特表2016-519249(P2016-519249A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-519249(P2016-519249A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(54)【発明の名称】燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 45/08 20060101AFI20160603BHJP
   F02M 43/04 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 47/00 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 51/06 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 61/04 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 61/10 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 67/14 20060101ALI20160603BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20160603BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20160603BHJP
【FI】
   F02M45/08 A
   F02M43/04
   F02M47/00 C
   F02M51/06 K
   F02M61/04 C
   F02M61/04 G
   F02M61/10 A
   F02M61/10 C
   F02M67/14
   F02M21/02 L
   F02B43/00 A
   F02M21/02 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-514226(P2016-514226)
(86)(22)【出願日】2014年5月21日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】CA2014050468
(87)【国際公開番号】WO2014186891
(87)【国際公開日】20141127
(31)【優先権主張番号】1309118.6
(32)【優先日】2013年5月21日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513037443
【氏名又は名称】ウェストポート パワー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WESTPORT POWER INC.
(71)【出願人】
【識別番号】514002684
【氏名又は名称】デルフィ・インターナショナル・オペレーションズ・ルクセンブルク・エス・アー・エール・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミーク,ジョージ エー.
(72)【発明者】
【氏名】パンザー,ラクビル
(72)【発明者】
【氏名】ウィックストーン,マイケル コリン
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AB05
3G066AB06
3G066BA67
3G066CC01
3G066CC12
3G066CC14
3G066CE22
(57)【要約】
内燃機関のための燃料噴射装置、好適には、二元燃料噴射装置を開示する。燃料噴射装置は、第1および第2の燃料の噴射を制御するように構成される第1および第2の弁ニードル(80、100)と、それぞれ第1および第2の弁ニードル(80、100)と関連する第1および第2の制御室(88、10)と、第1の制御弁部材(48)を備え、第1の弁ニードル(80)の開放および閉鎖動作を起こすように第1の制御室(88)の制御流体の圧力を変化させるように構成される第1の制御弁(26)と、第2の制御弁部材(60)を備え、第2の弁ニードル(100)の開放および閉鎖動作を起こすように第2の制御室(110)の制御流体10の圧力を変化させるように構成される第2の制御弁(28)とを備える。第1および第2の制御弁部材(48、60)は、共通制御弁軸に沿って直線動作するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための燃料噴射装置(10)であって、
第1および第2の燃料の噴射を制御するように構成される第1および第2の弁ニードル(80、100)と、
前記第1および第2の弁ニードル(80、100)とそれぞれ関連する第1および第2の制御室(88、110)と、
第1の制御弁部材(48)を備え、前記第1の弁ニードル(80)の開放および閉鎖動作を起こすように前記第1の制御室(88)の制御流体の圧力を変化させるように構成される第1の制御弁(26)と、
第2の制御弁部材(60)を備え、前記第2の弁ニードル(100)の開放および閉鎖動作を起こすように前記第2の制御室(110)の前記制御流体圧力を変化させるように構成される第2の制御弁(28)と、
を備え、
前記第1および第2の制御弁部材(48、60)が、共通制御弁軸に沿って直線動作するように構成される、
燃料噴射装置(10)。
【請求項2】
前記第1の燃料が気体燃料であり、前記第2の燃料が液体燃料である、請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項3】
前記制御流体が前記第2の燃料である、請求項2に記載の燃料噴射装置。
【請求項4】
前記第1および第2の制御弁(26、28)のうちの少なくとも1つが、前記噴射装置(10)の略円筒形の本体部分(42、44、46)内に収容される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項5】
前記第1および前記第2の制御弁(26、28)の両方とも前記噴射装置(10)の前記本体部分(42、44、46)内に収容される、請求項4に記載の燃料噴射装置。
【請求項6】
前記噴射装置(10)の前記本体部分(42、44、46)が、使用の際、前記機関のシリンダヘッド孔内に嵌るように構成される、請求項4または5に記載の燃料噴射装置。
【請求項7】
前記制御弁部材(48、60)が実質的に液圧平衡形である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項8】
前記第1の弁ニードル(80)が、前記第2の弁ニードル(100)を受容するための孔を備え、前記第1および第2の弁ニードル(80、100)が、共通弁ニードル軸に沿って移動可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項9】
前記制御弁軸を、前記弁ニードル軸と平行にオフセットさせる、請求項8に記載の燃料噴射装置。
【請求項10】
共通コア部材(30)と、前記第1の制御弁(26)を作動させるための第1のソレノイドコイル(38)と、前記第2の制御弁(28)を作動させるための第2のソレノイドコイル(40)とを含む制御弁アセンブリ(24)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項11】
前記第1の制御弁部材(48)および前記第2の制御弁部材(60)が、それぞれ、前記それぞれの制御弁部材(48、60)が弁座上に座して、前記それぞれの制御室(88、110)および低圧ドレーンの間における前記制御流体の連絡を阻止する充填位置と、それぞれの制御弁部材(48、60)が弁座から持ち上げられて、それぞれの制御室(88、110)および低圧ドレーンの間における連絡を可能にする排出位置との間で移動可能である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項12】
前記第1の弁部材(48)が、その充填位置からその排出位置まで第1の方向に移動可能であり、前記第2の弁部材(60)が、その充填位置からその排出位置まで前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動可能である、請求項11に記載の燃料噴射装置。
【請求項13】
前記第1の制御弁部材(48)が、前記第2の制御弁部材(60)よりも大きい直径を有する、請求項11または12に記載の燃料噴射装置。
【請求項14】
前記第1の制御弁(26)が、制御流体の供給源から前記第1の制御室(88)への流体の流れを調整するように構成されて、前記第1の制御弁部材(48)がその充填位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第1の制御室(88)へ流体が流れることができるようにし、前記第1の制御弁部材(48)がその排出位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第1の制御室(88)へ流体が流れるのを阻止するようにする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項15】
前記第2の制御弁(28)が、制御流体の供給源から前記第2の制御室(110)への流体の流れを調整するように構成されて、前記第2の制御弁部材(60)がその充填位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第2の制御室(110)へ流体が流れることができるようにし、前記第2の制御弁部材(60)がその排出位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第2の制御室(110)へ流体が流れるのを阻止するようにする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関内への2つの異なる燃料の供給制御に好適な燃料噴射装置に関する。限定するものではないが具体的には、本発明は、気体燃料および液体燃料の噴射に好適な燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型用途および産業用途のための内燃機関は、典型的には、ディーゼル燃料を燃料としている。しかしながら、ディーゼルに代わるものとして天然ガスを使用することへの関心が高まっている。天然ガスは、比較的に豊富かつ比較的廉価であり、さらに、原則として、ディーゼルと同程度の出力レベルを提供するが、微粒子および窒素酸化物(NOx)排出がより少ない。
【0003】
シリンダ内で空気および燃料の混合物を圧縮することにより燃料の燃焼が起こる圧縮着火機関の燃料として、ディーゼル燃料の代わりに天然ガスを使用することができる。しかしながら、ディーゼル燃料よりも天然ガスの自着火温度が高いことから、天然ガスを燃焼室に導入する前に、ディーゼル燃料をパイロット噴射して燃焼を引き起こすことが必要となり得る。
【0004】
高圧直噴(HPDI)エンジンとして知られる、1つのタイプの天然ガスエンジンでは、天然ガスおよびディーゼル燃料の両方を燃焼室内に直接噴射する。エンジンのシリンダヘッドにおける空間的制約のため、シリンダ毎に1つの燃料噴射装置を用いて両方の燃料を噴射することが望ましい。このためには、噴射装置内において2つの燃料を別々に分けておき、それぞれの燃料を適切な時間に独立に供給するように特別に構成される燃料噴射装置が必要となる。
【0005】
1つのそのような「二元燃料」噴射装置が、国際公開第00/15956号に説明されている。この例では、同軸2本ノズル構成を有する燃料噴射装置が提供されている。内側および外側の弁ニードルは、その下端部でそれぞれの弁座と係合可能であって、それぞれの内側および外側の出口群を通る燃料の流れを制御する。外側弁ニードルは、外側出口群を通る天然ガスの噴射を制御し、内側弁ニードルは、内側出口群を通るディーゼル燃料の噴射を制御する。外側弁ニードルは、内側弁ニードルを収容するように管状であり、外側弁ニードルの先端には、内側出口群が形成される。
【0006】
内側および外側の弁ニードルは、2つの電磁制御弁によって独立に制御され、2つの電磁制御弁は、内側および外側の弁ニードルのためのそれぞれの制御室内の制御流体(通常、ディーゼル燃料)の圧力を制御するように構成されている。制御室は、それぞれのニードルの上端部を受容し、これにより、各制御室における制御流体の圧力を変えることにより、対応するニードルにかかる下向きの(閉鎖)力が変わる。ガスまたはディーゼル燃料の圧力は、それぞれのニードルの下向きのスラスト面に作用して、上向きの(開放)力をニードルに生じさせる。制御室にある制御流体の圧力が比較的高い場合、下向きの力が上向きの力を上回り、それぞれのニードルは座したままとなり、また制御流体の圧力が比較的低い場合、上向きの力が下向きの力に打ち勝ち、それぞれのニードルが開放して、それぞれの出口群を通る燃料噴射を可能にする。
【0007】
各制御室は、比較的高圧で制御流体の供給源に接続されている。各制御弁は、それぞれの制御室を、制御流体のための低圧ドレーンに接続するように動作可能である。このようにして、各制御弁を開放することにより、対応する制御室において制御流体の圧力を低下させ、対応する弁ニードルを開放する。
【0008】
噴射装置は、エンジンのシリンダヘッドにある孔に設置される。噴射装置の本体は孔を通って延び、噴射装置の先端がそれぞれの燃焼室内に突き出る。シリンダヘッドの孔の最大直径、ひいては噴射装置の本体の直径は、シリンダヘッド内の利用可能な限られた空間によって制約を受ける。制御弁を作動するために使用される電磁アクチュエータは、一般に、噴射装置の本体に収容するには大きすぎる。代わりに、アクチュエータおよび制御弁は、典型的には、燃料噴射装置の頂部に横に並べた構成で設置されるため、シリンダヘッドの上方に突き出る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、このタイプの噴射装置の頂端部は、比較的嵩高くなり、シリンダヘッドの上方領域において場所を取る。燃料レールおよび他のエンジン構成要素のために追加の空間を生み出すために、噴射装置がシリンダヘッド上方で占める場所を減らすことが望ましい。この背景に対して本発明を考案している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様から、本発明は、内燃機関のための燃料噴射装置にあり、燃料噴射装置は、第1および第2の燃料の噴射を制御するように構成される第1および第2の弁ニードルと、それぞれ第1および第2の弁ニードルと関連する第1および第2の制御室と、第1の制御弁部材を備え、第1の弁ニードルの開放および閉鎖動作を起こすように第1の制御室の制御流体の圧力を変化させるように構成される第1の制御弁と、第2の制御弁部材を備え、第2の弁ニードルの開放および閉鎖動作を起こすように第2の制御室の制御流体の圧力を変化させるように構成される第2の制御弁とを備える。第1および第2の制御弁部材は、共通制御弁軸に沿って直線動作するように構成される。
【0011】
第1および第2の制御弁部材が共通制御弁軸に沿って位置合わせされるように第1および第2の制御弁を配置することによって、2つの異なる燃料を噴射可能である既知の噴射装置よりも空間効率の良い構成で制御弁を設置することができる。
【0012】
第1の燃料は気体燃料であり、第2の燃料は液体燃料であることが好ましい。例えば、第1の燃料は天然ガスであってもよく、第2の燃料はディーゼル燃料であってもよい。制御流体は、第1の燃料であってもよいし、あるいは第2の燃料であってもよい。制御流体は、ディーゼル燃料であることが好ましい。
【0013】
第1および第2の制御弁のうちの少なくとも1つを、噴射装置の略円筒形の本体部分内に収容してもよい。一実施形態では、噴射装置の本体部分内に第1および第2の制御弁の両方を収容してもよい。噴射装置の本体部分を、使用の際、エンジンのシリンダヘッド孔内に嵌るように構成することが好ましい。このようにして、シリンダヘッド孔内に入る噴射装置の部分内に制御弁のうちの一方または両方を収容することができ、噴射装置がシリンダヘッドの上方に占める空間を減らす。
【0014】
制御弁部材が実質的に液圧平衡形であることが好ましい。このようにして、制御弁部材を動かすのに必要な力が比較的小さいため、制御弁を比較的小さいアクチュエータで動作させることができ、それによって、制御弁のサイズを小さくすることができる。
【0015】
一実施形態では、第1の弁ニードルは、第2の弁ニードルを受容するための孔を備え、第1および第2の弁ニードルは、共通弁ニードル軸に沿って移動可能である。制御弁軸を弁ニードル軸と平行にオフセットさせてもよい。
【0016】
制御弁はソレノイド作動式であってもよい。好都合なことに、燃料噴射装置は、共通コア部材と、第1の制御弁を作動させるための第1のソレノイドコイルと、第2の制御弁を作動させるための第2のソレノイドコイルとを含む制御弁アセンブリを備えてもよい。2つの制御弁の間で共有される共通コア部材を設けることによって、制御弁が占める空間をさらに小さくすることができる。
【0017】
一実施形態では、第1の制御弁部材および第2の制御弁部材は、それぞれ、それぞれの制御弁部材が弁座上に座して、それぞれの制御室および低圧ドレーンの間における制御流体の連絡を阻止する充填位置と、それぞれの制御弁部材が弁座から持ち上げられて、それぞれの制御室および低圧ドレーンの間における連絡を可能にする排出位置との間で移動可能である。
【0018】
第1の弁部材は、その充填位置からその排出位置まで第1の方向に移動可能であってもよく、第2の弁部材は、その充填位置からその排出位置まで第1の方向とは反対の第2の方向に移動可能であってもよい。
【0019】
一実施形態では、第1の制御弁部材は、第2の制御弁部材よりも直径が大きい。それに応じて、第1の制御室の容積も、第2の制御室の容積よりも大きい。
【0020】
第1の制御弁は、制御流体の供給源から第1の制御室への流体の流れを調整するように構成されて、第1の制御弁部材がその充填位置にある場合、制御流体の供給源から第1の制御室へ流体が流れることができるようにし、第1の制御弁部材がその排出位置にある場合、制御流体の供給源から第1の制御室へ流体が流れるのを阻止するようにしてもよい。
【0021】
代替的または追加的に、第2の制御弁は、制御流体の供給源から第2の制御室への流体の流れを調整するように構成されて、第2の制御弁部材がその充填位置にある場合、制御流体の供給源から第2の制御室へ流体が流れることができるようにし、第2の制御弁部材がその排出位置にある場合、制御流体の供給源から第2の制御室へ流体が流れるのを阻止するようにしてもよい。
【0022】
ここで、本発明を、添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。図面において、類似の参照番号は、類似の特徴に対して使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による燃料噴射装置の側面図である。
図2図1の燃料噴射装置の部分横断側面図である。
図3図1の燃料噴射装置の一部の断面図である。
図4図1の燃料噴射装置の一部の斜視図である。
図5】本発明による別の燃料噴射装置の一部の概略図である。
図6図6(a)、図6(b)および図6(c)は、本発明の3つの変形による燃料噴射装置の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2を参照すると、本発明による燃料噴射装置10の形状は、概して細長い。燃料噴射装置10は、ノズルホルダとしても知られる噴射装置本体12と、ノズル本体14とを備える。噴射装置本体12およびノズル本体14は、端部を合わせた構成で、キャップナット16によって結び付けられ、キャップナット16は、噴射装置キャップ部分17の下端部と螺合係合する。
【0025】
ノズル本体14の先端領域18は、外側出口群20と内側出口22とを含む。以下に詳述するように、外側出口群20を通しての第1の燃料の噴射は、第1または外側弁ニードル(図1および図2に示さず)によって制御され、内側出口22を通しての第2の燃料の噴射は、第2または内側弁ニードル(図1および図2に示さず)によって制御される。
【0026】
図2に最も明確に示されているように、噴射装置本体12は、略円筒形である。噴射装置本体12は、制御弁アセンブリ24を備える。これについては、別途図3および図4に詳細に示す。
【0027】
制御弁アセンブリ24は、概略的に26で示される第1の制御弁と、概略的に28で示される第2の制御弁とを備える。第1および第2の制御弁26、28は両方とも電磁的に作動され、共通ソレノイドコア部材30を共有する。コア部材30は、第1の略管状磁極片32と、第2の略管状磁極片34とを形成するような形にされる。第1および第2の磁極片32、34は、環状の外向きフランジ36から反対方向に延びる。第1のソレノイドコイル38は、第1の磁極片32の周囲に配置され、第2のソレノイドコイル40は、第2の磁極片34の周囲に配置される。
【0028】
コア部材30ならびに第1および第2のコイル38、40は、略管状中間噴射装置本体部分42内に収容される。中間噴射装置本体部分42は、その上端部では、略円筒形の上部噴射装置本体部分44によって、またその下端部では、下部噴射装置本体部分46によって閉鎖される。下部噴射装置本体部分46は、円錐台形の上部領域および円筒形の下部領域を有する。
【0029】
第1の制御弁26は、上部噴射装置本体部分44における孔49に摺動可能に受容される制御弁部材48(以下、第1の制御弁部材という)を含む。第1の制御弁部材48は、上部噴射装置本体部分44の下面における凹部52に収容された円盤状電機子50に取り付けられる。このようにして、電機子50は、コア部材30の第1の磁極片32の上端部に隣接して配置される。磁極リング54は、第1のコイル38の周縁の周囲に配置させて、磁極リング54が第1の制御弁26の外側磁極として働くようにする。
【0030】
第1の制御弁部材48は、充填位置として知られる第1の位置に第1の付勢ばね56によって付勢される。第1の付勢ばね56は、一方の端部で、制御弁部材48と係合し、他方の端部で、第1および第2の磁極片32、34の孔を隔てる、コア部材30の腹板58により支持される。第1のコイル38を励磁すると、電機子50は、第1の磁極片32に向けて移動し、第1の制御弁部材48を排出位置として知られる第2の位置に引き寄せる。図3の向きにおいて、充填位置から排出位置に切り替わる際、第1の制御弁部材48は、コア部材30に向けて下向きに動く。
【0031】
同様に、第1の制御弁28もまた、下部噴射装置本体部分46における孔62に摺動可能に受容される制御弁部材60(以下、第2の制御弁部材という)を含む。第2の制御弁部材60は、下部噴射装置本体部分46の上面における凹部66に収容された円盤状電機子64に取り付けられる。したがって、電機子64は、コア部材30の第2の磁極片34の下端部に隣接して配置される。この実施形態では、第2の制御弁28の電機子64の直径は、第2の磁極片34の直径と類似し、第2の制御弁28には外側磁極を設けない。
【0032】
第2の制御弁部材60は、充填位置として知られる第1の位置に第2の付勢ばね68によって付勢される。第2の付勢ばね68は、一方の端部で、第2の制御弁部材60と係合し、他方の端部で、コア部材30の腹板58により支持される。第2のコイル40を励磁すると、第2の制御弁28の電機子64は、第2の磁極片34に向けて移動し、第2の制御弁部材60を排出位置として知られる第2の位置に引き寄せる。
【0033】
図3の向きにおいて、充填位置から排出位置に切り替わる際、第2の制御弁部材60は、コア部材30に向けて上向きに動く。したがって、各制御弁部材48、60がそのそれぞれの充填位置からそのそれぞれの排出位置まで動く場合、第2の制御弁部材60は、第1の制御弁部材48とは反対方向に動く。
【0034】
第1および第2の制御弁部材48、60は、制御弁軸として知られる共通軸に沿って配置される。図2に最も明確に示されているように、制御弁軸は、ノズル本体14の軸、したがって、内側および外側の弁ニードル(図2に示さず)が沿って移動可能な軸から径方向にオフセットさせている。
【0035】
第1および第2のコイル38、40は、電子的制御装置(図示せず)によって独立に制御される。コイル38、40のそれぞれへの電気接続は、中間噴射装置本体部分42にコア部材30沿いに収容された内部コネクタ70を介してなされる。孔72は、上部噴射装置本体部分44および中間噴射装置本体部分42を通って延びて、電気コネクタ(図示せず)を受容する。孔72は、中間噴射装置本体部分42および上部噴射装置本体部分44の壁の比較的厚肉の部分を通って延び、厚肉部分は、制御弁軸の位置をオフセットした結果形成されたものである。
【0036】
図5は、本発明の別の実施形態による噴射装置における、制御弁アセンブリ24と、ノズル本体14内の構成要素と、外部接続との間の流体接続の概略図である。明確にするために、図5では制御弁アセンブリ24のうちの多くの特徴を省略し、第1および第2の制御弁部材48、60のみを示す。図5の噴射装置は、図1図4を参照して説明した噴射装置に概して類似しており、以下に詳述されていない特徴の説明については、先の説明を参照されたい。
【0037】
この実施形態では、ノズル本体14の先端領域18には、円形の開口18aが設けられ、開口18aを通して管状外側弁ニードル80が突出している。外側弁ニードル80は、座部領域82と係合可能であって、座部領域82の下流にある外側出口群(図示せず)を通る第1の燃料の流れを制御する。ノズル本体14の下部部分では、外側弁ニードル80の周囲に、第1の燃料のための環状アキュムレータ空間84が配置される。外側弁ニードルがその座部領域82と係合した場合、アキュムレータ空間84から外側出口群を通る燃料の流れが妨げられ、外側弁ニードル80がその座部領域82から持ち上げられた場合、燃料は、噴射のために、アキュムレータ空間84から外側出口群を通ってエンジンの燃焼室内へと通り抜けることができる。
【0038】
第1の燃料は、ノズル本体14の壁にある供給路86によってアキュムレータ空間84に供給される。噴射装置が使用の際にシリンダヘッド(図示せず)に設置された場合、供給路86は、第1の燃料を噴射装置に供給するシリンダヘッドの孔に位置合わせされる。
【0039】
第1の制御室88の制御流体の圧力を変えることにより、外側弁ニードル80の動作を液圧制御する。第1の制御室は、ノズル本体14において外側弁ニードル80の上端部に配置される。外側弁ニードル80の上面は、第1の制御室88の流体圧力にさらされる。
【0040】
制御流体は、第1の制御流体入口路90を通して第1の制御室88に入ることができる。第1の制御流体入口路90は、制限されたオリフィスまたは絞り弁90aを含み、これは、第1の制御室88内へと制御流体が流れる際に、制御流体の流量を制限するように機能する。
【0041】
さらに図4を参照すると、第1の制御室88は、第1の供給経路92によって第1の制御弁26に接続され、第1の供給経路92は、ノズル本体14、下部噴射装置本体部分46、中間噴射装置本体部分42および上部噴射装置本体部分44を通って延びる一連の相互接続する削孔を備える。供給経路92は、第1の制御弁48の上端部98の周囲に配置された環状弁室93と接続される。
【0042】
再び図5を参照すると、制御流体供給経路94は、ノズル本体14、下部噴射装置本体部分46、中間噴射装置本体部分42および上部噴射装置本体部分44を通って延びる、さらなる一連の相互接続する削孔を備える。制御流体供給経路94は、ノズル本体14にある第2の制御流体入口路96に接続される。噴射装置を設置した場合、第1および第2の制御流体入口通路90、96は、シリンダヘッド孔(図示せず)の孔から比較的高圧で制御流体を受容する。
【0043】
制御流体供給経路94の枝路94aは、第1の制御弁部材48と関連する孔に制御流体を供給する。第1の制御弁部材48は、第1の制御弁孔49の座部領域(図示せず)と係合可能な肩部(図示せず)を含んで、第1の制御弁部材48の第1の座部を形成する。第1の制御弁部材48の端部98は、噴射装置キャップ部分17の下面に画定された座部領域と係合可能であって(図1および図4も参照)、第1の制御弁部材48の第2の座部を形成する。噴射装置キャップ部分17に形成された排出路(図3の95に示す)は、第2の座部の下流に設けられる。排出路は、制御流体のための低圧ドレーンに接続される。
【0044】
第1の制御弁部材48がその充填位置にある場合、肩部がその座部領域から係脱し、制御流体が、第1の座部を過ぎ、孔から環状室93内へ、また第1の供給経路92を通って第1の制御室88まで流れることができるようになる。同時に、第1の制御弁部材48の端部98がその座部領域と係合し、その結果、制御流体が、第2の座部を過ぎて環状室93から排出路95内へ流れることができなくなる。このようにして、制御室88は、比較的高圧で制御流体によって充填される。外側弁ニードル80に作用する結果として得られる力は、外側弁ニードル80を座したままに保つのに十分であり、それによって、第1の燃料が噴射装置から噴射されるのを阻止する。
【0045】
第1のコイル38が励磁されて、第1の制御弁部材48をその排出位置に動かすと、肩部がその座部領域と係合して、第1の供給経路92内への制御流体の流れを第1の座部で止める。同時に、第1の制御弁部材48の端部98は、その座部領域から係脱して、第1の供給経路92にある制御流体が低圧ドレーンへと流れることができるようにする。第1の制御室88からドレーンへの制御流体の流出量は、第1の制御流体入口路90から第1の制御室88への制御流体の流入量を上回り、これは絞り弁90aの働きによる。このようにして、第1の制御室88における制御流体の圧力が下がり、外側弁ニードル80がその座部から持ち上がり、アキュムレータ空間84にある第1の燃料を外側出口群を通して噴射できるようにする。
【0046】
第1の燃料の噴射を停止するには、第1のコイル38の励磁を停止して、第1の制御弁部材48がその充填位置に移動して戻るようにする。第1の制御室88における制御流体の圧力が再び上昇し、外側弁ニードル80をその閉鎖位置に押しやる。第1の制御室88に戻しばね99を収容して、噴射装置が動作していない場合に外側弁ニードル80を座したままに保つ追加的な閉鎖力を外側弁ニードル80に与える。
【0047】
管状外側弁ニードル80の孔内に内側弁ニードル100を収容し、これにより、内側および外側の弁ニードル100、80を共通の弁ニードル軸に沿って配置する。内側弁ニードル100は、座部領域80aと外側弁ニードル80の先端で係合可能であって、外側弁ニードル80の先端にある内側オリフィスまたはオリフィス群(図示せず)を通る第2の燃料の流れを制御する。
【0048】
第2の燃料のための環状アキュムレータ空間102は、内側弁ニードル100および外側弁ニードル80の間に配置される。内側弁ニードルがその座部領域80aと係合した場合、アキュムレータ空間102からオリフィスを通る燃料の流れが妨げられ、内側弁ニードル100がその座部領域80aから持ち上げられた場合、燃料は、噴射のために、アキュムレータ空間102からオリフィスを通ってエンジンの燃焼室内へと通り抜けることができる。
【0049】
第2の燃料は、ノズル本体14の壁にある供給路104によってアキュムレータ空間102に供給され、供給路104は、外側弁ニードル80の周囲に延びる環状孔106と接続する。複数の径方向削孔108により、第2の燃料は、環状孔106から外側弁ニードル80を通ってアキュムレータ空間102内へと流れることができる。噴射装置が使用の際にシリンダヘッド(図示せず)に設置された場合、第2の燃料のための供給路104は、第2の燃料が供給されるシリンダヘッドの孔に位置合わせされる。
【0050】
環状孔106は、流体密閉部として作用して、アキュムレータ空間84にある第1の燃料が第1および第2の制御室88、110内へ漏れないよう保護する。したがって、孔106にある第2の燃料の圧力を、アキュムレータ空間84にある第1の燃料の圧力よりも高い水準に維持することができる。
【0051】
第2の制御室110の制御流体の圧力を変えることにより、内側弁ニードル100の動作を液圧制御する。第2の制御室110は、外側弁ニードル80の孔の上端部で画定される。内側弁ニードル100の上面は、第2の制御室110の流体圧力にさらされ、内側弁ニードル100の拡径ピストン領域112は、第2の制御室110を第2の燃料のためのアキュムレータ空間102から隔てる。
【0052】
制御流体は、第3の制御流体入口路114を通して第2の制御室110に入ることができる。第3の制御流体入口路114は、制限されたオリフィスまたは絞り弁114aを含み、これは、第2の制御室110内へと制御流体が流れる際に、制御流体の流量を制限するように機能する。噴射装置を設置した場合、第3の制御流体入口通路114は、シリンダヘッド孔(図示せず)の孔から比較的高圧で制御流体を受容する。
【0053】
第2の制御室110は、第2の供給経路116によって第2の制御弁28に接続され、第2の供給経路116は、ノズル本体14を通って下部噴射装置本体部分46内へ延びる削孔によって形成される。外側弁ニードル80には複数の径方向削孔117が設けられて、第2の制御室110および第3の制御流体入口路114および第2の供給経路116の間が流体連通するようにする。制御流体供給経路94の枝路94bは、第2の制御弁部材60と関連する孔94cに制御流体を供給する。
【0054】
第2の制御弁部材60は、第2の制御弁孔62の座部領域(図示せず)と係合可能な肩部(図示せず)を含んで、第2の制御弁部材60の第1の座部を形成する。第2の制御弁部材60の端部118は、ノズル本体14の上面に画定された座部領域と係合可能であって、第2の制御弁部材60の第2の座部を形成する。ノズル本体14に形成された排出路120は、第2の座部の下流に設けられる。排出路120は、制御流体のための低圧ドレーンに接続される。
【0055】
第2の弁ニードル100の動作は、第1の弁ニードル80の動作に類似する。第2の制御弁部材60がその充填位置にある場合、肩部がその座部領域から係脱し、制御流体が、第1の座部を過ぎ、孔94cから第2の供給経路116を通って第2の制御室110まで流れることができるようになる。同時に、第2の制御弁部材60の端部118がその座部領域と係合し、その結果、制御流体が、第2の座部を過ぎて排出路120内へ流れることができなくなる。このようにして、第2の制御室110は、比較的高圧で制御流体によって充填される。内側弁ニードル100に作用する結果として得られる力は、内側弁ニードル100を座したままに保つのに十分であり、それによって、第2の燃料が噴射装置から噴射されるのを阻止する。
【0056】
第2のコイル40が励磁されて、第2の制御弁部材60をその排出位置に動かすと、肩部がその座部領域と係合して、孔84cからの第2の供給経路116内への制御流体の流れを第1の座部で止める。同時に、第2の制御弁部材60の端部118は、その座部領域から係脱して、第2の供給経路116にある制御流体が排出路120により低圧ドレーンへと流れることができるようにする。第2の制御室110からドレーンへの制御流体の流出量は、第3の制御流体入口路114から第1の制御室110への制御流体の流入量を上回り、これは絞り弁114aの働きによる。このようにして、第2の制御室110における制御流体の圧力が下がり、内側弁ニードル100がその座部80aから持ち上がり、アキュムレータ空間102にある第2の燃料をオリフィスを通して噴射できるようにする。
【0057】
第1の燃料の噴射を停止するには、第2のコイル40の励磁を停止して、第2の制御弁部材60がその充填位置に移動して戻るようにする。第2の制御室110における制御流体の圧力が再び上昇し、内側弁ニードル100をその閉鎖位置に押しやる。第2の制御室110に戻しばね122を収容して、噴射装置が動作していない場合に内側弁ニードル100を座したままに保つ追加的な閉鎖力を内側弁ニードル100に与える。
【0058】
図示の実施形態では、第1の制御弁部材48は、第2の制御弁部材60よりも直径が大きい。その結果、各位置において第1の制御弁26を通る制御流体の流量を第2の制御弁28を通るよりも大きくすることが可能になる。このことは、第1および第2の制御室88、110の相対的な容積を反映している。
【0059】
図5に示す実施形態では、第1および第2の制御弁部材48、60が、共通弁ニードル軸から図面の紙面に垂直なオフセット方向に沿ってオフセットされている共通制御弁軸に沿って配置されることが理解されよう。
【0060】
第1および第2の制御弁部材が共通制御弁軸に沿って配置されるように第1および第2の制御弁を配置することによって、また両方弁に共通コア部材を設けることによって、空間効率の良い方法で噴射装置本体内に弁を収容することができる。また、共通コア部材を使用することは、内部組み込み電気コネクタの使用を容易にする。
【0061】
有利なことに、第1および第2の制御弁は、「平衡弁」タイプの弁である。換言すると、第1および第2の制御弁部材48、60が、制御流体により弁部材に作用する力が実質的に液圧平衡であるように構成される。
【0062】
このため、図3に最も明確に示されているように、第1の制御弁部材48は貫通孔48aを備える。貫通孔48aは、低圧排出路95と連通しており、このため、低圧制御流体が第1および第2の磁極片32、34の孔に入ることができる。このようにして、第1の制御弁部材48の両端部が制御流体に低圧でさらされる。第1の制御弁部材48の端部98は、制御弁軸に垂直な面における投影面積が第1の制御弁部材48の反対(下)端部が同じ面に示す面積に等しい、円錐台形の表面を表すような形にされる。したがって、等しい圧力が第1の制御弁部材48の等しい面積にかかり、第1の制御弁部材48がその充填位置にある場合に正味の液圧力は生じない。
【0063】
同様に、第2の制御弁部材60の両端部が低圧排出流体にさらされる。腹板58にある開口(図示せず)により、低圧制御流体は、第2の磁極片34の孔に入ることができて、第2の制御弁部材60の上端部に作用する。第2の制御弁部材60の下端部が排出路120(図5参照)と同じ低圧で制御流体にさらされ、同様に、第2の制御弁部材60の各端部の投影面積が等しくなって、その充填位置にある場合に液圧力が第2の制御弁部材60に作用しないようにする。
【0064】
液圧平衡形弁部材を使用することの1つの主要な利点は、制御弁を動作させるのに必要な力が比較的小さいことである。ひいては、このことは、付勢ばね56、68を比較的小さい力かつ小型にできること、コイル38、40を比較的小さくできること、および電機子50、64の直径を比較的小さくできることを意味する。このようにして、弁を、噴射装置本体の径内に収めることができ、したがって、使用の際にシリンダヘッド孔内に収容することができる。これにより、シリンダヘッドの上方の過密領域において噴射装置が占める空間量が著しく減少し、弁機構および他のエンジン構成要素を収容するための場所をさらに空ける。追えて、この構成では、制御弁は、その関連の制御室に比較的密接して設置され、これにより、制御回路で使用される液体体積を最小にし、したがって、良好なニードル応答および制御を達成するのを助ける。
【0065】
液圧平衡形弁の別の利点は、制御流体の圧力に影響されないことである。このことは、こうした弁が、幅広い流量および動作圧力の範囲で動作可能であり続けること、また同じ設計の制御弁アセンブリを複数の用途で使用できることを意味している。
【0066】
図5に示す実施形態では、第1の制御弁26および第2の制御弁28の両方とも「三方」弁である。よって、各制御弁26、28は、排出位置にある場合、それぞれの制御室88、110を低圧ドレーンに接続し、充填位置にある場合、それぞれの制御室88、110を高圧制御流体供給源に接続するように働く。制御室88、110内への制御流体のこの流れは、第1および第3の制御流体入口通路90、114を通る制御室内への制御流体の流れを増加させ、ニードルを迅速に閉鎖させる。
【0067】
本発明の変形では、第1および第2の制御弁26、28のうちの一方または両方を「二方」弁として構成してもよい。二方弁では、弁は、低圧ドレーンにそれぞれの制御室88、110を接続するだけであり、高圧制御流体供給源には接続しない。代わりに、それぞれの制御室88、110の再充填は、第1または第3の制御流体入口通路90、114のみを通して生じる。
【0068】
図6は、本発明の3つの想定される変形において使用される制御弁アセンブリを概略的に示している。図6(a)は、図5の実施形態の制御弁アセンブリを示しており、ここでは、第1の制御弁26および第2の制御弁28の両方とも三方弁である。上述のように、この構成では、制御弁アセンブリ24全体に通って延びる制御流体供給路94を設ける必要がある。
【0069】
図6(b)は、制御弁アセンブリ224を示しており、ここでは、第1の制御弁226が二方弁であり、第2の制御弁228が三方弁である。この変形では、制御流体供給路294は、下部本体ハウジング246内にのみ延び、ここでは、枝路294bによって第2の制御弁部材260に制御流体を供給する。制御流体供給路294は、中間本体ハウジング242や上部本体ハウジング244には延びてはおらず、その結果、噴射装置の製造に含まれる工程が減り、噴射装置本体の他の構成要素のために多くの空間が作られる。したがって、図6(b)の変形は、第2の燃料の噴射時間の最適制御を維持することが望ましいが、製造費用を削減するため、または空間節約を利用するために第1の燃料の噴射時間の制御を妥協することが許容される場合、有用である。
【0070】
図6(c)は、制御弁アセンブリ324を示しており、ここでは、第1の制御弁326および第2の制御弁328の両方とも二方弁である。この構成では、制御流体供給路は不要である。したがって、図6(c)の変形と比べると、図6(a)は、かなり簡素かつ廉価に製造でき、下部、中間および上部噴射装置本体構成要素346、342、344により多くの空間を提供する。
【0071】
本発明の上述の実施形態で使用される制御弁を任意の好適なタイプとすることができる。本発明における使用に適合させるのに好適な共通コア部材を有する制御弁アセンブリの例は、例えば、同一出願人による欧州特許第0987431号および第1670005号にみられる。本発明における使用に好適な平衡三方制御弁の例は、例えば、同一出願人による欧州特許第1541860号、第1604104号、第1988276号および第2290219号にみられる。本発明における使用に好適な平衡二方制御弁の例は、例えば、同一出願人による欧州特許第0740068号、第0957262号および第1835171号にみられる。
【0072】
図示の例では、第1の制御弁は、比較的大きい直径の電機子および外側磁極を有し、第2の制御弁は、比較的小さい直径の電機子を有し、外側磁極を持たない。そうではなく、第1の制御弁が比較的小さい直径の電機子を有して外側磁極を持たず、および/または第2の制御弁が比較的大きい直径の電機子および外側磁極を有することもできることが理解されよう。
【0073】
第1および第2の制御弁が別個のコア部材を有することもあり得る。第1および第2の制御弁を、燃料噴射装置の長さに沿って軸方向に離間させることもできる。例えば、1つの代替的な発明(図示せず)では、第1の制御弁が、ノズル本体から遠い噴射装置の上端部に設置され、第2の制御弁が、ノズル本体の近くで噴射装置本体に設置される。この構成では、噴射装置がエンジンに設置された場合に、第1の制御はシリンダヘッド孔の外側に収容される。
【0074】
制御弁軸は、弁ニードル軸からオフセットさせる必要はない。そうではなく、制御弁軸および弁ニードル軸を同軸にすることもできる。
【0075】
本発明は、第1の燃料が天然ガスなどの気体燃料であり、第2の燃料がディーゼル燃料などの液体燃料である、特定の用途を見出している。また、第1または第2の燃料を制御流体として使用してもよい。特に有利な実施形態では、第2の燃料はディーゼル燃料であり、これを制御流体として使用する。
【0076】
上に明示的に説明していないさらなる修正および変形もまた添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく企図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
【手続補正書】
【提出日】2016年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のための燃料噴射装置であって、
第1および第2の燃料の噴射を制御するように構成される第1および第2の弁ニードルと、
前記第1および第2の弁ニードルとそれぞれ関連する第1および第2の制御室と、
第1の制御弁部材を備え、前記第1の弁ニードルの開放および閉鎖動作を起こすように前記第1の制御室の制御流体の圧力を変化させるように構成される第1の制御弁と、
第2の制御弁部材を備え、前記第2の弁ニードルの開放および閉鎖動作を起こすように前記第2の制御室の前記制御流体圧力を変化させるように構成される第2の制御弁と
を備え、
前記第1および第2の制御弁部材が、前記噴射装置の略円筒形の本体部分の中に収容されており、前記第1および第2の制御弁部材が、前記噴射装置の本体部分の中心軸と平行にオフセットされる共通制御弁軸に沿って直線動作するように構成される、
燃料噴射装置。
【請求項2】
前記第1の燃料が気体燃料であり、前記第2の燃料が液体燃料である、請求項1に記載の燃料噴射装置。
【請求項3】
前記制御流体が前記第2の燃料である、請求項2に記載の燃料噴射装置。
【請求項4】
前記噴射装置の前記本体部分が、使用の際、前記機関のシリンダヘッド孔内に嵌るように構成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項5】
前記制御弁部材が実質的に液圧平衡形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項6】
前記第1の弁ニードルが、前記第2の弁ニードルを受容するための孔を備え、前記第1および第2の弁ニードルが、共通弁ニードル軸に沿って移動可能である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項7】
前記制御弁軸を、前記弁ニードル軸と平行にオフセットさせる、請求項6に記載の燃料噴射装置。
【請求項8】
共通コア部材と、前記第1の制御弁を作動させるための第1のソレノイドコイルと、前記第2の制御弁を作動させるための第2のソレノイドコイルとを含む制御弁アセンブリを備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項9】
前記第1の制御弁部材および前記第2の制御弁部材が、それぞれ、前記それぞれの制御弁部材が弁座上に座して、前記それぞれの制御室および低圧ドレーンの間における前記制御流体の連絡を阻止する充填位置と、前記それぞれの制御弁部材が弁座から持ち上げられて、前記それぞれの制御室および前記低圧ドレーンの間における連絡を可能にする排出位置との間で移動可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項10】
前記第1の弁部材が、その充填位置からその排出位置まで第1の方向に移動可能であり、前記第2の弁部材が、その充填位置からその排出位置まで前記第1の方向とは反対の第2の方向に移動可能である、請求項9に記載の燃料噴射装置。
【請求項11】
前記第1の制御弁部材が、前記第2の制御弁部材よりも大きい直径を有する、請求項9または10に記載の燃料噴射装置。
【請求項12】
前記第1の制御弁が、制御流体の供給源から前記第1の制御室への流体の流れを調整するように構成されて、前記第1の制御弁部材がその充填位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第1の制御室(88)へ流体が流れることができるようにし、前記第1の制御弁部材がその排出位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第1の制御室へ流体が流れるのを阻止するようにする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項13】
前記第2の制御弁が、制御流体の供給源から前記第2の制御室への流体の流れを調整するように構成されて、前記第2の制御弁部材がその充填位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第2の制御室へ流体が流れることができるようにし、前記第2の制御弁部材がその排出位置にある場合、前記制御流体の供給源から前記第2の制御室へ流体が流れるのを阻止するようにする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の燃料噴射装置。
【請求項14】
電気制御ユニットに第1および第2のソレノイドを電気的に接続する前記共通コア部材に沿って前記噴射装置の前記略円筒形の本体部分の中に少なくとも部分的に収容される内部コネクタをさらに備える、請求項8に記載の燃料噴射装置。

【国際調査報告】