特表2016-516765(P2016-516765A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-516765抗菌薬の組成物および製剤、その製造法および微生物感染症の治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-516765(P2016-516765A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(54)【発明の名称】抗菌薬の組成物および製剤、その製造法および微生物感染症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/14 20060101AFI20160513BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 31/085 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20160513BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20160513BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160513BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160513BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20160513BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20160513BHJP
【FI】
   A61K47/14
   A61K45/00
   A61K47/06
   A61K47/10
   A61K47/34
   A61K9/107
   A61P17/00 101
   A61P17/10
   A61K31/496
   A61K31/522
   A61K31/085
   A61K31/55
   A61K8/06
   A61K8/37
   A61K8/31
   A61K8/49
   A61Q5/02
   A61Q5/12
   A61Q19/00
   A61K8/34
   A61K8/58
   A61P31/12
   A61P31/10
   A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2016-507106(P2016-507106)
(86)(22)【出願日】2014年4月12日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月4日
(86)【国際出願番号】IB2014060675
(87)【国際公開番号】WO2014167554
(87)【国際公開日】20141016
(31)【優先権主張番号】1103/DEL/2013
(32)【優先日】2013年4月12日
(33)【優先権主張国】IN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513322970
【氏名又は名称】ビョーメ バイオサイエンシズ ピーブイティー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100153394
【弁理士】
【氏名又は名称】謝 卓峰
(74)【代理人】
【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行
(72)【発明者】
【氏名】プラサッド スダナンド
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ スマナ
(72)【発明者】
【氏名】チャウライ スレッシュ ラメシュラル
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン ニル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA17
4C076BB01
4C076BB21
4C076BB31
4C076CC32
4C076CC35
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD46
4C076DD47
4C076EE27
4C076FF70
4C083AB102
4C083AB312
4C083AB362
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC81
4C083AC85
4C083AC862
4C083AC93
4C083AD042
4C083AD052
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD282
4C083AD532
4C083AD632
4C083AD662
4C083CC05
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE14
4C083EE23
4C084AA17
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4C084MA56
4C084MA63
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4C084NA20
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4C084ZA92
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC31
4C086BC50
4C086CB07
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA20
4C086ZA90
4C086ZA92
4C086ZB33
4C086ZB35
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA10
4C206CA26
4C206MA72
4C206MA76
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA20
4C206ZA90
4C206ZA92
4C206ZB33
4C206ZB35
(57)【要約】
本発明は抗菌薬および賦形剤を含有する組成物を提供し、該組成物は10以上の炭素を有する脂肪酸またはそのエステルを含まない。本発明はまた抗菌薬および賦形剤を含有する組成物を提供し、該組成物は少なくとも1つのC11より小さな炭素鎖を有する脂肪酸/エステルを有し、さらに該組成物が10以上の炭素を持つ脂肪酸またはそのエステルは含まない。本発明の実施態様において、組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットである。また、本発明は製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法での該組成物の製剤化にも関する。本発明はまた本発明の組成物または製剤を使用することによる微生物感染症を治療する方法と共に、該組成物または製剤を得る方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸またはそのエステルは11以下の炭素原子を有し;組成物は10以上の炭素原子をもつ脂肪酸またはそのエステルを含まず;そして少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にある、
a)少なくとも1つの抗菌薬、
b)任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者;および
c)少なくとも1つの賦形剤;
を含有する抗菌組成物。
【請求項2】
ナノスケールの範囲内にある粒子径を持つ成分が抗菌薬である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
組成物が製剤の粒子径または小球径が約1nm〜約10,000nmのナノスケール範囲;好ましくは約10nm〜約1000nmの範囲にある方法で製剤化される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
製剤がクリーム、オイル剤、ローション、血清、ゲル剤、シャンプー、マニキュア液、軟膏、泡沫剤、スプレー剤、コンディショナー、ペースト剤、うがい薬、殺菌剤、溶液剤、パッチ剤または噴霧剤である、請求項3に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
抗菌薬が全組成物の重量で約0.01%〜約50%の範囲の濃度;好ましくは全組成物の重量で約0.01%〜約10%の範囲の濃度;そしてより好ましくは全組成物の重量で約0.01%〜約5%の範囲の濃度である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項6】
抗菌薬が抗真菌薬、抗細菌薬および抗ウイルス薬またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
抗真菌薬はピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、ケトコナゾール、クリンバゾール、硝酸ミコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、アモロルフィン、オキシコナゾール、クロトリマゾール、ルリコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、二硫化セレン、サリチル酸、硫黄、タール、ウンデカン酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、ウサギギク抽出物、胡桃殻抽出物、ティーツリーオイル、ローズマリーオイルおよびバーチオイルまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項6に記載の抗菌組成物。
【請求項8】
抗細菌薬がマクロライド、ケトライド、βラクタム、モノラクタム、キノロン、スルホンアミド、スルファタリジン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、リファマイシン、グリコペプチド、ストレプトグラミン、オキサゾリジノン、ポリミキシン、コリスチン、コロマイシン、トリメトプリム、バシトラシン、トリクロサン、ベシフロキサシン、プルリフロキサシン、オルニダゾール、セファロチン、セフォキシチンおよびホスホマイシンまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項6に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
抗ウイルス薬がアシクロビル、イミキモド、ドコサノール、ペンシクロビル、ポドフィリン、ポドフィロックス、アシクロビル、アデホビル、アマンダジン、アンプレナビル、アルビドール、アタザナビル、バラビル(Balavir)、Boceprevirertet、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(Nexavir)、ヌクレオシド類縁体、オセルタミビル、ペグインターフェロンα−2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、スタブジン、テラプレビル、テノフォビル、テノフォビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル、およびジドブジンまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項6に記載の抗菌組成物。
【請求項10】
オイル剤が脂肪酸またはそのエステルを含んでいないか、またはオイル剤は11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはエステルを含んでいる、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
オイルがパラフィンオイル、シリコンオイル、テルペン、脂肪族アルコール、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびセテアリルアルコールまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルがプロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、前記酸のプロピレングリコールとのモノまたはジエステルおよび前記酸のグリセリンとのモノまたはジまたはトリエステル、またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして該脂肪酸またはそのエステルはオイルの一部であるか、または独立した脂肪酸またはそのエステルである、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
オイルまたは脂肪酸またはそのエステルが全組成物の重量で約0.5%〜約99%の範囲の濃度;好ましくは全組成物の重量で約50%〜約99%の範囲の濃度;より好ましくは全組成物の重量で約0.5%〜約20%の範囲の濃度である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項14】
賦形剤が活性薬剤(active agent)、溶媒、乳化剤、界面活性剤、ポリマー、安定剤、オイルおよび添加剤またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項15】
活性薬剤が医薬活性薬、OTC活性薬、抗炎症薬および皮膚透過エンハンサーまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;溶媒はC-1−C-6低級脂肪族アルコール、低級アルキルアセテート、エーテル類、カルボン酸、C11より短い炭素鎖長を含む誘導体および脂肪族アルコールまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;乳化剤はステアレス-2、ステアレス-21、ポロキサマー、マクロゴールセトステアリルエーテル20、セチルアルコールセテアレス、セテス、イソセテス、ラウレス、オレス、ステアレス、ラウラミドDEA、およびリノレアミドDEAまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;界面活性剤はポロキサマー、PEG-2ステアリルエーテル、PEG-21ステアリルエーテル、プルロニックF127(ポロキサマー)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ナトリウムラウリルエーテル硫酸、ヤシモノエタノールアミド、コカミドプロピルベタイン、ドクサートナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして添加剤は増粘剤、抗酸化剤、芳香剤(perfumes or fragrances)、エッセンシャルオイル、pH調節剤、ハーブ抽出物、保存剤、ヘアコンディショニング物質、ヘアケア補助剤、スキンケア補助剤、皮膚軟化薬、染料、保湿剤、ビタミン類、スフィンゴセリル、サンスクリーン剤、共界面活性剤、発泡剤、共乳化剤、粘度調整剤、懸濁剤、増強剤、真珠光沢剤、減熱消炎剤、イオン強度調節剤および皮膚栄養剤、抗しわ剤、光および塵プロテクターなどのベースオイルまたはスキンケア剤または両者と混合できる油溶性ポリマーまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項14に記載の抗菌組成物。
【請求項16】
賦形剤が全組成物の重量で約0.5%〜約99.90%の範囲の濃度である、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の抗菌組成物を得る方法であって、少なくとも1つの抗菌薬を少なくとも1つの賦形剤と、任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者とともに、少なくとも1つの成分がナノスケールの範囲内の粒子径を持つような方法で混合する行為を含み、該組成物が10以上の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルを含んでいない、抗菌組成物を得る該方法。
【請求項18】
成分は混合に先立ってナノ化に付すか、または混合は均質化に付してナノスケールの範囲の粒子径を持った少なくとも1つの成分を有する組成物を得る、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
混合の均質化が組成物を得るための方法の間にナノスケールの粒子がin situで生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ナノ化が:
a)少なくとも1つの成分を撹拌下に界面活性剤と混合して懸濁液を得て;
b)得られた懸濁液を高圧でホモジナイザーを通過させ、出てきた分散液を集め;そして
c)分散液を再循環させて、適切にサイズ化されたナノ化粒子を有するナノ分散液を得る;という行為を含む方法によって行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ナノスケールの範囲の粒子径を持つ成分が抗菌薬である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
微生物感染症の疑いがあるかまたは微生物感染症を有する患者を治療する方法であって、請求項1に記載の抗菌組成物を患者に投与する行為を含む該方法。
【請求項23】
微生物感染症が真菌感染症、細菌感染症およびウイルス感染症またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして抗菌薬が抗真菌薬、抗細菌薬および抗ウイルス薬またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
真菌感染症はマラセチア種、トリコフィトンルブルム、トリコフィトンメンタグロフィテス、ミクロスポルム種、エピデルモフィトン種、カンジダ・アルビカンスおよび非皮膚糸状菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される真菌類によって引き起こされ;細菌感染症はプロピオニバクテリウム・アクネ、ブドウ球菌種および大腸菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される細菌によって引き起こされ;そしてウイルス感染症は単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロ・ウイルス、ヒトアデノウイルス、肝炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルスまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択されるウイルスによって引き起こされる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象は人間を含む哺乳動物である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
組成物の投与が経口、局所、経皮、粘膜、バッカルおよび歯ぐきまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択されるルートによる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
微生物感染症の治療で使用するための、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項28】
微生物感染症の治療用キットであって、取扱説明書と共に抗菌薬、オイル、11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルおよび賦形剤またはそれらの組合せから成る群から選択される成分を含んで成る該キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌薬および賦形剤を含有する組成物であって、該組成物が10以上の炭素を有する脂肪酸またはそのエステルを含んでいないものを提供する。本発明は、また抗菌薬および賦形剤を含有する組成物であって、該組成物が少なくとも1つのC11より小さな炭素鎖を有する脂肪酸/エステルを有し、さらに該組成物が10以上の炭素を持つ脂肪酸またはそのエステルは含まないものも提供する。本発明の実施態様において、組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットである。さらに、本発明はまた、製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法での該組成物の製剤化にも関する。本発明はまた、本発明の組成物または製剤を使用することにより微生物感染症を治療する方法と共に、該組成物または製剤を得る方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の真菌感染症はまた、「真菌症」として知られている。それらはありふれていて、一般的にはマイルドである。しかしながら、病気またはその他の免疫力の弱った人において、真菌類は時には重篤な疾患を引き起こす。人間における真菌感染は、表層性、即ち皮膚表面から深く侵入したタイプまたは播種性感染に亘っている。
一般に、表層性真菌感染症(皮膚真菌症としても知られる)は、皮膚、爪および毛髪の外層に影響を与える。表層性真菌感染症を起こす真菌の主な群は、皮膚糸状菌(白癬)、酵母菌、例、カンジダ属、マラセチア属、砂毛症等、およびカビである。これらの感染症としては、フケ/脂漏性皮膚炎(D/SD)、白癬、爪真菌症、間擦疹、そして中でも乾癬におけるものが挙げられる。
脂漏性皮膚炎は、頭皮、眉、鼻唇のヒダ、唇、耳、胸骨領域、腋窩、乳腺下のヒダ、へそ、鼡径部、および臀部のヒダに鱗状の、痒い、赤色の皮膚を生じる、ありふれた、慢性の表層性皮膚疾患である。この疾患は多くの形、サイズおよび表面の肌目によって特徴付けられ、しばしば痂皮様で黄色がかっていて、痒みを伴う。脂漏性皮膚炎は頑固なフケの主因の一つで、全ての年齢グループで生じる。この状態は皮膚に存在する皮脂嚢胞に主に発症する。
【0003】
現在では、マラセチア属の真菌類がフケを起こす最も可能性のある原因薬剤であると信じられている(非特許文献1)。脂漏性皮膚炎の殆どの症例は、酵母マラセチアの増殖に対する炎症反応を伴うようである。これらの真菌類はインビトロでの増殖に対し外部脂質に高度に依存している(非特許文献2)。さらに、脂肪酸を合成できないことは宿主脂質の利用に役立つ複数の分泌されたリパーゼの存在によって補完されている。従って、これらの真菌類はこれらのリパーゼを通して皮脂に存在するトリグリセリドを代謝して、副生成物の脂質を生成する。
【0004】
真菌感染症の最も一般的な治療法は、頭皮のマラセチアの濃度を減らす抗真菌剤の局所投与である。頭皮を清潔に保つことは、脂漏性皮膚炎の患者にとって必須である。それ故、効果的なフケ防止シャンプーの使用は、この状態を予防する重要な方法である。
典型的には、抗真菌剤はシャンプーや他の毛髪ケアー組成物の成分として頭皮に適用される。そのようなシャンプー製剤のデメリットは、通常使用の間、抗真菌剤がその最大の治療効果を達成するのに十分な時間の間、製剤が頭皮に残らないということである(非特許文献3)。これらは、例えば、シャワーや風呂で使用し、その後直ぐに水で洗い流すようにデザインされている。通常は、そのようなシャンプーの使用説明書は、製剤が3‐5分後には取り除くことを示唆している。
最も強力で、フケ防止シャンプーに広く用いられている抗真菌剤の1つがケトコナゾールである。しかしながら、効力が乏しく、再発率が高いため、シャンプーの曝露時間は制限されている。
【0005】
これまでに我々は、脂肪酸およびその誘導体(例、メチル化およびヒドロキシル脂肪酸)は、それらが細胞膜を標的にして膜の流動性を増加させるので、抗菌および抗真菌活性を有することが知られていることを見い出した(非特許文献4)。
他の文献では、石膏状小胞子菌(Microsporum gypseum)に対してぺラルゴン酸およびカプリン酸は、インビトロの細胞培養でテストすると有効であることが見いだされた(非特許文献5)。カプリン酸(C10の飽和中鎖脂肪酸)のグリセリドのモノエステルに曝露したときに、カンジダ・アルビカンスに関して同様の報告が見られた(非特許文献6)。
特許文献1は、カチオン性界面活性剤、トリグリセリドオイルおよびフケ防止剤を含む毛髪コンディショニング組成物を開示している。これらの組成物は、グリセリンの脂肪酸エステルであるトリグリセリドオイルを含んでおり、それ故、栄養素として働いて、真菌の増殖を助ける。これらの組成物は8〜30の炭素原子の炭素鎖を持つ脂肪性物質を10%まで含んでいる。
特許文献2は、アニオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、およびジンクピリチオンを含むシャンプー組成物をフケ防止剤として記載している。シリコーン油などのコンディショニング剤は任意に組成物中に加えられることが記載されている。Head & Shoulders(登録商標)Dandruff Shampoo Plus Conditionerは毛髪へのシャンプーの適用でフケ防止とコンディショニングの両方の恩恵を提供する市販品の例である。シャンプーの曝露時間は有効な抗真菌活性に必要なものより少なく、従って再発率は高い。
特許文献3は、フケと頭皮の痒みの予防と治療のためのフケ防止剤と共役リノール酸の相乗作用の組合せに関する。
特許文献4は、コンディショニングでフケを治療または予防をするための、界面活性剤、シロキサンおよび天然の脂溶性油状成分およびそれらの誘導体を有するカチオン性コンディショニング剤とフケ防止剤を開示している。
特許文献5は、フケを軽減し、毛髪成長を刺激するペトロセリン酸やリノール酸などの脂肪酸および飽和や不飽和の誘導体を開示している。
ヘアオイル、スタイリングジェル、シャンプー等のフケの治療用の市販製剤は、特定の活性を持つことは別にして、通常はまたC10より多い炭素鎖の真菌の脂肪酸またはそれらのエステルを必須成分として含んでいる。これらの脂肪酸/エステルは、実際に脂肪酸合成酵素を欠く真菌(例、Malassezia sp.))にとって栄養分として働き、それ故それらの増殖をサポートする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Dawson T.L., J. Investig. Dermatol.Symp. Proc. (2007), 12:1519
【非特許文献2】Chen T.A. and Hill P.V., Vet Dermatol, (2005), 16:4
【非特許文献3】Ralph M.Trueb, JDDG, (2007), 5:356
【非特許文献4】Douglas and Marshall and, “Antimicrobials in Food”, 3rd edition, CRC Press 2005 Pg. no. 327-360
【非特許文献5】Chandeganip our and Haims, “Mycoses”, 2001, Volume 44, Issue 3-4, pages 109-112
【非特許文献6】Bergssonet al., Antimicrobial agents and Chemotherapy, 2001, Vol 45 pg. no. 3209-3212
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】U.S. Patent Application 2010/0016271
【特許文献2】U.S. Patent No. 5,624,666
【特許文献3】U.S. Patent No. 7547752
【特許文献4】European Patent No. 1923043A1
【特許文献5】European Patent No 0116439
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、抗細菌薬、抗ウイルス薬または抗真菌薬を含む抗菌組成物には、フケ防止効果を含めて、改良された洗浄と最適な結果を提供する必要性が残されている。本発明は、抗菌薬を有するが微生物の栄養分は欠く局所用組成物または製剤を提供することにより、この必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って本発明は、a)少なくとも1つの抗菌薬、b)任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者およびc)少なくとも1つの賦形剤を含む抗菌組成物であって、該脂肪酸またはそのエステルは11以下の炭素原子を有し、該組成物は10以上の炭素原子をもつ脂肪酸またはそのエステルを含まず、そして少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるもの;上記の抗菌組成物を得る方法であって、該方法は:少なくとも1つの抗菌薬を少なくとも1つの賦形剤と、任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者とともに、少なくとも1つの成分がナノスケールの範囲内の粒子径を持つような方法で混合する行為を含み、そして組成物は10以上の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルを含まない;微生物感染症の疑いがあるかまたは微生物感染症を有する患者を治療する方法であって、該方法は上記の抗菌組成物を患者に投与する行為を含み;微生物感染症の治療における使用のための、上記の抗菌組成物;および微生物感染症の治療用キットであって、取扱説明書と共に抗菌薬、オイル、11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルおよび賦形剤またはそれらの組合せから成る群から選択される成分を含んで成る該キットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書を容易に理解し、効果を実現するために、添付の図面で説明しながら、例となる実施態様について説明する。以下の発明の詳細な説明とともに、図面は明細書に取り込まれ、明細書の一部を形成し、そして本明細書に従って実施態様をさらに説明し、そして種々の原理や利点を説明するのに役立つ。ここで:
図1図1Aは、Malvern Zetasizerを用いて分析したケトコナゾールのエマルションゲル(組成物A)の小球径を示す。図1Bは、組成物Aの透過型電子顕微鏡画像(TEM)を示す。図1Cは、組成物Aの走査型電子顕微鏡画像(SEM)を示す。
図2】は、皮膚でのそれぞれ3時間と6時間の滞留時間での市販クリーム(non-nano)および組成物Aからのブタの耳の皮膚における薬物沈着%の代表的バーダイアグラムを示す。
図3】は、3時間および6時間の滞留時間後の市販クリーム(non-nano)および組成物Aからブタの耳の皮膚に沈着したケトコナゾールの抑制域(ZOI)を示す。
図4図4Aは、ZetaSizerを用いたヘアクリーム製剤の組成物B1のクリーム液滴のサイズ分布を示す。図4Bは、ヘアクリーム製剤の組成物B2のクリーム液滴のサイズ分布を示す。
図5図5Aは、ZetaSizerを用いたヘアゲル製剤の組成物C1のクリーム液滴のサイズ分布を示す。図5Bは、DLSを用いたヘアゲル製剤の組成物C2のクリーム液滴のサイズ分布を示す。
図6】は、ZetaSizerおよびジンクピリチオンナノ粒子(Dispersion 1)の走査型電子顕微鏡画像(SEM)および高解像透過型電子顕微鏡画像(HR−TEM)によるMorphology & Particle Sizeを用いたサイズ分布データを示す。
図7】は、ZetaSizerおよびジンクピリチオンナノ粒子(Dispersion 2)の走査型電子顕微鏡画像(SEM)および高解像透過型電子顕微鏡画像(HR−TEM)によるMorphology & Particle Sizeを用いたサイズ分布データを示す。
図8】は、M. furfurに関する抑制域のデータを用いてプロットした、本発明のZPTナノ粒子およびミクロ粒子(市販のZPT粉末)の用量反応曲線(Log 近似曲線)を示す。
図9図9(A)は、M. furfurについてのCapmul 908-Pの異なる濃度(0%、3%、5%および9%)でのZPT粉末(10μg/ml)の時間‐死滅を示す。図9(B)は、M. furfurについてのCapmul 908-Pの異なる濃度(0%、3%、5%および9%)でのZPT粉末(50μg/ml)の時間‐死滅を示す。
図10】は、新しく切り取ったブタの耳の皮膚4cmに各製剤10mgを適用後の異なる時点での真菌抑制%を示す。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は種々の修正を加えたり、代替の形態にすることもできるが、具体的な態様を実施例や図面により示して以下に詳細に記述する。しかしながら、このことは本発明を開示された特定の形態に限定するものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲で定義されている本発明の精神および範囲内に入る全ての修正、等価物および代替物をカバーするものと理解しなければならない。
本発明において、本明細書の恩恵を有する当業者に容易に明らかである詳細で本発明が不明確にならないように、本発明の態様を理解するのに適切である具体的な詳細のみを示すために記載した実施例を参照する。
本発明の態様の以下の詳細な説明において、開示の一部を形成する添付の図面やグラフを参照して、本発明を実施する具体的態様を説明する。該態様は当業者が本発明を実施できるように十分詳細に記載されており、本発明の範囲から離れることなく他の態様を利用し、変更を加えることができることを理解すべきである。
【0012】
本発明は、
脂肪酸またはそのエステルは11以下の炭素原子を有し;組成物は10以上の炭素原子をもつ脂肪酸またはそのエステルを含まず;そして少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内である、
a)少なくとも1つの抗菌薬;
b)任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者;および
c)少なくとも1つの賦形剤;
を含有する抗菌組成物に関する。
【0013】
本発明の実施態様において、ナノスケール範囲内の粒子径を持つ成分は抗菌薬である。
本発明の他の実施態様において、組成物は製剤の粒子径または小球径が約1nm−約10,000nmのナノスケール範囲内;好ましくは約10nm−約1000nmの範囲内にある方法で製剤化する。
さらに本発明の他の実施態様において、製剤はクリーム、オイル剤、ローション、血清、ゲル剤、シャンプー、マニキュア液、軟膏、泡沫剤、スプレー剤、コンディショナー、ペースト剤、うがい薬、殺菌剤、溶液剤、パッチ剤または噴霧剤である。
また本発明の他の実施態様において、抗菌薬は全組成物の約0.01重量%〜約50重量%の範囲の濃度;好ましくは全組成物の約0.01重量%〜約10重量%の範囲の濃度;そしてより好ましくは全組成物の約0.01重量%〜約5重量%の範囲の濃度である。
また本発明の他の実施態様において、抗菌薬は抗真菌薬、抗細菌薬および抗ウイルス薬またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
また本発明の他の実施態様において、抗真菌薬はピロクトンオラミン、シクロピロックスオラミン、ケトコナゾール、クリンバゾール、硝酸ミコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、アモロルフィン、オキシコナゾール、クロトリマゾール、ルリコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、二硫化セレン、サリチル酸、硫黄、タール、ウンデカン酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、ウサギギク抽出物、胡桃殻抽出物、ティーツリーオイル、ローズマリーオイルおよびバーチオイルまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
【0014】
また本発明の他の実施態様において、抗細菌薬はマクロライド、ケトライド、βラクタム、モノラクタム、キノロン、スルホンアミド、スルファタリジン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、リファマイシン、グリコペプチド、ストレプトグラミン、オキサゾリジノン、ポリミキシン、コリスチン、コロマイシン、トリメトプリム、バシトラシン、トリクロサン、ベシフロキサシン、プルリフロキサシン、オルニダゾール、セファロチン、セフォキシチンおよびホスホマイシンまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
【0015】
また本発明の他の実施態様において、抗ウイルス薬はアシクロビル、イミキモド、ドコサノール、ペンシクロビル、ポドフィリン、ポドフィロックス、アシクロビル、アデホビル、アマンダジン、アンプレナビル、アルビドール、アタザナビル、バラビル(Balavir)、Boceprevirertet、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネキサビル(Nexavir)、ヌクレオシド類縁体、オセルタミビル、ペグインターフェロンα−2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン、サキナビル、スタブジン、テラプレビル、テノフォビル、テノフォビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル、およびジドブジンまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
【0016】
また本発明の他の実施態様において、オイルは脂肪酸またはそのエステルを持っていないか、またはオイル剤は11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルを含んでいる。
また本発明の他の実施態様において、オイルはパラフィンオイル、シリコンオイル、テルペン、脂肪族アルコール、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびセテアリルアルコールまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
また本発明の他の実施態様において、11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルは、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、前記酸のプロピレングリコールとのモノまたはジエステルおよび前記酸のグリセリンとのモノまたはジまたはトリエステルまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして該脂肪酸またはそのエステルはオイルの一部であるか、または独立した脂肪酸またはそのエステルである。
また本発明の他の実施態様において、オイルまたは脂肪酸またはそのエステルは全組成物に対し重量で約0.5%〜約99%の範囲の濃度;好ましくは全組成物に対し重量で約50%〜約99%の範囲の濃度;より好ましくは全組成物に対し重量で約0.5%〜約20%の範囲の濃度である。
【0017】
また本発明の他の実施態様において、賦形剤は活性薬剤(active agent)、溶媒、乳化剤、界面活性剤、ポリマー、安定剤、オイルおよび添加剤またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
また本発明の他の実施態様において、活性薬剤は医薬活性薬、OTC活性薬、抗炎症薬および皮膚透過エンハンサーまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;溶媒はC-1−C-6低級脂肪族アルコール、低級アルキルアセテート、エーテル類、カルボン酸、C11より短い炭素鎖長を含む誘導体および脂肪族アルコールまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;乳化剤はステアレス-2、ステアレス-21、ポロキサマー、マクロゴールセトステアリルエーテル20、セチルアルコール セテアレス、セテス、イソセテス、ラウレス、オレス、ステアレス、ラウラミドDEA、およびリノレアミドDEAまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;界面活性剤はポロキサマー、PEG-2ステアリルエーテル、PEG-21ステアリルエーテル、プルロニックF127(ポロキサマー)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ナトリウムラウリルエーテル硫酸、ヤシモノエタノールアミド、コカミドプロピルベタイン、ドクサートナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして添加剤は増粘剤、抗酸化剤、芳香剤(perfumes or fragrances)、エッセンシャルオイル、pH調節剤、ハーブ抽出物、保存剤、ヘアコンディショニング物質、ヘアケア補助剤、スキンケア補助剤、皮膚軟化薬、染料、保湿剤、ビタミン類、スフィンゴセリル、サンスクリーン剤、共界面活性剤、発泡剤、共乳化剤、粘度調整剤、懸濁剤、増強剤、真珠光沢剤、減熱消炎剤、イオン強度調節剤および皮膚栄養剤、抗しわ剤、光および塵プロテクターなどのベースオイルまたはスキンケア剤または両者と混合できる油溶性ポリマーまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
また本発明の他の実施態様において、賦形剤は全組成物に対し重量で約0.5%〜約99.90%の範囲の濃度である。
【0018】
本発明はまた上記の抗菌組成物を得るための方法に関し、該方法は:少なくとも1つの抗菌薬を少なくとも1つの賦形剤と、任意に少なくとも1つのオイル、または脂肪酸またはそのエステル、または両者とともに、少なくとも1つの成分がナノスケールの範囲内の粒子径を持つような方法で混合する行為を含み;そして組成物は10以上の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルは含まない。
【0019】
本発明の1つの実施態様において、成分は混合に先立ってナノ化するか、またはナノスケールの範囲の粒子径を持った少なくとも1つの成分を有する組成物を得るために混合は均質化に処す。
本発明の他の実施態様において、混合の均質化は組成物を得るための方法の間にナノスケールの粒子がin situで生成する。
また本発明の他の実施態様において、ナノ化は:
a)少なくとも1つの成分を撹拌下に界面活性剤と混合して懸濁液を得て;
b)得られた懸濁液を高圧でホモジナイザーを通過させ、出てきた分散液を集め;そして
c)分散液を再循環させて、適切にサイズ化されたナノ化粒子を有するナノ分散液を得る;という行為を含む方法によって行われる。
また本発明の他の実施態様において、ナノスケールの範囲の粒子径を持つ成分は抗菌薬である。
【0020】
本発明はまた、微生物感染症の疑いがあるかまたは微生物感染症を有する患者を治療する方法であって、該方法は上記の抗菌組成物を患者に投与する行為を含む。
本発明の1つの実施態様において、微生物感染症は真菌感染症、細菌感染症およびウイルス感染症またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択され;そして抗菌薬は抗真菌薬、抗細菌薬および抗ウイルス薬またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
本発明の他の実施態様において、真菌感染症はマラセチア種、トリコフィトンルブルム、トリコフィトンメンタグロフィテス、ミクロスポルム種、エピデルモフィトン種、カンジダ・アルビカンスおよび非皮膚糸状菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される真菌類によって引き起こされ;細菌感染症はプロピオニバクテリウム・アクネ、ブドウ球菌種および大腸菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される細菌によって引き起こされ;そしてウイルス感染症は単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロ・ウイルス、ヒトアデノウイルス、肝炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルスまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択されるウイルスによって引き起こされる。
【0021】
また本発明の他の実施態様において、対象は人間を含む哺乳動物である。
また本発明の他の実施態様において、組成物の投与は経口、局所、経皮、粘膜、バッカルおよび歯ぐきまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択されるルートによる。
本発明はまた、微生物感染症の治療で使用するための、上記の抗菌組成物に関する。
本発明はまた、微生物感染症の治療用キットに関し、該キットは取扱説明書と共に抗菌薬、オイル、11以下の炭素原子を持つ脂肪酸またはそのエステルおよび賦形剤またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される成分を含んでいる。
本発明は、
(A)少なくとも1つの抗菌薬;および
(B)少なくとも1つの賦形剤
を含有する、微生物感染症の治療のための組成物を対象とし、
該組成物はC10より長い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルは含んでいない。
本発明はまた、
(A)少なくとも1つの抗菌薬;および
(B)少なくとも1つの賦形剤
を含有する、微生物感染症の治療のための組成物を対象とし、
該組成物は少なくとも1つのC11より短い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルを含み、そしてC10より長い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルは含んでいない。
【0022】
本発明の1つの実施態様において、組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットである。
本発明の他の実施態様において、ナノスケールの範囲内にある成分は抗菌薬である。
また本発明の他の実施態様において、本発明の組成物は製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法で製剤化される。
また本発明の他の実施態様において、用語の組成物および製剤は同じ意味でつかわれる。
本発明は、
(A)少なくとも1つの抗菌薬;および
(B)少なくとも1つの賦形剤
を含有する、微生物感染症の治療のための組成物を対象とし、
該組成物はC10より長い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルは含まず;そして組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットであるか、または組成物は製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法で製剤化される。
本発明はまた、
(A)少なくとも1つの抗菌薬;および
(B)少なくとも1つの賦形剤
を含有する、微生物感染症の治療のための組成物を対象とし、
該組成物は少なくとも1つのC11より短い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルを含み、そしてC10より長い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルは含まず;そして組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットであるか、または組成物は製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法で製剤化される。
【0023】
本発明はまた、本発明の組成物または製剤をそれを必要とする患者に投与することによって微生物感染症を治療する方法と共に、該組成物または製剤を得る方法を提供する。
本発明の1つの実施態様において、患者に組成物を投与するルートは、これらに限定されないが、経口、局所、経皮、粘膜、バッカルおよび歯ぐきまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される。
本発明の1つの実施態様において、抗菌剤は抗真菌薬、抗細菌薬または抗ウイルス薬、またはそれらのどれかの組合せから成る。さらに、微生物感染症は真菌感染症、細菌感染症またはウイルス感染症、またはそれらのどれかの組合せであってもよい。
本発明の他の実施態様において、真菌感染症はマラセチア種、トリコフィトンルブルム、トリコフィトンメンタグロフィテス、ミクロスポルム種、エピデルモフィトン種、カンジダ・アルビカンスおよび非皮膚糸状菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される真菌類によって引き起こされる。
また本発明の他の実施態様において、細菌感染症はプロピオニバクテリウム・アクネ、ブドウ球菌種および大腸菌またはそれらのどれかの組合せから成る群から選択される細菌によって引き起こされる。
また本発明の他の実施態様において、ウイルス感染症は単純ヘルペスウイルス、ヒトサイトメガロ・ウイルス、ヒトアデノウイルス、肝炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルスまたはそれらのどれかの組合せから成る群から選択されるウイルスによって引き起こされる。
【0024】
また本発明の他の実施態様において、本発明の組成物に使用される抗菌薬の量は、全組成物に対し重量で約0.01%〜約50%の範囲である。また本発明の他の実施態様において、抗菌薬は全組成物に対し重量で約0.01%〜約10%の範囲である。更なる実施態様において、抗菌薬は全組成物に対し重量で約0.01%〜約5%の範囲である。
【0025】
また本発明の他の実施態様において、抗真菌薬は、これらに限定されないが、ピロクトンオラミン、シクロピロクスオラミン、ケトコナゾール、トリクロサン、クリンバゾール、硝酸ミコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、エコナゾール、テルコナゾール、サペルコナゾール、アモロルフィン、オキシコナゾール、クロトリマゾール、ルリコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、二硫化セレン、サリチル酸、硫黄、タール製剤、カプリン酸および誘導体、カプリル酸および誘導体、ジンクピリチオン、ヒノキチオールおよびアルニカ抽出物、胡桃殻、チャノキ油、ローズマリーオイル、カバノキなどの天然資源からの化学化合物が挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、本発明の組成物で使用される抗真菌薬はピロクトンオラミンである。本発明の他の実施態様において、抗真菌薬はケトコナゾールである。また本発明の他の実施態様において、抗真菌薬はジンクピリチオンである。また本発明の他の実施態様において、組成物は1以上の抗真菌薬の組合せを含有する。
【0026】
また本発明の他の実施態様において、用語「抗細菌薬」は化合物に接触した細菌に殺菌かまたは静菌の効果を有する化合物として定義される。本明細書で、用語「殺菌」は細菌に破壊的な殺作用を有することを意味する。本明細書で、用語「静菌」は細菌の増殖に阻害作用を有することを意味する。
また本発明の他の実施態様において、抗細菌薬は、これらに限定されないが、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、およびテリスロマイシンなどのマクロライドまたはケトライド;カルバペネム、イミペネムおよびメロペネムなどのペニシリン、セファロスポリンおよびカルバペネムを含むβラクタム;ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セファロチン、セファピリン、セフラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セフロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフメタゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアクソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、およびアズトレオナムなどのモノラクタム;ナリジクスサン、オキソリニン酸、ノルフロキサシン、ペフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、テマフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、シタフロキサシン、ガネフロキサシン(ganefloxacin)、ゲミフロキサシンおよびパズフロキサシンなどのキノロン;p-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン(sulfathalidine)などの抗菌性スルホンアミドおよび抗菌性スルファニルアミド;ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカシンおよびイセパマイシンなどのアミノグリコシド;テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリンなどのテトラサイクリンルイ;リファンピシン(リファンピンとも呼ばれる)、リファペンチン、リファブチン、ベンゾキサジノリファマイシンおよびリファキシミンなどのリファマイシン類;リンコマイシンおよびクリンダマイシンなどのリンコサミド類;バンコマイシンおよびテイコプラニンなどのグリコペプチド類;キヌプリスチンおよびダルホプリスチンなどのストレプトグラミン類;リネゾリドなどのオキサゾリジノン類;ポリミキシン、コリスチンおよびコリマイシン;トリメトプリム、バシトラシン、およびホスホマイシン;ベシフロキサシン、クリナフロキサシン、ガレノキサシン、ゲミフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、シタフロキサシン、トロバフロキサシン、トリクロサン、アラトロフロキサシンおよびプルリフロキサシンナダノフルオロキノロン類が挙げられる。
【0027】
また本発明の他の実施態様において、抗ウイルス薬は、これらに限定されないが、アシロビル、イミキモド、ドコサノール、ペンシクロビル、ポドフィリン、ポドフィロックス、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリジェン、アルビドール、アタザナビル、Atripla、Balavir、Boceprevirertet、シドホビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、インジナビル、イノシン、インテグラーゼ阻害剤、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、メチサゾン、ネルフィナビル、ネビラピン、ネクサビル、ヌクレオシド類縁体、オセルタミビル(タミフル)、ペグインターフェロンα-2a、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロテアーゼ阻害剤(薬理学)、ラルテグラビル、逆転写酵素阻害剤、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、ピラミジン(Pyramidine)、サキナビル、スタブジン、テラプレビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロク、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビル(リレンザ)およびジドブジンが挙げられる。
【0028】
本発明によれば、賦形剤としては、これらに限定されないが、溶媒、乳化剤、界面活性剤、安定剤、オイルおよび医薬および化粧品製剤で用いられる添加剤が挙げられる。本発明の組成物で用いられる賦形剤の量は、全組成物に対し重量で約0.5%〜約99.90%の範囲である。
本発明の実施態様において、溶媒としては、これらに限定されないが、C-1−C-6低級脂肪族アルコール、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなど、低級アルキルアセテート、エーテル類、カルボン酸およびC11より短い炭素鎖長を含む誘導体(カプリル酸、カプリン酸など)またはそれらの混合物、およびウンデカノール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、などの脂肪族アルコールまたはそれらの組合せが挙げられる。
本発明の他の実施態様において、安定剤としては、これらに限定されないが、界面活性剤、乳化剤およびポリマーが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、界面活性剤としては、これらに限定されないが、ポロクサマー、PEG-2ステアリルエーテル、PEG-21ステアリルエーテル、プルロニックF127(ポロクサマー)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ココモノエタノールアミド、コカミドプロピルベタイン、ドキュセートナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、乳化剤としては、これらに限定されないが、ステアレス-2、ステアレス-21、ポロクサマー、マクロゴールセトステアリルエーテル20およびセチルアルコールが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、オイルは脂肪酸またはそのエステルを含まないか、またはオイルは11以下の炭素原子を有する脂肪酸またはそのエステルを含有する。
また本発明の他の実施態様において、オイルとしては、これらに限定されないが、パラフィンオイル、シリコンオイル、テルペン、脂肪族アルコール、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびセテアリルアルコールまたはそれらのどれかの組合せが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、C11より少ない脂肪酸および/またはそのエステルとしては、これらに限定されないが、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、これらの酸のプロピレングリコールとのモノ/ジエステル、これらの酸のグリセリンとのモノ/ジ/トリエステル、およびそれらの組合せが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、本発明の組成物で用いられるオイルの量は全組成物に対し重量で約0.5%〜約99%の範囲である。他の実施態様において、本発明の組成物で使用するオイルの量は、オイル剤として製剤化する場合は約50%〜約99%、クリーム/軟膏として製剤化する場合は約5%〜約50%の範囲、ゲル剤/血清/スプレー剤として製剤化する場合は約0.5%〜約20%の範囲である。
【0029】
また本発明の他の実施態様において、添加剤としては、これらに限定されないが、増粘剤、抗酸化剤、芳香剤(perfumes/fragrances)、エッセンシャルオイル、pH調節剤、ハーブ抽出物、保存剤、ヘアコンディショニング物質、ヘアケア補助剤、スキンケア補助剤、皮膚軟化薬、染料、保湿剤、ビタミン類、スフィンゴセリル、サンスクリーン剤、共界面活性剤、発泡剤、共乳化剤、粘度調整剤、懸濁剤、増強剤、真珠光沢剤、減熱消炎剤(cooling agents)、イオン強度調節剤およびベースオイルおよび/または皮膚栄養剤、抗しわ剤、光および塵プロテクターなどのスキンケア剤と混合できる油溶性ポリマーが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、エッセンシャルオイルとしては、これらに限定されないが、ユーカリ油、ローズマリー油、パインニードル油、チャノキ油、セージオイル、シナモンオイル、レモンオイル、ライムオイル、オレンジオイル、ハッカ油、スペアミント油、ウインターグリーン油、スウィートバーチオイル、グローブリーフオイル、ショウノウ油、カルダモン油、セダーリーフ油、スウィートバーチオイルおよび当業者に知られた他のものが挙げられる。
【0030】
また本発明の他の実施態様において、本発明の組成物は増粘剤(例えば、ベントナイト、セルロース等)、レオロジー調節剤(例えば、カーボポール、HPMC K100M、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等)、ポリマーまたは定着剤(例えば、ポリビニルピロリドンK90)、抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、フェルラ酸、ビタミンA、ビタミンE(トコフェロール)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、EDTA二ナトリウム、クロロメチルイソチアゾリノンまたはメチルイソチアゾリノン、ソルビン酸等)、芳香剤(例えば、リナロール)、真珠光沢剤、減熱消炎剤(例えば、メントール)、イオン強度調節剤(例えば、硫酸マグネシウム)、ヘアケア成分(例えば、脂肪族アルコール類、ペプチド類、タンパク類、ビタミン類およびそれらの混合物)および光保護剤または日焼け止め(例えば、p-メトキシ桂皮酸イソアミルエステル等)などの添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
また本発明の他の実施態様において、界面活性剤としては、これらに限定されないが、セテアレス、セテス、イソセテス、ラウレス、オレス、ステアレス、ラウラミドDEA、リノールアミドDEAおよび局所適用に適した他の界面活性剤が挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、粘度調整剤が用いられてもよく、そしてこれらに限定されないが、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、塩化ナトリウムおよびポリエチレングリコール600が挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、発泡剤が用いられてもよく、そしてこれらに限定されないが、ココモノエタノールアミドまたは当業者に知られた他のものが挙げられ;本発明で用いられる懸濁剤としては、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドまたは当業者に知られた他のものが挙げられ;本発明で用いられる増強剤としては、炭酸亜鉛または当業者に知られた他のものが挙げられる。
【0032】
また本発明の他の実施態様において、pH調節剤としては、これらに限定されないが、無機または有機酸(例、クエン酸、乳酸、コハク酸、酢酸、フマール酸、グリコール酸、安息香酸)、塩基類、塩類および/またはそれらの緩衝液が挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、ハーブ抽出物としては、これらに限定されないが、アムラ果実エキス、アルニカエキス、ブラーミエキスおよび当業者に公知の他のものが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、ヘアケア補助剤としては、これらに限定されないが、タウリン、カフェイン、ミノキシジル、アゼライン酸、マリン軟骨、加水分解ケラチン、ビオチン、ナイアシン、パンテノール、ビタミンB6、亜鉛、銅、ペプチド類、スギナシリカ、β-シトステロール、ピクノジェノール、PABA、緑茶エキス、葉酸、鉄、L-システイン、マグネシウム、ニンジンおよび当業者に公知の他のものなどの毛髪喪失の治療または毛髪増殖の促進に有益な成分が挙げられる。
【0033】
また本発明の他の実施態様において、コンディショニング剤としては、これらに限定されないが、シリコーン油、ステアラミドプロピルジメチルアミン、セトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-22、アモジメチコンエマルジョン、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドおよび当業者に公知の他のものが挙げられる。
また本発明の他の実施態様において、スキンケア補助剤としては、これらに限定されないが、タンパク類、ビタミン類(例、A, B, C, D, E,およびK)、微量金属(例、亜鉛、カルシウムおよびセレニウム)、保湿剤(例、皮膚軟化剤、湿潤剤、膜形成剤、閉塞剤、および皮膚の自然の保湿メカニズムに影響を与える薬剤)、UV吸収剤(p-アミノ安息香酸(PABA)、二酸化チタン、酸化亜鉛等の物理的および化学的吸収剤)、抗刺激剤(例、ステロイド類および非ステロイド性抗炎症剤)、植物抽出物(例、アロエベラ、カモミール、キュウリ抽出物、イチョウ、チョウセンニンジン、およびローズマリー)、吸収剤(例、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、カオリン、コーンスターチ、オートスターチ、シクロデキストリン、タルク、およびゼオライト)、皮膚漂白剤および美白剤(例、ヒドロキノンおよびナイアシンアミドラクテート)、湿潤剤(例、グリセリン、ソルビトール、ウレア、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール600およびマニトール)、剥離剤(exfoliants)、スキンコンディショニング剤(例、アロエ抽出物、アラントイン、ビサボロール、セラミド、ジメチコン、ヒアルロン酸、およびグリチルリチン酸二カリウム)および当業者に公知の他の天然の成分(例、オートミール)などの種々の皮膚状態(乾燥肌、脂性肌、小じわ、着色等)の治療に有益なものが挙げられる。
【0034】
また本発明の他の実施態様において、組成物または製剤は活性薬剤をさらに加えてもよい。そのような活性薬剤としては、これらに限定されないが、医薬活性薬、OTC(over the counter)活性薬、抗炎症薬および皮膚透過エンハンサーが挙げられる。さらに、皮膚透過エンハンサーとしては、これらに限定されないが、TPGS(トコフェリルポリエチレングリコールサクシネート)、PEG(ポリエチレングリコール)またはそのエステルが挙げられる。本発明におけるそのような活性薬剤は賦形剤に分類する。
【0035】
本発明はさらに、本発明の抗菌組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む微生物感染症の治療方法を提供し、そして該組成物は少なくとも1つの抗菌剤および少なくとも1つの賦形剤を含むが、該組成物はC11以上の脂肪酸およびそのエステルは含まない。
本発明の実施態様において、組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットである。
本発明はさらに、本発明の抗菌組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む微生物感染症の治療方法を提供し、そして該組成物は少なくとも1つの抗菌剤および少なくとも1つの賦形剤を含み、該組成物は少なくとも1つのC11より短い炭素鎖を有する脂肪酸/エステルを含み、そしてC11以上の脂肪酸およびそのエステルは含まない。本発明の実施態様において、組成物は少なくとも1つの成分の粒子径がナノスケールの範囲内にあるナノコンポジットである。
【0036】
本発明はまた、製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲内にある方法で該組成物を製剤化することに関する。そのような製剤は本発明の中でナノ製剤とも呼ぶ。
本発明の実施態様において、用語「治療」は人間などの哺乳動物におけるどのような局所の微生物処理もカバーする。
本発明の他の実施態様において、本発明の局所用組成物またはその製剤は、これらに限られないが、Malassezia, tineapedis, tineacapitis, tineacruris, tineaglabrosa, tineacorporis, onychomycosis, pityriasiscapitis, pityriasisvesicolor, pityrosporum folliculitis, seborrheicdermatitisに関連するものなどの疾患の治療に用いられる。さらに、本発明の組成物または製剤はTrychophytonrubrumまたはTrychophytonmentagrophytesまたはMicrosporum species、またはEpidermophyton species、またはCandida albicans等のような他の真菌類および他の非皮膚糸状菌のカビに関連する疾患の治療にも用いられる。さらにまた、本発明の組成物または製剤は皮膚真菌感染症の局所治療で動物にも使用できる。
また本発明の他の実施態様において、本明細書に記載した組成物はヘアケア組成物やスキンケア組成物などの個人的なケア組成物で使用できる。例えば、これらの個人的なケア組成物はフケを治療または予防するために使用するこができる。ここで記載した組成物はまた、例えば、ざ創を治療または予防するためにスキンケア組成物で使用することもできる。いくつかの実施態様において、ここで記載した組成物は真菌または細菌感染症を治療するために使用するこができる。例えば、ここで記載した組成物は膣カンジダ症、白癬(体部、頭皮、あごひげ、いんきんたむし、および足部の白癬感染症)、爪感染、耳感染などの治療に使用するこができる。
【0037】
本発明の他の実施態様において、ざ瘡を治療するためにレチノイドを抗菌薬と共に使用することができる。
本発明のいくつかの実施態様において、ざ瘡を治癒するためにレチノイドを抗細菌薬と併用して使用する。
また本発明の他の実施態様において、レチノイドはアダパレン、イソトレチノイン、モトレチニド、タザロテンおよびトレチノインから成る群から選択される。
本発明の好ましい実施態様において、使用するレチノイドはアダパレンであり、そして本発明のベシフロキサシンと併用して使用する。
【0038】
また本発明の他の実施態様において、製剤は毛髪、皮膚、頭皮および爪への抗菌薬のより良い保持と浸透をもたらす。従って、本発明は皮膚、頭皮、毛髪または爪の微生物感染を治療する製剤と方法を提供する。
本発明は、該組成物または製剤の製造で使用する少なくとも1つの成分をナノ化するか;または該組成物または製剤の製造中にナノスケールの粒子/小球をin situで生成する行為;または該組成物または製剤を製造する何か他の行為を含む、本発明の該組成物または製剤を得る方法に関する。
【0039】
また本発明の他の実施態様において、得られたナノ粒子の分散体は、これらに限られないが、カーボポール、グアーガム、キサンタンガム、カシアガムまたはその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ乳酸-コグリコール酸(PLGA)およびポリエチレングリコール(PEG)などのポリマーを添加し、次いで任意に、これらに限られないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミンおよびアミノエチルプロパノールなどの適当な塩基で中和するっことによって安定化する。
【0040】
本発明はまた、例えばオイル剤、クリーム、ローション、血清、ゲル剤、軟膏、泡沫剤、スプレー剤、ペースト剤、うがい薬、殺菌剤、溶液剤または噴霧剤などの種々の形態の製剤に関する。
本発明の実施態様において、本発明の抗菌組成物は、ゲルがエマルジョンゲルである、ゲルのナノ製剤に製剤化できる。本発明の他の実施態様において、抗菌組成物は、クリームがヘアクリームである、クリームのナノ製剤に製剤化できる。また本発明の他の実施態様において、抗菌組成物は、ゲルがヘアゲルである、ゲルのナノ製剤に製剤化できる。また本発明の他の実施態様において、抗菌組成物はシャンプーのナノ製剤に製剤化できる。また本発明の他の実施態様において、抗菌組成物はコンディショナーのナノ製剤に製剤化できる。
【0041】
さらに、本発明はまた製剤の粒子径または小球径がナノスケールの範囲にある方法で該組成物を製剤化することにも関する。そのような製剤は本発明の中でナノ製剤とも呼ぶ。
本発明の実施態様において、製剤化される組成物の粒子径または小球径はナノスケールの範囲にあり、これにより約1nm〜約10,000nmの範囲にあるサイズ分布または粒子径または小球径を持つ本発明のナノ製剤を提供する。他の実施態様において、範囲は約10nm〜約1000nmである。
【0042】
また、本発明において、ナノ粒子またはナノ小球の形態の活性物/薬剤(抗菌、抗細菌または抗真菌または抗ウイルス剤等)は、皮膚の角質層(SC)との高い相互作用を示し、それらのナノでない形態に比べて、SCを通っての高い薬物の透過を容易にしている。この事実は全体として、薬物の表皮での蓄積を高めて、表皮における活性薬物の蓄積をもたらし、これが短期間での高い真菌/細菌/ウイルスの死滅に繋がって、治療効果の改良に導く。100−900nmの間の粒子または小球径は、皮膚表皮における非常に良い保持に最適であると考えられる。
本発明はフケまたは何か皮膚に関する感染症を治療または予防する方法に関する。
より完全な理解が以下の具体的な実施例を参照して得られるが、これらは説明のためのものであって、本発明の範囲を限定するためのものではない。実施例は本発明の詳細な説明の一部を形成する。
【0043】
【実施例】
【0044】
【実施例1】
【0045】
ケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤(組成物A)の調製
本開示において、組成物Aはエマルションゲルのナノクリーム状態である。
ケトコナゾールのエマルションゲルを調製するため、その組成を以下の表1に示す。
【表1】
【0046】
ケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤の調製法
(1)フェースA:ケトコナゾール20 mgをラウリル アルコール33 mg、Sefsol 218 33 mg、ステアレス2 33 mg及びステアレス21 33 mgを含む混合物に溶解させる。この混合物にポロキサマー65 mg を加え、温度を70〜80℃に保つ。
(2)フェースB:水相はグリセリン30 mgを含有し、温度は約70〜約80℃に保つ。
(3)約700 rpmで撹拌しながらフェースAをフェースBでホモジナイズした後、約35〜約40℃に冷却させ、フェースCを得る。
(4)約500 rpmで撹拌しながら上記(3)に芳香剤及び防腐剤を加え、フェースDを得る。
(5)フェースDに18%水酸化ナトリウムを加え、pHは約5.5〜約6.0の範囲に保つ。
(6)水で希釈し、異なる倍率の場合にけるpH、粘度及び小球径を測定する。
In-situでのナノ化はフェースBによるフェースAのホモジナイズの際に起きる。
【0047】
小球径の測定
小球径はダイナミック光散乱(DLS)技術を用いたMalvern Zetasizerにより測定し、更に透過型電子顕微鏡(TEM)試験及び走査型電子顕微鏡(SEM)試験により確認する。
異なる技術を用いて、ケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤(組成物A)のサイズ分布は約100 nm〜500 nm範囲内であることが分かった。これによりゲル製剤における油滴のナノ分布は確認された。この結果を下記の表2にまとめる。ここで本開示のナノ製剤(組成物A)を市販のケトコナゾールの非ナノ製剤(Nizoral)とも比較する。Zetasizer、TEM写真及びSEM写真をそれぞれ図1A、1B及び1Cに示す。
【表2】
【実施例2】
【0048】
ex-vivoブタ皮膚モデルを用いたケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤(組成物A)の保持試験及び市販ケトコナゾール(Nizoral)(非ナノ) 製剤との比較
本実施例は、市販の2%ケトコナゾールクリームと実施例1で述べた本の発明の2%ケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤(組成物A)のin-vitro皮膚への浸透率及び分布について比較する。実験ではフランツ細胞組立にマウントされる新鮮なブタ皮膚が用いられる。レセプターチャンバーにリン酸塩緩衝液(PBS, pH7.4)で処理した食塩水を満たす。皮膚の表面は組立の上にマウントする。約32±1℃で皮膚を1時間平衡化させた後、製剤を0.815 mg/cm2の投与量で皮膚の表面に投与し、フランツ細胞のキャップをその上に適切に締める。各製剤につき3つの繰り返し実験を行う。
3時間及び6時間後に拡散細胞を取り外し、約50 mLのPBS緩衝液(pHは約7.4)で洗浄し、その後綿棒で4回拭き、皮膚表面のクリームを取り除く。約10 mLのメタノールで約5分間ホモジナイズした後、約10分間超音波処理し皮膚表面約4.9 cm2に付着した薬物を抽出する。最後に試料を遠心分離し、上澄みを濾過した後、試料の一定分量をHPLCにより分析し、各皮膚表面のケトコナゾール含量を得る。皮膚セクションの長さをフルスケールで表示されたケトコナゾール量を測定する(表3を参照)。
市販クリーム(非ナノ)及び本開示の製剤(組成物A)のブタ皮膚(in-vitro)へのケトコナゾールの付着試験の結果(滞留時間は3時間及び6時間)を表3にまとめ、図2に示す。
【表3】
【0049】
この結果から、ケトコナゾールのエマルションゲルのナノ製剤(組成物A)は類似の実験条件下で市販の非ナノ製剤と比べ皮膚への浸透性が高いことが分かった。従って、このより高い保持性が真菌感染症に対するより良い治療効果を導く。これについては下記の実施例3に示す。
【実施例3】
【0050】
ケトコナゾールのエマルションゲルナノ製剤(組成物A)及び市販のケトコナゾール製剤(非ナノ)クリームのin-vitro生体効果に関する比較試験
皮膚のIn-vitro保持試験では、薬物は皮膚表面に約1時間平衡化させ、その後約5 mlのCH3CN/緩衝液(8:2)で約5分間ホモジナイズした後、約10分間超音波処理することにより抽出する。最後に試料を遠心分離し、上澄みを濾過し、ZOI(抑制域)アッセイに供する。
このアッセイでは、各試料約100 mlをM. furfur株でストリキングされたSDA (サブローデキストロース寒天)プレートの直径約6 mmのウェルにロードする。その結果は図3に示す。
図3から、組成物Aの製剤が市販のクリームと比べ付着薬物のZOIが高いことは明らかになった。これはナノ製剤の生物活性は非ナノ製剤より高いことを更に証明し、本開示のケトコナゾールのエマルションゲル(組成物A)の真菌に対する強い殺菌効果に導いた。
また、図3と合わせて、表4はフランツアッセイにより非ナノクリーム及び本開示のエマルションゲル製剤の3時間及び6時間接触後の皮膚への付着薬物の平均ZOI値及びそれらの抗真菌作用を示す。
【表4】
【実施例4】
【0051】
ピロクトンオラミンヘアクリームナノ製剤(組成物B)の調製
ナノ範囲の小球径を有するピロクトンオラミンヘアクリームナノ製剤(組成物B)の組成を下記の表5に示す。
【表5】
【0052】
ナノ範囲の小球径を有するピロクトンオラミンヘアクリーム製剤の調製法
(1)フェースAの全ての組成物を入れ、約70〜約75℃に加熱し融解させる。ピロクトンオラミンを加え、油相に溶解させる。
(2)フェースBの全ての組成物を混ぜ、ポロキサマー 407が溶解するまでに撹拌する。次に撹拌(300-350 RPM)しながらフェースBも約70〜約75℃で加熱する。
(3)約70℃で撹拌(550 RPM)しながらフェースAをフェースBに加える。
(4)室温下で撹拌(700-800 RPM)しながらフェースCの組成物を先に形成されたエマルションに加える。
(5)最後に、カーボポール(フェースD)を加え、トリエタノールアミンで中和し、エマルションが均一かつ均質になるまでに撹拌(850 RPM)を継続する。
クリーム小球径の測定
エマルションの小球径の平均値はダイナミック光散乱(DLS)(ZS90型Zetasizer, Malvern Instruments社製, UK)により測定する。それぞれ図4A及び4Bで示されたように、組成物B1の小球径は約127 nm;組成物B2の小球径は約490 nmと観測される。
【実施例5】
【0053】
ピロクトンオラミンヘアゲルナノ製剤(組成物C)の調製
ナノ範囲の小球径を有するピロクトンオラミンヘアゲルナノ製剤の組成を下記の表6に示す。
【表6】
【0054】
ナノ範囲の小球径を有するピロクトンオラミンヘアゲル製剤の調製法
(1)フェースAの全ての組成物を入れ、ピロクトンオラミンがフェースA(界面活性剤フェース)に溶解するまでに約600〜700 RPMで高速撹拌する。
(2)フェースBの全ての組成物を混ぜ、フェースAに加え、均一かつ均質になるまでに約200〜300 RPMで撹拌する。
(3)撹拌を継続しながらフェースCを上記の均質な混合物に加え、トリエタノールアミンでpHは約5.5〜約6.0になる中和する。
(4)最後に、ポリビニルピロリドン K90を加え、均質に混ざるまでにゆっくり撹拌する。
【0055】
ゲル小球径の測定
ゲル小球径の平均値はダイナミック光散乱(DLS)(ZS90型Zetasizer, Malvern Instruments社製, UK)により測定する。それぞれ図5A及び5Bに示されるように、組成物C1の小球径は約67.63 nm;組成物C2の小球径は約75.23 nmと観測される。
【実施例6】
【0056】
亜鉛ピリチオンナノ粒子(分散剤1及び2)の調製
粒子のナノ化
撹拌しながら必要量の亜鉛ピリチオン(ZPT;粒子の平均サイズは約5000 nmである。)粉末を数回に分けて1%ドキュセートナトリウム水溶液に入れる。得られた懸濁液を約1200 〜約1500 barの高圧ホモジナイザーに通す。通過した分散液を氷浴中で置かれたビーカーに集め、約6〜10回にリサイクルし、適切な粒子サイズ(300 nm to 700 nm)を有する分散剤を生成する。
Zetasizer(ZS-90、Malvern Instruments社製)、走査型電子顕微鏡(SEM, 日立 S-3400 N型、日本)及び高解像度の透過型電子顕微鏡(HR-TEM, Tecnai G2 F20 顕微鏡; FEI, Eindhoven、オランダ)を用いてサイズ分布及び形態を測定した。その結果を図6及び7に示す。
【0057】
分散剤の安定化
得られた分散剤にカーボポールを添加した後、水酸化ナトリウムで中和し、pHを約6.5〜約7.0に調整することにより、分散剤を安定化させる。
【実施例7】
【0058】
亜鉛ピリチオンヘアコンディショナーのナノ製剤(組成物D)の調製
一つ又は複数のナノ-API(実施例6の亜鉛ピリチオン)及び炭素鎖の長さが11以下の油成分(脂肪酸エステル)を含むコンディショナーを設計し、製剤化する。それらの組成を表7示す。
【表7】
【0059】
調製法:
(1)フェースA:混合容器に必要量の水を入れ、オーバーヘッド撹拌器を用いてゆっくり撹拌(50〜55 rpm)する。カーボポールを水に加えた後、約30%のナトリウムラウリルエーテル硫酸塩(SLES)水溶液をゆっくり添加する。次に水酸化ナトリウム溶液を加え、混合物を中和する。
(2)フェースB:フェースBの組成物を混ぜ、加熱し、融解させる。融解した混合物に乳酸を加え、中和する。約60℃で撹拌しながらフェースBをフェースAに加える。均一になるまで撹拌した後に、混合物を35〜40℃に冷却させる。
(3)フェースC:上記の混合物を撹拌しながらコカミドプロピルベタイン、セトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-22、アモジメチコンエマルション、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、プロピレングリコール及びグリセリンを表7の記載順にゆっくり加え、均一な混合物になるまでに撹拌(50〜100 rpm)する。撹拌しながら亜鉛ピリチオン微粒子の懸濁液(ZPT FPS)又はZPTナノ粒子(ZPT NPs)分散剤を混合物に加え、その後炭酸亜鉛及び二酸化チタンを加える。次にこの混合物を室温まで冷却させる。最後に、リナロール、芳香剤及び防腐剤を加え、滑らかかつ均一なコンディショナーのクリームになるよう混合物を約150〜160 rpmで撹拌する。
【実施例8】
【0060】
ナノ亜鉛ピリチオンを基質としたシャンプー製剤(組成物E)の調製
一つ又は複数のナノ-API(実施例6の亜鉛ピリチオン)及び炭素鎖の長さが11以下の油成分(脂肪酸エステル)を含むシャンプー製剤を設計し、製剤化する。それらの組成を表8に示す。
【表8】
【0061】
調製法:
(1)フェースA:混合容器に必要量の水を入れ、オーバーヘッド撹拌器を用いてゆっくり撹拌(50〜55 rpm)する。カーボポールを水に加えた後、約30%のラウリル硫酸アモニウム(ALS)水溶液及びナトリウムラウリルエーテル硫酸塩(SLES)をゆっくり添加する。この混合物を水酸化ナトリウム溶液で中和する。
(2)フェースB:CMEA(コカミドモノエタノールアミド)、メタノール及びプロピレングリコールモノカプリレートの混合物を加熱し、融解させる。60℃で撹拌中のフェースAに得られた融解物を速やかに注ぎ入れる。同温で5分間撹拌した後に約35〜約40℃に冷却させる。
(3)フェースC:上記撹拌中の混合物にZPT NPs (又はコントロールとしてZPT粉末)の分散液を加える。次に、撹拌しながら硫酸マグネシウムを加え、アモジメチコンエマルション及びプロピレングリコールを加える。そして、表8の記載順で炭酸亜鉛、コカミドプロピルベタイン(30%水溶液)、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及び防腐剤を加える。150〜160 rpmで撹拌を続け、この混合物を室温まで冷却させた後、芳香剤を加える。最後にクエン酸でpHを調整し、塩化ナトリウムで粘度を調整し、混合物を最高速度約150〜160 rpmで撹拌し続け、滑らかなつやのあるシャンプーを得る。
【0062】
ナノZPT分散剤対市販のZPT粉末の用量反応曲線(抑制域を用いた)
寒天ウェル拡散法を用いて抑制域(ZOI)アッセイを行った。化合物の拡散係数の違いによりZOI値は変動する可能性がある。試験においてZOIをAPI及び/又は製剤の微生物の成長に対する阻害作用の潜在性の評価に用いる。APIの濃度が異なった時に測定したZOI値は各種APIと製剤の作用比較を行うための用量反応曲線(DRCs)を導くことができる。
【0063】
方法:サブローデキストロース寒天(SDA)プレートの植菌に1〜7 x 106 cfu/ml Malassezia furfur培地(0.25 mg/mlクロラムフェニコール、0.04 mg/mlシクロヘキシミド及び2%オリーブ油が補われた)を用いた。滅菌ストローで寒天プレートに約6 mmのウェルを作った。ウェルに4〜64 μg/ml濃度範囲のZPTナノ粒子、ミクロ粒子(市販品)及び/又はコントロール(各100 μl)を入れた。5% CO2雰囲気下、30±2°Cでプレートを培養した。42時間及び72時間後に測定値を読み取った。図8に抑制域法を用いて測定した粒子サイズ(ZPT粒子)の抗真菌活性の一例を示す。
図8に示されたグラフから、ZPTナノ粒子は市販品のミクロ粒子のZPT粉末と比べて高い成長阻害効果を有することが根拠付けられた。従って、これは本開示のナノ-ZPT粒子の強い効果を示した。
【実施例9】
【0064】
抗ウイルスアシクロビルクリームナノ製剤(組成物F)の調製
小球径がナノ範囲の抗ウィルスクリームを実施例4と類似した方法で調製する。その組成を下記の表9に示す。
【表9】
【0065】
ナノ範囲の小球径を有する抗ウイルスアシクロビルクリーム製剤の調製法
(1)フェースAの全ての組成物を入れ、約70〜約75℃に加熱し、融解させる。アシクロビルを加え、油相に溶解させる。
(2)フェースBの全ての組成物を混ぜ、ポロキサマー 407が溶解するまでに撹拌した後、300〜350 RPMで撹拌しながらフェースBも約70〜約75℃に加熱する。
(3)約70℃で撹拌(550 RPM)を継続し、フェースAをフェースBに入れる。
(4)室温下で撹拌(700〜800 RPM)を継続しながらフェースCの組成物を先に生成したエマルションに加える。
(5)最後にカーボポール(フェースD)を加え、トリエタノールアミンで中和し、製剤が均一かつ均質になるまでに撹拌(850 RPM)を継続する。
【0066】
クリーム小球径の測定
エマルションの小球径の平均値はダイナミック光散乱(DLS)(ZS90型Zetasizer、Malvern Instruments社製、UK)により測定する。
【実施例10】
【0067】
抗ウイルスペンシクロビルのエマルションゲルナノ製剤(組成物G)の調製
抗ウイルスペンシクロビルのエマルションゲルは実施例1の方法で調製する。
ペンシクロビルのエマルションゲルの組成は以下の表10に示す。
【表10】
【0068】
ペンシクロビルのエマルションゲルナノ製剤の調製法
(1)フェースA:ペンシクロビル(10 mg)をラウリルアルコール(43 mg)、Sefsol 218 (33 mg)、ステアレス-2 (33 mg)及びステアレス-21 (33 mg)を含む混合物に溶解させる。この混合物にポロキサマー(65 mg)を加え、温度は約70〜80°Cに保つ。
(2)フェースB:水相は30 mgのグリセリンを含み、温度は約70〜約80°Cに保つ。
(3)撹拌(約700 rpm)しながらフェースBでフェースAをホモジナイズし、約35〜約40℃に冷却させ、フェースCを得る。
(4)約500 rpmで撹拌しながら芳香剤及び防腐剤をフェースCに加え、フェースDを得る。
(5)18%水酸化ナトリウムをフェースDに加え、pHを約5.0〜約6.0に調整する。
(6)異なる水による希釈において、pH、粘度及び小球径を測定する。
【0069】
小球径の測定
小球径はダイナミック光散乱(DLS)を用いたMalvern Zetasizerにより測定し、更に透過型電子顕微鏡(TEM)試験及び走査型電子顕微鏡(SEM)試験により確認する。
【実施例11】
【0070】
トリクロサンナノ粒子(分散剤X1及びX2)の調製
粒子のナノ化
撹拌しながら必要量のトリクロサン(TCN;粒子の平均サイズは約6000 nmである。)の粉末を数回分けて1%ドキュセートナトリウム水溶液に入れる。得られた懸濁液を約1300 〜約1600 barの高圧ホモジナイザーに通す。通過した分散剤を氷浴中で置かれたビーカーに集め、約6〜10回リサイクロし、適切な粒子サイズ(200〜700 nm)を有する分散剤を生成する。Zetasizer(ZS-90、Malvern Instruments社製)及び走査型電子顕微鏡(SEM, 日立 S-3400 N型、日本)を用いてサイズ分布を測定する。
【0071】
分散剤の安定化
得られた分散剤にカーボポールを添加した後、水酸化ナトリウムで中和し、pHを約6.0〜約6.5に調整することにより分散剤を安定させる。
【実施例12】
【0072】
トリクロサン一般抗菌(抗菌+抗真菌)用クリームナノ製剤(組成物G)の調製
一つ又は複数のナノ-APIトリクロサン(実施例10)及び油成分を含有するクリームを設計し、製剤化する。その組成を表11に示す。
【表11】
【0073】
調製法:
(1)フェースA:混合容器に必要量の水を入れ、オーバーヘッド撹拌器でゆっくり撹拌(50〜55 rpm)する。水にカーボポールを加え、20〜25分間撹拌し、カーボポールを膨張させる。次に水酸化ナトリウム溶液で中和する。撹拌しながらこの混合物をゆっくり加熱し、約65〜70℃まで昇温させる。
(2)フェースB:フェースBの組成物を混ぜ、加熱して融解させる。約65〜70℃で撹拌しながらフェースBをフェースAに加える。均一に混ざった後に、約200 rpmで撹拌を継続しながら混合物を35〜40℃まで冷却させる。
(3)フェースC:上記撹拌中の混合物にフェースCの芳香剤を除く組成物を一つずつ連続に加える。得られた混合物を約300〜400 rpmで撹拌し、確実に均一させる。次に混合物を室温下で放置する。最後に芳香剤を混合物に加え、滑らかな均一なクリーム製剤になるまでに混合物を撹拌(約300〜400 rpm)する。
【実施例13】
【0074】
プロピレングリコールモノカプリル酸塩の添加(C<11脂肪酸エステル)による亜鉛ピリチオンの抗Malassezia furfur効果
純亜鉛ピリチオン(Kopithione、クマー有機製品社製)対それと異なる濃度のプロピレングリコールモノカプリル酸塩(Capmul 908-P, Croda社製)を組み合わせたものについて、亜鉛ピリチオンのIn-vitro時間-死滅動態による活性比較に関する実証実験を行った。(図9A及び9B)
時間-死滅アッセイは抗菌剤の効果を評価する際に単独に又は他の方法と合わせて用いられた。その結果は投与量や間隔を確立ための一助となる。また、このアッセイは抗菌作用の濃度依存性や時間依存性の検討にも用いられた。
【0075】
方法: M. furufur細胞を7x107 cells/mlの接種濃度でサブローデキストロースブロス(SDB)に懸濁させた。細胞は3〜7日間培養した新鮮なプレートから採取され、細胞懸濁液をボルテクスし、細胞の塊を可能な限り除去した。無菌培地にクロラムフェニコール(0.25 mg/ml)、 シクロヘキシミド(0.04 mg/ml)及びオリーブ油(2%)が補われた。次に適切な濃度(SDBで2桁希釈したシリーズ)の純粋な亜鉛ピリチオンAPI(10 μg/ml及び50 μg/ml)及び各濃度のCapmul 908-P (0%, 1%, 3%, 5% 及び9%)を培地に添加し、34°CでCO2 インキュベーターの中チューブローテーターの上で培養した。
各時点でのコロニー形成率(CFU)を計測するには、マラセチア培養液50 μl分量ずつをSDBT培地(SDBを含有する0.1% Triton X-100)で希釈し、SDAプレート上にプレートした。34°CでCO2インキュベーターの中でこのプレートを3日間培養した。目に見えるコロニーを計数し、CFU/mlに換算した。各濃度のCapmul 908-Pを含有する亜鉛ピリチオン粉末を用いた時間-死滅アッセイの結果は表12及び13に示し、また図9A及び9Bにプロットした。
アッセイの結果から、亜鉛ピリチオンのM. furfurに対する抗菌作用はプロピレングリコールモノカプリレートCapmul 908-P)濃度の増加によって増すことが示唆された。
【表12】
【表13】
【実施例14】
【0076】
C<11のナノ組成物とC>10の非ナノ組成物の効果比較
本開示の有効性を検証するため次の比較試験を行った。その中でex-vivoブタ皮膚モデルを抗真菌作用を示すために用いた。切り取ったばかりのブタ耳の皮膚を取り、その4 cmエリアに一定時間で製剤を10 mgずつ投与した。投与した各製剤は以下の通りである。
a)C>10の脂肪酸 / エステルを有する非ナノ製剤
b)C<11の脂肪酸 / エステルを有するナノ製剤又は本開示のエマルションゲル製剤
c)C<11の脂肪酸 / エステルを有しないナノ製剤
図10のグラフに示されるように、試験結果はC<11試薬(Sefsol)を含有する本開示のエマルションゲル製剤による高い抗真菌作用を示し、C>10の脂肪酸 / エステルの非ナノ製剤と比べてC>10脂肪酸 / エステルが全くない。このex-vivo真菌アッセイはC>10脂肪酸 / エステルを含めないC<11試薬をナノ製剤へ添加する重要性を更に検証した。
二つの特徴、即ちC11試薬の存在及びC>10脂肪酸 / エステルの不含有は、当該抗真菌の2%ケトコナゾール製剤の制作においてかなり有意な役割を果たしている。
【実施例15】
【0077】
ニキビ治療用のベシフロキサシンを含有するleave-on エマルションゲルナノの組成物
フルオロキノロン系は広域スペクトル抗生物質(グラム菌陰性とグラム菌陽性ともに有効)であり、重篤な細菌感染症の治療に重要な役割を果たす。顔面及び胴体ニキビに有効なエマルションゲルシステムの組成を以下に示す。
【表14】
【0078】
調製法:
(1)ガラスビーカーの中でフェースAの組成物を一緒に混ぜ、60〜70℃に加熱する。
(2)ガラスビーカーの中でフェースBの組成物を一緒に混ぜ、60〜70℃に加熱する。
(3)500 rpmで撹拌を継続しながらフェースAをフェースBの中へゆっくり加える。
(4)500 rpmで撹拌を継続しながら得られたエマルションを40℃に冷却させる。
(5)700 rpmで撹拌を継続しながらフェースCをエマルションに加える。
(6)フェースDの組成物を一緒に混ぜ、700 rpmで撹拌を継続しながらエマルションに加える。
(7)最後に、フェースEで製剤のpHを調整する。
【実施例16】
【0079】
ニキビ治療用のベシフロキサシンと組み合わせたleave-onエマルションゲルの組成物
ベシフロキサシン及びアダパレンを含有する顔面及び胴体ニキビ用のleave-onエマルションゲルシステムの組成を下記に示す。
【表15】
【0080】
調製法:
(1) ガラスビーカーの中でフェースAの組成物を一緒に混ぜ、60〜70℃に加熱する。
(2) ガラスビーカーの中でフェースBの組成物を一緒に混ぜ、60〜70℃に加熱する。
(3) 500 rpmで撹拌を継続しながらフェースAをフェースBの中に加える。
(4) 500 rpmで撹拌を継続しながら得られたエマルションを40℃に冷却させる。
(5) フェースCの組成物を一緒に混ぜ、700 rpmで撹拌を継続しながらエマルションに加える。
(6)最後に、フェースDで製剤のpHを調整する。
【実施例17】
【0081】
ケトコナゾールとピロクトンオラミンの組み合わせケトコナゾールとピロクトンオラミンを組み合わせた組成物を下記の表に示す。
【表16】
【0082】
調製法:
(1)フェースA:ケトコナゾール20 mg及びピロクトンオラミン1.0 mgをラウリルアルコール(33 mg)、カプロイル 90 (33 mg)、ステアレス2 (33 mg)及びステアレス21 (33 mg)を含む混合物に溶解させる。ポロクサマー(70 mg)を混合物に加え、温度を約70〜80℃に保つ。
(2)フェースB:水相は30 mgのプロピレングリコールを含有する。温度は約70〜約80℃に保つ。
(3)約700 rpmで撹拌しながらフェースAをフェースBでホモジナイズし、約35〜40℃に冷却させ、フェースCを得る。
(4)約500 rpmで撹拌しながら抗酸化剤及び防腐剤をフェースCに加え、フェースDを得る。
(5) フェースDにクエン酸を加え、pHは約5.0〜6.0に保つ。
【実施例18】
【0083】
ケトコナゾール(KTZ)とサリチル酸との組み合わせ
ケトコナゾールとサリチル酸を組み合わせた組成物を以下の表に示す。
【表17】
【0084】
調製法:
(1)フェースA:ケトコナゾール20 mg及びサリチル酸5.0 mgをラウリルアルコール(33 mg)、カプロイル 90 (33 mg)、ステアレス2 (33 mg)及びステアレス21 (33 mg) を含む混合物に溶解させる。ポロクサマー(70 mg)を混合物に加え、温度は約70〜80℃に保つ。
(2)フェースB:水相は30 mgのプロピレングリコールを含有する。温度は約70〜80℃に保つ。
(3)約700 rpmで撹拌しながらフェースAをフェースBでホモジナイズし、約35〜40℃に冷却させ、フェースCを得る。
(4)約500 rpmで撹拌しながら(3)に抗酸化剤及び防腐剤を加え、フェースDを得る。
(5)フェースDに水酸化ナトリウムを加え、pHは約5.0〜6.0に保つ。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】