特表2016-512768(P2016-512768A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-512768(P2016-512768A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20160404BHJP
【FI】
   A47J27/00 103N
   A47J27/00 103H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-503524(P2016-503524)
(86)(22)【出願日】2014年1月24日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月17日
(86)【国際出願番号】CN2014071368
(87)【国際公開番号】WO2014146515
(87)【国際公開日】20140925
(31)【優先権主張番号】201320132906.X
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515264436
【氏名又は名称】ゼァージアン スーポア エレクトリカル アプライアンス マニュファクチャリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュン ホアン
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA26
4B055BA63
4B055CA09
4B055CA24
4B055CB02
4B055CB03
(57)【要約】
内釜(30)と内蓋(10)とを含み、内蓋(10)が内釜(30)の開口部を被覆する電気炊飯器が提供される。内蓋(10)の内面の少なくとも一部が、内釜(30)から離れる方向に突出し、そして、内釜(30)の内面の少なくとも一部が、外向きに突出する形状を有している。内釜(30)の内面の少なくとも一部は、熱気流の流れを循環させるために好適な形状であり、内蓋(10)の内面の少なくとも一部は、熱気流の流れを循環させるために好適な形状であり、したがって、内釜(30)と内蓋(10)とが協働して画成された空間内に渦気流を形成し、より効果的に循環する熱対流を生成し、釜内での加熱をより均一にするのに好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜(30)及び内蓋(10)を含み、内蓋(10)が内釜(30)の開口部を被覆する電気炊飯器であって、
内蓋(10)の内面の少なくとも一部が内釜(30)から離れる方向へ突出し、
内釜(30)の内面の少なくとも一部が、外向きに突出する形状を有していることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気炊飯器であって、
内蓋(10)の内面の前記少なくとも一部の前記突出部は、内蓋(10)の中央上部に形成されていることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
請求項1に記載の電気炊飯器であって、
内蓋(10)の内面の全体が、内釜(30)から離れる方向へ突出していることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項4】
請求項3に記載の電気炊飯器であって、
内蓋(10)の内面は、第1回転母線と第1回転軸とを有する第1回転面であることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項5】
請求項4に記載の電気炊飯器であって、
第1回転母線は、第1回転軸上に位置する第1円中心を有する円弧であることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項6】
請求項5に記載の電気炊飯器であって、
内釜(30)の内面が、第2回転母線と第2回転軸とを有する第2回転面であり、第1回転軸と第2回転軸とが一致していることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項7】
請求項6に記載の電気炊飯器であって、
第2回転母線は、内釜(30)の側壁内面を形成するための側壁湾曲セグメントを含み、
側壁湾曲セグメントの最大曲率半径が、側壁内面の最大緯度円半径よりも小さいことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項8】
請求項7に記載の電気炊飯器であって、
側壁湾曲セグメントは、側壁円弧半径(r)と第2円中心(x)とを有する側壁弧状セグメント(32)であり、
第2円中心(x)と第2回転軸(o)との間の垂直距離はゼロよりも大きく、
第2円中心(x)と側壁円弧セグメント(32)は、第2回転軸(o)の同じ側に配置されていることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項9】
請求項6に記載の電気炊飯器であって、
第2回転母線は、内釜(30)の側壁内面を形成するための側壁弧状セグメントを含み、
側壁弧状セグメントは第3円中心を有し、
第3円中心と第2回転軸(o)との間の垂直距離はゼロに等しいことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項10】
請求項9に記載の電気炊飯器であって、
第1円中心と第三円中心とが一致していることを特徴とする電気炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式または電磁加熱式の調理器の分野に関し、特に電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気炊飯器は、通常、内釜と内蓋とを有する。内釜は、米と水などの調理材料を収容するために使用され、内釜は、加熱プレート又はコイルパネルなどの加熱要素と協働し、それによってその中に収容される調理材料を加熱する。調理中に内釜を閉じて内釜内の蒸気が逃げるのを防止するように、内蓋は、内釜の上部に位置する開口部を被覆するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国出願公開1498572号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、市場で入手可能な電気炊飯器の内蓋は、すべて平面型である。特許文献1に記載の炊飯器と同様の構造を有する炊飯器は、すでに知られている。図1に示されるように、このような電気炊飯器は、内蓋1と内釜3とを備えている。内蓋1は、平面型であり、内釜3の上部開口を被覆する。内釜3は、適切な量の、米や水などの調理材料4を収容する。調理材料4を加熱するための熱を得るために、内釜3の底面は、加熱プレート5に接触している。調理中には、加熱プレート5により提供される熱は、内釜3とその中の調理材料4とに伝達され、また、熱気流2が内釜3内で上昇し、内蓋1によって妨害される。図1に示される電気炊飯器の構造では、内蓋1が平面型であること、および内釜3の側壁内面が直線状(rectilinear)であることから、内釜3内の上昇する熱気流2が妨害され、内釜3内での効果的な循環流を形成することができず、内釜3内の不均一な加熱が生じ、調理効果に影響を与えてしまう。したがって、従来技術の上記の欠点を克服しつつ、これを改善することが必要である。
【0005】
本発明の主たる目的は、内釜内の温度がより均一になるように、内釜内の熱気流の循環する流れを促進する電気炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に従って提供される電気炊飯器は、内釜と内蓋とを備えており、内蓋が内釜の開口部を被覆し、かつ内蓋の内面の少なくとも一部が、内釜から離れる方向へ突出し、かつ、内釜の内面の少なくとも一部が外側に突出する形状を有している。
【0007】
別の態様によれば、内蓋の内面の少なくとも一部の突出部は、内蓋の中央上部に形成されている。
【0008】
別の態様によれば、内蓋の内面の全体が、内釜から離れる方向へ突出している。
【0009】
別の態様によれば、内蓋の内面は、第1回転母線と第1回転軸とを有する第1回転面である。
【0010】
別の態様によれば、第1回転母線は、第1回転軸上に位置する第1円中心を有する円弧である。
【0011】
別の態様によれば、内釜の内面は、第2回転母線と第2回転軸とを有する第2回転面であり、第1回転軸と第二の回転軸とが一致している。
【0012】
別の態様によれば、第2回転母線は、内釜の側壁内面を形成するための側壁湾曲セグメントを含み、側壁湾曲セグメントの最大曲率半径が、側壁内面の最大緯度円半径よりも小さい。
【0013】
別の態様によれば、側壁湾曲セグメントは、側壁円弧半径と第2円中心とを有する側壁円弧セグメントであり、第2円中心と第2回転軸との間の垂直距離はゼロよりも大きく、そして第2円中心と側壁円弧セグメントは、第2回転軸の同じ側に配置されている。
【0014】
別の態様によれば、第2回転母線は、内釜の側壁内面を形成するための側壁弧状セグメントを含み、側壁弧状セグメントは第3円中心を有し、第3円中心と第2回転軸との間の垂直距離はゼロに等しい。
【0015】
別の態様では、第1円中心と第3円中心とが一致している。
【0016】
本発明の技術的解決法によれば、内釜の内面の少なくとも一部は、熱気流の流れを循環させるために好適な形状であり、内蓋の内面の少なくとも一部は、熱気流の流れを循環させるために好適な形状であり、したがって、内釜内での加熱がより均一になるように、内釜と内蓋とによって協働的に画成される空間内に渦気流を形成し、より有効な循環する熱対流を生成するために好適である。
【0017】
明細書に随伴する図面は、本発明の更なる理解のためのものとして意図されており、かつ本発明の一部を構成する。本発明の概略的な実施形態及びその説明は、本発明を不適切に定義するためのものではなく、本発明を説明するためのものであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術における電気炊飯器の構造的概略図である。
図2】本発明の電気炊飯器の構成図である。
図3】本発明の電気炊飯器の内釜の構造図である。
図4図3の内釜の熱対流の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の各特徴は、明確な定義または競合がない限り、互いに組み合わせることができることに留意されたい。本発明は、図面を参照し且つ実施例と組み合わせて詳細に説明される。
【0020】
従来技術の電気炊飯器の欠点を克服するために、本発明は、内釜内での加熱がより均一になるように、内釜の熱対流の態様を改善することができる、改善された構造を有する電気炊飯器を提供し、調理効果の向上に有益である。
【0021】
図2は、本発明に係る電気炊飯器の構成図である。図2に示されるように、本発明によって提供される炊飯器は、内蓋10と内釜30とを備えている。内蓋10は、内釜30を閉じるように、内釜30の上部の開口部を被覆している。内釜30は、適切な量の米や水のような調理材料40を収容している。調理材料40を加熱するための熱を得るために、内釜30の底面は、加熱プレート50と接触している。
【0022】
この例では、内蓋10の内面は、第1回転母線と第1回転軸とを有する第1回転面である。第1回転母線は、第1回転軸上に位置する第1円中心を有する円弧である。これは言ってみれば、内釜10の内面が、球面から切り取られた一部であるということである。
【0023】
また、内釜30の内面は、第2回転母線と第2回転軸とを有する第2回転面である。第1回転軸と第2回転軸とは一致している。第2回転母線は、内釜の側壁内面を形成するための側壁弧状セグメントを含み、また、この側壁弧状セグメントの円中心は、第2回転軸上に配置されており、これによって、少なくとも側壁が球状の内面である内釜が形成される。
【0024】
図2を参照すると、加熱プレート50の熱は、内釜30に伝導され、これによって、内釜30内の調理材料40が煮沸及び宙返り(tumbling)するまで加熱され、熱気流20は、球状内面として形成された内釜30の側壁に沿って上昇し、その後、内蓋10の球状の内面に沿って流れる。このようにして、図2に示される渦気流が、内釜30と内蓋10とによって協働的に画定される空間内に形成され、内釜30内の加熱がより均一になるような、有効な循環する熱対流が生成される。
【0025】
内釜の内面を形成する第2回転面内にはまた、側壁内面を形成すべき側壁弧状セグメントの円中心が、第2回転軸から相応の距離に配置されることができ、これによって、少なくとも側壁が外側において膨らみ或いは内側において縮小した特殊な形状の、球状の内釜を形成する。したがって、熱気流は、依然として内釜の側壁弧状セグメントに沿って上昇することができ、かつこれに続いて、内蓋の球状の内面に沿って流れ、これによって効果的な循環熱対流を生成する。
【0026】
内釜の内面は、他の形状を採用することができ、例えば、内釜の内面の少なくとも一部が、外側に突出した形状を有し、それによって、内釜の内面の少なくとも一部において熱気流の流れを循環させるために好適な形状を形成することができる。
【0027】
もちろん、内蓋も他の形状を採用することができる。例えば、内蓋の内面の少なくとも一部は、内釜から離れる方向に突出していることができ、これによって、内釜の内面の少なくとも一部において熱気流の流れを循環させるために好適な形状を形成することができる。この突出部は、好ましくは、内蓋の上部中央に位置している。内蓋の内面全体も、内釜から離れる方向に向けて突出していることができる。内蓋の内面が、第1回転面として形成されている場合には、第1回転母線もまた、曲線であってもよい。
【0028】
内釜の内面の形状につき以下に詳細に説明するが、その形状は内釜内に効果的な熱対流を生成するために好適にされ、これによって、内蓋と内釜とによって協働的に画定される空間内における循環する熱対流が改善され、内釜内における加熱がより均一になる。
【0029】
図3は、本発明に係る電気炊飯器の内釜の構造図である。図3に示されるように、内釜は回転体の形状であり、その内面は、第2回転母線を第2回転軸oの周りで360°回転させることによって形成された第2回転面である。図3は、実際に回転体の第2回転軸oを含む任意の縦断面を示しており、この縦断面では、第2回転軸oの左右の対称な両部分の内側の線のいずれも、第2回転母線となることができ、且つ以下では、第2回転軸oの左側に位置する部分につき、これを第2回転母線として説明する。
【0030】
図3を参照すると、第2回転軸oの左側において、第2回転面の第2回転母線は、フランジセグメント31、側壁弧状セグメント32、及び第1直線セグメント33から構成されており、側壁弧状セグメント32は、第2回転母線の本体部であり、且つ内釜の側壁内面を形成するために用いられる。側壁弧状セグメント32は、側壁円弧半径r及び第2円中心xを有しており、第2円中心xは、第2回転軸o上に配置されておらず、しかし第2回転軸oから相当の垂直距離で側壁弧状セグメント32に近い側に配置されている。すなわち、第2円中心xおよび側壁弧状セグメント32は、第2回転軸oの同じ側に配置されている。図3に示されるように、この垂直距離はL1/2である。
【0031】
別の観点から見れば、側壁弧状セグメント32は、第2回転軸o周りの回転によって、第2回転面、すなわち内釜の側壁内面を形成する。第2回転面は、側壁弧状セグメント32の側壁円弧半径rよりも大きい最大回転半径L2/2を有する。図3に示すように、最大回転半径L2/2は、垂直距離L1/2と側壁円弧半径rとの和に等しい。すなわち、L2=L1+2rである。
【0032】
また、第1直線セグメント33は、側壁弧状セグメント32の下端に接続されており、且つ第2回転軸oに垂直であり、第1直線セグメント33は、壁弧状セグメント32と第1直線セグメント33とがスムーズに合流するように、側壁円弧セグメント32に接している。第1直線セグメント33は、内釜の底面を構成している。
【0033】
また、フランジセグメント31は、側壁弧状セグメント32の上端に接続され、移行的アーチ形セグメントと第2直線セグメントとを含んでいる。移行的アーチ形セグメントの円の中心は、内釜の壁面の外側に位置しており、移行的アーチ形セグメントは、側壁弧状セグメント32の接線方向に沿って、側壁弧状セグメント32に円滑に接続されている。第2直線セグメントは、第2回転軸oに垂直であるが、内釜の壁面の外側に向かって延びており、第2直線セグメントは、移行的アーチ形セグメントに接して、それらの間のスムーズな移行を確実にしている。移行的アーチ形セグメントは、内釜の側壁と、内釜の釜縁部との間の移行部の内面を構成する。第2直線セグメントは、内釜の釜縁部の上面を構成する。
【0034】
このように、フランジセグメント31、側壁弧状セグメント32及び第1直線セグメント33によって構成される第2回転母線は、内釜の全内面と内釜の釜縁部の上面とを形成するために使用することができる。内釜全体の壁が一様な厚さを有するように、内釜の外面と内釜の釜縁部の下面も、類似した回転母線によって形成することができる。もちろん、外面と下面とを形成するために、回転母線の別の形態を採用することもできる。
【0035】
慎重な分析と多くの実験とを通じて、本発明者は、側壁弧状セグメント32の第2円中心x及び第2回転軸oとの間の垂直距離の大きさが、内釜内の熱対流の態様に影響を与え、これによって内釜内の温度分布に影響を与えることを発見した。具体的には、図3に示されるように。垂直距離がゼロより大きく、且つ第2円中心xと側壁弧状セグメント32とが第2回転軸oの同じ側に位置しているときには、内釜の熱対流の態様を改善することができる。垂直距離と側壁円弧セグメント32の半径との和(L1/2 + r)に対する垂直距離(L1/2)の比である(L1/2)/(L1/2+r)が、0.15以上0.35以下である場合、本発明によって提供される内釜内で最も効果的な熱対流を生成することができる。これは言ってみれば、内釜の内面の形状が、式0.15≦(L1/2)/(L1/2+r)≦0.35を満たすときに、最も効果的な熱対流を内釜内で達成することができるということである。
【0036】
図4は、図3の内釜の熱対流の態様を示す模式図である。内釜の内面の形状が上記の式を満たす場合には、内釜の中心は、もはや単一の球中心ではなく、端部x及びyと半径L1/2とを有する環状領域である。加熱状態においては、内釜の壁における温水は、それぞれこの環状領域に向かって、方向cおよびdに沿って流れ、同時に、この環状領域内の水は、壁に向かって流れ、環状領域が単一の球中心よりも大きな体積を有するために、十分な水が壁に供給されることができ、したがって効果的な熱対流を生成することができる。また、環状領域が大きすぎるときには、逆に、壁における水は環状領域内への流入を遮られ、したがって、熱対流に影響を与えることになる。
【0037】
本発明の技術的解決法によれば、側壁弧状セグメントの第2円中心が第2回転軸上に配置されておらず、しかし第2回転軸から側壁弧状にセグメントに近い側の相応の垂直距離に配置されているので、内釜の中央領域が拡大され、加熱状態においては、内釜の側壁の水が内釜の中心領域にあらゆる方向から流れるとき、中央領域が周囲側壁に供給すべき十分な水を有することになり、したがって、内釜内の温度分布がより均一になるように、内釜内の熱対流の態様が改善される。
【0038】
本発明によって提供される内釜内での実用的な調理試験では、環状領域で熱対流を生成する温水流によって米粒が駆動され、内釜の中心の環状領域における水面は、陥没した形状を有し、強い熱対流が内釜内の温度をより均一にし、内釜内の上位層と下位層とで、米が膨張率及び吸水率において実質的に一致するようになる。
【0039】
加えて、本発明に係る内釜の内面の形状が、上記の式を満たす場合には、従来の球状の内釜と比べて、本発明に係る内釜が、同一高さで5−15%増加した表面積を有している。これは、電磁加熱の原理を適用した電気炊飯器のために特に有利である。なぜならば、内釜の表面積の増加は、加熱面積の増加と等価であり、内釜の外面上の導磁性層が高周波磁場内でより多くの渦電流を生成させることができ、したがって電気エネルギーの有効利用率を高めるからである。
【0040】
加えて、図3に示すように、内釜には直径L3と半径L3/2とを有する開口部が設けられている。上述したように、内釜の側壁内面が最大回転半径L2/2を有し、L2は実際にはL1+2rに等しい、つまり、L2は、側壁弧状セグメント32と第2円中心xと第2回転軸oとの間の垂直距離と、側壁円弧セグメント32の半径との和の2倍である。
【0041】
L2に対するL3の比率を調整することによって、異なるくびれ率(necking rate)を有する内釜を得ることができる。すなわち、側壁内面の最大回転半径に対する内釜の開口部の半径の比率によって、内釜のくびれの度合いを体現することができる。この比率が小さいほど、内釜のくびれの度合いが大きく、釜の壁部における蒸気の流出を、より効率的に規制できる。もちろん、くびれ率が小さすぎてはならない。小さすぎる場合には、内釜本体の加工や、電気炊飯器の内釜の設置などの難しさを引き起こす可能性がある。
【0042】
従来技術の球形の内釜において、開口部が直径L3と半径L3/2とを有しているものと仮定する。本発明によって提供される内釜もまた、開口部が直径L3と半径L3/2とを有しているが、内釜の側壁内面の最大回転半径は、従来技術のものと比較して増加され、したがって、内釜のくびれ率が低下する。多くの実験を通じて、本発明者は、L2に対するL3の比率(すなわち、L3/2:L1/2+r)が、0.85以上かつ0.95以下である場合には、内釜は適切なくびれ率を有しており、この場合には、釜の壁部における蒸気の流出を効果的に規制できるだけでなく、加工及び設置が便利であるため、加熱機能の改善と、製造および設置の容易さとの間の適切なバランスポイントが見出される。好ましくは、この比率が0.9以上かつ0.94以下である場合に、内釜は、最も適切なくびれ率を有する。
【0043】
また、側壁円弧セグメントは、固定の半径を有する円弧セグメントに限定されるものではなく、側壁湾曲部分の最大曲率半径が、内釜の側壁内面の最大緯度円半径よりも小さい限りにおいて、異なる曲率半径を有する側壁湾曲部分とすることができる(最大緯度円半径とは、内釜の側壁内面によって形成される回転面の断面積のうちの最大の断面積を有する緯度円の半径を意味する)。
【0044】
したがって、回転体の形状を有する内釜において、内釜の側壁内面を形成する側壁湾曲セグメントの最大曲率半径は、側壁内面の最大緯度円半径よりも小さく、側壁湾曲セグメントの最大曲率半径の曲率中心は、第2回転面の第2回転軸上に配置されておらず、しかし第2回転軸から相応の距離にあり、したがって内釜の中央領域の面積を大きくする。そして加熱中に、内釜の側壁における水があらゆる方向から内釜の中心領域に流れるときに、中央領域は、周囲の側壁に供給すべき十分な水を有しており、したがって、内釜内の温度分布がより均一になるように、内釜内における熱対流の態様が改善される。
【0045】
本発明が提供する内釜および/または内蓋は、電気炊飯器、電気鍋、および電気圧力鍋のような、電気加熱または電磁加熱の調理器に適用可能であり、また、加熱すべき素材を収容して直接的または間接的に素材を加熱するための釜を有する調理器にも適用可能である。
【0046】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明を制限することを意図するものではなく、本発明の種々の改変および変更が当業者によってなされることができる。任意の修正、均等物の置換、改良などは、それらが本発明の精神及び原理から逸脱することなくなされている限りにおいて、本発明の保護範囲に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】