特表2016-519085(P2016-519085A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-519085ent−プロゲステロンおよびその中間体の合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-519085(P2016-519085A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(54)【発明の名称】ent−プロゲステロンおよびその中間体の合成
(51)【国際特許分類】
   C07J 15/00 20060101AFI20160603BHJP
   C07C 401/00 20060101ALI20160603BHJP
   C07C 19/075 20060101ALI20160603BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20160603BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20160603BHJP
   C07J 75/00 20060101ALI20160603BHJP
   C07J 61/00 20060101ALI20160603BHJP
   C07D 317/72 20060101ALI20160603BHJP
   C07C 17/093 20060101ALN20160603BHJP
   C07C 21/22 20060101ALN20160603BHJP
   C07C 45/41 20060101ALN20160603BHJP
   C07C 47/20 20060101ALN20160603BHJP
   C07C 403/02 20060101ALN20160603BHJP
   C07F 7/18 20060101ALN20160603BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160603BHJP
【FI】
   C07J15/00CSP
   C07C401/00
   C07C19/075
   C07F9/54
   C07F7/08 C
   C07J75/00
   C07J61/00
   C07D317/72
   C07C17/093
   C07C21/22
   C07C45/41
   C07C47/20
   C07C403/02
   C07F7/18 V
   C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2016-503314(P2016-503314)
(86)(22)【出願日】2014年3月15日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月4日
(86)【国際出願番号】US2014030040
(87)【国際公開番号】WO2014145302
(87)【国際公開日】20140918
(31)【優先権主張番号】61/790,366
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515254998
【氏名又は名称】ザ フロリダ ステイト ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】THE FLORIDA STATE UNIVERSITY RESEARCH FOUNDATION, INCORPORATED
(71)【出願人】
【識別番号】515255009
【氏名又は名称】プレヴァカス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PREVACUS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100102668
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲生
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158872
【弁理士】
【氏名又は名称】牛山 直子
(72)【発明者】
【氏名】クラン, ジョン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ハン, インリン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ファリャン
【テーマコード(参考)】
4C022
4C091
4H006
4H039
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4C022FA03
4C091AA01
4C091AA04
4C091BB02
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE02
4C091EE07
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB02
4C091QQ01
4C091RR03
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC44
4H006BA23
4H006BD70
4H039CA62
4H039CC50
4H039CJ90
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ07
4H049VR24
4H049VS07
4H049VU36
4H049VW02
4H050AA01
4H050AB84
4H050WA26
(57)【要約】
本発明はent−プロゲステロンとその中間体の合成に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ent−プロゲステロンを製造するために、式:
【化1】
で表される化合物をルテニウム触媒及び酸化剤と反応させる工程を含む、ent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項2】
式A:
【化2】
(式中、LGは脱離基を表す)
で表される化合物を金属臭化物と反応させて、5−ブロモペンタ−2−インを生成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項3】
式D:
【化3】
で表される化合物を水素化ジイソブチルアルミニウムと反応させて、式E:
【化4】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項4】
式K:
【化5】
で表される化合物を、式M:
【化6】
で表される化合物と反応させて、式N:
【化7】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項5】
式H:
【化8】
(式中、Rの各例はそれぞれ独立してC1−C4直鎖状若しくは分枝状アルキル基又はC3−C8シクロアルキル基である)
で表される化合物を、式S:
【化9】
で表される化合物と反応させて、式T:
【化10】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項6】
式E:
【化11】
で表される化合物を、式R:
【化12】
(式中、Rの各例はそれぞれ独立してC1−C4直鎖状若しくは分枝状アルキル基又はC3−C8シクロアルキル基である)
で表される化合物と反応させて、式T:
【化13】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項7】
式E:
【化14】
で表される化合物を、式Q:
【化15】
で表される化合物と反応させて、式T:
【化16】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項8】
式I:
【化17】
で表される化合物を、式S:
【化18】
で表される化合物と反応させて、式T:
【化19】
で表される化合物を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載のent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項9】
式A:
【化20】
(式中、LGは脱離基を表す)
で表される化合物を金属臭化物と反応させて、5−ブロモペンタ−2−インを生成する工程を含む、ent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項10】
式D:
【化21】
で表される化合物を水素化ジイソブチルアルミニウムと反応させて、式E:
【化22】
で表される化合物を形成する工程を含む、ent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項11】
式K:
【化23】
で表される化合物を、式M:
【化24】
で表される化合と反応させて、式N:
【化25】
で表される化合物を形成する工程を含む、ent−プロゲステロンを製造する方法。
【請求項12】
式:
【化26】
で表される化合物。
【請求項13】
ent−プロゲステロンを製造するために、式:
【化27】
で表される化合物をルテニウム触媒及び酸化剤と反応させる工程を含む、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/790,366号の利益と優先権を主張し、その内容を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ent−プロゲステロンおよびその中間体の合成に関する。
【背景技術】
【0003】
プロゲステロンは、ヒトおよび他の種の女性の月経周期、妊娠および胚形成に関与するC−21ステロイドホルモンである。プロゲステロンはプロゲストゲンと呼ばれるホルモンの種類に属し、自然に分泌される主要なヒトプロゲストゲンである。
【0004】
【化1】
【0005】
プロゲステロンは哺乳類の卵巣によって自然に生成されるが、一部の植物および酵母によっても生成されることができる。ヤムイモから単離された植物ステロイド・ジオスゲニン由来のプロゲステロンの経済的な半合成は、パーク・デービス製薬会社のために、1940年にラッセル・マーカーによって開発された[Marker RE,Krueger J (1940).「Sterols.CXII.Sapogenins.XLI. The Preparation of Trillin and its Conversion to Progesterone」.J.Am.Chem.Soc.62(12):3349−3350]。この合成は、マーカー分解として知られている。種々のステロイドから出発して、さらなるプロゲステロンの半合成も、報告されている。その例として、クロロホルムに溶解したヨードトリメチルシランによる処置によって、コルチゾンをC−17とC−21位で同時に脱酸素化して、11−ケト−プロゲステロン(ケトゲスチン)を生成することができ、これを次に11位で還元してプロゲステロンを得ることができる[Numazawa M,Nagaoka M,Kunitama Y(September 1986). 「Regiospecific deoxygenation of the dihydroxyacetone moiety at C−17 of corticoid steroids with iodotrimethylsilane」.Chem.Pharm.Bull.34(9):3722−6]。
【0006】
プロゲステロンの全合成は、W.S.ジョンソンによって1971年に報告された[Johnson WS,Gravestock MB,McCarry BE(August 1971).「Acetylenic bond participation in biogenetic−like olefinic cyclizations.II.Synthesis of dl−progesterone」.J.Am.Chem.Soc 93(17): 4332−4]。
【0007】
緊急状況の対処、および自然のプロゲステロンレベルの長期的減少の対処の両目的で、プロゲステロンおよびその類似体は多くの医療用途を有している。プロゲステロンの他の用途としては、早産の予防、無排卵性出血の抑制、皮膚弾力性と骨強度の増加、および多発性硬化症の治療が挙げられる。
【0008】
プロゲステロンは、外傷性脳損傷の治療にも有用であり、炎症性因子(TNF−αおよびIL−1β)を阻害し、続いて脳浮腫を減少させることによって損傷後の不良転帰を軽減する(Pan,D.,ら(2007),Biomed Environ Sci 20,432−438;Jiang,C.,ら(2009),Inflamm Res 58,619−624)。損傷後、プロゲステロン処置したラットは、神経学的重症度スコア(運動機能と認知機能の評価)で著しい改善を示した(Roof,R.L.,ら(1992),Restor Neurol Neurosci 4,425−427)。プロゲステロンは、損傷後、雄雌を含む25匹の齧歯動物において浮腫を効果的に減少させた(Djebaili,M.,ら(2005),J Neurotrauma 22,106−118)。損傷後、プロゲステロンまたはその誘導体アロプレグナノロン(ALLO)を投与することによっても細胞死(カスパーゼ−3)因子および神経膠症(GFAP)因子の存在を減少させる結果をもたらす(Cutler,S.M.,ら(2007),J Neurotrauma 24,1475−1486)(VanLandingham,J.W.,ら(2007),Neurosci Lett 425,94−98;Wright,D.W.,ら(2007),Ann Emerg Med 49,391−402,402 e391−392)。また、Progesterone for the Treatment of Traumatic Brain Injury (ProTECT III),ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00822900;Efficacy and Safety Study of Intravenous Progesterone in Patients With Severe Traumatic Brain Injury(SyNAPSe),ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01143064;Progesterone Treatment of Blunt Traumatic Brain Injury,ClinicalTrials.gov Identifier:NCT00048646;およびBlood Tests to Study Injury Severity and Outcome in Traumatic Brain Injury Patients(BioProTECT),ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01730443も参照されたい。さらに、 http://sitemaker.umich.edu/protect/homeでProTECT(登録商標)III,Progesterone for the Treatment of Traumatic Brain Injury;http://www.sciencedaily.com/releases/2010/02/100219204407.htmでProgesterone for Traumatic Brain Injury Tested in Phase III Clinical Trial; http://finance.yahoo.com/news/bhr−pharma−investigational−traumatic−brain−151600948.htmlでBHR Pharma Investigational Traumatic Brain Injury Treatment Receives European Medicines Agency Orphan Medicinal Product Designation;およびhttp://www.prnewswire.com/news−releases/bhr−pharma−synapse−trial−dsmb−data−analyses−determine−no−safety−issues−study−should−continue−to−conclusion−187277871.htmlでBHR Pharma SyNAPSe(登録商標)Trial DSMB Data Analyses Determine No Safety Issues;Study Should Continue to Conclusionを参照されたい。
【0009】
プロゲステロンは、ent−プロゲステロンとして知られている非天然のエナンチオマー型に存在する。
【0010】
【化2】
【0011】
ent−プロゲステロンは、細胞死、脳腫脹および炎症の減少においてラセミ体プロゲステロンと同様の効果を有することを示しているが、抗酸化活性においてこのエナンチオマーは、ラセミ体プロゲステロンのそれの3倍の効果を有する。同様に、ent−プロゲステロンは、性的な副作用、例えば、精子形成の抑制、テストステロンのジヒドロテストステロンへの転換の抑制、精巣、精巣上体とライディッヒ細胞の大きさの縮小が少なく、およびラセミ体プロゲステロンで見られることがある凝固亢進はないことが分かっている。加えて、ent−プロゲステロンに関する有用性は、2012年10月5日出願、表題「軽度の外傷脳損傷の治療におけるプロゲステロンおよび/またはそのエナンチオマーの予防的使用および急性後使用のための経鼻送達機序」の米国特許出願第13/645,881号、2012年10月12日出願、表題「脳震盪に関連する良好な転帰へのプロゲステロンおよびそのエナンチオマーの予防的使用および急性後使用」の米国特許出願第13/645,854号、および2012年10月12日出願、表題「外傷脳損傷の治療においてプロゲステロンとそのエナンチオマーとの組み合わせでの予防的使用および急性後使用」の米国特許出願第613/645,925号に記述されており、これら特許出願それぞれの全内容および開示は、その全体を参照により本明細書に取り込む。また、VanLandinghamら,Neuropharmacology,The enantiomer of progesterone acts as a molecular neuroprotectant after traumatic brain injury,2006,51,1078−1085も参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それでも、ent−プロゲステロンを合成することは困難であった。ent−プロゲステロンを合成する以前の試みは、諸問題点、例えば低い収率、危険な条件、危険な反応ステップ、多数の反応ステップおよび高コストの反応ステップに悩まされていた。ent−プロゲステロンを合成する際のこれらの問題点により、ent−プロゲステロンの商用利用およびent−プロゲステロン生産のスケールアップは実現不可能であった。
【0013】
したがって、ent−プロゲステロンの効果的な合成の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様において、本発明は、式:
【0015】
【化3】
【0016】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。特定の実施形態において、この反応は、ジクロロエタンを含むがこれに限定されない溶媒の存在下で行われる。他の実施形態において、ルテニウム触媒は、塩化ルテニウムIIIである。さらに他の実施形態において、酸化剤は、過ヨウ素酸ナトリウムを含むがこれに限定されない、金属過ヨウ素酸塩である。
【0017】
別の態様において、本発明は、式A:
【0018】
【化4】
【0019】
(式中:LGは脱離基を表す)の化合物を金属臭化物と反応させて、5−ブロモペント−2−インを生成するステップを含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。特定の実施形態において、脱離基はトシラート基である。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、式D:
【0021】
【化5】
【0022】
の化合物を水素化ジイソブチルアルミニウムと反応させて、式E:
【0023】
【化6】
【0024】
の化合物を形成するステップを含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、式K:
【0026】
【化7】
【0027】
の化合物を式M:
【0028】
【化8】
【0029】
の化合と反応させて、式N:
【0030】
【化9】
【0031】
の化合物を形成するステップを含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0032】
特定の実施形態において、KとMの反応は、リチウム化合物の存在下で行われる。他の実施形態において、KとMの反応は、溶媒の存在下で行われる。特定の他の実施形態において、溶媒は、ジメチル−2−イミダゾリジノンもしくは1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンもしくはヘキサメチルホスホルアミドまたはそれらの混合物である。
【0033】
一実施形態において、本発明は、式:
【0034】
【化10】
【0035】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、次いで式A:
【0036】
【化11】
【0037】
(式中:LGは脱離基を表す)の化合物を金属臭化物と反応させて、5−ブロモペント−2−インを生成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。特定の実施形態において、脱離基はトシラート基である。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、式:
【0039】
【化12】
【0040】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、次いで式D:
【0041】
【化13】
【0042】
の化合物を水素化ジイソブチルアルミニウムと反応させて、式E:
【0043】
【化14】
【0044】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0045】
さらに別の実施形態において、本発明は、式:
【0046】
【化15】
【0047】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、さらに式K:
【0048】
【化16】
【0049】
の化合物を式M:
【0050】
【化17】
【0051】
の化合物と反応させて式N:
【0052】
【化18】
【0053】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0054】
さらに別の実施形態において、本発明は、式:
【0055】
【化19】
【0056】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、さらに式H:
【0057】
【化20】
【0058】
(式中:Rの各例はそれぞれ独立してC1−C4直鎖状もしくは分枝状アルキル基またはC3−C8シクロアルキル基である)の化合物を式S:
【0059】
【化21】
【0060】
の化合物と反応させて式T:
【0061】
【化22】
【0062】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0063】
さらなる実施形態において、本発明は、式:
【0064】
【化23】
【0065】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、さらに式E:
【0066】
【化24】
【0067】
の化合物を式R:
【0068】
【化25】
【0069】
(式中:Rの各例はそれぞれ独立してC1−C4直鎖状もしくは分枝状アルキル基またはC3−C8シクロアルキル基である)の化合物と反応させて式T:
【0070】
【化26】
【0071】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0072】
別のさらなる実施形態において、本発明は、式:
【0073】
【化27】
【0074】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、さらに式E:
【0075】
【化28】
【0076】
の化合物を式Q:
【0077】
【化29】
【0078】
の化合物と反応させて式T:
【0079】
【化30】
【0080】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0081】
さらに別の実施形態において、本発明は、式:
【0082】
【化31】
【0083】
の化合物をルテニウム触媒および酸化剤と反応させて、ent−プロゲステロンのトリエノン前駆体を調製するステップを含み、さらに式I:
【0084】
【化32】
【0085】
の化合物を式S:
【0086】
【化33】
【0087】
の化合物と反応させて式T:
【0088】
【化34】
【0089】
の化合物を形成するステップをさらに含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0090】
特定の実施形態において、本発明は、上記ステップのうちの2つ以上を含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。他の実施形態において、本発明は、上記ステップのうちの3つ以上を含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、上記ステップのうちの4つ以上を含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。特定の実施形態において、上記ステップのうちの5つ以上を含む、ent−プロゲステロンを調製する方法を提供する。
【0091】
本発明の方法に従って、エナンチオマー濃縮ent−プロゲステロンは、ラセミ中間体またはラセミ体プロゲステロンのいずれかのエナンチオマーの分離によって得ることができる。このように、本発明はさらに、ラミセ体プロゲステロンからent−プロゲステロンを単離することによってent−プロゲステロンを調製する方法を可能とみなす。また、本発明は、エナンチオマー濃縮中間体、例えば本明細書に開示する中間体Uを反応させることによってent−プロゲステロンを調製し、1または複数の反応ステップを介してエナンチオマー濃縮中間体を変換させてent−プロゲステロンをもたらすことを可能とみなす。
【0092】
別の態様において、本発明は、本発明の合成方法の1または複数の中間体を提供する。特定の態様において、該中間体は、以下の式のうちの1つを有する化合物である。
【0093】
【化35】
【0094】
本発明の上記概要は開示した各実施形態または本発明のあらゆる実施を説明することを意図していないことをさらに理解されたい。該説明はさらに、例示的な実施形態を例示する。明細書の全体を通していくつかの箇所では、諸例を通してガイダンスを提供し、該諸例は種々の組み合わせで用いることができる。それぞれの例において、諸例は代表的なグループとしてのみ役立ち、排他的な例として解釈されてはならない。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本発明とその付随する多くの利点のより完全な認識を例示し、提供することによって、本発明のent−プロゲステロンを生成する新規の総合的な合成、該総合的な合成での個々の新規ステップ、および該新規の総合的な合成中に形成される個々の新規中間体に関する、発明を実施するための形態および実施例を示す。
【0096】
本発明の説明および添付の特許請求の範囲で用いる場合、文脈上明らかに別の意味を示していない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、互いに交換できるように用いられ、複数形も含み、各意味の範囲に入ることを意図する。また、本明細書で用いる場合、「および/または」は、リストした項目のうちの1または複数の任意およびすべての可能な組み合わせを指し、および包含し、ならびに選択肢(「または」)で説明された場合、組み合わせがないことを指す。
【0097】
本明細書で使用する場合、「少なくとも1つ」とは、リストされた要素のうちの「1または複数」を意味することを意図する。
【0098】
「アルキル」という用語は、炭素原子および水素原子だけからなり、不飽和を含まず、1〜8個の炭素原子を有し、例えば例として、メチル、エチル、n−プロピル1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチルおよび1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)の単結合によって、残りの分子に結合している、直鎖状または分枝状の炭化水素ラジカルを指す。
【0099】
「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの3〜12炭素原子の非芳香族単環系または多環系を意味し、多環式シクロアルキル基の例としては、ペルヒドロナフチル基、アダマンチル基およびノルボルニル基架橋環式基またはスピロ二環式基、例えばスピロ(4,4)ノン−2−イルが挙げられる。
【0100】
本明細書で用いる場合、「脱離基」または「LG」という用語は、その基を含む化学反応の過程で離れるいずれの基を指し、例えば、ハロゲン基、ブロシラート基、メシラート基、トシラート基、トリフラート基、p−ニトロベンゾアート基、ホスホナート基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0101】
明示的に別段の定めをした場合を除き、単数の語形は複数の語形を含むことを意図し、同様に、各意味を充当し、各意味の範囲に入る場合、本明細書では互いに交換できるように用いられる。
【0102】
さもなければ注記がある場合を除き、用語の大文字表記または非大文字表記は、その用語の意味の範囲に入る。
【0103】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられているすべての量、比率を表す数値および成分、反応条件の数値的特性などは、すべての場合「約」という用語によって修飾されることができると見なしていることを理解されたい。
【0104】
特に明記しない限り、本明細書での部、パーセンテージ、比率などのすべては、重量による。
【0105】
一般的な調製方法
本発明のこの実施形態で使用する化合物の調製で利用される特定の方法は、所望の特定の化合物に依存する。特定の置換基の選択のような要素は、本発明の特定の化合物の調製において従うべき過程で役割を果たす。それらの要素は、当業者によって容易に認識される。
【0106】
本発明の化合物は、既知の化学的反応および手法を用いて調製することができる。それでも、読者が本発明の化合物を合成する際の手助けとなるように、以下の一般的な調製方法を提供するとともに、例示的な実施例を説明する以下の実験の節で、より詳細な特定の例を提示する。
【0107】
本発明の化合物は、従来の化学方法によって、および/または以下に開示する市販の出発材料または所定の従来の化学方法によって生成できる出発材料から生成してもよい。化合物の調製のための一般的な方法を以下に表し、および代表的な化合物の調製を特に実施例で示す。
【0108】
本発明の特定の化合物の合成において、および本発明の化合物の合成に関与する特定の中間体の合成において利用できる合成変換は、当業者にとって既知である、または利用可能である。合成変換の収集は、編纂において見出すことができ、例えば、
J.March.Advanced Organic Chemistry,第4版;John Wiley:New York(1992)
R.C.Larock.Comprehensive Organic Transformations,第2版;Wiley−VCH:New York(1999)
F.A.Carey;R.J.Sundberg.Advanced Organic Chemistry,第2版;Plenum Press:New York(1984)
T.W.Greene;P.G.M.Wuts.Protective Groups in Organic Synthesis,第3版;John Wiley:New York(1999)
L.S.Hegedus.Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules,第2版;University Science Books: Mill Valley,CA(1994)
L.A.Paquette,編.The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis;John Wiley:New York(1994)
A.R.Katritzky;O.Meth−Cohn;C.W.Rees,編.Comprehensive Organic Functional Group Transformations;Pergamon Press:Oxford,UK(1995)
G.Wilkinson;F.G A.Stone;E.W.Abel,編.Comprehensive Organometallic Chemistry;Pergamon Press:Oxford,UK(1982)
B.M.Trost;I.Fleming.Comprehensive Organic Synthesis;Pergamon Press:Oxford,UK(1991)
A.R.Katritzky;C.W.Rees編.Comprehensive Heterocylic Chemistry;Pergamon Press:Oxford,UK(1984)
A.R.Katritzky;C.W.Rees;E.F.V.Scriven,編.Comprehensive Heterocylic Chemistry ll;Pergamon Press:Oxford,UK(1996)
C.Hansch;P.G.Sammes;J.B.Taylor,編.Comprehensive Medicinal Chemistry:Pergamon Press:Oxford,UK(1990)がある。これらのそれぞれはその全体を参照によって本明細書に組み込む。
【0109】
加えて、合成法について繰り返される概説および関連トピックスとしては、Organic Reactions;John Wiley:New York;Organic Syntheses;John Wiley:New York;Reagents for Organic Synthesis: John Wiley:New York;The Total Synthesis of Natural Products;John Wiley: New York;The Organic Chemistry of Drug Synthesis;John Wiley:New York;Annual Reports in Organic Synthesis; Academic Press:San Diego CA;およびMethoden der Organischen Chemie(Houben−Weyl);Thieme:Stuttgart,Germanyが挙げられる。さらに、合成変換のデータベースとしては、ケミカルアブストラクツが挙げられ、データベースのそれぞれは、その全体を参照によって本明細書に組み込み、CAS OnLineまたはSciFinder,Handbuch der Organischen Chemie(Beilstein)のいずれかを用いて検索することができ、およびSpotFireとREACCSを用いて検索することができる。
【0110】
ent−プロゲステロンを作製する本発明の発明方法は、反応スキーム1〜8に例示する。本発明方法は、これまで知られている合成よりも、より効果的でかつコストが低い合成を可能にする、いくつかの中間体と反応方法を含む。
【0111】
スキーム1
【0112】
【化36】
【0113】
スキーム1において、3−ペンチン−1−オールを水酸基のトシル化によって、ペント−3−イニル 4−メチルベンゼンスルホナート(中間体A)に変換する。次いで、中間体Aのトシル基を臭素化して、5−ブルモペント−2−イン(中間体B)を形成する。グリニャール反応を介して中間体Bをメタクロレインと反応させて、2−メチルオクト−1−エン−6−イン−3−オル(中間体C)を生成する。中間体Cをトリメチルオルトアセタートと反応させて、(E)−エチル4−メチルデク−4−エン−8−イノアート(中間体D)を生成する。
【0114】
次に、中間体Dを還元して、(E)−4−メチルデク−4−エン−8−イナール(中間体E)または(E)−4−メチルデク−4−エン−8−イン−1−オル(中間体F)を形成し、これらのうちのいずれかを臭素化して、(E)−10−ブロモ−7−メチルデク−6−エン−2−イン(中間体G)を形成する。
【0115】
最終的に、中間体Gを反応させて、嵩高いリン酸基またはケイ素基を有する中間体、中間体Iまたは中間体Hを形成する。
【0116】
スキーム1b
【0117】
【化37】
【0118】
上記スキーム1の代替案として、中間体Hをスキーム1bに示すように調製してもよい。スキーム1bにおいて、置換マロナートを生成するために、水素化ナトリウムの存在下で1−ブルモブト−2−インをジメチルマロナートと反応させることによって中間体Cを調製し、次いで中間体Cを塩化リチウム、続いてグリニャール試薬と反応させる。同様に、中間体Fのトシル化、続いて臭素化によって中間体Gを調製する。
【0119】
以下のスキーム2に示す、合成の第2段階において、ケトンの二重結合の臭素化、続いてグリコール化を介して、メチルシクロペンテノンをtert−ブチルジメチル(3−(7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノン−6−エン−6−イル)プロポキシ)シラン(中間体N)に変換する。
【0120】
スキーム2
【0121】
【化38】
【0122】
6−ブロモ−7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノン−6−エン(中間体K)からの中間体Nへの変換は、下記のスキーム3に示すように生成されたtert−ブチル(3−ヨードプロポキシ)ジメチルシラン(中間体M)を利用する。
【0123】
スキーム3
【0124】
【化39】
【0125】
スキーム3において、1,3−プロパンジオールを塩化tert−ブチルジメチルシリルと反応させ、続いてヨウ素と反応させて、tert−ブチル(3−ヨードプロポキシ)ジメチルシラン(中間体M)を生成する。
【0126】
化合物Nも、下記のスキーム4に示す代替調製を用いて調製してもよい。
【0127】
スキーム4
【0128】
【化40】
【0129】
スキーム4において、ホウ素試薬(Molander,G.A.;Ham,J.;Seapy,D.G.Tetrahedron, 2007,63,768−775を参照されたい)を用いて臭素基をプロピルシラン基に変換することによって、2−ブロモメチルシクロペンテノンをtert−ブチルジメチル(3−(7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノン−6−エン−6−イル)プロポキシ)シラン(中間体N)に変換し、これにケトンのグリコール化が続く。
【0130】
下記に示すスキーム5において、中間体Nをヒドロキシル中間体(中間体O)に変換する。次いで、中間体Oを以下の3つの中間体の一つに変換する:3−(7−メチル−1,4−ジオキサスピロ[4,4]ノン−6−エン−6−イル)プロパナール(中間体S)、または嵩高いリン酸基もしくはケイ素基を有する中間体、中間体Qまたは中間体R。これらのそれぞれは反応の次の段階で利用してもよい。
【0131】
スキーム5
【0132】
【化41】
【0133】
下記に示すスキーム6において、3−メチル−2−((3E、7E)−7−メチルトリデカ−3,7−ジエン−11−イニル)シクロペント−2−エノン(中間体T)は、2つの反応アプローチのうちの1つで生成してもよい。
【0134】
スキーム6
【0135】
ピーターソン・アプローチ
【0136】
【化42】
【0137】
ウィッティヒ・アプローチ
【0138】
【化43】
【0139】
その全体を参照によって本明細書に組み込んでいる、ピーターソン・アプローチ(W.Adam,C.M.Ortega−Schulte,Synlett,2003,414−416およびA.Barbero,Y.Blanco, C.Garcia,Synthesis,2000,1223−1228)において、中間体HとSまたは中間体EとRをs−ブチルリチウムの存在下で反応させて、中間体Tを生成する。これは、プロゲステロンの合成における新しい方法を表している。
【0140】
その全体を参照によって本明細書に組み込んでいる、ウィッティヒ・アプローチ(Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.;McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332)において、中間体EとQまたは中間体IとSをフェニルリチウムの存在下で反応させて、中間体Tを生成する。
【0141】
下記のスキーム7に示す、合成の最終段階において、中間体Tを環化させて、
1−((1R,3aR,3bR,8aS,8bR,10aR)−6,8a,10a−トリメチル− 1,2,3,3a,3b,4,5,7,8,8a,8b,9,10,10a−テトラデカヒドロジシクロペンタ[a,f]ナフタレン−1− イル)エタノンと、1−((1S,3aS,3bS,8aR,8bS,10aS)−6,8a,10a−トリメチル1−1,2,3,3a,3b,4,5,7,8,8a,8b,9,10,10a−テトラデカヒドロジシクロペンタ[a,f]ナフタレン−1−イル)エタン−1−オンのラセミ混合物を形成する(中間体U、1エナンチオマーを示す)。
【0142】
スキーム7
【0143】
【化44】
【0144】
次いで、触媒量の塩化ルテニウム(III)および過ヨウ素酸ナトリウムの存在下で、ジクロロエテン中で中間体Uを反応させ、続いて水に溶解させた水酸化カリウムで処理して、最終キラル生成物のent−プロゲステロンを形成する。
【0145】
上述のように、エナンチオマー濃縮ent−プロゲステロンは、エナンチオマーの分離、すなわちラセミ中間体またはラセミ体プロゲステロンのいずれかによって得ることができる。このように、本発明はさらに、ラセミ体プロゲステロンからent−プロゲステロンを単離することによってent−プロゲステロンを調製する方法を可能とみなす。本発明は、エナンチオマー濃縮中間体(例えば、本明細書で開示した中間体U)を反応させ、次いで1または複数の反応段階を介してエナンチオマー濃縮中間体を転換させてent−プロゲステロンを調製することも可能とみなす。
【0146】
ラセミ混合物からのエナンチオマー濃縮化合物、例えば、中間体またはプロゲステロンの分離は、種々の方法により実行することができ、その一部は当技術分野で既知である。例えば、キラル高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて、エナンチオマーを分離することができる。キラルHPLCに適したキラル固定相を有するHPLCカラムは、市販されている。あるいは、エナンチオマーは、諸方法、例えば(i)キラル物質による再結晶化または錯体化、(ii)キラル補助剤による誘導体化とジアステレオマーの分離、それに続くキラル補助剤の切断とエナンチオマーの回収、(iii)1つのエナンチオマーを修飾するが、他のエナンチオマーを実質的に変化させずに残す、エナンチオマー濃縮試薬、例えば、酵素または酸化試薬のキラル還元剤での選択反応による分割、それに続く所望のエナンチオマーの分離によって分離させてもよい。
【0147】
本発明以前の方法は、中間体Uからのent−プロゲステロンの調製は、危険で高コストのオゾン分解段階の使用が必要であった。本発明の発明方法は、容易に利用できる材料を利用して、約>98%の純度を有する化合物をもたらす。
【実施例】
【0148】
略語および頭字語
当業者の有機化学者によって用いられている略語の総合的なリストは、The ACS Style Guide(第3版)またはthe Guidelines for Authors for the Journal of Organic Chemistryに記載されている。前記リストに含まれる略語および当業者の有機化学者によって利用される略語のすべては、参照によって本明細書に組み込む。本発明のために、化学元素は、Elements,CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 第67版,1986−87の周期表に従って同一であるとし、それぞれはその全体を参照によって本明細書に組み込む。
【0149】
より詳しくは、下記の略語が本開示全体を通じて用いられるとき、その略語は下記の意味を有する:
atm 雰囲気
brs ブロード一重項
Buchi ロータリーエバポレーター(登録商標)BUCHI Labortechnik AG
C 摂氏
CDCl 重水素化トリクロロメタン
Celite 珪藻土濾過剤 セライト(登録商標)Celite Corp.
d 二重項
dd 二重二重項
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DCM ジクロロメタン
DMI ジメチル−2−イミダゾリジノン
g グラム
h 時間、複数時間
H NMR プロトン核磁気共鳴
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
J 結合定数(NMR分光分析法)
L リットル
LAH 水素化アルミニウムリチウム
LG 脱離基
M モルL−1(モル)
m 多重項
MHz メガヘルツ
min 分、複数分
mL ミリリットル
μM マイクロモル
mol モル
MS 質量スペクトル、質量分析
m/z 質量電荷比
N 当量L−1(規定濃度)
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMO N−メチルモルホリン−N−オキシド
NMR 核磁気共鳴
pH 水素イオン濃度の負の対数
q 四分体
RBF 丸底フラスコ
r.t. 室温
RT 持続時間(HPLC)
rt 室温
s 一重項
t 三重項
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィ
TsCl トシルクロリド
【0150】
以下の実施例で報告したパーセンテージ収率は、最も低いモル量で用いる出発成分に基づく。空気および水分に感度の良い液剤および溶液剤は、シリンジまたはカニューレで移し、ゴム隔膜を通して反応器に導入する。商業用の試薬と溶媒は、さらに精製せずに用いる。「減圧下で濃縮」という用語は、Buchiロータリーエバポレーターを15mmHgで用いることを指す。すべての温度は、摂氏温度(℃)で訂正せずに報告する。薄層クロマトグラフィ(TLC)は、シリカゲル60A F−254 250μmをプレコートしたガラスプレート上で行う。本発明の化合物の構造は、下記の手法のうちの1または複数を用いて確認する。
【0151】
NMR
下記の手法で示すとき、NMRスペクトルは各化合物に対して得られる。得られたNMRスペクトルは、示した構造と整合していた。ルーチンの一次元NMR分光分析は、300MHzまたは500MHzのいずれかのVarian(登録商標)Mercury−plusスペクトロメーターで行った。試料は、重水素化溶媒に溶解させた。化学シフトはppmスケールで記録し、例えば、1Hスペクトルの場合、DMSO−d6について2.49ppm、CD3CNについては1.93ppm、CD3ODについては3.30ppm、CD2Cl2については5.32ppmおよびCDCl3については7.26ppmと適切な溶媒信号にリファレンスを付けた。
【0152】
材料
すべての反応ではVWR Dyastirマグネチックスターラーを用いる。特に明記しない限り、Pyrex(登録商標)ブランドのガラス製品を用いる。実験の後処理で使用する化学物質および溶媒は、特に明記しない限りSigma Aldrich、Fisher ScientificまたはEMDから購入し、使用した溶媒は、互いに交換できるように用いられる2つのグレードを有するACSまたはHPLCのいずれかのグレードである。TLC分析のために、シリカ60ゲルをコートしたガラスTLCプレートは、EMDから購入する。
【0153】
中間体Aの合成
【0154】
【化45】
【0155】
化合物Aは、Battenberg,O.A.;Nodwell,M.B.; Sieber,S.A.J.Org.Chem.,2011,76,6075−6087の方法よって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた1L丸底フラスコ(RBF)に、ACSグレードのジクロロメタン(DCM)(Fisher Chemicals)を250mL、200mmolの3−ペンチン−1−オル(Sigma−Aldrich)を18.5mL、400mmolの塩化トルエンスルホニル(TsCl)を76g、およびピリジン(Fisher Chemicals)を45mL、順に加えた。次いで、反応混合物を18時間撹拌し、薄層クロマトグラフィ(TLC)でモニターした。反応が完了したことをTLC分析が示した後、飽和硫酸銅水溶液200mLで反応混合物をクエンチさせた。二相混合物を勢いよく振盪し、次いで1L分液漏斗を用いて分離した。有機相を収集し、水相をさらに、75mLのDCMを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を炭酸水素ナトリウム(NaHCO)で洗浄し、水層を分離し、以前の通り75mLのDCMを2度用いて抽出した。混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、250mLの焼結式漏斗を通して1LのRBFに濾過する。濾過した残渣をさらに100mLのDCM用いて洗浄し、RBFに収集した溶液をロータリーエバポレーター(Buchi)上、真空下で還元して、透明な油として化合物Aを得た。重水素化クロロホルム(CDCl)中のプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、これまでに報告されたデータに合致した。(Fang,F.;Vogel, M.;Hines,J.V.;Bergmeier,S.C.;Org. Biomol.Chem.,2012,10,3080−3091を参照されたい。)
【0156】
中間体Bの合成
【0157】
【化46】
【0158】
化合物Bは、Snider,B.B.;Kirk,T.C.;J.Am.Chem.Soc.,1983,105,2364−2368の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた500mLのRBFに、ACSグレードのアセトン(Fisher Chemicals)を200mLと200mmolの化合物Aを48g加えた。溶液を勢いよく撹拌し、次いで氷浴で0℃まで冷却し、その後臭化リチウム35gを5分かけて少しずつ加えた。さらに10分後に氷浴を取り除き、反応を室温まで昇温させ、さらに24時間撹拌した。反応が完了したことをTLC分析が示した後、反応混合物をヘキサン(EMI)200mLで希釈し、希釈混合物は1インチのセライトプラグ(Sigma−Aldrich)を備えた250mLの焼結式漏斗を通して500mLのRBFに濾過した。次いで、収集した濾液をロータリーエバポレーター(Buchi)上、真空下で還元して、透明な油として化合物Bを得た。白色の沈殿物が存在する場合、この粗生成物をヘキサンに再溶解させ、後処理手法を繰り返した。CDCl中のプロトン核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、これまでに報告されたデータに合致した。(Lubell,W.D.;Jamison,T.F.;Rapoport,H. J.Org.Chem.,1990,55,3511−3522を参照されたい。)
【0159】
中間体Cの合成
【0160】
【化47】
【0161】
化合物Cは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた500mLのRBFに、蒸留THFを120mL、続いて31mmolの削り状マグネシウム(Sigma Aldrich)を0.62g加え、次いでこの混合物を室温で勢いよく撹拌した。化合物B(4.41g、30mmol)をシリンジで一度にフラスコに加え、反応混合物を室温で、3時間、すなわちマグネシウムがほとんど消費されるまで撹拌し、その後反応混合物を氷浴で0℃まで冷却した。その間、別の乾いた25mLのRBFに、蒸留THF10mLに溶解させた31mmolのメタクロレイン2.56mLを氷浴で0℃まで冷却した。次いで、メタククロレイン溶液をカニューレでグリニャール溶液に10分かけて加えた。次いで、反応混合物を室温まで昇温させて、1時間放置しておいた。その後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液75mLでクエンチさせ、酢酸エチル150mLで希釈した。勢いよく振盪して、次いで二相混合物を分液漏斗で分離し、水相をさらに、75mLの酢酸エチルを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で100mL焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣はさらに75mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。次いで収集した溶液は、Buchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、90%収率で、>95%純度の淡黄色の油として化合物Cを得た。CDCl中のプロトン核磁気共鳴スペクトルは、これまでに報告されたデータに一致した。(Apparu,M.;Barrelle,M.Bulletin de la Societe Chimique de France,1983,3−4, Pt.2,83−86を参照されたい。)。
【0162】
中間体Dの合成
【0163】
【化48】
【0164】
化合物Dは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた150mLのRBFに、7モル当量のトリメチルオルトアセテート(Sigma−Aldrich)に溶解した30mmolの化合物C4.14gの溶液をシリジンで加え、続いてプロピオン酸(Sigma−Aldrich)1モル%を加えた。反応器には、還流冷却器が取り付けられており、次いで、1200mLのInstatherm(登録商標)油浴を用いてこの混合物を加熱して12時間還流させた。次いで、反応混合物を油浴から取り出し、室温まで冷却させておいた。粗生成混合物を飽和重炭酸ナトリム溶液(100mL)で洗浄し、水相を1Lの分液漏斗で取り除き、さらに100mLの酢酸エチルを用いて抽出し、続いて生成混合物と混合させ、次いでBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元させた。減圧下、短工程蒸留による精製で、71%収率で、>95純度の化合物Dを得た。H NMR(500MHz,CDCI):δ=5.19(tq,J=6.8,1.2,1H),4.10(q,J=7.2,2H),2.44−2.35(m,2H),2.32−2.27(m,2H),2.18−2.08(m,4H),1.76(t,J=2.4,3H),1.61(bs,3H),1.23(t,J=7.10,3H)。
【0165】
中間体Eの合成
【0166】
【化49】
【0167】
化合物Eは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた150mLのRBFに、蒸留THFを50mL、10mmolの化合物Dを2.08g加え、次いでこの混合物をドライアイス/アセトン浴中で−78℃まで冷却した。15分後に、THFに溶解した12mmolの水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)1M溶液12mLを10分かけて加え、次いで、反応混合物を2.5時間、撹拌させておいた。次いで、5mLのメタノールを用いて−78℃で、反応混合物を10分かけてクエンチさせ、次いで室温まで昇温させ、水を20mL加えた。反応混合物は、酢酸エチルを100mL用いて1Lの分液漏斗で抽出し、水相をさらに50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出し、混合した抽出物を100gの硫酸ナトリムで乾燥させ、Buchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、淡黄色油として粗生成物、化合物Eを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、10:1のヘキサン/酢酸エチル)による精製で、64%収率で、>95%純度の透明な油として化合物Eを得た。H NMR(300MHz,CDCI):δ=9.75(t,J=1.8,1H),5.20(m,1H),2.52(tm,J=7.5,2H),2.32(t,J=7.5,2H),2.22−2.07(m,4H),1.76(t,J=2.4,3H),1.62(bs,3H)。
【0168】
中間体Fの合成
【0169】
【化50】
【0170】
化合物Fは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた1LのRBFに、エーテルを250mL、続いて90mmolの水素化アルミニウムリチウム(LAH、Sigma−Aldrich)を3.42g加えた。混合物は、氷浴で0℃まで冷却し、15分後に、50mLのエーテルに溶解した化合物D(9.0g、45mmol)を10分かけて加えた。さらに1時間後、すなわち反応が完了したことをTLC分析が示したとき、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液100mLを用いて、反応を5分かけてクエンチさせ、次いで水50mLを加えて室温にした。反応混合物は、100mLの酢酸エチルを用いて抽出し、次いで1Lの分液漏斗を用いて水相をさらに酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。混合した有機相を50gの硫酸ナトリウムで乾燥させ、100mLの焼結式漏斗を通して濾過し、ロータリーエバポレーター(Buchi)上、真空下で還元して透明な油として粗生成物、化合物Fを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、5:1のヘキサン/酢酸エチル)による精製で、92%収率で、>95%純度の透明な油として化合物Fを得た。H NMR(500MHz,CDCI):δ=5.22(t,J=6.8,1H),3.64(t,J=6.4,2H),2.21−2.11(m,4H),2.08(t,J=7.5,2H),1.77(bs,3H),1.68(tt,J=6.9,6.9,2H),1.63(s,3H)。
【0171】
中間体Gの合成
【0172】
【化51】
【0173】
化合物Gは、Baughman,T.W.;Sworen,J.C.;Wagener,K.B.Tetrahedron,2004,60,10943−10948の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いたRBFに、DCMを35mL、続いて四臭化炭素(Sigma−Aldrich)を3.88gおよびトリフェニルホスフィン(Sigma−Aldrich)を2.56g加えた。反応混合物は、氷浴で0℃まで冷却し、15分後に、10mLのDCMに溶解した化合物F1.06gを5分かけて加えた。さらに2時間後、すなわち反応が完了したことをTLC分析が示したとき、反応混合物を100mLのヘキサンで希釈し、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトを通して500mLのRBFに濾過した。溶液は、Buchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、透明な油として化合物Gを得た。白色の沈殿物が存在する場合、この粗生成物をヘキサンに再溶解させ、1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)上1インチのセライトプラグを通して濾過し、真空下で還元し、97%収率で、>95%純度の透明な油として化合物Gを得た。H NMR(500MHz,CDCI):δ=5.21(t,J=6.8,1H),3.38(t,J=6.8,2H),2.20−2.11(m,6H),1.98−1.90(m,2H),1.77(bs,3H),1.61(s,3H)。
【0174】
中間体Hの合成
【0175】
【化52】
【0176】
化合物Hは、Dixon,T.A.;Steele,K P.;Weber, W.P.J.Organomet.Chem.1982,231,299−305の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた100mLのRBFに、蒸留THFを20mL、続いて削り状マグネシウム(Sigma−Aldrich)を50mg加え、次いでこの混合物を室温で勢いよく撹拌した。5mLの蒸留THFに溶解した化合物G(0.46g、2mmol)をシリンジで一度にフラスコに加え、反応混合物を室温で3時間、すなわちほとんどのマグネシウムが消費されるまで、撹拌した。その後、5mLの蒸留THFに溶解した2mmolの塩化tert−ブチルジフェニルシリル0.5mLをシリンジで一度に加え、室温でさらに3時間、反応を撹拌させておいた。反応混合物は、続いて50mLの飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチさせ、100mLの酢酸エチルで希釈し、次いで分液漏斗に移した。勢いよく振盪してから、二相混合物を分液漏斗で分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、透明な油として粗生成物、化合物Hを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン)による精製で、76%収率で、>95%純度の透明な油として化合物Hを得た。H NMR(300MHz,CDCI):δ=7.79−7.73(m,4H),7.49−7.36(m,6H),5.16(t,J=6.3,1H),2.24−2.09(m,4H),1.96(t,J=7.5,2H),1.78(t, J=2.4,3H),1.60(bs,3H),1.48−1.33(m,2H), 1.14(s,9H),0.87(t,J=7.2,2H)。
【0177】
中間体Iの合成
【0178】
【化53】
【0179】
化合物Iは、Byrne,P.A.;Gilheany,D.G. J.Am. Chem.Soc.,2012,134,9225−9239の方法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下で、乾いた250mLのRBFに、蒸留トルエンを100mL、続いて10mmolの化合物Gを2.28gと20mmolのトリフェニルホスフィン(Sigma−Aldrich)を5.27g加え、次いで反応混合物を室温で撹拌し、TLC分析によってモニターする。完了後、反応混合物をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。残渣は、5:1のヘキサン/酢酸エチルに溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン)で精製し、白色固体になると予想される、化合物Iを得る。
【0180】
中間体Jの合成
【0181】
【化54】
【0182】
化合物Jは、Bliese,M.;Cristiano,D.;Tsanaktsidis,J. Aust.J.Chem.,1997,50,1043−1045の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた1LのRBFに、メタノール(Aldrich、HPLCグレード)を60mL、続いて10mmolの3−メチルシクロペンテノンを0.99mLと9.9mmolのN−ブロモスクシンイミドを1.762g加えた。反応混合物は、氷浴で15分かけて、0℃まで冷却し、その後、濃縮硫酸(0.2当量)を加え、反応混合物を3時間、撹拌し、この時間内に室温まで昇温させた。続いて、飽和炭酸水素ナトリウムを50mLとDCMを40mL加え、混合物を分液漏斗に移した。勢いよく振盪し、次いで、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのDCMを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗で1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのDCMを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、淡黄色の固体として粗生成物、化合物Jを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン)による精製で、85%収率で、>98%純度のクリーム色の結晶として化合物Jを得た。CDCl中のH NMRスペクトルは、これまでに報告されたデータに一致した。(Bliese,M.;Cristiano,D.;Tsanaktsidis,J. Aust.J.Chem.,1997,50,1043−1045を参照されたい。)
【0183】
中間体Kの合成
【0184】
【化55】
【0185】
化合物Kは、Richter,A.;Hedberg,C.;Waldmann,H. J.Org.Chem.,2011,76,6694−6702の方法によって調製した。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた500mLのRBFに、トリメチルオルトアセタート(Aldrich)を200mL、40mmolの化合物Jを7.8gおよび0.2mmolのp−トルエンスルホン酸を38mg加えた。反応混合物を室温で3時間、すなわち反応が完了したことをTLC分析が示すまで撹拌し、生成物を真空下で蒸留して、透明な油として化合物Kを得た。これを冷却して、88%収率で、>96%純度の白色固体に凝固させた。CDCl中のHNMRスペクトルは、これまでに報告されたデータに一致した。(Richter,A.;Hedberg,C.;Waldmann,H. J.Org.Chem.,2011,76,6694−6702を参照されたい。)
【0186】
中間体Lの合成
【0187】
【化56】
【0188】
化合物Lは、McDougal,P.G.;Rico,J.G.;Oh,Y.−I.;Condon,B. J.Org.Chem.,1986,51,3388−3390の手法によって調製した。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた250mLのRBFに、蒸留THFを100mLと、水素化ナトリウム(60%、鉱油に分散;Aldrich)2.1gを加えた。混合物を勢いよく撹拌し、1,3−プロパンジオール(4.0g、50mmol;Aldrich)をシリンジで10分かけて加えた。反応今後物を45分間撹拌させて、塩化tert−ブチルジメチルシリル(7.9g、52.7mmol;Aldrich)を5分かけて少しずつ加えた。次いで、反応混合物を室温でさらに45分間撹拌させてから、20mLの炭酸ナトリウム水溶液でゆっくりとクエンチさせた。次いで、この混合物を分液漏斗に移した。勢いよく振盪させてから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、99%収率で、>95%純度の淡黄色の油として化合物Lを得た。CDCl中のHNMRスペクトルは、これまでに報告されたデータに一致した。(McDougal,P.G.;Rico,J.G.;Oh,Y.−I.;Condon,B. J.Org.Chem.,1986,51,3388−3390を参照されたい。)
【0189】
中間体Mの合成
【0190】
【化57】
【0191】
化合物Mは、Jakobsche,C.E.;Peris,G.;Miller,S. J.Angew.Chemie.,Int.編,2008,47, 6707の手法によって調製した。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた100mLのRBFに、HPLCグレードのDCMを25mL、化合物Lを0.81g(5mmol)、イミダゾール(Aldrich)を0.37g(5.5mmol)、トリフェニルホスフィン(Aldrich)を1.45g(5.5mmol)およびヨウ素(Fisher Chemicals)を1.4g(5.5mmol)加えた。次いで、反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後、ヘキサン(100mL)で希釈し、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと2インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、80%収率で、>95%純度の明るい透明な油として化合物Mを得た。残渣のトリフェニルホスフィンは、上述のように、ヘキサンに再溶解させ、別のセライト/シリカプラグを通して濾過することによって除去することができる。CDCl中のH NMRスペクトルは、これまでに報告されたデータに一致した。(Jakobsche,C.E.;Peris,G.;Miller,S. J.Angew.Chemie.,Int.編,2008,47,6707を参照されたい。)
【0192】
中間体Nの合成
【0193】
【化58】
【0194】
化合物Nは、Smith III,A.B.;Branca,S.J.;Pilla,N.N.;Guaciaro,M.A. J.Org.Chem.,1982,47,1855−1869の手法によって、DMIの代わりにHMPAで適応させて、調製した。(Lo,C−C.;Chao,P.−M.J.Chem.Ecology.,1990,16,3245−3253を参照されたい。)アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた乾いた100mLのRBFに、蒸留THFを25mL加え、次いでこの混合物をドライアイス浴で−78℃まで冷却した。次いで、ヘキサン(Aldrich)に溶解した5.5mmolのn−ブチルリチウム1.6M溶液3.44mLをシリンジで加え、この溶液をさらに15分間撹拌させておいた。次いで、5mLの蒸留THFに化合物K(1.1g、5mmol)を5分かけて加え、反応混合物をさらに1時間,−78℃で撹拌させておいた。その後、3当量の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)(1.71mL、15mmol)を反応混合物に滴下して加え、続いて30分後に、5mLのTHFに溶解した5mmolの化合物M1.36gを10分かけて加えた。次いで、出発物質が完全に消費されたことをTLC分析が示すまで、反応混合物を撹拌させておき、その間−55℃まで温め、続いて25mLの飽和リン酸二水素ナトリウム水溶液でクエンチさせた。次いで、反応混合物を室温まで温め、75mLのエーテルで希釈し、この混合物を分液漏斗に移した。勢いよく振盪し、次いで二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出した。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、淡黄色の油として粗生成物、化合物Nを得た。フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、5:1のヘキサン/酢酸エチル)による精製で、GC−MS.GC−MS:10.57min,m[H]=313.2によって45%収率で、>98%純度の淡黄色の油として化合物Nを得た。
【0195】
中間体Nの組み合わせ合成
「組み合わせ合成」と称することができる、化合物Nの代替混合を以下のスキーム8に示す。
【0196】
スキーム8
【0197】
【化59】
【0198】
スキーム8の5ステップのそれぞれの詳細な説明を以下に示す:
【0199】
(ステップ1)
窒素雰囲気下で、3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン(1.0当量)とMeOH(6.0v)を撹拌しながら反応器に充填する。15〜25℃で、NBS(0.99当量)をバッチ式に充填し、次いでTLCが、反応が完了したことを示すまで、濃縮HSO(0.02当量)を5℃以下で充填する。この系に飽和NaHCO(6.0v)とDCM(4.0v)を充填し、10分間撹拌する。分離し、次いで水相をDCM(2.0v)で2回抽出する。有機層を混合し、塩水(6.0v)で洗浄する。有機層を分離して、収集する。有機層に濃縮HCl(2.5v)を充填し、室温で20時間撹拌し、次いで水層をDCM(2.0v)で2回抽出する。有機層を混合して、塩水(6.0v)で洗浄する。有機層をNaSOで乾燥させる。濾過し、濾液を真空下、30〜35℃で濃縮する。残渣物をPE/ES=0.8v/1.2v中で再結晶化させて、中間体Jの固体生成物を得る。収率は85%であった。
【0200】
(ステップ2)
窒素下で反応器に中間体J(1.0当量)、トリエチルオルトホルマート(3.5当量)、グリコール(7.0当量)およびTsOH(0.01当量)を充填する。20〜25℃で16時間、撹拌する。この系に飽和NaHCO(5.0v)とシクロヘキサン(4.0v)を充填する。10分間撹拌し、次いで分離する。水層をシクロヘキサン(3.0v)で2回抽出して、有機層を混合する。有機層を塩水(4.0v)で洗浄する。NaSOで有機層を乾燥させる。濾過し、濾液を真空下で濃縮する。5mmHg下で、残渣を蒸留して、生成物の中間体Kを得る。収率は88%であった。
【0201】
(ステップ3)
反応器にプロパンジオール(4.0当量)、THF(8.0v)およびイミダゾール(1.0当量)を充填する。TBSCl(1.0当量)を−2〜2℃で滴下して加え、−2〜2℃で2時間撹拌し、次いで20〜25℃で3時間撹拌する。水(10.0v)とEA(5.0v)を系に充填する。10分間撹拌し、次いで分離する。水層をEA(2.0v)で2回抽出し、有機層を混合する。有機層を塩水(4.0v)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。濾過し、真空下で濾液を濃縮して、次のステップで直接使用する、中間体Lの粗生成物を得る。
【0202】
(ステップ4)
粗中間体L(1.0当量)、DCM(10.0v)、イミダゾール(1.5当量)およびPPh(1.5当量)を反応器に充填する。I(1.5当量)を0〜5℃で充填し、0〜5℃で0.5時間撹拌し、次いで20〜25℃で0.5時間撹拌する。水(5.0v)を系に充填し、10分間撹拌する。有機層を分離し、塩水(5.0v)で2回洗浄する。有機層をNaSOで乾燥させる。濾過し、濾液を真空下で濃縮する。残渣をカラムで精製して、中間体Mの油生成物を得る。2段階の収率は80%であった。
【0203】
(ステップ5)
窒素下で中間体K(1.0当量)とTHF(10.0v)を反応器に充填する。系を−78℃以下に冷却する。−70℃以下でn−BuLi(1.5当量)を滴下して充填し、1時間撹拌する。−65℃以下でHMPA(3.0当量)を滴下して充填し、0.5時間撹拌する。−65℃以下でPH−PRV−1301−102(1.0当量)を滴下して充填し、−60〜−50℃で5時間撹拌する。水(20.0v)とEA(5.0v)を充填する。10分間撹拌し、次いで分離する。水層をEA(2.0v)で2回抽出し、有機層を混合する。有機層を塩水(5.0v)で洗浄する。有機層をNaSOで乾燥させる。濾過し、真空下で濾液を濃縮して、中間体Mの粗生成物を得る(粗収率=約96%、純度=約55%)。
【0204】
中間体Oの合成
【0205】
【化60】
【0206】
アルゴン雰囲気下、室温で、スターラーバーを備えた500mLのRBFに、THF(ACSグレード)を150mL、50mmolの化合物Nを15.6gおよびTHFに溶解した1M溶液のテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(Sigma−Aldrich)を100mL加える。反応混合物を室温で4時間、すなわち反応が完了したことをTLC分析が示すまで撹拌し、その後150mLの水と150mLの酢酸エチルを順に加える。次いで、この混合物を分液漏斗に移す。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、化合物Oを得る。
【0207】
中間体Pの合成
【0208】
【化61】
【0209】
化合物Pは、Lubell,W.D.;Jamison,T.F.;Rapoport,H. J.Org.Chem.,1990,55,3511−3522の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下、室温で、スターラーバーを備えた500mLのRBFに、蒸留DCMを200mL、50mmolの化合物Oを9.9g、100mmolのジブロモトリフェニルホスホラン(Sigma−Aldrich)を42.2g加える。反応混合物を室温で撹拌し、TLC分析によってモニターする。最初に氷浴を加えて、発熱を予防してもよい。反応が完了したことをTLC分析が示した時点で、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元して、化合物Pを得る。白色の沈殿物が存在する場合、粗生成物をヘキサンに再溶解させ、1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)上1インチのセライトのプラグを通して濾過し、真空下で還元して、化合物Pを得る。
【0210】
中間体Qの合成
【0211】
【化62】
【0212】
化合物Qは、Lubell,W.D.;Jamison,T.F.;Rapoport,H. J.Org.Chem.,1990,55,3511−3522およびByrne,P.A.;Gilheany,D.G.J.Am.Chem.Soc.,2012,134,9225−9239の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下、室温で、スターラーバーを備えた500mLのRBFに、蒸留DCMを200mL、50mmolの化合物Oを9.9g、100mmolのジブロモトリフェニルホスホラン(Sigma−Aldrich)を42.2g加える。反応混合物を室温で撹拌し、TLC分析によってモニターする。最初に氷浴を加えて、発熱を予防してもよい。反応が完了したことをTLC分析が示した時点で、反応混合物をBuchiロータリーエバポレーターに直接移し、真空下で還元する。残渣は200mLのACSグレードのトルエンに溶解し、100mmolのトリフェニルホスフィンを26.2g加える。反応混合物をさらに24時間、すなわち反応が完了したことをTLC分析が示すまで撹拌する。次いで、反応混合物をBuchiロータリーエバポレーターに直接移し、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Qを得る。
【0213】
中間体Rの合成
【0214】
【化63】
【0215】
化合物Rは、Dixon,T.A.;Steele,K.P.;Weber, W.P. J.Organomet.Chem.1982,231,299−305の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下で、マグネチックスターラーバーを備えた乾いた250mLのRBFに、蒸留THFを100mL、続いて20mmolの削り状マグネシウム(Sigma−Aldrich)を0.48g加え、次いでこの混合物を室温で勢いよく撹拌する。10mLの蒸留THFに溶解した化合物P(4.96g、19mmol)をシリンジで一度にフラスコに加え、反応混合物を室温で3時間、すなわちほとんどのマグネシウムが消費されるまで撹拌する。その後、10mLの蒸留THFに溶解した21mmolの塩化tert−ブチルジフェニルシリル4.47mLをシリンジで一度に加え、室温でさらに3時間、反応を撹拌させておく。反応混合物は、続いて50mLの飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチさせ、100mLの酢酸エチルで希釈し、次いで分液漏斗に移す。勢いよく振盪し、次いで二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグと1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)を通して500mLのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Rを得る。
【0216】
中間体Sの合成
【0217】
【化64】
【0218】
化合物Sは、Miyata,0.;Muroya,K.;Kobayashi, T.;Yamanaka,R.;Kajisa,S.;Koide,J.;Naito,T. Tetrahedron,2002,58,4459−4479の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた250mLのRBFに、蒸留DCMを40mLと9mmolの塩化シュウ酸(Sigma−Aldrich)を0.77mL加え、次いでこの混合物をドライアイス浴で−78℃まで冷却した。次いで、17.6mmolのジメチルスルホキシド(Sigma−Aldrich)1.25mLをシリンジで滴下しながら加え、反応混合物をさらに10分間撹拌する。その後、4.5mmolの化合物N0.87gを10mLのDCMに溶解させた溶液をシリンジで加え、反応混合物をさらに15分間撹拌し、その後トリエチルアミン(Sigma−Aldrich)2.5mLをシリンジで5分かけて加える。反応混合物をさらに15分間撹拌して、0℃まで温める。反応が完了したことをTLC分析が示した後、混合物をシリカゲルカラム(シリカゲル60、EMD)の上に直接移して、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)によって化合物Sを単離する。
【0219】
中間体Tの合成(中間体EとQから)
【0220】
【化65】
【0221】
化合物Tは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた250mLのRBFに、蒸留THFを100mLと20mmolの化合物Qを10.44g加える。次いで、生じた溶液をジブチルエーテル(Sigma−Aldrich)に溶解した20mmolの1.8Mフェニルリチウム11.11mLで処理し、15分後、ドライアイス浴で−78℃まで冷却する。さらに15分後、5mLの脱水THFに溶解した20mmolの化合物E2.68gをシリンジで加え、装置をクリオスタットに移して反応混合物を−30℃まで温める。次いで、温度を−30℃で維持して、1.8Mフェニルリチウムの第2の等量を加え、続いて過剰メタノールを加える。5分間撹拌した後に、反応混合物を室温まで戻し、40mLの水を加え、反応混合物を1Lの分液漏斗に移し、200mLの酢酸エチルを加える。勢いよく振盪し、次いで二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Tを得る。
【0222】
中間体Tの合成(中間体IとSから)
【0223】
【化66】
【0224】
化合物Tは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93,4332−4334の手法を応用し、異なる出発物質で調製することもできる。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた250mLのRBFに、蒸留THFを100mLと20mmolの化合物Iを7.76g加える。次いで、生じた溶液をジブチルエーテル(Sigma−Aldrich)に溶解した20mmolの1.8Mフェニルリチウム11.11mLで処理し、15分後、ドライアイス浴で−78℃まで冷却する。さらに15分後、5mLの脱水THFに溶解した20mmolの化合物S3.92gをシリンジで加え、装置をクリオスタットに移して反応混合物を−30℃まで温める。次いで、温度を−30℃で維持して、1.8Mフェニルリチウムの第2の等量を加え、続いて過剰メタノールを加える。5分間撹拌した後に、反応混合物を室温まで戻し、40mLの水を加え、反応混合物を1Lの分液漏斗に移して、200mLの酢酸エチルを加える。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Tを得る。
【0225】
中間体Tの合成(中間体HとSから)
【0226】
【化67】
【0227】
化合物Tは、W.Adam,C.M.Ortega−Schulte,Synlett,2003,414−416およびA.Barbero,Y.Blanco,C.Garcia, Synthesis,2000,1223−1228の手法を応用して調製できる。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた250mLのRBFに、蒸留THF100mLと20mmolの化合物H9.82gを加える。次いで、生じた溶液をドライアイス浴で−78℃まで冷却し、シクロヘキサン(Sigma−Aldrich)に溶解した20mmolの1.4Msec−ブチルリチウム14.29mLを5分かけて加える。さらに45分後、5mLの脱水THFに溶解した20mmolの化合物S3.92gをシリンジで加え、装置をクリオスタットに移して反応混合物を室温まで温める。さらに2時間撹拌した後に、反応混合物を150mLのエーテルで希釈し、次いで40mLの水を加え、反応混合物を1Lの分液漏斗に移す。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Tを得る。
【0228】
中間体Tの合成(中間体EとRから)
【0229】
【化68】
【0230】
化合物Tは、W.Adam,C.M.Ortega−Schulte,Synlett,2003,414−416およびA.Barbero,Y.Blanco,C.Garcia,Synthesis,2000,1223−1228の手法を応用し、異なる出発物質で調製することもできる。アルゴン雰囲気下、室温で、乾いた250mLのRBFに、蒸留THF100mLと20mmolの化合物R8.4gを加える。次いで、生じた溶液をドライアイス浴で−78℃まで冷却し、シクロヘキサン(Sigma−Aldrich)に溶解した20mmolの1.4Msec−ブチルリチウム14.29mLを5分かけて加える。さらに45分後、5mLの脱水THFに溶解した20mmolの化合物E2.68gをシリンジで加え、反応混合物を室温まで温める。さらに2時間撹拌した後に、反応混合物を150mLのエーテルで希釈し、次いで40mLの水を加え、反応混合物を1Lの分液漏斗に移す。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、化合物Tを得る。
【0231】
中間体Uの合成
【0232】
【化69】
【0233】
化合物Uは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93, 4332−4334の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下、室温で、スターラーバーを備えた乾いた250mLのRBFに、蒸留エーテル100mLと20mmolの化合物T5.68gを加える。次いで、生じた溶液を室温で、エーテル(Sigma−Aldrich)に溶解した40mmolの1.6Mメチルリチウム25mLで処理し、反応混合物をTLC分析によってモニターする。すべての出発物質が消費された時点で、反応混合物を25mLの飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、1Lの分液漏斗に移して、200mLのエーテルをさらに加える。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元し、安定性の理由で、さらに精製せずに、粗留アルコールを使用する。このように、アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた500mLのRBF中で、蒸留ジクロロエタン(DCE)200mLに粗留アルコールを溶解し、それに炭酸エチレン59.5gを加える。次いで、この混合物を氷浴で0℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸37mLをシリンジで加える。反応混合物を3時間撹拌してから、メタノール水溶液(50mL)に溶解した過剰炭酸カリウムを加えて、反応混合物を1Lの分液漏斗に移す。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、ラミセ混合物として化合物Uを得る。
【0234】
ent−プロゲステロンの合成(中間体Uから)
【0235】
【化70】
【0236】
ステップiは、Yang,D.;Zhang,C.J. Org.Chem.,2001,66,4814−4818の手順を応用して調製することができ、ステップiiは、Johnson,W.S.;Gravestock,M.B.; McCarry,B.E. J.Am.Chem.Soc.,1971,93, 4332−4334の手法を応用して調製することができる。アルゴン雰囲気下、室温で、スターラーバーを備えた250mLのRBFに、DCE/HOの1:1混合を100mL、20mmolの化合物Uを5.68g、0.7mmolの塩化ルテニウム(III)(Sigma−Aldrich)を0.145gおよび40mmolの過ヨウ素酸ナトリウム(Sigma−Aldrich)を8.56g加える。反応混合物を室温で撹拌し、TLC分析によってモニターする。完了後、反応混合物を100mLのエーテルで希釈し、500mLの分液漏斗に移し、エーテルをさらに加える。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLのエーテルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式漏斗を用い、1インチのフラッシュシリカ(シリカゲル60、EMD)上の1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLのエーテルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元し、さらに精製せずに、粗製トリケトンを使用する。このように、アルゴン雰囲気下で、スターラーバーを備えた100mLのRBF中室温で、粗製トリケトンを50mLの5:2の水/5%水酸化カリウム溶液で20時間処理する。その後、酢酸エチル100mLを反応混合物に加え、次いでそれを1Lの分液漏斗に移す。勢いよく振盪してから、二相混合物を分離し、水相をさらに、50mLの酢酸エチルを2度用いて抽出する。次いで、混合した有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で、100mLの焼結式で1インチのセライトプラグを通して1LのRBFに濾過し、硫酸ナトリウム残渣をさらに50mLの酢酸エチルを用いて洗浄する。次いで、収集した溶液をBuchiロータリーエバポレーター上、真空下で還元する。次いで、残渣をヘキサン/酢酸エチルの5:1混合物に溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカゲル60、EMD、ヘキサン/酢酸エチル溶媒系)で精製して、ラミセ体プロゲステロンを得る。続いて、これらのエナンチオマーをキラルHPLCで分離して、ent−プロゲステロンを得る。
【0237】
引用文献
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【0238】
参照による取込み
本明細書に引用した公開された特許出願のすべての特許および他の引用文献の全内容は、参照によってその全体を本明細書に明示的に組み込む。
【0239】
均等物
当業者は、日常の実験法だけを用いて、本明細書に記述した特定の方法の種々の均等物を認識する、または確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、以下の特許請求の範囲によって包含される。
【国際調査報告】