【実施例】
【0061】
(例1)
凍結保護剤はナノ粒子凝集を防止し、凍結・解凍サイクル後にトランスフェクション効率を保持する
1−キトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン(Mn 10kDa、92%DDA)を一晩、室温でHClに溶解して5mg/mLの最終キトサン濃度を得た。その保存溶液を271μg/mlに希釈し、次いで100μLを100μLのプラスミドDNA(pEGFPLuc)と100μg/mLで混合して、5のN/P比の複合体を形成した。キトサン添加直後におおよそ10回、ピペットでその溶液を吸い上げ、吐き出すことによって混合を行った。試料を室温で30分間放置して安定させ、その後、試料体積を、表1の通り、無菌Milli−Q水および/または無菌20%(質量/体積)マンニトール、20%(質量/体積)スクロース、20%(質量/体積)デキストラン5kDa、もしくは20%(質量/体積)トレハロース二水和物で400μLにした。
【0062】
【表1】
【0063】
2−試料凍結・解凍(乾燥なし)
凍結・解凍する試料を1.5mLクライオバイアルに移し、少なくとも2時間、−1℃/分の速度で−80℃に凍結した。試料を使用前に30分間、室温で解凍させた。
【0064】
3−DLS測定
0.1%〜10%(質量/体積)の範囲の濃度のマンニトール、スクロースおよびデキストラン5kDaで出発して、凍結保護剤選別を行った。後でトレハロース二水和物を試験したが、最初の3つの凍結保護剤について測定した粒径は、上記のその上限のまま変わらなかったため選別中にさらなる凍結保護剤を添加する必要がないと思われたので、0.1〜3%(質量/体積)の範囲の濃度でしか試験しなかった。2つが新たに調製した試料であり、2つが凍結・解凍サイクル後の試料である4つの試料を、組成物ごとに分析した。各試料について、2回の連続したDLS粒径分析を行い、12〜20の逐次的読み取り(10秒光子カウント/読み取り)の結果として得た各々を平均してデータセットを得た。各分析に要した逐次的読み取り数をその装置によって最適化した。強度での平均粒径を、そのデータセットから得た相関関数から導出した。凍結保護剤を含有しない組成物は、凍結・解凍時に凝集を示し、粒径が約5倍増加した。少なくとも1%(質量/体積)マンニトール、0.5%(質量/体積)スクロース、0.5%(質量/体積)デキストラン5kDaまたは0.1%(質量/体積)トレハロース二水和物を含有する組成物は、凍結・解凍時に150nm未満の強度でのナノ粒子平均粒径を維持した。より高い凍結保護剤含有量では、試料間で粒径変動が見られなかった(±125nm)。マンニトールは、最も有効性の低い凍結保護剤であり、0.1または0.5%(質量/体積)の濃度で凍結・解凍後に粒子は300nmより大きかった(
図1A)。
【0065】
4−ESEM撮像
凍結保護剤を有さない組成物を凍結・解凍前および後に観察した一方、低(1%(質量/体積))および高(10%(質量/体積))マンニトール、スクロースまたはデキストラン5を含有する試料を凍結・解凍後に観察した。気体噴霧法を用いて研磨シリコンウェーハ上で小量の試料を粉砕し、その後、金でスパッタコーティングした。より高い解像度のために環境制御型走査電子顕微鏡(ESEM)の高真空モードを用いて観察を行った。高真空観察パラメータは次の通りであった:加速電圧=20kV、スポットサイズ=3、作動距離 約5mm。凍結保護剤不在下で新たに調製した複合体は、寸法が200nm未満であり、異なる形態(球形、棒状またはドーナツ形)を有したが、大部分は、凍結・解凍後に大きい(500nmより大きい)球形凝集体を形成した。1または10%凍結保護剤中で凍結・解凍させた試料は、より球形であり、200nmより小さいままであった(
図2A〜H)。1%質量/体積マンニトール中で調製した複合体は、DLSで前に見られたように、スクロースまたはデキストラン5中で調製したものよりわずかに大きいようであった。
【0066】
5−インビトロトランスフェクション
マンニトールを含有する組成物は、前に見られたように凍結・解凍時に粒径を保持する点で最小の有効性であったのでインビトロで試験しなかった。凍結・解凍時に200nm未満の粒径を保持することを示し、最大で3%(質量/体積)の凍結保護剤を含有した組成物のみをインビトロアッセイした。これらは、0.5〜3%(質量/体積)スクロース、0.5〜3%(質量/体積)デキストラン5、および0.1〜3%(質量/体積)トレハロース二水和物であった。10%ウシ胎仔血清(FBS)を補足したpH7.4の高グルコースDMEM中で増殖させ、37℃、5%CO
2でインキュベートしたHEK293細胞を、インビトロ研究に使用した。トランスフェクションのために約50%集密(1ウェル当たり約150000細胞)に達するように、トランスフェクション24時間前に60,000細胞を24ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。各試料を24ウェルプレートの2ウェルにトランスフェクトした。一方のウェルはフローサイトメトリーでのトランスフェクション効率分析用であり、他方のウェルは、ルシフェラーゼ発現定量用であった。各ウェルに、正確な体積のナノ粒子組成物をトランスフェクション培地(10%FBSを補足したpH6.5の高グルコースDMEM)とともに添加して、2.5μgのDNAを含有する合計500μLのトランスフェクション培地と試料を得た。その後、細胞を24時間37℃、5%CO
2でインキュベートした。各ウェル中のトランスフェクション培地を500μLの増殖培地で置換し、細胞をさらに24時間、37℃、5%CO
2でインキュベートした後、分析した。
【0067】
6−トランスフェクション効率
フローサイトメトリーを用いてトランスフェクション効率を測定した。試料調製:分析する試料を収容している各ウェルから増殖培地を除去し、細胞をpH7.4の100μLリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、ウェル当たり100μLのトリプシン/EDTAを使用して5分、37℃でトリプシン処理し、その後、100μL増殖培地を添加し、全試料をサイトメトリーチューブに移した。フローサイトメトリー測定:20000事象を試料ごとに収集し、488nmアルゴンレーザーを使用してトランスフェクト細胞における増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)の励起後に光電子増倍管で510/20nmバンドパスフィルターにより蛍光を検出した。非トランスフェクト細胞を使用してHEK293細胞系自己蛍光を測定し、相応じて蛍光検出ゲートを調整した。前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)も用いて、記録した事象から死細胞およびデブリを排除した。最後に、そのデータを用いてトランスフェクション効率を分析するときにFSCを用いてそれらの事象から重複を特定し、排除した。凍結・解凍組成物中のトランスフェクト細胞の百分率を、全細胞の43%のトランスフェクション効率を有した、凍結保護剤を含有しない新たに調製した複合体(0FT)で得られたトランスフェクト細胞の百分率に対して表した。インビトロ試験した凍結保護剤を含有するすべての組成物は、凍結・解凍後にトランスフェクション効率を保持し、新たに調製した複合体のものの少なくとも87%のトランスフェクションレベルであった。凍結保護剤不在下で凍結・解凍したナノ粒子は、新たに調製した複合体のものの25%のトランスフェクションレベルしか有さなかった(
図1B)。
【0068】
7−ルシフェラーゼ発現
相対光単位毎分(RLU/分)でのルシフェラーゼ発現を、Bright−Glo(商標)ルシフェラーゼアッセイを使用して測定し、ビシンコニン酸(BCA)アッセイで測定した各試料における全タンパク質含有量に対して正規化した。試料調製:分析する試料を収容している各ウェルから増殖培地を除去し、pH7.4の100μL PBSで細胞を2回洗浄し、ウェル当たり100μL Glo溶解バッファーを使用して5分間、室温で細胞を溶解し、その後、細胞溶解物を分析まで−20℃で保管した。溶解物を使用前に室温で解凍した。ルシフェラーゼ発現定量:白色96ウェルプレートにおいて25μLのBright−Glo(商標)ルシフェラーゼ試薬を25μLの細胞溶解物と混合し、その後、発光を測定した。タンパク質含有量定量:透明96ウェルプレートにおいて200μLのBCA研究試薬を25μLの細胞溶解物と混合し、試料を30分間、37℃、5%CO
2でインキュベートし、その後、室温に冷却し、562nmでの吸光度を測定した。200μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)標準物質の系列希釈物を使用して作成する、標準曲線を作成し、試料と並行して分析し、吸光度読取値をタンパク質濃度に変換した。ルシフェラーゼ発現レベルを、タンパク質1mg当たり8.03×10
10RLU/分の発現レベルを有する、凍結保護剤不在下の作りたてキトサン/DNA複合体について得た値に対して正規化した。ルシフェラーゼ発現は、作りたて対照より40〜60%低い発現レベルを有した1%および3%(質量/体積)トレハロースをそれぞれ配合した試料を除いて、作りたて複合体と凍結保護剤存在下で凍結・解凍した複合体との間で同様であった。凍結保護剤不在下で凍結・解凍した試料は、作りたて対照より75%少ないルシフェラーゼを発現した(
図1C)。
【0069】
【表2】
【0070】
(例2)
凍結・解凍時のナノ粒子凝集を防止する低凍結保護剤含有量組成物はフリーズドライ中の凝集を防止できない
1−キトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
凍結保護剤を含有しないナノ粒子組成物(組成物#1)または0.5%(質量/体積)スクロースを含有するナノ粒子組成物(組成物#9)、0.5%(質量/体積)デキストラン5を含有するナノ粒子組成物(組成物#15)もしくは0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物を含有するナノ粒子組成物(組成物#21)を、実施例1に記載の通り調製した。フリーズドライする試料を2mL血清バイアルに移し、13mmブチル凍結乾燥ストッパーをしてフリーズドライし、すべての試料を収容しているトレーを透水性膜で覆って埃または細菌汚染を防止した。
2−試料フリーズドライ
フリーズドライは、次のサイクルを用いて、Millrock Laboratory Series Freeze−Dryer PC/PLCで行った:1時間で室温から−40℃に勾配凍結し、その後、−40℃で2時間、等温を維持し;48時間、−40℃で、100ミリトル(約13.3Pa)で一次乾燥させ;そして100ミリトル(約13.3Pa)で二次乾燥させ、12時間で温度を30℃に上昇させ、そしてその後、30℃で6時間、等温を維持する。試料にストッパーをし、圧着させ、使用するまで4℃で保管した。使用15〜30分前に、フリーズドライ前の初期体積と同じ体積のMilli−Q水を使用して試料を再水和した。すべての試料が5分以内に再水和されたが、凍結保護剤を用いると再水和が瞬時に起こり、いずれの凍結保護剤も用いないほうがわずかに遅かった。
【0071】
3−DLS測定
2つが新たに調製した試料であり、2つがフリーズドライして初期体積に再水和した後の試料である、4つの試料を組成物ごとに分析した。各試料について、2または3回の連続した粒径分析を行い、12〜20の逐次的読み取り(10秒光子カウント/読み取り)の結果として得た各々を平均してデータセットを得た。各分析に要した逐次的読み取り数をその装置によって最適化した。Z平均直径、強度での平均粒径およびPDIを、そのデータセットから得た相関関数から導出した。すべてのフリーズドライして再水和した組成物は、新たに調製したナノ粒子と比較して大きい凝集体を生じさせた:Z平均は、最大24倍増加し(
図3A)、強度での平均粒径は、最大9.5倍増加し(
図3B)、PDI値は、0.7より上であり、約4倍の平均増加であった(
図3C)。
【0072】
4−ゼータ電位測定
2つが新たに調製した試料であり、2つがフリーズドライして初期体積に再水和した後の試料である、4つの試料を組成物ごとに分析した。フリーズドライ試料を、フリードライ前のそれらの体積と同じ体積のMilli−Q水を使用して再水和し、その後、15〜30分間放置して安定させた。作りたて試料および再水和試料に400μL 20mM NaClを補足し、必要に応じて、それらの体積をゼータ電位分析前にMilli−Q水で800μLにした。ゼータ電位をレーザードップラー速度計測法(LDV)によって測定した。各試料について、3回の連続したゼータ電位分析を行い、10〜20回の逐次的読み取りの結果として得た各々を平均してデータセットを得た。各分析に要した逐次的読み取り数をその装置によって最適化した。新たに調製した組成物は、30から32mVの間のゼータ電位を有し、したがって、凍結保護剤はナノ粒子の表面電荷に対して影響を及ぼさなかった。フリーズドライして再水和した組成物は、0〜−5mVのゼータ電位を有した(
図3D)。
【0073】
【表3】
【0074】
(例3)
クエン酸/クエン酸三ナトリウム緩衝剤系はキトサン系組成物と相溶性でない−クエン酸三ナトリウムはキトサンゲル化を促進する
1−キトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン(Mn10kDa、92%DDA)を一晩、室温でHClに溶解して5mg/mLの最終キトサン濃度を得た。その保存溶液を271μg/mlに希釈し、その後、100μLを100μLのプラスミドDNA(pEGFPLuc)と100μg/mLで混合して、5のN/P比の複合体を形成した。キトサン添加直後におおよそ10回、ピペットでその溶液を吸い上げ、吐き出すことによって混合を行った。試料を室温で30分間放置して安定させ、その後、試料体積を、表4の通り、無菌2%(質量/体積)スクロース、2%(質量/体積)デキストラン5kDaまたは2%(質量/体積)トレハロース二水和物と、pH4.5または6.5の無菌70mMクエン酸/クエン酸三ナトリウム緩衝剤とで400μLにした。
【0075】
【表4】
【0076】
2−試料凍結・解凍
試料を実施例1に記載の通りに凍結・解凍した。
3−DLS測定
調製した作りたておよび凍結・解凍試料を、実施例2に記載の通りに粒径およびPDIについて分析した。クエン酸/クエン酸三ナトリウムを含有する組成物は、凍結・解凍前に大きい粒子を形成し、強度での平均粒径は900nmより大きかった(
図4B)。凍結・解凍後、試料は完全に凝集し、DLS分析に適さず、Z平均は3500nmより上であり(
図4A)、PDI値は0.66より上であった(
図4C)。
【0077】
4−クエン酸/クエン酸三ナトリウム不相溶性
キトサン、スクロースまたはトレハロース二水和物を、
図5の通り、pH6.2のクエン酸/クエン酸三ナトリウム緩衝剤と混合するか、またはキトサンをクエン酸もしくはクエン酸三ナトリウムのみと混合した。
【0078】
【表5】
【0079】
キトサン溶液は、緩衝剤またはクエン酸三ナトリウムの存在下で濁ってきたが、クエン酸の存在下では濁ってこなかった(データを示さない)。濁度は、クエン酸三ナトリウムの存在下で最大であり、キトサン/クエン酸三ナトリウム混合物のゲル化により溶液中で白色雲状構造が形成した(データを示さない)。ゲル化は、負電荷を有する三価クエン酸三ナトリウムによる正電荷を有するキトサン鎖の架橋によって生じ得る(データを示さない)。
【0080】
【表6】
【0081】
(例4)
L−ヒスチジンはキトサン系組成物と不相溶性であり、多分散指数がより低いナノ粒子懸濁液をもたらす
1−ESEM撮像のためのキトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン/DNA複合体を実施例3に記載の通り調製した。室温で30分間の複合体安定化後、試料体積を、表7の通り、無菌4%(質量/体積)スクロース、4%(質量/体積)デキストラン5kDaまたは4%(質量/体積)トレハロース二水和物、pH6.5の無菌55mM L−ヒスチジン緩衝剤またはMilli−Q水で400μLにした。
【0082】
【表7】
【0083】
2−ESEM撮像
ESEM試料調製および撮像は、実施例1に記載の通り行った。凍結保護剤またはヒスチジン不在下で配合した作りたてナノ粒子は、球形、棒状またはドーナツ形の形態を有した(
図5A)が、pH6.5および13.75mMの最終濃度のL−ヒスチジンの添加後、より球形であった(
図5B)。13.75mMヒスチジンを有するまたは有さない1%(質量/体積)凍結保護剤中での複合体の配合は、観察されたナノ粒子に同様の影響を及ぼした。
【0084】
3−凍結・解凍後のDLS分析のためのキトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン/DNA複合体を実施例3に記載の通り調製した。室温で30分間の複合体安定化後、試料体積を、表8の通り、無菌2%(質量/体積)スクロース、2%(質量/体積)デキストラン5kDaまたは2%(質量/体積)トレハロース二水和物と、pH6.5の無菌55mM L−ヒスチジン緩衝剤またはMilli−Q水とで400μLにした。試料を実施例1に記載の通り凍結・解凍した。
【0085】
【表8】
【0086】
4−DLS測定
ヒスチジンなしの各組成物の二つ組(組成物#9〜11)を新たに調製して分析した。ヒスチジンを有する各組成物の二つ組(組成物#12〜14)を新たに調製して凍結・解凍後に分析した。粒径およびPDI分析は実施例2に記載の通り行った。ヒスチジンの添加は、作りたて組成物に殆ど影響を及ぼさなかった(
図6A〜C):Z平均は、スクロースおよびトレハロースの存在下でそれぞれ30および13nm増加し、デキストランの存在下で34nm減少し、強度での平均粒径は、スクロースおよびトレハロースの存在下でそれぞれ12および29nm増加し、デキストランの存在下で48nm減少し、PDIは、すべての凍結保護剤の存在下で0.05減少した。ヒスチジンの存在下で凍結・解凍時に組成物において有害反応は見られなかった(
図6A〜C):Z平均および強度での平均粒径は200nm未満であり、平均PDI値は0.35未満であった。
【0087】
【表9】
【0088】
(例5)
L−ヒスチジンは、凍結保護剤を含有する組成物に添加したとき、フリーズドライ後のナノ粒子凝集を防止する
組成物をナノ粒子径およびPDIを有意に変化させることなく最大20倍濃縮することができ;
組成物中のL−ヒスチジンを最少にし、その上、フリーズドライ後の粒子凝集をなお防止することができる。
【0089】
1−フリーズドライおよびより高濃度への再水和のためのキトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン/DNA複合体を実施例3に記載の通り調製した。室温で30分間の複合体安定化後、試料体積を、表10の通り、無菌2%(質量/体積)スクロース、2または4%(質量/体積)デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物と、pH6.5の55mM L−ヒスチジン緩衝剤とで400μLにした。
【0090】
【表10】
【0091】
Rh1X、Rh5XおよびRh10X:組成物#3〜5の6試料(表10参照)を実施例2に記載の通り調製し、フリーズドライした。各組成物について、2つの試料を400μL Milli−Qでそれらの原体積に再水和(Rh1X)し、2つを80μL Milli−Qで再水和5倍濃縮(Rh5X)し、2つを40μL Milli−Qで再水和10倍濃縮(Rh10X)した。Rh1XおよびRh20Xについては、組成物#1、2および4(表10参照)の4つの試料を実施例2に記載の通り調製し、フリーズドライした。各組成物について、2つの試料を400μL Milli−Q(Rh1X)でそれらの原体積に再水和し、2つを20μL Milli−Q水で再水和20倍濃縮(Rh20X)した。再水和試料を15〜30分間放置して安定させた後、分析した。すべての試料は5分以内に再水和したが、Rh20Xは、そのケーキ体積に比べて小さい再水和体積を考えると、より達成困難であった。
【0092】
2−より高濃度に再水和された組成物のDLS測定
粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。組成物#3〜5(13.75mM ヒスチジンと1%(質量/体積)デキストラン、または0.5もしくは1%(質量/体積)トレハロース二水和物)の最大10倍濃縮される再水和(Rh1X〜Rh10X)は、120から155nmまで幅がある粒子Z平均に対して影響を及ぼさず(
図7A)、または131から165nmまで幅がある強度での平均粒径に対して影響を及ぼさなかった(
図7B)。ナノ粒子PDI値は、濃縮率が増加すると0.18から0.05に減少した(
図7C)。13.75mMヒスチジンに併せた0.5%スクロースまたはトレハロースを含有する組成物であって、それらの初期濃度の20倍で再水和された組成物は、250nm(Z平均、
図7D)または200nm(強度での平均粒径、
図7E)より小さい粒子を生じさせ、デキストランおよびRh20Xを含有する組成物は、305nmのZ平均(
図7D)および324nmの強度での平均粒径(
図7E)を有した。0.37のPDIを有した0.5%デキストランRh1Xを除いて、すべての組成物が0.2未満のPDI値を有し、組成物Rh20X中のナノ粒子は、組成物RH1Xでのものより劣ったPDI値を有した(
図7F)。
【0093】
3−より低いヒスチジン含有量を有するフリーズドライ用のキトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン/DNA複合体を実施例3に記載の通り調製した。室温で30分間の複合体安定化後、試料体積を、表11の通り、無菌2%(質量/体積)スクロース、デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物と、pH6.5の55、27.5または13.75mM L−ヒスチジン緩衝剤とで400μLにした。
【0094】
【表11】
実施例2に記載の通り各組成物の二つ組を調製し、フリーズドライし、そしてその後、それらの原体積に400μL Milli−Qで再水和した(Rh1X)。
【0095】
4−より低いヒスチジン含有量を有するフリーズドライ組成物のDLS測定
粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。ヒスチジン含有量の減少は、0.5%(質量/体積)スクロースまたはトレハロース二水和物を含有する再水和組成物の粒径に影響を及ぼさず、粒子の直径は160nm未満であった(
図7G〜H)。これら2つの組成物のPDIは、ヒスチジン含有量を13.75から3.44mMに低下させたとき、0.25以下のままであった(
図7I)。デキストラン組成物Rh1XのZ平均および強度での平均粒径は、ヒスチジン濃度を13.75から3.44mMに低下させると、それぞれ、151から71nmに、および477から157nmに減少した(
図7G〜H)。これらの組成物の平均PDIは、ヒスチジン含有量を13.75から6.88mMに低下させると0.37から0.25に減少し、3.44mMヒスチジンでの最終PDIは0.24であった(
図7I)。
【0096】
5−オスモル濃度モデルおよび推定値
20倍小さい体積(20倍濃縮)で再水和されるフリーズドライ試料のオスモル濃度を測定するために要する作りたて試料の大きい体積を考えて、組成物オスモル濃度を推定するためのモデルを開発した。ナノ粒子オスモル濃度が無視できると仮定して、賦形剤(スクロース、デキストラン5kDa、トレハロース二水和物およびL−ヒスチジン)のみの系列希釈物を使用してモデルを確立した。得られたモデルは、5%(質量/体積)デキストランと5%(質量/体積)トレハロース二水和物とpH6.5の35mM L−ヒスチジンとを含有する組成物のオスモル濃度を1.8%の精度で予測した。このモデルに基づき、オスモル濃度は、凍結保護剤、ヒスチジン含有量、および再水和による濃縮率に依存して、4から570mOsmの間で変動した。スクロースを含有する組成物のオスモル濃度のほうが高く、デキストラン5kDaを含有する組成物のオスモル濃度のほうが低かった。2つの組成物は、等張性に近かった:279mOsmの0.5%dex−his(13.75)−Rh20X、および268mOsmの0.5%dex−his(13.75)−Rh10X。
【0097】
【表12】
【0098】
(例6)
複合体形成前に核酸およびキトサンに凍結保護剤および緩衝剤を添加することにより作りたて組成物中のナノ粒子濃度を最大にすることができ;
これらの組成物中の凍結保護剤および緩衝剤含有量を最少にすることにより、ほぼ等張性のままでより高い濃度にケーキを復元することが可能になり;および
ナノ粒子物理化学的特性およびトランスフェクション効率を有意に変化させることなくこれらの組成物を最大20倍濃縮することができる。
【0099】
1−13.75mMヒスチジンを含有する濃縮キトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン(Mn10kDa、92%DDA)を一晩、室温でHClに溶解して5mg/mLの最終キトサン濃度を得た。そのキトサン保存溶液を、表13の通り、無菌凍結保護剤溶液(2または4%(質量/体積)スクロース、デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物)、pH6.5の無菌55mM L−ヒスチジン緩衝剤、およびMilli−Q水を使用して271μg/mlに希釈した。
【0100】
【表13】
【0101】
表14の通り、無菌凍結保護剤溶液(2または4%(質量/体積)スクロース、デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物)、pH6.5の無菌55mM L−ヒスチジン緩衝剤、および/またはMilli−Q水を使用してDNA(200μg/mLでのpEGFPLuc)保存溶液を100μg/mlに希釈した。
【0102】
【表14】
【0103】
各組成物の二つ組を調製した。各二つ組について、100μLのキトサン溶液と100μLのその相補DNA溶液(例えば、キトサン組成物#1とDNA組成物#1)を混合して、5のN/P比の複合体を形成した。キトサン添加直後におおよそ10回、ピペットでその溶液を吸い上げ、吐き出すことによって混合を行った。試料を室温で30分間放置して安定させた後、分析した。
【0104】
2−13.75mMヒスチジンを含有する濃縮組成物のDLS測定
粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。複合体形成後ではなく前のキトサンまたはDNAへの凍結保護剤およびL−ヒスチジンの添加により、200nm未満のZ平均、250nm未満の強度での平均粒径および0.3未満のPDI値を有する、2倍希釈された組成物組成物の生成が可能になった(
図8A〜D)。L−ヒスチジンなしで調製した組成物は、Z平均が115から176nmの間の様々であり、強度での平均粒径が144から214の間であり、PDI値が0.21から0.26の間である粒子を有し、L−ヒスチジン(L−histdine)を用いて調製した組成物のほうがわずかに粒径が大きく、Z平均は143から187nmの間であり、強度での平均粒径は165から237nmの間であったが、より小さいPDI値(0.13〜0.18)を有した(
図8A〜C)。複合体形成前のキトサンおよびDNAへの賦形剤の添加は、ナノ粒子形成後に添加したときに以前に見られたものよりわずかに大きい粒子を生じさせたが、PDI値は同様のままであった(
図8C〜Eの「0FT,Hisなし」および「0FT,13.75mM His,pH6.5」を参照されたい)。
【0105】
3−より高濃度に再水和するための3.44mMヒスチジンを含有する濃縮キトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン/DNA複合体をセクション1に記載の通り調製したが、表15および16の通り、55mMではなく13.75mMのヒスチジン保存溶液を使用してキトサンおよびDNAを希釈した。
【0106】
【表15】
【0107】
【表16】
【0108】
試料を実施例2に記載の通りフリーズドライした。Rh1X試料を200μLのMilli−Q水で再水和し、Rh10X試料を20μLのMilli−Q水で再水和し、Rh20X試料を10μLのMilli−Q水で再水和した。すべての試料は5分以内に再水和したが、Rh20Xは、そのケーキ体積に比べて小さい再水和体積を考えると、より達成困難であった。
4−より高濃度に再水和された、3.44mMヒスチジンを含有する濃縮組成物のDLS測定
他の組成物(#17〜19)の各々についての6つの複製物:2つのRh1X、2つのRh10Xおよび2つのRh20X、をセクション3に記載の通り調製した。粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。3.44mMヒスチジンのみを用いてフリーズドライしたナノ粒子を、粒子凝集を見ることなく、最大20倍に再水和することができ、凍結保護剤に依存して、粒子Z平均が3〜68nm増加し、強度での平均粒径がRh1Xと比較して7〜46nm増加した(
図8D〜E)。再水和濃縮率を1Xから20Xに増加させるとPDI値が減少し、PDIは、スクロース組成物については0.17から0.06に、デキストラン組成物については0.40から0.18に、およびトレハロース二水和物組成物については0.15から0.10になった(
図8F)。
【0109】
5−より高濃度に再水和された、3.44mMヒスチジンを含有する濃縮組成物のゼータ電位測定
組成物#15の二つ組をRh1X調製し、他の組成物(#17〜19)の各々についての6つの複製物(2つの作りたて、2つのRh1X、および2つのRh20X)をセクション3に記載の通り調製した。再水和試料を15〜30分間放置して安定させた。すべての試料は5分以内に再水和したが、Rh20Xは、そのケーキ体積に比べて小さい再水和体積を考えると、より達成困難であった。作りたて試料および再水和試料に600μL 13mM NaClを補足し、ゼータ電位分析前に必要に応じてそれらの体積をMilli−Qで800μLにした。ゼータ電位を実施例2に記載の通り測定した。新たに調製した組成物は、24mVのゼータ電位を有し、フリーズドライして再水和した組成物は、それらの凍結保護剤または再水和体積に関係なく、18〜21mVのゼータ電位を有した(
図8G)。
【0110】
6−より高濃度に再水和された、3.44mMヒスチジンを含有する濃縮組成物のESEM撮像
他の組成物(#17〜19)の各々についての6つの複製物:2つのRh1X、2つのRh10Xおよび2つのRh20X、をセクション3に記載の通り調製した。ESEM試料調製および撮像は、実施例1に記載の通り行った。3.44mMヒスチジンを含有する組成物について観察されたナノ粒子は、13.75mMヒスチジンを含有する組成物について以前に観察されたものより球形でない形状であった。これは、DLSで観察されたPDIの変動と一致する。フリーズドライした後Rh1Xした組成物と、フリーズドライした後Rh20Xした組成物の間に有意差は観察されなかったが、それらは、新たに調製した組成物より球形の粒子を有するようであった。粒子は、大部分が、200nmより下の直径であった(データを示さない)。
【0111】
7−インビトロトランスフェクション
各組成物(#15〜22)の6つの複製物:2つの作りたて、2つのRh1X、および2つのRh20X、をセクション3に記載の通り調製した。Fugeneベースリポプレックスをトランスフェクション効率の陽性対照として使用した。インビトロトランスフェクションを実施例1に記載の通り行った。
【0112】
8−pH
組成物#15〜22のpHを、新たに調製した試料、およびフリーズドライしてそれらの初期体積に再水和した(Rh1X)またはそれらの初期体積の二十分の一に再水和した(Rh20X)試料に関して測定した。L−ヒスチジン不在下で、新たに調製した試料は、凍結保護剤の存在または性質に関係なく5.8±0.2の平均pHを有した。それらの平均pHは、Rh1X後に7.0±0.2、およびRh20X後に5.1±0.2であった。3.44mM L−ヒスチジンを含有する新たに調製した組成物は、凍結保護剤の存在または性質に関係なく6.42±0.05の平均pHを有したが、フリーズドライ試料のpHは、Rh1X後に6.50±0.06、およびRh20X後に6.48±0.02であった。
【0113】
9−オスモル濃度
上記方法は、2倍の複合体量を有する組成物を生じさせたので、前に開発したオスモル濃度モデルの妥当性を、フリーズドライして再水和5倍濃縮した組成物#17〜19について検証した。このモデルは、スクロースを含有する組成物(#17)またはトレハロースを含有する組成物(#19)にはそれぞれ6および8%のオスモル濃度過小推定で許容され得たが、デキストランを含有する組成物(#18)には57%のオスモル濃度過小推定で不適当であった。組成物#17および19のオスモル濃度を、作りたて、またはそれらの初期体積に再水和された(Rh1X)、それらの初期体積の十分の一に再水和された(Rh10X)およびそれらの初期体積の二十分の一に再水和された(Rh20X)フリーズドライ試料について推定した。このモデルに基づき、オスモル濃度は、スクロースを含有する試料については19から372mOsmの間で変動し、トレハロース二水和物を含有する試料については17から339mOsmの間で変動した。両方の組成物Rh20Xが等張性に近かった:372mOsmでの0.5%suc−his(3.44)−Rh20X、および339mOsmでの0.5%tre−his(3.44)−Rh20X。
【0114】
10−トランスフェクション効率
トランスフェクション効率を実施例1に記載の通り測定した。試料トランスフェクション効率を、全細胞の53%のトランスフェクション効率を有した賦形剤不在下の作りたて複合体(
図9A、A:Lyoなし−His(0)−作りたて)について得た値に対して正規化した。Figeneは、作りたて対照の116%のトランスフェクション効率を有した(
図9Aおよび9C)。ヒスチジンなしの作りたて組成物は、作りたて対照の90〜100%のトランスフェクション効率を有し(
図9A)、3.44mMヒスチジンを有する作りたて組成物は、作りたて対照の108〜113%のトランスフェクション効率を有した(
図9C)。凍結保護剤不在下で3.44mMヒスチジンを用いてまたはなしでフリーズドライした組成物は、対照の22%未満のトランスフェクション効率を有した(
図9Aおよび9C)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤を用いて、しかしヒスチジンなしでフリーズドライした組成物は、対照の約40%のトランスフェクション効率を有した(
図9A)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤および3.44mMヒスチジンを用いてフリーズドライし、再水和1X(Rh1X)した組成物は、作りたて対照に比べて、スクロースについては100%、デキストランについては85%、およびトレハロースについては83%のトランスフェクション効率を有した(
図9C)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤および3.44mMヒスチジンを用いてフリーズドライし、再水和20X(Rh20X)した組成物は、作りたて対照に比べて、スクロースについては48%、デキストランについては53%、およびトレハロースについては78%のトランスフェクション効率を有した(
図9C)。
【0115】
11−ルシフェラーゼ発現
ルシフェラーゼ発現を実施例1に記載の通り定量した。測定したルシフェラーゼ相対光単位毎分(RLU/分)を、既知濃度の組換えルシフェラーゼ標準物質の系列希釈物で作成した標準曲線を用いてμMに変換した。試料ルシフェラーゼ発現レベルを、タンパク質1mg当たり6.76×10
-5μMのルシフェラーゼの発現レベルを有した賦形剤不在下の作りたてキトサン/DNA複合体(Ctl)について得た値に対して正規化した。凍結保護剤不在下で3.44mMヒスチジンを用いてまたはなしでフリーズドライした組成物は、対照について測定されたルシフェラーゼレベルの10%未満を発現した(
図9Bおよび9D)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤を用いて、しかしヒスチジンなしでフリーズドライした組成物は、対照について測定されたルシフェラーゼレベルの25%未満を発現した(
図9B)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤および3.44mMヒスチジンを用いてフリーズドライし、再水和1X(Rh1X)した組成物は、スクロースおよびトレハロース二水和物については陽性対照と同様のルシフェラーゼ発現レベル、ならびにデキストランについては陽性対照の56%のルシフェラーゼ発現レベルを有した(
図9D)。0.5%(質量/体積)凍結保護剤および3.44mMヒスチジンを用いてフリーズドライし、再水和20X(Rh20X)した組成物は、スクロースについては陽性対照と同様のルシフェラーゼ発現レベル、デキストランについては陽性対照の12%のルシフェラーゼ発現レベル、およびトレハロース二水和物については陽性対照の65%のルシフェラーゼ発現レベルを有した(
図9D)。
【0116】
【表17】
【0117】
(例7)
注射前の最終再水和が助長するために2回の逐次的フリーズドライ/再水和サイクルを用いて組成物を最大20倍濃縮(ケーキ体積に対してより大きい再水和体積)することができ、これは、ナノ粒子の物理化学的特性およびトランスフェクション効率の有意に変化を伴わない
1−複数回のフリーズドライのための0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有するキトサン/DNAナノ粒子組成物の調製
キトサン(Mn 10kDa、92%DDA)を一晩、室温でHClに溶解して5mg/mLの最終キトサン濃度を得た。そのキトサン保存溶液を、表18の通り、無菌2%(質量/体積)トレハロース二水和物、pH6.5の無菌14mM L−ヒスチジン緩衝剤、およびMilli−Q水を使用して、271μg/mlに希釈した。
【0118】
【表18】
【0119】
表19の通り、無菌2%(質量/体積)トレハロース二水和物、pH6.5の無菌14mM L−ヒスチジン緩衝剤、およびMilli−Q水を使用して、DNA(400μg/mLでのpEGFPLuc)保存溶液を100μg/mlに希釈した。
【0120】
【表19】
【0121】
21の試料を調製した。各試料について、625μLの希釈キトサン溶液(表18)を625μLの希釈DNA溶液(表19)と混合して、5のN/P比の複合体を形成した。キトサン添加直後におおよそ10回、ピペットでその溶液を吸い上げ、吐き出すことによって混合を行った。試料を室温で30分間放置して安定させた後、分析またはフリーズドライした。
【0122】
2−試料フリーズドライ
15の試料をフリーズドライした。各試料について、表20の通り1200μLを10mL血清バイアルに移し、実施例2に記載の通り20mmブチル凍結乾燥ストッパーを用いてフリーズドライした。6つの試料を120μLで再水和Rh10Xし、その後、表20の通り各試料の100μLを2mL血清バイアルに移し、実施例2に記載の通り13mmブチル凍結乾燥ストッパーを用いてフリーズドライした。3つの試料を240μLで再水和Rh5Xし、その後、表20の通り、200μLを使用して、一方のバイアルはDLS分析用であり、他方はトランスフェクション用である2つの2mL血清バイアルに100μLの試料を充填した。実施例2に記載の通り13mmブチル凍結乾燥ストッパーを用いて試料をフリーズドライした。
【0123】
【表20】
3−DLSまたはトランスフェクションのための試料の再水和
実験により、再水和試料の希釈がナノ粒子特性(粒径、ゼータ電位、トランスフェクション効率など)に影響を及ぼさないことが明らかになったので、試料を分析前に下記の通り再水和し、希釈した。
試料#1を分析30分前に60μLのMilli−Qで再水和Rh20Xし、その後、分析の15分前に1140μL Milli−Qで希釈した。
試料#2を分析30分前に50μLのMilli−Qで再水和Rh20X(10X+2X)し、その後、分析の15分前に950μL Milli−Qで希釈した。
試料#3を分析30分前に25μLのMilli−Qで再水和Rh20X(5X+4X)し、その後、分析の15分前に475μL Milli−Qで希釈した。
すべての試料が5分以内に再水和したが、試料#1(Rh20X)は、そのケーキ体積に比べて小さい再水和体積を考えると、より達成困難であった。試料#2および3は、容易かつ迅速に再水和した上、20Xの最終濃縮率にも達した。
【0124】
4−より高濃度に再水和された、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有する濃縮組成物のDLS測定
3つの複製物をセクション1に記載の通り新たに調製し、各組成物の3つのフリーズドライ複製物をセクション3に記載の通り再水和した。粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mM L−ヒスチジン中で配合したナノ粒子を2回フリーズドライして、粒子凝集を見ることなく20Xの最終濃縮率(Rh20X)に達することができた。新たに調製した粒子と比較して、Rh20Xに達するために用いたフリーズドライ・再水和サイクルの数に依存して、X平均は56〜68nm増加し、強度での平均粒径は54〜63nm増加した。Z平均(180〜192nm)および強度での平均粒径(204〜213nm)は、行ったフリーズドライ・再水和サイクルの数に関係なく、Rh20X試料間で同様であった(
図10A〜B)。PDI値は、フリーズドライおよび再水和後、新たに調製したときの0.17から、Rh20X後の0.20から0.25の間に、わずかに増加した(
図10C)。
【0125】
5−より高濃度に再水和された、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有する濃縮組成物のゼータ電位測定
前にDLSによって分析した試料(セクション4)に400μL 20mM NaClを補足し、その後、それらのゼータ電位を実施例2に記載の通り測定した。新たに調製したナノ粒子は、19mVの平均ゼータ電位を有し、フリーズドライして再水和した組成物は、R20Xに達するために用いたフリーズドライサイクルの数に関係なく18〜21mVのゼータ電位を有した(
図10D)。
【0126】
6−より高濃度に再水和された、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有する濃縮組成物のインビトロトランスフェクション
3つの複製物をセクション1に記載の通り新たに調製し、各組成物の3つのフリーズドライ複製物をセクション3に記載の通り再水和した。インビトロトランスフェクションを実施例1に記載の通り行った。
【0127】
7−より高濃度に再水和された、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有する濃縮組成物のトランスフェクション効率
トランスフェクション効率を実施例1に記載の通り測定した。試料トランスフェクション効率を、全細胞の44%のトランスフェクション効率を有した0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物およびpH6.5の3.5mM L−ヒスチジン中で調製した作りたて複合体(
図10E、作りたて)について得た値に対して正規化した。すべてのフリーズドライ組成物が作りたて対照の85〜100%のトランスフェクション効率を有した(
図10E):単一フリーズドライサイクル後に再水和20Xした組成物(FD/Rh20X)は、作りたて試料と同等のトランスフェクション効率(100%)を有し、再水和10Xし、その後、フリーズドライしてRh2Xした組成物[Rh(10X+2X)]は、対照の86%のトランスフェクション効率を有し、再水和5Xし、その後、フリーズドライしてRh4Xした組成物[Rh(5X+4X)]は、対照の85%のトランスフェクション効率を有した。
【0128】
8−より高濃度に再水和された、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物と3.5mMヒスチジンとを含有する濃縮組成物のルシフェラーゼ発現
ルシフェラーゼ発現を実施例1に記載の通り定量し、相対光単位毎分(RLU/分)で表した。試料ルシフェラーゼ発現レベルを、タンパク質1mg当たり5.24×10
8RLU/分の発現レベルを有した、0.5%(質量/体積)トレハロース二水和物およびpH6.5の3.5mM L−ヒスチジン中で調製した作りたて複合体(
図10F:作りたて)について得た値に対して正規化した。最終Rh20Xのすべてのフリーズドライ組成物は、作りたて対照のものの64〜69%の値で、同様のルシフェラーゼ発現レベルを有した(
図10F):単一フリーズドライサイクル後に再水和20Xした組成物(FD/Rh20X)は、対照の64%のルシフェラーゼ発現レベルを有し、再水和10Xし、その後、フリーズドライしてRh2Xした組成物[Rh(10X+2X)]は、対照の発現の69%で、より高いルシフェラーゼ発現レベルを有し、再水和5Xし、その後、フリーズドライしてRh4Xした組成物[Rh(5X+4X)]は、対照の66%のルシフェラーゼ発現レベルを有した。
【0129】
【表21】
【0130】
(例8)
キトサン/siRNAナノ粒子を、CS/DNAナノ粒子と比較して高い初期核酸濃度で調製することができるが、賦形剤含有量を相応じて増加させなければならない;
ナノ粒子物理化学的特性およびサイレンシング効率を有意に変化させることなく、これらの組成物を最大10倍濃縮することができる。
【0131】
1−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物の調製
キトサン(Mn 10kDa、92%DDA)を一晩、室温でHClに溶解して5mg/mLの最終キトサン濃度を得た。そのキトサン保存溶液を、表22の通り、無菌凍結保護剤溶液(8%(質量/体積)デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物)、pH6.5の無菌14mM L−ヒスチジン緩衝剤、およびRNase不含水を使用して、271または542μg/mlに希釈した。
【0132】
【表22】
【0133】
抗ApoB siRNA(センス:GUCAUCACACUGAAUACCAAU、アンチセンス:AUUGGUAUUCAGUGUGAUGACAC、1mg/mLで)保存溶液を、表23の通り、無菌凍結保護剤溶液(8%(質量/体積)デキストラン5kDaまたはトレハロース二水和物)、pH6.5の無菌14mM L−ヒスチジン緩衝剤、および/またはRNase不含水を使用して、100または200μg/mlに希釈した。
【0134】
【表23】
【0135】
各複製物について、100μLのキトサン溶液と100μLのその相補siRNA溶液(例えば、キトサン組成物#1とsiRNA組成物#1)を混合して、5のN/P比の複合体を形成した。キトサン添加直後におおよそ10回、ピペットでその溶液を吸い上げ、吐き出すことによって混合を行った。試料を室温で30分間放置して安定させた後、分析した。
2−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のフリーズドライ
フリーズドライする試料を2mL血清バイアルに移し、13mmブチル凍結乾燥ストッパーを用いてフリーズドライした。すべての試料を収容しているトレーを透水性膜で覆って埃または細菌汚染を防止した。フリーズドライは、次のサイクルを用いて、Millrock Laboratory Series Freeze−Dryer PC/PLCで行った:段階的に5℃に冷却して30分間、等温で維持し、段階的に−5℃に冷却して30分間、等温で維持し、その後、35分間で−40℃に勾配冷却して2時間、等温で維持し、48時間、−40℃で、100ミリトル(約13.3Pa)で一次乾燥させ、そして100ミリトル(約13.3Pa)で二次乾燥させ、12時間で温度を30℃に上昇させ、そしてその後、30℃で6時間、等温を維持する。試料にストッパーをし、圧着させ、使用するまで4℃で保管した。使用15〜30分前に、Rh1X試料を200μLのRNase不含水で再水和し、Rh10X試料を20μLのRNase不含水で再水和し、Rh20X試料を10μLのRNase不含水で再水和した。すべての試料が5分以内に再水和した。
【0136】
4−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のDLS測定
各組成物の9つの複製物:3つの新たに調製したもの(FDなし)、3つのRh1Xおよび3つのRh20X、をセクション1および2に記載の通り調製した。粒径およびPDI分析を実施例2に記載の通り行った。すべての組成物は、Rh20X後の重度凝集を防止したが、作りたて組成物と比較して、Rh1Xおよび/またはRh20後に粒径の有意な変化を示さなかったのは組成物#2および4だけであり、それらのZ平均はそれぞれ21および9nm増加した(
図11A)。平均PDI値は、大部分が(組成物#1、Rh1Xを除く)0.25未満であり、組成物#2および4は、RH20X後にそれぞれ0.16および0.20のPDI値を有した(
図11B)。
【0137】
5−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のゼータ電位測定
各組成物の9つの複製物:3つの新たに調製したもの(FDなし)、3つのRh1Xおよび3つのRh10X、をセクション1および2に記載の通り調製した。すべてが5分以内に再水和したが、再水和試料を15〜30分間、放置して安定させた。RNase不含水を使用して作りたておよび再水和試料の体積を400μLにし、その後、ゼータ電位分析前に400μL 20mM NaClを添加した。ゼータ電位を実施例2に記載の通り測定した。新たに調製した組成物は、21mVのゼータ電位を有し、フリーズドライして再水和した組成物は、それらの再水和体積に関係なく21〜23mVのゼータ電位を有した。
【0138】
6−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のESEM撮像
組成物#2の9つの複製物:3つの新たに調製したもの(FDなし)、3つのRh1Xおよび3つのRh10X、をセクション1および2に記載の通り調製した。ESEM試料調製および撮像は、実施例1に記載の通り行った。観察されたすべてのナノ粒子は球形の形状であり、大部分が100nmより下の直径であった。作りたて、Rh1XまたはRh10X組成物からの粒子間に有意差は観察されなかった。
【0139】
7−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のインビトロサイレンシング
組成物#2の9つの複製物:3つの新たに調製したもの(FDなし)、3つのRh1Xおよび3つのRh20X、をセクション1および2に記載の通り調製した。DharmaFECT2をサイレンシング効率の陽性対照として使用した。10%ウシ胎仔血清(FBS)を補足したpH7.2のRPMI−1640で増殖させ、37℃、5%CO
2でインキュベートした、eGFP陽性H1299細胞を、インビトロ研究に使用した。トランスフェクションのために約75〜85%集密に達するように、トランスフェクション24時間前に24ウェルプレートのウェルごとに45,000細胞をプレーティングした。100nMのsiRNAを含有する合計500μLの溶液のために、ナノ粒子組成物は、各ウェル内の培養培地をpH6.5の高グルコースDMEM(FBS不含)で置換した。細胞を4時間、37℃、5%CO
2でインキュベートし、その後、55μL FBSを補足し、その後、さらに44時間インキュベートした後、分析した。
【0140】
8−濃縮キトサン/siRNAナノ粒子組成物のサイレンシング効率
フローサイトメトリーを用いてサイレンシング効率を測定した。試料調製:分析する試料を収容している各ウェルから増殖培地を除去し、細胞をpH7.4の500μLリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、ウェル当たり75μLのトリプシン/EDTAを使用して5分間、37℃でトリプシン処理し、その後、325μL増殖培地を添加し、全試料をサイトメトリーチューブに移した。フローサイトメトリー測定:10000事象を試料ごとに収集し、488nmアルゴンレーザーを使用して細胞における増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)の励起後に光電子増倍管で510/20nmバンドパスフィルターにより平均蛍光強度を測定した。前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)も用いて、記録した事象から死細胞およびデブリを排除した。最後に、そのデータを用いてトランスフェクション効率を分析するときにFSCを用いてそれらの事象から重複を特定し、排除した。平均残留eGFP強度を未処置細胞について測定された平均eGFP発現の百分率として表した。組成物#2のサイレンシング効率は、5%の残留eGFP発現を有するDharmaFECT2より低かった(データを示さない)が、FDは、CS/siRNAのサイレンシング効率に悪影響を及ぼさなかった。作りたて組成物は、未処置細胞の52%の、Rh1Xは49%の、およびR10Xは47%の、残留eGFP発現を有した(
図11C)。
【0141】
【表24】
【0142】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明したが、さらなる修飾が可能であること、本出願が、本発明の原理に一般に準拠する、ならびに本発明が属する技術分野内の公知のまたは慣例的な施行の範囲内に入るような、および上文に記載の本質的特徴に当てはまり得るような、および添付の「特許請求の範囲」の範囲に倣うような本開示からの逸脱を含む、本発明のあらゆる変形、使用または適応を包含することを意図したものであることは、理解されるであろう。
【0143】
本明細書中で言及したすべての文献は、参照により本明細書に援用されている。
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