(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
液体供給のための流体制御システムが、ガスリザーバー内の既知の容積変化をもたらすために、線形アクチュエータを組み込む空圧駆動を含む。ガスリザーバーは、可撓性膜によって流体側リザーバーから分離されているガス側リザーバーと流体連結されている。線形アクチュエータの動きは、ガス側リザーバー内のガス上に正または負の容積差をもたらして、流体、主に液体を、供給源から引き出すか、または液体をシンクへ供給するために、流体側リザーバーに伝えられるガスの圧力における減少または増加となる。別の態様では、流体経路内の気泡を検出して排除するための機構が提供される。
前記往復要素が、前記線形アクチュエータの一端に連結したベローの端部を含み、前記ベローの内部が、前記ガスリザーバーの少なくとも一部を含む、請求項2に記載のシステム。
前記線形アクチュエータが、別の増分で双方向に移動するよう動作可能なモーターを含み、前記モーターが、既知の長さの別の増分で前記往復要素の往復運動を作動させるために、前記往復要素に連結する、請求項2に記載のシステム。
前記ガス側室と流体連結し、前記制御装置と通信するベント弁をさらに含み、前記制御装置が、周囲へ正および負の圧力の排出を提供するよう周囲へ前記ベント弁を開けるよう作動し、これにより、前記ガス側室に通じる有限容積のガスリザーバーの圧力範囲、前記空圧駆動の動きの有限の範囲、またはその両方が拡張可能となる、請求項1に記載のシステム。
前記空圧駆動が、ある長さを有する可撓チューブを含む導管により前記ガス側室に流体連結され、前記流体流路が、前記可撓チューブの長さにより決定された距離だけ前記空圧駆動から分離できる、請求項1に記載のシステム。
前記入口弁および前記出口弁、ならびに前記室を含む前記流体流制御システムの前記流体流路の少なくとも一部が、前記空圧駆動とは別に収容されるカセットとして構成される、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置が、前記ガス側室と連通してガスの容積を減少するよう動作可能であり、これにより、前記流体側室の圧力がまた、前記入口弁のクラッキング圧に達するまで減少し、この際前記入口弁が開口し、前記流体供給源由来の流体が前記流体側室に入る、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置が、前記ガス側室と連通してガスの容積を増加させるよう動作可能であり、これにより前記流体側室の圧力がまた、前記出口弁のクラッキング圧に達するまで増加し、この際前記出口弁が開口し、前記流体側室の流体が前記流体シンクへと排出する、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置が、供給される液体の目標容積と、すでに供給された液体の容積との間の差異として供給される液体の容積を判定し、前記供給される液体の溶液を供給するために計算される増分で前記空圧駆動を作動させることにより、前記流体シンクへの液体の供給を制御するよう動作可能である、請求項1に記載のシステム。
前記制御装置が、連続する時間間隔で供給される液体の容積を計算し、前記すでに供給された液体の容積の各計算の後に、前記すでに供給された液体の容積を更新するよう動作可能である、請求項13に記載のシステム。
前記制御装置が、累積された速度誤差が精度誤差から除去されるように、前記流体リンクへの液体の供給の間に、前記圧力データおよび前記ガス容積における既知の変化に基づくガスの容積の計算を複数回にわたって繰り返すように動作可能である、請求項15に記載のシステム。
前記制御装置が、前記流体供給源から前記流体経路内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
前記流体供給源における前記静水圧または前記インピーダンスまたは前記抵抗が、前記流体流路上のライン内の閉塞、前記流体供給源内に残っている流体量、前記流体供給源における粘性液体、および前記シリンジのうちの少なくとも1つを示す、請求項17に記載のシステム。
前記制御装置が、前記流体シンクへの前記流体流路内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
前記流体シンクへの前記流体流路の前記インピーダンスまたは前記抵抗の静水圧が、前記流体流路上のライン内の閉塞、および前記流体シンクへの接続の切断の少なくとも1つを示す、請求項19に記載のシステム。
筐体をさらに含み、前記入口弁および前記出口弁、ならびに前記室を含む前記流体流制御システムの前記流体流路の少なくとも一部が、前記筐体上に担持可能である、請求項22に記載の輸液ポンプシステム。
ステップa〜dを繰り返すことをさらに含み、前記液体シンクに供給される液体の総容積が、以前に判断した総容積に増分の容積変化を加えることにより、ステップa〜dのそれぞれの連続する反復の後に決定される、請求項25に記載のプロセス。
ステップaで、前記入口弁が開口し、流体が前記流体側室に流れるように前記一方向入口弁を通した差圧が前記一方向入口弁のクラッキング圧に達するまで前記負の圧力がかけられ、さらに、ステップdで判断された用量だけ判断された流体で前記流体側室が充填されるまで、前記流体を前記流体側室に引き込み続けるよう前記負の圧力がかけられる、請求項25に記載のプロセス。
ステップbで、前記出口弁が開口し、液体が前記流体側室から流れるように、前記一方向出口弁を通した差圧が前記一方向出口弁のクラッキング圧に達するまで前記正の圧力がかけられ、さらに、ステップdで判断された量だけ判断された液体を前記流体側室が空にするまで前記流体側室から流体を供給し続けるために前記正の圧力がかけられる、請求項25に記載のプロセス。
圧力トレンドが、前記圧力を監視するステップから判断され、前記圧力トレンドが、前記流体側室の上流および下流の状態を示し、前記状態が、前記流体供給源の残りの液体、前記流体側室の中の空気、上流のラインの閉塞、下流のラインの閉塞、および前記出力ラインの切断を示すことを含む、請求項25に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、流体制御システム100の一実施形態に対する概略ブロック図を示す。本システムは、流体輸液セット102と連動する空圧駆動101を組み込んでおり、流体輸液セット102によって、制御された量の流体が流体供給源130から引き出されて、患者の脈管構造などの、流体シンク140に供給される。流体制御システムは、スタンドアロンのポンプシステムとして、または、ユーザーインタフェース、薬物安全性ソフトウェア、電源、筐体などの、他の構成要素を含む、別のポンプシステムに連結されているサブ組立体として、具現化できる。
【0024】
流体供給源130は、例えば、軟質バッグ、ベントボトル、または液体入りシリンジ内に含まれた流体であり得る。流体は、ポンプ室170を通る流路131上を流れ、ポンプ室170は、固定容積を有する剛性の本体またはハウジングである。その室は、ガスまたは液体が不浸透性の可撓性膜175によってガス側室171と流体側室172に分割されている。可撓性膜175は、その外縁の周りを室170内に密封して固定されているが、そうでなければ、制限なく自由に移動できる。ガス側室171内のガス圧力は、流体側室172内に同じ圧力をかける。事実上、可撓性膜175にわたる圧力差はない。ガス側室内における圧力変化は、可撓性膜によって流体側室に直接伝えられ、逆もまた同様である。
【0025】
流体側室172は、流体流路131上に配置されて、流体供給源130と入口弁135を介して流体連結されている。流体側室172は、流体シンク140とも、出口弁145を介して流体連結されている。入口弁および出口弁の各々は、受動的に作動する一方向逆止弁であり、上流の流体と下流の流体との間の圧力差が所定のクラッキング圧に達した場合にのみ開く。入口弁135および出口弁145の各々は、通常、流れに対して閉じられており、それらを順方向に開くために比較的高い差圧を必要とする。実際的な量の差圧ではそれらを逆方向に開くことができない。一実施形態では、医用輸液ポンプとして適切な、両方の弁135、145が、1PSId程度の、比較的高いクラッキング圧を有するように選択される。特定のクラッキング圧は、当業者には理解され得るように、用途によって決まる。
【0026】
本システムは、既知の漸増する正または負の容積変化をもたらすために、ガス側室171に連結されている空圧駆動も含み、その容積変化は次いで、流体側室172に伝えられる、ガス側室内の正または負の圧力変化を引き起こす。一実施形態では、空圧駆動は、線形アクチュエータ、例えば、ステッパーモーターまたは符号化DCモーターまたは正確な増分双方向運動を生じる別の電気機械要素などの、駆動モーター110を含む。駆動モーターは、カムまたは親ねじ機構または直線運動を出力する他の機構に連結されている。しかし、任意の線形アクチュエータ機構が、その位置が分かっていて、それが無視できるほどのヒステリシスまたはバックラッシュしか有していない限り、使用できる。駆動モーター110は、ガスリザーバー120内で往復運動する往復要素115に連結されている。往復要素115(例えば、ベローまたはピストン)は、一次元で双方向に平行移動する。従って、既知の距離による平行移動は、既知の容積変化となる。往復要素の平行移動がガスリザーバー内のガス容積を既知の量だけ増加または減少させるように、往復要素は、ガスリザーバー120内のガス、通常は空気と連動する。往復要素115およびガスリザーバー120は一緒に、シリンジ様機構を形成する。
【0027】
ガスリザーバー120は、ガス側室171と流体連結されている。ガス導管178は、ポンプシステム全体の構成に応じて、ガスリザーバー120をガス側室171と流体的に連結するために提供され得る。ガスリザーバー内の空気を周囲に放出するために開くことができる、ベント弁112が備えられている。ベント弁を一瞬開くと、リザーバー120および連結された空間(ガス導管178およびガス側室171)内の圧力を大気圧と釣り合わせる。電気機械的電磁弁などの、任意の適切な弁が使用できる。任意の適切な圧力トランスデューサなどの、圧力センサー155も、ガスリザーバー120内の圧力を測定するために提供され、それは、ポンプ室のガス側室および流体側室内の圧力の測定値も提供する。
【0028】
モーター110およびベント弁112と、ならびに圧力データを受信するために圧力センサー155と動作可能に通信している、システム制御装置150が提供されている。制御装置150は、プロセッサまたはマイクロプロセッサまたは同様のものを含み、通信、検知、計算、およびアクチュエータ制御のための電子機器をサポートする。制御装置150は、データおよび命令の格納用の不揮発性メモリ(例えば、ROM)、入力および出力用の揮発性メモリ(例えば、RAM)、クロック、および入力/出力(I/O)制御装置を含む。制御装置150は、単一チップ上のマイクロコントローラユニットとして提供できる。制御装置は、以下でさらに説明する、ポンプシステム全体またはポンプ用途の一部である別のコンピュータまたは制御装置と連動もできる。
【0029】
駆動モーター110は、制御装置150からのコマンドに基づき既知の増分だけ動かされ、それは次いで、往復要素115を既知の長さだけ動かして、ガスリザーバー120内のガス容積における既知の変化を達成する。容積変化は、次いで、リザーバー120内の圧力の変化となる。リザーバー120およびガス導管178において見られるガス圧力が、ガス側室171内のガス圧力と釣り合わされて、可撓性膜にわたる差圧がないために、可撓性膜175の屈曲により、流体側室172内に同じ圧力をかける。
【0030】
一実施形態では、線形アクチュエータの往復要素115は、一次元での制御可能な直線平行移動が可能なベローとして形成される。ベローの一方の端部が、例えば、フランジを用いて、ガスリザーバー120を形成する剛性ハウジングに密封して固定され、また、ベローの他方の端部が、例えば、フランジまたはエンドプレートを用いて、直線運動のために、モーター110に連結されている。従って、ベローの直径または断面積が、有効に固定され、従って、既知である。ベローの内部は、ガスリザーバーに対して開かれており、その一部を形成する。その結果、ベローが直線的に、概して、既知の直径のエンドプレートの面に直交する方向に、平行移動する場合、容積変化が、ベローの断面積を乗じた平行移動の長さから判断できる。平行移動の長さは、制御装置150によって制御される、駆動モーターの増分運動によって決定されるので、既知である。
【0031】
ベローは、ハウジングに対するスティクションまたは摩擦なしで直線平行移動が可能であるので、往復要素のベローとしての実装は好都合である。ベローは、既知のストローク長およびばね定数、ならびにベローの両側上の作動圧力範囲で設計および製作できる。ステンレス鋼または別の金属合金(例えば、チタン合金)などの、任意の適切な材料が、ベローの波形の形成において使用できる。適切なベローが、例えば、米国フロリダ州の、BellowsTech,LLCから市販されている。
【0032】
別の実施形態では、線形アクチュエータの往復要素がピストンとして形成される。ピストンは、ガスリザーバー120に連結されているか、またはその一部である、シリンダ内の直線平行移動のためにモーターに連結されている。ピストン端面(またはシリンダ)の直径または断面積が固定で既知である。従って、ベローと同様に、ピストンが直線的に平行移動する場合、容積変化が、ピストン端面の既知で固定の断面積を乗じた平行移動の長さから判断できる。平行移動の長さは、制御装置150によって制御される、駆動モーターの増分運動によって決定されるので、既知である。線形アクチュエータは、単一の駆動モーターに連結された、ピストンの配列とも呼ばれ得る。例えば、パッケージング要件を満足するために、様々なピストンの線形または回転構成が使用できる。
【0033】
制御装置150は、圧力を3つの方法で調整できる。線形アクチュエータ115によりガスリザーバー120内で増加するゲージ圧(それは次いで、ガス側室171に、その後、流体側室172に伝えられる)を作り出すために、制御装置150は、モーター110を、一方向に、例えば、時計回りに、動かすことができる。線形アクチュエータ115によりガスリザーバー120内で減少するゲージ圧(それは次いで、ガス側室171に、その後、流体側室172に伝えられる)を作り出すために、制御装置150は、モーター110を、反対の方向に、反時計回りに、動かすことができる。ガスリザーバー120内にゼロゲージ圧(それは次いで、ガス側室171に、その後、流体側リザーバー172に伝えられる)を作り出すために、制御装置150は、ベント弁112を作動できる。
【0034】
要約として、FILLステップを実行するための操作において、ベント弁112が閉じられて、線形アクチュエータ115が引っ込められると、ガスリザーバー120およびガス側室171内の容積が増加して、圧力が減少する。流体側室172内の圧力が同様に減少し、それは、入口弁135にわたる圧力差につながる。FILLステップで、圧力差が入口弁のクラッキング圧に達すると、弁が開いて、流体、主として液体が、流体供給源から入口弁を通って流体側室に流れ込む。DELIVERステップを実行するために、ベント弁が閉じられて、線形アクチュエータが前へ進められる。ガス側室および流体側室内の圧力が増加し、それは、出口弁145にわたる圧力差をもたらす。DELIVERステップで、圧力差が出口弁のクラッキング圧に達すると、弁が開いて、液体が、流体側室から出口弁を通って流体シンクに流れる。
【0035】
ここで、
図2を参照すると、制御装置150は、システムに対する流速制御を達成するために、最小限の入力および出力を使用する。線形アクチュエータ115の移動に沿った時点、「ホーム」または「パーク」位置が、記憶装置321内に格納される。FILLおよびDELIVERステップ中に、線形アクチュエータの最大および最小の移動位置が、同様に格納される。定期的な測定が圧力センサー155によって行われて、圧力信号322として制御装置150に伝送される。モーター制御信号324が、モーター駆動110に伝送されて、いずれかの方向に、広範囲の速度にわたって動く。ベント弁112は、通常、閉じられていて、ベント制御信号325によってプログラムで開くことができる。制御装置は、タイミングのためのクロック326も含む。
【0036】
別の制御装置または、例えば、ポンプシステム全体からの、ホストプロセッサ380からのコマンドが、例えば、シリアル通信リンク323を経由して、デジタル的に交換できる。少数のサポートされるコマンドおよびクエリーだけが必要である。通信リンクは、Wi−Fi(IEEE 802無線規格)、I2C、SPI、ZigBee、USB、TCP/IP、BTLE、または他のプロトコルなどの一般的なプロトコルを使用できる。高レベルの単純な通信システムの使用は、単純化されたソフトウェアアーキテクチャおよびより信頼できる検証プロセスを可能にする。他の制御装置380は、iPhoneなどのモバイル機器、またはiPadなどの、タブレット装置上に常駐でき、それは、システム制御装置150からデータを受信して、命令をシステム制御装置150に送信するためのプログラムまたはアプリケーション(アプリ)を含む。
【0037】
図3は、様々な状態および線形アクチュエータ115の位置との関連を示す。線形アクチュエータ115は、制御装置150の制御下で、モーター110によって任意の位置に移動できる。ストローク全体に沿った一定の位置が以下のように記述される。位置PARK 811(「ホーム」位置)、MAX(またはMAX PISTON)812(ポンピングサイクル中に線形アクチュエータが完全に引っ込められる位置)、およびMIN 815(またはMIN PISTON)(ポンピングサイクル中に線形アクチュエータが最も引っ込められていない(または完全に前に進められている)位置)が、設計による固定位置である。位置POS CRACKING 813(出口弁が開く時)および位置NEG CRACKING 814(入口弁が開く時)は可変であり、注入の状態によって決まる。制御装置150は、システムをいくつかの状態のうちの1つに維持する命令を含み、それらの状態は、線形アクチュエータ115の移動および圧力信号322の解釈を決定する。アイドル時には、システムは状態UNLOCK 821であり、線形アクチュエータ115は位置PARK 811に移動される。(ホストプロセッサ380によって伝送され得る)注入を開始する命令で、制御装置150は、状態TO MIN 822に入り、線形アクチュエータ115は、ベント弁112が開かれて、位置MIN 815に移動される。一旦、注入が始まると、制御装置150は状態CHANGE NEG 823に入り、ベント弁が閉じられて、入口弁135が位置NEG CRACKING 814で開くまで、線形アクチュエータ115が徐々に移動される(引っ込められる)。状態FILL 824が始まり、その間、流体側リザーバー172が、供給源からの液体で充填されて、流体側リザーバー172がその最大充填位置に達するまで継続する。流体シンク140への流体の供給に備えて、制御装置150は、状態TO MAX 825で、ベント弁112を開いて、線形アクチュエータ115を位置MAX 812に移動させる。制御装置150は、状態CHANGE POS 826に入ってベント弁を閉じ、出口弁145が位置POS CRACKING 813で開くまで、線形アクチュエータ115が、徐々に移動される(前に進められる)。最後に、状態DELIVER 827で、線形アクチュエータ115は、適切な量の流体を供給するための速度で前に進む。状態DELIVER 827が完了すると、制御装置150は、状態TO MIN 822に戻って、設定された目標が完了するまでサイクルを続行する。
【0038】
ガス導管178とポンプ室175の連結デッドスペースのあるリザーバー120は、有限容積を有する。線形アクチュエータ115は、有限の移動長を有し、いずれの方向でも、その位置の限界に達することができる。線形アクチュエータ115が位置MIN 815にある時に、制御装置150が、圧力を増加しようとしている場合、それは、ベント弁112が開いている間に、線形アクチュエータを位置MAX 812に向かって移動させる必要がある。ベント弁の使用は、いかなる圧力変化を生じることなく、線形アクチュエータの移動を可能にする。一旦、位置MAX 812に達すると、ベント弁112が閉じられて、線形アクチュエータが位置MIN 815に向かって移動されて、リザーバー120の有効容積を減少させて、ガス側室171の圧力を増加させる。同様に、線形アクチュエータ115が位置MAX 812にある時に、制御装置150が、圧力を減少しようとしている場合、それは、ベント弁112が開いている間に、線形アクチュエータを位置MIN 815に向かって移動させる必要がある。一旦、位置MIN 815に達すると、ベント弁112が閉じられて、線形アクチュエータが位置MAX 812に向かって移動されて、リザーバー120の有効容積を増加させて、ガス側室171の圧力を減少させる。ベント弁を閉じて、線形アクチュエータ115を位置MAX 812から位置MIN 815に移動させると、容積における変化が生じ、それに続いて、出口弁のクラッキング圧を上回る十分に大きい圧力における変化が生じる。ベント弁を閉じて、線形アクチュエータ115を位置MAX 812から位置MIN 815に移動させると、容積における変化が生じ、それに続いて、出口弁のクラッキング圧を上回るのに十分に大きい圧力における変化が生じる。同様に、ベント弁を閉じて、線形アクチュエータを位置MINから位置MAXに移動させると、容積における変化が生じ、それに続いて、入口弁のクラッキング圧を上回るのに十分に大きい圧力における変化が生じる。
【0039】
図4aは、流体制御システム100の一部を形成する、空気排除システム(AES)200を示す、
図1の一部を表す。
図4bは、空気排除システム200の要素の詳細な図を表す。気泡201が流体側室172内に示されており、流体側室172は、疎水性フィルタ202と直接接している。疎水性フィルタの他の側は、導管203を経由して、逆止弁などの、一方向弁204と繋がって、大気に通じる。
【0040】
流体側室172を充填して空にする過程で、例えば、ガスを放出したこと、新しい流体連結を行ったこと、流体供給源容器が空になったこと、および同様のものの結果として、気泡210が流体側室172に入り得る。流体供給は、ガス側室171内に負および正の圧力をかけることにより、流体側室172を充填して、空にするという繰返しのサイクルから成り、可撓性膜175が、差圧を生じることなく、自由に動くのを可能にする。充填フェーズの完了時に、負の圧力がガス側室171および流体側室172に印加されて、可撓性膜175が室170によって課された機械的制限に達するような時まで、流体を流体供給源130から引き込む。ベント弁112の作動に続いて、制御装置150がモーター110にコマンドを発行して、アクチュエータ115を前に移動させて、ガスリザーバー120の容積を減少させる。以下でさらに説明するように、結果として生じる圧力変化が測定される。
【0041】
出口弁145のクラッキング圧は、一方向弁204のクラッキング圧よりも大幅に高い必要がある。気泡201が存在し、疎水性フィルタ202と表面接触していて、かつ、流体側室172内の圧力が導管203内よりも大きい状況では、疎水性フィルタ202にわたって差圧がなくなる時まで、気泡201が疎水性フィルタ202を超えて自由に移動する。導管203内のゲージ圧が一方向弁204のクラッキング圧よりも高いとき、空気は、開いている一方向弁を通って大気内に移動する。一方向弁が閉じているとき、導管内の残圧は一方向弁のクラッキング圧に等しい。液体は、疎水性フィルタ202の物理的特性によって、システムから出たり、システムに入ったりするのを妨げられる。大気からの空気は、一方向弁204の機械的特性に起因して、システムに入るのを妨げられる。
【0042】
流体側室172内の圧力が負であるシステムの充填フェーズで、導管203内でトラップされて加圧された少量の空気が、流体側室172に再び入って、液体バリアを疎水性フィルタ202の表面から押しのけるか、または除去するのに役立つ。この少量の空気は、流体側室172と比べてわずかな量であるが、ポンプシステムの効率をわずかに低減する量の吐き戻し(regurgitation)を表す。しかし、フィルタの清掃は、コロイド懸濁液、脂質、および強い表面張力特性をもつ他の流体の長期間にわたる注入に対して特に有用である。
【0043】
エアフィルタ202および一方向弁204は、流体側室172内の任意の適切な位置に配置できる。一実施形態では、それらは、ハウジングの剛性壁内に配置されて、ガスを大気に放出する。別の実施形態では、以下でさらに説明するように、それらは、膜175内に配置されて、ガスをガス側室171内に放出する。
【0044】
一実施形態では、流体制御システムは、2つのサブシステムとして実装される。一方のサブシステムは、流体輸液セット102を包含し、ガス側室171および流体側室172を含むポンプ室170、膜175、ならびに入口弁および出口弁135、145を組み込んでいる。流体輸液セットは、使い捨てであり得、無菌状態で維持され得る。チューブは、所望であれば、入口弁および出口弁に取り付けられているか、または取り付け可能のいずれかで、サブシステムの一部として含むことができる。
【0045】
他方のサブシステムは、空圧駆動101を包含し、それは、ガスリザーバー120からガス側室への導管178を経由して流体輸液セット102に容易に連結できる。導管178は、例えば、最大で40フィードまたはそれ以上の、任意の長さにできる。長い導管を用いて、流体輸液サブシステムは、空圧駆動サブシステムの近辺から移動させることができ、それは、ある状況では好都合であり得る。例えば、何人かの患者が、例えば、内出血を検出するために、輸液の点滴とMRI(磁気共鳴断層撮影)の両方の必要に迫られている。しかし、ほとんどの点滴ポンプの電子機器は、これらのポンプがMRI装置の近くで動作できない。従って、これらの患者は、必要な点滴が終わるまでMRIが遅れるか、またはMRIが終わるまで点滴が遅れるかのどちらかに違いない。しかし、本流体制御システムの流体輸液サブシステム101は、電子機器を含んでおらず、MRI装置の近くで使用できる。従って、適切に長い長さの導管を採用することにより、流体輸液サブシステムが、空圧駆動サブシステム102から離れて移動でき、MRIの近くに置いて、患者がMRIを受けている間に、患者への点滴が続行されるのを可能にできる。
【0046】
一実施形態では、
図5a〜
図12bを参照すると、流体輸液サブシステム102は、取り外し可能な、また、所望であれば、使い捨ての、カセットとして実装され、それは、ハウジングによって支持され、ハウジングは次いで、空圧駆動102と結合する。カセット210は、流体供給源130から流体シンク140、すなわち、患者の脈管構造への無菌経路を作り出す。ハウジング260は、カセット210と結合し、また、カセット210を所定の位置に保持して、圧力が空圧駆動102から膜175に伝達できるようにする。ハウジング260は、カセットの上面222と合致する気密の干渉を作り出して、気密リング212を、空気圧連結261に連結された正および負の空気圧で連結する。線形アクチュエータ115内で生成されたガス圧力が、ポンプハウジング260内の空気圧連結261に連結される。
図5bに示すように、ポンプハウジングに挿入されたカセットと連結されるとき、空気圧連結261と気密リング212との間に気密シールが作られる。ハウジング260と結合するカセット上面の平らな表面が、線形アクチュエータからガス側室171に通じる空気圧連結261に沿って、容易に清潔に保たれて殺菌できる表面を提供する。
【0047】
図4を参照すると、カセット210は、剛性板のカセット底面225と可撓性膜175でサンドイッチ構成を形成する剛性の成形カセット本体220を含む。膜175は、カセット210の高度に柔軟で、不浸透性の特徴であり、前述のように、本体の内部を、流体側リザーバー172およびガス側リザーバー171に分離する。ガスフィルタ216は、カセット本体220内に固定されている。入口弁135および出口弁145は、流体流が入口チューブ180から出口チューブ190に向かってのみ進むことができるような向きで、カセット本体220に取り付けられている。入口弁135は、流体経路内の一方向弁であり、そのクラッキング圧に達した後、供給源130から、カセット本体220およびカセット底面225によって画定されたポンプ室170への流れを可能にする。
【0048】
膜175およびカセット底面225は、カセット本体220に接着されて、漏れのない、無菌の流体経路を作り出す。空気逆止弁215が、カセット本体220に取り付けられ、カセット上面222がカセット本体220に接着される。バイパスねじ265が、入口チューブ180と出口チューブ175との間の流れを手動で開けるようにし、また、カセット210がシステムから取り外される際に流体流を手動で可能にする。気密リング212は、カセットの密封面221の上のカセット上面222に取り付けられる。
【0049】
図7aは、カセット210の断面図を示す。ガス圧力が、ガスシールリング212およびカセット密封面221を通じて伝わる。圧力は通常、ガス逆止弁215によって遮断され、空気圧経路227を経由してガス側リザーバー171に伝わる。膜175は、駆動ガス圧力を流体から分離し、流体は、流体側リザーバー172内に入る。カセット本体220、カセット上面222、およびカセット底面225は、流体のしっかりと密封された経路を提供する。バイパスねじ265は、通常、入口チューブ180と出口チューブ190との間の自由流れを遮断する。ガスフィルタ216は、流体側リザーバー172とガス逆止弁215との間に存在する。
図7bは、入口弁135および出口弁145の断面図を示す。
【0050】
図7aを参照すると、膜175は、流体/ガスバリアを作る。流体は、流体側リザーバー172を占め、各々が一方向弁である、入口弁135と出口弁145との間で、流体流を、入口チューブ180から出口チューブ190への一方向だけ可能にする。流体側リザーバー172内に保持される流体は、膜175で、ガス側リザーバー171から分離されている。膜175が柔軟で自由に動く場合、膜全体の差圧は無視できるほどである。他方、流体側リザーバー172内に存在する、流体は、前述のように、能動的な空気排除のために、ガスフィルタ216と接触している。
【0051】
図7bを参照すると、入口弁135および出口弁145は、対称的であり、両方とも、流体側室172のいずれかの側上で受動的な逆止弁として機能する。流体側室172から、流体は、正の圧力により出口弁145を通って出口チューブ190まで駆動されて、流体シンク140に至り得る。供給源130からシンク140への経路131全体が、密閉されて無菌である。
【0052】
図8は、入口弁135の断面図である。出口弁145の形状および機能は同一であり、そのため、同じ要素が当てはまる。入口弁135は、カセット本体220上に取り付けられ、次いで、膜175およびカセット底面225がカセット本体220に接着されて、流体密シールを作る。流体50は、近位弁室235と自由に通じている。弁流路237は、遠位弁室236への経路を提供するが、入口弁135が、弁座234で密封されているので、流体流を阻止する。圧力差圧が弁力242を超える場合、間隙が形成されて、流体が、弁座234で、近位弁室235から遠位弁室236へ流れる。弁力242は、弁受け233と弁座234の相対的な位置によって決定される。流体の流れは、遠位弁室236を出て弁入口経路238を経て、流体側リザーバー172に入る。
【0053】
図8を参照すると、差圧が、遠位弁室236と比べて、弁力242をオフセットにするのに十分高くて、入口弁135を開かない限り、流体50が入口チューブ180から来て、近位弁室235内に入る。入口弁135が開くと、流体が、弁流路237を通って流れ、弁座234を横切って、遠位弁室236に入る。圧力が流体側室172内で相対的に負である状況では、流体は、弁入口経路238を通って流れる。
【0054】
流体側リザーバー172内の圧力が、弁入口経路238を介して遠位弁室236に伝えられる。遠位弁室236内の圧力が、近位弁室235内の圧力よりも大きい場合、弁座234における力が増加し、入口弁135は流体流に対して閉じたままである。遠位弁室236内の圧力が、近位弁室235内の圧力よりも小さい場合、弁座234における力が減少し、入口弁135が流体流に対して開く。弁座234において入口弁135を開くために必要な力は、弁力242によって決まり、それは、任意の所与の材料に対して、弁受け233と弁座234との間の距離の関数である。弁受けと弁座との間の間隔が増加すると、弁力が増加して、入口弁135を開くために、近位弁室235と遠位弁室236との間のさらに高い差圧を必要とする。出口弁145の機能は、入口弁135のそれと同一であり得る。
【0055】
多くのポンプ用途では、逆止弁の機能は、逆流に対する完全な密閉および全開流速に対して必要な水の約2インチの最小前方圧力を有するようにすることである。本流体制御システムでは、前方クラッキング圧は、水の約30インチまたは1PSIdで、意図的に高い。この高いクラッキング圧は、弁座234における相当な次元干渉および相当な弁力242に変換され、そのため、干渉部分の製作公差が、クラッキング圧における相当な変動を生じない。
【0056】
図9は、カセット210の中心部分の詳細な断面図を示す。正のガス圧が、ガスシールリング212を通り、カセット密封面221を経て、ガス逆止弁215に伝えられる。ガス弁流路245は、ガス逆止弁215によって遮断され、流れは、流体側リザーバー172に向かって入ることができない。あるレベルの負のガス圧がガス逆止弁215を歪めることができ、ガス弁流路245を通って流体側リザーバー172からカセット密封面221に向かって流れるのを可能にする。液体の流れは、ガスフィルタ216の特別な物理的特性によって止められ、ガスフィルタ216は、流体側リザーバー172とカセット密封面221との間に置かれる。ガスフィルタ216は、ガスの流れがそれを通過するのを可能にするが、液体の流れは可能にしない、疎水性材料から形成される。ガス逆止弁215を開いて、流れがガス弁流路245を通過するのを可能にするために必要な圧力は、カセット密封面221と流体側リザーバー172との間の差圧である。膜175は、自由に動くので、ガス側リザーバー171内の圧力は流体側リザーバー172内のそれと有効に同一である。
【0057】
流体50は、実際面では医用ポンプから患者への点滴用の、空気(ガス)と液体の組合せである。特に、最初の呼び水入れ機能中、または供給源容器に対して変更が行われる時に、多量の空気が流体側室172内に出現し得る。状態CHANGE NEG 823およびFILL 824の間に、負のゲージ圧が線形アクチュエータ115によって作られる。これらの負圧は、カセット密封面221、およびガス逆止弁215の上において見られる。流体側室172が、ガスフィルタ216の表面に接触している空気を含む場合、空気の流れは、流体側室172からカセット密封面211へガス逆止弁215を経て移動できる。各々が比較的高いクラッキング圧を有する、入口弁135および出口弁145とは異なり、ガス逆止弁215は、比較的低いクラッキング圧を有しており、容易に開く。空気が流体側室172内に含まれているが、ガス逆止弁215の表面に接触していない場合、それは、流体側室172内に留まる。この残留空気を検出するための要件は依然として重要であるが、ほとんどの状況では、制限のない量の空気が除去できる。
【0058】
図10は、エアフィルタ216の近くにあるカセット210の構造の詳細な図を示す。ガス逆止弁215がカセット本体220に上から挿入される。ガスフィルタ216がガスフィルタ台座252に収められる。流体が流体側リザーバー(
図10に図示せず)の空間内の膜175の上に存在し、弁出口経路253を通って出る。流体が流体側リザーバー172に弁入口経路238を通って入る。
図10bは、ガス逆止弁215、カセット本体220、およびガスフィルタ216を組み立てられたとおりに示す。
【0059】
幅広い流速範囲にわたる正確な注入、状態の監視、および気泡の除去を行う能力は、本システムの有用な特徴であるが、流体流の手動制御が必要な時もあり得る。
図11aおよび
図11bは、入口チューブ180と出口チューブ190との間のバイパス経路267を開くことができるバイパス弁265の一形式を示す。バイパス経路267は、入口弁135の近位から出口弁145の遠位への流路を作るカセット210内の機構である。それは、通常、バイパス弁によって閉じられている。バイパス弁は、カセット本体220内の内側にねじ山をつけられた開口部269に収まるねじ266を含む。ねじは、カセット本体220から突き出たハンドル271によって回転できる。開口部268は、ねじによって形成される。
図11aは、開位置に回転されたバイパス弁を示し、その位置では、開口部268が経路267と合わせられて、流体がカセットを通って流れるのを可能にする。
図11bは、閉位置に90°回転されたバイパス弁を示し、その位置では、開口部268が経路267と合わせられない。流体流が経路267から遮断されて、入口弁135に迂回される。
【0060】
図12aは、カセット210の分解立体図である。ガス圧力が、カセット本体220内の空気圧経路272を通過する前に、ガスシールリング212およびカセット密封面密封面221を通じて伝わる。膜175内の膜ガス開口部(membrane gas passthrough)276は、ガスがカセット底面225内の底面ガス経路278に達するのを可能にする。底面ガス経路278は、ガス側室171につながっており、ガス圧力が膜175に衝突して、流体側室172に伝わるのを可能にする。
図12bは、カセット本体220の上面図であり、空気圧経路272を示す。また、弁出口経路281も見える。
【0061】
任意の点滴ポンプの基本的な要件は、輸液セットがポンプから取り外される際に、患者への手に負えない点滴あふれ(runaway overinfusion)を防ぐことである。カセット210は、制御装置150が状態UNLOCK 821に進むまで、ポンプハウジング260とのその関係が保持される。ユーザーは次いで、カセット210をポンプハウジング260から取り除くことができ、圧力がガス側室171から除去される。供給源130のヘッド高さが、入口チューブ180と出口チューブ190の総チューブ長によって制限され、そのため駆動圧が2PSIg未満に制限される。各々が約1PSIのクラッキング圧の、入口弁および出口弁135、145が連続して動作して、計2PSIのクラッキング圧となる。通常の用途では、駆動圧は2PSIよりもはるかに少なく、そのため、流れが確実に止まり、決して自由流れ状態ではない。
【0062】
高クラッキング圧逆止弁の1つの利益は、流体の流れを達成するためのかなりの正および負の圧力の要件である。シンクへの流体流の停止は、単純に駆動圧を軽減することにより達成できる。ベント弁112を作動させると、直ちに、出口弁145を通る流体の流れが止まる。シンク140への排出を継続する出口チューブ190内にいくらかの蓄えられた容量があり得るが、その値は、システムの概して低い作動圧力に起因して小さい。
【0063】
図13は、フェイルセーフ回路の一実施形態を示す。ベント機能が、ベントバックアップ弁512の追加によって冗長にされている。ベント112またはベント512のいずれかの作動により、ガス側室171のゲージ圧をゼロに減少させて、流体の流れを止める。ベント弁112は、通常動作中に、制御装置150のデジタル処理回路によって作動される。ベントバックアップ弁512は、ホストプロセッサ380からの定期的な通信に応答して、制御装置150からの毎秒1パルスの停止で保持される容量放電によって作動される。ホストプロセッサ380が制御装置150とうまく通信できない場合、または制御装置150がインコヒーレントである場合には、たとえ、全電力損失の場合であっても、容量放電を持続するためにパルスが放たれず、ベントバックアップ弁512が作動される。ベントバックアップ弁512は、ベントバックアップ弁512の適切な動作を検査するために、パルスを抑えることにより定期的に作動できる。
【0064】
流体システムの制御が、以下の通り、さらに詳細に説明される。注入中に行われる測定は、以下を判断するために使用できる。
a)シンク(患者)に供給された液体の量
b)流体ライン内の空気の量
c)供給源の流体圧力
d)供給源の流体インピーダンス
e)シンク(患者)のライン圧力
f)シンク(患者)のラインインピーダンス
g)モーター運動の検証
h)ベント機能の検証
【0065】
たとえ、システムに対する流体流環境の相当数の特性があっても、検査すべきパラメータが3つだけあり、それらから全ての情報が推測される。圧力信号322は、制御装置150からのクエリーを受けて、絶対圧力を測定する。第2のパラメータは、線形アクチュエータ115の位置である。ステッパーモーターおよびホームスイッチの使用は、線形アクチュエータの正確な測定を提供する。時間が第3のパラメータである。たとえ、システムの有効流速が、リザーバー120および連結されたガス側室171内で発生した圧力に依存していても、制御装置150は一定の駆動圧を維持しようとしない。圧力発生は、システムにおける従属変数である。
【0066】
モーターの各ステップが、システム内のガス容積における既知で一定の変化を提供する。結果として生じる絶対圧力の変化は、総ガス容積の測定値を提供する。従って、モーターの各ステップは、いずれかの時点における流体容積の指標となる。流体容積における経時的な変化は、流速の指標を提供する。往復要素が前に進む場合、流体を駆動する圧力がまず増加し、次いで、流体がシステムから出てシンクに「漏れ」出すと減少する。これは、圧力対時間のグラフ上に階段状または鋸歯状形状として示されている(例えば、
図16を参照)。圧力における変化は、流体流速に関連したリアルタイムの比例信号を提供する。
【0067】
制御装置は、多数の計算を実行するために理想気体の法則を使用する。理想気体の法則は、
PV=nRT
である。ここで、
Pは、気体の絶対圧力であり、圧力センサーによって測定され、
Vは、気体の体積であり、モーターのステップ数によって判断され、
nは、体積内の気体のモル数で、ここでは不変であり、
Rは、一般気体定数であり、そして、
Tは、絶対温度である。
【0068】
制御装置は、様々な時における圧力と体積の測定値を比較する。
P
1V
1/n
1R
1T=P
2V
2/n
2R
2T
2
本システムでは、n1=n2およびR1=R2であり、絶対温度T1およびT2が、測定される時間間隔で有効に不変である。体積V
1およびV
2は、リザーバー120内、カセット内および、リザーバー120と室170との間の導管などのデッドスペース内の総ガス容積である。リザーバーの容積は、計算によって決定できる。デッドスペースの容積は不変であり、カセット内の総含有容積は変わらない。従って、カセット内の液体体積における変化はこの関係から計算できる。圧力P
1およびP
2は、2つの時間において測定された圧力であり、それは、容積変化の前と後であり得る。従って、関係は、
P
1V
1=P
2V
2
となる。
【0069】
圧力トランスデューサ155で収集された圧力信号は、様々な条件下でのガスリザーバー120内の圧力における変化を示す。ガスリザーバー120内の圧力は、次の3つの条件下で変化し得る。第1に、アクチュエータ115がガスリザーバー120内で移動してガス容積が変化する場合、第2に、流体が流体側室172から出て出口弁145を通って流体シンク140に向かう場合、そして、第3に、流体が、流体供給源130から入口弁135を通って流体側室172に入る場合。
【0070】
図14を参照すると、既知の容積縮小に対する圧力応答(例えば、往復要素115が既知の距離だけ移動することによる)がAに示されている。入口弁および出口弁の両方が閉じている間に、圧力が、容積における既知の減少の前後に検知される。信号Aが、総ガス容積の測定につながる計算で使用される。時間t
1における総ガス容積の計算の一例は、次のとおりである:
【0071】
アクチュエータ(例えば、ベローまたはピストン)の有効表面積Aが、例えば、1.3cm
2に固定されている。アクチュエータは、モーターによって初期移動位置D
init=1cmから最終位置D
final−1=2cmに移動される。入口弁および出口弁の両方が閉じている間の容積変化V
changeが、次いで、面積×移動した距離として計算できる。
V
change=A(D
init−D
final−1) (1)
=1.3cm
2(1cm−2cm)
=−1.3cm
3
アクチュエータがD
initにある時の圧力がP
init=15psiと測定され、アクチュエータがD
finalにある時にはP
final−1=20psiと測定される。時間t
1における初期の容積V
initは、その結果、次のように計算される。
【数1】
【数2】
【0072】
前述のように、流体側室内の流体の圧力における変化は、ガス側室内のガス圧力における変化と等しい。従って、流体の容積変化は、上の式1および式2を使用して2つの異なる時における総ガス容積を計算することにより計算できる。例えば、時間t
2において、アクチュエータは、容積変化V
change−2=−1.3cm
3のために、再度1cm移動される。アクチュエータの移動の前後の圧力が、P
init=15psiおよびP
final−2=19.5psiと測定される。式2を使用して、総ガス容積が5.63cm
3と計算される。t
1およびt
2におけるガス容積の差は、
5.65cm
3−5.2cm
3=0.43cm
3
である。この値が、累積的に供給される量を増加させるために使用される。流体の容積変化が分かっているので、流体シンクに供給される流体の量が、アクチュエータの既知の漸増直線移動と連携された圧力測定値だけを使用して正確に監視できる。
【0073】
図15を参照すると、ベント弁112が開いている時の圧力応答がB1として示されている(圧力は0PSIgに戻る)。既知の容積増加に対する圧力応答がB2として示されている(ベント弁は閉じられている)。信号B2が、前述の例で説明したように、例えば、充填サイクル中に、総ガス容積の測定値をもたらす計算で使用される。圧力は、増分移動の前後の両方で測定される。
【0074】
図16は、アクチュエータ115の個々の増分移動に対する圧力応答を示し、アクチュエータ115は、出口弁が閉じているので、漸進的にガス容積を減少させて、圧力を増加させる。圧力増加がDとして示されている。Dにおける圧力は、Dの拡大図に示すように、モーターが動く間、変化がないことに留意されたい。一旦、十分な圧力に達すると、Cで示すように、出口弁が開いて、圧減衰が測定される。流体が出口弁を通って供給されるとき、モーターのタイミングに対する計算が、以下の例に示すように行われて、
図17を参照する。
【0075】
システムのガスリザーバー120の形状に基づいて、モーター定数が以下のように与えられる。
MOT
mcl=17.3μL
MOT
stroke=88
VOL
del=0μL
MOT
mclは、ベローまたはピストンの有効表面積×単一ステップの直線移動に基づき計算された定数である。MOT
strokeは、公称FULL DELIVERYサイクル内で取られるモーターステップの数である。
図17で、実線は注入の目標速度(VOL
tgt/SEC
tgt)である。点線は、START TIMEからTIME NOWまでに経過した期間中の実際の注入速度(VOL
del/SEC
elp)を示す。破線は、目標速度を満足するために計算された注入速度である。目標容積、VOL
tgt、次のフルストロークの終わりで供給される液体の量、の計算は、次のとおりである。
VOL
tgt=VOL
del+(MOT
mcl*MOT
stroke)
注入の開始から経過した時間、SEC
elp(秒単位)が、以下のように計算される。
SEC
elp=TIME NOW−START TIME
それは、必要ならば、以下のように、mL/時間からμL/秒に変換できる。
1000*RATE(ml/時間)
RATE(μL/秒)=
3600秒/時間
目標の流速に基づき、目標容積が完了されるべき時間(秒単位)が、以下のように計算される。
SEC
endstroke=VOL
tgt/RATE(μL/秒)
目標(秒単位)を達成するために次のストロークが完了されるべき時間が、以下のように計算される。
SEC
stroke=SEC
endstroke−SEC
elp
その速度を達成するためのモーターステップ間の時間、MOT
btwsteps(ミリ秒に変換される)が、以下のように計算される。
MOT
btwsteps=SEC
stroke*1000/MOT
stroke
【0076】
本システムは、注入中に起こる様々な状態にも対応可能である。例えば、
図18は、流体シンク140の静水圧が変化する時に起こり得る圧力応答を示す。圧力パターンEは、圧力における減少を示す。一旦、本システムがパターンEによって示される減少を検出すると、本システムは、圧力増加を示す、圧力パターンFによって示される、圧力を増加するように対応する。
【0077】
図19は、流体シンク140への流れのインピーダンスが変化する時の圧力応答を示す。圧力パターンGは、シンクのインピーダンスが増加していることを示す圧力変化を示す。圧力パターンHは、シンクのインピーダンスが減少していることを示す圧力変化を示す。
【0078】
本システムは、インピーダンス変化とシンク圧力における変化を区別できる。
図20を参照すると、Jによって示される、圧力上昇が検出される。アクチュエータ115の移動が、次いで、Kにおいて示される、基準圧をもっと良く見るために減速される。この場合、基準圧は上昇せずに、Jにおいて見られた圧力上昇は流体流の増加したインピーダンスに起因することを示す。
【0079】
制御装置150の動作が、以下のようにさらに詳細に説明される。制御装置150によって測定されるか、または計算されるパラメータは、以下の表のように設定される:
【表1】
【0080】
ホストプロセッサ380は、制御装置150に2つの変数を送信する(または制御装置がユーザー入力に基づき計算する)。TARGET VOLは、通信時間、START TIMEから始まり、TARGET TIMEの期間にわたって、流体シンク140に供給される液体のマイクロリットルの測定値である。
【0081】
DELIVERED VOL、シンクに供給された液体の容積、の測定は、目標供給、TARGET VOLを計算するための一次パラメータである。この測定に対して2つの構成要素があり、第1はDELIVERED VOL FULL、状態DELIVER 827の完了した状態のタリーである。第2の構成要素、DELIVERED VOL INTERIMは、単一の現在進行中の状態DELIVER 827の最中に供給された流体の推量である。一旦、各状態DELIVER 827が完了すると、DELIVERED VOL INTERIMがゼロに設定され、DELIVERED VOL FULLが増加される。複数のサイクルを通じて、DELIVERED VOL INTERIMの精度はあまり関連がなくなるが、単一のSTROKE VOLを何時間にもわたって供給し得る低流速に対しては依然として重要である。DELIVERED VOL INTERIMは、2つの方法で計算され得る。ほとんどの状態では、状態DELIVER 827中にとられるステップ数、MOTOR COUNTをMOTOR STEPSで割ると、STROKE VOLの百分率組成のかなり良い推量が提示される。例えば、
MOTOR COUNT=100、
MOTOR STEPS=400、かつ
STROKE VOL=1,000μlの場合、
DELIVERED VOL INTERIM=(100/400)*1000=250μLである。
【0082】
制御装置150は、5mL/時間を大幅に下回る流速でDELIVERED VOL INTERIMを計算するために、別の正確な容積法を起動する。この測定は、周囲の温度または圧力の変化の影響を除外するために、約10分おきに行われるべきである。MOTOR COUNTの通常の単一の増分の代わりに、制御装置150は、モーター110に、10の逆行ステップに続いて、10の前方ステップを実施するように指示して、線形アクチュエータ115をその元の位置に戻す。駆動圧における正味ゼロの変化で複数のステップを行う理由は、高解像度の容積測定のために必要な、大きな圧力信号を提供するためである。圧力信号322の記録は、約1,000Hzの周波数で行われて、分析のために格納される。前述のように、流体側室172の残りの容積を計算するために、理想気体の法則計算が使用される。その容積を状態FILL 824における容積から差し引くと、ドリフトまたは信号対ノイズ比の対象とならないDELIVERED VOL INTERIMに対する値が提供される。
【0083】
図3を参照すると、流体を、出口弁145を越えてシンク140まで移動させるための正の圧力発生が、唯一の状態、状態DELIVER 827中に行われる。さしあたり、膜175が、流体側室172が最大値であって、液体で完全に充填されていて、かつ、ガス側室171が最小値であるような位置にあると仮定する。また、線形アクチュエータ115が位置POS CRACKING 813にあると仮定する。制御のこの時点において、線形アクチュエータ115のいずれの前方へのステップも実際に流体を流体シンクに供給する(
図16のポイントCも参照する)。制御装置150が、状態CHANGE POS 826から状態DELIVER 827に移動されている。
【0084】
状態CHANGE POS 826の開始時に、制御装置150は、OWED VOLに対する値を計算し、以下によって計算される。
OWED VOL=(NOW−START TIME)*(TARGET VOL/START TIME)
制御装置150は、シンクに供給された容積、DELIVERED VOLを追跡する。
【0085】
本システムは、固定のSTROKE VOLで設計される。測定の解像度内で、ゼロの流速誤差を獲得するために、次のSTROKE VOLが、TARGET STROKE TIME(ミリ秒に変換される)内に供給されるべきであり、以下によって計算される。
TARGET STROKE TIME=
(DELIVERD VOL−OWED VOL+STROKE VOL)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
TARGET VOL*TARGET TIME/(1000ミリ秒/秒)
モーター駆動は、明確に定義された機械的結合を有し、そのため、STROKE VOLを達成するためのステップの数が、まさしく、MOTOR STEPSとして知られている。MOTOR STEPS間のタイミングがSTEP TIMEであり、以下によって計算される。
STEP TIME=TARGET STROKE VOL/MOTOR STEPS
【表2】
【0086】
状態DELIVER 827中に、モーター駆動は、TARGET STROKE TIMEごとに前方に作動する。流体が、ガス側室171の容積が変化しているのと同じ速度で、流体側室172から出ている場合、流体の駆動圧における変化はない。
【0087】
シンクに向かう流体流が、ガス側室171における容積変化よりも遅い場合、駆動圧が増加して、流速を増加させ、流速における同時増加を引き起こす。同様に、シンクに向かう流体流が、ガス側室171における容積変化よりも速い場合、駆動圧が減少して、流速を減少させ、流速における同時減少を引き起こす。
【0088】
STROKE VOLの最終ステップに続いて、状態DELIVER 827から状態TO MIN 822まで移動するまで、圧力センサーからの圧力信号が、出口弁145が閉じていることを示すまで、制御装置150が停止する。
【0089】
ステップ間の時間、STEP TIMEの計算が、各状態DELIVER 827の開示時に行われて、任意の他の状態中に生じる任意の遅延が自動的に補正されるようにする。状態DELIVER 827中に、変化する環境条件に適応するために、一定の供給速度が、制限内で、駆動圧力の自動調整を作り出す。
【0090】
説明したシステムおよび方法は、大きな流速範囲にわたって機能する単純化された計算スキームを表す。加えて、本システムは、圧力データおよびトレンドに基づき様々な動作条件を判断するように動作可能であり、必要に応じて通知またはアラームをユーザーに提供できる。
【0091】
図21を参照すると、状態CHANGE NEG 823および状態FILL 824中に様々な状態に関する情報を提供するために、圧力信号322が記録されて分析される。流体供給源130に関する情報が、FILL状態が始まる前の圧力トレンド881を含む、圧力信号の様々な特徴を検査することにより発見できる。入口弁の通常のクラッキング圧が882に示され、通常のFILL圧力トレンドが883に示されている。入口弁に対する高いクラッキング圧が884に示されている。低いクラッキング圧が885に示されている。空気が室に入ると、圧力応答が886に示されるように出現する。流体供給源内の高いインピーダンスがトレンド887によって示されている。その後に、例えば、シリンジ源に対する、解放が続くスティクションに起因した圧力応答が、888および889に示されている。
【0092】
図22を参照すると、圧力信号322は、状態CHANGE POS 826および状態DELIVER 827中にも記録されて分析される。流体シンク140に関する情報が、DELIVER状態が始まる前の圧力トレンド891および出口弁が開く前の通常の圧力トレンド892を含む、圧力信号の様々な特徴を検査することにより発見できる。出口弁の通常のクラッキング圧が893に示され、出口弁が開いた時点の通常のDELIVER圧力トレンドが894に示されている。出口弁に対する高いクラッキング圧が895に示されている。低いクラッキング圧が896に示されている。空気が存在する場合には、圧力応答が897に示されるように出現する。切断を示す圧力応答が898に示されている。インピーダンスが899に示されている。
【0093】
たとえ本システムが空気を流体から活発に除去するための機構を提供しても、空気の存在を測定する義務を除外せず、そのため、ユーザーによって緩和措置が取られ得る。状態FILL 824中の容積測定でガス側室171がその最小値であることが確認されているので、状態FILL 824が完了していると仮定する。制御装置150が、状態TO MAX 825において、線形アクチュエータ115を位置MAX 812に移動させた後、それは、状態CHANGE POS 826に移る。大きな圧力変化がみられるが、出口弁145を開くほど十分でないような、ある数のステップが行われる。前述した同じ理想気体の法則の計算を使用して、総ガス容積が計算されて、状態DELIVER 827の開始時において予期されたガス容積と比較される。ガス側室171内の残りのガスが、増分総ガス容積として出現する。
【0094】
流体側室が液体で完全に充填されている場合、総ガス容積が計算される。アクチュエータ(例えば、ベローまたはピストン)の面積Aが、例えば、1.3cm
2に固定されている。アクチュエータが、モーターによって、初期位置D
init=1cmから最終位置D
final−1=1.2cmに移動する。入口弁および出口弁の両方が閉じている間の容積変化V
changeが次いで、面積×移動距離として計算できる。
V
change=A(D
init−D
final−1) (1)
=1.3cm
2(1cm−2cm)
=−0.26cm
3
アクチュエータがD
initにある時の圧力がP
init=15.000psiと測定され、アクチュエータがD
finalにある時にはP
final−1=17.000psiと測定される。時間t
1における初期の容積V
initが、その結果、次のように計算される。
【数3】
【数4】
【0095】
室が50μLの気泡を含む場合に行われる同じ計算は次のとおりである。時間t
2において、アクチュエータが再度、容積変化V
change−2=−0.26cm
3のために、1cm移動する。アクチュエータが移動する前後の圧力が、P
init=15psiおよびP
final−2=16.950psiと測定される。式2を使用すると、総ガス容積が2.260cm
3と計算される。時間t
1およびt
2におけるガス容積の差は、
2.260cm
3−2.210cm
3=0.05cm
3
=50μL
である。
【0096】
この測定の単純さは、高クラッキング圧逆止弁の別の利益を示しており、流体側室172の充填と供給の間にかなりの休止期間を提供する。
【0097】
流体側室172への空気侵入の二次測定が状態FILL 824中に行われる。液体が充填されたカラムでは、各モーターステップが特定の圧力変化を生じる。空気が入口弁135に達する瞬間、1桁の流れ抵抗変化および圧力変化が大いに減少する。空気侵入のこの測定は、定量的である必要はないが、後続の空気測定が重要であることを示すためのフラグとして機能する。
図21を参照すると、886における圧力応答は、空気侵入中に見られる独特の圧力変化を示す。
【0098】
供給源130の静水圧を測定することは有用である。それは、大抵、ポンプの上に吊している軟質バッグ内の残余液体の判定であり得る。状態DELIVER 827が完了すると、状態TO MIN 822が始まって、状態CHANGE NEG 823に至る。各モーターステップで、状態CHANGE NEG 823中に、増加する負のゲージ圧が生じる。制御装置150は、圧力が、位置NEG CRACKING 814において負の度合いが減り始めて、入口弁135が開いていることを示す、時間を判断するために、各モーター運動の後に圧力を監視している。入口弁が開く圧力は供給源の圧力に伴って変化する。入口弁135のクラッキング圧の差は、高い、弁力171によって決まる。しかし、オフセットは、高解像度での供給源における圧力測定を妨げない。弁力171は、設計によって大まかに分かっている値であり、位置NEG CRACKING 814における圧力を表す。供給源がゼロのヘッド高さを有する場合、入口弁135が、弁力171のみに基づき予期された圧力で開く。位置NEG CRACKING 814が負の度合いが少ない圧力で起こると、供給源のヘッド高さが正のヘッド高さの差として計算され得る。供給源のヘッド高さの実際の値は、ホストプロセッサ380が、そのユーザーインタフェースを利用してオペレータに供給源を正確なヘッド高さに置くように指示する場合にのみ決定され得る。定量的情報がない場合でさえ、供給源の圧力が大まかに計算できて、制御装置150回路が可能なだけの精度で、例えば、ほんのわずかな水まで追跡できる。
【0099】
状態FILL 824中に供給源から流れるためのインピーダンスまたは抵抗を大まかに測定することは有用であり得る。供給源インピーダンスのこの使用は、上流の閉塞の認識である。本システム固有の特性の1つは、たとえ部分的な上流の閉塞が存在する場合でさえ、流体側室172を完全に充填するその能力である。状態FILL 824を完了するのに比較的長い時間がかかり得、それは、最大の達成可能な流速を損ね得るが、流体側室172の充填状態が、推測ではなく、測定される。状態FILL 824中、モーター110は一定の高速で動いて、リザーバー120内で見られる負圧において連続した変化を生じる。この圧力変化の傾斜は、流体が、入口弁135を越えてのろのろ進むときの、流体のインピーダンスの直接測定である。前述のように、
図21は、様々な流れ抵抗の例を示す。様々な粘性流体によって生じた高い抵抗は、圧力応答887に示すように、急な、連続する傾斜を示すであろう。シリンジを組み込んでいる供給源からの不規則な摩擦力は、その後に解放圧力応答889が続く、スティクション圧力応答888において示されるように、シリンジプランジャーの移動中に、低い傾斜部分によって中断された高い傾斜を示すであろう。
【0100】
シンク140の静水圧を測定することは有用である。それは、大抵、下流の閉塞の判定であり得る。状態FILL 824が完了すると、状態TO MAX 825が始まって、状態CHANGE POS 826に至る。各モーターステップで、状態CHANGE POS 826中に、増加する正のゲージ圧が生じる。制御装置150は、圧力が、位置POS CRACKING 813において正の度合いが減り始めて、出口弁145が開いていることを示す、時間を判断するために、各モーターステップの後に圧力を監視している。出口弁175が開く圧力はシンク140の圧力に伴って変化する。出口弁175のクラッキング圧は、高い、弁力171によって決まる。しかし、オフセットは、高解像度でのシンク140における圧力測定を妨げない。弁力171は、設計によって大まかに分かっている値であり、位置POS CRACKING 813における圧力を表す。シンクがゼロのヘッド高さを有する場合、出口弁174が、弁力171のみに基づき予期された圧力で開く。位置POS CRACKING 813が正の度合いが少ない圧力で起こると、シンクのヘッド高さが負のヘッド高さの差として計算され得る。シンクのヘッド高さの実際の値は、ホストプロセッサ380が、そのユーザーインタフェースを利用してオペレータにシンクを正確なヘッド高さに置くように指示する場合にのみ決定され得る。定量的情報がない場合でさえ、シンクの圧力が大まかに計算できて、制御装置150回路が許可するだけの精度で、例えば、ほんのわずかな水まで追跡できる。
【0101】
出力インピーダンスの測定は、前述した入力に対してのように簡単ではない。状態DELIVER 827中の各モーターの動きが、駆動圧を増加し、流体側室172の圧力が入口弁170を開くのに十分である限り、圧減衰が圧力信号322を使用して測定できる。状態DELIVER 827中、各モーターステップの直後の圧力が、約100ミリ秒の比較的短期間、記録できる。
図23は、出口弁175の抵抗がその最小値である時の、モーターステップ中に流れている間のデータサンプリング方法を示す。流体流の傾斜は、854に示すポストトレンド圧力(pressure post trend)から容易に測定できる。ポストトレンド圧力854によって示される、圧減衰は、ポストインターセプト圧力855と、852で示される位置POS CRACKING 813との間の圧力差によってスケーリングできる。この測定は、総出力インピーダンスの計算を提供し、それは、出口弁145にわたる抵抗、出口チューブ190の流れ抵抗、任意の連結の流れ抵抗、出口弁145と患者の脈管構造との間に置かれているカテーテル、の総計を含む。出力インピーダンスにおける著しい変化は、臨床的問題を示唆し得る。
図22を再度参照すると、899において示される圧力供給インピーダンスは、高レベルの患者の抵抗を示す。898において示される圧力応答切断は、低抵抗および低圧力の逆の状態を示し、おそらくはライン切断による。
【0102】
より詳細には、理想気体の法則を使用して、瞬間流速計算が、圧力センサーによって伝送された圧力信号322のトレンドを分析することにより、定期的に、例えば、毎秒約1回、行われる。圧力に対する単一の値が、ノイズに対する信号を分析するために、約1KHzで取られたサンプルの配列から導出される。
【0103】
図23を再度参照すると、DELIVERステップ(状態DELIVER 827)中に、851において示される時間間隔で、圧力信号322が、往復要素115の各動きの前、間、後に記録される。後続の測定が、854において示される、ポストトレンド圧力に対して分析されて、855において示される、ポストインターセプト圧力値(以下の計算でP
fとも呼ばれる)がこのトレンドから導出される。852において示される、モーターステップ前圧力(以下の計算でP
iとも呼ばれる)が、理想気体の法則を使用して、ポストインターセプト圧力値855と比較される。853において示される、モーターステップピーク後圧力信号(往復要素115の動きの直後に記録される)は、計算に含まれていない、熱アーチファクト形式の断熱収縮である。
【0104】
この例に対して以下と仮定する。
総ストローク容積=1,500μL(システムによって一定)
総ストロークあたりのステップ=400(システムによって一定)
ストローク内のステップあたりの容積=1,500μL/400ステップ=3.75μL
また、この例に対して、往復要素が5ステップ(例えば、モーターステップ位置140からモーターステップ位置135へ)移動すると仮定する。これらの5ステップによって変位される容積は、
5ステップ*3.75μL/ステップ=18.75μL
開始時における容積が以前の計算から分かっていて(正しい?)、例えば、525.00μLとされ得る。この動きに起因した最終的な容積変位が次のように計算される。
525.00μL−18.75μL=506.25μL
初期圧力P
iが、15.00PSIaと測定される。導出される最終圧力P
fは、15.22である。従って、理想気体の法則の比較から、時間t
nにおけるガスのシステム容積V
nは、次のように判断される:
(V
n+V
i)*P
i=(V
n+V
f)*P
f
V
n*P
i−V
n*P
f=V
f*P
f−V
i*P
i
V
n*(P
i−P
f)=V
f*P
f−V
i*P
i
V
n=(V
f*P
f−V
i*P
i)/(P
i−P
f)
従って、
V
n=((506.25μL*15.22PSIa)−(5.25μL*15.00PSIa))/(15.00PSIa−15.22PSIa)
=772.2μL
【0105】
本明細書で説明する流体制御システムおよび方法は、様々な理由で好都合である。本システムは、空気圧結合された直接駆動注入制御システムを提供することにより、直接駆動ポンプの単純さを高レベル感度の空圧駆動システムと組み合わせる。システムは穏やかな空気圧に基づき、より使いやすい。慣例的に、ポンプは強力な機械部品を使用して、これらの構造内から流体流を放出するために、チューブを変形させるか、またはシリンジを動かしてきた。本直接駆動機構は、駆動モーターが既知のストローク容積で既知の増分だけ進む、単純な制御アルゴリズムの利点を有する。流速が速ければ、モーターパルス間の間隔が短くなる。
【0106】
従来型の輸液ポンプのアーキテクチャは、患者に向かう、内在する流体流に対する感度を損なって、潜在的に患者を高ポンプ圧力にさらす。例えば、チューブポンプでは、チューブを閉塞状態に押し潰すのに必要な力は、流体を移動するために必要な力よりもはるかに大きい。しかし、本システムは、単純な直接駆動機構を利用するが、流体流の結果を測定する能力を提供して、環境要因に対する感度が改善されている。この概念は、重力点滴で見られるようなものに類似しているかまたはそれ未満の、比較的低い圧力を流体に適用して、流体流の観察が直接観察できる。薄い非透過性膜で、駆動空気圧を、供給されている流体から分離し、膜上の正味の力がゼロに近づく。膜は、膜による伸縮力が見られないように形成され、1つの軸上で、例えば、ラウドスピーカーのような、任意の差圧に応答して、自由に平行移動する。
【0107】
精密な往復要素が、線形アクチュエータ、例えば、ステッパーモーターおよび精密な親ねじまたは他の容積変位機構で動かされる。構成要素の各々からの精度は、製造工程において固有であり、システム設計に費用を追加しない。モーターは、目標の流速の関数である間隔で前に進められる。各ステップは、流体容積を新しく測定し、ステップ間の各測定は、流体流に比例して、圧力における変化を提供する。このように、流速を測定するために、単一の測定システムが2つの方法で使用される。
【0108】
超低流速で、圧力変化は小さく、最終的に信号対ノイズ問題となる。このノイズは、温度および大気圧の環境変化を含む。往復要素の単一の動きは、予期されるよりも大きい圧力となり、次いで、代替方式が空気の容積を測定するために採用できる。往復要素を進めるのではなく、往復要素が数ステップ引っ込められ、次いで元の位置にもどされ得、正味の圧力増加とならない。空気容積のこの「正味ゼロ」摂動は、ノイズフロアを優に上回る、大きな信号を提供するために必要なのと同じ大きさであり得る。
【0109】
本システムの別の利点は、流体供給精度に対する改善された方式を可能にすることである。慣例的に、大容量輸液ポンプは、ある流速を達成するために、モーター機構を駆動する。この供給におけるいかなる誤差も、経時的に追加的である。本システムは、流体室を供給源から充填するための時間などの、予測可能な遅延、ならびに、一時的および部分的な上流の閉塞などの、予測可能でないエラーに対して、自動的な補正を提供する。
【0110】
本システムによって提供される制御は、一定の流速ではなく、長時間にわたる離散的流体容積の所望の供給に基づく。たとえユーザーが、ある流速で無制限に行う要求を示しても、それは、長期間にわたる一連の量の連続として容易に示され得る。例えば、システムに対する、60mL/時の要求は、3,600秒にわたる60,000マイクロリットルまたは36,000秒にわたる600,000マイクロリットルとして現れ得る。
【0111】
本システムは、既知のストローク容積を供給して、好都合に、各ストローク供給の開始および終了時に、流体室内の実際の容積を測定するように動作可能である。制御アルゴリズム内の固定点において、本システムは、次の完全なストローク容積が完了する予定の将来の時間を判断する。一旦、この時間が判断されると、ストロークを完了するためのモーター内のステップ間のドウェル(dwell)が容易に計算されて、ポンプが、実質的に計算オーバーヘッドなしで、進む。予測可能であろうとなかろうと、任意の供給源からの遅延が、自動的に補正されて、流速における誤差がさらに長期間の誤りに寄与しない。
【0112】
本システムのさらに別の利点は、短期間の自己調整流体流制御方式を提供するその能力にある。慣例的に、閉ループの制御システムの作成は、高性能で複雑な制御システムを必要とし得る。この複雑さは、信頼性および過度な電力消費の問題を引き起こし得る。本明細書の流量制御システムのアーキテクチャは、タイマーベースの開ループポンプシステムの利益(単純さ)および閉ループ制御システムの利益(精度および反応性)を可能にする。
【0113】
本明細書のシステムは、患者に供給される液体容積を正確に測定し、時間を正確に測定するので、時間内のいかなる時点においても患者に供給されるべき量が測定できる。例えば、ある実施形態では、流体室の全てのFILLサイクルに続いて、その室を空にするのに望ましい時間の計算が行われる。ステップ間の時間は内部で計算される。例えば、公称流速が60秒の間に2mL供給されるべきであり、ポンプがこのサイクルを0.2mLの患者への借りで開始する場合、通常の2.0mLサイクルは、およそ10%だけ短縮されるべきであるか、または54秒で完了すべきである。2.0mLを移動するために必要なステップ数が正確に分かっているので、ステップ間の時間が容易に判断される。
【0114】
FILLサイクルに続いて、出口弁クラッキング圧が満足されるまで、患者へ出る流れはない。FILLに続いて、出口弁クラッキング圧が満足される瞬間に、タイミングの計算が行われる。この方法は、本質的に、複雑な制御計算を必要としないでサイクル内遅延を吸収する。
【0115】
EMPTYサイクルの終わりで、駆動圧力が出口弁クラッキング圧を下回るまで、患者への継続した流れがある。FILLサイクルは、圧減衰のこの時点まで遅延される。この方法は、本質的に、複雑な制御計算を必要としないでサイクル内遅延を吸収する。ポンプがその速度から遅れて実行している場合、ステップがもっと迅速に起こって、供給圧力が本質的に増加し、速度を所望の速度に追い付かせる。これは、この圧力調整を行うために制御コードを全く必要としない。ポンプがその速度よりも進んで実行している場合には、ステップがもっと低速で起こって、供給圧力が本質的に減少し、速度を所望の速度まで減速する。これは、この圧力調整を行うために制御コードを全く必要としない。
【0116】
充填後の高コンプライアンスの評価基準は、2つの状態のうちの1つの指標を提供する。空気が供給源からシステムに入っている可能性がある。あるいは、充填サイクルが、入口の閉塞または完全に空になったベントされていない供給容器に伴って生じ得るような、未完了であり得る。高コンプライアンスに対する信号の曖昧さは、繰り返される充填サイクルで解決できる。最終的に、たとえ問題が解決されなくても、それは、全く同じ結果、すなわちポンプの停止および、アラーム、ユーザーへのテキストメッセージなどの通知、または同様のもの、をもたらす。
【0117】
本システムのさらに別の利点は、追加のセンサーなしで、供給源の流体圧力および流れ抵抗ならびにシンクの流体圧力および流れ抵抗を測定するその能力にある。従来型の流体流制御装置は、多くの場合、供給源流体および患者ラインの静水圧を記録するような方法で位置付けられた複数の圧力トランスデューサを備えている。流体が、それ自身の力のセットをかける比較的厚いバリアを越えて測定されるので、この方法は、別個の圧力トランスデューサ、流体の注意深い連結、および通常は、低感度の測定を必要とする。本システムは、供給源の流体圧力およびシンクのライン圧力をシステムの単一の圧力センサーを使用して測定し、ポンプに対する使い捨てインタフェースにおける複雑性を提示しない。この測定は、基本的に費用なしで生じて、ほぼ完璧な感度を提供する。圧力測定は、著しいオフセット誤差を被るが、輸液ポンプに対する既知の臨床的検討のほとんどは、絶対値ではなく、トレンドに基づく。
【0118】
圧力およびインピーダンス測定の値は、組合せ効果を有する。例えば、低圧力の供給源および高くて変動するインピーダンスの供給源は、シリンジの可能性がある。別の例は、低インピーダンスの供給源であり得、着実に減衰する供給源圧力は、すぐに空になる輸液バッグの可能性がある。高い患者ラインインピーダンスおよび変化しない圧力は、ねじれたチューブを示し得る。別の例は、患者ラインにおける低インピーダンスおよび患者ライン圧力における縮小であり得、おそらく患者ラインの切断を示す。供給源流体および患者ラインの知識があることは、信頼できる注入システムに対する重要な要因である。
【0119】
本システムは、追加機能を備えたシステムも検討されるが、本明細書では基本システムとして説明される。流体制御システムは、筐体、電源、ユーザーインタフェース、臨床情報管理、および同様のものなどの、追加の構成要素またはサブ組立体を含む完成した医療製品に、サブ組立体として統合できる空気圧結合された直接駆動機構を実装する。
【0120】
従来型の流体連結シリンジポンプでは、ピストンのわずかな動きが、非圧縮性流体を動かすことであり、そのため、瞬間的圧力変化が、シリンジ壁、チューブ、各種コネクタ、および流体流損失を含む、下流のコンプライアンスの関数である。本システムでは、リザーバーおよび付属された空間内の空気間隙の残りに比例して、往復要素のステップ運動が、空気圧を増加させる。例えば、ピストンの10マイクロリットルの、1,000マイクロリットルの総ガス空間への動きが、駆動圧を大気圧の1%またはほんの約0.15PSIだけ増加させる。この空気圧連結は、前述した従来技術のポンプシステムのインピーダンス不整合問題を解決する。
【0121】
ガス圧力は、単一の精密で較正された圧力センサーで容易に測定される。アクティブな切替え弁が未知のガス容積を既知のガス容積と結び付けて、計算されたガス容積が判断できるようにする、複雑なルーチンを使用する代わりに、本システムは、往復要素の動きと容積における変化との間の関係を使用する。既知のモーター変位は、既知の容積変位となり、そのため、結果として生じるガス圧力測定が計算されたガス容積となる。弁、制御室、および関連した計算がもはや必要ないので、別個の測定シーケンスがないことは、従来技術に対する著しい改善となる。正または負のいずれかの、ガス圧力を生成する動作は、ガス容積の測定値も提供する。ポンプフェーズおよび測定フェーズが統合される。
【0122】
ガス圧力が、そのストローク容積全体を通して無視できるほどの力しか生じない機械的構成を用いて、可撓性膜に課される。この構成は、いわゆる「ローリングソック(rolling sock)」ダイアフラム内で一般に見られるものに類似した、薄壁およびモールド成型された湾曲などの特徴を含み得る。代替として、膜は、ハウジングの形状に熱形成できる。それ故、例えば、1.0PSIのガス圧力は、ほとんど同一の圧力を、無菌の流体経路にさらされている膜の他の側に課す。差圧は非常に低く、設計によって既知である。この可撓性膜は、押し出されたチューブ状ポンプ部分の比較的厚い壁を通して、圧力を正確かつ敏感に読み取るそれらの能力において、蠕動ポンプで問題の1つを解決する。
【0123】
往復要素に連結されたガスリザーバーによって作り出される、交互の空気圧は、正および負のゲージ圧を膜の流体側に課す。この中央の膜に近位および遠位の入口弁および出口弁が、一方向のポンプ動作を作り出す。システムは、意図的に、例えば、約1PSIdの高クラッキング圧を有する一対の受動的流体逆止弁を利用する。受動的な逆止弁は、アクティブな逆止弁を使用する設計の改善版である。逆止弁の高クラッキング圧は、非常に信頼できる設計に役立ち、それには低クラッキング圧とシーリングの信頼性とのトレードオフがある。IV治療市場におけるほとんどの逆止弁は、数インチの水で測定されるクラッキング圧を有することを求めているが、他方、本システムは、1桁高く動作する。全ての注入器は、チューブセットがポンプ機構から取り外される際に、「自由流れ」を防ぐ方法を組み込む必要がある。直列の入口弁および出口弁の結合されたクラッキング圧は、追加の機構、構成要素、または複雑性なしで、この「流れ防止」目的を果たす。
【0124】
膜の流体側ストローク容積は、約1mLである。往復要素のストローク容積は、その約2倍であり、両方の逆止弁が閉じている期間中に正および負の圧力を生成し、その後、依然として、液体側ストローク容積に一致するストローク容量を有する能力を提供する。全ての範囲の流れおよび圧力に対応するために、往復要素が、膜上にいかなる圧力も生成することなく、ある位置に移動しなければならない時がある。かかる移動中に膜上の圧力を除去するためにベント弁が使用される。ベント弁の費用、電力消費、および制御論理は無視できるほどである。動作中、ベント弁の作動で流れが停止できる。ある実施形態では、フェイルセーフ設計は、「ALL OK」制御信号のない場合に制御電子機器によって作動される冗長ベント弁を組み込むことができるが、他のフェイルセーフ設計も検討される。
【0125】
本制御システムは、完成した医療機器を作成するために、筐体およびユーザーインタフェースなどの、他の構成要素と統合されるように設計できる。制御システムは、マイクロコントローラ、ベローまたはシリンジ様シリンダ/ピストン、線形アクチュエータモーター/ギア、圧力トランスデューサ、およびベント弁を含む、市販の部品を組み込むことができる。本明細書で説明するような、カスタムの埋込みコントローラソフトウェアが、完成した医療機器の一部であるホストコンピュータからの要求に基づき制御を提供できる。目標の流体流速を決定するホストコンピュータのユーザーインタフェース、通信、および制御論理は、市販されている全ての輸液ポンプに共通であり、本流体制御システムの実施形態の範囲内に包含され得る。
【0126】
本システムは、完成したIV輸液セットに組み込まれるカセット様構成を採用でき、完成したIV輸液セットは、点滴室、チューブ、二次チューブ連結、注入ポート、およびルアーコネクタなどの、カセットの近位および遠位の両方の要素を含む。カセットは、漏れのない流体経路、例えば、ほぼ1PSIdのクラッキング圧の、受動的入口逆止弁、例えば、ほぼ1mLのストローク容積の、高可撓性膜、および、例えば、ほぼ1PSIdのクラッキング圧の、受動的出口逆止弁を提供する。一実施形態では、各弁に対するクラッキング圧は、少なくとも0.5PSIdである。
【0127】
本システムは、大容量輸液ポンプのために設計されたモジュールで具現化でき、そのモジュールは、本明細書では、バッグまたはボトルまたは複数のシリンジからの流体の実質的に無制限の供給源に連結できる。これは、シリンジポンプまたは使い捨ての携帯型ポンプなどの、限られた量の含有された液体のみを分注する少容量ポンプとは対照的である。
【0128】
本システムの使い捨てのサブシステムは、大容量IVポンプに対する典型的な構成である、従来型の「重力輸液セット」にスライスされ得る。
【0129】
本システムのポンプサブシステムは、ポンプ製造業者による完全な輸液ポンプ製品への組込みに対して適合され得る、電気機械サブ組立体である。本明細書でのサブ組立体は、好都合に、単一の市販のサブ組立体として構成されて、ドア、レバー、モーター、カム、ばね、および駆動電子機器を含む、ポンプの既存の機械的構造を置き換え得る。
【0130】
本システムは、本明細書では主に、IV治療のための流量制御システムを参照して説明されるが、本システムは、経腸栄養補給装置および他の非医療用途を含む、あらゆる種類の流体の移動に対して適合し得ることが認識されるであろう。
【0131】
以下を含む、本発明の様々なシステムおよびプロセス態様が検討される。
【0132】
検知された圧力データを受信するために圧力センサーと通信し、かつ、検知された圧力データおよび所定の流体補給スケジュールに基づき、増分容積変化を制御するために空圧駆動と動作可能に通信する制御装置を含む、流体の補給のための、流体制御システムまたはプロセス。
【0133】
制御装置が、ガス側室と通信して、ガスの容積を減少させるように動作可能であって、それにより、流体側室内の圧力も、入口弁のクラッキング圧に達するまで減少し、入口弁のクラッキング圧に達するとすぐに、入口弁が開いて、流体供給源からの流体が流体側室に入る、流体制御システムまたはプロセス。
【0134】
制御装置が、ガス側室と通信して、ガスの容積を増加させるように動作可能であって、それにより、流体側室内の圧力も、出口弁のクラッキング圧に達するまで増加し、出口弁のクラッキング圧に達するとすぐに、出口弁が開いて、流体側室内の流体が流体シンクに出る、流体制御システムまたはプロセス。
【0135】
制御装置が、供給される液体の容積を、供給される液体の目標容積と、既に供給された液体の容積との間の差として判断し、空圧駆動を、供給される液体の容積を供給するために計算された増加量で操作することにより、流体シンクへの液体の供給を制御するように動作可能な流体制御システムまたはプロセス。
【0136】
制御装置が、連続する時間間隔で供給される液体の容積を計算して、既に供給された液体の容積の各計算の後に、既に供給された液体の容積を更新するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0137】
制御装置が、
空圧駆動の制御された動きの前後に、検知された圧力データを受信すること、
圧力データを、上記制御された動きから生じたガス容積における既知の変化と比較すること、ならびに
圧力データに基づくガスの容積、および検知された圧力データと既知のガス容積との間の理想気体の法則の関係に基づくガス容積における既知の変化を計算すること
を行うように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0138】
制御装置が、累積された速度誤差が精度誤差から除去されるように、液体の流体シンクへの供給中に、圧力データおよびガス容積における既知の変化に基づきガスの容積の計算を複数回にわたって繰り返すように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0139】
制御装置が、流体側室が流体で充填されるまで、液体を流体供給源から流体側室へ一方向入口弁を通って引き出すために、可撓性膜によって流体側室から分離されたガス側室と流体連結されたガスリザーバーに負の圧力をかけ、流体側室内の液体を液体シンクに一方向出口弁を通って供給するために、ガス側室と流体連結されたガスリザーバーに正の圧力をかけ、負の圧力の印加および正の圧力の印加のステップ中に、ガスリザーバー内の圧力を監視し、そして理想気体の法則の関係から、流体側室内の流体の容積をガスリザーバーおよびガス側室および任意の連結デッドスペースの容積における増分変化から判断するように動作可能であって、P
1V
1=P
2V
2であり、P
1およびP
2は、容積変化の前後の2回、測定された圧力で、V
1およびV
2は、その2回の容積である、流体制御システムまたはプロセス。
【0140】
制御装置が、流体供給源からの流体流路内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0141】
流体供給源内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗が、流体流路上のライン内の閉塞、流体供給源内に残っている流体量、流体供給源における粘性液体、およびシリンジのうちの少なくとも1つを示す、流体制御システムまたはプロセス。
【0142】
制御装置が、流体シンクへの流体流路内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0143】
流体シンクへの流体流路内の静水圧またはインピーダンスまたは抵抗が、流体流路上のライン内の閉塞および流体シンクへの切断された接続のうちの少なくとも1つを示す、流体制御システムまたはプロセス。
【0144】
制御装置が、流体流路内の空気を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0145】
制御装置が、通常より高いか、または低い、入口弁または出口弁のクラッキング圧を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0146】
制御装置が、シリンジに起因したスティクションおよび解放を示す圧力トレンドを判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0147】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、状態が、システムがポンピングサイクルを開始する準備ができているロック解除状態を含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0148】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、状態が、空圧駆動の往復要素をポンプストロークの完全に引っ込められた位置まで動かすことを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0149】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、状態が、空圧駆動の往復要素をポンプストロークの完全に前に進められた位置まで動かすことを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0150】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、状態が、空圧駆動の往復要素を、入口のクラッキング圧に達するまで、引っ込めることを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0151】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、入口弁が開いていて、液体が流体側室を充填する時に、状態が空圧駆動の往復要素を引っ込めることを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0152】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、状態が、空圧駆動の往復要素を、出口弁のクラッキング圧に達するまで、前に進めることを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0153】
制御装置が、ポンピングサイクルを実行するために様々な状態に入るように動作可能であり、出口弁が開いていて、液体が流体側室から供給される時に、状態が、空圧駆動の往復要素を前に進めることを含む、流体制御システムまたはプロセス。
【0154】
制御装置が、空圧駆動を制御されたステップ内で駆動するように動作可能であり、各ステップが、ガス容積の既知の容積変位を提供する、流体制御システムまたはプロセス。
【0155】
制御装置が、流体を一方向の出口弁を通じて供給するために、空圧駆動を制御されたステップ内で駆動するように動作可能であり、各ステップで、流体を駆動する圧力がまず増加し、その後、液体が出口弁を通って漏れるにつれて減少する、流体制御システムまたはプロセス。
【0156】
制御装置が、流体を一方向の出口弁を通じて供給するために、空圧駆動を制御されたステップ内で駆動して、所望の注入速度を達成するためのステップ間の時間を計算するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0157】
制御装置が、流体を一方向の出口弁を通じて供給するために、空圧駆動を制御されたステップ内で駆動し、駆動圧力における各増加の後に圧減衰を監視し、圧減衰から導出された圧力値を計算するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0158】
制御装置が、ガスリザーバーの容積を、ガス側室と流体連結されたガスリザーバー上に正の圧力をかける量だけ減少させ、それにより正の圧力が流体側室内の液体を液体シンクに供給するために不十分にし、かつ、正の圧力をかけるステップ中に、ガスリザーバー内の圧力を監視するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0159】
制御装置が、流体側室内の流体の容積を、理想気体の法則の関係により、ガスリザーバーおよびガス側室および任意の連結デッドスペースの容積における増分変化から判断することであって、このとき、P
1V
1=P
2V
2であり、P
1およびP
2は、容積変化の前後の2回、測定された圧力で、V
1およびV
2は、その2回の容積であり、何回かのステップにわたって圧力を監視するステップから圧力トレンドを判断し、そして、圧力トレンド、容積変化、または流体側室内の空気の指標について両方を、監視するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0160】
制御装置が、流体側室充填ステップ中に、空気の指標を、圧力における減少から判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0161】
制御装置が、供給ステップ中の通常の圧力増加を下回る液体供給のステップ中の圧力における増加から、空気の指標を判断するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0162】
制御装置が、流体側室内での空気の存在を判断するために、流体側室が液体で完全に充填されているときのガス容積を、流体側室が空気を含むときのガス容積のその後の判定と比較するように動作可能である、流体制御システムまたはプロセス。
【0163】
制御装置を含む流体流制御システム、および流体流制御システムの制御装置と通信するホストコントローラを含む輸液ポンプシステムまたはプロセスであって、ホストコントローラが注入のコースを判断するための指示を受信するように動作可能であり、指示が、決定された時間間隔にわたって供給される液体の注入速度または量のうちの1つを含み、指示がさらに開始時間を含む、輸液ポンプシステムまたはプロセス。
【0164】
ユーザーインタフェースおよび電源を含む輸液ポンプシステム。
【0165】
筐体を含む輸液ポンプシステムであって、流体流制御システムの流体流路の少なくとも一部が入口弁および出口弁を含み、室が筐体上で支えられる、輸液ポンプシステム。
【0166】
本明細書で説明する実施形態の様々な特徴が様々な方法で組み合わせることができることが理解されるであろう。
【0167】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されている。本発明は、明らかな修正および均等物が当業者に明らかであるので、図示して説明した、構成の正確な詳細、動作、正確な材料または実施形態に制限されないことを理解されたい。本発明の詳細な説明を読んで理解すると、説明した実施形態に対する多数の修正および代替が、当業者に容易に思い付くと考えられる。全てのかかる修正および代替が本発明の範囲に入る限りにおいて、それらを含むことを意図する。