(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-518017(P2016-518017A)
(43)【公表日】2016年6月20日
(54)【発明の名称】燃料電池のための冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04701 20160101AFI20160523BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20160523BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20160523BHJP
H01M 8/2484 20160101ALI20160523BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20160523BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20160523BHJP
【FI】
H01M8/04 T
H01M8/02 C
H01M8/04 J
H01M8/24 M
H01M8/06 K
H01M8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-513436(P2016-513436)
(86)(22)【出願日】2014年5月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月13日
(86)【国際出願番号】GB2014051474
(87)【国際公開番号】WO2014184549
(87)【国際公開日】20141120
(31)【優先権主張番号】1308710.1
(32)【優先日】2013年5月15日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フード,ピーター・デイビッド
【テーマコード(参考)】
5H026
5H127
【Fターム(参考)】
5H026AA06
5H127AA06
5H127AC07
5H127BA12
5H127BA19
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5H127BA57
5H127BA67
5H127BB02
5H127BB03
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB47
5H127CC03
5H127CC07
5H127EE18
(57)【要約】
燃料電池組立体は、アノード流体流れ板とカソード流体流れ板との間に置かれる膜電極組立体を備える燃料電池を有する。カソード流れ板は、膜電極組立体へ酸化剤を運搬するための流れチャネルを画定する。流れチャネルは入口と出口とを有する。プラズマ放電ファンは、空気流を前述の入口内に生成するように構成される。プラズマ放電ファンは、オゾン流を入口内に生成するように構成されてもよく、それにより、膜電極組立体のカソード側における電気化学反応を強化する。複数の燃料電池が積層体配置で構成されてもよく、それにより、積層体内の複数の燃料電池のための入口は、燃料電池積層体の空気入口面を形成する。プラズマ放電ファンは積層体空気入口面の上に置かれる板構造体を備えてもよく、これは、実質的にその全領域にわたり、概して均一な空気流を積層体空気入口面に送達するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池組立体であって、
アノード流体流れ板とカソード流体流れ板との間に置かれた膜電極組立体を有する燃料電池であって、前記カソード流れ板は酸化剤を前記膜電極組立体に運搬するための流れチャネルを画定し、前記流れチャネルは入口及び出口を有する、燃料電池と、
空気流を前記入口内に生成するように構成されるプラズマ放電ファンと、を備える、前記燃料電池組立体。
【請求項2】
前記プラズマ放電ファンは、空気流及びオゾン流の両方を前記入口内に生成するように構成される、請求項1に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項3】
積層体配置で構成された複数の前記燃料電池を備え、前記積層体内の前記複数の燃料電池のための前記入口が、前記燃料電池積層体の空気入口面を形成し、
前記プラズマ放電ファンは前記積層体空気入口面の上に置かれる板構造体を備える、請求項1に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項4】
前記プラズマ放電ファンの前記板構造体は、実質的にその全領域にわたって前記積層体空気入口面へ概して均一な空気流を送達するように構成されている、請求項3に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項5】
前記プラズマ放電ファンの前記板構造体は、前記板構造体の第1の面に近い導電性部材の第1の格子と前記板構造体の第2の面に近い導電性部材の第2の格子とを備える、請求項3に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項6】
前記プラズマ放電ファンの前記板構造体は、前記導電性部材の第1の格子と前記導電性部材の第2の格子との間に置かれた空気流案内部の網状体をさらに備える、請求項5に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項7】
前記プラズマ放電ファンの前記板構造体は、前記燃料電池積層体の前記空気入口面と封印係合にある前縁を有するフレームを備える、請求項3に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項8】
前記フレームは、導電性部材の第1の格子と前記第1の格子から分離された導電性部材の第2の格子とを支持し、前記第1及び第2の格子は、その間に空気流を生成するために、電極の下流格子と電極の上流格子とをそれぞれ提供するように構成されている、請求項7に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項9】
前記プラズマ放電ファンは、水冷却流路または前記燃料電池の燃料供給ラインにオゾン富化気体の補助的供給を提供するようにさらに構成されている、請求項1に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項10】
前記プラズマ放電ファンの前記領域は、複数の別々に制御可能なゾーンに分割される、請求項3に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項11】
通る空気流を変化させるためにパルス幅変調信号で前記プラズマ放電ファンを駆動するように構成されるコントローラをさらに含む、請求項1に記載の前記燃料電池組立体。
【請求項12】
アノード流体流れ板とカソード流体流れ板との間に置かれる膜電極組立体を有する燃料電池を冷却する方法であって、前記カソード流れ板は前記膜電極組立体へ酸化剤を運搬するための流れチャネルを画定し、前記流れチャネルは入口及び出口を有し、
空気流を前記入口内に生成するためのプラズマ放電ファンを配備することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学燃料電池、特に、排他的ではないが、燃料電池が積層体形成に置かれたときの、特にそのような燃料電池のための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気化学燃料電池は、燃料及び酸化剤を概して両方とも気体状ストリームの形態で、電気エネルギー及び反応生成物に変換する。水素及び酸素を反応させる一般的な電気化学燃料電池は、プロトン交換膜(PEM)としても知られる高分子イオン移送膜を膜−電極組立体(MEA)内に備え、燃料及び空気は膜のそれぞれの側を通過させられる。プロトン(すなわち水素イオン)は、膜を通して伝えられ、燃料電池のアノード及びカソードを接続する回路を通して伝えられる電子によって釣り合わされる。入手可能電圧を増加させるためには、別々のアノード及びカソード流体流路が配置されたいくつかの直列接続MEAを備える積層体が形成されてもよい。そのような積層体は、典型的には、積層体の各端において端板により互いに保持された数多くの個々の燃料電池板を備えるブロックの形態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃料と酸化剤との反応は熱ならびに電力を生成する故に、燃料電池積層体は、動作温度に到達すると冷却を必要とする。冷却は、空気をカソード流体流路に強制的に通すことによって達成され得る。開カソード積層体においては、酸化剤流路及び冷却剤流路は同一であり、すなわち、空気を強制的に積層体内に通すことが、酸化剤をカソードに供給することと、積層体を冷却することとの両方を行う。
【0004】
開カソード型空気冷却PEM燃料電池積層体は、典型的にモーター駆動型の軸流、遠心、または横流ファンを配備して、カソード空気流要件を提供する。これらのファンは、その性質状かさばり、燃料電池積層体に対して乱れた空気流を送達する傾向がある。積層体を通る空気流が低減され得る燃料電池内の局所化高温スポットを回避するため、良好に分配された空気流を積層体の入口面に提示することが望ましい。良好に分配された空気流を提供するための1つの方式は、慎重に設計された空気プレナムを使用して、軸流、遠心、または横流モーター駆動ファンと燃料電池積層体の入口及び出口面との間を橋渡しして、燃料電池積層体の入口または出口面において層状またはほぼ層状の流れを提供することである。そのようなプレナムもその性質状かさばり、空間の制約は、必要な層状流れを生成する際の効果において妥協を強いることもあり得る。
【0005】
燃料電池積層体に対して冷却空気流を提供するための改善された技術を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの様態に従うと、本発明は燃料電池組立体を提供し、この燃料電池組立体は、
アノード流体流れ板とカソード流体流れ板との間に置かれた膜電極組立体を有する燃料電池であって、カソード流れ板は酸化剤を膜電極組立体に運搬するための流れチャネルを画定し、流れチャネルは入口及び出口を有する、燃料電池と、
空気流を前述の入口内に生成するように構成されるプラズマ放電ファンと、を備える。
【0007】
プラズマ放電ファンは、空気流及びオゾン流の両方を入口内に生成するように構成されてよい。燃料電池組立体は、積層体配置で構成された前述の複数の燃料電池を備えてよく、積層体内の複数の燃料電池のための入口は、燃料電池積層体の空気入口面を形成し、プラズマ放電ファンは積層体空気入口面の上に置かれた板構造体を備える。プラズマ放電ファンの板構造体は、実質的にその全領域にわたって、積層体空気入口面内の概して均一な空気流を送達するように構成されてよい。板構造体は、板構造体の第1の面に近い導電性部材の第1の格子及び板構造体の第2の面に近い導電性部材の第2の格子を備えてよい。プラズマ放電ファンの板構造体は、導電性部材の第1の格子と導電性部材の第2の格子との間に置かれる空気流案内部の網状体を備えてよい。プラズマ放電ファンの板構造体は、燃料電池積層体の空気入口面と封印係合にある前端を有するフレームを備えてよい。フレームは導電性部材の第1の格子及び第1の格子から分離された導電性部材の第2の格子を支持してよく、第1及び第2の格子は、それらの間に空気流を生成するための、電極の下流格子と電極の上流格子とをそれぞれ提供するように構成されている。プラズマ放電ファンは、オゾン富化気体の補助供給を水冷却流路または燃料電池の燃料供給ラインに提供するようにさらに構成されてもよい。プラズマ放電ファンの領域は、複数の別々に制御可能なゾーンに分割されてもよい。燃料電池組立体は、そこを通る空気流を変化させるためにパルス幅変調信号でプラズマ放電ファンを駆動するように構成されたコントローラを含んでもよい。
【0008】
別の態様に従うと、本発明は、アノード流体流れ板とカソード流体流れ板との間に置かれる膜電極組立体を有する燃料電池を冷却する方法を提供し、カソード流れ板は酸化剤を膜電極組立体に運搬するための流れチャネルを画定し、流れチャネルは入口及び出口を有し、前記方法は、
空気流を前述の入口内に生成するためのプラズマ放電ファンを配備することを含む。
【0009】
本発明の実施形態は、以降実施例により、また以下の添付の図面を参照して、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】積層体の従来型空気流冷却に関する燃料電池積層体、冷却空気ファン、及びプレナム組立体の透視図を示す。
【
図2】燃料電池積層体で使用するためのプラズマ放電ファン要素の模式透視図を示す。
【
図3】燃料電池積層体に装着された
図2のプラズマ放電ファンの模式透視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、積層体構成で置かれ、燃料電池積層体の各側において端クリップ3により圧縮されて維持されたいくつかの燃料電池2を備える燃料電池積層体1が示されている。端クリップ3は頂部端板6及び底部端板7と係合する。積層体1の正面4及び背面5は、それぞれ、積層体を通り、及び積層体内の各セルのカソード上を通る空気の通過のために入口面及び出口面を画定する。入口面4はプレナム筐体10と連結され、これは軸方向に一定でないモーター駆動ファン11を内蔵する。軸流ファン11は、プレナム筐体10を通って、そしてそれにより燃料電池積層体1を通る空気流を生成する。プレナム筐体10は、正面4内の積層体の入口表面全体へ軸流ファン10からの空気流を可能な限り等しく分配するように整形される。以前に論議されたように、軸流ファン11及びプレナム筐体10はかなりの量の空間を占有し、空間的制約及び従来型モーター駆動軸流、遠心、または横流ファンにより生来的に生成される乱流の中で、積層体の入口表面に対する最適層流を達成することは困難となり得る。
【0012】
例えば、燃料電池積層体1のカソード入口面全体にわたる均一かつ層状空気流送達を促進するために、プレナム筐体10に対して内部的である異なるプレナム容積及び形状または構造体を提供するなど、さまざまな流れ訂正構造体が必要となり得る。これらの訂正は、積層体内の各セルに対して正しい冷却及び酸化剤空気流を提供し、それによって、等しいセル電圧を維持し、積層体または個々のセル内における局所的高温スポットを回避する際に重大となり得る。プレナム筐体内に空気流訂正構造体を提供することはシステムに対してさらなるかさばりを加え、機械的制限を通して強制的局所化圧力低下にも依存し、これはシステムの寄生的損失を増加させ、これは例えば、空気流に対するより大きな抵抗を克服するためのモーター駆動ファン11の電流消費の増加による。
【0013】
最近、小型の固体ファンを使用してマイクロプロセッサー等の電子構成要素を冷却することが提案されてきた。そのような固体ファンは、プラズマ放電またはコロナ放電の原理を使用し、局所化空気流または「コロナ風」を生成する。そのような固体ファンは、イオン風ポンプまたは静電気流体加速器としても知られている。
【0014】
プラズマ放電ファンにおいて、電気放電は電気的に帯電される導体を取り囲む流体のイオン化(例えば空気)により影響され得る。放電は、導体周りの電場強度が導電領域を形成するのに十分に高いが、絶縁破壊または近隣物体への電弧を生じさせるには十分に高くないときに発生する。
【0015】
空気中では、第1の電極の先端において作成された高電場は、空気中に酸素及び窒素分子を正に帯電させてコロナを作成する。これらの第2の電極(これは接地電極であり得る)への移動は途中で中性空気分子と衝突する。その勢いはイオン化気体分子から中性空気分子に移送され、概して空気の第2の電極へ向かう動きに帰結する。
【0016】
本発明においては、燃料電池及び燃料電池積層体の空気冷却のための従来型モーター駆動ファンよりもいくつかの重大な長所を提供するような形で、具体的に燃料電池で使用するために、プラズマ放電ファンが設計され適合化されることが可能であることが、理解されてきた。
【0017】
プラズマ放電ファンは、比較的大量のオゾン(O
3)を副産物として生産し得る。オゾンは一定濃度を超えて有害となる可能性があり、プラズマ放電ファンの使用中に、オゾン生産は概して制御または制限されねばならないであろう。しかしながら、前述の燃料電池のケースにおいては、MEAのカソード電極上にプラチナ触媒が典型的には提供され、プロトンをPEMにわたって駆動する電気化学反応を完了させることを酸素に要求する。より高い酸素濃度は、より大きな電気化学反応及びそれ故の燃料電池からのより大きく可能な電気出力を提供する。この例におけるオゾンのかなりの量の生産は短所ではなく、安全性の危険性でもなく、それは、オゾンの存在がプラチナ触媒における反応を強化し、プラチナ触媒上で酸素(O
2)へ安全に逆変換されるからである。
【0018】
燃料電池積層体での使用に適合化されたプラズマ放電ファンのさらなる長所は、プラズマ生成電極または電極群の形状及び構成は、燃料電池積層体の入力面の大領域と一致するように、そしてそれによって燃料電池積層体の入力面全体へ冷却空気の高効率的層流を直接提供するように設計されることが可能であることである。
図1との関連において記述されたプレナムの使用は、それにより完璧に回避されること、または少なくとも実質的に容積において低減されることが可能である。
【0019】
図2は、燃料電池積層体1での使用のために構成されたプラズマ放電ファン20の透視図を示す。プラズマ放電ファンは導電性ワイヤの第1の格子23及び導電性ワイヤの第2の格子24、空気流案内部25の網状体及びフレーム21の前端22上の封印部材26を支持する長方形フレーム21を備える。封印部材26は、
図3に示されるように、好ましくは燃料電池積層体1の正面4に対して圧縮封印を形成する弾性ガスケットである。電気端子対27、28は、導電性ワイヤの第1の格子23及び導電性ワイヤの第2の格子24との電気的接続を確立するためにそれぞれ一端において提供される。電気端子27、28は示されるように「スペード」タイプであってもよい。
【0020】
図2に示される配置において、導電性ワイヤの第1の格子23は電極の「下流」格子であり、それ故負に帯電した電極を備えてもよい。導電性ワイヤの第2の格子24は、電極の「上流」格子であり、それ故正に帯電した電極を備えてもよい。正に帯電した(上流)電極は、そこから電子をはぎ取ることにより、空気分子(窒素及び酸素)をイオン化するために使用される。正に帯電した空気分子は、このようにして下流電極に向けて引き付けられ、同一方向において中性空気分子と衝突及び運搬を行う。
【0021】
電極の格子は、プラズマ放電ファンが取り付けられる燃料電池の幾何学形状と一致するようにあらゆる好適形態を取り得る。このように、示される例においては、それぞれの格子は燃料電池積層体の入力面と一致する平面領域にわたって延びる長方形配列を形成する一連の並列導電ワイヤを備える。これは
図3において良好に見られ、そこではプラズマ放電ファン20は燃料電池積層体1の正面4に装着され、入力面の全体長方形領域にわたって延びている。空気流案内部25の網状体は、好ましくは、空気通路29の長方形格子を形成し、電極23、24の格子によって生成される空気流を、燃料電池積層体1のカソード流体流路内へ案内する。
【0022】
電極格子及び空気流案内部25は、燃料電池積層体空気入口面の直接正面に、好適幾何学形状のたくさんの小さい空気通路29を形成可能であるため、非常に層状となった流れが空気入口面内に直接生成されることが可能である。このように、プラズマ放電ファン20は燃料電池積層体空気入口面と近接連結または直接連結され得る。さらに、空気流案内部25の間隔は、望まれる場合には、空気入口面内の反復構造体、例えば、燃料電池及び積層体内の各燃料電池の平面構造体内の空気流水路の間隔の多層構造体と一致及び整列することが可能である。
【0023】
このように、
図2及び3のプラズマ放電ファンは、積層体空気入口上に置かれ、実質的にその表面領域全体にわたって概して均一な空気流を積層体空気入口内へ送達するように概して構成される格子板構造体を概して例示することを見ることが可能である。板構造体は、積層体空気入口面のあらゆる寸法及び形状と一致するような輪郭とされることが可能である。
【0024】
図3に示されるように、燃料電池積層体に装着されたプラズマ放電ファン20の使用は、いくつかの本質的な利点を与える。燃料電池積層体カソード冷却は、プラズマ放電ファンによって提供される「コロナ風」で満足させられ、一方、カソード電極へのオゾン富化空気流は電気化学反応を励起し、オゾンが二原子酸素、O
2に逆変換され、あるいはPEMを横切るプロトンと反応してH
2Oを形成するにつれ、燃料電池に対して性能の押し上げを提供する。カソードプラチナ触媒上を通過するときのO
2へのオゾンの安全な逆変換、または、燃料電池積層体内のH
2O形成のための反応は、燃料電池積層体カソード排気内の全オゾン含有量が受諾可能安全レベルにあることを確保する。
【0025】
プラズマ放電ファン20からの可能な、燃料電池積層体1の幾何学形状に近接一致する均一空気分配は、セルバランスを促進させ、そしてプレナム及びプレナム筐体10及びプレナム筐体内のその他の潜在的にかさばるまたは不十分な空気訂正構成要素に関する必要性を除去または最小化する。
【0026】
大きさの小さなプラズマ放電ファン20は、より小型のシステムパッケージを可能にし、それ故に、より小型の消費者製品における燃料電池用途を可能にする。例示的配置において、ファンは深さ(厚さ)4mmを有してもよい。プラズマ放電ファンは機械的に動く部品を有せず、それ故、多くのモーター駆動ファンよりもより低い雑音レベル、延期された使用寿命及び低減された電力消費による改善を与える。冷却空気流内のオゾンの存在は、カソード流れチャネルに対する滅菌剤の継続的投与の提供における燃料電池性能も支援し、これは日常的にオンとオフが循環される燃料電池内にしばしば見られる、温かく湿度の高い条件におけるバクテリアの蓄積を回避する。これは、燃料電池の定期的遮断及び滅菌の要件を低減または撤廃し得る。
【0027】
プラズマ放電ファン20は、オゾン富化気体の補助供給を燃料電池の他の部分にも提供するようにも構成されてよい。例えば、水冷却が使用される場合、例えば、アノードの一部を形成しない別の水冷却回路または燃料電池のカソード流路内において、あるいは、燃料電池積層体のアノードまたはカソード流路内へ直接注入される水によって、オゾン富化空気流のストリームを、供給水内へオゾンを溶かすために供給水を通って向けられてもよい。これは、燃料電池積層体の流れチャネル内でのバクテリアの蓄積を回避するために、滅菌目的にも役立つ可能性がある。
【0028】
さらなる用途において、プラズマ放電ファンは、燃料電池積層体のアノード燃料投与に対してオゾン富化気体の補助供給を提供するようにも構成されてよい。アノード燃料が上流燃料改質セルから投与される水素である場合、燃料気体ストリーム内に望ましくなく高レベルの一酸化炭素(CO)が存在し得、多くの用途にとって必要なH
2内の0.2ppm以下のCOの純度の標準レベルより高い可能性がある。プラズマ放電ファンにより提供されるオゾン富化気体流れの一部は、燃料電池積層体供給ライン内へ補助供給として流されることも可能であり、あらゆるCOと反応し、それにより、それをCO
2に変換する。H
2との反応は、加湿H
2流れを提供するのにも役立ち、これはPEMの水和にとって長所であり得る。
【0029】
オゾン富化気体の補助的供給を燃料電池積層体の他の部分に提供するため、プラズマ放電ファンの板配置は、燃料電池積層体の空気入口面よりも領域の点でやや大きく形成可能であり、空気入口面の領域の外側にあるプラズマ放電ファンの背部の追加プレナムはオゾン富化気体を直接他の部分へ向ける為に使用される。追加の正圧力がプラズマ放電ファンにより供給されるよりもさらに必要である場合には、これは追加ファンまたはポンプ、例えばマイクロ容積式またはダイアフラムポンプ、により達成されることが可能である。
【0030】
プラズマ放電ファン及び燃料電池積層体の様々な他の構成が可能である。例えば、
図3の配置は空気流及びオゾンの両方を燃料電池積層体のカソード流れチャネル内へ提供するための燃料電池積層体の上流に置かれたプラズマ放電ファンを示すが、カソード触媒反応のためにオゾン生成が必要でない場合には、プラズマ放電ファンは燃料電池積層体の下流に提供されることが可能であり、すなわち、燃料電池積層体の背(出口)面5上に位置付けされて燃料電池積層体を通して環境空気流れを「引く」。プラズマ放電ファンは、燃料電池積層体を通って空気が多数回通過するための、可変再循環流路との組み合わせで提供されることも可能である。そのような配置は、燃料電池積層体の高速暖機段階の提供、再循環空気の均整を変化させることによる、オゾンの制御可能レベルまたは湿度の制御可能レベルの提供において、長所となる可能性がある。
【0031】
燃料電池積層体を通ってオゾン富化空気流が使用されるとき、燃料電池積層体自体の中で使用されるあらゆる関係ガスケット材料と共に、封印部材またはガスケット26は、オゾンによる攻撃に抵抗する好適弾性材料内に提供されてよい。
【0032】
プラズマ放電ファンニーズは動く部品を有しないので、様々な空気流制御オプションが容易に達成されることが可能である。例えば、プラズマ放電ファンは別々の電気的に制御可能なゾーン内に配置されることが可能で、燃料電池積層体の空気入口面の異なる部分への空気流は、互いに独立して制御されることが可能である。このようにして、積層体の一定部分への空気流は、積層体の他の部分への空気流とは独立して、局所的に増加、減少、または遮断が可能である。各別々に制御可能なゾーンは、積層体内の1つ以上の全セルまたは積層体内の1つ以上のセルの一部に相当してもよい。別の例では、プラズマ放電ファンは断続空気流制御を適用するためにコントローラを含んでもよく、例えば、パルス幅変調をプラズマ放電に対して適用して、変調ベースにより、パルス上の積層体または積層体の一部を通して空気流を変化させる。
【0033】
他の実施形態は、意図的に付属請求項の範囲内である。
【国際調査報告】