(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-512750(P2016-512750A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】吸引カテーテル、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20160404BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20160404BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20160404BHJP
【FI】
A61M25/00 560
A61M25/00 600
A61M25/00 510
A61M25/00 534
A61M25/06 556
A61M25/14 516
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2016-503029(P2016-503029)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月11日
(86)【国際出願番号】US2014029265
(87)【国際公開番号】WO2014144732
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】61/787,286
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/921,910
(32)【優先日】2013年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515255881
【氏名又は名称】ペイシェント センタード メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ, ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】レヴィット, エラン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, ジャネット
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ, ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム, マヤ
【テーマコード(参考)】
4C167
【Fターム(参考)】
4C167AA03
4C167BB02
4C167BB07
4C167BB08
4C167BB09
4C167BB17
4C167BB39
4C167BB40
4C167BB52
4C167CC21
4C167EE03
4C167GG01
4C167HH03
(57)【要約】
本吸引カテーテル、システム、ならびに方法は、平坦な側面および遠位端の近傍に湾曲部を有する断面を備える細長い本体を有するカテーテルを含む。この断面の第1の側面は、第1の配向において送達内腔の第1の側面と接触し得、そしてこの断面の第2の側面は、第1の配向から180°回転した第2の配向において送達内腔の第1の側面と接触する。湾曲部は、平坦な側面の法線に対して90°方向づけられることができる。本システムならびに方法は、2本のカテーテルと、カテーテルを相互に対して回転によって固定することができる2本のカテーテルで形成される雇い実矧ぎとを利用し得、これら第1および第2のカテーテルは、それぞれ、遠位端の近傍に少なくとも1つの予め形成された湾曲部を含む。2本のカテーテルは、右および左気管支内に位置決めするために、近位方向および遠位方向に移動し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内腔への挿入のためのカテーテルであって、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
近位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面、および前記第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含む前記断面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
を備え、前記細長い本体は、前記遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部を含み、
前記遠位端が前記患者の前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記カテーテルが第1の配向にある場合、前記断面の前記第1の側面は、前記カテーテルの送達内腔の第1の内部側面と接触し、前記カテーテルが第2の配向にある場合、前記断面の前記第2の側面は、前記カテーテルの前記送達内腔の前記第1の内部側面と接触し、前記第2の配向は、前記第1の配向に対して前記細長い本体の長手方向軸を中心とした前記カテーテルの180°回転であり、
前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の湾曲方向は、前記断面の前記平坦な側面の法線方向に対して90°である、
カテーテル。
【請求項2】
前記断面の前記第2の側面は、湾曲している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記断面は、D字形である、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルの前記遠位端の前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の湾曲方向を指示する、前記近位端上の湾曲方向指示器をさらに備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記湾曲方向指示器は、前記近位端上のコネクタを備える、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記コネクタは、中央接続部と、前記中央接続部から延在する側部接続部とを含み、前記側部接続部が延在する方向は、前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の前記湾曲方向に対応する、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記少なくとも1つの湾曲部および前記第1の側面は、前記遠位端が前記患者の前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記少なくとも1つの湾曲部が、前記第1の配向では、前記患者の左気管支および右気管支の一方に向けて、前記第2の配向では、前記患者の前記左気管支および前記右気管支の他方に向けて前記細長い本体を導くように、配置される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルは、前記遠位端が前記患者の前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記遠位端が、0°から第1の所定の角度までの前記近位端の回転角度以内で前記左気管支および前記右気管支の一方に向けて配設されたまま留まり、前記近位端の前記回転角度が前記第1および第2の配向の一方と相対的であるような、捩り剛性を有し、
前記遠位端は、前記近位端が前記第1の所定の角度と第2の所定の角度との間にある場合、前記左および右の気管支の他方に向けて配設される、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の所定の角度は、少なくとも90°であり、前記第2の所定の角度は、少なくとも180°である、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1の所定の角度は、少なくとも150°であり、前記第2の所定の角度は、少なくとも210°である、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第1の所定の角度は、約180°であり、前記第2の所定の角度は、約360°である、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
患者の体内腔への挿入のためのカテーテルであって、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
近位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有し、前記遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
を備え、前記細長い本体は、前記遠位端が前記患者の前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記患者の左気管支および右気管支の一方に向かって前記遠位端が方向付けられるように、外部カテーテルの送達内腔内に配置されるように適合され、
前記細長い本体は、前記近位端が所定の回転角度に達するまで、前記細長い本体の長手方向軸を中心とした前記近位端の回転の間に前記遠位端が前記左および右の気管支の前記一方に向かって方向付けられたままで留まり、その時点で前記遠位端が前記左気管支および前記右気管支の他方に反転するように構成される、
カテーテル。
【請求項13】
前記所定の角度は、少なくとも90°である、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記所定の角度は、約180°である、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記細長い本体は、前記左気管支および前記右気管支の一方に向けて前記遠位端を方向付ける前記遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部を含む、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記遠位端が前記患者の前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記カテーテルが第1の配向にある場合、実質的に平坦な前記部分は、前記送達内腔の第1の内部側面と接触し、そして前記カテーテルが第2の配向にある場合、実質的に平坦な前記部分は、前記送達内腔の前記第1の内部側面と接触せず、前記遠位端は、前記第1の配向では、前記左気管支および前記右気管支の一方に向かって、そして前記第2の配向では、前記左および右の気管支の他方に向かって方向付けられる、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項17】
実質的に平坦な前記部分は、前記第1の配向において1点のみで前記送達内腔の前記第1の内部側面と接触する、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
実質的に平坦な前記部分は、前記第1および前記第2の配向のうちの少なくとも1つにおいて2点のみで前記送達内腔の前記第1の内部側面と接触する、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記カテーテルは、コポリマーを含む、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記コポリマーは、Kynar Flex(登録商標)コポリマーシリーズから選択される、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
患者の体内腔への挿入のためのカテーテルであって、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
近位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在し、前記遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
を備え、前記細長い本体は、前記細長い本体が外部カテーテルの送達内腔への挿入のために適合されるとき、前記カテーテルの長手方向軸を中心とした前記近位端の回転の間に前記遠位端が第1の静止配向および第2の静止配向の一方に留まるような、捩り剛性を有する、カテーテル。
【請求項22】
前記遠位端は、前記近位端の90°より大きい回転によって前記第1の静止配向に留まる、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記遠位端は、前記近位端が約180°回転するとき、前記第1の静止配向から前記第2の静止配向へと変化する、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
患者の体内腔内でカテーテルを配向する方法であって、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを有する、前記カテーテルを提供するステップと、
患者の体内腔内に挿入され、前記カテーテルの前記遠位端を受けるように適合される外部カテーテルを提供するステップと、
前記外部カテーテルを通して前記患者の前記体内腔へと前記カテーテルを挿入するステップと、
前記カテーテルの前記近位端を第1の配向に回転によって配向するステップであって、前記カテーテルの前記遠位端は、前記第1の配向において前記患者の左気管支および右気管支の一方に向かって方向付けられる、ステップと、
前記カテーテルの前記近位端を第2の配向に回転することによって前記カテーテルの前記遠位端の方向を変更するステップと、
を含み、前記第2の配向は、前記第1の配向に対して前記近位端の実質的に180°の回転であり、前記遠位端は、前記近位端が前記第2の配向にある場合、前記左気管支および右気管支の他方に向かって方向付けられる、方法。
【請求項25】
患者の体内腔への挿入のためのカテーテルであって、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
近位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
前記細長い本体の前記遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部と、
を備え、前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、前記断面の前記平坦な側面の法線方向に直交する方向に前記カテーテルを湾曲させる、カテーテル。
【請求項26】
前記細長い本体は、前記遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記細長い本体は、前記近位端が所定の回転角度に達するまで、前記細長い本体の長手方向軸を中心とした前記近位端の回転の間に前記遠位端が前記左気管支および前記右気管支の一方に向いたまま留まり、その時点で前記遠位端が前記左気管支および前記右気管支の他方に反転するように構成される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記少なくとも1つの内腔は、
前記カテーテルの前記遠位端の近傍の第1の開口部を有する第1の内腔と、
前記カテーテルの前記遠位端の近傍の第2の開口部を有する第2の内腔と、
を備え、前記第2の開口部は、前記第1の開口部が前記第2の開口部に遠位に配設されるように、前記第1の開口部から離間している、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記第2の開口部は、前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の前記湾曲部の内側で前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部上に配設される、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の外側湾曲面は、前記カテーテルの前記少なくとも1つの内腔へのいかなる開口部によっても中断されていない滑面である、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、第1の湾曲部および第2の湾曲部を備え、
前記少なくとも1つの内腔は、
前記第1の湾曲部の内側湾曲部上に配設される第1の開口部を有する第1の内腔と、
前記第2の湾曲部の内側湾曲部上に配設される第2の開口部を有する第2の内腔と、
を備える、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記第1の湾曲部の前記内側湾曲部は、前記第2の湾曲部の前記内側湾曲部と異なる方向を向いている、請求項31に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記断面は、前記細長い本体の少なくとも別の部分にわたって、平坦な側面を有していない、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記細長い本体の前記少なくとも別の部分は、前記少なくとも1つの内腔の少なくとも1つの開口部を備え、前記開口部は、前記カテーテルの前記遠位端の近傍にある、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記細長い本体の少なくとも一部分は、第1の雇い実矧ぎ構成要素を備え、前記カテーテルは、
前記第1の雇い実矧ぎ構成要素に雇い実矧ぎされる第2の雇い実矧ぎ構成要素をさらに備え、前記カテーテルの前記遠位端が前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記第2の雇い実矧ぎ構成要素は、前記患者の外側に配設され、
前記第2の雇い実矧ぎ構成要素は、前記カテーテルに応答して回転によって固定される、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記細長い本体の前記遠位端が前記体内腔への挿入のために適合されるとき、前記細長い本体の少なくとも一部分を包囲するように構成される送達内腔をさらに備え、前記予め形成された湾曲部が前記左気管支および前記右気管支のうちの少なくとも一方に向かって湾曲している場合、前記細長い本体の一部分が前記送達内腔の内面を係合する、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記送達内腔は、気管内チューブである、請求項36に記載のカテーテル。
【請求項38】
前記送達内腔の前記内面を係合する前記細長い本体の前記部分は、実質的に平坦な前記細長い本体の前記部分である、請求項36に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記カテーテルは、2本のカテーテルを備え、前記2本のカテーテルのそれぞれは、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
近位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
前記細長い本体の前記遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部と、
を備える、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記2本のカテーテルは、前記2本のカテーテルの一方の前記平坦な側面が、前記2本のカテーテルの他方の前記平坦な側面に面するように相互に対して回転によって固定される、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記2本のカテーテルのそれぞれは、独立して、前記2本のカテーテルの他方に対して摺動可能である、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項42】
前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、前記断面の前記平坦な側面の法線方向に直交する方向に前記カテーテルを湾曲させる、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項43】
前記2本のカテーテルの前記予め形成された湾曲部は、前記2本のカテーテルを反対方向に湾曲させる、請求項39に記載のカテーテル。
【請求項44】
前記2本のカテーテルの一方の前記予め形成された湾曲部の外側湾曲部は、前記2本のカテーテルの他方の前記予め形成された湾曲部の外側湾曲部に面する、請求項43に記載のカテーテル。
【請求項45】
カテーテルシステムであって、
第1のカテーテルであって、
近位端と、
患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面、および前記第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含む前記断面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
を含む、第1のカテーテルと、
第2のカテーテルであって、
近位端と、
前記患者の前記体内腔への挿入のために構成される遠位端と、
前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面、および前記第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含む前記断面を有する、細長い本体と、
前記細長い本体を通って前記近位端から前記遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、
を含む、第2のカテーテルと、
前記第1および第2のカテーテル両方の前記近位端の近傍の前記細長い本体の少なくとも一部分とともに雇い実矧ぎを形成するように構成される雇い実矧ぎ構成要素と、
を備え、前記雇い実矧ぎを形成する前記細長い本体の前記部分は、平坦な前記第1の側面を含み、
前記第1および第2のカテーテルは、前記雇い実矧ぎを介して相互に対して回転により固定され、
前記第1および第2のカテーテルの前記細長い本体は、それぞれ、前記遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部を含む、
カテーテルシステム。
【請求項46】
前記第1および第2のカテーテルのうちの少なくとも1本は、前記雇い実矧ぎによって前記雇い実矧ぎ構成要素に対して摺動可能である、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項47】
前記第1および第2のカテーテルの前記細長い本体は、それぞれ、前記遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有する、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項48】
前記雇い実矧ぎ構成要素は、前記第1のカテーテルの前記細長い本体の前記第1の側面が前記第2のカテーテルの前記細長い本体の前記第1の側面に面するように前記第1および第2のカテーテルに雇い実矧ぎされる、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項49】
前記雇い実矧ぎ構成要素と雇い実矧ぎされるとき、前記第1および第2のカテーテルの前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、実質的に反対の方向に湾曲する、請求項48に記載のカテーテルシステム。
【請求項50】
前記雇い実矧ぎ構成要素によって雇い実矧ぎされるとき、前記第1および第2のカテーテル両方の前記細長い本体の少なくとも一部分を包囲するように構成される送達内腔をさらに備える、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項51】
前記第1および第2のカテーテルは、前記送達内腔に対して摺動可能であり、
前記第1および第2のカテーテルの前記遠位端は、前記遠位端が前記送達カテーテルから摺動するとき、相互から離れて動くように構成される、
請求項50に記載のカテーテルシステム。
【請求項52】
前記第1および第2のカテーテルは、前記送達内腔に対して回転可能であり、一方で、前記第1および第2のカテーテルの前記細長い本体の少なくとも一部分は、前記送達内腔によって包囲される、請求項50に記載のカテーテルシステム。
【請求項53】
前記第1および第2のカテーテルは、前記送達内腔に対して回転可能ではなく、一方で、前記第1および第2のカテーテルの前記細長い本体の少なくとも一部分は、前記送達内腔によって包囲される、請求項50に記載のカテーテルシステム。
【請求項54】
前記第1および第2のカテーテルは、それぞれ、D字形断面を有する、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項55】
前記第1および第2のカテーテルのそれぞれについて、前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の湾曲方向は、平坦な前記第1の側面の法線ベクトルに直交する、請求項45に記載のカテーテルシステム。
【請求項56】
カテーテルシステムを使用する方法であって、
二重カテーテルシステムを提供するステップであって、
第1のカテーテルおよび第2のカテーテルであって、前記第1のカテーテルおよび第2のカテーテルのそれぞれは、近位端と、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、前記近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、前記細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面、および前記第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含む前記断面を有する、細長い本体とを有する、第1のカテーテルおよび第2のカテーテルと、
前記第1および第2のカテーテルの両方の前記近位端の近傍の前記細長い本体の少なくとも一部分とともに雇い実矧ぎを形成するように構成される雇い実矧ぎ構成要素であって、前記雇い実矧ぎを形成する前記細長い本体の前記部分は、平坦な第1の側面を含み、前記第1および第2のカテーテルは、前記雇い実矧ぎを介して前記雇い実矧ぎ構成要素に対して回転によって固定され、前記第1のカテーテルの平坦な前記第1の側面は、前記第2のカテーテルの平坦な前記第1の側面に面する、雇い実矧ぎと、
を備える、二重カテーテルシステムを提供する、ステップと、
前記患者の前記体内腔を通じて前記第1および第2のカテーテルの前記遠位端を前進させるステップと、
前記第1および第2のカテーテルのうちの少なくとも1本が前記患者の左気管支および右気管支の一方に向かって方向付けられるように、前記第1および第2のカテーテルの配設を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項57】
前記カテーテルシステムは、近位端、遠位端、および前記近位端と遠位端との間に延在する少なくとも1つの内腔を有する送達カテーテルをさらに備え、前記送達カテーテルは、少なくとも部分的に前記体内腔内に位置付けられ、かつ前記第1および第2のカテーテルの前記細長い本体の少なくとも一部分を包囲するように構成される、請求項56に記載のカテーテルシステムを使用する方法。
【請求項58】
前記第1および第2のカテーテルの前記遠位端を前進させるステップは、前記第1および第2のカテーテルの遠位端を前記送達カテーテルの遠位端を超えて前進させるステップを含み、
前記第1および第2のカテーテルの遠位端は、前記送達カテーテルの遠位端を超えて前進するときに相互から離れて動く、
請求項57に記載のカテーテルシステムを使用する方法。
【請求項59】
前記第1および第2のカテーテルのそれぞれは、前記第1および第2のカテーテルの前記遠位端の近傍の予め形成された湾曲部をさらに含む、請求項56に記載のカテーテルシステムを使用する方法。
【請求項60】
前記第1および第2のカテーテルのそれぞれは、1:1のトルク能力比を有する、請求項58に記載のカテーテルシステムを使用する方法。
【請求項61】
前記第1および第2のカテーテルのそれぞれについて、前記少なくとも1つの予め形成された湾曲部の湾曲方向は、平坦な前記第1の側面の法線ベクトルに直交する、請求項56に記載のカテーテルシステムを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮出願番号第61/786,286号;および2013年12月30日に出願された米国仮出願番号第61/921,910号に基づく優先権を主張しており、これらの開示は両方ともそれらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、医療装置に関し、そして特に、蛇行状の体内腔へと確実に前進され得、かつ体内腔内のカテーテルの場所および配向がカテーテルについて確実に確認され得るカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
吸引カテーテルは、気道から呼吸分泌物および他の物質を除去するために、そして一般的には、多くの呼吸状態を治療または予防するために使用される。例えば、患者は、肺炎または気管支炎を発症すると、気道を浄化するために咳をする。しかしながら、気管内チューブの挿管および人工呼吸器(呼吸機械)への設置を必要とするほどに十分に肺炎が悪化する場合、患者は、咳をすることができず(鎮静作用および気管内チューブの機械的妨害に起因して)、そのため、感染した粘液を取り除き、ひいては呼吸する能力を改善し、感染症の治療を助けるために、吸引カテーテルが気管内チューブ内に通される。吸引カテーテルは、肺炎または他の呼吸器合併症の発生を予防するために、肺炎に罹患していない患者にも使用され得る。しかしながら、右気管支(気道)は、より直線的で直径がより大きいため、気管へと通される吸引カテーテルは、98%超の確率で右気管支内に入る。この解剖学的事実は、気道を処置する全ての医師(呼吸器科医、外科医、および麻酔科医)に周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の吸引カテーテルは、気管へと盲目的に通され、そしていずれの側にも方向付けることができない。それらは、気管内チューブに接続され、滅菌されていないスリーブ内で患者のベッド上に置かれ、細菌の成長および蓄積を許す。したがって、カテーテルは、汚染されるようになり、スリーブを汚染し、吸引が繰り返されると、患者の気道に同じ細菌を再導入する。したがって、それが根絶するように設計されている問題、すなわち、感染した分泌物を再導入する。
【0005】
通常は、右肺からのみ分泌物が取り除かれるため、右肺が感染源であっても、いずれの肺からの分泌物も反対の肺に移動、すなわち、汚染するため、左肺は、感染症の貯蔵所となる。例えば、右肺が肺炎の源である場合、この貯蔵所は、限定され得る。しかしながら、左肺が源である場合、標準的な吸引では決して取り除かれ得ず、多くの場合、気管支鏡検査を必要とする。この肺の浄化の不具合は、人工呼吸器上の時間を延長し、肺炎からの回復時間を延長し、抵抗する感染症を発症する危険性および肺炎で死亡する危険性を増加させる。
【0006】
American Lung Associationによると、肺炎およびインフルエンザは、合わせて、間接的死亡率Iに起因する60億ドルのコストおよび直接的IIの342億ドルのコストという、2005年の米国経済に対する402億ドルのコストに相当した。CDCによる2011年の予備的死亡率データによると、年齢を調整した死亡率は、15の主な死因のうちの5つ(心疾患、悪性腫瘍、脳血管疾患、アルツハイマー病、および腎疾患)について、2010年から2011年に著しく低下した。しかしながら、年齢を調整した死亡率は、慢性下部呼吸器疾患、真性糖尿病、インフルエンザおよび肺炎、慢性肝疾患および硬変、パーキンソン病、ならびに固体および液体に起因する間質性肺炎という6つの主な死因について上昇した。これらの原因のうち3つ(慢性下部呼吸器疾患、インフルエンザおよび肺炎、ならびに間質性肺炎)は全て、肺炎の変種である。これらのデータは、肺炎が、より致命的になってきている既に危険な疾患であることを実証する。
【0007】
肺炎ならびに他の呼吸状態および合併症の改善された治療法および予防法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明の一実施形態は、患者の体内腔への挿入のためのカテーテルを提供し得る。本カテーテルは、患者の体内腔への挿入のための遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含み得る。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面と、第1の側面から断面の反対側にある第2の側面とを含む、断面を有し得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部とを含んでもよい。遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、本カテーテルが第1の配向にある間、断面の第1の側面は、本カテーテルの送達内腔の第1の内部側面と接触し得、本カテーテルが第2の配向にある間、断面の第2の側面は、本カテーテルの送達内腔の第1の内部側面と接触し得る。第2の配向は、第1の配向に対して細長い本体の長手方向軸を中心とした本カテーテルの180°回転であり得る。予め形成された湾曲部は、上記断面の平坦な側面の法線方向に対して90°である湾曲方向を有し得る。
【0009】
本発明の実施形態は、患者の体内腔への挿入のための遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを有する、カテーテルを含み得る。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有し得、また、遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力(torqueability)比を有し得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含んでもよい。細長い本体は、遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、患者の左気管支および右気管支の一方に向けて遠位端が方向付けられるように、外部カテーテルの送達内腔内に配置され得る。遠位端は、近位端が所定の回転角度に達するまで、細長い本体の長手方向軸を中心とした近位端の回転の間に左および右の気管支の一方に向かって方向付けられたままであり得、その時点で遠位端が左気管支および右気管支の他方に反転し得る。
【0010】
本発明の実施形態は、患者の体内腔への挿入のためのカテーテルを含み得る。本カテーテルは、遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在し、遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有する、細長い本体とを含み得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含んでもよい。細長い本体はまた、細長い本体が外部カテーテルの送達内腔へと挿入されるとき、カテーテルの長手方向軸を中心とした近位端の回転の間に遠位端が第1の静止配向および第2の静止配向の一方に留まるような捩り剛性を有し得る。
【0011】
本発明の実施形態は、患者の体内腔内のカテーテルを配向する方法を提供し得る。本方法は、遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを有し得る、カテーテルを提供するステップを含み得る。本方法はまた、患者の体内腔への挿入のため、かつカテーテルの遠位端を受けるための外部カテーテルを提供するステップを含んでもよい。本方法は、外部カテーテルを通して患者の体内腔へとカテーテルを挿入するステップと、カテーテルの近位端を第1の配向に回転によって配向するステップとをさらに含み得る。カテーテルの遠位端は、第1の配向では患者の左気管支および右気管支の一方に向かって方向付けられ得る。本方法は、カテーテルの近位端を第2の配向に回転させることによってカテーテルの遠位端の方向を変更することをさらに含み得、第2の配向は、第1の配向に対して近位端の実質的に180°の回転であり、近位端が第2の配向にある場合、遠位端は、左および右の気管支の他方に向かって方向付けられる。
【0012】
本発明の実施形態は、患者の体内腔への挿入のためのカテーテルを提供し得る。本カテーテルは、患者の体内腔への挿入のための遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含み得る。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有し得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔と、細長い本体の遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部とを含んでもよい。少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、上記断面の平坦な側面の法線方向に直交する方向にカテーテルを湾曲させ得る。
【0013】
本発明の実施形態は、第1のカテーテルを含むカテーテルシステムも提供し得る。第1のカテーテルは、近位端と、患者の体内腔への挿入のための遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含み得る。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面と、第1の側面から断面の反対側にある第2の側面とを含む断面を有し得、そしてまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を有してもよい。本カテーテルシステムはまた、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体であって、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面および第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含む断面を有する、細長い本体とを含み得る、第2のカテーテルを含んでもよい。第2のカテーテルの細長い本体はまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含んでもよい。本カテーテルシステムは、第1および第2のカテーテル両方の近位端の近傍の細長い本体の少なくとも一部分とともに雇い実矧ぎ(key joint)を形成するための雇い実矧ぎ構成要素を含み得、雇い実矧ぎを形成する細長い本体の部分は、平坦な第1の側面を含む。第1および第2のカテーテルは、雇い実矧ぎを介して相互に対して回転することによって固定され得、そして第1および第2のカテーテルの細長い本体は、それぞれ、遠位端の近傍の少なくとも1つの予め形成された湾曲部を含み得る。
【0014】
本発明の実施形態は、カテーテルシステムを使用する方法を提供し得る。本方法は、第1のカテーテルと、第2のカテーテルとを含む、二重カテーテルシステムを提供することを含み得る。第1および第2のカテーテルのそれぞれは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを有し得る。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面と、第1の側面から断面の反対側にある第2の側面とを含む、断面を有し得る。本カテーテルシステムはまた、第1および第2のカテーテル両方の近位端の近傍の細長い本体の少なくとも一部分とともに雇い実矧ぎを形成するように構成される雇い実矧ぎ構成要素を含んでもよい。雇い実矧ぎを形成する細長い本体の部分は、平坦な第1の側面を含み得る。第1および第2のカテーテルは、雇い実矧ぎを介して、雇い実矧ぎ構成要素に対して回転することによって固定され得る。第1のカテーテルの平坦な第1の側面は、第2のカテーテルの平坦な第1の側面に面し得る。本方法はまた、患者の体内腔を通じて第1および第2のカテーテルの遠位端を前進させるステップと、第1および第2のカテーテルのうちの少なくとも1本が患者の左気管支および右気管支の一方に向かって方向付けられるように、第1および第2のカテーテルの配設を制御するステップとを含んでもよい。
【0015】
本発明の追加の特徴、利点、および実施形態は、明記されるか、または以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲の考察から明らかである。さらに、前述の発明の要旨および以下の詳細な説明の両方は例示的であり、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することなく、さらなる説明を提供していることが意図されることを理解されたい。
【0016】
本発明のさらなる理解を提供するために本明細書に含まれ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を図示し、詳細な説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。図面において:
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における、気管内チューブを備えるカテーテルシステムの図を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態における、気管内チューブに接続する
図1に示されるカテーテルシステムの接続部の近接側面図を示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明の一実施形態における、
図2Aに示される接続部の反対側の側面図を示す。
【
図3】
図3Aは、本発明の一実施形態における、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素と、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素とともに雇い実矧ぎされた継手を形成する第2および第3のカテーテルとの接続部の、
図2B中の破線による断面図を示す。
図3Bは、本発明の一実施形態における、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素から伸びる第2および第3のカテーテルを有する接続部の側面斜視図を示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一実施形態における、
図3Bに示されるカテーテルシステムの別の斜視図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の一実施形態における、
図4Aに示されるカテーテルシステムの別の視点を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態における、第1のカテーテル内に単一内部カテーテルを有するカテーテルシステムに接続された気管内チューブの側面図を示す。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施形態における、気管内チューブに接続する
図5に示されるカテーテルシステムの接続部の近接側面図を示す。
【
図6B】
図6Bは、本発明の一実施形態における、
図6Aに示される接続部の反対側の側面図を示す。
【
図7】
図7Aは、本発明の一実施形態における、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素と、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素とともに雇い実矧ぎされた継手を形成する第2のカテーテルとの接続部の、
図6B中の破線による断面図を示す。
図7Bは、本発明の一実施形態における、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素から伸びる第2のカテーテルを有する接続部の側面斜視図を示す。
【
図8A】
図8Aは、本発明の一実施形態における、
図7Bに示されるカテーテルシステムの別の斜視図を示す。
【
図8B】
図8Bは、本発明の一実施形態における、
図7Bに示されるカテーテルシステムの別の斜視図を示す。
【
図9A】
図9Aは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルが気管内チューブから伸ばされる前に患者の中に配設される気管内チューブを備えるカテーテルシステムを示す。
【
図9B】
図9Bは、本発明の一実施形態における、気管内チューブから内部カテーテルが出てくる直前で、気管内チューブ内のマーフィー孔(Murphy’s eye)を確実に通過しているときの、
図9Aに示される気管内チューブの端部の近接図を示す。
【
図9C】
図9Cは、本発明の一実施形態における、気管内チューブから内部カテーテルが出てきた後の
図9Aに示される本システムの近接図を示す。
【
図9D】
図9Dは、プッシュ/プル位置単独、および/または回転の矢印によって示されるような対のカテーテルの回転との組み合わせで設置が達成され得る、本発明の一実施形態における、
図9Cに示される位置よりも奥に内部カテーテルが伸びた後の、
図9Aに示される本システムの近接図を示す。
【
図9E】
図9Eは、本発明の一実施形態における、別々の領域または内腔を標的とするようにカテーテルが独立してかつ別々に動作可能であることを方向性の矢印が示している、
図9Dに示される位置よりも奥に内部カテーテルのうちの1本が伸びた後の
図9Aに示される本システムの近接図を示す。
【
図9F】
図9Fは、本発明の一実施形態における、第2のカテーテルが除去され、再導入され得ること、および/または単一カテーテルが単一カテーテルとして送達され得ることを示し得る、気管内チューブの外に伸びる単一内部カテーテルのみを備えるカテーテルシステムを示す。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの断面を示す。
【
図11】
図11Aは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの底面図を示す。
図11Bは、本発明の一実施形態における、
図11Aに示される内部カテーテルの側面図を示す。
図11Cは、本発明の一実施形態における、
図11Bに示される内部カテーテルの一端の断面詳細図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの断面を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態における、第1の配向で患者へと伸びる単一内部カテーテルを備えるカテーテルシステムを示す。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態における、第2の配向で患者へと伸びる単一内部カテーテルを備えるカテーテルシステムを示す。
【
図15】
図15Aは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの底面図を示す。
図15Bは、本発明の一実施形態における、
図15Aに示される内部カテーテルの側面図を示す。
図15Cは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの端部先端部を示す。
図15Dは、本発明の一実施形態における、
図15Bに示される内部カテーテルの一端の断面詳細図を示す。
図15Eは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの遠位端の形状を示す。
図15Fは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの遠位端の形状を示す。
図15Gは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの遠位端の形状を示す。
図15Hは、本発明の一実施形態における、内部カテーテルの遠位端の形状を示す。
【
図16】
図16Aは、本発明の一実施形態における、カテーテルシステムの接続部の上面図を示す。
図16Bは、本発明の一実施形態における、
図16Aに示される破線によって見た、
図16Aに示される接続部の断面を示す。
図16Cは、本発明の一実施形態における、接続部の雇い実矧ぎ構成要素を有する、
図16Bにおいて丸で囲まれている接続部の部分の近接図を示す。
図16Dは、本発明の一実施形態における、雇い実矧ぎ構成要素を示している、カテーテルの内腔の軸線上の
図16Aの接続部の図を示す。
【
図17】
図17Aは、本発明の一実施形態における、単一内部カテーテルを備えるカテーテルシステムの側面図を示す。
図17Bは、本発明の一実施形態における、単一内部カテーテルのための雇い実矧ぎ構成要素を有する、
図17Aに示されるカテーテルシステムの接続部の近接図を示す。
図17Cは、本発明の一実施形態における、
図17Aに示されるカテーテルシステムの底面図を示す。
【
図18】
図18Aは、本発明の一実施形態における、2本の内部カテーテルを備えるカテーテルシステムの側面図を示す。
図18Bは、本発明の一実施形態における、2本の内部カテーテルのための雇い実矧ぎ構成要素を有する、
図18Aに示されるカテーテルシステムの接続部の近接図を示す。
図18Cは、本発明の一実施形態における、異なる方向に配向された2本の内部カテーテルを備える、
図18Aに示されるカテーテルシステムの底面図を示す。
図18Dは、本発明の一実施形態における、
図18Cに示される内部カテーテルの端部の近接図を示す。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態における、ユーザの手によって第1の配向で操作されているカテーテルシステムを示す。
【
図20】
図20は、本発明の一実施形態における、ユーザの手によって第2の配向で操作されているカテーテルシステムを示す。
【
図21】
図21は、本発明の一実施形態における、カテーテルシステムの側面図を示す。
【
図22】
図22は、本発明の一実施形態における、
図21に示される本システムの遠位端部分の近接図を示す。
【
図23】
図23は、本発明の一実施形態における、反対の配向で示されるように
図22に示される遠位端部分の近接図を示す。
【
図24】
図24は、本発明の一実施形態における、カテーテルシステムの近位端を示す。
【
図25】
図25は、本発明の一実施形態における、潤滑性スリーブを有するカテーテルシステムの図を示す。
【
図27】
図27は、本発明の一実施形態における、カテーテルの断面図である。
【
図28】
図28A、28B、28C、28D、および28Eは、本発明の一実施形態による、送達カテーテルへと挿入されるときのカテーテルの概略図を示し、
図28A−28Eに示されるカテーテルの部分は、
図9Aでは破線Cによって示されている。
【
図29】
図29A、29B、29C、29D、および29Eは、本発明の一実施形態における、カテーテルの近位端の回転に応答するカテーテルの遠位端の二値応答を示す。
【
図30】
図30Aは、本発明の一実施形態における、カテーテルの側面図を示す。
図30Bは、本発明の一実施形態における、
図30Aの線A−Aに沿って見たカテーテルの断面図を示す。
【
図31】
図31A、31B、および31Cは、本発明の種々の実施形態による、カテーテルの遠位端の屈曲を示す。
【
図32】
図32A、32B、32C、32D、および32Eは、マーフィー孔開口部を有する外部カテーテルから出てくるときの本発明の一実施形態におけるカテーテルの遠位端を経時的に示す。
【
図33】
図33Aは、本発明の一実施形態における、平坦な側面を示しているカテーテルの遠位端の底面図を示す。
図33Bは、本発明の一実施形態における、カテーテルの遠位端の側面図を示す。
図33Cは、本発明の一実施形態における、カテーテルの遠位端の上面図を示す。
図33Dは、本発明の一実施形態における、カテーテルの遠位端の正面図を示す。
【
図34】
図34A、34B、34C、34D、34E、および34Fは、本発明の一実施形態における、カテーテルの遠位端の種々の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
直接可視化を必要とすることなく、患者の体内腔(例えば、左および右の主気管支)内でカテーテルを位置付け、使用するためのシステムおよび方法が提供される。本システムは、設置を確実にするために内視鏡検査を使用することなく、いずれかの気管支内における動作中のカテーテルの所望の設置を可能にし得る。
【0019】
本カテーテル、システム、および方法は、気道から呼吸分泌物等の物質を吸引および/または除去するための種々の用途で用いられることができる。本カテーテル、システム、および方法は、単独、または吸引との組み合わせで、灌注のためにも用いられ得る。本カテーテル、システム、および方法は、いかなる種類の呼吸状態をも含む、吸引および/または灌注を必要とする状態を治療および/または予防するために使用され得る。そのような呼吸状態は、例えば、肺炎または気管支炎、例えば、予防法または治療法を含み得る。
【0020】
本システムおよび方法は、種々の実装を含み得、その実施例は、本明細書に記載される。本方法ならびにシステムは、開放法および/または閉鎖法ならびにシステムとして実行されてもよい。本カテーテルは、単一カテーテル、二重カテーテル、および/または両方の組み合わせとして用いられ得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムは、第1の近位端部分と、第1の本体部分と、第1の遠位端部分と、第1の本体部分を通って第1の近位端部分から第1の遠位端部分まで延在する内腔と、第1の雇い実矧ぎ(key joint)構成要素とを含む、第1のカテーテルを含む。本カテーテルシステムはまた、第2の近位端部分と、第2の本体部分と、第2の遠位端部分と、第2の本体部分を通って第2の近位端部分から第2の遠位端部分まで延在する一次内腔とを含む、第2のカテーテルを含んでもよく、第2の本体部分の少なくとも一部分は、第1のカテーテルの内腔内に配設され、第2のカテーテルは、第2の雇い実矧ぎ構成要素をさらに含む。第2の雇い実矧ぎ構成要素は、第2のカテーテルが第1の雇い実矧ぎされた継手を介して第1の雇い実矧ぎ構成要素に対して回転して固定されるように、第1の雇い実矧ぎ構成要素とともに第1の雇い実矧ぎされた継手を形成し得、第2の遠位端部分は、患者の体内に挿入されるように構成される。第2のカテーテルは、第2の遠位端部分と第2の雇い実矧ぎ構成要素との間で1:1のトルク能力比を有するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、カテーテルシステムを位置付け、使用する方法が提供される。患者の身体の内腔内で少なくとも1本のカテーテルを位置付け、使用する方法は、第1の遠位端部分と、第1の近位端部分と、第1の近位端部分と第1の遠位端部分との間に延在する第1の内腔と、第1の雇い実矧ぎ構成要素とを含む、第1のカテーテルを提供するステップを含み得る。本方法は、第1のカテーテルの第1の内腔内に、第2の遠位端部分と、第2の近位端部分と、第2の近位端部分と第2の遠位端部分との間に延在する第2の内腔と、第1の遠位端部分内に第1の雇い実矧ぎ構成要素とともに第1の雇い実矧ぎされた継手を形成する第2の雇い実矧ぎ構成要素とを含む、第2のカテーテルを提供するステップをさらに含み得る。さらに、本方法は、第2のカテーテルの第2の遠位端部分を第1の遠位端部分から患者の体内に伸ばすステップと、第2の遠位端部分が所定の関係を確立するための配向に回転されるように第1の雇い実矧ぎされた継手を回転することによって、患者の体内で第2の遠位端部分を第1の標的内腔との所定の関係で位置付けるステップとを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、本カテーテルは、近位端部分と、遠位端部分とを有する、細長い本体を含む。細長い本体は、近位端部分から遠位端部分まで延在する内腔を画定し得、送達カテーテルの内腔の雇い実矧ぎ構成要素に対応する雇い実矧ぎ構成要素を含み得る。本カテーテルの細長い本体の雇い実矧ぎ構成要素は、カテーテルの回転の配向が送達カテーテルの回転配向に対して固定されるように、送達カテーテルの内腔の雇い実矧ぎ構成要素に選択的に結合されるように構成されることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本カテーテルシステムは、気管内チューブの近位端に取り付けられる換気アダプタを含む。アダプタは、第1の雇い実矧ぎ構成要素を含む。第1のカテーテルは、第1の近位端部分と、第1の遠位端部分と、換気アダプタ内に配設される成形された細長い本体とを有する、第1の細長い本体を含み得る。本カテーテルシステムはまた、換気アダプタ内に摺動可能に配設される第2のカテーテルを含んでもよい。第2のカテーテルは、第2の遠位端部分と、アダプタ内の第1の雇い実矧ぎ構成要素に対応する第2の雇い実矧ぎ構成要素とを有する、第2の細長い本体を含み得る。アダプタの雇い実矧ぎ構成要素、第1のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素、および第2のカテーテルの雇い実矧ぎ構成要素は、カテーテルの回転の配向が換気アダプタの回転の配向に対して固定されるように、ともに結合されるように構成されることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本カテーテルシステムは、気管内チューブの近位端に取り付けられる換気アダプタを含む。第1のカテーテルは、第1の近位端部分と、第1の遠位端部分と、第1の近位端部分からアダプタ内に摺動可能に配設される第1の遠位端部分まで延在する第1および第2の内腔とを含む、第1の細長い本体を有する。第1のカテーテルは、第2の遠位端部分と、第2の近位端部分とを含む、第2の細長い本体を有する。第1のカテーテルの第2の遠位端部分は、第2の遠位端部分がアダプタを通して伸びるとき、第1のカテーテルの長手方向軸に対して非ゼロ角度で延在する、予め形成された曲折部を含み得る。本カテーテルシステムはまた、換気アダプタ内に摺動可能に配設される第2のカテーテルを含んでもよい。第2のカテーテルは、第2の遠位端部分と、第2の近位端部分とを含む、第2の細長い本体を有し得る。第2のカテーテルの第2の遠位端部分は、第2の遠位端部分がアダプタを通して伸びるとき、第2のカテーテルの長手方向軸に対して非ゼロ角度で延在する、予め形成された曲折部を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、吸引チューブは、気道系への挿入プロセスを容易にするために、遠位端が円形で非侵襲的かつ予め湾曲しているように構成される。湾曲したチューブの外側は、挿入時に操作者がそれを適切に配向し得るようにマークされてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、吸引チューブは、遠位端が挿入される深さを示すために、全長に沿ってマークされてもよい。さらに、吸引チューブは、近位部上に、気管から突出する(大小のチューブの遠位端が整列される場合)チューブを囲む線で1cm毎にマークされる。
【0028】
いくつかの実施形態では、吸引チューブの遠位端は、遠位端に固定されるマーカーバンドを用いてX線下で可視である。
【0029】
いくつかの実施形態では、吸引チューブは、吸引のための1つの主内腔および治療剤注入のための二次内腔の2つまたはそれを上回る内腔から構成される。本カテーテルは、二重内腔であり、一次内腔は、肺から粘液を吸引するために使用され得る。本カテーテルは、雇い実矧ぎされることができるため、このカテーテルの形態は、気管支のいずれかの主枝全体にアクセスし、粘液を吸引することができるため、新規の装置を意味する。第2の内腔は、生理食塩水を導入し、灌流を実行するために使用され得る。第2の内腔はまた、多数の薬物を導入するために使用されることができる。吸引と併せて、吸引後に投薬する能力は、患者にわずかな利益しか提供しない粘液に乗せることよりも、組織との薬物の界面を確実にする。したがって、本発明は、以下の手技に使用されるための多数の装置であり得る。
・吸引
・灌流
・灌流を伴う吸引
・薬物送達システムと併せた吸引
・吸引、灌流、および薬物送達
【0030】
いくつかの実施形態では、吸引チューブ本管は、遠位端が円形で非侵襲的であり、近位端が吸引式コネクタに接続されるように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、二次吸引チューブは、遠位端が削開され、円形で非侵襲的であるように構成される。この場合、膨張ポートが、y部品、および吸引コネクタの近傍に密閉されるように熱的に形成される近位端を通過し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、吸引チューブは、湾曲した遠位端の配向を制御し、吸引チューブの2つの遠位端が気管チューブの内側を指してY字形を形成することを保証するように、気管チューブの内側に雇い実矧ぎされる。
【0033】
いくつかの実施形態では、吸引チューブは、気管チューブへの後退および予め形成された湾曲形態への盲目的な配備を可能にし、吸引チューブの2つの遠位端が気管チューブの内側で反対方向を指してY字形を形成することを確かにするように、予め形成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記のカテーテルシステムは、上記の吸引カテーテル、気管チューブの端部と換気回路との間に接続される取付具を使用して気管内チューブの近位端に取り付けられ得る換気アダプタを含む、閉鎖システム吸引カテーテルアセンブリを備える。上記の吸引カテーテルは、前方向結合具を通って気管チューブを下方に前進し、吸引を可能にすることができる。可撓性外被が2つの結合具間に伸び、外被を通して操作され得るようにカテーテルを封入する。前方向結合具内のワイパーシールが、換気システムからの気体が外被を膨張させることを防止する。
【0035】
いくつかの実施形態では、閉鎖システム吸引カテーテルアセンブリは、挿管される患者の気管または気管支内から分泌物を除去するために使用される。アセンブリは、その遠位端で気管内チューブの近位端に接続される可撓性カテーテルを備える。可撓性カテーテルの近位端は、カテーテルへの吸引の適用を制御するために開放または閉鎖されることができる弁を含む、取付具と接続され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、その遠位端が前方向結合具内に引っ込められた後にカテーテルをきれいにするよう準備される。手動操作可能な弁がワイパーシールの前方に置かれ、弁とワイパーシールとの間に清澄化チャンバを提供する。灌注ポートがこのチャンバへと開き、それにより生理食塩水が供給され得、これは、次いで、空洞内に収集される物質を除去するために適用される吸引によってカテーテルの空洞に沿って引かれる。
【0037】
本明細書に記載される実施形態によるカテーテルシステムを使用するための方法も提供される。
図1は、一実施形態によるカテーテルシステム100を示す。システム100は、近位端104と、遠位端106と、近位端104と遠位端106との間に延在する内腔108とを有する、細長い本体102を含む。内腔108の中には、近位端120と、遠位端122とを有する、第1の内部カテーテル116がある。第2の内部カテーテル117もまた内腔108の中に提供され得、第2の内部カテーテルは、近位端121と、遠位端123とを有する。内部カテーテル116、117は、細長い本体102の近位端および遠位端104、106の一方または両方から出てきてもよい。細長い本体102は、可撓性外被140で形成され得、これは、システム100のユーザが、可撓性外被140を通してユーザの手で内部カテーテル116、117の一方または両方を操作することを可能にし得る。これによって、ユーザは、位置を延長調整するか、または内部カテーテル116、117の一方もしくは両方を患者の体内に伸ばすことができる。
【0038】
細長い本体102の遠位端106は、システム100を、例えば、気管内チューブ114または何らかの他の部材に接続するための取付具138を備え得る、換気アダプタ部112を含み得る。第1および第2の内部カテーテル116、117は、患者の体内に位置付けられた気管内チューブ114の反対端から出てくるように、換気アダプタ部112を通して、そして気管内チューブ114等の取り付けられた部材を通して外に伸び得る。さらに、取付具138は、細長い本体102に対して回転可能であり得る。換気アダプタ部112はまた、患者に換気を提供するために換気アダプタ154を含んでもよい。
【0039】
第1および第2の内部カテーテル116および117は、近位端120、121上に、それぞれ、コネクタ部136および137を備え得る。コネクタ部136、137は、それぞれ、コネクタ部136、137が、例えば、流体の供給源に接続される場合、漏出を防止するためのワイパーシール142を含み得る。コネクタ部136、137はまた、それぞれ、弁146と、灌注ポート152とを含んでもよい。
図1に示される実施形態では、弁146は、手動操作される弁であるが、他の実施形態も可能である。
【0040】
第1の内部カテーテル116の遠位端122は、曲折部128を有し得る。第2の内部カテーテル117の遠位端123もまた、曲折部129を有し得る。曲折部128および129は、第1および第2の内部カテーテル116、117によって形成されるVまたはY字形を作るように、反対方向に湾曲し得る。
【0041】
図2Aは、取付具138に接続される気管内チューブがない換気アダプタ部112の近接図を示す。換気アダプタ部112は、内部カテーテル116、117の一方または両方とともに雇い実矧ぎされた継手を形成する、雇い実矧ぎ(key joint)構成要素(以下に記載)を含み得る。雇い実矧ぎされた継手は、例えば、換気アダプタ部112に対して内部カテーテル116、117を回転して固定し得る。
図2Aに示される実施形態では、内部カテーテル116、117は、第1の内部カテーテル116が換気アダプタ154が指す方向と同じ方向に湾曲するように固定される。したがって、換気アダプタ154は、ユーザのための内部カテーテルの遠位端122、123の配向の指示器としての役割を果たし得る。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、内部カテーテルの配向は、カテーテルシステム100に備えられる何らかの他の特徴によって示され得る。
【0042】
内部カテーテル116、117の形状は、カテーテルの一方の側面が湾曲し、他方の側面が平坦であるような、D字形であり得る。
図2Aは、第1の内部カテーテル116の湾曲した側面156bおよび第2の内部カテーテル117の平坦な側面157aを示す。示される構成では、平坦な側面156a(図示せず)および157aは、相互に面する。本発明の原理に従って他の形状および配向が提供され得るように、内部カテーテルの形状および配向は、この構成に限定されない。異なる形状の断面をカテーテルが有する実施形態では、カテーテルは、相互に面する平坦な側面を備える断面を依然として有し、これによって、カテーテルが緊密に近接していることを可能にし、カテーテルによって占められる容積を最小化することができる。しかしながら、本カテーテルはさらに、他の断面形状を有し得、対面する側面は、平坦でない場合があるが、それにもかかわらず、相互に対応する側面を有し得る。さらに、カテーテルの断面は、カテーテルの全長にわたって一定でなくてもよい。例えば、
図3Bは、内部カテーテル116、117の遠位端上の内腔124、125の円形開口部を示すが、それにもかかわらず、カテーテルは、示されているカテーテルの残りの部分にわたってD字形断面を有する。
【0043】
第1の内部カテーテル116は、一次内腔124を有する。二次内腔126もまた、第1の内部カテーテル116内に提供され得る。第2の内部カテーテル117が提供される場合、それは一次内腔125を有し、そして二次内腔127を有してもよい。内部カテーテル116、117内の内腔の数は、これらの構成に限定されず、より多くの内腔が提供されてもよい。
【0044】
内部カテーテル116、117はまた、患者内部の表面に対してより侵襲的でないように湾曲しているか、または折り返されている非侵襲的端部132を備えてもよい。第1および第2の内部カテーテル116、117の一次内腔124、125への開口部は、これら非侵襲的端部132上に形成され得る。さらに、二次内腔126、127は、それぞれ、内部カテーテル116、117の側面上で開口してもよい。
【0045】
図2Bは、
図2Aに示される換気アダプタ部112の反対側の側面図を示す。第1の内部カテーテル116の平坦な側面156aおよび第2の内部カテーテル117の湾曲した側面157bを
図2Aに見ることができる。
【0046】
図2Cは、換気アダプタ154を見下ろす換気アダプタ部112の上面図を示す。内部カテーテル116、117は、平坦な側面156aおよび157aが相互に面し、近接しているように配置され得る。上述のように、内部カテーテルの形状は、D字形に限定されず、他の形状は、相互に面し、かつ/または接触する異なる形状の表面を有し得る。
図2Dは、換気アダプタ部112の底面図を示す。
【0047】
図3Aは、換気アダプタ部112の一部分の断面図を示し、この断面図は、換気アダプタ部112と、
図2Bに示される切断線3Aから同軸である。
図3Bは、等角の側面視点からの同じ部分を示す。雇い実矧ぎ構成要素110が、換気アダプタ部112内に配設されている。
図3Aおよび3Bに示される実施形態では、雇い実矧ぎ構成要素110は、第1および第2の内部カテーテル116、117のために雇い実矧ぎされる。雇い実矧ぎ取付具158が、雇い実矧ぎ構成要素110と換気アダプタ部112との間に提供され得る。雇い実矧ぎ取付具158は、例えば、換気アダプタ部112内に雇い実矧ぎ構成要素110を固定することに役立つことができる。
【0048】
図4Aは、換気アダプタ部112の取付具138と同軸である図である。
図4Bは、
図4Aに示される部分の代替的な視点である。
【0049】
図5は、単一カテーテル(例えば、第1の内部カテーテル116)のみがシステム内に配設される、一実施形態によるカテーテルシステム100を示す。第2の内部カテーテルの排除を除いて、
図5に示されるシステムの部分は、
図1のものと同一であり、これらの部分の説明は、ここでは繰り返されない。
【0050】
本明細書に記載されるカテーテルシステムは、単一カテーテルおよび/または二つのカテーテルとして用いられ得る。本カテーテルは、独立して、近位方向および遠位方向に動作可能である。二つのカテーテルは、それらがそれぞれ他方から独立して近位方向および遠位方向に動いて異なる場所に達することができるように、独立して動作可能であり得る。それぞれは、同様に、他方から独立して、除去、交換、および再挿入され得る。
【0051】
図6A−6Dは、
図2A−2Dに示される二つのカテーテルの実施形態と同様の単一カテーテルの実施形態の図を示す。以前に記載された特徴は、ここでは繰り返されない。
【0052】
図7Aおよび7Bは、単一カテーテルの実施形態による単一内部カテーテル116のみに雇い実矧ぎされる雇い実矧ぎ構成要素110を備える、単一カテーテルの実施形態の図を示す。単一カテーテル116を備える実施形態は、
図8Aおよび8Bにも示される。
【0053】
2本のカテーテルを有するカテーテルシステム100の一実施形態が、気管内チューブ114からの配備の種々の段階における内部カテーテル116、117とともに
図9A−9Eに示される。カテーテルシステム100の位置決めを図示するため、患者Pの肺Lもまた、左気管支B
Lおよび右気管支B
Rとともに示される。
図9Aでは、カテーテルシステム100は、患者Pの気管Tへと挿入された気管内チューブ114に取り付けられた状態で示されている。第1および第2の内部カテーテル116、117は、気管内チューブ114内に示されている。
図9Bは、左右の気管支B
LおよびB
Rの近傍に配設された気管内チューブ114の近接図を示す。内部カテーテル116、117の遠位端は、気管内チューブ114の端部における開口部の近傍に位置付けられている。カテーテルシステム100の操作者が内部カテーテル116、117を細長い本体102の遠位端106のさらに先に押すと(
図9A参照)、
図9Cに示されるように、内部カテーテルが気管内チューブ114から出てくる。上記のように、内部カテーテル116、117は、それらが気管内チューブ114の境界から出てくるにつれて、VまたはY字形を形成するような形状であってもよい。この形状は、内部カテーテルの一方または両方が気管支の一方または両方の中に容易に位置付けられ得るように、内部カテーテル116、117を左右の気管支B
LおよびB
Rの枝に対応するように位置付けることができる。例えば、
図9Dは、気管内チューブ114を通してさらに押された後の内部カテーテル116、117を示す。第1の内部カテーテル116は、右気管支B
Rに向かって、その中に伸び、そして第2の内部カテーテル117は、左気管支B
Lに向かって、その中に伸びる。内部カテーテル116、117の一方または両方は、肺内の種々の枝に達するように、肺のさらにより奥に押され得る。例えば、
図9Eは、右気管支B
Rのより奥に位置付けられた第1の内部カテーテル116を示す。
【0054】
内部カテーテル116、117は、
図9Dの円形矢印によって示されるように、患者へと挿入されながら回転されることもできる。この回転は、カテーテルシステム100の操作者が患者の外側の内部カテーテルの部分を回転させることよって達成され得る。この回転は、気管支への内部カテーテルの挿入を容易にするために使用されることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、内部カテーテル116、117が既に所望の位置にある場合があるため、内部カテーテル116、117の回転が必要とされない場合がある。例えば、内部カテーテル116、117の形態または屈曲に起因して、それらはそれぞれ、回転を必要とすることなく、一方が一方の気管支のために使用され、他方が他方の気管支のために使用され得るように、異なる気管支に導かれ得る。
図9Eの矢印によって示されるように、内部カテーテルはそれぞれ、気管支の一方または両方の中のより小さな内腔を標的にすることができる。
【0055】
図9Fは、カテーテルシステム100の単一カテーテルの実施形態の一実施例を示す。内部カテーテル116は右気管支B
Rの中に挿入された状態で示されているが、内部カテーテル116は左気管支B
Lの中に位置付けられてもよい。
【0056】
内部カテーテル116の一実施形態の断面が
図10に示される。本実施形態では、カテーテル116は、湾曲した側面156bと、平坦な側面156aとを有する、D字形断面を有する。カテーテル116は、一次内腔124を有する。カテーテル116はまた、二次内腔126と、三次内腔160とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、一次内腔124は、吸引を実行するために使用され得、二次および三次内腔126、160は、灌流または医薬品の送達を含む、治療剤注入のために使用されることができる。本カテーテルは、この構成に限定されず、異なる形状の断面またはより多いもしくはより少ない内腔を有し得る。
【0057】
一次内腔124は、遠位端が円形で非侵襲的であり得、近位端が吸引式コネクタに接続され得るように構成され得る。二次および三次内腔126、160は、遠位端が削開され、円形で非侵襲的であり得るように構成され得る。y部品および吸引コネクタの近傍に密閉されるように熱的に形成される近位端を通って、膨張ポートが含まれ得る。
【0058】
いくつかの実施形態によると、内部カテーテル116の断面は、「D」という文字のような形状をした押出成形ポリマーに基づいてもよく、粘液吸引を可能にするための長円形の一次内腔124と、設計に対称性を与えるため、ならびにいくつかの実施形態では、断面のトルク能力に寄与するための各側面上の2つの円形の二次および三次内腔126、160とを有し得る。
【0059】
「D」形状は、人工呼吸器アダプタ内部の鍵(key)として使用され得、断面の一方の軸の周りのカテーテルの可撓性と、成形された遠位端を断面の他方の軸上に維持するための剛性とを可能にする。一実施形態によるD形状の寸法は、4mmの最小長円形内腔を伴い、およそ高さ10mmおよび幅5mmである。しかしながら、
図10における断面は、本発明の一実施形態の一実施例である。種々の実施形態によると、他の断面形状ならびに内腔構成および寸法も可能である。
【0060】
細長い本体102を備えていない内部カテーテル116の一実施形態が、
図11Aおよび11Bに示される。本実施形態のカテーテルは、近位端吸引アダプタ/弁(ワイパーシール142を有する)を有する湾曲した吸引チューブ(曲折部128)と、流体注入のためのYコネクタ流体コネクタ(灌注ポート152)とを含む。一次内腔124は、吸引アダプタ/弁に直接接続され得、二次および三次内腔126、160は、削がれ、Yアダプタに接合されてルアー注入ポートを作ることができる。
図11Aは、本実施形態によるカテーテルの上面図を示す。
図11Aのカテーテルの有効長は、いくつかの実施形態では、約24インチであり得る。下の画像は、J字形先端部の配向およびカテーテルの遠位端における膨張ポートの対応する配向を示す。
図11Cは、
図11Aおよび11Bに示される内部カテーテル116の近位端の近接断面を示す。
図11Cに示されるように、吸引アダプタ/弁は、2つの二次内腔を削ぎ落とし、単一内腔を吸引アダプタ/弁に接合させることによって、一次内腔124に取り付けられる。この断面はまた、2つの二次内腔を部分的に削ぎ落とし、灌注ポート152を取り付けるようにYアダプタを接合させることによって、注入ポートがどのように二次内腔に取り付けられるのかを示す。
【0061】
図12は、長円形の断面を有する内部カテーテル116の別の実施形態を示す。本カテーテルは、一次内腔124を含み、そしてまた二次および三次内腔126および160を含んでもよい。一次、二次、および三次内腔124、126、および160は、上記の一次、二次、および三次内腔124、126、および160と同様の使用法を有し得る。本実施形態における内部カテーテル116の断面は、粘液吸引を可能にするための長円形の一次内腔124を有する長円形の押出成形ポリマーと、設計に対称性を与えるため、断面のトルク能力に寄与するための一次内腔124の各側面上の2つの円形の内腔126、160とに基づいてもよい。長円形状は、人工呼吸器アダプタ内部の鍵として使用されてもよく、断面の一方の軸の周りのカテーテルの可撓性と、成形された遠位端を断面の他方の軸上に維持するのに役立つ剛性とを可能にする。D形状の寸法は、一実施形態によると、4mmの最小長円形内腔を伴い、およそ高さ10mmおよび幅7mmであり得る。
【0062】
患者に使用されているカテーテルシステム100の一実施形態の描写が、
図13および14に示される。特に、
図13および14は、本発明の一実施形態において、雇い実矧ぎされた換気アダプタ154を望ましい方向に向けることによる、操作者が所望の気管支枝に向けて内部カテーテル116の遠位端を配向し得る方法を示す。カテーテル116は、気管内チューブ114を通して挿入され、カテーテル116の近位端上の換気アダプタ154を使用して標的の気管支に向けて操られ得る。
図13では、内部カテーテル116は、右気管支B
R内に位置付けられる。上記のように、内部カテーテル116の曲折部128の方向は、患者の外側で操作者によって調整されることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル116のトルク能力は、注入ポートとカテーテル116の遠位端の曲折部128との間の対応する配向を確かにし得る。例えば、換気アダプタ154は、内部カテーテル116と同じ方向を指すように構成され得る。換気アダプタ部112を回すことによって、換気アダプタ154の方向は異なる方向を指し得る。さらに、いくつかの実施形態によると、雇い実矧ぎ構成要素110および内部カテーテル116によって形成される雇い実矧ぎされた継手に起因して、換気アダプタ部112の回転は、患者の中に位置付けられる内部カテーテル116の回転に対応するであろう。例えば、
図13は、内部カテーテル116の本体に対して同じ方向を指している換気アダプタ154および内部カテーテルの曲折部128を示す。
図14に示されるように換気アダプタ154が反対方向を指すように回されるとき、内部カテーテル116も反対方向を指すように回る。したがって、カテーテルシステム100の操作者は、内部カテーテル116を容易に調整することができる。
【0063】
図15Aおよび15Bは、曲折部128の可能性のある形状の一実施例とともに一実施形態による内部カテーテル116を示す。
図15Cは、内腔124を包囲する非侵襲的端部132として形成された先端部を有する、カテーテル116の端部の近接図を示す。例えば、
図33Aおよび33Cに示されるように、X線放射不透過性マーカーバンド232が、X線下の可視化を可能にするために、カテーテル116の遠位端に取り付けられ得る。例えば、カテーテル116(または一次内腔124)は、マーカーバンドの上に折り重ねられ、マーカーバンドをカテーテルに固定するためにリフロー接合され得る。
図15Dは、本実施形態によるカテーテルの近位端の近接図を示す。曲折部128の形状は、
図15Bに示される実施例に限定されない。
【0064】
図15E−15Hは、カテーテル116のその遠位端の種々の形状を示す。各実施例において、曲折部は、r
1′、r
2′、r
3′、およびr
4′の第1の曲率半径ならびにr
1′′、r
2′′、r
3′′、およびr
4′′の第2の曲率半径もまた有するように形成される。2つの湾曲部の組み合わせは、本明細書において複合曲折部または複合湾曲部と称され得る。二つの内部カテーテルの実施形態では、内部カテーテル116、117は、同一または異なる組み合わせの半径r
i′およびr
i′′を有し得る。曲折部128の複合湾曲部は、吸引を改善し、一方または両方の肺から粘液を効率的に吸引するように、一方または両方の肺への移動を最適化し得る。
【0065】
図16Aは、一実施形態による換気アダプタ部112の一実施例を示す。
図16Bでは、
図16Aの破線16Bから見た断面図が、雇い実矧ぎ構成要素110を明らかにしている。本実施例では、雇い実矧ぎ構成要素110は、2本のカテーテルのために雇い実矧ぎされている。雇い実矧ぎ構成要素110の近接図は、
図16Cに示される。
図16Dは、換気アダプタ部112を覗き込む図を示す。雇い実矧ぎ構成要素110は、2本の内部カテーテルのための空間を伴う。
【0066】
内部カテーテル116が気管内チューブ114を通して挿入されている、単一内部カテーテル116の実施形態が、
図17Aおよび17Bに示される。
図17Bに示されるように、雇い実矧ぎ構成要素110は、単一カテーテルのために雇い実矧ぎされる。
図17Cは、単一カテーテルシステムの代替の実施形態を示す。
【0067】
カテーテル116、117の両方が単一気管内チューブ114を通して挿入されている、2本の内部カテーテルの実施形態が、
図18Aに示される。本実施例における雇い実矧ぎ構成要素110は、2本のD字形内部カテーテルのために雇い実矧ぎされる。D字形の第1および第2の内部カテーテル116、117は、
図18Cおよび18Dに示される。カテーテルが異なる断面の形状を有する実施形態では、雇い実矧ぎ構成要素はまた、カテーテル断面の形状に対応する形状を有する雇い実矧ぎ構成要素内の孔を内部カテーテルが通過するように、異なる構成を有してもよい。
【0068】
図19および20は、カテーテルシステムが本システムのユーザによってどのように扱われ、操作され得るかの実施例を示す。
図19では、ユーザの手が換気アダプタ154の取付具138の近傍で本システムを握っている。人工呼吸器アダプタが、人工呼吸を可能にする。人工呼吸器アダプタ154に隣接する上部ポートを通ってカテーテル116、117が導入される一方、換気アダプタ154は、例えば、気管内チューブ114を通る連続的な空気の流れを可能にし得る人工呼吸器システムに接続される。ユーザは、換気アダプタ154が示される方向を指すように本システムを持っている。雇い実矧ぎされた継手に起因して、遠位端が患者内部にあるときでさえも、内部カテーテル116、117の遠位端(図示せず)が指す方向を把握し、制御することができる。単一カテーテルの実施形態を示す
図20では、換気アダプタ154は、
図19に示されるものと反対の方向を指している。
【0069】
図21−24は、単一内部カテーテル116を備えるカテーテルシステムの一実施形態を示す。本システムは、取付具138に接続される気管内チューブがない状態で示されている。上記のように、本システムは、換気アダプタ154が指す方向が内部カテーテル116の配向の方向に対応するように構成されることができる(
図22および23参照)。これらの実施例では、換気アダプタ154は、内部カテーテル116の配向を示すために使用されるが、他の実施形態も可能である。例えば、内部カテーテルの配向は、本システムが使用中のとき患者の外側にある、本システム上の別の構造体または指示器、例えば、マーキングもしくは他の構造的特徴等によって指示されることができる。
図21−24に示される実施形態は、カテーテル116を閉鎖環境に保持して、それを汚染制御のために操作者から隔離するために可撓性外被140を使用する、いわゆる「閉鎖システム」を示す。しかしながら、実施形態は、閉鎖システムに限定されず、可撓性外被140を備えていないシステムも含み得る。
図24は、一実施形態によるカテーテル116の近位端における弁146を示す。この弁146は、シャフトの一次内腔を使用してカテーテル116への吸引の適用を制御するために、開放または閉鎖され得る。閉鎖システムでは、弁146は、吸引を制御するためにカテーテルの操作者によって圧縮される上部または被覆を有し得る。このようにして、弁146は、カテーテルシステムの内側が閉鎖し、操作者から分離されている状態に保持する。弁146の隣には、例えば、カテーテル116の1つまたはそれを上回る二次内腔を使用して、カテーテル116を通して流体を投与するための注入ポート152が存在し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、カテーテル116は、いわゆる「開放システム」である。例えば、
図15Bおよび15Dは、開放システムの一実施形態を示す。開放システムにおける弁146は開放弁であり得(
図15D参照)、これは、操作者が、例えば、吸引を制御するために上弁の上に、例えば、親指を置くことによって制御される。開放弁の上部が被覆される場合(例えば、親指で)、カテーテルを通じて吸引が実行されるが、弁が露出している場合、吸引は、停止する。吸引のレベルはまた、開放弁が被覆または露出される度合によっても制御可能であり得る。開放システムは、カテーテルを包囲する可撓性外被を備える場合も、備えない場合もある。
【0071】
弁は、通常、流路に対して側方に位置付けられる流れ制御装置を有し、かつ流れが可能にされるか、または可能にされないかのいずれかになる2つの明確に異なる位置を有する種類のものである。
【0072】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、内部カテーテルの配向は、雇い実矧ぎ構成要素110および1本またはそれを上回る内部カテーテルによって形成される雇い実矧ぎされた継手に部分的に起因して、患者内部にあるときでさえも、把握および/または制御されてもよい。内部カテーテルは、雇い実矧ぎされた継手の近傍で、かつカテーテルの遠位端における1本またはそれを上回る内部カテーテルの配向間の対応を保証するような構造特性または材料特性を有し得る。例えば、内部カテーテルは、内部カテーテルの長さに沿って、または患者内部の操作位置において雇い実矧ぎ構成要素110から内部カテーテル116、117の遠位端122、123まで延在する内部カテーテルの少なくとも一部分に沿って、1:1のトルク能力比を示し得る。1:1のトルク能力比によると、雇い実矧ぎ構成要素110における1本またはそれを上回る内部カテーテルの転回または回転は、1本またはそれを上回るカテーテルの遠位端の等量の転回または回転をもたらすであろう。換言すれば、カテーテルの第1の端部におけるトルクは、第1の端部および第2の端部の両方における等しい程度の回転の程度をもたらし、第2の端部は第1の端部とは反対端になるであろう。したがって、カテーテルの遠位端の配向は、患者の外側にあり得る近位端上のカテーテルの配向に基づいて把握され得る。上記のように、患者の外側にあるカテーテルの配向は、例えば、換気アダプタ154または何らかの他の指示器の配向によって示され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、内部カテーテルの近位端を回転させることは、遠位端が体内腔(例えば、気管)内に挿入されるときの内部カテーテルの捩れに起因して、内部カテーテルがその本体の少なくとも一部分にわたって捩れることをもたらし得る。したがって、内部カテーテルは、身体の解剖学的構造に起因する湾曲した構成にある間、近位端の配向が遠位端の配向に対応しないかも知れないように捩れ得る。それにもかかわらず、カテーテルが直線構成(すなわち、体内腔に拘束されない)にある間、近位端が回転されるとき遠位端と近位端との間で1:1の対応を示し得るため、内部カテーテルは、依然として、本明細書において使用される定義に一致する「1:1のトルク能力」を有すると考えられ得る。
【0074】
この1:1のトルク能力比は、遠位端が体内腔内部にある場合、カテーテルの遠位端の配設(例えば、回転の程度)が未知であり得るカテーテルの潜在的な問題を克服し得る。例えば、カテーテルは、いくつかの方法のうちのいずれか1つ(例えば、いずれかの回転の程度)で配設される遠位端を有し得、カテーテルの近位端の回転に応答する遠位端の配設の変化は、未知であり得る。具体的には、カテーテルの遠位端の所定の程度の回転または配設を確実に保証する近位端の回転または配設の程度がない場合がある。例えば、いくつかのカテーテルでは、カテーテルの近位端における捩れは、上記のように、カテーテルの遠位端における変化を生じさせない場合があるか、または近位の回転との関係を有していないか、もしくは信頼できない関係を有する遠位先端部における回転を生じさせる場合がある。したがって、遠位端における変化は異なる程度の回転を生じさせ、ひいてはユーザにとって信頼できない性能の起因となる。換言すれば、近位端の制御または操作に基づいて、ユーザが遠位端の位置もしくは配向を確実に知ることができないため、いくつかのカテーテルの確実な使用は、達成が困難な場合がある。これらの課題に関して、本発明の実施形態は、改善された性能を提示し得る。
【0075】
内部カテーテルは、例えば、フッ化ビニリデンの重合によって生成される高度に非反応性の熱可塑性フルオロポリマーである、フッ化ポリビニリデンまたはポリフッ化ビニリデン(PVDF)で作製され得る。Kynar
TMが、そのような材料の一例である。1:1のトルク能力は、例えば、以下:(1)約55.0〜60.0のショアD硬度、(2)約4000〜6000psiの最終引張強度、および(3)約1700〜2800psiの降伏引張強度のうちの1つまたはそれを上回るものを含む特性を有する、硬性材料から形成される内部カテーテルによって達成され得る。しかしながら、他の材料特性または特性の組み合わせも、1:1のトルク能力を達成するか、もしくはそれに寄与し得る。さらに、内部カテーテルは、例えば、高い極慣性モーメントを提供する断面を有するように形成され得、これは、本発明の一実施形態において捩れに抵抗するシャフトの能力を示し、トルクを受けるシャフトの捩れを算出するために必要とされる。ある特定の実施形態では、断面は平坦な部分を含み得る。
【0076】
以下の記述は、構造および材料挙動の一般原則の代表である簡略化した等式を使用する。以下の等式のいくつかは、部材(すなわち、カテーテル)の物理的幾何学に依存する。本発明の実施形態は、以下の等式によって正確に説明されない場合がある、種々の幾何学的形状を含む。したがって、本発明の実施形態の側面(例えば、幾何学的形状)は、以下の等式のいずれかによって示唆される幾何学的形状によって限定されるものではない。それにもかかわらず、以下の一般原則は、本発明の実施形態の設計考慮に適用可能である。
【0077】
カテーテルのトルク能力は、トルクモーメントがその長手方向軸を中心にして置かれる場合のカテーテルの挙動を説明する。小さな偏向については、カテーテルの機械的特性は、捩り剛性が以下のように決定されるバネシステムに近似し、
【化1】
式中、k
torqは捩りバネ定数であり、Gは剛性率であり、Jは極慣性モーメントであり、Lはカテーテルシャフトの長さである。トルク能力の最大化は、以下の3つの方法のいずれかによって達成され得るk
torqの量の最大化を意味する。
(1)極慣性モーメントの最大化。単一チューブプロファイルについては、Jの支配方程式は、以下の通りであり、
【化2】
式中、d
oはチューブ外径であり、d
iはチューブ内径である。Jを最大化するために、設計者は、外径および壁厚を最大化する必要がある。
(2)より剛性の材料を使用することによる剛性率の最大化、または
(3)シャフトの全長の減少。
【0078】
単純なチューブの可撓性は、梁で下方の力を受ける固定梁システムとしてモデル化されることができる。小さな偏向については、チューブ類は、以下の式によって決定される曲げ剛性を有するバネシステムに近似し、
【化3】
式中、k
flexuralは曲げバネ定数であり、Eは弾性率であり、Iは慣性モーメントであり、Lはカテーテルシャフトの長さである。多くの場合、カテーテルの曲げ剛性を最小化することが望ましく、これは、k
flexuralの量を最小化することによってなされ得、これは、例えば、以下の3つの方法のいずれかによって達成され得る。
(1)慣性モーメントの最小化。円柱については、慣性モーメントの支配方程式は、以下の通りであり、
【化4】
式中、d
oはチューブ外径であり、d
iはチューブ内径である。Iを最小化するために、外径および壁厚が最小化され得る。
(2)軟性材料を使用することによる弾性率の最小化、および
(3)シャフトの全長さの増加。
【0079】
カテーテル送達システムのために、複合チューブ類設計が使用され得る。これらは、1つまたはそれを上回るプラスチック材料ならびにワイヤ補強(組紐またはコイル)設計を含み得る。以前に記載されたモデル化概念はまた、複合チューブ類設計を分析および比較するために使用されてもよい。別々かつ明確に異なる層のそれぞれの剛性特性は、古典的な積層理論の原理を使用して算出され、組み合わされ得る。
【0080】
吸引カテーテルシステムは、その主な目的が、気管内チューブを通じて左および右の気管支に吸引チューブを盲目的だが正確に送達することである、無菌の単回使用の使い捨て装置であり得る。本カテーテルシステムの二次的な目的は、気道に治療剤を投与するために第2のチャネルを提供することである。第2のチャネルは、肺から除去される流体とこれらの薬剤が混合することを防止する。第2のチャネルはまた、灌流のために使用されてもよい。
【0081】
吸引カテーテルシステムの意図される使用は、気道を充満させる流体および粘液を除去することであり得る。本システムは、視線誘導の使用を伴わずに、左および右の気管支への吸引チューブの正確な導入を可能にする。流体の除去は、肺炎の症状を寛解させ、呼吸および総合的な肺機能を改善し、それによって患者の回復を加速させる。
【0082】
吸引カテーテルシステムは、雇い実矧ぎされた換気アダプタを使用して既製の気管内チューブを通して挿入される多内腔の成形吸引チューブを使用し得る。既製の気管内チューブの内側の予め成形され、雇い実矧ぎされた吸引チューブの組み合わせは、医師が標準の技術を使用して気管チューブを挿入することを可能にする。一旦位置付けられると、1本または2本の吸引チューブが気管内チューブの遠位端から配備され、そして左および右の気管支内でこれらのチューブを方向付ける二又形状を形成する。本カテーテルシステムは、汚染を回避するための専用の内腔を通して治療剤の効率的かつ無菌の送達を可能にする。
【0083】
本カテーテルシステムは、両方の吸引チューブの場所を確認するために、市販の聴診器と併せて使用され得、流体吸引の雑音を聞くことによって、操作者は、両方の主気管支へと吸引チューブが適切に配備されたことを確認することができる。
【0084】
ますます近代医学は、診断および治療の手技が実行され得るように体内の所望の場所へと狭い通路を操縦することができる装置を要求している。現在、カテーテル等の細長い医療装置は、標的の場所まで接続された種々の通路を通ってアクセスポイントを経由して体内へと伸びることができる。これらのアプローチは、心臓および血管の疾患では一般的であるが、それらは、肺疾患では、十分に適用されていない。
【0085】
呼吸道は、蛇行状の経路の一例である。呼吸道は、気管に対して開口する鼻および口において始まる。気管は、胸部へと下方に進み、左および右の主気管支へと分かれる。左および右の主気管支は、ある角度で気管から分かれる。左主気管支は、右主気管支よりも直径が小さく、より大きな角度で気管から枝分かれする。次いで、主気管支は、葉気管支に分かれ、これは、区域気管支に分かれる。区域気管支は、亜区域気管支に分かれる。
【0086】
いくつかの手技は、肺内の粘液を吸引するため、または局所的に薬品を送達するために、左および右の主気管支を含む呼吸道の挿管を必要とする。気管からの左主気管支の挿管は、それがより小さな直径および気管に対するより大きな角度を有し得るために困難であり得る。例えば、肺から流体を吸引するための典型的な手技は、患者の気管に気管内チューブを導入すること、続いて、気管内チューブの内腔を通して、かつ右または左の主気管支のいずれかへと、作業カテーテル(例えば、吸引カテーテル)を伸ばすことを含み得る。左主気管支に吸引カテーテルを挿管しようとする呼吸療法士は、カテーテルが実際は代わりに右主気管支に入っているとき、左主気管支が挿管されていると誤って考える場合がある。いくつかの場合では、気管内チューブは、その遠位端が右主気管支へと伸び、それによって吸引カテーテルが右主気管支にしかアクセスできないほど深く誤って挿入され得る。多くの場合、左主気管支へと気管支鏡を挿入し、気管支鏡の作業チャネルを使用して左主気管支を吸引するために、呼吸器科医等の専門家が必要とされる。気管支鏡は、気管支鏡を左主気管支へと誘導するための視覚システム(例えば、光ファイバシステムを含む)および/または蛍光透視撮像システムを備える。しかしながら、可視化機器および内視鏡手技は高価な場合があり、所望の際に手技を実施するために専門家が容易に利用可能でない場合がある。
【0087】
閉鎖システム吸引カテーテルアセンブリは、挿管される患者の気管または気管支内から分泌物を除去するために使用される。アセンブリは、その遠位端で気管内チューブの近位端に接続される可撓性カテーテルを備える。可撓性カテーテルの近位端は、カテーテルへの吸引の適用を制御するために開放または閉鎖され得る弁を含む、取付具と接続される。弁は、通常、流路に対して側方に位置付けられる流れ制御装置を有し、かつ流れが可能または不可能のいずれかになる2つの明確に異なる位置を有する種類のものである。
【0088】
その遠位端に向かって、本カテーテルは、気管チューブの端部と換気回路との間に接続される取付具を通って伸びる。本カテーテルは、取付具を通って気管チューブに下方に前進し、吸引を可能にすることができる。可撓性外被が2つの結合具間に伸び、外被を通して操作され得るようにカテーテルを封入する。前方向結合具内のワイパーシールが、換気システムからの気体が外被を膨張させることを防止する。
【0089】
いくつかのアセンブリでは、その患者側の端部が前方向結合具内に引っ込められた後にカテーテルをきれいにするための準備がなされる。手動操作可能な弁がワイパーシールの前方に置かれ、弁とワイパーシールとの間に清澄化チャンバを提供する。灌注ポートがこのチャンバへと開き、その結果生理食塩水がそれに供給され得、これは、次いで、空洞内に収集される物質を除去するために適用される吸引によってカテーテルの空洞に沿って引かれる。
【0090】
2本またはそれを上回る内部カテーテルが提供される上記の実施形態によると、各内部カテーテルは、他の内部カテーテルから独立して摺動可能であり得る。例えば、第1の内部カテーテルがカテーテルシステムまたは気管内チューブから伸びる程度は、第2の内部カテーテルが伸びる程度から独立して調整されることができる。これは、左もしくは右の気管支、または気管支の一方の中の内腔を独立して標的にすることを可能にし得る。一実施形態では、
図25に示されるように、2本またはそれを上回る内部カテーテルの少なくとも一部分が潤滑性スリーブ162内に収容され得る。潤滑性スリーブ162は、内部カテーテルのうちの1本またはそれを上回るものの、使用中のカテーテルシステムの中および/または外の摺動を容易にすることに役立つことができる。潤滑性スリーブ162は、内部カテーテルが二重内腔スリーブの異なる内腔内に別々に収容される潤滑性の二重内腔スリーブであり得る。二重内腔構成では、潤滑性スリーブ162は、例えば、二重内腔スリーブの一方の内腔内の1本の内部カテーテルの位置が、二重内腔スリーブの他方の内腔内の別の内部カテーテルの位置に干渉することなく調整されることを可能にし得る。
【0091】
図26Aは、本発明の一実施形態によるカテーテル200を示す。カテーテル200は、近位端203と、予め形成された湾曲部を含み得る遠位端205と、近位端および遠位端203、205間に延在する細長い本体207とを有する。
図26Aに示される実施形態では、遠位端205は、2つの湾曲部を備える複合湾曲部を有し、一方の湾曲部がr′の曲率半径を有し、他方の湾曲部がr′′の曲率半径を有する。
【0092】
図26Bは、本発明の一実施形態によるカテーテル200の遠位端を示す。カテーテル200は、予め形成された湾曲部202を含む。好ましい実施形態では、予め形成された湾曲部202は、第1の湾曲部204および第2の湾曲部206を含み、それらの実施例は、
図26Bに示されるが、実施形態はこの構成に限定されず、1つまたはそれを上回る湾曲部を含み得る。予め形成された湾曲部202は、上記のものに対応する曲率半径を有し得る。カテーテル200は、第1の開口部208と、第2の開口部210と、第3の開口部212とを含み得る。第1、第2、および第3の開口部208、210、および212のそれぞれは、カテーテル200内の別々の内腔に対応する(
図26Bには示されないが、3つの内腔を含むカテーテル200の断面を示す
図27および
図30B参照)。例えば、開口部208は、第1の内腔226に対して開口している(
図30B参照)。しかしながら、第1の内腔226は、以下にさらに記載されるように、いくつかの実施形態では、3つの開口部208a、208b、および208cを含む、複数の開口部を備え得る(例えば、
図34A−34F参照)。
【0093】
上記のように、各内腔は、複数の機能を実行するように構成され得る。一実施形態では、第1の開口部208は、吸引機能を実行するように構成され得る。さらに、第2および第3の開口部210および212は、吸引、または、例えば、灌流等の他の機能を実行し得る。カテーテル200の遠位先端部201に対する、相互に対する各開口部の場所は、本発明の実施形態によるある特定の利点を有し得る。例えば、吸引を実行する開口部と灌注を実行する開口部とが相互に近すぎる場合、灌注孔を出る流体は、吸引を実行する開口部によって直ちに取り込まれ得、これは、灌注および/または吸引の効果を最低限に抑える場合がある。灌注のために使用される流体が、例えば、解剖学的構造の十分な部分を洗浄する前に吸引される場合、灌注機能が悪影響を受ける場合がある。しかしながら、それぞれの開口部間に十分な間隔があると、灌注開口部からの流体が吸引される前に解剖学的構造のより大きな領域を洗浄することを可能にすることによって、この悪影響は、低減または最低限に抑えられ得る。カテーテル200の長さに沿って開口部208、210、および212を千鳥状にすることの追加の利点は、その部分のいずれか1つの小部分における開口部の数が減少することである。例えば、
図26Fでは、開口部210および212は、カテーテル200に沿って異なる点に位置付けられている。これは、カテーテルの構造統合性を上昇させ、カテーテルが使用中にもつれる機会を減少させ得る。
【0094】
したがって、いくつかの実施形態では、開口部208aは遠位先端部201から距離d
1であり得、開口部210は開口部208aから距離d
2であり得、開口部212は開口部210から距離d
3であり得、距離d
1、d
2、およびd
3は、x軸に平行な方向で測定される線寸法である(
図26E参照)。x軸は、カテーテル200の細長い本体の長手方向軸(線L
2に対応する)に平行であり得る。遠位端の曲率に起因して、d
1、d
2、およびd
3の値が、開口部間の種々の垂直の距離(すなわち、y軸に平行な)をもたらし得ることも理解される。さらに、d
1、d
2、およびd
3の値は、y方向における異なる間隔をもたらしつつ、異なる曲率のカテーテル全体で一定であり得、その逆も同様である。一実施例では、d
1は約7mmであり得、d
2は約5mmであり得、d
3は約15mmであり得る。上記の説明では、d
1は、遠位先端部201と開口部208aとの間の距離と見なされる。開口部208bと遠位先端部201との間の距離はまた、d
1であり得るか、または異なる距離であり得る。
【0095】
例えば、
図26Eに示されるように、開口部208、210、および212の千鳥状の間隔に加えて、開口部208、210、および212の方向もまた変化し得る。例えば、
図26Eを参照すると、開口部208はz軸に平行な方向に面するが、開口部210および212は両方とも、開口部208の方向とは異なる方向に面する。さらに、開口部210および212は、相互に実質的に反対の方向に面することができる。例えば、
図26Eでは、開口部210は、y軸に平行な線に対して角度γ
1である方向a
1に面する。対照的に、開口部212は、y軸に平行な線に対して角度γ
2である方向a
2に面する。いくつかの実施形態によると、γ
1およびγ
2の大きさは、実質的に等しくてもよいが、他の実施形態によると、それらの大きさは、異なってもよい。例えば、γ
1およびγ
2は、少なくとも部分的に、カテーテル200の複合湾曲部の各湾曲した部分における屈率の量によって、ならびに各湾曲した部分の長さに沿った各開口部210、212の場所によって決定され得る。さらに、開口部210および212を、異なる方向、おそらく、いくつかの実施形態では、実質的に反対の方向に向けることによって、治療剤の灌注または分配は、必要に応じて、いずれかの方向に、または解剖学的構造のより大きな領域もしくは体積を治療にするために、両方の方向に、方向付けられ得る。
【0096】
図26Eはまた、遠位先端部201が、x軸に平行な線(L
1)に対して角度θでわずかに上方に湾曲し得ることを示す。参照のため、線L
2は、カテーテルの長手方向軸に対応し、線L
2は、x軸およびL
1に平行であるように示される。遠位先端部201のこの構成は、曲折部の複合湾曲部とともに、カテーテル200が送達カテーテルのマーフィー孔を通じて相対的に妨害されない様式で押されることに役立つことができる。遠位先端部201は、第1の内腔226への開口部208cを有してもよく、斜角縁を有する。斜角縁は組織への外傷を最低限に抑える場合があり、かつ/または押出成形の第2および第3の内腔228、230を閉鎖するときに形成され得る。もしくは、開口部がないように、遠位先端部201が閉鎖されてもよい。
【0097】
さらに、開口部208、210、および212の方向および場所は、カテーテル200の特定の表面に対して指定されることができる。例えば、
図26B−26Fでは、開口部208は、カテーテル200の湾曲面216上に形成される。他の実施形態では、開口部208は、平坦面214上に形成され得る(
図26F参照)。
【0098】
図26B−26Fにおける開口部208、210および212の間隔は、一実施形態の一実施例であるが、本発明の実施形態は、示される間隔に限定されない。開口部208、210、および212は、例えば、より大きいもしくはより小さい間隔を有し、かつ/またはカテーテルから示される方向と異なる方向に面し得る。3つの開口部208、210、および212が
図26B−26Fに示されるが、本発明の種々の実施形態によると、より多いまたはより少ない開口部が存在してもよい。
【0099】
予め形成された湾曲部202に対する開口部208、210、および212の設置も、ある特定の利点を有し得る。例えば、
図26Bにおける第2および第3の孔210および212は、それぞれ、第1および第2の湾曲部204および206の内側湾曲部上にそれぞれ形成される。この配置は、孔204および206が使用中に患者の組織と直接接触して設置される可能性を低減させることによって、患者の解剖学的構造を保護し得る。例えば、組織は、孔の縁が組織を擦り取ることによって外傷を受ける場合がある。しかしながら、湾曲部204、206の内側に第2および第3の開口部210および212を位置付けることは、開口部210、212が組織を擦り取る可能性を減少させる。したがって、開口縁の擦れに起因する問題への外傷は、低減される。さらに、組織に対して直接的な流体流入(すなわち、吸引)または流体流出が低減され得、これは、組織への外傷も低減させ得る。
【0100】
さらに、予め形成された湾曲部202の遠位に第1の開口部208を位置付けること(すなわち、第1の開口部208と遠位先端部201との間の距離を縮小すること)は、例えば、吸引の間の、第1の開口部208におけるモーメントを低減させ得、したがって、カテーテルの崩壊の可能性が低減される。遠位先端部201は、非侵襲的であるように、斜角縁または折り畳まれた縁を有し得る。
図27は、本発明の一実施形態によるカテーテル200の断面を示す。
図27における断面の全体的な形状は、法線Nを備える平坦な第1の側面214と、湾曲している第2の側面216とを有する、D字形である。しかしながら、実施形態は、この特定の形状に限定されない。例えば、いくつかの実施形態は、平坦な第1の側面を有し得るが、平坦な側面と反対の側面は湾曲しているか(
図27のように、もしくは異なる湾曲部で)、または平坦であってもよい。一実施形態では、断面は、比較的平坦で実質的に長方形の「定規」形状を有する。断面の種々の側面の寸法は、例えば、極慣性モーメントまたは他の特性を変更することによって、いくつかの実施形態によるカテーテルの応答(すなわち、「二値応答」)に影響を及ぼすことができる。例えば、
図27に示されるように、断面は、幅w
1と、高さh
1と、湾曲した側面および平坦な側面216、214間の半径R
1とを有する、湾曲した移行部を有し得る。カテーテル断面は、幅w
2と、高さh
2と、半径R
3とを有する、湾曲した部分を有する一次内腔を有してもよい。二次内腔は、d
1の距離で一次内腔から離間してよく、R
2の半径を有し得る。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態は、気管内チューブ等の送達内腔にカテーテルを通過させることによって患者の体内腔へと挿入され得るカテーテルを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、カテーテルと送達内腔との間に接触があり得、しかもその接触は、カテーテルの遠位端の二値応答をもたらすか、またはそれに寄与し得る。
図28A−28Eは、いくつかの実施形態による気管内チューブ218内に挿入される間のカテーテル200の概略図を示す。カテーテル200および気管内チューブ218の屈曲は、体内腔の解剖学的構造に左右される。例えば、カテーテル200は、気管内チューブ218を通して挿入されるとき湾曲するように、十分に可撓性である。気管内チューブ218は、
図28Aに示されるように、第1の壁220と、第2の壁222とを有すると見なされ得る。本発明の実施形態によると、カテーテル200が気管内チューブ218内に設置されるとき、カテーテルの第1の壁214は、気管内チューブの第1の壁220と接触し得、カテーテルの第2の壁216は、気管内チューブの第2の壁222と接触し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、カテーテル200の第1および第2の壁214、216の一方のみが気管内チューブの壁と接触し得る。
図28Aにおけるカテーテル200の配向は、カテーテルの第1の配向と見なされ得る。気管内チューブ218内に挿入しながらカテーテル200の長手方向軸を中心にしてカテーテル200を近位端において回転させることによって、カテーテル200は、カテーテルの第1の壁214が気管内チューブの第2の壁222と接触または面しており、かつカテーテルの第2の壁216が気管内チューブの第1の壁220と接触または面している第2の配向を達成し得る(例えば、
図28E参照)。カテーテル200と気管内チューブ218との間の接触の点は、
図28A−28Eにおいて、a、b、およびcによって示される。
図28A−28Eは、種々の実施形態によるカテーテル200と気管内チューブ218との間で可能性がある接点の種々の組み合わせを示す。
【0102】
例えば、
図28Aでは、カテーテル200の一方の側面(例えば、図示の平坦な側面214、しかし、いくつかの実施形態では、カテーテル200のいずれかの側面がいずれかの方向に面している場合がある)が気管内チューブ218の1つの点b1に接しており、他方の側面(例えば、図示の湾曲した側面)が気管内チューブ218の2つの点a
1およびc
1に接している。しかしながら、カテーテル200の特性および気管内チューブ218の屈曲または患者の解剖学的構造に応じて、いくつかの配置によると、カテーテル200は、気管内チューブと接触し得る。例えば、
図28Bでは、カテーテル200の一方の側面は、気管内チューブ218に接していないが、カテーテルの他方の側面は、2つの接点a
2およびb
2で接している。
図28Cでは、カテーテルの第1の側面上に1つの接点a
3があるが、第2の側面上に接点はなく、一方で
図28Dでは、第1の側面上に接点はなく、第2の側面上に1つの接点a
4がある。最後に、さらに別の実施例として、カテーテルの第1の側面上に2つの接点a
5、c
5があり、第2の側面上に1つの接点b
5がある。いくつかの実施形態では、カテーテルが第1の配向にある場合、カテーテルは、
図28A−28Eのうちの1つからの構成を有し得、第2の配向に対して180°回転される場合、カテーテルは、
図28A−28Eからの他の構成のうちの1つまたは同じ構成を有し得る。これらの構成は、いくつかの実施形態の実施例であるが、本発明の実施形態はこれらの構成に限定されない。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態は、上記の種々の特徴に起因して、本明細書に記載の特徴の独特の組み合わせに起因する使用中の独特かつ有利な応答を示す。この応答を有するカテーテルの一実施形態は、
図29A−29Eに示される。具体的には、患者の体内腔へと挿入されるとき、カテーテルは、第1の配向にあり得る(例えば、
図29A)。カテーテルの近位端の回転は、次いで、カテーテルの遠位端における二値応答を生じさせ得る。本明細書において使用される「二値応答」とは、いずれの所定の時点においてもカテーテルの遠位端が2つの静止配向のうちの1つにあるようなカテーテルの遠位端の2つの静止位置または配向が可能であることを意味する。より具体的には、患者の体内腔へと挿入されるとき(場合により気管内チューブ等の送達内腔を通すことを含む)、カテーテルの近位端は、カテーテルの操作者によって第1の配向(例えば、
図29A)から第2の配向(例えば、
図29C)へと回転され得る。カテーテルの近位端における回転の程度α
1の範囲にわたって、カテーテルの遠位端は、実質的に回転することなく、第1の配向に留まる(
図28Bおよび
図28D参照)。しかしながら、近位端において所定の回転の程度α
2を達成する際に、カテーテルの遠位端は、第1の配向から第2の配向へと「反転する」ことによって応答する(例えば、
図29Cおよび
図29E参照)。遠位端の第2の配向は、遠位端の第1の配向からおよそ180°の回転であり得る。近位端がある範囲の回転の程度で回転する一方で、遠位端が1つの配向に留まるため、遠位端の反転の前にカテーテルの細長い本体のいくらかの捩れが生じるであろう。この捩れは、例えば、
図29Bおよび29Dに示される。例えば、
図29Bおよび29Dは、それぞれ、カテーテルの両方の側面s
1およびs
2を示す。s
1およびs
2は、カテーテルの異なるまたは向かい合う側面であるため、これらの図における両方の側面s
1、s
2の可視性は、カテーテルの捩れを示す。
図29Bおよび29Dに示される捩れは、捩れが生じることを象徴的に示すものでしかなく、これらの実施形態によるカテーテルの使用中の捩れの実際の外観を代表しない場合がある。いくつかの実施形態によると、カテーテルの遠位端においてこの応答を達成するために、カテーテルの近位端において必要な回転は、少なくとも90°である。他の実施形態によると、近位端において必要な回転は、少なくとも135°、または少なくとも150°、またはおよそ180°である。カテーテルの遠位端の「反転」は、ある範囲の度合でカテーテルが通り得ることを意味するが、遠位端は、それにもかかわらず、2つの静止配向のみを有し得る。したがって、「反転」は、上記の「二値応答」と矛盾しない。
【0104】
上記の反転によると、第1の配向から引き出され、かつ反転を達成するには十分でない度合に捩れる、または回転されるカテーテルの近位端は、適用されるトルクが除去されると、第1の配向に戻る近位端をもたらすであろう。カテーテルの1:1のトルク能力に起因して、カテーテルの操作者は、近位端の配向に基づいて遠位端の配向を把握するであろう。したがって、本実施例では、近位端の第1の配向への復帰は、反転が生じておらず、しかも遠位端の配向が近位端の配向に対応することを操作者に示すであろう。対照的に、近位端におけるトルクが反転を生じさせるために十分な度合の捩れまたは回転を生じさせる場合、遠位端はその第2の配向(例えば、その第1の配向からおよそ180°)に反転するであろう。遠位端がその第2の配向にあると、近位端も、もはや第2の配向にないとすれば、近位端におけるトルクがもはや適用されない場合、その第2の配向に動くであろう(1:1のトルク能力に起因して遠位端の第2の配向に対応する)。
【0105】
本発明の実施形態によると、カテーテルの遠位端の二値応答に寄与する要因は、カテーテル断面(1つの実質的に平坦な側面を含む)、カテーテルの構造的寸法(壁厚、カテーテルの長さ、内腔構成、および他の特徴を含む)、カテーテル材料の材料特性(硬度、剛性/捩り剛性、弾性率、最終および降伏引張強度を含む)、ならびにカテーテル材料の組成を含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態によると、上記の二値応答を達成することが可能なカテーテルはまた、患者の体内腔へと挿入されないとき、1:1のトルク能力を示し得る。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態によると、上記のように、そして例えば、
図26Bおよび31A−31Cに示されるように、予め形成された湾曲部を有する二値応答カテーテルが提供される。予め形成された湾曲部は、カテーテルの遠位端が第1の配向にある場合、そのカテーテルが左および右の気管支の一方に向けて湾曲し得るように、形成され得る。二値応答に従ってカテーテルの遠位端が第2の配向に反転するとき、遠位端は、次いで、左および右の気管支の他方に向けて湾曲し得る。したがって、予め形成された湾曲部の方向と、第1および第2の配向の二値応答カテーテルの遠位端の配向との間に関係がある。したがって、左および右の気管支の一方におけるカテーテルの遠位端のより確かな設置ならびに左および右の気管支間の遠位端の容易かつ確実な切り替えを可能にするカテーテルが提供され得る。
【0108】
図30Aは、カテーテル200の底面図を示し、
図30Bは、
図30Aの線A−Aに沿って見たカテーテル200の断面図を示す。いくつかの実施形態によると、カテーテル200は、第1の内腔226、第2の内腔228、および第3の内腔230を含み得る。
図30Aの底面図から、湾曲面216上に一次内腔124の開口部208aを見ることができ、そして三次内腔160の開口部212を見ることができる。
図30Bの断面図から、第1、第2、および第3の内腔226、228、および230のそれぞれは明りょうに見える。
図30Bでは第1の内腔226の開口部208bおよび208cもまた見え、開口部208bは、カテーテル200の平坦な側面214上にある。示される実施形態では、押出成形の製造における容易さに起因して、第2および第3の内腔228および230は、実質的にカテーテル200の全長に沿って延在する。開口部210および212は、それぞれ、第2および第3の内腔228、230上で、これらの内腔に隣接するカテーテル200の壁を削ぐか、または開口することによって開口される。第2および第3の内腔228、230は、例えば、先端部をつまむか、または折り畳むことによって、カテーテルの先端部の近傍で閉鎖される。したがって、開口部208cのみが、カテーテル200の端部先端部201上で開口する。
【0109】
本カテーテルの予め形成された湾曲部はまた、例えば、送達カテーテルまたは気管内チューブの遠位端上に見出され得るマーフィー孔を通して、カテーテルの遠位端を成功裏に操縦する利点を有する。したがって、本カテーテルは、例えば、カテーテル上の開口部またはカテーテルの先端部がマーフィー孔の構造と接触するときマーフィー孔によって妨害され得る、既知のカテーテルに優る改善された有用性を有し得る。
図32A−32Eは、マーフィー孔224を通過する、本発明の一実施形態による予め形成された湾曲部を備えるカテーテル200の一実施例を示す。
図32A−32Eにおける左から右への位置の連続から、カテーテルの位置の前進を見ることができる。複合湾曲部の内部湾曲部上に開口部210および212を位置付けることによって、カテーテル200は、より容易にマーフィー孔の先に摺動することができる。例えば、本発明の実施形態におけるカテーテルの屈曲に起因して、開口部210および212の縁がマーフィー孔と擦れ合うことが防止され得る。いくつかの実施形態では、複合湾曲部の外部湾曲部のみが、マーフィー孔の構造に対して摺動する場合がある。
【0110】
図33A−33Dは、本発明の一実施形態によるカテーテル200の遠位端の4つの斜視図を示す。
図33Aは、ペ−ジ外の法線ベクトルを有する平坦な側面214および開口部208bを有するカテーテル200の底面図である。
図33Bは、湾曲した側面216への開口部212および開口部208aと、平坦な側面214との関係を示す側面図である。
図33Cは、湾曲した側面216、開口部208a、ならびに、それぞれ、遠位先端部201と開口部208aとの間、開口部208aと210との間、開口部210と212との間の距離d
1、d
2、およびd
3を有するカテーテルの上面図を示す。距離d
4は、遠位先端部201(開口部208cを備える)と開口部212との間の距離である。
図33Dは、本カテーテルの遠位端の正面図であり、遠位先端部201および開口部208cならびに平坦な側面214の法線ベクトルNを示す。上記の特徴に加えて、
図33A−33Dはまた、一実施形態におけるカテーテルの予め形成された湾曲部に対する開口部210と212との間の関係を図示する。例えば、開口部210および212は、それぞれ、予め形成された湾曲部の湾曲した部分の内部湾曲部上に形成される。さらに、
図33A−33Dは、一実施形態による平坦な側面214と予め形成された湾曲部の方向との間の関係を図示する。例えば、
図33Aのペ−ジ外に向けられた平坦な側面214の法線ベクトルを用いて、予め形成された湾曲部は、カテーテルをページの上部(示される水平図において)に向けて湾曲させる。したがって、湾曲部の方向は、平坦な側面214の法線ベクトルに直交する。
【0111】
図34A−34Fは、一実施形態によるカテーテルの種々の等角図を示す。
図34A−34Fに示されるように、平坦な側面214および湾曲した側面216の両方が開口部2108a、208bを有し得る。上記のように、開口部208aおよび208bは、吸引のために第1の内腔226に対して開口してもよい。さらに、
図34B−34Fに示される開口部208cも、第1の内腔226に対して開口することができる。本実施形態では、開口部210および212は、それぞれ、予め形成された湾曲部の内部湾曲部上に形成される。
【0112】
いくつかの本発明の実施形態は、患者の体内腔への挿入のためのカテーテルを含み得る。本カテーテルは、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、細長い本体とを含み得る。細長い本体は近位端と遠位端との間に延在し得、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、平坦な第1の側面を含む、断面を有し得る。細長い本体は、第1の側面から断面の反対側にある第2の側面を含んでもよい。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含んでもよい。細長い本体は、遠位端の近傍の予め形成された湾曲部を含み得る。もしくは、細長い本体は、複数の予め形成された湾曲部、すなわち、複合湾曲部を備えてもよい。遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、本カテーテルが第1の配向にある場合、断面の第1の側面は、本カテーテルの送達内腔(例えば、気管内チューブ)の第1の内部側面と接触し得、本カテーテルが第2の配向にある場合、断面の第2の側面は、本カテーテルの送達内腔の第1の内部側面と接触し得る。いくつかの実施形態では、第2の配向は、第1の配向に対して細長い本体の長手方向軸を中心とした本カテーテルの180°回転であり得る。本発明の実施形態は、例えば、5mm〜8mmの直径を含む、種々の直径の気管内チューブを含むか、またはそれとともに使用され得る。
【0113】
いくつかの実施形態によると、予め形成された湾曲部の湾曲方向(
図26Cおよび26Dの矢印参照)は、断面の平坦な側面の法線方向Nに対して90°である。例えば、
図26Dでは、平坦な側面214の法線ベクトルNはz軸の方向にあり(すなわち、ページから外に出ており)、湾曲方向(矢印によって示される)は負のy方向にある。また、比較のために、
図26Cは、湾曲した側面216が見えるるカテーテルの別の図を示す。したがって、
図26Cでは、平坦な側面214の法線ベクトルN(図示せず)は、負のz方向にあることになる(すなわち、ページの中に向けられる)。湾曲方向(
図26Cの矢印によって示される)は、負のy方向にある。カテーテルの表面の配向と湾曲の方向との間のこの関係は、左および右の気管支のいずれかにおいてカテーテルの遠位端を容易に位置付けるために望ましい二値応答を達成することができる。
【0114】
いくつかの実施形態によると、カテーテルの断面の第2の側面は、湾曲している。例えば、断面は、D字形であり得る。もしくは、第2の側面は、平坦であってもよい。
【0115】
本カテーテルはまた、カテーテルの遠位端の予め形成された湾曲部の湾曲方向を指示する近位端上の湾曲方向指示器を含んでもよい。したがって、カテーテルの操作者は、カテーテルの遠位端が配設される方向を確認することができる。湾曲方向指示器は、カテーテルの近位端上のコネクタまたはコネクタの一部であり得る。コネクタは、中央接続部と、中央接続部から延在する側部接続部とを含み得、側部接続部が延在する方向は、予め形成された湾曲部の湾曲方向に対応する。例えば、カテーテルの長手方向軸からある角度で延在する呼吸ポートが、湾曲方向指示器としての役割を果たし得る。
【0116】
本カテーテルの湾曲部および第1の側面は、遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、湾曲部が、第1の配向では、患者の左気管支および右気管支の一方に向けて、第2の配向では、患者の左気管支および右気管支の他方に向けて細長い本体を方向付けるように、配置される。本カテーテルは、遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、遠位端が、0°から第1の所定の角度までの近位端の回転の範囲内で左気管支および右気管支の一方に向けて配設されたまま留まるような、捩り剛性を有し得る。近位端の回転角度は、例えば、第1および第2の配向の一方に対するものである。本カテーテルの遠位端は、近位端の第1の所定の角度と第2の所定の角度との間で、左および右の気管支の他方に向けて配設され得る。いくつかの実施形態では、第1の所定の角度は、少なくとも90°であり、第2の所定の角度は、少なくとも180°である。しかしながら、第1の所定の角度は、約180°であり得、第2の所定の角度は、約360°であり得る。もしくは、一実施形態では、第1の所定の角度は、約90°であり得、第2の所定の角度は、約270°であり得る。さらに別の実施形態では、第1の所定の角度は、約150°であり得、第2の所定の角度は、約210°であり得る。
【0117】
本発明の別の実施形態によると、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを有する、患者の体内腔への挿入のためのカテーテルが提供される。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む、断面を有し得る。さらに、細長い本体は、カテーテルの遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有し得る。さらに、本カテーテルは、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含み得る。細長い本体は、使用時に外部カテーテルの送達内腔を通して挿入され得る。遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、患者の左気管支および右気管支の一方に向けて遠位端が導かれ得る。遠位端は、近位端が所定の回転角度に達するまで、細長い本体の長手方向軸を中心とした近位端の回転の間に左および右の気管支の一方に向いたまま留まり、その時点で遠位端が左気管支および右気管支の他方に反転する。所定の角度は、少なくとも90°であり得、約180°であり得る。
【0118】
本カテーテルは、左気管支および右気管支の一方に向かって遠位端を方向付ける遠位端の近傍の予め形成された湾曲部を含み得る。予め形成された湾曲部は、複合湾曲部であり得る。例えば、異なる曲率を有する2つの湾曲した部分が存在し得る。カテーテルの遠位端が患者の体内腔へと挿入されるとき、カテーテルが第1の配向にある場合、実質的に平坦な部分は、送達内腔の第1の内部側面と接触し得る。さらに、カテーテルが第2の配向にある場合、実質的に平坦な部分は、送達内腔の第1の内部側面と接触しない場合がある。いくつかの実施形態では、第2の配向にある場合、実質的に平坦な部分は、送達内腔の第2の内部側面と接触し得る。カテーテルの遠位端は、第1の配向では、左気管支および右気管支の一方に向けて、第2の配向では、左および右の気管支の他方に向けて方向付けられ得る。カテーテルの実質的に平坦な部分は、第1の配向において1点のみで送達内腔の第1の内部側面と接触し得、第1および第2の配向のうちの少なくとも1つにおいて2点のみで送達内腔の第1の内部側面と接触し得る。
【0119】
本カテーテルは、例えば、Kynar Flex(登録商標)コポリマーシリーズからのポリマーを含む、コポリマー材料を含み得る。一実施形態の一実施例では、ポリマーは、Kynar Flex 2500−20医療グレードである。しかしながら、例えばKynar RX 752およびPebax 53/60/70/72Dを含む、他の代替的な材料または均等物もまた使用され得る。
【0120】
本発明の別の実施形態によると、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含む、カテーテルが提供される。細長い本体は、遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有し得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する少なくとも1つの内腔を含んでもよい。本実施形態によると、本カテーテルは、細長い本体が外部カテーテルの送達内腔へと挿入されるとき、カテーテルの長手方向軸を中心とした近位端の回転の間に遠位端が第1の静止配向および第2の静止配向の一方に留まるような、捩り剛性を有し得る。カテーテルの遠位端は、カテーテルの近位端の90°を超える回転によって第1の静止配向に留まり得、近位端が約180°回転するとき、第1の静止配向から第2の静止配向へと変化し得る。
【0121】
本発明の別の実施形態によると、患者の体内腔内のカテーテルを配向する方法が提供される。本方法は、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含み得るカテーテルを提供するステップを含み得る。本方法はまた、患者の体内腔への挿入のため、ならびにカテーテルの遠位端を受けるために適合される外部カテーテルを提供するステップを含んでもよい。本方法は、外部カテーテルを通して患者の体内腔へとカテーテルを挿入するステップと、カテーテルの近位端を第1の配向に回転によって配向するステップとをさらに含み得る。第1の配向では、カテーテルの遠位端は、患者の左気管支および右気管支の一方に向って方向付けられ得る。さらに、本方法は、カテーテルの近位端を第2の配向に回転させることによってカテーテルの遠位端の方向を変更するステップを含み得る。第2の配向は、第1の配向に対して近位端の実質的に180°の回転であり得る。カテーテルの遠位端は、近位端が第2の配向にある場合、左および右の気管支の他方に向って方向付けられ得る。
【0122】
本発明の別の実施形態によると、患者の体内腔への挿入のために構成される遠位端と、近位端と、近位端と遠位端との間に延在する細長い本体とを含み得るカテーテルが提供される。細長い本体は、細長い本体の少なくとも一部分にわたって、実質的に平坦な部分を含む断面を有し得る。本カテーテルはまた、細長い本体を通って近位端から遠位端まで延在する内腔を含んでもよい。本発明は、単一内腔に限定されず、実施形態は、例えば、2つ、3つ、またはそれを上回る内腔を含む、複数の内腔を含み得る。本カテーテルはまた、細長い本体の遠位端の近傍の予め形成された湾曲部を含んでもよい。いくつかの実施形態は、1つを上回る予め形成された湾曲部、すなわち、複合湾曲部を有し得る。少なくとも1つの予め形成された湾曲部は、カテーテル200の平坦な側面214の法線方向Nに直交する方向にカテーテルを湾曲させる(
図26C、26D、および26F参照)。カテーテルの細長い本体は、遠位端と近位端との間で1:1のトルク能力比を有し得る。カテーテルの遠位端は、近位端が所定の回転角度に達するまで、細長い本体の長手方向軸を中心とした近位端の回転の間に患者の左気管支および右気管支の一方に向いたまま留まり得る。所定の回転角度に達すると、カテーテルの遠位端は左気管支および右気管支の他方に反転する。
【0123】
複数の内腔が提供される場合、カテーテルの遠位端の近傍の第1の開口部を有する第1の内腔、およびカテーテルの遠位端の近傍の第2の開口部を有する第2の内腔が存在し得る。第2の開口部は、第1の開口部が第2の開口部に遠位に配設されるように、第1の開口部から離間することができる。第2の開口部は、例えば、少なくとも1つの予め形成された湾曲部の湾曲部の内側に配設され得る。
【0124】
前述の説明は、2本のカテーテルを備えるいくつかの実施形態および単一カテーテルを備えるいくつかの実施形態を含むが、上記の実施形態のうちのいずれか1つの特徴は、1本または2本のいずれかのカテーテルを有する実施形態に適用し得る。
【0125】
実装は、開放システムおよび閉鎖システムの両方を含む。閉鎖システムは、分泌物および/または粘液がシステム内に包含され得るシステムを含み得る。閉鎖システムは、例えば、
図19−24を参照して示され、説明される。開放システムは、閉鎖されておらず、操作者は、分泌物および/または粘液に暴露され得る。開放システムは、例えば、
図15Dを参照して示され、説明される。開放システムでは、分泌物袋は、典型的には、使用されないが、開放システムで分泌物袋が使用され得ることも企図される。
【0126】
前述の説明は、本発明の好ましい実施形態を対象とするが、他の変形および修正も当業者に明らかとなり、かつ本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく行われ得ることに留意されたい。さらに、本発明の一実施形態に関連して説明された特徴は、たとえ上記に明示されていなくても、他の実施形態と併せて使用され得る。
【国際調査報告】