特表2016-521104(P2016-521104A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-521104t分布を用いたエネルギー需要およびエネルギー効率の測定による電力システム制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-521104(P2016-521104A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(54)【発明の名称】t分布を用いたエネルギー需要およびエネルギー効率の測定による電力システム制御
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20160617BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20160617BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20160617BHJP
【FI】
   H02J3/00 170
   G06Q50/06
   H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-502400(P2016-502400)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】US2014027299
(87)【国際公開番号】WO2014152398
(87)【国際公開日】20140925
(31)【優先権主張番号】61/789,085
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511268719
【氏名又は名称】ドミニオン リソーシス インク
【氏名又は名称原語表記】DOMINION RESOURCES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハール エドムンド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ステファン ジェイ
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA05
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA02
5G064DA03
5G064DA05
5G066AA03
5G066AE03
5G066AE07
5G066AE09
5L049CC06
(57)【要約】
統計的測定の正確性を向上させるための新規な技術を使用してペアリングプロセスが最適化される場合に、所与の電気使用母集団について期間から期間における顧客毎平均使用量の変化を計算するためにペアt統計解析を使用した電圧測定の実施を含む、電力システムの制御のために方法、装置、システム、およびコンピュータプログラムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおけるエネルギー削減における管理性能の改善およびエネルギー使用の変化を、ウェザーノーマライゼーションを使用せずに計算するための、ペアt分布(paired t distributions)を用いた電圧制御およびエネルギー管理システムの測定技術であって、
複数のユーザ地点における電気使用装置による使用のために電気分配システムを介して電気使用システムに対して電力を供給する電気供給システムとして構成されたサブステーションを有する電気エネルギー分配システムと、
前記サブステーションと前記複数のユーザ地点のうちの少なくとも1つとに配置され、スマートメーターによって受け取られる電力の測定成分に基づいてスマートメーターデータを生成するように構成されたメーターと、
前記スマートメーターデータに基づいてエネルギー分配パラメータを生成するように構成された電圧制御装置と、を含み、
前記サブステーションは、前記複数のユーザ地点に対して供給される前記電力の電圧セットポイント値を前記エネルギー分配パラメータに基づいて調整するようにさらに構成され、
前記電圧およびエネルギーは、エネルギー検証プロセスを用いて間隔ベースで測定され、CVR「オン」セットポイントとCVR「オフ」セットポイントとの両電圧間の、CVR係数およびエネルギー節約などのエネルギー特性における変化は、前記CVR係数および前記電気エネルギー分配システムに対するエネルギー使用の改善を判断するために、最適化されたペアリングプロセスを用いたペアt測定(paired t measurement)を使用して測定される、
電圧制御およびエネルギー管理システムの測定技術。
【請求項2】
前記ペアリングプロセスは、
ペアtプロセス(paired t process)を季節ごとのCVR係数および管理エネルギー節約の測定に分割して、整合性のある負荷が存在し、かつ、ペアt比較(paired t comparisons)を最も正確に計算できる時間のブロックを決定するために、線形回帰定数を用いた新規な技術を使用する追加プロセスを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
システムにおけるエネルギー削減における管理性能の改善およびエネルギー使用の変化を計算するための、ペアt分布(paired t distributions)を用いた電圧制御およびエネルギー管理システムであって、
複数のユーザ地点における電気使用装置による使用のために電気分配システムを介して電気使用システムに対して電力を供給する電気供給システムとして構成されたサブステーションを有する電気エネルギー分配システムと、
複数のメーターであって、該メーターによって受け取られる電力の測定成分に基づいてメーターデータを生成するように構成された、前記複数のユーザ地点の少なくとも1つのそれぞれに配置される少なくとも1つのメーターと、前記サブステーションにおける供給点に配置されるメーターとを含む複数のメーターと、
管理電圧低減オン状態または管理電圧低減オフ状態で動作するように構成された電圧制御装置と、を含み、
前記電圧制御装置は、前記電圧制御装置が管理電圧低減オン状態である場合に管理電圧低減を適用して前記メーターデータに基づき管理電圧低減エネルギー分配パラメータの生成を行い、前記電圧制御装置が管理電圧低減オフ状態である場合に行わず、
前記サブステーションは、さらに、前記供給点にて前記複数のユーザ地点に対して供給される前記電力の電圧セットポイント値を前記エネルギー分配パラメータに基づいて調整するように構成され、
前記電圧およびエネルギーは、エネルギー検証プロセスを使用して間隔ベースで前記メーターによって測定され、前記管理電圧低減オン状態と前記管理電圧低減オフ状態との間のエネルギー特性の変化がペアt測定(paired t measurement)を用いて判断される、
電圧制御およびエネルギー管理システム。
【請求項4】
前記サブステーションは、さらに、前記供給点にて前記複数のユーザ地点に対して供給される前記電力の電圧セットポイント値を前記エネルギー特性の変化に基づいて調整するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電圧制御装置は、さらに、エネルギー特性の変化に基づいて前記エネルギー分配パラメータを調整するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギー特性は管理電圧低減係数である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー特性はエネルギー節約である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
各メーターのデータは前記間隔にわたって平均化される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記間隔は24時間の期間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記間隔は4時間の期間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記間隔は1時間の期間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記ペアリングプロセスは、ペアtプロセス(paired t process)を季節ごとの管理電圧低減係数および管理エネルギー節約の測定に分割し、所定の制限内で、ペアt比較(paired t comparisons)が正確に計算されることが可能であり、かつ、整合性のある負荷が存在する時間のブロックを決定するために線形回帰定数を使用する追加プロセスを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
供給点から複数のユーザ地点に対して電力を供給するように構成された電力送配網のための制御システムであって、
複数のセンサであって、それぞれのセンサが、前記供給点と前記複数のユーザ地点の少なくとも1つとにおける、または、前記供給点と前記複数のユーザ地点の少なくとも1つとの間における前記電力送配網の複数の分配地点のそれぞれに配置され、それぞれのセンサが、それぞれの前記分配地点における前記供給された電力の成分を検知して、前記電力の検知された前記成分に基づいて測定データを生成するように構成された複数のセンサと、
前記複数のセンサから測定データを受信し、前記電力送配網を変更オン状態または変更オフ状態で動作させるように構成された制御部であって、変更を適用してメーターデータに基づきエネルギー分配パラメータを生成するように構成された制御部と、
前記エネルギー分配パラメータに応じて前記電力送配網の構成要素を調整するように構成された構成要素調整装置と、を含み、
前記制御部は、エネルギー検証プロセスを使用して、前記変更オン状態と前記変更オフ状態との間のエネルギー特性の変化をペアt測定(paired t measurement)を用いて判断するように構成される、
制御システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記制御部が前記変更オン状態である場合に、前記変更を適用して前記メーターデータに基づきエネルギー分配パラメータの生成を行い、前記制御部が前記変更オフ状態である場合に行わない、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記供給された電力の前記成分は、前記メーターによって間隔ベースで測定される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記供給された電力の前記成分は電圧である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記変更は管理電圧低減である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
電力送配網調整装置の構成要素は、前記供給点にて供給される前記電力の電圧をロードタップチェンジ係数に基づいて調整するロードタップチェンジトランスフォーマ、または、前記供給点にて供給される前記電力の電圧を前記エネルギー分配パラメータに基づいて調整する電圧レギュレータを含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記エネルギー特性は管理電圧低減係数である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記エネルギー特性はエネルギー節約である、
請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
各メーターのデータは前記間隔にわたって平均化される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記間隔は24時間の期間である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記間隔は4時間の期間である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項24】
前記間隔は1時間の期間である、
請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
ペアリングプロセスは、ペアtプロセス(paired t process)を季節ごとの管理電圧低減係数および管理エネルギー節約の測定に分割し、所定の制限内で、ペアt比較が正確に計算されることが可能であり、かつ、整合性のある負荷が存在する時間のブロックを決定するために線形回帰定数を使用する追加プロセスを含む、
請求項13に記載のシステム。
【請求項26】
前記制御部は、前記エネルギー特性の変化に基づいて前記電圧を調整するように構成された、
請求項16に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御部は、測定の正確性を判断するために、ペアtのp係数(paired t p factor)を用いて、対応する所定の標準の値範囲の外の値を有するデータを除外するように構成される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御部は、第1の変数に基づいて前記エネルギー特性の変化を判断するように構成される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の変数は、季節、グループ化された時間、又は顧客タイプである、
請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記制御部は、前記第1のペアリング変数に対して二次的な第2のペアリング変数を提供し、前記第1の変数の値と、最も近い変更オフから変更オンへの値とでペアを形成し、前記第1および第2のそれぞれの変数の間の線形関係の相関スロープに基づいて前記ペアの重み付きスコアリングを決定する、
請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御部は、非効率変数によって影響されたデータを除外するように構成される、
請求項13に記載のシステム。
【請求項32】
供給点と少なくとも1つのユーザ地点とにおける、または、前記供給点と前記少なくとも1つのユーザ地点との間における複数の分配地点に対して供給される電力を制御する方法であって、
前記複数の分配地点のそれぞれは、それぞれの前記分配地点における前記供給された電力の電圧を検知して、検知された前記電圧に基づいて測定データを生成するように構成された少なくとも1つのセンサを含み、
前記方法は、
電力送配網を変更オン状態または変更オフ状態に制御することであって、制御部が、前記制御部が前記変更オン状態である場合に変更を適用してメーターデータに基づきエネルギー分配パラメータの生成を行い、前記制御部が前記変更オフ状態である場合におこなわないこと、
前記エネルギー分配パラメータに応じて前記電力送配網の構成要素を調整するように構成された構成要素調整装置を動作させることと、
エネルギー検証プロセスを使用して間隔ベースでメーターによって、前記供給された電力の成分を測定し、ペアt測定(paired t measurement)を使用して前記管理電圧低減オン状態と前記管理電圧低減オフ状態との間のエネルギー特性の変化を判断することと、
を含む方法。
【請求項33】
前記供給された電力の前記成分は電圧である、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記変更は管理電圧低減である、
請求項32に記載の方法。
【請求項35】
電力送配網調整装置の構成要素は、前記供給点にて供給される前記電力の電圧をロードタップチェンジ係数に基づいて調整するロードタップチェンジトランスフォーマ、または、前記供給点にて供給される前記電力の電圧を前記エネルギー分配パラメータに基づいて調整する電圧レギュレータを含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記エネルギー特性は管理電圧低減係数である、
請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記エネルギー特性はエネルギー節約である、
請求項32に記載の方法。
【請求項38】
各メーターのデータは前記間隔にわたって平均化される、
請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記間隔は24時間の期間である、
請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記間隔は4時間の期間である、
請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記間隔は1時間の期間である、
請求項32に記載の方法。
【請求項42】
ペアリングプロセスは、ペアtプロセス(paired t process)を季節ごとの管理電圧低減係数および管理エネルギー節約の測定に分割し、所定の制限内で、ペアt比較が正確に計算されることが可能であり、かつ、整合性のある負荷が存在する時間のブロックを決定するために線形回帰定数を使用する追加プロセスを含む、
請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧最適化、エネルギー管理および需要削減の効果をt分布を用いて測定することを含む、電力システムの制御のための方法、装置、システム、およびコンピュータプログラムに関する。より詳しくは、本発明は、特定の期間にわたる母集団需要(population demand)とエネルギー使用量とを比較するペアサンプルt検定(paired sample t-test)を使用して電気需要とエネルギー効率の改善測定の新規な実装に関する。本方法によってエネルギー使用母集団に対する2つの期間の間のエネルギーおよび需要の変化の直接的な統計的測定が可能になる。この比較は、電力システムに対する変更(修正)の実行の結果生じる節約についてのエネルギー効率値および需要削減値の正確な定量化のための基礎として使用することができる。
【0002】
電気は、典型的に化学的燃焼または核分裂によって燃料が供給される熱機関によって駆動される、または水または風から流れる運動エネルギーによって駆動される電気機械的発電機によって発電所において一般的に生成される。この電気は通常、送電網を介してエンドユーザに対して交流電流信号として供給される。送電網は、発電所、送電回路、サブステーションなどのネットワークを含んでもよい。
【0003】
生成された電気は典型的に、送電システムへの供給前に、例えばステップアップ生成トランスフォーマなどを用いて電圧において昇圧される。電圧の昇圧によって、電力入力にほぼ等しい電力の送電を継続させつつも、送電システムの導体を流れる電流を減らして送電効率を改善させる。その後、昇圧電圧の電気は、送電システムを介して分配システムに送電され、その電気を分配システムがエンドユーザに分配する。分配システムは、送電システムから電気を運びエンドユーザに配電するネットワークを含んでもよい。典型的に、このネットワークは、中間電圧(例えば69kV未満)電力線、電気的サブステーション、トランスフォーマ、低電圧(例えば1kV未満)分配配線、電気メーターなどを含んでもよい。
【背景技術】
【0004】
非特許文献1〜非特許文献10は、言及することでその全体が本明細書に組み込まれ、発電または配電に関係する内容を記載する。
【0005】
さらに、特許文献1は、言及することでその全体が本明細書に組み込まれ、複数のユーザ地点に対して電力を供給するよう構成される電力送配網のための電圧制御およびエネルギー管理システムを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第61/176,398号,2009年5月7日出願、および米国特許出願公開第2013/0030591号、名称「VOLTAGE CONSERVATION USING ADVANCED METERING INFRASTRUCTURE AND SUBSTATION CENTRALIZED VOLTAGE CONTROL」
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Power Distribution Planning Reference Book, Second Edition, H. Lee Willis, 2004
【非特許文献2】Estimating Methodology for a Large Regional Application of Conservation Voltage Reduction, J.G. De Steese, S.B. Merrick, B.W. Kennedy, IEEE Transactions on Power Systems, 1990
【非特許文献3】Implementation of Conservation Voltage Reduction at Commonwealth Edison, IEEE Transactions on Power Systems, D. Kirshner, 1990
【非特許文献4】Conservation Voltage Reduction at Northeast Utilities, D.M. Lauria, IEEE, 1987
【非特許文献5】Green Circuit Field Demonstrations, EPRI, Palo Alto, CA, 2009, Report 1016520
【非特許文献6】Evaluation of Conservation Voltage Reduction (CVR) on a National Level, PNNL-19596, Prepared for the U.S. Department of Energy under Contract DE-AC05-76RL01830, Pacific Northwest National Lab, July 2010
【非特許文献7】Utility Distribution System Efficiency Initiative (DEI) Phase 1, Final Market Progress Evaluation Report, No 3, E08-192 (7/2008) E08-192
【非特許文献8】Simplified Voltage Optimization (VO) Measurement and Verification Protocol, Simplified VO M&V Protocol Version 1.0, May 4, 2010
【非特許文献9】MINITAB Handbook, Updated for Release 14, fifth edition, Barbara Ryan, Brian Joiner, Jonathan Cryer, Brooks/Cole-Thomson, 2005
【非特許文献10】Minitab Software, http://www.minitab.com/en-US/products/minitab/; Statistical Software provided by Minitab Corporation
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書に記載する様々な実施形態は、統計的測定の正確性を向上させるための新規な技術を使用してペアリングプロセスが最適化される場合に、所与の電気使用母集団についての、ある期間から別の期間にわたる顧客毎の平均使用量のずれの計算に適用される、ペアt統計解析(対応のあるt統計解析:paired t statistical)を使用した電圧測定の実施を含む、電力システムの制御のための新規な方法、装置、システム、およびコンピュータプログラムを提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、エネルギー検証プロセス(EVP)は、1以上のエネルギー使用システム(EUS)を電気的に接続するエネルギー供給システム(ESS)からなる電気エネルギー分配システム(EEDS)に対し、エネルギー使用量の変化レベルを測定する。EEDSの動作に対して変更が行われるか、または測定中の所与の時刻においてエネルギーをランダムに使用する多くのエネルギー使用装置からなる、電気エネルギー分配システム(EEDS)の上の電気的地点(electrical point)にあるエネルギー使用装置(EUD)に対して変更が行われる。エネルギー検証プロセス(EVP)の目的は、EEDSに対し、エネルギー使用量の変化レベルを測定することである。電気エネルギー分配システム(EEDS)に対する電気エネルギー供給は、(a)ESSの供給点および(b)エネルギー使用システム(EUS)または測定点(meter point)においてワット、キロワット(kw)、またはメガワット(Mw)で測定される。この測定によって、1時間などの設定期間にわたっての供給点および測定点のそれぞれにおける平均エネルギー使用量(AUE)が記録される。
【0010】
エネルギー使用における変化レベルのテストは、2つの基本期間に分けられる。1つ目は、変更が動作していない、すなわち「オフ」状態の期間である。2つ目は、変更が動作している、すなわち「オン」状態の期間である。電気エネルギー使用量は一定ではなく、天候条件や環境条件などの他の独立変数とともに変化するため、他の独立変数同様天候および環境変化を「オフ」状態の「オン」状態への比較から除去しなければならない。この意図は、1つの独立変数のみが「オフ」状態から「オン」状態への平均エネルギー使用量の比較において測定されるようにすることである。
【0011】
環境条件および/または天候条件の効果を除くために、ペアリングプロセスを使用して、エネルギー期間を通常の環境条件および/または天候条件と一致させる。一例として、設定期間にわたり、温度、暖房度(heating degree)、冷房度(cooling degree)、および他の天候条件がエネルギー測定毎に記録される。温度、暖房度、冷房度、および他の天候条件が最も正確なペアを選択するために最適化プロセスによって一致した場合、これらの期間がペアとされる。
【0012】
測定において変動を生じさせるであろう測定対象外の他の独立変数を取り除くために、同一の環境システムおよび/または天候システムに配置されるほぼ同一のエネルギー供給システムおよびほぼ同一のエネルギー使用システムのEEDSが使用される。当該他の独立変数を取り除くため、ほぼ同一のエネルギー供給システムのEEDSにおけるエネルギー変化を、テスト中のEEDSによって測定された変化から差し引く。この方法によって、他の残りの独立変数の効果に対してテスト回路が変更される。
【0013】
測定プロセスは、「オフ」状態から「オン」状態への平均エネルギー使用量データの第1のペアリング間隔よりなる。第1のステップは、独立変数と関連していないと容易に識別される顕著な異常値を取り除くことである。一例として、変更の結果生じる、(経験などに基づき)予測される負荷のずれが最大2kwであり、データが10MWの負荷のずれをともなう母集団の構成要素を示す場合、この要素は除外できる。母集団の正規性を壊さないように、母集団全体にわたり、むらが無いよう除去を行わなければならない。
【0014】
第2のステップはペアリングプロセスの制限を設定することである。制限は、所望の正確性に少なくとも部分的には基づいて、設定されてもよい。また、正確性は使用されるデータ点の数に依存する。一例として、温度差に対して華氏1度(F)になるように制限が選択されてもよい。この制限の選択にともなって、データ測定が検査される期間のタイプが選択される。期間の選択は、選択された解析に対してどんなEEDS動作環境が関連しているかに依存してもよい。例えば、24時間の期間は、全日の測定データの変動を含むように選択されてもよい。別の例として、夜間の4時間の期間は、ピークの夜間電力使用期間にわたっての測定データの変動を含ませるために選択されてもよい。
【0015】
期間中において、データは「オン」状態での変更を伴うEEDSの一部に存在するセンサの組から収集される。同一のタイプの期間(「オン」状態における収集期間と同時であっても同時でなくてもよい)の間、データは「オフ」状態における変更を伴うEEDSの一部からの組に対する潜在的なペアであるセンサの組から収集される。これらのペアは、マッチングの中で最も良好な温度レベルのマッチングが確実に選択されるように検討が行われる。このプロセスは他の変数に対して繰り返されてもよい。ペアの最良の組が特定されると、ペアtの標準プロセス(standard process of paired t)が適用され、特定されたペアの組に対するt分布を使用して、「オフ」状態から「オン」状態へのエネルギー使用量の平均変化を決定する。このプロセスは、信頼水準内において、この母集団に対して「オフ」状態から「オン」状態へのエネルギー使用量の変化の実際の範囲を決定できる。このプロセスのために、電気エネルギー分配システム(EEDS)測定点またはエネルギー使用システム(EUS)測定点において、またはエネルギー使用装置(EUD)測定点またはEEDS、EUS、EUDの測定点のあらゆる組み合わせに対して測定を行うことが可能である。
【0016】
結果として生じるエネルギー使用量の変化は、その後、電気エネルギー分配システムを制御するために使用されてよい。例えばEEDSの構成要素を修正、調整、追加、または削除してもよく、それにはコンデンサバンクの追加、電圧レギュレータの修正、顧客の効率を修正するためのエンドユーザ設備に対する変更、その他の制御動作が含まれる。
【0017】
本発明のさらなる側面によれば、エネルギー検証プロセス(EVP)は1以上のエネルギー使用システム(EUS)に電気的に接続するエネルギー供給システム(ESS)からなる電気エネルギー分配システム(EEDS)のエネルギー使用量の変化レベルを測定する。これは上記の態様と同様であるが、EEDSの動作に対して、または測定中の所与の時刻においてエネルギーをランダムに使用する多くのエネルギー使用装置からなる電気エネルギー分配システム(EEDS)の上の電気的地点のエネルギー使用装置(EUD)に対して、複数の変更が行われる。エネルギー検証プロセス(EVP)の目的は、組み合わされた変更とともに、および個別の変更のそれぞれとともに、EEDSに対してエネルギー使用量の変化レベルを測定することである。電気エネルギー分配システム(EEDS)に対する電気エネルギー供給は、(a)ESSの供給点において、および(b)エネルギー使用システム(EUS)または測定点において、ワット、キロワット(kw)、またはメガワット(Mw)で測定される。この測定によって、1時間などの設定期間にわたって供給点および測定点の各々における平均エネルギー使用量(AUE)が記録される。
【0018】
エネルギー使用の改善における変化レベルのテストは、2つの基本期間に分けられる。1つ目は、変更が機能していない、すなわち「オフ」状態の期間である。2つ目は、変更が機能している、すなわち「オン」状態の期間である。電気エネルギー使用量は一定ではなく、天候条件や環境条件などの他の独立変数とともに変化するため、他の独立変数同様天候および環境変化を「オフ」状態の「オン」状態に対する比較から削除しなければならない。この意図は、独立変数のみが「オフ」状態から「オン」状態への平均エネルギー使用量の比較において測定されるようにすることである。
【0019】
環境条件および/または天候条件の効果を除くために、ペアリングプロセスを使用して、エネルギー期間を通常の環境条件および/または天候条件に適合させる。一例として、設定期間にわたり、温度、暖房度、冷房度、および他の天候条件がエネルギー測定毎に記録される。最も正確なペアを選択するための最適化プロセスによって、温度、暖房度、冷房度、および他の天候条件が適合した場合、これらの期間がペアとされる。
【0020】
測定において変動を生じさせるであろう測定対象外の他の独立変数を取り除くために、同一の環境システムおよび/または天候システムに配置されるほぼ同一のエネルギー供給システムおよびほぼ同一のエネルギー使用システムのEEDSが使用される。当該他の独立変数を取り除くため、ほぼ同一のエネルギー供給システムのEEDSにおけるエネルギー変化を、テスト中のEEDSによって測定された変化から差し引く。この方法によって、他の残りの独立変数の効果に対してテストEEDSが変更される。
【0021】
上記の測定プロセスは、「オフ」状態から「オン」状態への平均エネルギー使用量データの第1のペアリング間隔より構成される。第1のステップは、独立変数と関連していないと容易に識別される顕著な異常値を取り除くことである。一例として、変更に対し予測される負荷のずれが最大2kwであり、データが10MWの負荷のずれをともなう母集団の構成要素を示す場合、この要素は除外できる。母集団正規性を壊さないように母集団全体にわたってむら無く除去を行わなければならない。
【0022】
第2のステップはペアリングプロセスの制限を設定することである。一例として、温度差に対して華氏1度(F)になるように制限が選択されてもよい。この制限の選択にともなって、上述の態様と同様に、「オン」状態の変更をともなうセンサの組から、および「オフ」状態の変更を伴い、当該組に対し潜在的にペアとなるセンサのグループから、データ測定が行われるであろう、あるいは行われた期間が選択される。これらのペアは、マッチングの中で最も良好な温度レベルのマッチングが確実に選択されるように検討が行われる。これは他の変数に対して繰り返され、ペアの最良の組が特定されると、ペアtの標準プロセス(standard process of paired t)が適用され、特定されたペアの組に対するt分布を使用して、「オフ」状態から「オン」状態へのエネルギー使用量の平均変化を判断する。このプロセスは、信頼区間内において、この母集団に対する「オフ」状態から「オン」状態へのエネルギー使用量の変化の実際の範囲を判断できる。このプロセスのために、電気エネルギー分配システム(EEDS)測定点またはエネルギー使用システム(EUS)測定点において、またはエネルギー使用装置(EUD)測定点またはEEDS、EUS、EUDの測定点のあらゆる組み合わせに対して測定を行うことが可能である。
【0023】
結果として生じるエネルギー使用量の変化は、その後、電気エネルギー分配システムを制御するために使用されてよい。例えばEEDSの構成要素を修正、調整、追加、または削除してもよく、それにはコンデンサバンクの追加、電圧レギュレータの修正、顧客の効率を修正するためのエンドユーザ設備に対する変更、その他の制御動作が含まれる。
【0024】
エネルギー検証プロセス(EVP)は、エネルギー使用量に影響を及ぼす湿度などの第2の独立変数をさらに含んでもよい。その場合、EVPを使用して、第1のペアリング変数に対して二次的な第2のペアリング変数を提供する。このプロセスは、第1の変数を、選択されたエネルギー区間について「オフ」値から「オン」値となる母集団に可能な限り近接させて、ペアとする。マッチングされる第2の変数は該区間については第1の変数とすでにマッチしている。エネルギーとそれぞれの独立変数との間の線形関係の相対的スロープに基づいてペアの重み付けスコアリングが実行される。これによって、2つの母集団の点を最も近接してマッチさせるペアの最適な選択が実現する。この線形最適マッチングは、t分布評価のためのデータの最良のペアリングを提供する。この方法によって、複数の値が、t分布を使用した平均エネルギー変化計算のために最適にペアリングされることが可能となる。
【0025】
エネルギー検証プロセス(EVP)は、三相電力を有する1以上のエネルギー使用システム(EUS)に電気的に接続するエネルギー供給システム(ESS)からなる電気エネルギー分配システム(EEDS)をさらに含んでもよい。そしてEVPはEEDS、ESS、EUS、およびEUDのすべての組み合わせにおいて位相値毎に全ての電力および独立変数の計算を実行して、エネルギーシステムにおける変更に起因したエネルギー変化を計算する。したがって、3つの位相のうちの各1つに特有の感知された特性に対するデータを使用して、個別に計算が実行されてもよい。このように、1以上の位相についてのEEDSに対する変更の効果は、他の位相についてのその効果と比較されてもよい。
【0026】
エネルギー検証プロセス(EVP)は、電圧の平均変化対エネルギーの平均変化の比率、または管理電圧低減係数(CVRF)が計算される場合、電圧などの第2の独立変数をさらに含んでもよい。この係数は、電圧の独立変数に応じたエネルギー使用量の変化に対するEEDS、EUS、およびEUDの許容量を測定する。EVPは、第1に、上述したように「オフ」状態から「オン」状態への2つのエネルギー状態をペアリングすることによってCVRFを計算する。第2に、サンプルのエネルギー変化率(パーセント)を電圧変化率(パーセント)で割った比率が、母集団の各サンプルの2つの状態間で計算される。最適ペアリングはt分布を使用した評価のために最も近接したサンプルをマッチングし、CVRFの平均値の信頼区間を決定する。
【0027】
エネルギー検証プロセス(EVP)は、電圧と回路の不平衡における平均変化の、エネルギーの平均変化に対する比率が計算される場合の、電圧と回路の不平衡や、エネルギー削減係数(ERF)などの複数の独立変数をさらに含んでもよい。この係数は、複数の独立変数に応じたエネルギー使用量の変化に対するEEDS、EUS、およびEUDの許容量を測定する。EVPは、第1に、上述したように「オフ」状態から「オン」状態への2つのエネルギー状態をペアリングすることによってERFを計算する。第2に、エネルギー変化を、サンプルについて複数の変数の組合わされたパーセント変化における変化で割った比率を、母集団の各サンプルについて、2つの状態間で計算される。最適ペアリングはt分布を使用した評価のために、最も近接したサンプルをマッチングし、ERFの平均値の信頼区間を決定する。
【0028】
エネルギー検証プロセス(EVP)は、1以上のエネルギー使用システム(EUS)に電気的に接続するエネルギー供給システム(ESS)からなる電気エネルギー分配システム(EEDS)をさらに含んでもよい。EVP評価期間(または間隔)は、複数のレベルにおいて展開されることが可能である。これは、接続されたEUDを線形回帰技術を使用して分類する際に有用である。まずはじめに、間隔には24時間の標準間隔を使用して、複数時間にわたる負荷のサイクルの影響をとらえてもよい。ただし、ある場合においては、すべての負荷が24時間全体の間接続されているわけではなく、全期間にわたってエネルギー測定が一貫しているわけではない場合もある。これに対応するために、例えば、夏と冬の季節それぞれの間の空調および暖房など、異なる負荷を表わすために、評価を季節ごとに分離する。秋と春においては、穏やかな天候条件ではこれらの負荷が存在しない場合があるため、これらは同様に分離して評価される。さらに、各季節は、暖房度、冷房度、日の種類(週末、平日または休日)、湿度、負荷の増加など、各時間毎の負荷に影響する複数の変数を表わす線形回帰を使用して評価される。そして上記時間は、負荷の一般的な特徴にマッチする回帰係数範囲毎にグループ分けされる。この回帰の結果、母集団におけるエネルギー性能の個別の特性を決定するために独立して比較されることが可能な、24時間期間の各々における時間範囲に各季節が分割される。そして、EVPはEEDS、ESS、EUS、およびEUDのすべての組み合わせにおいて位相値毎、季節毎、時間範囲毎に全ての電力および独立変数の計算を実行して、エネルギーシステムにおける変更に起因したエネルギー変化を計算する。
【0029】
本発明の追加的な特徴、利点、および本発明の実施形態は、詳細な説明および図面を考慮した結果これらにおいて説明されるもの、もしくはこれらから明らかなものである。さらに、前述した本発明の概要および以下の詳細な説明は例示的なものであって、請求項に記載された発明を限定することなく、さらなる説明を提供することを意図したものであることが理解されるべきである。
【0030】
本発明のさらなる理解のために含まれる添付図面は、本明細書に含まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を示し、詳細な説明と共に本発明の原理の説明に寄与する。本発明および実施されうるいくつかの方法の、基本的な理解のために必要と思われるもの以上に詳細な構成は示されていない。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の原理に係る、顧客負荷に接続された電力生成および分配システムからなるEEDSの一例を示す。
図2】本発明の原理に係る、電圧およびエネルギーを測定する高度測定インフラストラクチャ(Advanced Metering Infrastructure:AMI)からなるESS測定点とEUSとで測定される電圧制御および管理(VCC)システムを示す。
図3】本発明の原理に係る、エネルギー検証プロセス(EVP)の一例を示す。
図4】本発明の原理に係る、エネルギー検証プロセス(EVP)データベース構造の一例を示す。
図5】本発明の原理に係る、正常動作の範囲外にある母集団測定を決定するための一般の異常値解析の一例を示す。
図6】本発明の原理に係る、電圧測定などの独立変数が正常動作の範囲外にあるかを決定するための電圧異常値解析の一例を示す。
図7】本発明の原理に係る、独立変数の特徴を決定するための「オフからオン」比較の電圧ヒストグラムのグラフの例を示す。
図8】各サンプルおよびサンプルペアにおける天候および季節の変化の特徴を閲覧するために「オン」状態および「オフ」状態における天候および季節毎のサンプル点のグラフの例を示す。
図9】本発明の原理に係る、母集団サンプルに対する天候、日の種類、および湿度のマッチングのためのハイレベルなペアリングプロセスの一例を示す。
図10】本発明の原理に係る、負荷データを類似した特徴を有する季節毎のグループと時間毎のグループに分割した結果の一例を示す。
図11】本発明の原理に係る、最適ペアリングプロセスのプロセスマップの一例を示す。
図12】本発明の原理に係る、EEDSに対するCVR係数を決定するためのデータペアリングプロセスのヒストグラムの一例を示す。
図13】顧客毎の使用量の変化を決定するペア検定解析プロセスの適用の一例を示す。本発明の原理により、上のヒストグラムはペアリング結果を表わし、下の散布図はペアリング値の結果を示す。
図14】本発明の原理に係る、EEDSに対するCVR係数を決定するためのデータペアリングプロセスのヒストグラムの例を示し、一方は他の独立変数を除去するための制御EEDSがある場合、もう一方は制御EEDSがない場合である。
図15】本発明の原理に係る、顧客毎のCVR係数とエネルギー節約とに関する上述の図に示したデータの概略チャートの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、以下の詳細な説明によりさらに記述される。
【0033】
本発明およびさまざまな特徴、それらの詳細な効果は限定的でない実施形態および例によって、より詳細に説明され、これら実施形態および例は添付の図面により記述および/又は図示され、以下の記述により詳細に説明される。ここで、図面に示される特徴は必ずしも正確な縮尺で描かれたものではなく、たとえここで明確に記載されていなかったとしても、当業者が認識するように、一実施形態における特徴は、他の実施形態においても採用されうる。周知の構成物および処理技術に関する記述は、本発明の実施形態が不明瞭になるのを回避するために省略されることがある。ここで用いられる例は、本発明の実施方法の理解を助けること、および当業者が本発明の実施形態を実行するのをより容易にすることのみのためのものである。従って、ここにおける例および実施形態は本発明の範囲を限定するためのものではない。さらに、同様の符号は、各図面を通じて同様の部分を指すものである。
【0034】
本発明で用いられる「コンピュータ」は、あらゆる機械、装置、回路、部品、もしくはモジュールを意味し、又は、1以上の命令に従ってデータを扱うことのできる、機械、装置、回路、部品、モジュール等のあらゆるシステムを意味し、例えば、限定されることなく、プロセッサ、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置、汎用コンピュータ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、サーバ等、又はプロセッサ、マイクロプロセッサ、中央演算処理装置、汎用コンピュータ、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、パームトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップのコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、サーバ等のアレイを意味する。
【0035】
本発明で用いられる「サーバ」は、ソフトウエアおよび/又はハードウエアのあらゆる組み合わせを意味し、少なくとも1つのアプリケーションおよび/又は少なくとも1つのコンピュータを含み、クライアント−サーバアーキテクチャの一部として接続されたクライアントに対しサービスを実施する。少なくとも1つのサーバアプリケーションは、例えば接続を受け入れて、クライアントにレスポンスを送信することでクライアントからのリクエストに応じることができるアプリケーションプログラムを含んでよいが、これに限定されない。サーバは、人からの最低限の指示により、しばしば重い負荷のもとで、無人で、長時間にわたり少なくとも1つのアプリケーションを実行するよう構成されてもよい。サーバは、複数の構成されたコンピュータを含み、負荷に基づいて、少なくとも1つのアプリケーションをこれらのコンピュータに分配してもよい。例えば負荷が軽い場合、当該少なくとも1つのアプリケーションは1つのコンピュータにおいて実行できるが、負荷が重い場合、複数のコンピュータが当該少なくとも1つのアプリケーションを実行するよう求められてもよい。サーバ、もしくはそのコンピュータは、ワークステーションとして使用されてもよい。
【0036】
本発明で用いられる「データベース」は、少なくとも1つのアプリケーションおよび/又は少なくとも1つのコンピュータを含むソフトウエアおよび/又はハードウエアのあらゆる組み合わせを意味する。データベースは構築(ストラクチャ)された記録のコレクションや、例えば、関係モデル、階層モデル、ネットワークモデル等、これらの少なくとも一つに限定されないデータベースモデルに基づいてオーガナイズされたデータを含んでよい。データベースが、従来技術として周知のデータベース管理システムアプリケーション(DBMS)を含んでもよい。少なくとも1つのアプリケーションは、例えば、接続を受け入れて、クライアントにレスポンスを送信することでクライアントからのリクエストに応じることができるアプリケーションプログラムを含んでよいが、これに限定されない。データベースは、人からの最低限の指示により、しばしば重い負荷のもとで、無人で、長時間にわたり少なくとも1つのアプリケーションを実行するよう構成されてもよい。
【0037】
本発明で用いられる「通信リンク」は、少なくとも2つのポイント間でデータ又は情報を運ぶ有線および/又は無線の媒体を意味する。有線又は無線の媒体は、例えば金属導体のリンク、無線周波数(RF)通信リンク、赤外線(IR)通信リンク、光通信リンク等を含んでよく、又これに限定されない。RF通信リンクは、例えばWiFi、WiMAX、IEEE802.11、DECT、0G、1G、2G、3G、もしくは4Gセルラ標準、BlueTooth(登録商標)等を含んでよい。
【0038】
本発明で用いられる「含む」「有する」およびその変形からなる語は、特に記載のない限り「含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0039】
本発明で用いられる「1つの(a, an)」「前記(the)」等の語は、特に記載のない限り「1以上(one or more)」を意味する。
【0040】
互いに通信を行う装置は、特に記載のない限り、必ずしも継続して通信を行う必要はない。加えて、互いに通信を行う装置は、直接的に、もしくは1以上の中間物を通じて間接的に通信を行ってよい。
【0041】
処理ステップ、方法ステップ、アルゴリズム等は、順序を追って記載されてよく、そのような処理、方法、アルゴリズムは、順序を入れ替えて実行されるよう構成されてもよい。言い換えれば、記載されるあらゆる順番やステップ順序は、ステップがこの順序で実行されることの要求を必ずしも示すものではない。ここで記載される処理、方法、アルゴリズムのステップは、実際にはあらゆる順序で実行されてよい。さらに、いくつかのステップは同時に実行されてもよい。
【0042】
ここで1つの装置又は部材が記載された場合、1以上の装置又は部材が1つの装置又は部材に代えて使用されてよいのは明らかであろう。同様に、ここで1以上の装置又は部材が記載された場合、1つの装置又は部材が1以上の装置又は部材に代えて使用されてよいのは明らかであろう。1つの装置の機能や特徴は、代わりに1以上の、そのような特徴や機能を有することが明確に示されていない他の装置により実現されてもよい。
【0043】
本発明で用いられる「コンピュータにより読み取り可能な媒体」は、コンピュータに読まれるデータ(例えば命令)の提供を行うあらゆる媒体を意味する。このような媒体は、不揮発性の媒体、揮発性の媒体、および送信媒体を含む数多くの形態をとりうる。不揮発性の媒体は、例えば光学ディスクもしくは磁気ディスクや他の持続性メモリーを含んでよい。揮発性の媒体は、ダイナミックランダムアクセスメモリー(DRAM)を含んでよい。送信媒体は、プロセサと組み合わされたシステムバスを含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅製ワイヤ、および光ファイバを含んでよい。送信媒体は音波、光波、および無線(RF)および赤外線(IR)のデータ通信において生成されるもののような、電磁放射を含んでよく、あるいは運んでよい。コンピュータにより読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他のあらゆる磁気媒体、CD−ROM、DVD、他のあらゆる光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他のあらゆる物理媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEEPROM、他のあらゆるメモリーチップもしくはカートリッジ、後述する搬送波、もしくはコンピュータが読み取り可能なあらゆる媒体を含む。
【0044】
さまざまな形態のコンピュータによる読み取り可能な媒体が、コンピュータに命令のシーケンスを運ぶのに利用されてもよい。例えば、命令のシーケンスは、(i)RAMからプロセサに運ばれてもよく、(ii)無線送信媒体を通って運ばれてもよく、および/又は(iii)例えばWiFi、WiMAX、IEEE802.11、DECT、0G、1G、2G、3G、もしくは4Gセルラ標準、BlueTooth(登録商標)等を含む数多くのフォーマット、スタンダード又はプロトコルに従ってフォーマットされてよい。
【0045】
本発明の限定的でない一例によれば、電圧制御および管理(VCC)システム200が提供され(図2に示す)、EVPはVCCからのEEDSエネルギーの変化をモニタするために使用される。VCCは、エネルギー分配(ED)システム300と、エネルギー制御(EC)システム400と、エネルギー調整(ER)システム500とを含んだ、3つのサブシステムを含む。VCCシステム200は、EDシステム300におけるエネルギー使用量をモニタして、ECシステム(または電圧制御装置)400における1以上のエネルギー分配パラメータを決定するよう構成される。そして、ECシステム400は、1以上のエネルギー分配パラメータCEDをERシステム500に対して提供して、最大エネルギー管理のために、複数のユーザに対して分配されるエネルギーを調整してもよい。エネルギー検証プロセス(EVP)システム600は通信リンク610を通してすべての測定エネルギーフローをモニタし、ERシステムにおける電圧制御の変化の結果生じるエネルギーの変化を判断する。また、EVPシステム600は、適切な測候所640から通信リンク620を介して天候データ情報を読み込んでEVPプロセス630を実行する。
【0046】
VCCシステム200はまた、EVPシステム600からのエネルギー変化データを通信リンク610を介してモニタし、ECシステム(もしくは電圧コントローラ)400における1以上のエネルギー分配パラメータを決定するよう構成される。するとECシステム400は、その後1以上のエネルギー分配パラメータCEDをERシステム500に提供して、最大エネルギー管理のために、複数のユーザに分配されるエネルギーを調整させてもよい。同様に、ECシステム400は、エネルギー変化データを使用して、他の方法で電気エネルギー分配システム700を制御してもよい。例えばEEDS700の構成要素を修正、調整、追加、または削除してもよく、それにはコンデンサバンクの追加、電圧レギュレータの変更、顧客の効率を修正するためのエンドユーザ設備に対する変更、その他の制御動作が含まれる。
【0047】
VCCシステム200は、例えば電力供給システムの既存の負荷軽減プランに統合されてもよい。電力供給システムは、1以上の所定のイベントがトリガーされた場合に起動される緊急電圧低減プランを含んでもよい。所定のイベントは、例えば緊急事態、変圧器からの出力電力が例えばその電力定格の80%を超える場合に発生する導体の過熱、等を含んでよい。VCCシステム200は、1以上の所定のイベントがトリガーされた場合に負荷軽減プランに従い、複数のユーザに対し供給される電力の電圧を下げることを負荷軽減プランに許可するよう構成される。
【0048】
図1は米国特許出願公開第2013/0030591号の図1と類似しており、本発明の原理に係る、電力生成および分配システム100に基づくEUSシステム900およびESSシステム800を含む、EEDS700システムを示すオーバーレイを伴っている。電力生成および分配システム100は、電力生成ステーション110、生成ステップアップトランスフォーマ120、サブステーション130、複数のステップダウントランスフォーマ140,165,167、およびユーザ150,160を含む。電力生成ステーション110は、ステップアップトランスフォーマ120に供給される電力を生成する。ステップアップトランスフォーマ120は電力の電圧をステップアップし、ステップアップされた電力を電気伝送媒体125に供給する。ESS800は、ステーション110からユーザ150,160に対して電力を伝送するために、ステーション110と、ステップアップトランスフォーマ120と、サブステーション130と、ステップダウントランスフォーマ140、165、167と、本明細書で説明するER500と、媒体125を含む電気伝送媒体とを含む。EUS900は、本明細書で説明するED300システム及び電力の消費者となりうる複数のエネルギー使用装置(EUD)920、または消費者設備などを含む負荷を含む。
【0049】
図1に示されるように、電気伝送媒体は、例えば電柱127により地上で、および/又はシールドされた導体(図示しない)により地下で支えられる導線を含んでよい。電力は、ステップアップトランスフォーマ120からサブステーション130に、電力EIn(t)として供給される。ここでメガワット(MW)レベルの電力EInは時間tの関数として変化してもよい。サブステーション130は、受信した電力EIn(t)をESupply(t)に変換し、変換された電力ESupply(t)を複数のユーザ150,160に供給する。サブステーション130は、電力ESupply(t)を複数のユーザ150,160に供給する前に、受信した電力EIn(t)の電圧成分VIn(t)を、例えば電圧をステップダウンすることで調整的に変換してもよい。サブステーション130から供給される電力ESupply(t)は、ステップダウントランスフォーマ140,165,167により受信されてもよく、例えば地下の導体(および/又は地上の導体)等に限定されない伝達媒体142,162を通じてユーザ150,160に供給されてもよい。
【0050】
ユーザ150,160のそれぞれは、高度測定インフラストラクチャ(AMI)155,169を含んでもよい。AMI155,169は、地域オペレーションセンター(Regional Operation Center:ROC)180と組み合わされてもよい。ROC180は、複数の通信リンク175,184,188、ネットワーク170、および/又は無線通信システム190によりAMI155,169と組み合わされてもよい。無線通信システム190は、例えばRF送受信機、衛星送受信機等を含んでよく、これらに限定されない。
【0051】
ネットワーク170は、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、キャンパスエリアネットワーク、企業エリアネットワーク、電気伝送媒体125,135、トランスフォーマ140,165,167、グローバルエリアネットワーク(GAN)、ブロードバンドエリアネットワーク(BAN)等の少なくとも1つを含み、これらのいずれも、無線および/又は有線の通信媒体を介してデータの通信を行うよう構成されてよい。ネットワーク170は、例えばリング、メッシュ、ライン、ツリー、スター、バス、フル接続等のネットワークトポロジを含むように構成されてよい。
【0052】
AMI155,169は、スマートメーター、ネットワークインタフェース(例えば、WANインターフェイス等)、ファームウェア、ソフトウエア、ハードウエア等の1つ又は複数を含んでよい。スマートメーターは、分配キロワット時(kWh)(kilo-Watt-hours (KWh) delivered)。受領kWh、分配kWh+受領kWh、分配kWh−受領kWh、間隔データ、所要データ、電圧、電流、位相等の1以上を決定するように構成されてよい。スマートメーターが三相メーターの場合、低位相電圧が平均の計算に使用されてよく、または各位相の値を独立して使用してもよい。メーターが単相メーターの場合、単一の電圧成分が平均化される。
【0053】
AMI155,169は、さらに1以上のコレクタ(図2に示す)を含んでもよく、コレクタはスマートメーターデータを、例えば1以上のユーザ150、160における電力分配および消費量の測定および報告を行うようタスクが設けられた1以上のスマートメーターから収集するよう構成されている。あるいは(またはそれに加えて)、1以上のコレクタは、ユーザ150,160の外部、例えばステップダウントランスフォーマ140、165、167を保持しているハウジングにおいて、設けられてもよい。それぞれのコレクタはROC180と通信するように構成されてもよい。
【0054】
[VCCシステム200]
図2は、本発明の原理に係る、より効率的な下方5%の電圧帯でEEDSを制御するVCCから結果的に発生するエネルギーの変化をモニタする、EVPシステム600を有するVCCシステム200の例を示す。VCCシステム200は、それぞれ破線の楕円で示されているEDシステム300、ECシステム400、およびERシステム500を含む。VCCシステム200は、EDシステム300におけるエネルギー使用量をモニタするように構成されている。EDシステム300は1以上のユーザ150,160(図1に示す)におけるエネルギー使用量をモニタし、エネルギー使用量の情報をECシステム400へ送信する。ECシステム400は、エネルギー使用量の情報を処理して1以上のエネルギー分配パラメータCEDを生成し、ERシステム500に送信する。ERシステム500は、1以上のエネルギー分配パラメータCEDを受信し、受信したエネルギー分配パラメータCEDに基づいて、ユーザ150,160に供給される電力ESupply(t)を調整する。EVPシステム600は天候データとエネルギー使用量データを受信し、VCCからのエネルギー使用量の改善を算出する。
【0055】
VCCシステム200は、電力システムの損失を最小化し、ユーザのエネルギー消費を削減し、正確なユーザの電圧制御を提供する。VCCシステム200は、クローズドループプロセス制御アプリケーションを含んでもよく、クローズドループプロセス制御アプリケーションは、EDシステム300により提供されるユーザ電圧データを使用して、例えばERシステム500内の分配回路(図示しない)に対する電圧セットポイントVSPを調整することによって、ユーザ150,160に供給される電力ESupply(t)の電圧VSupply(t)を制御してよい。そしてERシステム500は、例えば1以上のロードタップチェンジング(LTC)トランスフォーマ、1以上の電圧レギュレータ、もしくは他の電圧制御装置を含んでよい。これによってユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)の電圧VDelivered(t)の動作帯を狭い状態に維持し、電力損失を低く抑え、ユーザ地点150,160における電力EDelivered(t)の効率的な利用を促進する。
【0056】
VCCシステム200は、EDシステム300内のユーザ150,160からの測定された電圧VMeter(t)を含むスマートメーターデータに基づいて、また、EVPシステム600からの実証データに基づいて、ECシステム500から供給される電力ESupply(t)の電圧VSupply(t)を制御または調整する。VCCシステム200は、例えばLTCトランスフォーマ(図示しない)、回路レギュレータ(図示しない)等を調整することにより、サブステーションにおける電圧セットポイントVSP又はERシステム500内のラインレギュレータレベルを調整して、ユーザ電圧VMeter(t)を安全公称動作範囲を含んでもよいターゲット電圧帯VBand‐nに維持してもよい。
【0057】
VCCシステム200は、ユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)を1以上の電圧帯VBand‐nに維持するよう構成される。例えば、実質的に同時に、エネルギーは2つ以上の電圧帯VBand‐nにおいて分配されうる。ここで2つ以上の電圧帯VBand‐nは、実質的に同じ、もしくは異なる。VBand‐nの値は以下の数式(1)により決定されるであろう。
(1)VBand‐n=VSP+ΔV
ここでVBand‐nは電圧の範囲である。nは0より大きい正の整数であり、実質的に同時に扱いうる電圧帯VBandの数に対応する。VSPは電圧セットポイントの値でありΔVは電圧偏差範囲(voltage deviation range)である。
【0058】
例えば、VCCシステム200はユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)を、地方(rural)での適用のために、例えば111Vから129Vと等しい電圧帯VBand‐1に維持してもよい。ここでVSPは120Vに設定され、ΔVは、+/−7.5%の偏差範囲に設定される。同様に、VCCシステム200はユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)を、都市(urban)での適用のために、例えば114Vから126Vと等しい電圧帯VBand‐2に維持してもよい。ここでVSPは120Vに設定され、ΔVは、+/−5%の偏差範囲に設定される。
【0059】
VCCシステム200は、VSPおよびΔVに適切な値を設定することで、ユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)を、ユーザ150,160において使用可能なあらゆる電圧帯VBand‐nに維持してもよい。ここで、VSPおよびΔVの値は、EDシステム300から受信されるユーザ150,160のエネルギー使用量情報に基づいて、ECシステム400により決定されてもよい。
【0060】
ECシステム400は、VSPおよびΔV値を、VBand‐nも含みうるエネルギー分配パラメータCEDとして、ERシステム500に送信してもよい。そしてERシステム500は、ユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)の電圧VDelivered(t)を、電圧帯VBand‐nに制御し、維持してもよい。エネルギー分配パラメータCEDは、さらに、例えばロードタップチェンジャー(LTC)制御コマンドを含んでもよい。
【0061】
EVPシステム600はさらに、本発明の原理に従って、電圧セットポイント値VSP(もしくは電圧帯VBand‐n)における変化の前のユーザ150,160のエネルギー使用量を、電圧セットポイント値VSP(もしくは電圧帯VBand‐n)における変化の後のユーザ150,160のエネルギー使用量と比較することでエネルギー節約を測定および検証してもよい。これらの測定および検証は、例えばユーザ150,160に分配される電力EDelivered(t)の電圧VDelivered(t)を低減することによる全体のエネルギー節約の効果を判断したり、ユーザ150,160に分配されるエネルギー出力EDelivered(t)に対する最適な分配電圧帯VBand−nを決定するのに使用されてもよい。
【0062】
[ERシステム500]
ERシステム500は、EDシステム300および/又はECシステム400と、ネットワーク170を使用して通信してもよい。ERシステム500は、それぞれ通信リンク510および430を使用してネットワーク170およびECシステム400と組み合わされる。ECシステム500は、通信リンクを含んでもよい電力ライン340を使用してEDシステム300とも組み合わされる。
【0063】
ERシステム500は、電力供給EIn(t)を、例えばライン520上の電力生成ステーション110(図1に示す)から受信するサブステーション530を含む。電力EIn(t)は電圧VIn(t)成分および電流IIn(t)成分を含む。サブステーション530は受信した電力EIn(t)を、例えば電力EIn(t)の電圧成分VIn(t)が、電力供給ライン340上の複数のスマートメーター330に供給される電力ESupply(t)の電圧値VSupply(t)に低減(もしくはステップダウン)されるよう、適応的に変換する。
【0064】
サブステーション530は、例えばロードタップチェンジ(LTC)トランスフォーマのようなトランスフォーマ(図示しない)を含んでもよい。ここで、サブステーション530は、さらに、LTCトランスフォーマのタップを自動的に変更するよう構成されたオートマチックタップチェンジ機構(図示しない)を含んでもよい。タップチェンジ機構は、LTCトランスフォーマのタップを、オンロード(オンロードタップチェンジャー、又はOLTC)又はオフロード、もしくはその両方で変更してもよい。タップチェンジ機構はモータ駆動およびコンピュータ制御によるものであってもよい。サブステーション530は、電力供給ライン340上のユーザに供給される電力EDelivered(t)の力率の調整および最大化を行うバック/ブースト(buck/boost)トランスフォーマも含んでもよい。
【0065】
加えて(もしくはそれに代えて)、サブステーション530は、当業者にとって既知であるように、1以上の電圧レギュレータ、又は他の電圧制御設備を含んでよい。これらは出力される電力ESupply(t)の電圧成分VSupply(t)を所定の電圧値又は所定の電圧値範囲に維持するよう制御されてもよい。
【0066】
サブステーション530はエネルギー分配パラメータCEDを通信リンク430上のECシステム400から受信する。エネルギー分配パラメータCEDは、例えば、LTCトランスフォーマが電力EIn(t)の入力電圧成分VIn(t)を、EDシステム300に供給される電力ESupply(t)の電圧成分VSupply(t)にステップダウンするのに使用される場合、ロードタップ係数を含んでもよい。この場合、ロードタップ係数は、ERシステム500により、LTCトランスフォーマの低電圧側の電圧成分VSupply(t)を所定の電圧値又は所定の電圧値範囲に維持するのに使用されてもよい。
【0067】
LTCトランスフォーマは、例えば、17以上のステップ(35もしくはより多くの利用可能なポジション)を含んでよく、それらはそれぞれ、受信されたロードタップ係数に基づいて選択されてよい。ステップにおける変更のそれぞれは、LTCトランスフォーマの低電圧側の電圧成分Supply(t)を少しづつ、例えば約5/16(0.3%)又はそれより小さい値づつ、調整してもよい。
【0068】
又は、LTCトランスフォーマは、17より少ないステップを含んでもよい。同様に、LTCトランスフォーマのステップにおける変更のそれぞれは、LTCトランスフォーマの低電圧側の電圧成分VSupply(t)を、例えば約5/16(0.3)%より大きい量づつ、調整してもよい。
【0069】
電圧成分VSupply(t)は、LTCトランスフォーマの低電圧側において、測定およびモニタされてもよい。この場合、測定およびモニタは、例えば、ステップダウンされた電力ESupply(t)の電圧成分VSupply(t)のサンプリング又は継続的な測定を行い、測定された時間tの関数としての電圧成分VSupply(t)の値を、例えばコンピュータによる読み取りが可能な媒体等のストレージ(図示しない)に格納することで行われてもよい。電圧成分VSupply(t)は、例えばサブステーション分配バス等の上でモニタされてもよい。さらに、電圧成分VSupply(t)は、送信のために測定が実施されるあらゆるポイント、もしくはERシステム500内の分配システムにおいて測定されてもよい。
【0070】
同様に、LTCトランスフォーマの高電圧側に入力される電力EIn(t)の電圧成分VIn(t)について測定およびモニタがなされてもよい。さらに、ステップダウンされた電力ESupply(t)の電流成分ISupply(t)および電力EIn(t)の電流成分IIn(t)についても測定およびモニタがなされてもよい。ここで、電力EIn(t)の、電圧成分VIn(t)と電流成分IIn(t)との間の位相差φIn(t)について決定およびモニタがなされてもよい。同様に、電気エネルギー供給ESupply(t)の、電圧成分VSupply(t)と電流成分ISupply(t)との間の位相差φSupply(t)について決定およびモニタがなされてもよい。
【0071】
ERシステム500は、通信リンク430又は510上のECシステム400に、電気エネルギー供給状態情報を提供してもよい。電気エネルギー供給状態情報は、モニタされた電圧成分VSupply(t)を含んでもよい。電気エネルギー供給状態情報は、さらに電圧成分VIn(t)、電流成分IIn(t)、ISupply(t)、および/又は位相差値φIn(t)、φSupply(t)を、時間tの関数として含んでもよい。電気エネルギー供給状態情報は、さらに、例えばLTCトランスフォーマの定格負荷を含んでもよい。
【0072】
電気エネルギー供給状態情報は、周期的、例えば毎秒、5秒毎、10秒毎、30秒毎、60秒毎、120秒毎、600秒毎、もしくは本発明の趣旨の範囲内の、当業者により決定されるあらゆる間隔を置いてECシステム400に供給されてもよい。時間間隔はECシステム400又はERシステム500により設定されてもよい。代わりに、電気エネルギー供給状態情報は、ECシステム400又はERシステム500に断続的に供給されてもよい。
【0073】
さらに、電気エネルギー供給状態情報は、ECシステム400からの要求に応じて、又は所定のイベントが検出された場合に、ECシステム400に転送されてもよい。所定のイベントは、例えば、電圧成分VSupply(t)が所定の時間間隔に渡って、定義された閾値VSupplyThreshold(例えば130V)より大きい(又は小さい)値だけ変化した場合、ERシステム500の1以上の部品の温度が定義された閾値を超えた場合、等を含んでよい。
【0074】
[EDシステム300]
EDシステム300は、複数のスマートメーター330を含む。EDシステム300は、さらにオプションとして少なくとも1つのコレクタ350を含んでもよい。EDシステム300は、通信リンク310を使用してネットワーク170を組み合わされてもよい。コレクタ350は通信リンク320を使用して複数のスマートメーター330を組み合わされてもよい。スマートメーター330は、通信リンクも含みうる1以上の電力供給ライン340を用いて、ERシステム500と組み合わされてもよい。
【0075】
各スマートメーター330は、関連するユーザ150,160(図1に示す)によるエネルギー使用量データの測定、記憶、および報告を行うよう構成される。各スマートメーター330は、さらにユーザ150,160におけるエネルギー使用量の測定および決定を行うよう構成される。ここでエネルギー使用量は、ユーザ150,160により使用される、時間の関数としての、電力EMeter(t)の、電圧成分VMeter(t)と電流成分IMeter(t)を含む。スマートメーター330は、離散時間tsにおける電力EMeter(t)の、電圧成分VMeter(t)と電流成分IMeter(t)を測定してもよい。ここでsはサンプリング周期であり、例えばs=5秒、10秒、30秒、60秒、300秒、600秒、又はそれ以上である。例えば、スマートメーター330は、エネルギー使用量を、1分(t60sec)、5分(t300sec)、10分(t600sec)、それ以上、もしくはスマートメーター330により(例えば乱数発生器を使用して)変更される時間間隔を置いて測定してもよい。
【0076】
スマートメーター330は、測定した電圧VMeter(t)および/又はIMeter(t)の値を所定の時間間隔(例えば5分、10分、30分、それ以上)について平均してもよい。スマートメーター330は、測定した電力使用量EMeter(t)(測定した電圧成分VMeter(t)および/又は電流成分IMeter(t)を含む)を、例えばコンピュータによる読み取り可能な媒体等のローカル(又はリモート)ストレージ(図示しない)に、スマートメーターデータとして格納してもよい。
【0077】
各スマートメーター330は、ターゲット成分帯(target component band)の外側の値となったあらゆる電圧VMeter(t)、電流IMeter(t)、又はエネルギー使用量EMeter(t)について、「例外報告(report-by-exception)」モードによって動作することもできる。ターゲット成分帯は、ターゲット電圧帯、ターゲット電流帯、またはターゲットエネルギー使用量帯を含んでよい。「例外報告」モードにおいては、スマートメーター330は、自発的に通信を開始し、スマートメーターデータをECシステム400に送信する。「例外報告」モードは、システム状態を変更することで、例えば回路内の最低電圧を表すために使用されていたスマートメーター330を要求通りに再構成するのに使用されてもよい。
【0078】
スマートメーターデータは、通信リンク320を使用して、周期的にコレクタ350に供給されてもよい。加えて、スマートメーター330は、スマートメーターデータを、通信リンク320上のコレクタ350から受信したスマートメーターデータ要求信号に応じて供給してもよい。
【0079】
代わりに(又は加えて)、スマートメーターデータは周期的に、複数のスマートメーターから直接、ECシステム400(例えばMAS460)に、例えば通信リンク320、410、およびネットワーク170を使用して供給されてもよい。ここで、コレクタ350は迂回、もしくはEDシステム300から除外されてもよい。さらに、スマートメーター330は、ECシステム400から受信したスマートメーターデータ要求信号に応じて、スマートメーターデータをECシステム400に直接供給してもよい。コレクタ350がない場合に、ECシステム(例えばMAS460)は、ここで記述されるコレクタの350の機能を実行してもよい。
【0080】
要求信号は、例えば、クエリー又は読み出し信号、およびスマートメーターデータを捜索するための特定のスマートメーター330を識別するスマートメーター識別信号を含んでもよい。スマートメーターデータは、各スマートメーター130について、以下の情報を含んでもよい。すなわち、例えば、分配キロワット時(kWh)データ、受領kWhデータ、分配kWhデータ足す受領kWhデータ、分配kWhデータ引く受領kWhデータ、電圧レベルデータ、電流レベルデータ、電圧電流間位相角、kVarデータ、時間間隔データ、要求データ、等である。
【0081】
加えて、スマートメーター330は、スマートメーターデータを、メーターオートメーションシステムサーバMAS460に送信してもよい。スマートメーターデータは、所定のスケジュール又はMAS460からの要求に従って周期的にMAS460に送信されてもよい。
【0082】
コレクタ350は、複数のスマートメーター330のそれぞれから、通信リンク320を介してスマートメーターデータを受信するよう構成される。コレクタ350は、受信したスマートメーターデータを、例えばコンピュータによる読み取り可能な媒体などのローカルストレージ(図示しない)に格納する。コレクタ350は、受信したスマートメーターデータをコンパイルしてコレクタデータにする。ここで、受信したスマートメーターデータは、例えばスマートメーター330の位置する地理的ゾーン、スマートメーターデータが収集された特定の時間帯(範囲)、コレクタ制御信号において識別されるスマートメーター330の部分集合等に基づいて、コレクタデータに統合されてもよい。受信したスマートメーターデータのコンパイルにおいて、コレクタ350はスマートメーター330の全て(もしくは部分集合)からのスマートメーターデータの中の受信された、電圧成分VMeter(t)の値を平均してもよい。
【0083】
ECシステム400は、例えば15分間隔等を含む所定の時間間隔においてモニタされるスマートメーター330全ての部分集合について、選択または変更を行うことができる。ここで所定の時間間隔は、15分より短くても長くてもよい。スマートメーター330全ての部分集合は、スマートメーター330に供給される電圧VSupply(t)の最低レベル制御を維持するための必要に応じて、ECシステム400による選択又は変更が可能である。
【0084】
コレクタ350はスマートメーター330の全て(もしくは部分集合)からのスマートメーターデータの中の受信された電力EMeter(t)の値を平均してもよい。コンパイルされたコレクタデータは、通信リンク310およびネットワーク170を使用して、コレクタ350によりECシステム400に供給されてもよい。例えばコレクタ350は、コンパイルされたコレクタデータを、ECシステム400内のMAS460(又はROC490)に送信してもよい。
【0085】
コレクタ350は、ECシステム400から、コレクタ制御信号を、ネットワーク170および通信リンク310を介して受信するよう構成されている。受信したコレクタ制御信号に基づき、コレクタ350はさらに、複数のスマートメーター330の特定のものを選択し、選択されたスマートメーター330にスマートメーターデータ要求信号を送信することでスマートメーターデータについてメーターにクエリーするよう構成される。コレクタ350はその後、選択されたスマートメーター330からクエリーに応じて受信したスマートメーターデータを収集してもよい。選択可能なスマートメーター330は、複数のスマートメーター330のいずれか1以上を含んでよい。コレクタ制御信号は、例えば、クエリー(又は読み出し)されるスマートメーター330の識別子、識別されたスマートメーター330がVMeter(t)、IMeter(t)、EMeter(t)、および/又はφMeter(t)(φMeter(t)は、識別されたスマートメーター330において測定される電力EMeter(t)の、電圧VMeter(t)成分と電流IMeter(t)成分との間の位相差である)を測定する時刻、識別されたスマートメーター330からの最後の読み取り以降のエネルギー使用量情報等を含んでよい。コレクタ350は、それからコンパイルし、コンパイルされたコレクタデータの、ECシステム400内のMAS460(および/又はROC490)への送信を行ってよい。
【0086】
[ECシステム400]
ECシステム400は、ネットワーク170を用いて、EDシステム300および/又はERシステム500と通信を行ってよい。ECシステム400は、1以上の通信リンク410を用いて、ネットワーク170と組み合わせられる。ECシステム400は、通信リンク430を用いてERシステム500と直接通信を行ってもよい。
【0087】
ECシステム400は、MAS460、データベース(DB)470,分配管理システム(distribution management system, DMS)480、および地域オペレーションセンター(regional operation center, ROC)490を含む。ROC490は、コンピュータ(ROCコンピュータ)495、サーバ(図示しない)およびデータベース(図示しない)を含んでもよい。MAS460は、それぞれ通信リンク420,440を用いて、DB470およびDMS480と組み合わせられてもよい。DMS480は、通信リンク430を用いてROC490およびERシステム500と組み合わせられてもよい。データベース470は、MAS460と同じ位置(例えば、近接している位置、またはその内部)に設けられてもよく、例えばネットワーク170でアクセス可能な離れた位置に設けられてもよい。
【0088】
ECシステム400は、モニタされるスマートメーター330の部分集合から、ECシステム400が以前モニタするよう選択したスマートメーター330を選択から除外し、モニタされるスマートメーター330の部分集合に含まれていないが例外報告モードで動作しているスマートメーター330を選択する。ECシステム400は、この変更を、選択されていないスマートメーター330から自発的に送信されたスマートメーターデータを受信した後に実行してよい。ここで、ECシステム400は、選択から除外されたスマートメーター330との接続を削除又は終了し、新たに選択された、例外報告モードで動作する、スマートメーター330との間で新たな接続を生成してもよい。ECシステム400はさらに、複数のスマートメーター330のうち、例えば最小の測定電圧成分VMeter(t)を含むスマートメーターデータをECシステムに送信しているいずれか1以上を選択し、最小の測定電圧成分VMeter(t)を供給するスマートメーター330から受信されたスマートメーターデータに基づいてエネルギー分配パラメータCEDを生成するよう構成される。
【0089】
MAS460は、コレクタ350からコレクタデータを受信するコンピュータ(図示しない)を含んでもよい。ここでコレクタデータは、選択されたスマートメーター330の部分集合(又はスマートメーター330の全て)から収集されたスマートメーターデータを含む。MAS460は、さらに、ROC490から受信されたクエリーに応じて、スマートメーターデータを回収してROC490に転送するよう構成される。MAS460は、スマートメーターデータを含むコレクタデータを、ローカルストレージおよび/又はDB470に格納してもよい。
【0090】
DMS480は、サブステーション530から電気エネルギー供給状態情報を受信するよう構成されたコンピュータを含んでもよい。DMS480は、さらに、ROC490から受信されたクエリーに応じて、測定された電圧成分VMeter(t)の値および電力EMeter(t)の値を回収して転送するよう構成される。DMS480は、さらに、ROC490から受信されたクエリーに応じて、測定された電流成分IMeter(t)の値を回収して転送するよう構成されてもよい。DMS480は、さらに、「例外報告」モードで動作するスマートメーター330から全ての「例外報告」電圧VMeter(t)を回収し、電圧VMeter(t)を、所定のタイミング(例えば15分置き、又はそれより短い(長い)間隔、又は変動するタイミング)で継続的に読み取られる制御ポイントの1つに割り当てるよう構成されてもよい。「例外レポート」電圧VMeter(t)は、EC500セットポイントを制御するのに使用されてもよい。
【0091】
DB470は複数の図示しないリレーショナルデータベースを含んでもよい。DB470は、各スマートメーター330、各コレクタ350、各サブステーション530、および地理的領域(緯度、経度、および高度を含む)の履歴データを含む多くの記録を含む。ここで地理的領域は、スマートメーター330、コレクタ350、およびサブステーション530が位置している領域である。
【0092】
例えば、DB470は各スマートメーター330について、以下の情報の1以上を含んでもよい。すなわち、地理的位置(緯度、経度、および高度を含む)、スマートメーターの識別番号、アカウント番号、アカウント名、請求先住所、電話番号、モデルおよびシリアルナンバーを含むスマートメーターのタイプ、該スマートメーターが最初に使用された日時、スマートメーターが最後に読まれた(またはクエリーされた)時のタイムスタンプ、最後に読み出されたときに受信されたスマートメーターデータ、読み出される情報のタイプも含むスマートメーターが読み出される(またはクエリーされる)スケジュール、等である。
【0093】
スマートメーターの履歴データは、例えば、特定のスマートメーター330によって使用された電力EMeter(t)を時間の関数として含んでもよい。時間tは、例えば受信された電力EMeter(t)の大きさ(electrical power magnitude)EMeter(kWh)がスマートメーター330において測定又は決定された離散間隔において測定されてもよい。スマートメーターの履歴データは、スマートメーター330において受信された電気エネルギーEMeter(t)の測定された電圧成分VMeter(t)を含む。スマートメーターの履歴データはさらに、スマートメーター330において受信された電力EMeter(t)の測定された電流成分IMeter(t)および/又は位相差φMeter(t)を含んでもよい。
【0094】
既に述べたように、電圧成分VMeter(t)は、例えば5秒、10秒、30秒、1
分、5分、10分、15分等のサンプリング周期で測定されてもよい。電流成分IMeter(t)および/又は受信された電力EMeter(t)の値もまた、実質的に電圧成
分VMeter(t)と同じタイミングで測定されてもよい。
【0095】
メモリのコストが安価である場合、DB470は、スマートメーターデータがスマートメーター330から最初に収集されたときの、まさに最初の履歴データから、スマートメーター330から受信された最新のスマートメーターデータまでの履歴データを含んでよい。
【0096】
DB470は、それぞれ測定された電圧成分VMeter(t)、電流成分IMeter(t)、位相成分φMeter(t)、および/又は電力EMeter(t)に関する時間値を含んでよく、時間値はスマートメーター330で生成されたタイムスタンプ値を含んでよい。タイムスタンプ値は、例えば年、月、日、時間、分、秒、および1秒のさらに一部分を示す値を含んでよい。代わりに、タイムスタンプは、例えばルックアップテーブルを用いてデコードされて年、月、日、時間、分、秒、および1秒のさらに一部分を決定する、コード化された値であってもよい。ROC490および/又はスマートメーター330は、例えば米国国立標準技術研究所(U.S.National Institute of Standards and Technology (NIST))から送信されるWWVB原子時計信号等を受信し、その内部クロック(図示しない)をWWVB原子時計信号に同期させるよう構成されてもよい。
【0097】
DB470の履歴データは、さらに各コレクタ350に関する履歴コレクタデータを含んでもよい。履歴コレクタデータは以下の情報の1以上を含んでよい。すなわち、例えば、各コレクタ350に関連する特定のスマートメーター330、各コレクタ350の地理的位置(緯度、経度、および高度を含む)、モデルおよびシリアルナンバーを含むコレクタのタイプ、コレクタ350が最初に使用された日付、コレクタデータが最後にコレクタ350から受信された時のタイムスタンプ、受信されたコレクタデータ、コレクタ350が、送信される情報のタイプも含むコレクタデータを送信するスケジュール等である。
【0098】
履歴コレクタデータはさらに、例えば時刻tにおいてコレクタ350の外部で測定された外部温度値TCollector(t)を含んでもよい。履歴コレクタデータはさらに、各コレクタ350について、例えば以下の1以上を含んでもよい。時刻tにおいてコレクタ350の近隣で測定された気圧値PCollector(t)、時刻tにおいてコレクタ350の近隣で測定された湿度値HCollector(t)、時刻tにおいてコレクタ350の近隣において測定された、風の方向および強さを含む風ベクトル値WCollector(t)、時刻tにおいてコレクタ350の近隣で測定された日照値LCollector(t)(kW/m)等である。
【0099】
DB470の履歴データは、各サブステーション530に関するサブステーション履歴データをさらに含んでもよい。サブステーション履歴データは、例えば以下の1以上を含んでもよい。すなわち、例えばサブステーション530により電気エネルギーESupply(t)が供給される特定のスマートメーター330の識別子、サブステーション530の地理的位置(緯度、経度、および高度を含む)、分配回路の数、トランスフォーマの数、各トランスフォーマの、モデル、シリアルナンバー、および最大定格メガボルトアンペア(maximum Megavolt Ampere (MVA) rating)を含むトランスフォーマタイプ、電圧レギュレータの数、各電圧レギュレータの、モデルおよびシリアルナンバーを含む電圧レギュレータタイプ、サブステーション530から最後にサブステーションデータが受信された際のタイムスタンプ、受信されたサブステーションデータ、供給される情報のタイプも含む、サブステーション530が電気エネルギー供給状態情報を送信するスケジュール等である。
【0100】
サブステーション履歴データは、例えば、特定のスマートメーター330のそれぞれに供給される電力ESupply(t)を含んでもよく、ここでESupply(t)はサブステーション530の出力において測定又は決定される。サブステーション履歴データは、供給された電力ESupply(t)の、測定された電圧成分VSupply(t)を含み、これは例えばトランスフォーマからの分配バス(図示しない)上で測定されてもよい。サブステーション履歴データは、さらに、供給された電力ESupply(t)の、測定された電流成分ISupply(t)を含んでよい。既に述べたように、電圧成分VSupply(t)、電流成分ISupply(t)、および/又は電力ESupply(t)は、例えば5秒、10秒、30秒、1分、5分、10分等のサンプリング周期で測定されてもよい。サブステーション履歴データは、さらに、電力ESupply(t)の電圧VSupply(t)信号と電流ISupply(t)信号との間の位相差値φSupply(t)を含んでもよく、これはスマートメーター330に供給される電力ESupply(t)の力率を決定するのに使用されてもよい。
【0101】
サブステーション履歴データは、さらに、例えばサブステーション530の入力のライン520上で受信される電力EIn(t)を含んでもよい。ここで電力EIn(t)はサブステーション530の入力において測定又は決定される。サブステーション履歴データは、受信される電力EIn(t)の測定される電圧成分VIn(t)を含んでもよい。ここでVIn(t)は、例えばトランスフォーマの入力において測定されてもよい。サブステーション履歴データは、さらに、受信される電力EIn(t)の測定される電流成分IIn(t)を含んでもよい。既に述べたように、電圧成分VIn(t)、電流成分IIn(t)、および/又は電力EIn(t)は、例えば5秒、10秒、30秒、1分、5分、10分等のサンプリング周期で測定されてもよい。サブステーション履歴データは、さらに、電力EIn(t)の電圧成分VIn(t)と電流成分IIn(t)との間の位相差φIn(t)を含んでもよい。電力EIn(t)の力率は、位相差φIn(t)に基づいて決定されてもよい。
【0102】
本発明の一態様によれば、ECシステム400は、スマートメーター330ごとのエネルギー使用量と比較するための、統合された、サブステーションレベルにおけるkWデータ、サブステーションレベルにおける電圧データ、および天候データを保存し、VCCシステム200におけるエネルギー節約を決定し、線形回帰を使用して、計算から天候の影響、負荷の増大、経済的影響等を取り除く。
【0103】
VCCシステム200において、制御は、例えばROCコンピュータ495から開始されてもよい。ここで、例えば米国特許出願公開第2013/0030591号の図3に示されるように、コントロール画面305がROCコンピュータ495において表示されてもよい。コントロール画面305は、ERシステム500の特定のサブステーション530(例えばトラブサブステーション(TRABUE SUBSTATION))についてのデータに対応してもよい。ROCコンピュータ495は、例えば、ユーザ150,160のためのEDシステム300から受信されたスマートメーターデータに基づいて、サブステーション530のロードタップチェンジングトランスフォーマを、制御および(必要であれば)オーバーライドできる。EDシステム300は、ユーザ地点150,160に対して供給される電力の電圧を、平均して15分等の所定(又は可変)の間隔で、要求された電圧の限界内において電圧を維持しながら決定してもよい。
【0104】
システムのセキュリティのために、サブステーション530は、ROC490および/又はDMS480から、直接通信リンク430を通じて制御されてもよい。これは、通信リンク430を介したER500,EUS300,EVP600とのデータの送受信を含む。
【0105】
さらに、オペレータは、ROCコンピュータ490上の電圧制御プログラムを開始することができる。電圧制御プログラムは、必要であれば制御をオーバーライドし、例えばERシステム500のサブステーションLTCトランスフォーマ(図示しない)の制御に使用されるユーザ電圧VMeter(t)の読み出しに必要な時間をモニタする。
【0106】
図3は、図1〜2のVCCシステムを動作させることによって実現された顧客毎のエネルギー管理量を決定するエネルギー検証プロセス600を示す。このプロセスが開始すると(601)、ON期間およびOFF期間のデータがプロセスマネジャーによりロードされる(602)。次のステップは、監視制御かつデータ収集(SCADA)型の工業制御システムの一部でもよいDMS480から、VCCシステム上の測定データ点からの1時間毎の電圧および電力(MW)データを収集する(603)。次に、同一の1時間毎の条件に対して対応する天候データを収集する(604)。後に詳細に記すように、このデータはその品質を改善するために、結果に誤った影響を与える場合のある異常値を除去するためのフィルタと解析技術を用いて処理される(605,606,607,608)。時間毎のペアリングが行われる場合、線形回帰技術を用いて時間毎のグループが決定される(609)。次の主要ステップは、以下で詳述するように、サンプルの最適ペアリングを決定することである(611,612,613,614,615,616,617)。
【0107】
図4は、解析のための初期データが維持されるデータベース構造の一例を示す。この関係データベースは、データの迅速な処理と、異常のために使用されないデータの印付けを可能にする。継続的な解析のためのデータの効率的な格納は、EVPに対する評価性能を提供する上で有用である。
【0108】
図5は、処理前のデータのデータ品質レビューの適用の一例を示す。データベースを使用して、ゼロのMW読み取り値622や非常に低い電圧読み取り値623など、全カテゴリーにおける範囲外のレベルを見つけるために、値がスキャンされる。それらは処理前に特定され、取り除かれる。第2に、データボックス621の122.331ボルトの反復的な電圧読み取り値など、悪い測定を示し、エネルギー変化の計算の質を著しく低下させるであろう、反復値を示す。これらも、以後の計算から取り除かれる。サマータイムによる切り替えに起因する記録の欠如624を含む、既知の異常も同様に取り除かれる。
【0109】
図6は、1時間単位の間隔での電圧の度数プロットの一例を示す。データの大部分は、解析時に正規形に従うであろうことが予測される。そのため、ここに示すような異常値データにおける低品質データを見つけるのは容易である。データは、度数プロットを使用して点検され、システムの正常動作状態との整合性について、異常値が見直される。電圧623などの異常値は、所定の電圧帯外にある場合に削除することが可能である。これは、変数のすべてに対して適用される解析の一例である。
【0110】
図7は、電圧とMWの両方に関する「オフ」と「オン」のデータ比較のヒストグラムプロットの一例を示す。上の2つの図からわかるように、「オン」状態の電圧は「オフ」データよりも著しく広い偏差を有する。これは、比較データの標準偏差が一致しない場合にも問題となる。範囲外または非一致の標準偏差を有するデータセットはフィルタリングされて除去されてもよい。対照的に、MWデータは、「オン」状態と「オフ」状態の母集団の特徴において非常に整合性のある標準偏差を有し、非常にわずかな違いしか有さない。
【0111】
図8は、「オフ」(散布図黒点)の母集団と「オン」(散布図赤点)の母集団の季節毎およびグループ毎の散布図の比較の一例を示す。これらの散布図は、性能レベル全体にわたるサンプリングのレベルの点検において有用である。これらの例からわかるように「オフ」性能レベルの大きな領域に対して「オン」サンプルが全くない複数の領域624、625がある。これは、これらの管理性能ゾーンを正確に表わすためには、より多くのサンプリングが必要であろうということを意味する。散布図を大まかに見ると、この種類の測定に対するサンプルのサイズと妥当性についてかなりの知識が得られる。
【0112】
図9は、ペアt(paired t)と呼ばれる、十分に確立された統計比較技術に基づくハイレベルなペアリングプロセスの一例を示す。この計算の目的はデータの2つのサンプルを比較して、サンプルセット間の変数の平均(variable mean)における平均的変化(average shift)を決定することである。ペアt解析(対応のあるt解析:paired t analysis)の詳細の文献による裏付けは、多くの標準的な統計出版物において見つけることができ、標準的なソフトウェアパッケージにおいても容易に利用可能である。図9は、サブステーション530のトランスフォーマおよびED300の回路のMWおよび電圧のデータに適用されるプロセスの高水準記述である。計算される値は、(a)サンプル1(P1)からサンプル2(P2)にかけてのパーセント電力(ワット)変化と(b)サンプル1(V1)からサンプル2(V2)にかけてのパーセント電圧(ボルト)変化の比率を定める、CVR係数である。CVR係数=((P1−P2)/P1)/((V1−V2)/V1)である。サンプル1は、CVR制御システムが「オフ」の時のメーターにおけるMWおよび電圧のデータから取られ、サンプル2はCVRが「オン」の時のデータから取られる。CVR係数が大きいほど電圧の低減による電力節約が大きいことを示し、あるCVRシステムに対して通常観測されるCVR係数は、約0.2〜1.2の範囲で観測される。
【0113】
サンプルのセットは図9の規則を使用してペアとされる。図9の記録1および記録2は、それぞれサンプル1およびサンプル2のためのものである。サンプル1およびサンプル2に対して、すぐ上流のトランスフォーマ(TX#1)は同一(=)でなければならない。ステータス(例えばCVRがオフかオンか)は異なっていなければならない(<>)。日の種類(例えば勤務日、週末または休日)は等しくなければならない(=)。冷房度日(cooling degree days)および暖房度日(heating degree days)(CDD/HDD)はそれぞれプラスまたはマイナス1度日(±1DD)の範囲内で一致すべきである。相対湿度はプラスまたはマイナス5パーセントの範囲内で一致すべきである(±5%RH)。「オフ」および「オン」状態からの2つのサンプルのこのマッチングによって、サンプルの1ペアができる。ペアが作成されると、サンプル1およびサンプル2からのボルトおよび電力をCVR係数算出のために使用してもよい。統計的有意性(約95%の信頼レベル)を有するためには、2つのサンプルセット間の平均差分の計算に対してこれらのペアが少なくとも30ペア必要である。
【0114】
説明される実施形態のペアt解析(対応のあるt解析:paired t analysis)には3つの特徴がある。第1は、ペアとされたサンプルがそれぞれ独立していることである。データセットから取られた各サンプルに対して、サンプル1(オフ状態)かサンプル2(オン状態)にかかわらず、サンプルからの値は解析において1度のみ使用されてペアが形成されることが求められる。一度使用されたら、そのサンプルはデータセットから除去されて、次のペアが選択される。第2の特徴は、データセットが正規なデータセット(normal data sets)であることである。これは各解析に対して統計的に検査される。正規性(normality)は、アンダーソン‐ダーリング正規性検定を使用して検査される。第3は、統計的に有意となるために、ペアtサンプルの数が約30よりも多いことである。この計算は解析の各セットに対して示される。上記3つの特徴がそろうと、ペアt解析が実行され、ペアサンプルの変動によって決定される信頼区間内において平均差分が決定される。説明される実施の形態は、CVR解析に対して95%の信頼レベルを用いる。
【0115】
図10は、サンプルを整合性のあるグループ(consistent groups)に分離することによって、計算における変動を低減させるために使用される方法の一例を示す。これは、MWと電圧のデータに対しては、サンプルデータを互いに整合する同様の時間にグループ化することによって行われる。これは線形回帰技術を使用して行われてもよい。線形回帰を使用して、変数の整合性(consistency)が検査される。1日の同一の時間(図10の表の頭書きにある0から23の時間)においてとられたサンプルがグループ化され、図10の同一の列に記載される。類似のデータを表わすサンプル時間は、一緒にグループ化される時間の間の整合性をチェックするために、線形回帰定数を使用して決定される。さらに、各データセットは同様に季節グループにグループ分けられる。このグループ分けプロセスの結果、サンプルデータがまず冬、春、夏、秋の季節グループに分割される。その後、線形回帰を使用して、各季節日(0〜23)の時間をペアt検定(対応のあるt検定:paired t testing)のために類似のグループに分割する。この技術によって、サンプル間の平均差分を求めるペアt計算(対応のあるt計算:paired t calculation)における変動が減少するであろう。図10の表は、この種類のプロセスの一例である。
【0116】
図11は、湿度をともなうHDD/CDD両方のVCCペアリングの複数変数の例に対する詳細なペアリングプロセスを示す。このプロセスによって、すべての組み合わせにおける可能な一致ペアの総リストが作成される。各ペアはそのエネルギー効果に基づいて適切に独立変数に重み付けを行うために線形最適化方法に基づいてスコアが付与され、線形回帰定数を用いてHDD/CDDと湿度の両独立変数を含むペアに対する最適なスコアリングを形成する、線形化を使用する。例えば、HDD/CDDに対するエネルギー効果(例えばCVR係数の変化)は湿度に対するエネルギー効果の5倍であり、サンプル間のHDD/CDDにおける差は、サンプル間の湿度の差の5倍、重み付けされる。
【0117】
このプロセスが完了すると、リストを再度調べて最高スコアを見つける。これらはペアとされ、ペアリングリストから除去される。このプロセスは、すべてのペアが変数に対して図11のプロセス図に示すように許容レベル内で最適にマッチングされるまで、残りのペアのそれぞれに対して繰り返される。このようにして、上記所与の判断基準を備えた、説明された実施形態によれば、上記ペアリングは母集団に対して最適化され、利用可能なデータに対して最も高い正確性を与える。
【0118】
図12はCVR係数ペアリング計算からのデータのヒストグラムの一例を示す。なお、ペアリングは正規化され、t分布の特徴に適合する。この情報により、上記データを使用して、そのデータが取得された期間における回路のCVR係数の平均値の範囲を評価することができる。このデータは、30以上のデータセットのために計算されることが可能であり、CVR係数の範囲の正確な表現を作成する。各データセットは1日の期間を必要とする。正常時において、95%信頼区間を使用して、CVR係数の使用可能範囲を決定する。この統計的係数は評価されている回路専用のものであり、最小30データセット、即ち30日区間までの継続する回路の性能評価を提供する。
【0119】
図13は同じペアt解析(対応のあるt解析:paired t analysis)からの区間にわたる顧客毎のエネルギー節約のヒストグラムおよび散布図の一例を示す。上のグラフはkW/顧客の変化の測定結果であり、t分布信頼区間解析に適応する同種の正規化された特性を有する。「オフ」状態から「オン」状態にプロットされたペア母集団の散布図は、ペアデータを迅速かつ直観的に評価できるようにするためのものである。一般に、ペアの大部分が赤線より下の場合、VCCシステムは管理を改善しており、線のいずれかの側で等しく間隔を空けて配置されている場合効果は全くなく、平均して線よりも上な場合は逆効果を有する。この場合、サンプルがエネルギー管理における改善を明確に示していることが容易にわかる。
【0120】
図14は別の回路に対するCVR係数解析の代替例を示す。図14の右側のグラフは、制御回路が他の独立変数を補償するために使用されずに行われた測定における特徴を示す。結果からわかるように、非正規母集団はもっと高いCVR節約を有する。この場合、経済の不況により電気需要が減少したために負荷が大きく減少し、それによってCVR係数が異常なほど高く見える。図14の左側のグラフは制御回路を伴っており、経済のマイナス成長の非正規効果を取り除くために回路を使用する。この制御回路を使用した場合のCVR係数は小さくなるが、正規性が非常に強力となり、データはVCC制御システムの正規範囲に戻り、影響を制御できる唯一の独立変数となる。
【0121】
図15は、VCCシステムエネルギーの最適ペアリングから導出されたCVR係数とエネルギー節約の両方に関する最終計算の一例を示す。これは、そのCVR係数に示されているようにエネルギーを削減するための回路の許容量の直接計算につながる。この許容量は、低動作帯において電圧を低減することによってエネルギーを保存する能力である。VCCシステムはこの種類の制御を実行し、EVPは、電圧性能に対して他の変更が実行される際に保存を継続する回路の許容量を独立して計算する。
【0122】
また、図15は検査中の測定時間の間のエネルギー節約に対する最終的な計算の一例を示す。このエネルギー節約は、VCCシステムに対して算出された管理節約の維持を継続する回路の能力の継続的な報告である。性能を推定するために回路の一回の試験を繰り返さなければならない代わりに性能を継続して追跡するこの機能は、技術における大きな進歩を表わす。既存のシステムは一回の試験に基づいており、CVR係数とエネルギー節約性能を推定するだけで、効率性能を大幅に低減させている。さらに、節約が維持されているかを決定するために、通常の期間で繰り返し行わなければならない。本EVPシステムは、VCCシステムの効率を低減させることなく、測定されているに近い節約を生成できるという、大きな進歩を提供する。
【0123】
本発明は、例示的な実施形態をもって記述されたが、本発明は添付される請求項の精神と範囲の中で変更されたうえで実施されうることを、当業者は理解するであろう。これらの例は、単に説明を目的とするものであって、本発明の可能な設計、実施形態、適用、もしくは変更全ての包括的なリストを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
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【国際調査報告】