(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-512786(P2016-512786A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(54)【発明の名称】オーラルケア器具
(51)【国際特許分類】
A46B 9/04 20060101AFI20160404BHJP
【FI】
A46B9/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-504436(P2016-504436)
(86)(22)【出願日】2013年3月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月24日
(86)【国際出願番号】CN2013073298
(87)【国際公開番号】WO2014153747
(87)【国際公開日】20141002
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001874
【氏名又は名称】特許業務法人IPyS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シイ・ウェンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ティン
(72)【発明者】
【氏名】ジー・ヤンメイ
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB02
3B202AB19
3B202BA05
3B202CA02
(57)【要約】
把持部分を有するオーラルケア器具。オーラルケア器具は第1の材料から形成される細長い本体(101)と、基部把持部分(114)を含むハンドル(104)と、複数の歯クリーニング要素(108)を含むヘッド(102)を支持する端部首部(115)とからなる歯ブラシ(100)である。長さ方向に細長い貫通口(130)は、ハンドル(104)の前および背露出表面(112)の間で横に延びるハンドル(104)の把持部分(114)に形成される。弾性である第2の材料が、貫通口(130)の中に配置される。横に凹状プロフィールを有る長さ方向に細長いくぼみ(120)は、貫通口(130)に通ずるハンドル(104)の背露出表面(112)に形成される。第2の材料は、少なくとも部分的にくぼみ(120)に延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド;
前露出表面および背露出表面を有し、長さ方向の軸に沿って延びている細長いハンドル;
前記ハンドルの背露出表面中に形成された長さ方向に細長いくぼみ;
該ハンドルが第1の材料から形成された第1成分および第2の材料から形成された第2成分を有し;
第1成分の前表面と第1成分の背表面との間に延びる第1成分中に形成された貫通口;を含有し、第2成分が貫通口を通って延びて、第2成分の第1表面がハンドルの前露出表面の一部を形成し、第2成分の第2表面がハンドルの背露出表面を形成し、第2成分の第2表面によって形成されたハンドルの背露出表面の一部が長さ方向に長いくぼみの底を形成する歯ブラシ。
【請求項2】
第1成分がヘッドを含有する請求項1記載の歯ブラシ。
【請求項3】
第1の材料が第2の材料とは異なる請求項1〜2のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項4】
第1の材料が硬い材料であり、第2の材料が弾性材料である請求項1〜3のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項5】
貫通口が細長く、長さ方向に直角な方向で測定された幅よりも長さ方向に測定された長さが長い請求項1〜4のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項6】
第1成分が長さ方向に細長いくぼみの側壁であるハンドルの背露出表面の一部を形成する背露出表面を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項7】
第2成分が画一的な一体構造であり、第2成分の前露出表面がハンドルの前把持表面を形成する請求項1〜6のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項8】
貫通口が長さ方向に細長い貫通口であり、第1成分が該長さ方向に細長い貫通口を横切る複数の離れた横方向のストラットを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項9】
長さ方向に細長いくぼみの底がハンドルの背面平面図において長楕円形状を有する請求項1〜8のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項10】
ハンドルが軸の位置で第1の横方向断面領域を含有し、細長いくぼみが軸の位置で第2の横方向断面領域を含有し、第2の横方向断面領域が細長いくぼみを規定する背露出表面の一部および細長いくぼみの側壁の頂点と交差する基準面により限定され、かつ第2の横方向断面領域が第1の横方向断面領域の少なくとも15%である請求項1〜9のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項11】
第2成分が長さ方向に細長いくぼみの底を形成するパッド部を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項12】
先端を規定するヘッド、基端を規定するハンドル並びに基端および先端の間に延びる長さ方向を含む第1材料から形成される細長い本体;
前露出表面、背露出表面、基端把持部分およびヘッドを支持する端部首部を含有するハンドル;
ハンドルの把持部分に形成され、ハンドルの前および背露出表面の間に横方向に延び、また長さ方向に沿っても延び、長さ方向の方向で測定された長さが長さ方向に直行する方向で測定された幅よりも大きい細長い貫通口;および
貫通口中に存在し、ハンドルの前露出表面から貫通口を通ってハンドルの背露出表面に横方向に延び、第1の材料と少なくとも一つの特性で異なる第2の材料;
を含有する歯ブラシ。
【請求項13】
ハンドルの背露出表面が貫通口に隣接して形成される長さ方向に細長いくぼみを包含する請求項12記載の歯ブラシ。
【請求項14】
第2の材料が部分的にくぼみに延び、ハンドルの背露出表面の下方に凹むベースを形成する請求項13記載の歯ブラシ。
【請求項15】
第1の材料の少なくとも部分がくぼみ中に露出し、対向する側壁を形成する請求項14記載の歯ブラシ。
【請求項16】
少なくとも1つの特性がショアA硬度である請求項12〜15のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項17】
少なくとも1つの特性が色である請求項12〜16のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項18】
第2の材料が貫通口中でハンドルの前露出表面に連続する請求項17記載の歯ブラシ。
【請求項19】
第2の材料が、ハンドルの前露出表面上の第2の材料の露出上層把持面およびくぼみの第2表面の露出下層把持面を含む貫通口を横に延びる画一的な一体構造を形成する請求項17記載の歯ブラシ。
【請求項20】
貫通口が、ハンドルの背露出表面の近くの貫通口の隣接下層より長さ方向断面において狭い、ハンドルの前および背露出表面の間に配置される中央の部分を包含する請求項12〜19のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項21】
ハンドルの前露出表面の貫通口は、第1の材料から形成された複数の間隔を持って離れた装飾的特徴を有し、歯ブラシの本体に支持されていて、第2の材料が装飾的特徴の間に配置されている請求項12〜20のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項22】
第1材料がポリプロピレンで、第2の材料が熱可塑性エラストマーである請求項12〜21のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項23】
先端を規定するヘッド、基端を規定するハンドルおよび基部および先端の間で延びる長さ方向軸を含む第1の材料から形成された細長い本体;
前露出表面、背露出表面、基端把持部分およびヘッドを支持する端部首部を含有するハンドル;
ハンドルの把持部分に形成され、ハンドルの前および背露出表面の間に横方向に延び、また長さ方向に沿っても延びる細長い貫通口;
ハンドルの背露出表面に形成され、横方向断面で凹状形を有する長さ方向に細長いくぼみ;および
貫通口中に存在し、ハンドルの前露出表面から貫通口を通ってハンドルの背露出表面に延び、第1の材料と少なくとも一つの特性で異なる第2の材料;
を含有する歯ブラシ。
【請求項24】
第2の材料がくぼみの底で露出して見ることができる請求項23記載の歯ブラシ。
【請求項25】
第2の材料がハンドルの背露出表面の下でくぼみ中に凹む請求項23〜24のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項26】
第2の材料がハンドルの背面平面図で長楕円の構成を有する請求項23〜25のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項27】
第1の材料の少なくとも1部が第2の材料の上層でくぼみ中に露出し、横方向の断面においてアーチ状を有する露出した対向する側壁を形成する請求項23〜26のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項28】
くぼみが長さ方向断面で一般に凹状形を有する請求項23〜27のいずれかに記載の歯ブラシ。
【請求項29】
第2の材料が、ハンドルの前露出表面上の第2の材料の露出上層把持面およびくぼみの第2表面の露出下層把持面を含む貫通口を横に延びる画一的な一体構造を形成する請求項23〜28のいずれかに記載の歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にオーラルケア器具およびより詳しくはオーラルケア器具、例えば1つの態様ではユニークなハンドル構造を有する歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシ等の最新のオーラルケア器具は、しばしば、歯クリーニング要素を支持するヘッドおよび使用者の手で把持するためのグリップ部分を有するハンドルおよびヘッドを支持するしばしば細い首部を形成するように構成される少なくとも二つの材料から構成されるコンポジット構造として形成される。基材、典型的には剛性または半剛性タイプのポリマー材料(例えば、ポリプロピレン他)から形成される本体は、歯ブラシのハンドルの主要な構造を構成する。第2の材料、しばしば弾性材料(例えば、熱可塑性エラストマーまたはTPE)が、握りの改善や装飾的な外観のために本体の種々の部分の上を覆う。
【0003】
歯ブラシは、典型的には射出成形によって形成される。本体は最初に第1操作で基材から成形され、次いで第2の弾性材料を本体の上へ第2操作でオーバーモールドして歯ブラシを完成する。いくつかの歯ブラシ構成で使用されるエラストマーの複雑な適用と構成のために、第2成形過程の下部構造本体の種々の表面への流体エラストマーの適当な分配は、最も費用効果のよい射出および分配アプローチを見つける課題が存在する。また、使用される基材の量を最小にすることは、本体を加工する費用削減的理由のため更に望ましい。
【0004】
従って、改善された歯ブラシ構造および成形アプローチが望まれる。
【0005】
[発明の概要]
本発明の1つの態様による歯ブラシのようなオーラルケア器具は、先端を規定するヘッド、基端を規定するハンドル並びに基端および先端の間で延びる長さ方向軸を含む第1の材料から形成される細長い本体を備える。ハンドルは、前露出表面、背露出表面、基端把持部分およびヘッドを支持する端部首部を含有する。長さ方向に細長い貫通口は、ハンドルの把持部分に形成される。貫通口はハンドルの前および背露出表面の間に横方向に延び、更に長さ方向に沿っても延びる。貫通口は長さ方向に直角な方向で測定された幅よりも長さ方向に測定された長さが長い。第2の材料が貫通口中に存在し、ハンドルの前露出表面から貫通口を通ってハンドルの背露出表面に横方向に延び、第1の材料と少なくとも一つの特性で異なる。ある種の態様では、少なくとも1つの特性は硬さまたは色でもよい。1つの態様では、第2の材料は熱可塑性エラストマーである。
【0006】
別の態様では、本発明記載の歯ブラシは先端を規定するヘッド、基端を規定するハンドル並びに基端および先端の間で延びる長さ方向軸を含む第1の材料から形成される細長い本体を備える。ハンドルは、前露出表面、背露出表面、基端把持部分およびヘッドを支持する端部首部を含有する。長さ方向に細長い貫通口は、ハンドルの把持部分に形成される。貫通口は長さ方向に対して横に延びて、ハンドルの前および背露出表面の間に侵入し、更に長さ方向に沿っても延びる。長さ方向に細長いくぼみはハンドルの背露出表面に形成されて、横方向断面で凹状形を有する。第2の材料は貫通口中に存在し、ハンドルの前露出表面から貫通口を通ってくぼみの底を満たし、第2の材料は第1の材料と少なくとも一つの特性で異なる。
【0007】
別の態様では、本発明記載の歯ブラシはヘッド、前露出表面および背露出表面を有するハンドル、長さ方向に沿って延びる長いハンドルおよびハンドルの背露出表面に形成された長さ方向に細長いくぼみを有する。ハンドルは第1の材料で形成された第1成分および第2の材料で形成された第2成分を有する。貫通口は、第1成分に形成され、第1成分の前露出表面と第1成分の背露出表面との間で延びる。第2成分は貫通口を通って延びて、第2成分の第1表面がハンドルの前露出表面の一部を形成し、第2成分の第2表面で形成されたハンドルの背露出表面を形成し、第2成分の第2表面によって形成されたハンドルの背露出表面の一部が長さ方向に長いくぼみの底を形成する。1つの態様では、第1成分は硬い剛性または半剛性ポリマーであり、第2成分は比較的により軟質の熱可塑性エラストマーである。
【0008】
別の態様では、本発明記載の歯ブラシは、先端を規定するヘッド、基端を規定するハンドルおよび先端および基端間に延びる長さ方向軸を有し、第1の材料で形成された細長い本体を包含する。ハンドルは、前露出表面、背露出表面、基端把持部分およびヘッドを支持する端部首部を含有する。長さ方向に細長いくぼみはハンドルの背露出表面に形成され、横断面に凹状形を有し、くぼみは第2の熱可塑性弾性材料から形成されたベース壁に収束している一対の対向した円弧状側壁を含む。くぼみのベース壁は、ハンドルの背露出表面の下に凹む。
【0009】
本発明の適用性の更なる領域は、以下の詳しい説明から明らかになる。詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好ましい態様を示しているが、説明のためだけを意図し、本発明の範囲を制限することを意図しない、ことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、詳しい説明と添付の図面からより完全に理解されうる:
【0011】
【
図1】
図1は、歯ブラシ本体の上に形成される弾性材料を示す本発明の1つの例示的な態様による歯ブラシの正面の斜視図である;
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【
図6】
図6は、
図4のVI−VI線に沿った長さ方向に断面側面図であり、明確性の為に弾性材料が無いハンドル中の貫通口を表す;
【0017】
【
図7】
図7は、その拡大図であり、弾性材料を表す;
【0018】
【
図8】
図8は、
図5のVIII〜VIII線に沿った横方向の断面図である;
【0019】
【
図9】
図9は、
図6と同様の歯ブラシの断面側面図であり、貫通口中の弾性材料を示す;
【0020】
【
図10】
図10は、歯ブラシの他の態様の正面図である;および
【0021】
【0022】
[発明の詳細な説明]
好ましい態様の以下の記載は、本質的に単なる説明であり、本発明、その用途および使用に限定することを意図しない。
【0023】
本発明の原理に従う具体例の記載は全ての明細書の部分と考えられる添付の図面に関連して解釈されることを意図する。本明細書で開示される本発明の態様の記載では、方向または配向へのいかなる言及も、単に記載の便宜のためだけを意図し、本発明の範囲を限定することを意図しない。相対的な用語、例えば「より低く」、「より高く」、「水平で」、「垂直で」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「上部」および「底部」並びにそれらの誘導用語(例えば、「水平に」、「下方へ」、「上方へ」等)は、下記図面に記載若しくは示されているような方向性を意味するものと解釈する。これらの相対的な用語は記載の便宜のためにだけあって、別途明確に指示しない限り装置が特定の配向で構成されるかまたは操作されることを要求しない。用語、例えば「付着され」、「添付され」、「接続され」、「結合され」、「相互に接続され」等は、別途明確に記載されない限りは、構造体が互いに直接的にまたは中間構造体並びに可動または固定付属品または関係を通して間接的に固定または付着されることを意味する。さらに、本発明の特徴と利益は、例示の態様を参照して説明される。従って、本発明は、単独でまたは他の特徴の組合せで存在してもよい可能性がある非限定的な特徴の組合せを説明するそのような例示的な態様に、明確に限定されるべきでなく、本発明の範囲は添付の請求項によって規定される。
【0024】
図1〜5は、歯ブラシ100の形におけるオーラルケア器具の1つの例示的な態様を表す。歯ブラシ100は、先端103を有するヘッド102、基端105を有するハンドル104および基部および先端の間に延びる長さ方向軸LAを含む細長い本体101を包含する。歯ブラシ100は、表面106、背面107および2つの対向する側面110を有する。歯ブラシ・ヘッド102は、表面に多くかつ多種の歯クリーニング要素を支持し、その歯クリーニング要素は当業者に使用される適切な従来の付着方法により歯ブラシ・ヘッド102に固定される。
【0025】
歯クリーニング要素108の正確な構造、パターン、配向および材料は、請求項において特定されない限り本発明を限定するものではない。本明細書中で使用される「歯クリーニング要素」という用語は、相対的な表面の接触を通して歯および/または軟口腔組織(例えば、舌、頬、歯肉など)をクリーニング、研磨または拭うために使用され得る構造を言う一般的な感覚で使用される。「歯クリーニング要素」の一般的な例は、ブラシ毛房、フィラメントブラシ毛、繊維ブラシ毛、ナイロンブラシ毛、スパイラルブラシ毛、ゴムブラシ毛、弾性突起、柔軟ポリマー突起、それらの組合せおよび/またはそのような材料または組合せを含む構造を包含するが、これらに限定されない。適切な弾性の材料は、オーラル衛生器具において使用の為に適切な生物学的適合性弾性材料を包含する。高い快適性並びにクリーニングの利点を提供するために、歯または軟組織に関与する要素の弾性の材料は、ショア硬度A8〜A25の範囲の硬度特性を有する。1つの適切な弾性の材料は、GLS・コーポレーションによって製造されるスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)である。また、他のメーカーからのSEBS材料または上記硬度範囲内または外の他の材料を使用することも可能である。
【0026】
本発明の歯クリーニング要素108は、当業者に既知のいかなる方法でヘッド部102に接続してもよい。例えば、ステープル/アンカー、金型内タフティング(in mold tufting)(IMT)、アンカーフリータフティング(anchor free tufting)(AFT)を用いてクリーニング要素/歯接触要素を取付けてもよい。AFTにおいて、プレートまたは膜は、例えば超音波圧接によってブラシヘッドに固定される。ブラシ毛は、プレートまたは膜を通って延びる。プレートまたは膜の一方の上のブラシ毛のフリー末端がクリーニング機能を行う。プレートまたは膜の反対側上のブラシ毛の端部は、熱融着され、固定される。クリーニング要素の適切な形態が、本発明の広範なプラクティスにおいて使用されてよい。また、ブラシ毛はタフトブロック中の適当な開口を通って延びて、ブラシ毛のベースがタフトブロック中またはその下に取り付けられることによって、タフトブロックまたはセクションに取付けられ得る。
【0027】
歯ブラシ・ヘッド102の背面は、頬や舌をクリーニングするために弾性の材料でできている種々の形状の軟質口腔組織クリーニング要素109を包含してもよい。例示された態様では、軟質口腔組織クリーニング要素109は、歯ブラシ・ヘッド102の背面全体に延びる複数の個別および分離リッジを含有し、そのいくつかのリッジは弓状であり他は線状である。本発明は全ての態様において例示されるような軟質口腔組織クリーニング要素109の構成に限定されない。本発明で使用されてもよく、歯ブラシ・ヘッド102の裏面に設けられてもよい他の適切な軟質組織クレンザーの例は2006年12月5日に特許された本願の譲受人による米国特許第7,143,462号に開示され、そのすべてを本明細書中に参考としてここに導入する。ある種の他の態様では、軟質組織クレンザーは細長いリッジ、ナッブ(nubs)またはそれらの組合せの形態を取り得る突出部を包含してもよい。もちろん、本発明はそれに限定されず、ある態様ではオーラルケア器具100は軟質組織クレンザーを有さなくてもよい。
【0028】
本体101は歯ブラシ100の主要な構造成分または基材を形成し、適切な材料から形成されてもよい。ある代表的な態様では、本体101は、歯ブラシ本体のために使用される剛性または半剛性ポリマー材料から製造されてもよいが、これに限定されない。本体101のための適切な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド、ポリエステル、セルロース、SAN、アクリル、ABSまたは他の歯ブラシ製造において使用される一般に既知の熱可塑性物質を包含する。1つの態様では、本体101は、オーバーモールドして本体上にエラストマーを保持する時に、弾性熱可塑性エラストマーと化学結合を形成するポリプロピレンから形成してよい。1つの態様では、歯ブラシ本体101のために使用されるポリプロピレンは、ショアA硬度約66〜94を有してもよい。いずれか適切な色が、歯ブラシ本体101に使用されて良い。1つの態様では、本体101は白い。
【0029】
例示された態様では、歯ブラシ・ヘッド102は、成形、ミリング、機械加工または他の適切な方法を使用して単一の一体構造体として、ハンドル104と一体的に形成される。しかしながら、他の態様において、ハンドル104とヘッド102とは分離した成分として形成されてもよく、それらは製造方法の後の段階で当業者に既知の適当な技術、例えば熱または超音波溶接、タイトフィットアセンブリ(tight−fit assembly)、継手スリーブ(coupling sleeve)、螺合、接着またはファスナーにより操作的に結合されるが、これらの方法には限定されない。
【0030】
ハンドル104は、前露出表面111、背露出表面112および対向した側面113を包含する。ハンドル104は、基端105からヘッド102に長さ方向に延びる基部把持部分114およびヘッド102を支える端部首部115を有する。ハンドル104は通常、長さ方向に延びていて、使用者が指、親指および手掌で把持するための適切な形状を有してもよい。
【0031】
ハンドル104は第1の材料119から形成される第1成分150および第2の材料116から形成される第2成分152から構成されてもよい。第2の材料116は、第1材料とは異なっていてもよい。1つの態様では、第1の材料119は、歯ブラシ102の本体101を製造するのに使用される材料(例えば、本明細書のいずれかの箇所に記載される硬い剛性または半硬質プラスチック材料)と同じであってよい。いくつかの態様の第2の材料116は、第1の材料より比較的により軟質でかつより柔軟である弾性材料であってよい。従って、第1成分150の第1の材料119のショアA硬度は、第2成分152の第2の材料116のショアA硬度より大きくてもよい。
【0032】
ある種の態様では、第2の材料116はゴムまたは熱可塑性エラストマー(TPE)、例えば歯ブラシに好適なイリノイ州、マッケンリーのPolyOne・コーポレーションから入手可能なGLS熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers)であってよいが、これらに限定されない。使用されるTPE材料はショアA硬度約3〜約95を有してもよい。他の態様では、使用されるTPE材料は、ショアA硬度約13〜約50を有してもよい。さらに他の態様に、使用されるTPE材料は、ショアA硬度約25〜約40を有してもよい。第2の材料116は、いずれか望ましい色で提供されてもよい。ある態様では、第2の材料116は、白い色でない。
【0033】
1つの態様では、第2の材料116は、ハンドルの第1の材料119の上へオーバーモールドすることによってハンドルのある種の部分に適用されてよい。第2の材料116は歯ブラシのハンドル104の前露出表面111、背露出表面112および側面113の部分に、グリップを改善しかつ美的目的の為に適切なパターンおよび形に適用されもよい。特に、ハンドル104の把持部分114は特に濡れた手での握りを改善するために第2の材料116を包含してもよい。
【0034】
本発明の1つの側面によれば、ハンドル104の把持部分は最初に
図2および4に示されるように長さ方向に細長い凹状くぼみ120を包含する。1つの態様では、くぼみ120は示されるようにハンドル104の背露出表面112にある。これは、本体101を形成するために使用される材料の量を有利に減少し、それによって製造コストを少なくする。また、くぼみ120は、ハンドル104の背露出表面112にある時、使用者が歯ブラシを置くときに把持部分114が水平支持表面、例えばシンクまたはテーブル上に平坦に置いて歯ブラシを、歯ブラシクリーニング要素108をまっすぐに正しい位置に向くように保持することを確保する安定機構を提供する。くぼみ120に隣接する背露出表面112の長さ方向に延びる部分は、支持表面に隣接的に接触する対向した横方向に間隔的に離れたレール117(例えば、
図4および8)を形成する。
【0035】
他の可能性がある態様では、くぼみ120はハンドルの背露出表面に形成された前露出表面111にあり、横断面に凹状形を有していてもよい。これは同じ本体材料減少の利点を提供し、かつ歯ブラシのハンドル104を把持する時一部の使用者が指の快適な置き場所となり得るへこみを提供する。
【0036】
図2、4および6〜8を参照して、細長いくぼみ120は歯ブラシのハンドル104の基端105の近くの点T1から始まって、長さ方向にヘッド102の先端103の方へ延びる。1つの態様では、くぼみ120は、ハンドル104の基端105と首部115との間に存在する点T2で終わる。ある種の態様では、くぼみ120は基端105から先端103まで測られる歯ブラシ100の全体の長さ方向に長さの少なくとも15%である長さL1を有する。ある態様では、長さL1は歯ブラシ100の全体の長さ方向長さの約20%〜約30%の間である。例えば1つの態様において、歯ブラシ100は約7.5インチの全長を有し、くぼみ120は約2.0インチ、即ち約26.7%の長さ方向長さL1を有する。他の適切な長さL1が提供されてもよい。
【0037】
前述の図面を継続的に参照して、くぼみ120は底またはベース壁121および2つの対向した円弧状でベース壁で収束する側壁122を包含する。ベース壁121は、レール117を形成した背露出表面112の最外部のくぼみの中のへこみである。1つの態様では、ベース壁121は第2の弾性材料116から形成されてもよく、側壁122は本体101の材料から形成されてもよい。別の態様では、ベース壁121および側壁122は、本体101に使用されるポリマー材料から形成されてもよい。くぼみ120は横方向断面で実質的に凹状を有し(例えば、
図8)、いくつかの態様では、くぼみは長さ方向断面でも一般に凹状を有していてもよい(例えば、
図7)。ベース壁121は
図8に示されるように横方向断面で少し凹状を有してもよく、また実質的に平坦であってもよい。
【0038】
図8で示すように、各々の側壁122の最外部分の背露出表面112は、くぼみ120中の横方向断面の凹状弓形から側壁より上に凸状背露出表面112まで移行し、その凸状背露出表面が歯ブラシ100が平面上で真上に向くように安定化するために上述したレール117を形成する。
【0039】
本発明の別の観点によると、ハンドル104は
図6〜8で示すような長さ方向に伸びる貫通口130を包含する。貫通口130は、前露出表面111と背露出表面112との間のハンドル104を通って横方向に延び、長さ方向ではハンドルの把持部分114中の端壁131から一方の端壁132に延びる。より詳しくは、ある種の態様では、貫通口130は第1成分150中に形成され、第1成分150の前露出表面と第1成分150の背露出表面との間で延びる。
【0040】
貫通口130は、
図6〜9で示すように第2成分152の第2の材料116を保持および受容する場所を形成する。第2の材料116は、貫通口130を横方向に延びて、ハンドル104の前露出表面111上の第2の材料の露出上層把持表面およびくぼみ120の背露出表面112上の露出下層把持表面を形成する第2成分152の画一的な一体構造を形成する。従って、第2成分152は貫通口を通って延びて、第2成分の第1表面がハンドル104の前露出表面111の一部を形成し、第2成分の第2表面がハンドルの背露出表面112の一部を形成する。第2成分152の第2表面によって形成されるハンドル104の背露出表面112の一部は、長さ方向に細長い凹状くぼみ120の底またはベース壁121を形成する。
【0041】
貫通口130は、上層部分133、下層部分134および腰または中央部分135を包含する。ある種の態様では、
図8に最も良く示されているように、中央部分135は貫通口の低層部分134より狭く、歯ブラシハンドル104の前露出表面111に中央部分を超えて横に延びる貫通口の下層部分134より狭くてよい。貫通口の下層部分134はくぼみ120の底の穴を形成し、それは第2の材料116で満たされる時、底またはベース壁121を形成する(例えば、
図4および10)。
【0042】
ハンドル104の上へオーバーモールドされる時、貫通口130の上層部分133は第2の材料で満たされていて、それは
図10で示すように貫通口の中央部分135を越えて横に延びる。オーバーモールド工程が完成される時、第2の材料116は
図8で示される横断面において「I」型の構造を有し、それが第2の材料をハンドル104に正確に係止する。ポリマー材料がオーバーモールド工程の間、選択された第2の材料116を相互に化学結合を形成しないハンドル104の第1成分150の第1の材料119として使用される場合には、第2の材料116の「I」形の構成は歯ブラシのハンドル104から第2の材料の物理的な除去に有利に抵抗することを助力する。いくつかにおいて、弾性材料が第2の材料116として使用されないいくつかの態様では、歯ブラシ本体101材料および第2の材料の両方が相互に化学結合を形成しない剛性または半剛性材料であってもよい。なぜならば、貫通口130中の第2の材料の係止「I」形構成が歯ブラシの本体101からの除去を防止するからである。
【0043】
本発明の付加的な利点は、貫通口130が貫通口内および歯ブラシのハンドル把持部分114の前露出表面111上の両方に配置している第2の材料116を単一のショットで成形されることを可能にすることである。ある態様では、第2の材料116は明細書中に既述したように、くぼみ120のベース121を形成する。
【0044】
また、本発明の付加的な利点は、完全に貫通口130を通って延びている第2の材料116が付加的な横方向の柔軟性と快適さをハンドル104の把持部分114に提供することである。
【0045】
図10および11は、貫通口130の上層部分133が歯ブラシ本体101で支持される複数の離れた装飾的な特徴140が横切る歯ブラシ100の他の態様を表し、その特徴は本体のために使用される同じ剛性または半剛性ポリマー材料から形成されてもよい。装飾的な特徴140は、いずれの形状を有してもよい。示された態様では、装飾的な特徴140は、複数の長さ方向の間隔を有するバーを含有し、そのバーは貫通口130の全体に存在し、バーの間には第2の材料116を満たしている(
図10を参照)。バーは、貫通口130を明確性の為に第2の材料116を無いように示す拡大長さ方向断面を示す
図11に示される。バーの端は貫通口130に隣接した支持のために歯ブラシ本体101に接続していて、その後硬化時にバーを支持する第2の材料116を貫通口130に注入してオーバーモールド工程を行う。非限定的だが他の可能性のある例では、装飾的な特徴140は、英数字の組合せの形態であってもよく、それはブランド名または製造者名であってもよい。
【0046】
図5および8を同時に参照して、くぼみ120は歯ブラシのハンドル104を形成するのに通常必要とする材料の全体的な量を減らす。従って、ある種の態様において、くぼみ120は実質的な材料の節約を提供するように設計されている。1つのそのような態様では、ハンドル104とくぼみ120はハンドル104に沿った軸の位置で、ハンドルが第1の横方向断面領域を有し、くぼみが第2横方向断面領域を有し、第2の横方向断面領域がくぼみ120を規定するハンドル104の背露出表面の部分と側壁122の頂点と交差する参考平面R−Rによって規定/制限されるように、大きさを設定される。1つの態様では、くぼみ120の深さおよび形は第2の横方向断面領域が第1の横方向断面領域の少なくとも15%であるように選択される。別の態様では、第2の横方向断面領域は第1の横方向断面領域の15%〜50%の間にある。さらにもう一つの態様では、第2の横方向断面領域は第1の横方向断面領域の20%〜40%の間にある。別の態様では、第2の横方向断面領域は第1の横方向断面領域の25%〜40%の間にある。
【0047】
本明細書中に用いられる範囲は、範囲の中の各値およびすべての値を記載することの短縮形として用いられる。範囲の中のいかなる値も、範囲の終点として選ばれることができる。また、この中のすべての引用文献は、参考として全体が本明細書に導入される。本明細書の定義と引用文献のそれとが矛盾する場合は、本明細書の記載が優先する。
【0048】
本発明が本発明を実施する好ましい態様を含む特定の実施例に関して説明したが、当業者は上記システムおよび技術の多くの変形と置換が存在すると理解するだろう。他の態様が使用されてもよく、構造的かつ機能的修正が本発明の要旨を逸脱しない範囲でなされてもよいと理解されるべきである。従って、本発明の精神および範囲は添付の請求項に記載したように広く解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0049】
100…歯ブラシ
102…歯ブラシ・ヘッド
101…細長い本体
104…ハンドル
108…歯クリーニング要素
111…前露出表面
112…背露出表面
120…くぼみ
130…貫通口
【国際調査報告】