(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-523340(P2016-523340A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(54)【発明の名称】潮流発電機の多機能搭載装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
F03B 13/10 20060101AFI20160711BHJP
【FI】
F03B13/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-522213(P2016-522213)
(86)(22)【出願日】2014年6月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月23日
(86)【国際出願番号】CN2014080321
(87)【国際公開番号】WO2015000366
(87)【国際公開日】20150108
(31)【優先権主張番号】201310272525.6
(32)【優先日】2013年7月1日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516000376
【氏名又は名称】張 暢
【氏名又は名称原語表記】ZHANG,Chang
(71)【出願人】
【識別番号】516000387
【氏名又は名称】周 文瑜
【氏名又は名称原語表記】ZHOU,Wenyu
(71)【出願人】
【識別番号】516000398
【氏名又は名称】潘 彦謙
【氏名又は名称原語表記】PAN,Yanqian
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】張 暢
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB11
3H074BB15
3H074BB19
3H074CC02
3H074CC16
(57)【要約】
本発明は、潮流発電機の多機能搭載装置及びその使用方法を提供する。潮流発電多機能搭載装置は、長いメイン浮体と、長いメイン浮体の中央部から左右両側へ水平に延び且つ端部が潮流発電機を搭載する搭載フレームと、リモートガス管と、自動深度決定安定化部品とを含み、長いメイン浮体は両端が閉鎖された中心浮動制御管であり、中心浮動制御管の両端にはケーブル用係留部が設けられ、中心浮動制御管の一端の上方には管吸排気ポートが設けられ、他端の下方には管給排水ポートが設けられており、リモートガス管は、一端が管吸排気ポートに連結され、他端が操作制御スイッチに連結されており、中心浮動制御管は直交節点部材を介して搭載フレームに連結されており、自動深度決定安定化部品は、直交節点部材の垂直二等分面に沿って、直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品に均衡して設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
潮流発電機の多機能搭載装置であって、
長いメイン浮体と、
前記長いメイン浮体の中央部から左右両側に向かって水平に延び、且つ端部が潮流発電機を搭載する搭載フレームと、
リモートガス管と、直交節点部材と、自動深度決定安定化部品とを含み、
前記長いメイン浮体は両端が閉鎖された中心浮動制御管であり、前記中心浮動制御管の両端にはケーブル用係留部が設けられ、前記中心浮動制御管の一端の上方には管吸排気ポートが設けられ、他端の下方には管給排水ポートが設けられており、
前記リモートガス管は、一端が管吸排気ポートに連結され、他端が操作制御スイッチに連結されており、
前記中心浮動制御管は、前記直交節点部材を介して前記搭載フレームに連結されており、
前記自動深度決定安定化部品は、直交節点部材の垂直二等分面に沿って、直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品に均衡して設けられていることを特徴とする潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項2】
前記中心浮動制御管内には少なくとも2つの一方向浮動制御チャンバが仕切られ、前記一方向浮動制御チャンバにはチャンバ吸排気ポートとチャンバ給排水ポートとが設けられ、前記チャンバ吸排気ポートは前記一方向浮動制御チャンバの一端の上方に設けられ、前記チャンバ給排水ポートは前記一方向浮動制御チャンバの他端の下方に設けられ、すべての前記一方向浮動制御チャンバは一方向規則に従って設置されており、
前記中心浮動制御管の最前端に設けられている前記チャンバ給排水ポートは前記管給排水ポートであり、前記中心浮動制御管の最後端に設けられている前記チャンバ吸排気ポートは前記管吸排気ポートであり、
前記中心浮動制御管の内部には、少なくとも1つの密閉チャンバが前後に均衡して仕切られており、
連通配管は、一端が後の前記一方向浮動制御チャンバの前記チャンバ給排水ポートに連結され、他端が隣接する前の一方向浮動制御チャンバの前記チャンバ吸排気ポートに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項3】
前記自動深度決定安定化部品は両端が密閉されている深度決定安定化浮動管を含み、前記深度決定安定化浮動管は前記中心浮動制御管と前記直交節点部材との直交部から上向きに伸びており、
補強索は、一端が前記深度決定安定化浮動管の上端に連結され、他端が前記中心浮動制御管の端部に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項4】
摺動浮体は、前記深度決定安定化浮動管に沿って上下摺動でき、
トップフレームは、前記深度決定安定化浮動管のトップに設けられて、前記摺動浮体の行程を制限することに用いられることを特徴とする請求項3に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項5】
前記深度決定安定化浮動管の上端は深度決定用上索の一端に連結され、前記深度決定用上索の他端には深度決定浮体が連結され、前記深度決定浮体は前記潮流発電機の底着きを防止する浮力を提供することを特徴とする請求項3に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項6】
前記中心浮動制御管の両端の下方には索係留部が設けられており、
前記自動深度決定安定化部品は、長さが同じ2つの深度決定用下索及び1つの深度決定カウンターウェイトを含み、前記深度決定用下索は、一端が前記索係留部に連結され、他端が前記深度決定カウンターウェイトに連結され、かつ連結されている前記2つの深度決定用下索はV字形になることを特徴とする請求項1に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項7】
前記直交節点部材は、外部補強管、強化連通管、連通軸、位置制限リング及び軸フランジを含み、
前記外部補強管は、前記中心浮動制御管の外部に固定連結されており、
前記強化連通管は、前記外部補強管と前記中心浮動制御管を水平に直交貫通し、且つ前記外部補強管と前記中心浮動制御管とに固定連結されており、
前記連通軸は、前記強化連通管内を貫通し、且つ両端にはそれぞれ1つの前記位置制限リングと前記軸フランジが設けられており、
前記連通軸は前記強化連通管に対して回転できることを特徴とする請求項4に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項8】
対流反転補助アームは、前記直交節点部材の回転可能部分又は前記搭載フレームに固定され、且つ半径方向に延びており、
トップスライダーは、前記トップフレームの左右両端に設けられており、
索係留部品は、前記摺動浮体の外部に設けられており、
反転補助ロープは、一端が前記対流反転補助アームに連結され、他端が前記トップスライダーを貫通して同じ側の前記索係留部品に連結されていることを特徴とする請求項7に記載の潮流発電機の多機能搭載装置。
【請求項9】
潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法であって、
請求項1〜5、7〜8のいずれか1項に記載の潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出された2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって、潮流発電機を搭載フレームの端部に搭載するステップと、
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動させるステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、且つすべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加えて、中心浮動制御管を徐々に海水で満たし、正味の固定浮力が潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の受けるすべての沈水力を完全に相殺できる深度に達したとき、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の浸水は停止し、且つ深度決定設置を自動完了するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出して、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機を最終的に海面で直立浮動させるステップと、
を含むことを特徴とする潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法。
【請求項10】
潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法であって、
請求項6に記載の潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出した2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって最終的なアセンブリをして、仮設ロープにより深度決定カウンターウェイトを中心浮動制御管の中央部の下方に係留するステップと、
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動させるステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、深度決定カウンターウェイトに係留された仮設ロープを解放し自然沈下させ、すべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加え、中心浮動制御管が海水で満たされた後、深度決定カウンターウェイトは海底まで沈下し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最終的に予め決められた深度に自動的にホバリングするステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出して、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機を最終的に海面に直立浮動状態で浮動させるステップと、
を含むことを特徴とする潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋再生可能エネルギー発電技術分野に関し、具体的には、潮流発電機の多機能搭載装置及びその使用方法に関する。本発明は、2013年07月01日に出願された中国特許出願第201310272525.6号に基づくものであり、当該出願の内容を、本発明と密接に関連する参考文献として本出願に援用する。
【背景技術】
【0002】
現在、石油、石炭などのエネルギーは年々逼迫する中、このようなエネルギーの具体的な応用による環境汚染は日増しに深刻になってきている。多くの国は、クリーンな再生可能なエネルギーの開発を重要なエネルギー戦略としている。潮流エネルギーは、海洋のクリーンな再生可能なエネルギーとして、その全体の貯蔵量が豊富である。ある沿岸の特定の海域は、エネルギー密度が高く、規則性が高く、安定・継続的且つ完全に予測できるなどの特徴を有するため、これらの海域の潮流エネルギーの商業的価値は海洋の他の再生可能なエネルギーより著しく優れている。現在、潮流エネルギー発電は、市場競争力がまだ強くないが、技術的な面から見ると、潮流発電機技術、潮流発電機搭載技術及び潮流電気エネルギーの配電技術を高いレベルで解決すれば、その商業競争力と見通しは必ず非常に明るい。現在、上述の3種類の技術については相当な解決案があるが、様々な問題が依然として存在している。現在の潮流発電機搭載装置は、設置形式により分類すると、浮遊式搭載装置、杭基礎式搭載装置、海底固定式搭載装置及び半潜式搭載装置に大きく分類される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
浮遊式搭載装置は、設置とメンテナンスが容易であるが、風浪により破壊されやすくなる。海底固定式搭載装置は、風浪により破壊され難いが、設置とメンテナンスが難しい。杭基礎式搭載装置は、メンテナンスが容易で、且つ風浪により破壊され難いが、それ自体の建設と設置のコストが高い。半潜式搭載装置は、抗風浪の能力を向上でき、且つ潮流発電機に対して管理・メンテナンスしやすいが、その全体の構造が複雑であり、多くの部品を独立に操作制御する必要があるとともに、その帯電している制御モジュールと実行モジュールも水中での長時間の浸漬、衝撃及び様々な海洋汚染・付着物により故障する傾向がある。要するに、各国の現在の潮流発電技術の実践から、上述の潮流発電機搭載装置は、海流が強い苛酷な海域において潮流発電機を設置し潮流発電機の通常運転をメンテナンスすることが、コストとリスクの高い海洋工事になっている。潮流発電機のインペラのエネルギーハーベスト効率を更に向上させ、性能がより良好な直接駆動式潮流発電機を製造し、コストパフォーマンスが更に高い潮流エネルギーの配電技術を開発することは、上述の海洋工事のコストとリスクを様々な程度で低減できるが、性能がよくない潮流発電機搭載装置は、上述の技術的進歩の実行を極端に阻害して、潮流発電のコストとリスクが高止まりしている。よって、機能が簡単であり、構造が壊れやすく、またはその両方である現在の潮流発電機搭載装置は、大規模商業潮流発電のさらに高い要求を満たすことが困難になる。したがって、機能が強力であり、構造が簡単であり、海況が複雑である海域において連続的且つ安全に適用でき、同時に大型の潮流発電機に対して搭載、設置、操作制御及びメンテナンスをしやすい新たな潮流発電機搭載装置を開発することは、重要な商業的価値を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主な目的は、構造が簡単であり、海況の複雑である海域において任意の深度に対して簡単に深度を決めることができ、且つ大型潮流発電機を搭載、設置、操作制御及びメンテナンスしやすい機能を有する潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、海上交通衝突と視覚公害の発生を回避でき、さらに潮流発電機を最適な発電深度に設置できる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、水中で潮流発電機の自動反転対流を補助することができる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、陸上又は海上において潮流発電機及びそのインペラを自動的に上向きに反転させる潮流発電機の多機能搭載装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の主な目的は、当該潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法を提供することである。
【0009】
上述の主な目的を達成するために、本発明による潮流発電多機能搭載装置は、長いメイン浮体と、長いメイン浮体の中央部から左右両側へ水平に延び且つ端部が潮流発電機を搭載する搭載フレームと、リモートガス管と、自動深度決定安定化部品とを含み、長いメイン浮体は両端が閉鎖された中心浮動制御管であり、中心浮動制御管の両端にはケーブル用係留部が設けられ、中心浮動制御管の一端の上方には管吸排気ポートが設けられ、他端の下方には管給排水ポートが設けられており、リモートガス管は、一端が管吸排気ポートに連結され、他端が操作制御スイッチに連結されており、中心浮動制御管は直交節点部材を介して搭載フレームに連結されており、自動深度決定安定化部品は、直交節点部材の垂直二等分面に沿って、直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品に均衡して設けられている。
【0010】
更なる実施態様において、前記中心浮動制御管内には少なくとも2つの一方向浮動制御チャンバが仕切られ、一方向浮動制御チャンバにはチャンバ吸排気ポートとチャンバ給排水ポートとが設けられ、チャンバ吸排気ポートは一方向浮動制御チャンバの一端の上方に設けられ、チャンバ給排水ポートは一方向浮動制御チャンバの他端の下方に設けられ、すべての一方向浮動制御チャンバは一方向規則に従って設置されている。中心浮動制御管の最前端に設けられているチャンバ給排水ポートは管給排水ポートであり、中心浮動制御管の最後端に設けられているチャンバ吸排気ポートは管吸排気ポートである。中心浮動制御管の内部にはさらに、少なくとも1つの密閉チャンバが前後に均衡して仕切られている。連通配管は、一端が後の一方向浮動制御チャンバのチャンバ給排水ポートに連結され、他端が隣接する前の一方向浮動制御チャンバのチャンバ吸排気ポートに連結されている。
【0011】
一方向規則とは、最初の一方向浮動制御チャンバの吸排気ポートが後上方に設けられ、給排水ポートが前下方に設けられる場合、他のすべての一方向浮動制御チャンバの吸排気ポートはいずれも後上方に設けられ、且つ給排水ポートはいずれも前下方に設けられることを意味し、逆の場合も同様である。このように、本発明の浮沈をよく操作制御できるとともに、搭載フレームと自動深度決定安定化部品に対して要求される浮力をよく低減させ、本発明の水流抵抗を大幅に減少させることができる。
【0012】
更なる実施態様において、自動深度決定安定化部品は両端が密閉されている深度決定安定化浮動管を含み、深度決定安定化浮動管は中心浮動制御管と直交節点部材との直交部から上向きに伸びている。補強索は、一端が深度決定安定化浮動管の上端に連結され、他端が中心浮動制御管の端部に連結されている。
【0013】
このように、本発明の自動深度決定の安定化構造は大きく簡素化され、製造及び輸送コストを低減させるとともに、操作制御及びメンテナンスを容易にする。この実施態様において、海面を深度決定の起点として、流入流れの速度が小さいとき、本発明及びそれを搭載している潮流発電機は、海面に接近するように自動浮上しており、流入流れの速度が最大であるとき、自動的に更に深く潜る。
【0014】
更なる実施態様において、摺動浮体は、深度決定安定化浮動管に沿って上下摺動できる。トップフレームは、深度決定安定化浮動管のトップに設けられ、摺動浮体の行程を制限することに用いられる。
【0015】
ここで、摺動浮体は、機械強度が比較的高い密閉筺体であってもよく、強度が比較的高い軽量な材料からなるソリッド浮体であってもよい。このように、本発明及び搭載された潮流発電機の作動時の安定性を向上させ、操作制御及びメンテナンスを容易にするだけでなく、海面を深度決定の起点として、本発明及びそれを搭載している潮流発電機を最大流速の表層海流に正確に自動深度決定することもできる。
【0016】
更なる実施態様において、深度決定安定化浮動管の上端は深度決定用上索の一端に連結され、深度決定用上索の他端には深度決定浮体が連結され、深度決定浮体は潮流発電機の底着きを防止する浮力を提供する。
【0017】
ここで、深度決定浮体は単一の浮体であってもよく、一連の浮体の組み合わせであってもよい。このように、海面を深度決定の起点として、本発明及びそれを搭載している潮流発電機を比較的深く且つ比較的よい作業深度に正確に自動深度決定することができる。
【0018】
更なる実施態様において、中心浮動制御管の両端の下方には索係留部が設けられている。自動深度決定安定化部品は、長さが同じ2つの深度決定用下索及び1つの深度決定カウンターウェイトを含み、深度決定用下索は、一端が索係留部に連結され、他端が深度決定カウンターウェイトに連結され、連結された前記2つの深度決定用下索はV字形になる。
【0019】
このように、本発明の自動深度決定の安定化構造を簡素化でき、本発明の縦安定性を大きく向上させるだけでなく、海底を深度決定の起点とすることは、本発明及び搭載されている潮流発電機を正確に最適作業深度に自動深度決定することもできる。また、顕著な利点としては、海面風浪などのマイナス要因の影響を回避でき、潮流発電による海上交通衝突と視覚公害を回避できることが挙げられる。
【0020】
更なる実施態様において、直交節点部材は、外部補強管、強化連通管、連通軸、位置制限リング及び軸フランジを含む。外部補強管は、中心浮動制御管の外部に固定連結されている。強化連通管は、外部補強管と中心浮動制御管を水平に直交貫通し、且つ外部補強管と中心浮動制御管とに固定連結されている。連通軸は、強化連通管内を貫通し、且つ両端にそれぞれ1つの位置制限リングと軸フランジが設けられている。連通軸は強化連通管に対して回転できる。
【0021】
このように、本発明は、自動反転対流機能を有する単一回転方向の潮流発電機を非常に便利に搭載することができる。
【0022】
更なる実施態様において、対流反転補助アームは、直交節点部材の回転可能部分又は搭載フレームに固定され、且つ半径方向に延びており、トップスライダーは、トップフレームの左右両端に設けられており、索係留部品は、摺動浮体の外部に設けられており、反転補助ロープは、一端が対流反転補助アームに連結され、他端がトップスライダーを貫通して同じ側の索係留部品に連結されている。
【0023】
ここで、トップスライダーは滑車であってもよく、表面が滑らかで、且つ自己潤滑性を有する組立体であってもよい。このように、本発明は、単一回転方向の潮流発電機を搭載できるだけでなく、当該潮流発電機の自動対流発電にも役に立つ。さらに、リモート操作制御位置からリモートガス管に圧縮空気を供給すると、可変浮力が徐々に増加し、中心浮動制御管が水面に浮上しつつある過程において、摺動浮体、反転補助ロープおよび対流反転補助アームにより、搭載フレームには上向きの大きな回転トルクが生じて、本発明が搭載している潮流発電機は最終的に、発電機のチャンバが直立し、インペラが海面から上向きに露出する直立浮動の初期状態まで自動回転する。インペラが海面から水平に露出すると、潮流発電機は自動停止する。この容易且つ安価に潮流発電機及びそのインペラを水面から自動露出させ自動停止する新たな構造機能は、潮流発電機の搭載コスト、輸送コスト、操作制御コスト及びメンテナンスコストを大きく低減できる。
【0024】
本発明の他の主な目的を実現するために、本発明による潮流発電機の多機能搭載装置の使用方法は、
潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出された2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって、潮流発電機を搭載フレームの端部に搭載するステップと、
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動させるステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、且つすべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加えて、中心浮動制御管を徐々に海水で満たし、正味の固定浮力が潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の受けるすべての沈水力を完全に相殺できる深度に達するとき、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機の浸水は停止し、且つ深度決定設置を自動完了するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最終的に海面で直立浮動するステップと、
を含む。
【0025】
本発明の他の主な目的を実現するために、本発明による潮流発電機の多機能搭載装置の他の使用方法は、
潮流発電機の多機能搭載装置を製造するステップと、
潮流の上昇および下降の方向に応じて、間隔が水深の4倍より大きい少なくとも2つの係留用アンカーが設けられ、前後2つの係留用アンカーから引き出された2つの係留用大綱を対向させて海面で同じ長さに収束し、浮子によりマーキングするステップと、
ローンチングエンジニアリング装置を有する船又は陸上において、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載される潮流発電機のそれぞれの直立浮動の初期状態によって最終的なアセンブリをして、仮設ロープにより深度決定カウンターウェイトを中心浮動制御管の中央部の下方に係留するステップと、
【0026】
ローンチングエンジニアリング装置により、潮流発電機が搭載された潮流発電機の多機能搭載装置を直立浮動状態で水に移動するステップと、
潮流発電機の多機能搭載装置を、係留用アンカーと係留用大綱が設けられた目標発電海域に曳航し、2つの係留用大綱により中心浮動制御管の両端のケーブル用係留部をそれぞれ係留し、深度決定カウンターウェイトに係留された仮設ロープを解放し自然沈下させ、すべての電気ケーブルを接続するステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置で操作制御スイッチを入れ、リモートガス管に負圧を加え、中心浮動制御管が海水で満たされた後、深度決定カウンターウェイトは海底まで沈下し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最終的に予め決められた深度に自動的にホバリングするステップと、
憩潮期間、又は潮流方向が中心浮動制御管の前端から後端を指向する流入流れ期間の場合、リモート操作制御位置でリモートガス管に圧縮空気を入れ、中心浮動制御管におけるすべての海水を徐々に排出し、潮流発電機の多機能搭載装置と搭載された潮流発電機は最後に海面に直立浮動状態で浮動するステップと、
を含む。
【0027】
以上の使用方法から、目標発電海域の深度や、海底と海面の海況の良否にかかわらず、本発明の使用方法により、ユーザーのカスタマイズされた必要条件に応じて、大型潮流発電機の搭載、設置、操作制御及びメンテナンスの作業目的は低コストで容易に実現される。
【0028】
以上の実施態様におけるリモート操作制御位置は、本発明を操作制御しやすいすべての位置の総称を指すものである。直交節点部材は、搭載フレームと中心浮動制御管との連結を容易にし、中心浮動制御管の両側と水平に直交して固定連結されている1対のフランジであってもよく、中心浮動制御管の中央部の両側と水平に直交して固定連結されている1対の短管であってもよく、中心浮動制御管を水平に直交貫通している連通軸受であってもよい。特別な場合、例えば、搭載フレームと中心浮動制御管とが直接溶接され又は粘着される場合、当該直接溶接又は粘着された継手は特別な直交節点部材と見ることができる。均衡は前後均衡及び左右均衡を含む。前後均衡とは、中心浮動制御管の垂直中心面を対称二等分面として、前後対称と略対称であることを意味する。左右均衡とは、直交節点部材の幾何学的中心点を貫通しているXZ平面を対称二等分面として、左右対称と略対称であることを意味する。搭載フレームは、密閉の搭載浮動管であってもよく、普通のトラス若しくは外形が流線型である管材又はトラスであってもよい。搭載フレームの外端に搭載されている潮流発電機は、サイズとパワーが同じであり、且つ互いに反転する潮流発電機となるべきである。自動深度決定安定化部品の作用は、本発明の自動深度決定し且つ本発明の転倒抵抗安定性を増加させることである。直交節点部材の垂直二等分面は、原点が直交節点部材の幾何学的中心点に位置するXZ平面とYZ平面(
図1)である。直交節点部材と直接連結関係を有する剛性部品は、直交節点部材自体、中心浮動制御管及び搭載フレームを含む。そのため、自動深度決定安定化部品は、XZ平面に沿って前後均衡し且つ左右均衡して中心浮動制御管の上方又は下方に設けられてもよく、YZ平面に沿って左右均衡し且つ前後均衡して直交節点部材及び搭載浮動管の上方又は下方に設けられてもよい。従って、自動深度決定安定化部品には2種類がある。1つの種類は、中心浮動制御管、直交節点部材及び搭載フレームの上方に連結され、主に海面を深度決定の起点として深度決定しており、浮動管や浮動フレームであってもよく、浮動管又は支持フレームとそのトップに連結されている深度決定用上索及び深度決定浮体との組み合わせであってもよく、さらに、浮動管と浮動管の外部を囲んで連結されている摺動浮体との組み合わせなどであってもよい。他方の1つの種類は、中心浮動制御管、直交節点部材及び搭載フレームの下方に連結され、主に海底を深度決定の起点として深度決定しており、沈没管、支持フレーム、又は深度決定用下索が連結されている深度決定カウンターウェイトであってもよく、沈没管、支持フレームとそれらの底部に連結されている深度決定用下索及び深度決定カウンターウェイトとの組み合わせであってもよい。この2種類の自動深度決定安定化部品は混用できる。即ち、中心浮動制御管などの部品の上方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に安定化のために用いられ、中心浮動制御管などの部品の下方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に深度決定のために用いられる。あるいは、中心浮動制御管などの部品の上方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に深度決定のために用いられ、中心浮動制御管などの部品の下方に設けられる自動深度決定安定化部品は主に安定化のために用いられる。なお、直交節点部材と中心浮動制御管とが可動連結される場合、直交節点部材の回転可能な部分と回転可能な搭載フレームにはいずれも自動深度決定安定化部品が設置できない。このような部品の各種の使用状況については、発明を実施するための形態において詳細に説明する。可変浮力は中心浮動制御管に由来する。中心浮動制御管内の海水が完全に排出された後、可変浮力は最大となる。中心浮動制御管が海水で完全に満たされた後、可変浮力はゼロとなる。水中において、正味の固定浮力は、可変浮力がゼロとなるとき、本発明及びそれを搭載している潮流発電機の排水総重量から本発明及びそれを搭載している潮流発電機の総自重を減算することにより得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は下記の利点を有する。1.潮流発電が複雑な海中工程は、より簡単な海面工程と陸上工程に変更でき、大型作業船の使用及び潜水作業を最大限に回避することができる。2、潮流発電機は海況が複雑である海域の任意の深度に深度決定されやすく、潮流発電機は過酷な海況の悪影響から保護され、特に海面の過酷な海況の悪影響から保護できる。3.本発明は、大型潮流発電機の搭載、設置、操作制御及びメンテナンスに特に好適であり、明らかに潮流エネルギー資源の開発・利用率を向上させ、且つ発電コストを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動の初期状態となる本発明の第1実施例の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1における中心浮動制御管100の縦断面を示す簡略図である。
【
図5】
図5は、潮流発電機を搭載した本発明の第2実施例の斜視図である。
【
図8】
図8は、潮流発電機を搭載した本発明の第3実施例の斜視図である。
【
図9】
図9は、潮流発電機を搭載した本発明の第4実施例の斜視図である。
【
図10】
図10は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動の初期状態となる本発明の第5実施例の斜視図である。
【
図14】
図14は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動ノーフロー浮動状態となる本発明の第5実施例の斜視図である。
【
図16】
図16は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動対流浮動状態となる本発明の第5実施例の斜視図である。
【
図17】
図17は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動の初期状態となる本発明の第6実施例の斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海面を深度決定の起点として海面に浮動する概略図である。
【
図21】
図21は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した浮沈式深度決定の概略図である。
【
図22】
図22は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した半潜水式深度決定の概略図である。
【
図23】
図23は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した引掛式深度決定の概略図である。
【
図24】
図24は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海底を深度決定の起点として海面に浮動する概略図である。
【
図25】
図25は、本発明が潮流発電機を搭載した後、海底を深度決定の起点として深度決定設置を完了した潜水式深度決定の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
まず、本発明は潮流発電機の多機能搭載装置であるが、搭載される潮流発電機との関係が密接であるため、より明瞭とするために、以下では主に潮流発電機を搭載した本発明を選択して説明する。さらに、明細書のすべての図面における座標系の指向が
図1と同じであるため、各図に対する以下の説明では、方向に関する定義は
図1における座標系を参照すべきである。
【0032】
潮流発電機の多機能搭載装置の第1実施例
図1、
図2を参照する。
図1は、潮流発電機を搭載した後、直立浮動の初期状態となる第1実施例の斜視図である。中心浮動制御管100の両端は前方ケーシング101と後方ケーシング102によりそれぞれ封止されており、前方ケーシング101と後方ケーシング102の下方にはそれぞれ大綱係留孔104と索係留孔105が設けられ、前方ケーシング101と後方ケーシング102の上方にはいずれも補強索孔106が設けられ、前方ケーシング101の前下方には管給排水ポート704が設けられ、後方ケーシング102の後上方には管吸排気ポート702が設けられ、管吸排気ポート702はリモートガス管700と連通している。中心浮動制御管100の中央部の左右両縁にはそれぞれ1つの直交側フランジ210が固定連結され、上方には1つの直交上フランジ211が固定連結されており、2つの直交側フランジ210はそれぞれ2つの搭載浮動管300の内フランジ302と連結され、直交上フランジ211と深度決定安定化浮動管400の管底部のフランジ406と連結されている。直交上フランジの前に位置するチャンバ吸排気ポート705と直交上フランジの後に位置するチャンバ給排水ポート706とは連通配管701により連通されている。搭載浮動管300の外フランジ301はチャンバフランジ800と連結され、チャンバフランジ800、チャンバ801及びインペラ802は、共に潮流発電機を構成する。深度決定安定化浮動管400のトップにはトップカバー401が設けられ、トップカバー401にはトップカバー孔402があり、補強索407は一端がトップカバー孔402と連結され、他端が補強索孔106と連結されている。
【0033】
図3、
図4を参照する。
図3は、中心浮動制御管100の縦断面図の簡略図である。中心浮動制御管100の内壁113は2枚の間隔板112により密閉チャンバ110に仕切られており、密閉チャンバ110の前後はいずれも一方向浮動制御チャンバ111であり、後に位置する一方向浮動制御チャンバ111のチャンバ給排水ポート706は1つの給排水管703により中心浮動制御管100の上方で開口され、直交上フランジの前に位置するチャンバ吸排気ポート705と直交上フランジの後に位置するチャンバ給排水ポート706とは連通配管701により連通されている。
【0034】
本実施例において、直交節点部材は1対の直交側フランジ210であり、自動深度決定安定化部品は深度決定安定化浮動管400であり、2つの補強索407並びに連結のための直交上フランジ211、管底部のフランジ406、トップカバー孔402及び補強索孔106の主な作用は、深度決定安定化浮動管400の構造機能を更に強化し改良することである。本実施例の安定性に対する需要は、そのメタセンター高さを増加させ又はその重心高さを低くすることにより満たされる。可変浮力は、主に中心浮動制御管100の材質、太さ及び長さに依存する。正味の固定浮力は、密閉チャンバ110の容積の大きさによって調節できる。搭載浮動管300と深度決定安定化浮動管400との総正味浮力が本実施例及びそれを搭載している潮流発電機に要求される正味の固定浮力を満たす場合、密閉チャンバ110の容積はゼロであってもよく、即ち、中心浮動制御管100内の2つの一方向浮動制御チャンバ111は1つの一方向浮動制御チャンバに設計されてもよい。また、自動深度決定安定化浮動管400の長さと正味の固定浮力の大きさを調節することにより、可変浮力がゼロであるとき、搭載されている潮流発電機は水中に潜り込むことができる。
【0035】
本実施例は多くの変形をさらに有する。例えば、直交節点部材は、中心浮動制御管100の中央部に連結されている1対の短管であってもよく、搭載浮動管300は当該短管を囲んで連結して固定されてもよい。直交節点部材はさらに、中心浮動制御管100の中央部を水平に直交貫通する連通軸受などであってもよい。直交節点部材と中心浮動制御管100との間が固定連結される場合、搭載浮動管300の外フランジ301は両回転方向の発電機能を有する潮流発電機を搭載することが好ましい。直交節点部材と中心浮動制御管100とが可動連結される場合、搭載浮動管300の外フランジ301は、自動反転対流機能を有する単一回転方向の潮流発電機を搭載してもよい。搭載浮動管300はただ搭載フレームの1つであり、搭載浮動管300の水抵抗力を更に低減しようとする場合、普通のトラス又は外形が流線型である管材が採用されてもよい。自動深度決定安定化部品の構造と設置方式は柔軟であるが、組み立て、輸送及びメンテナンスを容易にする観点から、自動深度決定安定化部品は、優先的に中心浮動制御管100の上方に設けられるべきである。明らかに中心浮動制御管100の下方に設けられる必要があるとき、優先的に深度決定用下索603と深度決定カウンターウェイト602(
図9)が選択され使用される。本発明のすべての剛性部品は、海水への浸漬に耐性を有する良質な高強度ガラス繊維強化プラスチック又は海水腐食防止処理を受けた構造鋼などの材料で製造されてもよい。
【0036】
潮流発電機の多機能搭載装置の第2実施例
以下、
図5〜
図7を参照しながら、本実施例と第1実施例の相違点について説明する。深度決定安定化浮動管400のトップにはトップフレーム403が設けられ、トップフレーム403の左右両側にはトップフレーム孔405が設けられている。また、深度決定安定化浮動管400の外部には浮力の大きな摺動浮体500が更に設けられている。摺動浮体500は密閉筐体であり、その中央部には摺動通孔501が設けられ、両側には索係留部品502が設けられている。摺動浮体500は、摺動通孔501を介して深度決定安定化浮動管400に沿って上下摺動できる。摺動浮体500がトップフレーム403の下方に浮くとき、トップフレーム孔405と索係留部品502により、ロープを用いて摺動浮体500をトップフレーム403に固定することにより本例の作動安定性を向上させることができる。本実施例を浮上させてメンテナンスする必要があるとき、まずこのロープは開放される。摺動浮体500については、容積が大きい場合、その内部には必要に応じて補強リブ板が設けられ、トップには開閉可能な密閉ドアと換気管が更に設けられてもよい。このように、摺動浮体500の内部には様々な装置を設置でき、さらに人が住むこともできる。係留用大綱911により、本例は半潜水方式で潮流発電機を海面920以下の流速が最も大きい表層潮流において完璧に深度決定できる。
【0037】
摺動浮体500が深度決定安定化浮動管400の底部まで摺動することは、本例の直立浮動の初期状態である。また、摺動浮体500は、互いに完全に分離された上下2層の空間に更に分断されてもよい。上層空間の設置は前記設置と同じであるが、下層空間はトップに吸排気ポートが設けられ、底部に給排水ポートが設けられており、下層空間の吸排気ポートは操作制御ガス管に連結され、操作制御ガス管の他端は海面に開口されている。このように、海面の風浪が大きくない場合、操作制御ガス管により、摺動浮体500の下層空間はガスで完全に充填されて、本例は常に半潜水の状態で作動できる。台風のとき、操作制御ガス管により、摺動浮体500の下層空間は海水で満たされて、本例及びそれを搭載している潮流発電機は、浮力の減少により可能な限り深い海水中に潜水して、強い台風による損傷を回避する。台風の後、操作制御ガス管によりガスが充填されて、本発明は簡単に半潜水の作業状態に回復できる。当然のことながら、摺動浮体500が層を分けて設けられない場合、深度決定安定化浮動管400が摺動浮体500の下層空間のように設置され、又は、複数のチャンバセクションに分断された密閉チャンバ110の中央セクションが摺動浮体500の下層空間のように設置されても、台風があった場合、分断された摺動浮体500の応用効果と同じ効果を果たすことができる。また、摺動浮体500の内部において様々な機器を更に設置しやすく、人が更に住みやすいために、中心浮動制御管100の上方には2つの深度決定安定化浮動管が前後均衡に設けられ、2つの深度決定安定化浮動管のトップの間には補強索又は剛性連結ブラケットが設けられており、摺動浮体500の前後側面には、深度決定安定化浮動管の外部を移動可能に囲んで連結される摺動リングが摺動通孔501の代わりに設けられる。当然のことながら、摺動浮体500は流線型に設けられてもよく、これにより水流抵抗力を低減できる。
【0038】
潮流発電機の多機能搭載装置の第3実施例
以下、
図8を参照しながら、本例と第1実施例の相違点についてのみ説明する。深度決定安定化浮動管400のトップには、深度決定用上索601と深度決定浮体600が連結されている。本例において、海面920の風浪が大きい場合、深度決定浮体600と係留用大綱911により、潮流発電機は風浪が比較的小さい、より深い海層に正確に深度決定できる。そのトップに深度決定用上索601と深度決定浮体600が連結されることは、本例の直立浮動の初期状態である。
【0039】
潮流発電機の多機能搭載装置の第4実施例
図9を参照する。以下、本例と第1実施例との相違点についてのみ説明する。中心浮動制御管100の両端の下方には深度決定用下索603が連結され、長さが同じ2つの深度決定用下索603の他端は、深度決定カウンターウェイト602と連結され且つV字形になる。深度決定カウンターウェイト602が海底まで沈下するとき、潮流発電機は予め決められた深度に正確に深度決定される。係留用大綱911により係留することは、海面920の風浪による影響を回避でき、海面920に交通衝突を引き起こすことを回避でき、同時に海面920の視覚公害を引き起こすことも回避できる。
図9は、深度決定用下索603と深度決定カウンターウェイト602が連結されている本例の直立浮動の初期状態である。
【0040】
潮流発電機の多機能搭載装置の第5実施例
図10、
図11に示すように、直交節点部材と中心浮動制御管100の中央部とは水平に直交して可動連結され、搭載浮動管300の内フランジ302は直交節点部材に連結されている。摺動浮体500は自体の重力により、深度決定安定化浮動管400の底部に停止する。深度決定安定化浮動管400のトップにはトップフレーム403が設けられ、トップフレーム403の左右両端にはトップフレーム孔405とトップスライダー404が設けられている。対流反転補助アーム227は直交節点部材の外端に連結され、それとインペラ802とはいずれも搭載浮動管300の上側に位置している。直交節点部材の回転軸、対流反転補助アーム227、搭載浮動管300及び潮流発電機が固定連結された後、中心浮動制御管100に対してY軸の周りに回転できる。反転補助ロープ503は、一端が対流反転補助アーム227の中央上部に連結され、他端が同じ側におけるトップスライダー404を貫通して摺動浮体500の同じ側における索係留部品502に連結されている。陸上にあるときまたは潜水するとき、摺動浮体500自体が重いため、索係留部品502で反転補助ロープ503を緊張させると、対流反転補助アーム227、搭載浮動管300及び潮流発電機はともにY軸の周りに回転するようにされて、対流反転補助アーム227とインペラ802は最終的に、
図10に示すように垂直上向きになる。
【0041】
図12、
図13を参照する。中心浮動制御管100の内壁113は図に示すように、中心浮動制御管100の中央部が2枚の間隔板112により前後均衡して密閉チャンバ110に仕切られており、強化連通管221は水平に密閉チャンバ110を直交貫通し、連通軸222は強化連通管221内を貫通する。密閉チャンバ110の前後はいずれも一方向浮動制御チャンバ111であり、後に位置する一方向浮動制御チャンバ111のチャンバ給排水ポート706は、中心浮動制御管100の上方に位置する給排水管703の開口であり、直交上フランジの前に位置するチャンバ吸排気ポート705と直交上フランジの後に位置するチャンバ給排水ポート706とは連通配管701により連通されている。
【0042】
図14、
図15に示すように、連通軸222、対流反転補助アーム227、搭載浮動管300及び潮流発電機により固定連結された回転可能な一体化部品は、完全に水中にあるとき、当該回転可能な一体化部品の重力と浮力が、これを
図14に示すような状態まで回転させる転倒モーメントを形成する。対流反転補助アーム227の長さ方向が海面920と平行するとき、当該転倒モーメントは最も大きい。
図14に示す状態になるとき、当該転倒モーメントはゼロである。
【0043】
図15には、直交節点部材の細部の構造が明らかに示され、同時に中心浮動制御管100の中央部に連結されている他の部品の構造も明らかに示されている。中心浮動制御管100の中央部に固定連結されている外部補強管220、外部補強管220と中心浮動制御管100を貫通し且つこれらに固定連結されている強化連通管221、強化連通管221を貫通している連通軸222、連通軸222の両端に設けられている位置制限リング223及び軸フランジ224はともに当該直交節点部材、即ち、連通軸受を構成する。軸フランジ224の側辺には軸アームフランジ225が設けられ、対流反転補助アーム227はアームフランジ226を介して軸アームフランジ225に連結している。外部補強管220の上方には直交上フランジ211が設けられ、深度決定安定化浮動管400は管底部のフランジ406を介して直交上フランジ211に連結され、連通配管701は直交上フランジ211の前後のチャンバ吸排気ポート705とチャンバ給排水ポートを連通し、反転補助ロープ503は解放状態にある。連通軸222と強化連通管221の間の摩擦力を低減することは、潮流発電機の自動対流を容易にする。このため、好ましくは、連通軸222と強化連通管221の間には耐摩耗性の自己潤滑カラー又は套管が設けられ、若しくは搭載浮動管300と連通軸222には左右均衡して複数のチャンバセクションが設けられて浮力を調節し、連通軸222と強化連通管221の間の正圧力を低減することによりこれらの間の摩擦抵抗を低減する。
【0044】
図16に示すように、上述の回転可能な一体化部品は転倒モーメントを有するが、当該転倒モーメントは大きくない。上げ潮又は下げ潮のとき、係留用大綱911が引っ張られ、対流反転補助アーム227及び搭載されている潮流発電機のインペラ802は、強い潮流により強い流入流れ回転モーメントを発生しており、当該流入流れ回転モーメントは、転倒モーメントよりかなり大きいため、それが転倒モーメントを克服しやすく、且つ潮流発電機に対流発電をさせる。潮流発電機は、対流発電を開始した後、相応に直立浮動対流フロー状態になる。このとき、摺動浮体500は依然として浮力によりトップフレーム403の下方に密着し、対流反転補助アーム227は強い流入流れ回転モーメントにより
図16に示す状態まで回転させる。憩潮が再出現するとき、転倒モーメントは対流反転補助アーム227と搭載されている潮流発電機を直立浮動ノーフロー状態に回復させる。また、新たな流入流れがあるとき、潮流発電機は再び新たな流入流れ回転モーメントにより対流発電をさせる。このように、上げ潮及び下げ潮に伴って、潮流発電機は周期的に絶えず自動反転して対流発電をする。
【0045】
なお、
図10、
図14及び
図16に示すように、海面に浮上した後、摺動浮体500の重力により反転補助ロープ503を介して発生された回転トルクは、回転可能な一体化部品自体の重力による回転トルクより大きい必要がある。深度決定安定化浮動管400、反転補助ロープ503及び対流反転補助アーム227の長さは下記の条件を同時に満たす必要もある。1.摺動浮体500が深度決定安定化浮動管400の底部に停止し、且つ対流反転補助アーム227が垂直上向きになるとき、反転補助ロープ503が引っ張られる。2.摺動浮体500がトップフレーム403の下方に浮上して停止するとき、反転補助ロープ503は対流反転補助アーム227の正常な対流回転を制限できない。こうすることにより、上述の構造の対流反転補助機能が実現できる。
【0046】
潮流発電機の多機能搭載装置の第6実施例
図17〜
図19を参照する。本実施例は、2つの第1実施例を1対の主連結フランジ103を用いて連結することにより実現され、かつ同時にさらに好ましい潮流発電機の多機能搭載装置を複合して最適化した。最適複合された本例は、前の構成単位の前方ケーシング101の下方の管給排水ポート704を保持して、後の構成単位の後方ケーシング102の上方の管吸排気ポート702はリモートガス管700に連結され、主連結フランジ103の前上方にはチャンバ吸排気ポート705が設けられ、後下方にはチャンバ給排水ポート706が設けられ、前記チャンバ給排水ポート706は給排水管703を介して主連結フランジ103の後上方で開口され、連通配管701により主連結フランジ103の前後のチャンバ吸排気ポート705とチャンバ給排水ポート706とは連通されている。前後の2つの構成単位は、トップカバー孔402の間に設けられている補強索407を共用する。本例は、他の変形の実施形態を更に有する。例えば、主連結部材は軸の横断面がH字形の套管であってもよい。このように、本例は、2セットの4台の潮流発電機を同時に搭載でき、1台の潮流発電機のリソース配置を効果的に低減でき、発電の平均配電コストを更に低減でき、操作制御が更に安定である。
【0047】
他の潮流発電機の多機能搭載装置の実施例
第6実施例は第1実施例を複合最適化し、第7実施例は第2実施例を複合最適化していたものである。第7〜第10実施例は第6実施例が第1実施例を複合最適化した戦略と似ており、第10実施例まではこのように類推すればよい。第7〜第10実施例において、2つの深度決定浮体がある場合、元の2つのより小さい深度決定浮体に代えて、サイズが2倍になる1つの深度決定浮体を用い、同時に2つの深度決定用上索を当該深度決定浮体に係留することは更に好ましい。4つの深度決定用下索と2つの深度決定カウンターウェイトがある場合、更に好ましくは、それらに代えて、2つのより太い深度決定用下索と1つの重さが2倍になる深度決定カウンターウェイトが用いられ、2つのより太い深度決定用下索は、中心浮動制御管100の両端の下方における索係留部に係留されてもよく、直交側フランジ210により中心浮動制御管100の下方に係留されてもよい。
【0048】
ここで、主連結部材は1対のフランジであってもよく、軸の横断面がH字形である1つの套管であってもよい。このように、本発明は、1台の潮流発電機のリソース配置を更に効果的に低減でき、同時にその発電の平均配電コストを更に低減でき、操作制御を更に安定させる。理由は次のとおりである。1.実験によれば、潮流発電機のインペラのエネルギーハーベスト効率は常に流入流れのエネルギーの50%以下であるため、潮流速度が大きい特定の海域において、1回目の使用後の流入流れはまた比較的高いエネルギーを有し、特に、当該流入流れは、この後の短い流程で周囲の流入流れからエネルギー補足を獲得でき、最終的に周囲の流入流れのエネルギーと略一致する。2.規模にかかわらず、過酷な海洋環境での配電にかかる基本的なコストは高いため、大規模集中発電及び統合配電は特に顕著なコストスケールメリットを有する。
【0049】
潮流発電機の初期発電電圧は常に低く且つ不安定であり、さらに、それは海上又は陸上の規模化電気処理センターからの距離が一般的に遠いため、潮流発電機が発電した電気は昇圧変圧器により昇圧された後遠距離輸送できる。上述の各実施例によれば、昇圧変圧器は摺動浮体500の内部に設けられてもよく、中心浮動制御管100の下方に設けられてもよい。幾つかの昇圧変圧器の搭載インターフェースフランジは前後均衡して設置され、そして、最終組立の際に、対応インターフェースフランジを有する昇圧変圧器は直接取り付けられてもよく、当然のことながら、対応インターフェースが設けられている搭載枠により昇圧変圧器は間接的に搭載されてもよい。
【0050】
以下、潮流発電機の多機能搭載装置の作動原理について詳細に説明する。
図20を参照する。流入流れ900は
図20における矢印方向に示すように、潮流発電機の多機能搭載装置は海面920に浮き、その前後には間隔が水深の4倍より大きい2つの係留用アンカー910が設けられ、係留用アンカーは海底921に係留され、係留用アンカー910から引き出された長さが同じ2つの係留用大綱911はそれぞれ潮流発電機の多機能搭載装置の前後両端を固定し、潮流発電機の多機能搭載装置の後端上方の吸排気ポートから延びるリモートガス管700は係留用大綱911に沿ってリモート操作制御位置922に引かれ且つ操作制御スイッチ707に連結される。必要に応じて、海底921と係留用大綱911に沿ってすべての水中電力ケーブルが設けられる。
【0051】
図21は、潮流発電機を搭載した後、海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した浮沈式深度決定の概略図である。海面920の風浪が長期的に大きく、且つ海水が深いとき、このような海面を深度決定の起点とする浮沈式深度決定が用いられてもよい。操作制御方法は以下のとおりである。憩潮又は流入流れ900の期間において、リモート操作制御位置922で、操作制御スイッチ707を入れ、リモートガス管700に負圧を加え、海水が操作制御スイッチ707端から流出すると、深度決定設置は自動的に完了する。逆に、水中の予め決められた深度に深度決定された潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機を浮上させる必要があるとき、これらが完全に海面920に浮上するようにリモートガス管700に正圧が加えられる。この深度決定方式の利点は、柔軟性があり、適合性が高いことである。この深度決定方式の欠点は、深度決定が広く、深度決定の海層が厚いことである。
【0052】
図22は、潮流発電機の多機能搭載装置が海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した半潜式深度決定の概略図である。海面920の風浪が大きくなく、又は海水が浅いとき、このような海面を深度の決め起点とする半潜式深度決定が用いられてもよい。その操作制御方法は、海面を深度決定の起点とする浮沈式深度決定の操作制御方法と完全に同じである。この深度決定方式の利点は、潮流発電機を流速が最も速い表層海水に正確に深度決定できることである。この深度決定方式の欠点は、海面920に暴風と荒波があるとき、装置に対して一定の負の影響を与えることである。
【0053】
図23は、潮流発電機の多機能搭載装置が海面を深度決定の起点として深度決定設置を完了した引掛式深度決定の概略図である。海面920の風浪が長期的に大きく、海水が非常に深いとき、このような海面を深度決定の起点とする引掛式深度決定を用いてもよい。その操作制御方法は、海面を深度決定の起点とする浮沈式深度決定の操作制御方法と完全に同じである。この深度決定方式の利点は、深度決定が正確であり、海面の風浪による影響が小さいことである。この深度決定方式の欠点は、深度決定浮体600と深度決定用上索601が操作制御とメンテナンスに不都合が生じることである。
【0054】
図24は、潮流発電機の多機能搭載装置が海底を深度決定の起点として海面に浮動する概略図である。海底を深度決定の起点とすることは、潮流発電機の多機能搭載装置の下方に自動深度決定部品を設ける必要がある。潮流発電機の多機能搭載装置の下方に深度決定カウンターウェイト602とV字形の長さが同じ深度決定用下索603を設けることは好ましい。深度決定カウンターウェイト602の重量が含まれているとき、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機の水中での正味の固定浮力は負値である。深度決定カウンターウェイト602の重量が含まれていないとき、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機の水中での正味の固定浮力は、深度決定カウンターウェイト602の正味沈水力より僅かに小さいことが必要である。明らかに、正味の固定浮力は、任意の状況において潮流発電機を底着きしないようにさせることを満たすべきである。このように、深度決定カウンターウェイト602の正味沈水力が大きいほど、それが海層を深度決定する精度が高い。
【0055】
図25は、潮流発電機の多機能搭載装置が海底を深度決定の起点として深度決定設置を完了した潜水式深度決定の概略図である。目標発電海域が比較的深いとき、ただし深過ぎる場合は除かれるが、このような海底を深度決定の起点とする潜水式深度決定を用いてもよい。その操作制御方法は海面を深度決定の起点とする浮沈式深度決定の操作制御方法と完全に同じである。潮流発電機の多機能搭載装置が潜水式で予め決められた深度に深度決定された後、憩潮期間又は上げ潮と下げ潮期間であっても、海面に暴風と荒波があっても、これらはすべて潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機に対して負の影響が小さい。原因は以下のとおりである。1.より深い海層の波は海面の波よりはるかに小さい。2.海面の波の極端な破壊力は、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機に直接作用できない。3.上げ潮と下げ潮があるとき、流入流れの衝撃で、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機はいずれもより大きい沈水力を受ける。この沈水力により、深度決定用下索603の張力は大幅に低減させ、またはゼロになる可能性もあるが、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機の正味の固定浮力は当該沈水力を完全に相殺できることで、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機は、深度が決められた海層において顕著に降下しない。流入流れが終了するとき、潮流発電機の多機能搭載装置及びそれを搭載している潮流発電機に固定して設定された正味の固定浮力は、深度決定カウンターウェイト602により完全に相殺される。ただし、このときの深度決定用下索603の張力が最も大きい。よって、この深度決定方式は、利点が最も多く、極端な海況での安全性が最も高く、海面920のマイナス要素に影響されないだけでなく、海面920に視覚公害を引き起こさず且つ海面920の交通に影響しない。欠点は、非常に深い目標発電海域において深度決定するとき、潜水式深度決定は最適でないことである。
【0056】
本発明による潮流発電多機能搭載装置の使用方法の実施例は、発明の詳細な説明の部分及び
図20〜
図25において詳述されている。
【0057】
以上の各実施例はいずれも、潮流発電機の多機能搭載装置及びその使用方法について詳細に説明するものであり、決して本発明を限定するものではない。実際、上述の各実施例を参照し且つ本発明の内容に基づいて、当業者は本発明による他の多くの保護されている技術案を実現することができるため、本発明の他の多くの実施形態については更に説明しない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、中心浮動制御管、直交節点部材、搭載フレーム及び自動深度決定安定化部品からなるコア力受け部品の主従結合が簡単且つ強固である。また、中心浮動制御管の可変浮力及び自動深度決定安定化部品の浮力と長さを設置し制御することにより、本発明は効率的な浮沈制御機能及び便利な自動深度決定安定化機能を更に有する。
【国際調査報告】