(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-515743(P2016-515743A)
(43)【公表日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】タッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20160425BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
G06F3/041 490
G06F3/041 660
G06F3/044 124
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-507984(P2016-507984)
(86)(22)【出願日】2014年2月24日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2014072438
(87)【国際公開番号】WO2014169730
(87)【国際公開日】20141023
(31)【優先権主張番号】201310139527.8
(32)【優先日】2013年4月20日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】シュー イージョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リーチュン
(72)【発明者】
【氏名】シュー グオシュー
(72)【発明者】
【氏名】シー ユエンレン
(57)【要約】
本願の開示によりタッチパネルが提供される。タッチパネルはカバーレンズと、光学補償層と、カバーレンズ及び光学補償層の間に位置する検出電極層とを備える。ここで検出電極層中ではエッチング領域及び非エッチング領域の区画が定められている。ここで検出電極層に対して光学補償層によって光学的な整合が図られている。また、ここで光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。また本願の開示によりタッチパネルの製造方法が提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーレンズと;
光学補償層と;
前記カバーレンズ及び前記光学補償層の間に位置する検出電極層と、を備え、
前記検出電極層中ではエッチング領域及び非エッチング領域の区画が定められており、
前記検出電極層に対して前記光学補償層によって光学的な整合が図られており、
前記光学補償層は前記カバーレンズ及び前記検出電極層を経由した光の入射を受けることで、前記エッチング領域及び前記非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる、
タッチパネル。
【請求項2】
さらに遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、
前記遮蔽部材は、前記不可視領域において、前記検出電極層及び前記光学補償層の間に配置される、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
さらに遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、
前記遮蔽部材は、前記不可視領域において、前記カバーレンズ及び前記検出電極層の間に配置される、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
さらに屈折率整合層を備え、
前記屈折率整合層及び前記光学補償層は前記検出電極層を挟んで対称となる位置に分かれて配置される、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記屈折率整合層は前記カバーレンズと前記検出電極層との間に配置される、
請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
さらに遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、
前記遮蔽部材は、前記不可視領域において、前記カバーレンズ及び前記検出電極層の間に配置される、
請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
さらに遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、
前記タッチパネルの残りの領域が可視領域の区画となり、
前記遮蔽部材は、前記不可視領域において、前記カバーレンズ及び前記屈折率整合層の間に配置される、
請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記屈折率整合層は、前記不可視領域において、前記遮蔽部材と前記検出電極層との間に配置され、
前記屈折率整合層は、前記可視領域において、前記カバーレンズと前記検出電極層との間に配置される、
請求項7に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記屈折率整合層の材質及び厚さは、前記光学補償層と同一である、
請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記光学補償層は、一又は二以上の層を備える複合的な層である、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記光学補償層は複合層となっており、複数の高屈折率の層と複数の低屈折率の層とを交互に重ねることで形成されている、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記光学補償層はガラス、Nb2O5、SiO2、ITO、TiO2又はこれらを組み合わせたものを含む。
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項13】
前記光学補償層は第一補償層及び第二補償層を備える複合層となっており、
前記第一補償層はSiO2であり、
前記第二補償層はNb2O5である。
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項14】
前記第一補償層は、厚さが約5-60 nmであるとともに、屈折率が1.20-1.70であり、
前記第二補償層は、厚さが約1-15 nmであるとともに、屈折率が1.6-2.5である、
請求項13に記載のタッチパネル。
【請求項15】
前記光学補償層を覆うように配置される保護層をさらに備える、
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項16】
カバーレンズの側において検出電極層及び光学補償層を隣り合うように形成し、ここで前記検出電極層は前記カバーレンズ及び前記光学補償層の間に設置され、ここで前記検出電極層中にエッチング領域及び非エッチング領域の境界を定め、
前記検出電極層に対して前記光学補償層によって光学的な整合が図られ、また、ここで前記光学補償層は前記カバーレンズ及び前記検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される反射光の色調を調和させる、
タッチパネルの形成方法。
【請求項17】
さらに遮蔽部材を形成し、ここで、前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記検出電極層、前記遮蔽部材、及び前記光学補償層の形成は前記カバーレンズの側にて順次行われる、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに遮蔽部材を形成し、ここで、前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、
前記遮蔽部材、前記検出電極層、及び前記光学補償層の形成は前記カバーレンズの側にて順次行われる、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
さらに屈折率整合層を形成し、ここで前記屈折率整合層及び前記光学補償層は前記検出電極層を挟んで対称となる位置に分かれて配置され、
さらに遮蔽部材を形成し、ここで、前記遮蔽部材で形成される領域によって前記タッチパネルの不可視領域の区画を形成し、また前記タッチパネルの残りの領域が可視領域の区画となる、
請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記屈折率整合層、前記検出電極層、前記遮蔽部材、及び前記光学補償層の形成は前記カバーレンズの側にて順次行われる、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記遮蔽部材、前記屈折率整合層、前記検出電極層、及び前記光学補償層の形成は前記カバーレンズの側にて順次行われる
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタッチ技術に関連し、特にタッチパネル及びその製造方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは電気製品に広く用いられている。例えば家電、通信機器、及び情報技術(IT)機器に用いられている。また一般に、物理的キーボード、マウス等を代替し、各種電気機機器の操作インターフェースを満足する入力インターフェースとして用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在においてタッチパネルはタッチオンレンズ(TOL)構造として進歩しており、かかる構造は保護カバーレンズ上に形成された検出電極を備えるものである。これらのTOLパネルは薄く軽いにもかかわらず、検出電極がエッチングされたパターンである場合、光学的な問題が生ずる。かかる光学的な問題とは色収差がタッチパネルからこれを視る人に視認されるといった問題である。これは検出電極のエッチング領域及び非エッチング領域が光に対して異なった反応を示すことによる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示に係る一態様はさらに検出電極に適する光学補償層の設計に係るものである。タッチパネルの色収差を効果的に改善することができる。
【0005】
開示に係る一態様はタッチパネルを提供するものである。タッチパネルはカバーレンズと;光学補償層と;カバーレンズ及び光学補償層の間に位置する検出電極層とを備える。ここで検出電極層中ではエッチング領域及び非エッチング領域の区画が定められている。ここで検出電極層に対して光学補償層によって光学的な整合が図られている。また、ここで光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。
【0006】
開示に係る他の態様はタッチパネルの形成方法を提供するものである。かかる方法は以下を含む。カバーレンズの側において検出電極層及び光学補償層を隣り合うように形成する。ここで検出電極層はカバーレンズ及び光学補償層の間に設置される。ここで検出電極層中にエッチング領域及び非エッチング領域の境界を定める。また、ここで検出電極層に対して光学補償層によって光学的な整合が図られる。また、ここで光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
【0008】
【
図1B】実施形態に係るタッチパネルの平面図である。
【0009】
【
図2】他の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
【0010】
【
図3】さらに他の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
【0011】
【
図4】さらに他の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面及び本発明の特定の実施形態を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
【0014】
以下の記載は、本発明を実施するために多くの相異なる実施例を提供するものである。しかしながら、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。さらに以下の説明において、第二の構成要素「上方に」、「の上に」、「下方に」又は「の下に」第一の構成要素が位置するという方向の表現は、第一及び第二の構成要素が直接に接していること、又は別の構成要素が第一及び第二の構成要素の間に配置されており、第一及び第二の構成要素が直接接していないこと、を表す。また、「上」及び「下」の方向の表現は単に各要素の相対的な位置関係を示すのに用いられるに過ぎない。開示に係る図面において、タッチパネルの上方とは、これを視る人に近い側であり、タッチパネルの下方とは、これを視る人から遠い側である。なお様々な構成要素の描画を省略することで図面を単純化するとともに明瞭なものとしている。
【0015】
図1A−
図4には、様々なタッチパネル(200、300、400、及び500)の構造が表されている。全体として、各タッチパネル(200、300、400、及び500)はカバーレンズ(202、302、402、及び502)、光学補償層(208、308、408、及び508)並びに検出電極層(206、306、406、及び506)を有する。ここで、検出電極層はカバーレンズと光学補償層との間に配置されている。検出電極上でエッチング領域(検出素子で構成される領域)及び非エッチング領域(検出素子の間に挟まれた非接触領域)の区画が定められている。光学補償層を用いることで検出電極層に対して光学的な整合が図られている。光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。
【0016】
以下において、各タッチパネルの構造を図面に沿って詳細に説明する。
【0017】
図1A及び1Bはそれぞれ実施形態に係るタッチパネルの断面図及び平面図を表す。
図1に示すように、本実施形態のタッチパネル200にはカバーレンズ202、検出電極層206及び光学補償層208が備わる。カバーレンズ202は強化カバーレンズでもよい。かかる強化カバーレンズは検出電極層206を支持するだけでなく、強靭に保護する。一態様において、強化カバーレンズは化学イオン交換法又は同様の方法によって形成してもよい。実施形態おいて、カバーレンズ202は透明なプレートで形成される。例えばガラス又はポリマーといった組成材料で形成される。他の態様において、カバーレンズはアクリル樹脂のような熱可塑性材料で形成してもよい。またカバーレンズ202の厚さは約0.2〜2.0mmとしてもよい。
【0018】
検出電極層206はカバーレンズ202の一方の側に配置される。またカバーレンズ202と光学補償層208との間に配置される。実施形態において、検出電極層206はカバーレンズ底面に形成される。
図1Bに示すように、検出電極は検出電極層206としてパターン形成される。検出素子は実質的に第一軸(例えばX軸)に沿った複数の第一電極220Xと、第二軸(例えばY軸)に沿った複数の第二電極220Yとを含む。各第一電極220Xは複数の第一導電ユニット220XA及び複数の第一接続導線220XBを有する。ここで隣り合う2つの導電ユニット220XAはいずれも第一接続導線220XBにより第一軸に沿って互いに接続されるとともに電気的に結合されている。各第一電極220Yは複数の第二導電ユニット220YA及び複数の第一接続導線220YBを有する。ここで隣り合う2つの導電ユニット220YAはいずれも第一接続導線220YBにより第二軸に沿って互いに接続されるとともに電気的に結合されている。さらに第一接続導線及び第二接続導線は縦横に交差している。実施形態において検出素子はさらに絶縁層222を有する。絶縁層222は縦横に交差している第一接続導線220XB及び第二接続導線220YBの間に位置することで第一接続導線220XB及び第二接続導線220YBの間を電気的に絶縁している。
【0019】
検出電極206を形成する工程では例えば透明導電材料(インジウム−スズ酸化物(ITO)等)を塗布、スパッタリング等により配置してもよい。その後、透明導電材料をリソグラフィー、エッチング等によりパターニングすることで所望の検出電極206を形成してもよい。また検出電極層206は、例えばスクリーン印刷により直接形成してもよい。上述のエッチング領域は第一電極220X、第二電極220Y及び絶縁層222を備える領域である。また非エッチング領域は第一電極220Xと第二電極220Yと絶縁層222との間の非接触領域である。しかしながら、接触電極層は
図1Bに示されるパターン構造に限定されない。
【0020】
タッチパネル200はさらに検出電極層206の底面の上に形成される光学補償層208を備えてもよい。光学補償層208は検出電極層に対して光学的な整合を図るために用いてもよい。光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。このため、光学補償層208は検出電極層206中のエッチング領域及び非エッチング領域の間の反射率の差を補償することができる。かかる反射率の差はパターニングの工程で生じる。また光学補償層208は高い低周波数帯の波長の光の下でのエッチング領域及び非エッチングの反射率の差を減らす。このため外部光源100に面するタッチパネルによって反射される反射光の色調を、青色味又は黄色味を帯びないようにしつつ、自然光と同様の色調に調整することができる。
【0021】
なお、光学補償層208は単一の層でもよく、また複数の層を備える複合的な層でもよい。光学補償層208はガラス、Nb
2O
5、SiO
2、ITO、TiO
2又はこれらを組み合わせたもの等の材料で形成してもよい。所定の態様において、光学補償層208は複数の層を備える複合層となっており、複合層は複数の高屈折率の層と複数の低屈折率の層とを交互に重ねることで形成されている。他の態様において、光学補償層208は二層からなる複合層となっており、第一補償層及び第二補償層を重ねることで形成されている。ここで第一補償層はSiO
2層であり、第二補償層はNb
2O
5層である。第一補償層の厚さは約5-60 nmであり、第一補償層の屈折率は1.20-1.70である。第二補償層の厚さは約1-15 nmであり、第二補償層の屈折率は1.6-2.5である。また、実際の設計における光学補償層208の製造時のパラメータを調整するにあたり、検出電極層206の光学特性(例えば屈折率)及び反射光における所望の色調を考慮してもよい。光学補償層208を形成する方法は高周波スパッタリング、蒸着、噴霧塗布、回転塗布又は刷毛塗りでもよい。
【0022】
実施形態において、タッチパネル200はさらに遮蔽部材203を備えてもよい。遮蔽部材203で形成される領域によってタッチパネルの不可視領域NVの区画を形成する。遮蔽部材203は周辺回路といった不透明な構成部材(不図示)を覆っている。不透明な構成部材はタッチパネル200内の不可視領域NVに対応する。タッチパネル200の不可視領域以外の領域は可視領域Vとして区画が形成されている。タッチパネル200の構造において、不可視領域200は概ね、少なくとも可視領域Vの周辺領域となるように設計される。実施形態において、遮蔽部材203は、不可視領域NVにおいて、検出電極層206及び光学補償層208の間に配置してもよい。特に、不可視領域NVにおいて、遮蔽部材203は、検出電極層206の底面上に形成してもよい。可視領域Vにおける光学補償層208の具体的な位置は、検出電極層206の底面側となる。また不可視領域NVにおける光学補償層208の具体的な位置は、遮蔽部材203の底面側となる。
【0023】
遮蔽部材203は光学密度7未満の遮光材料で形成してもよい。遮光材料は絶縁インク、カーボンスラリー、黒鉛片又はこれらの組み合わせ等でもよい。遮蔽部材203は印刷又は塗布によって形成してもよい。タッチパネル200の外観に関して、遮蔽部材203の絶縁インクは黒色、茶色又はその他の色から選んでもよい。これはタッチパネル200の不可視領域NVの外観が呈する黒色、茶色又はその他の色に準ずるものである。
【0024】
実施形態にかかるタッチパネル200は光学補償層208の底面を覆うように配置される保護層(パッシベーション層)210を備える。これにより、さらに検出電極層206の接触検出作用に対して、外部の化学反応又は物理的な変化によって影響が生じないようにする。保護層210はポリエチレンテレフタレート(PET)のような透明プラスチック材料で形成してもよい。所定の実施形態において、保護層210を形成する方法は高周波スパッタリング、蒸着、噴霧塗布、回転塗布又は刷毛塗りでもよい。
【0025】
上記実施形態に基づき光学補償層208を設計することでタッチパネル200の色収差を改善することができる。このため、上記問題を解決した上で、タッチパネルの200の可視領域Vの透過率を高めることができる。
【0026】
図2には、他の実施形態に係るタッチパネルの断面図が示されている。タッチパネル300は
図1Aの実施形態の構造と実質的に同様である。
図1Aと異なり、不可視領域において遮蔽部材303がカバーレンズ302及び検出電極層306の間に配置されてもよい。また具体的には不可視領域においてカバーレンズの底面を覆うように配置されてもよい。
【0027】
図3にはさらに他の実施形態に係るタッチパネルの断面図が示されている。かかる実施形態において、検出電極層406、光学補償層408及び保護層410によって構成される構造は実質的に
図1Aと同様である。
図1Aと異なり、本実施形態のタッチパネル400はさらに屈折率整合(中国語で指数匹配、英語でIndex-Matching)層404を備える。屈折率整合層404は上述の層に関してカバーレンズ402と同じ側に位置する。屈折率整合層404及び光学補償層408は検出電極層406を挟んで対称となる位置に分かれて配置されている。特に、屈折率整合層404はカバーレンズ302と検出電極306との間に配置されている。形成される順序としては、検出電極層406を形成する前に屈折率整合層404がカバーレンズ402の底面を覆うように形成される。換言すれば、本実施形態の検出電極層406は屈折率整合層404の底面を覆うように形成される。本実施形態において光学補償層408はさらに屈折率整合層及び検出電極層406との間の光学的な整合が得られるように設計することで屈折率整合層404及び検出電極層406の光学的特性を考慮してもよい。
【0028】
また、検出電極層406の厚さは具体的な設計要求に応じて設計することができる。したがって、例えば、大型のタッチパネルであれば、検出電極層406は導線の電気抵抗を低減するために厚目に形成される。結果として、検出電極層406のパターニングにより形成されるエッチングの線はよりはっきりと見えるようになる。したがって、本実施形態では屈折率整合層404を追加することでエッチングの線を隠す。ここで屈折率整合層404は検出電極層406やその上に形成される層を形成する前に追加される。本実施形態において、屈折率整合層404は一種の反射防止層であり、エッチングの線が見えることを回避するために用いられる。また光学補償層のように、タッチパネル400に面する外部光源100によって反射される反射光の色を調整する機能を果たすものではない。また、屈折率整合層404はNb
2O
5 又は SiO
2によって形成してもよい。屈折率整合層404を形成する方法はスパッタリング、蒸着、噴霧塗布、回転塗布又は刷毛塗りでもよい。
【0029】
図4には、さらに他の実施形態に係るタッチパネルの断面図が示されている。本実施形態のタッチパネル500は
図3に示す実施形態と同様に、屈折率整合層504及び光学層508が検出電極層506を挟んで対称な位置に配置されている。
図3に示す実施形態と異なる点は以下のとおりである。不可視領域NVにおいて遮蔽部材503をカバーレンズ502と屈折率整合層504との間に配置してもよい。また、不可視領域NVにおいて屈折率整合層504を遮蔽部材503と検出電極層506との間に配置してもよい。また、可視領域Vにおいて屈折率整合層504をカバーレンズ502と検出電極層506との間に配置してもよい。言い換えると、屈折率整合層504を形成する前にカバーレンズ502の底面を覆うように本実施形態の遮蔽部材503を形成してもよい。換言すれば可視領域Vにおいて屈折率整合層504はカバーレンズ502の底面を覆うように形成される。また不可視領域NVにおいて屈折率整合層504は遮蔽部材503の底面を覆うように形成される。
【0030】
図5には、
図1Aのタッチパネルを製造する方法の流れ図が示されている。検出電極層206(工程510)、遮蔽部材203(工程520)及び光学補償層208(工程530)の形成はカバーレンズ202の側にて順次行われる。かかる方法ではまた、工程540にて保護層210を形成してもよい。全体の構造における関係は
図1Aに示す。説明の重複を避けるため、ここでは詳述しない。
【0031】
図6には、
図2のタッチパネルを製造する方法の流れ図が示されている。遮蔽部材303(工程610)、検出電極層306(工程620)、及び光学補償層308(工程630)の形成はカバーレンズ302の側にて順次行われる。かかる方法ではまた、工程640にて保護層310を形成してもよい。換言すれば、本実施形態では遮蔽部材303はカバーレンズ302の底面を覆うように形成される。その後、検出電極層306がカバーレンズ302及び遮蔽部材303の底面を覆うように形成される。検出電極層306の形成後、検出電極層306の底面を覆うように光学補償層308が形成される。全体の構造における関係は
図2に示す。説明の重複を避けるため、ここでは詳述しない。
【0032】
図7には、
図3のタッチパネルを製造する方法の流れ図が示されている。屈折率整合層404(工程710)、検出電極層406(工程720)、遮蔽部材403(工程730)及び光学補償層408(工程740)の形成はカバーレンズ302の側にて順次行われる。かかる方法ではまた、工程750にて保護層410を形成してもよい。全体の構造における関係は
図3に示す。説明の重複を避けるため、ここでは詳述しない。
【0033】
図8には、
図4のタッチパネルを製造する方法の流れ図が示されている。遮蔽部材503(工程810)、屈折率整合層504(工程820)、検出電極層506(工程830)、及び光学補償層508(工程840)の形成はカバーレンズ302の側にて順次行われる。かかる方法ではまた、工程850にて保護層510を形成してもよい。全体の構造における関係は
図4に示す。説明の重複を避けるため、ここでは詳述しない。
【0034】
上述のタッチパネルを製造する方法を要約すると、上記工程では総じてカバーレンズの側で検出電極層及び光学補償層を形成する。ここで検出電極層はカバーレンズと光学補償層との間に形成される。検出電極層上にエッチング領域及び非エッチング領域の区画が定められている。光学補償層を用いて検出電極層に対して光学的な整合が図られる。光学補償層はカバーレンズ及び検出電極層を経由した光の入射を受けることで、エッチング領域及び非エッチング領域に応じてそれぞれ形成される、反射光の色調を調和させる。
【0035】
上記の通り開示した実施形態に係るタッチパネルには、さらにディスプレイモジュール(不図示)を、光学粘着層(不図示)を介して取り付けることでタッチディスプレイモジュールを形成する。タッチディスプレイモジュールは様々な電子製品に幅広く応用できる。さらに、本実施形態において開示される、特徴、材料、及び対応する部材の形成方法は実質的に同一であり、各実施形態において各々別個に説明されたわけではない。
【0036】
要約すると、屈折率整合層の設計及び利用によりエッチングの線が見えることを回避することができる。したがって、タッチパネルをディスプレイモジュールに取り付けた時でもタッチディスプレイ上に明瞭なパターンは現れないようになる。さらに光学補償層を検出電極層の光学特性に基づいて設計し作成する。したがって、タッチパネル外の外部光源から入射する光が検出電極層及び光学補償層を通過したあとに、自然光のような反射光として反射させることができる。このため、タッチパネルを観察した時に青味や黄色味がかかるといった光の色の問題を解決する。また、反射光の光の色の問題が解決されることで、結果としてタッチパネルの可視領域の透過性を高めることができる。
【0037】
本発明は好ましい実施態様として、実施例に基いて説明したが、本発明は開示した実施態様に限定されるわけではない。むしろ、(当業者にとって明らかな)様々な変更及び類似の形態を包含するものである。したがって別添の請求の範囲はこれらの変更及び類似の形態を全て包含するように広く解釈されるべきである。
【国際調査報告】