(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
を捕捉するためのシステムおよび方法が提供される。燃料電池は、低下されたアノード燃料利用を有するように作動される。任意に、アノード排出物の少なくとも一部分は、燃焼供給源の燃料として使用するためにリサイクルされる。任意に、アノード排出物の第2の部分は、アノードインプット流の一部分として使用するためにリサイクルされる。これによって、燃焼供給源排出物からCO
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を使用して、燃焼供給源からのCO
2を捕捉するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、燃焼排出物流からの炭素捕捉に関連する1つ以上の課題に取り組むことができ、および/または溶融炭酸塩形燃料電池を使用して炭素捕捉を実行する。
【0021】
ガスタービンは、いくつかの因子によってそれらの作動で制限されることができる。1つの典型的な制限は、規制排出限界を満たすために、酸化窒素(NOx)の十分に低い濃度を達成するため、燃焼領域(又はゾーン)における最大温度が特定の限界より低く制御されることができるということであることができる。規制排出限界は、燃焼排出物を環境に出す時に、燃焼排出物が約20vppm以下、可能であれば10vppm以下のNOx含有量を有することを必要とすることができる。
【0022】
天然ガス燃料燃焼タービンにおけるNOx生成は、温度および残留時間の関数であることができる。NOxの形成をもたらす反応は、約1500°Fの火炎温度以下では重要性が低く、および/または最小限であることができるが、温度がこの点を超えて増加すると、NOx生成が迅速に増加することができる。ガスタービンにおいて、初期の燃焼生成物は、約1200°F付近の温度まで混合物を冷却するために、追加の空気と混合することができ、そして温度は、膨張器ブレードの冶金学によって制限されることができる。初期のガスタービンは、典型的に、約1500°Fより十分高い温度で化学量論的領域を有した拡散火炎において燃焼を実行し、より高いNOx濃度をもたらす。最近では、「乾燥低NOx」(DLN)バーナーの電流発生は、より冷たいリーンな(化学量論より燃料の少ない)条件で天然ガスを燃焼させるために、特別な予混合されたバーナーを使用することができる。例えば、より多くの希釈空気を初期の火炎に混合することができて、後期はより少ない量を混合することができ、約1200°Fのタービン−膨張器インレット温度まで温度を低下させることができる。DLNバーナーの不都合は、ターンダウン、より高い維持、狭い作動(操作又は操業)範囲、および低い燃料適応性における低い性能を含むことができる。DLNバーナーを様々な品質の燃料に適用させることがより困難である(または液体燃料に少しでも適用することが困難である)ことができるため、後者は懸念となることができる。CO
2の高含有量を含有する燃料などの低BTU燃料に関して、DLNバーナーは典型的に使用されず、その代わりに、拡散バーナーを使用することができる。加えて、ガスタービン効率は、より高いタービン−膨張器インレット温度を使用することによって、増加させることができる。しかしながら、希釈空気の量の制限があることができるため、またこの量は、タービン−膨張器インレット温度の増加によって減少することができるため、DLNバーナーは、ガスタービンの効率が改善しても、低NOxを維持することに関して、あまり有効になることができない。
【0023】
様々な態様において、燃焼タービンの作動エンベロープは、NOx生成によって限界を低下させるか、または最小化しながら、より高い動力を提供することによって改善することができる。作動エンベロープは、MCFCのカソードにおける燃焼タービンからの燃焼排出物の少なくとも一部分の処理によって改善することができる。これは、排出システムを変更せずに、タービンのための供給として様々な燃料を使用することの適応性を可能にすることができる。様々なインプット濃度で、かつ様々なタービン構成およびタービン燃料からのNOx排出を低下させることができるか、または排除することができるシステムは、適応性、およびより大きい作動範囲を提供する利点を有することができる。いくつかの態様において、これを利用して、異なる燃料を利用すること、および/またはより高い動力を生じることが可能となる。
【0024】
本発明の様々な態様において、炭素捕捉のためにガスタービンを燃料電池と集積化するシステムは、追加的なNOx排出を低下および/または最小化し、DLNバーナーとは現在適合性ではないタービン燃料の使用によるDLN様NOx節減を可能にしながら、より高い燃焼領域温度の使用を可能にすることができる。そのような態様において、タービンは、より高い動力(すなわち、より高い温度)で動作することができ、より高いNOx排出がもたらされるが、より高い電力出力および潜在的により高い効率ももたらされる。本発明のいくつかの態様において、燃焼排出物のNOxの量は、少なくとも約20vppm、例えば、少なくとも約30vppm、または少なくとも約40vppmであることができる。追加的に、または代わりとして、燃焼排出物のNOxの量は、約1000vppm以下、例えば、約500vppm以下、または約250vppm以下、または約150vppm以下、または約100vppm以下であることができる。規制によって要求される濃度までNOx濃度を低下させるために、得られるNOxは、気相における単純な熱分解、燃料電池アレイにおけるニッケルカソード触媒からの触媒作用による分解、および/または少量のアンモニア、尿素もしくは他の還元剤の注入による燃料電池より前の促進された熱分解などのいくつかの機構の1つを通して、熱NOx分解を介して平衡化されることができる(排出物流における平衡濃度までのNOx濃度の低下)。これは、アノード排出物から誘導される水素の導入によって促進することができる。燃料電池のカソードにおけるNOxのさらなる低下は、NOxをカソード表面で反応させることができて、分解することができる電気化学的分解を介して達成することができる。これは、膜電解質を通って、アノードへのいくらかの窒素輸送をもたらすことができ、そこでアンモニアまたは他の還元窒素化合物が形成され得る。MCFCが関与するNOx低下法に関して、燃料電池/燃料電池アレイからの予想されるNOx低下は、燃料電池カソードへのインプットにおけるNOxの約80%以下、例えば、約70%以下、および/または少なくとも約5%であることができる。なお、硫化物腐食作用も温度を制限することができ、従来のシステムではタービンブレード冶金学に影響を及ぼすこともできる。しかしながら、MCFCシステムの硫黄制限は、典型的に、硫化物腐食作用と関連する懸念を低下または最小化する、低下された燃料硫黄濃度を必要とすることができる。低燃料利用でMCFCアレイを作動することは、例えば、燃焼反応のための燃料の一部分がアノード排出物からの水素に相当する態様において、そのような懸念をさらに軽減することができる。
【0025】
追加的に、または代わりとして、ピークタービン温度から排出物温度のより低い平衡値へのNOxの低下は、タービンから排出物ガスへの水素の導入によって促進することができる。いくつかの構成において、そのような水素は、アノード排出物から生じることができる。アノード排出物から誘導される水素は、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約75%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%のアノード排出物から誘導された流れ中のH
2濃度などの様々な純度で利用することができる。アノード排出物から誘導されたH
2流に関して、アノード排出物の典型的な「不純物」は、(限定されないが)他の合成ガス成分および/または未燃焼メタンを含むことができる。他の合成ガス成分および/または未燃焼メタンの存在は、タービン燃焼領域を通過し得るこれらの成分のいずれも、その後、MCFCカソードインレットに通過することができるため、様々な構成において許容することができる。CO
2およびO
2の両方の実質的な量を含んでなる全体的なカソード空気供給において低濃度で存在するいずれの残留燃料成分もカソード内で反応および/または燃焼することができ、残留成分を追加的なCO
2および水に変換する。
【0026】
いずれかの任意の熱NOx平衡後、ガスタービン排出物は、カソードインレットを構成するガスの一部または全部として導入することができる。燃料電池のカソードにおけるNOxのさらなる低下は、NOxがカソード表面において反応することができる電気化学的分解を通して達成することができる。窒素輸送が複数の化学的機構によって生じ得るが、炭酸塩イオンと同様に、硝酸塩イオンへ、および/または亜硝酸イオンへのNOxの変換によって生じてもよく、融塩電解質を通って輸送される。電解質を通っての輸送の場合、硝酸塩イオンは、水素または他の還元性ガスと反応して、水、ならびに窒素および/または還元された窒素化合物、例えば、アンモニアを含み得る他の生成物を生じることができる。この反応は、いくらかの電力を生じてもよいが、約500ppm程度の「高い」NOx濃度において、これは、全体的な燃料電池化学反応の少数の成分であることができる。MCFCが関与するNOx低下法に関して、燃料電池/燃料電池アレイからの予想されるNOx低下は、燃料電池カソードへのインプットにおけるNOxの約80%以下、例えば、約70%以下、および/または少なくとも約5%であることができる。追加的に、または代わりとして、予想されるNOx低下は、例えば、NOx排出の規制条件に対応するために適切なレベルまで、典型的なタービン作動の値の約5倍のNOx濃度を低下させるのに十分であり得る。なお、硫化物腐食作用も温度を制限することができ、従来のシステムではタービンブレード冶金学に影響を及ぼすこともできる。しかしながら、MCFCシステムの硫黄制限は、典型的に、硫化物腐食作用と関連する懸念を低下または最小化する、低下された燃料硫黄濃度を必要とすることができる。したがって、複合ガスタービン−MCFCシステムにおける供給としての使用のために適切な燃料は、硫化物腐食作用に関して、減少したか、または最小化された懸念を有することができる。低燃料利用でMCFCアレイを作動することは、例えば、燃焼反応のための燃料の一部分がアノード排出物からの水素に相当することができる態様において、そのような懸念をさらに軽減することができる。
【0027】
以下の実施例において、ガスタービンアウトプットおよび条件は、タービン温度の増加の関数としてモデル化された。ベース事例は、MCFCシステムとともに使用されるモデルガスタービンに関する従来の動作温度に相当する。インレットおよびアウトレットに関して予測された温度は、排出物ガスアウトレットに関する熱力学平衡に平衡化されたアウトレットにおけるNOx濃度の下で示される。上記の通り、これは典型的に様々な手段によって実行することができ、少量の水素含有ガスの添加によって促進することができる。燃焼タービン排出物ガスに水素を添加することができる構成において、水素の量は、MCFC作動パラメーターまたはアウトプットに対して低いか、または最小限の悪影響を有することができる。直接に生じるタービン動力に加えて、より高い温度によって、HRSGシステムにおいて追加的な動力に変換され得るより高い実体的な熱を有する排出物流を与えることができる。
【0028】
下記の表Aは、ガスタービンに関する排出物温度を増加させる潜在的利点の例を示す。表Aにおける計算に関して、1150°Fにおける初期のNOx濃度は、約20vppm未満、例えば約15vppm以下であることが算出された。表A中、約50°F(約28℃)の排出物温度の増加は、約5.2%の全動力の正味の増加をもたらすことが算出された。このような温度増加は、100vppm未満のタービンからのNOxアウトレットレベルをもたらすと考えられている。約100°F(約56℃)増加に関して、約10.4%の全動力の増加という算出結果となった。タービン温度の100°Fの増加は、100vppm未満のNOxアウトレットレベルの増加をもたらすとも考えられている。MCFCの典型的なNOx分解効率によって、約100vppm未満のNOxレベルを有するカソード排出物を導入することは、少なくとも約半分、例えば少なくとも約60%、NOxレベルを低下させるように、MCFCカソード排出物において処理されることができることが考えられる。これによって、追加的に、または代わりとして、得られたカソードアウトレットにおけるNOxレベルを、従来のシステムによって制御可能な濃度まで低下させることができると考えられ、得られたNOx濃度は、独立型ガス動力システムにおいて典型的な作動エンベロープ内に包含されると考えられる。
【0030】
様々な態様において、MCFCを含む集積化された発電システムのための構成の選択は、タービン、あるいは煮沸器、炉および/または燃焼加熱器などの他の燃焼デバイスの燃焼反応のためのインプットとして、MCFCアノード排出物の一部分を使用することであることができる。アノードインプットにリサイクルされ、そして/または燃焼デバイスへのインプットとしてのアノード排出物の相対的な量は、いずれかの都合のよい、または望ましい量であることができる。アノード排出物がアノードインプットおよび燃焼デバイスの1つのみにリサイクルされる場合、リサイクルの量は、いずれかの都合のよい量であることもでき、例えば、CO
2および/またはH
2Oを除去するためのいずれかの分離の後に残留するアノード排出物の100%までの部分であることができる。アノード排出物の一部分が、アノードインプットおよび燃焼デバイスにリサイクルされる場合、定義による全体のリサイクルされた量は、アノード排出物の残留部分の100%以下であることができる。その他の場合、アノード排出物のいずれの都合のよい分割も使用することができる。本発明の様々な実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下または約10%以下であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、本発明の様々な実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下、または約10%以下であることができる。
【0031】
例えば、炭素捕捉スキームの一部としての溶融炭酸塩形燃料電池の使用などの発電のための燃焼をベースとする動力源との炭素捕捉技術の従来の使用による1つの問題点は、発電システムの全体的な効率が低下することである。溶融炭酸塩形燃料電池は、システムによって発生する正味の動力が増加するように、電力を発生させることができるが、燃焼を動力とする発電機との燃料電池の従来の組み合わせは、全体として発電所に関する正味のより低い動力効率をもたらす。言い換えると、燃料インプット(燃料の低位発熱量(kJ))の単位あたりで生じる電気動力(ワット)は低下する。これは部分的に、追加的な炭素捕捉構成要素を作動するための追加的な動力または加熱必要条件による可能性がある。またこれは、部分的に、燃焼を動力とするタービンなどのシステムと比較すると、従来通り作動された燃料電池に関する発電のより低い効率による可能性もある。
【0032】
いくつかの態様において、溶融炭酸塩形燃料電池を含む炭素捕捉システムの全体的な効率は、より低いアノード燃料利用値で燃料電池を作動することによって改善することができる。従来は、溶融炭酸塩形燃料電池は、電池内で消費される燃料で燃料電池を作動するために必要な熱の釣合いをとる燃料利用で作動されることができる。従来の燃料電池の燃料利用は、典型的に、このような熱バランスを維持しながら、可能な限り高くすることができる。対照的に、さまざまな種類の動力システム構成に関して、燃料電池アレイのアノード燃料利用を低下させることによって、全体的なシステムに関する改善された発電効率を可能にすることができることが決定された。
【0033】
排出物流からのCO
2の分離のために溶融炭酸塩形燃料電池を使用することによる別の問題点は、商業的規模のタービンまたは他の動力/熱発生機からの排出物を取り扱うために典型的に必要とされる燃料電池の大きい面積を含むことができる。溶融炭酸塩形燃料電池を使用して、商業的規模の排出物フローに適応することは、十分な面積の単一の燃料電池を組み立てることよりむしろ、複数の燃料電池を使用することに典型的に関与することができる。この複数の燃料電池に排出物流を送達するために、様々な燃料電池の間で排出物を分割するために、追加的な連結が必要とされることができる。したがって、二酸化炭素の所望の量を捕捉するために必要とされる燃料電池面積を低下させることによって、必要とされるフロー連結の数および/または複雑さの相当する減少を提供することができる。
【0034】
本発明のいくつかの態様において、CO
2含有排出物流の処理のために必要とされる燃料電池の面積は、アノード排出物流の少なくとも一部分をアノードインレットへリサイクルすることによって減少または最小化することができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池は、より低い燃料利用において作動させることができる。排出物流は、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに通過させることができる。燃料電池の作動の間、アノード排出物は、1つ以上の分離段階に通過させることができる。これは、H
2Oおよび/またはCO
2の除去のための分離段階を含むことができる。次いで、残留するアノード排出物の少なくとも一部分は、アノードインプットにリサイクルされることができる。1つの好ましい実施形態において、直接的にカソードへのアノード排出物のいずれのリサイクルも回避することができる。アノード排出物の少なくともいくらかの部分をアノードインレットにリサイクルすることによって、アノードを通る第1の通過において使用されない燃料の少なくともいくらかは、その後の通過で利用することができる。
【0035】
アノードインレットにアノード排出物をリサイクルすることに加えて、またはその代わりに、アノード排出物の水素の少なくとも一部分を、タービンまたは他の燃焼を動力とする発電機/熱供給源のための燃焼領域にリサイクルすることができる。なお、アノードループの一部として改質を介して発生するいずれの水素も、CO
2がアノードループへの輸送によってすでに「捕捉された」燃料を表すことができる。これによって、燃料電池のカソードサイドからアノードサイドへ輸送される必要があるCO
2の量を低下させることができ、したがって、燃料電池面積の減少を導くことができる。
【0036】
燃料電池面積の減少に寄与することができる追加的または代わりの特徴は、発電に直接関与しないプロセスに関して必要とされるエネルギー量を低下させること、および/または最小化することであることができる。例えば、溶融炭酸塩形燃料電池におけるアノード反応は、H
2を、カソードとアノードとの間の電解質を通って輸送されたCO
32−イオンと組み合わせて、H
2OおよびCO
2を形成することができる。アノード反応環境は、H
2を形成するためにCH
4などの燃料のいくらかの改質を促進することができるが、いくつかのH
2は、アノードにおいて望ましい反応速度を維持するため、燃料に有利に存在することができる。その結果、アノード自体に入る前に、燃料(例えば、天然ガス/メタン)は、従来、アノードに入る前に少なくとも部分的に改質される。燃料電池のためのアノードより前の改質段階は、改質に適切な温度を維持するために、追加的な熱を必要とすることができる。
【0037】
本発明のいくつかの態様において、アノード排出物の少なくとも一部分をアノードインレットにリサイクルすることによって、アノードインレットの前の改質の量の低下および/または改質段階の排除を可能にすることができる。アノードに入る前に燃料流を改質する代わりに、リサイクルされたアノード排出物によって、アノードに十分な水素を燃料インプットに提供することができる。これによって、別々の事前の改質段階を通過させることなく、アノードのためのインプット流をアノードに通過させることを可能にすることができる。低下したレベルの水素燃料利用でアノードを作動することは、増加した水素含有量を有するアノード排出物を提供することによって、事前の改質段階を減少させ、および/または排除することをさらに促進することができる。水素含有量を増加させることはまた、事前の改質を減少および/または排除することができるように、アノードインレットへの供給において、なお十分な水素を有しながら、アノード排出物の一部分をタービン燃焼領域へのインプットとして使用することを可能にすることができる。
【0038】
溶融炭酸塩形燃料電池を使用することによる別の難問は、適切に作動されたガスタービンの排出物の比較的低いCO
2含有量によることができる。例えば、低CO
2含有量天然ガス燃料供給源によって動力が供給されるガスタービンは、例えば、約4体積%のCO
2を有する排出物を発生させることができる。いくつかの種類の排出物ガスリサイクルが使用される場合、この値は、例えば、約6体積%まで高めることができる。対照的に、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードへのインプットのために典型的に望ましいCO
2含有量は、約10%以上であることができる。本発明のいくつかの態様において、ガスタービンまたは他の燃焼によって動力が供給される発電機をなお効率的に作動しながら、排出物ガスにおけるCO
2含有量の増加を可能にするシステムおよび方法が本明細書に提供される。本発明のいくつかの態様において、低CO
2含有量を有するカソード排出物で作動された場合に、燃料電池による炭素捕捉の効率を改善および/または最適化するためのシステムおよび方法が提供される。
【0039】
さらに別の難問は、炭素捕捉によって生じる発電における効率の損失を低下または軽減することを含むことができる。上記したように、炭素捕捉の従来の方法は、消費される燃料の単位あたりの発電の正味の効率の損失をもたらすことができる。本発明のいくつかの態様において、全体的な発電効率を改善するためのシステムおよび方法が提供される。追加的に、または代わりとして、本発明のいくつかの態様において、商業的に有用なCO
2流の発生のために必要とされるエネルギーを低下および/または最小化する方法でCO
2を分離する方法が提供される。
【0040】
本発明のほとんどの態様において、1つ以上の上記の利点は、一部では、複合サイクル発電システム、例えば、燃焼反応からの燃焼ガスおよび/または熱を蒸気タービンに電力を供給するために使用することもできる天然ガス燃焼複合サイクルプラントと組み合わせて溶融炭酸塩形燃料電池を使用することによって、達成されることができる。より一般に、溶融炭酸塩形燃料電池は、様々な種類の動力または熱発生システム、例えば、煮沸器、燃焼室、触媒酸化剤および/または他の種類の燃焼によって電力が供給される発電機とともに使用することができる。本発明のいくつかの態様において、MCFCからのアノード排出物の少なくとも一部分は、(CO
2の分離後)MCFCアノードのためのインプットフローにリサイクルすることができる。追加的に、または代わりとして、MCFCからのアノード排出物の一部分を、発電のための燃焼反応のためのインプットフローにリサイクルすることができる。1つの実施形態において、(CO
2分離後の)MCFCからのアノード排出物の第1の部分を、MCFCアノードのインプット流にリサイクルすることができ、MCFCからのアノード排出物の第2の部分を、発電のための燃焼反応のためのインプットフローにリサイクルすることができる。アノード排出物中に残留する(未反応の)H
2を伴ってMCFCを作動することができる態様において、アノード排出物からのH
2の一部分をアノードインプットへとリサイクルすることは、MCFCを作動するために必要とされる燃料を減少させることができる。燃焼反応に送達されるH
2の部分は、燃焼反応の反応条件を有利に変性することができ、および/または改善することができ、そしてより効率的な動力の発生を導くことができる。アノード排出物の後の水性ガスシフト反応領域は、より容易に分離できるCO
2へのCOの変換を可能にしながら、アノード排出物に存在するH
2の量をさらに増加させるために任意に使用されることができる。
【0041】
本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池を使用して、燃焼供給源からのCO
2を捕捉するための改善された方法を提供することができる。これは、発電の間の排出を低下および/または軽減しながら、例えば、タービン(または燃焼をベースとする他の動力または熱発生方法、例えば煮沸器、燃焼室および/または触媒酸化剤)を使用する発電のためのシステムおよび方法を含むことができる。これは、少なくとも部分的に、燃焼ガスおよび/または燃焼反応からの熱が、蒸気タービンに電力を供給するために使用されることもできる複合サイクル発電システムを使用することによって任意に達成することができる。これは、追加的に、または代わりとして、少なくとも部分的に、炭素捕捉デバイス、ならびに電力の追加的な供給源の両方として1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を使用することによって達成されることができる。本発明のいくつかの態様において、MCFCは、損失または悪化した燃料の量を低下および/または最小化しながらも、燃料電池における炭素捕捉を改善することが可能となる低燃料利用条件で作動させることができる。追加的に、または代わりとして、MCFCは、燃焼燃料ガス流のCO
2含有量を低下させるために必要とされるMCFCの全体の数および/または体積を、所望のレベル、例えば、1.5体積%以下または1.0体積%以下まで低下および/または最小化するように作動させることができる。アレイ配列の最後のカソード(典型的に直列配置を少なくとも含むか、あるいは最後のカソードおよび初期のカソードは同一である)からのカソードアウトプットに関するそのような態様において、アウトプット組成物は、約2.0体積%以下(例えば、約1.5体積%以下、または約1.2体積%以下)のCO
2および/または少なくとも約1.0体積%、例えば、少なくとも約1.2体積%、または少なくとも約1.5体積%のCO
2を含むことができる。そのような態様は、少なくとも部分的に、アノードインレットにアノード排出物を戻すより前に、アノード排出物のCO
2の少なくとも一部分を除去して、アノードからアノードのインレットまで排出物をリサイクルすることによって可能となる。アノード排出物からのCO
2のそのような除去は、例えば、低温CO
2分離器を使用することによって達成することができる。本発明のいくつかの任意の態様において、アノードインレットへのアノード排出物のリサイクルは、カソードインレットに直接的にリサイクルされるアノード排出物のための経路が提供されないように、実行することができる。直接的にカソードインレットへのアノード排出物のリサイクルを回避することによって、MCFCを介してアノードリサイクルループへ輸送されるいずれのCO
2も、CO
2がループにおいて他のガスから分離されるまで、アノードリサイクルループに残留することができる。
【0042】
溶融炭酸塩形燃料電池は、従来から、電気を発生させるために独立モードで使用されている。独立モードでは、燃料、例えば、メタンのインプット流を、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードサイドに通過させることができる。メタンを改質して(外部または内部で)、H
2および他のガスを形成することができる。H
2は、燃料電池においてカソードからの電解質を通った炭酸塩イオンと反応し、CO
2およびH
2Oを形成することができる。燃料電池のアノードの反応に関して、燃料利用の割合は、典型的に約70%、75%、またはより高い。従来の構成において、改質反応の吸熱性性質の観点において、アノード排出物において残留する燃料を、燃料電池および/または外部改質装置の温度を維持するために熱を発生させるために酸化(燃焼)させることができる。より完全な燃焼を可能にするために、この酸化の間に空気および/または別の酸素供給源を添加することができる。次いで、アノード排出物(酸化後)をカソードに通過させることができる。この方法において、全てのエネルギーおよびほぼ全ての反応物をアノードおよびカソードに提供するためにアノードに入る単一の燃料流を使用することができる。またこの構成は、アノードにおいて約70%または約75%またはわずかに高い燃料利用のみを必要として、アノードに入る燃料の全てが消費されることを可能にする。
【0043】
従来のシステムで典型的であることができる上記の独立方法において、溶融炭酸塩形燃料電池の作動の目標は、一般に、インプット燃料流をベースとする電力を効率的に発生させることであることができる。対照的に、燃焼を動力とするタービン、エンジンまたは他の発電機と集積化される溶融炭酸塩形燃料電池は、さらなる有用性を提供するために使用することができる。燃料電池による高効率の発電がなお望ましいが、燃料電池は、例えば、燃料電池の所与の体積に対して排出物流から捕捉されるCO
2の量を改善および/または最大化するために作動させることができる。これは、なお燃料電池から動力を発生させながら、改善されたCO
2の捕捉を可能にする。追加的に、本発明のいくつかの態様において、燃料電池のアノードからの排出物は、過剰量の水素をなお含有することができる。この過剰量の水素は、タービンの燃焼反応の燃料として有利に使用されることができ、したがって、タービンの改善された効率を可能にする。
【0044】
図1は、本発明のいくつかの態様の構想の概要を提供する。
図1は、一般的な構想の理解を促進するために提供され、追加的な供給、プロセス、およびまたは構成は、全体的な構想の趣旨から逸脱することなく、
図1に組み込まれることができる。
図1に示される概要の実施例において、天然ガスタービン110(または別の燃焼で動力を供給するタービン)は、燃料112の燃焼をベースとする電力を発生させるために使用することができる。
図1に示される天然ガスタービン110に関して、これは、圧縮ガス流113を形成するために、空気流または他のガス相流111を圧縮することを含むことができる。次いで、圧縮ガス流113は、燃料112と一緒に燃焼領域115に導入されることができる。追加的に、流れ185は、アノード130からの排出物に存在する燃料の一部分(水素)を含み、燃焼領域115に導入することもできる。この追加的な水素は、燃焼反応が、向上された条件で作動されることを可能にすることができる。得られたホット燃料または排出物ガス117は、次いで、タービン110の膨張器部分を通過し、電力を発生させることができる。
【0045】
膨張(ならびに任意のクリーニングおよび/または他の処理工程)の後、膨張した燃焼ガスを、溶融炭酸塩形燃料電池のカソード部分120に通過させることができる。燃焼ガスは、カソードにおける反応のために十分な酸素を含むことができるか、または追加的な酸素を必要に応じて提供することができる。燃料電池反応を促進するために、アノード排出物135の少なくとも一部分とともに、燃料132を燃料電池のアノード部分130に通過させることができる。リサイクルされる前に、アノード排出物135は、いくつかの追加的なプロセスを通過することができる。1つの追加的なプロセスは、水性ガスシフト反応プロセス170を含むことができるか、または水性ガスシフト反応プロセス170であることができる。水性ガスシフト反応170は、アノード排出物135に存在するH
2OおよびCOを反応させ、追加的なH
2およびCO
2を形成するために使用することができる。CO
2は、COと比較して、アノード排出物から典型的により容易に分離することができるため、これによって、アノード排出物135からの炭素の改善された除去を可能にすることができる。(任意の)水性ガスシフト反応プロセス170からのアウトプット175を、次いで、二酸化炭素分離システム140、例えば、低温二酸化炭素分離器に通過させることができる。これは、アノード排出物からCO
2の少なくとも一部分147、ならびに典型的に水の少なくとも一部分149を除去することができる。CO
2および水の少なくとも一部分の除去の後、リサイクルされたアノード排出物は、いくらかのCO
2および水、ならびにH
2およびおそらく炭化水素、例えば、メタンの形態の未反応の燃料をなお含有することができる。本発明の特定の実施形態において、CO
2分離段階からのアウトプットの一部分145は、アノード130へのインプット流として使用するためにリサイクルすることができ、第2の部分は、燃焼反応115へのインプット185として使用することができる。燃料132は、水素含有流、ならびに/あるいはメタンおよび/またはH
2を形成するために改質可能な(内部または外部で)別の炭化水素を含有する流れを表すことができる。
【0046】
燃料電池のカソード部分120からの排出物は、次いで、例えば、蒸気発生器160に電力を供給するためにカソード排出物からの熱が回収されることができるように、熱回収領域150を通過することができる。熱を回収した後、カソード排出物は排出物流156としてシステムを出ることができる。排出物流156は環境に出ることができるか、または、例えば、アミンスクラバーを使用して、流れ156において追加的なCO
2捕捉を実行して、任意の追加的なクリーニングプロセスを使用することができる。
【0047】
燃料電池の作動を特徴づけることの1つ方法は、燃料電池によって受け取られる様々なインプットの「利用」を特徴づけることであることができる。例えば、燃料電池の作動を特徴づけるための1つ共通の方法は、燃料電池に関する(アノード)燃料利用を明示することであることができる。
【0048】
燃料利用に加えて、燃料電池中の他の反応物に関する利用を特徴づけることができる。例えば、燃料電池の作動は、「CO
2利用」および/または「酸化剤」利用に関して、追加的に、または代わりとして特徴づけることができる。CO
2利用および/または酸化剤利用のための値は、同様の方法で明示されることができる。CO
2利用に関して、CO
2がカソードへのインプット流またはフローに存在する唯一の燃料成分であって、したがって、唯一の反応がCO
32−の形成である場合、((CO
2−レート−イン(rate−in))−(CO
2−レート−アウト(rate−out)))/CO
2−レート−インの簡略化された計算を使用することができる。同様に、酸化剤利用に関して、O
2がカソードへのインプット流またはフローに存在する唯一の酸化剤であって、したがって、唯一の反応がCO
32−の形成である場合、簡略化された計算を使用することができる。
【0049】
複数の燃料電池を使用する別の理由は、燃焼排出物のCO
2含有量を所望のレベルまで低下させながら、効率的な燃料電池作動を可能にすることであることができる。高い(または最適な)CO
2利用のレートを有するように燃料電池を作動するのではなく、所望のレベルまで燃焼を低下させながら、2つの(またはより多くの)燃料電池をより低い燃料利用速度で作動させることができる。
【0050】
独立作動などの燃料電池の従来の作動の間、燃料電池を作動することの目標は、電池に提供される「燃料」を効率的に使用しながら、電力を発生させることであることができる。「燃料」は、水素(H
2)、水素を含んでなるガス流、および/または水素を提供するために改質可能な物質(例えば、メタン、別のアルカンまたは炭化水素、ならびに/あるいは反応時に水素を提供することができる炭素および水素を含有する1種以上の他の種類の化合物)のいずれかに相当することができる。これらの改質反応は、典型的に吸熱性であり、したがって、通常、水素の生成において、いくらかの熱エネルギーを消費する。典型的に、水性ガスシフト反応(CO+H
2O=H
2+CO
2)は燃料電池アノード触媒表面の存在下で生じることができるため、直接および/または反応時にCOを提供することができる炭素供給源を利用することもできる。これによって、CO供給源からの水素の生成も可能となる。そのような従来の作動に関して、燃料電池を作動することの1つ潜在的な目標は、約70%〜約75%の燃料利用で燃料電池アノードを作動し、それに続いて、残留する燃料を燃焼させ、燃料電池の温度を維持するために熱を発生させることによって因習的に達成することができる、燃料電池に関して望ましいアウトプット電圧を維持しながら、電池に提供される燃料の全てを消費することであることができる。燃料利用は、燃料電池に入る燃料のエンタルピーによって割られる、燃料電池反応において使用される燃料の全エンタルピーに関して測定することができる。
【0051】
溶融炭酸塩形燃料電池において、燃料電池の電解質中の炭酸塩イオンの輸送は、第1の流路から第2の流路までCO
2を輸送する方法であって、より低い濃度(カソード)からより高い濃度(アノード)まで輸送を可能にし、したがって、CO
2の捕捉を促進することができる方法を提供することができる。CO
2分離のための燃料電池の選択性の部分は、電池が電力を発生させることを可能にする電気化学的反応をベースとすることができる。燃料電池内の電気化学的反応に効果的に関与しない非反応性種(例えば、N
2)に関して、カソードからアノードまでの反応および輸送の重要ではない量が生じることができる。対照的に、カソードとアノードとの間のポテンシャル(電圧)差は、炭酸塩イオンの輸送に対して燃料電池全体で強い推進力を提供することができる。その結果、溶融炭酸塩形燃料電池の炭酸塩イオンの輸送は、比較的高選択性でCO
2がカソード(より低いCO
2濃度)からアノード(より高いCO
2濃度)まで輸送されることを可能にすることができる。しかしながら、二酸化炭素除去のために溶融炭酸塩形燃料電池を使用することの課題は、燃料電池が比較的希薄なカソード供給から二酸化炭素を除去するための限られた能力を有するということであることができる。炭酸塩形燃料電池によって発生する電圧および/または動力は、CO
2濃度が約2.0体積%より低くなると、急速に低下し始めることができる。さらにCO
2濃度が、例えば、約1.0体積%より低くなると、いくつかの点で、燃料電池全体の電圧は十分に低くなって、炭酸塩のさらなる輸送が少なくなるか、または生じなくなって、燃料電池は機能しなくなる。したがって、少なくとも、いくつかのCO
2は、おそらく、商業的に実行可能な作動条件で、燃料電池のカソード段階からの排出物ガスに存在する。
【0052】
燃料電池カソードに送達される二酸化炭素の量は、カソードインレットのための供給源のCO
2含有量に基づいて決定することができる。カソードインプットフローとしての使用のために適切なCO
2含有流の一例は、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローであることができる。燃焼供給源の例には、限定されないが、天然ガスの燃焼をベースとする供給源、石炭の燃焼、および/または他の炭化水素型燃料(生物学的に誘導された燃料を含む)の燃焼が含まれる。追加的なまたは代わりの供給源には、他の種類の煮沸器、燃焼された加熱器、炉、および/または別の物質(例えば、水または空気)を加熱するために炭素含有燃料を燃焼させる他の種類のデバイスを含むことができる。第1の概算に対して、燃焼供給源からのアウトプットフローのCO
2含有量は、フローの少数部分であることができる。より高いCO
2含有量排出物フロー、例えば、石炭燃焼供給源からのアウトプットに関して、ほとんどの商業的な石炭燃焼発電所からのCO
2含有量は、約15体積%以下であることができる。より一般に、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、少なくとも約1.5体積%、または少なくとも約1.6体積%、または少なくとも約1.7体積%、または少なくとも約1.8体積%、または少なくとも約1.9体積%、または少なくとも約2体積%、または少なくとも約4体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、約20体積%以下、例えば、約15体積%以下、または約12体積%以下、または約10体積%以下、または約9体積%以下、または約8体積%以下、または約7体積%以下、または約6.5体積%以下、または約6体積%以下、または約5.5体積%以下、または約5体積%以下、または約4.5体積%以下であることができる。上記で示される濃度は、乾燥基準である。なお、より低いCO
2含有量値は、いくつかの天然ガスまたはメタン燃焼供給源、例えば、排出物ガスリサイクルループを含んでもよいか、または含まなくてもよい発電システムの一部分である発電機からの排出物において存在することができる。
【0053】
アノード部分およびアノードリサイクルループの作動
本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池は、燃料電池のアノード部分においてより低い燃料利用を可能にする条件で作動させることができる。これは、燃料利用が、燃料電池に送達される燃料の70%以上が燃料電池の作動の一部として消費されることを可能にするために典型的に選択されることができる、燃料電池に関する従来の作動とは対照的であることができる。従来の作動において、燃料のほとんど全ては、典型的に燃料電池のアノード内で消費されることができるか、または燃料電池への供給流に著しい熱を提供するために燃焼することができる。
【0054】
図3は、従来の(独立型)条件での燃料電池作動のための燃料利用とアウトプット電力との関係の実施例を示す。
図3に示される図は、燃料電池の作動に関する2つの制限事例を示す。1つの制限事例は、燃料電池に送達される燃料の100%に近づく燃料(例えば、H
2、またはH
2に改質されるメタン)の量を消費することの燃料電池の作動の制限を含む。効率の観点から、燃料電池の作動の間に燃料を浪費しないために、燃料電池に送達される燃料の約100%の消費は望ましいであろう。しかしながら、電池に送達される燃料の約80%より多くを消費するために燃料電池を作動することには、2つの潜在的欠点がある。第1に、消費される燃料の量が100%に近づくと、燃料電池によって提供される電圧は急劇に低下することができる。100%に近い燃料の量を消費するために、燃料電池中の(または少なくともアノードに近い)燃料の濃度は、定義上、燃料電池の作動の少なくとも一部分の間、ほとんどゼロに接近しなければならない。ゼロに近い燃料濃度で燃料電池のアノードを作動することによって、燃料電池の電解質を通って炭酸塩を輸送するために漸減的に低い推進力がもたらされることができる。これによって、電圧の相当する低下が生じることができ、電圧は、アノードに提供される全ての燃料を消費する真の制限事例において潜在的にゼロに接近する。
【0055】
第2の欠点も、比較的高い燃料利用値(約80%を超える)に関連する。
図3に示すように、約75%以下の燃料利用値において、燃料電池で発生する電圧は、燃料利用とほぼ直線関係を有する。
図3中、約75%の燃料利用において、発生する電圧は約0.7ボルトであることができる。
図3中、約80%以上の燃料利用値において、電圧対利用曲線は指数関数的または動力型関係を有するように見える。プロセス安定性の観点から、関係が直線である電圧対利用曲線の部分で燃料電池を作動することが好ましいことができる。
【0056】
図3に示される他の制限事例において、溶融炭酸塩形燃料電池によって発生する電圧は、燃料利用が低下すると、穏やかな増加を示す。しかしながら、従来の作動において、低下した利用における燃料電池の作動は、様々な問題点を有することができる。例えば、より低い燃料利用で作動された従来通り作動された燃料電池に送達される燃料の全体の量は、アノード排出物/アウトプット流に残留するいずれの燃料も、燃料電池温度を維持するために(さらなる燃焼において)適切な熱量をなお提供することができるように、低下されることを必要としてもよい。燃料電池に送達される燃料の量を調節することなく燃料利用が低下する場合、未使用の燃料の酸化によって、燃料電池のための所望の温度より高く生じてもよい。少なくともこれらの制限事例の考慮すべき問題をベースとして、従来の燃料電池は、典型的に、燃料の完全な利用で熱の釣合いを達成するために、約70%〜約75%の燃料利用で作動される。
【0057】
他の構成は、燃料電池アノードからの排出物の少なくとも一部分を燃料電池アノードのインプットまでリサイクルすることであることができる。MCFCアノードからのアウトプット流は、H
2O、CO
2、任意にCO、そして任意であるが典型的に未反応の燃料(例えば、H
2またはCH
4)を主なアウトプット成分として含むことができる。改質反応のための熱を提供するための燃料供給源として、このアウトプット流を使用する代わりに、潜在的燃料価を有する成分、例えば、H
2および/またはCOからCO
2を分離するために、アノードアウトプット流において1つ以上の分離を実行することができる。次いで、燃料価を有する成分は、アノードのインプットにリサイクルされることができる。
【0058】
この種類の構成は、1つ以上の利点を提供することができる。第1に、低温CO
2分離器を使用することなどにより、CO
2をアノードアウトプットから分離することができる。アノードアウトプットの成分のいくつか(H
2、CO、CH
4)は容易に凝縮可能な成分ではないが、CO
2およびH
2Oは、凝縮された相として個々に分離することができる。実施形態次第で、アノードアウトプットのCO
2の少なくとも約90体積%を分離することができ、比較的高純度のCO
2アウトプット流を形成することができる。分離後、アノードアウトプットの残りの部分は、主として燃料価を有する成分、ならびにCO
2および/またはH
2Oの減少した量に相当することができる。分離後のアノードアウトプットのこの部分は、追加的な燃料に加えて、アノードインプットの一部分として使用するためにリサイクルすることができる。この種類の構成において、MCFCを通る単回通過の燃料利用が低いとしても、未使用の燃料は、アノードを通る別の通過のために有利にリサイクルされることができる。その結果、単回通過燃料利用は減少されたレベルであることができるが、一方、環境への未燃焼燃料の損失(排出)を回避することができる。
【0059】
アノード排出物の一部分をアノードインプットへリサイクルすることの追加的に、または代わりに、別の構成の選択は、他の燃焼動力供給源の燃焼反応のためのインプットとして、アノード排出物の一部分を使用することであることができる。アノードインプットにリサイクルされ、および/または燃焼領域へのインプットとしてのアノード排出物の相対的な量は、いずれかの都合のよい、または望ましい量であることができる。アノード排出物がアノードインプットおよび燃焼領域の1つのみにリサイクルされる場合、リサイクルの量は、いずれかの都合のよい量であることもでき、例えば、CO
2および/またはH
2Oを除去するためのいずれかの分離の後に残留するアノード排出物の100%までの部分であることができる。アノード排出物の一部分が、アノードインプットおよび燃焼領域にリサイクルされる場合、定義による全体のリサイクルされた量は、アノード排出物の残留部分の100%以下であることができる。その他の場合、はノード排出物のいずれの都合のよい分割も使用することができる。本発明の様々な実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下または約10%以下であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、本発明の様々な実施形態において、燃焼領域(タービン)へのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、燃焼領域(タービン)へのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下、または約10%以下であることができる。
【0060】
アノード排出物に存在するいずれのH
2も、CO
2を発生させることなく燃焼することができる燃料を表すことができる。少なくともいくつかのH
2が燃料電池のアノード部分の一部分として発生することができるため、改質の間に発生するCO
2は、システムのアノード部分におけるCO
2分離段階によって主として除去することができる。その結果、燃焼反応の燃料の一部分としてアノード排出物からのH
2を使用することによって、膜を通ってCO
2を輸送しなければならないこととは対照的に、燃料の「燃焼」から発生するCO
2をシステムのアノード部分で生成することができる状況を可能にする。
【0061】
アノード排出物から燃焼反応へのH
2のリサイクルによって、排出物ガスリサイクル(EGR)構成を含むタービン(または他の燃焼システム)に相乗効果的な利点を提供することができる。EGR構成において、燃焼反応からのCO
2含有排出物ガスの一部分をタービンにリサイクルすることができ、インプットガスフローの一部分として使用することができる。燃焼によって動力を供給するタービンの作動の間、酸化剤(例えば、空気または酸素富化空気)のインプットガスフローは、燃焼反応に導入の前に圧縮することができる。燃焼反応へのインプットフローのために使用される圧縮器は、典型的に、ガスの質量に関係なく、ガスの同モル数が圧縮されることができるように、体積が制限される傾向がある。しかしながら、より高い質量を有するガスは、より高い熱容量を有する傾向があり、かつ/またはタービンの膨張器部分を通してより大きい圧力比を可能にすることができる。CO
2富化排出物流は、タービンから、電力への燃焼反応からのエネルギーの改善された変換を可能にすることができる、より高い分子量成分を有するガス流の都合の良い供給源を提供することができる。燃焼反応へのCO
2富化流の導入は、いくつかの利点を提供することができるが、燃焼反応に有意に(悪)影響を与えずに添加されることができるCO
2富化流の量には有効な限界がある。CO
2富化流が典型的にそれ自体で「燃料」を含有しないため、この流れは、燃焼反応の範囲内で希釈剤として主として作用することができる。その結果、再利用可能なCO
2の量は、少なくとも部分的に、適切な可燃性領域内の燃焼反応において条件を維持することに基づいて制限されることができる。
【0062】
アノード排出物からのH
2のリサイクルは、1つ以上の方法でEGR構成を補足することができる。第一に、H
2の燃焼は、CO
2の発生を直接もたらさなくてもよい。その代わりに、上記したように、H
2が生じる時に発生するCO
2は、アノードループにおいて発生することができる。これによって、所与のレベルの発電のためにカソードからアノードへ輸送される必要があるCO
2の量を低下させることができる。追加的に、H
2は、例えば、なお所望の燃焼反応を維持しながら、CO
2のより高い濃度に耐えることができるように、可燃性領域を変性することによって、燃焼供給源の作動を変性する利点を有することもできる。可燃性領域を拡張することが可能であることは、燃焼排出物におけるCO
2の増加した濃度が可能となり、したがって、燃料電池のカソードへのインプットにおけるCO
2の増加が可能である。
【0063】
燃料電池カソードへのインプットにおいてCO
2濃度を増加させることが可能であることの利点は、溶融炭酸塩形燃料電池が作動する方法の性質に関連することができる。以下に詳細にされるように、カソード排出物流からMCFCによって分離できるCO
2の量における実際的な限界がある。作動条件次第で、MCFCは、カソード排出物流のCO
2含有量を約2.0体積%以下(例えば、約1.5体積%以下または約1.2体積%以下)に低下させることができる。この限界によって、溶融炭酸塩形燃料電池を使用する時のCO
2除去の正味の効率は、カソードインプットにおけるCO
2の量次第であることができる。燃料として天然ガスを使用する燃焼反応に関して、燃焼排出物中のCO
2の量は、少なくとも約4体積%のカソードインプット中のCO
2濃度に相当することができる。排出物ガスリサイクルの使用によって、カソードインプットにおけるCO
2の量を、少なくとも約5体積%、例えば少なくとも約6体積%まで増加させることができる。燃料の一部分としてH
2を使用する場合にもたらすことができる可燃性領域増加のため、排出物ガスリサイクルを通して添加されるCO
2の量は、少なくとも約7.5体積%または少なくとも約8体積%のカソードインプットにおけるCO
2の濃度を達成することができるように、なおさらに増加させることができる。カソード排出物における約1.5体積%の除去限界をベースとして、約5.5体積%から約7.5体積%までカソードインプット中のCO
2含有量を増加させることは、燃料電池を使用して捕捉されることができ、最終的なCO
2分離のためにアノードループに輸送されることができるCO
2の量の約50%の増加に相当する。
【0064】
アノードアウトプットに存在するH
2の量は、例えば、水性ガスシフト反応器を使用することによって、アノードアウトプットに存在するH
2OおよびCOをH
2およびCO
2へと変換して、増加させることができる。水は、アノードで生じる反応のアウトプットであることが予想され、アノードアウトプットは、典型的に、アノードアウトプットに存在するCOの量と比較して、過剰量のH
2Oを有することができる。COは、改質条件またはアノード反応の間に存在するいずれかの条件下で、改質の間の不完全な炭素燃焼のため、および/またはH
2O、CO、H
2およびCO
2の間での反応の釣合いをとる平衡(すなわち、水性ガスシフト平衡)のために、アノードアウトプットに存在することができる。水性ガスシフト反応器は、COおよびH
2Oを犠牲にして、CO
2およびH
2を形成する方向に、さらに平衡を進める条件下で作動されることができる。より高い温度は、COおよびH
2Oの形成をもたらす傾向があることができる。したがって、水性ガスシフト反応器を作動するための1つの選択肢は、適切な温度、例えば、約190℃〜約210℃で、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化亜鉛上の銅などの適切な触媒にアノードアウトプット流を曝露させることであることができる。任意に、水性ガスシフト反応器は、アノードアウトプット流におけるCO濃度を低下させるために、2つの段階を含むことができ、第1の高温段階は、少なくとも約300℃〜約375℃の温度で作動され、そして第2の低温段階は、約225℃以下、例えば、約180℃〜約210℃の温度で作動される。アノードアウトプットに存在するH
2の量を増加させることに加えて、水性ガスシフト反応は、COを犠牲にして、CO
2の量を増加させることができる。これによって、除去が困難な一酸化炭素(CO)を、縮合(例えば、低温除去)、化学反応(例えば、アミン除去)および/または他のCO
2除去方法によってより容易に除去することができる二酸化炭素と交換することができる。
【0065】
本発明のいくつかの態様において、CO
2(およびH
2O)(の一部分)の分離の後に残留するアノードアウトプット流の全てまたは実質的に全てを、燃料電池アノードのためのインプット、および/または燃焼を動力とする発電機のための燃料インプットとしての使用のためにリサイクルすることができる。したがって、水性ガスシフト反応、CO
2の除去および/またはH
2Oの除去後に残るアノードアウトプット流の部分に関して、残留する含有量の少なくとも約90%は、燃料電池アノードのためのインプットまたは燃焼を動力とする発電機のための燃料インプットとして有利に使用することができる。あるいは、分離後のアノードアウトプット流は、2つ以上の目的のために使用されることができるが、カソードへの直接的なインプットおよび/または燃料電池の加熱のための酸化剤へのインプットとして使用するためのアノードアウトプット流のいずれかの部分のリサイクルは、有利に回避されることができる。
【0066】
図4は、本発明による発電機/燃料電池システムのアノード流路部分の実施例を示す。
図4中、初期の燃料流405は、任意に、メタン(または別の種類の燃料)および水をH
2およびCO
2に変換するために、改質410されることができる。あるいは、改質反応は、改質段階および燃料電池アノード420を含むアセンブリの一部分である改質段階において実行されることができる。追加的に、または代わりとして、燃料流405の少なくとも一部分は水素ガスに相当することができ、そのため、燃料をアノード420に提供するために必要とされる改質の量を低下および/または最小化することができる。任意に改質された燃料415は、次いで、アノード420を通過することができる。アノード排出物425からの燃料成分を含むリサイクル流455は、アノード420へのインプットとして役に立つこともできる。燃料電池(図示せず)のカソード部分からの炭酸塩イオン422の流れは、アノード燃料電池反応のために必要とされる残留する反応物を提供することができる。アノード420における反応をベースとして、得られるアノード排出物425は、H
2O、CO
2、未反応の燃料(H
2、CO、CH
4もしくは他)に相当する1種以上の成分、ならびに任意に1つ以上の追加的な非反応性成分、例えば、N
2、および/または燃料流405の一部分である他の汚染物質を含むことができる。アノード排出物425を、次いで、CO
2(および任意にH
2O)の除去のための1つ以上の分離段階430に通過させることができる。低温CO
2除去システムは、適切な種類の分離段階の実施例であることができる。任意に、アノード排出物を水性ガスシフト反応器440に最初に通過させて、(いくらかのH
2Oに加えて)アノード排出物に存在するいずれのCOも、任意に水性ガスシフトされたアノード排出物445において、CO
2およびH
2に変換することができる。
【0067】
分離段階430の初期の部分は、H
2Oアウトプット流432としてアノード排出物425に存在するH
2Oの大部分を除去するために使用することができる。追加的に、または代わりとして、H
2Oの一部分を除去するために、熱回収蒸気発生器システムまたは低温分離システムに依存しない他の熱交換器を使用することができる。次いで、低温CO
2除去システムは、大部分のCO
2を高純度CO
2流434として除去することができる。所望であれば、アノードリサイクルループ内での不活性ガスの蓄積を防ぐため、パージ流(図示せず)が存在してもよい。次いで、アノード排出物流の残留成分は、アノード420のインレットへのリサイクルされたインプット455として、または燃焼を動力とするタービンのためのインプット流485としてのいずれかで使用することができる。
【0068】
従来は、いずれかの燃料が燃料電池に入る前に、少なくともいくつかの改質が実行される。この初期/予備の改質は、燃料電池または燃料電池積層の外部の改質装置で実行されることができる。あるいは、燃料電池積層のためのアセンブリは、積層内に位置するが、積層において燃料電池のアノードの前である1つ以上の改質領域を含むことができる。このような初期の改質は、典型的に、アノードに入る流れがアノード反応を維持するために十分な水素を有することができるように、アノードに入る前に、少なくともいくつかの燃料を水素に変換する。このような初期の改質がない特定の実施形態において、アノードの水素含有量は非常に低いことが可能であり、カソードからアノードへのCO
2の輸送がほとんどないか、または全くない。対照的に、いくつかの実施形態において、燃料電池アレイの燃料電池は、外部改質なしで作動することができ、すなわち、アノード排出物のリサイクルされた部分に十分な水素が存在するため、燃料電池のアノード部分内で改質のみをベースとする。アノード供給に十分な量のH
2、例えば、H
2の形態でアノードに送達される燃料の少なくとも約10体積%が存在する場合、アノードにおける反応条件は、アノード自体の範囲内で追加的な改質が生じることを可能にし、これは、流路次第で、本発明による方法のアノードインプット(の前)への外部改質段階の必要を減少させることができ、および/または排除することができる。アノード供給が水素の十分な量を含有しない場合、アノード反応は失速する可能性があり、そして、最小化されて、アノードにおける改質活性および/または他の反応は、低下、最小化、または完全に停止する可能性がある。その結果、アノード供給に存在するH
2の量が不十分である実施形態において、アノードインプット(の前)への外部改質段階があることが望ましくなり得る(または必要であり得る)。
【0069】
カソード部分の作動
本発明による様々な態様において、炭素捕捉のために使用される溶融炭酸塩形燃料電池は、発電能力を向上させることとは対照的に(またはその代価で)、燃料電池の炭素捕捉態様を改善するか、または向上させるために作動させることができる。従来は、溶融炭酸塩形燃料電池は、アノードに送達される燃料流における全ての燃料を消費しながら、望ましい電圧を提供することをベースとして作動させることができる。これは従来は、部分的に、カソードインプット流の少なくとも一部分としてアノード排出物を使用することによって達成することができる。対照的に、本発明は、アノードインプットおよびカソードインプットのための別々の/異なる供給源を使用する。アノードインプットフローおよびカソードインプットフローの組成の関連を除去することによって、二酸化炭素の捕捉を改善するために燃料電池を作動するための追加的な選択肢が利用可能になる。
【0070】
二酸化炭素除去のために溶融炭酸塩形燃料電池を使用することにおける1つの初期の課題は、燃料電池が、比較的希薄なカソード供給から二酸化炭素を除去するための限られた能力を有することであることができる。
図5は、カソードインプットガスのCO
2の濃度をベースとする、1)電圧およびCO
2濃度、ならびに2)動力およびCO
2濃度の間の関係の実施例を示す。
図5に示すように、炭酸塩型燃料電池によって発生する電圧および/または動力は、CO
2濃度が約2.0体積%未満に低下すると、急速に低下し始めることができる。さらにCO
2濃度が、例えば、約1.0体積%より低くなると、いくつかの点で、燃料電池全体の電圧は十分に低くなって、炭酸塩のさらなる輸送が少なくなるか、または生じなくなり得る。したがって、少なくとも、いくつかのCO
2は、おそらく、作動条件にほとんど関係なく、燃料電池のカソード段階からの排出物ガスに存在する。
【0071】
燃料電池作動条件の1つの変更は、上記の通り、アノードにおいて低燃料利用で作動することなどによって、アノードにおいて過剰量の利用可能な反応物を用いて、燃料電池を作動することであることができる。燃料電池におけるアノード反応のための過剰量の反応物を提供することによって、カソード反応のためのCO
2の有効性は、反応に関する律速の変数として使用されることができる。
【0072】
炭素捕捉の量を向上させるためにMCFCを作動する場合、燃料利用を改善することを試みる場合とは、釣合いをとるための因子が異なることができる。特に、燃料電池に送達される二酸化炭素の量は、CO
2含有流を提供する燃焼発電機からのアウトプットフローに基づいて決定することができる。第1の概算に、燃焼発電機からのアウトプットフローのCO
2含有量は、フローの少数部分であることができる。石炭燃焼発電機からのアウトプットなどのより高いCO
2含有量排出物フローに関しても、ほとんどの商業的な石炭燃焼発電所からのCO
2含有量は、約15体積%以下であることができる。カソード反応を実行するために、これは潜在的に、CO
2と反応して炭酸塩イオンを形成するために使用される酸素の約5%〜約15%、典型的に約7%〜約9%を含むことができる。その結果、カソードへのインプット流の約25体積%未満は、カソード反応によって典型的に消費されることができる。カソードフローの残留している少なくとも約75%の部分は、いずれかの未反応のCO
2およびO
2に加えて、N
2、H
2Oおよび他の典型的な酸化剤(空気)成分などの不活性/非反応性種を含んでなることができる。
【0073】
カソード反応と比較して、カソードへのインプットフローの性質をベースとして、カソードにおいて消費および除去されるカソードインプットの部分は、天然ガス供給源などの、よりクリーンな燃料供給源の燃焼をベースとするインプットフローに関して、約25体積%以下、例えば、約10体積%以下であることができる。正確な量は、使用される燃料、インプット燃料における希釈剤含有量(例えば、N
2は少ないパーセントで天然ガスに典型的に存在する)、そして燃焼室が作動される酸化剤(空気)対燃料の比率に基づいて変化することができ、これらは全て変化することができるが、商業的な作動のために典型的に周知である。その結果、燃料電池のカソード部分への全ガスフローは、炭素捕捉のために使用される燃料電池の全アレイを通して比較的予想することができることができる(一定)。炭素捕捉を向上/改善/最適化するために燃料電池のアレイを提供するためのいくつかの可能な構成を使用することができる。以下の構成選択肢は、炭素捕捉を改善するための戦略の一部分として、単独で、または組み合わせで使用することができる。
【0074】
第1の構成選択肢は、複数の燃料電池間でCO
2含有流を分割することであることができる。工業用の発電機からのCO
2含有アウトプット流は、典型的に、適切な径の単一MCFCのために望ましい作動条件と比較して大きいフロー体積に相当することができる。単一MCFCで全フローを処理する代わりに、それぞれのユニットのフローレートが所望のフロー範囲内にあることができるように、通常そのなかの少なくともいくつかが並列である複数のMCFCユニットの間にフローを分割することができる。
【0075】
第2の構成選択肢は、フロー流からCO
2を連続的に除去するために直列に燃料電池を利用することであることができる。CO
2含有流を並列に分配することができる初期の燃料電池の数に関係なく、それぞれの初期の燃料電池は、さらに追加的なCO
2を除去するために、直列の1つ以上の追加的な電池が続くことができる。アノードへのH
2インプットに関して
図3で実証される状態と同様に、単一燃料電池の流れ内のCO
2を除去することを試みることによって、低いおよび/または予測不可能な電圧アウトプットが導かれることができるであろう。単一燃料電池において所望の濃度までCO
2を除去することを試みるよりも、CO
2は所望の濃度を達成することができるまで、連続した電池において除去されることができる。例えば、燃料電池の直列のそれぞれの電池を使用して、燃料流に存在するCO
2のいくらかのパーセント(例えば、約50%)を除去することができる。そのような例において、3つの燃料電池が直列に使用される場合、CO
2濃度を低下させることができる(例えば、存在する最初の量の約15%未満まで、これは、直列の3つの燃料電池のコース上で約6%から約1%未満までCO
2濃度を低下させることに相当することができる)。
【0076】
別の構成では、作動条件は、所望のアウトプット電圧を提供するために、直列のより早い燃料段階において選択されることができるが、段階のアレイは、炭素捕捉の所望の濃度を達成するために選択されることができる。一例として、燃料電池のアレイは、直列に3つの燃料電池で使用されることができる。直列の最初の2つの燃料電池は、所望のアウトプット電圧を維持しながら、CO
2を除去するために使用されることができる。次いで、最終的な燃料電池は、所望の濃度までCO
2を除去するために作動されることができる。
【0077】
さらに別の構成では、燃料電池アレイにおいてアノードおよびカソードに関して別々の接続性があることができる。例えば、燃料電池アレイが直列に連結される燃料カソードを含む場合、相当するアノードは、いずれかの都合のよい方法で連結されることができ、例えば、それらの相当するカソードと同一の配列に必ずしも適合しない。これには、例えば、それぞれのアノードが同種類の燃料供給を受け取るように、並列にアノードを連結すること、および/またはアノードの最高燃料濃度が最低CO
2濃度を有するそれらのカソードに相当することができるように逆直列でアノードを連結することが含まれることができる。
【0078】
水素または合成ガス捕捉
水素または合成ガスのいずれも、化学エネルギーアウトプットとしてアノード排出物から回収することができる。水素は、燃焼時に温室効果ガスを発生させることのないクリーンな燃料として使用することができる。その代わりに、炭化水素(または炭化水素様化合物)の改質によって発生する水素関して、CO
2はアノードループにおいてすでに「捕捉」されている。追加的に、水素は様々な精製装置プロセスおよび/または他の合成プロセスの間の有用なインプットであることができる。合成ガスは、様々なプロセスのための有用なインプットであることもできる。燃料価を有することに加えて、フィッシャー−トロプシュ合成および/またはメタノール合成プロセスのためのインプットとして合成ガスを使用することなどによって、他のより高価値の生成物のための原料として合成ガスを使用することができる。
【0079】
様々な態様において、アノード排出物は、約1.5:1〜約10:1、例えば、少なくとも約3.0:1、または少なくとも約4.0:1、または少なくとも約5.0:1、および/または約8.0:1以下、または約6.0:1以下のH
2対CO(H
2:CO又はH
2とCOと)の比率を有することができる。合成ガス流は、アノード排出物から回収することができる。様々な態様において、アノード排出物から回収される合成ガス流は、少なくとも約0.9:1、例えば、少なくとも約1.0:1、または少なくとも約1.2:1、または少なくとも約1.5:1、または少なくとも約1.7:1、または少なくとも約1.8:1、または少なくとも約1.9:1のH
2のモル対COのモルの比率を有することができる。追加的に、または代わりとして、アノード排出物から回収された合成ガスにおけるH
2対COのモル比は、約3.0:1以下、例えば、約2.7:1以下、または約2.5:1以下、または約2.3:1以下、または約2.2:1以下、または約2.1:1以下であることができる。なお、回収された合成ガス流におけるH
2対COの比率が高いほど、カソード排出物におけるCO
2の量と比較して、COの量を低下させる傾向がある。しかしながら、合成ガス用途の多くの種類は、少なくとも約1.5:1〜約2.5:1以下のH
2対COのモル比を有する合成ガスから利益を得るため、例えば、約1.7:1〜約2.3:1のH
2対CO含有量のモル比を有する合成ガス流を形成することが、いくつかの用途にとって望ましくなり得る。
【0080】
合成ガスは、いずれかの都合のよい方法によって、アノード排出物から回収することができる。いくつかの態様において、合成ガスは、H
2およびCOとは異なるアノード排出物の成分の少なくとも一部分を除去するために、アノード排出物において分離を実行することによって、アノード排出物から回収することができる。例えば、アノード排出物は、最初に任意の水性ガスシフト段階を通過させて、H
2およびCOの相対的な量を調節することができる。次いで、アノード排出物からH
2Oおよび/またはCO
2を除去するために、1つ以上の分離段階を使用することができる。次いで、アノード排出物の残りの部分は、合成ガス流に相当することができ、次いで、これをいずれかの都合のよい方法で使用するために回収することができる。追加的に、または代わりとして、回収された合成ガス流は、1つ以上の水性ガスシフト段階を通過させることができ、および/または1つ以上の分離段階を通過させることができる。
【0081】
なお、回収された合成ガスにおけるH
2対COのモル比を変更することの追加的または代わりの方法は、例えば、膜分離を実行することによる、アノード排出物および/または合成ガスからH
2流を分離することであることができる。別々のH
2アウトプット流を形成するためのそのような分離は、いずれかの都合のよい位置、例えば、アノード排出物を水性ガスシフト反応段階に通過させる前および/または後、ならびにアノード排出物を、H
2およびCOとは異なるアノード排出物中の成分を除去するための1つ以上の分離段階に通過させる前および/または後で実行することができる。任意に、水性ガスシフト段階は、アノード排出物からのH
2流の分離の前および後に使用することができる。追加的または他の実施形態において、H
2は、任意に、回収された合成ガス流れから分離することができる。いくつかの態様において、分離されたH
2流は、高純度のH
2流、例えば、少なくとも約90体積%のH
2、例えば、少なくとも約95体積%のH
2、または少なくとも約99体積%のH
2を含有するH
2流に相当することができる。
【0082】
いくつかの態様において、溶融炭酸塩形燃料電池は、中程度または低CO
2含有量を有するカソードインプット供給を使用して作動させることができる。炭素分離および捕捉にとって望ましい様々な流れは、中程度〜低CO
2含有量を有する流れを含むことができる。例えば、カソードインレットのための潜在的インプット流は、約20体積%以下、例えば、約15体積%以下、または約12体積%以下、または約10体積%以下のCO
2含有量を有することができる。そのようなCO
2含有流は、燃焼発電機、例えば、石炭燃焼または天然ガス燃焼タービンで発生させることができる。中程度または低CO
2含有量を有するカソードインプット流におけるCO
2利用の所望のレベルを達成することによって、カソードインプット流として流れを使用する前にCO
2を有する流れを濃縮する必要があることとは反対に、より低いCO
2含有量の流れの使用を可能にする。様々な態様において、燃料電池に関するCO
2利用は、少なくとも約50%、例えば、少なくとも約55%、または少なくとも約60%であることができる。追加的に、または代わりとして、CO
2利用は、約98%以下、例えば、約97%以下、または約95%以下、または約90%以下であることができるか、あるいは燃料電池の効率的または所望の作動を可能にするために十分なCO
2がカソード排出物に残留するように十分高いことができる。本明細書で使用される場合、CO
2利用は、カソードアウトレット流(又は出口流)のCO
2のモルおよびカソードインレット流(又は入口流)のCO
2のモルの間の差を、カソードインレットのCO
2のモルで割ったものであってよい。数学的に表すと、CO
2利用=(CO
2(cathode in)−CO
2(cathode out))/CO
2(cathode in)である。
【0083】
作動戦略
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、カソード排出流において燃料電池を出るCO
2の量を減少または最小化させながらも、合成ガス(または水素)の生成を増加させて、溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。合成ガスは、様々なプロセスの間の有用なインプットであることができる。燃料価を有することに加えて、例えば、フィッシャー−トロプシュ合成および/またはメタノール合成プロセスのためのインプットとして合成ガスを使用することにより、他のより高い値の生成物を形成するための原材料として、合成ガスを使用することができる。合成ガスを製造するための1つの選択肢は、炭化水素または炭化水素様燃料、例えば、メタンまたは天然ガスを改質することであることが可能である。工業プロセスの多くの種類に関して、2:1に近い(またはより低い)H
2対COの比率を有する合成ガスは、しばしば望ましくなることが可能である。水性ガスシフト反応は、アノードで生じるものなどの追加的なCO
2が利用可能である場合、合成ガス中のH
2対COの比率を低下させるために使用されることができる。
【0084】
溶融炭酸塩形燃料電池を使用して合成ガス発生を集積化することによって提供される全体的な利点を特徴づけることの1つの方法は、カソード排出物中で燃料電池から出るCO
2の量に関する、アノード排出物中で燃料電池から出る合成ガスの正味の量の比率をベースとすることができる。この特徴は、低排出および高効率(電気および化学の両方)を有する動力発生の有効性を測定する。本記載において、アノードインレットにおいて存在するH
2およびCOの量が差し引かれた、アノード排出物中の合成ガスの正味の量は、アノード排出物において存在する組み合わせられたH
2のモル数およびCOのモル数として定義される。比率はアノード排出物における合成ガスの正味の量をベースとするため、単なるアノード中への過剰量のH
2の通過では比率の値は変化しない。しかしながら、アノードおよび/またはアノードと関連する内部改質段階における改質によって発生するH
2および/またはCOは、比率のより高い値を導くことができる。アノードで酸化される水素は、比率を下げることができる。なお、水性ガスシフト反応は、COに関してH
2を交換することができるため、合成ガス中のH
2対COの最終的な所望の比率に関係なく、H
2およびCOの組み合わせられたモルは、アノード排出物における全体の潜在的合成ガスを表す。次いで、アノード排出物(H
2+CO)の合成ガス含有量を、カソード排出物のCO
2含有量と比較することができる。これによって、炭素捕捉の量を説明することができる一種の効率価値を提供することができる。これは、以下の等式と同等に表されることができる。
アノード排出物中の正味の合成ガス対カソードCO
2の比率=(H
2+CO)
ANODEの正味のモル/(CO
2)
CATHODEのモル
【0085】
様々な態様において、アノード排出物中の正味の合成ガスのモル対カソード排出物中のCO
2のモルの比率は、少なくとも約2.0、例えば、少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0、または少なくとも約5.0であることができる。いくつかの態様において、アノード排出物中の正味の合成ガス対カソード排出物中のCO
2の量の比率は、なお高く、例えば、少なくとも約10.0、または少なくとも約15.0、または少なくとも約20.0であることができる。約40.0以下、例えば約30.0以下、または約20.0以下の比率値を、追加的に、または代わりとして達成することができる。カソードインレットにおけるCO
2の量が約6.0体積%以下、例えば、約5.0体積%以下である態様において、少なくとも約1.5の比率値は十分/現実的であり得る。アノード排出物中の正味の合成ガス対カソード排出物中のCO
2の量のそのようなモル比値は、従来の作動された燃料電池に関する値より大きくなることができる。
【0086】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、高いCO
2利用値、例えば、少なくとも約60%を有しながらも、減少された燃料利用値、例えば、約50%以下の燃料利用で、溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。この種類の構成において、溶融炭酸塩形燃料電池は、CO
2利用が有利に十分に高いことが可能であるため、炭素捕捉のために有効であることが可能である。電気効率を最大にすることを試みるよりはむしろ、この種類の構成においては、燃料電池の全体の効率を、組み合わせられた電気および化学効率をベースとして改善することができるか、または増加させることができる。化学効率は、他のプロセスで使用されるためのアウトプットとしてのアノード排出物から水素および/または合成ガス流を引き抜くことをベースとすることができる。電気効率が、いくつかの従来の構成と比較して低下し得るとしても、アノード排出物における化学エネルギーアウトプットを利用することは、燃料電池に関して望ましい全体効率を可能にすることができる。
【0087】
様々な態様において、燃料電池アノードにおける燃料利用は、約50%以下、例えば、約40%以下、または約30%以下、または約25%以下、または約20%以下であることができる。様々な態様において、少なくともいくらかの電力を発生させるため、燃料電池における燃料利用は、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%であることができる。追加的に、または代わりに、CO
2利用は、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%であることができる。
【0088】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、燃料電池のために所望の熱比率を達成するために、酸化の量と比較して改質の量を選択することができるように、溶融炭酸塩形燃料電池を作動させることができる。本明細書で使用される場合、「熱比率」は、燃料電池アセンブリで生じる改質反応の吸熱性熱需要で割られた燃料電池アセンブリでの発熱性反応によって発生した熱として定義される。数学的に表すと、熱比率(TH)=Q
EX/Q
ENであり、Q
EXは発熱性反応によって発生する熱の合計であり、そしてQ
ENは、燃料電池内で生じる吸熱性反応によって消費される熱の合計である。なお、発熱性反応によって発生する熱は、改質反応、水性ガスシフト反応および電池内での電気化学反応によるいずれかの熱に相当する。電気化学反応によって発生する熱は、燃料電池の実際の出力電圧を差し引いた、電解質全体での燃料電池反応の理想電気化学ポテンシャルをベースとして算出することができる。例えば、MCFCの反応の理想電気化学ポテンシャルは、電池で生じる正味の反応をベースとし、約1.04Vであると考えられている。MCFCの作動の間、電池は様々な損失のため、1.04V未満の出力電圧を典型的に有する。例えば、共通の出力/作動電圧は、約0.7Vであることができる。発生する熱は、電池の電気化学ポテンシャル(すなわち約1.04V)から作動電圧を引いたものに等しい。例えば、電池において電気化学反応によって発生する熱は、約0.7Vの出力電圧の場合、約0.34Vである。したがって、このシナリオで、電気化学反応は、約0.7Vの電気および約0.34Vの熱エネルギーを生じる。そのような実施例において、約0.7Vの電気エネルギーは、Q
EXの一部として含まれない。言い換えると、熱エネルギーは電気エネルギーではない。
【0089】
様々な態様において、熱比率は、燃料電池積層、燃料電池積層内の個々の燃料電池、集積化された改質段階を有する燃料電池積層、集積化された吸熱性反応段階を有する燃料電池積層、またはそれらの組み合わせなどのいずれの都合のよい燃料電池構造のためにでも決定することができる。熱比率は、燃料電池または燃料電池積層のアセンブリなどの燃料電池積層内で、異なるユニットに関して算出されてもよい。例えば、熱比率は、単一燃料電池内の単一アノード、燃料電池積層内のアノード部分、あるいは熱集積化の観点から集積化されるアノード部分に十分に近い、集積化された改質段階および/または集積化された吸熱性反応段階要素とともに燃料電池積層内のアノード部分に関して算出されてもよい。本明細書で使用される場合、「アノード部分」は、共通のインレットまたはアウトレットマニホールドを共有する燃料電池積層内でのアノードを含んでなる。
【0090】
本発明の様々な態様において、燃料電池の作動は、熱比率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池が所望の熱比率を有するように作動される場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約1.5以下、例えば約1.3以下、または約1.15以下、または約1.0以下、または約0.95以下、または約0.90以下、または約0.85以下、または約0.80以下、または約0.75以下の熱比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、熱比率が、少なくとも約0.25、または少なくとも約0.35、または少なくとも約0.45、または少なくとも約0.50であることができる。追加的に、または、代わりとして、いくつかの態様において、燃料電池は、約40℃以下、例えば約20℃以下または約10℃以下のアノードインプットとアノードアウトプットとの間での温度上昇を有するように作動させることができる。さらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードインレットの温度より約10℃低温から約10℃高温までのアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。なおさらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードアウトレット温度より高い、例えば、少なくとも約5℃高いか、または少なくとも約10℃高いか、または少なくとも約20℃高いか、または少なくとも約25℃高いアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。なおさらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードアウトレット温度より約100℃以下だけ、例えば、約80℃以下、または約60℃以下、または約50℃以下、または約40℃以下、または約30℃以下、または約20℃以下だけ高いアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。
【0091】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、燃料電池のアノードにおいて反応する水素の量と比較して過剰量の改質可能燃料によって、溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。燃料電池の電気効率を改善するか、または最大化するために燃料電池の作動条件を選択する代わりに、燃料電池の化学エネルギーアウトプットを増加させるために、過剰量の改質可能燃料を燃料電池のアノードに通過させることができる。任意であるが、好ましくは、これによって、燃料電池の組み合わせられた電気的効率および化学的効率をベースとする燃料電池の全効率における増加を導くことができる。
【0092】
いくつかの態様において、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される、インプット流における改質可能燃料の改質可能水素含有量は、アノードで酸化される水素の量より少なくとも約50%多く、例えば、少なくとも約75%より多く、または少なくとも約100%多くなることができる。様々な態様において、燃料流における改質可能燃料の改質可能水素含有量対アノードにおいて反応する水素の量の比率は、少なくとも約1.5:1、または少なくとも約2.0:1、または少なくとも約2.5:1、または少なくとも約3.0:1であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料流における改質可能燃料の改質可能水素含有量対アノードにおいて反応する水素の量の比率は、約20:1以下、例えば、約15:1以下、または約10:1以下であることができる。一態様において、アノードインレット流における改質可能水素含有量の100%未満が水素に変換されることができると考えられる。例えば、アノードインレット流における改質可能水素含有量の少なくとも約80%、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%が、アノードおよび/または関連する改質段階において、水素に変換されることができる。
【0093】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、燃料電池の組み合わせられた電気効率および化学効率を改善することができるか、または最適化することができる条件でも溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。燃料電池の電気効率を最大にするための従来の条件を選択する代わりに、作動条件は、燃料電池のアノード排出物における過剰量の合成ガスおよび/または水素のアウトプットを可能にすることができる。合成ガスおよび/または水素は、化学合成プロセスおよび「クリーン」燃料として使用するための水素の回収を含む様々な用途で使用することができる。本発明の態様において、燃料電池のための燃料インプットのエネルギー値と比較して、生成される合成ガスおよび/または水素の化学エネルギー値をベースとする化学効率を含む高い全体効率を達成するために、電気効率を低下させることができる。
【0094】
いくつかの態様において、燃料電池の作動は、電気効率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池を低い電気効率(EE)を有するように作動させる場合、溶融炭酸塩形燃料電池を、約40%以下の電気効率、例えば、約35%以下のEE、約30%以下のEE、約25%以下のEE、または約20%以下のEE、約15%以下のEE、または約10%以下のEEを有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、EEは、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、燃料電池の作動は、燃料電池の組み合わせられた電気効率および化学効率などの全燃料電池効率(TFCE)をベースとして特徴づけることができる。燃料電池を高い全燃料電池効率を有するように作動させる場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約55%以上、例えば、約60%以上、または約65%以上、または約70%以上、または約75%以上、または約80%以上、または約85%以上のTFCE(および/または組み合わせられた電気効率および化学効率)を有するように作動させることができる。なお、全体燃料電池効率ならびに/または組み合わせられた電気効率および化学効率に関して、燃料電池によって発生する過剰量の熱の使用から発生するいずれの追加的な電気も効率計算から排除することができる。
【0095】
本発明の様々な態様において、燃料電池の作動は、約40%以下の所望の電気効率および約55%以上の所望の全体燃料電池効率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池が、所望の電気効率および所望の全体燃料電池効率を有するように作動される場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約55%以上のTFCEとともに約40%以下の電気効率、例えば、60%以上のTFCEとともに約35%以下のEE、約65%以上のTFCEとともに約30%以下のEE、約70%以上のTFCEとともに約25%以下のEE、あるいは75%以上のTFCEとともに約20%以下のEE、80%以上のTFCEとともに約15%以下のEE、あるいは約85%以上のTFCEとともに約10%以下のEEを有するように作動されることができる。
【0096】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、増加した電力密度を提供することができる条件で溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。燃料電池の電力密度は、実際の作動電圧V
Aに電流密度Iを乗算した値に相当する。電圧V
Aで作動される溶融炭酸塩燃料電池に関して、燃料電池は、電流密度Iを提供する燃料電池に関するV
Aと理想電圧V
0との間の差異をベースとして(V
0−V
A)
*Iとして定義される廃熱も発生させる傾向があることができる。この廃熱の一部分は、燃料電池のアノード内での改質可能燃料の改質によって消費されることができる。この廃熱の残りの部分は、包囲する燃料電池構造およびガスフローによって吸収されることができ、燃料電池全体で温度差がもたらされる。従来の作動条件で、燃料電池の電力密度は、燃料電池が燃料電池の完全性を悪化させることなく耐えることができる廃熱の量をベースとして、制限される可能性がある。
【0097】
様々な態様において、燃料電池が耐えることができる廃熱の量は、燃料電池内で吸熱性反応の有効な量を実行することによって増加させることができる。吸熱性反応の一例には、燃料電池アノード内および/または関連する改質段階、例えば、燃料電池積層における集積化された改質段階において改質可能燃料の蒸気改質が含まれる。追加的な改質可能燃料を燃料電池のアノード(または集積化された/関連する改質段階)に提供することによって、追加的な廃熱を消費することができるように、追加的な改質を実行することができる。これによって、燃料電池全体での温度差の量を低下させることができ、したがって、廃熱の量を増加させた作動条件で燃料電池を作動させることが可能となる。電気効率の損失は、合成ガスおよび/またはH
2などの追加的な生成物流の生成によって相殺されることが可能であり、これを、システムの動力範囲をさらに延在させる追加的な発電を含む様々な目的のために使用することができる。
【0098】
様々な態様において、燃料電池によって発生する廃熱の量、上記で定義された(V
0−V
A)
*Iは、少なくとも約30mW/cm
2、例えば、少なくとも約40mW/cm
2、または少なくとも約50mW/cm
2、または少なくとも約60mW/cm
2、または少なくとも約70mW/cm
2、または少なくとも約80mW/cm
2、または少なくとも約100mW/cm
2、または少なくとも約120mW/cm
2、または少なくとも約140mW/cm
2、または少なくとも約160mW/cm
2、または少なくとも約180mW/cm
2であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池によって発生する廃熱の量は、約250mW/cm
2未満、例えば、約200mW/cm
2未満、または約180mW/cm
2未満、または約165mW/cm
2未満、または約150mW/cm
2未満であることができる。
【0099】
発生する廃熱の量が比較的高くなることができるが、そのような廃熱が、低い効率で燃料電池を作動することを必ずしも表し得るというわけではない。その代わりに、廃熱は、増加した電力密度で燃料電池を作動することによって発生することができる。燃料電池の電力密度を改善することの一部分は、十分に高い電流密度で燃料電池を作動することを含むことができる。様々な態様において、燃料電池によって発生する電流密度は、少なくとも約150mA/cm
2、例えば、少なくとも約160mA/cm
2、または少なくとも約170mA/cm
2、または少なくとも約180mA/cm
2、または少なくとも約190mA/cm
2、または少なくとも約200mA/cm
2、または少なくとも約225mA/cm
2、または少なくとも約250mA/cm
2であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池によって発生する電流密度は、約500mA/cm
2以下、例えば450mA/cm
2以下、または400mA/cm
2以下、または350mA/cm
2以下、または300mA/cm
2以下であることができる。
【0100】
様々な態様において、発電を増加させ、廃熱の発生を増加させて、燃料電池を作動させることを可能にするために、吸熱性反応(例えば、改質反応)の有効な量を実行することができる。あるいは、アノード作動とは無関係な他の吸熱性反応を使用して、アノードまたはカソードのいずれかと流体連絡ではなく熱連絡している燃料電池配列に「プレート」または段階を散在させることによって、廃熱を利用することができる。吸熱性反応の有効な量は、吸熱性反応を実行するための関連する改質段階、集積化された改質段階、集積化された積層要素、またはそれらの組み合わせにおいて実行することができる。吸熱性反応の有効な量は、燃料電池インレットから燃料電池アウトレットへの温度上昇を、約100℃以下、例えば、約90℃以下、または約80℃以下、または約70℃以下、または約60℃以下、または約50℃以下、または約40℃以下、または約30℃以下まで低下させるために十分な量に相当することができる。追加的に、または代わりとして、吸熱性反応の有効な量は、約100℃以下、例えば、約90℃以下、または約80℃以下、または約70℃以下、または約60℃以下、または約50℃以下、または約40℃以下、または約30℃以下、または約20℃以下、または約10℃以下の燃料電池インレットから燃料電池アウトレットまでの温度減少を生じるのに十分な量に相当することができる。燃料電池インレットから燃料電池アウトレットへの温度減少は、吸熱性反応の有効な量が、発生する廃熱より多い場合に生じることができる。追加的に、または代わりとして、これは、吸熱性反応(例えば、改質および別の吸熱性反応の組み合わせ)が、燃料電池によって発生する廃熱の少なくとも約40%を消費すること、例えば、廃熱の少なくとも約50%、または廃熱の少なくとも約60%、または廃熱の少なくとも約75%を消費することに相当することができる。さらに追加的に、または代わりとして、吸熱性反応は、約95%以下の廃熱、例えば、約90%以下の廃熱、または約85%以下の廃熱を消費することができる。
【0101】
定義
合成ガス:本記載において、合成ガスは、いずれかの比率でのH
2とCOとの混合物として定義される。任意に、H
2Oおよび/またはCO
2が合成ガスに存在してもよい。任意に、不活性化合物(例えば、窒素)および残留する改質可能燃料化合物が合成ガスに存在してもよい。H
2およびCO以外の成分が合成ガスに存在する場合、合成ガス中のH
2およびCOの組み合わせられた体積パーセントは、合成ガスの全体積と比較して、少なくとも25体積%、例えば、少なくとも40体積%、または少なくとも50体積%、または少なくとも60体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、合成ガス中のH
2およびCOの組み合わせられた体積パーセントは、100体積%以下、例えば、95体積%以下、または90体積%以下であることができる。
【0102】
改質可能燃料:改質可能燃料は、H
2を発生させるために改質可能炭素−水素結合を含有する燃料として定義される。アルコールなどの他の炭化水素化合物のように、炭化水素は改質可能燃料の例である。COおよびH
2Oは、水素を形成するための水性ガスシフト反応に関与することができるが、COはこの定義での改質可能燃料とは考えられない。
【0103】
改質可能水素含有量:燃料の改質可能水素含有量は、燃料を改質して、次いで、H
2生成を最大にするために水性ガスシフト反応を完了させることによって、燃料から誘導することができるH
2分子の数として定義される。なお、本明細書においては、H
2自体は改質可能燃料として定義されないが、定義によるH
2は1の改質可能水素含有量を有する。同様に、COは1の改質可能水素含有量を有する。COは厳密には改質可能ではないが、水性ガスシフト反応を完了させることによって、H
2に対するCOの交換がもたらされる。改質可能燃料に関する改質可能水素含有量の例として、メタンの改質可能水素含有量は4H
2分子であり、エタンの改質可能水素含有量は7H
2分子である。より一般に、燃料が組成CxHyOzを有する場合、100%の改質および水性ガスシフトにおける燃料の改質可能水素含有量は、n(H
2最大改質)=2x+y/2−zである。この定義をベースとして、電池内の燃料利用は、次いで、n(H
2ox)/n(H
2最大改質)として表することができる。もちろん、成分の混合物の改質可能水素含有量は、個々の成分の改質可能水素含有量をベースとして決定することができる。酸素、硫黄または窒素などの他のヘテロ原子を含有する化合物の改質可能水素含有量も同様の方法で算出することができる。
【0104】
酸化反応:本考察において、燃料電池のアノード内の酸化反応は、CO
32−との反応によってH
2OおよびCO
2を形成する、H
2の酸化に相当する反応として定義される。なお、炭素−水素結合を含有する化合物が、H
2およびCOまたはCO
2へと変換されるアノード内での改質反応は、アノードにおける酸化反応のこの定義から排除される。水性ガスシフト反応は、酸化反応のこの定義の他は同様である。さらになお、燃焼反応への参照は、燃焼発電機の燃焼領域などの非電気化学的バーナーにおいて、H
2または炭素−水素結合を含有する化合物がO
2と反応して、H
2Oおよび酸化炭素を形成する反応への参照として定義される。
【0105】
本発明の態様は、燃料電池のための所望の作動範囲を達成するために、アノード燃料パラメーターを調節することができる。アノード燃料パラメーターは、直接、および/または1つ以上の比率の形態で他の燃料電池プロセスに関して、特徴づけることができる。例えば、アノード燃料パラメーターは、燃料利用、燃料電池発熱量利用、燃料過剰比率、改質可能燃料過剰比率、改質可能水素含有量燃料比率、およびそれらの組み合わせを含む1つ以上の比率を達成するために、制御することができる。
【0106】
燃料利用:燃料利用は、燃料電池に関する燃料利用を定義するために使用することができるインプット流の改質可能水素含有量と比較して、酸化された燃料の量をベースとするアノードの作動を特徴づけるための選択である。本考察において、「燃料利用」は、(上記の通り)電気の発生のためにアノードで酸化された水素の量と、アノードインプットの改質可能水素含有量(いずれかの関連する改質段階も含む)との比率として定義される。改質可能水素含有量は、上記の通り、燃料を改質して、次いで、H
2生成を最大にするために水性ガスシフト反応を完了させることによって、燃料から誘導することができるH
2分子の数として定義される。例えば、アノードに導入され、そして蒸気改質条件に暴露されるそれぞれのメタンによって、最大生成で4H
2分子当量の発生をもたらされる(改質および/またはアノード条件次第で、改質生成物は、その代わりにH
2分子の1つ以上がCO分子の形態で存在する非水性ガスシフト生成物に相当することが可能である)。したがって、メタンは、4H
2分子の改質可能水素含有量を有するものとして定義される。他の例として、この定義において、エタンは7H
2分子の改質可能水素含有量を有する。
【0107】
アノードにおける燃料の利用は、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される全ての燃料の低位発熱量と比較して、燃料電池アノード反応によってアノードで酸化された水素の低位発熱量の比率をベースとする発熱量利用を定義することによっても特徴づけることができる。本明細書において使用される場合、「燃料電池発熱量利用」は、燃料電池アノードに出入りする燃料成分のフローレートおよび低位発熱量(LHV)を使用して計算することができる。そのようなものとして、(LHV(anode_in)−LHV(anode_out))/LHV(anode_in)として燃料電池発熱量利用を計算することができる。式中、LHV(anode_in)およびLHV(anode_out)は、それぞれ、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローにおける燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)のLHVを指す。この定義において、流れまたはフローのLHVは、インプットおよび/またはアウトプット流の各燃料成分の値の合計として計算されてもよい。合計に対する各燃料成分の寄与は、燃料成分のLHV(例えば、ジュール/モル)を乗算した燃料成分のフローレート(例えば、モル/時間)に相当することができる。
【0108】
低位発熱量:低位発熱量は、気相の完全に酸化された生成物(すなわち、気相のCO
2およびH
2O生成物)への燃料成分の燃焼のエンタルピーとして定義される。例えば、アノードインプット流に存在するいずれのCO
2も、CO
2はすでに完全に酸化されるため、アノードインプットの燃料含有量に寄与しない。この定義に関して、アノード燃料電池反応によってアノードにおいて生じる酸化の量は、上記で定義されるように、アノードの電気化学的反応の一部としてのアノードにおけるH
2の酸化として定義される。
【0109】
なお、アノードインプットフローにおける唯一の燃料がH
2である特別な場合に関して、アノードにおいて生じることができる燃料成分が関与する唯一の反応は、H
2からH
2Oへの変換を表す。このような特別な場合、燃料利用は、(H
2−レート−イン(rate−in)−H
2−レート−アウト(rate−out))/H
2−レート−インとして単純化される。そのような場合、H
2は唯一の燃料成分であり、そしてH
2のLHVは方程式から相殺される。より一般的な場合では、アノード供給は、例えば、様々な量でCH
4、H
2およびCOを含有してもよい。これらの種がアノードアウトレットにおいて異なる量で典型的に存在することができるため、要約は上記の通り、燃料利用を決定するために必要である。
【0110】
燃料利用の他に、または加えて、燃料電池内の他の反応物の利用を特徴づけることができる。例えば、燃料電池の作動は、追加的に、または代わりとして、「CO
2利用」および/または「酸化剤」利用に関して特徴づけることができる。CO
2利用および/または酸化剤利用のための値は、同様の方法で明示することができる。
【0111】
燃料過剰比率:溶融炭酸塩形燃料電池における反応を特徴づけるさらに別の方法は、燃料電池アノード反応によってアノードにおいて酸化された水素の低位発熱量と比較して、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される全ての燃料の低位発熱量の比率をベースとする利用を定義することによる。この量は、燃料過剰比率と呼ばれる。そのようなものとして、燃料過剰比率を、(LHV(anode_in)/(LHV(anode_in)−LHV(anode_out))として計算することができる。式中、LHV(anode_in)およびLHV(anode_out)は、それぞれ、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローにおける燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)のLHVを指す。本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池を、少なくとも約1.0、例えば少なくとも約1.5、または少なくとも約2.0、または少なくとも約2.5、または少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0の燃料過剰比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、燃料過剰比率は、約25.0の以下であることができる。
【0112】
なお、アノードのためのインプット流の改質可能燃料の全てが改質され得るというわけではない。好ましくは、アノード(および/または関連する改質段階)へのインプット流の改質可能燃料の少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%、または少なくとも約98%がアノードを出る前に改質可能である。いくつかの別の態様において、改質される改質可能燃料の量は、約75%〜約90%、例えば、少なくとも約80%であることができる。
【0113】
燃料過剰比率に関する上記の定義は、電力の発生のために燃料電池アノードにおいて消費される燃料の量と比較して、アノードおよび/または燃料電池と関連する改質段階の範囲内で生じる改質の量を特徴づける方法を提供する。
【0114】
任意に、燃料過剰比率は、燃料がアノードアウトプットからアノードインプットまでリサイクルされる状態を占めるように変更することができる。燃料(例えば、H
2、COおよび/または未改質もしくは部分的に改質された炭化水素)がアノードアウトプットからアノードインプットまでリサイクルされる場合、そのようなリサイクルされた燃料成分は、他の目的のために使用することができる改質可能または改質された燃料の過剰量を表さない。その代わりに、そのようなリサイクルされた燃料成分は、燃料電池における燃料利用を低下させることの希望を単に示すのみである。
【0115】
改質可能燃料過剰比率:改質可能燃料過剰比率を算出することは、そのようなリサイクルされた燃料成分が、改質可能燃料のLHVのみがアノードへのインプット流に含まれるように過剰燃料の定義を限定することを示す1つの選択である。本明細書で使用される場合、「改質可能燃料過剰比率」は、燃料電池アノード反応によってアノードにおいて酸化された水素の低位発熱量と比較して、アノードと関連するアノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される改質可能燃料の低位発熱量として定義される。改質可能燃料過剰比率のための定義において、アノードインプットのいずれのH
2またはCOのLHVも排除される。改質可能燃料のそのようなLHVは、燃料電池アノードに入る実際の組成物を特徴づけることによって、なお測定することができ、リサイクルされた成分と新たな成分との間での区別は必要とされない。いくつかの未改質または部分的に改質された燃料もリサイクルされてもよいが、ほとんどの態様において、アノードにリサイクルされる大部分の燃料は改質された生成物(例えば、H
2またはCO)に相当することができる。数学的に表すと、改質可能燃料過剰比率(R
RFS)=LHV
RF/LHV
OHであり、式中、LHV
RFは、改質可能燃料の低位発熱量(LHV)であり、そしてLHV
OHは、アノードで酸化される水素の低位発熱量(LHV)である。アノードで酸化される水素のLHVは、アノードインレット流のLHVからアノードアウトレット流のLHVを差し引くことによって算出されてもよい(例えば、LHV(anode_in)−LHV(anode_out))。本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池は、少なくとも約0.25、例えば、少なくとも約0.5、または少なくとも約1.0、または少なくとも約1.5、または少なくとも約2.0、または少なくとも約2.5、または少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0の改質可能燃料過剰比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、改質可能燃料過剰比率は約25.0以下であることができる。なお、アノードにおける酸化の量と比較してのアノードに送達される改質可能燃料の量をベースとするこのようなより狭い定義によって、低燃料利用を有する燃料電池作動方法の2つの種類を識別することができる。いくつかの燃料電池は、アノードアウトプットからアノードインプットへの実質的な部分をリサイクルすることによって、低燃料利用を達成する。このリサイクルによって、アノードインプットにおけるいずれかの水素を、アノードにインプットとして再び使用することが可能である。これによって改質の量を低下させることができ、燃料利用が燃料電池の単回通過に関して低い場合でさえも、その後の通過において、未使用の燃料の少なくとも一部分はリサイクルされる。したがって、広範囲の種々の燃料利用値を有する燃料電池は、アノード改質段階に送達される改質可能燃料対アノード反応において酸化される水素の同一比率を有してもよい。アノードにおける酸化の量に関するアノード改質段階に送達される改質可能燃料の比率を変化させるため、非改質可能燃料の本来の含有量を有するアノード供給が識別される必要があるか、またはアノードアウトプットにおける未使用の燃料が、他の用途のために回収される必要があるか、あるいは両方である。
【0116】
改質可能水素過剰比率:燃料電池の作動を特徴づけるためのさらにもう1つの選択肢は、「改質可能水素過剰比率」をベースとする。上記で定義される改質可能燃料過剰比率は、改質可能燃料成分の低位発熱量をベースとして定義される。改質可能水素過剰比率は、燃料電池アノード反応によってアノードで反応する水素と比較した、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階に送達される改質可能燃料の改質可能水素含有量として定義される。そのようなものとして、「改質可能水素過剰比率」は、(RFC(reformable_anode_in)/(RFC(reformable_anode_in)−RFC(anode_out))として計算することができ、式中、(RFC(reformable_anode_in)は、アノードインレット流またはフローの改質可能燃料の改質可能水素含有量を指し、RFC(anode_out)は、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローの燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)の改質可能水素含有量を指す。RFCは、モル/秒、モル/時間などで表すことができる。アノード改質段階に送達される改質可能燃料対アノードの酸化の量の大きい比率を有する燃料電池を作動させる方法の例は、燃料電池における熱の発生および消費を釣り合わせるために、過剰の改質が実行される方法であることができる。H
2およびCOを形成するために改質可能燃料を改質することは、吸熱性プロセスである。この吸熱性反応は、燃料電池における電流の発生によって対抗することができ、これは、アノード酸化反応および炭酸塩形成反応によって発生する熱量と流の形態で燃料電池を出るエネルギーとの差異に(おおよそ)相当する過剰量の熱を生じることもできる。アノード酸化反応/炭酸塩形成反応に関与する水素のモルあたりの過剰量の熱は、改質によって水素のモルを発生されるために吸収した熱よりも大きくなることが可能である。その結果、従来条件で作動される燃料電池は、インレットからアウトレットまでの温度増加を示すことができる。この種類の従来の作動の代わりに、アノードと関連する改質段階において改質される燃料の量を増加させることができる。例えば、発熱性燃料電池反応によって発生する熱が、改質において消費される熱によって(おおよそ)釣り合うことができるように、あるいは改質によって消費される熱が、燃料酸化によって発生する過剰量の熱より大きくなることができ、燃料電池全体での温度低下がもたらされるように、追加的な燃料を改質することができる。これによって、電力発生のために必要とされる量と比較して、水素の実質的な過剰をもたらすことができる。一例として、燃料電池のアノードインレットまたは関連する改質段階への供給は、実質的に純粋なメタン供給などの改質可能燃料から実質的に構成されることができる。そのような燃料を使用する発電のための従来の作動の間、溶融炭酸塩形燃料電池は約75%の燃料利用で作動することができる。これは、次いで、アノードにおいて、炭酸塩イオンと反応して、H
2OおよびCO
2を形成する水素を形成するために、アノードに送達される燃料含有量の約75%(または3/4)が使用されることを意味する。従来の作動において、燃料含有量の残りの約25%は、燃料電池でH
2に改質されることができ(または、燃料のいずれのCOまたはH
2に関して未反応の燃料電池を通過することができ)、次いで、燃料電池の外側で燃焼され、H
2OおよびCO
2を形成し、燃料電池へとカソードインレットのための熱を提供する。この状態における改質可能水素過剰比率は、4/(4−1)=4/3であることができる。
【0117】
電気効率:本明細書で使用される場合、「電気効率」(EE」)という用語は、燃料電池への燃料インプットの低位発熱量(「LHV」)の率で割られる、燃料電池で生じる電気化学的動力として定義される。燃料電池への燃料インプットには、アノードに送達される燃料、ならびに燃料電池の温度を維持するために使用されるいずれの燃料、例えば、燃料電池と関連するバーナーに送達される燃料の両方が含まれる。本記載において、燃料によって生じる動力は、LHV(el)燃料率に関して記載されてもよい。
【0118】
電気化学的動力:本明細書で使用される場合、「電気化学的動力」またはLHV(el)という用語は、燃料電池でカソードをアノードに連結する回路および燃料電池の電解質を通る炭酸塩イオンの移動によって発生する動力である。電気化学的動力は、燃料電池から生じるか、上流または下流装置で消費される動力を排除する。例えば、燃料電池廃棄物流における熱から生じる電気は、電気化学的動力の一部分として考えられない。同様に、燃料電池の上流のガスタービンまたは他の装置で発生する動力は、発生する電気化学的動力の一部分でない。「電気化学的動力」は、燃料電池の作動の間に消費される電力、または直流から交流への変換によって生じるいずれの損失も考慮しない。言い換えると、燃料電池作動を供給するため、または他に燃料電池を作動するために使用される電力は、燃料電池によって生じる直流動力から差し引かれない。本明細書で使用される場合、電力密度は電圧を乗算した電流密度である。本明細書で使用される場合、全燃料電池動力は、燃料電池面積を乗算した電力密度である。
【0119】
燃料インプット:本明細書で使用される場合、LHV(anode_in)として示される「アノード燃料インプット」という用語は、アノードインレット流の中の燃料の量である。LHV(in)として示される「燃料インプット」という用語は、アノードインレット流内の燃料の量および燃料電池の温度を維持するために使用される燃料の量の両方を含む燃料電池に送達される燃料の全体の量である。燃料は、本明細書に提供される改質可能燃料の定義をベースとして、改質可能および非改質可能燃料を含んでもよい。燃料インプットは、燃料利用と同一ではない。
【0120】
全燃料電池効率:本明細書で使用される場合、「全燃料電池効率」(「TFCE」)という用語は、燃料電池によって発生する電気化学的動力に、燃料電池によって生じる合成ガスのLHVの率を足したものを、アノードへの燃料インプットのLHVの率で割ったものとして定義される。言い換えると、TFCE=(LHV(el)+LHV(sg net))/LHV(anode_in)であり、式中、LHV(anode_in)は、燃料成分(例えばH
2、CH
4および/またはCO)がアノードに送達される時のLHVを指し、かつLHV(sg net)は、合成ガス(H
2、CO)がアノードで生じる率を指し、これは、アノードへの合成ガスインプットとアノードからの合成ガスアウトプットとの間の差異である。LHV(el)は、燃料電池の電気化学的発電を記載する。全燃料電池効率は、燃料電池の外側で有利に使用される、燃料電池によって発生する熱を排除する。作動において、燃料電池によって発生する熱は、下流の装置において有利に使用されてもよい。例えば、熱は追加的な電気を発生させるか、または水を加熱するために使用されてもよい。これらの用途は、それらが燃料電池と離れて生じる場合、本出願で使用される用語のような全燃料電池効率の一部分でない。全燃料電池効率は、燃料電池作動のみに関し、動力発生または、上流もしくは下流での燃料電池の消費を含まない。
【0121】
化学効率:本明細書で使用される場合、「化学効率」という用語は、燃料インプットまたはLHV(in)で割られる、燃料電池のアノード排出物におけるH
2およびCOの低位発熱量、またはLHV(sg out)として定義される。
【0122】
電気効率も全システム効率も、上流または下流のプロセスの効率を考慮に入れない。例えば、燃料電池カソードのためのCO
2の供給源としてタービン排出物を使用することは有利であり得る。この配置では、タービンの効率は、電気効率または全燃料電池効率の計算の一部分として考慮されない。同様に、燃料電池からのアウトプットは、燃料電池へのインプットとしてリサイクルされてもよい。単回通過モードで電気効率または全燃料電池効率を算出する場合、リサイクルループは考慮されない。
【0123】
生成した合成ガス:本明細書で使用される場合、「生成した合成ガス」という用語は、アノードへの合成ガスインプットとアノードからの合成ガスアウトプットとの間の差異である。合成ガスは、少なくとも部分的に、アノードのためのインプットまたは燃料として使用されてもよい。例えば、システムは、天然ガスまたは他の適切な燃料で補足されて、アノード排出物からアノードインレットまで合成ガスを戻すアノードリサイクルループを含んでもよい。生成した合成ガスLHV(sg net)=(LHV(sg out)−LHV(sg in))であり、LHV(sg in)およびLHV(sg out)は、アノードインレットの合成ガスのLHVおよびアノードアウトレット流またはフローの合成ガスのLHVをそれぞれ指す。なお、アノード内での改質反応によって生じた合成ガスの少なくとも一部分は、典型的に、電気を生じるためにアノードで利用されることができる。電気を生じるために利用される水素は、アノードから出ないため、「生成した合成ガス」の定義に含まれない。本明細書で使用される場合、「合成ガス比率」という用語は、アノードへの燃料インプットのLHVで割られた、生成した正味の合成ガスのLHV、またはLHV(sg net)/LHV(anode in)である。合成ガスおよび燃料のモルフローレートは、LHVの代わりに、モルベースの合成ガス比率およびモルベースの生成した合成ガスを表すために使用することができる。
【0124】
蒸気対炭素比率(S/C):本明細書で使用される場合、蒸気対炭素比率(S/C)は、フロー中の蒸気対フロー中の改質可能炭素モル比である。COおよびCO
2の形の炭素は、この定義における改質可能炭素として含まれない。蒸気対炭素比率は、システムの異なる点で測定および/または制御することができる。例えば、アノードインレット流の組成は、アノードにおいて改質するために適切なS/Cを達成するように修正することができる。S/Cは、燃料、例えば、メタン中の炭素原子の数を乗算した燃料のモルフローレートの積で割られる、H
2Oのモルフローレートとして与えられることができる。したがって、S/C=f
H2O/(f
CH4×#C)であり、式中、f
H2Oは水のモルフローレートであり、f
CH4は、メタン(または他の燃料)のモルフローレートであり、かつ#Cは燃料中の炭素の数である。
【0125】
EGR比率:本発明の態様は、燃料電池と協力してタービンを使用することができる。組み合わせられた燃料電池およびタービンシステムは、排出物ガスリサイクル(「EGR」)を含んでもよい。EGRシステムでは、タービンで発生する少なくとも一部分の排出物ガスは、熱回収発電機に送られることができる。排出物ガスの別の部分は、燃料電池に送られることができる。EGR比率は、燃料電池に送られる排出物ガス対燃料電池または熱回収発電機に送られる全排出物ガスの量を記載する。本明細書で使用される場合、「EGR比率」は、燃料電池結合部分および熱回収発電機に送られる回収結合部分に関する組み合わせられたフローレートで割られた、排出物ガスの燃料電池結合部分のためのフローレートである。
【0126】
本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を使用して、追加的な電力を発生させながら、CO
2含有流からのCO
2の分離を促進することができる。CO
2分離は、燃料電池のカソード部分にインプット供給の少なくとも一部分を提供することができる燃焼ベース発電機との相乗効果を利用することによって、さらに向上させることができる。
【0127】
燃料電池および燃料電池構成要素:本考察において、燃料電池は、電解質によって分離されるアノードおよびカソードを有する単電池に相当することができる。アノードおよびカソードは、電解質全体で電荷を輸送して、電気を発生させるために、それぞれのアノードおよびカソード反応を促進するためのインプットガスフローを受け取ることができる。燃料電池積層は、集積化されたユニットで複数の電池を表すことができる。燃料電池積層は複数の燃料電池を含むことができ、燃料電池は典型的に並列に連結されることができ、そして、それらが集合的により大きい径の単一燃料電池を表すように(ほぼ)機能することができる。インプットフローが燃料電池積層のアノードまたはカソードに送達される場合、燃料積層は、積層中のそれぞれの電池間のインプットフローを割るためのフローチャネルおよび個々の電池からのアウトプットフローを組み合わせるためのフローチャネルを含むことができる。本考察において、燃料電池アレイは、直列、並列、または他のいずれかの都合のよい方法(例えば、直列および並列の組み合わせで)で配置される複数の燃料電池(例えば、複数の燃料電池積層)を指すために使用することができる。燃料電池アレイは、第1の段階からのアノード/カソードアウトプットは、第2の段階のためのアノード/カソードインプットとして役立ち得る、燃料電池および/または燃料電池積層の1つ以上の段階を含むことができる。なお、燃料電池アレイのアノードは、アレイのカソードと同一の方法で連結されなくてもよい。便宜のために、燃料電池アレイの第1のアノード段階へのインプットは、アレイのためのアノードインプットと呼ばれてもよく、そして燃料電池アレイの第1のカソード段階へのインプットは、アレイへのカソードインプットと呼ばれてもよい。同様に、最終アノード/カソード段階からのアウトプットは、アレイからのアノード/カソードアウトプットと呼ばれてもよい。
【0128】
本明細書における燃料電池の使用の言及は、典型的に、個々の燃料電池から構成される「燃料電池積層」を示し、そしてより一般に、流体連絡における1つ以上の燃料電池積層の使用を指すことは理解されるべきである。個々の燃料電池要素(プレート)は、「燃料電池積層」と呼ばれる長方形アレイで一緒に典型的に「積層」されることができる。この燃料電池積層は、典型的に、全ての個々の燃料電池の間で流れを供給することができ、かつ反応物を分配することができ、次いで、これらの要素のそれぞれから生成物を収集することができる。ユニットとして見ると、作動中の燃料電池積層は、多くの(しばしば、十または何百)の個々の燃料電池要素から構成されるとしても、一体としてみなすことができる。これらの個々の燃料電池要素は、同様の電圧(反応物および生成物濃度が同様)を典型的に有することができ、そして全動力アウトプットは、要素が直列に電気的に連結される場合、電池要素の全部の電流の合計から生じることができる。積層は、高電圧を生じるために、直列で配置されることもできる。並列の配列は、電流を高めることができる。十分に大きい体積燃料電池積層が所与の排出物フローを処理するために利用可能であるならば、本明細書に記載されるステムおよび方法は単一の溶融炭酸塩形燃料電池積層で使用することができる。本発明の他の態様において、様々な理由のために、複数の燃料電池積層は望ましくあり得るか、または必要とされ得る。
【0129】
本発明の目的のために、他に明記しない限り、「燃料電池」という用語は、燃料電池が実際に典型的に利用される方法として単一のインプットおよびアウトプットがある、1つ以上の個々の燃料電池要素から構成される燃料電池積層を指すものとしても理解されるべきであり、および/またはそれを参照することを含むものとして定義される。同様に、燃料電池(複数)という用語は、特に明記しない限り、複数の個々の燃料電池積層を指すものとしても理解されるべきであり、および/またはそれを含むものとして定義される。言い換えると、本明細書の範囲内の全ての参照は、具体的に示されない限り、「燃料電池」としての燃料電池積層の作動に交換可能に適用することができる。例えば、商業的なスケールの燃焼発電機で発生する排出物の体積は、従来の径の燃料電池(すなわち単一積層)による処理に関して大きくなり得る。完全に排出物を処理するために、それぞれの燃料電池が燃焼排出物の同等の部分を処理することが(ほぼ)できるように、複数の燃料電池(すなわち、2以上の個々の燃料電池または燃料電池積層)を並列に配置することができる。複数の燃料電池を使用することができるが、燃料電池は典型的に、一般に同様の方法で、燃焼排出物の所与のその(ほぼ)同等の部分で作動されることができる。
【0130】
「内部改質」および「外部改質」:燃料電池または燃料電池積層は、1つ以上の内部改質部分を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「内部改質」という用語は、燃料電池(燃料電池積層)の本体の範囲内で、または、その他の場合で燃料電池アセンブリ内で生じる燃料改質を指す。外部改質は、燃料電池とともにしばしば使用されるが、燃料電池積層の外側に位置する装置の個々において生じる。言い換えると、外部改質装置の本体は、燃料電池または燃料電池積層の本体との直接的な物理的接触がない。典型的な構成において、外部改質装置からのアウトプットを、燃料電池のアノードインレットに供給することができる。特に具体的に明記されない限り、本出願で記載される改質は内部改質である。
【0131】
内部改質は、燃料電池アノード内で生じてもよい。内部改質は、燃料電池アセンブリ内で集積化される内部改質要素内で、追加的に、または代わりとして生じることができる。集積化された改質要素は、燃料電池積層内の燃料電池要素の間に位置してもよい。言い換えると、積層のトレイの1つは、燃料電池要素の代わりに改質部分であることができる。一態様において、燃料電池積層内のフロー配列は、内部改質要素に、次いで、燃料電池のアノード部分に燃料を向ける。したがって、フローの観点から、内部改質要素および燃料電池要素は、燃料電池積層内で直列に配置されることができる。本明細書で使用される場合、「アノード改質」は、アノード内で生じる燃料改質である。本明細書で使用される場合、「内部改質」という用語は、アノード部分ではなくて、集積化された改質要素内で生じる改質である。
【0132】
いくつかの態様において、燃料電池アセンブリに対して内部である改質段階は、燃料電池アセンブリのアノードと関連するものとして考慮することができる。いくつかの別の態様において、アノードと関連する(例えば複数のアノードと関連する)ことができる燃料電池積層の改質段階に関して、改質段階からのアウトプットフローが少なくとも1つのアノードに通過されるように、フローパスは利用可能であり得る。これは、電解質と接触していない燃料電池プレートの初期部分を有することに相当することができ、代わりに改質触媒として役立ち得る。関連する改質段階の別の選択肢は、燃料電池積層の要素の1つとして、集積化された改質段階からのアウトプットを燃料電池積層の燃料電池の1つ以上のインプットサイドに戻され得る、別々の集積化された改質段階を有することであることができる。
【0133】
熱集積化の観点から、燃料電池積層の特徴的な高さは、個々の燃料電池積層要素の高さであることができる。なお、別々の改質段階および/または別々の吸熱性反応段階は、燃料電池とは異なる積層の高さを有することができるであろう。そのようなシナリオでは、燃料電池要素の高さは、特徴的な高さとして使用されることができる。いくつかの態様において、集積化された吸熱性反応段階は、集積化された吸熱性反応段階が吸熱性反応のための熱供給源として燃料電池から熱を使用することができるように、1つ以上の燃料電池と熱集積化される段階として定義されることができる。そのような集積化された吸熱性反応段階は、集積化された段階に熱を提供するいずれの燃料電池からの積層要素の高さの5倍未満の高さで配置されるものとして定義されることができる。例えば、集積化された吸熱性反応段階(例えば改質段階)は、熱集積されたいずれの燃料電池からの積層要素の高さの5倍未満、例えば、積層要素の高さの3倍未満の高さで配置されることができる。本考察において、燃料電池要素に隣接する積層要素を表す集積化された改質段階および/または集積化された吸熱性反応段階は、隣接する燃料電池要素から約1つ分の積層要素高さ以下であるものとして定義することができる。
【0134】
いくつかの態様において、燃料電池要素と熱集積化される別々の改質段階は、燃料電池要素と関連する改質段階に相当することができる。そのような態様において、集積化された燃料電池要素は、熱の少なくとも一部分を関連する改質段階に提供することができ、そして関連する改質段階は、改質段階アウトプットの少なくとも一部分を燃料流として集積化された燃料電池に提供することができる。他の態様において、別々の改質段階は、燃料電池と関連することなく、熱伝達のために燃料電池と集積化することができる。この種類の状態において、別々の改質段階は、燃料電池から熱を受け取ることができるが、改質段階のアウトプットを燃料電池へのインプットとして使用しないと決定し得る。その代わりに、アノード排出物流へのアウトプットの直接添加などの別の目的のため、および/または燃料電池アセンブリから別々のアウトプット流を形成するために、そのような改質段階のアウトプットを使用すると決定し得る。
【0135】
より一般に、集積化された燃料電池積層要素によって提供される廃熱を利用することができる吸熱性反応のいずれかの都合のよい種類を実行するために、燃料電池積層の別々の積層要素を使用することができる。炭化水素流において改質反応を実行するために適切なプレートの代わりに、別々の積層要素は、別の種類の吸熱性反応に触媒作用を及ぼすために適切なプレートを有することができる。マニホールドまたは燃料電池積層におけるインレットコンジットの他の配列は、適切なインプットフローをそれぞれの積層要素に提供するために使用することができる。追加的に、または代わりとして、同様のマニホールドまたはアウトレットコンジットの他の配列を、アウトプットフローをそれぞれの積層要素から回収するために使用することができる。任意に、積層の吸熱性反応段階からのアウトプットフローは、アウトプットフローを燃料電池アノードに通過させることなく、燃料電池積層から回収することができる。そのような任意の態様において、発熱性反応の生成物は、したがって、燃料電池アノードに通過させることなく、燃料電池積層から出ることができる。燃料電池積層の積層要素において実行することができる他の種類の吸熱性反応の例には、限定されないが、エチレンおよびエタンクラッキングを形成するエタノール脱水が含まれ得る。
【0136】
リサイクル:本明細書に定義されるように、燃料電池インレットへの燃料電池アウトプットの一部分(例えば、アノード排出物または、アノード排出物から分離されるか、もしくは回収される流れ)のリサイクルは、直接的または間接的なリサイクル流に相当することができる。燃料電池インレットへの流れの直接的なリサイクルは、中間プロセスを通過することのない流れのリサイクルとして定義され、間接的なリサイクルには、1つ以上の中間プロセスに流れを通過させた後のリサイクルが関与する。例えば、アノード排出物がリサイクルの前にCO
2分離段階を通過する場合、これはアノード排出物の間接的なリサイクルと考えられる。アノード排出物から回収されるアノード排出物の一部分、例えば、H
2流が、燃料電池への導入のために適切な燃料へと石炭を変換するためのガス化装置を通過する場合、これもまた間接的なリサイクルと考えられる。
【0137】
アノードインプットおよびアウトプット
本発明の様々な態様において、MCFCアレイには、例えば、水素および炭化水素、例えば、メタン(または代わりに、CおよびHとは異なるヘテロ原子を含有してもよい炭化水素もしくは炭化水素様化合物)を含んでなる、アノードインレットで受け取られる燃料が供給されることができる。アノードに供給される大部分のメタン(または他の炭化水素もしくは炭化水素様化合物)は、典型的に新しいメタンであることができる。本記載において、新しいメタンなどの新しい燃料は、別の燃料電池プロセスからリサイクルされない燃料を指す。例えば、アノードアウトレット流からアノードインレットにリサイクルされるメタンは、「新しい」メタンとは考えられず、その代わりに、回収されたメタンと記載することができる。使用された燃料供給源は、CO
2含有流をカソードインプットに提供するために燃料供給源の一部分を使用するタービンなどの他の構成要素と共有されることができる。燃料供給源インプットは、水素を発生させる改質部分において炭化水素(または炭化水素様)化合物を改質するために、燃料に対して適切な割合で、水を含むことができる。例えば、メタンがH
2を発生させるために改質するための燃料インプットである場合、水対燃料のモル比は、約1:1〜約10:1、例えば少なくとも約2:1であることができる。4:1以上の比率は外部改質に関して典型的であるが、内部改質に関してはより低い値が典型的であることができる。H
2が燃料供給源の一部分である範囲まで、いくつかの任意の態様において、アノードにおけるH
2の酸化が、燃料を改質するために使用することができるH
2Oを生じる傾向があることが可能であるため、追加的な水は燃料に必要とされなくてもよい。燃料供給源は、燃料供給源に重要ではない成分を任意に含有することもできる(例えば、天然ガス供給は、追加的な成分としてCO
2のいくらかの含有量を含有することができる)。例えば、天然ガス供給は、追加的な成分として、CO
2、N
2および/または他の不活性(不活性)ガスを含有することができる。任意に、いくつかの態様において、燃料供給源は、アノード排出物のリサイクルされた部分からのCOなどのCOを含有してもよい。燃料電池アセンブリへの燃料におけるCOのための追加的、または代わりの潜在的供給源は、燃料電池アセンブリに入る前に燃料において実行される炭化水素燃料の蒸気改質によって発生するCOであることができる。
【0138】
より一般に、様々な種類の燃料流は、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードのためのインプット流としての使用のために適切であり得る。いくつかの燃料流は、CおよびHとは異なるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素および/または炭化水素様化合物を含有する流れに相当することができる。本考察において、特に明記されない限り、MCFCアノードのための炭化水素を含有する燃料流の参照は、そのような炭化水素様化合物を含有する燃料流を含むように定義される。炭化水素(炭化水素様を含む)燃料流の例としては、天然ガス、C1〜C4炭素化合物(例えば、メタンまたはエタン)を含有する流れ、およびより重質のC5+炭化水素(炭化水素様化合物を含む)を含有する流れ、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。アノードインプットに用いられる潜在的燃料流のさらに他の追加的または代わりの例としては、生物ガス型の流れ、例えば、有機材料の天然(生物学的)分解から生じるメタンを含むことができる。
【0139】
いくつかの態様において、希釈剤化合物の存在のため、低エネルギー含有量で、天然ガスおよび/または炭化水素流などのインプット流を処理するために、溶融炭酸塩形燃料電池を使用することができる。例えば、メタンおよび/または天然ガスのいくつかの供給源は、O
2、または窒素、アルゴンもしくはヘリウムなどの他の不活性分子の実質的な量を含むことができる供給源である。CO
2および/または不活性物質の高められた量の存在のために、供給源をベースとする燃料流のエネルギー含有量を低下させることができる。(燃焼動力タービンに動力を供給するためなどの)燃焼反応に、低いエネルギー含有量燃料を使用することは、問題点を提起する可能性がある。しかしながら、溶融炭酸塩形燃料電池は、燃料電池の効率に対する影響が少ないか、または影響を及ぼすことなく、低エネルギー含有量燃料供給源をベースとする動力を発生させることができる。追加的なガス体積の存在は、改質および/またはアノード反応のための温度まで燃料温度を高めるために追加的な熱を必要とすることができる。追加的に、燃料電池アノード内の水性ガスシフト反応の平衡性質のために、追加的なCO
2の存在は、アノードアウトプットに存在するH
2およびCOの相対量に影響を有することができる。しかしながら、不活性化合物は、その他の場合には、改質およびアノード反応に対して最小限の直接的な影響のみを有することができる。溶融炭酸塩形燃料電池のための燃料流におけるCO
2および/または不活性化合物の量は、存在する場合、少なくとも約1体積%、例えば、少なくとも約2体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約10体積%、または少なくとも約15体積%、または少なくとも約20体積%、または少なくとも約25体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約35体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約45体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約75体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、溶融炭酸塩形燃料電池のための燃料流におけるCO
2および/または不活性化合物の量は、約90体積%以下、例えば約75体積%以下、または約60体積%以下、または約50体積%以下、または約40体積%以下、または約35体積%以下であることができる。
【0140】
アノードインプット流のための潜在的供給源のなお別の例は、精製装置および/または他の工業プロセスアウトプット流に相当することができる。例えば、コーキングは、より重質の化合物を、より低沸騰範囲に変換するための多くの精製装置の共通プロセスである。コーキングは、典型的に、COおよび様々なC1〜C4炭化水素を含む室温でガスである様々な化合物を含有するオフガスを生じる。このオフガスは、アノードインプット流の少なくとも一部分として使用することができる。他の精製装置オフガス流は、アノードインプット流での含有のために、追加的に、または代わりとして適切であることができ、例えば、クラッキングまたは他の精製装置プロセスの間に発生する軽質留分(C1〜C4)である。さらに他の適切な精製装置流は、H
2および/または改質可能燃料化合物も含有するCOまたはCO
2を含有する精製装置流を追加的に、または代わりとして含むことができる。
【0141】
アノードインプットのためのさらに他の潜在的供給源は、増加した含水量を有する流れを追加的に、または代わりとして含むことができる。例えば、エタノールプラント(または別の種類の発酵プロセス)からのエタノールアウトプット流は、最終的な蒸留の前にH
2Oの実質的な部分を含む。そのようなH
2Oは、典型的に、燃料電池の作動に対して最小限の影響のみを生じることができる。したがって、アルコール(または他の発酵生成物)と水との発酵混合物を、アノードインプット流の少なくとも一部分として使用することができる。
【0142】
生物ガスまたはダイジェスターガスは、アノードインプットのための別の追加的または代わりの潜在的供給源である。生物ガスは、メタンおよびCO
2を主として含んでなってもよく、典型的に有機物質の分解または消化によって生じる。有機物質を消化し、生物ガスを生じるために、嫌気性菌が使用されてもよい。アノードインプットとしての使用の前に、不純物(例えば硫黄含有化合物)は生物ガスから除去されてもよい。
【0143】
MCFCアノードからのアウトプット流は、H
2O、CO
2、COおよびH
2を含むことができる。任意に、アノードアウトプット流は、追加的なアウトプット成分として、供給に未反応燃料(例えば、H
2もしくはCH
4)または不活性化合物を有することもできるであろう。改質反応のための熱を提供するための燃料供給源として、または電池を加熱するための燃焼燃料として、このアウトプット流を使用する代わりに、別のプロセスへのインプットとして潜在的値を有する成分(例えばH
2またはCO)からCO
2を分離するために、1つ以上の分離をアノードアウトプット流において実行することができる。H
2および/またはCOは、化学合成のために合成ガスとして、化学反応のための水素の供給源として、および/または減少された温室効果ガス排出を有する燃料として使用することができる。
【0144】
様々な態様において、アノードからのアウトプット流の組成は、いくつかの因子によって影響されることができる。アノードアウトプット組成に影響することができる因子には、アノードへのインプット流の組成、燃料電池で発生する電流の量、および/またはアノードの出口の温度を含むことができる。アノード出口の温度は、水性ガスシフト反応の平衡性質のため、関連することができる。典型的なアノードにおいて、アノードの壁を形成するプレートの少なくとも1つは、水性ガスシフト反応に触媒作用を及ぼすために適切であることができる。その結果、a)アノードインプット流の組成は既知であり、b)アノードインプット流の改質可能燃料の改質の範囲は既知であり、かつc)(発生する電流の量に相当する)カソードからアノードまで輸送される炭酸塩の量は既知である場合、アノードアウトプットの組成は、水性ガスシフト反応に関する平衡定数をベースとして決定することができる。
K
eq=[CO
2][H
2]/[CO][H
2O]
【0145】
上記の方程式で、K
eqは、所与の温度および圧力における反応のための平衡定数であり、そして[X]は成分Xの分圧である。水性ガスシフト反応をベースとして、アノードインプットにおけるCO
2濃度の増加は、追加的なCO形成(H
2を犠牲にして)をもたらす傾向があることができ、そしてH
2O濃度の増加は、追加的なH
2形成(COを犠牲にして)をもたらす傾向があることができる。
【0146】
アノードアウトプットにおける組成を決定するために、アノードインプットの組成を出発点として使用することができる。この組成は、アノード内で生じることができるいずれの改質可能燃料の改質の範囲も反映するように、次いで変性することができる。そのような改質によって、水素およびCO
2の増加と引きかえに、アノードインプットの炭化水素含有量を低下させることができる。次に、発生する電流量をベースとして、アノードインプットにおけるH
2の量は、追加的なH
2OおよびCO
2と引きかえに低下することができる。この組成は、次いで、H
2、CO、CO
2およびH
2Oの出口濃度を決定するために、水性ガスシフト反応のための平衡定数をベースとして調節することができる。
【0147】
表1は、典型的な種類の燃料に関する異なる燃料利用におけるアノード排出物組成を示す。アノード排出物組成は、アノード改質反応、水性ガスシフト反応およびアノード酸化反応の組み合わせられた結果を反映することができる。表1のアウトプット組成値は、蒸気(H
2O)対炭素(改質可能燃料)の約2:1の比率のアノードインプット組成を仮定することによって算出された。改質可能燃料は、水素に100%改質されることが仮定されたメタンであると仮定された。アノードインプットの初期のCO
2およびH
2濃度は無視することができると仮定され、インプットN
2濃度は約0.5%であった。燃料利用U
f(本明細書に定義される通り)は、表に示すように、約35%〜約70%の間で変動可能であった。燃料電池アノードのための出口温度は、平衡定数のための正確な値を決定する目的のため、約650℃であることが仮定された。
【0149】
表1は、特定の組み合わせの条件およびアノードインプット組成のためのアノードアウトプット組成を示す。より一般に、様々な態様において、アノードアウトプットは、約10体積%〜約50体積%のH
2Oを含むことができる。アノードのH
2Oはアノード酸化反応によって生じることができるため、H
2Oの量は非常に変動することができる。改質のために必要とされるよりも多いH
2Oの過剰量がアノードに導入される場合、過剰量のH
2Oは、燃料改質および水性ガスシフト反応のために、消費される(または発生する)H
2Oを除き、主に未反応のまま典型的に通過することができる。アノードアウトプットにおけるCO
2濃度も広範囲に変動することができ、例えば、約20体積%〜約50体積%のCO
2であることができる。CO
2の量は、発生する電流の量、ならびにアノードインプットフローのCO
2の量の両方によって影響を受けることができる。アノードアウトプットのH
2の量は、追加的に、または代わりとして、アノードの燃料利用次第で、約10体積%のH
2〜約50体積%のH
2であることができる。アノードアウトプットにおいて、COの量は、約5体積%〜約20体積%であることができる。なお、所与の燃料電池のためのアノードアウトプットのH
2の量と比較してのCOの量は、燃料電池に存在する温度および圧力における水性ガスシフト反応のための平衡定数によって、部分的に決定可能である。アノードアウトプットは、さらに追加的に、または代わりとして、5体積%以下の様々な他の成分、例えば、N
2、CH
4(または他の未反応炭素含有燃料)、および/または他の成分を含むことができる。
【0150】
任意に、1つ以上の水性ガスシフト反応段階が、所望であれば、アノードアウトプットにおいてCOおよびH
2OをCO
2およびH
2へと変換するために、アノードアウトプットの後に含まれることができる。アノードアウトプットに存在するH
2の量は、例えば、より低い温度で水性ガスシフト反応器を使用することによって、アノードアウトプットに存在するH
2OおよびCOをH
2およびCO
2へと変換して、増加させることができる。あるいは、温度を増加させて、水性ガスシフト反応を逆にし、H
2およびCO
2からより多くのCOおよびH
2Oを生じることができる。水は、アノードで生じる反応のアウトプットであることが予想され、アノードアウトプットは、典型的に、アノードアウトプットに存在するCOの量と比較して、過剰量のH
2Oを有することができる。あるいはH
2Oを、アノード出口の後であるが、水性ガスシフト反応の前に、流れに添加されることができる。COは、改質条件またはアノード反応の間に存在するいずれかの条件下で、改質の間の不完全な炭素変換のため、および/またはH
2O、CO、H
2およびCO
2の間での反応の釣合いをとる平衡(すなわち、水性ガスシフト平衡)のために、アノードアウトプットに存在することができる。水性ガスシフト反応器は、COおよびH
2Oを犠牲にして、CO
2およびH
2を形成する方向に、さらに平衡を進める条件下で作動されることができる。より高い温度は、COおよびH
2Oの形成をもたらす傾向があることができる。したがって、水性ガスシフト反応器を作動するための1つの選択肢は、適切な温度、例えば、約190℃〜約210℃で、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化亜鉛上の銅などの適切な触媒にアノードアウトプット流を曝露させることであることができる。任意に、水性ガスシフト反応器は、アノードアウトプット流におけるCO濃度を低下させるために、2つの段階を含むことができ、第1の高温段階は、少なくとも約300℃〜約375℃の温度で作動され、そして第2の低温段階は、約225℃以下、例えば、約180℃〜約210℃の温度で作動される。アノードアウトプットに存在するH
2の量を増加させることに加えて、水性ガスシフト反応は、COを犠牲にして、CO
2の量を追加的に、または代わりとして増加させることができる。これによって、除去が困難な一酸化炭素(CO)を、縮合(例えば、低温除去)、化学反応(例えば、アミン除去)および/または他のCO
2除去方法によってより容易に除去することができる二酸化炭素と交換することができる。追加的に、または代わりとして、H
2対COの所望の比率を達成するために、アノード排出物において存在するCO含有量を増加させることが望ましくてもよい。
【0151】
任意の水性ガスシフト反応段階を通過した後、アノードアウトプットは、アノードアウトプット流からの水および/またはCO
2の除去のために、1つ以上の分離段階を通過することができる。例えば、1つ以上のCO
2アウトプット流は、個々に、または組み合わせで1つ以上の方法を使用して、アノードアウトプットにおいてCO
2分離を実行することによって形成されることができる。そのような方法を使用して、90体積%以上のCO
2含有量、例えば、少なくとも95%体積%のCO
2、または少なくとも98体積%のCO
2を有するCO
2アウトプット流を発生させることができる。そのような方法は、アノードアウトプットのCO
2含有量の少なくとも約70%、例えば、アノードアウトプットのCO
2含有量の少なくとも約80%、または少なくとも約90%を回収することができる。あるいは、いくつかの態様において、アノードアウトプット流のCO
2の一部分のみを回収することが望ましくあり得、CO
2の回収された部分は、アノードアウトプットのCO
2の約33%〜約90%、例えば、少なくとも約40%、または少なくとも約50%であり得る。例えば、所望の組成がその後の水性ガスシフト段階において達成されることができるように、アノードアウトプットフローにいくらかのCO
2を保持することが望ましくあり得る。適切な分離方法は、物理的溶媒(例えば、Selexol(商標)またはRectisol(商標))、アミンまたは他の塩基(例えば、MEAまたはMDEA)、冷凍(例えば、低温分離)、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、およびそれらの組み合わせの使用を含んでなってもよい。低温CO
2分離器は、適切な分離器の一例であることができる。アノードアウトプットが冷却されて、アノードアウトプットの水の大部分は、凝縮された(液)相として分離することができる。アノードアウトプットフローの他の残りの成分(例えば、H
2、N
2、CH
4)は、容易に凝縮された相を形成する傾向がないため、次いで、水欠乏アノードアウトプットフローのさらなる冷却および/または圧力負荷によって、高純度CO
2を分離することができる。低温CO
2分離器は、作動条件次第で、フローに存在するCO
2の約33%〜約90%を回収することができる。
【0152】
CO
2分離実行の前、間または後の1つ以上の水のアウトプット流を形成するアノード排出物からの水の除去は、有利であることができる。アノードアウトプットの水量は、選択される作動条件次第で変動することができる。例えば、アノードインレットで確立される蒸気対炭素の比率は、アノード排出物の含水量に影響を及ぼすことができ、高い蒸気対炭素の比率では典型的に大量の水が生じ、これは未反応のまま、および/またはアノードにおける水性ガスシフト平衡によってのみ反応して、アノードを通過することができる。態様次第で、アノード排出物の含水量は、アノード排出物の体積の約30%以上までに相当することができる。追加的に、または代わりとして、含水量はアノード排出物の体積の約80%以下であることができる。そのような水は圧縮および/または冷却することによって除去されて、凝縮が得られることができるが、このような水の除去は、追加の圧縮器動力および/または熱交換表面面積および過度の冷却水を必要とすることができる。この過剰量の水の一部分を除去する1つの有利な方法は、湿潤したアノード流出物から湿度をとることができる吸着剤ベッドの使用をベースとすることができ、次いで、追加的な水をアノード供給に提供するために、乾燥アノード供給ガスを使用して、「再生」することができる。HVACスタイル(加熱、換気および空気調節)吸着ホイールデザインは、アノード排出物およびインレットが圧力で同様であることができ、そして1つの流れから他への軽度の漏れが、全体的なプロセスに対して最小限の影響を有することができるため、適用可能であることができる。CO
2除去が低温プロセスを使用して実行される実施形態において、CO
2除去の間または前の、トリエチレングリコール(TEG)系および/または乾燥剤による除去を含む水の除去は望ましくあり得る。対照的に、CO
2除去のためにアミン洗浄が使用される場合、水は、CO
2除去段階の下流でアノード排出物から除去されることができる。
【0153】
CO
2アウトプット流および/または水アウトプット流の代わりとして、またはそれに加えて、アノードアウトプットは、所望の化学または燃料生成物を含有する1つ以上の生成物流を形成するために使用することができる。そのような生成物流は、合成ガス流、水素流または合成ガス生成物および水素生成物流の両方に相当することができる。例えば、少なくとも約70体積%のH
2、例えば、少なくとも約90体積%のH
2、または少なくとも約95体積%のH
2を含有する水素生成物流を形成することができる。追加的に、または代わりとして、組み合わせたH
2およびCOの少なくとも約70体積%、例えば、H
2およびCOの少なくとも約90体積%を含有する合成ガス流を形成することができる。1つ以上の生成物流は、アノードアウトプットにおいて組み合わせられたH
2およびCOガス体積の少なくとも約75%、例えば、組み合わせられたH
2およびCOガス体積の少なくとも約85%または少なくとも約90%に相当するガス体積を有することができる。なお、生成物流のH
2およびCOの相対的な量は、生成物間で変換する水性ガスシフト反応段階の使用をベースとするアノードアウトプットのH
2対COの比率とは異なってもよい。
【0154】
いくつかの態様において、アノードアウトプットに存在するH
2の一部分を除去するか、または分離することが望ましいことができる。例えば、いくつかの態様において、アノード排出物のH
2対COの比率は、少なくとも約3.0:1であることができる。対照的に、フィッシャー−トロプシュ合成などの合成ガスを利用するプロセスは、異なる比率(例えば2:1により近い比率)で、H
2およびCOを消費してもよい。1つの代替案は、アノードアウトプットの含有量を所望の合成ガス組成により近いCO比率にH
2を有するように変性するために、水性ガスシフト反応を使用することであることができる。別の代替案は、H
2およびCOの所望の比率を達成するために、アノードアウトプットに存在するH
2の一部分を除去するために膜分離を使用すること、またはなお代わりとして、膜分離および水性ガスシフト反応の組み合わせを使用することであることができる。アノードアウトプットのH
2の一部分のみを除去するために膜分離を使用する1つの利点は、所望の分離を比較的穏やかな条件で実行することができるということであることができる。1つの目標は、なお実質的なH
2含有量を有する残留物を生じることであることができるため、高純度の水素の透過が、過酷な条件を必要とすることなく、膜分離によって発生することができる。例えば、膜の透過サイドにおいて約100kPaa以下(例えば、周囲の圧力)の圧力を有することよりも、透過サイドが周囲と比較して、なお膜分離を実行するために十分な推進力を有しながら、高い圧力であることができる。追加的に、または代わりとして、メタンなどの掃去ガスを、推進力を膜分離に提供するために使用することができる。これによってH
2透過流の純度を低下させることができるが、透過流の所望の使用次第で有利であり得る。
【0155】
本発明の様々な態様において、アノード排出物流の少なくとも一部分(好ましくは、CO
2および/またはH
2Oの分離の後)を、燃料電池および関連する改質段階の外部のプロセスのための供給として使用することができる。様々な態様において、アノード排出物は、約1.5:1〜約10:1、例えば、少なくとも約3.0:1、または少なくとも約4.0:1、または少なくとも約5.0:1のH
2対COの比率を有することができる。合成ガス流は、アノード排出物から発生することができるか、または回収されることができる。アノード排出物ガスは、任意にCO
2および/またはH
2Oの分離の後、そして任意に、過剰量の水素を除去するために、水性ガスシフト反応および/または膜分離を実行した後、H
2および/またはCOの実質的な部分を含有している流れに相当することができる。COの比較的低い含有量を有する流れに関して、例えば、H
2対COの比率が少なくとも約3:1である流れにおいて、アノード排出物は、H
2供給として使用するために適切であることができる。H
2供給から利益を得ることができるプロセスの例としては、限定されないが、精製装置プロセス、アンモニア合成プラント、または(異なる)発電システムのタービン、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。用途次第で、なおより低いCO
2含有量が望ましくなることができる。約2.2対1未満の、および約1.9:1を超えるH
2対COの比率を有する流れに関して、流れは合成ガス供給として使用するために適切であることができる。合成ガス供給から利益を得ることができるプロセスの例としては、限定されないが、ガストゥーリキッド(gas−to−liquid)プラント(例えば、非シフティング触媒を用いるフィッシャートロプシュプロセスを使用するプラント)および/またはメタノール合成プラントを含むことができる。外部プロセスのための供給として使用されるアノード排出物の量は、いずれかの都合のよい量であることもできる。任意に、アノード排出物の一部分が外部プロセスのための供給として使用される場合、アノード排出物の第2の部分は、アノードインプットにリサイクルされることができ、および/または燃焼動力発電機のための燃焼領域にリサイクルされることができる。
【0156】
異なる種類のフィッシャー−トロプシュ合成プロセスのために有用なインプット流は、アノードアウトプットから発生させるために望ましくあり得る異なる種類の生成物流の例を提供することができる。鉄をベースとする触媒などのシフティング触媒を使用するフィッシャー−トロプシュ合成反応に関して、反応系への所望のインプット流は、H
2およびCOに加えてCO
2を含むことができる。CO
2の十分な量がインプット流に存在しない場合、水性ガスシフト活性を有するフィッシャー−トロプシュ触媒は、追加的なCO
2を発生させるためにCOを消費することができ、COのない合成ガスが生じる。MCFC燃料電池によるそのようなフィッシャートロプシュ法の集積化のために、アノードアウトプットのための分離段階は、合成ガス生成物におけるCO
2(および任意にH
2O)の所望の量を保持するように作動させることができる。対照的に、非シフティング触媒をベースとするフィッシャー−トロプシュ触媒に関して、生成物流に存在するいずれのCO
2も、フィッシャー−トロプシュ反応系において不活性成分として役立つことができる。
【0157】
メタン掃去ガスなどの掃去ガスによって膜が掃去される態様において、メタン掃去ガスは、アノード燃料として、または異なる低圧プロセス、例えば、煮沸器、炉、ガスタービン、もしくは他の燃料消費デバイスにおいて使用されるメタン流に相当することができる。そのような態様において、膜を通しての低濃度のCO
2透過は、最小限の結果を有することができる。膜を透過し得るそのようなCO
2は、アノード内での反応に対して最小限の影響を有することができ、そしてそのようなCO
2は、アノード生成物に含有されて残ることができる。したがって、透過によって膜を通して損失したCO
2は(存在する場合)、MCFC電解質を通って再び転送される必要はない。これは、水素透過膜の分離選択性必要条件を有意に低下させることができる。これによって、例えば、より低い選択性を有する、より高い透過性の膜の使用が可能となり、そしてこれによって、より低い圧力および/または減少した膜表面面積の使用が可能となる。本発明のそのような態様において、掃去ガスの体積は、アノード排出物の水素の体積の何倍も大きいことが可能であり、これによって、透過サイドにおける有効な水素濃度をゼロ付近に維持することが可能となる。そのようにして分離された水素は、タービン供給メタンに組み込まれることができ、それによって、上記の通り、タービン燃焼特徴を向上させることができる。
【0158】
なお、アノードで生じる過剰量のH
2は、温室効果ガスがすでに分離された燃料を表すことができる。アノードアウトプットにおけるいずれのCO
2も、アミン洗浄、低温CO
2分離器、および/または圧力もしくは真空スイング吸収プロセスなどによって、アノードアウトプットから容易に分離することができる。アノードアウトプットの成分のいくつか(H
2、CO、CH
4)は容易に除去されないが、CO
2およびH
2Oは通常容易に除去することができる。実施形態次第で、アノードアウトプットのCO
2の少なくとも約90体積%を分離して、比較的高純度のCO
2アウトプット流を形成することができる。したがって、アノードで発生するいずれのCO
2も効率的に分離することができ、高純度CO
2アウトプット流が形成される。分離後、アノードアウトプットの残りの部分は、主として、CO
2および/またはH
2Oの量が低下して、化学および/または燃料値を有する成分に相当することができる。最初の燃料(改質前)によって発生するCO
2の実質的な部分を分離することができるため、アノードアウトプットの残りの部分のその後の燃焼によって発生するCO
2の量を低下させることができる。特に、アノードアウトプットの残りの部分の燃料がH
2である範囲まで、追加的な温室効果ガスは、この燃料の燃焼によって、典型的に形成されることができない。
【0159】
アノード排出物は、水性ガスシフトおよび互いからの成分の分離を含む、様々なガス処理の選択肢を受けることができる。2つの一般的なアノード処理スキームを
図6および7に示す。
【0160】
図6は、化学合成プロセスに関連して溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイを作動するための反応系の実施例を概略的に示す。
図6中、燃料流605は、燃料電池620、例えば、燃料電池アレイの燃料電池積層の一部分である燃料電池のアノード627と関連する改質段階610に提供される。燃料電池620と関連する改質段階610は、燃料電池アセンブリの内部であることができる。いくつかの任意の態様において、外部改質段階(図示せず)を、燃料電池アセンブリにインプット流を通過させる前に、インプット流において改質可能燃料の一部分を改質するために使用することもできる。燃料流605は、好ましくは、改質可能燃料、例えば、メタン、他の炭化水素、および/または他の炭化水素様化合物、例えば、炭素−水素結合を含有する有機化合物を含むことができる。燃料流605は、任意に、H
2および/またはCO、例えば、任意のアノードリサイクル流685によって提供されるH
2および/またはH
2を含有することもできる。なお、アノードリサイクル流685は任意であり、多くの態様において、リサイクル流は、直接的に、または燃料流605もしくは改質された燃料流615との組み合わせを通して間接的に、アノード排出物625からアノード627に提供されない。改質後、改質された燃料流615を、燃料電池620のアノード627に通過させることができる。CO
2およびO
2含有流619をカソード629に通過させることもできる。燃料電池のカソード部分629からの炭酸塩イオン622、CO
32−のフローは、アノード燃料電池反応のために必要とされる残りの反応物を提供する。アノード627における反応をベースとして、得られるアノード排出物625は、H
2O、CO
2、1つ以上の不完全に反応した燃料に相当する成分(H
2、CO、CH
4、または改質可能燃料に相当する他の成分)、ならびに任意に1つ以上の追加的な非反応性成分、例えば、N
2、および/または燃料流605の一部分である他の汚染物質を含むことができる。アノード排出物625を、次いで、1つ以上の分離段階に通過させることができる。例えば、CO
2除去段階640は、低温CO
2除去システム、CO
2などの酸性ガスの除去のためのアミン洗浄段階、またはCO
2アウトプット流643をアノード排出物から分離するためのCO
2分離段階の別の適切な種類に相当することができる。任意に、アノード排出物を水性ガスシフト反応器630に最初に通過させて、(いくらかのH
2Oに加えて)アノード排出物に存在するいずれのCOも、任意に水性ガスシフトされたアノード排出物635において、CO
2およびH
2に変換することができる。CO
2除去段階の性質次第で、水縮合または除去段階650は、アノード排出物からの水アウトプット流653を除去するために望ましくてもよい。CO
2分離段階640後の
図6に示されるが、それは、その代わりにCO
2分離段階640前に任意に位置してもよい。追加的に、H
2の高純度透過流663を発生させるために、H
2分離のための任意の膜分離段階660を使用することができる。得られた保留物流666は次いで、化学合成プロセスへのインプットとして使用することができる。流れ666は、H
2、COおよびCO
2含有量を異なる比率に調節するために、第2の水性ガスシフト反応器631において、追加的に、または代わりとしてシフトされることができ、化学合成プロセスにおけるさらなる使用のためのアウトプット流668を生じる。
図6中、アノードリサイクル流685は、保留物流666から回収されるように示されるが、アノードリサイクル流685は、追加的に、または代わりとして、様々な分離段階またはその間の他の有利な位置から回収されることができる。分離段階およびシフト反応器は、異なる順番で、および/または並列構成で、追加的に、または、代わりとして構成されることができる。最終的に、カソード629からのアウトプットとして、CO
2 639の低下した含有量を有する流れが発生することができる。単純さのために、本プロセスにおいて有用であり得る圧縮および熱添加/除去の様々な段階、ならびに蒸気添加または除去は示されない。
【0161】
上記の通り、アノード排出物において実行される様々な種類の分離は、いずれの都合のよい順番でも実行することができる。
図7は、アノード排出物において分離を実行するための別の順番の実施例を示す。
図7中、アノード排出物625を、最初に、アノード排出物625から水素含有量の一部分763を除去するための分離段階760に通過させることができる。これによって、例えば、2:1により近いH
2:COの比率で保留物766を提供するように、アノード排出物のH
2含有量の減少を可能にすることができる。次いで、H
2対COの比率は、水性ガスシフト段階730において所望の値を達成するために調節することができる。水性ガスシフトされたアウトプット735を、次いで、CO
2分離段階740および水除去段階750に通過させ、所望の化学合成プロセスへのインプットとしての使用のために適切な流れ775を生じることができる。任意に、アウトプット流775を、追加的な水性ガスシフト段階(図示せず)に暴露させることができる。アウトプット流775の一部分は、任意にアノードインプットへリサイクルされることができる(図示せず)。もちろん、分離段階のさらに他の組み合わせおよび配列は、所望の組成を有するアノードアウトプットをベースとする流れを発生させるために使用することができる。単純さのために、プロセスにおいて有用であり得る様々な段階の圧縮および熱添加/除去、ならびに蒸気添加または除去は示されない。
【0162】
カソードインレットおよびアウトプット
従来、溶融炭酸塩形燃料電池は、アノードに送達される燃料流における燃料のいくらかの部分を消費しながら、所望の負荷を引き出すことをベースとして作動されることができる。次いで、燃料電池の電圧は、負荷、アノードへの燃料インプット、カソードに提供される空気およびCO
2、ならびに燃料電池の内部抵抗によって決定することができる。カソードへのCO
2は、従来、カソードインプット流の少なくとも一部分としてアノード排出物を使用することによって、部分的に提供されることができる。対照的に、本発明はアノードインプットおよびカソードインプットのための別々の/異なる供給源を使用することができる。アノードインプットフローおよびカソードインプットフローの組成物のいずれの直接的な関連も除去することによって、追加的な選択肢は、燃料電池を作動するために利用可能になり、例えば、過剰量の合成ガスを発生させ、二酸化炭素の捕捉を改善し、および/または特に、燃料電池の全体効率(電気および化学動力)を改善する。
【0163】
溶融炭酸塩形燃料電池において、燃料電池における電解質を通る炭酸塩イオンの輸送は、第1のフローパスから第2のフローパスへCO
2を輸送し、より低い濃度(カソード)からより高い濃度(アノード)への輸送を可能にし、したがって、CO
2の捕捉を促進することができる方法を提供することができる。CO
2分離のための燃料電池の選択性の一部分は、電池が電力を発生させることを可能にする電気化学的反応をベースとすることができる。燃料電池内での電気化学的反応に効果的に関与しない非反応性種(例えば、N
2)に関して、反応およびカソードからアノードまでの輸送に重要ではない量が存在することができる。対照的に、カソードとアノードとの間のポテンシャル(電圧)差は、燃料電池を通って強い推進力を炭酸塩イオンの輸送に提供することができる。その結果、溶融炭酸塩形燃料電池中の炭酸塩イオンの輸送は、比較的高選択性で、CO
2が、カソード(より低いCO
2濃度)からアノード(より高いCO
2濃度)まで輸送されることを可能にする。しかしながら、二酸化炭素除去のために溶融炭酸塩形燃料電池を使用することにおける課題は、燃料電池が比較的希薄なカソード供給から二酸化炭素を除去するために限られた能力を有するということであることができる。約2.0体積%未満までCO
2濃度が低下すると、炭酸塩形燃料電池によって発生する電圧および/または動力は急速に低下を開始することができる。さらにCO
2濃度が、例えば、約1.0体積%未満まで低下すると、ある点で、燃料電池の電圧は、炭酸塩の輸送がほとんど生じないか、またはもはや生じず、燃料電池が機能を停止するほど十分に低くなることができる。したがって、少なくともいくらかのCO
2は、おそらく、商業的に実行可能な作動条件で燃料電池のカソード段階からの排出物ガスに存在する。
【0164】
燃料電池カソードに送達される二酸化炭素の量は、カソードインレットのための供給源のCO
2含有量をベースとして決定することができる。カソードインプットフローとしての使用のために適切なCO
2含有流の一例は、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローであることができる。燃焼供給源の例には、限定されないが、天然ガスの燃焼、石炭の燃焼、および/または他の炭化水素型燃料(生物学的に誘導された燃料を含む)の燃焼をベースとする供給源が含まれる。追加的、または代わりの供給源には、他の種類の煮沸器、燃焼された加熱器、炉、および/または別の物質(例えば、水または空気)を加熱するために炭素含有燃料を燃焼させる他の種類のデバイスを含むことができる。第1の概算に対して、燃焼供給源からのアウトプットフローのCO
2含有量は、フローの少数部分であることができる。より高いCO
2含有量排出物フロー、例えば、石炭燃焼供給源からのアウトプットに関して、ほとんどの商業的な石炭燃焼発電所からのCO
2含有量は、約15体積%以下であることができる。より一般に、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、少なくとも約1.5体積%、または少なくとも約1.6体積%、または少なくとも約1.7体積%、または少なくとも約1.8体積%、または少なくとも約1.9体積%、または少なくとも約2体積%、または少なくとも約4体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、約20体積%以下、例えば、約15体積%以下、または約12体積%以下、または約10体積%以下、または約9体積%以下、または約8体積%以下、または約7体積%以下、または約6.5体積%以下、または約6体積%以下、または約5.5体積%以下、または約5体積%以下、または約4.5体積%以下であることができる。上記で示される濃度は、乾燥基準である。なお、より低いCO
2含有量値は、いくつかの天然ガスまたはメタン燃焼供給源、例えば、排出物ガスリサイクルループを含んでもよいか、または含まなくてもよい発電システムの一部分である発電機からの排出物において存在することができる。
【0165】
カソードインプット流のための他の潜在的な供給源は、生物的に生じたCO
2の供給源を追加的に、または代わりとして含むことができる。これは、例えば、バイオ誘導化合物の処理の間に発生するCO
2、例えば、エタノール生成の間に発生するCO
2を含むことができる。追加的または代わりの例は、生物的に生じた燃料の燃焼、例えば、リグノセルロースの燃焼によって発生するCO
2を含むことができる。さらに他の追加的または代わりの潜在的なCO
2供給源は、様々な工業プロセスからのアウトプットまたは排気物流、例えば、鉄鋼、セメントおよび/または紙の製造のためにプラントによって発生するCO
2含有流に相当することができる。
【0166】
CO
2のさらに別の追加的または代わりの潜在的な供給源は、燃料電池からのCO
2含有流であることができる。燃料電池からのCO
2含有流は、異なる燃料電池からのカソードアウトプット流、異なる燃料電池からのアノードアウトプット流、カソードアウトプットから燃料電池のカソードインプットへのリサイクル流、および/またはアノードアウトプットから燃料電池のカソードインプットへのリサイクル流に相当することができる。例えば、従来の条件で独立モードで作動されたMCFCは、少なくとも約5体積%のCO
2濃度を有するカソード排出物を発生させることができる。そのようなCO
2含有カソード排出物は、本発明の態様によって作動されるMCFCのためのカソードインプットとして使用することができる。より一般に、カソード排出物からCO
2アウトプットを発生させる他の種類の燃料電池を、追加的に、または代わりとして使用することができ、ならびに他の種類のCO
2含有流が、「燃焼」反応によって、および/または燃焼発電機によって発生しない。任意に、しかし好ましくは、別の燃料電池からのCO
2含有流は、別の溶融炭酸塩形燃料電池からであることができる。例えば、カソードに関して直列に連結される溶融炭酸塩形燃料電池に関して、第1の溶融炭酸塩形燃料電池のカソードからのアウトプットを、第2の溶融炭酸塩形燃料電池のカソードへのインプットとして使用することができる。
【0167】
燃焼供給源以外の供給源からの様々な種類のCO
2含有流に関して、流れのCO
2含有量は広範囲に変動することができる。カソードへのインプット流のCO
2含有量は、少なくとも約2体積%、例えば、少なくとも約4体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%のCO
2を含有することができる。追加的に、または代わりとして、カソードへのインプット流のCO
2含有量は、約30体積%以下、例えば、約25体積%以下、または約20体積%以下、または約15体積%以下、または約10体積%以下、または約8体積%以下、または約6体積%以下、または約4体積%以下であることができる。いくつかのさらにより高いCO
2含有量流に関して、CO
2含有量は、約30体積%より高いことができ、例えば、流れは、CO
2と、他の化合物の重要ではない量のみから実質的に構成される。一例として、排出物ガスリサイクルのないガス燃焼タービンは、約4.2体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。EGRによって、ガス燃焼タービンは、約6〜8体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。メタンの化学量論的な燃焼は、約11体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。石炭の燃焼は、約15〜20体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。精製装置オフガスを使用する燃焼加熱器は、約12〜15体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。いずれのEGRも用いない、低BTUガスにおいて作動されるガスタービンは、約12体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。
【0168】
CO
2に加えて、カソードインプット流は、カソード反応のために必要な成分を提供するために、O
2を含まなければならない。いくつかのカソードインプット流は、成分として空気を有することをベースとすることができる。例えば、燃焼排出物流は、空気の存在下で、炭化水素燃料を燃焼させることによって形成することができる。そのような燃焼排出物流、または別の種類の空気の含有をベースとする酸素含有量を有するカソードインプット流は、約20体積%以下、例えば約15体積%以下、または約10体積%以下の酸素含有量を有することができる。追加的に、または代わりとして、カソードインプット流の酸素含有量は、少なくとも約4体積%、例えば少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%であることができる。より一般に、カソードインプット流は、カソード反応を実行するために適切な酸素の含有量を有することができる。いくつかの態様において、これは、約5体積%〜約15体積%、例えば、約7体積%〜約9体積%の酸素含有量に相当することができる。多くの種類のカソードインプット流に関して、CO
2およびO
2の組み合わせられた量は、インプット流の約21体積%未満、例えば、流れの約15体積%未満または流れの約10体積%未満に相当することができる。酸素を含有する空気流を、低酸素含有量を有するCO
2供給源と組み合わせることができる。例えば、石炭を燃焼させることによって発生する排出物流は、カソードインレット流を形成するために空気と混合することができる低酸素含有量を含んでもよい。
【0169】
CO
2およびO
2に加えて、カソードインプット流は、N
2、H
2Oおよび他の典型的な酸化剤(空気)成分などの不活性/非反応性な種から構成されることもできる。例えば、燃焼反応からの排出物から誘導されるカソードインプットに関して、燃焼反応のために酸化剤供給源の一部として空気が使用される場合、排出物ガスは、空気の典型的な成分、例えば、N
2、H
2Oおよび空気に存在する少量の他の化合物を含むことができる。燃焼反応のための燃料供給源の性質次第で、燃料供給源をベースとする燃焼の後に存在する追加的な種としては、H
2O、窒素(NOx)および/または硫黄(SOx)の酸化物、ならびに燃料に存在し、および/または燃料に存在する部分的もしくは完全燃焼生成物、例えば、COである他の化合物の1つ以上が含まれ得る。これらの種は、全体的なカソード活性を低下させ得るが、カソード触媒表面を損なわない量で存在し得る。そのような性能の低下は容認可能であり得、またはカソード触媒と相互作用する種は、既知の汚染物質除去技術によって容認可能な濃度まで低下され得る。
【0170】
カソードインプット流(例えば、燃焼排出物をベースとするインプットカソード流)に存在するO
2の量は、有利には、燃料電池においてカソード反応のために必要とされる酸素を提供するために十分であることができる。したがって、O
2の体積パーセントは、有利には、排出物のCO
2の量の少なくとも0.5倍であることができる。任意に、必要に応じて、追加的な空気は、カソード反応のために十分な酸化剤を提供するために、カソードインプットに添加されることができる。いくつかの形態の空気が酸化剤として使用される場合、カソード排出物中のN
2の量は、少なくとも約78体積%、例えば少なくとも約88体積%、および/または約95体積%以下であることができる。いくつかの態様において、カソードインプット流は、汚染物質として一般に見られる化合物、例えば、H
2SまたはNH
3を追加的に、または代わりとして含有することができる。他の態様において、カソードインプット流は、そのような汚染物質の含有量を低下させるか、または最小化するためにクリーン化されることができる。
【0171】
電解質を通る輸送のために炭酸塩イオンを形成する反応に加えて、カソードにおける条件は、酸化窒素から硝酸塩および/または硝酸塩イオンへの変換のために適切であることもできる。以下、便宜のために硝酸塩イオンのみが記載される。得られる硝酸塩イオンも、アノードにおける反応のために電解質を通って輸送されることができる。カソードインプット流のNOx濃度は、典型的にppmの規模であることができるため、この硝酸塩輸送反応は、電解質を通って輸送される炭酸塩の量に対して最小限の影響を有することができる。しかしながら、NOx除去のこの方法は、NOx排出を低下させる機構を提供することができるため、ガスタービンからの燃焼排出物をベースとするカソードインプット流に関して有利であることができる。カソードにおける条件は、(カソードインプット流のO
2と組み合わせて)未燃焼炭化水素から典型的な燃焼生成物、例えば、CO
2およびH
2Oへの変換のために、追加的に、または代わりとして適切であることができる。
【0172】
MCFCの作動のための適切な温度は、約450℃〜約750℃、例えば、少なくとも約500℃、例えば、約550℃のインレット温度および約625℃のアウトレット温度であることができる。カソードに入る前に、所望であれば、例えば、他のプロセス、例えば、アノードのために燃料インプットを改質するプロセスに熱を提供するため、熱を燃焼排出物に添加、または除去することができる。例えば、カソードインプット流のための供給源が燃焼排出物流である場合、燃焼排出物流は、カソードインレットのための所望の温度より高い温度を有してもよい。そのような態様において、カソードインプット流としての使用の前に、熱を燃焼排出物から除去することができる。あるいは、燃焼排出物は、例えば、石炭燃焼煮沸器の湿式ガススクラバーの後、非常に低温である可能性があり、そのような場合、燃焼排出物は約100℃未満であることができる。あるいは、燃焼排出物は、複合サイクルモードで作動されたガスタービンの排出物からであることが可能であり、その場合、追加的な発電のために蒸気を生じさせて、蒸気タービンを動作することによってガスを冷却することができる。この場合、ガスは約50℃未満であることができる。所望よりも冷たい燃焼排出物に熱を添加することができる。
【0173】
燃料電池配列
様々な態様において、燃料電池(例えば、複数の燃料電池積層を含有する燃料電池アレイ)のための構成選択肢は、複数の燃料電池間でCO
2含有流を分割することであることができる。CO
2含有流のいくつかの種類の供給源は、個々の燃料電池の能力と比較して、大きい体積フローレートを発生させることができる。例えば、工業用の燃焼供給源からのCO
2含有アウトプット流は、典型的に、適切な径の単一MCFCのために望ましい作動条件と比較して大きいフロー体積に相当することができる。単一MCFCで全フローを処理する代わりに、それぞれのユニットのフローレートが所望のフロー範囲内にあることができるように、通常そのなかの少なくともいくつかが並列であることができる複数のMCFCユニットの間にフローを分割することができる。
【0174】
第2の構成の選択肢は、フロー流からCO
2を連続的に除去するために、直列に燃料電池を利用することであることができる。CO
2含有流を並列に分配することができる初期の燃料電池の数に関係なく、それぞれの初期の燃料電池は、さらに追加的なCO
2を除去するために、直列の1つ以上の追加的な電池が続くことができる。カソードアウトプットにおけるCO
2の所望の量が十分に低い場合、単一燃料電池または燃料電池段階において所望の濃度までカソードインプット流からCO
2を除去することを試みることによって、燃料電池のための低いおよび/または予測不可能な電圧アウトプットが導かれることができるであろう。単一燃料電池または燃料電池段階において所望の濃度までCO
2を除去することを試みるよりも、CO
2は所望の濃度を達成することができるまで、連続した電池において除去されることができる。例えば、燃料電池の直列のそれぞれの電池を使用して、燃料流に存在するCO
2のいくらかのパーセント(例えば、約50%)を除去することができる。そのような例において、3つの燃料電池が直列に使用される場合、CO
2濃度を低下させることができる(例えば、存在する最初の量の約15%未満まで、これは、直列の3つの燃料電池のコース上で約6%から約1%未満までCO
2濃度を低下させることに相当することができる)。
【0175】
別の構成において、作動条件は、所望のアウトプット電圧を提供するために、直列のより早い燃料段階において選択されることができるが、段階のアレイは、炭素分離の所望の濃度を達成するために選択されることができる。一例として、燃料電池のアレイは、直列に3つの燃料電池で使用されることができる。直列の最初の2つの燃料電池は、所望のアウトプット電圧を維持しながら、CO
2を除去するために使用されることができる。次いで、最終的な燃料電池は、所望の濃度までであるが、より低い電圧で、CO
2を除去するために作動されることができる。
【0176】
なお別の構成において、燃料電池アレイにおいてアノードおよびカソードに関して別々の接続性があることができる。例えば、燃料電池アレイが直列に連結される燃料カソードを含む場合、相当するアノードは、いずれかの都合のよい方法で連結されることができ、例えば、それらの相当するカソードと同一の配列に必ずしも適合しない。これには、例えば、それぞれのアノードが同種類の燃料供給を受け取るように、並列にアノードを連結すること、および/またはアノードの最高燃料濃度が最低CO
2濃度を有するそれらのカソードに相当することができるように逆直列でアノードを連結することが含まれることができる。
【0177】
さらに別の構成において、1つ以上のアノード段階まで送達される燃料の量および/または1つ以上のカソード段階まで送達されるCO
2の量は、燃料電池アレイの性能を改善するために制御することができる。例えば、燃料電池アレイは、直列に連結される複数のカソード段階を有することができる。直列に3つのカソード段階を含むアレイにおいて、これは、第1のカソード段階からのアウトプットは、第2のカソード段階のためのインプットに相当することができ、そして第2のカソード段階からのアウトプットは、第3のカソード段階のためのインプットに相当することができることを意味する。この種類の構成において、CO
2濃度は、それぞれの連続したカソード段階で減少することができる。この低下したCO
2濃度の埋め合わせをするために、追加的な水素および/またはメタンを、その後のカソード段階に相当するアノード段階まで送達することができる。その後のカソード段階に相当するアノードの追加的な水素および/またはメタンは、低下したCO
2濃度によって生じる電圧および/または電流の損失を少なくとも部分的に相殺することができ、これによって燃料電池によって生じる電圧、したがって正味の動力を増加させることができる。別の実施例において、燃料電池アレイのカソードは、部分的に直列かつ部分的に並列に連結させることができる。この種類の実施例において、第1のカソード段階においてカソード中に全燃焼アウトプットを通過させる代わりに、燃焼排出物の少なくとも一部分は、その後のカソード段階中に通過させることができる。これによって、その後のカソード段階においてCO
2含有量の増加を提供することができる。アノード段階またはカソード段階のいずれかまで可変的な供給を使用するためのさらに他の選択肢は、所望であれば使用することができる。
【0178】
上記の通り、燃料電池のカソードは、燃料電池のアレイからの複数のカソードに相当することができる。いくつかの態様において、燃料電池アレイは、カソードからアノードまで転送される炭素の量を改善するか、または最大にするために作動させることができる。そのような態様において、(典型的に直列配列を少なくとも含むか、または最終的なカソードおよび初期のカソードが同一である)アレイ配列における最終的なカソードからのカソードアウトプットに関して、アウトプット組成物は、約2.0体積%以下のCO
2(例えば、約1.5体積%以下または約1.2体積%以下)、および/または少なくとも約1.0体積%のCO
2、例えば、少なくとも約1.2体積%、または少なくとも約1.5体積%を含むことができる。この限定のために、溶融炭酸塩形燃料電池使用時のCO
2除去の正味の効率は、カソードインプットにおけるCO
2の量に依存することができる。約6体積%より高く、例えば、少なくとも約8体積%のCO
2含有量を有するカソードインプット流に関しては、除去することができるCO
2の量の限定は厳しくない。しかしながら、典型的にガスタービンで見られるような、過剰量の空気とともに燃料として天然ガスを使用する燃焼反応に関して、燃焼排出物のCO
2の量は、約5体積%未満のカソードインプットにおけるCO
2濃度に相当するのみであり得る。排出物ガスリサイクルの使用によって、カソードインプットにおけるCO
2の量を少なくとも約5体積%、例えば少なくとも約6体積%まで増加させることができる。約6体積%より高いCO
2濃度を生じるために燃料として天然ガスを使用する時にEGRが増加する場合、次いで、燃焼室における可燃性を減少させることができ、そしてガスタービンは不安定化し得る。しかしながら、H
2が燃料に添加される場合、可燃性ウィンドウは有意に増加することが可能であり、少なくとも約7.5体積%または少なくとも約8体積%のカソードインプットにおけるCO
2の濃度が達成可能となるように、排出物ガスリサイクルの量をさらに増加させることができる。一例として、カソード排出物における約1.5体積%の除去限界をベースとして、約5.5体積%から約7.5体積%までカソードインプットにおけるCO
2含有量を増加させることは、最終的なCO
2分離のために燃料電池を使用して捕捉することができ、かつアノードループへ輸送することができるCO
2の量の約10%増加に相当することができる。カソードアウトプットにおけるO
2の量は、典型的に除去されるCO
2の量と比例した量で、追加的に、または代わりとして低下させることができ、それによって、カソード出口におけるその他の(非カソード反応性)種の量の小さい相当する増加をもたらすことができる。
【0179】
他の態様において、燃料電池アレイは、燃料電池のエネルギーアウトプット、例えば、全エネルギーアウトプット、電気エネルギーアウトプット、合成ガス化学エネルギーアウトプットまたはそれらの組み合わせを改善するか、または最大にするために作動させることができる。例えば、溶融炭酸塩形燃料電池は、例えば、化学合成プラントに用いられる合成ガス流の発生のため、および/または高純度水素流の発生のために、様々な状態において過剰量の改質可能燃料を用いて作動させることができる。合成ガス流および/または水素流は、合成ガス供給源、水素供給源として、クリーンな燃料供給源として、および/または他のいずれかの都合のよい用途のために使用することができる。そのような態様において、カソード排出物のCO
2の量は、カソードインプット流におけるCO
2の量、および燃料電池エネルギーアウトプットを改善するか、または最大にするための所望の作動条件でのCO
2利用に関連することができる。
【0180】
追加的に、または代わりとして、作動条件次第で、MCFCは、約5.0体積%以下、例えば、約4.0体積%以下、または約2.0体積%以下、または約1.5体積%以下、または約1.2体積%以下までカソード排出物流のCO
2含有量を低下させることができる。追加的に、または代わりとして、カソード排出物流のCO
2含有量は、少なくとも約0.9体積%、例えば、少なくとも約1.0体積%、または少なくとも約1.2体積%、または少なくとも約1.5体積%であることができる。
【0181】
溶融炭酸塩形燃料電池の作動
いくつかの態様において、燃料電池は、単回通過または貫流モードで作動されてよい。単回通過モードにおいては、アノード排出物の改質された生成物はアノードインレットに戻されない。したがって、アノードアウトプットから直接、アノードインレットに合成ガス、水素またはいくつかの他の生成物をリサイクルすることは、単回通過作動では行われない。より一般に、単回通過作動において、アノード排出物の改質された生成物は、例えば、その後アノードインレットに導入された燃料流を処理するために改質された生成物を用いることによって、アノードインレットに間接的にも戻されない。任意に、アノードアウトレットからのCO
2は、単回通過モードのMCFCの作動の間、カソードインレットにリサイクルされることができる。より一般に、いくつかの別の態様において、アノードアウトレットからカソードインレットへのリサイクルは、単回通過モードで作動するMCFCに関して生じてもよい。アノード排出物またはアウトプットからの熱は、単回通過モードにおいて追加的に、または代わりとしてリサイクルされてもよい。例えば、アノードアウトプットフローは熱交換器を通過してもよく、そこでは、アノードアウトプットは冷却されて、そして別の流れ、例えばアノードおよび/またはカソードのためのインプット流が加温される。アノードから燃料電池まで熱をリサイクルすることは、単回通過または貫流モード作動における使用と調和する。任意に、しかし好ましくはないが、アノードアウトプットの成分は、単回通過モードの間、燃料電池に熱を提供するために燃焼されてもよい。
【0182】
図2は、電力の発生のためのMCFCの作動の概略的実施例を示す。
図2中、燃料電池のアノード部分は、インプットとして燃料および蒸気(H
2O)を受け取ることができ、水、CO
2、ならびに任意に過剰量のH
2、CH
4(または他の炭化水素)および/またはCOがアウトプットである。燃料電池のカソード部分は、インプットとしてCO
2およびいくつかの酸化剤(例えば、空気/O
2)を受け取ることができ、アウトプットはO
2欠乏酸化剤(空気)における減少した量のCO
2に相当する。燃料電池内で、カソードサイドで形成されるCO
32−イオンは電解質を通って輸送されることができ、アノードで生じる反応のために必要とされる炭酸塩イオンを提供することができる。
【0183】
図2に示される実施例の燃料電池などの溶融炭酸塩形燃料電池内で、いくつかの反応が生じることができる。改質反応は任意であることができ、十分なH
2がアノードに直接提供される場合、減少させるか、または排除することができる。以下の反応はCH
4をベースとするが、他の燃料が燃料電池で使用される場合、同様の反応が生じることができる。
【化1】
【0184】
反応(1)は、燃料電池のアノードにおける使用のためにH
2を発生させるための基本的な炭化水素改質反応を表す。反応(1)で形成されるCOは、水性ガスシフト反応(2)によって、H
2に変換されることができる。反応(1)および(2)の組み合わせは、反応(3)として示される。反応(1)および(2)は、燃料電池の外部で生じることができ、および/または改質はアノードの内部で実行することができる。
【0185】
反応(4)および(5)は、それぞれアノードおよびカソードにおいて、燃料電池内で電力発生をもたらすことができる反応を表す。反応(4)は、供給に存在するか、または反応(1)および/もしくは(2)によって任意に発生するH
2を炭酸塩イオンと組み合わせ、H
2O、CO
2および回路への電子を形成する。反応(5)は、O
2、CO
2および回路からの電子を組み合わせ、炭酸塩イオンを形成する。反応(5)によって発生する炭酸塩イオンは、反応(4)のために必要とされる炭酸塩イオンを提供するために、燃料電池の電解質を通って輸送されることができる。電解質を通る炭酸塩イオンの輸送と組み合わせて、閉じた電流ループが、アノードとカソードとの間の電気接続を提供することによって、次いで形成されることができる。
【0186】
様々な実施形態において、燃料電池を作動する目標は、燃料電池の全体の効率、および/または燃料電池と、集積化された化学合成プロセスの全体の効率を改善することであることができる。これは、目標が、電力の発生のために電池に提供される燃料を使用するための高電気効率を有する燃料電池を作動することであることができる、従来の燃料電池の作動とは典型的に対照的である。上記で定義されるように、全体の燃料電池効率は、燃料電池の電気アウトプットおよび燃料電池アウトプットの低位発熱量を、燃料電池のためのインプット成分の低位発熱量によって割ることによって決定され得る。言い換えると、TFCE=(LHV(el)+LHV(sg out))/LHV(in)であり、式中、LHV(in)およびLHV(sg out)は、燃料電池に送達された燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)、ならびにアノードアウトレット流またはフローの合成ガス(H
2、COおよび/またはCO
2)のLHVを指す。これは、燃料電池および/または集積化された化学プロセスによって発生する電気エネルギーおよび化学エネルギーの尺度を提供することができる。なお、全効率のこの定義の下、燃料電池内で使用され、かつ/または集積化された燃料電池/化学合成システム内で使用される熱エネルギーは、全効率に寄与することができる。しかしながら、交換されるか、あるいはその他の場合には燃料電池または集積化された燃料電池/化学合成システムから回収されるいずれの過剰量の熱も、この定義から排除される。したがって、燃料電池からの過剰量の熱が、例えば、蒸気タービンによる発電のために蒸気を発生させるために使用される場合、そのような過剰量の熱は全効率の定義から排除される。
【0187】
いくつかの操作パラメーターは、過剰量の改質可能燃料によって燃料電池を作動するために修正されてもよい。いくつかのパラメーターは、燃料電池作動に現在推奨されるものと同様であることができる。いくつかの態様において、燃料電池へのカソード条件および温度インプットは、文献で推奨されるものと同様であることができる。例えば、所望の電気効率および所望の全燃料電池効率は、溶融炭酸塩形燃料電池のために典型的な燃料電池動作温度の範囲で達成され得る。典型的な作動において、燃料電池を通って温度を増加させることができる。
【0188】
他の態様において、燃料電池が、アノードインレットからアノードアウトレットへ、および/またはカソードインレットからカソードアウトレットへの温度低下を可能にするように作動されるように、燃料電池の操作パラメーターは、典型的な条件から逸脱することができる。例えば、炭化水素をH
2およびCOに変換する改質反応は、吸熱性反応である。電流を発生させる水素の酸化の量と比較して、十分な量の改質が燃料電池アノードで実行される場合、燃料電池における正味の熱バランスは吸熱性であることができる。これは、燃料電池のインレットとアウトレットとの間での温度低下を生じることができる。吸熱性作動の間、燃料電池において電解質が溶融状態で残存するように、燃料電池の温度低下は制御されることができる。
【0189】
現在推奨されるものとは異なるようにする方法で修正することができるパラメーターには、アノードに提供される燃料の量、アノードに提供される燃料の組成、ならびに/あるいはアノード排出物からアノードインプットまたはカソードインプットのいずれかへの合成ガスの有意なリサイクルを伴わないアノードアウトプットの合成ガスの分離および捕捉を含むことができる。いくつかの態様において、アノード排出物からのアノードインプットまたはカソードインプットのいずれかへの合成ガスまたは水素のリサイクルは、直接的に、または間接的に生じさせないことが可能である。追加的または別の態様において、リサイクルの限定的な量を生じることができる。そのような態様において、アノード排出物からアノードインプットおよび/またはカソードインプットへのリサイクルの量は、アノード排出物の約10体積%未満、例えば、約5体積%未満、または約1体積%未満であることができる。
【0190】
追加的に、または代わりとして、燃料電池を作動する目標は、電力の発生を可能にすることに加えて、燃焼反応またはCO
2アウトプット流を生じる別のプロセスのアウトプット流からCO
2を分離することであることができる。そのような態様において、組み合わせられた発電機/燃料電池システムによって発生する大部分の動力を提供することができる、1つ以上の発電機またはタービンに動力を供給するために、燃焼反応を使用することができる。燃料電池による発電を最適化するために燃料電池を作動するよりも、このシステムはその代わりに、二酸化炭素を捕捉するために必要とされる燃料電池の数を減少させるか、または最小化しながら、燃焼動力発電機からの二酸化炭素の捕捉を改善するために作動されることができる。燃料電池のインプットおよびアウトプット動力フローのために適切な構成を選択すること、ならびに燃料電池のために適切な作動条件を選択することによって、全効率および炭素捕捉の望ましい組み合わせを可能にすることができる。
【0191】
いくつかの実施形態において、燃料電池アレイの燃料電池は、燃料電池(例えば、燃料電池積層)の単一段階のみが存在することができるように配置することができる。この種類の実施形態において、単一段階の間のアノード燃料利用は、アレイのアノード燃料利用を表すことができる。別の選択肢は、燃料電池アレイが、アノードの複数段階およびカソードの複数段階を含有することができることであり、それぞれのアノード段階は同範囲内の燃料利用を有し、例えば、それぞれのアノード段階は、明示された値の10%以内、例えば、明示された値の5%以内の燃料利用を有する。さらに別の選択肢は、それぞれのアノード段階が、明示された値と同等または明示された値未満の燃料利用を有することができることであり、例えば、それぞれのアノード段階は、5%以下、例えば、10%以下、明示された値より大きくない。実例となる実施例として、複数のアノード段階を有する燃料電池アレイは、50%燃料利用の約10%の範囲内であるそれぞれのアノード段階を有することができ、これは、約40%〜約60%の燃料利用を有するそれぞれのアノード段階に相当する。他の例として、複数の段階を有する燃料電池アレイは、最大偏差が約5%未満で、60%アノード燃料利用より高くないそれぞれのアノード段階を有することができ、これは、約55%〜約60%の燃料利用を有するそれぞれのアノード段階に相当する。さらに別の実施例において、燃料電池アレイの燃料電池の1つ以上の段階は、約30%〜約50%の燃料利用で作動されることができ、例えば、約30%〜約50%の燃料利用でアレイにおいて複数の燃料電池段階が作動される。より一般に、上記の種類の範囲のいずれも、本明細書に明示されるアノード燃料利用値のいずれとも組み合わせることができる。
【0192】
さらに別の追加的または代わりの選択肢は、全てではないアノード段階に関する燃料利用を明示することを含むことができる。例えば、本発明のいくつかの態様において、燃料電池/積層は、1つ以上の直列配列で少なくとも部分的に配置されることができ、アノード燃料利用は、直列の第1のアノード段階、直列の第2のアノード段階、直列の最終的なアノード段階、または直列の他のいずれかの都合のよいアノード段階のために明示されることができる。本明細書で使用される場合、直列の「第1の」段階は、インプットが燃料供給源から直接供給される段階(または配列が同様に並列の段階を含有する場合、段階の組み合わせ)に相当し、その後の(「第2の」、「第3の」、「最終的な」など)段階は、それぞれの燃料供給源から直接の代わりに、1つ以上の前の段階からのアウトプットが供給される段階を表す。前の段階からのアウトプットおよび燃料供給源からの直接インプットの両方が段階に同時供給される状況において、「第1の」(組み合わせの)段階および「最後の」(組み合わせの)段階が存在することができるが、他の段階(「第2の」、「第3の」など)は、その中で順番を確立するために、より慎重を要することができる(例えば、そのような場合、順番は、複合インプット供給組成物における1つ以上の成分、例えばCO
2の濃度によって、最も高い濃度「第1」から最も低い濃度「最後」まで決定されることができ、ほぼ同様の組成差が同様の順番を表す。)
【0193】
さらに別の追加的または代わりの選択肢は、特定のカソード段階に相当するアノード燃料利用を明示することであることができる(再び、燃料電池/積層が1つ以上の直列配列で少なくとも部分的に配置されることができる)。上記の通り、アノードおよびカソード内のフローの方向をベースとして、第1のカソード段階は、(同一燃料電池膜を通って)第1のアノード段階に相当しなくてもよい。したがって、本発明のいくつかの態様において、アノード燃料利用は、直列の第1のカソード段階、直列の第2のカソード段階、直列の最終的なカソード段階、または直列の他のいずれかの都合のよいカソード段階のために明示されることができる。
【0194】
なおさらに別の追加的または代わりの選択肢は、燃料電池アレイの全燃料電池における燃料利用の全平均を明示することであることができる。様々な態様において、燃料電池アレイのための燃料利用の全平均は、約65%以下、例えば、約60%以下、約55%以下、約50%以下または約45%の以下であることができる(追加的に、または代わりとして、燃料電池アレイのための全平均燃料利用は、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%または少なくとも約40%であることができる)。そのような平均燃料利用は、燃料電池のアレイが所望の燃料利用を満たす限り、いずれかの単一段階における燃料利用を必ずしも限定する必要はない。
【0195】
捕捉後のCO
2アウトプットのための用途
本発明の様々な態様において、上記のシステムおよび方法によって、加圧流体としての二酸化炭素の生成を可能にすることができる。例えば、低温分離段階から発生するCO
2は、最初、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の純度を有する加圧されたCO
2液体に相当することができる。この加圧されたCO
2流は、例えば、二次石油採集においてなど、さらに油またはガス回収を向上させるためのウェルへの注入に使用されることができる。ガスタービンを包含する設備の付近で実行される場合、全体的なシステムは、電気/機械的動力の使用における追加的な相乗効果から、および/または全体システムとの熱集積化を通して利益を得てもよい。
【0196】
あるいは、強制石油回収(EOR)用途のためのシステムに関して(すなわち、厳密な成基準を有するパイプラインシステムにおいて混合されない)、CO
2分離必要条件は実質的に緩和されてもよい。EOR用途はO
2の存在に感応性である可能性があるため、いくつかの実施形態において、EORに関して意図されたCO
2流からO
2は不在であることができる。しかしながら、EOR用途は、溶解されたCO、H
2および/またはCH
4に対して低い感応性を有する傾向あることができる。また、CO
2を輸送するパイプラインは、これらの不純物に感応性である可能性がある。それらの溶性ガスは、典型的に、EORに使用されるCO
2の可溶化能力に対してわずかな影響のみを有することができる。CO、H
2および/またはCH
4などの注入ガスは、EORガスとして、燃料価回復のいくらかの損失をもたらすことができるが、そのようなガスは、その他の場合には、EOR用途と適合性であることができる。
【0197】
追加的に、または代わりとして、加圧された液体としてのCO
2の潜在的な用途は、藻類成長/収穫などの生物学的プロセスにおける養分としてであることができる。CO
2分離のためのMCFCの使用によって、確実に、生物学的に有意な汚染物質を容認できる低濃度まで低下させることができ、光合成有機体の成長に実質的に悪影響を及ぼさないような少量の他の「汚染物質」ガス(CO、H
2、N
2などおよびそれらの組み合わせ)のみを有するCO
2含有流をもたらす。これは、重金属などの潜在的に高度に毒性の材料をしばしば含有することができるほとんどの工業用供給源によって発生するアウトプット流とは際立った対比であることができる。
【0198】
本発明のこの種類の態様において、アノードループにおけるCO
2の分離によって発生するCO
2流は、生物燃料および/または化学製品、ならびにそれらの前駆体を製造するために使用することができる。さらに追加的に、または代わりとして、CO
2は高密度流体として生じられてもよく、例えば、光合成有機体の大きい領域への距離を通したより容易なポンプ輸送および輸送が可能となる。従来の排出供給源は、他のガスおよび汚染物質と混合された適度の量のCO
2(例えば、約4〜15%)を含有するホットガスを排出することができる。これらの材料は通常、藻類の池または生物燃料「ファーム」に希薄なガスとしてポンプ輸送される必要がある。対照的に、本発明によるMCFCシステムは、濃縮CO
2流(乾燥基準で約60〜70体積%)を生じることができ、これは、さらに95%+(例えば、96%+、97%+、98%+または99%+)まで濃縮可能であり、かつ容易に液化可能である。次いで、この流れを比較的低コストで長距離上で容易に、かつ効率的に輸送することができて、広い領域上で効果的に分配することができる。これらの実施形態において、燃焼供給源/MCFCから余熱は、同様に全システムに集積化されてもよい。
【0199】
CO
2供給源/MCFCおよび生物学的/化学的製造サイトが同位置に配置される別の実施形態は適用し得る。その場合、最小限の圧縮のみが必要とされてもよい(すなわち、生物学的生成において使用される十分なCO
2圧力、例えば、約15psig〜約150psigを提供する)。いくつかの新しい配列は、そのような場合、可能であることができる。二次改質は、任意に、CH
4含有量を低下させるためにアノード排出物に適用されてもよく、そして水性ガスシフトは、任意に、追加的に、または代わりとして、いずれかの残りのCOをCO
2およびH
2にするために存在してもよい。
【0200】
アノードアウトプット流および/またはカソードアウトプット流からの成分は、様々な目的のために使用することができる。1つの選択肢は、上記の通り、水素の供給源としてアノードアウトプットを使用することであることができる。精製装置と集積化されるか、または同位置に配置されるMCFCに関して、水素化などの様々な精製装置プロセスのための水素供給源として水素を使用することができる。別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、燃焼からのCO
2が既に「捕捉」された燃料供給減として水素を使用することであることができる。そのような水素は、精製装置または他の工業用装置において、煮沸器、炉、および/または燃焼された加熱器用の燃料として使用されることができ、および/またはタービンなどの発電機のための供給として水素を使用することができる。MCFC燃料電池からの水素は、さらに追加的に、または代わりとして、おそらく、燃料電池によって動力を供給される車両を含む、インプットとして水素を必要とする他の種類の燃料電池のためにインプット流として使用することができる。なお別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、MCFC燃料電池からのアウトプットとして発生する合成ガスを、発酵インプットとして使用することであることができる。
【0201】
別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、アノードアウトプットから発生する合成ガスを使用することであることができる。もちろん、燃料として燃焼させた時に合成ガスをベースとする燃料がいくらかのCO
2に生成をなお導くことができるが、合成ガスは燃料として使用することができる。他の態様において、合成ガスアウトプット流を、化学合成プロセスのためのインプットとして使用することができる。1つの選択肢は、追加的に、または代わりとして、フィッシャー−トロプシュ型プロセスおよび/またはより大きい炭化水素分子が合成ガスインプットから形成される別のプロセスのために合成ガスを使用することであることができる。別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、メタノールなどの中間生成物を形成するために合成ガスを使用することであることができる。メタノールは、最終生成物として使用することができるが、他の態様において、合成ガスから発生するメタノールは、より大きい化合物、例えば、ガソリン、オレフィン、芳香族化合物および/または他の生成物を発生させるために使用することができる。なお、少量のCO
2は、メタノール合成プロセス、および/またはシフティング触媒を利用するフィッシャートロプシュプロセスへの合成ガス供給において容認可能とすることができる。ヒドロホルミル化は、合成ガスインプットを利用することができるさらに別の合成プロセスの追加的または代わりの例である。
【0202】
なお、合成ガスを発生させるMCFCの使用に関する1つの変形形態は、沖合石油採掘装置または最終的な市場からかなりの距離である他の製造システムによって回収されたメタンおよび/または天然ガスの処理のためのシステムの一部としてMCFC燃料電池を使用することであることができる。ウェルから気相アウトプットを輸送することを試みる代わりに、または長期間、気相生成物を貯蔵することを試みる代わりに、ウェルからの気相アウトプットを、MCFC燃料電池アレイへのインプットとして使用することができる。これは、様々な利点を導くことができる。第1に、燃料電池アレイによって発生する電力を、プラットホームのための動力供給源として使用することができる。追加的に、燃料電池アレイからの合成ガスアウトプットを、製造サイトにおいてフィッシャートロプシュプロセスのためのインプットとして使用することができる。これによって、製造サイトから、例えば、陸上設備まで、またはより大きいターミナルまで、パイプライン、船または鉄道車両によって、より容易に輸送される液体炭化水素生成物の形成が可能となる。
【0203】
さらに他の集積化の選択肢は、追加的に、または代わりとして、高純度の加熱された窒素の供給源としてカソードアウトプットを使用することを含むことができる。カソードインプットは空気の大部分をしばしば含むことができ、このことは、窒素の実質的な部分がカソードインプットに含まれる可能性があることを意味する。燃料電池は、電解質を通ってカソードからアノードまでCO
2およびO
2を輸送することができ、そしてカソードアウトレットは、CO
2およびO
2のより低い濃度、したがって、空気に見られるよりも高いN
2の濃度を有することができる。残留するO
2およびCO
2のその後の除去によって、この窒素アウトプットを、アンモニアまたは他の窒素含有化学製品、例えば、尿素、硝酸アンモニウムおよび/または硝酸の製造のためのインプットとして使用することができる。なお、尿素合成は、追加的に、または代わりとして、アノードアウトプットとは別のCO
2をインプット供給として使用することができるであろう。
【実施例】
【0204】
集積化実施例:燃焼タービンとの集積化のための用途
本発明のいくつかの態様において、動力を発生させるため、およびCO
2含有排気物を排気するための燃焼供給源は、溶融炭酸塩形燃料電池の作動と集積化させることができる。適切な燃焼供給源の一例は、ガスタービンである。好ましくは、ガスタービンは、追加的な効率のために蒸気発生および熱回収と集積化された複合サイクルモードにおいて、天然ガス、メタンガスまたは他の炭化水素ガスを燃焼させることができる。現代の天然ガス複合サイクル効率は、最大および最新のデザインに関して、約60%である。得られるCO
2含有排出物ガス流は、MCFC作動との適合性を有する高温、例えば、300℃〜700℃、好ましくは500℃〜650℃で生成することができる。ガス供給源は、任意であるが、好ましくは、タービンに入る前に、MCFCに悪影響を及ぼす可能性のある硫黄などの汚染物質をクリーニングすることができる。あるいは、ガス供給源は、排出物ガスが典型的に、排出物ガスの汚染物質のより高い濃度のため、燃焼後にクリーニングされる発電機であることができる。そのような代替案において、ガスへの/ガスからのいくらかの熱交換は、より低い温度でのクリーンアップを可能にするために必要とされてもよい。追加的または代わりの実施形態において、CO
2含有排出物ガスの供給源は、煮沸器、燃焼室、または炭素の豊富な燃料を燃焼させる熱供給源からのアウトプットであることができる。他の追加的または代わりの実施形態において、CO
2含有排出物ガスの供給源は、他の供給源と組み合わせた生物学的に生成されたCO
2であることができる。
【0205】
燃焼供給源との集積化のために、燃料電池アノードの処理のためのいくつかの他の構成が望ましくなることができる。例えば、他の構成が、燃料電池アノードからの排出物の少なくとも一部分を燃料電池アノードのインプットにリサイクルすることであることができる。MCFCアノードからのアウトプット流には、主なアウトプット成分として、H
2O、CO
2、任意にCO、そして任意であるが、典型的に未反応の燃料(例えば、H
2またはCH
4)が含まれることができる。別のプロセスとの集積化のための外部燃料流および/またはインプット流として、このアウトプット流を使用する代わりに、1つ以上の分離を、潜在的燃料価を有する成分、例えば、H
2またはCOからCO
2を分離するために、アノードアウトプット流において実行することができる。次いで、燃料価を有する成分は、アノードのインプットへとリサイクルすることができる。
【0206】
この種類の構成は、1つ以上の利点を提供することができる。第1に、低温CO
2分離器を使用することなどにより、CO
2をアノードアウトプットから分離することができる。アノードアウトプットの成分のいくつか(H
2、CO、CH
4)は容易に凝縮可能な成分ではないが、CO
2およびH
2Oは、凝縮された相として個々に分離することができる。実施形態次第で、アノードアウトプットのCO
2の少なくとも約90体積%を分離することができ、比較的高純度のCO
2アウトプット流を形成することができる。あるいは、いくつかの態様において、より少ないCO
2をアノードアウトプットから除去することができ、アノードアウトプットのCO
2の約50体積%〜約90体積%、例えば約80体積%以下、または約70体積%以下を分離することができる。分離後、アノードアウトプットの残りの部分は、主として燃料価を有する成分、ならびにCO
2および/またはH
2Oの減少した量に相当することができる。分離後のアノードアウトプットのこの部分は、追加的な燃料に加えて、アノードインプットの一部分として使用するためにリサイクルすることができる。この種類の構成において、MCFCを通る単回通過の燃料利用が低いとしても、未使用の燃料は、アノードを通る別の通過のために有利にリサイクルされることができる。その結果、単回通過燃料利用は減少されたレベルであることができるが、一方、環境への未燃焼燃料の損失(排出)を回避することができる。
【0207】
アノード排出物の一部分をアノードインプットへリサイクルすることの追加的に、または代わりに、別の構成の選択肢は、タービン、あるいは煮沸器、炉および/または燃焼加熱器などの他の燃焼デバイスの燃焼反応のためのインプットとして、アノード排出物の一部分を使用することであることができる。アノードインプットにリサイクルされ、および/または燃焼デバイスへのインプットとしてのアノード排出物の相対的な量は、いずれかの都合のよい、または望ましい量であることができる。アノード排出物がアノードインプットおよび燃焼デバイスの1つのみにリサイクルされる場合、リサイクルの量は、いずれかの都合のよい量であることもでき、例えば、CO
2および/またはH
2Oを除去するためのいずれかの分離の後に残留するアノード排出物の100%までの部分であることができる。アノード排出物の一部分が、アノードインプットおよび燃焼デバイスにリサイクルされる場合、定義による全体のリサイクルされた量は、アノード排出物の残留部分の100%以下であることができる。その他の場合はノード排出物のいずれの都合のよい分割も使用することができる。本発明の様々な実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下または約10%以下であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、本発明の様々な実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下、または約10%以下であることができる。
【0208】
本発明のさらに他の態様において、燃焼デバイスのための燃料は、追加的に、または代わりとして、不活性であり、かつ/またはその他の場合には、燃料中で希釈剤として作用する成分の高められた量を有する燃料であることができる。CO
2およびN
2は、燃焼反応の間、比較的不活性であることができる天然ガス供給の成分の一例である。燃料供給における不活性成分の量が十分なレベルに達する場合、タービンまたは他の燃焼供給源の性能に影響を与えることができる。この影響は、部分的に、燃焼反応をクエンチする傾向のある可能性がある熱を吸収する不活性成分の能力によるものであることができる。十分なレベルの不活性成分を有する燃料供給の例には、少なくとも約20体積%のCO
2を含有する燃料供給、または少なくとも約40体積%のN
2を含有する燃料供給、または同様のクエンチ能力を提供するために十分な不活性熱容量を有するCO
2およびN
2の組み合わせを含有する燃料供給を含むことができる。(なお、CO
2はN
2より大きい熱容量を有し、したがって、より低濃度のCO
2は、より高濃度のN
2と同様の影響を有することができる。CO
2は、N
2より容易に燃焼反応に関与することもでき、その際、燃焼からH
2を除去する。H
2のこのような消費は、火炎速度を低下させて、空気と燃料混合物の可燃性範囲を限定することによって、燃料の燃焼への大きい影響を有することができる)。より一般に、燃料供給の可燃性に影響を与える不活性成分を含有する燃料供給に関して、燃料供給の不活性成分は、少なくとも約20体積%、例えば、少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%であることができる。好ましくは、燃料供給の不活性成分の量は、約80体積%以下であることができる。
【0209】
不活性成分の十分な量が燃料供給に存在する場合、得られる燃料供給は、供給の燃料成分に関する可燃性領域の外にあることができる。この種類の状態において、アノード排出物のリサイクルされた部分から発電機のための燃焼領域へのH
2の添加は、燃料供給およびH
2の組み合わせに関する可燃性領域を拡張することができ、これによって、例えば、少なくとも約20体積%のCO
2または少なくとも約40体積%のN
2(またはCO
2およびN
2の他の組み合わせ)を含有する燃料供給が首尾よく燃焼されることが可能となる。
【0210】
燃焼領域に送達される燃料供給およびH
2の全容量と比較して、可燃性領域を拡張するためのH
2の量は、燃料供給およびH
2の全容量の少なくとも約5体積%、例えば、少なくとも約10体積%、および/または約25体積%以下であることができる。可燃性領域を拡張するために添加するH
2の量を特徴づけるための別の選択肢は、H
2添加前に燃料供給に存在する燃料成分の量をベースとすることができる。燃料成分は、メタン、天然ガス、他の炭化水素および/または従来から燃焼動力タービンもしくは他の発電機の燃料として見なされる他の成分に相当することができる。燃料供給に添加されるH
2の量は、燃料供給における燃料成分(1:3のH
2:燃料成分の比率)の体積の少なくとも約3分の1、例えば、燃料成分の体積の少なくとも約半分(1:2の比率)に相当することができる。追加的に、または代わりとして、燃料供給に添加されるH
2の量は、燃料供給における燃料成分の体積とほぼ同等(1:1の比率)以下である。例えば、約30体積%のCH
4、約10体積%のN
2および約60体積%のCO
2を含有する供給に関して、約1:2のH
2対CH
4(H
2:CH
4又はH
2とCH
4と)の比率を達成するために、アノード排出物の十分な量を燃料供給に添加することができる。H
2のみを含有する理想的なアノード排出物に関して、1:2の比率を達成するためのH
2の添加によって、約26体積%のCH
4、13体積%のH
2、9体積%のN
2および52体積%のCO
2を含有する供給をもたらすことができる。
【0211】
排出物ガスリサイクル
CO
2の捕獲および最終的な分離のために燃料電池アレイに排出物ガスを提供することを除き、排出物ガスの追加的または代わりの潜在的用途は、CO
2含有量を増加させるための燃焼反応へのリサイクルを含むことができる。燃焼電池アレイのアノード排出物からの水素などの水素が燃焼反応への添加のために利用可能である場合、燃焼反応の範囲内でCO
2含有量を増加させるためにリサイクルされた排出物ガスを使用することから、さらなる利点を得ることができる。
【0212】
本発明の様々な態様において、発電システムの排出物ガスリサイクルループは、燃焼から排出物ガスの第1の部分を受け取ることができ、燃料電池アレイは第2の部分を受け取ることができる。発電システムの燃焼領域にリサイクルされる、燃焼からの排出物ガスの量は、いずれかの都合のよい量、少なくとも約15体積%、例えば、少なくとも約25体積%、少なくとも約35体積%、少なくとも約45体積%、または少なくとも約50体積%などであることもできる。追加的に、または代わりとして、燃焼領域に再循環される燃焼排出物ガスの量は、約65体積%以下、例えば約60体積%以下、約55体積%以下、約50体積%以下、または約45体積%以下であることができる。
【0213】
本発明の1つ以上の態様において、酸化剤(例えば、空気および/または酸素富化空気)と燃料との混合物を燃焼し、そして(同時に)リサイクルされた排出物ガスの流れと混合することができる。CO
2などの燃焼の生成物を一般に含むことができるリサイクルされた排出物ガスの流れを、燃焼の温度、および後続する膨張器に入ることができる排出物の温度を制御、調節または他の方法で変更するための希釈剤として使用することができる。酸素富化空気を使用することの結果として、リサイクルされた排出物ガスは、増加したCO
2含有量を有することができ、それによって、同じインレットおよび排出温度に関してより高い膨張比さえも膨張器を作動することが可能となり、それによって、動力発生を有意に増加させることが可能となる。
【0214】
ガスタービンシステムは、システムの性能を向上させるためにリサイクルされた排出物ガスを使用することができる発電システムの一例を表すことができる。ガスタービンシステムは、シャフトを介して膨張器に連結された第1の/主要な圧縮器を有することができる。シャフトは、いずれの機械的、電気的、または他の動力カップリングであることもでき、それによって、膨張器によって発生する機械的エネルギーの一部分によって主要な圧縮器を駆動することが可能となる。ガスタービンシステムは、燃料および酸化剤の混合物を燃焼させるように構成される燃焼室を含むこともできる。本発明の様々な態様において、燃料は、合成ガス、天然ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ナフサディーゼル、ケロシン、航空燃料、石炭誘導燃料、生物燃料、酸素化炭化水素原料またはそれらのいずれかの組み合わせなどのいずれの適切な炭化水素ガス/液体も含むことができる。酸化剤は、いくつかの実施形態において、燃焼室に流動的に連結され、かつ、供給酸化剤を圧縮するために適応された第2のまたはインレット圧縮器から誘導されることができる。本発明の1種以上の実施形態において、供給酸化剤は、大気空気および/または富化空気を含むことができる。酸化剤が富化空気のみ、または大気空気と富化空気との混合物を含む場合、富化空気は、インレット圧縮器(混合物の場合、大気空気と混合される前または後)によって圧縮されることができる。富化空気および/または空気富化空気混合物は、少なくとも約25体積%、例えば、少なくとも約30体積%、少なくとも約35体積%、少なくとも約40体積%、少なくとも約45体積%、または少なくとも約50体積%の全酸素濃度を有することができる。追加的に、または代わりとして、富化空気および/または空気富化空気混合物は、約80体積%以下、例えば、約70体積%以下の全酸素濃度を有することができる。
【0215】
富化空気は、いくつかの供給源のいずれか1つ以上から誘導することができる。例えば、富化空気は、膜分離、圧力スイング吸着、温度スイング吸着、窒素プラント副産物流および/またはそれらの組み合わせなどの分離技術から誘導することができる。富化空気は、追加的に、または代わりとして、圧力維持または他の目的のために窒素を生成するために、空気分離ユニット(ASU)、例えば、低温ASUから誘導することができる。本発明の特定の実施形態において、そのようなASUからのレジェクト流は、酸素が豊富であることができ、約50体積%〜約70体積%の全酸素含有量を有し、富化空気の少なくとも一部分として使用することができ、必要であれば、その後、所望の酸素濃度を得るために未処理の大気空気によって希釈されることができる。
【0216】
燃料および酸化剤に加えて、燃焼室は、主としてCO
2および窒素成分を有する排出物ガス再循環などの圧縮リサイクル排出物ガスを任意に受け取ることもできる。圧縮リサイクル排出物ガスは、例えば、主要な圧縮器から誘導されることができ、そして例えば、燃焼生成物の温度を緩和することによって、酸化剤および燃料の燃焼を促進するために適応されることができる。認識されることができるように、排出物ガスを再循環させることは、CO
2濃度を増加させるために役に立つことができる。
【0217】
膨張器のインレットに向けられる排出物ガスは、燃焼反応の生成物として発生することができる。排出物ガスは、リサイクルされた排出物ガスの燃焼反応への導入を少なくとも一部分でベースとする高CO
2含有量を有することができる。排出物ガスはで膨張器を通って膨張するため、それは主要な圧縮器を駆動するため、発電機を駆動するため、および/または他の設備に動力を供給するための機械的動力を発生させることができる。
【0218】
発電システムは、多くの実施形態において、排出物ガス再循環(EGR)システムを含むこともできる。本発明の1つ以上の態様において、EGRシステムは、蒸気ガスタービンに流動的に連結された熱回収蒸気発生器(HRSG)および/または別の同様のデバイスを含むことができる。少なくとも1つの実施形態において、HRSGおよび蒸気ガスタービンの組み合わせは、動力発生閉鎖ランキンサイクルとして特徴づけることができる。ガスタービンシステムと組み合わせて、HRSGおよび蒸気ガスタービンは、天然ガス複合サイクル(NGCC)プラントなどの複合サイクル動力発生プラントの一部分を形成することができる。ガス排出物は、蒸気および冷却された排出物ガスを発生させるため、HRSGに導入することができる。HRSGは、排出物流から水を分離および/または凝縮するための、蒸気を形成するために熱を伝達するための、および/または流れの圧力を所望のレベルまで変更するための様々なユニットを含むことができる。特定の実施形態において、蒸気は、追加的な電力を発生させるために、蒸気ガスタービンに送られることができる。
【0219】
HRSGの通過および少なくともいくらかのH
2Oの任意の除去の後、CO
2含有排出物流は、いくつかの実施形態において、燃焼反応へのインプットとしての使用のためにリサイクルすることができる。上記の通り、排出物流は、燃焼反応のために容器内で所望の反応圧力に適合させるために、圧縮(または減圧)することができる。
【0220】
集積化されたシステムの実施例
図8は、タービンに動力を供給するために、CO
2を含有するリサイクルされた排出物ガスおよび燃料電池アノード排出物からのH
2またはCOの両方の燃焼反応への導入を含む、集積化されたシステムの実施例を概略的に示す。
図8中、タービンは、圧縮器802、シャフト804、膨張器806および燃焼領域815を含むことができる。酸素供給源811(例えば、空気および/または酸素富化空気)を、リサイクルされた排出物ガス898と組み合わせ、そして燃焼領域815に入る前に圧縮器802において圧縮することができる。CH
4などの燃料812、および任意にH
2またはCO187を含有する流れを、燃焼領域まで送達することができる。燃料および酸化剤は、領域815において反応することができ、そして任意であるが、好ましくは、電力を発生させるために、膨張器806に通過させることができる。膨張器806からの排出物ガスは、2つの流れ、例えば、CO
2含有流822(燃料電池アレイ825のためのインプット供給として使用することができる)および別のCO
2含有流892(例えば、蒸気タービン894を使用して、追加的な電気の発生を可能にすることができる、熱回収および蒸気発生器システム890のためのインプットとして使用することができる)を形成するために使用することができる。CO
2含有流からのH
2Oの一部分の任意の除去を含む、熱回収システム890を通過した後、アウトプット流898は、圧縮器802または図示されない第2の圧縮器における圧縮のためにリサイクルすることができる。CO
2含有流892のために使用される膨張器806からの排出物の割合は、燃焼領域815への添加のためのCO
2の所望の量をベースとして決定することができる。
【0221】
本明細書で使用される場合、EGR比率は、燃料電池結合部分および熱回収発電機に送られる回収結合部分に関する組み合わせられたフローレートで割られた、排出物ガスの燃料電池結合部分のフローレートである。例えば、
図8に示されるフローのためのEGR比率は、流れ822および892の組み合わせられたフローレートで割られた流れ822のフローレートである。
【0222】
CO
2含有流822は、溶融炭酸塩形燃料電池アレイ825のカソード部分(図示せず)を通過させることができる。燃料電池アレイ825内の反応をベースとして、CO
2を流れ822から分離することができて、燃料電池アレイ825のアノード部分(図示せず)に輸送することができる。これによって、CO
2の欠乏したカソードアウトプット流824をもたらすことができる。カソードアウトプット流824は、次いで、蒸気タービン854(前記の蒸気タービン894と任意に同一でもよい)を使用して、熱交換の発生および/または追加的な発電のために、熱回収(および任意の蒸気発生器)システム850を通過させることができる。熱回収および蒸気発生器システム850を通過した後、得られた燃焼ガス流856を周囲に排出することができ、および/またはアミンスクラバーなどの他の種類の炭素捕捉技術を通過させることができる。
【0223】
燃料電池アレイ825のカソードサイドからアノードサイドへのCO
2輸送の後、アノードアウトプット835を水性ガスシフト反応器870に任意に通過させることができる。水性ガスシフト反応器870を使用して、アノードアウトプット835に存在するCO(およびH
2O)を消費して、追加的なH
2およびCO
2を発生させることができる。任意の水性ガスシフト反応器870からのアウトプットを、次いで、1つ以上の分離段階840、例えば、コールドボックスまたは低温分離器に通過させることができる。これによって、アノードアウトプットの残りの部分から、H
2O流847およびCO
2流849を分離することができる。アノードアウトプット885の残りの部分は、改質によって発生するが、燃料電池アレイ825で消費されない未反応のH
2を含むことができる。H
2含有流885の第1の部分845は、燃料電池アレイ825においてアノードのためのインプットにリサイクルされることができる。流れ885の第2の部分887は、燃焼領域815のためのインプットとして使用することができる。第3の部分865は、別の目的のためにそのままで使用されることができ、かつ/またはその後のさらなる使用のために処理されることができる。
図8および本明細書の記載には最大で3つの部分が概略的に記載されているが、本発明に従って、これらの3つの部分の1つのみを利用することができること、2のみを利用することができること、または3つ全てを利用することができることが考えられる。
【0224】
図8中、排出物ガスリサイクルループのための排出物は、第1の熱回収および蒸気発生器システム890によって提供されるが、第2の熱回収および蒸気発生器システム850を使用して、燃料電池アレイ825のカソードアウトプットからの過剰量の熱を捕捉することができる。
【0225】
図9は、排出物ガスリサイクルループが、燃料電池アレイアウトプットを処理するために使用される同一の熱回収蒸気発生器によって提供される別の実施形態を示す。
図9中、リサイクルされた排出物ガス998は、燃焼ガス流956の一部分として、熱回収および蒸気発生器システム950によって提供される。これによって、タービンと関連する別々の熱回収および蒸気発電機システムを排除することができる。
【0226】
本発明の様々な実施形態において、本プロセスは、燃焼反応によって発生する熱および/または圧力を、力の別の形態に変換することができる、タービン、内燃機関または別のシステムに動力を供給するための燃焼反応によって始動するものとしてアプローチされる。燃焼反応のための燃料は、水素、炭化水素および/またはエネルギーを放出するために酸化(燃焼)されることができる炭素を含有する他のいずれかの化合物を含んでなることができるか、またはそれらであることができる。燃料が水素のみを含有する場合を除いて、燃焼反応からの排出物ガスの組成物は、反応の性質次第でCO
2含有量の範囲(例えば、少なくとも約2体積%〜約25体積%以下)を有することができる。したがって、燃料が炭素質である特定の実施形態において、排出物ガスのCO
2含有量は、少なくとも約2体積%、例えば、少なくとも約4体積%、少なくとも約5体積%、少なくとも約6体積%、少なくとも約8体積%、または少なくとも約10体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、そのような炭素質の燃料実施形態において、CO
2含有量は、約25体積%以下、例えば、約20体積%以下、約15体積%以下、約10体積%以下、約7体積%以下、または約5体積%以下であることができる。(炭素質燃料に関して)より低い相対的なCO
2含有量を有する排出物ガスは、リーン(lean)な(過剰空気)燃焼による天然ガスなどの燃料における燃焼反応からの排出物ガスに相当することができる。(炭素質燃料に関して)より高い相対的なCO
2含有量排出物ガスは、最適化された天然ガス燃焼反応、例えば、排出物ガスリサイクルを有するもの、および/または石炭などの燃料の燃焼に相当することができる。
【0227】
本発明のいくつかの態様において、燃焼反応のための燃料は、少なくとも約90体積%、例えば、少なくとも約95体積%の5個以下の炭素を含有する化合物を含有することができる。そのような態様において、排出物ガスのCO
2含有量は、少なくとも約4体積%、例えば、少なくとも約5体積%、少なくとも約6体積%、少なくとも約7体積%、または少なくとも約7.5体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、排出物ガスのCO
2含有量は、約13体積%以下、例えば、約12体積%以下、約10体積%以下、約9体積%以下、約8体積%以下、約7体積%以下、または約6体積%以下であることができる。排出物ガスのCO
2含有量は、燃焼発電機の構成次第で、値の範囲を表すことができる。排出物ガスのリサイクルは、少なくとも約6体積%のCO
2含有量を達成するために有利であることができるが、燃焼反応への水素の添加によって、少なくとも約7.5体積%のCO
2含有量を達成するために、CO
2含有量のさらなる増加を可能にすることができる。
【0228】
他の構成 − 高過酷度NOxタービン
ガスタービンは、いくつかの因子によってそれらの作動で制限されることができる。1つの典型的な制限は、規制排出限界を満たすために、酸化窒素(NOx)の十分に低い濃度を達成するため、燃焼領域における最大温度が特定の限界より低く制御されることができるということであることができる。規制排出限界は、燃焼排出物を環境に出す時に、燃焼排出物が約20vppm以下、可能であれば10vppm以下のNOx含有量を有することを必要とすることができる。
【0229】
天然ガス燃料燃焼タービンにおけるNOx生成は、温度および残留時間の関数であることができる。NOxの形成をもたらす反応は、約1500°Fの火炎温度以下では重要性が低く、および/または最小限であることができるが、温度がこの点を超えて増加すると、NOx生成が迅速に増加することができる。ガスタービンにおいて、初期の燃焼生成物は、約1200°F付近の温度まで混合物を冷却するために、追加の空気と混合することができ、そして温度は、膨張器ブレードの冶金学によって制限されることができる。初期のガスタービンは、典型的に、約1500°Fより十分高い温度で化学量論的領域を有した拡散火炎において燃焼を実行し、より高いNOx濃度をもたらす。最近では、「乾燥低NOx」(DLN)バーナーの電流発生は、より冷たいリーンな(化学量論より燃料の少ない)条件で天然ガスを燃焼させるために、特別な予混合されたバーナーを使用することができる。例えば、より多くの希釈空気を初期の火炎に混合することができて、後期はより少ない量を混合することができ、約1200°Fのタービン−膨張器インレット温度まで温度を低下させることができる。DLNバーナーの不都合は、ターンダウン、より高い維持、狭い作動範囲、および低い燃料適応性における低い性能を含むことができる。DLNバーナーを様々な品質の燃料に適用させることがより困難である(または少しでも液体燃料に適用することが困難である)ことができるため、後者は懸念となることができる。CO
2の高含有量を含有する燃料などの低BTU燃料に関して、DLNバーナーは典型的に使用されず、その代わりに、拡散バーナーを使用することができる。加えて、ガスタービン効率は、より高いタービン−膨張器インレット温度を使用することによって、増加させることができる。しかしながら、希釈空気の量の制限があることができるため、またこの量は、タービン−膨張器インレット温度の増加によって減少することができるため、DLNバーナーは、ガスタービンの効率が改善しても、低NOxを維持することに関して、あまり有効になることができない。
【0230】
本発明の様々な態様において、炭素捕捉のためにガスタービンを燃料電池と集積化するシステムは、追加的なNOx排出を低下および/または最小化し、DLNバーナーとは現在適合性ではないタービン燃料の使用によるDLNと同様のNOx節減を可能にしながら、より高い燃焼領域温度の使用を可能にすることができる。そのような態様において、タービンは、より高い動力(すなわち、より高い温度)で動作することができ、より高いNOx排出がもたらされるが、より高い電力出力および潜在的により高い効率ももたらされる。本発明のいくつかの態様において、燃焼排出物のNOxの量は、少なくとも約20vppm、例えば、少なくとも約30vppm、または少なくとも約40vppmであることができる。追加的に、または代わりとして、燃焼排出物のNOxの量は、約1000vppm以下、例えば、約500vppm以下、または約250vppm以下、または約150vppm以下、または約100vppm以下であることができる。規制によって要求される濃度までNOx濃度を低下させるために、得られるNOxは、気相における単純な熱分解、燃料電池アレイにおけるニッケルカソード触媒からの触媒作用による分解、および/または少量のアンモニア、尿素もしくは他の還元剤の注入による燃料電池より前の促進された熱分解などのいくつかの機構の1つを通して、熱NOx分解を介して平衡化されることができる(排出物流における平衡濃度までのNOx濃度の低下)。これは、アノード排出物から誘導される水素の導入によって促進することができる。燃料電池のカソードにおけるNOxのさらなる低下は、NOxをカソード表面で反応させることができて、分解することができる電気化学的分解を介して達成することができる。これは、膜電解質を通って、アノードへのいくらかの窒素輸送をもたらすことができ、そこでアンモニアまたは他の還元窒素化合物が形成され得る。MCFCが関与するNOx低下法に関して、燃料電池/燃料電池アレイからの予想されるNOx低下は、燃料電池カソードへのインプットにおけるNOxの約80%以下、例えば、約70%以下、および/または少なくとも約5%であることができる。なお、硫化物腐食作用も温度を制限することができ、従来のシステムではタービンブレード冶金学に影響を及ぼすこともできる。しかしながら、MCFCシステムの硫黄制限は、典型的に、硫化物腐食作用と関連する懸念を低下または最小化する、低下された燃料硫黄濃度を必要とすることができる。低燃料利用でMCFCアレイを作動することは、例えば、燃焼反応のための燃料の一部分がアノード排出物からの水素に相当する態様において、そのような懸念をさらに軽減することができる。
【0231】
低電圧における燃料電池の作動
従来の燃料電池の実施は、溶融炭酸塩形および固体酸化物形燃料電池が、出力密度を最大化するために作動されなければならないことを教示する。出力密度を最大化する能力は、他の作動の制約、例えば、燃料電池内の温度差を満たすことの必要性によって制限されることができる。一般に、燃料電池パラメーターは、実行可能な所与の他の制約と同程度に、出力密度を最適化するために選択される。一例として、NETL Fuel Cell Handbookの
図6〜13および、
図6〜13の周囲の考察では、低燃料利用での燃料電池の作動は、燃料利用が減少して生じる燃料変換の減少によって妨害されることが教示される。一般に、作動電圧V
Aが高いほど、出力密度を増加させるために望ましい。
【0232】
本発明の態様は、低燃料利用で燃料電池を作動させること、および電圧を減少させることによって減少したCH
4変換の課題を克服することであることができる。減少した電圧は、変換反応における使用のために利用可能な熱量を増加させることができる。様々な態様において、燃料電池は、約0.7ボルト未満、例えば、約0.68V未満、約0.67V未満、約0.66V未満、または約0.65V以下の電圧V
Aで作動させることができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池は、少なくとも約0.60、例えば、少なくとも約0.61、少なくとも約0.62、または少なくとも約0.63の電圧V
Aで作動させることができる。そのような場合、その他の場合には高電圧において電気エネルギーとして燃料電池から出るエネルギーは、電圧が低下されるため、熱として電池に残存することができる。この追加的な熱によって、吸熱性反応の増加が生じることが可能となり、例えば、合成ガスへのCH
4変換を増加させる。
【0233】
本発明による溶融炭酸塩形燃料電池を作動させる利点を例示するために、一連のシミュレーションを実行した。具体的には、シミュレーションは異なる燃料利用で、低電圧において燃料電池を動作する利点を例示するために実行された。低電圧および低燃料利用で燃料電池を動作することの影響は、
図16および17に示される。
図16は、NETL Fuel Cell Handbookの
図6〜13と同様の表示で、燃料電池のモデルを例示する。
図16に示される結果を生じるために使用されるシミュレーションは、一定のCH
4フローレートで実行する。
図16は、異なる作動電圧に関する異なる燃料利用1610のパーセントにおいて生じることができる変換1620を示す。高電圧(0.8V)1650で、燃料利用が減少すると、CH
4変換も低レベルまで減少するように思われた。電圧が低下すると(0.7V、1640および0.6V、1630まで)、モデル化されたそれぞれの燃料利用点のCH
4変換は、0.8Vにおける相当する変換より高く思われた。
図16は、CH
4変換において数パーセントのみ増加することを示すが、
図17に例示されるように、影響は実際には非常に実質的であることができる。
【0234】
図17に示される結果を生じるために使用されるシミュレーションは、CH
4の一定のフローレートで実行されなかったが、その代わり一定の燃料電池面積で実行された。
図17中、燃料電池の同一の作動は、CH
4変換のパーセント基準で例示されなかったが、固定された燃料電池面積に関するCH
4の絶対的なフローレート基準で例示された。x軸1710は燃料利用を示し、y軸1720は基準化されたCH
4変換を示す。計画1730は、0.6Vで生じるシミュレーションされた結果を示す。計画1740は、0.7Vで生じるシミュレーションされた結果を示す。計画1750は、0.8Vで生じるシミュレーションされた結果を示す。燃料利用が減少すると、および特に電圧が減少すると、電流密度は、
図16および17に示されるデータに関して、5倍より高く増加するように思われた。そのようなものとして、出力密度は、本発明の態様と一貫した作動条件で作動電圧を低下させることによって増加することができる。低い作動電圧は典型的に低い出力密度をもたらすため、増加した出力密度およびより低い電圧は、従来の作動の間に達成される影響と相反するように思われる。
図17で示すように、全CH
4変換への影響は有意に思われ、絶対的フローレートによって測定されるCH
4の非常により高い変換は、電圧が減少した時に、より低い燃料利用において達成された。
【0235】
追加的な実施形態
以下の態様は実例であり、本明細書に記載される他の態様を限定する意図はない。
【0236】
態様1.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉するための方法であって、燃焼供給源から、酸素および二酸化炭素を含んでなるアウトプット流を捕捉するステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、捕捉されたアウトプット流を処理するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイの溶融炭酸塩形燃料電池の1つ以上のカソードインレットを通して二酸化炭素流に有効に連結されるステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩と燃料を反応させ、電気を発生させるステップであって、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのアノード排出物流が、二酸化炭素および水素を含んでなり、炭酸塩で反応した燃料の少なくとも一部分が、アノード排出物流からリサイクルされる水素を含んでなるステップと;1つ以上の分離段階においてアノード排出物流から二酸化炭素を分離するステップと;アノード排出物流からの二酸化炭素の分離の後、アノード排出物流の少なくとも一部分を、アノードにリサイクルするステップとを含んでなる方法。
【0237】
態様2.アノード排出物流からCO
2を分離するステップの前に、アノード排出物流からH
2を分離するステップをさらに含んでなる態様1の方法。
【0238】
態様3.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉する方法であって、1つ以上の燃料流およびO
2含有流を反応領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行して、CO
2を含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、燃焼排出物の少なくとも第1の部分を処理して、燃料電池アレイの少なくとも1つのカソードアウトレットからカソード排出物流を形成するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイにおいて1つ以上のカソードインレットを介して燃焼排出物に有効に接続されているステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩を水素と反応させ、電気と、約65%以下、例えば、約60%以下のアノード燃料利用で作動される燃料電池アノードの少なくとも1段階と、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのCO
2およびH
2を含んでなるアノード排出物流とを発生させるステップと;1つ以上の分離段階においてCO
2をアノード排出物流から分離して、CO
2欠乏アノード排出物流を形成するステップとを含んでなる方法。
【0239】
態様4.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉する方法であって、1つ以上の燃料流およびO
2含有流を反応領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行して、少なくとも約0.5体積%のNOxを含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、燃焼排出物の少なくとも第1の部分を処理して、燃料電池アレイの少なくとも1つのカソードアウトレットからカソード排出物流を形成するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイにおいて1つ以上のカソードインレットを介して燃焼排出物に有効に接続されているステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩を水素と反応させ、電気と、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのCO
2およびH
2を含んでなるアノード排出物流とを発生させるステップと;1つ以上の分離段階においてCO
2をアノード排出物流から分離して、CO
2欠乏アノード排出物流を形成するステップとを含んでなる方法。
【0240】
態様5.燃焼排出物が、少なくとも約1.0体積%、例えば、少なくとも約2.0体積%、または少なくとも約3.0体積%、または少なくとも約4.0体積%、または少なくとも約5.0体積%のNOxを含んでなる態様4の方法。
【0241】
態様6.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉する方法であって、1つ以上の燃料流およびO
2含有流を反応領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行して、CO
2を含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、燃焼排出物の少なくとも第1の部分を処理して、燃料電池アレイの少なくとも1つのカソードアウトレットからカソード排出物流を形成するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイにおいて燃料電池の1つ以上のカソードインレットを介して燃焼排出物に有効に接続されているステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩を水素と反応させ、電気と、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのCO
2およびH
2を含んでなるアノード排出物流とを発生させるステップと;1つ以上の分離段階においてCO
2をアノード排出物流から分離して、CO
2欠乏アノード排出物流を形成するステップと;CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも第1の部分を燃焼領域に通過させるステップとを含んでなる方法。
【0242】
態様7.CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも(第2の)一部分をアノードにリサイクルするステップを含んでなる、態様1〜6のいずれかの方法。
【0243】
態様8.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉する方法であって、1つ以上の燃料流およびO
2含有流を反応領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行して、約10体積%以下のCO
2を含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、燃焼排出物の少なくとも第1の部分を処理するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイにおいて燃料電池の1つ以上のカソードインレットを介して燃焼排出物に有効に接続され、燃料電池アレイの少なくとも1つのカソードアウトレットからのカソード排出物流が、約2.0体積%以下の二酸化炭素を含有しているステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩を水素と反応させ、電気と、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのCO
2および少なくとも約5体積%のH
2を含んでなるアノード排出物流とを発生させるステップであって、H
2の少なくとも一部分が、アノード排出物流からリサイクルされたH
2を含んでなる炭酸塩と反応するステップと;1つ以上の分離段階においてCO
2をアノード排出物流から分離して、CO
2欠乏アノード排出物流を形成するステップと;CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも第1の部分を燃焼領域に通過させるステップと;CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも第2の部分をアノードへとリサイクルするステップとを含んでなる方法。
【0244】
態様9.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉するための方法であって、燃焼供給源から、酸素および二酸化炭素を含んでなるアウトプット流を捕捉するステップであって、二酸化炭素含有量が、捕捉されたアウトプット流の約10体積%以下であるステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、捕捉されたアウトプット流を処理するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイの溶融炭酸塩形燃料電池の1つ以上のカソードインレットを通して二酸化炭素流に有効に連結されるステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩と燃料を反応させ、電気を発生させるステップであって、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのアノード排出物流が、二酸化炭素および水素を含んでなり、炭酸塩で反応した燃料の少なくとも一部分が、アノード排出物流からリサイクルされる水素を含んでなるステップと;1つ以上の分離段階においてアノード排出物流から二酸化炭素を分離するステップと;アノード排出物流からの二酸化炭素の分離の後、アノード排出物流の少なくとも一部分を、アノードにリサイクルするステップとを含んでなる方法。
【0245】
態様10.燃焼供給源からの二酸化炭素を捕捉するための方法であって、燃焼供給源から、酸素および二酸化炭素を含んでなるアウトプット流を捕捉するステップと;1つ以上の溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイによって、捕捉されたアウトプット流を処理するステップであって、1つ以上の燃料電池のそれぞれがアノードおよびカソードを有し、溶融炭酸塩形燃料電池が、燃料電池アレイの溶融炭酸塩形燃料電池の1つ以上のカソードインレットを通して二酸化炭素流に有効に連結されるステップと;1つ以上の燃料電池アノード内で、約60%以下の燃料利用で、1つ以上の燃料電池カソードからの炭酸塩と燃料を反応させ、電気を発生させるステップであって、燃料電池アレイの少なくとも1つのアノードアウトレットからのアノード排出物流が、二酸化炭素および水素を含んでなり、炭酸塩で反応した燃料の少なくとも一部分が、アノード排出物流からリサイクルされる水素を含んでなるステップと;1つ以上の分離段階においてアノード排出物流から二酸化炭素を分離するステップと;アノード排出物流からの二酸化炭素の分離の後、アノード排出物流の少なくとも一部分を、アノードにリサイクルするステップとを含んでなる方法。
【0246】
態様11.CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも(第1の)一部分を燃焼領域にリサイクルするステップをさらに含んでなる、態様1〜5、9または10のいずれかの方法。
【0247】
態様12.65%以下、例えば、約60%以下のアノード燃料利用を有する少なくとも1つのアノード段階が、第1のカソード段階を構成する、上記態様のいずれかの方法。
【0248】
態様13.複数のアノード段階が、65%以下、例えば約30%〜約50%のアノード燃料利用を有する、上記態様のいずれかの方法。
【0249】
態様14.燃料電池アレイのための平均燃料利用が、約65%以下、例えば、約60%の以下である、上記態様のいずれかの方法。
【0250】
態様15.それぞれのアノード段階が、約65%以下、例えば、約60%以下のアノード燃料利用を有する、上記態様のいずれかの方法。
【0251】
態様16.燃料電池アレイにおける燃料電池アノードの燃料利用が、約55%以下、例えば、少なくとも約50%または少なくとも約45%である、態様12〜15のいずれかの方法。
【0252】
態様17.少なくとも1つのアノード段階の燃料利用が、少なくとも約30%、例えば、少なくとも約35%または少なくとも約40%である、態様12〜16のいずれかの方法。
【0253】
態様18.アノード排出物流を、水性ガスシフト触媒に暴露するステップをさらに含んでなり、水性ガスシフトへの曝露後のアノード排出物流中の水素含有量が、曝露前のアノード排出物流の水素含有量より高い、上記態様のいずれかの方法。
【0254】
態様19.1つ以上の燃料電池アノードに炭素含有燃料を通過させるステップをさらに含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0255】
態様20.炭素含有燃料を改質して、水素を発生させるステップと、発生した水素の少なくとも一部分を1つ以上の燃料電池アノードに通過させるステップとをさらに含んでなる、態様19の方法。
【0256】
態様21.1つ以上の燃料電池アノードに入る前に、炭素含有燃料を改質段階に通過させることなく、炭素含有燃料を1つ以上の燃料電池アノードに通過させる、態様19の方法。
【0257】
態様22.炭素含有燃料が、CH
4、天然ガスまたはそれらの組み合わせを含んでなる、態様19〜21のいずれかの方法。
【0258】
態様23.燃焼排出物が、約10体積%以下のCO
2、例えば、約8体積%以下のCO
2を含んでなり、燃焼排出物が任意に少なくとも約4体積%のCO
2を含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0259】
態様24.燃焼排出物からのCO
2含有流を燃焼領域にリサイクルするステップをさらに含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0260】
態様25.燃焼排出物からのCO
2含有流を燃焼領域にリサイクルするステップが、燃焼排出物の第2の部分とH
2O含有流との間で熱を交換し、蒸気を形成するステップと;燃焼排出物の第2の部分から水を分離し、H
2O欠乏燃焼排出物流を形成するステップと;H
2O欠乏燃焼排出物の少なくとも一部分を燃焼領域に通過させるステップとを含んでなる、態様24の方法。
【0261】
態様26.燃焼排出物が少なくとも約6体積%のCO
2を含んでなる、態様24または25の方法。
【0262】
態様27.アノード排出物流が、アノード排出物流からのCO
2の分離の前または後に、H
2の少なくとも約5.0体積%、例えば、少なくとも約10体積%、または少なくとも約15体積%のH
2を含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0263】
態様28.アノード排出物流を、水性ガスシフト触媒に暴露するステップをさらに含んでなり、水性ガスシフトへの曝露後のアノード排出物流中の水素含有量が、曝露前のアノード排出物流の水素含有量より高い、上記態様のいずれかの方法。
【0264】
態様29.CO
2欠乏アノード排出物流の第1の部分を燃焼領域に通過させる前に、CO
2欠乏アノード排出物流の第1の部分を燃料流と組み合わせる、上記態様のいずれかの方法。
【0265】
態様30.カソード排出物流が、約2.0体積%以下、例えば、1.5体積%以下、または約1.2体積%以下のCO
2含有量を有する、上記態様のいずれかの方法。
【0266】
態様31.アノード排出物流からCO
2を分離するステップが、アノード排出物流を冷却して、CO
2の凝縮された相を形成するステップを含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0267】
態様32.CO
2の凝縮された相を形成する前に、アノード排出物流から水を分離するステップをさらに含んでなる、態様31の方法。
【0268】
態様33.アノード排出物流から分離された水の少なくとも一部分を、アノードインレットに通過させる燃料流に導入するステップをさらに含んでなる、態様32の方法。
【0269】
態様34.アノード排出物からCO
2を分離するステップの前に、アノード排出物からH
2を分離するステップをさらに含んでなる、上記態様のいずれかの方法。
【0270】
態様35.アノード排出物からH
2を分離するステップが、膜の存在下でH
2を分離して、CO
2が豊富な残留物を形成するステップを含んでなり、膜の透過側面が、アノードインレットのための燃料流、燃焼領域のための燃料流、またはそれらの組み合わせによって掃去される、態様34の方法。
【0271】
態様36.燃焼領域が、少なくとも約1400℃、例えば、少なくとも約1500℃の温度で作動される、上記態様のいずれかの方法。
【0272】
態様37.燃料電池アレイの少なくとも1つのカソード段階においてNOxをN
2に変換するステップをさらに含んでなる、態様36の方法。
【0273】
態様38.燃焼排出物の少なくとも第1の部分が、直列の燃料電池アレイのカソード段階を通過し、かつ燃焼排出物の少なくとも第2の部分が、並列の燃料電池アレイのカソード段階を通過する、上記態様のいずれかの方法。
【0274】
態様39.燃焼排出物の少なくとも一部分が、直列の燃料電池アレイのカソード段階を通過し、かつ第2のカソード段階と関連するアノード段階を通過する燃料の量が、第1のカソード段階と関連するアノード段階を通過する燃料の量より多く、第1のカソード段階が、カソード段階における連続処理のために燃焼排出物の一部分を受け取るカソード段階に相当する、上記態様のいずれかの方法。
【0275】
態様40.燃焼排出物の少なくとも一部分が、直列の燃料電池アレイのカソード段階を通過し、かつ第3のカソード段階と関連するアノード段階を通過する燃料の量が、第2のカソード段階と関連するアノード段階を通過する燃料の量より多い、態様39の方法。
【0276】
態様41 アノード排出物流の第2の部分の少なくとも約50体積%が、第1のカソード段階と関連するアノード段階を通過する、態様39または40の方法。
【0277】
態様42.アノード排出物から二酸化炭素を分離するステップの前に、アノード排出物流が水性ガスシフト反応段階を通過する、上記態様のいずれかの方法。
【0278】
態様43.CO
2の分離後のアノード排出物流のH
2含有量が、少なくとも約15体積%、例えば、少なくとも約20体積%、または少なくとも約25体積%である、上記態様のいずれかの方法。
【0279】
態様44.CO
2の分離後のアノード排出物流のH
2含有量が、約40体積%、例えば、少なくとも約20体積%、または少なくとも約25体積%である、上記態様のいずれかの方法。
【0280】
態様45.CO
2分離段階を出た流れが、約15体積%〜約40体積%のH
2、約15体積%〜約40体積%のCH
4、および成分あたり約40重量%以下のCO
2、H
2OおよびN
2などの他の成分、好ましくは成分あたり約25重量%以下の他の成分、より好ましくは成分あたり約15重量%以下の他の成分を含むことができる、上記態様のいずれかの方法。
【0281】
態様46.分離されたCO
2が、向上した石油回収のために使用される、上記態様のいずれかの方法。
【0282】
態様47.分離されたCO
2が、藻類などのバイオマスの成長のための養分として使用される、上記態様のいずれかの方法。
【0283】
態様48.分離されたCO
2が、乾燥基準で少なくとも約60体積%、例えば、少なくとも約70体積%のCO
2濃度を有するアウトプットとして分離される、上記態様のいずれかの方法。
【0284】
態様49.少なくとも約95%、例えば、少なくとも約98%のCO
2濃度を有するように、CO
2含有アウトプットを濃縮するステップをさらに含んでなる、態様48の方法。
【0285】
態様50.圧縮器を含む燃焼タービンであって、圧縮器が酸化剤インプットを受け取り、かつ燃焼領域と流体連絡にあり、燃焼領域が、第1の燃料インプットおよび第2の燃料インプットをさらに受け取り、燃焼領域が、排出物アウトプットを有する膨張器と流体連絡にある燃焼タービンと;膨張器排出物アウトプットの第1の部分と燃焼領域との間で流体連絡を提供する排出物ガス再循環システムと;少なくとも1つのカソードインプット、少なくとも1つのカソードアウトプット、少なくとも1つのアノードインプットおよび少なくとも1つのアノードアウトプットを有する燃料電池アレイであって、膨張器排出物アウトプットの第2の部分が、少なくとも1つのカソードインプットと流体連絡にある燃料電池アレイと;1つ以上の二酸化炭素分離段階を含んでなるアノードリサイクルループであって、アノードリサイクルループアウトプットの第1の部分が、第2の燃料インプットの少なくとも一部分として燃焼領域に提供されるアノードリサイクルループとを含んでなる、発電のためのシステム。
【0286】
態様51.アノードリサイクルループアウトプットの第2の部分がアノードインプットに提供される、態様50のシステム。
【0287】
態様52.アノードリサイクルループが、水性ガスシフト反応領域をさらに含んでなり、アノードインプットが、1つ以上の二酸化炭素分離段階の少なくとも1段階より前に水性ガスシフト反応領域を通過する、態様50または51のシステム。
【0288】
態様53.排出物ガス再循環システムが、熱回収蒸気発生システムをさらに含んでなる、態様50〜52のいずれかのシステム。
【0289】
態様54.排出物ガス再循環システムが、膨張器排出物アウトプットの第1の部分を圧縮器に通過させることによって、膨張器排出物アウトプットの第1の部分と燃焼領域との間で流体連絡を提供する、態様50〜53のいずれかのシステム。
【0290】
態様55.第1の燃料インプットおよび第2の燃料インプットが、燃焼領域に入る前に組み合わされる、態様50〜54のいずれかのシステム。
【0291】
以下の実施形態は、別々に、以下に示す1つ以上の実施形態と組み合わせて、1つ以上の上記態様と組み合わせて、あるいはそれらの組み合わせで使用されてもよい。
【0292】
実施形態1.アノードおよびカソードを有する溶融炭酸塩形燃料を使用して、電気を発生させる方法であって、燃焼燃料流およびO
2含有流を燃焼領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行し、少なくとも約20vppmのNOxを含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;改質可能燃料を含んでなるアノード燃料流を、溶融炭酸塩形燃料電池のアノード、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードと関連する内部改質要素、またはそれらの組み合わせに導入するステップと;燃焼排出物の少なくとも一部分を含んでなり、CO
2、O
2および少なくとも約20vppmの酸化窒素を含んでなるカソードインレット流を、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに導入するステップと;a)溶融炭酸塩形燃料電池において電気を発生させ、b)H
2およびCO
2を含んでなるアノード排出物を発生させ、かつc)カソードインレット流のNOx含有量の約半分未満を含んでなるカソード排出物を発生させるステップと;アノード排出物の少なくとも一部分を分離して、アノード排出物より高いCO
2含有量を有するCO
2富化アノード排出物流、およびアノード排出物より低いCO
2含有量を有するCO
2欠乏アノード排出物流を形成するステップとを含んでなる方法。
【0293】
実施形態2.カソード排出物が、約15vppm以下のNOxを含んでなる、実施形態1の方法。
【0294】
実施形態3.カソードインレット流が、約500vppm以下のNOxを含んでなる、実施形態1または2の方法。
【0295】
実施形態4.燃焼排出物が、約10体積%以下(例えば約8体積%以下)のCO
2を含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0296】
実施形態5.燃焼領域が、少なくとも約1200°Fの温度で作動される、上記実施形態のいずれかの方法。
【0297】
実施形態6.CO
2欠乏アノード排出物流の少なくとも一部分を、燃焼領域に、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードに、またはそれらの組み合わせにリサイクルするステップをさらに含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0298】
実施形態7.アノード排出物流からCO
2を分離する前に、アノード排出物流を水性ガスシフト触媒に暴露するステップをさらに含んでなり、シフトされたアノード排出物流のH
2含有量が、曝露前のアノード排出物流のH
2含有量未満である、上記実施形態のいずれかの方法。
【0299】
実施形態8.燃焼排出物からの燃焼排出物リサイクル部分を燃焼領域にリサイクルするステップをさらに含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0300】
実施形態9.カソード排出物流が、約2.0体積%以下(例えば、約1.5体積%以下、または約1.2体積%以下)のCO
2含有量を有する、上記実施形態のいずれかの方法。
【0301】
実施形態10.アノード燃料流が、少なくとも約10体積%の不活性化合物、少なくとも約10体積%のCO
2、またはそれらの組み合わせを含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0302】
実施形態11.アノード排出物流が、約3.0:1〜約10.0:1のモル比でH
2およびCOを含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0303】
実施形態12.燃焼領域への燃焼燃料流が炭化水素であり、カソードインレット流のNOxに対するカソードインレット流のCO
2の比率が約100〜約10,000である、上記実施形態のいずれかの方法。
【0304】
実施形態13.電気を発生させる方法であって、1種以上の燃料流およびO
2含有流を反応領域に導入するステップと;燃焼領域において燃焼反応を実行し、少なくとも約20vppmのNOxを含んでなる燃焼排出物を発生させるステップと;改質可能燃料を含んでなるアノード燃料流を、溶融炭酸塩形燃料電池のアノード、アノードと関連する内部改質要素、またはそれらの組み合わせに導入するステップと;燃焼排出物の少なくとも一部分を含んでなり、約20vppm〜約500vppmの酸化窒素含有量の酸化窒素を含んでなるカソードインレット流を、溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに導入するステップと;溶融炭酸塩形燃料電池において電気を発生させるステップと;カソードインレット流の酸化窒素含有量の半分未満の酸化窒素含有量を有するアノード排出物を発生させるステップとを含んでなる方法。
【0305】
実施形態14.燃焼領域への燃料流が炭化水素であり、カソードインレット流のNOxに対するカソードインレット流のCO
2の比率が約100〜約10,000である、実施形態13の方法。
【0306】
CO
2分離のために燃料電池を使用するための改善された構成を使用する利点を実証するために、一連のシミュレーションを実行した。このシミュレーションは、発電システムにおける様々な構成要素の経験的モデルをベースとした。このシミュレーションは、質量の釣合いおよびエネルギーの釣合いの考慮すべき点をベースとするシステム内での定常状態条件を決定することをベースとした。
【0307】
タービンの燃焼反応に関して、このモデルは、燃焼領域への供給のそれぞれの燃料成分(例えば、C
1〜C
4炭化水素、H
2および/またはCO)に関する予想される燃焼エネルギー値および予想される燃焼生成物を含んだ。これは、燃焼排出物組成を決定するために使用された。アノードより前の初期改質領域は、CH
4をH
2に変換するために「理想とされた」改質反応を使用して作動されることができる。このアノード反応は、アノード作動の間にさらなる改質を行うために作動するようにモデル化された。なお、アノードの経験的モデルは、アノードで改質が生じるためのアノードにおける初期H
2濃度を必要としなかった。アノードおよびカソード反応の両方とも、モデルインプットとして選択された利用速度において、予想されるインプットを予想されるアウトプットに変換するためにモデル化された。初期改質領域およびアノード/カソード反応のためのモデルは、反応を実行するために必要な熱エネルギーの予想される量を含んだ。このモデルは、Nernst方程式をベースとして、燃料電池で消費される反応物の量および反応物の利用速度をベースとして発生する電流も決定した。モデル化された構成要素内での反応に直接関与しなかった燃焼領域またはアノード/カソード燃料電池へのインプットである種に関して、種は排出物またはアウトプットの一部分としてモデル化された領域を通過した。
【0308】
化学反応に加えて、システムの構成要素は、予想される熱インプット/アウトプット値および効率を有した。例えば、低温分離器は、分離されたCO
2およびH
2Oの体積をベースとして必要とされたエネルギー、ならびに圧縮され、そしてアノードアウトプットフローに残留するガスの体積をベースとして必要とされたエネルギーを有した。また予想されるエネルギー消費も、存在する場合、水性ガスシフト反応領域に関して、およびリサイクルされた排出物ガスの圧縮に関して決定された。熱交換から発生する蒸気をベースとする電気発生に関して予想される効率も、このモデルにおいて使用された。
【0309】
シミュレーションのために使用される基本的構成は、
図8の配置と同様の圧縮器、燃焼領域および膨張器を含む燃焼タービンコンバインを含んだ。この基本構成において、天然ガス燃料インプット812は、燃焼領域815に提供された。天然ガスインプットは、約93%のCH
4、約2%のC
2H
6、約2%のCO
2および約3%のN
2を含んだ。圧縮器802への酸化剤供給811は空気の典型的な組成を有し、約70%のN
2および約18%のO
2を含んだ。膨張器806を通過した後、燃焼排出物ガスの一部分892は、熱回収蒸気発生システム890を通過して、次いで、圧縮器802にリサイクルされた。燃焼排出物822の残りは、燃料電池カソードを通過した。燃料電池カソードを通過した後に、カソード排出物824がシステムを出た。特に明記しない限り、燃焼領域へリサイクルされる燃焼排出物の部分892は、約35%であった。燃焼排出物のこのリサイクルされた部分は、燃焼領域からのアウトプットのCO
2含有量を増加させるために役に立った。カソードアウトプットにおけるCO
2濃度約1.45%の固定値へと低下させるために燃料電池面積が選択されたため、燃焼排出物をリサイクルすることによって、CO
2捕捉効率が改善されることが発見された。
【0310】
基本構成において、適切なサイズの単一燃料電池が燃焼排出物を処理するように、燃料電池はモデル化された。これは、モデル化された電池と同一の活性面積を有して並列に配置された、相当する複数の燃料電池(燃料電池積層)の使用を表すために実行された。特に明記しない限り、燃料電池のアノードの燃料利用は約75%に設定された。選択された燃料利用が、約0.7ボルトの一定の燃料電池電圧、および約1.45体積%の一定のCO
2カソードアウトプット/排出物濃度で作動される燃料電池をもたらすように、燃料電池面積を変化させることが可能であった。
【0311】
化学反応に加えて、システムの構成要素は、予想される熱インプット/アウトプット値および効率を有した。例えば、低温分離器は、分離されたCO
2およびH
2Oの体積をベースとして必要とされたエネルギー、ならびに圧縮され、そしてアノードアウトプットフローに残留するガスの体積をベースとして必要とされたエネルギーを有した。また予想されるエネルギー消費も、存在する場合、水性ガスシフト反応領域に関して、およびリサイクルされた排出物ガスの圧縮に関して決定された。熱交換から発生する蒸気をベースとする電気発生に関して予想される効率も、このモデルにおいて使用された。
【0312】
シミュレーションのために使用される基本的構成は、圧縮器、燃焼領域および膨張器を含む燃焼タービンコンバインを含んだ。この基本構成において、天然ガス燃料インプットは、燃焼領域に提供された。天然ガスインプットは、約93%のCH
4、約2%のC
2H
6、約2%のCO
2および約3%のN
2を含んだ。圧縮器への酸化剤供給は空気の典型的な組成を有し、約70%のN
2および約18%のO
2を含んだ。膨張器を通過した後、燃焼排出物ガスの一部分は、熱回収蒸気発生システムを通過して、次いで、圧縮器にリサイクルされた。燃焼排出物の残りは、燃料電池カソードを通過した。燃料電池カソードを通過した後に、カソード排出物がシステムを出た。特に明記しない限り、燃焼領域へリサイクルされる燃焼排出物の部分は、約35%であった。燃焼排出物のこのリサイクルされた部分は、燃焼領域からのアウトプットのCO
2含有量を増加させるために役に立った。カソードアウトプットにおけるCO
2濃度を約1.45%の固定値へと低下させるために燃料電池面積が選択されたため、燃焼排出物をリサイクルすることによって、CO
2捕捉効率が改善されることが発見された。
【0313】
基本構成において、適切なサイズの単一燃料電池が燃焼排出物を処理するように、燃料電池はモデル化された。これは、モデル化された電池と同一の活性面積を有して並列に配置された、相当する複数の燃料電池(燃料電池積層)の使用を表すために実行された。特に明記しない限り、燃料電池のアノードの燃料利用は約75%に設定された。選択された燃料利用が、約0.7ボルトの一定の燃料電池電圧、および約1.45体積%の一定のCO
2カソードアウトプット/排出物濃度で作動される燃料電池をもたらすように、燃料電池面積を変化させることが可能であった。
【0314】
基本構成において、アノード燃料インプットフローは、アノードへの供給として、上記の天然ガス組成物を提供した。約2:1のインプット燃料中の蒸気対炭素比を提供するために、蒸気も存在した。任意に、天然ガスインプットは、アノードに入る前に天然ガス中のCH
4の一部分をH
2に変換するために改質を実行することができる。事前の改質段階が存在する場合、CH
4の約20%は、アノードに入る前に改質されて、H
2を発生させることができた。アノードアウトプットは、H
2OおよびCO
2の除去のために、低温分離器を通過した。分離後のアノードアウトプットの残りの部分は、それぞれの実施例の構成次第で処理された。
【0315】
所与の構成に関して、様々な値を定常状態で算出することができた。燃料電池に関して、アノード排出物のCO
2の量およびカソード排出物のO
2の量を決定した。燃料電池の電圧は、それぞれの計算において約0.7Vで固定された。より高い最大電圧をもたらすことができるであろう条件に関して、シミュレーション間の比較を促進するために、電圧は、追加的な電流の代わりに低下された。約1.45体積%の採集カソード排出物CO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池の面積も、燃料電池面積あたりの電流密度の測定を可能にするために決定された。
【0316】
別のセットの値は、CO
2排出に関連があった。システムによって捕捉されたCO
2のパーセントは、発生した全CO
2対低温分離器によって捕捉されて、除去されたCO
2の量(Mトン/年)をベースとして決定された。捕捉されないCO
2は、カソード排出物の一部として「失われた」CO
2に相当した。捕捉されたCO
2の量をベースとして、捕捉されたCO
21トンあたり必要とされる燃料電池の面積を決定することもできた。
【0317】
シミュレーションにおいて決定される他の値は、アノード供給における炭素の量およびN
2の量と比較したアノード供給におけるH
2の量を含んだ。なお、燃焼領域およびアノード供給の両方のために使用される天然ガスは、典型的な実際の天然ガス供給に関して予想されるように、N
2の部分を含んだ。その結果、N
2はアノード供給に存在した。改質のためにアノード供給を加熱するために必要とされる熱量(または同等に蒸気)も決定された。同様の動力ペナルティは、低温分離段階における圧縮および分離のために必要とされる動力に基づいて決定された。アノード排出物の一部分が燃焼タービンにリサイクルされる構成に関して、H
2に相当するタービン燃料のパーセントも決定された。タービン、燃料電池の作動、発生した過剰量の蒸気、ならびに改質領域の加熱、圧縮および/または分離のために消費されるいずれの動力をベースとして、全体の正味の動力がシステムに関して決定され、タービンおよびアノードのためのインプットとして使用される天然ガス(または他の燃料)の量をベースとして正味の電気効率を決定することが可能となる。
【0318】
図10、11および12は、いくつかの構成の変形をベースとして実行されるシミュレーションからの結果を示す。
図10は、基本構成に相当する構成、ならびにアノードアウトプットの一部分がアノードインプットにリサイクルされるいくつかの構成を示す。
図10中、第1の構成(1a)は、タービン燃焼領域の後に位置する燃焼室に、二酸化炭素および水分離段階の後の残留するアノードアウトプットを通過させることをベースとした。これは改質反応のための熱を提供し、そのうえ、追加的な二酸化炭素をカソードインプットに提供した。構成1aは、Manzoliniの参照文献が排出物ガスのリサイクルを記載しなかったことを除き、上記のManzoliniの参照文献などの従来のシステムの代表であった。燃焼室のための供給としてのアノードアウトプットの使用によって、カソードアウトプットのCO
2含有量を約1.45体積%まで低下させるため、約208km
2の予測された燃料電池面積がもたらされた。カソード排出物の一部として失われたCO
2の量は、約111ポンドCO
2/MWhrであった。CO
2を捕捉するために必要とされる大きい燃料電池面積のため、発生する正味の動力は、毎時約724MWであった。これらの値をベースとして、1年間の作動において1メガトンのCO
2を捕捉するために必要な燃料電池の面積など、CO
2の固定量を捕捉するために必要な燃料電池面積の量を算出することができた。構成1aに関して、必要とされる燃料電池の面積は、約101.4km
2*年/CO
2Mトンであった。発電システムで使用される全ての燃料のエネルギー含有量と比較して電力の発生のための効率は、約58.9%であった。比較により、いずれの形態の炭素捕捉もないタービンに関する電気効率は約61.1%であった。
【0319】
第2のセットの構成(2a〜2e)において、アノードアウトプットは、アノードインプットにリサイクルされた。構成2aは、分離後、アノードインプットへのアノードアウトプットの基本的リサイクルを表した。構成2bは、二酸化炭素分離段階の前に水性ガスシフト反応領域を含んだ。構成2cは、アノードインプットの前に改質段階を含まなかった。構成2dは、改質段階を含んだが、約75%の代わりに約50%の燃料利用で作動された。構成2eは、約50%の燃料利用で作動されて、アノードの前に改質段階を有さなかった。
【0320】
構成2aに示すように、アノードアウトプットをアノードインプットへリサイクルすることによって、必要とされる燃料電池面積の約161km
2への減少がもたらされた。しかしながら、カソード排出物からのCO
2損失は、約123ポンドCO
2/MWhrに増加した。これは、追加的なCO
2がタービンの後、燃焼室におけるアノード排出物の燃焼によってカソードインプットに添加されていなかったという事実によった。その代わりに、カソードインプットのCO
2含有量は、燃焼領域のCO
2アウトプットのみをベースとした。構成2aの正味の結果は、約87.5km
2*年/Mトン−CO
2の捕捉されたCO
2の1トンあたりの燃料電池のより低い面積であったが、CO
2排出のわずかにより高い量であった。燃料電池面積の減少のために、発生した全動力は約661MWであった。構成2aで発生する正味の動力は構成1aの正味の動力より約10%低かったが、燃料電池面積は20%より多く減少した。電気効率は約58.9%であった。
【0321】
構成2bにおいて、追加的な水性ガスシフト反応領域は、アノードに送達される水素含有量を増加させ、アノード反応のために必要とされる燃料の量を低下させた。構成2bに水性ガスシフト反応領域が含まれることによって、必要とされる燃料電池面積の約152km
2までの減少がもたらされた。カソード排出物からのCO
2損失は、約123ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉されたCO
2の1メガトンあたりの燃料電池の面積は、約82.4km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約664MWであった。電気効率は約59.1%であった。
【0322】
構成2cは、アノードに入る前に生じる燃料の改質を排除することによって、アノードリサイクルにおいて水素含有量のさらなる利点を有することができる。構成2cにおいて、改質はアノード自体の範囲内で生じることができる。しかしながら、燃料電池アノードへ入る前に別々の改質段階を組み込む従来のシステムと対照的に、構成2cは、アノード反応を継続するための最少の水素含有量を提供するために、リサイクルされたアノードガスの水素含有量に依存した。別々の改質している段階が必要とされなかいため、改質段階の温度を維持するために熱エネルギーは消費されなかった。構成2cは、必要とされる燃料電池面積の約149km
2までの減少をもたらした。カソード排出物からのCO
2損失は、約122ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉されたCO
2の1トンあたりの燃料電池の面積は、約80.8km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は、約676MWであった。電気効率は約60.2%であった。シミュレーション結果をベースとして、改質ステップを排除することは、必要とされる燃料電池面積にわずかにのみ影響を有するようであったが、電気効率は、構成2bと比較して約1%改善されるように見えた。工業規模の発電プラントに関して、1%のみの効率向上でさえ、1年間の発電において非常に大きな利点を表すと考えられる。
【0323】
構成2dにおいて、改質はなお実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換された。その代わりに、アノード内の燃料利用は、約75%から約50%まで低下した。これによって、必要とされる燃料電池面積の約113km
2への実質的な減少がもたらされた。カソード排出物からのCO
2損失は、約123ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約61.3km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は、約660MWであった。電気効率は、約58.8%であった。シミュレーション結果をベースとして、燃料利用を低下させることは燃料電池面積の実質的な減少をもたらした。追加的に、構成2bおよび2eと比較すると、構成2dは、予想外にも、CO
2除去の所望のレベルを達成するために最も低い燃料電池面積を提供した。
【0324】
構成2eは、約50%の低下した燃料利用、ならびにアノードインレットの前の改質段階の除去の両方を組み込んだ。この構成は、改善された電気効率および減少された燃料電池面積の組み合わせを提供した。しかしながら、燃料電池面積は、構成2dで必要とされる燃料電池面積よりわずかに大きかった。構成2cにおいて、アノードインレットの前の改質段階を排除することによって、構成2bと比較すると、燃料電池面積が減少したため、これは驚くべきことであった。これをベースとして、構成2eが、構成2dと比較して、燃料電池面積のさらなる減少を提供することは予想された。構成2eにおいて、カソード排出物からのCO
2損失は、約124ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約65.0km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は、約672MWであった。電気効率は、約59.8%であった。なお、構成2dは、構成2eより2%のみ低い動力を発生させたが、構成2dの燃料電池面積は、構成2eより少なくとも6%低かった。
【0325】
構成2b〜2eのシミュレーション結果は、アノード燃料利用を低下させることが発電システムにおける全電気効率に影響を与えることができる様子の比較を提供する。構成2dにおける約50%までの燃料利用の低下は、構成2bと比較して、燃料電池面積の減少を導くが、アノード燃料利用の低下によって、約59.1%から約58.8%までの電気効率の低下をもたらすように見えた。これは、一般に、システムに送達される燃料の効率的利用を可能にするために高い燃料利用値を使用することができるという、溶融炭酸塩形燃料電池の燃料利用に関する従来の見解と一致した。構成2b〜2eのシミュレーションにおいて、全電気効率の改善を達成するため、構成2eに示すように、低い燃料利用を、改質の量の低下および/または排除することと組み合わせることができる。
【0326】
図11は、タービンのための燃焼領域へのアノード排出物の少なくとも一部分のリサイクルを含む追加的な構成のためのシミュレーション結果を示す。
図11中、構成1bは、構成1a(
図10に示される)と同様であったが、CO
2分離段階の前に水性ガスシフト反応段階を含んだ。したがって、Manzoliniの参照文献が水性ガスシフト反応段階または排出物ガスのリサイクルを記載しなかったことを除き、上記のManzoliniの参照文献などの従来のシステムの代表であった。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約190km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約117ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約97.6km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約702MWであった。電気効率は約59.1%であった。
【0327】
構成3a、3bおよび3dは、タービンの燃焼領域のためのインプットとしてアノードアウトプットが使用された構成に相当する。これらの構成において、アノードアウトプットのH
2含有量は、タービン燃焼領域で燃料としての使用のために利用可能であった。H
2を発生させるために使用される炭素含有燃料は、アノードリサイクルループにおいて発生し、そこで、得られたCO
2の大部分は、低温分離段階を通して除去することができるため、これは有利に思われた。これによって、燃焼領域に送達される炭素含有燃料の量の低下をもたらすこともできるが、燃焼領域における炭素含有燃料の低下は、カソードへのインプットにおけるCO
2濃度の低下をもたらすことも可能である。
【0328】
構成3aは、構成1aと同様の構成であったが、燃焼領域へのアノード排出物のリサイクルを有した。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約186km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約114ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約100.3km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約668MWであった。電気効率は約59.7%であった。構成1aと比較して、構成3aは、発生したCO
2の総量がより低かった(構成1aに関して約2.05Mトン/年対構成3aに関して約1.85Mトン/年)。これは、燃焼領域に送達される炭素含有燃料の量が減少したことによると考えられた。しかしながら、これによって、カソードインプットに送達されたCO
2濃度の低下がもたらされるように見え、それによって、このモデルは構成3aのCO
2除去の効率の低下を示した。その結果、カソード排出物を出るCO
2の正味の量は、構成1aおよび構成3aに相当した。しかしながら、構成3aは、構成1aと比較していくつかの利点を有するように見えた。第1に、構成3aは、より低い燃料電池面積を必要とし、そのため、おそらく構成3aのシステムは費用の低下を有する。追加的に、構成3aのシステムは、構成の異なる動力アウトプットに関して調節した後でさえ、改善された電気効率を有するように見え、このことは、より低い燃料使用を示すことができる。
【0329】
構成3bは、構成3aと同様であったが、低温分離段階の前に水性ガスシフト反応領域も含んだ。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約173km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約124ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約96.1km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約658MWであった。電気効率は約59.8%であった。構成3bは、カソード排出物を通してのCO
2排出の増加を有するように見えた。これは、カソードインプットのために使用された燃焼排出物中のCO
2の量の相当する低下をもたらすことができる、燃焼領域に送達される追加的な水素によると考えられた。しかしながら、燃料電池面積はさらに減少した。
【0330】
構成3dは、構成3bと同様であったが、アノード燃料利用は約75%から約50%まで低下した。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約132km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約128ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約77.4km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約638MWであった。電気効率は約60.7%であった。シミュレーション結果をベースとして、アノードにおける燃料利用を低下させることは、構成3bと比較して電気効率の実質的な改善をもたらすように見えた。これは、タービンのための燃焼領域に送達される追加的な水素によると考えられていた。比較のために、いずれの炭素捕捉もないタービンの電気効率は約61.1%であった。したがって、燃焼領域にアノード排出物をリサイクルすることとより低い燃料利用との組み合わせによって、炭素捕捉システムを利用せずに効率を近づけて電気効率を達成することが可能になるように見えた。
【0331】
図12は、タービンのための燃焼領域およびアノードインレットの両方へのアノード排出物の少なくとも一部分のリサイクルを含む追加的な構成のシミュレーション結果を示す。構成4d、4eおよび4fは、CO
2およびH
2Oの分離(除去)後に残留するアノード排出物が、アノードインプットへのリサイクルおよびタービンのための燃焼領域へのリサイクルの間で均一に分割される構成を表す。アノードインプットおよび燃焼領域の両方に十分な水素を提供するために、構成4dおよび4eのアノード燃料利用は約50%に設定された。構成4dおよび4eは両方とも、分離段階の前に水性ガスシフト反応領域を含んだ。構成4dは、燃料がアノードに入る前に、アノードへの追加的な燃料インプットの約20%を改質するための別々の改質段階を含んだ。構成4eは、燃料がアノードインプットに入る前に改質段階を含まなかった。構成4eでは約50%であったことと対照的に、構成4fのアノード燃料利用が約33%であったことを除き、構成4fは構成4eと同様であった。
【0332】
構成4dは、アノードインプットおよび燃焼領域の両方にアノード排出物をリサイクルすることの利点を示すように見えた。構成2dと比較して、構成4dは、約1パーセント高い電気効率を提供するように見えた。構成3dと比較して、構成4dは、燃料電池面積の低下を提供した。構成4dにおいて、約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約122km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約126ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約63.4km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約650MWであった。電気効率は約59.9%であった。
【0333】
構成4eにおいて事前の改質段階を除去することは、さらなる利点を提供するように見えた。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約112km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約126ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約63.4km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約665MWであった。電気効率は約61.4%であった。なお、電気効率は、いずれの種類の炭素捕捉も利用せずに、タービンの効率よりも実際に高かった(約61.1%)。
【0334】
構成4fにおいてアノード燃料利用を低下させることは、燃料電池面積を低下させることおよび電気効率を増加させることに関して、なおさらなる利点を提供するように見えた。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約86km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約126ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約50.6km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約654MWであった。電気効率は約62.4%であった。なお、電気効率は、いずれの種類の炭素捕捉も利用せずに、タービンの効率よりも実際に高かった(約61.1%)。
【0335】
構成5d、5eおよび5fの排出物ガスリサイクル速度を約45%まで増加したことを除き、構成5d、5eおよび5fは、構成4d、4eおよび4fと同様であった。構成4d、4eおよび4fと比較して、構成5d、5eおよび5fは、同様の燃料電池面積を有し、同様の電気効率を提供するように見えた。しかしながら、カソード排出物を通してシステムを出ることが可能なCO
2の正味の量は、排出物ガスリサイクル速度が約30%から約45%まで増加した場合、約15%〜約20%低下した。
【0336】
図13は、いくつかの構成の変形および他の作動条件をベースとして実行されたシミュレーションからの結果を示す。
図13のシミュレーションは、
図10を参照して上記で説明されたシミュレーションよりも多くの因子を考慮した。その他の場合には、いくつかの加えられた変更があるが、
図13に示されるシミュレーションは、
図10に示されるシミュレーションと同様であった。例えば、それぞれの事例は、
図10のシミュレーションにおいて使用された約0.7ボルトに加えて、約0.65ボルトでシミュレーションされた。加えて、0%のEGRによる事例は、それぞれの構成に加えられた。
図13は、ベース構成、ならびにアノードアウトプットの一部分がアノードインプットにリサイクルされるいくつかの構成に相当する構成を示す。示されない限り、排出物ガスリサイクルは、
図10に示されるシミュレーションされた結果に関して約35%であった。
図13中、それぞれの構成は、示されるように、約35%または0%のいずれかのEGRで動作された。
【0337】
異なる構成および他の作動条件に加えて、
図13は、
図10に示されない追加的なパラメーターを示す。例えば、
図13は、アノード排出物を処理するための構成における水性ガスシフト反応器の存在の有無にかかわらず、近似の燃料利用、近似の蒸気対炭素比、EGRリサイクル%、近似の内部改質%、カソードインレットにおける近似のCO
2濃度、およびカソード排出物における近似のO
2含有量を含む。
【0338】
図13中、欄1304に示される第1の構成(0)は、二酸化炭素および水分離段階の後に残留するアノードアウトプットを、タービン燃焼領域の後に位置する燃焼室に通過させることをベースとした。これは改質反応に熱を提供し、そのうえ、追加的な二酸化炭素をカソードインプットに提供した。構成0はEGRを含まなかった。構成0は、EGRを含まない他のシミュレーションとの比較のための有用なベース事例を提供した。構成0は、従来のシステム(例えば、上記のManzoliniの参照文献)の代表であった。燃焼室のための供給としてのアノードアウトプットの使用は、カソードアウトプットのCO
2含有量を約1.5体積%まで低下させるために、約185km
2の予測された燃料電池面積をもたらした。カソード排出物の一部分として損失したCO
2の量は、約212ポンドCO
2/MWhrであった。CO
2を捕捉するために必要とされる大きい燃料電池面積のために、発生した正味の動力は、毎時約679MWであった。これらの値をベースとして、1年間の作動において1メガトンのCO
2を捕捉するために必要な燃料電池の面積など、CO
2の固定量を捕捉するために必要な燃料電池面積の量を算出することができた。構成0に関して、1メガトンを捕捉するために必要とされる燃料電池の面積は、約113.9km
2*年/Mトン−CO
2であった。発電システムで使用される全燃料のエネルギー含有量と比較して、電力の発生のための効率は約57.6%であった。
【0339】
図13中、欄1306に示される第2のベース構成(1a)は、二酸化炭素および水分離段階の後に残留するアノードアウトプットを、タービン燃焼領域の後に位置する燃焼室に通過させることをベースとした。これは改質反応に熱を提供し、そのうえ、追加的な二酸化炭素をカソードインプットに提供した。構成1aは、Manzoliniの参照文献では排出物ガスのリサイクルが記載されなかったことを除き、従来のシステム(例えば、上記のManzoliniの参照文献)の代表であった。燃焼室のための供給としてのアノードアウトプットの使用は、カソードアウトプットのCO
2含有量を約1.5体積%まで低下させるために、約215km
2の予測された燃料電池面積をもたらした。カソード排出物の一部分として損失したCO
2の量は、約148ポンドCO
2/MWhrであった。CO
2を捕捉するために必要とされる大きい燃料電池面積のために、発生した正味の動力は、毎時約611MWであった。これらの値をベースとして、1年間の作動において1メガトンのCO
2を捕捉するために必要な燃料電池の面積など、CO
2の固定量を捕捉するために必要な燃料電池面積の量を算出することができた。構成1aに関して、1メガトンを捕捉するために必要とされる燃料電池の面積は、約114.2km
2*年/Mトン−CO
2であった。発電システムで使用される全燃料のエネルギー含有量と比較して、電力の発生のための効率は約51.2%であった。ベース事例1aはベース事例0と比較されてもよく、約35%で排出物ガスリサイクルを添加する結果を示す。
【0340】
図13中、欄1308に示される第3のベース構成(1b)は、二酸化炭素および水分離段階の後に残留するアノードアウトプットを、タービン燃焼領域の後に位置する燃焼室に通過させることをベースとした。これは改質反応に熱を提供し、そのうえ、追加的な二酸化炭素をカソードインプットに提供した。ベース事例1bは、二酸化炭素および水分離段階の前にアノード排出物を処理するための水性ガスシフト反応器を含んだ。構成1bは、Manzoliniの参照文献では排出物ガスのリサイクルまたは水性ガスシフト反応器が記載されなかったことを除き、従来のシステム(例えば、上記のManzoliniの参照文献)の代表であった。燃焼室のための供給としてのアノードアウトプットの使用は、カソードアウトプットのCO
2含有量を約1.5体積%まで低下させるために、約197km
2の予測された燃料電池面積をもたらした。カソード排出物の一部分として損失したCO
2の量は、約147.5ポンドCO
2/MWhrであった。CO
2を捕捉するために必要とされる大きい燃料電池面積のために、発生した正味の動力は、毎時約609MWであった。これらの値をベースとして、1年間の作動において1メガトンのCO
2を捕捉するために必要な燃料電池の面積など、CO
2の固定量を捕捉するために必要な燃料電池面積の量を算出することができた。構成1bに関して、1メガトンを捕捉するために必要とされる燃料電池の面積は、約107.6km
2*年/Mトン−CO
2であった。発電システムで使用される全燃料のエネルギー含有量と比較して、電力の発生のための効率は約52.1%であった。ベース事例1bはベース事例1aと比較されてもよく、水性ガスシフト反応器を添加する結果を示す。ベース事例1bはベース事例0と比較されてもよく、水性ガスシフト反応器および約35%で排出物ガスリサイクルを添加する結果を示す。
【0341】
第2のセットの構成(2a〜2e)において、アノードアウトプットは、アノードインプットにリサイクルされた。構成2aは、水および二酸化炭素の分離後、アノードインプットへのアノードアウトプットの基本的リサイクルを表した。構成2bは、二酸化炭素分離段階の前に水性ガスシフト反応領域を含んだ。構成2cは、アノードインプットの前に改質段階を含まなかった。構成2dは、改質段階を含んだが、約75%の代わりに約50%の燃料利用で作動された。構成2eは、約50%の燃料利用で作動されて、アノードの前に改質段階を有さなかった。構成2gは改質段階を含み、構成2bおよび2dと同様であったが、約30%の燃料利用で作動された。
【0342】
構成2aにおいて3つの変形形態をシミュレーションした。欄1310に示される2aシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1312に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1312に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとし、そして約0.65の作動電圧が維持された。欄1310および1312のシミュレーションにおいて、約0.65の作動電圧が維持された。
【0343】
構成2aに示すように、アノードアウトプットをアノードインプットにリサイクルすることによって、関連するベース事例と比較して、必要とされる燃料電池面積の減少をもたらした。欄1310において、必要とされる燃料電池面積は約174km
2であり、欄1312において、必要とされる燃料電池面積は約169km
2であり、そして欄1310において、必要とされる燃料電池面積は約131km
2であった。見ることができるように、電圧が低下すると、より低い燃料電池面積がもたらされた。
【0344】
2a構成は、カソード排出物からのCO
2排出を変化させた。欄1310において、CO
2排出は約141ポンドCO
2/MWhrであり、欄1312において、CO
2排出は約217.9ポンドCO
2/MWhrであり、そして欄1314において、CO
2排出は約141ポンドCO
2/MWhrであった。
【0345】
構成2bにおいて、水性ガスシフト反応領域は、水および二酸化炭素除去の前にそのアノードアウトレットフローを処理するために含まれた。2b構成において3つの変形形態がシミュレーションされた。欄1316に示される2bシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1318に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1320に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとし、そして約0.65の作動電圧が維持された。欄1316および1318のシミュレーションにおいて、約0.65の作動電圧が維持された。
【0346】
構成2bにおいて、追加的な水性ガスシフト反応領域は、アノードに送達される水素含有量を増加し、これによって、アノード反応のために必要とされる燃料の量を低下させた。構成2bにおいて水性ガスシフト反応領域を含むことは、欄1316において約168km
2、欄1318において約164km
2および欄1320において約129km
2の必要とされる燃料電池面積をもたらした。カソード排出物からのCO
2損失は、欄1316において約143ポンドCO
2/MWhrであって、欄1318において約217.5ポンドCO
2/MWhrであって、欄1320において約218.7ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉されたCO
2の1メガトンあたりの燃料電池の面積は、欄1316において約101.1km
2*年/Mトン−CO
2、欄1318において約114.9km
2*年/Mトン−CO
2および欄1320において約90.1km
2*年/Mトン−CO
2であった。
【0347】
構成2cは、アノードに入る前に生じる燃料の改質を排除することによって、アノードリサイクルにおける水素含有量のさらなる利点を有することができる。構成2cにおいて、改質は、アノード自体の範囲内で、なお生じることができる。しかしながら、燃料電池アノードに入る前に別々の改質段階を組み込む従来のシステムと対照的に、構成2cは、アノード反応を継続するために最小値水素含有量を提供するために、リサイクルされたアノードガスの水素含有量に依存した。別々の改質段階が必要とされないため、熱エネルギーは改質段階の温度を維持するために消費されなかった。
【0348】
2c構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1322および1324に示される2cシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1326および1328に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1322および1326に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1324および1328に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0349】
構成2cは、欄1322に関して約161km
2、欄1324に関して約126km
2、欄1326に関して約157km
2、欄1328に関して約126km
2の必要とされる燃料電池面積をもたらした。カソード排出物からのCO
2損失は、欄1322に関して約142.5ポンドCO
2/MWhr、欄1324に関して約143.5ポンドCO
2/MWhr、欄1326に関して約223.7ポンドCO
2/MWhrおよび欄1328に関して約225.5ポンドCO
2/MWhrであった。
【0350】
2d構成において、構成2bと同様の配列で、改質はなお実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換された。2bと対照的に、アノード内の燃料利用は約75%から約50%まで低下した。
【0351】
2d構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1330および1332に示される2dシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1334および1336に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1330および1334に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1332および1336に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0352】
構成2eは、2dの約50%の低下する燃料利用、ならびに2cのアノードインレットの前の改質段階の両方の除去を組み込んだ。2e構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1338および1340に示される2eシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1342および1344に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1338および1342に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1340および1344に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0353】
構成2gにおいて、構成2bおよび2dと同様の配列で、改質はなお実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換された。2bおよび2dと対照的に、アノード内の燃料利用は約75%または約50から約30%まで低下した。
【0354】
欄1350は、
図9に示される構成と同様の構成で実行されるシミュレーションの結果を記載する。
図9中、EGR 998は、最初にカソード、次いでHRSG 854を通過する。この構成のためのベース事例シミュレーションが実行された。ベース事例からのシミュレーションされた結果は、欄1309で示される。ベース事例と対照的に、欄1350のシミュレーションされた結果は、約75%ではなく、約50%の燃料利用をベースとした。加えて、欄1350のシミュレーションされた結果は、構成2bおよび2dと同様の配列で依然として改質が実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換される構成をベースとした。
【0355】
図14は、いくつかの構成の変形および他の作動条件をベースとして実行されたシミュレーションからの結果を示す。
図14のシミュレーションは、
図11を参照して上記で説明されたシミュレーションよりも多くの因子を考慮した。その他の場合には、いくつかの加えられた変更があるが、
図14に示されるシミュレーションは、
図11に示されるシミュレーションと同様であった。例えば、それぞれの事例は、
図11のシミュレーションにおいて使用された約0.7ボルトに加えて、約0.65ボルトでシミュレーションされた。加えて、0%のEGRによる事例は、それぞれの構成に加えられた。
図14は、ベース構成、ならびにアノードアウトプットの一部分がタービンのための燃焼領域にリサイクルされるいくつかの構成に相当する構成を示す。示されない限り、排出物ガスリサイクルは、
図11に示されるシミュレーションされた結果に関して約35%であった。
図14中、それぞれの構成は、示されるように、約35%または0%のいずれかのEGRで動作された。
【0356】
異なる構成および他の作動条件に加えて、
図14は、
図11に示されない追加的なパラメーターを示す。例えば、
図14は、アノード排出物を処理するための構成における水性ガスシフト反応器の存在の有無にかかわらず、近似の燃料利用、近似の蒸気対炭素比、EGR%、近似の内部改質%、カソードインレットにおける近似のCO
2濃度、およびカソード排出物における近似のO
2含有量を含む。
【0357】
図14は、タービンのための燃焼領域へのアノード排出物の少なくとも一部分のリサイクルを含んだ追加的な構成のシミュレーション結果を示す。
図14中、構成1b(欄1404)は構成1a(欄1406)と同様であったが、CO
2分離段階の前に水性ガスシフト反応段階も含んだ。したがって、Manzoliniの参照文献では水性ガスシフト反応段階または排出物ガスのリサイクルが記載されなかったことを除き、構成1bは従来のシステム(例えば、前記のManzoliniの参照文献)の代表であった。構成1bに関して、約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約197km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約147ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約107.6km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約609MWであった。電気効率は約52.1%であった。
【0358】
構成3a、3bおよび3dは、タービンの燃焼領域のためのインプットとしてアノードアウトプットが使用された構成に相当する。これらの構成において、アノードアウトプットのH
2含有量は、タービン燃焼領域で燃料としての使用のために利用可能であった。H
2を発生させるために使用される炭素含有燃料は、アノードリサイクルループにおいて発生し、そこで、得られたCO
2の大部分は、低温分離段階を通して除去することができるため、これは有利に思われた。これによって、燃焼領域に送達される炭素含有燃料の量の低下をもたらすこともできるが、燃焼領域における炭素含有燃料の低下は、カソードへのインプットにおけるCO
2濃度の低下をもたらすことも可能である。
【0359】
構成3aは、構成1aと同様の構成であったが、燃焼領域へのアノード排出物のリサイクルを有した。3a構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1410および1412に示される3aシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1414および1416に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1410および1414に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1412および1416に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0360】
欄1410は、欄1406に示される1aのベース事例と非常に同様の構成から生じるシミュレーションされた結果を示す。約1.45%のカソード排出物中のCO
2濃度を達成するために必要とされる燃料電池面積は、約179km
2であった。カソード排出物の一部分として失われたCO
2の量は、約150.4ポンドCO
2/MWhrであった。捕捉される1トンのCO
2あたりの燃料電池の面積は、約116.3km
2*年/Mトン−CO
2であった。発生した全動力は約599MWであった。電気効率は約55.5%であった。構成1aと比較して、構成3aは、捕捉されたCO
2の総量がより低かった(構成1aに関して約1.88Mトン/年対構成3aに関して約1.54Mトン/年)。これは、燃焼領域に送達される炭素含有燃料の量が減少したことによると考えられた。しかしながら、これによって、カソードインプットに送達されたCO
2濃度の低下がもたらされるように見え、それによって、このモデルは構成3aのCO
2除去の効率の低下を示した。構成3aは、構成1aと比較していくつかの利点を有するように見えた。第1に、構成3aは、より低い燃料電池面積を必要とし、そのため、おそらく構成3aのシステムは費用の低下を有する。追加的に、構成3aのシステムは、構成の異なる動力アウトプットに関して調節した後でさえ、改善された電気効率を有するように見え、このことは、より低い燃料使用を示すことができる。
【0361】
構成3bは、構成3aと同様であったが、低温分離段階の前に水性ガスシフト反応領域も含んだ。3b構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1418および1420に示される3bシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1422および1424に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1418および1422に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1420および1424に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0362】
図11に示されるシミュレーションと同様に、構成3bは、カソード排出物を通してのCO
2排出の増加を有するように見えた。これは、カソードインプットのために使用された燃焼排出物中のCO
2の量の相当する低下をもたらすことができる、燃焼領域に送達される追加的な水素によると考えられた。しかしながら、燃料電池面積はさらに減少した。
【0363】
構成3dは、構成3bと同様であったが、アノード燃料利用は約75%から約50%まで低下した。3d構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1426および1428に示される3dシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1430および1432に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1426および1430に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1428および1432に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0364】
構成3gは、構成3bと同様であったが、アノード燃料利用は約75%から約30%まで低下した。
【0365】
欄1436は、
図9に示される構成と同様の構成で実行されるシミュレーションの結果を記載する。
図9中、EGR 998は、最初にカソード、次いでHRSG 854を通過する。この構成のためのベース事例1a’シミュレーションが実行された。ベース事例1a’からのシミュレーションされた結果は、
図13中の欄1309に示される。ベース事例と対照的に、欄1436のシミュレーションされた結果は、約75%ではなく、約50%の燃料利用をベースとした。加えて、欄1436のシミュレーションされた結果は、構成3bおよび3dと同様の配列で依然として改質が実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換される構成をベースとした。
【0366】
図15は、いくつかの構成の変形および他の作動条件をベースとして実行されたシミュレーションからの結果を示す。
図15のシミュレーションは、
図12を参照して上記で説明されたシミュレーションよりも多くの因子を考慮した。構成4dおよび4eは、CO
2およびH
2Oの分離(除去)後に残留するアノード排出物が、アノードインプットへのリサイクルおよびタービンのための燃焼領域へのリサイクルの間で均一に分割される構成を表す。アノードインプットおよび燃焼領域の両方に十分な水素を提供するために、構成4dおよび4eのアノード燃料利用は約50%に設定された。構成4dおよび4eは両方とも、分離段階の前に水性ガスシフト反応領域を含んだ。構成4dは、燃料がアノードに入る前に、アノードへの追加的な燃料インプットの約20%を改質するための別々の改質段階を含んだ。構成4eは、燃料がアノードインプットに入る前に改質段階を含まなかった。
【0367】
4d構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1510および1512に示される4dシミュレーション結果は、EGRを含む構成をベースとしたが、欄1514および1516に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1510および1514に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1512および1516に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0368】
4e構成において5つの変形形態がシミュレーションされた。欄1520および1522に示される4eシミュレーション結果は、約35%のEGRを含む構成をベースとしたが、欄1524および1526に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1528の4eシミュレーションは、約45%のEGRを含む構成であった。欄1520、1524および1528に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1522および1526に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0369】
構成4eでは約50%であったことと対照的に、構成4fのアノード燃料利用が約33%であったことを除き、構成4fは構成4eと同様であった。4e構成において4つの変形形態がシミュレーションされた。欄1530および1532に示される4fシミュレーション結果は、約35%のEGRを含む構成をベースとしたが、欄1534および1536に示されるシミュレーション結果は、EGRを含まない構成をベースとした。欄1530および1534に示されるシミュレーション結果は、約0.70の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。欄1532および1536に示されるシミュレーション結果は、約0.65の作動電圧が維持されたシミュレーションをベースとした。
【0370】
欄1538は、
図9に示される構成と同様の構成で実行されるシミュレーションの結果を記載する。
図9中、EGR 998は、最初にカソード、次いでHRSG 854を通過する。この構成のためのベース事例1a’シミュレーションが実行された。ベース事例1a’からのシミュレーションされた結果は、
図13中の欄1309に示される。ベース事例と対照的に、欄1538のシミュレーションされた結果は、約75%ではなく、約50%の燃料利用をベースとした。加えて、欄1538のシミュレーションされた結果は、構成4bおよび4dと同様の配列で、改質はなお実行されて、アノードに入る前にアノードへのメタンインプットの約20%がH
2に変換される構成をベースとした。
【0371】
実施例 − タービンおよびMCFCにおける低BTUガスの使用
図18Aおよび18Bは、カソード排出物の一部分を提供するために、MCFCおよび燃焼タービンの両方を含む様々な構成において実行された追加的なシミュレーションからのデータを提供する。
図18Aおよび18Bに示されるシミュレーション結果において、MCFCアノード、燃焼タービンまたは両方に送達される燃料の少なくとも一部分は、約20%の不活性物質(CO
2またはN
2のいずれか)または約35%の不活性物質(CO
2)を含有した「低BTU燃料」としてシミュレーションされた。
図18Aおよび18B中のそれぞれの欄の上部付近の「事例」の名称は、上記で提供された事例の記載に相当する。
【0372】
図18A中、データは、燃焼タービンへの燃料の少なくとも一部分が約20%の不活性物質を含有した場合に実行されたシミュレーションに相当する。第1の4つの欄は、CO
2が不活性化合物であったシミュレーションに相当するが、第2の4つの欄は、N
2が不活性化合物であったシミュレーションに相当する。4つの欄は、(H
2を含有した)アノード排出物の一部分が、a)熱をカソードに提供するためにバーナーに、b)アノードに、c)燃焼タービン発電機(CTG)のための燃焼領域に、ならびにd)アノードおよび燃焼タービン発電機の両方にリサイクルされた構成に相当する。
図18Aに示すように、約20%の不活性物質を有する燃料を使用することは、燃焼タービンの作動に対してわずかな影響のみを有するように見えた。不活性物質は、燃料中で希釈剤として作用したが、タービンおよび/またはMCFCは、その他の場合には、タービンへの燃料が不活性化合物のより低い含有量を有したシミュレーションにおけるタービンおよびMCFCの性能と同様の方法で実行するように見えた。アノードインレットおよび/または燃焼タービンの燃焼領域へのアノードリサイクルの影響は、他のシミュレーションと比較して、
図18Aに示されるシミュレーションにおいて、同様の影響を有するように見えた。
【0373】
図18B中、データは、タービンへの燃料が約35体積%のCO
2を含有したか、アノードインレットへの燃料が約35体積%のCO
2を含有したか、またはアノードインレットおよびタービンの両方への燃料が約35体積%のCO
2を含有した場合に実行されたシミュレーションに相当する。燃焼タービンのための燃料として、約35体積%のCO
2を含有する燃料が使用された構成に関して、2つの結果の欄のみが
図18Bに示される。
図18Bに示される欄は、アノード排出物の少なくとも一部分が燃焼タービンにリサイクルされた構成に相当する。比較構成、およびアノード排出物がアノードインレットのみにリサイクルされた構成に関して、このシミュレーションは、タービンのための燃焼反応を約35体積%のCO
2を含有する燃料によって維持することができなかったことを示したため、データ欄は
図18Bに示されない。しかしながら、アノード排出物の一部分が燃焼領域にリサイクルされた構成に関して、
図18Bのシミュレーションは、アノード排出物のリサイクルされた部分のH
2含有量が、タービンの可燃性領域の拡張を可能にすることを示すように見えた。これらのシミュレーションに関して、拡張された可燃性領域は、タービンが、低BTU燃料を燃焼することを可能にするように見え、それによって、シミュレーションを定常状態に収束することを可能にした。その結果、
図18Bは、MCFCを燃焼タービンと集積化することの潜在的利点を実証するように見える。いくつかの態様において、不活性化合物の濃度が増加した燃料に関して、アノード排出物からH
2の一部分を燃焼タービンへ導入することによって、燃焼タービンが作動することを可能にすることができる。これによって、MCFC−燃焼タービンシステムが、不利な燃料供給源をベースとして、電気を発生させることを可能にすることができる。
図18B中、約35体積%のCO
2を含有する燃料を、アノードインレットの燃料として使用したシミュレーションに関して、シミュレーションは、不活性物質が希釈剤として作用したことを示すように見えた。このシミュレーションは、不活性物質の希釈剤効果はMCFCの効率を低下させるように見えたが、MCFCは低BTU燃料を使用して作動させることが可能であったことを示すように見えた。
【0374】
本発明を特定の実施形態に関して記載したが、そのように限定されることはない。特定の条件下での作動のための適切な変更形態/修正形態は、当業者に明白であろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨/範囲内に含まれるような全てのそのような変更形態/修正形態を包括するものとして解釈されることが意図される。