特表2016-521853(P2016-521853A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-521853ナノインデンテーション器具用測定ヘッド及び測定方法
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  • 特表2016521853-ナノインデンテーション器具用測定ヘッド及び測定方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-521853(P2016-521853A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(54)【発明の名称】ナノインデンテーション器具用測定ヘッド及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/42 20060101AFI20160627BHJP
【FI】
   G01N3/42 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-518529(P2016-518529)
(86)(22)【出願日】2014年6月16日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014062606
(87)【国際公開番号】WO2014202551
(87)【国際公開日】20141224
(31)【優先権主張番号】13172349.6
(32)【優先日】2013年6月17日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515347186
【氏名又は名称】アントン パール トライテック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベラトン、ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】コンシグリオ、リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴォアルガール、ジャック
(57)【要約】
ナノインデンテーション器具用の測定ヘッドが提供される。ナノインデンテーション器具は、測定ヘッドに対して試料を位置付けるように配置された位置付けシステムを備える。測定ヘッドは、ナノインデンテーション器具に接続するように適合されたフレーム1に取り付けられた測定サブシステム2を備え、測定サブシステム2は、第1のアクチュエータ20と、第1のアクチュエータ20によって圧子26に対して加えられる力の加圧下で、試料表面に圧痕付けするように適合された圧子26とを備える。測定サブシステム2は、第1のアクチュエータ20によって加えられた力を検出するように適合された力検知システムをさらに含む。また、測定ヘッドは、フレームに取り付けられた参照サブシステム3を備え、参照サブシステム3は、第2のアクチュエータ30と、第2のアクチュエータ30と動作可能に接続されている参照構造体33と、参照構造体33と試料表面との所定の間隔を決定するように適合された距離検出器とを備える。本発明によれば、測定ヘッドは、圧子26と参照構造体との相対位置を決定するように適合された相対位置検知システムを備え、測定ヘッドは、相対位置決定センサの出力に少なくとも部分的に基づき、試料表面への圧子26の押し込み深さを決定するための手段をさらに備え、そして距離検出器は、参照構造体3から突き出て、試料表面に接触するように配置されたトポグラフィ先端具36を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインデンテーション器具用の測定ヘッドであって、
前記ナノインデンテーション器具は、前記測定ヘッドに対して試料を位置付けるように配置された位置付けシステムを備え、
前記測定ヘッドは、
前記ナノインデンテーション器具に接続するように適合されたフレーム(1)に取り付けられた測定サブシステム(2)であって、該測定サブシステム(2)は、第1のアクチュエータ(20)、及び前記第1のアクチュエータ(20)によって圧子(26)に対して加えられる力の加圧下で前記試料の表面に圧痕付けするように適合された前記圧子(26)を含み、前記測定サブシステム(2)は、前記第1のアクチュエータ(20)によって加えられた力を検出するように適合された力検知システムをさらに備える、前記測定サブシステム(2)と、
前記フレームに取り付けられた参照サブシステム(3)であって、該参照サブシステム(3)は、第2のアクチュエータ(30)、前記第2のアクチュエータ(30)と動作可能に接続された参照構造体(33)、及び前記参照構造体(33)と前記試料の表面の所定の間隔を決定するように適合された距離検出器を備える、前記参照サブシステム(3)と
を備えた測定ヘッドにおいて、
前記測定ヘッドが、
前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するように適合された相対位置検知システムと、
前記相対位置検知システムの出力に少なくとも部分的に基づき、前記試料の表面への前記圧子の押し込み深さを決定するための手段とをさらに備えることを特徴とし、
前記距離検出器は、前記参照構造体(33)から突き出て前記試料の表面に接触するように配置されたトポグラフィ先端具(36)を備えることをさらに特徴とする、測定ヘッド。
【請求項2】
前記トポグラフィ先端具(36)が、弾性片持ち梁(37)に配置され、
前記弾性片持ち梁は、前記トポグラフィ先端具(36)と前記試料との接触を検出するように適合された接触検出器と動作可能に接続されている、請求項1に記載された測定ヘッド。
【請求項3】
前記トポグラフィ先端具(36)は、原子間力顕微鏡の先端具である、請求項1又は請求項2に記載された測定ヘッド。
【請求項4】
前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が、所定の周波数で振動するように構成され、
前記接触検出装置は、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が前記試料の前記表面に接触状態に入ったときに、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の前記所定の周波数からの振動周波数の変化を検出するように適合されている、請求項2及び請求項3に記載された測定ヘッド。
【請求項5】
前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が、所定の振幅で振動するように調整され、
前記接触検出装置は、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が前記試料の前記表面に接触状態に入ったときに、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の前記所定の振幅からの振幅の変化を検出するように適合されている、請求項2及び請求項3に記載された測定ヘッド。
【請求項6】
前記相対位置検知システムが、容量センサ(34、35)を備える、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項7】
前記容量センサが、差動容量センサを備える、請求項6に記載された測定ヘッド。
【請求項8】
前記圧子(26)によって前記試料に加えられる力を制御するために、サーボ制御回路が前記第1のアクチュエータ(20)に接続されている、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータ(20)及び前記第2のアクチュエータ(30)の少なくとも1つが、圧電アクチュエータを含む、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項10】
少なくとも1つの光学的視覚システムが、前記測定ヘッドに配置され、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の接触領域及び/又は前記圧子(26)の接触領域の画像を記録するように配置されている、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項11】
試料への圧子の押し込み深さを測定する方法において、該方法が、
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載された測定ヘッドを備えたナノインデンテーション器具を準備するステップと、
前記測定ヘッドの下方に試料を位置付けるステップと、
前記トポグラフィ先端具(36)が前記試料と接触状態になるように、前記参照構造体(33)を位置付けるステップと、
前記圧子(26)を前記試料に接触している状態にさせるステップと、
所定時間の間、前記圧子(26)に所定の力を加えるステップと、
前記所定時間が終了したときに、前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するステップと、
前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との前記相対位置の決定に少なくとも部分的に基づき、前記試料への前記圧子(26)の押し込み深さを決定するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記圧子(26)を前記試料に接触している状態にさせる前に、前記トポグラフィ先端具(36)を使用することによって、前記試料の表面を走査して、前記試料の表面のトポグラフィ画像を作成する、請求項11に記載された方法。
【請求項13】
前記圧子(26)が前記試料に接触しているときに、前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するステップをさらに含み、
前記試料への前記圧子の押し込み深さは、前記圧子(26)が前記試料に接触しているときの前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置の決定、及び前記所定時間が終了したときの前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置の決定に少なくとも部分的に基づく、請求項10から請求項12までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項14】
前記圧子(26)による圧痕付けの後、前記トポグラフィ先端具(36)を、前記圧子(26)によって生じた前記圧痕の上方に位置付け、
前記圧痕の深さを、前記トポグラフィ先端具が前記圧痕の表面に接触するまで、前記トポグラフィ先端具を降下させることによって決定する、請求項10から請求項13までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項15】
複数の圧痕を形成して、その後、前記トポグラフィ先端具(36)を、前記複数の圧痕上を走査させ、前記複数の圧痕の深さプロフィールの画像を作成する、請求項10から請求項14までのいずれか一項に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインデンテーション測定器具に関するものである。より具体的には、試料の表面の能動的位置付け参照装置を備えたナノインデンテーション測定器具用の測定ヘッド、およびこの測定ヘッドを使用して試料への圧子の押し込み深さを測定する方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
深さ検知インデンテーション(DSI)方法は、たとえば弾性係数及び硬さなど、材料のある機械的性質を決定するためにしばしば使用される。この方法は、一方では試料に対して加えられた負荷の値を、他方では圧子先端具の押し込み深さの値を調べるため及び測定するために、形状が正確に知られた圧子を用いて試料に対して力を加えるステップを含む。
【0003】
この器具は、測定すべき力がますます小さくなるにつれて、ますます高性能になっている。また、測定を行うべき表面がますます小さくなりつつあり、試験すべき材料の範囲が広がりつつある。たとえば、厚さが数ナノメータ(nm)よりも薄く、その幅が数μmよりも狭い層を試験する必要が高まっている。関与する力は、数マイクロニュートン(μN)よりも小さい可能性があり、測定すべき圧子の変位が、1ナノメータ(nm)以下の程度である可能性があり、試験すべき試料の測定表面が、20×20μmより狭い場合がある。
【0004】
米国特許第7,685,868号にナノインデンテーション測定器具が開示されている。その測定ヘッドは、圧子軸及び参照軸を含み、それによってナノスケールで弾性係数及び硬さの測定が可能になっている。米国特許第7,685,868号に記載された測定ヘッドは、測定サブシステム及び参照サブシステムに基づいており、そのそれぞれが、それらのそれぞれの軸の自体の駆動及び変位の手段、さらにまたこれらの軸に加えられる力を制御する力フィードバック・システムを備える。さらにまた、能動的参照軸を使用し、圧電アクチュエータを使用することによって参照軸に関して試料に加えられる力を監視することによって、試料が接続されるフレームの温度変化又は変形によって起こり得る圧子に対する試料表面の寄生的動きをなくすことが可能である。
【0005】
米国特許第7,685,868号に記載された測定ヘッドは、少なくとも次の性能限界を示す。
【0006】
記載された測定ヘッドは、2つの軸を含む比較的複雑なシステムを使用し、一方は圧子軸であり、他方は参照軸である。両方の軸は、横寸法が比較的大きく、これらの2つの軸の末端の間に比較的広い間隔の存在が強いられる。参照先端具と圧子との間の比較的広い間隔によって、測定精度が限定される。なぜなら、広い間隔は、システムのたわみ、試料の振動又は温度の作用によって誘発される虞れのある測定エラーに繋がるからである。
【0007】
さらにまた、測定ヘッド側に置かれる別個のトポグラフィ・スキャナが、圧痕付けに関して興味ある領域を識別するために必要であるということによって、圧子の配置の正確さが、数ミクロンに、又は実に数十ミクロンに限定される。別個のトポグラフィ・スキャナによって、試料がスキャナから圧子まで比較的大きく変位するということが当然伴い、圧痕位置を狙う精度が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,685,868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、先行技術に記載された測定ヘッドの制約を少なくとも部分的に克服することである。この目的は、測定ヘッドに対して試料を位置付けるように配置された位置付けシステムを備えたナノインデンテーション器具用の測定ヘッドによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
測定ヘッドは、ナノインデンテーション器具に接続するように適合されたフレームに取り付けられ測定サブシステムを備える。測定サブシステムは、第1のアクチュエータと、第1のアクチュエータによって圧子に対して加えられる力の加圧下で、試料の表面に圧痕付けするように適合された圧子とを備える。
【0011】
測定サブシステムは、
第1のアクチュエータによって加えられた力を検出するように適合された力検知システムと、
フレームに取り付けられた参照サブシステムであって、この参照サブシステムは、第2のアクチュエータ、第2のアクチュエータと動作可能に接続された参照構造体、及び参照構造体と試料表面との所定の間隔を決定する距離検出器を備えた、参照サブシステムをさらに有する。
【0012】
本発明によれば、測定ヘッドは、参照構造体に対して圧子の位置を決定するように適合された相対位置検知システムを備える。測定ヘッドは、試料への圧子の押し込み深さを決定するための手段をさらに備え、押し込み深さの測定は、相対位置検知システムの出力に少なくとも部分的に基づく。測定ヘッドの距離検出器は、参照構造体から突き出て、試料表面に接触するように配置されたトポグラフィ先端具を含む。トポグラフィ先端具は、試料の表面トポグラフィを測定するために使用できる測定先端具であり、その実例は、これらに限定されないが、原子間力顕微鏡(AMF)先端具(振動するものであろうとなかろうと)などの微小機械先端具、及び近接場走査型光学顕微鏡(NSOM)先端具などの非接触先端具などを含む。
【0013】
或いは、レーザ・ビームなどの光ビームを利用する微小光学先端具を使用でき、又はAMF先端具と、AMF先端具の変位を測定するように配置されたレーザ装置との組合せなど、微小機械的先端具と微小光学的先端具との複合したものを使用することができる。
【0014】
それによって、押し込み深さが、圧子と参照構造体との相対位置に基づき測定される。この参照構造体は、米国特許第7,685,868号の複雑な配置に依存するよりもむしろ、トポグラフィ先端具によって試料の表面から知られた距離に位置付けることができる。その結果、測定ヘッドは簡単化され、トポグラフィ先端具は、先行技術の参照先端具よりも、圧子に著しくより近くに置くことができる。さらにまた、トポグラフィ先端具の使用によって、試料表面のトポグラフィを高品質で走査することが、測定ヘッド自体に配置されたトポグラフィ先端具を直接使用して可能になり、それによって、測定ヘッド側に位置付けられた別個のスキャン・システムを使用する必要がなくなり、及び/又はたとえば圧子自体を使用することによって低品質でトポグラフィ・スキャンを実施する要求がなくなる。
【0015】
基本的に、それによって、トポグラフィ・スキャン機能性が圧子と統合される。その結果、走査と圧痕付けとの間における試料の変位が著しく減少されることによって、数ナノメータのオーダーまで小さく、極めてより正確に圧子の位置を狙うことが可能になる。
【0016】
一具体例によれば、測定ヘッドのトポグラフィ先端具は、トポグラフィ先端具と試料との接触を検出するように適合された接触検出器と動作可能に接続された弾性ブレード又は片持ち梁に配置される。その結果として、たとえば測定ヘッドが寄生振動を被るとき、トポグラフィ先端具が、極めて高速で、且つ極めて高精度で試料の表面の動きに追従することができるために、トポグラフィ先端具と基板との間の接触を極めて正確に決定することが可能になる。これは、たとえば極めて高い精度のサーボ制御によって、試料の表面に対して圧子の位置を極めて高い精度で制御することを可能にするために使用できる。
【0017】
本発明の好ましい具体例によれば、測定ヘッドのトポグラフィ先端具は、原子間力顕微鏡の先端具である。好ましくは、原子間力顕微鏡の先端具は、所定の周波数で振動するように構成され、そして接触検出装置は、原子間力顕微鏡の先端具が試料の表面と接触状態に入ったとき、原子間力顕微鏡の先端具の所定の周波数及び/又は振幅のそれぞれからの振動周波数の変化及び/又は振幅の変化を検出するように適合されている。そのために、原子間力顕微鏡の先端具と試料との接触は、精度良く決定することができ、それによって試料表面に対する参照構造体の位置を精度良く決定することができる。
【0018】
本発明の具体例によれば、相対位置検知システムは、好ましくは、容量センサを含み、この容量センサは、さらに好ましくは、差動構成で配置され、それによって簡単で正確な位置検知システムがもたらされる。
【0019】
測定ヘッドは、第1のアクチュエータに接続され、圧子によって試料に対して加えられる力を制御することを可能にするサーボ制御回路をさらに含む。測定ヘッドの第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは、好ましくは、それぞれが圧電アクチュエータを含む。そのため、試料表面と参照構造体との間隔は、たとえば測定ヘッドの温度変化、又はいくつかの要素又は一部分のたわみにもかかわらず、一定に保つことができる。
【0020】
本発明の具体例によれば、測定ヘッドは、測定ヘッドに配置され、原子間力顕微鏡の先端具の接触領域及び/又は圧子の接触領域及び/又は押し込まれた領域の画像を記録することを目的として、少なくとも1つの光学的視覚システムも備える。そのため、操作員は、試料の押し込むべき表面の目標部分及び/又は押し込まれた領域をより容易に観察することができる。
【0021】
また、本発明の目的は、試料への圧子の押し込み深さを測定する方法によって達成される。この方法は、上記に述べたような測定ヘッドを含むナノインデンテーション器具を準備するステップを含む。試料が、測定ヘッドの下方に位置付けられ、次いでトポグラフィ先端具が試料と接触状態になるように、参照構造体が位置付けられる。続いて、圧子が、試料と接触状態に置かれ、所定の力が、所定時間の間、圧子に加えられる。所定時間が終了したとき、圧子と参照構造体との相対位置が決定される。
【0022】
次いで、試料への圧子の押し込み深さが、圧子と参照構造体との相対位置の決定に少なくとも部分的に基づき決定される。
【0023】
それによって、押し込み深さが、圧子と参照構造体との相対位置に直接基づき測定される。この参照構造体は、米国特許第7,685,868号の複雑な配置に依存することよりもむしろ、トポグラフィ先端具によって試料表面から知られた距離に位置付けることができる。その結果、より高い正確さで測定が可能になる。
【0024】
一具体例によれば、圧痕を作るために圧子を試料と接触させる前に、圧痕付けするべき目標領域の位置を高精度で決定するために、圧痕付けすべき領域を走査することができる。それによって、試料の表面のトポグラフィを高い品質で走査することが、測定ヘッド自体のトポグラフィ先端具を直接使用することによって可能になり、それによって測定ヘッド側に位置付けられた別個のスキャン・システムを使用する必要がなくなり、及び/又はたとえば圧子自体を使用することによって、低品質でトポグラフィ・スキャンを実施する要求がなくなる。トポグラフィ・スキャン機能性が圧子と統合されるので、このトポグラフィ・スキャンは、その場で形成することができ、その結果、数ナノメータのオーダーまで、圧子の位置をより正確に狙うことが、走査と圧痕付けとの間における試料の変位が著しく減少されることによって可能になる。
【0025】
本発明による方法の具体例によれば、圧子が試料と接触状態にされたとき、圧子と参照構造体との相対位置が決定され、試料への圧子の押し込み深さは、圧子が試料と接触状態にされたときの圧子と参照構造体との相対位置の決定、及び所定時間が終了したときの圧子と参照構造体との相対位置の決定に少なくとも部分的に基づく。その結果、測定のさらにより高い正確さを実現することができる。
【0026】
本方法の一具体例によれば、トポグラフィ先端具は、圧子によって生じる圧痕の上方に位置付けられ、その圧痕の深さは、トポグラフィ先端具が圧痕の内側表面に接触するまで、トポグラフィ先端具を降下させることによって決定される。そのため、測定された圧痕深さの検証を実施することができて、測定の信頼性及び精度が高められる。
【0027】
本方法の他の具体例によれば、複数の圧痕が形成され、次いでトポグラフィ先端具が複数の圧痕を走査し、そして複数の圧痕の深さプロフィールの画像を作成する。トポグラフィ先端具による走査によって、表面の圧痕の一部分のプロフィール及び深さに関する情報が得られ、そして複数の圧痕が位置する圧痕付けされた領域の深さプロフィールの画像を作成することが可能になる。
【0028】
本発明の上記に述べた目的及び利点は、次の詳細な記述及び添付図面により当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による例示的具体例。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明により本発明の原理を例示する。当業者は、本明細書にはっきりと述べられていないか又は示されていなくても、本発明の原理を具体化し、そして請求項で定義される本発明の範囲に含まれる様々な構成を思いつくことができることが理解できる。
【0031】
詳細な説明を明瞭にするために、用語を下記のように定義する。
「の上に(above)」は、測定ヘッドのアクチュエータに向かっていることを意味すると解釈すべきである。
「の下に(downward及びbeneath)」は、測定すべき試料に向かっていることを意味すると解釈すべきである。
【0032】
図1に、本発明による測定ヘッドを例示する。測定ヘッドは、フレーム1および2つのサブシステムを備える。2つのサブシステムは、第1のアクチュエータ20および関連する圧子26を含む測定サブシステム2、及び第2のアクチュエータ30および関連するトポグラフィ先端具36を含む参照サブシステム3を含む。そのトポグラフィ先端具36は、参照構造体33(以下を参照)と試料表面との間の所定の距離間隔を決定するための距離検出器の少なくとも一部分を構成する。アクチュエータ20、30は、圧電タイプが好ましい。
【0033】
また、測定サブシステム2は、圧子26が配置される圧子ロッド22、少なくとも1つの弾性要素を含み圧子ロッド22上に配置されるスプリング・システム21、およびスプリング・システム21と第1のアクチュエータ20とを連結し以下で詳細に述べる下方に伸びる延長部23b、23c、23dを含むボディ23を含む。ボディ23は、単一のボディとすることができるが図1に例示するようないくつかの部分23a〜eから構成することもできる。
【0034】
圧子26の表面材料は、ダイヤモンドが好ましい。しかし、より柔らかい試料を測定すべき場合は、特に、他の材料、たとえばサファイア又は硬鋼などの他のそれほど硬くない材料も使用できる。測定ヘッドが柔らかい材料を測定するだけの目的である場合、圧子ロッド22及び圧子26は、圧子26が適切に形作られた状態で、単一材料、たとえば硬鋼により形成できる。圧子26は、別の圧子26と容易に交換できるように配置できることが、当業者に明らかになるはずである。これは、たとえば様々な異なる性質の材料を測定する必要があり、そして圧子26のタイプ及び/又は形状を変化させることが適切である場合に有利になりうる。
【0035】
圧子ロッド22は、圧子ロッド22の軸線に対して実質的に垂直に配置される第1の電極25の対及び第2の電極35の対を含む。第1の電極25の対は、ボディ23に向かって延在し、第2の電極35の対は参照構造体33に向かって延在する。
【0036】
ボディ23は、2つの電極24を含み、それぞれが第1の電極25の対のそれぞれの電極に面し、且つそれに対して平行に配置され、それによって一対のコンデンサが形成される。このように形成されたコンデンサC1及びC2は、差動モードで配置され、それによってボディ23に対する圧子ロッド22の変位の測定が可能になり、且つ米国特許第7,685,868号に記載されたように、スプリング・システム21とともに、印加される力を測るセンサを形成する。さらに、米国特許第7,685,868号に記載された測定軸に関して使用されるものと同様の制御回路が、圧子ロッド22のアクチュエータを制御するために設けられる。
【0037】
参照サブシステム3は、トポグラフィ先端具36が配置される片持ち梁37と、片持ち梁37が配置されるホルダ33dと、ホルダ33dが配置される参照構造体33とを含む。参照構造体33は、アクチュエータ30に接続され、2つの電極34を含み、そのそれぞれが圧子ロッド22上の第2の電極35の対のそれぞれの電極に面し、且つそれに平行に配置され、それによって一対のコンデンサC3、C4がさらに形成される。このように形成された2つのコンデンサC3及びC4は、差動モードで配置され、それによって圧子ロッドの変位を参照構造体33に対して測定でき、それにより参照構造体33の基板表面に対する位置がわかるので、基板表面に対する圧子26の変位を測定できる。このように、2つのコンデンサC3及びC4は、相対位置検知システムを構成する。
【0038】
通常の構成では、参照構造体33の第2の電極35の対の両方の電極は、図1に示すように、参照構造体33の横方向の構成要素33a、33c上に配置することができ、その第1の横方向の構成要素33aは、圧子ロッドの横方向の構成要素27に対して平行に、且つそれの上方に配置され、そして第2の横方向の構成要素33cは、圧子ロッドの横方向の構成要素27に対して平行に、且つその下方に配置される。この構成では、参照構造体33の横方向の構成要素33a、33cは、圧子の横方向の構成要素27が参照構造体33の横断構成要素33aと33cとの間に配置されるように調整された距離だけ離される。参照構造体33は、ホルダ33dが参照構造体33の一体部分になるように構築することができる。
【0039】
トポグラフィ先端具36は、理想的には、圧子26のできるだけ近くに位置付けるべきであることに留意すべきである。
【0040】
トポグラフィ先端具36は、試料の表面に接触することを目的とするタイプとすることができるが、非接触タイプのものとすることもできる。いずれかの都合の良い微小機械の微細構造体を、接触させて表面に位置付けることを目的とするトポグラフィ先端具36に使用することができる。トポグラフィ先端具を、接触させずに表面に位置付けることが必要な場合、光学微細構造体、たとえば光ファイバ先端具、又はたとえば、その全体が参照によって本明細書に援用されるhttp://www.nanoprobes.aist−nt.comに開示されているようなものなど、近接場走査型光学顕微鏡「near-field scanning optical microscope(NSOM)」に使用されるいずれかの通常の光学先端具を使用できる。
【0041】
本発明が今日実施される際、トポグラフィ先端具36は、原子間力顕微鏡(AMF)先端具である。トポグラフィ先端具36の寸法は、通常100μmよりも小さく、好ましくは30μmよりも小さい。トポグラフィ先端具36の末端の半径は、数nmの規模である。トポグラフィ先端具の材料は、いずれかの硬質材料、好ましくはシリコン、より好ましくは石英とすることができる。その全体が参照によって本明細書に援用されるhttp://www.nanoandmore.com/afm−cantilevers.phpに開示されている片持ち梁など、片持ち梁37の異なる構成が可能であり、それは当業者に周知である。
【0042】
参照構造体33は、図1に例示するように、いくつかの部分33a〜33dからなることができることに留意されたい。1つの可能な構成では、アクチュエータ30と参照構造体33の間に中間構造体32を配置することができる。別の構成では、片持ち梁37は、ホルダ33dを用いず、参照構造体33上に直接配置することができる。
【0043】
測定器具は、測定ヘッドの下に配置された試料ホルダ6をさらに含み、試料ホルダ6は少なくともx−yスキャン・システム5を含む試料位置付け装置の上部に配置される。x−yスキャン・システムは、垂直並進器4の上部に配置される。x−yスキャン・システム5は、ナノ位置付けテーブルとすることができ、試料の表面に対して垂直軸線のまわりで試料を回転させることを可能にする回転軸をさらに含むことができる。別の変形では、回転軸は、垂直並進器4に設けることができる。垂直並進器4及びx−yスキャン・システム5は、当業者に周知であり、さらに説明する必要がない。試料位置付け装置は、トポグラフィ先端具36の近くに試料を持ってくることができるように、測定器具のフレームに接続される。
【0044】
測定ヘッドのボディ23、スプリング・システム21、参照構造体33及びフレーム1は、理想的には、できるだけ質量及び熱膨張係数を小さくすべきである。測定サブシステム2及び参照サブシステム3の構成要素は、米国特許第7,685,868号で言及されているように、同じ材料で作ることが好ましい。コンデンサC1、C2を利用する圧子サブシステム2の力フィードバック・システムの構成は、米国特許第7,685,868号に記載されているものと同様とすることができる。また、電極材料は、米国特許第7,685,868号に記載されているものと同様に選択することができる。スプリング・システム21は、試料の表面の様々な圧痕深さを測定できるように、それぞれが異なるバネ係数を有する異なるスプリングを用いることができるようにするために、スプリングなどのスプリング・システム21の弾性構成要素を容易に交換できるメカニズムを備えることができる。
【0045】
図1に例示する測定ヘッドの形状は、限定するものと解釈すべきでない、すなわち本発明による測定ヘッドは、異なる機械的及び幾何形状的な変形が、もちろん可能である。本発明は、たとえば、トポグラフィ先端具36を取り除く必要があるか、又は別の測定器具を用いて参照領域に近接することを可能にする必要があるか、又はトポグラフィ先端具及び/又は片持ち梁37を容易に取り除き交換することを可能にする必要がある測定ヘッドの変形例では、測定サブシステム2に対して参照サブシステム3を変位させることができるように、並進メカニズム40を配置するも可能である。
【0046】
光学的視覚システムを測定ヘッド上に配置することが有利であり、それによって測定すべき領域を可視化する、及び/又は圧痕付けされた領域を可視化する、及び/又はトポグラフィ先端具36及び圧子先端具26を同時に可視化することが可能になる。あるいは表面の汚れを検出することが可能になる。さらに、光学的視覚システムにより、トポグラフィ先端具36によって決定される圧痕プロフィールと相関させることができる2D又は3D画像を提供することができる。
【0047】
本発明の測定ヘッド、特にセンサの動作方法を詳細に述べる。
【0048】
試料位置付けシステム4、5、6は、試料を圧子ロッド22の軸に対して実質的に垂直に試料位置付けシステムにしっかりと取り付けるために、ホルダ6又は幾何形状的な構成体を含む。試料を位置付ける前に、圧子は、測定サブシステム2のアクチュエータ20によって位置付けられるので、圧子は、トポグラフィ先端具36よりも試料表面から離れて位置する。圧子26とトポグラフィ先端具36との通常の距離の差は、200μm、好ましくは50μmよりも小さい。その後、試料位置付けシステムによって、試料は、トポグラフィ先端具36近くの所定の位置に、通常数μm離れ他距離まで運ばれる。また、試料は、必要な場合、たとえば長方形に形作られたマイクロデポジション層(微小被着層)を試料位置付けシステムのx軸及びy軸の1つのスキャン軸と位置合わせするために、試料の表面に対して垂直な軸線のまわりで回転させて位置付けることができる。
【0049】
トポグラフィ先端具36は、試料の表面に接触させる前に、必要なら、さらに述べるように、トポグラフィ先端具36と試料との接触の検出を可能にする状態に置かれる。接触の検出の方法は、トポグラフィ先端具36のタイプによって決まり、そのもっとも簡単な形態では、トポグラフィ先端具又はその支持構造体の力及び/又は動きを単に検出する。トポグラフィ先端具36が原子間力顕微鏡(AMF)先端具36である場合、接触検出の特に有利な方法は、下記に詳細に述べる。当業者は、他のタイプの先端具に対してこの方法を適合させる方法を知っている。AMF先端具36の場合、AMF先端具を、所定の周波数で、且つ所定の振幅を用いて振動させる。
【0050】
安定した所定の周波数及び振幅の振動が発生された後、参照サブシステム3のアクチュエータ30によって、AMF先端具36が試料の表面に対して極端に近くに、通常1μmまで、AMF先端具36を試料の表面に向けて移動させる。次いで、試料とAMF先端具36の間のアプローチ速度を低下させ、その後AMF先端具36との接触を検出することができる。このようにして、参照構造体33は、試料の表面からの所定の知られた間隔に位置付けられる。
【0051】
トポグラフィ先端具36の試料の表面との接触を検出する方法がいくつか存在する。好ましい方法は、トポグラフィ先端具36の所定の振動周波数の変化によって接触を検出することである。接触の際、AMF先端具36の振動特性が変わることにより、周波数シフトが起きる。所定の周波数シフトを検出することにより、AMF先端具36が試料表面と接触したことが示される。まさにその時点で、位置付け参照のAMF先端具36を、測定サブシステム3のアクチュエータ30によって、たとえばAMF先端具36から提供される信号を使用してアクチュエータ30を制御するフィードバック・ループによって、その位置に保つことができる。
【0052】
別の変形例では、AMF先端具36と試料の表面との接触を検出するために、トポグラフィ先端具36に所定の振幅の振動を加えることができる。また別の変形例では、ある周波数及びある振幅の両方の振動をトポグラフィ先端具36に使用することができる。本発明は、トポグラフィ先端具36から送られる電気的な信号による接触位置検出に限定されない。他の方法、たとえば光学干渉法などの光学的方法、又は近接場走査型光学顕微鏡を含む構成で使用される通常の方法を使用できることに留意すべきである。本発明のさらに他の変形例では、少なくとも2つのトポグラフィ先端具36を参照構造体33の末端に配置でき、それらから送られた信号を組み合わせて使用して、位置参照の確かさを向上させることができる。
【0053】
トポグラフィ先端具36が試料の表面に接触したとき、トポグラフィ先端具36は、圧痕測定の全サイクルの間、たとえばトポグラフィ先端具36によって生成された信号の変化を利用して、参照サブシステム3のアクチュエータ30に対して作用するフィードバック回路によって、表面接触状態を保つ。これによって、圧痕測定の全サイクルの間、試料の表面に対する参照構造体33の位置を精度良く検知することが確実にされる。
【0054】
圧痕付けの前に、トポグラフィ先端具36は、試料表面の所定領域を走査することができ、それにより、試料の表面の所定の領域の表面プロフィールを表すトポグラフィ画像を決定し、且つ圧痕測定を実施する必要がある正確な場所を識別できる。トポグラフィ先端具36が圧子26の極めて近くに配置されているので、圧痕付けすべき正確な場所への圧子の横方向の移動は大変小さくなり、トポグラフィ先端具と圧子の間の距離間隔に等しい。
【0055】
一度トポグラフィ先端具36が目標とする試料の表面に接触した状態に置かれると、圧痕測定サイクルを開始することができる。圧子26が、まず、測定すべき表面の近くに、通常数μmまで下げられる。次いで、アクチュエータ20の速度を低下させ、その後圧子26が測定すべき試料の表面に当たる。圧子26の試料の表面との接触は、たとえば力フィードバック・システムの信号及びトポグラフィ先端具36に対する圧子26の位置の情報を使用することによって、検出することができる。
【0056】
従来、測定サイクルの間、一定の所定の力を圧痕測定の間に加えることができる。しかし、加えられる所定の力を、測定の間に変化させることもでき、及び/又は測定サブシステム2が、圧子26によって加えられる力を測定しながら、圧子の一定の所定の深さが試料の表面に得られるように、可変力を提供することもできる。また、少なくとも2回、同じ測定場所で、又は異なる場所で圧痕付けを実施することも可能である。
【0057】
さらに、トポグラフィ先端具36を圧痕付けされた位置の上方に移動させて、既に形成された圧痕内に降下させて、それによってこの圧痕の圧痕プロフィール及び圧痕深さを決定することができる。所定の領域内で異なる場所、又は近接する場所で圧痕付けを繰り返して実施でき、その後に、圧痕付けされた領域の2D又は3D画像を得るために、圧痕深さ及び/又はプロフィールの測定を実施することができる。
図1
【手続補正書】
【提出日】2015年7月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインデンテーション器具用の測定ヘッドであって、
前記ナノインデンテーション器具は、前記測定ヘッドに対して試料を位置付けるように配置された位置付けシステムを備え、
前記測定ヘッドは、
前記ナノインデンテーション器具に接続するように適合されたフレーム(1)に取り付けられた測定サブシステム(2)であって、該測定サブシステム(2)は、第1のアクチュエータ(20)、及び前記第1のアクチュエータ(20)によって圧子(26)に対して加えられる力の加圧下で前記試料の表面に圧痕付けするように適合された前記圧子(26)を含み、前記測定サブシステム(2)は、前記第1のアクチュエータ(20)によって加えられた力を検出するように適合された力検知システムをさらに備える、前記測定サブシステム(2)と、
前記フレームに取り付けられた参照サブシステム(3)であって、該参照サブシステム(3)は、第2のアクチュエータ(30)、前記第2のアクチュエータ(30)と動作可能に接続された参照構造体(33)、及び前記参照構造体(33)と前記試料の表面の所定の間隔を決定するように適合された距離検出器を備える、前記参照サブシステム(3)と、
前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するように適合された相対位置検知システムと、
前記相対位置検知システムの出力に少なくとも部分的に基づき、前記試料の表面への前記圧子の押し込み深さを決定するための手段と
備え、
前記距離検出器、前記参照構造体(33)から突き出て前記試料の表面に接触するように配置されたトポグラフィ先端具(36)を備える、前記測定ヘッドにおいて
前記相対位置検知システムが、圧子ロッド(22)に配置された2つの電極(35)および前記参照構造体(33)に配置された2つの電極(34)を含み、前記参照構造体(33)に配置された2つの電極(34)の各電極が、前記圧子ロッド(22)に配置された2つの電極(35)のうちの対応するそれぞれの電極に面し、前記電極(33、34)が一対のコンデンサを形成していることを特徴とする、測定ヘッド
【請求項2】
前記トポグラフィ先端具(36)が、弾性片持ち梁(37)に配置され、
前記弾性片持ち梁は、前記トポグラフィ先端具(36)と前記試料との接触を検出するように適合された接触検出器と動作可能に接続されている、請求項1に記載された測定ヘッド。
【請求項3】
前記トポグラフィ先端具(36)は、原子間力顕微鏡の先端具である、請求項1又は請求項2に記載された測定ヘッド。
【請求項4】
前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が、所定の周波数で振動するように構成され、
前記接触検出装置は、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が前記試料の前記表面に接触状態に入ったときに、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の前記所定の周波数からの振動周波数の変化を検出するように適合されている、請求項2及び請求項3に記載された測定ヘッド。
【請求項5】
前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が、所定の振幅で振動するように調整され、
前記接触検出装置は、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)が前記試料の前記表面に接触状態に入ったときに、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の前記所定の振幅からの振幅の変化を検出するように適合されている、請求項2及び請求項3に記載された測定ヘッド。
【請求項6】
前記圧子(26)によって前記試料に加えられる力を制御するために、サーボ制御回路が前記第1のアクチュエータ(20)に接続されている、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項7】
前記第1のアクチュエータ(20)及び前記第2のアクチュエータ(30)の少なくとも1つが、圧電アクチュエータを含む、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項8】
少なくとも1つの光学的視覚システムが、前記測定ヘッドに配置され、前記原子間力顕微鏡の先端具(36)の接触領域及び/又は前記圧子(26)の接触領域の画像を記録するように配置されている、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載された測定ヘッド。
【請求項9】
試料への圧子の押し込み深さを測定する方法において、該方法が、
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載された測定ヘッドを備えたナノインデンテーション器具を準備するステップと、
前記測定ヘッドの下方に試料を位置付けるステップと、
前記トポグラフィ先端具(36)が前記試料と接触状態になるように、前記参照構造体(33)を位置付けるステップと、
前記圧子(26)を前記試料に接触している状態にさせるステップと、
所定時間の間、前記圧子(26)に所定の力を加えるステップと、
前記所定時間が終了したときに、前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するステップと、
前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との前記相対位置の決定に少なくとも部分的に基づき、前記試料への前記圧子(26)の押し込み深さを決定するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記圧子(26)を前記試料に接触している状態にさせる前に、前記トポグラフィ先端具(36)を使用することによって、前記試料の表面を走査して、前記試料の表面のトポグラフィ画像を作成する、請求項に記載された方法。
【請求項11】
前記圧子(26)が前記試料に接触しているときに、前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置を決定するステップをさらに含み、
前記試料への前記圧子の押し込み深さは、前記圧子(26)が前記試料に接触しているときの前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置の決定、及び前記所定時間が終了したときの前記圧子(26)と前記参照構造体(33)との相対位置の決定に少なくとも部分的に基づく、請求項から請求項10までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項12】
前記圧子(26)による圧痕付けの後、前記トポグラフィ先端具(36)を、前記圧子(26)によって生じた前記圧痕の上方に位置付け、
前記圧痕の深さを、前記トポグラフィ先端具が前記圧痕の表面に接触するまで、前記トポグラフィ先端具を降下させることによって決定する、請求項から請求項11までのいずれか一項に記載された方法。
【請求項13】
複数の圧痕を形成して、その後、前記トポグラフィ先端具(36)を、前記複数の圧痕上を走査させ、前記複数の圧痕の深さプロフィールの画像を作成する、請求項から請求項12までのいずれか一項に記載された方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
さらにまた、測定ヘッド側に置かれる別個のトポグラフィ・スキャナが、圧痕付けに関して興味ある領域を識別するために必要であるということによって、圧子の配置の正確さが、数ミクロンに、又は実に数十ミクロンに限定される。別個のトポグラフィ・スキャナによって、試料がスキャナから圧子まで比較的大きく変位するということが当然伴い、圧痕位置を狙う精度が限定される。
従来技術による圧子の他の例が、米国特許出願公開第2008/028840号に記載されている。この文献は、原子間力顕微鏡をインデンテーション測定の参照センサの一部として使用することを記載している。さらに、欧州特許第1482297号に走査型プローブ顕微鏡が記載されている。

【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,685,868号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/028840号明細書
【特許文献3】欧州特許第1482297号明細書
【国際調査報告】