特表2016-516698(P2016-516698A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリス・フアルマ・インコーポレーテツドの特許一覧

特表2016-516698ベンゾナテート改変放出性固体錠剤およびカプセル剤
<>
  • 特表2016516698-ベンゾナテート改変放出性固体錠剤およびカプセル剤 図000066
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-516698(P2016-516698A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(54)【発明の名称】ベンゾナテート改変放出性固体錠剤およびカプセル剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/245 20060101AFI20160513BHJP
   A61K 9/26 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 31/09 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 9/54 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/44 20060101ALI20160513BHJP
【FI】
   A61K31/245
   A61K9/26
   A61P11/14
   A61K47/04
   A61K47/38
   A61K47/14
   A61K47/10
   A61K47/32
   A61K47/26
   A61K47/12
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61K31/09
   A61K9/54
   A61K47/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2016-501151(P2016-501151)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】US2014023106
(87)【国際公開番号】WO2014159340
(87)【国際公開日】20141002
(31)【優先権主張番号】61/780,689
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/872,019
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508276969
【氏名又は名称】トリス・フアルマ・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】チエン,クイン−ゼン
(72)【発明者】
【氏名】メータ,ハーシユ
(72)【発明者】
【氏名】トウ,ユ−シン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA42
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC15
4C076DD27
4C076DD29
4C076DD29C
4C076DD37
4C076DD41C
4C076DD46
4C076DD67A
4C076EE13H
4C076EE16
4C076EE32
4C076EE55
4C076FF31
4C084AA19
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA12
4C084ZA62
4C084ZC75
4C206AA01
4C206AA10
4C206CA34
4C206FA36
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA62
4C206ZC75
(57)【要約】
ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに十分な量の1種以上の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の物質を含むマトリックス中にベンゾナテートを含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤であって、口腔内での錠剤またはカプセル剤からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出は約25%以下である、12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤について記載される。改変放出性は、(a)高溶融温度の水不溶性の蝋もしくは蝋質物質、(b)低粘度親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、(c)逆腸溶性コーティング、またはそれらの組み合わせによって付与され得る。このベンゾナテートは、シリカもしくはケイ酸塩を含む吸着物質中、または弱酸性イオン交換樹脂複合体を含む複合体中にあり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)マトリックス中のベンゾナテートであって、前記マトリックスは、(i)ベンゾナテート成分と(ii)前記ベンゾナテートに改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の親水性または疎水性のマトリックス形成性物質とを含む均一固体分散体である、ベンゾナテートと、(b)前記マトリックス中のベンゾナテート(a)を覆う逆腸溶性コーティングとを含む、鎮咳性改変放出性固体経口組成物であって、インビトロ溶出試験で測定される場合に前記ベンゾナテートの約55%以下が1時間以内に前記組成物から放出され、かつ口腔内での前記組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項2】
インビトロ溶出アッセイで測定される場合に前記ベンゾナテートの約25%以下が1時間以内に放出される、請求項1に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項3】
前記ベンゾナテート成分が、シリカまたはケイ酸塩上に吸着されたベンゾナテートを含む吸着物質である、請求項1に記載の鎮咳性改変放出性固体組成物。
【請求項4】
ベンゾナテートとシリカまたはケイ酸塩との重量比が、約5:1〜約1:10、または約3:1〜約1:1の範囲内にある、請求項3に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項5】
前記ベンゾナテート吸着物質が、ベンゾナテートと、ケイ酸カルシウム、シリカまたは二酸化ケイ素のうちの少なくとも1つとを含む、請求項3に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項6】
前記ベンゾナテートが、ケイ酸カルシウム上に吸着されている、請求項5に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項7】
ベンゾナテートとケイ酸カルシウムとの重量比が、約2:1〜約1:1の範囲内にある、請求項6に記載の鎮咳性改変放出性組成物。
【請求項8】
前記ベンゾナテート吸着物質が、約60%w/wのベンゾナテート、約40%w/wのケイ酸カルシウム、および二酸化ケイ素を含む、請求項6または7に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項9】
コーティング前の前記組成物の重量に基づき約5%w/w〜約35%w/w、または約5%w/w〜約30%w/wの少なくとも1種の親水性ポリマーを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項10】
親水性ポリマーが、低粘度ポリマーである、請求項1に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項11】
組成物が、約4000mPa−s〜約100,000mPa−sの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するポリマーのブレンドである低粘度親水性ポリマーを含む、請求項10に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種の疎水性マトリックス形成性物質が、改変放出性の蝋または蝋質物質である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種の蝋が、ベヘン酸グリセリルを含む、請求項12に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項14】
前記マトリックス中のベンゾナテート成分とベヘン酸グリセロールとの比が、約6:1〜約2:1または約5:1〜約4:1の重量比である、請求項13に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項15】
疎水性マトリックス形成性物質が、セチルアルコールを含む、請求項12に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項16】
前記疎水性マトリックス形成性物質が、セチルアルコールとステアリルアルコールとを含む、請求項15に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項17】
セチルアルコールとステアリルアルコールとの比が、約2:1〜約1:2または約1.5:1〜約1:1である、請求項16に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項18】
ベンゾナテートとセチルアルコールおよびステアリルアルコールの合わせた重量との重量比が、約5:1〜約3:1である、請求項17に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項19】
約30%w/wのベンゾナテートと、約3.5〜約4%のセチルアルコールと、約4%〜約5%のステアリルアルコールとを含む請求項16〜18のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項20】
前記逆腸溶性コーティングが、(a)pH依存性のメタクリル酸メチルとメタクリル酸ジエチルアミノエチルとのコポリマーまたは(b)メタクリル酸ジメチルアミノエチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとをベースとするpH依存性のカチオン性コポリマーを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項21】
前記逆腸溶性コーティングが、メタクリル酸ジメチルアミノエチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとをベースとするpH依存性のカチオン性コポリマーを含む、請求項20に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項22】
前記逆腸溶性コーティングが、前記組成物に添加されて約5%〜約40%重量または約8〜約20%重量を構成する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項23】
圧縮錠剤である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項24】
前記錠剤が、増量剤、結合剤および滑沢剤のうちの1つ以上から選択される少なくとも1種の賦形剤をさらに含む、請求項23に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項25】
前記増量剤が、微結晶性セルロースおよびラクトース一水和物のうちの1つ以上から選択される、請求項24に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項26】
前記結合剤が、ポビドンまたはコポビドンである、請求項24に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項27】
前記滑沢剤が、二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムから選択される、請求項24に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項28】
前記錠剤が、少なくとも1種以上のさらなる薬学的活性成分をさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種以上のさらなる活性成分が、解熱薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、去痰薬および鬱血除去薬から選択される、請求項28に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1種以上のさらなる活性成分が、独立して、即時放出形態であるか、改変放出形態であるか、またはその両方である、請求項29に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項31】
前記去痰薬が、グアイフェネシンである、請求項29に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項32】
前記1種以上のさらなる活性成分のうちの少なくとも1つが、前記マトリックス中にある、請求項28に記載の鎮咳性改変放出性固体経口組成物。
【請求項33】
コアと前記コアを覆う逆腸溶性コーティングとを含む12時間鎮咳性改変放出性固体経口錠剤であって、
前記コアは、マトリックス中にベンゾナテートを含んでなり、前記マトリックスは、(a)ベンゾナテートとシリカとを含む吸着物質であって、前記吸着物質中のベンゾナテートの重量百分率は、前記吸着物質の重量に基づき約50重量%のベンゾナテート〜約75重量%のベンゾナテートである、吸着物質と、(b)前記コアの重量に基づき約4重量%〜約20重量%の親水性または親水性のマトリックス形成性材料とを含む均一固体分散体であり、ベンゾナテート吸着物質とポリマーとの比は、約8:1〜約1:1であり、
逆腸溶性コーティングは約5重量%〜約20重量%であり、前記コーティング重量百分率は、あらゆる任意選択のシールコートの前の被覆錠剤総量に基づくものであり、口腔または食道内での前記錠剤からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の前記ベンゾナテートの放出は約25%以下である、
12時間鎮咳性改変放出性固体経口錠剤。
【請求項34】
マトリックス中にベンゾナテートを含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体経口錠剤またはカプセル組成物であって、前記マトリックスが、(a)ベンゾナテートと非金属ベースのシリカとを含む吸着物質と(b)約4%w/w〜約20%w/wのベヘン酸グリセリルとを含む均一固体分散体であり、口腔内での前記組成物からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の前記ベンゾナテートの放出は約25%以下である、12時間鎮咳性改変放出性固体経口錠剤またはカプセル組成物。
【請求項35】
ベンゾナテートケイ酸塩吸着物質と、前記ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質とを含む均一分散体を含む12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤であって、前記固体錠剤は、前記ベンゾナテート−ケイ酸塩吸着物質−マトリックスを覆う逆腸溶性コーティングをさらに含み、口腔内での前記組成物からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の前記ベンゾナテートの放出は約25%以下
である、12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤。
【請求項36】
前記錠剤が、24時間の期間中に2回投与される約300mgのベンゾナテート(600mg/日)に相当する12時間改変放出単回用量の投与後に、約30ng/mL〜約35ng/mLのCmax(算術平均);約28ng/mL〜約32ng/mLのCmax(幾何平均);約180〜約185ng−時間/mLのAUCinf(算術平均);約145ng−時間/mL〜約155ng−時間/mLのAUCinf(幾何平均);および約10〜約15時間のTmaxにより特徴付けられるベンゾナテート薬物動態プロファイルを有する、請求項35に記載の12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤。
【請求項37】
前記錠剤が、24時間の期間中に2回投与される300mgのベンゾナテートに相当する12時間改変放出用量の投与後に、約33ng/mLのCmax(算術平均);約30ng/mLのCmax(幾何平均);約182ng−時間/mLのAUCinf(算術平均);約150ng−時間/mLのAUCinf(幾何平均);および約12時間のTmaxにより特徴付けられるベンゾナテート薬物動態プロファイルを有する、請求項36に記載の12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤。
【請求項38】
前記ベンゾナテートケイ酸塩吸着物質が、約6:1〜約1:1の重量比のベンゾナテート:ケイ酸カルシウムを含む、請求項36に記載の12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤。
【請求項39】
前記ベンゾナテートケイ酸カルシウム吸着物質が、約2:1〜約1:1の重量比のベンゾナテート:ケイ酸カルシウムを含む、請求項35に記載の12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤。
【請求項40】
前記ベンゾナテートケイ酸カルシウム吸着物質−マトリックスが、約6:1〜約2:1または約5:1〜約4:1の重量比のベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質:高融点改変放出性蝋を含む、請求項34に記載の12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤。
【請求項41】
前記高融点改変放出性錠剤が、ベヘン酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤。
【請求項42】
マトリックス中にベンゾナテートを含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤であって、前記マトリックスは、(a)ベンゾナテート−弱酸性イオン交換樹脂複合体と(b)前記ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質とを含む均一固体分散体であり、口腔内での前記組成物からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の前記ベンゾナテートの放出は約25%以下である、12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤。
【請求項43】
12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤であって、2回投与される成人における300mgのベンゾナテート(600mg/日)に相当する用量での前記固体錠剤またはカプセル剤の1日投与後に、約121〜約245ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約28〜約34ng/mLのCmaxおよび約8〜16時間のTmaxを有する幾何平均最大血漿濃度により前記ベンゾナテートが特徴付けられる、12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤。
【請求項44】
請求項42に記載のマトリックス中にベンゾナテートを含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤であって、前記ベンゾナテートが、約150ng−時間
/mLの曲線下面積(AUC)inf、約30ng/mLのCmaxおよび約12時間のTmaxを有する幾何平均最大血漿濃度により特徴付けられる、12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ベンゾナテートは、即時放出性組成物の送達後約6〜8時間続く治療効果を有する非麻薬性の経口咳止め薬、すなわち鎮咳薬である。その正式名称は、パラ−ブチルアミノ安息香酸2,5,8,11,14,17,20,23,26−ノナオキサオクタコサン−28−イルである。ベンゾナテートはオピオイドではないため、これは、一部の他の鎮咳剤(例えば、コデイン)のような潜在的乱用の傾向はない。例えば、米国特許第8,357,398号明細書を参照されたい。ベンゾナテートは、鎮咳薬としての投与について1958年に米国食品医薬品局(FDA)により承認されたものである。[www.medicinenet.com/Benzonatate/article.htm(2013年3月12日にアクセス)]。
【0002】
ベンゾナテートは、他のエステル局所麻酔薬(例えば、プロカインおよびテトラカイン)と化学的に関連しているブチルアミンである。ベンゾナテートは、局所麻酔薬として作用することが報告されており、下気道および肺における伸張受容器の感受性を低下させ、それにより、深呼吸をした後に咳をする動因を低減する。例えば、米国特許第4,775,694号明細書を参照されたい。鎮咳薬として、ベンゾナテートは、種々の呼吸器状態(例えば、気管支炎、気腫、インフルエンザ、および肺炎)において咳をすることを低減することが報告されている。例えば、http://www.medicalook.com/reviews/Benzonatate.html(2013年3月12日にアクセス)を参照されたい。
【0003】
米国特許第8,357,398号明細書、国際公開第2012/054067号パンフレット、米国特許出願公開第2013/0096191A1号明細書、米国特許出願公開第2011/0091509号明細書(全てHoward et al.)は、鎮咳用途に有用であると述べられているベンゾナテートの経口投与形態について記載している。Howard et al.は、ベンゾナテートの窒息の危険および不快な味を低減するという記載されている目的のためにベンゾナテートをイオン交換樹脂に結合させることを記載している。
【0004】
米国特許第6,793,934号明細書(Burnside et al.)は、ベンゾナテートなどの液体薬物を粉末に変えるために、粒状メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを単独でまたは第二リン酸カルシウムと一緒に使用することを記載している。‘934特許は、粒状メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと第二リン酸カルシウムとの組み合わせおよびステアリン酸マグネシウムとブレンドする前に、ベンゾナテートをエチルアルコールと混合してその粘度を低減することを記載している。エチルアルコールは、結果として生じる粉末の加工の間に除去される。
【0005】
米国特許第4,775,694号明細書(Press et al.)は、連続水相および不連続油相を含む水中油エマルションを特許請求している。ベンゾナテートのほとんど全てがエマルションの不連続油相中に存在する。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0176955A1号明細書(Heck et al.)は、オピエートに特に敏感な個体(幼児および他の小児科特許を含む)に咳の緩和を提供するように設計された、ベンゾナテートとグアイフェネシンとの組み合わせを含有する薬学的組成物について記載している。
【0007】
ベンゾナテートは、現在のところ、100mgおよび200mgのソフトゲルカプセル
として即時放出形態で市販されている。初期用量は、100mgゲルキャップ1つを経口により1日3回(8時間効果)である。投薬量は、必要に応じて最大1日600mgまで増加され得る。カプセル剤は、その有効性および潜在的毒性のため、よりゆっくりとした薬剤の放出を可能にするためにそのまま嚥下されなければならない。口腔粘膜中のベンゾナテート(局所麻酔薬)の過度の吸収は、口および喉の麻痺の急速な発現を結果としてもたらすであろう。極端な場合、口および咽頭が、肺誤嚥が起こり得るほど麻痺した状態になり得る。ベンゾナテートの過度の吸収は、ゲルキャップが口内で咀嚼されたまたは溶解することを可能にされた場合に起こり得る。これは、薬物の過剰投与に繋がり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
当該技術分野において必要とされるものは、この薬物の口腔内放出と関連する望ましくない副作用を回避するベンゾナテート組成物である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
改変放出性ベンゾナテート固体組成物が本明細書に記載される。1日に行われる投与の回数を低減することにより、本明細書における組成物は、追加の利益(利便性を含む)を患者に提供する。さらに、本明細書において提供される組成物は、口腔内放出を回避し、かつ1日に必要とされる投与の回数を低減するベンゾナテートの改変放出を提供するものであり、その結果、ベンゾナテートと関連する望ましくない潜在的に深刻な副作用を回避するものである。さらに、少なくとも従来の有効期間の貯蔵条件および貯蔵時間の継続期間にわたり安定なインビトロおよびインビボ放出速度を提供することも、本明細書において提供される組成物の目的である。
【0010】
一態様において、(a)マトリックス中のベンゾナテートであって、前記マトリックスは、(i)ベンゾナテート成分と(ii)ベンゾナテートに改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の親水性または疎水性のマトリックス形成性物質とを含む均一固体分散体である、ベンゾナテートと、(b)マトリックス中のベンゾナテート(a)を覆う逆腸溶性(reverse
enteric)コーティングとを含む、改変放出性固体経口組成物であって、インビトロ溶出試験で測定される場合にベンゾナテートの約50%以下、好ましくは約40%未満、より好ましくは約25%未満は1時間以内に組成物から放出され、組成物からのベンゾナテート放出の約50%〜約80%は約6時間以内にあり、かつ約80%以上は約12時間の時点で組成物から放出されており、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、改変放出性固体経口組成物が提供される。
【0011】
別の態様において、マトリックス中にベンゾナテートを含んでなる鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル組成物であって、前記マトリックスは、(a)(i)ベンゾナテートと吸着剤とを含む吸着物質または(ii)ベンゾナテート−弱酸性イオン交換樹脂複合体からなる群から選択されるベンゾナテート成分と(b)ベンゾナテートに改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質とを含む均一固体分散体であり、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の組成物からのベンゾナテートの放出は約50%以下であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル組成物が提供される。1つの実施形態において、ベンゾナテート吸着物質は、ベンゾナテートとシリカまたはケイ酸塩とを含む。ケイ酸塩の1つの好適な例は、ケイ酸カルシウムである。
【0012】
さらなる態様において、マトリックス中にベンゾナテートを含んでなる鎮咳性改変放出
性固体錠剤またはカプセル組成物であって、前記マトリックスは、(a)ベンゾナテートと非金属ベースのシリカとを含む吸着物質と(b)約5%w/w〜約30%w/wのベヘン酸グリセリルとを含む均一固体分散体であり、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内の組成物からのベンゾナテートの放出は約25%以下であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル組成物が記載される。
【0013】
なおさらなる態様において、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質と、ベンゾナテートに改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質とを含む均一分散体を含む鎮咳性改変放出性固体錠剤であって、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出は約25%以下であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、鎮咳性改変放出性固体錠剤が記載される。
【0014】
別の態様において、コアと前記コアを覆う逆腸溶性コーティングとを含む鎮咳性改変放出性固体経口錠剤が記載される。コアは、マトリックス中にベンゾナテートを含んでなり、マトリックスは、(a)ベンゾナテートとシリカとを含む吸着物質であって、吸着物質中のベンゾナテートの重量百分率は、吸着物質の重量に基づき約50重量%のベンゾナテート〜約75重量%のベンゾナテートである、吸着物質と、(b)コアの重量に基づき約4重量%〜約20重量%の親水性または親水性のマトリックス形成性材料とを含む均一固体分散体であり、ベンゾナテート吸着物質とポリマーとの比は、約8:1〜約1:1、または例えば約6:1〜約2:1の間の比である。錠剤は、5重量%〜約20重量%の逆腸溶性コーティングをさらに含み、コーティング重量百分率は、あらゆる任意選択のシールコートの前の被覆錠剤総量に基づくものであり、口腔または食道内での錠剤からのベンゾナテート放出は実質的になく、かつインビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出は約25%以下である。
【0015】
なおさらなる態様において、マトリックス中にベンゾナテートを含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル組成物であって、前記マトリックスは、(a)ベンゾナテート−弱酸性イオン交換樹脂複合体と(b)ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質とを含む均一固体分散体であり、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出は約25%以下であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル組成物が記載される。
【0016】
なおさらなる態様において、ベンゾナテートを含む12時間鎮咳性改変放出性固体組成物が提供される。この固体組成物は、前記固体組成物の1日経口投与(成人における300mgのベンゾナテートに相当する単回用量/2×/日、すなわち1日600mg)後に、ベンゾナテートの幾何平均最大血漿濃度が、約110〜約170ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約15〜約25ng/mLのCmaxおよび約12〜20時間のTmaxを有する、ベンゾナテートについての薬物動態プロファイルを提供する。別の実施形態において、この組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出は約25%以下であり、6時間以内の放出は約80%以下であり、かつ12時間の時点での放出は約80%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出は実質的にない、インビトロ放出を提供する。
【0017】
なおさらなる態様において、ベンゾナテートを含む12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤
またはカプセル剤が提供される。この錠剤または粉末は、前記固体組成物の1日経口投与(成人における300mgのベンゾナテートに相当する単回用量、2×/日(合計600mg/日)後に、ベンゾナテートの幾何平均最大血漿濃度が、約121〜約245ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約28〜約34ng/mLのCmaxおよび約8〜16時間のTmaxを有する、ベンゾナテートについての薬物動態プロファイルを提供する。
【0018】
本発明のさらに他の利点および態様は、以下の本発明の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】市販の対照薬物(Tessalon(登録商標)Perles(2×100mg 8時間毎);Pfizer Inc)と比較した場合のベンゾナテート長期放出性錠剤(150mg、2×投与、12時間毎)について、平均血漿ベンゾナテート濃度−時間プロファイルを比較したバイオ研究(biostudy)の結果を示すグラフである。被験体数は14であった。試験薬物は0時間および12時間の時点で投与され、対照薬物は0時間、8時間および16時間の時点で投与された。
図1B】市販の対照薬物(Tessalon(登録商標)Perles(2×100mg 8時間毎);Pfizer Inc)と比較した場合のベンゾナテート長期放出性錠剤(150mg、2×投与、12時間毎)について、平均血漿ベンゾナテート濃度−時間プロファイルを比較したバイオ研究の結果を示すグラフである。被験体数は14であった。試験薬物は0時間および12時間の時点で投与され、対照薬物は0時間、12時間および16時間の時点で投与された。
【発明を実施するための形態】
【0020】
鎮咳性改変放出性固体組成物であって、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内にベンゾナテートの約55%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、もしくは約25%以下が組成物から放出されることまたは組成物中のベンゾナテートの25%未満が放出されることにより特徴付けられる均一固体分散体であるマトリックス中にベンゾナテート成分を含んでなる、鎮咳性改変放出性固体組成物が提供される。1つの実施形態において、マトリックスは、ベンゾナテート成分と改変放出性の親水性ポリマーまたは疎水性蝋もしくは蝋質物質との混合および/または圧縮により形成される。ベンゾナテート成分は、固体のベンゾナテート吸着物質またはベンゾナテート−イオン交換樹脂であり得る。組成物は、逆腸溶性コーティングを有し得る。本明細書において提供される改変放出性ベンゾナテート固体組成物は、口腔内でのベンゾナテートの放出と関連する望ましくない副作用を回避するように、ならびに安定したインビトロおよび/またはインビボ放出プロファイルを提供するように設計されている。
【0021】
本明細書において提供される固体組成物は、錠剤、カプセル中の粉末、またはカプセル中に装填されるミニ錠剤であり得る。
【0022】
本明細書で定義される場合、「安定した」インビトロおよび/またはインビボ放出プロファイルとは、本明細書に記載される改変放出性ベンゾナテート固体組成物のインビトロ溶解プロファイルおよび/またはインビボ薬物動態プロファイルが、周囲条件下における少なくとも約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、約24ヶ月までの期間にわたる組成物の貯蔵後に、組成物の調製のほぼ直後に評価された時と比べて同じかまたはほぼ同じであることを意味する。インビトロ溶出放出プロファイルは、適切なアッセイ(例えば、当業者に知られているものまたは本明細書に記載されているもの)を用いて評価され得る。組成物のインビボ薬物動態プロファイルは、当該技術分野において知られているパラメータ(例えば、曲線下面積(AUC)、Cmax、およびTmaxを含む)を用いて評価され得
る。「ほぼ同じ」とは、貯蔵された組成物の選択されたプロファイルと貯蔵前の組成物のプロファイルとの間における、約5%未満、約3%未満、または約1%未満の相違をいう。
【0023】
【化1】
化学名2−[2−[2−[2−[2−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エチル−4−ブチルアミノベンゾエートを有する化合物が、一般にベンゾナテートとして知られている。ベンゾナテートは、室温において淡黄色油性液体であり、これは、水溶性および感湿性であるが安定である。薬剤グレードのベンゾナテートは、例えばBASF SEから市販されている。
【0024】
即時放出性ベンゾナテート組成物は、典型的に、約6〜8時間の効果を提供する(例えば、Tessalon(登録商標))。したがって、本明細書に記載されるような改変放出性ベンゾナテートは、投与後少なくとも約10時間〜少なくとも約12時間および最高約24時間までにわたり治療的に有効なベンゾナテート血漿レベルを有することにより特徴付けられる。
【0025】
本明細書に記載される組成物は、口腔または食道内でのベンゾナテートの放出と関連する望ましくない副作用を回避するのに役立つものであり、副作用としては、口腔粘膜の一時的な潜在的に生命に関わる局所知覚麻痺、窒息、または深刻な過敏反応が挙げられ、口腔咽頭知覚麻痺は、不適切な投与によって急速に発現し得る。本明細書で使用される場合、口腔内での「ベンゾナテートの放出は実質的にない」という語句は、いかなる量のベンゾナテートおよび/またはこれらの副作用を引き起こすいかなる量のベンゾナテートも口腔内では放出されないことを意味する。本明細書で使用される場合、用語「口腔」とは、口、すなわち、唇、頬、および舌により境界が定められた領域をいう。
【0026】
ベンゾナテートを含む改変放出性固体組成物が提供される。1つの実施形態において、組成物は、成人におけるベンゾナテートの1日経口投与(300mgに相当する単回用量、2×/日)後に、ベンゾナテートの幾何平均最大血漿濃度が約110〜約170ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約15〜約25ng/mLのCmaxおよび約12〜20時間のTmaxを有する、ベンゾナテートについての薬物動態プロファイルを有する、12時間錠剤またはカプセル剤を提供する。別の実施形態において、この組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出が約25%以下であり、6時間以内の放出が約80%以下であり、かつ12時間の時点での放出が約80%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出が実質的にない、インビトロ放出を提供する。
【0027】
1つの実施形態において、鎮咳性改変放出性固体経口錠剤またはカプセル組成物は、マトリックス中にベンゾナテートを含有してなる。マトリックスは、(i)乾燥した非付着性のさらさらした圧縮可能なベンゾナテート吸着物質粉末または(ii)ベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体からなる群から選択されるベンゾナテート成分と(b)
ベンゾナテートに改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性のマトリックス形成性の親水性ポリマーまたは疎水性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋もしくは蝋質物質とを含む、1時間以内にベンゾナテートの約55%以下、約40%以下、約30%以下、もしくは約25%以下が組成物から放出されることまたは組成物中のベンゾナテートの25%未満が放出されることにより特徴付けられる、均一固体分散体である。この放出速度は、インビトロ溶出アッセイ(例えば、本明細書に記載されるもの)で測定され得る。1つの実施形態において、吸着物質は、ベンゾナテートと、非金属ベースのシリカまたはケイ酸塩である少なくとも1種の吸着剤とを含む。
【0028】
別の実施形態において、ベンゾナテートを含む12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤またはカプセル剤であって、ベンゾナテートが、成人における300mgのベンゾナテートの1日用量(2×投与/日、600mgのベンゾナテートに相当する1日総量)に相当する用量において、図1Aまたは図1Bの薬物動態プロファイルを有する、12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤またはカプセル剤が提供される。別の実施形態において、12時間ベンゾナテート改変放出性固体錠剤またはカプセル剤は、成人における300mgのベンゾナテートに相当する用量での前記固体錠剤の単回経口投与後に約121〜約245ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約28〜約34ng/mLのCmaxおよび約8〜16時間のTmaxを有する幾何平均最大血漿濃度を有するベンゾナテートを提供することにより特徴付けられる。1つの例において、錠剤またはカプセル剤は、約150ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約30ng/mLのCmaxおよび約12時間のTmaxを有する幾何平均最大血漿濃度により特徴付けられる薬物動態プロファイルを有するベンゾナテートを提供する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「pH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質」には、室温で固体である疎水性の蝋または蝋様物質が含まれる。約30℃〜約50℃の範囲内の融点を有する蝋が利用され得るが、より低い融点を有する蝋または蝋様物質については、ブレンディングまたは他の加工は、加工の間に生じる熱に対抗するために低温で行われる必要があり得る。特に望ましいのは、約50℃〜約80℃の範囲内の融点を有する蝋および蝋様物質である。好適なpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質の例としては、例えば、ステアリルアルコール、アセチルアルコール、パルミトステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル;ならびにカルナウバ蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、微結晶蝋、オゾケライト蝋、パラフィン蝋、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、パルミチン酸セチル、カプリン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、それらの誘導体および混合物のうちの1つ以上から選択される蝋が挙げられる。一実施形態において、ベヘン酸グリセリルが使用される。ベヘン酸グリセリルは、Compritol(登録商標)888 ATO(Gattefosse,France)という商品名で入手可能であり、およそ70℃の融点および2のHLB値を有する。別の実施形態において、パルミトステアリン酸グリセリルまたはベヘン酸グリセリルが使用される。Precirol(登録商標)ATO 5(Gattefosse,France)という商品名のパルミトステアリン酸グリセリルは、およそ56℃の融点および2のHLB値を有する蝋型脂質賦形剤である。さらに別の実施形態において、約48℃〜約56℃、または約52℃の範囲内の融点を有するセトステアリルアルコールが使用される。さらなる例において、約45℃〜約52℃の範囲内の融点を有するアセチルアルコールが、単独で、または1種以上の蝋もしくは蝋質物質と組み合わせて使用され得、好適には、薬剤グレードの蝋または蝋質物質が、組成物中に使用される。
【0030】
本明細書に記載される場合、本明細書に記載される12時間放出プロファイルを有するベンゾナテートを提供するのに有効な少なくとも1種のpH非依存性の高溶融温度のマト
リックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質の量は、一般的に、組成物全体の重量に基づき約4%w/w〜60%w/w、約4%w/w〜約20%w/w、または約4%w/w〜約10%w/wの少なくとも1種の蝋の量である。代替的に、有効量は、ベンゾナテート吸着物質と少なくとも1種の蝋との比に基づき決定され得、その比は、約5:1〜約2:1、または約4:1〜約3:1の範囲内にある。さらに別の代替法において、マトリックス形成性蝋の有効量は、ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体とマトリックス形成性蝋との比に基づき決定され得、その比は、約5:1〜約2:1、または約3:1の範囲内にある。これらのベンゾナテート改変放出性成分は、本明細書においてより詳細に記載される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「pH非依存性の低粘度のマトリックス形成性の改変放出性の親水性ポリマー」には、室温で固体であり、圧縮されてマトリックスにされた時に、そのように形成されたマトリックス内の薬物に改変放出特性を与える親水性ポリマーが含まれる。好適なポリマーとしては、天然ガム(例えば、アラビアガムトラガカントガム、ローカストビーンガム、グアーガム、カラヤガム、変性セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースまたはHPMC)を含む)、寒天、ペクチン、カラギーナン、アルギネート、カルボキシポリメチレン、ゼラチン、カゼイン、および変性デンプン誘導体、またはそれらの組み合わせが挙げられ得る。様々な食品グレードおよび薬剤グレードの親水性ポリマーが市販されている。例えば、METHOCEL(商標)K型食品グレードHPMC(例えば、K100M、K15M、F4M、K4M、K100LV、K3、E15LV、E5およびE3を含む)。例示だけの目的のために述べると、これらは、約4000mPa−s(K4M)、約15,000mPa−s(K15M)、または約100,000mPa−Sの平均粘度を有し得る。あるヒドロキシプロピルセルロース[LXF,Ashland Chemical]は、95,000の分子量および75〜150mPa−Sの粘度により特徴付けられる。別の例示的なHPCは、300〜600mPa−sの粘度および約80kDaの分子量により特徴付けられる。親水性ポリマーの組み合わせ(同じクラス内のものであるが、異なる粘度または分子量を有する2種以上の親水性ポリマー(例えば、2種のHPMC)または異なるクラスの2種以上の親水性ポリマー(例えば、HPCおよびHPMC)の組み合わせを含む)が利用され得る。
【0032】
本明細書に記載される場合、本明細書に記載される少なくとも1種のpH非依存性のマトリックス形成性の改変放出性の親水性ポリマーの量は、一般的に、組成物全体の重量に基づき約4%w/w〜60%w/w、約4%w/w〜約20%w/w、または約4%w/w〜約10%w/wの少なくとも1種のポリマーの総量である。代替的に、有効量は、ベンゾナテート吸着物質と少なくとも1種のマトリックス形成性親水性ポリマーとの比に基づき決定され得、その比は、約8:1〜約1:1、または約7:1〜約5:1、または約6:1の範囲内にある。さらに別の代替法において、マトリックス形成性蝋の有効量は、ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体とマトリックス形成性蝋との比に基づき決定され得、その比は、約5:1〜約2:1、または約3:1の範囲内にある。これらのベンゾナテート改変放出性成分は、本明細書においてより詳細に記載される。
【0033】
なおさらなる実施形態において、ベンゾナテート組成物は、少なくとも1種の改変放出性の疎水性の蝋または蝋様物質と少なくとも1種の親水性の改変放出性の親水性ポリマーとの組み合わせを含有し得る。そのような実施形態において、疎水性の蝋または蝋様物質と長期放出性のマトリックス形成性の親水性ポリマーとの合わせた総量は、組成物全体の重量に基づき約4%w/w〜60%w/w、約4%w/w〜約20%w/w、または約4%w/w〜約10%w/wの少なくとも1種の蝋の量である。代替的に、有効量は、ベンゾナテート吸着物質と少なくとも疎水性または親水性のマトリックス形成性ポリマーとの
比に基づき決定され得、その比は、約8:1〜約1:1、または約4:1〜約3:1の範囲内にある。
【0034】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という語は、排他的にではなく包含的に解釈されるべきである。「からなる(consist)」、「からなる(consisting)」という語およびその変形は、包含的にではなく排他的に解釈されるべきである。
【0035】
本明細書で与えられる数値に関して本明細書で使用される場合、用語「約」は、10%ほどの変動を示し得る。
【0036】
ベンゾナテート吸着物質
マトリックス中にベンゾナテート吸着物質を含んでなる固体分散体を含有する改変放出性ベンゾナテート組成物が提供される。有利には、油性液体ベンゾナテートを本明細書に記載されるような吸着性材料に吸着させることにより、ベンゾナテートは粉末組成物になり、これにより、液体ベンゾナテートの口内放出と関連する口腔咽頭副作用と関連する危険が低減される。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「吸着剤」とは、液体ベンゾナテートを結合させて、乾燥した非付着性のさらさらした圧縮可能な粉末にすることが可能な物質またはキャリアをいう。粉末は、それが、錠剤を作製するプロセスにおいて結果として生じる錠剤重量が均一になるような加工性を満たすならば、さらさらである。さらに、粉末は、結果として生じる錠剤が、USP試験法を用いて<1%の脆砕性を維持し得る硬度を有するならば、圧縮可能と見なされる。
【0038】
ベンゾナテートのための好適な吸着剤は、ベンゾナテートに対して比較的高い吸着性(adsorbency)(負荷)能力を有するものであり、ケイ酸カルシウム(例えば、ZeoPharm(登録商標)600として入手可能)、シリカ(沈降アモルファスシリカ(RxCipient GL100として入手可能)を含む)、および二酸化ケイ素(ZeoFree Plus 5193(登録商標)600として入手可能)から選択され得る。より少ない量が利用され得るが、これらの吸着剤は、約55%ものベンゾナテート、または約60%、約65%w/w、もしくは約70%w/wまでものベンゾナテートを吸着することが可能である。他の吸着剤は、例えば、リン酸三カルシウム(「Tri−tab」またはリン酸三カルシウムDCとして入手可能)およびベントナイト(Bentonite Albagel Premium NFとして入手可能)の中から選択され得る。これらの吸着剤は、一般的に、約30%w/w〜約40%w/wの範囲内の最大負荷能力を有している。しかしながら、リン酸三カルシウムが利用可能であるまたはより小さな粒径に粉砕される場合に、その吸着性(負荷)能力は、約20%w/w〜約25%w/wの比較的低い能力から約35%w/w〜約40%w/wの中間の負荷能力に上昇することが観察された。したがって、低いまたはさらには中間の負荷能力を有する吸着剤をより小さな粒径に粉砕することは、ベンゾナテートに対する吸着性を高めることになると考えられる。
【0039】
例えば、吸着性材料は、約1μm〜約500μmの平均粒径を有する。しかしながら、この範囲の最下限において、粒子はより大きな滑沢剤特性を示し得、この範囲の最上限において、より大きな粒子はより低い表面積、したがってより低い負荷能力を実際のところは有し得る。したがって、粒子は、より典型的には、約5μm〜約200μm、または約10μm〜約50μmであり得る平均粒径から選択される。しかしながら、約325ミクロンまでまたは約420ミクロンまでの範囲内の粒子が使用され得る。
【0040】
式Ca2SiO4により特徴付けられるケイ酸カルシウムは、その比較的高い負荷能力および加工におけるその使用容易性のため、本明細書に記載される組成物に特によく適している。シリカおよび二酸化ケイ素の両方は、滑沢剤と同様の流動性を有する傾向があり、これは、錠剤への圧縮の際には不利益であり得、ケイ酸カルシウムの特徴ではない特性である。しかしながら、これらの成分のうちの1つ以上がブレンドされ得、そのブレンドが吸着性材料として使用され得る。1つの実施形態において、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムまたは別のアルカリ土類が、単独で、または本明細書に記載される吸着剤のうちの別のものと組み合わせて使用され得る。別の実施形態において、メタケイ酸アルミン酸塩は、本明細書において提供される組成物から排除される。
【0041】
他の吸着剤の例としては、例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムおよび第二リン酸カルシウムが挙げられる。さらに他の吸着剤としては、例えば、微結晶性セルロース、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、ベントナイト、粘土、セルロース、二酸化ケイ素、コロイド二酸化ケイ素、沈降アモルファスシリカ、カオリン、ポリエチレングリコール、タルク、三ケイ酸マグネシウム、リン酸一または二カルシウム、リン酸三カルシウム、コポビドン、モンモリロナイト、サポナイト、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、Gelucire 44/14、Gelucire 50/13、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、ゼラチン、珪藻岩(キースラガー)、アルギネート、金属酸化物が挙げられる。
【0042】
一般的に、ベンゾナテートは、本明細書に記載される1種以上の吸着性材料と混合(造粒)されてベンゾナテート吸着物質を形成する。混合について、ベンゾナテートと吸着剤との比は、一般的に、約5:1〜約1:10、または約4:1〜約1:1、または約3:1〜約2:1、または約2:1〜約1:1の比である。ベンゾナテート吸着物質は、改変放出性のマトリックス形成性の疎水性もしくは親水性の物質を用いたマトリックスの形成とは別個に調製され得るか、または吸着物質は、ほぼ同時に形成され得る。例えば、液体ベンゾナテートは、水および吸着物質材料と混合され得る。代替的に、ベンゾナテートおよび吸着性材料は、マトリックス形成性成分のうちの少なくとも1つと一緒に混合され得る。蝋の場合、成分は、ベンゾナテート吸着物質マトリックスを形成するのに十分な時間にわたり溶融される。溶融温度は、一般的に、約50℃〜約80℃、または約55℃〜約75℃の範囲内にあるが、蝋または蝋質物質の溶融温度を考慮して、より低いこともより高いこともあり得る。
【0043】
マトリックス中の吸着物質の製造およびさらには分布を容易にするために、ベンゾナテート吸着物質粉末顆粒は、典型的に、約2000μm未満の顆粒を通過させる約10メッシュの篩、または約710μm未満の顆粒を通過させる約25メッシュの篩、約590μm未満の平均寸法を有する顆粒を通過させる約30メッシュの篩、または約420μm未満の平均寸法を有する顆粒もしくは粒子を通過させる約40メッシュの篩に通される。
【0044】
ベンゾナテート吸着物質がマトリックスと別個に形成される場合、ベンゾナテート吸着物質は、あらゆる錠剤化賦形剤または他の成分(例えば、ベンゾナテートの他に薬学的有効成分)を添加する前にマトリックス形成性物質と混合され得る。代替的に、ベンゾナテート吸着物質およびマトリックス形成性物質と1種以上の賦形剤および/またはまたはさらなる薬学的活性成分とはほぼ同時に組み合わされ、そのような場合は、マトリックスが、賦形剤および任意選択のさらなる薬学的活性成分をさらに含む。さらに他の製造技術は、本明細書において提供される情報を考慮して当業者により設計され得る。
【0045】
加工を容易にするために、ベンゾナテート吸着物質−マトリックス顆粒は、約2000μm未満の顆粒もしくは粒子を通過させる約10メッシュの篩、約710μm未満の顆粒
もしくは粒子を通過させる約25メッシュの篩、約590μm未満の平均寸法を有する顆粒もしくは粒子を通過させる約30メッシュの篩、または約420μmの顆粒もしくは粒子を通過させる約40メッシュの篩に通され得る。
【0046】
一実施形態において、ベンゾナテート吸着物質は、約10%w/w〜約80%w/wのベンゾナテート、約20%w/w〜約70%w/w、約50%w/w〜約70%w/w、約50%、または約25%〜約30%w/wのベンゾナテート吸着物質(例えば、ケイ酸カルシウム)を含む。1つの例において、ベンゾナテート吸着物質を含むマトリックスは、ベヘン酸グリセリルを含み、ベンゾナテート吸着物質と疎水性蝋もしくは蝋質物質、疎水性ポリマーまたはそれらの組み合わせとの比は、約6:1〜約2:1または約5:1〜約4:1である。疎水性蝋がベヘン酸グリセリルである場合は、ベンゾナテート吸着物質とベヘン酸グリセリルとの比は、組成物中の重量に基づき約6:1〜約2:1、約5:1〜約4:1、または約3.7:1〜約3.4:1である。別の例において、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質を含むマトリックスは、セチルアルコールとステアリルアルコールとの組み合わせを含む。セチルアルコールとステアリルアルコールとの比は、約2:1〜約1:2、または約1.5:1〜約1:1であり得る。ベンゾナテートのみに基づいて評価される場合、ベンゾナテートと、セチルアルコールおよびステアリルアルコールを合わせた重量との重量比は、約5:1〜約3:1である。一実施形態において、マトリックスは、約30%w/wのベンゾナテートと、約3.5〜約3.75%のセチルアルコールと、約4.25%〜約4.6%のステアリルアルコールとを含む。別の実施形態において、ベンゾナテート−ケイ酸塩吸着物質を含むマトリックスは、1−ヘキサデカノールまたはパルミチルアルコールとしても知られる式CH3(CH215OHを有する脂肪族アルコールであるセチルアルコールを含む。薬剤グレードのセチルアルコールは、例えばLoba ChemieまたはSigma Aldrichから購入され得る。さらに別の実施形態において、組成物は、親水性ポリマーを含み、ベンゾナテート吸着物質とHPMC、HPCまたはそれらのブレンドとの比は、約2重量部のベンゾナテート吸着物質対約0.5〜約1重量部の親水性ポリマー、または約0.7〜約0.75重量部のHPMC(またはHPCまたはそれらのブレンド)である。なおさらなる実施形態において、ベンゾナテート吸着物質を含む組成物は、親水性ポリマーHPMC(またはHPCまたはそれらのブレンド)を含み、ベンゾナテート吸着物質とHPMC(またはHPCまたはそれらのブレンド)との比は、約1重量部のベンゾナテート吸着物質対約0.5〜約1重量部のHPMC(またはHPCまたはそれらのブレンド)、または約0.7〜約0.75重量部のHPMC(またはHPCまたはそれらのブレンド)である。さらに別の実施形態において、組成物は、疎水性蝋/蝋様物質と親水性ポリマーとのブレンドを含む。
【0047】
本明細書に記載される場合、組成物は、圧縮錠剤またはカプセル組成物である。そのような組成物は、1種以上の本明細書に記載されるような賦形剤を含有し得る。さらに、組成物は、ベンゾナテートの他に1種以上の薬学的活性成分をさらに含み得る。そのような成分は、本明細書の他の所でより詳細に記載される。
【0048】
一実施形態において、本明細書において規定されるベンゾナテート錠剤または粉末組成物は、次のような薬物動態プロファイルを有することによって特徴付けられる:24時間の期間中に12時間間隔で(2回)投与される約300mgのベンゾナテートの単回用量(総1日用量 約600mgのベンゾナテート)に相当する用量に基づき、約30ng/mL〜約35ng/mL、または約33〜33ng/mLのCmax(算術平均);約28ng/mL〜約32ng/mL、または約30ng/mLのCmax(幾何平均);約180〜約185ng−時間/mL、または約182ng−時間/mLのAUCinf(算術平均);約145ng−時間/mL〜約155ng−時間/mL、または約150ng−時間/mLのAUCinf(幾何平均);および約10〜約15時間、または約12時間のTmax。
【0049】
別の実施形態において、本明細書において規定されるベンゾナテート錠剤または粉末組成物は、次のようなインビトロプロファイルを有することによって特徴付けられる:0.5時間の時点での%放出が、約15〜約17%放出、または約16%放出であり、1時間の時点でのパーセント放出が、約25〜約28%放出、または約27%放出であり、2時間の時点でのパーセント放出が、約42〜約46%放出、または約44%放出であり、3時間の時点でのパーセント放出が、約56〜約65%放出、または約61%放出であり、4時間の時点でのパーセント放出が、約75〜約87%放出、または約82%放出であり、6時間の時点でのパーセント放出が、約92〜約99%、または約97%であり、8時間の時点でのパーセントベンゾナテート放出が、約97〜約99%、または約99%であり、かつ12時間の時点でのベンゾナテート放出が、約98〜約100%放出、または約100%放出である。
【0050】
さらに別の実施形態において、ベンゾナテートを含む12時間鎮咳性改変放出性固体組成物は、成人における300mgのベンゾナテートに相当する単回用量の1日経口投与(2×/日)(600mg/日に相当する総量)後に、ベンゾナテートの幾何平均最大血漿濃度が、約110〜約170ng−時間/mLの曲線下面積(AUC)inf、約15〜約25ng/mLのCmaxおよび約12〜20時間のTmaxを有する、ベンゾナテートについての薬物動態プロファイルを提供する。別の実施形態において、改変放出性ベンゾナテート組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出が約50%以下であり、6時間以内の放出が約50%〜約80%以下であり、かつ12時間の時点での放出が約80%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出が実質的にない、インビトロ放出を提供する。別の例において、本明細書に記載されるベンゾナテート組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出が約40%以下であり、6時間以内の放出が約50%〜約70%以下であり、かつ12時間の時点での放出が約85%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出が実質的にない、インビトロ放出を提供する。なおさらなる実施形態において、ベンゾナテート組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に1時間以内のベンゾナテートの放出が約25%以下であり、6時間以内の放出が約80%以下であり、かつ12時間の時点での放出が約85%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出が実質的にない、インビトロ放出を提供する。なおさらなる実施形態において、この組成物は、インビトロ溶出アッセイで測定される場合に約1時間以内のベンゾナテートの放出が約15%〜20%以下であり、6時間以内の放出が約45〜80%以下であり、かつ放出が約85%〜約99%以上であり、かつ口腔または食道内での組成物からのベンゾナテート放出が実質的にない、インビトロ放出を提供する。
【0051】
一実施形態において、このインビトロ溶出プロファイルは、ベンゾナテート吸着物質を含む逆腸溶性被覆錠剤のものである。これは、装置(II)パドル 約50rpmを用い、37℃の温度にて、約500mLの0.1N HClの溶出媒体中で約1時間、次いでこれをリン酸塩緩衝液で約6.8のpHに調整し、評価され得る。
【0052】
ベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体
本明細書に記載される吸着性材料よりも低いベンゾナテート負荷能力を余儀なくされるが、本明細書に記載される組成物は、ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の1種以上の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度の水不溶性の蝋または蝋質物質を含むマトリックス中にベンゾナテート−弱酸性イオン交換樹脂を含んでなる12時間鎮咳性改変放出性固体錠剤またはカプセル剤を包含する。
【0053】
本明細書に記載される組成物における使用に好適なイオン交換樹脂は、水不溶性であり、イオンであるかまたは適切なpH条件下においてイオン化されることが可能である官能基を含有する好ましくは薬理学的に不活性な有機および/または無機マトリックスを含む。有機マトリックスは、合成であってもよいし(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スルホン化スチレン、スルホン化ジビニルベンゼンのポリマーまたはコポリマー)、部分的に合成であってもよい(例えば、変性セルロースおよびデキストラン)。無機マトリックスは、好ましくは、イオン基の添加により改変されたシリカゲルを含む。共有結合されるイオン基は、強酸性(例えば、スルホン酸、リン酸)、弱酸性(例えば、カルボン酸)、強塩基性(例えば、第一級アミン)、弱塩基性(例えば、第四級アンモニウム)であるか、または酸性基と塩基性基との組み合わせであり得る。典型的には、イオン交換粒子の寸法は、約1ミクロン〜約900ミクロンであり、別の実施形態においては、約5ミクロン〜750ミクロンであり、さらに別の実施形態においては、液体剤形については粒径は約40ミクロン〜約250ミクロンの範囲内にあるが、固体剤形(例えば、錠剤およびカプセル剤)については約1,000ミクロンまでの粒子が使用され得る。約25ミクロン〜約400ミクロンの範囲の寸法を有する樹脂が、一般的に購入される。しかしながら、他の寸法が選択されてもよいし、より大きな寸法の粒子が、より小さな粒径をもたらすように粉砕されてもよい。
【0054】
カチオン性交換樹脂は、強度、すなわち、カチオンを交換するそれらの能力が様々である。弱酸性イオン交換樹脂が、ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体を調製するのによく適している。酸解離定数pKa(酸性度定数または酸イオン化定数としても知られる)は、溶液中の酸の強度の定量的尺度である。pKaの値が大きくなるほど、解離の程度は小さくなる。強酸(例えばSO3H)のpKaはおよそ0である。弱酸(例えばCOOH)は、約4〜約7の範囲内のpKaを有する。Amberlite(登録商標)IRP64は、4より大きいpKa値を有していると考えられ、(カルボン酸(COOH)基のH原子を交換する)弱酸性樹脂である。Amberlite(登録商標)IRP64(100〜400メッシュ(35ミクロン〜150ミクロンに相当、ASTM規格寸法)の範囲の粒径を有するメタクリル酸とジビニルベンゼンとのコポリマーのポリアクリレックス(polyacrilex)樹脂、Rohm and Haas、能力 約10meq/g乾燥重量)。別の弱カチオン性交換樹脂(例えば、4%の架橋メタクリレートを含む弱酸性(カリウムイオン)カチオン交換樹脂(100〜500メッシュ、約150ミクロン〜約27ミクロンに相当、ASTM規格)であるAmberlite(登録商標)IRP88[Rohm and Haas、メタクリル酸とジビニルベンゼンとの架橋コポリマー)]が選択され得る。規則的に造形された粒子または不規則に造形された粒子のいずれかが、本明細書に記載されるカチオン交換樹脂として使用され得る。規則的に造形された粒子は、球形、楕円形、円柱形などの幾何学的形状とほぼ一致する粒子である。不規則に造形された粒子は、いずれも、規則的に造形されているとは見なされない粒子(例えば、不定型形状を有する粒子および表面の溝または歪みにより増大した表面積を有する粒子)である。
【0055】
ベンゾナテートは、本明細書に記載される方法および他の薬物をイオン交換樹脂に負荷または複合体化するための当該技術分野で知られている方法を用いて弱カチオン交換樹脂に複合体化され得る。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第8,062,667号明細書および米国特許第8,337,890号明細書を参照されたい。簡潔に述べると、反応および造粒を容易にするために、ベンゾナテートが、イオン交換樹脂と組み合わされる前に水と混合され得るか、またはイオン交換樹脂が、別個にもしくはベンゾナテートと組み合されるのと同時に水と混合され得る。ベンゾナテートと弱カチオン交換樹脂とは、ベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体を形成させるために十分な時間にわたり混合される。典型的に、ベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体は、約10%未満、約5%未満、または約3%未満の含水量まで乾燥される。乾燥された複合体
は、複合体粒径が約420ミクロン未満となるように、約40メッシュ以下の寸法の篩に通され得る。好適には、ベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体は、次いで、ほぼ均一な固体分散体を調製するのに十分な時間にわたり、マトリックス形成性の蝋または蝋質物質と混合される。ベンゾナテートの他に、混合段階で含まれる、したがって、形成されるマトリックス中に含まれる、1種以上の賦形剤または薬学的有効成分が、任意選択で存在し得る。マトリックス形成工程および最終経口投薬単位の調製は、ベンゾナテート吸着物質について記載したのと同じ条件を用いて行われ得る。
【0056】
別の実施形態において、本明細書において規定されるベンゾナテート錠剤または粉末組成物は、次のようなインビトロプロファイルを有することにより特徴付けられる:0.5時間の時点での%放出が、約15〜約17%放出、または約16%放出であり、1時間の時点でのパーセント放出が、約25〜約28%放出、または約27%放出であり、2時間の時点でのパーセント放出が、約42〜約46%放出、または約44%放出であり、3時間の時点でのパーセント放出が、約56〜約65%放出、または約61%放出であり、4時間の時点でのパーセント放出が、約75〜約87%放出、または約82%放出であり、6時間の時点でのパーセント放出が、約92〜約99%、または約97%であり、8時間の時点でのパーセントベンゾナテート放出が、約97〜約99%、または約99%であり、かつ12時間の時点でのベンゾナテート放出が、約98〜約100%放出、または約100%放出である。一実施形態において、このインビトロ溶出プロファイルは、本明細書において規定されるマトリックス中のベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体である。
【0057】
完成組成物投薬形態
本明細書に記載されるベンゾナテート組成物は、被覆され得るもしくは任意選択で被覆され得る圧縮錠剤、またはカプセル組成物であり得る。圧縮錠剤は、カプセル殻中に装填されるミニ錠剤であってもよいし、患者への直接投与のための寸法のものであるように設計されてもよい。好適には、本明細書に記載される固体組成物は、単一の均一固体分散体として調製され、全体ごと嚥下される。
【0058】
ベンゾナテートが単一の有効成分である場合の本明細書に記載される組成物に加えて、ベンゾナテート組成物は、1種以上の薬学的活性成分をさらに含み得る。これらのさらなる活性薬物の各々は、独立して、即時放出形態であるか、改変放出形態であるか、またはその両方であり得る。
【0059】
本明細書において先に記載したように、改変放出性ベンゾナテートは、即時放出性ベンゾナテートのプロファイルを上回る期間にわたり治療的に有効なベンゾナテート血漿レベルを提供する(即時放出は、約6〜8時間にわたりベンゾナテートを提供する)。したがって、改変放出性組成物は、最高約24時間までの少なくとも約10時間〜約12時間にわたり有効量のベンゾナテートを提供する。ベンゾナテートと組み合わされ得る他の薬学的活性薬物と関連して本明細書で使用される場合、用語「改変放出性」とは、少なくとも約8時間、および好ましくは約24時間までの期間にわたり活性成分(ベンゾナテート以外)のうちの少なくとも1つのものの有効量を提供する組成物をいう。24時間放出製品については、一態様において、投与から約12時間の時点で活性成分の50%未満が放出される。別の態様において、投与から約12時間の時点で活性成分の60%未満が放出される。さらに別の態様において、約12時間の時点で活性成分の70%未満が放出される。さらに他の実施形態において、約12時間の時点で活性成分の約80%以上未満が放出される。用語「改変放出性」は、例えば、長期放出性処方物、持続放出性処方物、または遅延放出性処方物である組成物を包含し得る。放出プロファイルは、当業者に知られているインビトロ溶出アッセイ[例えば、USPバスケット法もしくはパドル法、またはチャネルフロー法]を用いて評価され得る。放出プロファイルは、(例えば、バイオアベイラビリティ測定のために)インビボで評価され得るものであり、血漿濃度を用いて最大濃度
(Cmax)および曲線下面積(AUC)が評価される。そのようなアッセイは、当業者にはよく知られている。
【0060】
「即時放出性」とは、治療活性薬剤を含有する処方物が、その特定の治療活性薬剤の即時放出性について、USP XXII,1990(米国薬局方)に規定されている崩壊および/または溶出要件を満たすことを意味する。一般的に、用語「即時放出」は、薬学的処方物からの有効薬学的成分の放出速度が、制御放出性マトリックスまたは他のそのような手段により遅延されず、薬学的処方物の成分が、摂取時に体組織への前記有効薬学的成分の最大曝露が最低期間で起こるように設計されている場合の、薬学的処方物からの有効成分の放出である。ベンゾナテート以外の薬物についての一実施形態において、即時放出性は、患者への投与後約1時間未満で薬物の少なくとも約85%が放出されること、および患者への投与後約2時間で即時放出性薬物の約90%が放出されることをもたらす。例えば、薬物は、約10分〜約45分、または約30分で放出され得る。別の例において、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、またはそれ以上が、患者への投与後約2時間以内に放出され得る。
【0061】
任意選択で、ベンゾナテート組成物は、「即時放出性ベンゾナテート成分」を含有し得る。一実施形態において、本明細書において提供されるベンゾナテート組成物は、改変放出性ベンゾナテート成分に加えて即時放出性ベンゾナテート成分を含有する。一実施形態において、即時放出性ベンゾナテートは、ベンゾナテートを口腔または食道内では放出しないが、胃および腸内で即時に放出する、ベンゾナテート吸着物質またはベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体である。そのような即時放出性のベンゾナテート吸着物質またはベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体は、親水性または疎水性マトリックス形成性材料がなく、かつさらに、いかなる改変放出性コーティング層もおよび/またはいかなる逆腸溶性コーティング層もないものであり得る。好適には、そのような組成物は、約5:1〜約2.5:1の改変放出性ベンゾナテート成分対即時放出性ベンゾナテート成分を含有する。別の実施形態において、ベンゾナテート組成物は、即時放出形態の異なる薬学的活性成分を含有し得る。
【0062】
本明細書において提供されるベンゾナテート組成物中に即時放出性成分を組み合わせるために、即時放出性成分は、二層錠剤において別個の層として適用され得るであろう(例えば、ベンゾナテート吸着物質−マトリックスを含む均一分散体がコアを形成し、最上層が即時放出性である)。代替的に、ベンゾナテート吸着物質−マトリックス顆粒は、即時放出性成分と混合され、カプセル中に充填される。この即時放出を達成するさらに他の方法は、本明細書において提供される手引きを与えられた当業者には明らかであろう。任意選択で、1種以上のさらなる有効成分がマトリックス中に混合され、ベンゾナテート成分およびマトリックス形成性蝋を用いて形成される均一分散体の一部を構成する。代替的に、1種以上のさらなる有効成分は、既に形成されたベンゾナテート吸着物質−マトリックスまたはベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体−マトリックスとブレンドされ、錠剤に成形される。これらのさらなる活性成分を錠剤またはカプセル剤中に組み合わせるさらに他の方法は、当業者により選択され得る。
【0063】
ベンゾナテートとの組み合わせのための薬学的活性薬物の特に好適なクラスとしては、解熱薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、去痰薬および鬱血除去薬が挙げられる。好適な解熱鎮痛薬の例としては、例えば、サリチル酸ナトリウムおよびサリチル酸、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、サリチル酸マグネシウム、ジクロフェナク、エトドラック、インドメタシン、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、ケトプロフェン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、セレコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、およびそれらの塩を含む)が挙げられる。オピオイド鎮痛薬の例は、アルフェンタニ
ル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、デスモルフィン(desmorphine)、デキストロモラミド、デキソジン(dexozine)、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェニルブチレート(dioxaphenylbutyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、硫酸モルヒネ、ミロフィン、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドネル(normethadonel)、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オクスミモルホン(oxmymorphone)、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェンモルファン(phenmorphan)、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリン(tiline)、それらの塩、上述のものの任意のものの混合物、混合μアゴニスト/アンタゴニスト、μアンタゴニスト組み合わせなどの薬物である。好適な抗ヒスタミン薬の例としては、鎮静型および非鎮静型の両方の抗ヒスタミン薬、例えば、フェキソフェナジンHCl−またはdl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、デスロラタジン、メクリジン、フェニラミン、セチリジン、およびプロメタジンが挙げられる。鎮咳去痰薬の例としては、例えば、グアイフェネシン、ジヒドロコデインリン酸塩、コデインリン酸塩、塩酸ノスカピン、塩酸フェニルプロパノールアミン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、臭化水素酸デキストロメトルファンおよび塩酸クロペラスチンなどが挙げられる。気管支拡張薬の例としては、例えば、dl−塩酸メチルエフェドリンおよびdl−メチルエフェドリンサッカリン塩が挙げられる。鬱血除去薬の例としては、例えば、塩酸プソイドエフェドリン、フェニレフリン二酒石酸塩、および硫酸プソイドエフェドリンが挙げられる。
【0064】
1つの好適な組み合わせは、グアイフェネシンを含む。
【0065】
本明細書に記載される改変放出性ベンゾナテート組成物は、1種以上の増量剤、結合剤、および滑沢剤から選択される1種以上の賦形剤を含有し得る。例えば、増量剤は、微結晶性セルロースおよびラクトース一水和物から選択される。別の実施形態において、結合剤は、コポビドンである。さらに別の実施形態において、滑沢剤は、二酸化シリコーンおよびステアリン酸マグネシウムから選択される。
【0066】
典型的に、本明細書において提供されるベンゾナテート組成物は、総錠剤重量または総カプセル剤重量の約10%w/w〜約50%w/w、約20%w/w〜約40%w/w、または約30%w/wの範囲内の充填剤または充填剤混合物を含有し得る。好適な充填剤としては、例えば、マンニトール、ラクトース、マルトース、フルクトース、スクロース、キシリトール、マルチトール、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウム、グアーガム、キサンタンガム(xantham gum)、トラガカントガム、アルファ化デンプン(pre−gelatinized starch)、圧縮糖(compressible sugar)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、デキストレーツ、マルトデキストリンが挙げられ得る。一実施形態において、ベンゾナテート錠剤は、ブレンド微結晶性セルロースラクトース一水和物を含有する。
【0067】
本明細書において提供される組成物のための結合剤は、不在(すなわち、0%)であるか、または任意選択で、総錠剤重量の約1%w/w〜約15%w/wの量で存在し得る。
好適な結合剤の例としては、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。
【0068】
所望の視覚的魅力またはトレードドレスを提供するために、任意選択で、錠剤に着色料が付与され得る。そのような着色料は、(あらゆる非機能性コーティングを除く)錠剤の総重量に基づき約0.001%w/w〜約1%w/w、または約0.01%w/w〜約0.08%w/wまたは約0.05%w/wの範囲内で添加され得る。そのような着色料は、様々な商業的供給源(例えば、Colorcon、Noveon、およびSpectraを含む)から入手可能である。
【0069】
本明細書において提供されるベンゾナテート組成物の製造を容易にするために、滑沢剤および流動促進剤などの賦形剤が利用され得る。滑沢剤は、錠剤の総重量の約0.1%w/w〜約5%w/w、約0.2%w/w〜約4.5%w/w、または約1.5%w/w〜約3%w/wの量で利用され得る。滑沢剤の例としては、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム(magnesium searate)、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、およびそれらのブレンドが挙げられ得る。好適な流動促進剤の例としては、例えば、二酸化ケイ素および第三リン酸カルシウムが挙げられる。一実施形態において、流動促進剤は、約0.001%w/w〜約0.1%w/wまたは約0.05%w/wの量で使用される二酸化ケイ素である。
【0070】
任意選択で、他の賦形剤が、従来の薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤および十分に確立された技術から選択され得る。これらに限定されるものではないが、特定の薬学的組成物を調製するために、そのような従来のキャリアまたは賦形剤には、希釈剤、結合剤および接着剤(すなわち、セルロース誘導体およびアクリル誘導体)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、または植物油、ポリエチレングリコール、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、モノステアリン酸ポリオキシエチレン)、増粘剤、可溶化剤、湿潤剤、崩壊剤、着色料、矯味矯臭剤、安定剤、甘味料、および種々雑多の材料(例えば、緩衝剤および吸着剤)が含まれる。安定剤としては、当業者に容易に明らかになるであろう数ある成分の中でも特に、保存剤および酸化防止剤が挙げられ得る。
【0071】
本明細書に記載される固体ベンゾナテート組成物は、そのコア中に以下の成分の組み合わせのうちの1つを含有し得る。*を伴って記載される成分は、任意選択の賦形剤である。*成分は任意選択である。以下の表に値を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
別の例示的な例において、本明細書において提供されるベンゾナテート組成物は、以下の成分を有する。
【0074】
【表2】
【0075】
一実施形態において、錠剤は、約5キロポンド(kp)〜約25kp、約8〜約20kp、または10〜約16kpの硬度を有する。1キロポンドは、1キログラムの力(kgf)である。ニュートン(N)は、力のSI単位であり、錠剤硬度試験のためのSI規格である。1キロポンド(kp)は、9.80665ニュートン(N)に相当する。最も近い5に丸めてニュートンで示すならば、錠剤は、約45N〜約245N、約75N〜約200N、または約95N〜約160Nの硬度を有する。任意選択で、硬度は、用量に比例し得、より低い用量はより低い硬度レベルを有する。例えば、20mg錠剤は、約10〜約12kp(約98N〜約118N)の範囲内の硬度を有し得、30mg錠剤は、約12〜約14kp(約118N〜約137N)の範囲内の硬度を有し得、そして40mg錠剤は、約14kp〜約16kp(約137N〜約156N)の範囲内の硬度を有し得る。一実施形態において、硬度は、圧縮後、本明細書において規定されるあらゆる着色用または他の非機能性の錠剤コーティングの適用の前に測定される。一実施形態において、錠剤は、USP破砕性要件を満たす。一実施形態において、完全な錠剤および錠剤の部分の両方の破砕性が、約1未満である。例えば、USP35,General Information/(1216)Tablet Friability,p.867−868,US
Pharmacopiea(Dec.1,2012)を参照されたい。
【0076】
機能性コーティング(例えば、逆腸溶性コーティング)が、本明細書に記載される錠剤に適用され得る。錠剤は、カプセル中に単独で装填されてもよいし、カプセル殻中に装填されるミニ錠剤として製造されてもよい。代替的には、カプセル殻が逆腸溶性コーティングを備えているカプセル中に、粉末が装填され得る。胃の酸性pHにおける溶解を回避するように設計されている腸溶性コーティングとは対照的に、逆腸溶性コーティングは、低酸性環境(例えば、約pH4未満、または約pH3.5未満、または約pH3未満)の存在下において可溶化または膨潤するように設計されている。逆腸溶性コーティングは、pH依存性であり、約pH4を超える、または約pH4.5を超えるpHにおいて可溶化または膨潤しないように設計されている。1つの好適な逆腸溶性ポリマーは、アクリレートポリマーまたはコポリマーである。特に好適な逆腸溶性コートには、水性分散液として適用され得るポリマーが含まれる。1つの好適な水性分散液は、メタクリル酸メチルとメタクリル酸ジエチルアミノエチルとのコポリマーに基づくものである。そのような逆腸溶性コートの一例は、Kollicoat(登録商標)Smartseal 30Dであり、これは、およそ30%の固形分を有する水性ポリマー分散液である。これは、およそ0.6%のマクロゴールセトステアリルエーテルおよび0.8%のラウリル硫酸ナトリウムで安定化されたメタクリル酸メチルとメタクリル酸ジエチルアミノエチルとのコポリマーを含有する。さらに他の逆腸溶性ポリマーとしては、例えば、Eudragit(登録商標)E 100(Evonik)、Eudragit(登録商標)EPO(Evonik)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、およびメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルと4−ビニルピリジンとをベースとするランダムターポリマーが挙げられる。EUDRAGIT(登録商標)EPOは、ポリ(メタクリル酸ブチル−コ−メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)−コ−メタクリル酸メチル)1:2:1(CAS番号:24938−16−7)、すなわち、メタクリル酸ジメチルアミノエチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとをベースとするカチオン性コポリマーである。市販のEudragit(登録商標)EPO Ready Mixは、塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸およびタルクからなる。しかしながら、他の処方物においては、他の界面活性剤(他のアニオン界面活性剤を含む)が、ラウリル硫酸ナトリウムの代わりに用いられ得る。アニオン界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム以外の好適な界面活性剤の例は、当業者に知られている。同様に、ステアリン酸以外の滑沢剤およびタルク以外の流動促進剤が、当該技術分野において知られており、選択され得る。さらに他の逆腸溶性ポリマーが、例えば米国特許出願公開第2006/062844号明細書(2006);米国特許出願公開第2005/0136114号明細書、米国特許第7,294,347号明細書(これらの文献の開示内容は参照により本明細書に援用される)に記載されており、それらに記載されるように作製され得る。これらのコーティングの存在する場合の重量百分率は、付加重量として、完成錠剤またはカプセル剤に付加される約5%〜約60%、または約5%〜約20%、または約8〜約12%重量の量で与えられる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「非機能性コーティング」とは、検出可能な改変放出機能には何ら寄与しないコーティングをいう。非機能性コーティングはポリマーであり得、貯蔵の間の錠剤の完全性を維持するための防湿層として、または着色用コーティング層の適用を容易にするために役立ち得る。追加的にまたは代替的に、非機能性コーティングは、着色用コーティング層を提供し得る、または錠剤の「平滑性」もしくは食感を改善し得る。一実施形態において、非機能性コーティングは、錠剤の硬度を高め得る。これらの非機能性コーティングの存在する場合の重量百分率は、付加重量として、完成錠剤に付加される約1%〜約20%、または約2%〜約10%、または約3%〜約5%重量の量で与えられる。
【0078】
一実施形態において、本明細書において提供される12時間ベンゾナテート組成物は、
30分以内に約20%以下が放出され、約1時間以内に約25%以下が放出され、3時間以内に約45%以下が放出され、6時間以内に約70%以下が放出され、かつ12時間以内に約95%以下が放出されるインビトロ溶出を有することにより特徴付けられる。別の実施形態においては、約30分以内に約15%が放出され、1時間以内に約20%が放出され、約3時間以内に約41%が放出され、約6時間以内に約64%が放出され、かつ約12時間以内に約90%が放出される。異なる時間におけるパーセント放出は、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpm、媒体:0.05Mリン酸ナトリウム、pH6.8(900mL)、温度37℃、または別の好適なアッセイを用いて評価され得る。例えば、実施例5を参照されたい。
【0079】
別の実施形態において、ベンゾナテート改変放出性粉末は、圧縮されて錠剤にされるのではなく、ソフトまたはハードシェルカプセル中に装填され得る。好適なソフトシェルカプセルとしては、一緒になるように合わされた(閉鎖された)場合に典型的に約10〜約88mmの範囲である標準的なツーピース型ゼラチンカプセルが挙げられる。ハードシェルカプセルは、同じ寸法範囲内にあり得る。カプセル剤は不使用の増大した危険性を有し得るが、そのようなカプセル剤は、即時放出形態のものであるか、または改変形態であるが蝋質マトリックスの固体分散体中にないものである、さらなる薬学的有効成分の組み合わせを容易にする。当業者に知られていることを考慮すると、当業者は、本明細書において提供される手引きを与えられれば、これらのカプセル剤を容易に調製し得る。
【0080】
被覆ベンゾナテート錠剤
任意選択で、本明細書に記載されるベンゾナテート錠剤またはカプセル剤は、口腔内でのいかなる有害な量のベンゾナテートの放出も回避しかつ本明細書に記載されるインビトロ溶出パドル試験を用いて測定される場合にUSP規格のインビトロ溶出媒体中で45分でベンゾナテートの約35%未満が放出されかつ約1時間以内にベンゾナテートの約60%未満が放出されることにより特徴付けられる12時間放出プロファイルを提供するのに十分な量の非水性の溶媒ベースのエチルセルロースのpH非依存性の水不溶性の透水性のバリアコーティングで被覆された、ベンゾナテート−弱カチオン交換樹脂複合体を含む。
【0081】
ベンゾナテート−弱カチオン交換樹脂複合体は、上に記載したように調製される。任意選択で、複合体化後に、結果として生じる複合体の全部または一部が、溶媒ベースのエチルセルロースコーティングでの被覆の前に、膨潤を低減するのに好適な含浸剤と共に造粒され得る。この含浸(溶媒和)剤は、例えば米国特許第4,221,778号明細書および公開された米国特許出願公開第US2003/009971A1号明細書(これらの文献の開示内容は参照により本明細書に援用される)に記載されている材料により例示される親水性(水溶性)薬剤である。好適な含浸剤の具体例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(例えば、KOLLIDON(商標)K30)マンニトール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびソルビトールが挙げられる。典型的に、そのような含浸剤は、ベンゾナテート−弱カチオン交換樹脂に対して約5wt%〜約30wt%の含浸剤の重量比で使用される。任意選択で、結果として生じる顆粒は、約420ミクロン以下の粒子を提供するために40メッシュ篩に通される。次いで、これらの顆粒は、溶媒ベースのエチルセルロースコーティングで被覆される。一実施形態において、約5%w/w〜約20%w/wの好適な可塑剤が、エチルセルロースコーティングに添加される。
【0082】
一実施形態において、非水性の溶媒ベースのエチルセルロース[例えば、DowによりETHOCEL(商標)製品の系列として市販されているもの]が使用される。Dowのウェブサイトには、これらの製品のうちの3つ、すなわち、Std 7(粘度6〜8mPa−s(CP);Std 10(9〜11mPa−s(CP);Std 20(18〜2
2mPa−S)、各々、48.0〜49.5%のエトキシル含量を有する)が、錠剤被覆に有用なものとして記載されている。さらに、水溶性活性物質(water−soluble active)および/または水溶性賦形剤(例えば、METHOCEL(商標)セルロースエーテルおよび/またはCARBOWAX(商標)ポリエチレングリコール)と組み合わせたこれらのポリマーのうちの1つを任意選択で組み合わせることが、さらに記載されている。任意選択で、そのようなコーティングは、本明細書において規定される好ましい放出プロファイル特性を達成するために、例えば、柔軟性を改善するのに十分な量の可塑剤の添加によりおよび/または所望の放出速度を達成するのに十分な温度までの硬化により、改変され得る。
【0083】
本明細書に記載されるコーティングは、ポリマー製造業者により記載される技術および/または当業者に知られている技術を用いて適用され得る。好適な方法および装置は、特許文献および非特許文献に記載されており、例えば流動床プロセッサー中で噴霧することを含む。コーティング溶液は、Wurster法を用いて流動床プロセッサー(例えば、VECTOR(商標)FLM−1流動床プロセッサー)中で噴霧される。被覆された複合体は、次いで乾燥され得る。乾燥され、任意選択で硬化された、被覆されたベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体−任意選択のマトリックスは、粒径が確実に望ましい範囲内にある(例えば、標準的な40メッシュ篩を通過することが可能である)ようにするために好適な篩に通され得る。一実施形態において、乾燥され、任意選択で硬化された、被覆されたイオン交換樹脂複合体マトリックス顆粒は、約100ミクロン〜約450ミクロン、または約150〜約300ミクロンの範囲内の平均粒径を有している。
【0084】
このエチルセルロースで被覆されたベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体は、本明細書に記載されるように、圧縮されて錠剤にされてもよいし、カプセル中に充填されてもよい。任意選択で、これらの組成物は、上に記載した賦形剤および方法を用いて調製され得る。
【0085】
咳および感冒症状を処置する方法
一態様において、本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載されるベンゾナテート改変放出性固体経口錠剤またはカプセル組成物の単回経口用量の投与後少なくとも約12時間にわたり、咳を抑制するのに有用である。組成物は、咳症状を有する患者に利便性を提供する。なぜなら、現在のところ利用可能な即時放出性組成物は、8時間製品であるからである。さらに、組成物は錠剤または粉末形態の改変放出性ベンゾナテートを提供するため、これらの組成物は、ベンゾナテートのソフトゲル形態と関連する偶発的な咀嚼または破砕の結果としてもたらされる主要な口腔咽頭知覚麻痺副作用の危険を低減する。
【0086】
一実施形態において、患者は、本明細書において提供される固体経口組成物中に約100〜約200mgのベンゾナテートを含有する単回12時間用量を受ける。本明細書に記載される12時間鎮咳性改変放出性固体経口錠剤またはカプセル組成物は、任意選択で逆腸溶性コートを有する、マトリックス中のベンゾナテートを提供する。マトリックスは、改変放出性マトリックスを形成する親水性ポリマーまたは疎水性蝋もしくは蝋様物質を用いて形成されるマトリックス中にベンゾナテート成分を含んでなる均一固体分散体である。一実施形態において、ベンゾナテート成分は、ベンゾナテートと1種以上の吸着剤(例えば、非金属ベースのシリカまたはケイ酸塩)とを含む吸着物質である。別の実施形態において、ベンゾナテート成分は、ベンゾナテート−弱酸性イオン交換樹脂複合体である。マトリックス形成性ポリマーは、ベンゾナテートに12時間改変放出プロファイルを付与するのに有効な量の少なくとも1種の薬学的に許容可能な改変放出性のpH非依存性の高溶融温度のマトリックス形成性の水不溶性の蝋または蝋質物質であり得る。追加的に、または代替的に、マトリックス形成性ポリマーは、本明細書において先に規定したpH非依存性の親水性ポリマーである。好適には、口腔または食道内での組成物からのベンゾナテ
ート放出は実質的になく、かつベンゾナテートの約55%以下、約45%以下、約30%以下、または約25%以下、または約20%以下が投与後1時間以内に放出される。好適には、この放出プロファイルは、ベンゾナテートのほとんどが口腔または食道の外で放出されることをもたらし、放出は、胃の中で開始する。
【0087】
以下の実施例は、本発明の組成物をより具体的に説明するために提供されるものであり、限定するように意図されるものではない。これらは単に説明を目的とするものであるにすぎず、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなしに変更および変形がなされ得ることが認識される。
【実施例】
【0088】
以下の実施例において使用される場合、用語「粒子内(intragranular)」とは、ベンゾナテートおよび吸着物質および/または蝋および/または親水性ポリマーを用いて調製される顆粒をいう。「粒子外(extragranular)」とは、外部から顆粒に添加される賦形剤をいう。
【0089】
実施例1 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の改変放出性薬剤としてベヘン酸グリセリルを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
【0090】
【表3】
【0091】
ベンゾナテート−ベヘン酸グリセリル−ケイ酸カルシウム吸着物質ブレンド(粒子内)を調製するために、ベヘン酸グリセリル(6.2%w/w)を75℃で溶融させ、それにベンゾナテート(23.1%w/w)をゆっくりと組み入れた。上記の溶融ベンゾナテート−ベヘン酸グリセリルを5分間混合した後に、それに11.1%w/wのケイ酸カルシウムを添加し、室温で均一に混合した。この混合物を、710ミクロン(#25メッシュ)篩に通した。この結果として生じた粒子内ベンゾナテート−ベヘン酸グリセロール吸着物質ブレンドを、次のように調製した粒子外粉末ブレンドと組み合わせた。
【0092】
粒子外粉末ブレンドを調製するために、ラクトース一水和物(8.9%w/w)、リン
酸三カルシウム(33.8%w/w)、コポビドン(3.1%w/w)、ベヘン酸グリセリル(13.1%w/w)を600ミクロン(#30メッシュ)篩に通し、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質−ベヘン酸グリセリルブレンドと10分間混合して、最終ブレンドを形成した。二酸化ケイ素を600ミクロン(#30メッシュ)篩に通し、そのブレンドと2分間混合した。ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質−ベヘン酸グリセロール−マトリックスを含む最終ブレンドを、成形用具:0.2900×0.6320インチのカプセル形状のものを用いて回転式プレスで圧縮した(硬度:5kP)。
【0093】
実施例2 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の改変放出剤としてベヘン酸グリセリルを用いた代替ベンゾナテートER錠剤150mg
A.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(「ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質」)
【0094】
【表4】
【0095】
上記の表中の成分および量を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、この混合物に、およそ7g/分の速度で液体ベンゾナテートを添加した。結果として生じた形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0096】
吸着物質中のベンゾナテートの量は、好適なアッセイを用いて測定され得る。本明細書に記載される計算のために使用されるアッセイは、40℃で維持されたC18カラムと310nmに設定されたUV検出器とを備えたHPLC系に15μLの試料を注入することによって得られる対照標準に対するクロマトグラフィーピーク面積の比較を含む。下記の表に示される勾配プログラムを2mL/分の流量で実施したが、移動相は、移動相A(65%の0.015M O−リン酸:35%のアセトニトリル v/v)および移動相B(30%の0.015M O−リン酸:70%のアセトニトリル v/v)からなった。
【0097】
【表5】
【0098】
B.工程2:錠剤調製:
【0099】
【表6】
【0100】
この実施例のパートAからのベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質、ラクトース一水和物、微結晶性セルロースおよびコポビドンを、600ミクロン(#30メッシュ)篩に通し、10分間混合した。このブレンドを、以下のパラメータを用いてローラー圧縮機に通した:ロール速度:1rpm、スクリュー速度:8rpm、ロール圧力:1800psi。この圧縮シートを850ミクロン(#20メッシュ)篩に通した。この顆粒を、上記のパラメータを用いて再度、ローラー圧縮機に通した。この圧縮シートを、850ミクロン篩で篩にかけた。
【0101】
ベヘン酸グリセリルを850ミクロン篩に通し、上で調製された顆粒と10分間混合して、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質−ベヘン酸グリセリルマトリックスを含
む最終ブレンドを形成した。次いで、二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.2900インチ×0.6320インチ(「K 60」およびプレーン)を用いて圧縮した;硬度:8Kp。
【0102】
この圧縮錠剤のインビトロ溶出を、以下のアッセイパラメータを用いて評価した。溶出パラメータ:装置(II)パドル、50rpm、0.05Mリン酸ナトリウム、pH6.8(900mL)、温度37℃)。
【0103】
【表7】
【0104】
実施例3 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の改変放出性薬剤としてセチルアルコールとステアリルアルコールとの組み合わせを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
【0105】
【表8】
【0106】
セチルアルコール(3.6%w/w)およびステアリルアルコール(4.4%w/w)を50℃で溶融させ、その溶融蝋質混合物にベンゾナテート(30.0%w/w)をゆっくりと組み入れた。ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、およびラクトース一水和物を、その溶融混合物と共に造粒した。結果として生じた吸着物質−マトリックスを710ミクロン篩に通した。この工程後に、二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記の吸着物質−マトリックスブレンドとビーカー中で2分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを600ミクロン篩に通し、吸着物質−マトリックス−二酸化ケイ素ブレンドと2分間混合した。次いで、この最終ブレンドを、成形用具:0.2730×0.5950インチのカプセル形状のものを用いて回転式プレスで圧縮した(硬度:5kp)。
【0107】
実施例4 − 吸着剤としてAmberlite IRP64樹脂を用いかつマトリックス中の改変放出性薬剤としてベヘン酸グリセリルを用いたベンゾナテートER錠剤150mg(直接打錠法)
A.ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体(ベンゾナテート樹脂)
【0108】
【表9】
【0109】
ベンゾナテートと水とを混合して、液体ベンゾナテートを溶解させた。結果として生じた溶液を、Key High(商標)剪断造粒機中で連続的に混合しながらAmberlite(商標)IRP64樹脂上に噴霧して、均一塊を形成した(インペラー速度:250rpm;チョッパー速度:3200rpm;噴霧速度:30g/分)。形成されたベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体顆粒を、オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた。ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体顆粒を、最後に425ミクロン篩に通した。
【0110】
B.ベンゾナテート−イオン交換樹脂およびベヘン酸グリセリルを用いたベンゾナテートER錠剤150mgの処方
【0111】
【表10】
【0112】
パートAからのベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、ベヘン酸グリセリルおよびコポビドンを、710ミクロン篩に通し、10分間混合した。二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドとさらに2分間混合して、ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体−マトリックスを得た。この最終ブレンドを、0.3310×0.7210インチのカプレット成形用具を用いて回転式錠剤プレスで圧縮した(硬度:6〜7kP)。
【0113】
実施例5 − 吸着剤としてケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いかつマトリックス中の改変放出性薬剤としてベヘン酸グリセリルを用いたベンゾナテートER錠剤150mg(直接打錠法)
A.ベンゾナテート−ケイ酸アルミン酸マグネシウム吸着物質
【0114】
【表11】
【0115】
液体ベンゾナテートと純水とを混合して、ベンゾナテートを溶解させた。このベンゾナテート溶液を、Key High(商標)剪断造粒機中で実施例4においてと同じインペラー速度およびチョッパー速度を用いて連続的に混合しながらメタケイ酸アルミン酸マグネシウム上に噴霧して、均一塊を形成した。ベンゾナテートケイ酸塩吸着物質顆粒を、流動床装置中で1〜3%の間の含水量まで乾燥させた。この吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。残留した吸着物質顆粒を、メッシュ篩0033(840ミクロン)および0020(510ミクロン)を用いたFitz Mill 3200rpmナイフに通した。この吸着物質顆粒を、最後に再度、425ミクロン篩に通した。
【0116】
B.ベンゾナテートケイ酸アルミン酸マグネシウム吸着物質およびベヘン酸グリセリルを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
【0117】
【表12】
【0118】
まず、二酸化ケイ素を除く成分の全てを710ミクロン篩に通し、10分間混合した。二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドとさらに2分間混合した。最終ベンゾナテート−ケイ酸アルミン酸マグネシウム吸着物質−マトリックスを、0.3600×0.7480インチの楕円形成形用具を用いて回転式錠剤プレスで圧縮した(硬度:6〜7kP)。
【0119】
この錠剤のインビトロ溶出を、以下の溶解パラメータを用いて評価した:装置(II)パドル、50rpm、媒体:0.05Mリン酸ナトリウム、pH6.8(900mL)、
温度37℃。
【0120】
【表13】
【0121】
実施例6 − 非水性エチルセルロースバリアコーティングで被覆されたベンゾナテート−弱酸性カチオン交換樹脂複合体を用いたベンゾナテートER錠剤150mg
A.ベンゾナテートの複合体化(ベンゾナテート樹脂)
【0122】
【表14】
【0123】
純水を計量し、それにベンゾナテートを混合した。この溶液を、Key High剪断造粒機(インペラー速度250rpm、チョッパー速度3200rpm、噴霧速度30g/分)中で連続的に混合しながらAmberlite IRP64弱酸性カチオン交換樹脂上に噴霧して、均一塊を形成した。形成された顆粒を、オーブン中で40℃にて一晩乾燥させた。最後にこの顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0124】
B.ベンゾナテート−弱酸性カチオン性交換樹脂複合体の造粒(ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体−マトリックス)
【0125】
【表15】
【0126】
ヒプロメロースをエタノールにゆっくりと添加し、完全に溶解されるまで混合して、「ヒプロメロース溶液」を得た。工程(A)1で調製されたベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体を、Key High剪断造粒機(インペラー250rpm、チョッパー3200rpm)中でゆっくりとした速度で混合した。上で調製されたヒプロメロース溶液を、ベンゾナテート樹脂上にゆっくりとした速度で噴霧した(インペラー250rpm、チ
ョッパー3200rpm)。造粒されたベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体−マトリックスを500ミクロン篩に通した。含水量が9.49%でしかなかったため、乾燥は必要とされなかった。
【0127】
C.ベンゾナテート−イオン交換樹脂複合体−マトリックスへのエチルセルロースの20%レベルでの被覆(ベンゾナテートME20樹脂)
【0128】
【表16】
【0129】
コーティング溶液を調製するために、トリアセチンをエタノールに溶解させた。エチルセルロースをゆっくりと添加し、それが完全に溶解されるまで混合した。調製されたコーティング溶液を、パートBに従って調製されたベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体−マトリックス上に、20%の固形分がそのベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体−マトリクス上に負荷されるように、流動床装置中で噴霧した。被覆されたベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体−マトリックスの温度は、流動床装置中、およそ35℃で維持された。
【0130】
D.ベンゾナテートER錠剤150mgの形成
【0131】
【表17】
【0132】
パートCの被覆されたベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体−マトリックス、パートAのベンゾナテート−カチオン交換樹脂複合体、ラクトース一水和物、微結晶性セルロースおよびポリビニルピロリドンK90Fを、710ミクロン篩に通し、10分間混合した。二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを600ミクロン篩に通し、上記のブレンドとさらに2分間混合した。この最終ブレンドを、0.3310×0.7210インチのカプレット成形用具を用いて回転式錠剤プレスで圧縮した(硬度:8〜10kP)。
【0133】
錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)、パドル、50rpmを用い、37℃の温度にて、0.05Mリン酸ナトリウムの溶出媒体、pH6.8(900mL)中で評価した。
【0134】
【表18】
【0135】
比較の目的のために、インビトロ溶出を、USP媒体である水900mL 装置II、パドル、50rpmでも評価した。
【0136】
【表19】
【0137】
実施例7 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の改変放出性薬剤としてベヘン酸グリセリルを用いかつ逆腸溶性コーティングを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
工程1:ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(「ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質」)
【0138】
【表20】
【0139】
上記の表に示された量を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成された顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0140】
工程2:処方方法:
以下の表は、1500錠のバッチサイズ用の成分を示している。
【0141】
【表21】
【0142】
上記の表に示された量を用いて、工程1で調製されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、およびコポビドンを、600ミクロン篩に通し、10分間混合した。結果として生じたブレンドを、以下のパラメータを用いてローラー圧縮機に通した:ロール速度:1rpm;スクリュー速度:8〜12rpm、ロール圧力:1800psi。この圧縮シートを850ミクロン篩に通した。
【0143】
別個のプロセスにおいて、ベヘン酸グリセリルを600ミクロン篩に通し、上で調製された顆粒と10分間混合した。二酸化ケイ素を600ミクロン篩に通し、上記のブレンド
と2分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.3600インチ×0.7480インチ(楕円形成形用具、プレーン)を用いて圧縮した;硬度:4〜5Kp。
【0144】
工程3:Kollicoat(登録商標)Smartseal 30Dでの被覆
【0145】
【表22】
【0146】
*Kollicoat(登録商標)Smartseal 30Dは、およそ30%の固形分を有する水性ポリマー分散液である。これは、およそ0.6%のマクロゴールセトステアリルエーテルおよび0.8%のラウリル硫酸ナトリウムで安定化されたメタクリル酸メチルとメタクリル酸ジエチルアミノエチルとのコポリマーを含有する。
【0147】
上記の表に示された量を用いて、次のようにコーティングを調製して、19.6%の総固形分および10%の総ポリマー含量を有するコーティングを得た。最終製品は、およそ約50%w/wポリマーのポリマー総量を乾燥フィルム上に含有するコーティング層を含有する。
【0148】
コーティングを調製するために、ブチル化ヒドロキシトルエンを、20分間にわたりアローミキサー(arrow mixer)を用いてクエン酸トリブチルに溶解させて、可塑剤懸濁液を形成した。別個に、高剪断ミキサーを10分間にわたり3200rpmで用いて、タルクを水中で均質化した。均質化タルクおよび可塑剤懸濁液を、アローミキサーで静かに撹拌しながらKollicoat分散液にゆっくりと注入した。このコーティング懸濁液を2時間混合した後、コーティング懸濁液を180ミクロン篩に通し、磁気攪拌機を用いて連続的に撹拌した。以下のパラメータに従って流動床装置中でこのコーティング懸濁液で錠剤を噴霧被覆し、5%および10%の総ポリマー重量増加の時点でサンプリングした。
プロセスパラメータ:
入口温度:48℃〜55℃
排出温度:38℃〜40℃
風量:69cfm
噴霧速度:1〜2g/分
被覆された錠剤を、熱風炉中で2時間にわたり50℃で硬化させた。
【0149】
結果として生じた被覆錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpmを用い、37℃の温度にて、500mLの0.1N HCl(1時間)+6.8のpHとする400mLのリン酸塩緩衝液の溶出媒体中で評価した。以下に示される放出百分率は、4つの溶出テキストの平均値である。
【0150】
【表23】
【0151】
実施例8 − 健康な成人被験体において絶食条件下でベンゾナテートER錠剤の相対的バイオアベイラビリティを等用量の対照製品(Tessalon(登録商標))と比較する非盲検無作為2期間交差1日パイロット研究
ベンゾナテートの薬物動態は十分に特徴付けられていない。薬物は、即時放出性処方物の投与後15〜20分以内に作用し始め、効果は3〜8時間続く。この研究は、健康な成人被験体において1日3回(t.i.d.)投与される2個のTessalon(登録商標)100mg真珠型カプセル剤と比較した、1日2回(b.i.d.)投与される実施例7に記載されるように調製された2個のベンゾナテート150mg長期放出性錠剤の相対的バイオアベイラビリティを評価するものである。薬物動態結果を、以下の表に示し、図1Aおよび1Bに図示する。
【0152】
処置:
処置A:試験ベンゾナテートER錠剤を、実施例7に記載されるように調製した。300mg用量の試験製品(錠剤2個)を、絶食条件下において、0時間および12時間の時点にて、2つの等しい用量(各300mg)で、240mLの飲料水と共に投与した。
【0153】
処置B:200mg用量の対照製品(真珠型カプセル剤2個)を、絶食条件下において、0時間、8時間および16時間の時点にて、3つの等しい用量(各200mg)で投与した。
【0154】
用量:試験製品:2×150mg b.i.d.(合計600mg用量)。対照製品:2×100mg t.i.d.(合計600mg用量)。
薬物投与:試験製品:2個の150mg錠剤を240mL(±約5mL)の飲料水と共に0時間および12時間の時点で投与。
【0155】
対照製品:2個の100mg真珠型カプセル剤を240mL(±約5mL)の飲料水と共に0時間、8時間および16時間の時点で投与。
【0156】
各群14名の被験体がいた。
【0157】
PK分析を、PKデータセットにおける被験体からの利用可能なデータに対して行った。実際の投与後試料採取時間が、PK分析において存在した。SAS(登録商標)におけるノンコンパートメントアプローチを用いて、ベンゾナテートについて、以下のPKパラメータが評価される:AUCinf:時間ゼロから無限時間までの検体濃度対時間曲線の下の面積。Cmax:サンプリング期間中の最大実測検体濃度。Tmax:サンプリング期間中の最大実測検体濃度の時間。
【0158】
分散分析(ANOVA)が、ログ変換されたAUCinfおよびCmaxならびに変換されていないTmaxパラメータに対して行われる。同じ統計モデルを用いて、最小二乗平均、処置間の最小二乗平均の差およびこれらの差の対応する標準誤差が、ログ変換されたAUCinfおよびCmaxパラメータについて評価される。これらの統計値に基づき、各処置についての幾何平均の比および対応する90%信頼区間およびパワー(power)が算出される。これらの統計値は、試験処方物の性能を対照製品と比べて評価するために使用される。
【0159】
有効であると確認されているLC/MS/MS分析法によって、血漿からベンゾナテート濃度を測定した。ノンコンパートメントアプローチを用いて以下の薬物動態パラメータを評価した:AUCinf、Cmax、およびTmax。統計分析:ANOVA(PROCGLM)が、ログ変換されたAUCinfおよびCmaxならびに変換されていないTmaxに対して行われる。ログ変換されたデータに基づき、各処置についての幾何平均の比および対応する90%信頼区間が、AUCt、AUCinfおよびCmaxについて算出される。これらの統計値は、試験処方物の性能を対照製品と比べて評価するために使用される。
【0160】
【表24】
【0161】
実施例9 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつ逆腸溶性コーティング(メタクリル酸ジメチルアミノエチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとをベースとするカチオン性コポリマー)を用いたベンゾナテートER錠剤150mg
1.ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質の調製
【0162】
【表25】
【0163】
上記の表中の量を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpm;チョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpm;チョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。先の実施例に記載したアッセイを用いることにより、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質の総重量に基づき60.66wt%のベンゾナテートが示された。
【0164】
2.ベンゾナテートER錠剤の調製
【0165】
【表26】
【0166】
品目1、2、3および4を、10分間にわたり、KG5[Key International]高剪断造粒機中で混合した(インペラー:250rpm;チョッパー:3200rpm)。ジャケット付熱(jacketed heat)を作動させ、温度が80℃に達するまでこのブレンドを混合した。ブレンドを、80℃で10分間さらに混合した。ブレンドをステンレス鋼トレー中に広げ、2時間冷却した後、ブレンドを710ミクロン篩に通した。
【0167】
品目5、6、7および8を別個に710ミクロン篩に通し、キューブブレンダー中で上記の(品目1、2、3および4の)ブレンドと10分間混合した。品目10を600ミクロン篩に通し、そのうちの50%と上記のブレンドとを3分間混合した。このブレンドを、TFミニ[Vector Corporation]ローラー圧縮機(ロール速度1rpm;圧力:600psi;スクリュー速度12rpm)に通した。このリボンを、Fitz Mill(Fitz速度:1200rpm;ナイフ:フォワード;篩1650ミクロン(0065篩)(The Fitzpatrick Company))に通して粉砕した。品目9を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと5分間混合した。品目10の残りの50%を上記のブレンドに添加し、3分間混合した。このブレンドを、成形用具
:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した;硬度:10〜12Kp。
【0168】
3.「Eudragit(登録商標)EPO Ready Mix」(逆腸溶性コート)での被覆
【0169】
【表27】
【0170】
EUDRAGIT(登録商標)EPOは、メタクリル酸ジメチルアミノエチルとメタクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルとをベースとするカチオン性コポリマーである。Eudragit(登録商標)EPO Ready Mixは、塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸およびタルクからなる。高剪断ミキサーを30分間にわたり2300rpmで用いて、この混合逆腸溶性コーティングミックスを、総固形分が15%となるように、純水と混合した。
【0171】
この懸濁液を500ミクロン篩に通し、磁気攪拌機を用いて連続的に撹拌した。調製された錠剤を、以下のパラメータを用いて被覆し、10%の固形分レベルでサンプリングした。この被覆錠剤を、平鍋で40℃にて30分間乾燥させた。
【0172】
プロセスパラメータは、入口温度:35℃;排出温度:28℃〜30℃;風量:65cfm;噴霧速度:1.5g/分であった。
【0173】
4.「Opadry(登録商標)YS−1−19025−A」(シールコート)での被覆
【0174】
【表28】
【0175】
クリアシールコートOpadry(登録商標)YS−1−19025−A溶液を、品目1を品目2に添加することにより調製し(総固形分7.5%w/v)、アローミキサーを用いて60分間混合した。逆腸溶性被覆錠剤に対して以下のパラメータを用いて被覆を行い、3%の固形分レベルでサンプリングした。プロセスパラメータは、入口温度:60℃〜65℃;排出温度:38℃〜48℃;風量:63cfm;噴霧速度:1.5g/分であった。
【0176】
実施例10 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒプロメロースを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
2663〜4970mPa−Sの粘度、19〜24%のメトキシ、7〜12%のヒドロキシプロピル、置換2208、および0.12〜0.15g/cm3の嵩密度、および最大5%の含水量を有するヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはHPMCとも呼ばれる)を用いてこの処方物を調製した。
【0177】
1.ケイ酸カルシウムを伴うベンゾナテート(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0178】
【表29】
【0179】
上記の表に示された量を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。本明細書に記載されるアッセイを用いて、ベンゾナテートの量を、吸着物質の総重量に基づき60.66wt%のベンゾナテートであると決定した。
【0180】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0181】
【表30】
【0182】
直前の表からの品目1、2、3、4および5を710ミクロンに通し、キューブブレンダー中で10分間混合した。品目7を600ミクロン篩に通し、そのうちの50%と上記のブレンド(品目1、2、3、4、5)とを2分間混合した。品目1〜5と品目7の50%とを含む結果として生じたブレンドを、TFCミニローラー圧縮機に通した(ロール速
度1rpm;圧力:1200psi;スクリュー速度12rpm;Vector Corporation)。このリボンを710ミクロン篩に通した。品目6を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。品目7の残りの50%を上記のブレンドに添加し、2分間混合した。この最終ブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した;硬度:5Kp。
【0183】
3.インビトロ溶出(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液):
逆腸溶性コーティングまたは任意選択のシールコートで被覆する前の錠剤コアの溶出パターンを評価するために、パート2に従って調製された錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpmを用い、37℃の温度にて、500mLの0.1NのHCl(1時間)+6.8のpHとする400mLのリン酸塩緩衝液の溶出媒体中で評価した。以下に示される放出百分率は、4つの溶出容器の平均値である。
【0184】
【表31】
【0185】
この錠剤コアは、逆腸溶性コーティングおよび任意選択のシールコートで被覆され得る。
【0186】
実施例11 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒプロメロースのブレンドを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
(1)2663〜4970mPa−Sの粘度、19〜24%のメトキシ、7〜12%のヒドロキシプロピル、置換2208、および0.12〜0.15g/cm3の嵩密度および最大5%の含水量を有するヒプロメロースと(2)80〜120mPa−Sの粘度、19〜24%のメトキシ、7〜12%のヒドロキシプロピル、置換2208、および最大5%の含水量を有するヒプロメロースとの、2つのヒプロメロースのブレンドを用いてこの処方物を調製した。
【0187】
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0188】
【表32】
【0189】
直前の表中の成分を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。本明細書に記載される
アッセイを用いて、ベンゾナテートの量を、吸着物質の総重量に基づき60.66wt%のベンゾナテートであると決定した。
【0190】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0191】
【表33】
【0192】
直前の表からの成分を用いて、品目1、2、3、4、5、6および7を850ミクロン篩に通し、キューブブレンダー中で10分間混合した。品目8を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。このブレンドをローラー圧縮機に通した(ロール速度1rpm;圧力:1600psi;スクリュー速度12rpm)。このリボンをFitzミル(ナイフフォワード、速度:1100rpm、篩0065;Fitzpatrick Company)に通した。品目9を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと3分間混合した。品目10(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した;硬度:6Kp。
【0193】
3.インビトロ溶出(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液):
逆腸溶性コーティングまたは任意選択のシールコートで被覆する前の錠剤コアの溶出パターンを評価するために、パート2に従って調製された錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpmを用い、37℃の温度にて、500mLの0.1N HCl(1時間)+6.8のpHとする400mLのリン酸塩緩衝液の溶出媒体中で評価した。以下に示される放出百分率は、4つの溶出容器の平均値である。
【0194】
【表34】
【0195】
この錠剤コアは、逆腸溶性コーティングおよび任意選択のシールコートで被覆され得る。
【0196】
実施例12 − ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質を含みかつ制御放出性(CR)ヒプロメロースK100LVを用いたベンゾナテートER150錠剤
80〜120mPa−Sの粘度、10.0〜24.0のメトキシ%、7.0〜12.0のヒドロキシプロピル%、(置換型2208、最大5%の水分量、および0.23〜0.35g/cm3の嵩密度を有するヒプロメロースを用いてこの処方物を調製した。先の実施例に記載されたとおりに処方物を調製した。
【0197】
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0198】
【表35】
【0199】
直前の表中の成分を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。アッセイにより、吸着物質の総重量に基づき60.66wt%の量のベンゾナテートが示された。
【0200】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0201】
【表36】
【0202】
直前の表中の成分を用いて、品目1、2、3、4および5を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合した。品目6を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。(600ミクロン篩に通された後の)品目7を上記のブレンドに添加し、2分間混合した。この最終ブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した。
【0203】
3.インビトロ溶出(0.1N HCl):
錠剤コアの溶出パターンを評価するために、錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、0.1N HCl中で行い、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpmを用いて、0.5時間、1時間および2時間の時点で評価した。以下に示される放出百分率は、4つの溶出容器の平均値である。
【0204】
【表37】
【0205】
この錠剤コアは、逆腸溶性コーティングおよび任意選択のシールコートで被覆され得る。
【0206】
実施例13 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
この実施例は、95,000の分子量、75〜150mPa−Sの粘度、5%の最大含水量、水中5〜7.5のpH、モル置換度3.4〜4.4、0.2の最大灰分、および粒径(最低85%が600ミクロン篩を通り、最低99%が20メッシュを通る)により特徴付けられる、例示的なヒドロキシプロピルセルロース[LXF,Ashland Chemical]を使用する。
【0207】
実施例13A:処方物A
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0208】
【表38】
【0209】
直前の表中の成分を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通し、先の実施例に記載されたとおりにアッセイした。
【0210】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0211】
【表39】
【0212】
上記の表中の成分および量を用いて、品目1、2、3、4および5を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合した。品目6を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。品目7(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した(硬度:11Kp)。
【0213】
3.インビトロ溶出(0.1N HCl)
錠剤コアの溶出パターンを評価するために、錠剤のインビトロ溶出プロファイルを、0.1N HCl中で行い、以下の溶出パラメータ、すなわち、装置(II)パドル、50rpmを用いて、示される時点において評価した。以下に示される放出百分率は、4つの溶出容器の平均値である。
【0214】
【表40】
【0215】
この錠剤コアは、逆腸溶性コーティングおよび任意選択のシールコートで被覆され得る。
【0216】
実施例13B:処方物B
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0217】
【表41】
【0218】
直前の表中の成分を用いて、ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0219】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0220】
【表42】
【0221】
直前の表中の成分を用いて、品目1、2、3、4および5を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合した。2.品目6を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合した。全ブレンドを、マイクロローラー圧縮機(ロール速度:1rpm、スクリュー速度:12rpm、圧力:1600psi)を用いてローラー圧縮した。この圧縮シートを、Fitzミル(篩:0065、速度:1100rpm、ナイフフォワード)に通して粉砕した。このブレンドを、マイクロローラー圧縮機(ロール速度:1rpm、スクリュー速度:12rpm、圧力:1600psi)を用いて再度、ローラー圧縮した。この圧縮シートを、Fitzミル(篩:0065、速度:1100rpm、ナイフフォワード)に通して粉砕した。品目7(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮した(硬度:11Kp)。
【0222】
逆腸溶性コートまたはシールコートで被覆する前の錠剤コア、すなわち、実施例13Bのパート2に記載されたとおりに調製された錠剤のインビトロ溶出を、以下の媒体:(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液)、装置−2、50rpmを用いたアッセイにおいて評価した。
【0223】
【表43】
【0224】
3.Eudragit(登録商標)EPO Ready Mix(逆腸溶性コート)での被覆
【0225】
【表44】
【0226】
高剪断ミキサーを30分間にわたり2300rpmで用いて、逆腸溶性コーティング(表中の品目1)を水に混合した。結果として生じた懸濁液を、500ミクロン篩に通し、磁気撹拌機を用いて連続的に撹拌した。実施例13Bのパート2に記載されたとおりに調製された錠剤を、以下のプロセスパラメータを用いて、(あらゆるシールコートの前の錠剤の重量に基づき)10wt%の逆腸溶性コーティングレベルに達するように被覆した。プロセスパラメータ:入口温度:35℃、排出温度:28℃〜30℃、風量:65cfm、噴霧速度:1.5g/分。この被覆錠剤を、平鍋で40℃にて30分間乾燥させた。
【0227】
この逆腸溶性被覆錠剤のインビトロ溶出を、以下の媒体:(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液)、装置−2、50rpmを用いたアッセイにおいて評価した。
【0228】
【表45】
【0229】
4.Opadry(登録商標)YS−1−19025−A(シールコート)での被覆
【0230】
【表46】
【0231】
透明シールコート溶液を、品目1(Opadry(登録商標)YS−1−19025−A)を品目2(水)に添加し、アローミキサーを用いて60分間混合することにより調製した。このシールコート溶液を、実施例13Bのパート3に記載されたとおりに調製された逆腸溶性被覆錠剤に、以下のパラメータを用いて、(被覆錠剤の総重量に基づき)3%wtのシールコートレベルに達するように適用した。プロセスパラメータ:入口温度:60℃〜65℃、排出温度:38℃〜48℃、風量:63cfm、噴霧速度:1.5g/分。
【0232】
この逆腸溶性被覆錠剤のインビトロ溶出を、以下の媒体:(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液)、装置−2、50rpmを用いたアッセイにおいて評価した。
【0233】
【表47】
【0234】
実施例14 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてベヘン酸グリセリル−親水性ポリマーの組み合わせを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
1.ケイ酸カルシウムとのベンゾナテート複合体化(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0235】
【表48】
【0236】
ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通し、ベンゾナテート含有量について、上に記載されたとおりにアッセイした。
【0237】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0238】
【表49】
【0239】
上記の表中の成分および量を用いて、品目1、2、3および4を、高剪断造粒機中で10分間混合した(インペラー:250rpm、チョッパー:3200rpm)。ジャケット付熱(jacketed heat)を作動させ、温度が80℃に達するまでこのブレンドを混合させた。ブレンドを、80℃で10分間混合した。ブレンドをステンレス鋼トレー中に広げ、2時間冷却した。ブレンドを710ミクロン篩に通した。品目5、6、7、8を710ミクロン篩に通し、上記のブレンドと10分間混合した。品目9を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドと5分間混合した。品目10を600ミクロン篩に通し、そのうちの50%と上記のブレンドとを3分間混合した。このブレンドをローラー圧縮機(ロール速度1rpm;圧力:500psi;スクリュー速度12rpm)に通した。このリボンを、Fitz Mill(速度:2300rpm、ナイフフォワード、0050篩)に通して粉砕した。品目10の残りの50%を上記のブレンドに添加し、3分間混合した。このブレンドを、成形用具:0.3600インチ×0.7480インチ(プレーン)を用いて圧縮した;硬度:7Kp。
【0240】
3.Euragit(登録商標)EPO Ready Mix(逆腸溶性コート)での被覆
【0241】
【表50】
【0242】
高剪断ミキサーを30分間にわたり2300rpmで用いて、上記の表に示された逆腸溶性コーティングを水に混合した。この懸濁液を、500ミクロン篩に通し、磁気攪拌機を用いて連続的に撹拌した。調製された錠剤を、以下のプロセスパラメータを用いて被覆し、10%の固形分レベルでサンプリングした。プロセスパラメータは次のとおりであった:入口温度:35℃、排出温度:28℃〜30℃、風量:65cfm、噴霧速度:1.5g/分。この被覆錠剤を、平鍋で40℃にて30分間乾燥させた。
【0243】
4.Opadry(登録商標)YS−1−19025−Aシールコートでの被覆
【0244】
【表51】
【0245】
Opadry YS−1−19025−Aクリア溶液を、品目1を品目2に添加することにより調製し、アローミキサーを用いて60分間混合した。被覆を以下のパラメータを用いて逆腸溶性被覆錠剤に対して行い、3%の固形分レベルでサンプリングした。
【0246】
プロセスパラメータは次のとおりであった:入口温度:60℃〜65℃、排出温度:38℃〜48℃、風量:63cfm、噴霧速度:1.5g/分。
【0247】
5.インビトロ溶出(500mLの0.1N HCl(1時間)+400mLのリン酸塩緩衝液):
インビトロ溶出を、実施例7に記載されたアッセイパラメータに従ってアッセイした。
【0248】
【表52】
【0249】
実施例15 − 吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒプロメロースとヒドロキシプロピルセルロースとの組み合わせを用いたベンゾナテートER錠剤150mg
この実施例は、ベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質をヒプロメロースとヒドロキシプロピルセルロース(HPC)との組み合わせとブレンドすることを例示するものである。例示されるHPCは、300〜600mPa−Sの粘度、80kDaの分子量、最低約99.9%(U.S.60メッシュ)、最低90%(U.S.80メッシュ)、および80%(100メッシュ)の平均粒径により特徴付けられる。ヒプロメロースは、2663〜4970mPasの粘度を有し、先の実施例において詳細に記載されたものである。
【0250】
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0251】
【表53】
【0252】
ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合した(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加した。形成された顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0253】
2.ベンゾナテートER錠剤
【0254】
【表54】
【0255】
直前の第1項で調製された吸着物質を用いた錠剤を調製するために、品目1、2、3、4、5および6を500ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間にわたり手で混合する。
品目7を500ミクロン篩に通し、上記のブレンドと2分間混合する。品目8を600ミクロンに通し、上記のブレンドと2分間混合する。このブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮する;硬度:11Kp。
【0256】
結果として生じた錠剤は、その後、逆腸溶性コートおよび任意選択のシールコートで被覆され得る。
【0257】
実施例17 − ベンゾナテートのための吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いたベンゾナテート/クロルフェニラミンER錠剤150mg/4mg
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0258】
【表55】
【0259】
ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合する(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加する。このベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通す。
【0260】
2.ベンゾナテート/クロルフェニラミンER錠剤
【0261】
【表56】
【0262】
品目1、2、3、4、5および6を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合
する。品目7を600ミクロン篩に通し、次いで上記のブレンドに添加し、これを2分間混合する。品目8(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合する。このブレンドを、成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン)を用いて圧縮する(硬度:11Kp)。
【0263】
3.Eudragit(登録商標)EPO Ready Mix(逆腸溶性コート)での被覆
【0264】
【表57】
【0265】
高剪断ミキサーを30分間にわたり2300rpmで用いて、逆腸溶性コーティングミックス(品目1)を水(品目2)に混合する。この懸濁液を500ミクロン篩に通し、磁気撹拌機を用いて連続的に撹拌する。調製されたパート2の錠剤を、以下のプロセスパラメータを用いて被覆し、(あらゆるシールコートの前の)逆腸溶性被覆錠剤の重量に基づき10wt%の逆腸溶性コーティングとなるように被覆する。プロセスパラメータ:入口温度:35℃、排出温度:28℃〜30℃、風量:65cfm、噴霧速度:1.5g/分。この逆腸溶性被覆錠剤を、平鍋で40℃にて30分間乾燥させる。
【0266】
4.Opadry(登録商標)YS−1−19025−A(シールコート)での被覆
【0267】
【表58】
【0268】
シールコートの透明溶液を、Opadry(登録商標)YS−1−19025−A(品目1)を水(品目2)と組み合わせ、アローミキサーを用いて60分間混合することにより調製する。この溶液を、以下のパラメータを用いて逆腸溶性被覆錠剤に適用し、錠剤の総重量に対して3%w/wのシールコートの時点でサンプリングする。プロセスパラメータ:入口温度:60℃〜65℃、排出温度:38℃〜48℃、風量:63cfm、噴霧速度:1.5g/分。
【0269】
実施例18 − ベンゾナテートのための吸着剤としてケイ酸カルシウムを用いかつマトリックス中の長期放出性薬剤としてヒドロキシプロピルセルロースを用いた、IRクロルフェニラミン成分を含む、ベンゾナテート/クロルフェニラミンER錠剤150mg/4
mg
1.ケイ酸カルシウムによるベンゾナテート吸着(BEN−ケイ酸カルシウム吸着物質)
【0270】
【表59】
【0271】
ケイ酸カルシウムを、高剪断造粒機中でゆっくりとした速度で混合する(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)。ゆっくりとした速度(インペラー:250rpmおよびチョッパー:3200rpm)において、それに、およそ7g/分の速度でベンゾナテートを添加する。形成されたベンゾナテート−ケイ酸カルシウム吸着物質顆粒を425ミクロン篩に通した。
【0272】
2.クロルフェニラミンIR層ブレンド
【0273】
【表60】
【0274】
品目1、2および3を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合する。品目4を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドに添加し、2分間混合する。品目5(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合する。
【0275】
3.ベンゾナテート/クロルフェニラミンER層ブレンド
【0276】
【表61】
【0277】
品目1、2、3、4、5および6を710ミクロン篩に通し、ポリ袋中で10分間混合する。品目7を600ミクロン篩に通し、上記のブレンドに添加し、2分間混合する。品目8(600ミクロン篩)を上記のブレンドに添加し、2分間混合する。
【0278】
4.ベンゾナテート/クロルフェニラミン2層錠剤の圧縮
2つのブレンドを、好適な二重層錠剤プレスを用いて2層錠剤として仕様どおりに圧縮する。先に持続放出性層を圧縮する。成形用具:0.3310インチ×0.7210インチ(プレーン) 硬度:11Kp。持続放出性層:900mg。即時放出性層:200mg。
【0279】
5.Eudragit(登録商標)EPO Ready Mix(逆腸溶性コート)での被覆
【0280】
【表62】
【0281】
高剪断ミキサーを30分間にわたり2300rpmで用いて、品目1を水に混合する。この懸濁液を500ミクロン篩に通し、磁気撹拌機を用いて連続的に撹拌する。以下のプロセスパラメータを用いて、(あらゆるシールコーティングの前の)被覆錠剤の重量に基づき錠剤上10wt%の逆腸溶性コーティングに達するように、錠剤を被覆した。プロセスパラメータ:入口温度:35℃、排出温度:28℃〜30℃、風量:65cfm、噴霧速度:1.5g/分。この被覆錠剤を、平鍋で40℃にて30分間乾燥させる。
【0282】
6.Opadry(登録商標)YS−1−19025−A(シールコート)での被覆
【0283】
【表63】
【0284】
品目1を品目2に添加することによりシールコートの透明溶液を調製し、アローミキサーを用いて60分間混合する。以下のパラメータを用いて、3wt%のシールコートに達するように逆腸溶性被覆錠剤を被覆する。プロセスパラメータ:入口温度:60℃〜65℃、排出温度:38℃〜48℃、風量:63cfm、噴霧速度:1.5g/分。
【0285】
本明細書に記載される全ての特許、特許公開、および他の刊行物は、参照により本明細書に援用される。2013年3月13日に出願された米国仮特許出願第61/780,689号明細書および2103年8月30日に出願された米国仮特許出願第61/872,019号明細書は、その優先権の利益が主張されており、同様に、参照により本明細書に援用される。本発明は、特に好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく変更が加えられ得ることが理解されるであろう。そのような変更形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
図1
【国際調査報告】