特表2016-520010(P2016-520010A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-520010コーティング装置およびコーティング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-520010(P2016-520010A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(54)【発明の名称】コーティング装置およびコーティング方法
(51)【国際特許分類】
   B31D 3/02 20060101AFI20160613BHJP
   B05D 1/30 20060101ALI20160613BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20160613BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20160613BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20160613BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20160613BHJP
【FI】
   B31D3/02
   B05D1/30
   B05D3/00 B
   B05D7/00 K
   B05D7/24 302A
   B05C5/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-510982(P2016-510982)
(86)(22)【出願日】2014年4月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2014057425
(87)【国際公開番号】WO2014177370
(87)【国際公開日】20141106
(31)【優先権主張番号】102013104318.6
(32)【優先日】2013年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513089419
【氏名又は名称】イゼリ・フレディ
【氏名又は名称原語表記】ISELI,Fredy
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】イゼリ・フレディ
【テーマコード(参考)】
3E075
4D075
4F041
【Fターム(参考)】
3E075AA09
3E075BA93
3E075BB12
3E075DD02
3E075DD08
3E075DE22
3E075GA04
3E075GA05
4D075AC12
4D075AC84
4D075AC86
4D075AC88
4D075BB14Z
4D075DA21
4D075DB18
4D075EA06
4D075EB03
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA07
4F041BA51
4F041CA02
4F041CA21
(57)【要約】
【課題】セルロースハニカム複合材支持エレメントをコーティングするための、高い処理能力を有し、かつ、簡単に実施できる堅牢なコーティング装置および方法の提供。
【解決手段】コーティング装置には、セルロースハニカム複合材支持エレメント1を充填ステーション9に沿ってフィード方向に搬送する搬送手段8が設けられている。充填ステーションにより、含浸剤12が、上方から支持エレメントの通路5,6内へと充填される。充填ステーションの領域には、含浸剤が通路から下方に流れ出るのを防ぐか又は少なくとも遅くすることで前記含浸剤を通路内に蓄積させる堰止め手段16が設けられている。充填ステーションの下流側にある排液ステーション19では、余剰な含浸剤を通路から排出することができ、かつ、支持エレメントを振動させて排液プロセスを支援する振動手段20が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルロースハニカム複合材支持エレメント(1)のそれぞれが軸方向に延在する複数の通路(5,6)を有する前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を、耐火性および/または耐水性および/または機械的安定性を向上させるために、含浸コーティング(特には、セメント−水混合物および/または無機懸濁液)でコーティングを行うためのコーティング装置であって、
搬送手段(8)が設けられており、前記搬送手段(8)により、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)は充填ステーション(9)に沿ってフィード方向に搬送され、
前記搬送手段(8)が、前記充填ステーション(9)によって含浸剤(12)を上方から前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の前記通路(5,6)内へと充填できるように構成されている、コーティング装置において、
前記充填ステーション(9)の領域には堰止め手段(16)が設けられており、前記堰止め手段(16)に沿って前記セルロースハニカム複合材支持エレメントを搬送することができ、
前記堰止め手段(16)は、前記含浸剤(12)が前記通路(5,6)から下方に流れ出るのを防ぐか又は少なくとも遅くすることで前記含浸剤(12)を前記通路(5,6)内に蓄積できるように(特には、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の頂面まで蓄積できるように)構成されており、
前記フィード方向において前記充填ステーション(9)の下流側には排液ステーション(19)が設けられており、前記排液ステーション(19)では、余剰な含浸剤(12)を前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の前記通路(5,6)から排出することができ、
前記排液ステーション(19)には、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を振動させて排液プロセスを支援する(特には、排液プロセスを加速させる)振動手段(20)が設けられている(好ましくは、前記振動手段(20)は、振動させることが可能なローラ(20)を含む)ことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコーティング装置において、前記フィード方向において前記充填ステーション(9)よりも前に、前記充填ステーション(9)での前記含浸剤(12)の充填に先立って前記通路(5,6)を(好ましくは、蒸気および/または高温水で)予め濡らすためのウエットステーション(21)が設けられている(好ましくは、前記ウエットステーション(21)は、スプレー手段を含む)ことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコーティング装置において、前記搬送手段(8)が通過口
(14)を有しており、前記通過口(14)を介して、前記余剰な含浸剤(12)が前記排液ステーション(19)の領域において下方に流出することができることを特徴とする、コーティング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコーティング装置において、前記搬送手段(8)が、前記フィード方向において互いに離間した複数の搬送ローラ、および/または搬送ベルトを含む(好ましくは、前記搬送手段(8)は、前記フィード方向において互いに離間した複数の荷重支持バー(18)を含む)ことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコーティング装置において、前記堰止め手段(16)が、面状体(特にはシートエレメント、好ましくは堰止めシート)を含む(好ましくは、前記面状体は前記含浸剤(12)を堰き止めて、前記搬送手段(8)を介して前記通路(5,6)内へと戻すことができるように前記搬送手段(8)の下に配置されている)ことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のコーティング装置において、前記排液ステーション(19)に、捕集槽(15)が配置されている(好ましくは、捕集槽(15)は、前記充填ステーション(9)の下まで延びている)ことを特徴とする、コーティング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のコーティング装置において、前記捕集槽(15)から含浸剤(12)を汲み出して前記充填ステーション(9)に再供給することのできるポンプ手段が設けられていることを特徴とする、コーティング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のコーティング装置において、前記搬送手段(8)に、クリーニングステーション(23)が配置されており、前記クリーニングステーション(23)では、前記搬送手段(8)が通過する際に前記搬送手段(8)に付着している含浸剤(12)をクリーニングすることができることを特徴とする、コーティング装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコーティング装置において、コーティング前のセルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を前記搬送手段(8)上へと自動的に載置する供給機器(24)が設けられており、および/または、コーティング後のセルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を自動的に積み上げる積上げ手段(27)が設けられていることを特徴とする、コーティング装置。
【請求項10】
請求項9に記載のコーティング装置において、前記積上げ手段(27)に、引渡し手段(25)が配置されており、前記引渡し手段(25)により、コーティング後のセルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を前記搬送手段(8)から積上げ用のシート(26)(特には、プラスチック製シート)上に置くことができることを特徴とする、コーティング装置。
【請求項11】
複数のセルロースハニカム複合材支持エレメント(1)のそれぞれが軸方向に延在する複数の通路(5,6)を有する前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を、耐火性および/または耐水性および/または機械的安定性を向上させるために、含浸コーティング(特には、セメント−水混合物および/または無機懸濁液)で、(好ましくは、請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティング装置を用いて)コーティングするコーティング方法であって、
前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)が、充填ステーション(9)に沿ってフィード方向に搬送されて、
前記充填ステーション(9)で、含浸剤(12)が(特には、大気圧で)上方から前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の前記通路(5,6)内へと(特には注液によって、好ましくは重力の作用のみで)充填される、コーティング方法において、
前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)が、前記充填ステーション(9)の領域に設けられた堰止め手段に沿って搬送されて、
前記堰止め手段により、前記含浸剤(12)が前記通路(5,6)から下方に流れ出るのが防がれるか又は少なくとも遅くされることで前記含浸剤(12)が前記通路(5,6)内に蓄積し(特には、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の頂面まで蓄積し)、
前記フィード方向において前記充填ステーション(9)の下流側に設けられた排液ステーション(19)で、余剰な含浸剤(12)が前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の前記通路(5,6)から排出されて、
前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)が、前記排液ステーション(19)の領域において振動されることを特徴とする、コーティング方法。
【請求項12】
請求項11に記載のコーティング方法において、前記充填ステーション(9)では、前記含浸剤(12)が、充填領域において前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の表面が前記含浸剤(12)で覆われるまで(好ましくは、充填領域において前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の表面上の前記含浸剤(12)の高さが少なくとも0.5cmになるように)前記通路(5,6)内に蓄積することを特徴とする、コーティング方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載のコーティング方法において、前記排液ステーション(19)で、余剰な含浸剤(12)が、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)の前記搬送手段(8)における通過口(14)を介して下方に流出することを特徴とする、コーティング方法。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか一項に記載のコーティング装置の使用であって、(特には、請求項11から13のいずれか一項に記載のコーティング方法を用いて)セルロースハニカム複合材支持エレメント(1)を含浸剤(12)でコーティングするための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、複数のセルロース(パルプ)(Zellstoff)製ハニカム複合材支持エレメント−それぞれのエレメントが軸方向に延在する複数の通路を有する−を、耐火性および/または耐水性および/または機械的安定性を向上させる目的で、含浸コーティングでコーティングするためのコーティング装置に関する。本発明は、さらに、請求項11の前提部に記載されているとおり、そのようなセルロース・シート(Zellstoffplatten)をコーティングするためのコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハニカム複合材支持エレメントは、特に複合シート(Verbundplatten)のハニカム芯材としての使用で公知の技術である。ハニカム複合材支持エレメントのハニカム部分は、軸方向に延在する多数の通路によって形成される。原則として、これらの通路は、台紙とこの台紙に接着された波形紙とによって周囲の境界が形成されている。
【0003】
ハニカム複合材支持エレメントの製造方法は、例えば特許文献1に記載されている。他種のハニカム複合材支持エレメント(段ボール製の支持エレメント)として、特許文献2や特許文献3に示されたものが挙げられる。
【0004】
さらなる先行技術文献として、特許文献4および特許文献5が挙げられる。
【0005】
また、特許文献6から、ペーパハニカム複合材成形品の製造方法が知られている。同文献の方法では、ペーパハニカムエレメント(すなわち、軸方向に多数の通路を有するハニカム複合材支持エレメント)が、硬化性で液状の合成樹脂でコーティングされる。このコーティング工程において、そのハニカム複合材支持エレメントは、合成樹脂で満たされた浸漬槽に対し、当該浸漬槽よりも上の空間を減圧させた状態で浸漬される。しかし、同文献で使用される合成樹脂は、ハニカム複合材支持エレメントの耐水性は向上できるかもしれないが、その耐火性を向上させるものではない。また、同文献の方法(公知の技術)はバッチ式でしか行えないので、ラージスケールにおいて利用することは難しい。さらに、同文献の方法(公知の技術)では、ハニカム複合材支持エレメントの通路のコーティングに際して、水性の含浸剤を使用することができない。水性の含浸剤を使用した場合、紙製のハニカム部分が水を吸収することで強度を失ったり、ハニカム構造体が軟化して崩壊したりする。
【0006】
本願の出願人は、特許文献7に記載された方法を用いることにより、特許文献6の方法(公知の技術)の短所を解消した。特許文献7から、真空コーティング室内においてセルロースハニカム複合材支持エレメントを含浸剤でコーティングする技術であって、その真空コーティング室内でその含浸剤を渦巻かせる技術(公知の技術)が知られている。同技術の効果は実証されている。それでも、より簡便で且つより経済的なコーティング技術を得ようとする試みがなされている。とりわけ、処理能力の増大、すなわち、コーティング済みのセルロースハニカム複合材支持エレメントの単位時間当たりの製造量の増加が所望されている。
【0007】
特許文献8には、軽量の芯材を製造する方法であって、その軽量の芯材(Leichbaukern)の通路をペーパロールによって形成する方法(公知の技術)が開示されている。同文献の方法では、含浸樹脂(すなわち、非無機系の含浸剤)を上方から軸方向の通路内へと充填することによって当該軸方向の通路の含浸を行う。同文献にも記載されているように、この方法によれば、濡らす対象の表面上に大量の含浸樹脂を付着保持させることができると共に、余剰な樹脂については下方に流出させることができる。しかし、同文献のコーティング装置(公知の技術)は、連続的に動作するものではなく、バッチ式で動作するものなので、コーティング速度の点で不利である。さらに、同文献のコーティング装置(公知の技術)および同文献のコーティング方法(公知の技術)は、セメントを含有する含浸コーティングでのコーティングには適していない。段ボール製のハニカム複合材支持エレメントにセメントを含有する含浸コーティングでコーティングを実施した場合、段ボール製のそのような支持エレメントの通路は幅狭なので、通路を詰まらせたりおよび/または軟らかくさせる。
【0008】
特許文献9には、ハニカム構造体を熱で膨張可能な材料(発泡前駆体)でコーティングする技術(公知の技術)が開示されている。同文献の方法の第1変形例によると、ハニカム構造体は「ウォーターフォール」に沿って搬送され、当該「ウォーターフォール」によって通路が発泡前駆体で満たされた(geflutet)後、圧縮空気によってこの発泡前駆体が吹き飛ばされる。しかし、このような方法は、同文献に記載されているような低比重・高粘度の発泡性コーティング材でしか利用できない。セメント系のコーティングを使用すると、通路は間違いなく詰まるであろう。同文献の方法の別の変形例では、ハニカム構造体を適所に固定したまま、発泡前駆体を含む前記「ウォーターフォール」がそのハニカム体に対して動かされる。この構成においても、圧縮ガスは、余剰なプラスチック製コーティング材を吹き飛ばすために用いられる。
【0009】
以上の方法(公知の技術)は、セルロースハニカム複合材支持エレメントを、耐火性・耐水性および/または機械的安定性を向上させるための含浸コーティング、特には、セメントを含有する含浸コーティングでコーティングするのに適していない。
【0010】
さらなる先行技術文献として、特許文献10および特許文献11も挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10305747号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19654672号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19820493号明細書
【特許文献4】独国実用新案出願公開第202010003580号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/076404号
【特許文献6】西独国特許出願公開第3631185号明細書
【特許文献7】国際公開第2012/045653号(特表2014−500133)
【特許文献8】国際公開第86/02039号
【特許文献9】国際公開第2008/094966号
【特許文献10】米国特許第5462623号明細書
【特許文献11】国際公開第2008/122616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これまでに挙げた先行技術文献に鑑みて、本発明の根底をなす課題は、軸方向に延在する多数の通路を有するセルロースハニカム複合材支持エレメントをコーティングするためのコーティング方法であって、高い処理能力を特徴とし、かつ、簡単に実施できるしっかりしたコーティング方法を提供することである。とりわけ、操作上、コストが比較的かかる真空コーティング室を省くことが出来るものが望ましい。本発明の他の課題は、同じく改良されたコーティング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
コーティング装置についての上記課題は、請求項1の構成によって解決される。コーティング方法についての上記課題は、請求項11の構成によって解決される。本発明の有利なその他の改良形態は、従属請求項において特定されている。なお、本願の明細書および/または特許請求の範囲および/または図面に開示されている少なくとも2つ構成のあらゆる組合せも、本発明の枠組み内に包含されているものとする。
【0014】
なお、繰り返しを避けるために、方法について開示した構成は、装置についても開示されているものとし、装置に係る請求項でもクレーム(請求)することが出来ると解釈されたい。同様に、装置について開示した構成は、方法についても開示されているものとし、方法に係る請求項にもクレーム(請求)することが出来ると解釈されたい。
【0015】
本発明の基礎となるコンセプトは、
含浸剤を、セルロースハニカム材支持エレメントの通路内へと上方から充填し、好ましくは、前記含浸剤を、重力の作用のみで充填し、特には、前記含浸剤を、上方から前記通路内へと注液し、より好ましくは、充填ステーションで(さらに好ましくは、大気圧で)注液カーテンを通るように前記セルロースハニカム複合材支持エレメントを搬送手段によって搬送し、かつ、
充填領域において前記含浸剤が前記通路から下方に流れ出るのを防ぐか又は(堰止め手段がない構成と比べて)少なくとも遅くすることで、前記含浸剤を前記通路内に蓄積させることにより、好ましくは、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントの頂面まで(すなわち、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントのうち、前記含浸剤が前記通路内へと充填される際の入口側に面する表面まで)蓄積させることにより、処理面(周面)全体にわたってコーティングを確実に施すことである。
また、本発明にかかるコーティング方法は、連続的に進行する(すなわち、セルロースハニカム複合材支持エレメントが連続的にフィードされる)と共に、そのセルロースハニカム複合材支持エレメントが前記充填ステーションの下流側にある排液ステーションに到達すると、余剰な含浸剤を(特には、重力の作用で)前記通路から下方に流出させることができることから、前記含浸剤の作用時間(Einwirkzeit)が限られている(換言すれば、堰止めプロセスにより、前記通路の完全な充填が時間的に短くて済む)。
【0016】
つまり、本発明によって、含浸剤を(好ましくは、大気圧で)上方から通路(好ましくは、フィード(供給)方向と直交するように並んだ複数の通路)内へと流し込み、適切な堰止め手段を通過するまでの限られた時間のあいだ当該通路内に蓄積させ、好ましくは、前記通路をその周面全体にわたってコーティングを施すことのできる、連続的に動作するコーティング装置が創出され、コーティング方法が提案される。これは、含浸剤が少なくとも前記通路の頂縁まで蓄積するように構成すること、好ましくは、その頂縁を超えるまで蓄積するように構成することによって実現できる。すなわち、含浸剤が所定の時間のあいだ前記セルロースハニカム複合材支持エレメントの頂面上に蓄積するように、フィード速度を充填速度(すなわち、前記含浸剤が前記通路内へと流入する流入速度)と協調させるのが極めて好都合である。また、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントは、排液ステーションまで(特には連続的に、好ましくは充填プロセスの間)前記フィード方向に進み動かされるので、充填された通路内での前記含浸剤の影響(Einwirkung)が時間的に短くて済む。すなわち、有利なことに、セルロースハニカム複合材支持エレメントが許容できないほど深刻に軟化し、ハニカム構造体にダメージが生じるというリスクを回避することができる。
【0017】
さらに、本発明では、有利なことに、前記排液ステーションに振動手段が設けられる。この振動手段により、含浸剤が通路内に充填された状態のセルロースハニカム複合材支持エレメントを、少なくとも一部振動させて排液プロセスを支援する、特には、排液プロセスを加速させることができる。極めて有利なことに、含浸剤に対し、少なくとも1つのローラがあればよい。好ましくは、この少なくとも1つのローラはハニカム体を搬送する搬送ベルトの下に配置されており、この手段(少なくとも1つのローラ)により、前記搬送手段として設けられ得てセルロースハニカム複合材支持エレメントを前記フィード方向に搬送するその任意の搬送ベルトを振動させる。当然ながら、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントを振動ローラの動作に直接曝すことも考えられる。
【0018】
既述したように、前記充填ステーションは、含浸剤が下方に流れる注液カーテンを、前記フィード方向を横切って延びるようにして形成するように構成されており、かつ、前記搬送手段によって前記セルロースハニカム複合材支持エレメントがその注液カーテンを通って搬送されるのが極めて好ましい。
【0019】
まとめると、公知の方法と比べて顕著に高い処理量と顕著に低いエネルギー消費とを示す、比較的経済的な装置および経済的に実施可能な方法が提案される。
【0020】
好ましくは、前記含浸剤は、セメント−水混合物(すなわち、セメントペースト)の形態、特には、マイクロセメントを含有するセメント−水混合物の形態を取る。この構成に加えて、あるいは、この構成に代えて、他種の懸濁液(好ましくは、無機懸濁液)が利用されてもよい。好ましくは、そのような懸濁液は水を含有する。
【0021】
好ましくは、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントは、少なくとも略直方体の形状(quarderfoermig)であり、前記フィード方向に長さを有し、当該長さと直交する幅を有し、さらに、前記フィード方向と前記幅との両方に直交する軸方向の前記通路の長手延在方向の高さを有しており、かつ、前記幅が前記高さよりも大きい。前記セルロースハニカム複合材支持エレメントの前記高さは、好ましくは5cm〜35cmであり、特に極めて好ましくは10cm〜30cmである。
【0022】
直方体形状のセルロースハニカム複合材支持エレメント以外にも、本発明にかかる方法や本発明にかかるコーティング装置を用いることにより、例えば、円筒状ディスク形状のセルロースハニカム複合材支持エレメントをコーティングすることも可能である。
【0023】
前記セルロースハニカム複合材支持エレメントの形態(Ausgestaltung)に関して言えば、様々な選択肢(構成)が考えられる。重要なのは、軸方向に複数の通路を有するセルロースハニカム体であること、具体的には、パルプ紙(Papier)の形態のハニカム体またはパルプボード(Pappe)の形態のハニカム体であることである。パルプボードの形態のハニカム体は、周知の様々な方法、例えば、段ボールの複数の層を互いに接着することによって製作可能である。一変形例として、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントは、いわゆる拡張性のハニカム体(expandierten Warbenkoerper)から形成されたもの
、すなわち、引き離し性のハニカムエレメント(auseinanderziehbaren Wabenelement)
から製造されたものであってもよい。この目的には、原則として、クラフトライナー紙、テストライナー紙、ボーガスペーパー等が適している。
【0024】
既述したように、前記含浸剤が、好ましくは水が混ざったセメントを含有し、特にはセメントミックスを含有し、極めて好ましくはマイクロセメントおよび/または水ガラスおよび/または無機懸濁液の混合物を含有するものであるのが極めて好都合である。好ましくは、その無機懸濁液は、水と無機結合材(例えば、セメント、石灰など)との混合物である。
【0025】
前記フィード方向において前記充填ステーションよりも前にあるウエットステーションで、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントを予め濡らすことにより、特には、前記通路(すなわち、前記通路の内周壁)を蒸気および/または高温水に曝すことにより、前記充填ステーションでのコーティングに対する前記セルロースハニカム複合材支持エレメントの準備(前処理)を施すのが極めて好都合である。ここで、前記フィード方向において前記充填ステーションの前にあるそのウエットステーションに、適切な吹付け手段(特には、ノズル)を設けるのが極めて好都合である。
【0026】
極めて好都合な一実施形態において、前記搬送手段は通過口を有しており、このような通過口を介して、余剰な含浸剤が(特には、捕集槽へと)流出することができる。好ましくは、前記通過口は、前記フィード方向と直交するように延在している。前記通過口の具体的な構成に関して言えば、様々な選択肢(構成)が考えられる。一具体例として、前記フィード方向において互いに離間した複数のローラを前記搬送手段として設けると共に、当該複数のローラ間の空間によって前記通過口を形成することが考えられる。この構成に加えて、あるいは、この構成に代えて、前記搬送手段を、搬送ベルトを含むものとしてもよい。好ましくは、この搬送ベルトは、表面に開口部を有さない従来のベルトとして構成されたものではなく、前記フィード方向において互いに離間した複数の荷重支持バーを有する搬送ベルトであり、2つの隣合う荷重支持バー間の前記フィード方向の空間を介して前記含浸剤が流出できるようにその複数の荷重支持バーが前記フィード方向に互いに(特には、互いの側方端部領域で)取り付けられている。その他にも、孔開きベルトや、含浸剤が上から下に通過することのできる同様の搬送手段が考えられる。
【0027】
前記充填ステーションの領域において前記含浸剤を前記通路内に堰き止める(すなわち、積み上げる)ための前記堰止め手段(Rueckstaumittel)の具体的な構成に関して言えば、様々な選択肢(構成)が考えられる。好ましくは、前記堰止め手段は、シート型のエレメント(例えば金属製シート、すなわち堰止めシート)を含む。つまり、前記堰止め手段を面状体として構成し、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントが搬送される領域よりも下に配置されるのが好ましい。その配置構成に関して言えば、様々な選択肢(構成)が考えられる。一具体例として、前記堰止め手段を、当該堰止め手段上を前記セルロースハニカム複合材支持エレメントが直接スライドするように配置することが考えられる。好ましい一変形例として、前記堰止め手段は、前記含浸剤を堰き止めて前記搬送手段を介して前記通路内へと戻すことができるように前記搬送手段の下の領域に配置される。この「搬送手段の下」という表現に関連した実施形態には、前記搬送手段が搬送路部分(コンベアセクション)の終点から開始領域まで走行する搬送手段(特には、ベルトの形態の搬送手段)の形態を取り、かつ、前記堰止め手段が前記フィード方向に向かうセクションよりも下方に、且つ戻り方向に走行するセクションよりも上方に配置される実施形態も包含される。
【0028】
既述したように、好ましくは、余剰な含浸剤を捕集する(auffangen)ための少なくとも1つの捕集槽が設けられる。好ましくは、前記捕集槽は、前記排液ステーションの付近に設けられる。特に極めて好ましくは、前記捕集槽は、前記フィード方向とは逆方向に前記充填ステーションまで延びて、その地点で既に余剰な含浸剤を捕集することができるように構成されている。当然ながら、一変形例として、複数の捕集槽が設けられてもよい。ここで、前記少なくとも1つの捕集槽に、当該捕集槽から含浸剤を取り出してコーティング前の新たな(別の)セルロースハニカム複合材支持エレメントの通路内へと供給するポンプ手段が配置されるのが極めて好都合である。
【0029】
恒久的にトラブルのない操作を確実にするために、好ましくは、前記搬送手段に、(自動)クリーニングステーションが配置され、前記クリーニングステーションで前記搬送手段が通過する際に前記搬送手段に付着している含浸剤をクリーニングすることができる。すなわち、このクリーニングステーションを前記通路体(Schlauch)および前記搬送手段が通過する際に、例えばブラシおよび/またはクリーニング流体の高圧適用によって前記搬送手段が自動的にクリーニングされる。
【0030】
前記コーティング装置の極めて有利な一実施形態では、コーティング前の前記セルロースハニカム複合材支持エレメントが、(特には、スタックから)前記搬送手段上へと自動的に載置される。好ましくは、この目的のために、セルロースハニカム複合材支持エレメントのスタックに、昇降テーブルが配置されており、当該昇降テーブルから、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントが前記搬送手段上へと載置される(特には、前記昇降テーブルから滑り出されて前記搬送手段上へと載置される)。この構成に加えて、あるいは、この構成に代えて、例えばロボットアームなどの他の操作装置や、その他の同様の載置機器が設けられてもよい。好ましくは、これらの構成に加えて、あるいは、これらの構成に代えて、コーティング後のセルロースハニカム複合材支持エレメントを自動的に積み上げる積上げ手段が設けられてもよい。極めて好ましくは、前記セルロースハニカム複合材支持エレメント同士が直接互いに積み上げられる(積み重ねられる)のではなく、2つの隣合うセルロースハニカム複合材支持エレメント間に仕切りシート(Trennplatte)(特には、プラスチック製のシート)が設けられる。
【0031】
特に極めて好ましくは、前記搬送路部分(コンベアセクション)の終端で、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントが引渡し手段によって引き取られる。好ましくは、この引渡し手段は、前記セルロースハニカム複合材支持エレメントを、特に、各々のケースで前方に位置しているセルロースハネカム複合材支持エレメントを前方に押し出すことによって、前記仕切りシートまたは積上げ用のシート上へと渡す(移載する)ように構成されており、特にこれらは所定の位置にスライドされる。
【0032】
本発明のさらなる利点、特徴及び詳細は、図面を参照しながら行う、好ましい例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】多層構造のハニカム複合材支持エレメント、具体的には、単一の段ボールウェブ(長尺体)からも複数の段ボールウェブからも形成可能な段ボールの複数の層を互いに接着することによって形成された、多層構造のハニカム複合材支持エレメントの詳細図である。
図2】本発明の思想に従って形成されたコーティング装置を概略化して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面では、同一の構成/構成要素および同一の機能を奏する構成/構成要素を、同一の参照符号で特定している。
【0035】
図1は、セルロースハニカム複合材支持エレメント1(図示の例では、段ボール製のハニカム体)の表面をみた平面図である。図示の詳細部は、フラットな台紙3に波形紙4を接着することによって軸方向の(第1の)通路を形成してなる各層(レイヤ)2を、三層互いに接着したものである。したがって、通路5の境界は、台紙3と波形紙4とによって形成されている。各層2は、さらに、(第2の)通路6も有する。図示の例示的な実施形態において、(第2の)通路6の境界は、先程と同じ波形紙4と別の台紙(すなわち、隣接する(平行な)別の層に含まれる台紙)とによって形成されている。図示しない一変形例として、各層2は二つの台紙を含むものとされてもよく、この場合、これら二つの台紙が当該台紙間に波形紙4をサンドイッチの形態で収容する。このときの(第2の)通路6の境界は、同じ層に含まれる台紙3と波形紙4とによって形成されている。
【0036】
層2は、図1から分かるようにカーブしている。これは、セルロースハニカム複合材支持エレメント1が、例えば特許文献1等に記載されているように段ボールウェブを巻き付けることにより製作されたものだからである。つまり、各層2は、同一の段ボールウェブによって構成されている。製作方法の一変形例として、別々の段ボールウェブ断片を交互に並べて互いに接着することによって層2を形成する方法もある。ここで重要なのは、単純に、図2に示す方法等によって含浸コーティングを施す対象となる、軸方向の複数の通路5が形成されているという点である。
【0037】
図2に、コーティング装置7を概略化して示す。コーティング装置7は、回転駆動されてセルロースハニカム複合材支持エレメント1をある処理ステーションから別の処理ステーションへと搬送する搬送手段8を備える。
【0038】
中心的な動作ステーションは、充填ステーション9である。充填ステーション9は、搬送手段8の上方に、含浸剤12の貯蔵容器10を含む。図示の例では、貯蔵容器10に、ピボット開閉可能な閉鎖装置11が配置されている。閉鎖装置が開放されると、含浸剤12(この例では、水−セメント混合物)が、大気圧のもとで重力の作用のみで、セルロースハニカム複合材支持エレメント1の頂面13へと下方に流れ出す。搬送手段8により、セルロースハニカム複合材支持エレメント1が、貯蔵容器10から流れ出す液体のカーテン(Vorhang) の下を通過するように搬送される。このとき、前記含浸剤は、フィード(供給)方向Fと直交するように上から下へと延在する、図2に示されていない軸方向の通路内を流れ、前記搬送手段8まで達し、通過口14を介することで前記搬送手段8を通って捕集槽15へと流入する。含浸剤12が通路5,6内をそのまま流れて行ってしまわないように、すなわち、含浸剤12が通路5,6内を停滞することなく流れて行ってしまわないように、堰止め手段(この例では、金属製のシート)が、その含浸剤の流出カーテンの下方の領域(すなわち、充填ステーション9の領域)に設けられている。この堰止め手段は、搬送手段8の下の領域に配置され、含浸剤12が通路5,6内でフィード方向Fと直交して前記頂面13まで上方に蓄積する(stauen)ことを確実にする。
【0039】
図2から分かるように、セルロースハニカム複合材支持エレメント1は、前記頂面13と平行に延びる底面17が、搬送手段8上、厳密には、フィード方向Fにおいて互いに離間した複数の荷重支持バー18上に配されるように載置されている。複数の荷重支持バー18間には、含浸剤12のための前記通過口14が形成されている。また、複数の荷重支持バー18は、搬送ベルト、搬送チェーン等の形態で互いにフレキシブルに連結されている。図面が分かり難くならないように、一部の荷重支持バー18だけを図示している。
【0040】
図面から分かるように、含浸剤12は、前記カーテンを通過した後も、セルロースハニカム複合材支持エレメント1の頂面13まで堰上げられ(aufstauen)続ける。前記堰止め手段16を通過した後、セルロースハニカム複合材支持エレメント1は、フィード方向Fにおいて設けられた排液ステーション19に到達する。排液ステーション19では、余剰な含浸剤12が、前記通過口14を介して前記捕集槽15へと下方に流出することができる。この排液プロセスを支援するために、前記搬送ベルト(包括的に言えば、搬送手段8)の下の領域に、振動ローラ20が設けられている。ここで、ローラに代えて、その他の振動手段が設けられてもよい。振動ローラ20により、排液ステーション19の領域において、搬送手段8が振動され、これによってセルロースハニカム複合材支持エレメント1も振動される。これにより、通路5,6から余剰な含浸剤を素早く且つ十分に排液することができる。
【0041】
図面から分かるように、充填ステーション9の上流側には、ウエットステーション21が設けられている。ウエットステーション21では、例えば水蒸気、高温水等がノズル22によって通路5,6内へと(図示の例では、上方から)スプレーされるウエット前処理プロセスが行われる。
【0042】
図面から分かるように、搬送手段8のうちの下側の戻りセクションには、前記搬送手段8をクリーニングするための自動クリーニングステーション23が設けられている。
【0043】
図2から分かるように、搬送手段8には、前記搬送手段8への自動積載を行う供給機器24が配置されている。排液ステーション19の下流側には、引渡し手段25が設けられている。この引渡し手段25により、コーティング後のセルロースハニカム複合材支持エレメント1が、積上げ用シート26上へと移される(移載される)。この後、その積上げ用シート26は、積上げ手段27によって自動的に積み上げられる。好ましくは、積上げ手段27および/または供給機器24は、セルロースハニカム複合材支持エレメントを常に同じ高さに載置できるように、また、同様にセルロースハニカム複合材支持エレメントを常に同じ高さに積上げ且つ排出できるように、それぞれ昇降テーブルを含む。
【0044】
順序は以下のとおりである。
まず、コーティング前のセルロースハニカム複合材支持エレメント1が搬送手段8へと供給され、前記搬送手段8によってウエットステーション21へと搬送されて、そこで通路5,6が予めウエット化される。搬送手段8は連続的に動くものなので、セルロースハニカム複合材支持エレメント1は、次に充填ステーション19に到達する。セルロースハニカム複合材支持エレメント1が充填ステーション19を通ると同時に、通路5,6に含浸剤12が充填される。含浸剤12の流出は、堰止め手段16によって遅くされる。フィード方向Fにおいて下流側に位置する排液ステーション19では、余剰な含浸剤12を、通路5,6から下方へと流出させて捕集槽15に流入させることができる。この捕集槽15からは、含浸剤12が充填ステーション19へと再供給される。前記排液プロセスは、振動手段(図示の例では、ローラ20を含む)によって支援される。続いて、排液後のセルロースハニカム複合材支持エレメント1は引渡し装置25に到達し、そこから積上げ手段27へと移されて、積上げ用シート26が間に配置されて積み上げられる。
【符号の説明】
【0045】
1 セルロースハニカム複合材支持エレメント
2 層
3 台紙
4 波形紙
5 通路
6 通路
7 コーティング装置
8 搬送手段
9 充填ステーション
10 貯蔵容器
11 閉鎖装置
12 含浸剤
13 頂面
14 通過口
15 捕集槽
16 堰止め手段
17 底面
18 荷重支持バー
19 排液ステーション
20 振動手段
21 ウエットステーション
22 ノズル
23 クリーニングステーション
24 供給機器
25 引渡し手段
26 積上げ用シート
27 積上げ手段
図1
図2
【国際調査報告】