(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-520488(P2016-520488A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】喫煙品用パック
(51)【国際特許分類】
B65D 85/10 20060101AFI20160617BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
B65D85/10
B65D5/66 321B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-511127(P2016-511127)
(86)(22)【出願日】2014年3月21日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】GB2014050901
(87)【国際公開番号】WO2014177834
(87)【国際公開日】20141106
(31)【優先権主張番号】1307729.2
(32)【優先日】2013年4月30日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホッジズ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス、アダム
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA13
3E060AB03
3E060AB32
3E060BA13
3E060BB01
3E060CD02
3E060CD04
3E060DA14
3E060DA16
3E060EA13
3E068AA21
3E068AC02
3E068BB02
3E068CC04
3E068CD01
3E068CE02
3E068CE08
3E068DD01
3E068DE06
3E068DE16
3E068DE17
3E068EE25
3E068EE32
(57)【要約】
対向する側壁によって接続される前壁(13)および後壁(14)を含む喫煙品用パック(10)。このパックは開口端を有する箱部(11)とパック後壁上のヒンジ線(19)でヒンジ式に箱部と接続し箱部の開口端を選択的に開閉するように可動な蓋(12)とを含む。蓋(12)は前壁、上壁、後壁および対向する第1と第2の側壁を含む。蓋前壁の下縁部の少なくとも一部は水平方向かつヒンジ線(19)に平行に延びている。蓋の第1側壁の下縁部がパックの第1の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度は、後壁と蓋の第2側壁の下縁部がパック(10)の反対の第2の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目との間角度よりも大きい。このようなパック(10)を製造する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁で接続する前壁および後壁を含む喫煙品用パックであって、このパックは開口端を有する箱部とパック後壁上のヒンジ線でヒンジ式に箱部と接続し箱部の開口端を選択的に開閉するように可動な蓋とを含み、蓋は前壁、上壁、後壁および対向する第1と第2の側壁を含み、蓋前壁の下縁の少なくとも一部は水平方向かつヒンジ線に対して平行に延びており、蓋の第1側壁の下縁部がパックの第1の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度は、蓋の第2側壁の下縁部がパックの反対の第2の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度よりも大きいパック。
【請求項2】
第1の側壁上の継ぎ目は第2の側壁上の継ぎ目より短いことを特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項3】
パックは前パネルおよびこれに連結している側部パネルを含むインナーフレームを含み、インナーフレームは箱部内部に配置され開口端から突出し、インナーフレームは前パネルのそれぞれの側端に蓋を閉じた位置に保持させるため蓋と摩擦係合するように設計された突出タブを含み、インナーフレームの一方の側壁の突出タブは、インナーフレームの他方の側壁の突出タブより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のパック。
【請求項4】
パックの第1の側壁の突出タブはパックの第2の側壁の突出タブより小さいことを特徴とする請求項3に記載のパック。
【請求項5】
小さい方の突出タブは、パックの長手方向において他方の突出タブより短いことを特徴とする請求項3または4に記載のパック。
【請求項6】
突出タブはインナーフレームから同じ距離を突出していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のパック。
【請求項7】
パックの前壁は、蓋が閉じた位置にある時にインナーフレームの一部が露出するように切り欠きを含むことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のパック。
【請求項8】
パックは、大きな前壁および後壁並びにそれより小さい側壁を有する平行六面体を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパック。
【請求項9】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度は70〜80度の間である、75〜80度の間である、約77度であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパック。
【請求項10】
パックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度は50〜65度の間である、55〜65度の間である、約60度であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパック。
【請求項11】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度およびパックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度の差は、5〜30度の間である、10〜25度の間である、15〜20度の間である、約17度であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパック。
【請求項12】
パックは、パックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うように蓋と箱部との間を延びるシールをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のパック。
【請求項13】
水平方向かつヒンジ線に平行方向に延びている蓋前壁の下縁部の一部は、蓋の全幅に対して中央に位置することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパック。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の喫煙品用パックを製造する方法であって、パック製造装置内において喫煙品の束の周囲でカードブランクを折り曲げて喫煙品を収容するパックを形成する工程と、ブランクを折りパックを形成する工程の間および/またはその後において紙巻きタバコ束およびブランクを第2の側壁または第2の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向に対して先行し、第1の側壁または第1の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向において後行する状態で搬送する工程とを含む方法。
【請求項15】
パックブランクを折り曲げてパックを形成する工程は、ブランクの各対のパネルを重ねて第1および第2の側壁をそれぞれ形成する工程と各対の重なっているパネルを接着剤で貼り付ける工程とを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
パックを形成した後にパックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うようにシールを付する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
シールはパックの第1の側壁に貼り付けられたラベルを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
形成されたパック周囲にセロハンラップを付する工程をさらに含み、セロハンラップを付する工程は、第2の側壁が先行し、第1の側壁が後行する状態でパックをセロハンシートの中に搬送する工程と、パック周囲でセロハンシートを折り曲げる工程と、ラップの縁部を互いに封止する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙品用パックに関する。特に、開口した上端部を有する箱部と箱部に接続し、箱部上端の開口部を開閉するように可動なヒンジ式の蓋とを含むパックに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコはパック入りで販売される場合がある。パックは紙巻きタバコを保管し保護する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この明細書において、一対の側壁で接続する前壁および後壁を含む喫煙品用パックであって、パックは開口端を有する箱部とパック後壁上のヒンジ線でヒンジ式に箱部と接続し箱部の開口端を選択的に開閉するように可動な蓋とを含み、蓋は前壁、上壁、後壁および対向する第1と第2の側壁を含み、蓋前壁の下縁の少なくとも一部は水平方向かつヒンジ線に対して平行に延びており、蓋の第1側壁の下縁部がパックの第1の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目(mitre)と後壁との間の角度は、蓋の第2側壁の下縁部がパックの反対の第2の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度よりも大きいパックが提供される。
【0004】
第1の側壁上の継ぎ目は第2の側壁上の継ぎ目より短くてもよい。
【0005】
パックは前パネルおよびこれに連結している側部パネルを含むインナーフレームを含んでもよい。インナーフレームは箱部内部に配置され開口端から突出してもよい。またインナーフレームは前パネルのそれぞれの側端に蓋を閉じた位置に保持させるため蓋と摩擦係合するように設計された突出タブを含んでもよい。インナーフレームの一方の側壁の突出タブは、インナーフレームの他方の側壁の突出タブより小さくてもよい。
【0006】
パックの第1の側壁の突出タブはパックの第2の側壁の突出タブより小さくてもよい。
【0007】
小さい方の突出タブは、パックの長手方向において他方の突出タブより短くてもよい。
【0008】
突出タブはインナーフレームから同じ距離を突出していてもよい。
【0009】
パックの前壁は、蓋が閉じた位置にある時にインナーフレームの一部が露出するように切り欠きを含んでもよい。
【0010】
パックは、大きい方の前壁および後壁並びにそれより小さい側壁を有する平行六面体を含んでもよい。
【0011】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度は70〜80度の間としてもよく、75〜80の間としてもよく、約77度としてもよい。
【0012】
パックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度は50〜65度の間としてもよく、55〜65度の間としてもよく、約60度としてもよい。
【0013】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度およびパックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度の差は、5〜30度の間としてもよく、10〜25度の間としてもよく、15〜20度の間としてもよく、約17度としてもよい。
【0014】
パックは、パックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うように蓋と箱部との間を延びるシールをさらに含んでもよい。
【0015】
水平方向かつヒンジ線に平行方向に延びている蓋前壁の下縁の一部は、蓋の全幅に対して中央に位置してもよい。
【0016】
この明細書において、これら喫煙品用パックを製造する方法であって、パック製造装置内において喫煙品の束の周囲でカードブランクを折り曲げて喫煙品を収容するパックを形成する工程と、ブランクを折りパックを形成する工程の間および/または後において紙巻きタバコ束およびブランクを第2の側壁または第2の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向に対して先行し、第1の側壁または第1の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向において後行する状態で搬送する工程とを含む方法が提供される。
【0017】
パックブランクを折り曲げてパックを形成する工程は、ブランクの各対のパネルを重ねて第1および第2の側壁をそれぞれ形成する工程と各対の重なっているパネルを接着剤で貼り付ける工程とを含んでもよい。
【0018】
本発明の方法は、パックを形成した後にパックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うようにシールを付する工程をさらに含んでもよい。
【0019】
シールはパックの第1の側壁に貼り付けられたラベルを含んでもよい。
【0020】
本発明の方法は形成されたパック周囲にセロハンラップを付する工程をさらに含んでもよい。セロハンラップを付する工程は、第2の側壁が先行し、第1の側壁が後行する状態でパックをセロハンシートの中に搬送する工程と、パック周囲でセロハンシートを折り曲げる工程と、ラップの縁部を互いに封止する工程とをさらに含んでもよい。
【0021】
本発明の実施態様を添付図面を参照し、あくまで例示を目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】閉じた状態の第1の実施態様のパックの斜視図である。
【
図4】開いた状態の
図1〜3のパックの斜視図である。
【
図5】開いた状態の
図1〜4のパックの正面図である。
【
図6】所定箇所に納税印紙シールを付した閉じた状態の
図1〜5のパックの左側面図である。
【
図7】喫煙品パック生産の製造ラインを表すフローチャートである。
【
図8】
図1〜6のパックを形成するためのブランクである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜6を参照すると、第1の実施態様の箱部11およびヒンジ式の蓋12を含むパック10が示されている。パックは前壁13および後壁14、これらを接続する左右の側壁15、16並びに上壁17および底壁18を含む。前壁13および後壁14はパックの大きい方の壁となり、同一面上にある。左右の側壁15、16は、前壁13および後壁14に対して小さい方の壁となり、同一面上にある。
【0024】
前壁13は箱前壁13aおよび蓋前壁13bを含む。同様に、後壁14および左右の側壁15、16はそれぞれ箱後壁14a、箱の左右の側壁15a、16aおよび蓋後壁14b、蓋の左右の側壁15b、16bを含む。
【0025】
蓋12は、蓋後壁14bが箱後壁14aと接するパック後壁14上のヒンジ線19において箱11にヒンジ式に接続する。ヒンジ線19は水平であり、パックの上壁17および底壁18と平行である。箱は、箱上端にあり、パック内容物を取り出すための開口部20を含む。蓋12が旋回することで開口部の開閉を選択できる。
【0026】
インナーフレーム21が箱11の内部に収納される。インナーフレーム21は前パネル22および左右の側部パネル23、24を含む。これらパネルはそれぞれ箱前壁13a、箱の左右の側壁15a、16aの内面に接触する。インナーフレーム21は所定箇所に貼り付けられ、箱11の開口部20から突出している。インナーフレーム21は、前パネル22が左右の側部パネル23、24とそれぞれ接する左右の端部27、28に突出ロック用タブ25、26を含む。
図5においてd
1<d
2と示したように、左の突出ロック用タブ25は右の突出ロック用タブ26より短い。
【0027】
箱11の上縁部29は非対称的に形成される。上縁部29は、前壁13aのおおよそ中間に位置する低くなっている窪み30と、窪み30の左側から左側壁15aに向かって上方に角度が付けられた傾斜縁部31と、窪み30の右側から右側壁16aに向かって水平に延びる水平縁部32とを含む。パックの左側部上にある箱上縁部33は傾斜縁部31からヒンジ線19の終端までおおよそ直線状に延び、パックの右側部上にある箱上縁部34は水平縁32からヒンジ線19の終端までおおよそ直線状に延びる。従って、パック左側にある傾斜縁部31の終端がパック右側にある水平縁部32の終端よりも高い位置にあるので、
図2および3で示したように後壁14と左箱上縁部33との間の角度θ
1は後壁14と右箱上縁部34との間の角度θ
2よりも大きくなる。
【0028】
本発明は特定の角度に限定されないが、ある実施態様では、角度θ
1は70〜80°であり、角度θ
2は50〜65°である。これに伴い角度θ
1と角度θ
2との差は5〜30°であってよい。別の実施態様では、角度θ
1は75〜80°であり、角度θ
2は55〜65°であり、角度θ
1と角度θ
2との差は10〜25°であってよい。別の実施態様では、角度θ
1は75〜80°であり、角度θ
2は約60°であり、角度θ
1と角度θ
2との差は15〜20°であってよい。さらに別の実施態様では、角度θ
1は約77°であり、角度θ
2は約60°であり、角度θ
1と角度θ
2との差は約17°であってよい。
【0029】
蓋側壁の下縁部は箱側壁の上縁部33、34に応じた形状をしており、蓋が閉じている時に当接する。従って、シャットラインまたは継ぎ目35、36は、蓋の下方側縁部が箱の上方側縁部33、34に接するパックの両側に形成され、それぞれが後壁14に対して縁部33、34と同一の角度θ
1、θ
2を形成する。シャットラインまたは継ぎ目35、36と後壁14とが形成する角度θ
1、θ
2が異なるので、
図2および3においてl
1<l
2と示したように、パックの左側の継ぎ目35はパックの右側の継ぎ目36より短くなる。特にl
1は、例えば下記特許文献1において開示されているパックのような、従来のヒンジ式蓋を備える喫煙品パックの継ぎ目よりも短くなる。
【0030】
図8において第1の実施態様のパック10を形成するためのブランク39を示している。ブランク39は折り曲げ線(破線で示している)で折ることができる。箱前壁13aおよび箱後壁14a、蓋前壁13bおよび蓋後壁14b、並びにパック上壁17およびパック底壁18は同じ参照番号を付している。ヒンジ線19は、箱後壁14aと蓋後壁14bの間の折り曲げ線において形成される。蓋下縁部37は、蓋前壁13bと蓋12の内側に折られるインナータブ40との間の折り曲げ線において形成される。ブランクは箱左側部パネル41、42を含む。パックを形成する際これらパネルを重ね貼り付けることで箱左側壁15aが形成される。同様に、箱右側部パネル43、44を重ね貼り付けることで箱右側壁16aが形成される。また蓋の左右の側壁15b、16bは蓋左側部パネル45、46、蓋右側部パネル47、48を重ね貼り付けることでそれぞれ形成される。パネル同士を貼り付けるための接着剤の箇所をクロスハッチした領域「G」で示し、多数の切れ込みされた/エンボスされた平行な線「L」によってパックの丸みを帯びた縁部が形成される。
【0031】
図7は喫煙品のパック10生産のための製造ラインの例を略式のフローチャート図であり、紙巻きタバコ(S1)を紙巻きタバコ台に入れ(S2)、箔供給部から箔を供給し(S3)そして紙巻きタバコ束を包装する(S4)。インナーフレームブランクがブランクリールから供給され(S5)、箔で包装された紙巻きタバコ束を覆うように配置される(S6)。パックブランク39がブランクスタック(S7)からブランク台(S8)に供給され、接着作業において(S9)インナーフレームおよびパックブランク39は必須箇所Gで接着され、折り曲げ、プレス工程(S10)でパックブランク39は紙巻きタバコ束の上に置かれ、その周囲で折り曲げられ、完成品パック10が完成する。消費者が開封するまで内容物の鮮度を保つために、パック10は形成された後にセロハンで包装され、封止される(S11)。
【0032】
上記した製造プロセスを通して、特に折り畳みプレスする工程S10においておよびその後、パック側壁が進行方向に向いた状態でパック10は製造装置内を搬送される。折り畳み工程S10を通して、パックの先行側部が保持面でプレスされ、保持され、その間装置の指部が紙巻きタバコ束の周囲で残りのブランクパネルを折り曲げ、組み立てられたパックを形成する。従って、先行する側で重なるパックパネルは、適所で連続的にプレスされ、パネルが確実に接着剤で接着し、正確に位置合わせされる。しかしながら、後行する側で重なるパネルは、素早く格納される装置の指部の移動によって適所に折り曲げられるだけである。この速い折り畳みのせいで、後行側の蓋/箱の端において重なるパネルの配置のズレが起こり得る。とりわけ傾斜角の関係で継ぎ目において顕著である。継ぎ目は蓋部と箱部との間のシャットラインを形成する。継ぎ目の傾斜角度が急になる程、配置ズレがより大きくなり、顕著になる。パック後壁14と後行側壁15上の継ぎ目35との間の角度θ
1の方が大きいことおよびそれに伴って先行側壁上の継ぎ目36(l
2)より後行側壁上の継ぎ目35(l
1)が短いことによって、蓋/箱の端は互いにより直角に面し、継ぎ目35はより水平になる(つまりパックの上壁17、底壁18とより平行になる)。こうすることでいずれの側部パネルの配置ズレも減らせる。従って、装置の中をパック10を搬送する際には、左側壁15が後行側に、右側壁16が先行側になるようにパックの方向を決める。
【0033】
また装置を通過する際のパックの後行側部は傷付きやすく、パック側壁を形成するブランクの重なるパネルの剥離を招きやすい。パック後壁と継ぎ目との間の角度θが小さくなるとヒンジ線と隣接する箱側壁の上部はより鋭い先端を形成し、その先端まで側部パネルをのり付けすることが困難になり、側部パネルは剥離しやすくなる。パック後壁14と後行する(左)側壁15上の継ぎ目35との間の角度θ
1の方を大きくすることによって、ヒンジ線19と隣接する箱側壁15aの上部の先端は鋭さが小さくなり、この先端部までのり付けすることが容易になり、重なるパネル41、42の剥離の危険性を低減させる。同じことが後行する蓋側壁15bのパネル45、46にも当てはまる。これはとても有益である。何故ならば、上述した通り、パック10の後行する側壁で重なっているパネル41/42および45/46は、先行する側壁のパネルほど長くプレスされず所定箇所に固定もされず、接着剤による確実な接着を形成する時間が短いからである。先端の鋭さを小さくすることで、最も外側のパネル42、45の剥離の危険性は低減する。小さい継ぎ目角度を有し、結果として箱上縁部が低くなり蓋前壁が長くなったパックには、上述したもの以外にもいくつかの利点がある。例えば、内容物を取り出しやすくなる点、箱部を突出するインナーフレーム上に蓋を確実に閉じた状態にするためのロック用タブ用のスペースを多く確保できる点である。従って、この実施態様のパックが側壁それぞれで異なる継ぎ目角度を持つことは、両方の配置に関して有益である。
【0034】
またパック製造プロセスの一部にはパック縁の継ぎ目を覆うように納税印紙38を配置する工程が含まれる(
図6参照)。この印紙38はそれ自体が接着性を有するラベルでもパックに貼り付けるラベルでもよい。印紙はパックを最初に開ける際に破かれなければならず、破くためには蓋12に影響が及ぶ程度の力を必要とする。パックの一方の側壁が短い継ぎ目35(l
1)を備えることで、引き裂くべき長さが短くなり、そしてパックを開封するのに必要な力が低減される。これにより消費者はより容易に開封することができる。
図6では印紙38はパック10の左側壁15のみを覆うように延びている。しかし、納税印紙38は、同じくパック左側壁15の短い継ぎ目35に亘って配置されてもよく、後壁14周囲のパック10の隣接する後縁周囲およびヒンジ線19を横切るように延びてもよい。
【0035】
インナーフレーム21上のロック用タブ25、26を非対称的に設計することで、開封するのに必要な力をさらに低減させることができる。ロック用タブ25がロック用タブ26よりも短いため蓋12内側にかかる摩擦力は低下する。そのためパック10を開封して蓋12を開く時、パックの左側は右側に比べて摩擦抵抗が低下する。このことからパックの右側でなく左側において、納税印紙のため増加した開封するために必要な力を補うことができ、また蓋を開く際に小さな初期傾斜を援助して納税印紙を破いて開封できる。また片手でパックを容易に開封できる。
【0036】
蓋前壁13bの下縁部37が低くなっている窪み30の領域で箱前壁13aの上縁部29と離れインナーフレーム21の前パネル22の一部と触れていることで、片手でパックを開封することがさらに容易になる。蓋下縁部37に指をかけ易くなりパック10を開くことが簡単になる。
【0037】
側壁15、16上において異なる継ぎ目角度θ
1とθ
2を有するため蓋前壁13bが2つの蓋側壁15b、16bと隣り合っている所の対向する角において蓋12の前壁13bの下縁部の高さが異なる。蓋前面の下縁部はこれら異なる高さの間を直線的に延びていてもよい。しかし、実施態様として蓋前壁13bの下縁部37の一部は水平かつパック上面17および底壁18並びにヒンジ線19と平行である。こうすることで、蓋前壁の下縁部がパック10前壁の幅全体にわたって下向きである場合に、パックの側壁上に継ぎ目とパック後壁14間で非常に鋭い先端ができることを回避できる。上述したように鋭い先端は重なっているパネルの分離・剥離という問題を招く。本実施態様はこの問題を回避できる。さらに、蓋前壁13bの下縁部37の水平部分によって蓋を押し開ける方向がヒンジ線19と直角関係にある。このことから、蓋前壁の下縁がパック10前壁の幅全体にわたって下向きである場合、蓋を押し開ける方がヒンジ線と斜角関係にある場合よりも、性能が向上し、かつ自然に蓋を開けることができる。
【0038】
蓋前壁13bの下縁部37の水平部分は、ユーザーがパック蓋12を押し開くのに自然な位置であって自然かつ直感的にパックを開くことができる観点から、蓋前壁13bの中央にあるのが好ましい。
【0039】
図で示し、明細書で説明した実施態様のパック10では上面の4つの稜線全てが丸みを帯びているが、本発明はこの設計に制限することを意図していない。別の実施態様には稜線に関する異なる設計が含まれる。例えば、斜角または直角もしくは前面は丸みを帯び後面は直角などこれらの結合である。
【0040】
様々な課題を解決し技術を発展させることを目的として、図示を含むこの開示全体は、請求項に係る発明を実施して従来よりも優れたパックを提供し得る種々の実施態様を示している。この開示の利点および特徴は、実施態様という典型的な例を示すことのみであって、包括的および/または排他的ではない。それらは理解を助けるため、および請求された原理を教示するためだけに提出される。それらは全ての請求項に係る発明の典型例ではないと理解されるべきである。当然のことながら、開示の利点、実施態様、例示、機能、特徴、構造および/または他の側面は請求項または請求項の均等物の限定によって定義されるように、開示されたものに限定されない。他の実施態様を利用してもよく、開示の範囲および/またはその意図から外れない限り変更を加えてもよい。種々の実施態様は、説明した要素、成分、特徴、部品、工程、手法などの種々の組み合わせを適宜含んでもよいし、それらのみから構成されてもよいし、またはそれらを主に構成されてもよい。加えて、この開示は現在請求していない他の発明を含んでいる。将来これら発明を請求する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】国際公開第WO98/22367号パンフレット
【手続補正書】
【提出日】2014年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側壁で接続する前壁および後壁を含む喫煙品用パックであって、このパックは開口端を有する箱部とパック後壁上のヒンジ線でヒンジ式に箱部と接続し箱部の開口端を選択的に開閉するように可動な蓋とを含み、蓋は前壁、上壁、後壁および対向する第1と第2の側壁を含み、蓋前壁の下縁の少なくとも一部は水平方向かつヒンジ線に対して平行に延びており、蓋の第1側壁の下縁部がパックの第1の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度は、蓋の第2側壁の下縁部がパックの反対の第2の側壁の箱上縁部と当接する箇所に画定される継ぎ目と後壁との間の角度よりも大きいパック。
【請求項2】
第1の側壁上の継ぎ目は第2の側壁上の継ぎ目より短いことを特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項3】
パックは前パネルおよびこれに連結している側部パネルを含むインナーフレームを含み、インナーフレームは箱部内部に配置され開口端から突出し、インナーフレームは前パネルのそれぞれの側端に蓋を閉じた位置に保持させるため蓋と摩擦係合するように設計された突出タブを含み、インナーフレームの一方の側壁の突出タブは、インナーフレームの他方の側壁の突出タブより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のパック。
【請求項4】
パックの第1の側壁の突出タブはパックの第2の側壁の突出タブより小さいことを特徴とする請求項3に記載のパック。
【請求項5】
小さい方の突出タブは、パックの長手方向において他方の突出タブより短いことを特徴とする請求項3または4に記載のパック。
【請求項6】
突出タブはインナーフレームから同じ距離を突出していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のパック。
【請求項7】
パックの前壁は、蓋が閉じた位置にある時にインナーフレームの一部が露出するように切り欠きを含むことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のパック。
【請求項8】
パックは、大きな前壁および後壁並びにそれより小さい側壁を有する平行六面体を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパック。
【請求項9】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度は70〜80度の間である、75〜80度の間である、約77度であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパック。
【請求項10】
パックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度は50〜65度の間である、55〜65度の間である、約60度であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパック。
【請求項11】
パックの後壁と第1の側壁上の継ぎ目との間の角度およびパックの後壁と第2の側壁上の継ぎ目との間の角度の差は、5〜30度の間である、10〜25度の間である、15〜20度の間である、約17度であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のパック。
【請求項12】
パックは、パックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うように蓋と箱部との間を延びるシールをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のパック。
【請求項13】
水平方向かつヒンジ線に平行方向に延びている蓋前壁の下縁部の一部は、蓋の全幅に対して中央に位置することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のパック。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の喫煙品用パックを製造する方法であって、パック製造装置内において喫煙品の束の周囲でカードブランクを折り曲げて喫煙品を収容するパックを形成する工程と、ブランクを折りパックを形成する工程の間および/またはその後において紙巻きタバコ束およびブランクを第2の側壁または第2の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向に対して先行し、第1の側壁または第1の側壁を形成するブランクの部分が搬送方向において後行する状態で搬送する工程とを含み、ブランクはヒンジ線においてヒンジ式に接続されパック後壁を共に形成する蓋後パネルおよび箱後パネル並びにパック前壁を共に形成する蓋前パネルおよび箱前パネルを含み、蓋前パネルはパックが折られた時に蓋前壁下縁を含み、ブランクはパック側壁を形成するように折り曲げられる複数の蓋側部パネルおよび箱側部パネルをさらに含み、各対の蓋側部パネルは箱上縁部と第1および第2の蓋側壁の下縁部との間それぞれで各継ぎ目が画定されるように折り曲げられ重なり第1および第2の蓋側壁をそれぞれ形成し、後壁と第1の側壁の継ぎ目との角度は後壁と第2の側壁の継ぎ目との角度よりも大きい方法。
【請求項15】
パックブランクを折り曲げてパックを形成する工程は、ブランクの各対のパネルを重ねて第1および第2の側壁をそれぞれ形成する工程と各対の重なっているパネルを接着剤で貼り付ける工程とを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
パックを形成した後にパックの第1の側壁上の継ぎ目を覆うようにシールを付する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
シールはパックの第1の側壁に貼り付けられたラベルを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
形成されたパック周囲にセロハンラップを付する工程をさらに含み、セロハンラップを付する工程は、第2の側壁が先行し、第1の側壁が後行する状態でパックをセロハンシートの中に搬送する工程と、パック周囲でセロハンシートを折り曲げる工程と、ラップの縁部を互いに封止する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】