特表2016-522143(P2016-522143A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-522143(P2016-522143A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/06 20060101AFI20160701BHJP
   F02M 27/02 20060101ALI20160701BHJP
   F02M 31/125 20060101ALI20160701BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20160701BHJP
【FI】
   C01B3/06
   F02M27/02 Z
   F02M31/125 Z
   C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-511133(P2016-511133)
(86)(22)【出願日】2014年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月2日
(86)【国際出願番号】GB2014051360
(87)【国際公開番号】WO2014177879
(87)【国際公開日】20141106
(31)【優先権主張番号】1308038.7
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーマジン,ハリー
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140AB01
(57)【要約】
燃料生成流体及び燃料生成物質が合わせられて燃料を生成するときの反応を提供するための反応室と、各室が別々に破裂可能な複数の離散燃料生成流体室と、燃料生成流体を反応室に供給するために選択的に燃料生成流体室を使用時に破裂させるように適合されたヒーターアセンブリと、を備える、燃料供給装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給装置であって、
燃料生成流体及び燃料生成物質が合わせられて燃料を生成するときの反応を提供するための反応室と、
複数の離散燃料生成流体室であって、それぞれが別々に破裂可能である、離散燃料生成流体室と、
燃料生成流体を前記反応室に供給するために、前記燃料生成流体室を使用時に選択的に破裂させるように適合されたヒーターアセンブリと、を備える、前記燃料供給装置。
【請求項2】
前記燃料生成流体は活性化流体を含み、前記燃料生成物質は燃料源を含み、前記活性化流体と前記燃料源との間の前記反応が燃料を生成する、請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記ヒーターアセンブリは、各燃料生成流体室が加熱のために少なくとも1つのヒーターと関連付けられ、それにより、前記燃料生成流体室を破裂させるように配置された複数のヒーターを備える、請求項1または2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記ヒーターは前記複数の離散燃料生成流体室の一部を形成する、請求項3に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記ヒーターは前記燃料供給装置の一部上に形成され、前記ヒーターは選択的に活性化され、前記複数の離散燃料生成流体室に隣接して配置されることが可能なように構成されている、請求項3に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記離散燃料生成流体室は、シートに形成された複数の封印袋を備え、各袋は燃料生成流体を含み、別々に破裂可能である、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項7】
前記シートは少なくとも2つの層のものであり、前記2つの層は局所化された部分において互いに封印されて前記複数の袋を画定する、請求項6に記載の燃料供給装置。
【請求項8】
前記ヒーターアセンブリは前記フィルムシート上に印刷される、請求項6または7に記載の燃料供給装置。
【請求項9】
前記ヒーターアセンブリは前記燃料供給装置にそこから電力を受電するために電気的に接続するための電力受電端子を含む、請求項4または8に記載の燃料供給装置。
【請求項10】
前記ヒーターアセンブリは、前記燃料生成流体を加熱し、また、前記燃料生成流体室を破裂させるように構成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項11】
前記装置は、燃料生成流体が前記反応室に導入される速度を制御するための流体流れ制御デバイスを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項12】
前記流体流れ制御デバイスは、前記燃料生成流体室と前記反応室との間に吸収層を備える、請求項11に記載の燃料供給装置。
【請求項13】
各ヒーターは2つの端子、共通端子と個々の端子、を有し、前記共通端子のそれぞれは共通共用導体と接続され、前記ヒーターの各々1つは前記共用導体とその個々の端子との間に電力を供給することによって活性化されるように構成されている、請求項1〜12のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項14】
前記燃料生成流体室及び関連付けられたヒーターが格子に配置され、前記格子は行及び列を含み、各行について共用導体を、また各列について共用導体を含み、前記ヒーターはそれらが位置付けされている前記行についての前記共用導体に接続され、かつそれらが位置付けされている前記列についての前記共用導体に接続され、前記格子が、特定のヒーターがその行の前記共用導体とその列の前記共用導体との間に電力を供給することによって活性化されることが可能であるように構成されている、請求項1〜13のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項15】
前記燃料供給装置は、前記室内の前記燃料生成流体に圧力を適用するための燃料生成流体室加圧アセンブリを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項16】
前記加圧アセンブリは前記室を物理的に押圧するための付勢部材を備える、請求項15に記載の燃料供給装置。
【請求項17】
前記加圧アセンブリは、前記室が中に形成されるフィルムシートを張り渡すための取り付け具を備える、請求項15に記載の燃料供給装置。
【請求項18】
前記燃料供給装置は、燃料に関する需要を監視し、前記監視された需要に応答して少なくとも1つの燃料生成流体室を破裂させるように構成されたコントローラを含む、請求項1〜17のいずれかに記載の燃料供給装置。
【請求項19】
前記燃料供給装置は、水素燃料供給装置である、請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の前記燃料供給装置と共に使用されるように構成された燃料貯蔵庫であって、前記燃料貯蔵庫は複数の離散燃料生成流体室を含み、各流体室は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である、前記燃料貯蔵庫。
【請求項21】
前記離散燃料生成流体室はシート上に形成された複数の封印袋を備え、各袋は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である、請求項20に記載の燃料貯蔵庫。
【請求項22】
前記シートは少なくとも2つのフィルム層のものであり、前記層は局所化された部分において互いに封印されて前記複数の袋を画定する、請求項21に記載の燃料貯蔵庫。
【請求項23】
前記燃料貯蔵庫は複数のヒーターを備えるヒーターアセンブリを含み、各燃料生成流体室は少なくとも1つのヒーターと関連付けられている、請求項20から22のいずれかに記載の燃料貯蔵庫。
【請求項24】
燃料セル内で使用するための燃料を供給する方法であって、
複数の離散燃料生成流体室であって、それぞれが燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である、燃料生成流体室を提供するステップと、
前記燃料生成流体との組み合わせにおいて、燃料を生成可能である燃料生成物質を提供するステップと、
前記燃料を生成するために、少なくとも1つの燃料生成流体室を破裂させて前記燃料生成流体を前記燃料生成物質へ移送するステップと、を含む、前記方法。
【請求項25】
本願に記述され、図面の図1から5において図解される燃料供給装置。
【請求項26】
本願に記述され、図面の図1から5において図解される燃料貯蔵庫。
【請求項27】
本願に記述され、図面の図6において図解される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は燃料供給装置に関する。特に、電気化学燃料セルに関する水素供給装置に関する。本発明は燃料供給装置のための燃料貯蔵庫及び燃料供給の方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
燃料供給装置は、電力を生成するために水素を使用する電気化学燃料セル等の水素消費デバイスに対して水素を燃料として供給するために有用である。水素の安全で制御可能な源を有することは望ましい。
【0003】
燃料供給装置の既知のタイプは、水溶液の活性化流体または水室から供給される水との、反応室内に収容される安定化アルカリ金属材料等の反応物質燃料材料との反応により、需要により水素を放出する水素ガス供給装置を備える。活性化流体が反応室内へ供給されるにつれ、水素ガスが生成され、燃料セルによる消費のために出口を通して抜き出されることが可能である。反応室内への活性化流体の流れを制御するためのポンプ及び弁を含むことは前述の装置にとって共通的である。
【0004】
燃料供給装置内の反応が、需要に合わせて十分な水素が生成されることを確保するように容易に制御されることは重要である。燃料供給装置が信頼でき、容易に製造できることも重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様に従い、燃料供給装置が提供され、この燃料供給装置は、
燃料を生成するために燃料生成流体及び燃料生成物質が合わせられたときの反応を提供するための反応室と、
各室が別々に破裂可能である複数の離散燃料生成流体室と、
燃料生成流体を反応室に供給するための燃料生成流体室を使用時に選択的に破裂させるように適合されたヒーターアセンブリと、を備える。
【0006】
本装置は、燃料生成流体を反応室に提供するために、流体室を選択的に破裂させるようにヒーターアセンブリを活性化可能であるため、これは長所である。
【0007】
好ましくは、燃料生成流体は活性化流体を含み、燃料生成物質は燃料源を含む。室が使用中に破裂させられたときに燃料を生成するために反応室内において活性化流体及び燃料源が互いに反応可能であることは長所である。代替的に、燃料を生成するために、燃料生成流体は燃料源流体を含み、第2の燃料生成物質は燃料源流体の触媒作用のための触媒を含んでもよい。燃料生成流体室が破裂されたとき、燃料源流体が流れて触媒と会い、反応室内において燃料を生成するため、これは長所である。
【0008】
ヒーターアセンブリは、各燃料生成流体室が加熱のため、そしてそれによる前述の燃料生成流体室の破裂のための少なくとも1つのヒーターと関連付けられるように配置された、複数のヒーターを備えてよい。
【0009】
ヒーターは、複数の離散燃料生成流体室の一部を形成し得る。
代替的に、ヒーターは燃料供給装置の一部上に形成され、複数の離散燃料生成流体室に隣接して配置され、そして選択的に活性化可能であるように構成されてよい。燃料生成流体室は、それぞれ少なくとも1つのヒーターと関連付けられてよい。
【0010】
離散燃料生成流体室は、複数の封印袋を備えてよい。袋はシートに形成されてよく、各袋は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である。特に、シートは少なくとも2つのフィルム層のものであってよく、層は局所化された部分において互いに封印され、複数の袋を画定する。
【0011】
ヒーターアセンブリはフィルムシート上に印刷されてよい。
ヒーターアセンブリは、燃料供給装置にそこから電力を受電するために電気的に接続するための電力受電端子を含んでよい。
【0012】
ヒーターアセンブリは、燃料生成流体を加熱するように構成されてもよい。加熱された燃料生成流体は、例えば、水素を生産するための反応を支援してよい。特に、ヒーターは、離散室を破裂させ、その中の燃料生成流体を気化させるように構成されてよい。
【0013】
燃料供給装置は、燃料生成流体が反応室に導入される速度を制御するための流れ制御デバイスを含んでよい。流れ制御デバイスは、燃料生成流体が燃料源に到達する速度を制御するために、離散室と反応室間に吸収層を備えてよい。
【0014】
各ヒーターは2つの端子、共通端子及び個々の端子、を有してよく、共通端子のそれぞれは共通共用導体と接続され、ヒーターは、共用導体とその個々の端子との間に電力を供給することによってヒーターが活性化可能なように構成される。
【0015】
燃料生成流体室及び関連付けられたヒーターは格子に配置されてよく、格子は行及び列を備え、各行について共用導体を、また各列について共用導体を含み、ヒーターは、それらが位置付けされている行についての共用導体と接続され、かつそれらが位置付けされている列についての共用導体と接続され、格子がその行の共用導体とその列の共用導体との間に電力を供給することによって特定ヒーターが活性化可能であるように構成される。
【0016】
燃料供給装置は、室内の燃料生成流体に対して圧力を適用するための燃料生成流体室加圧アセンブリを含んでよい。加圧アセンブリは、室を物理的に押圧する付勢部材、室が形成されるフィルムシートを張り渡すための取り付け具を備えてよく、あるいは、室自体が、室が形成されるフィルムシートを流体圧力が弾性的に張り渡すように充填されてもよい。各室への圧力の適用は、一旦破裂させられると室からの燃料生成流体の効率的射出を援助するという長所がある。
【0017】
燃料供給装置は、燃料に対する需要を監視し、監視された需要に応答して、少なくとも1つの燃料生成流体室を破裂させるように構成されたコントローラを含んでよい。
【0018】
燃料供給装置は水素燃料供給装置であってよい。燃料生成流体は水または水溶液であってよい。反応室は燃料生成物質を含んでよい。燃料生成物質は、安定化アルカリ金属材料を含んでよい。燃料生成物質は、固体、粉末、粒状、または他の乾燥形態であってよい。
【0019】
発明のさらなる態様に従うと、発明の第1の態様の燃料供給装置で使用するための流体貯蔵庫が提供され、流体貯蔵庫は複数の離散燃料生成流体室を備え、各燃料生成流体室は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である。
【0020】
離散燃料生成流体室は、シート上に形成された複数の封印袋を備えてよく、各袋は活性化流体等の燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である。特に、シートは少なくとも2つのフィルム層のものであってよく、層は局所化された部分において互いに封印されて複数の袋を画定する。これは、柔軟シートが、燃料供給装置内に合うように様々に構成されて配置されることが可能である点が長所である。
【0021】
燃料貯蔵庫は、複数のヒーターを備えるヒーターアセンブリを含んでよく、各燃料生成流体室は少なくとも1つのヒーターと関連付けられている。
【0022】
ヒーターアセンブリはフィルムシート上に印刷されてよい。
ヒーターアセンブリは、燃料供給装置にそこから電力を受電するために電気的に接続するための電力受電端子を含んでよい。
【0023】
ヒーターは、燃料生成流体を加熱するように構成されてもよい。特に、ヒーターは室を破裂させ、その中の流体を気化するように構成されてもよい。
【0024】
発明のさらなる態様に従うと、燃料セル内で使用するための燃料を供給する方法が提供され、この方法は、
各流体室は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である、複数の離散燃料生成流体室を提供するステップと、
燃料生成流体と組み合わされて燃料を生成可能である燃料生成物質を提供するステップと、
燃料を生成するために燃料生成流体を燃料生成物質に移送するために、少なくとも1つの燃料生成流体室を破裂させるステップと、を含む。
【0025】
例のみとして、付属図面を参照してここで説明が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】発明の燃料供給装置の実施形態例の図式を示す。
図2図1に示される燃料生成流体室の1つを示す。
図3】燃料生成流体室の配列の実施形態を図解する。
図4】燃料生成流体室の配列のさらなる実施形態を図解する。
図5】燃料生成流体室の配列のさらなる別の実施形態を図解する。
図6】発明の方法の実施形態例を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
燃料供給装置100の断面の実施形態の図式が図1に示されている。この実施形態例の装置は、燃料生成流体(活性化流体)と燃料生成物質(燃料源)間の反応を使用する。装置100は燃料源102を収容する反応室101を含み、これは活性化流体で活性化され、燃料を生成することが可能である。この実施形態では、あらゆる他の燃料源102(水素生成またはその他)が使用されることが可能であるが、燃料源102は水素化ホウ素ナトリウムを含む。装置100は複数の離散燃料生成流体室103a〜dをさらに備え、それぞれが活性化流体を収容し、それ故、以後活性化流体室として参照される。この実施形態では、あらゆる他の好適流体が可能であるが、活性化流体は水である。複数のヒーター104a〜dを備えるヒーターアセンブリが提供される。ヒーター104a〜dは、それらが関連付けられている活性化流体室103a〜dを破裂させるように選択的に活性化可能である。一旦破裂されると、活性化流体はその室から流れて燃料源102と反応可能である。このように、この例では、水性活性化流体は水酸化ホウ素ナトリウムと反応し、水素を生成して電気化学燃料セルに燃料を供給する。
【0028】
この実施形態では、各活性化流体室103a〜dは1つのヒーター104a〜dと関連付けられる。活性化流体室は2つのフィルム層を備えるフィルムシート105に形成され、例えば二重皮ポリエステルフィルムである。層は局所化された部分106において互いに封印され、活性化流体室103a〜dを画定する。室103a〜dはこのようにして、フィルムシート105において袋またはポケットの形態をとり、活性化流体で満たされる。袋103a〜dは、図1に示されるように、封印フィルムの境界に取り囲まれて並んで配置されてもよく、または、離散室を分離するための境界及び内部分離壁、または狭い封印帯なしで、互いに直接隣接されてもよい。室は格子のような反復される幾何学模様で配置されてもよく、あるいはシート上にランダムにあるいはあらゆる他の配置でもよい。さらに、シート105は実質的に平面構成で配置されてもよく、あるいは、折り畳まれ、多重に折り畳まれ、または丸められ、またはあらゆる好適な形状に配置されてもよい。いくつかのシート105が提供されてもよい。
【0029】
燃料源102は、帯内に、またはシート105の配置に対応し得るエリアにわたって配置されてもよい。代替的には、装置100は、室103a〜dから放出された活性化流体を反応室に向けるための、または燃料源102との反応のために反応室を通る水路を含んでもよい。図1の実施形態において、活性化流体が燃料源102に導入される速度を制御するための活性化流体流れ制御デバイス107が示されている。これは水素燃料の安定した放出を達成し、反応速度、燃料圧力及び/または熱生成における尖頭をさけるために有用であり得る。活性化流体流れ制御デバイス107は袋103a〜dと燃料源102の間に吸収層を備える。活性化流体が袋103a〜dから放出されると、吸収層107によって吸収され、その後に、層107を浸透するにつれ、安定した速度で燃料源102との接触へと放出される。このように、袋104a〜dの選択的破裂は活性化流体の流れの制御のための一次的手段を提供し、活性化流体流れ制御デバイス107は二次的手段を提供する。袋104a〜dの破裂は入手可能な合計活性化流体の事前決定量を放出し、活性化流体流れ制御デバイス107は、事前決定量が燃料源102へ導入される速度を制御する。
【0030】
活性化流体の流れを制御するための他の手段も使用され得、例えば、流れ制限装置、弁、またはより小さな(及びおそらくより数の多い)活性化流体室の使用である。代替的に、活性化流体流れ制御デバイス107は全然提供されなくてもよい。
【0031】
ヒーター104a〜dは、活性化流体室103a〜dの外側表面上に形成されてもよい。代替的には、ヒーターは内部表面上または室内に形成されてもよい。ヒーター104a〜dは、ヒーター104a〜dを活性化するための電力を受電するための接続を含む。シート105は事前決定場所において接続を含んでもよく、それにより、装置100内の電力提供端子(示されない)は組み立てられたときに接触可能である。接続の配置は、以下により詳細に論議される。
【0032】
ヒーターは、活性化流体と接触して、袋103a〜dの層の内部表面に印刷または添付されてもよく、あるいは、袋の層の外部表面に印刷または添付されてもよい。ヒーターは袋103a〜d内へ伸びてもよい。さらに、ヒーターは装置の一部上に形成されてもよく、また室103a〜dは関連付けられたヒーターに対して取り付けされるように配置されてもよい。
【0033】
袋103a〜d内の活性化流体は、シート105の弾性によりふるわれる圧力の下でその中に貯蔵されてもよい。このように、関連付けられたヒーター104a〜dが袋を溶解すると、活性化流体は破裂した袋103a〜dから強制的にはじき出される。代替的にまたは追加として、室加圧アセンブリを使用して活性化流体室103a〜dが破れたときに活性化流体がそこを立ち去ることを促すように使用されてもよい。この実施形態では、室加圧アセンブリ108は室103a〜dと接触して物理的圧力をふるうように配置された発泡層を備える(層108は分かりやすくするために図1においては室103a〜dから離れて示されている)。代替的に、室加圧アセンブリ108は、室103a〜dを挟む複数の表面を備えてよい。表面は弾力的または堅固であってもよく、また装置100または反応室101の表面を備えてもよい(または部分的に表面を備える)。室加圧アセンブリ108はシート105の緊張を維持する取り付け具またはクランプ等の、シート105を張り渡すための手段を代替的に備えてもよい。
【0034】
図2は、活性化流体室103aの1つの実施形態の平面図を示す。活性化流体室103a〜dのすべてまたは一部は同一構成を有し得ることは理解されるであろう。活性化流体室103aは活性化流体を収容し、フィルムシート105の層の1つの外部表面上に印刷されたヒーター104aを含む。ヒーター104aは、抵抗型ヒーター要素200a及び電力を受電してヒーター要素200aの加熱を生じさせるための2つの接続201a、202aを備える。ヒーター要素200aは、この実施形態においては曲がりくねった抵抗型トラックを備える、しかしながら、ヒーター要素200aは他の形態もとることができる。ヒーター要素200aは、室103aの小点にわたってまたはその全表面にわたって、あるいは中間のエリアにおいて活動するように構成されてもよい。フィルムシートを局所的に加熱してその中に溶融して穴を作り、活性化流体を放出するように配置されてもよい。代替的に、活性化流体を加熱し、室103a内の内部圧力が破裂を生じさせて活性化流体を放出するように活性化流体を加熱するように配置されてもよい。ヒーター要素200aの配置は、活性化流体がどのように放出されるか、すなわち活性化流体の放出速度及び状態、に影響し、これは装置100の意図された使用に合うように選択されることが可能であることは理解されるであろう。このように、ヒーターは、蒸気またはガスとして反応室101へ流れるように、部分的にまたは完全に気化するように十分に活性化流体を加熱するように(約100℃が可能)配置されてもよい。
【0035】
接続201a、202aは装置内の端子に接続されてもよく、これは電流を接続に適用してヒーターを加熱し、室103aを破裂させる。電流はパルスとして適用されてもよい。パルスのプロフィルは、シート105を溶解する穴のサイズに影響する。短いパルスはより小さい穴を作り、一方より長いパルスはより大きな穴を作る。穴のサイズは活性化流体が室103aを離れる速度に影響する。
【0036】
図3は、帯内に並べられた4つの活性化流体室103a〜dの配置例を示す。ヒーター要素300a〜dは箱として表現される。各ヒーター要素は接続ペア201a〜d、202a〜dを含み、これはそれぞれ装置100内の対応する端子と接続してもよい。装置に関連付けられたコントローラ(示されない)は、それ故、電力を端子に選択的に適用し、ヒーター要素300a〜dの1つ以上を活性化し、したがって、選択的に室103a〜dのそれぞれを破裂させることが可能である。
【0037】
図4は、帯内に並べられた4つの活性化流体室403a〜dの配置例を示す。この実施形態においては、接続は異なって配置されている。各ヒーターは、共通端子接続401a〜d及び個々の端子接続402a〜dを含む。配置は共用接続410を含み、これは各ヒーター要素400a〜dの共通端子接続401a〜dと接続される。ポイント411における共用接続端子は、帯内の第1室403a上に本実施形態においては位置決めされている。各ヒーター要素400a〜bの個々の接続402a〜dは、室103a〜dのそれぞれの上に存在する。このように、各室403a〜dを破裂させるには、室403a〜dのどれを破裂させているかにより、コントローラは共用接続410と1つ以上の第2の個々の接続402a〜d間に電力を適用する。
【0038】
図5は、9つの活性化流体室503a〜iの配置例を示し、それぞれが格子内で関連付けられたヒーター500a〜iと共にある。接続配置は、室及びヒーターの行523、524、525のそれぞれについて共用接続520、521、522を備える。接続配置はさらに室及びヒーターの列533、534、535のそれぞれについて共用接続530、531、532を備える。共用接続は、装置100の端子との接続のためにポイント526、527、528及び536、537、538において終端する。各ヒーター要素は2つの接続を有し、そのうちの1つはそれが中にある行についての共用接続と接続され、他方はそれが中にある列についての共用接続に接続される。このように、ヒーター要素500aは共用接続520及び530に接続される。ヒーター要素500bは共用接続520及び531等に、及びヒーター要素500i、これは共用接続522及び532間に接続される、と接続される。このように、特定室503a〜dを破裂させるには、コントローラは、ヒーター要素が位置決めされている行及び列に相当する共用接続の終端ポイントへ電力を適用する。このように、第2行及び第2列内にある室503eを破裂させるには、コントローラは第2行共用接続521及び第2列共用接続531間に電力を適用する。
【0039】
使用時において、装置100は燃料源102及び室103a〜d、403a〜d、503a〜d内に収容される活性化流体を含む。装置100は燃料セルに接続され、これは装置100から水素燃料の供給を必要とする。水素が必要とされると、これは装置内の圧力を維持することによって検出され得るが(燃料セルによって水素が引き抜かれるにつれ降下する)、コントローラは室103a〜d、403a〜d、503a〜dを選択的に破裂させ、ある量の活性化流体を放出して燃料源102と反応させ得る。本実施形態においては、ヒーター要素200a〜d、300a〜d、400a〜d、500a〜iは、水素が必要とされるにつれて順番に活性化される。このように、電力のパルスが今度は各室に適用されてその表面に穴を溶融させ、その中の活性化流体を放出する。他の実施形態においては、いくつかの室が、燃料に関する需要に基づいて同時に破裂させられてもよい。図1の実施形態において、活性化流体は活性化流体流れ制御デバイス107により受容され、これが活性化流体を吸収し、それを、破裂させられた室103a〜dから受容されたより遅い速度で放出する。次に活性化流体は燃料源102と反応し、または反応室101に流され、燃料源102と反応し、水素燃料を生成する。
【0040】
さらなる実施形態においては、コントローラはヒーターに対して十分なエネルギーを適用するように構成され、室を破裂させ、その中の活性化流体を気化する。活性化流体はこのようにして燃料源102に移動し、そこで蒸気またはガスとして反応する。これは反応をより効率的にし得る。さらに、ヒーターに供給される電力レベルは、活性化流体の加熱及びその後の室の破裂をもたらすように制御されてよい。例えば、第1の電力レベルは活性化流体を加熱するために適用され、続いてより高い電力レベル(これは電力中の尖頭であり得る)が続き、室を破裂させる。
【0041】
離散型で、別々に破裂可能な室内の活性化流体の配置は、室の関連数のみを破裂させることによって放出される活性化流体の量をコントローラが制御することを可能とする故に長所である。
【0042】
袋はフィルムの多数層から形成されてよく、これは一定層間の燃料生成物質及び他の層間のヒーター及び接続をカプセル化し得る。ヒーターの導体は、袋間の境界内に延びるように配置されてよい。ヒーターは袋上の単一ポイントまたは多数ポイント上で活動してよく、これは燃料生成流体の放出の速度を制御するために使用されることが可能である。ヒーターは作動時及び袋の破裂時に破壊されてもよく、または再使用可能であってもよい。袋の寸法及び数によって燃料生成の速度を制御可能であり、このようにして、特定用途の電力要件に合わせる。
【0043】
さらなる実施形態において(示されない)、燃料生成流体はホウ化水素ナトリウム溶液等の燃料源流体を含む。反応室内に位置決めされてよい燃料生成物質は、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、またはプラチナ等の触媒を備える。このように、この実施形態においては、燃料生成流体と燃料生成物質間の反応ではなく、燃料生成物質は燃料生成流体からの燃料の生成を触媒処理する。したがって、使用時において、ホウ化水素ナトリウム溶液は、燃料生成流体室から放出され、反応室内の触媒と出会い、これはホウ化水素ナトリウム溶液からの水素燃料の生成を触媒処理する。他の触媒との組み合わせにおける他の燃料生成流体も使用し得ることは理解されるであろう。
【0044】
図6は、発明の実施形態例を図解する流れ図を示す。ステップ601は、複数の離散燃料生成流体室の提供を図解し、各流体室は燃料生成流体を収容し、別々に破裂可能である。ステップ602は、燃料生成流体との組み合わせで燃料を生成可能な燃料生成物質の提供を図解する。ステップ603は燃料を生成するために、流体を燃料生成物質に移送するために少なくとも1つの燃料生成流体室を破裂させることを図解する。
【0045】
反対の意図が明確でない限り、1つの例に関して記述された特徴は、別の例に関して記述された特徴と組み合わせてよいことは理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】