(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-521826(P2016-521826A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(54)【発明の名称】スターリングエンジン
(51)【国際特許分類】
F02G 1/055 20060101AFI20160627BHJP
F02G 1/043 20060101ALI20160627BHJP
【FI】
F02G1/055 Z
F02G1/043 A
F02G1/043 C
F02G1/055 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-518872(P2016-518872)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014054667
(87)【国際公開番号】WO2014198430
(87)【国際公開日】20141218
(31)【優先権主張番号】1310449.2
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509167154
【氏名又は名称】マイクロゲン エンジン コーポレイション ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, デイヴィッド アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】グリーン, アダム ヘンリー
(57)【要約】
互いに対して往復運動するように構成されたディスプレーサ及びパワーピストンを含むハウジングを備えるスターリングエンジン。ヘッド(10)は、熱を吸収するようにディスプレーサに隣接し、銅又はアルミニウムのブロック(11、20)に取り囲まれる。ブロックの相当な部分は、3mmと0.15mmとの間の厚さを有するステンレス鋼又はインコネルの層(18)で被覆される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して往復運動するように構成されたディスプレーサ及びパワーピストンを収容するハウジングと、熱を吸収するように前記ディスプレーサに隣接し、かつ、銅又はアルミニウムのブロックに取り囲まれたヘッドとを備え、前記ブロックの実質的な部分は、3mmと0.15mmとの間の厚さを有するステンレス鋼又はインコネルの層で被覆されている、スターリングエンジン。
【請求項2】
前記ブロックは、最も外側の面から前記ハウジングの最も近い部分まで、1cmを上回る最大距離を有する、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
クラッディング層の厚さは1mmから0.5mmまでである、請求項1及び請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記ブロックは、前記ヘッドと同軸に配置された、かつ、前記ヘッドから最も遠く円形面を与える前記ブロックの広い端部と同軸に配置された、実質的に円錐台形状を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項5】
前記ブロックにおける前記広い端部の前記円形面だけが被覆されている、請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記ブロックの円錐面はニッケルで鑞付けされている、請求項5に記載のエンジン。
【請求項7】
前記ブロックは、前記ヘッドと同軸に配置された実質的に円筒形状を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項8】
前記ブロックの上面及び/又は側面は被覆されている、請求項7に記載のエンジン。
【請求項9】
フリーピストンエンジンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項10】
リニアエンジンである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のエンジンと、前記ブロック及びクラッディングを介して熱を前記ヘッドに供給するように構成されたバイオマス、廃熱源、又は太陽熱源との組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリングエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
スターリングエンジンは、一定の高温を有しかつそのヘッドを通して十分高い熱が与えられた場合に最もよく機能する、温度駆動型カルノー機械である。従って、スターリングエンジンは、常に高温で十分な熱を与えることができるガスバーナによって加熱されるのに理想的に適している。本出願人は、電気及び熱水を提供するために室内環境で用いるのに適した、そのようなスターリングエンジン(Microgen(商標)1kWeエンジン)を開発し製造している。ガスバーナは、スターリングエンジンの内部及び外部アクセプタフィンの反対側の最適な位置に高温の熱を与えるように設計される。
【0003】
エンジンはまた、寿命が長く、保守をほとんど又は全く必要としない密閉ユニットであるので、遠隔位置での使用にもよく適している。しかしながら、保証されたガス供給源から遠ざかると、バイオマス、廃熱、及び太陽熱などの利用可能な燃料は、主ガス供給源と同じ一定の方法で熱を発生させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決しようとする1つの試みは、スターリングエンジンヘッドを、通常は外部フィンが取り付けられる該ヘッドに鑞付けされた銅のブロック内に入れることであった。銅は、高熱伝導率を有し、従って、増大した表面積及びヘッドへの良好な熱伝達をもたらす。さらに、その質量は、熱供給におけるいかなるばらつきも取り除く熱慣性をもたらす。
【0005】
しかしながら、このことは、銅ブロックの外面に酸化銅が急速に蓄積し、そのため、非常に短時間でその熱伝達能力が容認できないレベルまで下がるので、実行可能な解決法を提供するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、互いに対して往復運動するように構成されたディスプレーサ及びパワーピストンを収容するハウジングと、熱を吸収するようにディスプレーサに隣接し、かつ、銅又はアルミニウムのブロックに取り囲まれたヘッドとを備え、ブロックの実質的な部分は、3mmと0.15mmとの間の厚さを有するステンレス鋼又はインコネルの層で被覆される、スターリングエンジンが提供される。
【0007】
熱伝導率が低い材料を用いるという明らかに逆効果のステップをとることで、本発明は、初めて、熱源が低温でありかつ指向及び制御が困難な場合に使用することができる成功裏のスターリングエンジンを提供する。
【0008】
高熱伝導率の銅又はアルミニウムのブロックは、ブロックを通した温度降下を低減させ所与のエンジン出力におけるブロックの平均温度及びヘッド動作温度を下げる。一般的に、銅は、約400W/mkの熱伝導率を有し、アルミニウムは、約200W/mkである。この増大した質量は、相当な熱質量を有することで、より安定した温度の維持及び制御を助け、時間的制約を緩和し、ヘッドが過熱する又は冷却される前にはるかに多くの時間を与える。これは、熱源が正確に制御可能ではないシステムにおいて必要であり、熱源に対する制御動作のためにはるかに多くの時間を可能にする。
【0009】
ヘッドからの表面積の増大により、熱流束が低減し、表面温度が低下する。これにより、あまり網羅的なものではない、従って、より安価なクラッディング材料を使用することが可能になる。
【0010】
銅又はアルミニウムのブロックは、必要な熱慣性及び表面積を有するために適度に大きいことが必要とされる。ブロックの実際の寸法は、エンジンのサイズ及び熱源によって決まる。しかしながら、ブロックは、最も外側の面からハウジングの最も近い部分まで、1cmを上回る最大距離を有することが好ましい。このことは、事実上、ブロックの最小厚が少なくとも1cmであることを必要とする。
【0011】
同様に、クラッディング層の正確な厚さは、操作パラメータによって決まる。しかしながら、その厚さは、1mmから0.5mmまでであることが好ましい。
【0012】
ブロックは、ヘッドと同軸に配置された、かつ、ヘッドから最も遠く円形面を与えるブロックの広い端部と同軸に配置された、概ね円錐台形状を有することができる。この円錐台形状は、太陽放射を吸収するのに特に適した、ヘッドから離れる方向を向いた広い円形円を呈する。
【0013】
ブロックにおける広い端部の円形面だけが被覆されることが好ましい。これは、最も高い温度に曝され、従って、被覆による保護から恩恵を受ける面である。また、円形面の下の円錐状に湾曲した面は、被覆するのがより困難である。この面は、鑞付けされることが好ましい。
【0014】
太陽熱利用ではない源においては、実質的に円筒形の構成を有するブロックが好ましい。この場合、熱の大部分は、ブロックの上面及び側面を通して吸収される。側面及び上面は、被覆されることが好ましい。
【0015】
スターリングエンジンは、任意の形態のスターリングエンジンとすることができるが、フリーピストンエンジンであることが好ましく、リニアエンジンであることが好ましい。
【0016】
ここで、添付の図面を参照して、本発明によるスターリングエンジンの例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】太陽熱源と共に用いるための、ヘッド部分が断面で示されるスターリングエンジンの側面図である。
【
図2】バイオマス又は廃熱源に用いられるエンジン用のスターリングエンジンケーシングのヘッド端部を通る断面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例えば、Microgen(商標)1kWエンジンなどのスターリングエンジンの基本的設計は、当該技術分野において周知である。エンジンは、ヘッド端部1に隣接するディスプレーサ(図示せず)と、反対の端部2に隣接するパワーピストン(図示せず)とを有するリニアフリーピストン・スターリングエンジンである。ヘッド端部1において、熱が加えられる。この熱は、
図2に示されるような内部フィン3に吸収される。冷却剤回路がエンジンの中央部分を取り囲む。この冷却剤回路は、冷却剤入口4と、内側冷却剤チャンバ5とを含み、その周りを冷却剤が循環してエンジンのヘッドと中央部分との間に熱差を生じさせる。この差が、当該技術分野において周知の方法で、ディスプレーサの往復運動を引き起こす。ディスプレーサは、パワーピストンと位相をずらして往復運動し、反対側の端部2においてAC出力が与えられる。次に、冷却剤回路内の水が熱交換器(図示せず)に供給され、そこで水がエンジンからの廃熱を吸収して熱供給をもたらす。
【0019】
環状フランジ7は、エンジンの中央部分を取り囲んでおり、同じく当該技術分野で周知であるように、エンジンを支持する手段である。
【0020】
本発明は、ヘッドに隣接してブロックを設けて、特定の源のための熱吸収を容易にすることに向けられる。
【0021】
図1において、ヘッド10は、狭い環状端部12及び広い円形端部13をもった概ね円錐台形状を有するブロック11に取り囲まれ、円筒形凹部14が、ブロック11の狭い端部から広い端部の大部分まで中央に延びている。凹部14の端部において、ヘッドの湾曲した上部とブロック11との間に空間15が定められる。こうするのは、第1に、この地点で生じる熱伝達がほとんどないためであり、第2に、
図1に示される円錐台形状は機械加工がより容易であるためである。
【0022】
ブロック11は銅又はアルミニウム製であり、円形上面は、3mmと1.5mmとの間の厚さを有するステンレス鋼又はインコネルの円形ディスク18で被覆される。銅ブロック11の湾曲面17、クラッディング13の下部、及び狭い端部12は、ニッケルで鑞付けされる。
【0023】
使用中、太陽エネルギーを円形端部13の上に向け、このエネルギーが、ブロック11内に、従ってヘッド10内に吸収されるように、太陽集熱器が設けられる。比較的大きいサイズのブロック及び銅又はアルミニウムの使用は、ヘッド内への熱吸収を最適化する大きい熱質量をもたらすことが理解されるであろう。第2に、大きい熱質量は、さもなければ予測不可能なこの熱源にある程度の平滑化をもたらす。
【0024】
図2は、太陽熱利用ではない用途に適した同様のブロックを示す。この場合、ブロック20は円筒形であるが、ヘッドを収容する同様の中央凹部14を有する。この場合、熱伝達は表面の周りにより均一に分配されるので、円形端面21及び環状側面22の両方とも、3mmと0.15mmとの間の厚さを有するステンレス鋼又はインコネルの層で被覆される。著しい直熱を受けないので、取り付けブラケット7に最も近いブロックの端面23は、被覆する必要はない。しかしながら、必要に応じて、熱被覆されてもよい。
【0025】
使用される材料の典型的な熱的特性を以下に述べる。
【表1】
【国際調査報告】