(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-520914(P2016-520914A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】フレキシブルディスプレイのための、受動的剛性及び能動的変形の触覚出力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20160617BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 590
G06F3/041 640
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-510802(P2016-510802)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】US2014035500
(87)【国際公開番号】WO2014176528
(87)【国際公開日】20141030
(31)【優先権主張番号】61/816,605
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】モダーレス,アリ
(72)【発明者】
【氏名】クルス‐ヘルナンデス,ファン,マヌエル
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA62
5E555BA05
5E555BB05
5E555CA12
5E555CA41
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
システムは、画像を表示するフレキシブルディスプレイと、前記フレキシブルディスプレイと接続されるセンサとを備える。前記センサは、前記フレキシブルディスプレイの曲げ量を検出するように構成される。触覚出力装置は前記フレキシブルディスプレイと接続され、触覚制御信号を受信すると、前記フレキシブルディスプレイの第2部分に対する前記フレキシブルディスプレイの第1部分の動きに対する抵抗力を変化させるように構成される。システムは、前記フレキシブルディスプレイ、前記センサ及び前記触覚出力装置と信号接続されるプロセッサを備える。前記プロセッサは、前記曲げ量に基づく前記センサからの出力信号を受信し、前記センサからの前記出力信号に基づいて前記触覚制御信号を生成するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するフレキシブルディスプレイと、
前記フレキシブルディスプレイと接続され、前記フレキシブルディスプレイの曲げ量を検出するように構成されるセンサと、
前記フレキシブルディスプレイと接続され、触覚制御信号を受信すると、前記フレキシブルディスプレイの第2部分に対する前記フレキシブルディスプレイの第1部分の動きに対する抵抗力を変化させるように構成された触覚出力装置と、
前記フレキシブルディスプレイ、前記センサ及び前記触覚出力装置と信号接続され、前記曲げ量に基づく前記センサからの出力信号を受信し、前記センサからの前記出力信号に基づいて前記触覚制御信号を生成するように構成されたプロセッサと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記第1部分及び前記第2部分のうちの他方に向かう方向に動かされた場合に、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたヒンジの剛性を変化させるように構成及び配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分が所定の間隔だけ離間した場合に、前記第1部分及び前記第2部分が互いに対して動くことができないように前記ヒンジをロックするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記触覚出力装置が、前記第2部分に対する前記第1部分の動きを補助するように構成及び配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記触覚出力装置が、前記第2部分に対する前記第1部分の動きに抗するように構成及び配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記触覚出力装置は、スマートゲル及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記スマートゲルの剛性を変化させるように構成及び配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記触覚出力装置は、レオロジー流体及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記レオロジー流体の粘性又は減衰特性を変化させるように構成及び配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記触覚出力装置は、形状記憶合金及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記形状記憶合金の温度を変化させて、前記形状記憶合金を元の形状に戻すように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
センサを使用して、画像を表示するフレキシブルディスプレイの曲げ量を検出する工程と、
プロセッサを使用して、検出された前記曲げ量に基づいて触覚制御信号を生成する工程と、
触覚制御信号を受信すると、前記フレキシブルディスプレイの第2部分に対する前記フレキシブルディスプレイの第1部分の動きに対する抵抗力を、触覚出力装置を使用して変化させる工程と、を備える方法。
【請求項10】
前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記第1部分及び前記第2部分のうちの他方に向かう方向に動かされた場合に、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたヒンジの剛性を変化させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分が所定の間隔だけ分離された場合に、前記第1部分及び前記第2部分が互いに対して動くことができないように前記ヒンジをロックするように構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記抵抗力を低減させて、前記第2部分に対する前記第1部分の動きを補助する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記抵抗力を増加させて、前記第2部分に対する前記第1部分の動きに抗する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記触覚出力装置は、スマートゲル及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記スマートゲルを硬化させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記触覚出力装置は、レオロジー流体及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記レオロジー流体の粘性又は減衰特性を変化させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記触覚出力装置は、形状記憶合金及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記形状記憶合金を元の形状に戻す工程を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年4月26日に出願された米国仮特許出願第61/816,605号からの優先権の利益を主張するものであり、この出願の全内容が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、フレキシブルディスプレイのための、受動的剛性及び能動的変形の触覚出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
曲げる、折り畳む及び/又は巻物のように丸めることが可能なデジタルディスプレイを含むフレキシブルディスプレイが開発されており、現実の世界で起きるのと同様な、直観的でリアルなデジタルユーザインターフェースインタラクションを可能としている。触覚効果を使用したフレキシブルディスプレイのインタラクションの拡張及び強化には、限界があった。フレキシブルディスプレイを使用したインタラクションの多くは、ディスプレイにおける変形動作(ジェスチャ)の形態で連続した入力を行うこと特徴としているが、このようなインタラクションの場合、ユーザには受動的な触覚効果しか与えることができず、デジタル環境におけるユーザインターフェースイベントと必ずしも対応していない又は相関していなかった。
【発明の概要】
【0004】
従って、ユーザがフレキシブルディスプレイを扱う時に、異なる及び更なる触覚効果を可能とすることが望ましい。
【0005】
本発明の一側面によれば、画像を表示するフレキシブルディスプレイと、前記フレキシブルディスプレイと接続されるセンサとを備えるシステムが提供される。前記センサは、前記フレキシブルディスプレイの曲げ量を検出するように構成される。触覚出力装置は前記フレキシブルディスプレイと接続され、触覚制御信号を受信すると、前記フレキシブルディスプレイの第2部分に対する前記フレキシブルディスプレイの第1部分の動きに対する抵抗力を変化させるように構成される。システムは、前記フレキシブルディスプレイ、前記センサ及び前記触覚出力装置と信号接続されるプロセッサを備える。前記プロセッサは、前記曲げ量に基づく前記センサからの出力信号を受信し、前記センサからの前記出力信号に基づいて前記触覚制御信号を生成するように構成される。
【0006】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記第1部分及び前記第2部分のうちの他方に向かう方向に動かされた場合に、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたヒンジの剛性を変化させるように構成及び配置される。
【0007】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分が所定の間隔だけ離間した場合に、前記第1部分及び前記第2部分が互いに対して動くことができないように前記ヒンジをロックするように構成される。
【0008】
一実施形態において、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記触覚出力装置が、前記第2部分に対する前記第1部分の動きを補助するように構成及び配置される。
【0009】
一実施形態において、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記触覚出力装置が、前記第2部分に対する前記第1部分の動きに抗するように構成及び配置される。
【0010】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、スマートゲル及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記スマートゲルの剛性を変化させるように構成及び配置されている。
【0011】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、レオロジー流体及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記レオロジー流体の粘性又は減衰特性を変化させるように構成及び配置されている。
【0012】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、形状記憶合金及び作動要素を有し、前記作動要素は、前記触覚制御信号を受信すると前記形状記憶合金の温度を変化させて、前記形状記憶合金を元の形状に戻すように構成されている。
【0013】
本発明の別の側面によれば、センサを使用して、画像を表示するフレキシブルディスプレイの曲げ量を検出する工程と、プロセッサを使用して、検出された前記曲げ量に基づいて触覚制御信号を生成する工程と、触覚制御信号を受信すると、前記フレキシブルディスプレイの第2部分に対する前記フレキシブルディスプレイの第1部分の動きに対する抵抗力を、触覚出力装置を使用して変化させる工程とを備える方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分のうちの少なくとも一方が、前記第1部分及び前記第2部分のうちの他方に向かう方向に動かされた場合に、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分と前記第2部分との間に形成されたヒンジの剛性を変化させる工程を含む。
【0015】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、前記フレキシブルディスプレイの前記第1部分及び前記第2部分が所定の間隔だけ離間し場合に、前記第1部分及び前記第2部分が互いに対して動くことができないように前記ヒンジをロックするように構成される。
【0016】
一実施形態において、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記抵抗力を低減させて、前記第2部分に対する前記第1部分の動きを補助する工程を含む。
【0017】
一実施形態において、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記センサが前記フレキシブルディスプレイが曲げられたことを検出した場合に、前記抵抗力を増加させて、前記第2部分に対する前記第1部分の動きに抗する工程を含む。
【0018】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、スマートゲル及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記スマートゲルを硬化させる工程を含む。
【0019】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、レオロジー流体及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記レオロジー流体の粘性又は減衰特性を変化させる工程を含む。
【0020】
一実施形態において、前記触覚出力装置は、形状記憶合金及び作動要素を有し、前記動きに対する抵抗力を変化させる工程は、前記作動要素が前記触覚制御信号を受信すると前記形状記憶合金を元の形状に戻す工程を含む。
【0021】
本発明の上記及び上記以外の目的、特徴、及び性質、並びに、関連する構成要素の動作方法及び機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってさらに明らかになる。これらはいずれも本明細書の一部を構成する。添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。本明細書及び特許請求の範囲における用法によれば、単数形の「a」、「an」及び「the」には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下の図面の構成要素は、本開示の原理の概略を強調するように描写されており、必ずしも寸法通りには記載されていない。一貫性及び明瞭性を確保するために、対応する構成要素を指し示す参照符号は、必要に応じ、複数の図面にわたって繰り返し用いられる。
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるシステムを模式的に示す。
【0024】
【
図2】平らな状態のフレキシブルディスプレイを有するフレキシブルユーザインターフェースデバイスの形態の、
図1のシステムの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【0025】
【
図3】曲げた状態における
図2のフレキシブルユーザインターフェースデバイスを模式的に示した斜視図である。
【0026】
【
図4】折り畳んだ状態における
図2のフレキシブルユーザインターフェースデバイスを模式的に示した斜視図である。
【0027】
【
図5】
図1のシステムのプロセッサを模式的に示す。
【0028】
【
図6】曲げた状態におけるフレキシブルディスプレイを有するフレキシブルユーザインターフェースデバイスの形態の、
図1のシステムの一実施形態を模式的に示した断面図である。
【0029】
【
図7】
図6のフレキシブルユーザインターフェースデバイスの一実施形態を模式的に示した断面図である。
【0030】
【
図8】曲げた状態におけるフレキシブルディスプレイを有するフレキシブルユーザインターフェースデバイスの形態の、
図1のシステムの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【0031】
【
図9】開いた状態におけるフレキシブルディスプレイ及び剛性体の筐体を有する畳むことができるユーザインターフェースデバイスの形態の、
図1のシステムの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【0032】
【
図10】閉じた状態における
図9のユーザインターフェースデバイスの一実施形態を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム100の模式図である。図示されるように、システム100は、プロセッサ110、メモリデバイス120、及び、入出力装置130を備えており、これらはバス140を介して相互に接続されている。一実施形態において、入出力装置130は、タッチスクリーン装置150、触覚出力装置160、及び/又は、システム100のユーザからの入力を受信するその他の装置、及び、システム100のユーザに情報を出力する出力デバイスを含み得る。一実施形態において、システム100は、
図1に示された構成要素を全てを1つの装置に組み込んだタッチモバイルデバイス又はタブレットデバイスの形態のユーザインターフェースデバイスであってもよい。一実施形態において、システム100は、以下に詳細に説明するように、屈曲することが可能な、撓ませることが可能な、巻くことが可能な、又は、折り畳むことが可能な一つの統合されたフレキシブルデバイスである。
【0034】
タッチスクリーン装置150は、任意の好適なユーザインターフェース又はタッチ/接触面アセンブリとして構成されてもよく、スタイラスや指などのユーザによって制御された装置との物理的なインタラクションのために構成され得る。実施形態によっては、タッチ・スクリーン装置150は少なくとも1つの出力装置及び少なくとも1つの入力装置を備えている。例えば、図に示すように、タッチスクリーン装置150は、画像を表示するように構成された視覚ディスプレイ152及びタッチセンサー式スクリーンと、その表面に重ねて設けられる少なくとも1つのセンサ154を備え、ユーザの指又はユーザが制御するスタイラスからの入力を受信する。視覚ディスプレイ152は、高解像度ディスプレイ・スクリーンを含み得る。
【0035】
様々な実施形態において、触覚出力装置160は、システム100のユーザがシステム100の少なくとも一部に接触している間に、当該ユーザに触覚フィードバックを提供するように構成され得る。例えば、触覚出力装置160は、ユーザが、タッチスクリーン装置150及び/又はシステム100別の部分、例えば、少なくとも入出力装置130を収容する筐体に接触している時に、触覚効果を与えるべく、タッチスクリーン装置150に触覚フィードバックを提供してもよい。以下に詳細に記載するように、システム100とのインタラクションが発生する時のユーザエクスペリエンスを向上させるのに、触覚効果を使用してもよい。
【0036】
触覚出力装置160によって提供される触覚フィードバックは、例えば、振動、変形、運動感覚、静電摩擦又は超音波摩擦等の触覚効果を生成する任意の方法で生成され得る。一実施形態において、触覚出力装置160は、非機械的装置又は非振動装置、例えば、静電摩擦(「ESF」)や超音波表面摩擦(「USF」)を用いる装置、超音波触覚トランスデューサを用いて音響放射圧力を生じさせる装置、触覚基板及び可撓性もしくは変形可能な表面を用いる装置、又は、熱的効果を提供する装置、又は、エアジェットを用いた空気の吹きかけなどの発射型の触覚出力を提供する装置などを含んでもよい。触覚出力装置160が含み得るアクチュエータは、例えば、偏心質量体がモータにより動かされる偏心回転質量体(「ERM」)などの電磁アクチュエータ、ばねに取り付けられた質量体が前後に駆動されるリニア共振アクチュエータ(「LRA」)、又は圧電材料、電気活性ポリマー、もしくは形状記憶合金などの「スマートマテリアル」、マクロ複合繊維アクチュエータ、静電気アクチュエータ、電気触感アクチュエータ、及び/又は振動触知フィードバックなどの物理的フィードバックを提供する他の種類のアクチュエータ、である。異なる触覚効果を生成するために、複数の触覚出力装置160を用いてもよい。
【0037】
プロセッサ110は、汎用又は特殊用途プロセッサ、あるいはシステム100の動作及び機能を管理又は制御するマイクロ・コントローラである。例えば、プロセッサ110は、触覚効果を提供するために、触覚出力装置160への出力信号を制御する特定用途向け集積回路(application−specific integrated circuit:「ASIC」)として、特に設計されてもよい。プロセッサ110は、プロセッサ110が受信した又は決定した触覚信号に基づいてどのような触覚効果が生成されるべきか、当該触覚効果がどのような順序で生成されるべきか、及び、どの程度の大きさ、頻度、持続時間の触覚効果とすべきか、及び/又は、触覚効果のその他のパラメータについて、所定の因子に基づいて決定してもよい。また、プロセッサ110は、特定の触覚効果を提供するために触覚出力装置160を駆動するのに使用することができるストリーミング・コマンドを提供するように構成されてもよい。ある実施形態では、プロセッサ110は複数のプロセッサを含み、当該プロセッサの各々がシステム100の内部で特定の機能を果たすように構成されている。プロセッサ110についての詳細は後述する。
【0038】
メモリデバイス120としては、内部に固定された1つ又は複数の記憶ユニット、リムーバブル記憶ユニット及び/又はリモート・アクセスが可能な記憶ユニットを含む。これら様々な記憶ユニットは、揮発性メモリと不揮発性メモリとのいかなる組合せをも含み得る。記憶ユニットは、情報、データ、命令、ソフトウェア・コードなどのいかなる組合せをも記憶し得るように構成されている。より具体的には、記憶ユニットは、触覚効果のプロフィール、触覚出力装置160がいかにして駆動されるかを指示する命令又は触覚効果を生成するためのその他の情報を含む。
【0039】
図2には、システム100の一実施形態として、フレキシブルディスプレイ210を備えるユーザインターフェースデバイス200が示されている。
図3に示すように、ユーザインタフェースデバイス200は全体としてフレキシブルであり、フレキシブルディスプレイ210と共に曲げることが可能である。一実施形態では、ユーザインターフェースデバイス200は、ヒンジ220において曲げる及び折り畳むことが可能であってもよく、
図4に示すように、フレキシブルディスプレイ210の第1部分212及びフレキシブルディスプレイ210の第2の部分214が、互いに接触する又は接触する一歩手前の状態となる。フレキシブルディスプレイ210に埋め込まれる又は接続されるセンサ230は、フレキシブルディスプレイ210の曲がり具合を検出するように構成される。センサ230は、フレキシブルディスプレイ210の曲がり具合及び/又はフレキシブルディスプレイ210の第2部分214に対するフレキシブルディスプレイ210の第1部分212の動きを検出するように構成された、ゆがみゲージ又は任意のその他の種類のセンサを含んでもよい。
【0040】
図5には、上記で説明したプロセッサ110の一実施形態がより詳細に示されている。プロセッサ110は、一つの又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成されてもよい。当該一又は複数のコンピュータ・プログラム・モジュールは、センサモジュール112、判定モジュール114、触覚出力装置制御モジュール116、及び/又はこれら以外のモジュールの一又は複数を備えることができる。プロセッサ110は更に、メモリデバイス120と同じであってもよい電子記憶装置118を備えてもよい、又は、メモリデバイス120に加えて当該電子記憶装置を備えてもよい。プロセッサ110は、モジュール112、114、及び/又は116を実行する際に、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、何らかの方法で組み合わされたソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェア、及び/又はプロセッサ110の処理能力を構成する他の機構を用いてもよい。
【0041】
図2においてモジュール112、114及び116は単一の処理装置内の同じ位置に配置されるものとして示されるが、プロセッサ110が複数の処理装置を含む実施形態においては、モジュール112、114及び/又は116のうちの一又は複数が他のモジュールから離れて配置されてもよい。以下の異なるモジュール112、114、及び/又は116によって提供される機能の記述は説明のためのものであり、限定を意図したものではない。モジュール112、114、及び/又は116はいずれも記述されるよりも多くの、又は少ない機能を提供してもよい。例えば、モジュール112、114、及び/又は116のうちの一又は複数を取り除き、その機能の一部又はすべてを、モジュール112、114、及び/又は116のうちの他のモジュールで提供してもよい。他の例として、以下でモジュール112、114、及び/又は116のうちの1つに帰せられる機能の一部又はすべてを実行する1つ又は複数の追加的なモジュールを実行するように、プロセッサ110が構成されてもよい。
【0042】
センサモジュール112は、センサ154がシステム100のユーザからの入力を検出すると生成されるセンサ154からの入力信号を受信するように構成される。複数のセンサが存在する実施形態では、センサモジュール112は、複数のセンサからの入力信号を受信及び処理するように構成される。センサモジュール112は、入力信号の強度もしくは入力信号のパターン又は位置を、所定の閾値強度と比較することによって、検出された入力が、意図した入力なのか又はタッチスクリーン装置150に意図せず接触しただけなのかを判定するように構成され得る。この場合、所定の閾値強度は、意図した入力に対応する。加えて、センサモジュール112は、例えば、ユーザインターフェースデバイス200が撓まされた、折り畳まれた又は巻かれた時といったように、フレキシブルユーザインタフェースデバイス200が曲げられた場合に生成されるセンサ230からの入力信号を受信するように構成される。センサモジュール112はまた、更なる処理のために信号を判定モジュール114へと送信するように構成される。
【0043】
判定モジュール114は、入力をセンサ154に供給する時に、ユーザが何を意図したかを判定するように構成される。例えば、ユーザが、タッチスクリーン装置150のある場所をタッチする、タッチスクリーン装置150に対して特定のジェスチャを行う、又は、特定の態様でユーザインターフェースデバイス200を曲げることにより、ユーザインターフェースデバイス200が特定の機能を実行すべきと判定することが考えられる。判定モジュール114は、複数の予め定められたジェスチャ及びタッチスクリーン装置150上の複数のタッチロケーションをライブラリとしてプログラムしていてもよく、ユーザがタッチスクリーン装置150の特定の場所をタッチすると、又は、ユーザがタッチスクリーン装置150に対してあるジェスチャを行うと、判定モジュール114が、対応する出力を判断してもよい。ユーザがシステム100(又はユーザインターフェースデバイス200)を曲げた時に、センサ154、230が所定の量を超えた曲げ量を検出した場合、ユーザがシステム100又はユーザインターフェースデバイス200をヒンジ220において曲げるプロセスを行っていると判定し、フレキシブルディスプレイ210の電源を切るべきと判断してもよい。加えて、判定モジュール114は、触覚出力装置制御モジュール116に信号を出力して、以下に記載する発明の実施形態に係る触覚効果を、ユーザに提供してもよい。
【0044】
触覚出力装置制御モジュール116は、判定モジュール114からの出力信号を受信して、判定モジュール114が生成する信号に基づいて、触覚出力装置160によって生成されるべき触覚効果を判定するように構成される。
【0045】
本発明の一実施形態において、システム100は、
図6に示すようなフレキシブルユーザインターフェースデバイス600であってもよく、当該フレキシブルユーザインターフェースデバイス600のヒンジ620の中には触覚出力装置610が埋め込まれている。
図6に示すように、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600のヒンジ620は、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600が曲げられる、撓まされる又は折り畳まれる時に、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600の第1部分630及び第2部分640が旋回又は回転して互いに近づく又は離れる方向に移動する場所とみなすことができる。一実施形態において、ヒンジ620の対向する側にそれぞれ位置するフレキシブルユーザインターフェースデバイス600の2つの部分が互いに近づく方向に向かって動かされる場合に、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600が畳まれるように構成されてもよい。
【0046】
一実施形態において、触覚出力装置610は、フレキシブルディスプレイ660を支持するフレキシブルユーザインターフェースデバイス600の本体又は筐体内に埋め込まれてもよいし、フレキシブルディスプレイ660を支持するフレキシブルユーザインターフェースデバイス600の本体又は筐体に接続されてもよい。触覚出力装置610は、以下に詳細に説明するように、スマートゲル又はレジオロジー流体、及び、作動要素を備える流体アクチュエータの形態であってもよい。
【0047】
ポリマーの基質内に又は基質を囲む流体ベース(典型的には、水)を含むスマートゲルは、特定の物理的な及び/又は化学的な外部刺激、例えば、電場、磁場、温度、(紫外線)光、振ること、pH、振動等に晒されると、機械的及び/又は構造的な特性が即時に変化するという特徴を有する。このようなスマートゲルの刺激に対する応答又は反応は膨張又は収縮であり、これは、ポリマー基質が多かれ少なかれ親水性となり、ゲルからより多くの分子を吸収する又はゲルへと分子を放出することによって起こる。膨張率/収縮率の異なる不均質なゲルを作成することにより、制御された刺激(例えば、電圧制御された電場)によってゲルが特定の制御された量だけ曲がる及び/又は硬くなるように構成することが可能となる。スマートゲルの一種として、いわゆるシェイクゲル(shake gel)があり、これは機械的な衝撃に晒されると又は強く振られると、硬くなる性質を有する。
【0048】
スマートゲルは、温度感受性を有するハイドロゲルを含んでもよく、ハイドロゲルは閾値温度を超えて加熱されると膨張及び硬化し、前記閾値温度を下回るように冷却されると収縮及び弛緩する。スマートゲルは、温度以外の別の刺激、例えば、電流、光、塩及び化学的刺激等に応答するように構成されてもよい。システム100は、スマートゲルが所望の応答を行うように適切な刺激を導入するべく、作動要素を備えてもよい。例えば、スマートゲルが光に応じて変形するように構成される場合、システム100は、光をスマートゲルの方向に向けることによってスマートゲルを刺激する素子を備えてもよい。スマートゲルが化学的刺激に反応する一実施形態では、例えば、スマートゲルのpHを変化させる化学薬剤、塩、グルコース、イオン等の化学薬剤をスマートゲルに導入するのに注入装置を使用してもよい。スマートゲルが電気的刺激に反応する一実施形態では、スマートゲルにワイヤ又はその他の要素を埋め込んでもよいし、スマートゲルに電流を印加する及び/又はスマートゲルに電場を印加するのに電極を使用してもよい。
【0049】
レオロジー流体は、流体アクチュエータの別のカテゴリであり、典型的には、油又水状液に懸濁する鉄粉を含有する。電場(電気粘性流体の場合)又は磁場(磁気粘性流体の場合)に晒されると、液体中の分子の配列が、電場又は磁場の主軸の方向に並ぶ。この現象により、流体の全体的な減衰及び/又は粘度が変化し、電場又は磁場の強度が十分に大きければ、レオロジー流体は短時間で固体へと変化する。
【0050】
図6に戻り、一実施形態において、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600は、予め規定されたヒンジ620を有さなくてもよい。その代わり、
図6のヒンジ620に対応する領域が、スマートゲル又はレオロジー流体で満たされるようにしてもよい。この場合、上記したようにスマートゲル又はレオロジー流体が作動されて、硬度が高まると、一時的なヒンジが形成されて、フレキシブルユーザインターフェースデバイス600を2つに分割するように構成されてもよく、上記したように、新たに形成されたヒンジを中心に回転可能に構成された第1部分630及び第2部分640へと分かれるようにしてもよい。作動が終了すると、ヒンジはすぐに軟化して、次第に消えるようにしてもよい。
【0051】
一実施形態において、
図7に模式的に示すように、スマートゲル又はレオロジー流体が充填され、その両側にはフレキシブル電極712、714が設けられる層710(流体アクチュエータ720の形態の触覚出力装置を形成するべく設けられる)が、フレキシブルディスプレイ660の下の本体650の表面全体にわたって設けられてもよい。任意の流体の帯を作動させて硬くすることにより、一時的なヒンジを任意の場所に、任意の向きに(水平方向、横方向、斜め方向、曲線に)生成することができる。
【0052】
図8には、システム100の一実施形態として、フレキシブルユーザインターフェースデバイス800が示されており、フレキシブルユーザインターフェースデバイス800は、当該デバイス800のフレキシブルな本体820及びヒンジの位置830に埋め込まれた複数の触覚出力装置810を備える。図に示すように、触覚出力装置810は、本体820の第1部分から、ヒンジ位置830を横切って、本体820の第2部分850まで延在する。図では、5つの触覚出力装置810が示されているが、これより多い数又は少ない数の触覚出力装置810が使用されてもよい。図に示した実施形態に限定されることを意図していない。触覚出力装置810は、例えば、形状記憶合金繊維のような形状記憶合金、及び、当該繊維を元の形状に戻すべく形状記憶合金繊維を加熱するように構成された一つの又は複数の作動要素を備えてもよい。例えば、ユーザインターフェースデバイス800が
図8に示すような状態に曲げられると、当該デバイスに埋め込まれたセンサによって曲げられたことが検出されて、プロセッサ110は、作動要素を起動する触覚制御信号を生成してもよい。例えば、作動要素に電流が流れて、形状記憶合金繊維が真っ直ぐに伸ばされて、
図2に示すようなユーザインターフェースデバイス800がほぼ平らな状態へと戻るようにしてもよい。
【0053】
一実施形態では、
図8に示すようにヒンジの周囲にまで延在する形状記憶合金繊維を有するため、形状記憶合金繊維が伸長するのに抗するように構成することもでき、この場合、2つに分割されたユーザインターフェースデバイスの部分が閉じられるのに抗する触覚効果を生成することができる。一実施形態において、起動されると、形状記憶合金が短くなって、ユーザインターフェースデバイス800の2つの部分840、850を互いに近づけるように動かし、ヒンジ位置830においてデバイス800を折り畳むという能動的な運動感覚触覚効果へとつながる。一実施形態において、触覚出力装置810は、マクロファイバー複合体(「MFC」)圧電繊維を、ユーザインターフェースデバイス800のヒンジ位置820の周辺又は内部に埋め込んでもよい。
【0054】
図9には、システム100の一実施形態として、フレキシブルディスプレイ920を支持する剛体の筐体910を備えるユーザインターフェースデバイス900が示されている。少なくとも一つの触覚出力装置(
図9には示していない)を、ユーザが筐体910の第1部分912を、フレキシブルディスプレイ920のヒンジ930に対して反対側の筐体910の第2部分914へと向かう方向に移動させるのを補助するのに使用してもよい。この場合、ユーザインターフェースデバイス900が
図9に示すような開いた状態から、
図10に示すような閉じた状態になる。ユーザインターフェースデバイス900が閉じた状態になると、本明細書に記載する発明の実施形態に係る触覚出力装置が起動されてユーザインターフェースデバイス900を閉じた状態に、ヒンジ930によって固定してもよい。一実施形態では、電気モータ及びスマートゲルをベースとしたアクチュエータの形態の触覚出力装置の組み合わせを使用して、触覚的にフレキシブルディスプレイ920のヒンジ930を使用可能状態にしてもよい。電気モータを使用して、能動的な変形を生成し、折り畳み可能デバイスの開閉を補助してもよく、それと同時にスマートゲルベースのアクチュエータを使用して当該折り畳み可能デバイスの状態を固定して、折り畳み可能ディスプレイが開く又は閉じてしまうのを防ぐことができる。
【0055】
一実施形態では、ディスプレイ又はデバイスの第1部分及び第2部分のヒンジ930を中心とした回転動作は、当該ヒンジ内のサブコンポーネント間での摩擦及び/又は摺動接触を伴ってもよい。サブコンポーネントに係る有効摩擦係数は、その表面に超音波振動を印加することによって調節(例えば、低減)させることができ、それにより、ヒンジを使用したプログラム可能抵抗力を形成でき、ユーザがフレキシブルディスプレイの2つの部分を開閉するときに表示させることができる。
【0056】
本発明の一実施形態では、上記したようなスマートゲル又はレオロジー流体に基づく流体アクチュエータを、巻くことが可能なローラブルディスプレイの背面に搭載してもよい。このようなアクチュエータを起動することにより、ディスプレイの巻き自由度に対するプログラム可能な抵抗力(受動的)触覚効果又は能動的触覚効果を生成することができる。
【0057】
一実施形態において、触覚出力装置は、大きなヒンジに沿って微小な抵抗力触覚効果を提供するべく、電気機械アクチュエータを備えてもよい。一実施形態において、超音波モータは、摩擦の大きい領域に配置されてもよく、起動されると超音波振動を生成して摩擦を低減させてもよい。一実施形態では、ワイヤの形態の形状記憶合金を使用して、ユーザの動きに抗するようにしてもよい。一実施形態では、ユーザがデバイスとインタラクションを行った時にの変形を変化及び維持するように構成されたアクチュエータ、例えば、圧電アクチュエータ又はMFCアクチュエータを使用してもよい。一実施形態では、ディスプレイの背面に埋め込まれたスマートゲル又はレオロジー流体使用して、起動時にディスプレイの表面の硬さ又は減衰を変化させてもよい。一実施形態において、触覚出力装置は、より速い動態を有する触覚効果を生成するように構成されてもよい。例えば、触覚出力装置は、例えば、ラップトップコンピュータを開閉する時のように、折り畳み可能デバイスを開閉した時の「パチッ」と音を立てて開閉する感覚を、相対的に高速の「ポン」という弾けるような触覚効果で擬似的に生成してもよい。触覚効果は、本発明の実施形態に係る上記の技術のうちの一つ又は組み合わせを使用して生成してもよい。
【0058】
オペレーションモードに応じて、受動的及び能動的な触覚効果の両方を生成するのに、上記の本発明の実施形態を使用してもよい。本明細書において、フレキシブルディスプレイにおける「受動的な」触覚効果は、デバイスのヒンジ又は本体に埋め込まれた触覚出力装置の機械的剛性/減衰の変化によって生成されてもよい。一方、フレキシブルディスプレイにおける「能動的な」触覚効果は、デバイスのヒンジ又は本体に埋め込まれた触覚出力装置が能動的に曲げられた場合に生成されてもよい。
【0059】
受動的な触覚効果は、ディスプレイの知覚される構造的な剛性/減衰の変化を引き起こしてもよく、それにより、ユーザが行った変形動作(ジェスチャ)(例えば、ディスプレイを曲げる)に対してプログラム可能な構造的な抵抗力を提供してもよい。更に、生成される受動的な運動感覚触覚効果により、様々なインタラクションパラメータ及び/又はスキームを可能としてもよい。例えば、一実施形態では、ディスプレイの知覚される剛性又は硬さ及び(物理的値に対する)減衰係数を、制御して徐々に増加させてもよい。一実施形態では、曲げられる方向に曲げる力を印加することによって、知覚される剛性/物理的値からの減衰を制御して徐々に減少させてもよくそれにより、ユーザの動作及びインタラクションを簡易にしてもよい。
【0060】
受動的モードの操作では、プログラム可能抵抗力触覚効果を、ユーザがデバイスを曲げる又は折り畳む時に提供してもよい。このプログラム可能な抵抗力は、ヒンジに位置する触覚出力装置をプログラム可能な態様で起動することにより生成されてもよく、例えば、スマートゲル又はレオロジー流体を、制御された電場又は磁場に晒すことによって生成されてもよい。このような構成に基づいて、非常に多様な運動感覚触覚効果及びスキームを生成することが可能であり、フレキシブルディスプレイ使用した動作及びインタラクションの幅及び奥行きを拡げることができる。例えば、一実施形態では、ディスプレイの知覚される減衰係数を、その物理的値とは反対に制御して徐々に増加させてもよい。一実施形態では、触覚出力装置の応答時間がユーザが行う曲げる動作よりも速い場合には、曲げ動作の間に機械的な戻り止めを生成してもよい。一実施形態では、ディスプレイを特定の位置にロックする又は保持する(すなわち、固定する)効果を生成してもよい。一実施形態では、曲げの範囲及び/又は曲げの程度を、予め定められた閾値に限定してもよい。一実施形態では、分離された、局所的な剛性部分、パッチ又は線を、ディスプレイ上に形成してもよい。一実施形態では、変形回復率、すなわち、変形した部分がどれくらいの速さ/遅さで中立の状態へと戻るかについて、完全に状態が回復する構成であれば、調整してもよい。
【0061】
能動的触覚効果を使用することにより、変形自由度(例えば、曲げ)に沿って、デバイス/ディスプレイ自身が能動的に力を印加することができる。この力は、(存在する場合)ユーザによって印加される外部からの動作の力と反対の力であってもよいし、一致した力であってもよく、デバイス及びディスプレイの実際の変形(すなわち、形状の変化)につながっても、つながらなくてもよい。
【0062】
オペレーションの能動的モードにおいて、触覚出力装置は、ディスプレイ上に折り曲げ又は折り畳みの力を生成してもよく、この力は、受動的モードとは反対に、純粋な抵抗力ではない。例えば、電気機械アクチュエータ、形状記憶合金、MFCアクチュエータ等を使用して、能動的モードの触覚効果を可能としてもよい。
【0063】
本発明の実施形態は、スマートゲル、レオロジー流体、形状記憶合金、MFC等を使用して触覚出力装置のフレキシビリティを拡張でき、フレキシブル表面及び小型化設計に対応可能とする利点を提供できる。加えて、本発明の実施形態は、触覚出力装置をデバイスのヒンジ又は表面に埋め込むことにより、モバイルユーザインターフェースデバイスの空間的制約を満たすことができ、また、アクチュエーション技術の組み合わせを使用することにより、省電力化を図れる可能性がある。例えば、DCモータを使用して、フレキシブルユーザインターフェースデバイスの各部分を回転させてもよく、それと同時にスマートゲル又は電気粘性流体を使用して、デバイスの配置をロックさせてもよい。
【0064】
上記に記載したアクチュエーション部品を使用してフレキシブルディスプレイにおけるプログラム可能運動感覚触覚効果を提供する本発明の実施形態により、ユーザインタラクションの幅及び奥行きを拡張させることができ、フレキシブルディスプレイを使用するユーザ体験を向上させることができる。ディスプレイの抵抗力又は剛性を制御することにより、ディスプレイの使用を容易にすることができる。例えば、ディスプレイが硬くなればタッチスクリーンでのタイピングが容易になるであろうし、ディスプレイの剛性を弱めて柔らかくしてフレキシブルディスプレイを曲げることによって、当該フレキシブルディスプレイが出力する画像をズームすることが容易になると考えられる。また、知覚される変形剛性を低減させて、曲げる動作を行う方向に曲げる力を印加することによってユーザを補助することにより、ユーザが感じる疲労感が低減される。
【0065】
本発明の実施形態は、複数の触覚効果を可能とし、例えば、制御された徐々に増加するディスプレイの知覚される減衰係数、曲げる動作に置ける機械的な戻り止め、特定の位置にディスプレイをロック/保持(固定)すること、曲げの範囲及び程度を特定の閾値に制限すること、ディスプレイ上に分離された局所的に合成を有する部分/パッチ/線を形成すること、変形部分が完全に回復する場合には、変形回復率を調整することすなわち変形された部分が中立の状態へと戻る速さ/遅さを調整すること、が含まれる。
【0066】
本明細書に記載された実施形態は、実施可能な実装例及び実施例であるが、本発明を特定の実施形態に制限することを必ずしも意図するものではない。むしろ、これらの実施形態には、当該技術分野における当業者に理解できるような変更を加えることができる。このような変更が加えられた態様も本発明の要旨及び範囲に含まれ、そして以下の請求項によって保護されるべきものである。
【国際調査報告】