(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-514979(P2016-514979A)
(43)【公表日】2016年5月26日
(54)【発明の名称】X線不透過性要素を有する外科用スポンジおよび製造の方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20160422BHJP
A61L 31/00 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
A61F13/00 301S
A61L31/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-560155(P2015-560155)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月23日
(86)【国際出願番号】US2013034181
(87)【国際公開番号】WO2014133564
(87)【国際公開日】20140904
(31)【優先権主張番号】13/779,467
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】515234587
【氏名又は名称】ペイシェント・セイフティ・テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ブライアン・イー
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC16
4C081BC04
4C081CA041
4C081CF21
4C081DA04
4C081DA05
4C081DA06
4C081DC02
4C081DC14
4C081DC15
4C081EA02
4C081EA03
4C081EA04
(57)【要約】
外科用スポンジは、熱融着された少なくとも1本の細長のX線不透過性要素を有する吸収性材料のシートを備えている。このスポンジは、1本のX線不透過性材料がスポンジに固着された状態で維持され、X線透視撮影下における改良された視認性をもたらすことを確実にする特定の方法によって、折畳まれかつ縫込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性材料のシートと、
少なくとも1本のX線不透過性材料と、
を備え、
前記シートの2つの半体は、中心折畳み線に沿って折畳まれており、前記少なくとも1本のX線不透過性材料は、前記折畳み線と平行の線に沿って前記半体間に配置されており、
前記1本のX線不透過性材料が少なくとも3箇所において前記吸収性材料に縫付けられるように、前記折畳まれたシートの全ての縁が縫込まれ、かつ中心部分が横断して縫込まれている、
外科用スポンジ。
【請求項2】
前記シートの前記折畳まれた半体は、前記1本のX線不透過性材料が少なくとも3箇所において前記吸収性材料に縫付けられるように、少なくとも1つの中心部分を横断して縫込まれている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項3】
前記1本の材料は、硫酸バリウムが含浸された糸から構成されている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項4】
前記糸は、ポリマーから構成されている、請求項3に記載の外科用スポンジ。
【請求項5】
前記ポリマー糸は、前記糸を前記吸収性材料のシートの表面に付着させるために、加熱されている、請求項4に記載の外科用スポンジ。
【請求項6】
前記脊椎の前記縁は、前記中心折畳み線に沿った縁を除いて、縫込みの前に折畳まれている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項7】
前記折畳まれ、かつ縫込まれたスポンジの1つのコーナに取り付けられたX線不透過性帯片をさらに備えている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項8】
外科用スポンジを製造するための方法であって、
幅および軸方向中心線を有する吸収性材料のロール状シートを準備することと、
前記シートを前記ロールから連続的に引き出すことと、
前記中心線から横方向外方に離間した線に沿って前記シートの内面上に1本のX線不透過性材料を連続的に送給することと。
前記1本のX線不透過性材料を前記シートの折畳まれた半体の内面間に捕捉するために、前記シートを前記中心線に沿って折畳むことと、
複数の個別のスポンジを形成するために、前記折畳まれたシートを横方向において切断することと、
前記1本のX線不透過性材料が前記吸収性材料の前記折畳まれた半体間にしっかりと保持されるように、各個別のスポンジを各縁に沿って縫込むことと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記1本のX線不透過性材料と交差するラインに沿って、各個別のスポンジを前記縁間において追加的に縫込むことをさらに含む、請求項8に記載の方法
【請求項10】
前記1本のX線不透過性材料を前記吸収性材料半体の少なくとも1つに貼り付けることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1本の材料は、ポリマー糸から構成されており、貼付けは、前記ポリマーを前記シートに付着させるために前記糸を加熱することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
加熱は、折畳み前に、前記1本のX線不透過性材料を前記吸収性材料のシートの内面上にアイロン掛けすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X線不透過性タブを前記縫込まれたスポンジの1つのコーナに取り付けることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記中心線に沿った前記縁以外の前記折畳まれたスポンジの前記縁の少なくとも1つが、縫込みの前に折畳まれるようになっている、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記縫込まれたスポンジは、少なくとも一回以上折畳まれるようになっている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記縫込まれたスポンジは、少なくとも2回以上折畳まれるようになっている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用装置および方法に関する。さらに詳細には、本発明は、X線不透過性要素を有する外科用スポンジおよびそれらの製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用スポンジは、外科手術手順中に外科部位およびその周囲の血液および他の体液を吸収するために用いられている。通常の家庭用スポンジと違って、外科用スポンジは、典型的には、外科用ガーゼと同様の綿織物または他のメッシュから形成されている。
【0003】
手術手順に用いられた外科用スポンジの全てが、外科手術が終了し、外科部位が閉じられる前に患者から取り除かれることが決定的に重要である。外科手術手順の後にどのような外科用スポンジも不注意によって患者内に残されていないことを確実にするために大きな努力が払われ、バーコード技術を用いてスポンジをカウントする方法および機械可読情報を取り込む他の方法の近年の発展は、有望な将来を示してきている。
【0004】
このような走査技術は、外科用スポンジが患者内に残る危険性を著しく低減させるかまたはなくす見込みがあるが、X線を用いて外科用スポンジをさらに容易に見えるようにするために、X線不透過性材料を外科用スポンジ内に組み入れることが今もなお望まれている。例えば、スポンジカウント法は、スポンジが足りず、おそらく、患者内にあることを指示したとしても、該スポンジの位置を見つけることは、困難である。この場合、もし該スポンジにX線不透過性要素が組み入れられていたなら、X線透視撮影法を用いることによって、該スポンジが患者内に存在しないことを確認することができる。これは、極めて有益である。さらに、もし何らかの理由によって、他の技術が役に立たなくなった場合、見失った外科用スポンジの位置を見つけるためのバックアップ手順を有することは、常に有用である
【0005】
さまざまなX線不透過性材料および要素が、外科用スポンジ内に組み入れられてきている。1つの特に有用なX線不透過性要素は、X線不透過性材料から構成された糸または要素、またはX線不透過性材料が含浸された糸または要素からなっている。この糸または要素は、スポンジ織物に織込むことができ、これによって、スポンジ織物内の適所に保持されることが確実になる。しかし、糸または要素をスポンジ内に織込むことが必要とされるために、製造がより困難になり、またコストが高くなる可能性がある。加えて、この糸またはフィラメントは、1つまたは複数の接着技法を利用して、スポンジ材料の表面に取り付けることができる。しかし、接着技法の使用によって、製造がより困難になり、またコストが高くなり、さらに該糸またはフィラメントがスポンジ表面に取り付けられた状態で保持されない危険性を招くことがある。
【0006】
これらの理由から、改良された代替的な外科用スポンジ構造およびそれらの製造のための方法を提供することが望まれている。特に、最大効率、スポンジからのX線不透過性要素の離脱の可能性の低減、かつ最小コストが達成されるように、糸、フィラメント、ヤーン、などの細長のX線不透過性要素を外科用スポンジ構造内に組み入れるための代替的方法を提供することが望まれている。得られた外科用スポンジ構造は、「ラップパッド」または「腹部パッド」と呼ばれる大きなスポンジさえも含むあらゆるサイズの外科用スポンジに対して修正可能であり、かつ有用であるべきであり、かつこのようなスポンジをより小さい形態に折畳むのにさらに適しているべきである。これらの目的の少なくともいくつかは、以下に述べる本発明によって満たされることになる。
【0007】
外科用スポンジおよびそれらの製造のための方法は、特許文献1、2、3、4および5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,244,369号明細書
【特許文献2】米国特許第4,626,251号明細書
【特許文献3】米国特許第4,704、109号明細書
【特許文献4】米国特許第5,112,325号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0016776号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、改良された外科用スポンジ構造およびそれらの製造のための方法を提供するものである。スポンジ構造は、吸収性材料の単一層の表面に付着した少なくとも1本の細長のX線不透過性要素を有している。細長のX線不透過性要素は、吸収性材料の表面に付着されることが可能などのように長い細径の要素であってもよく、通常、0.1mmから1.5mmの範囲内、典型的には、約0.7mmの直径を有する押出成形された細長の円筒体である。例示的な実施形態では、X線不透過性要素は、軟化するかまたは部分的に溶融し、吸収シートに付着する「糸(thread)」とすることができ、典型的には、少なくとも部分的に熱溶融可能なポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)から構成されている。通常、この熱溶融可能なポリマーにX線不透過性材料、例えば、硫酸バリウム(BaSO
4)が含浸されることになる。
【0010】
細長のX線不透過性要素を有するこのシートは、細長のX線不透過性要素が2つの折畳み部間に捕捉されるように、少なくとも一回折畳まれ、細長のX線不透過性要素は、該折畳み部の少なくとも1つの表面に「アイロン掛け(ironed)」されるかまたは別の方法によって熱融着されるとよい。例示的な実施形態では、糸は、折畳みの前にシートの内面に熱融着されるようになっている。他の実施形態では、糸は、折畳みの後にシート間にアイロン掛けされるかまたは別の方法によって熱融着されるようになっている。
【0011】
このような熱融着に加えて、細長のX線不透過性要素は、縫込みによって、折畳まれた吸収性材料にさらに固定されるようになっている。典型的には、折畳まれた材料は、各縁(正方形および矩形の外科用スポンジの場合、4つの縁)に沿って縫込まれ、かつ任意選択的に、シートの中心部を横断して少なくとも一回縫込まれる。これによって、細長のX線不透過性要素は、縫込みラインが要素と交差する少なくとも3箇所において縫付けられることになる。縁に沿った外科用スポンジの縫込みによって、スポンジの寸法安定性がさらに確実になり、X線不透過性材料の捕捉の程度がさらに増すことになる。すなわち、万一X線不透過性要素が熱融着および縫込みからいくらか遊離しても、スポンジの縁が縫込まれているという事実によって、該要素は、殆ど確実にスポンジ内に含まれることになるだろう。多くの場合、スポンジは、細長のX線不透過性要素の縫込みおよび組入れの後、さらに折畳まれることになる。例えば、スポンジは、一方向において中心線に沿って一回折畳まれ、次いで、垂直中心線に沿って再度折畳まれるとよい。さらなる例示的実施形態では、スポンジは、X線透視撮影下において観察されたときに代替的なX線造影物をもたらすために、1つのコーナにX線不透過性タブまたはラベルをさらに備えていてもよい。このような外科用スポンジは、スポンジの回収を助長するために、ループ、典型的には、X線不透過性ラベルまたはタブの一部としてのループをさらに備えていてもよい。
【0012】
本発明の第1の特定の態様では、外科用スポンジは、吸収性材料のシート、典型的には、ガーゼシート、および少なくとも1本のX線不透過性材料を備えている。シートの2つの半体が中心折畳み線に沿って折畳まれ、少なくとも1本のX線不透過性材料が折畳み線と平行の線に沿ってこれらの半体間に配置されている。折畳まれたシートの全ての縁が縫込まれ、かつ任意選択的に、折畳まれたシートの中心部分がさらに横断して縫込まれているいるとよい。このようにして、縁縫込みラインの少なくとも2つおよび任意選択的に第3の中心縫込みラインが1本のX線不透過性材料と交差し、これによって、1本のX線不透過性材料がシートの折畳まれた半体間に捕捉されることが確実になる。
【0013】
特定の実施形態では、1本のX線不透過性材料は、硫酸バリウムまたは他のX線不透過性充填剤または材料が含浸された糸から構成されている。この糸は、実質的にどのような構造、例えば、フィラメント、ヤーン、リボン、などからなっていてもよいが、最も典型的には、ポリ塩化ビニルのような熱溶融性ポリマーから押出成形されたフィラメントからなっている。このような場合、ポリマー糸は、典型的には、通常は折畳みの前に、吸収性材料のシートに付着するように加熱されるようになっている。これは、このシートが患者内において用いられたときに1本のX線不透過性材料が該シートから遊離しないことをさらに確実にするためである。
【0014】
さらに特定の実施形態では、(中心折畳み線に沿って折畳まれた縁を除く)シートの自由縁は、縫込みの前に折畳まれるようになっている。これらの縁のこのような折畳みによって、縫込みを受ける基部または素地を強化し、使用中のこれらの縁のほつれのおそれを低減させることができる。
【0015】
本発明の第2の特定の態様では、外科用スポンジを製造するための方法は、幅および軸方向中心線を有する吸収性材料、典型的には、外科用ガーゼのロール状シートを準備することを含んでいる。シートが、ロールから連続的に引き出され、1本のX線不透過性材料が、中心線から横方向外方に離間した線に沿ってシートの内面上に連続的に送給される。シートは、1本のX線不透過性材料をシートの折畳まれた半体の内面間に捕捉するために、中心線に沿って折畳まれる。折畳まれたシートは、複数の個別のスポンジを形成するために、横方向において複数回切断される。各個別のスポンジは、各縁に沿って縫込まれ、任意選択的に、縁間の追加的なラインに沿って縫込まれてもよく、これによって、1本のX線不透過性材料は、少なくとも2つの縫込みライン、任意選択的に、3つの縫込みラインと交差することになる。これによって、1本のX線不透過性材料は、吸収性材料のシートの折畳まれた層間にしっかりと保持されることになる。
【0016】
特定の実施形態では、本方法は、1本のX線不透過性材料を吸収性材料半体の少なくとも1つの表面に貼り付けることをさらに含んでいる。さらに詳細には、1本のX線不透過性材料は、ポリマー材料から構成された糸からなっており、貼付けは、ポリマーを溶融させ、シートに付着させるために糸を加熱することを含んでいる。さらに詳細には、加熱は、折畳み前に、シートをアイロン掛けし、少なくとも部分的に溶融したポリマー材料をもたらし、糸または他の1本の材料を折畳み前に吸収性材料のシートの内面に付着させることを含んでいてもよい。
【0017】
さらに特定の実施形態では、本発明の方法は、X線不透過性タブを縫込みスポンジの1つのコーナに取り付けることをさらに含んでいてもよい。中心線に沿って折畳まれた縁を除く折畳まれたスポンジの少なくとも1つの縁は、縫込みの前に折畳まれるようになっている。縫込みスポンジは、1回以上、多くの場合、2回以上さらに折畳まれてもよい。
【0018】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が参照することによって具体的かつ個別的にここに含まれるように指示されるのと同じ程度に、参照することによってここに含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の原理によって折畳み外科用スポンジ構造を製造するように構成されたシステムの略図である。
【
図1A】単一加熱ローラを用いてX線不透過性要素を吸収性材料のシートに付着させるようになっている、
図1のシステムの代替的実施形態を示す図である。
【
図5】
図1に示されているようにして作製された折畳み外科用スポンジ構造を複数の個々の外科用スポンジに切断する状態を示す図である。
【
図6】
図1および
図5のシステムによって製造することができる、折畳まれ、切断され、かつ縫込まれた外科用スポンジを示す図である。
【
図9】X線不透過性要素を横切る中心線に沿って折畳まれた
図6の外科用スポンジを示す図である。
【
図10】X線不透過性要素と平行の線に沿ってさらに折畳まれた
図9の折畳みスポンジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の新規の特徴は、添付の請求項に詳細に記載されている、本発明の特徴および利点は、本発明の原理が活用される例示的な実施形態を明らかにする以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって、良好に理解されるだろう。
【0021】
図1を参照すると、本発明の原理によって折畳み外科用スポンジを製造するためのシステム10は、単一層の形態にある吸収性材料、典型的には、綿ガーゼのロール12または他の供給源を備えている。代替的に、吸収性材料は、2層、3層、またはそれ以上の層の形態で供給されてもよい。システム10は、X線不透過性材料、典型的には、硫酸バリウム含浸ポリ塩化ビニル糸のコイルをさらに備えている。ロール12からの吸収性材料の層16およびコイル14からの1本のX線不透過性材料18は、
図1および
図2に示されるように、加熱ローラ20間を通過するときに、互いに密着され、かつ熱融着される。代替的に、コイル14からのX線不透過性材料18および吸収性材料の層16は、
図1Aに示されているように、単一の加熱ローラ21の周りを通過するときに、互いに密着され、かつ熱融着されるようになっていてもよい。
【0022】
次いで、付着した1本の細長のX線不透過性材料18を有する材料シート16は、
図1および
図3に示されているように、中心線23に沿って半体22に折畳まれ、最終的に、
図1および
図4に示されているように、完全に折畳まれる。典型的には、この折畳みをもたらすためにブレードまたは他の折畳み構造が用いられるが、このような従来の構造は、説明を簡単にするために図示されていない。次いで、
図4の折畳みシート24は、巻取りロール26に巻き取られ、さらなる処理のために移送されることになる。
【0023】
図5に示されているように、折畳み吸収シート材料26のロールは、巻き戻され、ブレード28を用いて、複数の個々の切断スポンジ構造30に切断される。他のシステムにおいて、折畳まれたシート材料の巻取りおよび巻戻しの中間ステップが省略されてもよいことを理解されたい
【0024】
次いで、個々の切断スポンジ構造30は、
図6に示されるように、各縁に沿っておよび中心ラインに沿って縫込まれる。縫込みによって得られた外科用スポンジ32は、縁縫込みライン34に沿っておよび中心縫込みライン36に沿って縫込まれており、縁縫込みライン34の少なくとも2つおよび中心縫込みライン36は、1本のX線不透過性材料18と交差している。1本のX線不透過性材料18を少なくとも3箇所において縫込んでいることによって、X線不透過性材料がスポンジの折畳まれた半体22内に捕捉された状態で保持されることが確実になる。また、X線不透過糸をシートに熱融着させることによって、X線不透過性材料18が遊離しないことがさらに確実になる。
【0025】
折畳まれている中心線隆起23は、
図7に示されているように、さらに折畳まれることなくまたは改変されることなく、縫込まれている。しかし、スポンジ32の折畳まれていない縁44は、典型的には、
図8に示されているように、縫込みの前に折畳まれている。このような折畳みは、より強力な縫込みラインをもたらし(すなわち、より多くの材料部分が縫込みライン34の把持部または保持部をもたらし)、また縁のほつれおよび擦り切れの防止を助長することになる。
【0026】
特定の実施形態では、X線不透過性タブまたはリボン40が外科用スポンジ32の1つのコーナに縫込まれてもよい。このタブは、典型的には、スポンジを回収および貯蔵するのに有用なループまたは糸42をさらに備えている。
【0027】
図9に示されているように、
図6の折畳み外科用スポンジは、第1の方向において中心線に沿ってさらに折畳まれてもよい。スポンジは、
図10に示されるように、垂直折畳み線に沿って少なく2回折畳まれてもよい。スポンジ32は、完全に折畳まれた形態で用いられてもよいし、使用前に、部分的または完全に拡げられもよい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態をここに図示し、かつ説明してきたが、このような実施形態がほんの一例として提示されていることは、当業者にとって明らかであろう。多くの変更、改変、および代替が、本発明から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載されている本発明の実施形態の種々の代替形態が、本発明を実施する際に用いられてもよいことを理解されたい。以下の請求項が、本発明の範囲を定めていること、およびこれらの請求項およびそれらの等価物の範囲内にある方法および構造は、本発明に包含されることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2015年10月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性材料のシートと、
少なくとも1本のX線不透過性材料と、
を備え、
前記シートの2つの半体は、中心折畳み線に沿って折畳まれており、前記少なくとも1本のX線不透過性材料は、前記中心折畳み線と平行の線に沿って、前記半体間に配置されており、
前記1本のX線不透過性材料が少なくとも3箇所において前記吸収性材料に縫付けられるように、前記折畳まれたシートの全ての縁が縫込まれ、かつ中心部分が横断して縫込まれている、
外科用スポンジ。
【請求項2】
前記シートの前記折畳まれた半体は、前記1本のX線不透過性材料が少なくとも3箇所において前記吸収性材料に縫付けられるように、少なくとも1つの中心部分を横断して縫込まれている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項3】
前記1本のX線不透過性材料は、硫酸バリウムが含浸された糸から構成されている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項4】
前記糸は、ポリマーから構成されており、前記ポリマー糸は、前記ポリマー糸を前記吸収性材料のシートの表面に付着させるために、加熱されている、請求項3に記載の外科用スポンジ。
【請求項5】
前記スポンジの前記縁は、前記中心折畳み線に沿った縁を除いて、縫込みの前に折畳まれている、請求項1に記載の外科用スポンジ。
【請求項6】
外科用スポンジを製造するための方法であって、
幅および軸方向中心線を有する吸収性材料のシートを準備することであって、前記吸収性材料のシートは、ロール上に設けられている、ことと、
前記シートを前記ロールから連続的に引き出すことと、
前記軸方向中心線から横方向外方に離間した線に沿って前記シートの内面上に1本のX線不透過性材料を連続的に送給することと、
前記1本のX線不透過性材料を前記シートの折畳まれた半体の内面間に捕捉するために、前記シートを前記軸方向中心線に沿って折畳むことと、
複数の個別のスポンジを形成するために、前記折畳まれたシートを横方向において切断することと、
前記1本のX線不透過性材料が前記シートの前記折畳まれた半体間にしっかりと保持されるように、前記複数の個別のスポンジの各個別のスポンジをそれらの縁の各々に沿って縫込むことと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記1本のX線不透過性材料と交差するラインに沿って、各個別のスポンジを前記縁間において追加的に縫込むことをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項8】
前記1本のX線不透過性材料を前記シートの前記折畳まれた半体の少なくとも1つに貼り付けることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1本のX線不透過性材料は、ポリマー糸から構成されており、貼付けは、前記ポリマー糸を前記シートの前記折畳まれた半体の少なくとも1つに付着させるために前記ポリマー糸を加熱することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーの加熱は、前記シートの折畳み前に、前記ポリマー糸を前記吸収性材料のシートの内面上にアイロン掛けすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記軸方向中心線に沿った前記縁以外の各個別のスポンジの前記縁の少なくとも1つが、縫込みの前に折畳まれるようになっている、請求項6に記載の方法。
【国際調査報告】