特表2016-512270(P2016-512270A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-512270特にインクホルダー用の湿潤性高強度発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-512270(P2016-512270A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(54)【発明の名称】特にインクホルダー用の湿潤性高強度発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20160328BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20160328BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20160328BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20160328BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20160328BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20160328BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20160328BHJP
【FI】
   C08G18/10
   C08G18/22
   C08G18/72 W
   C08G18/76 Z
   C08G18/48 Z
   B41J2/175 141
   B41J2/175 173
   C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-561674(P2015-561674)
(86)(22)【出願日】2014年3月6日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月21日
(86)【国際出願番号】US2014021367
(87)【国際公開番号】WO2014138461
(87)【国際公開日】20140912
(31)【優先権主張番号】13/786,596
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515243914
【氏名又は名称】ロベット,ジョセフ ダブリュ.
(71)【出願人】
【識別番号】515243925
【氏名又は名称】マウンノイ,サランヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ロベット,ジョセフ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】マウンノイ,サランヤ
【テーマコード(参考)】
2C056
4J034
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056KC10
2C056KC12
4J034BA07
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB05
4J034DF01
4J034DG00
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG08
4J034DH00
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA13
4J034HA14
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4J034HC03
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4J034KC17
4J034KD02
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4J034NA03
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4J034QA05
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
4J034RA07
4J034RA14
(57)【要約】
発泡体配合物の他の成分に加えられる前に先に形成されたプレポリマーを含む、インクホルダーにとって特に好適な、湿潤性高強度エーテル発泡体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートであるプレポリマーと;
少なくとも1種のポリオールと;
イソシアネートと;
湿潤添加剤と;
を含み、該プレポリマーを該少なくとも1種のポリオール、該イソシアネート、および該湿潤添加剤と組み合わせる前に、該プレポリマーが形成される、湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項2】
前記プレポリマーの量が、全ポリオール100重量部に対して約5〜75重量部である、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項3】
前記湿潤添加剤の量が、全ポリオール100重量部に対して約0.2〜5.0重量部である、請求項2に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項4】
32.6psi以上の引張強度を有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項5】
3.4psi以上の引裂強度を有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項6】
13.4以上の弾性率を有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項7】
10.5以上の比剛性を有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項8】
前記プレポリマーが、約30〜45重量パーセントのポリオール、約55〜65重量パーセントのイソシアネート、および約0.01〜0.15重量パーセントの金属触媒を含む、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項9】
前記プレポリマーが、約21.7の%NCOを有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項10】
約1.0ポンド/立方フィート〜3.0ポンド/立方フィートの密度を有する、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項11】
その表面上に位置された水滴を104秒以内に吸収することができる、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項12】
10.5以上の比剛性を有し、表面上に位置された10%イソプロピルアルコール水溶液の液滴を約5.1秒以内に吸収することができる、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項13】
前記プレポリマーに使用される前記ポリオールが、ポリエチレングリコールである、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項14】
前記プレポリマーにおける前記イソシアネートおよび前記プレポリマーを含む前記発泡体インクホルダー配合物における前記イソシアネートが、トルエンジイソシアネートである、請求項1に記載の湿潤性高強度発泡体インクホルダー。
【請求項15】
以下の工程:
最初に、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートを含むプレポリマーを形成する工程と;
該プレポリマーを、少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤に加える工程と、
を含む、発泡体インクホルダーの製造方法。
【請求項16】
最初にプレポリマーを形成する前記工程が、反応チャンバーにおいてイソシアネートをポリオールおよび金属触媒と反応させて液体を形成する工程およびそれを冷却する工程を含んでいてもよい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プレポリマーを加える前記工程が、発泡体を形成するために、発泡装置のミックスヘッドを使用して、ポンプで送られたある量の該プレポリマー、前記少なくとも1種のポリオール、および前記湿潤添加剤を同時にミックスする工程を含んでいてもよい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記発泡体に熱および圧力を適用することによって該発泡体をフェルト化する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートであるプレポリマーと;
少なくとも1種のポリオールと;
イソシアネートと;
湿潤添加剤と、
を含み、該プレポリマーを該少なくとも1種のポリオール、該イソシアネート、および該湿潤添加剤と組み合わせる前に、該プレポリマーが形成される、湿潤性高強度エーテル発泡体。
【請求項20】
前記プレポリマーの量が、該プレポリマーに含有されるポリオールを除いて、全ポリオール100重量部に対して約5〜75重量部である、請求項19に記載の湿潤性高強度エーテル発泡体。
【請求項21】
前記湿潤添加剤の量が、全ポリオール100重量部に対して約5重量部である、請求項19に記載の湿潤性高強度エーテル発泡体。
【請求項22】
10.5以上の比剛性および32.6psi以上の引張強度を有する、請求項19に記載の湿潤性高強度エーテル発泡体。
【請求項23】
10.5以上の比剛性および3.4psi以上の引裂強度を有する、請求項19に記載の湿潤性高強度エーテル発泡体。
【請求項24】
10.5以上の比剛性および13.4以上の弾性率を有する、請求項19に記載の湿潤性高強度エーテル発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、向上した強度特性と併せて、特にインクホルダーにとっての、向上した剛性を有するフリーライズの湿潤性高強度エーテル発泡材料に関する。とりわけ、本発明は、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒から作製されたプレポリマーを含む、特にインクホルダー用として良好に機能するフリーライズの湿潤性高強度エーテル発泡体であって、当該プレポリマーが、1種または複数種のポリオール、イソシアネート、および湿潤性添加剤と組み合わせる(発泡)前に形成される発泡体、に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットシステムを備えるプリンターにおいて使用されるインクジェットカートリッジは、典型的には、インクを保持するためにインク貯蔵容器の内部にインクホルダーを有する。背圧を制御するためおよび/または印刷ノズルへのインクの流れを調整するために、インクホルダー用に、インクジェットカートリッジにおいて長年にわたって、網状のポリウレタン発泡体が使用されてきた。発泡体の孔径および発泡体の圧縮比を制御することにより、背圧(すなわち、毛管現象)を、発泡体が使用されるであろう特定の用途に適合させることが可能となることは、当技術分野において周知である。典型的には、網状ウレタン発泡体は、97%の空隙容積を有し、このことは、当該発泡体が体積の3%しか占有せずに、インクカートリッジ全体を満たすことを可能にする。しかしながら、インクジェット用途において網状ポリウレタン発泡体を使用する利点にもかかわらず、いくつかの欠点も存在する。
【0003】
第一に、当該発泡体にとって的確な剛性を得ることは、困難である。インクジェットカートリッジは、自動化された製造ラインにおいて組み立てられ、インクホルダーを含む発泡体部分は、インクカートリッジ中に、非常に迅速にかつ機械的に詰め込まれるかもしくは挿入されなければならない。いくつかのインクカートリッジの設計は、一様な形状ではなく、先細りした壁部を有し得る。発泡体が的確な剛性または一体化強度を有していない場合、当該発泡体は変形し、発泡体部分におけるいかなる変形も、その達成能力に不具合を生じ得る。さらに、当該発泡体が硬すぎる場合、それはより困難であり、挿入するにはより大きな力を必要とするであろう。
【0004】
次に、当該発泡体は、急速に湿潤する必要があるが、ポリエーテルウレタン発泡体は、本質的に疎水性である。インクカートリッジに、インクホルダーを含む発泡体部分が装着されると、それは、自動化されたインク充填工程と送られ、そこで、インクカートリッジ内に収容された発泡体インクホルダーにインクが注入される。当該インクは、非常に速い速度で発泡体インクホルダー中に注入され、すなわち、典型的には、一瞬で注入される。発泡体の疎水性の性質にもかかわらず、インクホルダーをインクで完全に満たすために、発泡体は、急速で完全なインクの吸収を可能にするために急速に湿潤することが求められる。
【0005】
これらの欠点または問題は、インクジェット用途ならびに他の用途において使用される標準的ポリエーテルウレタン発泡体によく見受けられる。したがって、その強度特性を失うことなく、用途に応じて、理想的な量の剛性およびモジュラス(ヤング率によって定義される)を有する湿潤性高強度発泡材料が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、プレポリマーを含む湿潤性高強度発泡体インクホルダーであって、最初にプレポリマーが形成され、次いで、当該プレポリマーが、少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤に加えられる、インクホルダーを対象とする。当該プレポリマーは、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む、変性イソシアネートである。一例示的実施形態において、プレポリマーにおいて使用されるポリオールは、ポリプロピレングリコールであり、プレポリマーおよびプレポリマーを含む発泡体配合物において使用されるイソシアネートは、トルエンジイソシアネートである。
【0007】
湿潤性高強度発泡体インクホルダーの別の例示的実施形態において、当該プレポリマーは、全ポリオール100重量部に対して約5〜75重量部である。さらに、当該湿潤性高強度発泡体インクホルダーにおける湿潤添加剤の量は、全ポリオール100重量部に対して約0.2〜5.0重量部である。
【0008】
本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーは、その強度特性を維持もしくは向上させつつ、10.5以上の比剛性を有することが可能である。例えば、本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーは、32.6psi以上の引張強度および3.4psi以上の引裂強度を有することができる。さらに、当該湿潤性高強度発泡体インクホルダーは、13.4psi以上の弾性率を有することができる。
【0009】
本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーのさらなる別の例示的実施形態において、当該プレポリマーは、約30〜45重量部のポリオール、約55〜65重量部のイソシアネート、および約0.01〜0.15重量部の金属触媒を含み得る。本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーのさらなる別の例示的実施形態において、当該プレポリマーは、約40.03重量部のポリプロピレングリコール、約59.92重量部のトルエンジイソシアネート、および約0.05重量部の金属触媒を含み得る。さらに、当該湿潤性高強度発泡体インクホルダーにおいて使用されるプレポリマーは、約21.7の%NCOを有し得る。
【0010】
本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーは、インクホルダーにとって特に有利な比剛性を有することに加え、さらに、高湿潤性でもある。例えば、本発明の発泡体インクホルダーは、その表面上に位置された水滴を約104秒以内に吸収することができ、ならびにその表面上に位置された10%イソプロピルアルコール水溶液の液滴を約5.1秒以内に吸収することもできる。
【0011】
本発明はさらに、発泡体の強度特性を維持もしくは向上させつつも当該発泡体においてある比剛性が必要とされ、ならびに液体を保持するために当該発泡体が高湿潤性であることを必要とするような、様々な用途に使用することができる湿潤性高強度エーテル発泡体を対象とする。例えば、そのような用途の1つは、液体アプリケ−ターおよびスタンプパッドとして液体を貯蔵および移送するために使用される湿潤性発泡体である。一例示的実施形態において、当該湿潤性高強度エーテル発泡体は、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートであるプレポリマーを含み、この場合、当該プレポリマーは、少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤を加える前に形成される。湿潤性高強度エーテル発泡体の一例示的実施形態において、プレポリマーにおいて使用されるポリオールは、ポリプロピレングリコールであり、ならびにプレポリマーにおいておよび当該プレポリマーを含む発泡体配合物において使用されるイソシアネートは、トルエンジイソシアネートである。
【0012】
湿潤性高強度エーテル発泡体の別の例示的実施形態において、プレポリマーは、全ポリオール100重量部に対して約25〜75重量部である。加えて、湿潤性高強度エーテル発泡体中の湿潤添加剤の量は、全ポリオール100重量部に対して約5重量部である。
【0013】
本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体は、その強度特性を維持もしくは向上させつつ、10.5以上の比剛性を有することができる。例えば、本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体は、32.6psi以上の引張強度および3.4psi以上の引裂強度を有することができる。加えて、当該湿潤性高強度エーテル発泡体は、13.4psi以上の弾性率を有することができる。
【0014】
本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体のさらなる別の例示的実施形態において、プレポリマーは、約30〜45重量部のポリオール、約55〜65重量部のイソシアネート、および約0.01〜0.15重量部の金属触媒を含み得る。本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体のさらなる別の例示的実施形態において、プレポリマーは、約40.03重量部のポリプロピレングリコール、約59.92重量部のトルエンジイソシアネート、および約0.05重量部の金属触媒を含み得る。さらに、当該湿潤性高強度エーテル発泡体において使用されるプレポリマーは、約21.7の%NCOを有し得る。
【0015】
本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体はさらに、インクホルダーにとって特に有利な比剛性を有することに加え、高湿潤性でもある。例えば、本発明のエーテル発泡体は、その表面上に位置された水滴を約104秒以内に吸収することができ、ならびに、その表面上に位置された10%イソプロピルアルコール水溶液の液滴を約5.1秒以内に吸収することができる。
【0016】
本発明はさらに、インクジェットホルダーを含む多くの用途において使用することができる湿潤性高強度エーテル発泡体を製造する方法も対象とする。本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体を製造する方法は、最初に、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートであるプレポリマーを形成する工程と、次に当該プレポリマーを少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤と組み合わせる工程とを含む。最初にプレポリマーを形成する工程は、反応チャンバーにおいてイソシアネートをポリオールおよび金属触媒と反応させて液体を形成する工程と、それを冷却する工程とを含み得る。プレポリマーを加える工程は、ポンプで送られたある量のプレポリマー、少なくとも1種のポリオール、および湿潤添加剤を発泡装置のミックスヘッドを使用して同時にミックスして発泡体を形成する工程を含み得る。本発明の湿潤性高強度エーテル発泡体を製造する方法はさらに、当該発泡体を(当該発泡体に圧力および温度を適用することによって)フェルト化する追加の工程も含んでいてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、湿潤性高強度発泡体インクホルダーならびに、プレポリマーを含む湿潤性高強度エーテル発泡体であって、当該プレポリマーが最初に形成され、次いで当該プレポリマーが少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤に加えられる、湿潤性高強度エーテル発泡体を対象とする。当該プレポリマーは、ポリオール、イソシアネート、および金属触媒を含む変性イソシアネートである。プレポリマーを形成するために使用されるポリオールは、好ましくは、約40〜1000の平均分子量および約1.5〜6の官能価を有するべきであり、一例示的実施形態においては、約700の分子量および約3の官能価を有する。プレポリマーを形成するために使用することができるポリオールの例としては、これらに限定されるわけではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、および他の変性ポリオールもしくはイソシアネートが挙げられる。さらに、当該ポリオールは、任意の活性ヒドロキシル含有化合物、例えば、グリコールおよびアミンなど、を含んでいてもよい。一例示的実施形態において、プレポリマーを形成するために使用されるポリオールは、ポリエチレングリコール、例えば、Huntsman Hollandから「FX31−240」として市販されているものなど、である。
【0018】
プレポリマーを形成するために使用することができるイソシアネートの例としては、これらに限定されるわけではないが、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートが挙げられ得る。一例示的実施形態において、プレポリマーを形成するために使用されるイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、例えば、Mitsui Chemicals,Inc.から「TDI−65」として市販されていることが知られているものなど、である。
【0019】
プレポリマーを形成するために使用される金属触媒は、これらに限定されるわけではないが、有機スズ触媒、例えば、Cascat 83などのビスマスネオデカノエート、またはCotin 200などのジブチルスズジラウレートなど(両方ともCosan Chemical製)、を含み得る。一例示的実施形態において、プレポリマーを形成するために使用される金属触媒は、有機スズ触媒、例えば、Evonik Industriesから「K−29」として市販されていることが知られているものなど、である。
【0020】
最初にプレポリマーが形成され、その後に、当該プレポリマーが他の化合物に加えられて、本発明の湿潤性高強度発泡体インクホルダーを形成する。当該プレポリマーは、反応チャンバーにおいてイソシアネートをポリオールおよび金属触媒と反応させて液体を形成し、それを冷却することによって形成することができる。当該プレポリマーは、約35〜45重量パーセントのポリオール、約55〜65重量パーセントのイソシアネート、および約0.01〜0.15重量パーセントの金属触媒から作製することができる。一例示的実施形態において、当該プレポリマーは、40.03質量パーセントのポリプロピレングリコール、59.92質量パーセントのトルエンジイソシアネート、および0.05質量パーセントの有機スズ触媒を含む。
【0021】
プレポリマーが形成され、次いで、当該プレポリマーが、少なくとも1種のポリオール、イソシアネート、および湿潤添加剤を含む他の化合物と組み合わせられる。プレポリマーを含む発泡体配合物において使用されるポリオールは、これらに限定されるわけではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、グラフトポリオール、および他の変性ポリオールを含み得る。使用されるポリオールは、好ましくは約2,000〜10,000の分子量を有する。一例示的実施形態において、使用されるポリオールは、分子量3000のトリオール、例えば、Shell Chemicalsから「SC56−16」として市販されていることが知られているものなど、および分子量3000のコポリマーポリオール、例えば、Bayer Material Scienceから「HS−100」として市販されていることが知られているものなど、を含む。
【0022】
プレポリマーを含む発泡体配合物において使用することができるイソシアネートの例としては、これらに限定されるわけではないが、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートが挙げられる。一例示的実施形態において、プレポリマーを含む発泡体配合物において使用されるイソシアネートは、トルエンジイソシアネート、例えば、Mitsui Chemicals,Inc.から「TDI−80」として市販されていることが知られているものなど、である。
【0023】
プレポリマーを含む発泡体配合物において使用することができる湿潤添加剤は、これらに限定されるわけではないが、アニオン性、非イオン性、およびカチオン性界面活性剤、ならびにそれらの混合物を含み得る。一例示的実施形態において、プレポリマーを含む発泡体配合物において使用される湿潤添加剤は、専売の界面活性剤、例えば、Evonik Industriesから「ORTEGAL HPH1」として市販されていることが知られているものなど、である。
【0024】
表1は、表2に一覧される実施例1、2、および3において発泡体インクホルダーを形成するために使用したプレポリマー配合物を示している。結果として得られる発泡体インクホルダーは、好ましくは、約1.0ポンド/立方フィート〜3.0ポンド/立方フィートの密度を有する。
【0025】
【表1】
【0026】
表2は、発泡体インクホルダーの3つの実施例(実施例1、2、3)を作製するために使用した配合物を示しており、これらの実施例のための配合物は、形成されたプレポリマーを含んでいる。表2はさらに、プレポリマーを使用せずに形成しているがその代わりにプレポリマーに使用したポリオール(すなわち、ポリプロピレングリコール)を未反応状態において含む発泡体インクホルダーの実施例(B)の配合も示す。表2はさらに、標準的なエーテル発泡体配合物で形成された発泡体インクホルダーの対照実施例(A)も含む。成分の量は、全ポリオール100部に対する部で表されていることに注意されたい。
【0027】
【表2】
【0028】
表3は、表2に示された配合物で作製した発泡体インクホルダーの物理特性を示している。
【0029】
【表3】

注:水の量および触媒作用は、結果として得られる発泡体密度を可能な限り1.3ポンド/立方フィート近くに維持するように変えた。
【0030】
表3から分かるように、プレポリマーを使用して本発明に従って作製した発泡体インクホルダーは、発泡体インクホルダー対照実施例およびプレポリマーを形成するために使用したポリオールを未反応で用いて作製した発泡体インクホルダーと比較して、増加した比剛性を有している。増加した比剛性に加えて、プレポリマーにより作製した発泡体インクホルダーは、発泡体インクホルダー対照実施例およびプレポリマーを形成するために使用したポリオールを未反応で用いて作製した発泡体インクホルダーと比較して、増加した強度特性を有している。
【0031】
表4は、試験液体の液滴を発泡体インクホルダー上に位置した時にそれが発泡体の表面に吸収されるまでの時間を記録した、湿潤性の試験結果を示している。試験は点眼器を使用して実施し、示された結果は、試料毎に3回の試験の平均である。
【0032】
【表4】
【0033】
結果から分かるように、本発明に従ってプレポリマーによって作製した発泡体インクホルダーの湿潤時間は、発泡体インクホルダー対照より優れている。さらに、それらの湿潤時間は、プレポリマーを形成するために使用したポリオールを未反応で用いて作製した発泡体インクホルダーほど速くはないが、プレポリマーを形成するために使用したポリオールを未反応で用いて作製した発泡体インクホルダーは、プレポリマーで作製した発泡体インクホルダーが有する増加した比剛性および強度特性は示していない。
【0034】
本明細書における本発明の例示的実施形態の詳細な説明は、本発明の様々な例示的実施形態および現時点で本発明者が知るベストモードを示している。これらの例示的実施形態およびモードは、当業者による本発明の実施を可能にするほど十分詳細に説明されており、ならびに、いずれにおいても本発明の範囲、適用性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、以下の開示は、例示的実施形態およびモードならびに当業者にとって既知もしくは明白である任意の等価モードまたは実施形態の両方の実践を教示することを意図している。さらに、含まれる全ての実施例は、例示的実施形態および様式を非限定的に説明するものであり、同様に、当業者にとって既知もしくは明白である任意の等価モードまたは実施形態に役立つものである。
【0035】
本発明の実施において使用される構造、配置、適用、割合、要素、材料、または成分の他の組み合わせおよび/または修正は、具体的に列挙されていないものに加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、変更することも、または他の方法で特定の環境、製造要件、設計パラメータ、または他の作動要件に特に適合させることもでき、ならびにこれらは本開示に含まれることが意図される。
【0036】
特に明記されない限り、本明細書および特許請求の範囲における言葉および語句が一般的に認められている一般的な意味、あるいは利用可能な分野における当業者によって使用される通常のおよび慣習的な意味を与えられることは、出願人の意図するところである。それらの意味が異なる場合には、本明細書および特許請求の範囲における言葉および語句は、最も広い、可能な一般的意味を与えられるべきである。任意の言葉もしくは語句に対して他の任意の特殊な意味が意図される場合には、本明細書は、特殊な意味について明確に言及し定義するであろう。
【国際調査報告】