特表2016-522462(P2016-522462A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-522462圧力調整器および弁を含む燃料電池システムに適した流体構成要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-522462(P2016-522462A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(54)【発明の名称】圧力調整器および弁を含む燃料電池システムに適した流体構成要素
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/06 20060101AFI20160701BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20160701BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20160701BHJP
   F16K 31/68 20060101ALI20160701BHJP
   F16K 31/70 20060101ALI20160701BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20160701BHJP
【FI】
   G05D16/06 Z
   H01M8/04 N
   F16K7/17 B
   F16K31/68 Z
   F16K31/70 B
   H01M8/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-501208(P2016-501208)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014023333
(87)【国際公開番号】WO2014150467
(87)【国際公開日】20140925
(31)【優先権主張番号】13/832,528
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】クレロ、アンドリュー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スパー、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラス、カート
【テーマコード(参考)】
3H057
5H026
5H127
5H316
【Fターム(参考)】
3H057BB47
3H057CC04
3H057DD03
3H057DD05
3H057DD13
3H057HH05
3H057HH11
5H026AA06
5H026AA08
5H127AA06
5H127AA09
5H127AB05
5H127BA01
5H127BA02
5H127BA03
5H127BA16
5H127BA24
5H127BA60
5H127EE19
5H316AA03
5H316BB01
5H316DD02
5H316EE01
5H316EE09
5H316HH15
5H316JJ01
5H316KK02
(57)【要約】
本発明は流体流れおよび圧力を制御するための装置を対象とし、調節可能な圧力調整器、流入制限器および半自動弁を備える圧力調整器、ならびにバイパス弁を備える圧力調整器を含む。調節可能な圧力調整器は、可動シャトル、シャトル筐体、高圧ダイヤフラム、低圧ダイヤフラム、および入口を出口に連結する流体導管を有する。これらの構成要素の1つまたは複数は、調整器の出口圧力を修正するために調節される。流入制限器により、流入流体は流入流体の圧力が閾値レベルより高いときに圧力調整器に入ることができる。流入制限器の位置付けを使用して、不完全真空が圧力調整器の内部に形成されるのを防止できる。半自動弁は手動で開くが、弁を通って流れる流体が弁を開けたままにするには不十分であるときに自動的に閉じる。また半自動弁は半自動電気スイッチであることが可能である。バイパス弁は、流れが遅いとき、または低圧を有するときに圧力調整器を迂回するように流れを方向付ける。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ダイヤフラムと低圧ダイヤフラムとの間に配置された可動シャトルと、
前記シャトルを収納するシャトル筐体と、
圧力調整器の前記構成要素の少なくとも1つは前記圧力調整器の出口圧力を変更するために調節可能である導管と
を備え、
前記導管は入口を出口に連結し、前記高圧ダイヤフラムは前記入口の近位に配置され、
前記低圧ダイヤフラムは前記出口の近位に配置される、
圧力調整器。
【請求項2】
前記シャトルは高圧端部および低圧端部を備え、前記低圧端部は中心部および複数の同心円リングを備え、多数のリングは前記中心部に連結されるように選択されて前記低圧端部の可動面積を決定する、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項3】
前記シャトル筐体に連結された少なくとも1つの可動アームをさらに備え、前記少なくとも1つの可動アームは前記中心部に連結される前記リングを選択するために移動される、請求項2に記載の圧力調整器。
【請求項4】
前記シャトル筐体に連結された可動部材をさらに備え、前記可動部材を前記低圧ダイヤフラムまたは前記高圧ダイヤフラムのいずれかに接触するように移動させて、屈曲できる前記接触されたダイヤフラムの面積を決定する、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項5】
前記シャトルはステムおよび低圧基部を備え、前記ステムは前記シャトルの長さを変更するために前記低圧基部に対して可動である、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項6】
前記入口を前記出口に連結する前記導管に連結された流量制限器をさらに備える、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項7】
前記圧力調整器の前記出口と、前記圧力調整器を通って運ばれる流体の受領部の流体ポートとの間に位置付けられた流量制限器をさらに備える、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項8】
前記シャトル筐体は、前記シャトル筐体の長さを変更するために互いに対して可動の第1の半体および第2の半体を備える、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項9】
前記高圧ダイヤフラムと前記シャトル筐体に連結された少なくとも1つの可動アームとの間に配置された複数の同心円リングをさらに備え、前記少なくとも1つの可動アームを移動させて、屈曲する前記高圧ダイヤフラムの面積を決定するのを妨げるためにリングの数を選択する、請求項1に記載の圧力調整器。
【請求項10】
入口および出口を有する圧力調整器であって、
流量制限器は前記圧力調整器に流体連結され、
流体は前記入口から入口圧力で入り、前記出口から出口圧力で出て、
前記入口圧力は前記出口圧力より高く、
前記流量制限器により、前記流体または第2の流体は前記流体の圧力が前記流量制限器の閾値圧力より高いときに通過できる、
圧力調整器。
【請求項11】
前記流量制限器は安全弁を備える、請求項10に記載の圧力調整器。
【請求項12】
前記流量制限器は前記圧力調整器の前記出口を大気に流体連結し、前記第2の流体が空気を含むことにより、空気は前記流量制限器を通過し前記圧力調整器に入って、前記圧力調整器内の不完全真空を防止することができる、請求項11に記載の圧力調整器。
【請求項13】
前記流量制限器が前記圧力調整器の前記入口に流体連結されることにより、前記流体は前記流体の圧力が前記流量制限器の閾値圧力を超えるときに前記圧力調整器に入ることができる、請求項11に記載の圧力調整器。
【請求項14】
前記流量制限器はバイパス弁を備える、請求項10に記載の圧力調整器。
【請求項15】
前記バイパス弁が前記圧力調整器の前記入口に流体連結されることにより、前記流体は前記流体の圧力が前記バイパス弁の閾値圧力を超えるときに前記圧力調整器に入ることができ、前記流体は前記流体の圧力が前記バイパス弁の閾値圧力より低いときに前記バイパス弁に入ることができる、請求項14に記載の圧力調整器。
【請求項16】
前記バイパス弁は、前記流体の圧力が前記バイパス弁の閾値圧力を超えるときに閉じる、請求項15に記載の圧力調整器。
【請求項17】
前記バイパス弁は弁座に連結されたダイヤフラムを備え、前記流体の圧力は前記バイパス弁の閾値圧力を超え、前記ダイヤフラムは前記弁座を封止位置に移動させる、請求項15に記載の圧力調整器。
【請求項18】
入口および出口と、
前記入口に流体連結され、前記入口と前記出口との間に配置されたチャンバと、
ダイヤフラムに連結された可動シャトルであって、前記シャトルは弁座およびステムを備える、可動シャトルと
を備え、
閉構成において前記チャンバは前記出口から流体上隔離され、前記弁座は前記弁内の封止表面を有する封止を確立し、開構成において前記入口、前記チャンバおよび前記出口は互いに流体連結され、前記弁座は前記封止表面から離間され、
前記シャトルは前記弁を前記開構成に移動させるために手動で作動され、前記弁を通る流れの圧力が少なくとも前記ダイヤフラムによって加えられた圧力より小さいときに、前記弁は前記閉構成に移動される、
弁。
【請求項19】
前記開位置において前記ダイヤフラムを付勢するように配置されたバネをさらに備える、請求項18に記載の弁。
【請求項20】
前記開構成において前記弁は電気スイッチを閉じる、請求項18に記載の弁。
【請求項21】
圧力調整器であって、
高圧ダイヤフラムと低圧ダイヤフラムとの間に配置された可動シャトルと、
前記シャトルを収納するシャトル筐体と、
入口を出口に連結する導管であって、前記高圧ダイヤフラムは前記入口の近位に配置され、前記低圧ダイヤフラムは前記出口の近位に配置される、導管と
を備え、
前記圧力調整器は前記圧力調整器内に配置された温度感知構成要素をさらに備えることにより、前記圧力調整器の温度が所定のレベルに達したとき、前記温度感知構成要素は前記圧力調整器を動作不能にさせるためにその形状を変える、
圧力調整器。
【請求項22】
前記温度感知構成要素は形状記憶合金部材、ワックスまたは前記所定の温度に近い沸点を有する液体を含む、請求項21に記載の圧力調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に燃料カートリッジを様々な燃料電池システムおよび燃料詰替装置に連結する流体構成要素に関する。特に本発明は、燃料カートリッジから比較的高圧で燃料を取り込み、出力圧力を燃料電池および燃料詰替装置に受容可能なレベルに調整する圧力調整器に関する。より詳細には、本発明は、とりわけ調節可能な圧力調整器、ならびに流入制限器を備えた、またはバイパス弁および半自動弁を備えた圧力調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、反応物質の化学エネルギー、すなわち燃料および酸化剤を直流(DC)電流に直接変換する装置である。概して燃料電池技術には、アルカリ燃料電池、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融塩炭酸形燃料電池、固体酸化物形燃料電池および酵素燃料電池などの様々な異なる燃料電池が含まれる。燃料電池は概して水素( H2)燃料を燃料とし、かつ非純水素燃料も使用できる。非純水素燃料電池には、メタノールを使用する直接メタノール形燃料電池(DMFC)、または炭化水素を高温で使用する固体酸化物形燃料電池(SOFC)などの直接酸化形燃料電池が含まれる。水素燃料を圧縮した形で保管でき、あるいはアルコールもしくは炭化水素または水素燃料および副産物に改質もしくは変換できる他の水素含有物質などの化合物内に保管できる。また水素は、水またはアルコールと反応して水素および副産物を生成する、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)などのケミカルハイドライドに保管できる。また水素を第1の圧力および温度でランタン・ペンタニッケル(LaNi5)などの金属水素化物内で吸着または吸収することができ、第2の圧力および温度で燃料電池に燃料を入れるために放出することができる。
【0003】
ほとんどの水素燃料電池はプロトン交換膜または高分子電解質膜(PEM)を有し、プロトン交換膜または高分子電解質膜(PEM)は水素のプロトンを通過させることができるが、電子を外部回路に通過させる。外部回路は有利なことに携帯電話、個人デジタル端末(PDA)、コンピュータ、電動工具、または電子流もしくは電流を使用するあらゆる装置であることが可能である。燃料電池の反応は以下のように表すことができる。
燃料電池のアノードにおける半反応:
H2→2H++2e−
燃料電池のキャソードにおける半反応:
2(2H++2e−)+O2→2H2O
【0004】
概してPEMはDuPontから市販されているナフィオン(Nafion)(登録商標)などの高分子から作成され、ナフィオンは約0.05mm〜約0.50mmの範囲の厚さまたは他の適切な膜を有するパーフルオロ化スルホン酸ポリマーである。アノードは、通常その上に堆積された白金ルテニウムなどの触媒の薄層で担持されたテフロンカーボン紙から作成される。キャソードは、通常白金粒子が膜の片面に接着されたガス拡散電極である。
【0005】
DMFCについては、各電極における化学電気反応および直接メタノール形燃料電池に対する全反応は以下のように説明される。
アノードにおける半反応:
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e−
キャソードにおける半反応:
1.5O2+6H++6e−→3H2O
燃料電池の全反応:
CH3OH+1.5O2→CO2+2H2O
DMFCは米国特許第4,390,603号および第4,828,941号に論じられており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
化学金属水素燃料電池内で、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムは以下のように改質され反応する。
NaBH4+2H2O→(加熱および/または触媒)→4(H2)+(NaBO2)
この反応に適切な触媒には白金およびルテニウムならびに他の金属が含まれる。水素化ホウ素ナトリウムの改質から生成される水素燃料を燃料電池内でO2などの酸化剤と反応させて、上に示された電気(または電子流)および副生成水を生成する。また副生成ホウ砂(NaBO2)も変質プロセスによって生成される。水素化ホウ素ナトリウム燃料電池は米国特許第4,261,956号に論じられており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料カートリッジまたは燃料貯蔵容器から燃料電池システム、燃料詰替装置および燃料電池が電力供給した装置への燃料の流れを制御または調整する、圧力調整器および他の流体流れ制御装置が必要とされている。公知の技術は様々な圧力調整器および流れ制御装置を開示している。しかし改良型の圧力調整器および流れ制御装置が必要とされている。ある程度までこの必要性は、共同所有の米国特許第8,002,853号およびその子孫の米国特許出願公開第2010/0104481号、第2011/0189574号および第2011/0212374号によって対処されてきた。これらの特許文献はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、可動シャトル、シャトル筐体、高圧ダイヤフラム、低圧ダイヤフラムおよび入口を出口に連結する流体導管を備える、調節可能な圧力調整器を対象とする。これらの構成要素の1つまたは複数は、調整器の出口圧力を修正するために調節される。
【0009】
また本発明は、流入流体の圧力が閾値レベルより高いときに流入流体が圧力調整器に入ることができる、流入制限器を備える圧力調整器も対象とする。また本発明は、不完全真空が圧力調整器の内部に形成されることを防ぐために、流入制限器を別の場所に位置付けることも対象とする。
【0010】
本発明は手動で開くが、弁を通って流れる流体が弁を開けたままに保つには不十分であるときに自動的に閉じる、半自動弁をさらに対象とする。また本発明の半自動弁は半自動電気スイッチであることも可能である。
【0011】
本発明は、流れが遅いとき、または低圧を有するときに圧力調整器を迂回するように流れを方向付ける、バイパス弁を備えた圧力調整器をさらに対象とする。
【0012】
添付図面において、添付図面は本明細書の一部を形成し、それと関連して読まれるべきであり、同じ参照番号は様々な図において同じ部分を示すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】米国特許出願公開第2010/0104481号に示され説明された、従来の圧力調整器の作動原理を示す断面図である。
図1B】米国特許出願公開第2010/0104481号に示され説明された、従来の圧力調整器の作動原理を示す分解図である。
図2A】本発明の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図2B】本発明の調節可能な圧力調整器の上面図である。
図2C】本発明の調節可能な圧力調整器の上面図である。
図3A】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図3B】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図4】本発明の別の調節可能な圧力調整器内の調節可能なピストンすなわちシャトルの断面図である。
図5A】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図5B】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図6A】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図6B】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図7A】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図7B】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図8A】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図8B】本発明の別の調節可能な圧力調整器の断面図である。
図9A】本発明の流入制限器を備える圧力調整器の断面図である。
図9B】本発明の流入制限器を備える圧力調整器の断面図である。
図10A】本発明の流入制限器を備える圧力調整器の断面図である。
図10B】別の流入制限器の断面図である。
図11A】本発明の不完全真空を防ぐ通気孔を備える圧力調整器の断面図である。
図11B】別の通気孔の断面図である。
図12A】本発明の半自動弁の断面図である。
図12B】本発明の半自動弁の断面図である。
図13A】本発明の別の半自動弁の断面図である。
図13B】本発明の別の半自動弁の断面図である。
図13C】電気スイッチに作動可能に接続された図13Aの半自動弁の断面図である。
図13D】電気スイッチに作動可能に接続された図13Bの半自動弁の断面図である。
図14A】本発明のバイパス弁を備える圧力調整器の断面図である。
図14B】本発明のバイパス弁を備える圧力調整器の断面図である。
図15A】温度遮断構成要素を備える圧力調整器を示す図である。
図15B】温度遮断構成要素を備える圧力調整器を示す図である。
図15C】温度遮断構成要素を備える圧力調整器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面に示され以下に詳細に論じられるように、本発明は、燃料電池を備える燃料電池システム、インターフェースシステムおよび燃料カートリッジまたは燃料タンク/貯蔵容器に使用される、流体構成要素および流体流れ制御構成要素を対象とする。またこれらの構成要素は、他の技術および産業において、または他の技術および産業とともに使用でき、燃料電池システムに限定されない。
【0015】
燃料電池燃料には、あらゆる燃料電池と共に使用できるあらゆる燃料が含まれ、固体、液体および気体の燃料またはそれらの組合せであることが可能である。液体燃料には、メタノール、水、メタノール/水の混合物、様々な濃度のメタノール/水の混合物、純メタノール、および/もしくはメチルクラスレート、エタノールまたは他のアルコールが含まれる。固体反応燃料電池燃料には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、および水素を生成するために液体またはゲルと反応する他の金属水素化物などの、化学金属水素化物が含まれる。また固体燃料は、水素化物のマトリックス内で水素を一定の温度および圧力で吸着および吸収し、別の温度および圧力で水素を放出して燃料電池に燃料を入れる、金属水素化物を含むことができる。適切な金属水素化物は、これに限定されないがランタン・ペンタニッケル(LaNi5)を含み、金属水素化物は米国特許出願公開第2009/0060833号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
燃料は炭化水素燃料をさらに含むことができ、炭化水素燃料はこれに限定されないが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2003年5月22日に「液体ヘテロ界面燃料電池装置」という名称で開示された米国特許出願公開第2003/0096150号に説明されているように、ブタン、灯油、アルコール、および天然ガスを含む。また燃料は、燃料と反応する液体酸化物および液体電解質も含むことができる。したがって本発明は、あらゆるタイプの燃料、酸化剤、電解質溶液、酸化物溶液、またはサプライ内に含有される、あるいは別法で燃料電池システムによって使用される液体もしくは固体に限定されない。本明細書で使用される場合、用語「燃料」は、燃料電池内で反応できる、または燃料サプライ内に保管できるすべての燃料を含み、これに限定されないが、上記の適切な燃料、電解質溶液、酸化物溶液、気体、液体、固体、ならびに/または添加剤および触媒を含む化学物質ならびにそれらの混合物を含む。
【0017】
従来の圧力調整器などの従来の流体制御構成要素は、複数の情報源に説明されている。圧力調整器の一例は、先にその全体が参照により上記に組み込まれている、共同所有の米国特許出願公開第2010/0104481号において図18A〜Bで検討されており、圧力調整器の作動の原理を検討するために図1A〜1Bに示されている。
【0018】
このような圧力調整器の1つの適用は、水素貯蔵容器または水素発生器から出る水素の圧力を低減することである。このような調整器を水素貯蔵容器または発生器の遮断弁の下流または上流に位置付けることができ、またその間に隣接して位置付けることができる。例示的圧力調整器164が図1A〜1Bに示されている。調整器164は、入口筐体166、出口筐体168およびその間に配置された保持具170を備える。シャトル172は保持具すなわちシャトル筐体170の内部に可動に配置される。入口筐体166とシャトル筐体170との間に第1のダイヤフラム174がクランプで締められ、出口筐体168とシャトル筐体170との間に第2のダイヤフラム176がクランプで締められる。入口筐体166は入口チャネル178を画定し、出口筐体168は出口チャネル180を画定する。保持具すなわちシャトル筐体170の内部にはシャトル172が収納され、基準圧力に曝されることが可能であり、好ましくは基準圧力に曝される。基準圧力は大気圧であってもよい。入口チャネル178を封止する役に立つために入口チャネル178の真下の第1のダイヤフラムの下に任意的にボール182を提供することができる。ボール182を本明細書に説明された任意の圧力調整器と共に使用できる。示されたように、第1のダイヤフラム174は入口圧力に曝され、第2のダイヤフラム176は出口圧力に曝される。シャトル筐体170は、好ましくは大気圧などの基準圧力Prefと流体連通する。
【0019】
シャトル172に加えられる力は、加えられる圧力にその圧力に曝される面積を掛けた積であるので、シャトル172に作用する力は以下のようにまとめることができる。
入口ダイヤフラムの力:
入口圧力*入口面積=基準圧力*入口面積+シャトルの力(上面)(方程式1)
出口ダイヤフラムの力:
出口圧力*出口面積=基準圧力*出口面積+シャトルの力(下面)(方程式2)
上面上の力は下面上の力と等しいので、シャトルの力は両方の方程式において同じである。
シャトルの力に対する両方の方程式を解き等号で結ぶ:
(入口P−基準P)*入口面積=(出口P−基準P)*出口面積(方程式3)
この方程式を以下のように書き換えることができる:
(出口P−基準P)=(入口P−基準P)*入口面積/出口面積(方程式4)
基準圧力が0ポンド/平方インチ相対圧力または1気圧である場合:
出口P=入口P*入口面積/出口面積(方程式5)
【0020】
基準圧力が0ポンド/平方インチ相対圧力でない場合は、シャトルの両側はそれぞれの面積に対する基準圧力によって影響される。出口圧力が入口を遮断するほど充分に上昇する前は、入口面積はシャトルの上面と等しい。出口圧力が入口を遮断するほど充分に上昇した後、入口面積は小さい入口開口に縮小する。入口面積が低減した後は、入口を閉じたままにするために低圧部にあまり圧力を取り込まない。この特徴はシャトルの振動を低減させて出口圧力はわずかに落ちる。
【0021】
出口の力が入口の力より小さいときは、入口の水素圧力が第1の膜を下方に押して入口チャネル178から内輪チャネル184までの流路を開く。内輪チャネル184は上部横方向チャネル186に連結され、上部横方向チャネル186は外輪チャネル188に連結され、連結チャネル190に連結され、連結チャネル190は下部横方向チャネル192に連結され、出口チャネル180に連結される。有利なことに出口チャネル180が194で拡大されることにより、水素ガスが膨張し、流出前に若干のさらなる圧力を減らすことができる。また出口チャネル180は拡張されるので、調整器164を燃料電池システムのその他の構成要素(複数可)に適合させることができる。横方向チャネル186および192は図1Aに示されたようなボールによって封止される。
【0022】
圧力調整器164のすべての構造または機能の特徴が以下に説明される実施形態で利用されなくてもよいが、圧力調整器の原理は実証される。
【0023】
本発明の一態様は、オンデマンドでまたは圧力調整器を分解する必要なしに、出口圧力を調節する機能に関する。図2A〜2Cを参照すると、圧力調整器200は調節可能なピストンすなわちシャトル202を有し、シャトル202はより大きい可変低圧頭部208にステム206によって連結された、固定された小さい高圧頭部204を有する。低圧頭部208は中心部210および複数の同心円リング212nを備える。図2Aに示されたように、同心円リングは断面が逆Z字形であり、第2の、すなわち低圧ダイヤフラム176上に位置付けられている。好ましくは大気圧などの基準圧力に曝されるシャトル筐体170内に、少なくとも1つの格納式調節アーム214が位置付けられる。アーム214は、リングが低圧ダイヤフラム176に沿って動くのを防ぐために、同心円リング212の真上に位置付けられる。図2Aに具体的に示されたように、アーム214はすべてのリングが低圧ダイヤフラム176と共に動くのを防ぐはずである。上記の方程式5に示されたように、出口圧力は、高圧頭部204の面積および低圧頭部208の中心部208の面積の割合に比例する。アーム214は、図2Bに示されたように線形に格納されることが可能であり、図2Cに示されたように枢動して格納されることが可能である。アーム214はカメラに使用されるシャッターと同様のシャッターであることが可能である。
【0024】
アーム214が格納されると、より多くの同心円リング214がシャトル202と共に移動可能になって、出口の有効面積が拡張して出口圧力が低くなることが当業者には容易に認識されるはずである。アーム214が反対方向、すなわちシャトル筐体170の中に移動すると、逆の効果を有するはずである。使用者が圧力調整器を調節するためにアーム214にアクセスするように、アーム214は、好ましくはシャトル筐体170の外側に部分的に延びる。同心円リング214の逆Z字形は、中心部208および妨げられていないリング(複数可)214が確実に自由に動けるために選択されるが、一方アーム214によって妨げられるリング(複数可)214は、妨げられるアーム214と低圧ダイヤフラム176との間に比較的固定して保持される。逆S字形、上下が逆の円錐台形などの他の形状を使用することもできる。
【0025】
図3Aおよび3Bは、本発明の可変圧力調整器の別の実施形態を示す。この実施形態では、圧力調整器200は可変低圧ダイヤフラム176を有する。示されたように、この実施形態は、高圧ダイヤフラム174と低圧ダイヤフラム176との間に位置付けられた、固定された可動シャトル、又はピストン172を有する。また大気圧などのPr e fに曝されているように図3Aに示されているシャトル筐体170は可動アーム216を有し、アーム216は低圧ダイヤフラム176と選択的に接触することができる。アーム216が低圧ダイヤフラム176と接触すると、アーム216は、図3Bに示されたように出口圧力に起因して屈曲することができるダイヤフラム176の表面積を制限し、それによって出口圧力が上昇する傾向がある。アーム216は任意の形状を有することができ、好ましくはシャトル筐体170の内側に装着された円形リングの形状を有し、図3Bに示された矢印218の方向に移動可能であり、選択的に低圧ダイヤフラム176と接触する。
【0026】
別の実施形態では、可動シャトルすなわちピストン176は図4に最も良く示されているように調節可能である。シャトル176はステム220を有し、ステム220はシャトル基部222に取外し可能に取り付けられる、例えばステム200を基部222に螺合または押圧嵌合でき、基部222はシャトルの大きい出口端部を有する。またシャトル176の全長を決定した後、ステム220をシャトル基部222に接着剤で固定して取り付けることができる。ピストンすなわちシャトルの全長を調節すると、ダイヤフラムおよび圧力調整器にプレストレスまたはプレロードを与える効果がある。一例では、プレロード量が出口180における出口圧力より高く入口178より低いときは、圧力調整器の出口圧力は増加するはずである。別の例では、プレロード量が入口圧力より高いときは、圧力調整器は遮断位置にあるはずである。
【0027】
別の実施形態では、圧力調整器200は連結部は連結導管190を調節することによって調節され、導管190は高圧ダイヤフラム174または高圧側部を低圧ダイヤフラム176または圧力調整器の低圧側部に流体連結する。図5Aを参照すると、可変流量制限器224を連結チャネル190上に置いて、それを通る流体流れを制限する。連結チャネル190を通る流れを制限または低減することにより、出口圧力は低くなるはずであり、連結チャネル190を通る流れを増加することにより、出口圧力が高くなるはずである。当然のことながら、圧力調整器200を通る流れがない、または実質的にないときは、流量制限器224は圧力調整器に効果を有さない、または最小の効果しか有さないはずである。
【0028】
図5Aにおける実施形態の変形では、流量制限器224は高圧側部と低圧側部との間に配置されず、出口180または低圧ダイヤフラム176に近位の低圧側部と、圧力調整器を図5Bに示されたような燃料電池などの受領部または燃料消費部に連結する流体ポート181との間に配置される。流れが低減すると、圧力調整器200の遮断が遅くなり、その結果出口180での流れ圧力が動的に高くなるはずである。
【0029】
流れを制限すると、締切圧力が大きい低圧ダイヤフラム176の下の低圧チャンバ177に達するはずである速度が低下する。流体または気体の容積はチャンバ177内に存在し、締切圧力はチャンバ177全体ならびに低圧ダイヤフラム176が必要な締切圧力に達する前に、チャンバ177を通って伝わる必要があるはずである。チャンバ177に入る流れが低減すると、チャンバ内の流体または気体の容積を締切圧力に運ぶ必要がある時間が増加する。チャネル190内にいかなる流れ制限もない調整器と比べると、図5Aに示された圧力調整器が圧力を上昇するのがより遅いのは、低圧チャンバ177および低圧出口への流れが制限されるからである。
【0030】
チャネル190内にいかなる流れ制限もない調整器と比べると、図5Bに示された圧力調整器が圧力を上昇するのがより速いのは、低圧チャンバ177への流れは制限されるが、低圧出口181への流れは無制限に供給されるからである。流れは出口181の制限されない経路を好むはずである。条件によって、出口圧力は、制限されたチャンバ177が締切圧力に達するまで超過してもよい。図5Bの出口181は制限されていない調整器より速く締切圧力に達するはずであり、制限されていない調整器は出口線180に達する前に低圧チャンバ177を充填するために流体流れを使用しなければならない。圧力をより速く達成し設定圧力(設定した場合)を超過すると、より速く開始される。
【0031】
図6Aおよび6Bに示された実施形態は、本発明の別の調節特徴を示す。示されたようにシャトル筐体170の長さは調節可能である。シャトル筐体170は入口半体166および出口半体168を備え、互いに伸縮自在に連結されるので、シャトル筐体170の長さの全長は調節可能である。2つの半体はネジ山を一致させることによって連結することができ、またはネジもしくはネジのセットによって一緒に保持することができる。シャトル筐体170が長いと、出口圧力をより高くすることができる。この実施形態は図4に示された実施形態に類似している。
【0032】
図7Aおよび7Bに示された実施形態は、同心円リング212nが高圧ダイヤフラム174と格納式アーム214との間に配置されて、入口178から高圧によって屈曲されるダイヤフラム174の面積を制限することを除いて、図2Aおよび2Bに示された実施形態に類似している。例えば図7Aに示されたダイヤフラム174より図7Bに示されたダイヤフラム174が多く屈曲できるのは、ダイヤフラム174を妨げるために利用できる同心円リング212がより少ないからである。曝される高圧ダイヤフラム174がより少ない図7Aの構成は、曝される高圧ダイヤフラム174がより多い図7Bの構成より出口圧力が低くなる。
【0033】
図8Aおよび8Bの実施形態は、可動アーム216が高圧ダイヤフラム174に選択的に接触して、屈曲できるダイヤフラム174の量を制限することを除いて、図3Aおよび3Bの実施形態に類似している。同様に可動アーム216は、好ましくはシャトル筐体170内に配置されたリングであり、方向218に可動である。高圧ダイヤフラム174上の可動アーム216の効果は、図7Aおよび7Bの実施形態に関連して説明された効果に類似している。
【0034】
本発明の別の態様は、本明細書に論じられた圧力調整器164および200またはあらゆる公知の圧力調整器を含む、あらゆる圧力調整器238のための低圧制限器または遮断装置236に関する。制限装置236は、圧力調整器238が機能するはずである最小閾値圧力を設定する。入口178における流入流体の入口圧力がこの最小閾値圧力より低いときは、制限装置236は閉じたままであり、流入流体は圧力調整器238に入らないはずである。入口圧力が最小閾値圧力より高いときは、制限装置236が開くことにより流入流体が圧力調整器238に入ることができる。
【0035】
図9Aを参照すると、制限装置236は高圧膜174に対してバネ242によって付勢されたキャップ240を備えるので、流入流体が制限装置236に優ることができるまで、高圧膜174が屈曲しないことにより流入流体は圧力調整器に入ることができるであろう。より具体的には、制限装置236のキャップ240およびバネ242は、バネ240によって加えられたバネ力をキャップ240の面積で割った商に等しい限界圧力(Plim)を発揮する。この限界圧力は高圧ダイヤフラム174および入口178に加えられる。この限界圧力より高い圧力を有する流入流体は、キャップ240およびバネ242を内方に押して圧力調整器238に入るはずである。図9Aにおける実施形態の1つの利点は、バネ242およびキャップ240が、これらの構成要素を腐食する、あるいは別の悪影響を与える可能性がある水素などの燃料電池燃料から隔離されることである。シャトル筐体170を図9Aに示されたように基準圧力に曝す可能性があるが、シャトル筐体170は封止されてもよい。シャトル筐体170内に捕捉されるあらゆる気体は、バネ242に類似したガススプリングの抵抗圧縮のように振る舞う。
【0036】
別の実施形態は、制限装置236は、図9Bに示されたようなプレロードまたはプレストレスされた高圧ダイヤフラム174'を備えるので、圧力調整器238を開くためにPlimより高い入口圧力が必要である。この場合、Plimは高圧ダイヤフラム174上のプレロードの量である。プレロードはダイヤフラム174'を伸ばす任意の突起244であることが可能である。
【0037】
図10Aよび10Bは制限装置236の別の実施形態を示す。この実施形態では、制限装置236は、安全弁246または圧力が閾値レベルすなわちPlimに達した後に開く弁246を備える。図10Aに示された弁246は弾性ディスク248を備え、ディスク248はポスト250に対して付勢される封止部材である。ポスト250は入口(複数可)178を画定する基部252に取り付けられる。弁246は、入口圧力が閾値レベルより低い、すなわちPlimより低いときは通常閉じている。Plimを超えると、封止部材248がポスト250から離れることにより、流入流体が圧力調整器238に入ることができる。
【0038】
図10Bは弁246の別の実施形態を示す。この構成では、弁246は基部252に取り付けられた弾性部材254を備え、基部252は入口(複数可)178を画定する。弾性部材254は封止端部256、ステム258およびアンカー端部260を有する。アンカー端部260は好ましくは基部252から突出し、部材254を基部252に固定する肩部262を有する。ステム258は基部252を通って延在し、封止部材256に連結される。封止部材256は入口(複数可)178を覆い、基部252に対して封止してPl i mより低い圧力の流入流体の移送を防ぐ。示されたように、封止部材256は凹形状を有する。封止部材256の形状および厚さにより、開く閾値圧力すなわちPlimが決定される。別法として、封止部材256は実質的に平坦な形状を有することができる。弁246は、閾値圧力すなわちPlim以上で開くように設計された任意の弁であることが可能である。弁246の別の例は、図11Aに示されたボール弁またはポペット弁である。
【0039】
図11Aは本発明の別の態様を示す。図10Aおよび10Bと同様に、この実施形態は圧力調整器238および弁246を備え、弁246は好ましくは安全弁である。しかし弁246は高圧ダイヤフラム174の下流に配置され、低圧ダイヤフラム176および出口180における低い出口圧力と流体連通する。また弁246は大気または別の圧力源に放出する。出口180における出口圧力または圧力調整器内の圧力が不完全真空になる、すなわち大気圧より低い圧力を有する場合、弁246が開くことにより空気が圧力調整器に入って不完全真空を打破することができる。不完全真空は、真空を入口178で使用して圧力調整器を閉じ、出口180が不完全真空にあるときに起きることがある。図11Bに示されたように、図10Aに示された弁246、ならびに図10Bに示された弁246などの異なる弁246も使用することができる。
【0040】
加えて、圧力調整器238は、シャトル172が低圧ダイヤフラム176および高圧ダイヤフラム174に固定して取り付けられたときに不完全真空の形成に抵抗できるので、両方のダイヤフラムの可撓性または弾性特性およびシャトル172の質量を使用して、圧力調整器238の低圧側面上の不完全真空に抵抗する。シャトル172ならびにダイヤフラム174および176は、異なる流体装置に対しても図13A〜Bに示されたシャトルおよびダイヤフラムと同様に一斉に動く。好ましくはシャトル172ならびにダイヤフラム174および176は、互いに永久に取り付けられるか、または互いに一体化して作成される。
【0041】
また圧力調整器は、手動で開くが、弁を通る流れが一定の閾値より落ちると自動的に遮断される弁に修正することができる。図12Aおよび12Bに示されたように、半自動弁264はシャトル266を有し、シャトル266はチャンバ268を横切り、バネ272によって支持されたまたは付勢されたダイヤフラム270に連結する。弁264は入口278および出口280を有し、好ましくはバネ272を収納するチャンバはPr e fに曝される。Prefは大気圧であることが可能である。シャトル266は縮小した中心部274を有し、閉位置では図12Aに示されたように、封止部材276、277によりチャンバ268を封止する。閉位置では、流入流体はその圧力に関わらず入口278に入ることができないのは、チャンバ268がシャトル266に封止されるからであり、流入流体はダイヤフラム270と流体連通されない。
【0042】
弁264を開くために、使用者はシャトル266をその開放端部でダイヤフラム270に向かって、縮小した中心部274が対向する内部封止部材276に配置されるまで押すが、シャトル266は外部封止部材277に封止されたままである。これがチャンバ268および入口278を出口280と流体連通させることにより、流入流体は図12Bに示されたように弁264を通って流れることが可能になる。弁264を通る流れが高いままであるか、またはプリセットもしくは所定の閾値レベルを超えたままであってバネ272およびダイヤフラム270の付勢力に優る限り、弁は開いたままである。それ故弁264を開いたままに保つために必要な力または圧力は、バネ272およびダイヤフラム270の付勢力およびダイヤフラム270の面積によって決定される。弁264を通る流れの圧力がこの閾値レベルより落ちると、弁264は、バネ272およびダイヤフラム270の作用に起因して自動的に遮断する。
【0043】
半自動弁264の別の型が図13A〜13Bに示されている。この実施形態では、バネ272は除かれており、弁264を開いたままに保つための付勢力はダイヤフラム270によって提供され、また任意的に第2のダイヤフラム282によって提供される。またステム266は単純化されている。ステム266は第2のダイヤフラム282により弁の本体に封止され、図13Aに示されたように、内部封止座284によりチャンバ268を封止する。
【0044】
弁264のこの実施形態は、図12A〜Bに示された方法と実質的に同じ方法で作動する。使用者はステム266をダイヤフラム270に向かって押すことにより、チャンバ268および入口278が出口280と流体連通することができる。弁264を通る流れが高いままであるか、またはプリセットもしくは所定の閾値レベルを超えるままであってダイヤフラム270の付勢力に優る限り、弁は開いたままである。この実施形態では、この閾値レベルは、ダイヤフラム270および282の可撓性またはバネ定数および面積によって決定される。
【0045】
図13A〜Bに示された弁264を、手動でオンされるが弁264を通る流れが閾値レベルより落ちると自動的にオフされる、電気スイッチとして使用できる。図13C〜Dを参照すると、端子286および288を有する電気スイッチは、その一方が陽極であり、他方が陰極であり、弁264の近位、より具体的にはステム266の遠位端に位置付けられる。図13Cに示されたように、弁264が閉じているとき、端子286および288は連結されず、これらの端子に連結された電気回路は開いて作動しない。図13Dに示されたように、弁264が開くと端子286および288は連結され、これらの端子に連結された電気回路は閉じて作動する。端子286および288を、燃料電池回路のためのスイッチ、または燃料電池が電気を供給する電子装置内の回路のためのスイッチとして使用することができるので、燃料電池または電子装置は弁264を通る燃料の流れが停止すると遮断される。端子286および288は絶縁バネ(図示せず)によって個別に付勢されることが可能であるか、または端子286および288は片持梁であってもよい。
【0046】
圧力調整器は、これに限定されないが、本明細書に論じられた圧力調整器164および200を含む圧力調整器238を含み、図14Aおよび14Bに示されたように、バイパス弁290と共に使用されることが可能である。流入流体は調整器238/バイパス弁290に入口178から入る。流入流体の圧力が圧力調整器238の「クラッキング」圧力より低い、すなわち流入流体の圧力が低いので圧力調整器のダイヤフラムおよびピストン/シャトルを動かして圧力調整器を開けられないとき、流入流体は、図14Aに示されたようにバイパス導管292に流れ、バイパス弁290を通り、バイパス出口294を通り出口180から出る。
【0047】
一方、流入流体の圧力が充分に高いので、流入流体、例えば燃料電池燃料を燃料電池に受容できるように調整するべきときは、流入流体は調整器導管296および圧力調整器238を通って流れ、出口180から出る。高圧の流入流体はダイヤフラム298を押し、ダイヤフラム298は弁ステム300および弁座302をバイパス弁290の封止表面304を備える封止位置に引き入れる。バイパス弁290は通常開いており、弁およびバイパス導管292を閉じる閾値力はダイヤフラム298のバネ力および面積に依存する。この閾値力に対抗するのは、流入流体の圧力に弁座302の有効底面積を掛けた積に等しい力である。流入流体の力がこの閾値力より小さいときは、弁290が開くことにより流入流体が圧力調整器238を迂回することができる。
【0048】
別の実施形態では、圧力調整器238は上に論じられたようにあらゆる圧力調整器であることが可能であり、燃料電池または燃料電池に電気を供給する電子装置の温度が、装置または燃料電池を遮断することが望ましい一定基準に達したときに、作動不能にさせる、例えば遮断させることができる。図15A〜Cに最も良く示されているように、その形状を一定温度で変化する材料を圧力調整器内に置くことができるので、膨張または変化したときに、材料はシャトル172の動きを停止する、またはシャトル172を入口178もしくは出口180に向かって押して入口/出口を封止する。この材料を出口180と低圧ダイヤフラム176との間の領域306、または入口178と高圧ダイヤフラム174との間の領域308、またはシャトル172とシャトル筐体170との間の領域310に置くことができる。適切な温度感知材料は、これに限定されないが、図15Bに示されたように、ニチノールなどの形状記憶合金(SMA)を含む。弛緩しているときまたは低温では、SMAは比較的平坦な、例えば線312または線314であることが可能であり、かつより太い線、例えば線314または線316のそれぞれに変化することができる。1つまたは複数のこのようなSMAの線を領域306、308または310に置いて、圧力調整器238を温度が再度下がるまで少なくとも一時的にフリーズまたは作動不能にさせることができる。
【0049】
温度感知材料は、一定温度で液体から気体に代わる液体を保管する弾性または可撓性の袋または容器であることが可能である。図15Cに示されたように、容器318は液体を含有しているときは比較的小さい容積を有し、温度が液体の沸点より上昇すると膨張してより大きい容器320になる。適切な液体の例は、約65℃で沸騰するメタノール、および標準気圧において約100℃で沸騰する水である。ワックスを含む適切な温度で膨張可能な他の例は、米国特許出願公開第2006/0071088号に完全に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本明細書に開示された本発明の例示的実施形態は上記の目的を果たすことが明白であるが、多くの修正形態および他の実施形態が当業者によって考案され得ることが理解される。したがって添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような修正形態および実施形態を網羅することが意図され、それらは本発明の精神および範囲内に収まるはずであることが理解されよう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
【国際調査報告】