アルファ、ベータ、および核分裂生成物放射にも無反応な電子機器を提供する。これらは、衛星の電子機器においてばかりでなく、放射線に対する回復能力を必要とする他の軍事タイプの電子機器においても使用され得る。
【0074】
システム、デバイス、装置、プロトコル、プロセス、および方法が、例示的な実施形態および特定の図との関連で説明されたが、本明細書の実施形態は、すべての点で、制限的ではなく、むしろ説明的であることが意図されているので、説明された特定の実施形態に範囲が限定されることは意図されていない。
【0075】
別段明らかに述べられていない限り、本明細書で説明されたいずれのプロトコル、手順、プロセス、または方法も、その動作またはステップが特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは決して意図されていない。したがって、プロセスもしくは方法の説明が動作もしくはステップによって従われる順序を実際には説明していない、またはステップが特定の順序に限定されるべきことが特許請求の範囲もしくは本発明の開示の説明において別の方法で具体的に説明されていない、本発明の明細書では、いかなる点でも、順序が推測されることは決して意図されていない。これは、ステップの配置もしくは動作フローに関するロジックの問題、文法構成もしくは句読法から導出される明らかな意味、または本明細書もしくは添付の図面において説明される実施形態の数もしくはタイプを含む、解釈のための可能な明白でないどの基礎にも当てはまる。
【0076】
様々な変更および変形が、本発明の開示の範囲または主旨から逸脱することなく、本発明の開示に施され得ることが当業者には明らかであろう。本発明の開示の他の実施形態は、本明細書の検討から、また本明細書で開示されるような本発明の開示の実施から当業者に明らかになろう。本明細書および例は、もっぱら非限定的な説明と見なされ、本発明の開示の真の範囲および主旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】