(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-513635(P2016-513635A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(54)【発明の名称】低濃度抗体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20160411BHJP
A61K 47/34 20060101ALI20160411BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20160411BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20160411BHJP
A61K 47/42 20060101ALI20160411BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20160411BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20160411BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20160411BHJP
【FI】
A61K39/395 M
A61K47/34
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/42
A61K47/22
A61K47/12
A61K9/08ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-562515(P2015-562515)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月30日
(86)【国際出願番号】IB2014059757
(87)【国際公開番号】WO2014141152
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】61/787,709
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ナンバー2、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY NO.2 LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100182992
【弁理士】
【氏名又は名称】江島 孝毅
(72)【発明者】
【氏名】クロッツ,ジョージ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】モラー−ミトリカ,ソリナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC06
4C076CC07
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4C076CC21
4C076DD09F
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4C076EE41S
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4C085AA03
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE05
4C085GG01
(57)【要約】
本発明は、低濃度の治療用タンパク質のための製剤および該製剤を製造する方法を対象とする。ある態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)界面活性剤;ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比が少なくとも100である、を含む該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。別の態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)抗酸化剤を含み、ここで該治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比が少なくとも750である、該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)界面活性剤;ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比が少なくとも100である、を含む該治療用タンパク質のための製剤。
【請求項2】
前記の治療用タンパク質に対する界面活性剤のモル比が、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、および少なくとも500からなる群より選択される、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
前記の治療用タンパク質に対する界面活性剤のモル比が約545である、請求項1または2記載の製剤。
【請求項4】
前記界面活性剤が、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80、ポリソルベート-85、ポロキサマー88、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤がc)抗酸化剤をさらに含み、ここで前記治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比が少なくとも750である、請求項1〜4のいずれか1項記載の製剤。
【請求項6】
前記の治療用タンパク質に対する抗酸化剤のモル比が、少なくとも5500、少なくとも6000、少なくとも6500、および少なくとも7000からなる群より選択される、請求項5記載の製剤。
【請求項7】
前記の治療用タンパク質に対する抗酸化剤のモル比が約7143である、請求項5または6記載の製剤。
【請求項8】
前記抗酸化剤が、メチオニン、システイン、グルタチオン、およびモノチオグリセロールからなる群より選択される、請求項5〜7のいずれか1項記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤がd)緩衝液をさらに含み、ここで前記製剤のpHが約4.0〜約8.0である、請求項1〜8のいずれか1項記載の製剤。
【請求項10】
前記緩衝液が、ヒスチジン、酢酸塩、クエン酸塩、およびコハク酸塩からなる群より選択される、請求項9記載の製剤。
【請求項11】
前記治療用タンパク質が抗原結合性タンパク質である、請求項1〜10のいずれか1項記載の製剤。
【請求項12】
前記抗原結合性タンパク質が抗体またはその断片である、請求項11記載の製剤。
【請求項13】
前記抗原結合性タンパク質が免疫グロブリン単一可変ドメインである、請求項11記載の製剤。
【請求項14】
前記抗原結合性タンパク質がヒトCD3に結合する、請求項11記載の製剤。
【請求項15】
前記の抗原結合性ポリペプチドが抗-CD3抗体である、請求項14記載の製剤。
【請求項16】
前記抗-CD3抗体が、配列番号1を含む重鎖および配列番号2を含む軽鎖を含む、請求項15記載の製剤。
【請求項17】
前記治療用タンパク質が約0.01 mg/mL〜約1 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜16のいずれか1項記載の製剤。
【請求項18】
前記治療用タンパク質が約0.1 mg/mL〜約0.5 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜17のいずれか1項記載の製剤。
【請求項19】
前記治療用タンパク質が約0.2 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜18のいずれか1項記載の製剤。
【請求項20】
前記製剤が再構成された製剤である、請求項1〜19のいずれか1項記載の製剤。
【請求項21】
前記製剤が液体医薬製剤である、請求項1〜20のいずれか1項記載の製剤。
【請求項22】
前記製剤が非経口投与に適したものである、請求項1〜21のいずれか1項記載の製剤。
【請求項23】
治療用タンパク質のための製剤であって、以下a)〜d):a)治療用タンパク質;およびb)約0.01%w/v〜約0.5%w/vの界面活性剤、ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比が少なくとも100である;c)約1 mM〜約50 mMの抗酸化剤、ここで治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比が少なくとも750である;およびd)約1 mM〜約100 mMの緩衝液を含み、ここで上記製剤のpHが約4.0〜約8.0である、上記製剤。
【請求項24】
前記治療用タンパク質が抗体であり、前記界面活性剤がポリソルベート80であり、前記抗酸化剤がメチオニンであり、かつ前記緩衝液がヒスチジンである、請求項23記載の製剤。
【請求項25】
前記抗体が約0.2 mg/mLの濃度で存在する、請求項24記載の製剤。
【請求項26】
前記製剤が約0.01 mM〜約1.0 mMのEDTAをさらに含む、請求項1〜25のいずれか1項記載の製剤。
【請求項27】
前記製剤が約0.01 mM〜約0.1 mMのEDTAを含む、請求項26記載の製剤。
【請求項28】
前記製剤が約0.05 mMのEDTAを含む、請求項27記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用タンパク質のための製剤の分野に関する。より具体的には、本発明は低濃度の治療用タンパク質のための製剤、および該製剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
さらなる操作を行うことなく臨床投与を実施できる状態にある多数のバイオ医薬品が製剤化されかつ提供されているが、多くの製品は看護師、薬剤師、または医師による様々な程度の取扱いを必要とする。取扱いおよび投与の間は、タンパク質の物理的および化学的安定性が維持されていなければならない。安定性の喪失は、タンパク質製剤が静脈注射用(i.v.)溶液で低濃度まで希釈され、その結果賦形剤濃度が低下して本来の薬品製剤の組成および特性が変更された場合に生じる可能性がある。バイオ医薬製品をi.v.経路により送達する場合、タンパク質特性、製剤組成、送達すべき活性産物の濃度、希釈剤の選択、接触面、ならびに注入の時間および速度を含む幾つかの要素を考慮しなければならない。接触面は、タンパク質がそれらの両親媒性の性質により界面で吸着する傾向にあるため、特に興味深い。注射器ならびにi.v.注入容器およびラインへの多様なプラスチックポリマーの広範囲に及ぶ使用のため、吸着によるタンパク質損失のリスクが特に低濃度(<0.5 mg/mL)で大きい。従って、特に低用量製品のための薬品開発時には、フィルター、容器、注射器、およびチューブへの吸着に起因するタンパク質損失について調査し、かつこれに取り組まなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、低濃度治療用タンパク質に適した製剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
ある態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)界面活性剤;ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比は少なくとも100である、を含む該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。
【0005】
別の態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)抗酸化剤を含み、ここで該治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比は少なくとも750である、該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、Poros A-HPLC分析により判定した、平均回収率(%)の結果を示したものである。
【
図2】
図2は、Poros A-HPLC分析により判定した、平均回収%を示したものである。
【
図3】
図3は、種々の抗酸化剤と共に製剤化し、かつ40℃で2週間保存したmAbサンプルに対する非還元SDS-PAGEを示したものである(抗酸化剤を含有する各サンプルにおいて観察された差異をより上手く説明するために、種々のゲル由来のレーンを組み合わせた)。
【
図4】
図4は、5℃および25℃で6ヶ月間保存したmAb安定性サンプルC(界面活性剤および2種の抗酸化剤の組み合わせを含有)、G(界面活性剤のみを含有)、ならびにH(賦形剤不含対照)の酸化傾向を示したものである。
【
図5】
図5は、オテリキシズマブ重鎖アミノ酸配列(配列番号1)を示したものである。
【
図6】
図6は、オテリキシズマブ軽鎖アミノ酸配列(配列番号2)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物系に限定されるものではなく、それらは当然変化しうることを理解されたい。同様に、本明細書中で使用した用語は単に特定の実施形態を説明するためのものであって、限定を意図したものではないことも理解されたい。本明細書および添付した特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに他の意味を指している場合を除き、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「糖(a sugar)」への言及は、2つ以上の糖の組み合わせなどを含む。
【0008】
本明細書中で使用する「約」は、測定可能な値、例えば量、時間的期間などに言及している場合、指定値からの±20%または±10%、例えば±5%、±1%、および±0.1%の変動が開示方法を実施する上で適切であることから、かかる変動を包含することを意図している。
【0009】
他に定義しない限り、本明細書中で使用する全ての技術的および化学的用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されている方法および材料と類似した、または等価な方法および材料はいずれも本発明の試験のための実施に際して使用することができるが、好適な材料および方法は本明細書中に記載されている。本発明を説明しかつ権利を主張する際には、下記用語を使用する。
【0010】
ある態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)界面活性剤;ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比は少なくとも100である、を含む該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。
【0011】
ある特定の実施形態においては、前記の治療用タンパク質に対する界面活性剤のモル比は、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、および少なくとも500からなる群より選択される。ある実施形態においては、前記の治療用タンパク質に対する界面活性剤のモル比は約545である。
【0012】
ある特定の実施形態においては、前記界面活性剤は、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80、ポリソルベート-85、ポロキサマー188、およびそれらの混合物からなる群より選択される。ある実施形態においては、前記製剤は、約0.01%w/v〜約0.5%w/vの界面活性剤を含む。ある実施形態においては、約0.1%w/v、約0.2%w/v、約0.3%w/v、約0.4%w/v、または約0.5%w/vの界面活性剤である。ある実施形態においては、前記製剤は約0.1%w/vのポリソルベート80を含む。
【0013】
ある態様においては、本発明は、以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)抗酸化剤、ここで該治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比は少なくとも750である、を含む該治療用タンパク質のための製剤を対象とする。
【0014】
ある特定の実施形態においては、前記の治療用タンパク質に対する抗酸化剤のモル比は、少なくとも1000、少なくとも1250、少なくとも1500、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、少なくとも3500、少なくとも4000、少なくとも4500、少なくとも5000、少なくとも5500、少なくとも6000、少なくとも6500、および少なくとも7000からなる群より選択される。ある実施形態においては、前記の治療用タンパク質に対する抗酸化剤のモル比は約7143である。ある特定の実施形態においては、前記抗酸化剤は、メチオニン、システイン、グルタチオン、およびモノチオグリセロールからなる群より選択される。他の実施形態においては、前記抗酸化剤は金属キレート剤である。金属キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩(「EDTA」)、エチレングリコール四酢酸(「EGTA」)、チアミンテトラヒドロフルフリルジスルフィド(「TTFD」)、および2,3-ジメルカプトコハク酸(「DMSA」)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態においては、前記製剤は約1 mM〜約50 mMの抗酸化剤を含む。ある実施形態においては、前記製剤は、約5 mM、約10 mM、約15 mM、約20 mM、約25 mM、約30 mM、約35 mM、約40 mM、または約45 mMの抗酸化剤を含む。ある実施形態においては、前記製剤は約10 mMのメチオニンを含む。
【0015】
ある特定の実施形態においては、前記製剤は緩衝液をさらに含み、この際、該製剤のpHは約4.0〜約8.0である。ある特定の実施形態においては、前記製剤のpHは、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.2、約7.5、または約8.0である。ある実施形態においては、該緩衝液は、ヒスチジン、酢酸塩、コハク酸塩、およびクエン酸塩からなる群より選択される。ある特定の実施形態においては、前記製剤は約1 mM〜約100 mMの緩衝液を含む。ある実施形態においては、前記製剤は、約10 mM、約20 mM、約30 mM、約40 mM、約50 mM、約60 mM、約70 mM、約80 mM、約90 mM、または約100 mMの緩衝液を含む。ある実施形態においては、前記製剤は約20 mMのヒスチジンをpH約6.5で含む。
【0016】
ある特定の実施形態においては、前記治療用タンパク質は抗原結合性タンパク質である。ある実施形態においては、該抗原結合性タンパク質は抗体またはその断片である。ある実施形態においては、該抗原結合性タンパク質は免疫グロブリン単一可変ドメインである。ある実施形態においては、該抗原結合性タンパク質はヒトCD3に結合する。ある実施形態においては、この抗原結合性ポリペプチドは抗-CD3抗体である。ある実施形態においては、該抗-CD3抗体は、配列番号1を含む重鎖および配列番号2を含む軽鎖を含む。
【0017】
ある特定の実施形態においては、前記治療用タンパク質は、約0.01 mg/mL〜約1 mg/mLの濃度で存在する。ある実施形態においては、前記治療用タンパク質は、約0.1 mg/mL〜約0.5 mg/mLの濃度で存在する。ある実施形態においては、前記治療用タンパク質は約0.2 mg/mLの濃度で存在する。
【0018】
ある実施形態においては、前記製剤は再構成された製剤である。ある実施形態においては、前記製剤は液体医薬製剤である。ある実施形態においては、前記製剤は非経口投与に適したものである。
【0019】
ある態様においては、本発明は、治療用タンパク質のための製剤であって、以下a)〜d):a)治療用タンパク質;およびb)約0.01%w/v〜約0.5%w/vの界面活性剤、ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比は少なくとも100である;c)約1 mM〜約50 mMの抗酸化剤、ここで治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比は少なくとも750である;およびd)約1 mM〜約100 mMの緩衝液を含み、ここで上記製剤のpHは約4.0〜約8.0である、上記製剤を対象とする。
【0020】
ある実施形態においては、前記製剤は約0.01 mM〜約1.0 mMのEDTAをさらに含む。ある特定の実施形態においては、前記製剤は、約0.05 mM、約0.1 mM、約0.15 mM、約0.2 mM、0.25 mM、約0.3 mM、約0.35 mM、約0.4 mM、0.45 mM、約0.5 mM、約0.55 mM、約0.6 mM、0.65 mM、約0.7 mM、約0.75 mM、約0.8 mM、約0.85 mM、約0.9 mM、約0.95 mM、または約1.0 mMのEDTAを含む。ある実施形態においては、前記製剤は約0.05 mMのEDTAを含む。
【0021】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書において、アミノ酸残基のポリマーを言及するために、互換的に用いられる。ポリペプチドは、天然(組織由来の)起源、組換え又は原核若しくは真核細胞調製物由来の天然発現、又は合成法により化学的に生産されるものであり得る。該用語は、一以上のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマーに適用される。アミノ酸模倣物は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と同様の方法で機能する化学化合物を指す。非天然残基は、科学文献及び特許文献において十分に記載されている;天然アミノ酸残基の模倣物として有用なわずかな例示的な非天然成分及びガイドラインが以下に記載される。芳香族アミノ酸の模倣物は、例えば、D-又はL-ナフィルアラニン(naphylalanine);D-又はL-フェニルグリシン;D-又はL-2チエネイルアラニン(thieneylalanine);D-又はL-1,-2,3-又は4-ピレネイルアラニン(pyreneylalanine);D-又はL-3チエネイルアラニン(thieneylalanine);D-又はL-(2-ピリジニル)-アラニン;D-又はL-(3-ピリジニル)-アラニン;D-又はL-(2-ピラジニル)-アラニン;D-又はL-(4-イソプロピル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルグリシン;D-(トリフルオロメチル)-フェニルアラニン;D-p-フルオロ-フェニルアラニン;D-又はL-p-ビフェニルフェニルアラニン;K-又はL-p-メトキシ-ビフェニルフェニルアラニン;D-又はL-2インドール(アルキル)アラニン;及びD-又はL-アルキルアラニン(alkylalanine)によって置換することによって作製され得、ここでアルキルは置換されたか又は未置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、イソ-ブチル、2級-イソチル(isotyl)、イソ-ペンチル、又は非酸性アミノ酸であり得る。非天然アミノ酸の芳香環として、例えば、チアゾイル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、及びピリジル芳香環が挙げられる。
【0022】
本明細書で用いられる「ペプチド」は、本明細書にて具体的に例示されるペプチドの保存的変異であるペプチドを含む。本明細書で用いられる「保存的変異」は、別の生物学的に類似する残基によるアミノ酸残基の置換を意味する。保存的変異の例として、限定されるものではないが、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、システイン、グリシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、ノルロイシン、又はメチオニン等の一つの疎水性残基を別の疎水性残基で置換すること、又はアルギニンのリジンでの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸での置換、若しくはグルタミンのアスパラギンでの置換等の一つの極性残基を別の極性残基で置換すること等が挙げられる。互いに置換可能である中性親水性アミノ酸として、アスパラギン、グルタミン、セリン、及びスレオニンが挙げられる。「保存的変異」はまた、その置換ポリペプチドに対して産生された抗体が、非置換ポリペプチドとも免疫反応を起こす限り、非置換の親アミノ酸の代わりに置換アミノ酸を用いることも含む。そのような保存的置換は、本発明のペプチドのクラスの定義の範囲内である。本明細書で用いられる「カチオン性」とは、pH7.4にて正味の正電荷を有するいずれのペプチドをも意味する。ペプチドの生物活性は、当業者に公知であり、本明細書に記載される標準的な方法によって測定することができる。
【0023】
「組換え」とは、タンパク質に関連して用いられる場合、異種核酸若しくはタンパク質の導入によって、又は天然核酸若しくはタンパク質の変化によって修飾されたタンパク質を指す。
【0024】
本明細書で用いられる「治療タンパク質」は、哺乳動物に投与されて、例えば研究者若しくは医師が求めている組織、系、動物、若しくはヒトの生物学的又は医学的応答を惹起することができるあらゆるタンパク質及び/又はポリペプチドを指す。治療タンパク質は、2つ以上の生物学的又は医学的応答を引き起こし得る。さらに、用語「治療有効量」は、そのような量を受けていない対応する被験者と比較して、限定されるものではないが、疾患、障害、若しくは副作用の治癒、予防、若しくは寛解、又は疾患若しくは障害の進行速度の低下をもたらす、いかなる量をも意味する。この用語はまた、正常な生理学的機能の向上に有効である量、ならびに第二の医薬剤の治療効果を向上又は補助する患者の生理学的機能を引き起こすのに有効である量もその範囲内に含む。
【0025】
本明細書において特定される全ての「アミノ酸」残基は、天然のL‐配置である。標準的なポリペプチド命名法に従って、アミノ酸残基に対する略語を以下に示す。
【0026】
全てのアミノ酸残基配列は、本明細書において、その左から右への配向が慣例的なアミノ末端からカルボキシ末端への方向である式によって表されることには留意されたい。
【0027】
他の実施形態では、ポリペプチドは、抗原結合ポリペプチドである。一実施形態では、抗原結合ポリペプチドは、可溶性受容体、抗体、抗体断片、免疫グロブリン単一可変ドメイン、Fab、F(ab')2、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、閉鎖コンフォメーションの多重特異性抗体、ジスルフィド結合scFv、又は二重特異性抗体からなる群より選択される。
【0028】
本明細書で用いられる用語「抗原結合ポリペプチド」は、抗体、抗体断片、及び抗原に結合する能力を有するその他のタンパク質構築物を指す。
【0029】
用語「Fv、Fc、Fd、Fab、又はF(ab)2」は、これらの標準的な意味で用いられる(例えば、Harlow et al., Antibodies A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)参照)。
【0030】
「キメラ抗体」は、ドナー抗体由来の天然の可変領域(軽鎖及び重鎖)を、アクセプター抗体由来の軽鎖及び重鎖定常領域と合わせて含む、遺伝子操作された抗体の種類を指す。
【0031】
「ヒト化抗体」は、非ヒトドナー免疫グロブリン由来のCDRを有し、分子の残りの免疫グロブリン由来部分は、一つ(以上)のヒト免疫グロブリン由来である遺伝子操作された抗体の種類を指す。加えて、フレームワーク支持残基(framework support residues)は、結合親和性を保存するために、改変されてよい(例えば、Queen et al., Proc. Natl. Acad Sci USA, 86:10029-10032 (1989)、Hodgson et al., Bio/Technology, 9:421 (1991)を参照)。適切なヒトアクセプター抗体は、従来のデータベース、例えば、KABAT.RTM.データベース、Los Alamosデータベース、及びSwiss Proteinデータベースより、ドナー抗体のヌクレオチド及びアミノ酸配列に対する相同性によって選択され得る。ドナー抗体のフレームワーク領域に対する相同性(アミノ酸に基づく)によって特徴付けられるヒト抗体は、ドナーCDRの挿入のための重鎖定常領域及び/又は重鎖可変フレームワーク領域を提供するのに適切であり得る。軽鎖定常又は可変フレームワーク領域を提供することができる適切なアクセプター抗体は、同様の方法で選択することができる。アクセプター抗体重鎖及び軽鎖が、同じアクセプター抗体に由来する必要はないことには留意されたい。先行文献には、そのようなヒト化抗体作製のためのいくつかの方法が記載されており、例えば、欧州特許第0239400A号及び欧州特許第054951A号を参照されたい。
【0032】
用語「ドナー抗体」は、その可変領域、CDR、若しくはその他の機能性断片、又はそれらのアナログのアミノ酸配列を、第一の免疫グロブリンパートナーへ与え、それによって、改変免疫グロブリンコード領域を提供し、及びその結果として、ドナー抗体に特徴的である抗原特異性及び中和活性を有する改変抗体の発現を提供する抗体(モノクローナル及び/又は組換え)を指す。
【0033】
用語「アクセプター抗体」は、ドナー抗体に対して異種であり、その重鎖及び/若しくは軽鎖フレームワーク領域、ならびに/又はその重鎖及び/若しくは軽鎖定常領域をコードするアミノ酸配列のすべて(又はいずれかの部分であるが、いくつかの実施形態ではすべて)を、第一の免疫グロブリンパートナーへ与える抗体(モノクローナル及び/又は組換え)を指す。特定の実施形態では、ヒト抗体は、アクセプター抗体である。
【0034】
「CDR」は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域である、抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される(例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th Ed., U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照されたい)。免疫グロブリンの可変部分には、3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR(又はCDR領域)が存在する。したがって、本明細書で用いられる場合、「CDR」は、3つの重鎖CDRすべて、又は3つの軽鎖CDRすべて(又は、適当な場合、すべての重鎖CDR及びすべての軽鎖CDRの両方)を意味する。抗体の構造及びタンパク質フォールディングは、他の残基が抗原結合領域の一部と見なされることを意味し得、当業者にはそのように理解されるであろう。例えば、Chothia et al., (1989) Conformations of immunoglobulin hypervariable regions、 Nature 342, p 877-883、を参照されたい。
【0035】
本明細書で用いられる場合、用語「ドメイン」は、タンパク質の残りの部分とは独立した三次構造を有するフォールドされたタンパク質構造を指す。一般的に、ドメインは、タンパク質の別々の機能特性を担っており、多くの場合、タンパク質及び/又はそのドメインの残りの機能を喪失することなく、付加、除去、又は他のタンパク質へ転移され得る。「抗体単一可変ドメイン」は、抗体可変ドメインに特徴的な配列を含むフォールドされたポリペプチドドメインである。従って、それは、完全な抗体可変ドメイン、及び修飾可変ドメイン、例えば、一つ以上のループが抗体可変ドメインに特徴的ではない配列によって置き換えられたもの、又は、切断された、又はN末端若しくはC末端伸長を含む抗体可変ドメイン、ならびに少なくとも完全長ドメインの結合活性及び特異性を維持する可変ドメインのフォールドされた断片を含む。
【0036】
語句「免疫グロブリン単一可変ドメイン」は、異なるV領域又はドメインとは独立して、抗原又はエピトープと特異的に結合する抗体可変ドメイン(V
H、V
HH、V
L)を意味する。免疫グロブリン単一可変ドメインは、他の異なる可変領域又は可変ドメインとのフォーマット(例えば、ホモダイマー又はヘテロマルチマー)として存在し得、ここで、他の領域又はドメインは、単一免疫グロブリン可変ドメインによる抗原結合に必要ではない(すなわち、免疫グロブリン単一可変ドメインは、追加の可変ドメインとは独立して抗原と結合する)。「ドメイン抗体」又は「dAb」は、その用語が本明細書にて用いられる場合、抗原と結合することができる「免疫グロブリン単一可変ドメイン」と同じである。免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒト抗体可変ドメインであり得るが、(例えば、国際公開第00/29004号に開示される)げっ歯類、コモリザメ、及びラクダ科(Camelid)V
HHdAb(ナノボディ)等、他の種由来の単一抗体可変ドメインも含む。ラクダ科V
HHは、元々軽鎖のない重鎖抗体を産生するラクダ、ラマ、アルパカ、ヒトコブラクダ、及びグアナコを含む種由来である免疫グロブリン単一可変ドメインポリペプチドである。かかるV
HHドメインは、本技術分野で利用可能である標準的な技術に従ってヒト化することができ、かかるドメインは、依然として、本発明において「ドメイン抗体」とみなされる。本明細書で用いられる場合、V
Hは、ラクダ科V
HHドメインを含む。NARVは、コモリザメを含む軟骨魚類中にて同定された別の種類の免疫グロブリン単一可変ドメインである。これらのドメインは、新規抗原受容体可変領域(Novel Antigen Receptor variable region)(一般的に、V(NAR)又はNARVと略される)としても知られる。さらなる詳細については、Mol. Immunol. 44, 656-665 (2006)及び米国特許出願第20050043519A号を参照されたい。
【0037】
用語「エピトープ結合ドメイン」は、異なるV領域又はドメインとは独立して、抗原又はエピトープと特異的に結合するドメインを指し、これは、ドメイン抗体(dAb)、例えばヒト、ラクダ科、又はサメ免疫グロブリン単一可変ドメインであってよい。
【0038】
本明細書で用いられる場合、用語「抗原結合部位」は、抗原と特異的に結合することができるタンパク質上の部位を意味し、これは、単一ドメイン、例えばエピトープ結合ドメインであり得、又はこれは、標準的な抗体上で見ることができる対となったV
H/V
Lドメインであってもよい。本発明のいくつかの態様では、一本鎖Fv(ScFv)ドメインは、抗原結合部位を提供することができる。
【0039】
用語「mAbdAb」及び「dAbmAb」は、本発明の抗原結合タンパク質を指すために本明細書で用いられる。これら2つの用語は、互換的に用いられ得、本明細書で用いられる場合、同じ意味を有することを意図している。
【0040】
別の実施形態においては、前記製剤は追加の賦形剤をさらに含む。「賦形剤」としては、限定するものではないが、安定剤、例えば、ヒト血清アルブミン(hsa)、ウシ血清アルブミン(bsa)、α-カゼイン、グロブリン、α-ラクトアルブミン、LDH、リゾチーム、ミオグロビン、オボアルブミン、RNアーゼA;緩衝剤、例えば、クエン酸、HEPES、ヒスチジン、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム(KH
2PO
4)、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(NAH
2PO
4)、Tris塩基、およびTris-HCl;アミノ酸/代謝産物、例えば、グリシン、アラニン(α-アラニン、β-アラニン)、アルギニン、ベタイン、ロイシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、サルコシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、オピン(アラノピン、オクトピン、ストロンビン)、およびトリメチルアミンN-オキシド(TMAO);界面活性剤、例えば、ポリソルベート20および80、ならびにポロキサマー407:脂質分子、例えば、ホスファチジルコリン、エタノールアミン、およびアセチルトリプトファナート:ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリビニルピロリドン(PVP)10、24、40;低分子量の賦形剤、例えば、アラビノース、セロビオース、エチレングリコール、フルクトース、フコース、ガラクトース、グリセリン/グリセロール、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マルトトリオース、マンノース、メリビオース、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、オクツロース、プロピレングリコール、ラフィノース、リボース、スクロース、トレハロース、キシリトール、およびキシロース;ならびに高分子量の賦形剤、例えば、セルロース、β-シクロデキストリン、デキストラン(10 kd)、デキストラン(40 kd)、デキストラン(70 kd)、フィコール、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ヒドロキシエチルデンプン、マルトデキストリン、メトセル、peg (6 kd)、ポリデキストロース、ポリビニルピロリドン(PVP) k15(10 kd)、PVP(40 kd)、PVP k30(40 kd)、PVP k90(1000 kd)、セファデックスG 200、およびデンプン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システインHCl、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、およびグルタチオン;還元剤、例えば、システインHCl、ジチオトレイトール、および他のチオールまたはチオフェン;キレート剤、例えば、EDTA、EGTA、グルタミン酸、およびアスパラギン酸;無機塩/金属、例えば、Ca
2+、Ni
2+、Mg
2+、Mn
2+、Na
2SO
4、(NH
4)
2SO
4、Na
2HPO
4/NaH
2PO
4、K
2HPO
4/KH
2PO
4、MgSO
4、およびNaF;有機塩、例えば、酢酸Na、ポリエチレンNa、カプリン酸Na(オクタン酸Na)、プロピオン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、およびクエン酸塩;有機溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(dmso)、およびエタノールが挙げられる。
【0041】
ある実施形態においては、前記製剤を約4.0〜約8.0のpHに製剤化する。ある実施形態においては、前記製剤を約6.5のpHに製剤化する。ある実施形態においては、前記製剤は約10 mM〜約50 mMのヒスチジンを含む。ある実施形態においては、前記製剤は約20 mMのヒスチジンを含む。
【0042】
前記治療用タンパク質を安定させるために使用する薬剤は、前記の製剤過程の任意の段階で添加することができる。例えば、前記の緩衝液、治療用タンパク質の前、後、もしくはそれらと同時に、または任意の賦形剤と共に添加することができる。
【0043】
本発明の製剤は、全身投与を含む任意の適切な投与経路により投与してもよい。全身投与としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸内投与、および吸入による投与が挙げられる。非経口投与とは経腸、経皮、または吸入によるもの以外の投与経路を指しており、また典型的には注射または注入によるものをいう。非経口投与としては、静脈内、筋肉内、および皮下への注射または注入が挙げられる。吸入とは、口から吸入されるか鼻腔から吸入されるかにかかわらず、患者の肺への投与を指す。
【0044】
本発明は、本発明の方法のいずれかにより製造された安定な製剤もまた対象とする。
(実施例)
【実施例1】
【0045】
実施例1--オテリキシズマブは低濃度-低用量mAbである
オテリキシズマブは、そのFcドメイン内にグリコシル化部位を持たない、ヒトCD3に対するヒト化mAb(IgG1)である。臨床用量(1日当たり0.1〜0.5 mg)の正確な調製および投与を容易にするため、この薬品を、様々な1日量に対応する種々のバイアル単位表示を用いて0.2 mg/mLの濃度で作成した。該用量の投与には、等張0.9%食塩水(生理食塩水)を含有するi.v.バッグ中での前記mAbの希釈と、標準的な注入ポンプによる全バッグ内容物の送達が必要であった。この投薬方法により、i.v.バッグ中のタンパク質濃度は2μg/mLという低さになった。直接的な結果としては、有意なタンパク質損失のリスクが非常に高かった。こうした理由から、商業的に関連のあるi.v.投与セットを用いた短期間の安定性および適合性試験を実施することにより、既存製品の投与の実行可能性を評価するだけでなく、提案した希釈および投与設計の意図を支持するであろう代替製剤を開発した。
【実施例2】
【0046】
実施例2--使用時安定性試験中の許容できないmAb損失の評価
ヒスチジン緩衝液のみからなる前記の0.2 mg/mL製剤の投与の実行可能性を評価するために、市販のi.v.投与セットを使用して安定性試験を実行した。目標用量(0.1 mg)と同等の薬品量をi.v.生理食塩水バッグに添加してから、この希釈した製品の安定性を評価した。吸着による潜在的なタンパク質損失を最小限に抑えるために25または50 mLという比較的少ない生理食塩水量を選択したところ、i.v.バッグにおける活性濃度はそれぞれ4および2μg/mLとなった。さらに、2つの異なる種類の材料(ポリオレフィンPO、およびポリ塩化ビニルPVC)で構成されているi.v.バッグについて評価した。該バッグを研究室の作業台に設置し、周囲温度および照明条件に曝露した。各試験構成に対して3セットのバッグを調製した:バッグ1は初期条件の試験としての役割を果たし、バッグ2は保留(hold)を表し、またバッグ3は、インラインフィルターを備えたi.v.ライン(B. Braun Horizon Pump Filtered i.v.セット)を通じてのタンパク質溶液の臨床的調製および注入をシミュレートするために使用した。該バッグは二重に調製しかつ試験した。i.v.バッグ調製直後(i.v.バッグ中0時間保留)、およびi.v.バッグ中での2時間保留の後にサンプルを採集して試験を行った。追加のサンプルは、前記i.v.ラインを通じての2時間注入の後に採集した。ポリソルベート80(PS80)を全ての保持サンプルに0.001%の最終濃度で添加することにより、採集用チューブ内での吸着による損失を予防した。平均回収率(%)結果はPoros A-HPLC分析により測定した。回収は前記バッグ中の目的物濃度に基づいて算出し、また報告値は2つの異なる調製物の平均値とした。
【0047】
Poros A-HPLC分析により測定した平均回収率(%)結果を
図1にプロットした。全てのPOバッグにおける回収(23%〜88%の範囲)は、PVCバッグにおける回収(41%〜98%の範囲)より低い傾向にあった。全体としては、2時間の室温保存後の全試験系における損失は10%を優に上回っていた。さらに、前記製品をi.v.ラインおよびフィルターを通じて注入した場合、前記タンパク質の50%超がバッグの材料に関係なく失われた。
【実施例3】
【0048】
実施例3--投与中の吸着による損失に対する安定性を改善するためのi.v.バッグ中の界面活性剤濃度の最適化
ヒスチジン緩衝液のみで製剤化されたmAbの投与時の許容できないタンパク質回収を理由に、界面活性剤ポリソルベート80(PS80)の前記製剤への組み入れがその用量の90%以上の送達を可能にしうるか否かを判定するために第2試験を実施した。従って、0.1 mgのタンパク質の調製および注入について、50 mLの生理食塩水を含有するPOバッグを、インラインフィルターを備えたi.v.ラインと組み合わせて使用して試験した(2μg/mL mAb)。初期の結果は、PVCバッグでの回収と比較した場合のPOバッグでのより低い回収を示しており、このことはPOバッグが許容しうるタンパク質回収を実証するためのより困難な障害でありうることを示しているので、このPOバッグのみを調べた。
【0049】
同様の実験計画を、この第2試験で次の通りに使用した:0.2 mg/mLの濃度でありかつ様々な濃度のPS80(0.02、0.05、0.1、および0.3%w/v)を含有するmAbストック溶液を新たに調製し、さらに先に記載したようにi.v.注入バッグ(POのみ)に添加した。このi.v.生理食塩水バッグ中の最終mAb濃度は2μg/mLであり、また最終界面活性剤濃度は0.0002、0.0005、0.001、および0.003%であった。追加のPS80を(少なくとも0.001%の最終濃度まで)分析前に全サンプルに添加した。試験したi.v.ラインは、フィルターを備えたBaxter Continu-Flo Solution Setであった。mAb濃度は、初期、およびi.v.バッグ中での2時間保留または選択したi.v.ラインを通じての注入の後に測定した。回収結果はPoros A-HPLC分析により判定した。回収は前記バッグ中の目的物濃度に基づいて算出し、また報告値は2つの異なる調製物の平均値とした。
【0050】
Poros A-HPLC分析により判定した平均回収%を
図2にプロットした。試験条件に応じて、その測定値は66%〜105%となった。全ての試験PS80濃度における約95%のタンパク質回収が、2時間保留中のi.v.バッグにおいて観察された。従って、バッグ中0.0002%という低さのPS80濃度(薬品製剤中0.02%に相当)は、mAbの吸着媒介性の損失を抑制するのに十分であった。しかし、
図2に示すように、i.v.ラインおよびフィルター上でのさらなる有意な損失が認められる。界面活性剤濃度へのタンパク質損失全体の依存性は非線形であると考えられ、回収の90%近くが50 mL i.v.バッグ中0.001%(または製品中0.1%)以上のPS80濃度で達成された。
【実施例4】
【0051】
実施例4--PS80-含有製品の安定性:酸化リスクの評価
加速条件下のタンパク質安定性は従来、有効期間の予測を与えるためだけでなく、長期保存用の最適な製剤を選択するためにも、バイオ医薬品の開発時に利用されている。ここで、PS80-含有製剤の安定性を評価するため、具体的にはPS80が長期保存中に酸化的分解によりmAbの安定性に悪影響を及ぼしうるリスクを評価するために、40℃で短期(2週間)加速安定性試験を行った。
【0052】
ヒスチジン緩衝液で調製した様々なPS80ストック溶液を用いてmAb原薬を希釈することにより、目的の製剤を調製した。各バイアル中の最終mAb濃度は0.2 mg/mLであった。各試験条件を複数のガラスバイアルに等しく割り当て(aliquoted)、さらに該バイアルを40℃で2週間保存した。分析試験にはサイズ排除クロマトグラフィー(「SEC」)、キャピラリー等電点電気泳動(「cIEF」)、および質量分析法(「MS」)による分析を含めた。
【0053】
メチオニン残基の酸化は、MSを利用して検出できる、メチオニンスルホキシドの形成および16 Daの質量シフトをもたらす。MSを使用することにより、酸化および非酸化ペプチドの相対量を比較した。MSの結果は表1に記載されている。mAb対照サンプル(賦形剤不含緩衝液中)に関しては、試験したメチオニン残基における測定酸化%は11%という高さであった。界面活性剤が製剤中に存在する場合、2つの最も曝露されたメチオニン残基における有意に上昇したレベルのmAb酸化(最大30%)が観察された。酸化はさらに凝集および他の二次分解プロセスを引き起こす可能性があることから、この酸化%の上昇は長期安定性低下の前兆となる。
【0054】
【表1】
【実施例5】
【0055】
実施例5--選択した抗酸化剤の存在下でのPS80-含有製品の増大した安定性
提案した0.1%PS80含有製剤中のmAbの化学的安定性を改善するであろう賦形剤をスクリーニングするために、追加の研究をさらに行った。5つの異なる抗酸化剤(複数種のフリーラジカル捕捉剤および1種の金属キレート剤を含む)について試験した。
【0056】
目的の製剤は、ヒスチジン緩衝液で調製した、次の通りの様々な賦形剤ストック溶液:PS80(ポリソルベート80);Met(メチオニン);Cys(システイン);Glut(グルタチオン);MTG(モノチオグリセロール);EDTA(エデト酸二ナトリウム)を用いてmAb原薬を希釈することにより調製した。この製品バイアル中の最終抗酸化剤濃度は次の通り:5 mM Met、5 mM Cys、5 mM Glut、5 mM MTG、および1 mM EDTAであった。各バイアル中の最終mAb濃度は0.2 mg/mLであった。各試験条件を複数のガラスバイアルに等しく割り当て、さらに該バイアルを40℃で2週間保存した。分析試験にはcIEFおよびMSによる分析を含めた。
【0057】
表2に見られるように、抗酸化剤はいずれも前記界面活性剤の負の安定性影響を弱めることが可能であった。データは、メチオニンを含有する製剤において最も低い程度の酸化を示している。EDTAは、酸化を制御する点ではMetより有効性が低いと思われたが、それでもPS80-依存性酸化の程度を4倍近く有意に減少させた。
【0058】
表2にはキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)分析による電荷分析の結果も示されている。主%の最大値は、抗酸化剤を含有していない対照製剤に対して観察され、またMetまたはEDTAをさらに含むPS80-含有製剤に対しても観察された。cIEFを利用して評価したところ、最も安定性が低い製剤はCys、Glut、またはMTGを含有していた。
表2
0.1%PS80および様々な抗酸化剤を用いて製剤化した0.2 mg/mL mAbの安定性:バイアル中40℃で2週間保存した後のMSおよびcIEF分析の結果
【0059】
【表2】
【0060】
MS結果とcIEF結果との間の矛盾を説明する助けとするために、SDS-PAGE分析も実施した。Cys、Glut、またはMTGを含有する製剤に関する該SDS-PAGEの結果は、40℃で2週間保存したサンプルに関して、ジスルフィドシャッフリングによる化学的分解の兆候である、非還元ゲルにおけるバンドの有意なシフトを示した(
図3)。SDS-PAGEにより検出されたCys、Glut、またはMTGの存在下でのmAbの化学的不安定性は、cIEFによる酸性ピークの増加とよく相関していた(表2)。従って、MetおよびEDTAは製品中のジスルフィド結合パターンの破壊を示さないたった2つの被験抗酸化剤であり、またこれらは最適な抗酸化活性を有することが確認された。抗酸化剤を含有する製剤の総合的な製品安定性は、以下:Met>EDTA>>Cys、Glut、MTGのようにランク付けすることができる。
【実施例6】
【0061】
実施例6--再製剤化製品の長期安定性および機能的抗酸化剤レベルの確認
PS80、Met、およびEDTAを含有する0.2 mg/mL mAb製剤の長期および加速安定性を評価するために、開発的安定性試験(development stability study)を実施した。0〜40 mMに及ぶ一連の6つのMet濃度を含めた幅広い条件について試験した。EDTAレベルは、mAbに関する以前の経験に基づいて0.05 mMに固定した。全部で8種の製剤を安定した状態で設置した。試験した製剤の概要を表3に示す。製剤A〜Fには、固定レベルのEDTA(0.05 mM)およびPS80(0.1%)と共に0、5、10、15、20、および40 mMのMetを組み入れた。製剤GおよびHは、それぞれ、PS80(単独)および緩衝液のみ(賦形剤無し)の対照としての役割を果たした。各製剤を複数のガラスバイアルに等分して入れ、さらに該バイアルを冷蔵(2〜8℃、一次)および25℃(加速)条件で倒立させて保存した。各バイアル中のmAb濃度は0.2 mg/mLであった。分析的データ取得(analytical pulls)を1、2、3、および6ヶ月間計画し、その結果を初期と比較した。
表3
製剤開発的安定性試験の実験構成。各処方コードに関係する製剤組成を詳述する
【0062】
【表3】
【0063】
安定性に関する酸化レベルはMSを利用して測定した。表4は、タンパク質のトリプシン消化とその結果生じたペプチドのHPLC分離の後にMS定量化により決定したメチオニン残基の酸化レベルを列挙したものである。2〜8℃および25℃で6ヶ月間保存したサンプルC(PS80、Met、およびEDTA)、G(PS80単独)、ならびにH(賦形剤無し)の代表的な酸化傾向を
図4にプロットした。酸化は、初期には全サンプルにおいて(理論上)最も曝露されたメチオニン残基254(M254)で観察された。興味深いことに、サンプル間の差異が初期分析の時点で存在し、サンプルGおよびHは第2曝露メチオニン残基430(M430)で〜3%の酸化を示した。サンプルA〜Fは少なくとも1種の抗酸化剤(Met)を含有していたが、一方のサンプルGおよびHは含有していなかった;従って、これらのデータは保存時の安定性を表している可能性があるだけでなく、サンプルの調製および分析中の分解を反映している可能性もある。EDTAとMetの複合添加の保護効果は、両抗酸化剤が存在するサンプルB〜Fにおいて明らかであった。具体的には、2〜8℃および25℃で6ヶ月という期間にわたり、M254での酸化は低いままであり(≦4.1%)、M430では酸化は殆どまたは全く観察されなかった。これらのデータは、抗酸化剤を組み合わせることの有効性を証明するものである。
【0064】
EDTAを含有しMetを含まないサンプルAのMS分析は、様々な酸化機構の識別に役立った。サンプルAにおける酸化レベルは対照サンプルH(緩衝液単独)における酸化レベルよりわずかに低いままであり、かつ対照サンプルG(PS80)における酸化レベルよりはるかに低いままであったが、それらはEDTAに加えてMetを含有するサンプルB〜Fで測定された酸化レベルより高かった。対応するMS結果から以前の3つの仮説:1.酸化はPS80の非存在下でさえも分解経路である、2.酸化は冷蔵保存時に生じ、かつ上昇した保存温度では有意に加速する、3.PS80の添加は恐らくは過酸化物-および金属-依存性経路の両方を介して酸化的分解経路を加速させる、が裏付けられたため、対照サンプルG(PS80)とH(緩衝液、賦形剤無し)との比較はさらに決定的に重要であった。25℃で6ヶ月間保存したサンプルに関して収集したデータにより、酸化は予想通り、PS80対照製剤(G)において最高レベル(100%)に達することが示された。加えて、製剤(H)において検出された酸化レベルは、抗酸化剤の組み合わせを含有するサンプル(A〜F)における酸化レベルより有意に高かった。これらのデータは、2種の抗酸化剤Met(フリーラジカル捕捉剤)とEDTA(金属キレート剤)との組み合わせが酸化を本質的に予防すること、ならびにそのクエンチング機構が温度依存性ではないことを示している。
【0065】
表4
異なるレベルの界面活性剤、抗酸化剤、および金属キレート剤を含有する、様々な保存温度での6ヶ月間の保存後のオテリキシズマブ安定性サンプルA〜H中の様々なメチオニン残基について報告された、MS分析によるペプチドマッピングの結果。各処方コードに関係する製剤組成は表3に詳細に記載されている。
【0066】
【表4】
【実施例7】
【0067】
実施例7--低濃度/低用量オテリキシズマブ製剤の組成は、高界面活性剤レベルでの2種の抗酸化剤の独自の組み合わせである
下記表5は、低濃度オテリキシズマブ製剤(0.2 mg/mL)の組成と賦形剤機能の概要である。賦形剤のレベルおよび機能性は本製剤独自のものである。
【0068】
【表5】
【実施例8】
【0069】
実施例8--他の市販のmAb製剤との比較
他の市販のmAbと比較した場合、前記のオテリキシズマブの組成は高い賦形剤/mAb比(複数あり)を呈する。下記表6を参照されたい。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
界面活性剤-含有オテリキシズマブ製剤(0.2 mg/mL mAbおよび0.1%PS80)では、PS80/mAb比は約545である。比較すると、10 mg/mL mAbおよび0.22%PS80の濃度で製剤化されているエクリズマブ(ソリリス)は、その対応するPS80/mAb比は約25である。別のmAbであるリツキシマブでは、PS80濃度は0.07%である;従って、10 mg/mLの製品の場合、約8というPS80/mAb比を算出することができる。これらのケースのいずれにおいても、界面活性剤はモル過剰である;しかし、その過剰度は、オテリキシズマブに対して提案した比(545)よりもはるかに小さい。界面活性剤のかかる大モル過剰時には、該界面活性剤それ自体の純度および化学的安定性がmAb分子の安定性と相互に関連し合うため、それらを考慮する必要がある。
【0073】
試験した抗酸化剤-含有オテリキシズマブ製剤(0.2 mg/mL mAbおよび5 mM Met)では、Met/mAb比は約3,750であった。文献には、5という最適比がHER2 mAbに関して報告されている。また、Met/mAb比が約100である他の非経口バイオ医薬製剤の実例も存在する(フォリトロピンαおよびβ)。本発明者らの比は幾つかの市販製品に見出される比をはるかに上回っているが、本発明者らの製剤におけるより高いMet濃度は、高いPS80濃度と直接相関している可能性があり、その上高いPS80/mAb比とも相関している可能性がある。
【手続補正書】
【提出日】2015年11月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下a)およびb):a)治療用タンパク質;およびb)界面活性剤;ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比が少なくとも100である、を含む該治療用タンパク質のための製剤。
【請求項2】
前記の治療用タンパク質に対する界面活性剤のモル比が、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500および約545からなる群より選択される、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
前記界面活性剤が、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、ポリソルベート-60、ポリソルベート-65、ポリソルベート-80、ポリソルベート-85、ポロキサマー88、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記製剤がc)抗酸化剤をさらに含み、ここで前記治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比が少なくとも750である、請求項1〜3のいずれか1項記載の製剤。
【請求項5】
前記の治療用タンパク質に対する抗酸化剤のモル比が、少なくとも5500、少なくとも6000、少なくとも6500、少なくとも7000および約7143からなる群より選択される、請求項4記載の製剤。
【請求項6】
前記抗酸化剤が、メチオニン、システイン、グルタチオン、およびモノチオグリセロールからなる群より選択される、請求項4または5に記載の製剤。
【請求項7】
前記製剤がd)緩衝液をさらに含み、ここで前記製剤のpHが4.0〜8.0である、請求項1〜6のいずれか1項記載の製剤。
【請求項8】
前記緩衝液が、ヒスチジン、酢酸塩、クエン酸塩、およびコハク酸塩からなる群より選択される、請求項7記載の製剤。
【請求項9】
前記治療用タンパク質が抗原結合性タンパク質である、請求項1〜8のいずれか1項記載の製剤。
【請求項10】
前記抗原結合性タンパク質が抗体またはその断片、免疫グロブリン単一可変ドメイン、および抗-CD3抗体からなる群より選択され、前記抗-CD3抗体は配列番号1を含む重鎖および配列番号2を含む軽鎖を含む、請求項9記載の製剤。
【請求項11】
前記治療用タンパク質が0.01 mg/mL〜1 mg/mL、0.1 mg/mL〜0.5 mg/mLまたは0.2 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜10のいずれか1項記載の製剤。
【請求項12】
前記製剤が再構成された製剤である、および/または液体医薬製剤である、および/または非経口投与に適したものである、請求項1〜11のいずれか1項記載の製剤。
【請求項13】
治療用タンパク質のための製剤であって、以下a)〜d):a)治療用タンパク質;およびb)0.01%w/v〜0.5%w/vの界面活性剤、ここで該治療用タンパク質に対する該界面活性剤のモル比が少なくとも100である;c)1 mM〜50 mMの抗酸化剤、ここで治療用タンパク質に対する該抗酸化剤のモル比が少なくとも750である;およびd)1 mM〜100 mMの緩衝液を含み、ここで上記製剤のpHが4.0〜8.0である、上記製剤。
【請求項14】
前記治療用タンパク質が抗体であり、前記界面活性剤がポリソルベート80であり、前記抗酸化剤がメチオニンであり、かつ前記緩衝液がヒスチジンである、請求項13記載の製剤。
【請求項15】
前記製剤がさらに0.01 mM〜1.0 mMのEDTA、0.01 mM〜0.1 mMのEDTA、または0.05 mMのEDTAを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
【国際調査報告】