(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-516635(P2016-516635A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(54)【発明の名称】船舶又は艦艇などの船のための安定化装置、そのような装置を備えた船舶、および、安定化装置を駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
B63B 39/06 20060101AFI20160513BHJP
【FI】
B63B39/06 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-509566(P2016-509566)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】IB2014060250
(87)【国際公開番号】WO2014174390
(87)【国際公開日】20141030
(31)【優先権主張番号】MI2013A000695
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514146829
【氏名又は名称】フィンカンティエリ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・カイッツィ
(72)【発明者】
【氏名】ロッコ・カヴァリエーレ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・カルカーニョ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・オリヴァストリ
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】
開口(31、32)を有する底部(3)により定義された船体(2)を有する船を安定させるための格納可能な安定化装置(1)であって、前記安定化装置(1)は、スタビライザーフィン(10)と、前記スタビライザーフィン(10)を前記船体(2)に接続するのに適した接続本体(20)と、前記接続本体(20)に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ(62)と、を備え、前記接続本体(20)は前記フィンを支持し、前記接続本体(20)は前記フィン(10)が前記底部の前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が前記開口(31、32)を通して前記船体(2)に完全に戻る前記フィン(10)の格納位置との間で、船体(2)に対して前記フィン(10)と一緒に回転可能であり、前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(31、32)を有する底部(3)により定義された船体(2)を有する船を安定させるための格納可能な安定化装置(1)であって、
前記安定化装置(1)は、
スタビライザーフィン(10)と、
前記スタビライザーフィン(10)を前記船体(2)に接続するのに適した接続本体(20)と、
前記接続本体(20)に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ(62)と、を備え、
前記接続本体(20)は前記フィンを支持し、前記接続本体(20)は前記フィン(10)が前記底部の前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が前記開口(31、32)を通して前記船体(2)に完全に戻る前記フィン(10)の格納位置との間で、船体(2)に対して前記フィン(10)と一緒に回転可能であり、
前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成された前記安定化装置(1)であり、
前記安定化装置は、前記接続本体(20)に一体的に固定された第2のハッチ(61)を備え、前記第2のハッチ(61)は、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第2のハッチ(61)は、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成されており、およびそこにおいて、
前記第1のハッチ(62)および第2のハッチ(61)が、互いに実質的に等しく、拡張されたフィンに対応するその第1の角度位置と、格納されたフィンに対応するその第2の角度位置との間で、前記接続本体(20)の最大角変位に対応する、または実質的に同じである角度に従って互いに曲がるように構成された安定化装置。
【請求項2】
前記スタビライザーフィン(10)は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ(80)と、および船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ(72)と、を有する加工形状を備えており、そこにおいて、
前記出口エッジ(72)は、フィン(10)を前記格納位置に持って行くために船体2に対する回転中において前記開口(32)と対向し、および/または、そこにおいて
前記接続本体(20)は、フィン(10)が前記底部における前記開口(31,32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が船の前進(V)の通常の航行方向に対する流れと共に回転する前記フィン(10)の格納位置との間で、前記船体(2)に対して前記フィン(10)と一緒に回転し、
前記フィン(10)は、前記フィンのエッジ(72)に沿って前記フィン(10)に対してヒンジにより動くフラップ(71)を備え、および/または前記フィンエッジは、船の航行方向に対して前記フィン(10)のリアエッジ、即ち出口エッジ(72)であり、および/または前記フラップ(71)は、フィン(10)本体に対してその回転用の駆動手段を備えた請求項1に記載の安定化装置。
【請求項3】
前記開口(31、32)は、接続本体(31)の突き出しを可能とする開口部と、フィン(32)の突き出しを可能とする連続開口部とにより形成され、そこで、前記第1のハッチ(62)、または、追加して、前記第2のハッチ(61)は、接続本体(31)の突き出しを可能とする前記開口部の少なくとも一部を閉じるのに適した請求項1または2に記載の安定化装置。
【請求項4】
前記スタビライザーフィン(10)は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ(80)、および船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ(72)を備えており、
前記出口エッジは、前記格納位置に前記フィン(10)を持って行くように船体(2)に対する回転中において前記開口(32)と反対側に対向し、および/または
前記フィン(10)が前記底部における前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が船の前進(V)の通常の航行方向に対して流れに逆らって回転(R)する前記フィン(10)の格納位置との間で、前記接続本体(20)が船体(2)に対して前記フィン10と一緒に回転し、
フィン(10)は、フィンエッジ(72)に沿ってフィン(10)に対してヒンジにより動くフラップ(71)を備えており、および/または前記フィンエッジは、船の航行方向に対してフィン(10)のリアエッジ、即ち出口エッジ(72)であり、および/または
前記フラップ(71)は、フィン(10)本体に対してその回転用の駆動手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接続本体(20)に前記スタビライザーフィン(10)を接続するのに適した支持シャフト、即ちネック(12)を備えており、前記第1のハッチ(62)が、前記開口(31、32)を閉鎖中に前記拡張位置で前記フィン(10)を保持することを可能とするように前記支持シャフト(12)、即ちネックを取り囲み、または前記支持シャフト、即ちそれ自身の軸(O-O)の周りのネック(12)の回転を可能としている間、前記開口部が前記接続本体(31)の突き出ることを可能とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記スタビライザーフィン(10)が拡張位置の場合、スタビライザーフィン(32)の突き出る前記開口部を閉じるように構成された少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)を備える請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)が、前記船体(2)に対して移動して接続可能であり、前記拡張位置と前記格納位置との間で前記スタビライザーフィン(10)の移動中にスタビライザーフィン(32)の突き出る前記開口部の開放を保持するように制御装置によって駆動される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)は、前記スタビライザーフィン(10)が前記格納位置にある場合、または、前記スタビライザーフィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記スタビライザーフィン(32)突き出る前記開口部の閉鎖を保持するように構成された請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記船の航行中の横揺れに対抗するように前記スタビライザーフィン(10)の前記支持シャフト、即ちネック(12)の軸(O-O)の周りに前記スタビライザーフィンを回転させる電動手段を備え、前記スタビライザーフィン(10)の前記支持シャフト、即ちネック(12)の前記軸(O-O)は、フィン回転軸(R-R)に対する横断線であり、前記装置が、前記電動回転手段を駆動するよう構成され、前記船の測定された瞬間的な振動の機能として好ましくはフィードバックされる制御を備える請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記フィン(10)および前記接続本体を保持する保持コンパートメント(30)を備え、前記保持コンパートメント(30)は、壁(37)を突き出るフィン(10)を備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの安定化装置(1)を備える船舶又は艦艇。
【請求項12】
開口(31と32)を有する底部(3)により定義される船体(2)を有する船または船舶を安定させるための格納可能なスタビライザーフィン(10)を動かすための方法であって、
船体(2)に前記スタビライザーフィン(10)を接続するのに適した接続本体(20)を提供するステップであって、前記接続本体(20)が前記フィン(10)を支持しており、
接続本体(20)に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ(62)を提供するステップであって、前記第1のハッチ(62)が前記接続本体(31)の突き出しを可能とする開口部を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、
前記フィン(10)が前記開口(31、32)を通して前記船体(2)に完全に戻る前記フィン(10)の格納位置と、前記フィン(10)が前記底部の前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置との間で、船体(2)に対して前記スタビライザーフィン(10)と一緒に前記接続本体(20)を回転するステップ、
前記第1のハッチ(62)を前記底部(3)と一致するように配置され、前記開口(31、32)で前記底部の形状を回復させる前記拡張位置にある場合、前記接続本体の突き出ることを可能とするように、前記開口部(31)を前記第1のハッチ(62)により、少なくとも部分的に閉じるステップ、
を含む、船舶又は艦艇を安定させるための格納可能なスタビライザーフィン(10)を動かすための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式フィンの流体力学動作に基づいて、船舶又は艦艇などの船のための、揺れ止め安定化装置の分野において適用される。
【背景技術】
【0002】
航海の分野においては、海の波動により生じる、船の過剰な揺れを防止し、又は少なくともある程度低減させて、船舶を安定化させる必要性がしばしば感じられる。
【0003】
特に、航行中において、船は、その縦方向の軸の周りの鬱陶しい振動、即ち横揺れを受けている。
【0004】
市場で要求される高い基準で船上の乗客と乗組員に快適性を保証するために、海軍の船艇を設計する最初の段階からでさえときどき、安定化システムの適切な使用を規定することが、広く、定着して実施されており、横揺れの影響が大幅に低減されている。
【0005】
既知で非常に広まっているシステムとしては、スタビライザーフィンによる安定化があり、そのスタビライザーフィンは翼形の流体力学特性を利用して、現代制御システムを用いており、横揺れを上手く減衰させることができるものである。
【0006】
非常に厳しい海面状態においてさえ、安全で快適な航行のために不可欠な前述のスタビライザーフィンは、それらが自由水面下の底部から出ている流体力学のアタッチメントであるため、それらが動作するところの流体力学の迎え角がどちらであっても、船の前進移動に対する流体力学的抵抗を必然的に生み出している。
【0007】
船の前進運動に抵抗となる抗力を少なくとも部分的に低減するために、「格納」形式のスタビライザーフィンが知られており、それは、好ましい海の天候状態の下においては、底部の中にある特別の構造上の凹部に格納されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、格納式のスタビライザーフィンを備える既知の安定化システムには重大な欠点を有する。
【0009】
実際、フィンが格納位置の内部にあったり、船が停止していない速度で航海しなければならないあらゆる状況においても、格納式のスタビライザーフィンの同様の存在は、いずれにせよ船の前進運動に抵抗となる抗力において相当な増加を含むものである。
【0010】
この欠点は、船の前進運動に抵抗となる抗力に大きく関わることは、底部における構造上の凹部の存在に起因するという事実により生じており、フィンが格納位置となるとき、それらにフィンを再挿入させるために不可欠なものであるが、底部に沿って通常の流体力学の水の流れを部分的に偏らせて、結果的に、如何なる場合においても、船の運動に対する抵抗を増大させる顕著な渦巻き運動現象が多かれ少なかれもたらされる。
【0011】
船の前進運動に抵抗するこの抗力は、予め決められた距離をカバーするために燃料消費量に悪影響を与える。
【0012】
前述の欠点は、底部の連続性を中断する凹部による抵抗の影響が、格納された位置と拡張された位置との間のフィン位置から独立して存在するので、拡張されたフィンの条件下と格納されたフィンの条件下との両方で生じている。
【0013】
したがって、格納式のフィンを備えた既知の安定化装置は、拡張されたフィンの場合、および格納されたフィンの場合の両方において、船の全使用年数中において船の前進運動に対向する抵抗の欠点を受けている。
【0014】
装置のいくつかには、船体の内部にある凹部に折り畳むことができるスタビライザーフィンを備えているものが知られている。その船体においては一部が底部の外面に向かって開口しており、これらは、例えば、特許文献、GB825134A、GB1352308、JP9323697、EP0754618、JP11129986において知られているが、いずれのドキュメントも、フィンを受け取るための凹部により生じる船の抵抗を低減する必要性についての如何なる解決策も示していない。
【0015】
抵抗を低減するためのいくつかの試みも知られているが、例えば、FR2538340-A1、DE2121091、EP2096027、US3837313に述べられているように、そのような問題の解決に失敗したままであり、それらは不完全である。
【0016】
これらの書面は、フィンが格納されるときに閉じたハッチを使用して、フィンが格納位置にある場合、抵抗が低減されるという好い結果をもたらすが、フィンが拡張された位置にある場合には、そのような問題を解決するのに有効ではない。実際、それらは、そのような動作状態下の問題に対して如何なる解決策も提供しておらず、フィンが拡張されている場合には、底部に沿った水の流体力学の流れを凹部で変わることを防止することができない。ドイツ造船(DEUTSCHE WERFT AG)によりGB802105Aにおいて提案された解決策は、拡張された位置から、摺動可能な隔壁により閉鎖することができる船体内に折り畳める位置へ回転する角運動が可能なスタビライザーフィンによる船の横揺れを減衰するための装置を示している。しかしながら、この既知の解決策は、フィンが格納される場合、隔壁がそれを閉鎖することを可能とするために、非常に大きなフィン収納コンパートメントの実施を強要するものである。更に、提案された解決策は、部分的にコンパートメントの開口を塞ぐとき、その開口を覆う場合でさえ、底部の連続性を回復することを可能としていない。
【0017】
特に、書面、US3837313は、上昇位置と、スロット(細長い開口)に低下する位置との間で移動可能な垂直の支柱を備えた、船首のドアおよび翼を有する水中翼を示している。そして、さらにそれは、空気力学的な形状の船首部分を形成するように閉じられるときに協働する2枚のドアを有しており、そのようなドアは、翼支柱が完全な降下位置と、完全な上昇位置との間のスロットに沿って自由に移動することができる開口の位置に向かって移動可能である。
【0018】
この書面もまた、フィンが拡張された場合、即ち、正確には、最小の流体力学の抵抗を引き出す必要性が最も感じられる場合、凹部を閉じることができない。したがって、底部の表面の範囲に関してだけではなく、船体内部に占める容量に関しても、これらの装置の全体的な寸法を縮小すると同時に、スタビライザーフィンの飛び出しおよび折り畳むために、船の底部の連続性において形成された開口により与えられた抵抗を低減する必要性が強く感じられる。
【0019】
本発明の目的は、前述の必要性、および先行技術に関して上記のようにここにおいて報告した欠点を少なくとも部分的に除去した、格納式のスタビライザーフィンを有する安定化装置を立案し提供することである。
【0020】
特に、本発明の課題は、スタビライザーフィンの任意の位置で凹部に対して水により影響を受ける流体力学の抵抗を大幅に低減し、または無くすことを可能にすると同時に、底部の凹部に格納可能であるスタビライザーフィンを備える船舶または艦艇などの船のための安定化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そのような目的は、付加されたクレームにおいて定義されるような安定化装置によって達成され、それらの定義は本明細書と一体不可分である。
更に、そのような目的は、そのような安定化装置を備える船により達成され、およびそのような安定化装置を動かす方法によって達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のさらなる特性および利点は、実施例に限定されるものではないが、付加された図面を参照して、実例として挙げられた以下に述べる好ましい実施例を記載した明細書から明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る安定化装置の斜視図を示し、フィンは格納位置にあり、ハッチが閉じられている。
【
図2】
図2は、
図1の装置の斜視図を示し、フィンは拡張位置にあり、ハッチが開いている。
【
図3】
図3は、操作手段が提供されており、拡張位置のフィンを備えた本発明に係る装置の斜視図を示す。
【
図4】
図4は、拡張位置のフィンを備えた本発明に係る装置の斜視図を示しており、保持コンパートメントは、明瞭性ために示されていない。
【
図5】
図5は、本発明に係る装置の斜視図を示しており、フィンが拡張位置と格納位置の間の中間位置である。
【
図6】
図6は、本発明に係る2つの安定化装置を有する船を単に概略的な断面で示す。
【
図7】
図7は、更なる実施例に係る装置の斜視図を示しており、フラップが設けられたフィンは拡張位置にあり、第1のハッチは船体の最大横断寸法を有する開口を部分的に閉じている。
【
図8】
図8は、更なる実施例に係る装置の斜視図を示しており、フラップが設けられていないフィンは拡張位置にあり、第1のハッチは船体の最大横断寸法を有する開口を部分的に閉じている。
【
図9】
図9は、更なる実施例に係る装置の斜視図を示しており、フィンが格納位置にあり、第2のハッチが船体の最大横断寸法を有する開口を部分的に閉じている。
【
図10】
図10は、更なる実施例に係る装置の斜視図を示しており、フラップなしで対向する入口エッジおよび出口エッジを備えるフィンが拡張位置にあり、第1のハッチが船体開口を部分的に閉じている。
【
図11】
図11は、更なる実施例に係る装置の斜視図を示し、フラップが設けられた対向する入口エッジおよび出口エッジを備えるフィンが拡張位置にあり、第1のハッチが船体開口を部分的に閉じている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここにおいて、以下は、「船の縦軸」を船首と船尾を結ぶ軸を示すように参照されており、「船体」が船の本体を構成するすべての構造の組を示し、「ボトム」が浮動ライン(喫水線)の下の船体を外面的に定義する表面を示し、「キール」が船尾から船首まで縦に延びる、船体の必須の連続的な要素を示している。
【0025】
図面に関して、本発明に係る安定化装置は、艦艇または船舶などの船のために、参照符号1で概ね示されている。
【0026】
特に、安定化装置1は、船体に移動可能に接続されたスタビライザーフィン10を備え、そしてフィン10が底部から始まる船体の中で延びる凹部30の中に収納されている格納位置と、フィン10がこの凹部を通って船底2から突出する拡張位置との間で移動可能である。
【0027】
したがって、底部は、底部からフィンの突き出ることが可能な開口31、32を有しており、凹部30はこの開口31、32から始まっている。
【0028】
実施例に従って、凹部は、凹部自体を定義する保持コンパートメント30によって形成されており、その中で保持コンパートメントの壁は開口31、32を備える。
【0029】
そのようなスタビライザーフィン10は、できるだけ同じ船の横揺れを減衰して、その航行中の船を安定させるという役割を有している。
【0030】
好ましくは、安定化装置は、少なくともペアで船に関連付けされる。
他の用語において、2つの安定化装置が、船の両側で、船のキールを通り抜ける対称面に関して対称的に配設されている。
【0031】
このように、2つの対称的に配設された装置は、例えば、揺動軸O-Oの周りを制御された方法において、そして所定の最大値の間の範囲の角度位置の間隔でフィンを回転させる制御およびアクチュエーターによって、互いに協力するように構成されている。
【0032】
したがって、2つの安定化装置の各々は、船自体の縦軸に沿った船の望まない横揺れを低減するように強く作用する。
【0033】
各安定化装置1のフィン10は、航行中または停留時において水による不安定な推進力に対してダイナミックに動作するように、その使用を通して動作可能に水没している。
【0034】
実際、船2が航行しておらず、所定の位置に停留しているときでさえ、そのようなフィン10は、横揺れに関してその制動作用を働かせることができる。
【0035】
安定化装置のフィン10は、横方向に延びる翼形状を有しており、底部3に対する主延長方向の横断線において主として延びており、例えば、底部3に対して実質的に直角に延びており、それが浸される水で変換された流体力学の力を最適化している。
【0036】
この主延長方向は、揺動軸O-Oと実質的に平行となるか、あるいは揺動軸O-Oと一致することができる。
【0037】
実施例に従って、保持コンパートメント30は、開口31、32の反対側の底壁35と、底壁35を開口31、32に接続する側面壁36を有する箱形状を有している。
【0038】
実施例によれば、側壁は、4枚あり、2枚づつ実質的に平行である。
【0039】
実施例に従って、保持コンパートメント30は、防水であり、言いかえれば、それを通して水の通過を防止するように構成されている。
【0040】
実施例に従って、保持コンパートメント30は、前記底壁35の反対側の前壁37を備えており、前記前壁35は、安定化装置1の組立位置における船底3の形状に従って形作られており、表壁37は開口31、32を備えている。
【0041】
したがって、実施例に従って、保持コンパートメント30は、底部において明確に得られた開口で、底部に確実に固定することができる部分となる。
【0042】
そのような場合、表壁37は、船底3において得られた対応する孔に実装することができ、前記孔が外側の輪郭38と同じ形状を有している。
【0043】
このように、保持コンパートメント30は、表壁37を底部3に連続する形状で並べられて実装され、そのような表壁37が底部に対して、例えば、溶接により、確実に固定される。
【0044】
表壁37は、側壁36を越えて外側に延び、側壁36に対して横方向に延びて、組立フランジ39を形成する。
【0045】
そのような組立フランジ39は、フランジ39と一緒に前壁37が連続的な形状で底部3とぴったり重なるように、組立フランジ39の外側エッジ38と同じ形状を有する底部の孔で底部に固定され得る。
【0046】
あるいは、保持コンパートメント30は、底部3にフランジ39をオーバーラップさせることにより底部3に固定することができる。
【0047】
代替の実施例に従って、保持コンパートメントは、底部3それ自体の単一で形成される。
【0048】
安定化装置1は、フィン操作手段50を備えており、フィン操作手段50は、フィン10が開口31、32を通して底部3から突出する拡張位置と、フィン10が保持コンパートメント30に格納される格納位置との間でフィン10が移動するように構成されている。
【0049】
実施例に従って、フィン操作手段50は、回転手段であり、回転軸R-Rの周りを保持コンパートメント30に対して格納位置と拡張位置との間でフィン10を回転させるよう構成されている。
【0050】
実施例に従って、回転軸R-Rは、船の縦軸に直交する面上にあり、特に、しかし必ずしも必要ではないが、それが実装される位置において底部3と実質的に平行である。
【0051】
実施例によれば、安定化装置は、船体2、または代替的に保持コンパートメント30にスタビライザーフィン10を接続するのに適した接続本体20を備えており、接続本体20は、フィン10を支持しており、フィン10が開口31,32を通して船体2から突出するフィン10の拡張位置と、フィン10が開口31,32を通して船体3に完全に再収納されるフィン10の格納位置との間で、船体2に対してフィン10と一緒に回転することができる。
【0052】
安定化装置1は、接続本体20に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ62を備えており、第1の閉鎖ハッチ62は、フィン10が拡張位置にある場合、開口31、32を少なくとも部分的に閉じるのに適している。その第1のハッチ62は、フィン10が前記拡張位置にある場合、底部3の形状および連続性を回復するように形成されている。
【0053】
実施例に従って、安定化装置1は、接続本体20に一体的に固定された第2のハッチを備えており、前記第2のハッチは、フィン10が前記格納位置にある場合、開口31、32を少なくとも部分的に閉じるのに適している。第2のハッチ61は、フィン10が格納位置にある場合、底部3の形状および連続性を回復するのに適した外側表面を有して形成されている。
【0054】
実施例に従って、第1のハッチ62および第2のハッチ61は、互いに実質的に同じものであり、拡張されたフィンに対応するその第1の角度位置と、格納されたフィンに対応するその第2の角度位置との間の接続本体20の最大角変位に対応する、または実質的に同じである角度に従って互いに曲がるように構成されている。
【0055】
実施例に従って、開口31、32は、接続本体31の突き出ることを可能とする開口部と、フィン10の突き出しを可能とする連続開口部32により形成される。
【0056】
実施例に従って、第1のハッチ62、または、追加して、第2のハッチ61は、接続本体31の突き出しを可能とする開口部を少なくとも部分的に閉じるのに適している。
【0057】
実施例に従って、第1のハッチ62は、第1の外側付随表面42を定義しており、第1のハッチ62が閉じられている場合、接続本体20の突き出しを可能とし、開口部31で底部3の形を回復するように構成されている。
【0058】
実施例に従って、第2のハッチ61は、第2の外側付随表面41を定義しており、第2のハッチが再収納された場合、接続本体20の突き出しを可能とし、開口部31で底部3の形を回復するように構成されている。
【0059】
実施例に従って、第1のハッチ62および第2のハッチ61は、接続本体20と共に単一部分で作れており、例えば、それらは接続本体20の第1の側部および第2の側部を形成する。
【0060】
実施例に従って、フィン操作手段50は、線形アクチュエータ51、例えば、液圧シリンダー(hydraulic cylinder)を備えている。
【0061】
実施例に従って、線形アクチュエータ51は、例えば、保持コンパートメント30に属している固定点53で、若しくは船体2の一点で、ヒンジで動く第1の端部52と、接続本体20に一体化されたアーム55でヒンジで動く第2の端部とを有しており、その結果、接続本体20の回転は線形アクチュエータ51の直線運動に対応している。
【0062】
実施例に従って、液圧シリンダー51は、液圧制御ユニット56に液圧的に接続されている。このように、制御ユニット56は液圧シリンダーの動作を駆動するように構成されており、それにより、接続本体20が移動し、格納位置と拡張位置との間でフィン10が移動する。
【0063】
実施例に従って、安定化装置は、前記スタビライザーフィン10が拡張位置または格納位置の場合に、ハッチ61、62により影響を受けない開口部32を閉じるように構成された少なくとも1つの開放可能なシャッター43、44を備える。
【0064】
実施例に従って、その拡張位置と格納位置との間のスタビライザーフィン10の動作中において、開口32の開放を維持するために、少なくとも1つの開放可能なシャッター43、44は、その回転を可能とする防水パッセージ隔壁によって船体2に接続可能である。
【0065】
実施例に従って、少なくとも1つのシャッター43、44は、前壁37に対して、または保持コンパートメント30に対して、その主とする側に沿って、ヒンジにより動かされる。
【0066】
実施例に従って、コンパートメント30の第2の部分32の開口を開閉するために、互いに協力するように構成された2つの個別のシャッター43、44がある。
【0067】
実施例に従って、2つのシャッター43、44は、同時に、若しくは相互に同期された方法で動くように構成されている。
【0068】
実施例に従って、少なくとも1つのシャッター43、44は、自動開閉アクチュエーター45を備えている。
【0069】
実施例に従って、安定化装置1は、接続本体20にスタビライザーフィン10を接続するのに適した、支持シャフト、即ちネック12を備えており、前記シャフト、即ちネック12は揺動軸O-Oと一致する軸を有している。
【0070】
実施例に従って、第1のハッチ62は、拡張位置のフィンと共に、開口31、32を閉じることができるように、支持シャフト、即ちネック12を囲んでいる。
【0071】
実施例に従って、安定化装置1は、フィンが拡張位置にある場合、揺動軸O-Oの周りにフィン10を回転させ、横揺れに対抗する振動手段を備える。
【0072】
実施例に従って、前記振動手段は、液圧制御ユニット(図示なし)によって駆動される液圧形式、または電気形式の振動アクチュエータを備えている。
【0073】
更に、振動シャフトは、振動することができる、言い換えれば、フィン10を揺動軸、即ち回転軸O-Oの周りを回転させることができる支持シャフト、即ち支持ネックである。
【0074】
実施例に従って、安定化装置は、船の航行中の横揺れに対抗するために、支持シャフトの軸O-O、即ちスタビライザーフィン10のネック12の周りにスタビライザーフィン10を回転させるための電動手段を備えている。
【0075】
実施例に従って、支持シャフトの軸O-O、即ちスタビライザーフィン10のネック12は、フィン回転軸R-Rに対する横断線である。
【0076】
実施例に従って、前記安定化装置は、制御を含み、好ましくは船の測定された瞬間的な振動の関数としてフィードバックされた制御を含み、電動回転手段を駆動するように構成されている。
【0077】
実施例によれば、前記制御は、船の速度および瞬間的な加速度の測定からの信号に基づいてフィードバックされた制御である。
【0078】
図2に示された実施例に従って、フィン10は、フィンのエッジ72に沿った、例えば、船の航行方向に対してフィン10のリアエッジに沿ったフィン10に対してヒンジにより動くフラップ71を備えてもよい。
【0079】
実施例に従って、フィンのリアエッジ72は直線である。
【0080】
実施例に従って、フラップ71は、電動駆動手段、若しくは非電動駆動手段(図示せず)を備える。
【0081】
本発明の別の態様に従って、前述の目的および利点は、前記の少なくとも1組の安定化装置1を備える船舶又は艦艇などの船によって達成される。
【0082】
本発明の更なる態様に従って、前述の目的および利点は、開口31、32を有する底部3によって定義された船体2を持つ船または船舶を安定させるために格納可能なスタビライザーフィン10を駆動する方法によって達成される。
【0083】
前記方法は、船体2にスタビライザーフィン10を接続するのに適した接続本体20を提供するステップを含み、前記接続本体20が前記フィン10を支持している。
【0084】
更に、前記方法は、接続本体20に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ62を提供するステップを含み、前記第1のハッチ62は、接続本体20から突き出ることが可能な開口部31を少なくとも部分的に閉じるのに適している。
【0085】
更に、有利なこととしては、前記方法は、前記フィン10が前記開口31、32を通して前記船体2に完全に戻るフィン10の格納位置と、前記フィン10が前記開口31、32を通して前記船体2から飛び出すフィン10の拡張位置との間で、船体2に対して前記スタビライザーフィン10と一緒に前記接続本体20を回転させるステップを含み、前記フィン10が前記第1のハッチ62により拡張位置にある場合、少なくとも部分的に閉じた前記開口部が接続本体20の突き出し31を可能としており、前記第1のハッチ62が前記底部とぴったり重なるように配置され、そして開口31、32で底部の形状を回復させる。
【0086】
実施例に従って、更なるステップとしては、フィン10が拡張位置に維持される場合、およびフィン10が格納位置に維持される場合、フィンの突き出しを可能とするよう開口部32の閉鎖を維持し、および拡張位置と格納位置との間でフィン10の移動においてフィンの突き出しを可能とするように、一つの開口部32の開放を維持する、少なくとも一つの開放可能なシャッター43、44を提供することである。
【0087】
実施例に従って、格納位置から拡張位置にフィン10を移動させる方法は、
少なくとも1つのシャッター43、44を開くステップ、
第2の表面42が接続本体20の突き出ることを可能とする開口部31を閉じるように、格納位置から拡張位置にフィン10を回転させるステップ、
開口32からフィンの突き出ることを可能とする開口部を閉じるために少なくとも1つのシャッター43、44を閉鎖するステップ、を含む。
【0088】
実施例に従って、拡張位置から格納位置にフィン10を移動させる方法は、
少なくとも1つのシャッター43、44を開くステップ、
第1の表面41が前記開口から接続本体20の突き出ることを可能とする開口部31を閉じるように、拡張位置から格納位置へフィン1を回転させるステップ、
フィンの突き出ることを可能とする開口部32を閉じるように、少なくとも1つのシャッター43、44を閉じるステップ、を含む。
【0089】
本発明に係る船舶又は艦艇などの船のための安定化装置は、重要な利点を達成することを可能にする。
【0090】
実際、そのような装置は、零でない速度で移動する船の作動期間における如何なる動きにおいても、燃料消費の結果として低減を伴い、底部における凹部の存在による抵抗の一定分を取り除くことを可能とする。
【0091】
第1のハッチおよび第2のハッチの存在は、乱れた動きの形成を極限に制限し、船の抗力を大幅に縮小するように、底部に沿った水の動きを妨げたりせず、または変えたりしないことを可能にする。
【0092】
接続本体20に固定されたハッチ41、42は、非常に頑丈な構造の達成を保証し、媒体(水)によって行使される高い機械的な作用に耐えることができるものである。
【0093】
別の更なる利点は、接続本体20の板または面であろうとその付随表面が接続本体に一体的におよび堅く接続されており、更なる機械的な操作装置が存在しないという事実により非常にコンパクトで頑丈な構造により与えられる。
【0094】
接続本体に対してハッチを移動させるためのそのような機構が全くない場合には、海の中に頻繁に潜る植物または動物の起源の予想される外殻が、格納位置と拡張位置との間、又はその逆でフィンの適切な動きを如何なる方法においても妨げることがないという利点を提供する。
【0095】
別の更なる利点は、接続本体の板または面であろうとその付随表面が接続本体に一体的におよび堅く接続されており、更なる機械的な操作装置がないという事実により非常にコンパクトで頑丈な構造により与えられる。
【0096】
別の利点は、もし凹部開口が第1または第2の付随表面によって閉じられていなかった場合に凹部開口の出入り口で開始されるであろうキャビテーション効果の大幅な減少である。
【0097】
本発明の別の利点は、フィンが拡張され、その揺動軸の周りにフィンの回転を可能とするとき、フィン保持コンパートメントを閉じることを同時に可能とする、安定化装置を船舶又は艦艇などの船のために供給することである。
【0098】
装置の前述の実施例に対して、予測できない要求を満たすために、当業者は、以下のクレームの範囲から逸脱することなく、機能的に等価な他のもので要素の改造、適合および置換を行うことができるであろう。実行可能な実施例に属するように述べた特性のそれぞれは、前述の他の実施例から独立して実行され得る。
【0099】
実施例に従って、お分かりのように、例えば、
図7においては、フラップ71を設けたフィン10は、拡張位置において、船体の最大の左右寸法を有する開口31を部分的に閉じる第1のハッチ42を有する。
【0100】
実施例に従って、お分かりのように、例えば、
図8においては、フラップが設けられていないフィン10は拡張位置にあり、第1のハッチ42は船体の最大左右寸法を有する開口31を部分的に閉じている。
【0101】
実施例に従って、お分かりのように、例えば、
図9においては、フィン10は格納位置にあり、第2のハッチ43は船体の最大左右寸法を有する開口31を部分的に閉じている。
【0102】
実施例に従って、お分かりのように、例えば、
図10においては、フラップなしで入口エッジ80および出口エッジ72を対向して伴うフィン10が、拡張位置にあり、第1のハッチ42が、船体の開口31を部分的に閉じている。
【0103】
実施例に従って、お分かりのように、例えば、
図11においては、フラップ71を備える対向する入口エッジ80および出口エッジ72を伴うフィン10が、拡張位置にあり、第1のハッチ42が、船体の開口31を部分的に閉じている。
【0104】
実施例に従って、前記スタビライザーフィン10は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ80と、船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ72を有する加工された外観形状を持つ。前記出口エッジ72は、フィン10を前記格納位置に持って行くために、船体2に対して回転中に前記開口32と対向する。
【0105】
実施例に従って、前記フィン10が前記底部における前記開口31、32を通して前記船体2から突出する前記フィン10の拡張位置と、前記フィン10が船の前進(矢印Vに従って)の通常の航行方向に対する流れと共に回転する(矢印Rに従って)前記フィン10の格納位置との間で、前記接続本体20は船体2に対して前記フィン10と一緒に回転する。
【0106】
実施例に従って、フィン10は、フィンエッジ72に沿ってフィン10に対してヒンジにより動くフラップ71を備える。
【0107】
実施例に従って、前記フィンエッジは、船の航行方向Vに対してフィン10のリアエッジ、即ち出口エッジ72となる。
【0108】
実施例に従って、フラップ71は、フィン10本体に対してその回転用の駆動手段を備える。
【0109】
実施例に従って、前記スタビライザーフィン10は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ80と、および船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ72と、を有する加工された外観形状を備えており、前記出口エッジ72は、フィン10を前記格納位置に持って行くために船体2に対する回転R中において前記開口32と反対の側に対向させる。
【0110】
実施例に従って、前記フィン10が前記底部における前記開口31、32を通して前記船体(2)から突出する前記フィン10の拡張位置と、前記フィン10が船の前進(矢印Vに従って)の通常の航行方向に対する流れに逆らって回転する(矢印Rに従って)前記フィン10の格納位置との間で、前記接続本体20は船体2に対して前記フィン10と一緒に回転する。
【0111】
実施例に従って、フィン10は、フィンエッジ72に沿ってフィン10に対してヒンジにより動くフラップ71を備えており、前記フィンエッジは、フィン10を前記格納位置に持って行くために、船体2に対する回転R中において前記開口32と反対の側に対向する船の航行方向に対するフィン10のリアエッジ、即ち出口エッジ72となる。例えば、フラップ71は、フィン10本体に対するその回転用の駆動手段を備える。
【手続補正書】
【提出日】2015年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(31、32)を有する底部(3)により定義された船体(2)を有する船を安定させるための格納可能な安定化装置(1)であって、
前記安定化装置(1)は、
スタビライザーフィン(10)と、
前記スタビライザーフィン(10)を前記船体(2)に接続するのに適した接続本体(20)と、
前記接続本体(20)に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ(62)と、を備え、
前記接続本体(20)は前記フィンを支持し、前記接続本体(20)は前記フィン(10)が前記底部の前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が前記開口(31、32)を通して前記船体(2)に完全に戻る前記フィン(10)の格納位置との間で、船体(2)に対して前記フィン(10)と一緒に回転可能であり、
前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第1のハッチ(62)は、前記フィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成された前記安定化装置(1)であり、
前記安定化装置は、前記接続本体(20)に一体的に固定された第2のハッチ(61)を備え、前記第2のハッチ(61)は、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第2のハッチ(61)は、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成されており、およびそこにおいて、
前記第1のハッチ(62)および第2のハッチ(61)が、互いに実質的に等しく、拡張されたフィンに対応するその第1の角度位置と、格納されたフィンに対応するその第2の角度位置との間で、前記接続本体(20)の最大角変位に対応する、または実質的に同じである角度に従って互いに曲がるように構成された安定化装置。
【請求項2】
前記スタビライザーフィン(10)は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ(80)と、および船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ(72)と、を有する加工形状を備えており、そこにおいて、
前記出口エッジ(72)は、フィン(10)を前記格納位置に持って行くために船体2に対する回転中において前記開口(32)と対向し、および/または、そこにおいて
前記接続本体(20)は、フィン(10)が前記底部における前記開口(31,32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が船の前進(V)の通常の航行方向に対する流れと共に回転する前記フィン(10)の格納位置との間で、前記船体(2)に対して前記フィン(10)と一緒に回転し、
前記フィン(10)は、前記フィンのエッジ(72)に沿って前記フィン(10)に対してヒンジにより動くフラップ(71)を備え、および/または前記フィンエッジは、船の航行方向に対して前記フィン(10)のリアエッジ、即ち出口エッジ(72)であり、および/または前記フラップ(71)は、フィン(10)本体に対してその回転用の駆動手段を備えた請求項1に記載の安定化装置。
【請求項3】
前記開口(31、32)は、接続本体(31)の突き出しを可能とする開口部と、フィン(32)の突き出しを可能とする連続開口部とにより形成され、そこで、前記第1のハッチ(62)、または、追加して、前記第2のハッチ(61)は、接続本体(31)の突き出しを可能とする前記開口部の少なくとも一部を閉じるのに適した請求項1または2に記載の安定化装置。
【請求項4】
前記スタビライザーフィン(10)は、船の航行方向に対するフロントエッジ、即ち入口エッジ(80)、および船の航行方向に対するリアエッジ、即ち出口エッジ(72)を備えており、
前記出口エッジは、前記格納位置に前記フィン(10)を持って行くように船体(2)に対する回転中において前記開口(32)と反対側に対向し、および/または
前記フィン(10)が前記底部における前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置と、前記フィン(10)が船の前進(V)の通常の航行方向に対して流れに逆らって回転(R)する前記フィン(10)の格納位置との間で、前記接続本体(20)が船体(2)に対して前記フィン10と一緒に回転し、
フィン(10)は、フィンエッジ(72)に沿ってフィン(10)に対してヒンジにより動くフラップ(71)を備えており、および/または前記フィンエッジは、船の航行方向に対してフィン(10)のリアエッジ、即ち出口エッジ(72)であり、および/または
前記フラップ(71)は、フィン(10)本体に対してその回転用の駆動手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接続本体(20)に前記スタビライザーフィン(10)を接続するのに適した支持シャフト、即ちネック(12)を備えており、前記第1のハッチ(62)が、前記開口(31、32)を閉鎖中に前記拡張位置で前記フィン(10)を保持することを可能とするように前記支持シャフト(12)、即ちネックを取り囲み、または前記支持シャフト、即ちそれ自身の軸(O-O)の周りのネック(12)の回転を可能としている間、前記開口部が前記接続本体(31)の突き出ることを可能とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記スタビライザーフィン(10)が拡張位置の場合、スタビライザーフィン(32)の突き出る前記開口部を閉じるように構成された少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)を備える請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)が、前記船体(2)に対して移動して接続可能であり、前記拡張位置と前記格納位置との間で前記スタビライザーフィン(10)の移動中にスタビライザーフィン(32)の突き出る前記開口部の開放を保持するように制御装置によって駆動される請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの開放可能なシャッター(43、44)は、前記スタビライザーフィン(10)が前記格納位置にある場合、または、前記スタビライザーフィン(10)が前記拡張位置にある場合、前記スタビライザーフィン(32)突き出る前記開口部の閉鎖を保持するように構成された請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記船の航行中の横揺れに対抗するように前記スタビライザーフィン(10)の前記支持シャフト、即ちネック(12)の軸(O-O)の周りに前記スタビライザーフィンを回転させる電動手段を備え、前記スタビライザーフィン(10)の前記支持シャフト、即ちネック(12)の前記軸(O-O)は、フィン回転軸(R-R)に対する横断線であり、前記装置が、前記電動回転手段を駆動するよう構成され、前記船の測定された瞬間的な振動の機能として好ましくはフィードバックされる制御を備える請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記フィン(10)および前記接続本体を保持する保持コンパートメント(30)を備え、前記保持コンパートメント(30)は、壁(37)を突き出るフィン(10)を備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の少なくとも一つの安定化装置(1)を備える船舶又は艦艇。
【請求項12】
開口(31と32)を有する底部(3)により定義される船体(2)を有する船または船舶を安定させるための格納可能なスタビライザーフィン(10)を動かすための方法であって、
船体(2)に前記スタビライザーフィン(10)を接続するのに適した接続本体(20)を提供するステップであって、前記接続本体(20)が前記フィン(10)を支持しており、
接続本体(20)に一体的に固定された第1の閉鎖ハッチ(62)を提供するステップであって、前記第1のハッチ(62)が前記接続本体(31)の突き出しを可能とする開口部を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、
前記フィン(10)が前記開口(31、32)を通して前記船体(2)に完全に戻る前記フィン(10)の格納位置と、前記フィン(10)が前記底部の前記開口(31、32)を通して前記船体(2)から突出する前記フィン(10)の拡張位置との間で、船体(2)に対して前記スタビライザーフィン(10)と一緒に前記接続本体(20)を回転するステップ、
前記第1のハッチ(62)を前記底部(3)と一致するように配置され、前記開口(31、32)で前記底部の形状を回復させる前記拡張位置にある場合、前記接続本体の突き出ることを可能とするように、前記開口部(31)を前記第1のハッチ(62)により、少なくとも部分的に閉じるステップ、を含む方法において、
第2のハッチ(61)を前記接続本体(20)に一体的に固定するよう設けるステップであって、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記第2のハッチ(61)が前記開口(31、32)を少なくとも部分的に閉じるのに適しており、前記第2のハッチ(61)は、前記フィン(10)が前記格納位置にある場合、前記底部の形状と連続性を回復させるのに適している外側表面で形成されており、およびここにおいて、
前記第1のハッチ(62)および第2のハッチ(61)が、互いと実質的に等しく設けられたステップ、および
拡張されたフィンに対応するその第1の角度位置と、格納されたフィンに対応するその第2の角度位置との間で、前記接続本体(20)の最大角変位に対応する、または実質的に同じである角度に従って互いに曲げるステップ、
を含む、船または船舶を安定させるための格納可能なスタビライザーフィン(10)を動かすための方法。
【国際調査報告】