特表2016-515992(P2016-515992A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコラブ ユーエスエイ インクの特許一覧

特表2016-515992バイヤー水酸化アルミニウムのための結晶化助剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-515992(P2016-515992A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(54)【発明の名称】バイヤー水酸化アルミニウムのための結晶化助剤
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/02 20060101AFI20160502BHJP
【FI】
   C01F7/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-500248(P2016-500248)
(86)(22)【出願日】2014年2月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月30日
(86)【国際出願番号】US2014016095
(87)【国際公開番号】WO2014158404
(87)【国際公開日】20141002
(31)【優先権主張番号】13/829,950
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カウンター ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】マリト ジョン ティー
【テーマコード(参考)】
4G076
【Fターム(参考)】
4G076AA10
4G076AB06
4G076AB11
4G076AB22
4G076BA27
4G076BA43
4G076BB04
4G076BB06
4G076BB08
4G076BC02
4G076BC07
4G076BC08
4G076BC09
4G076BD02
4G076BE12
4G076BE18
4G076BF06
4G076CA02
4G076CA22
4G076CA26
4G076DA11
4G076DA18
4G076FA01
(57)【要約】
沈殿液から水酸化アルミニウム結晶を製造するための、化合物、組成物、および方法を開示する。この沈殿液は、バイヤー処理によるものであってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイヤー処理液から沈殿する水酸化アルミニウム結晶の粒径を大きくする方法であって、
前記方法は、
バイヤー処理液に、フェノール−アルデヒド縮合物を含む組成物を加える工程と、
バイヤー処理液から沈殿した水酸化アルミニウム結晶を回収する工程と、
を含むことを特徴とする、水酸化アルミニウム結晶の粒径を大きくする方法。
【請求項2】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が構造式(I)で示される繰り返し単位を含み、
【化1】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フェノール−アルデヒド繰り返し単位が構造式(I−a)で示され、
【化2】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フェノール−アルデヒド繰り返し単位が構造式(I−b)で示され、
【化3】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フェノール−アルデヒド繰り返し単位が構造式(I−c)で示され、
【化4】
式中、R、R、L、およびnは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記Rが出現毎に水素であり、
前記Rが出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記Lが出現毎に −CH− であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記Lが出現毎に −O−CH− であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が構造式(II)で示され、
【化5】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であり、
pは、1、2、3、4、または5であり、
qは、1、2、3、4、または5であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が構造式(II−a)で示され、
【化6】
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が構造式(II−b)で示され、
【化7】
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が構造式(II−c)で示され、
【化8】
式中、R、R、R、R、L、n、p、およびqは先の定義のとおりである、
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記Rが出現毎に水素であり、
前記Rが出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、
前記pが1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、
前記qが1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる、
ことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記Lが出現毎に −CH− であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Lが出現毎に −O−CH− であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記フェノール−アルデヒド縮合物が、
酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、
塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、
酸性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、
塩基性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、
酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、
塩基性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、
酸性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、
塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、
酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、および
塩基性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、
から成る群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルまたはアルコール、脂肪酸エステル、低級芳香族炭化水素油、ケロセン、重質芳香族ナフサ(“HAN”)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、およびこれらの組み合わせから成る群より選ばれる溶媒を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、
酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、
酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物、
塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、
塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物、
レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂と水酸化ナトリウム溶液とを含む組成物、
酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、
塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂と、プロピレングリコールモノメチルエーテルと、n−ブタノールと、イソブタノールとを含む組成物、および
酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物、
から成る群より選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
回収された水酸化アルミニウム結晶の質量の少なくとも半分は、粒径が44〜45μmを超えていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
対照分位粒径(control quantile size)の平均に対する%増加率が、少なくとも20%となることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、バイヤー法などの水酸化アルミニウム製造工程でのアルミニウム分の回収率を高める化合物、組成物、および方法、より詳細には、水酸化アルミニウム結晶または結晶性凝集体の粒径を大きくする化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化アルミニウムは、バイヤー法などの確立した方法により工業的規模で生産される。沈殿工程を行うオペレータは、水酸化アルミニウム生成物の結晶を特定の粒径分布にしようと努める一方で、アルミン酸塩処理液からできるだけ高い収率で製造できるよう、方法を最適化する。比較的大きな結晶の生成物が得られ、併せて、ごく微細な結晶の量を制限すると、アルミニウム金属の製造に必要なその後の処理工程に有利であるため、殆どの例ではこのようにすることが望ましい。結晶化と沈殿を行う処理条件が生産を制限することが多い。これらの処理条件はプラント毎に異なり、処理条件としては、温度プロフィール、種の添加量、種結晶の表面積、二酸化炭素または煙道ガスの排出、溶液負荷量、溶液純度などが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水酸化アルミニウム生成物を最も経済的に回収するため、粒径に悪影響を及ぼす要因を制限する化学添加物および方法を発見しようと多大な努力が成されてきた。世界中で開発が続けられ、進行しているが、上記の工程の更に経済的な解決法に対する産業的な要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、バイヤー処理液から沈殿する水酸化アルミニウム結晶の粒径を大きくする方法を開示する。この方法は、バイヤー処理液に、フェノール−アルデヒド縮合物を含む組成物を加える工程と、バイヤー処理液から沈殿した水酸化アルミニウム結晶を回収する工程と、を含む。
【0005】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I)で示される繰り返し単位を含み、
【化1】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている。
【0006】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド繰り返し単位は構造式(I−a)で示され、
【化2】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである。
【0007】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド繰り返し単位は構造式(I−b)で示され、
【化3】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである。
【0008】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド繰り返し単位は構造式(I−c)で示され、
【化4】
式中、R、R、L、およびnは先の定義のとおりである。
【0009】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I)で示される繰り返し単位を含み、式中、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。ある実施形態において、Lは出現毎に −CH− である。ある実施形態において、Lは出現毎に −O−CH− である。
【0010】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II)で示され、
【化5】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であり、
pは、1、2、3、4、または5であり、
qは、1、2、3、4、または5であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている。
【0011】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−a)で示され、
【化6】
(II−a)
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである。
【0012】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−b)で示され、
【化7】

式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである。
【0013】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−c)で示され、
【化8】
式中、R、R、R、R、L、n、p、およびqは先の定義のとおりである。
【0014】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II)で示され、式中、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Lは出現毎に −CH− である。ある実施形態において、Lは出現毎に −O−CH− である。
【0015】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、および塩基性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂から成る群より選ばれる。
【0016】
ある実施形態において、本組成物は、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルまたはアルコール、脂肪酸エステル、低級芳香族炭化水素油、ケロセン、重質芳香族ナフサ(“HAN”)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、およびこれらの組み合わせから成る群より選ばれる溶媒を更に含んでいる。
【0017】
ある実施形態において、本組成物は、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂と水酸化ナトリウム溶液とを含む組成物、酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む組成物、塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂と、プロピレングリコールモノメチルエーテルと、n−ブタノールと、イソブタノールとを含む組成物、および、酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む組成物から成る群より選ばれる。
【0018】
ある実施形態において、回収された水酸化アルミニウム結晶の質量の少なくとも半分は、粒径が44〜45μmを超えている。
【0019】
ある実施形態において、本方法では、対照分位粒径(control quantile size)の平均に対する%増加率が、少なくとも20%となる。
【0020】
本化合物、組成物、方法、および工程について更に述べる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明では、結晶成長調節剤とも呼ばれる、結晶化助剤として作用する化合物および組成物を開示する。更に、この化合物および組成物を用いた結晶化法も開示する。この化合物、組成物、および方法は、他の方法よりも著しく大きい粒径を持つ水酸化アルミニウムを製造することができ、既存の結晶化助剤よりも優れている。その結果、粒径の制約を満たしながら、収率が著しく向上するような条件で、アルミナ精製装置を稼働させることができる。
【0022】
更に、この化合物、組成物、および方法は、バイヤー処理のシュウ酸ナトリウムの沈殿の調節、また、特に、炭酸塩スケール、石膏、水酸化ニッケル(ラテライトニッケル処理)、およびトロナ(炭酸ナトリウム)の結晶成長の調節にも適用可能である。
【0023】
1.用語の定義
別途定義のない限り、文中で用いられている専門用語および科学用語は全て当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。矛盾する場合、定義を含んでいるこの文書が優先する。望ましい方法および材料を後に示すが、文中に述べられているものと類似または同等の方法および材料も、本発明の実施または検討に使用可能である。文中で言及している出版物、特許出願、特許、その他の参考文献は全て、その内容を全て本件に引用して援用する。文中に開示されている材料、方法、および例は、説明のためだけであり、限定しようとするものではない。
【0024】
文中で用いられている用語“含む(comprise(s))”、“含む(include(s))”、“持つ(having)”、“持つ(has)”、“可能である(can)”、“含む(contain(s))”、およびその変形は、その他の作用または構造の可能性を除外することのない、オープンエンドの移行句、表現、または語であることを意図している。本発明は、明確に述べられていてもいなくても、文中に示されている実施形態または構成要素“を含む(comprising)”、“から成る(consisting of)”、および“本質的に〜から成る(consisting essentially of)”、別の実施形態も意図している。
【0025】
文中で用いられている用語“適当な置換基”は、化学的に許容できる官能基、望ましくは、本発明の化合物の活性を損なわない部分を意味することを意図している。このような適当な置換基としては、ハロ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、HO−(C=O)− 基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキルおよびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる(但し、これらに限定しない)。当業者ならば、多くの置換基が更に他の置換基で置換されていても良いことに気づくだろう。
【0026】
文中で用いられている用語“アルキル”とは、望ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、39、30、31、または32個の炭素を含む、直鎖または分枝炭化水素ラジカルを指す。アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。アルキル基は、非置換でも、1つ以上の先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0027】
文中で用いられている用語“アルケニル”とは、望ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、39、30、31、または32個の炭素を含み、1つ以上の炭素−炭素二重結合を持つ、直鎖または分枝炭化水素ラジカルを指す。アルケニル基としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。アルケニル基は、非置換でも、1つ以上の先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0028】
文中で用いられている用語“アルキニル”とは、望ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、39、30、31、または32個の炭素を含み、1つ以上の炭素−炭素三重結合を持つ、直鎖または分枝炭化水素ラジカルを指す。アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。アルキニル基は、非置換でも、1つ以上の先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0029】
文中で用いられている用語“アルコキシ”とは、酸素原子を経て親分子部分に付加した、文中に定義したようなアルキル基を指す。
【0030】
文中で用いられている用語“アリール”は、単環式、二環式、または三環式の芳香族ラジカルを意味し、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどであって、必要に応じて、1つ以上の適当な置換基、望ましくは、1から5個の、先に定義した適当な置換基で置換されている。
【0031】
用語“カルボニル”、“(C=O)”、または“−C(O)−”(アルキルカルボニル、アルキル−(C=O)−、またはアルコキシカルボニルなどの語句で用いられているような)とは、アルキルまたはアミノ基(即ち、アミド基)などの第2の部分を繋いでいる、>C=O部分を指す。アルコキシカルボニルアミノ(即ち、アルコキシ(C=O)−NH−)は、アルキルカルバマート基を指す。カルボニル基は更に同じく文中で、(C=O)と定義されている。アルキルカルボニルアミノは、アセトアミドなどの基を指す。
【0032】
文中で用いられている用語“シクロアルキル”は、必要に応じて1または2個の二重結合を含む、単環式、二環式、または三環式の炭素環ラジカル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[5.2.0]ノナニルなど)を指す。シクロアルキル基は、非置換でも、1つ以上の適当な置換基、望ましくは、1から5個の、先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0033】
文中で用いられている用語“ハロ”または“ハロゲン”とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードラジカルを指す。
【0034】
文中で用いられている用語“ヘテロアリール”とは、環中に、O、S、およびNより選ばれる1つ以上のヘテロ原子を含む、単環式、二環式、または三環式の芳香族複素環基を指す。ヘテロアリール基としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、オキサゾリル(例えば、1,3−オキサゾリル、1,2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、1,2−チアゾリル、1,3−チアゾリル)、ピラゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4−チアジアゾリル)、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、インドリルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。ヘテロアリール基は、非置換でも、1つ以上の適当な置換基、望ましくは、1から5個の、先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0035】
文中で用いられている用語“複素環”または“ヘテロシクリル”とは、N、O、S(O)、NH、またはNR (式中、Rは適当な置換基)より選ばれる、1から4個のヘテロ原子を含む、単環式、二環式、または三環式の基を指す。必要に応じて、複素環基は1または2個の二重結合を含んでいる。複素環基としては、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキサチアジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾオキサジニルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。単環式の飽和または部分飽和環系の例は、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、ピペラジン−3−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジン、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、チオモルホリニル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、1,4−オキサジン−2−イル、1,2,5−オキサチアジン−4−イルである。複素環基は、非置換でも、1つ以上の適当な置換基、望ましくは、1から3個の、先に定義した適当な置換基で置換されていても良い。
【0036】
文中で用いられている用語“ヒドロキシ”とは、−OH基を指す。
【0037】
文中で用いられている用語“オキソ”とは、結合の相手が炭素原子である、二重結合酸素(=O)ラジカルを指す。このラジカルは、カルボニル基とも考えることができる。
【0038】
文中で用いられている用語“A/C”とは、アルミナと腐食剤(caustic)との比を指す。
【0039】
文中で用いられている用語“BET”とは、表面積を実験的に求めるための、ブルナウアー・エメット・テラー法を指す。この方法は、その材料への窒素または他の気体の吸着等温線の分析を用いるものである。
【0040】
文中で用いられている用語“CGM”とは、結晶成長調整剤を指す。
【0041】
文中で用いられている用語“沈殿液”とは、アルミナ製造法の水酸化アルミニウム沈殿工程の、アルミン酸塩を含む溶液を指す。アルミン酸塩溶液は、当業者に知られている様々な用語で、例えば、貴液、緑液、水酸化アルミニウム沈殿原料と呼ばれる。用語“沈殿液”には、当業者の知る方法で行われる、焼結炭酸塩法やバイヤー−焼結併用法で分解するための、アルミン酸塩溶液も含まれる。
【0042】
文中で用いられている用語“沈殿原料液”とは、水酸化アルミニウム沈殿工程の沈降分離装置へ流れ込む沈殿液を指す。
【0043】
文中で用いられている用語“加熱した沈殿液”とは、NaCOで50g/Lを上回る遊離アルカリ度と、周囲温度または25℃を超える温度を持つ、水酸化アルミニウム製造工程内の全ての液体を指す。
【0044】
文中で用いられている用語“廃液(spent liquor)”とは、最終分別段階の後、バイヤー工程の温浸(digestion)へ戻される廃液など、沈殿したアルミニウム分を除いた後に得られる液体を指す。
【0045】
2.化合物
本発明の化合物はフェノール−アルデヒド縮合物を含んでいる。フェノール−アルデヒド縮合物は、バイヤー工程に見られるような、沈殿液からの水酸化アルミニウムの結晶化を助長する結晶成長調整剤として働く。
【0046】
ある態様において、本発明では、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物を開示し、
【化9】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている。
【0047】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0048】
ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0049】
ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0050】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0051】
ある実施形態において、Lは、−C(R)(R)− である。ある実施形態では、Lが −CH− となるよう、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に水素である。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフェニル、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニル、または5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロトリデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル、またはシクロオクタデシル(cyclooctodecyl)より選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、1,3−ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、またはキノリニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のアゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル、チオピラニル、トリチアニル、1,3−ベンゾジチオリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、2,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、2,3−ジヒドロイソインドール−3−イル、1,3−ジオキソ(dixo)−1H−イソインドリル、5,6−ジヒドロイミダゾ−[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、または1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルより選ばれる。
【0052】
ある実施形態において、Lは、−O−C(R)(R)− である。ある実施形態では、Lが −O−CH− となるよう、RおよびRはそれぞれ水素である。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフェニル、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニル、または5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロトリデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル、またはシクロオクタデシルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、1,3−ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、またはキノリニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のアゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル、チオピラニル、トリチアニル、1,3−ベンゾジチオリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、2,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、2,3−ジヒドロイソインドール−3−イル、1,3−ジオキソ−1H−イソインドリル、5,6−ジヒドロイミダゾ−[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、または1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルより選ばれる。
【0053】
ある実施形態において、mは出現毎に0である。ある実施形態において、mは出現毎に1である。ある実施形態において、mは出現毎に2である。ある実施形態において、mは出現毎に3である。
【0054】
ある実施形態において、nの範囲は、1から100、1から50、1から30、1から20、1から15、または1から10である。ある実施形態において、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50である。
【0055】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−a)で示される繰り返し単位を含み、
【化10】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0056】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−b)で示される繰り返し単位を含み、
【化11】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0057】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−c)で示される繰り返し単位を含み、
【化12】
式中、R、R、L、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0058】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−d)で示される繰り返し単位を含み、
【化13】
式中、R、R、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0059】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−e)で示される繰り返し単位を含み、
【化14】
式中、R、R、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0060】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−f)で示される繰り返し単位を含み、
【化15】
式中、R、R、L、m、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0061】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−g)で示される繰り返し単位を含み、
【化16】
式中、R、R、L、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0062】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−h)で示される繰り返し単位を含み、
【化17】
式中、R、R、L、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0063】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−i)または構造式(I−j)で示される繰り返し単位を含み、
【化18】
【化19】
式中、R、R、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0064】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(I−k)または構造式(I−l)で示される繰り返し単位を含み、
【化20】
【化21】
式中、R、R、およびnは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれる。
【0065】
別の態様において、本発明では、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物を開示し、
【化22】
式中、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
は出現毎に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、および −ORから成る群より独立して選ばれ、
およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
Lは、−C(R)(R)− または −O−C(R)(R)− であり、
、R、R、およびRは出現毎に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルから成る群よりそれぞれ独立して選ばれ、
mは出現毎に、0、1、2、および3から成る群より独立して選ばれる整数であり、
nは1以上であり、
pは、1、2、3、4、または5であり、
qは、1、2、3、4、または5であって、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルはそれぞれ独立して出現毎に、非置換であり、または1つ以上の適当な置換基で置換されている。
【0066】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0067】
ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0068】
ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0069】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0070】
ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0071】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0072】
ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換アルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の直鎖C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、および置換または非置換の分枝C〜C30アルキル、C〜C18アルキル、またはC〜Cアルキルより選ばれる。ある実施形態において、Rは出現毎に、−OR、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。
【0073】
ある実施形態において、Rは出現毎に水素である。
【0074】
ある実施形態において、Lは、−C(R)(R)− である。ある実施形態では、Lが −CH− となるよう、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に水素である。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフェニル、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニル、または5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロトリデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル、またはシクロオクタデシルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、1,3−ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、またはキノリニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のアゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル、チオピラニル、トリチアニル、1,3−ベンゾジチオリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、2,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、2,3−ジヒドロイソインドール−3−イル、1,3−ジオキソ−1H−イソインドリル、5,6−ジヒドロイミダゾ−[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、または1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルより選ばれる。
【0075】
ある実施形態において、Lは −O−C(R)(R)− である。ある実施形態では、Lが −O−CH− となるよう、RおよびRはそれぞれ水素である。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の直鎖C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換の分枝C〜C18アルキルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、メチル、エチル、プロピル(例えば、n−プロピル、イソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、およびトリアコンチルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフェニル、ジヒドロインデニル、インデニル、ナフチル、ジヒドロナフタレニル、または5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロトリデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シクロヘキサデシル、シクロヘプタデシル、またはシクロオクタデシルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のフラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、1,3−ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、またはキノリニルより選ばれる。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して出現毎に、水素、および置換または非置換のアゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3−チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル、チオピラニル、トリチアニル、1,3−ベンゾジチオリル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、2,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、2,3−ジヒドロイソインドール−3−イル、1,3−ジオキソ−1H−イソインドリル、5,6−ジヒドロイミダゾ−[1,2−a]ピラジン−7(8H)−イル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、または1,2,3,4−テトラヒドロキノリニルより選ばれる。
【0076】
ある実施形態において、mは出現毎に0である。ある実施形態において、mは出現毎に1である。ある実施形態において、mは出現毎に2である。ある実施形態において、mは出現毎に3である。
【0077】
ある実施形態において、pは1である。ある実施形態において、pは2である。ある実施形態において、pは3である。ある実施形態において、pは4である。ある実施形態において、pは5である。
【0078】
ある実施形態において、qは1である。ある実施形態において、qは2である。ある実施形態において、qは3である。ある実施形態において、qは4である。ある実施形態において、qは5である。
【0079】
ある実施形態において、nの範囲は、1から100、1から50、1から30、1から20、1から15、または1から10である。ある実施形態において、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50である。
【0080】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−a)で示され、
【化23】
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0081】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−b)で示され、
【化24】
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0082】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−c)で示され、
【化25】
式中、R、R、R、R、L、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0083】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−d)で示され、
【化26】
式中、R、R、R、R、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0084】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−e)で示され、
【化27】
式中、R、R、R、R、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0085】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−f)で示され、
【化28】
式中、R、R、R、R、L、m、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0086】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−g)で示され、
【化29】
式中、R、R、R、R、L、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0087】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−h)で示され、
【化30】
式中、R、R、R、R、L、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0088】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−i)または構造式(II−j)で示され、
【化31】
【化32】
式中、R、R、R、R、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0089】
ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は構造式(II−k)または構造式(II−l)で示され、
【化33】
【化34】
式中、R、R、R、R、n、p、およびqは先の定義のとおりである。ある望ましい実施形態において、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、pは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれ、qは1または2であって、少なくとも1つのRは −OHであり、他の任意のRは、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより選ばれる。
【0090】
フェノール−アルデヒド縮合物が不斉中心を含み、これにより、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個別のジアステレオマーとなっていても良い。分子上の様々な置換基の性質によって、更に不斉中心が存在することがある。これらの不斉中心はそれぞれ独立して2つの光学異性体を生じると考えられ、混合物中の、また、純粋な、または部分的に精製した化合物としての、考えられる全ての光学異性体およびジアステレオマーは、本発明の範囲に含まれるものとする。本発明は、これらの化合物のこのような異性体全てを含むことを意図している。
【0091】
別の態様において、本発明では、酸触媒または塩基触媒を用いた、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド)と、1つ以上のフェノールの混合物との反応から生成したフェノール−アルデヒド縮合物を開示する。ある実施形態において、フェノール−アルデヒド縮合物は、酸触媒または塩基触媒を用いた、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒド)と、フェノール、1つ以上のモノアルキルフェノールの混合物、1つ以上のジアルキルフェノールの混合物、1つ以上の置換または非置換ジフェノールの混合物、またはこれらの組み合わせとの反応から生成した生成物である。ある実施形態において、フェノールは、フェノール、レゾルシノール、ブチルフェノール、クレゾール、およびオクチルフェノールから成る群より選ばれる。
【0092】
本発明の具体的な実施形態としては、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したレゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂、酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、塩基性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂が挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0093】
3.組成物
本件に開示されている組成物は、前述の化合物の少なくとも1つを含んでいる。
【0094】
ある実施形態において、本発明の組成物は、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の純粋な組成物を含んでいる。別の実施形態において、本発明の組成物は、構造式(I)で示される繰り返し単位を含む、2つ以上の構造的に異なるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。例えば、ある実施形態において、本発明の組成物は、nの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Lの異なる、および/または、mの異なる、および/または、繰り返しアリールに対する結合パターンの異なる(例えば、繋ぎ合わせているL基に対して、パラ、オルト、またはメタ)、フェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0095】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nの異なる、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。例えば、ある実施形態において、本発明の組成物は、組成物中の構造式(I)で示される繰り返し単位内の変数R、R、L、およびmは同じであるが、nの異なる、フェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。このような組成物は、重量平均分子量と多分散性に特徴がある。
【0096】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nが異なり、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、Lは出現毎に −CH− であり、mは出現毎に1である、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、Rは出現毎に非置換C〜Cアルキルである。
【0097】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nが異なり、Rは出現毎に水素であり、Rは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルより独立して選ばれ、Lは出現毎に −O−CH− であり、mは出現毎に1である、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、Rは出現毎に非置換C〜Cアルキルである。
【0098】
ある実施形態において、本発明の組成物は、繰り返しアリールに対するL基の結合パターンの異なる、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、本発明の組成物は、繰り返しアリールに対するL基の結合パターンが異なり、組成物中のフェノール−アルデヒド縮合物内の変数nが異なる、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0099】
ある実施形態において、本発明の組成物は、Rおよび/またはRが異なる、詳しくは、その化合物の調製に異なるアルデヒドを使用した、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0100】
ある実施形態において、本発明の組成物は、Rおよび/またはRおよび/またはmが異なる、詳しくは、その化合物の調製に異なるフェノールを使用した、構造式(I)で示される繰り返し単位を含むフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0101】
ある実施形態において、本発明の組成物は、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の純粋な組成物を含んでいる。別の実施形態において、本発明の組成物は、構造式(II)で示される、2つ以上の構造的に異なるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。例えば、ある実施形態において、本発明の組成物は、nの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Rの異なる、および/または、Lの異なる、および/または、mの異なる、および/または、pの異なる、および/または、qの異なる、および/または、繰り返しアリールに対する結合パターンの異なる(例えば、繋ぎ合わせているL基に対して、パラ、オルト、またはメタ)、フェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0102】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nの異なる、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。例えば、ある実施形態において、本発明の組成物は、組成物中の構造式(II)で示される化合物内の変数R、R、R、R、L、m、p、およびqは同じであるが、nの異なる、フェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。このような組成物は、重量平均分子量と多分散性に特徴がある。
【0103】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nが異なり、Rは出現毎に水素であり、R、R、およびRは出現毎に、−OH、およびC〜置換または非置換アルキルよりそれぞれ独立して選ばれ、Lは出現毎に −CH− であり、m、p、およびqは出現毎にそれぞれ1である、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、R、R、およびRは出現毎に非置換C〜Cアルキルである。
【0104】
ある実施形態において、本発明の組成物は、nが異なり、Rは出現毎に水素であり、R、R、およびRは出現毎に、−OH、およびC〜C置換または非置換アルキルよりそれぞれ独立して選ばれ、Lは出現毎に −O−CH− であり、m、p、およびqは出現毎にそれぞれ1である、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、Rは出現毎に非置換C〜Cアルキルである。
【0105】
ある実施形態において、本発明の組成物は、繰り返しアリールに対するL基の結合パターンの異なる、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。ある実施形態において、本発明の組成物は、繰り返しアリールに対するL基の結合パターンが異なり、組成物中のフェノール−アルデヒド縮合物内の変数nが異なる、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0106】
ある実施形態において、本発明の組成物は、Rおよび/またはRが異なる、詳しくは、その化合物の調製に異なるアルデヒドを使用した、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0107】
ある実施形態において、本発明の組成物は、Rおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはRおよび/またはmおよび/またはpおよび/またはqが異なる、詳しくは、その化合物の調製に異なるフェノールを使用した、構造式(II)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物の混合物を含んでいる。
【0108】
本発明の組成物は、必要に応じて、1つ以上の溶媒を含むことができる。適当な溶媒としては、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルまたはアルコール、脂肪酸エステル、低級芳香族炭化水素油、ケロセン、重質芳香族ナフサ(“HAN”)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、イソブタノール、およびこれらの組み合わせが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0109】
本発明の具体的な実施形態としては、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む配合物、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む配合物、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む配合物、塩基性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む配合物、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂と水酸化ナトリウム溶液とを含む配合物、酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂と、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルとを含む配合物、塩基性条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂と、プロピレングリコールモノメチルエーテルと、n−ブタノールと、イソブタノールとを含む配合物、酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂と、ケロセンとを含む配合物が挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0110】
4.合成
本発明の化合物および組成物は、本化合物を調製することのできる手段を示した、以下の合成スキームおよび方法を参照すると、更に良く理解できる。
【化35】
【0111】
本発明のフェノール−アルデヒド縮合物は、スキーム1に示すように調製可能である。式中、R、R、m、およびnは先の定義のとおりであり、Lは −CH− である。構造式(1)のフェノールを、酸(3)の存在下、必要に応じて過剰量としたアルデヒド(2)(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド)で処理すると、構造式(4)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物ができると考えられる。このように、スキーム1は、酸性条件下で生成したフェノール−アルデヒド縮合物、特に、Lが −CH− である縮合物を示している。
【化36】
【0112】
あるいは、本発明のフェノール−アルデヒド縮合物は、スキーム2に示すように調製しても良い。式中、R、R、m、およびnは先の定義のとおりであり、Lは −O−CH− である。構造式(1)のフェノールを、塩基(5)の存在下、必要に応じて過剰量としたアルデヒド(2)(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド)で処理すると、構造式(6)で示される化合物が生成し、これを、構造式(2)のアルデヒドおよび化学式(5)の塩基と更に反応させると、構造式(4)で示されるフェノール−アルデヒド縮合物ができると考えられる。このように、スキーム2は、塩基性条件下で生成したフェノール−アルデヒド縮合物、特に、Lが −O−CH− である縮合物を示している。
【0113】
5.方法
本発明の化合物および組成物(文中では“結晶成長調整剤”ともいう)は、水酸化アルミニウム、特に、沈殿液からの水酸化アルミニウムの結晶化を促進するために用いられる。このフェノール−アルデヒド樹脂はそのままで、あるいは、溶解性に応じて、炭化水素油、エトキシル化またはプロポキシル化アルキルエーテルまたはアルコール、脂肪酸エステル、またはこれらの組み合わせの溶液として使用できる。
【0114】
沈殿液は、バイヤー工程中のものであっても良い。結晶成長調整剤は様々な手段で沈殿液に加えることができる。フェノール−アルデヒド縮合物を、貴液に、または、種を含む結晶化回路のどこか、また、結晶化を行う一連のタンクのいずれかに加えても良い。
【0115】
ある実施形態において、本化合物および組成物は、バイヤー処理に続く工程で、a)沈殿原料液に、b)種スラリーに、c)沈殿タンクに直に、または、d)これらのいずれかの組み合わせで、沈殿液に加えることができる。ある実施形態では、本化合物および組成物を、インライン注入などの様々な添加方法で沈殿液に加えても良い。
【0116】
本発明の方法は、本発明の化合物または組成物をバイヤー処理液に加える工程を含んでいても良い。この方法は、微粉生成物の生成を抑えると同時に、水酸化アルミニウムの粒径分布も上昇させる。
【0117】
本発明の方法は、水酸化アルミニウム結晶を生成するためのバイヤー処理を含んでいても良い。前記処理は、溶解した水酸化アルミニウムを濾液からギブサイトとして結晶化させてギブサイト結晶を生成する工程を含んでいる。このとき、本発明の結晶成長調整剤で結晶化を促し、前記結晶成長調整剤は、結晶化の前、結晶化の間、または結晶化の前と間の両方で濾液に加えられ、この工程で生成したギブサイト結晶は、本件に開示の結晶成長調整剤を含まない以外は同じである濾液を結晶化させた場合よりも、粗い。
【0118】
所望の効果を得るために必要な結晶成長調整剤の量は、沈殿工程のパラメータに応じて異なる。殆どの場合、その量は、沈殿液中の利用可能な水和アルミナ固体の表面積によって決まる。この固体は、沈殿液を分解する間、種として導入した、または、新しい結晶または凝集体として生じた、水酸化アルミニウムを含む。結晶成長調整剤の適当な量は、利用可能な水酸化アルミニウム種面積の1平方メートル当たり約0.01から約30mg、望ましくは、約0.1から約15mg/mの範囲である。一般に、約8mg/m未満のCGMが使用できる。
【0119】
利用可能な水酸化アルミニウム面積が確実に求められない場合、沈殿を行うオペレータは、結晶成長調整剤を体積で加えることができる。結晶成長調整剤の量は、沈殿液1リットル当たり約0.01から約400mg、望ましくは、沈殿液1リットル当たり約0.05から約200mgの範囲である。一般に、約100mg/リットル未満のCGMが使用できる。
【0120】
結晶成長調整剤を沈殿液に加えると、全体の生成収率を全く低下させることなく、バイヤー処理で生成するアルミナ三水和物微粉結晶の割合が大幅に減少し、これにより、アルミニウム金属製造に最も適した粒径のアルミナ三水和物結晶の収率が上がる。
【0121】
ある実施形態では、結晶成長調整剤を加えると、回収される結晶の質量の少なくとも半分が325メッシュ(44〜45μm)を超える。ある実施形態では、結晶成長調整剤を加えると、回収される結晶の質量の少なくとも半分が、少なくとも40μm、少なくとも45μm、少なくとも50μm、少なくとも55μm、少なくとも60μm、少なくとも65μm、少なくとも70μm、少なくとも75μm、少なくとも80μm、少なくとも85μm、少なくとも90μm、または少なくとも95μmを超える。ある実施形態では、結晶成長調整剤を加えると、回収される結晶の質量の少なくとも半分が、40μm、41μm、42μm、43μm、44μm、45μm、46μm、47μm、48μm、49μm、50μm、51μm、52μm、53μm、54μm、55μm、56μm、57μm、58μm、59μm、60μm、61μm、62μm、63μm、64μm、65μm、66μm、67μm、68μm、69μm、70μm、71μm、72μm、73μm、74μm、75μm、76μm、77μm、78μm、79μm、80μm、81μm、82μm、83μm、84μm、85μm、86μm、87μm、88μm、89μm、90μm、91μm、92μm、93μm、94μm、または95μmを超える。
【0122】
ある実施形態において、結晶成長調整剤は、対照分位粒径の平均に対する%増加率を、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、または少なくとも30%とする。ある実施形態において、結晶成長調整剤は、d(0.1)、d(0.5)、またはd(0.9)のいずれに関しても、対照分位粒径の平均に対する%増加率を、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、または35%とする。
【0123】
ある実施形態では、シュウ酸球径の上昇も起こる。ある実施形態において、シュウ酸球沈殿物の粒径は、約200から約10,000μmの範囲となる。ある実施形態において、シュウ酸球沈殿物の粒径は、約300μmの範囲となる。
【0124】
結晶成長調整剤を添加するとバイヤー処理の効率も良くなり、粒の粗いアルミナ三水和物粒子の収率が上がり、アルカリ液からのアルミナ三水和物の分離および収集が改善される。
【実施例】
【0125】
これまでの内容は、以下の実施例を参照すると更に良く理解されよう。これらの実施例は説明を目的として示されるものであって、本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【0126】
結晶成長調整剤を評価するための代表的な試験法は、次のように行うことができる。試験は、プラント廃液を再構成して得た、新鮮な貴液を用いて行う。所望の質量の廃液をステンレススチール製ビーカーに量り入れ、蒸発させて体積を約30%まで減らす。これに一定質量の水酸化アルミニウム固体を加え、溶解するまで混合物を撹拌する。この溶液をホットプレートから外して秤に載せ、所望の質量になるまで脱イオン水を加える。貴液を濾過して不溶物を除く。
【0127】
沈殿試験は、Intronics 温度制御水浴に浸し、10rpmで回転させた、250mLのNalgene(登録商標)瓶で行う。1.30kg/L(~72℃)の密度を持つ貴液を、精度を上げるため、質量で瓶に加える(200mL=260.0g)。マイクロシリンジを用いて、適当な瓶の蓋に、種結晶の全表面積(mg/m)に応じて結晶成長調整剤(例えば、2mgまたは4mg)を入れ、次に、瓶を回転浴中に置いて72℃で平衡とする(20分間)。平衡に達したら、瓶を取り出して必要量の種(液の体積に対して50g/L)を素早く加え、すぐに湯浴に戻す。湯浴の温度は、例えば72℃に設定する。瓶を一晩(15時間)回転させる。
【0128】
15時間経過後に瓶を取り出し、それぞれの瓶から、シリンジフィルターを通して20mLの試料スラリーを濾過し、液を分析する。残りのスラリーには、更に沈殿しないよう10mLのグルコン酸ナトリウム溶液(400g/L)を加えてよく混ぜる。減圧濾過して固体を集め、熱い脱イオン水で良く洗い、110℃で乾燥させる。当該技術で良く知られている、Malvern粒径測定器で、粒径分布と比表面積を求める。粒径分布は、3つの分位、d(0.1)、d(0.5)、およびd(0.9)で示される。これらは、総粒子体積(または質量)が、それぞれ、約10%未満、50%未満、および90%未満である粒径を表している。
【0129】
[実施例1]
ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂配合物の性能
商業的供給源から得たブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂の粗粒化効果を調べた。この樹脂は、過剰のブチルフェノールを用いて、酸性条件下で生成したもの(式中、L= −CH−)であった。この樹脂を含む2つの配合物を調製した。
配合物A:エトキシル化およびプロポキシル化エーテル中に100g/Lの濃度で分散させた、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂
配合物A:ケロセン中に50g/Lの濃度で分散させた、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂
【0130】
表1および表2に、72℃および68℃における、バイヤー水酸化アルミニウムの粒径に対する、ブチルフェノールアルデヒド配合物の効果をそれぞれ示す。粒径分布は、3つの分位、d(0.1)、d(0.5)、およびd(0.9)で示される。つまり、総粒子体積(または質量)の、それぞれ10%、50%、および90%が、表中に示された粒径よりも小さい。d(0.5)は、ちょうど中間の大きさである。対照分位粒径を超えるパーセント(%)増加率は、結晶成長調整剤を用いた試験で得られた分位粒径と、対照分位粒径との差を、対照分位粒径で除したものである。基準点として、既存の市販の結晶成長調整剤で得られた粒径の増大も、表1および表2に示す。既存の市販の結晶成長調整剤は、10を超える炭素数の脂肪酸を含むもので、文中ではこれを“従来品”と呼ぶ。
【0131】
結果は、ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂の極端な粗粒化効果を示している。特に、ブチルフェノールホルムアルデヒド配合物は、添加しない対照試料だけでなく、非常に効果的な結晶成長調整剤であると一般に考えられている既存の従来品よりも、著しく改善された性能を示した。
【0132】
各配合物の粗粒化度には、表面積範囲に応じて最適用量があることは当然である。この点以上に用量を増すと、添加剤の効果が薄れることがある。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
[実施例2]
フェノール−アルデヒド樹脂配合物の性能
その他のフェノール−アルデヒド樹脂の粗粒化効果を調べた。樹脂は、酸性条件下で生成したもの(式中、L= −CH−)、または塩基性条件下で生成したもの(式中、L= −O−CH−)であった。以下の配合物を調製した。
配合物A:過剰量のブチルフェノールを用い、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂を、エトキシル化およびプロポキシル化エーテルに100g/Lの濃度で溶媒和させたもの
配合物A:過剰量のブチルフェノールを用い、酸性条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂を、ケロセンに50g/Lの濃度で溶媒和させたもの
配合物B:レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂を、15g/L NaOH溶液に100g/Lの濃度で溶解させたもの
配合物C:大過剰のホルムアルデヒドを用い、アルカリ条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂を、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルに100g/Lの濃度で溶媒和させたもの
配合物C:大過剰のホルムアルデヒドを用い、アルカリ条件下で生成したブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂を、ケロセンに25g/Lの濃度で溶媒和させたもの
配合物D:過剰量のフェノールを用い、酸性条件下で生成したフェノールホルムアルデヒド樹脂を、エトキシル化およびプロポキシル化アルキルエーテルに25g/Lの濃度で溶媒和させたもの
配合物E:大過剰のホルムアルデヒドを用い、アルカリ条件下で生成したクレゾールホルムアルデヒド樹脂を、50質量%の濃度の、プロピレングリコールモノメチルエーテル、n−ブタノール、およびイソブタノールの溶液として供給したもの
配合物F:過剰量のオクチルフェノールを用い、酸性条件下で生成したオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂を、ケロセンに50g/Lの濃度で溶媒和させたもの
【0136】
表3および表4に、72℃および68℃における、バイヤー水酸化アルミニウムの粒径に対する配合物の効果をそれぞれ示す。粒径分布は、3つの分位、d(0.l)、d(0.5)、およびd(0.9)で示される。つまり、総粒子体積(または質量)の、それぞれ10%、50%、および90%が、表中に示された粒径よりも小さい。d(0.5)は、ちょうど中間の大きさである。対照分位粒径を超えるパーセント(%)増加率は、結晶成長調整剤を用いた試験で得られた分位粒径と、対照分位粒径との差を、対照分位粒径で除したものである。基準点として、既存の市販の結晶成長調整剤で得られた粒径の増大も、表3および表4に示す。既存の市販の結晶成長調整剤は、10を超える炭素数の脂肪酸を含むもので、文中ではこれを“従来品”と呼ぶ。
【0137】
結果は、フェノール−アルデヒド樹脂の極端な粗粒化効果を示している。特に、樹脂配合物は、添加しない対照試料だけでなく、非常に効果的な結晶成長調整剤であると一般に考えられている既存の従来品よりも、著しく改善された性能を示した。
【0138】
各配合物の粗粒化度には、表面積範囲に応じて最適用量があることは当然である。この点以上に用量を増すと、添加剤の効果が薄れることがある。
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
絶対的表現または近似的表現のいずれで示されていても、範囲は全て両方を含むことを意図しており、文中で用いられている定義付けはいずれも、明確にするものであって、限定しようとするものではない。本発明の広い範囲を述べている数値域およびパラメータは近似値であるが、具体例に示されている数値はできるだけ正確に記録してある。しかし全ての数値は、それぞれの試験測定法に見られる標準偏差から必然的に生じる、ある程度の誤差を本質的に含む。更に、文中に開示されている全ての範囲は、それに含まれる、いずれかの、および全てのサブレンジ(全ての部分的および全体的値を含む)を包含すると理解すべきである。
【0142】
更に、本発明は、文中に述べられている様々な実施形態の一部または全ての、いずれかの、および全ての可能な組み合わせも包含する。本願に引用されている、いずれかの、および全ての特許、特許出願、学術論文、その他参考文献、更に、これらの引用している全ての参考文献は、その内容を全て本件に引用して援用する。
【国際調査報告】