特表2016-512091(P2016-512091A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-512091(P2016-512091A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】骨インプラントの固定法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
   A61F2/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-501569(P2016-501569)
(86)(22)【出願日】2014年3月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月14日
(86)【国際出願番号】US2014024541
(87)【国際公開番号】WO2014150920
(87)【国際公開日】20140925
(31)【優先権主張番号】61/789,158
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/204,693
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511039728
【氏名又は名称】スメド−ティーエイ/ティーディー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】スタルカップ,グレゴリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ナップ,トロイ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ギールズ,トラビス・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097SC09
(57)【要約】
本発明は、関節トレイ、関節トレイに接続される支持トレイ、および支持トレイに接続される骨内部成長層を含む、整形外科用インプラントを提供する。関節トレイは、関節面、および関節面に対向する整合面を有する。支持トレイは、整合面に接続される第1の面、および第1の接続面に対向しかつ骨内部成長層に接続される第2の面を有する。関節構成要素、および関節構成要素に接続される本体構成要素を含む整形外科用インプラントも提供される。関節構成要素は、関節面、および関節面に対向する整合面を有する。本体構成要素は、整合面に接続される第1の面、第1の面に対向する第2の面、および第2の面から離れる方向に延在する少なくとも1つの突出部を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節面、および前記関節面に対向する整合面を有する、関節トレイと、
前記整合面に接続され、かつ、第1の接続面および前記第1の接続面に対向する第2の接続面を有し、前記第1の接続面が前記整合面に接続される、支持トレイと、
前記第2の接続面に接続される骨内部成長層と
を含む、整形外科用インプラント。
【請求項2】
前記骨内部成長層が、前記骨内部成長層内への骨の内部成長を促すように構成された、全体に形成された複数の細孔を含む、請求項1に記載の整形外科用インプラント。
【請求項3】
前記骨内部成長層が、前記複数の細孔のうちの少なくとも1つの細孔内に少なくとも1つの生物学的に活性のある物質を有する、請求項2に記載の整形外科用インプラント。
【請求項4】
前記支持層が、少なくとも1つの治療剤を保持するように構成され内設された貯槽と、前記第2の接続面を貫通して形成された複数の開口部とを有し、前記複数の開口部が、前記貯槽を骨内部成長層に流体的に接続する、請求項3に記載の整形外科用インプラント。
【請求項5】
前記支持層が露出面を有し、前記貯槽へのポートが前記露出面を貫通して形成される、請求項4に記載の整形外科用インプラント。
【請求項6】
前記整形外科用インプラントが、大腿骨インプラントおよび脛骨インプラントのうちの1つとして構成される、請求項2に記載の整形外科用インプラント。
【請求項7】
前記支持層が、前記整合面および前記骨内部成長層のうちの少なくとも1つに分離可能に接続される、請求項5に記載の整形外科用インプラント。
【請求項8】
前記整合面を前記第1の接続面に接続するポリマー保持層をさらに含む、請求項5に記載の整形外科用インプラント。
【請求項9】
関節面、および前記関節面に対向する整合面を有する、関節構成要素と、
前記整合面に接続され、かつ、第1の面、前記第1の面に対向する第2の面、および少なくとも1つの突出部を有する本体構成要素であって、前記第1の面が、前記整合面に接続され、また、前記少なくとも1つの突出部が、前記第2の面から離れる方向に延在し、かつ、張力により組織構造の方へ付勢されるように構成されている、本体構成要素と
を含む、整形外科用インプラント。
【請求項10】
前記本体構成要素が、前記関節構成要素に接続される支持構成要素と、前記支持構成要素に接続される骨固定構成要素とを含む、請求項9に記載の整形外科用インプラント。
【請求項11】
前記少なくとも1つの突出部が、前記第2の面に対して角度を付けられる、請求項10に記載の整形外科用インプラント。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突出部が、前記支持構成要素および前記骨固定構成要素のうちの少なくとも一方の一体部分である、請求項10に記載の整形外科用インプラント。
【請求項13】
前記少なくとも1つの突出部に接続された張力部材をさらに含む、請求項10に記載の整形外科用インプラント。
【請求項14】
前記張力部材が、アンカー、および前記アンカーを前記少なくとも1つの突出部に接続する張力伝達手段を含む、請求項13に記載の整形外科用インプラント。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突出部が穴を有し、前記穴は、前記穴用に形成された入口を有する、請求項10に記載の整形外科用インプラント。
【請求項16】
前記少なくとも1つの突出部が、前記入口に隣接して前記穴の内側および外側のうちの一方に形成されたロッキング特徴を有する、請求項15に記載の整形外科用インプラント。
【請求項17】
前記ロッキング特徴に接続される張力部材をさらに含む、請求項16に記載の整形外科用インプラント。
【請求項18】
前記第2の面に結合される骨接着剤をさらに含む、請求項13に記載の整形外科用インプラント。
【請求項19】
整形外科用インプラントの埋め込み方法であって、
関節面、および前記関節面に対向する整合面を有する、関節構成要素と、第1の面、前記第1の面に対向する第2の面、および少なくとも1つの突出部を有し、前記第1の面が前記整合面に接続されており、また、前記少なくとも1つの突出部が前記第2の面から離れる方向に延在している、前記整合面に接続される本体構成要素とを含む、整形外科用インプラントを用意するステップと、
埋め込みのための組織部位を準備するステップと、
前記準備された組織部位に前記整形外科用インプラントを設置するステップと、
前記準備された組織部位に前記整形外科用インプラントを押し込むために、前記少なくとも1つの突出部に張力を加えるステップと
を含む、方法。
【請求項20】
前記準備するステップが、前記組織部位を切除して、前記整形外科用インプラントが前記準備された組織部位内に配置されたときに前記突出部へのアクセスをもたらす少なくとも1つの穴を前記組織部位に作ることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月15日に出願され「FIXATION OF BONE IMPLANTS」と題された米国仮特許出願第61/789、158号に基づく通常出願である。
【0002】
[0002]本発明は、整形外科用インプラントに関し、より詳細には膝関節用インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]膝関節は、外科手術を必要とする患者に整形外科的な問題が多発する部位である。膝関節の軟骨は、患者の生涯にわたって特に損傷を受けやすく、通常、身体の他の組織のように自己修復するものではない。膝関節の軟骨が損傷するか破壊されると、通常は軟骨によって分離および潤滑されている大腿骨と脛骨とが共に擦れ合い、それにより様々な問題が生じる恐れがある。
【0004】
[0004]膝関節の軟骨を修復するための外科的介入が不十分な場合、通常、膝関節用インプラントが、患者の大腿骨または脛骨のどちらかの準備された表面に埋め込まれる。膝関節用インプラントは、典型的は、身体の本来の軟骨を模する関節面を有し、それにより、健常な軟骨が存在した場合と同じように、大腿骨と脛骨とが互いに接続された状態にありかつ互いに対して滑動することを可能にする。
【0005】
[0005]膝関節用インプラントを埋め込むときには、大腿骨または脛骨のいずれかにインプラントを添着しかつインプラントの適切な固定を可能とするために、接着剤がしばしば使用される。骨セメントは、骨との良好な境界面を形成しかつ良好な生体適合性を有するので、一般的な接着剤の選択肢とされる。準備した骨表面に膝関節用インプラントを固定するのに使用する骨セメントを減らすことにより、幾つかの利点が得られる。骨セメントは、パテのような粘稠度を有しており、外科手術中に拡散しやすい。外科医が準備した骨表面上の骨セメントに膝関節用インプラントを押し付ける際、過度の量の骨セメントまたは押圧が加えられると、膝関節用インプラントと準備した骨表面との間から骨セメントが絞り出される恐れがある。この解放された骨セメントは、通常、外科手術中に除去され、それが手術を長引かせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]骨セメントを使用する必要性を軽減もしくは排除する、大腿骨または脛骨への膝関節用インプラントの固定方法が、当技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明は、骨セメントの必要性を軽減もしくは排除するために自然な骨内部成長または張力を利用する膝関節用インプラントを提供する。
【0008】
[0008]本発明は、1つの形態において、関節トレイ、関節トレイに接続される支持トレイ、および支持トレイに接続される骨内部成長層を含む、整形外科用インプラントを対象とする。関節トレイは、関節面、および関節面に対向する整合面を有する。支持トレイは、整合面に接続される第1の接続面、および骨内部成長層に接続される第2の接続面を有する。
【0009】
[0009]本発明は、別の形態において、関節構成要素、および関節構成要素に接続される本体構成要素を含む、整形外科用インプラントを対象とする。関節構成要素は、関節面、および関節面に対向する整合面を有する。本体構成要素は、整合面に接続される第1の面、第1の面に対向する第2の面、および少なくとも1つの突出部を有する。突出部は、第2の面から離れる方向に延在し、また、張力により組織構造の方へ付勢されるように構成される。
【0010】
[0010]本発明は、さらに別の形態において、関節面、および関節面に対向する整合面を有する関節構成要素と、整合面に接続される第1の面、第1の面に対向する第2の面、および第2の面から離れる方向に延在する少なくとも1つの突出部を有する本体構成要素とを含む整形外科用インプラントを埋め込む方法を対象とする。ある組織部位が埋め込みのために準備され、その準備された組織部位に整形外科用インプラントが設置される。準備された組織部位に整形外科用インプラントを押し込むために、突出部に張力が加えられる。
【0011】
[0011]本発明の一利点は、外科手術中に骨セメントを使用する必要性を軽減または排除し、それにより外科手術の時間を短縮することができ、また、将来患者に再置換手術が必要になるリスクを軽減できることである。
【0012】
[0012]以下の本発明の実施形態の説明を添付の図面と併せて参照することにより、本発明の上記その他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法がより明らかになり、また、本発明がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本発明による整形外科用インプラントの一実施形態の斜視図である。
図2】[0014]本発明による整形外科用インプラントの別の実施形態の一部分解立体図である。
図3】[0015]本発明による、整形外科用インプラントが固定された脛骨の断面図である。
図4】[0016]本発明による骨ねじの断面図である。
図5】[0017]本発明による、整形外科用インプラントが固定された脛骨の一部分解断面図である。
図6】[0018]本発明による、脛骨の準備のために使用されるジグの分解立体図である。
図7】[0019]本発明による、整形外科用インプラントの別の実施形態が固定された脛骨の分解立体図である。
図8】[0020]図7に示される整形外科用デバイスが固定された脛骨の断面図である。
図9】[0021]図7に示される整形外科用デバイスが固定された脛骨の別の斜視図である。
図10】[0022]本発明による、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態が固定された脛骨の分解立体図である。
図11】[0023]本発明による、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態が固定された脛骨の断面図である。
図12】[0024]傾斜した突出部ではなく垂直な突出部を有する、図11に示される本発明の実施形態の断面図である。
図13】[0025]本発明による、さらに別の整形外科用インプラントの一実施形態の斜視図である。
図14】[0026]図13に示される本発明の実施形態の別の斜視図である。
図15】[0027]本発明による、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態が固定された脛骨の斜視図である。
図16】[0028]図15に示される本発明の実施形態の断面図である。
図17】[0029]本発明による、整形外科用インプラントが固定された大腿骨の分解立体図である。
図18】[0030]図17に示される本発明の実施形態の断面図である。
図19】[0031]本発明による整形外科用インプラントのさらに別の実施形態の図である。
図20】[0032]本発明による、図19に示される整形外科用インプラントが固定された大腿骨の断面図である。
図21】[0033]本発明による整形外科用インプラントのさらに別の実施形態の図である。
図22】[0034]本発明による、図21に示される整形外科用インプラントが固定された大腿骨の断面図である。
図23】[0035]本発明による支持体および骨内部成長層の分解立体図である。
図24】[0036]本発明による、図23に示される支持体および骨内部成長層を組み込んだ、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態の一部分解立体図である。
図25】[0037]本発明による、図23に示される支持体および骨内部成長層を組み込んだ、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態の斜視図である。
図26】[0038]本発明による、図25に示される整形外科用インプラントが固定された脛骨の斜視図である。
図27】[0039]本発明による、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態が固定された脛骨の斜視図である。
図28】[0040]本発明による、整形外科用インプラントのさらに別の実施形態が固定された脛骨の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0041]いくつかの図を通して、対応する参照文字は、対応する部品を示す。本明細書に提示された各例示は、本発明の実施形態を示すものであり、かかる例示は、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0015】
[0042]次に各図面、より具体的には図1および図2を参照すると、関節トレイ32、関節トレイ32に接続される支持トレイ34、および支持トレイ34に接続される骨内部成長層36を全体として含む、整形外科用インプラント30が示されている。関節トレイ32は、インプラント30が患者の体内に設置されたときに大腿骨または脛骨のいずれかと接触する形状となされた関節面38を有する。関節面38は、埋め込み中に大腿骨または脛骨の頭部が関節面38と接触する箇所に、凹状部分40を有するように成形されうる。凹状部分40は、大腿骨および脛骨の運動中に頭部が関節面38にわたって滑らかに動くことを可能にする。関節トレイ32の、関節面38の反対側の表面が、整合面42(図2に示す)である。整合面42は、平坦面であってもよく、または、関節トレイ32を支持トレイ34に取り外し可能に接続できるようにする特徴(図示せず)が整合面42上に形成されてもよい。図1は、支持トレイ34に不可逆的に付着されている関節トレイ32を示すが、図2は、支持トレイ34に可逆的に取り付けられる関節トレイ32を示す。関節トレイ32が支持トレイ34に不可逆的に付着される場合、支持トレイ34への関節トレイ32のより良好な付着を促進するために、整合面42および支持トレイ34にポリマー保持層44が付着されうる。関節トレイ32は、患者の生来の軟骨を模する、関節面38の提供に適した任意の材料から作られうる。そのような用途に広く使用される材料は、超高分子量ポリエチレン(ultra−high molecular weight polyethylene、UHMW−PE)であるが、生体適合性のある他のポリマーまたは金属も使用されうる。
【0016】
[0043]支持トレイ34は、関節トレイ32の整合面42に接続され、また、整合面に接続する第1の接続面46と、第1の接続面46に対向する第2の接続面(見られず)とを有する。支持トレイ34は、関節トレイ32との間の良好な付着を提供するために、関節トレイ32に対して相補的な形状になるように構成される。支持トレイ34は、通常支持トレイ34よりも薄いものでありかつ強度の低い材料で作られる関節トレイ32に対して、追加的な剛性および支持を提供する。前述のように、第1の接続面46は、整合面42に直接付着するか、または、特に不可逆的な付着が望まれる場合には、第1の接続面46を整合面42に接続するポリマー保持層44に付着されうるかのいずれかであれる。図2に示されるように、第1の接続面46は、関節トレイ32が凹部にはまり込んで支持トレイ34に付着することが可能となるように、支持トレイ34内の凹部として形成されうる。支持トレイ34は、関節トレイ32に強度を与え、また、この目的のために、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、硬化ポリマー、およびセラミックスを含む、任意の適切な材料で作られうる。
【0017】
[0044]骨内部成長層36が、支持トレイ34の第2の接続面に接続される。骨内部成長層36は、支持トレイ34の第2の接続面を完全に覆うように、または第2の接続面のうちの一部分のみを覆うように成形されうる。骨内部成長層36は、骨が層36内に成長することを可能にして、大腿骨または脛骨上へのインプラント30の固定を実現する。骨内部成長層36は、インプラント30が固定される大腿骨または脛骨の準備された部分に対して相補的であるように成形される。骨内部成長層は、多孔質であり、また、粗外面48を有することができ、この粗外面48は、その摩耗性によって生じる摩擦力を通じて、準備された部分に即時の固定力を提供する。層36内への骨組織の内部成長を可能にするために、骨内部成長層36にわたって細孔50が形成されうる。細孔50は、骨セメントもしくは他の付着特徴がない場合にインプラント30が大腿骨または脛骨に付着されたままでいるのに必要な固定力を提供する所望量の骨組織内部成長を可能にするために、そのためのサイズおよび形状となされ、かつ、層36全体にわたって分散されるべきである。細孔50はまた、細孔50内への骨組織成長を促すために、成長因子などの生物学的に活性のある物質を内部に有することができる。細孔50内に含まれうる他の生物学的に活性のある物質には、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤、拒絶反応抑制剤、および他の医学的に有用な物質が含まれる。骨内部成長層36は、様々な材料から形成されうる。骨内部成長層36を形成するのに特に有用であることが分かっている材料には、チタン、コバルトクロム、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、およびヒドロキシアパタイトが含まれる。
【0018】
[0045]次に図3を参照すると、脛骨52に埋め込みされた前述のインプラント30の断面図が示されている。突出部54、56が、インプラント30に形成されて、脛骨52に形成された穴58、60内に位置する。インプラント30は、骨内部成長層36が付着されて示されているが、インプラント30が突出部54、56を含む場合には、骨内部成長層36を除去できることも企図されている。突出部54、56は、支持トレイ34に対して角度を付けられ、また、骨内部成長層36において骨組織内部成長が始まる前に、穴58、60内に位置している間に、インプラント30にある程度の固定力を提供することができる。突出部56は中実なものとして示されているが、突出部54は、内設された穴62と、穴62の入口68の近くに形成された縁部64、66の対とを有する。穴62は、コンプレッションスクリューとして示されている張力部材70が挿入されて、インプラント30を脛骨52の方へ付勢する張力を突出部54に加えることを可能にする。スクリュー70上の嵌合特徴72が縁部64、66と噛み合って、スクリュー70を突出部54にロックされたままにしておく。スクリュー70を突出部54にロックさせると、スクリュー70をインプラント30から離れる方向に進ませることができ、それにより、インプラント30を脛骨52の方へ付勢する張力が突出部54に加えられる。突出部54および56は、インプラント30の一体部分として、またはインプラント30の付属品として形成されうる。突出部54は、突出部54に加えられる張力に耐えうる任意の材料で形成することができ、この材料は、支持層34を作るのに使用される材料に類似することになる。
【0019】
[0046]図4は、図3に示されるスクリュー70の断面図を示す。スクリューは本体74を有し、本体74の表面には外側ねじ山76が形成され、本体74の一端には嵌合特徴72が形成され、本体74の他端にはトルキング端部78が形成される。トルキング端部78は、スクリュー70を穴62との間で出入りさせるために、対応するトルキングデバイスと相互作用することができる。スクリュー70は、内部に内側チャンバ80が形成され、内側チャンバ80は、内側チャンバ80内の内部スクリュー84と係合する内側ねじ山82を有する。図で分かるように、内部スクリュー84は、トルキングデバイスと相互作用するために内部に穴90が形成された本体88に接続された細長い支持部分86と、内側ねじ山82と相互作用するために表面上に形成されたねじ山92とを有する。スクリュー70内で内部スクリュー84が完全に前進されると、細長い支持部分86が嵌合特徴72間の分離間隙94内に保持されて、嵌合特徴72の圧壊が防がれ、かつ、分離間隙94が維持される。
【0020】
[0047]次に図5を参照すると、スクリュー70が挿入されたインプラント30が、内側チャンバ80内で前進される内部スクリュー84なしに示されている。内部スクリュー84がないので、嵌合特徴72を分離させておくものがなく、そのため嵌合特徴72は、互いに自由に動くことができる。これにより、嵌合特徴72が穴62に押し込まれるまで、スクリュー70を突出部54の穴62の方へ進ませることが可能になる。嵌合特徴72のテーパ付け部分により、スクリュー70が穴62内に進められるときに縁部64、66が嵌合特徴72を互いに向けて押すことが可能になり、また、テーパ付け部分が縁部64、66を越えて進んだときに嵌合特徴72がスナップアウトすることが可能になり、縁部64、66に嵌合特徴72の当接部が提供される。この当接部により、スクリュー70がインプラント30から離れる方向に進められるにつれて張力が突出部54に伝達されることが可能になる。当接部が形成されると、細長い支持部分86が嵌合特徴72間の分離間隙94をふさぐように内部スクリュー84が進められて、スクリュー70がインプラント30から離れる方向に進められるときに嵌合特徴72が圧壊することが防がれる。所望に応じて、スクリュー70を穴62から取り出すことができるように、内部スクリュー84をスクリュー70から取り外すことができる。
【0021】
[0048]次に図6を参照すると、図3に見られる穴58および60を脛骨内に形成するのに使用することができるジグ96が示されている。ジグ96は、脛骨の準備された面102にジグ96を付着させるためにピン100を挿入することができる、複数の固定用開口部98を有する。ジグ96はドリル用開口部104を有し、ドリル用開口部104は、準備された面102にインプラント30が設置されたときに突出部54および56が位置することになる場所に対応するように、角度を付けられかつ位置決めされる。ジグ96が設置されると、ドリル用開口部104を通じてドリル(図示せず)を進ませることにより、穴58および60が形成されうる。
【0022】
[0049]次に図7図8、および図9を参照すると、本体112、第1の突出部114、細長い突出部116、および第2の突出部(図示せず)を含む、整形外科用インプラント110が示されている。本体112は、前述のインプラント30と同様のものとすることができ、ここでは付着された骨内部成長層36なしで示されている。第1の突出部114および第2の突出部は、先に説明されかつ示されたスクリュー72および内部スクリュー84と同様に構築されるスクリュー118および内部スクリュー120と相互作用するように、先に説明されかつ示された突出部54と同様に構築されうる。細長い突出部116は、第1の突出部114および第2の突出部に加えられる張力の釣り合わせを助長するために、脛骨122に形成された穴にぴったり収まる。図9に示されるように、インプラント110が完全に設置されると、インプラント110を脛骨122に対して緊張状態に保持するスクリュー118の対が存在することになる。1つの突出部114およびスクリュー118のみを使用して脛骨122にインプラントを固定させられることも企図されている。
【0023】
[0050]図10は、前述の整形外科用インプラント110に似ているが細長い突出部116のない整形外科用インプラント130を示す。インプラント130は、スクリュー136、138からの張力を受けることができる突出部132、134の対を有する。スクリュー136、138は、前述の内部スクリュー84および120を含むスクリュー70および118と同様に構築されうる。
【0024】
[0051]次に図11および図12を参照すると、関節トレイ142、関節トレイ142に接続される支持トレイ144、および支持トレイ144に接続される骨内部成長層146を含む、整形外科用インプラント140が示されている。インプラント140は、先に説明されかつ示されたインプラント30と同様に構成されうる。インプラント140はまた、支持トレイ144の一部分として形成された突出部148と、骨内部成長層146の一部分として形成された突出部150とを有する。突出部148および150は、図11に示されるように関節トレイ142の底面152に対して角度を付けられるか、または、図12に示されるように関節トレイ142の底面に対して垂直とされうる。突出部148は、張力部材156への突出部148の接続を可能にする、貫通して形成された開口部154を有する。張力部材156は、突出部148よりも大きい直径のボタンとして示されるアンカー158と、縫合糸として示される張力伝達手段160とを含む。ボタン158は、縫合糸160が通過する複数の開口部162を有する。インプラント140を固定するために、突出部148および150のサイズに厳密に一致した穴164、166の対が脛骨168に形成され、突出部148および150が、その穴164、166内に設置される。次いで、縫合糸160が、ボタン158上の開口部162のうちの1つに通され、突出部148が位置する穴164を通って進められ、突出部148上の開口部154に通され、穴164から出るように進められ、ボタン158上の別の開口部162に通されて、縫合糸のループを形成する。この過程は、1つまたは複数の縫合糸のループを作るために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。所望の数のループが形成されると、縫合糸160は、突出部148に張力を加えてインプラント140を脛骨168に押し込むために引っ張られ、次いで突出部148にかかる張力を維持するために結ばれうる。突出部148に結びつけられた縫合糸160からの張力は、骨内部成長層146内に骨組織が成長している間にインプラント140を脛骨168に固定するのに役立つ。所望に応じて、脛骨166へのインプラント140の固定を助長するために、骨内部成長層146ではなく骨セメントが使用されてもよい。張力部材156もまた、様々な外科技法に対応するように変更されてもよい。
【0025】
[0052]次に図13および図14を参照すると、関節トレイ172、関節トレイ172に接続される支持トレイ174、および支持トレイ174に接続される骨内部成長層176を含む、整形外科用インプラント170が示されている。インプラント170の関節トレイ172および支持トレイ174は、前述の整形外科用インプラント30の関節トレイ32および支持トレイ34と同様に構成されうる。骨内部成長層176は、骨内部成長層178に一体に形成された複数の突出部178を含む。これらの突出部178は、脛骨に形成された穴にぴったり収まる円筒状の杭として成形されうる。固定板180が、支持トレイ174に接続され、かつ、複数の開口部182を含む。開口部182は、埋め込み中の脛骨へのインプラント170の固定に役立つスクリューを通過させるためのサイズとなされる。インプラント170は通常、オンセットユニットとされ、この場合、インプラント170が位置する脛骨上に平坦面を作ることにより、脛骨が準備される。
【0026】
[0053]図15および図16は、前述の整形外科用インプラント140に似ているが、インプラント190を脛骨198内に位置するインセットインプラントにするための形状となされた、関節トレイ192と支持トレイ194と骨内部成長層196とを有する、整形外科用インプラント190を示す。関節トレイ192は、脛骨198の表面202になじむテーパ付けされた表面200の対を有し、インプラント190の良好な固定を達成しながらも可能な限り多くの脛骨198を保存できるようにする。前述の整形外科用インプラント140と同様に、支持トレイ194は、開口部206を含む突出部204を有し、骨内部成長層196は、突出部208を有する。前述のように、突出部204に張力を加えるために、張力部材156が使用されうる。インプラント190の固定は、整形外科用インプラント140が固定されるのと同様の方法で達成される。
【0027】
[0054]前述のインプラントおよび固定技法は、全て患者の脛骨での使用に対して説明されたが、同様のインプラントおよび技法が、患者の大腿骨でのインプラント固定のために使用されうる。
【0028】
[0055]図17および図18に示されるように、整形外科用インプラント210が、前述の患者の脛骨のためのインプラントと同様の方法で患者の大腿骨212に固定されうる。インプラント210は、湾曲した関節トレイ214と、関節トレイ214に接続される湾曲した本体トレイ216とを有する。関節トレイ214および本体トレイ216は、大腿骨212の組織形状になじむように湾曲される。本体トレイ216は、大腿骨212に形成された穴220の対内に設置される、一体に形成された突出部218の対を有する。突出部218は、脛骨での使用に対して前述された任意の方法で構成されうる。前述の内部スクリューを含むスクリューに類似したスクリュー222の対が、突出部218に挿入され、突出部218内にロックされると、穴220から出るように進められて、インプラント210を大腿骨212に固定する張力をもたらす。インプラント210は、本体トレイ216に骨内部成長層が付着されて示されていないが、インプラント210に追加の固定力を与えるために、そのような層を本体トレイ216に付着させることができる。
【0029】
[0056]次に図19および図20を参照すると、患者の大腿骨232に固定されうる整形外科用インプラント230が示されている。整形外科用インプラント230は、関節面236を有する湾曲した本体トレイ234と、関節面236とは反対側の表面において本体トレイ234に付着された骨内部成長層238とを含む。本体トレイ234および関節面236は、前述のように構築されうる。杭240の対が、骨内部成長層238に接着され、また、前述の突出部54と同様に構成される。杭240はそれぞれ、内部に形成された入口244を含む穴242と、入口244の近くに形成された縁部246とを有する。縁部246は、前述の内部スクリューを含むスクリューに類似したスクリュー248が杭240内にロックされて、前述のスクリューと同様に杭240に張力を加えることを可能にする。杭240は、チタンで作ることができ、また、確実な接着を可能にする任意の手段により、インプラント230に接着されうる。
【0030】
[0057]次に図21および図22を参照すると、骨内部成長層254が付着された本体トレイ252を含む整形外科用インプラント250が示されている。骨内部成長層254は、割り杭256の対に接着される。割り杭256はそれぞれ、骨内部成長層254に接着される端部258と、反対側の端部262に位置する外側縁部260の対とを有する。外側縁部260は、端部258の方向に最大直径d2まで増大する最小直径d1を端部262に有するように、テーパ付けされる。杭256における割れ目264により、大腿骨268に形成された穴266の対の中に杭256が進められたときに外側縁部260が互いの方へ押されることが可能になる。穴266は、直径d1に近い直径D1を持つ第1の長さL1と、より大きい直径D2を持つ第2の長さL2とを有する。杭256が穴266の第1の長さL1を経て進むにつれて、外側縁部260は、杭256にD1未満の全径を与えるように互いに向かって押され、杭256が穴266を経て前進するのを可能にする。縁部260の最大直径d2が第2の長さL2に達するように杭256が進むと、縁部260は互いに離れる方向に広がって、杭256に最大直径d2に近い全径を与える。このことが起こると、縁部260が、穴266内の第1の長さL1と第2の長さL2との交差部において大腿骨268に当接することになるので、杭256は、容易には大腿骨268から引き抜かれえない。杭256は、PEEK、チタン、コバルトクロム、吸収性材料、または他のポリマー材料を含む、そのような用途に適した強度をもたらす任意の材料から作られうる。
【0031】
[0058]特定の用途においては、周囲の組織構造に薬物および他の治療剤を送達するための手段を本発明の整形外科用インプラントに与えることが有用とされうる。図23は、周囲の組織構造に薬物を送達するように修正された、骨内部成長層272に接続される支持体270を示す。支持体270は、内面276および外面278(図24に示す)を有する第1の側274と、内面282および骨内部成長層272に付着する外面(図示せず)を有する第2の側280とから形成される。両方の内面276、282は、内部に形成されたチャネル284、286を有し、チャネル284、286は、第1の側274と第2の側280とが接続されたときに、組み合わさって支持体270内に貯槽を形成する。溶出開口部288が、第2の側280のチャネル286内に形成されて、骨内部成長層272まで支持体270を貫通する。これらの溶出開口部288は、貯槽からの薬物および治療剤が多孔質の骨内部成長層272に流入して周囲の組織構造に流出することを可能にする。各側274、280は、貯槽の補充を可能にするポート292(図24に示す)を形成するために、支持体270を貫通して延在するポートチャネル290を有することができる。図24および図25は、薬物送達のために修正された支持体270を組み込んだ整形外科用インプラント294を示す。図に見られるように、第1の側274の外面278は、関節トレイ298の可逆的な接続を可能にするために、内設された凹部296を有する。外面278は、関節トレイ298に不可逆的に接続されるように構成されてもよい。支持体270の貯槽が満たされると、貯槽からの薬物または治療剤の漏れを防ぐために、ポート292に栓300が挿入されうる。図26は、本発明の実施形態による、脛骨302上に固定された整形外科用インプラント294を示すが、整形外科用インプラント294は、本発明の実施形態によれば大腿骨上に固定させることもできる。図27は、ポート292に栓300ではなく補充インターフェース304が挿入された整形外科用インプラント294を示す。補充インターフェース304は、貯槽に薬物または治療剤を補充する手段を提供するために貯槽内に通じる管310に接続された開口部308を含む、患者の内側または外側に配置される円板306とされうる。開口部308から薬物または治療剤が出てくるのを防ぐために、開口部308に一方向弁が設置されうる。薬物および治療剤は、注射器または他の類似の道具を使用して、ポート292または補充インターフェース304に注入されうる。図28は、ポート292を経て支持体270の貯槽内に通じる管324を含む治療的貯槽322である、代替的な補充インターフェース320を示す。治療的貯槽322は、患者の体内または外部のいずれかに成形および設置されうる。治療的貯槽322の1つの有用な設置場所は、患者が足を踏み出したときに、貯槽322の周囲の組織構造が、袋として設計された貯槽322を圧搾して薬物を支持体270の貯槽内へと付勢し、次いでその薬物が骨内部成長層272に押し込まれるように、患者の膝関節の近くとされうる。
【0032】
[0059]本発明は、少なくとも1つの実施形態に関して説明されたが、本発明は、本開示の精神および範囲内でさらに修正されうる。したがって、本出願は、本発明の一般的原理を使用した本発明のいかなる変形形態、使用法、または翻案をも包含するように意図されている。さらに、本出願は、本発明が関係しまた添付の特許請求の範囲に記載の範囲に入る当技術分野における既知のまたは通例の慣行に含まれるような本開示からの逸脱を包含するように意図されている。
図1
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【国際調査報告】