特表2016-523614(P2016-523614A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミンマックスメディカルの特許一覧

特表2016-523614身体部分の計画されたボリュームの処置用システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-523614(P2016-523614A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(54)【発明の名称】身体部分の計画されたボリュームの処置用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/32 20160101AFI20160715BHJP
   A61B 17/17 20060101ALI20160715BHJP
【FI】
   A61B34/32
   A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-518473(P2016-518473)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014062150
(87)【国際公開番号】WO2014198784
(87)【国際公開日】20141218
(31)【優先権主張番号】13171546.8
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515343281
【氏名又は名称】ミンマックスメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァレ,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ フエンテ クラン,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ラーダーマッハー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ニーシェ,アンネグレート
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,マイコ
(72)【発明者】
【氏名】デズ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】コレ,エルヴェ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL09
4C160LL12
(57)【要約】
本発明は、外科用システムであって、
(i) 手持ち装置(100)であり、
− 基部(1)、
− 外科用器具又は器具ガイド部を装着するためのエンドエフェクタ(2)、
− 基部(1)及びエンドエフェクタ(2)に接続された作動ユニット(4)、
− 基部(1)又はエンドエフェクタ(2)と処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクを提供するように、処置を施されるべき処置部分又は隣接する領域と接触するように設計された、支持ユニット(5)、
を有する、手持ち装置(100)、
(ii) 追跡ユニット(200)、
(iii) 制御ユニットであり、
(a) エンドエフェクタの最適化された経路を実時間で計算し、
(b) 器具又はエンドエフェクタの計算された経路が基部の姿勢を変更することなく達成され得るかどうかを検出し、達成され得ない場合は、処置を施されるべき部分に対する基部の可能な再配置を決定し、
(c) 計算された経路に従ってエンドエフェクタを動かすように、作動ユニットを設定し、
(d) 計画されたボリュームに処置が施されるまでステップ(a)乃至(c)を繰り返す、
ように設定されている、制御ユニット、及び、
(iv) ユーザーインターフェイス(400)、
を有する、システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
(i) 手持ち装置であり、
− 使用者の手で保持されるように設計されている、基部、
− 外科用器具を装着するため、又は外科用器具をガイドするためのガイド部をそれぞれ装着するためのエンドエフェクタであり、前記外科用器具は、患者の身体の部分の計画されたボリュームに処置を施すように設計されている、エンドエフェクタ、
− 前記計画されたボリュームに処置を施すために、前記基部に対して前記外科用器具を動かすため、又は器具ガイド部をそれぞれ動かすために前記基部及び前記エンドエフェクタに接続された作動ユニット、
− 前記基部に接続され、又は前記エンドエフェクタにそれぞれ接続された支持ユニットであり、前記基部又は前記エンドエフェクタと処置を施されるべき前記部分との間に部分的、機械的なリンクをそれぞれ提供するように、処置を施されるべき前記部分、又は処置を施されるべき前記部分に隣接する患者の身体の領域と接触するように設計された少なくとも一つの要素を有する、支持ユニット、
を有する、手持ち装置、
(ii) 処置を施されるべき前記部分に対する、前記器具、前記エンドエフェクタ及び前記基部のうちの少なくとも一つの姿勢を実時間で決定するように設定されている、追跡ユニット、
(iii) 制御ユニットであり、
(a) 測定された姿勢に応じて前記基部に対する前記器具又は前記エンドエフェクタの最適化された経路を実時間で計算し、
(b) 器具又はエンドエフェクタのそれぞれ計算された経路が前記基部の姿勢を変更することなく達成され得るかどうかを検出し、達成され得ない場合は、処置を施されるべき前記部分に対する前記基部の可能な再配置を決定し、
(c) 計算された経路に従って前記エンドエフェクタを動かすように、前記作動ユニットを設定し、
(d) 計画されたボリュームに処置が施されるまでステップ(a)乃至(c)を繰り返す、
ように設定されている、制御ユニット、及び、
(iv) 使用者に対してフィードバック情報を表示するように設定された、ユーザーインターフェイス、
を有する、システム。
【請求項2】
器具ガイド部は前記エンドエフェクタに装着され、前記支持ユニットは前記器具ガイド部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記支持ユニットは、使用者によって前記部分的、機械的なリンクに働かされる力を検出するための少なくとも一つのセンサを有し、
前記制御ユニットは、前記支持ユニットが最小緩衝パラメータを有するような閾値よりも前記力が大きいかどうかを確認するように設定されている、
請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記支持ユニットは、前記基部又はエンドエフェクタと処置を施されるべき前記部分との間に作り出される前記の機械的なリンクが、前記の処置を施される部分によって前記器具に対して働かされる反力を吸収できるように、少なくとも一つの緩衝要素を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの緩衝要素の緩衝特性は、調節可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記支持ユニットは少なくとも一つのピンを有し、前記ピンは、少なくとも一つの固い又は緩衝された自由度を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記支持ユニットは、処置を施されるべき前記部分に隣接する患者の軟組織に接着するように設計された表面を有する、少なくとも一つのパッドを有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記支持ユニットは、前記基部又は前記エンドエフェクタに接続された第一の部分、及び処置を施されるべき前記部分、若しくは処置を施されるべき前記部分に隣接する患者の部分に適合する且つ/或いは固定されるように意図された第二の部分、を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記支持ユニットの前記第一の部分と前記第二の部分との間の接続は、面ファスナ又は磁気ファスナを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記支持ユニットは、他の使用者の手によって保持され得る握り手を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記支持ユニットは、前記基部に対して関節でつながれている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記外科用器具は、前記エンドエフェクタに対して関節でつながれている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記器具の現在の姿勢が前記計画されたボリュームの外側であることを当該制御ユニットが検出した場合に、前記作動ユニット及び/又は前記器具を停止するように設定されている、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記支持ユニットは、前記手持ち装置の前記基部に接続され、手術台等の機械的な支持部に接続されることに適する保持アームを有する、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
計画システムを有し、該計画システムは、器具によって処置を施されるべきボリューム、及び、適切であれば、前記器具の少なくとも一つの処理パラメータを決定するように設定されている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
ドリルガイド部又は鋸ガイド部が前記エンドエフェクタ又は前記支持ユニットに含まれ、前記器具は、前記ガイド部の軸又は平面内で動かされるように意図されたドリル又は鋸である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
外科用器具は、鋸、ドリル、ミル、シェーバ又はバーを有する、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記追跡ユニットは少なくとも一つのエミッタ及び少なくとも一つのセンサを有し、前記少なくとも一つのエミッタは前記基部又は前記エンドエフェクタに装着され、前記少なくとも一つのセンサは処置を施されるべき前記部分に取り付けられるように適合させられている、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザーインターフェイスによって提供される前記フィードバック情報は、計算された経路が、処置を施されるべき前記部分に対する前記基部及び/又は前記支持ユニットの姿勢を変更することなく達成可能であるかどうかの表示を含み、達成可能でない場合は、前記制御ユニットによって決定された基部及び/又は支持ユニットの可能な再配置の表示を含む、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
ばねプーリから延びるケーブルを更に有し、前記ケーブルは前記手持ち装置の前記基部を支持する、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体の部分の計画されたボリュームの処置用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部に近い特定の位置に器具ガイド部を配置するようにプログラムされた、シリアルな運動構造の工業用ロボット[Kwoh 1988][Lavallee 1989]をはじめとして、1980年代から外科手術にロボット装置が使用されてきた。1990年代中に、ロボットは、股関節外科手術及び膝関節外科手術(hip and knee surgery)のためにROBODOCシステム(ISS,米国)及びCASPAR(U.R.S.,独国)を用いた整形外科手術に導入された[Bargar 1998,Prymk 2006]。しかしながら、これらの自動的なシステムは、従来の技術以上の長期的な利点を示さなかっただけでなく、それらは、より長い手術時間及び血液喪失の増大をも示した[Bach 2002]。これらのシステムの一つの難点は、ロボットに対する骨の固い固定、及び外科医から制御を取り去ってしまう完全に自動的な処理であった。切断若しくは押圧した場合又は患者の呼吸の結果として組織の形状が変化し得るため、自動的なロボットは軟組織の外科手術によく適していない。
【0003】
コンソール及び遠隔視覚フィードバックを用いて制御される、マスタースレーブ制御されるロボットもまた、導入されている[Maeso 2010]。da Vinci(登録商標)システムは、低侵襲腹腔鏡下腹部外科手術において使用され、そこでは、外科医は最大で4本のロボットアームを制御し、外科医の手の動きはフィルタリング及びスケーリングされて正確な器機(instrument)の微小な動きを可能にする。
【0004】
外科医が遠くから遠隔コンソールを使用してロボットを制御するda Vinci(登録商標)のアプローチとは対照的に、ロボットはまた、協調的な作業のために導入されている。これらのシステムは、器具ガイド部を配置して外科医自身が器機をガイドするか[Liebermann 2006,Plaskos 2005]、又は外科医は触覚によって制御されるロボットをガイドし、ロボットは禁止領域へのアクセスを防止する。
【0005】
“能動的拘束(active constraints)”又は“仮想的固定(virtual fixtures)”を使用した、触覚によって制御されるロボットの構想は、UKA及びTHAのために最初にAcrobotシステムによって[Davies 2007,Yen 2010]、後にMAKO Surgical社のRIOシステムによって実施された[米国特許出願公開第2006/0142657A1号明細書(Quaidら),Lonner 2010,Dorr 2011]。Acrobotシステムの無作為抽出前向き研究は、UKAにロボット骨調製を用いた場合、脛大腿のアライメントは計画された位置の2°以内であったが、対照群においては40%のみが2°以下であったことを示した[Cobb 2006]。
【0006】
一つの類似のアプローチであるが、大掛かりなロボットシステムを使用しないものは、予め計画された領域で有効にされるか又は無効にされるようにプログラムされることができる、“知的”高速バー(burrs)の使用である。一方で、Navigated Control構想は、バーの回転速度を制御し[Strauss 2005]、Precision Freehand Sculptorは、防護物の後ろに後退するバーを有する[Brisson 2004,国際公開第2011/133927A2号(Nikouら)]。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0171553号明細書(Schwarzら)は、基部、基部に対して動くことができる器具、及び処置を施されるべき部分上の所定の位置に向かって所定の作業空間内で器具を動かすための作動ユニットを有する、身体の一部分に処置を施すための手持ち装置を開示する。この装置は、器具の位置及び処置を施されるべき部分の位置を検出することによって、その位置を目標の位置と比較することによって、及び作動ユニットを相応に適合させることによって、基部の動き及び処置を施されるべき部分の動きを計算に入れる。米国特許出願公開第2012/0143084号明細書(Shoham)は、ハンドル、ハンドルに対して動くことができる器具、及び処置を施されるべき部分上の所定の位置に向かって所定の作業空間内で器具を動かすためのロボットを有する、身体の一部分に処置を施すための手持ち装置を記載する。この装置は、禁止区域に対する器具の位置を検出することができ、禁止区域内に器具を運ぶであろう量で使用者がハンドルを動かした場合には、ロボットの姿勢を変えることができる。これらの手でガイドされる器具の一つの難点は、切削経路(milling path)自体が外科医によって制御される必要があり、それは非効率な骨の除去、不正確な切削表面及び意図的でない熱放散を結果として生じ得ることである。加えて、合理的な全体の正確さを得るためにかなりの時間を要する。局所的に、切削表面は、常にでこぼこ又は不規則であり、そのような隆起を補填するために、しばしば好まれる非セメント接合インプラントの代わりに、切削表面とインプラントとの間にセメントが通常要求される。たとえセメントを用いたとしても、そのようなプロセスの最終結果は、正確性の全体としての損失である。
【0008】
一切の微動が許されない、網膜外科手術のような用途のために、固定ハンドマニピュレータ[Mitchell 2007,Uneri 2010]や、手持ち式能動的安定化Micron装置[Becker 2011,MacLachlan 2012]が導入されている。
【0009】
米国特許出願公開第2011/0208196号明細書(Radermacherら)は、使用者に対する拘束を作り出して適用するための手持ち式反作用(reactive)装置を開示する。その装置は、ハンドル、ハンドルに対して動くことができる器具及びハンドルに接続された支持要素を有する。その支持要素を用いて、ハンドルは、本体表面上に支持されることができる。支持要素は、作動ユニットによって移動可能である。作動ユニットは、処置中に得られるセンサデータに基づいて支持要素を移すことによって、本体表面に対する器具の再配置を可能にする。しかしながら、この装置は、作業されている材料に依存して使用者に拘束を加え、身体の計画されたボリュームを処置することを考慮して能動的に工具経路を最適化することができない。
【0010】
器具経路最適化及び外科医の小さな動きの相殺を可能にして、振動を最小化し且つ正確性を最適化する、軽量な、手持ち外科手術装置の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、外科用システムであって、
(i) 手持ち装置であり、
− 使用者の手で保持されるように設計されている、基部、
− 外科用器具を装着するため、又は外科用器具をガイドするためのガイド部(20)をそれぞれ装着するためのエンドエフェクタであり、外科用器具は、患者の身体の部分の計画されたボリュームに処置を施すように設計されている、エンドエフェクタ、
− 計画されたボリュームに処置を施すために、基部に対して外科用器具を動かすため、又は器具ガイド部をそれぞれ動かすために基部及びエンドエフェクタに接続された作動ユニット、
− 基部に接続され、又はエンドエフェクタにそれぞれ接続された支持ユニットであり、基部又はエンドエフェクタと処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクをそれぞれ提供するように、処置を施されるべき部分、又は処置を施されるべき部分に隣接する患者の身体の領域と接触するように設計された少なくとも一つの要素を有する、支持ユニット、
を有する、手持ち装置、
(ii) 処置を施されるべき部分に対する、器具、エンドエフェクタ及び基部のうちの少なくとも一つの姿勢を実時間で決定するように設定されている、追跡ユニット、
(iii) 制御ユニットであり、
(a) 測定された姿勢に応じて基部に対する器具又はエンドエフェクタの最適化された経路を実時間で計算し、
(b) 器具又はエンドエフェクタのそれぞれ計算された経路が基部の姿勢を変更することなく達成され得るかどうかを検出し、達成され得ない場合は、処置を施されるべき部分に対する基部の可能な再配置を決定し、
(c) 計算された経路に従ってエンドエフェクタを動かすように、作動ユニットを設定し、
(d) 計画されたボリュームに処置が施されるまでステップ(a)乃至(c)を繰り返す、
ように設定されている、制御ユニット、及び、
(iv) 使用者に対してフィードバック情報を表示するように設定された、ユーザーインターフェイス、
を有する、システムを提供する。
【0012】
有利には、ユーザーインターフェイスによって提供されるフィードバック情報は、計算された経路が、処置を施されるべき部分に対する基部及び/又は支持ユニットの姿勢を変更することなく達成可能であるかどうかの表示を含み、達成可能でない場合は、制御ユニットによって決定された基部及び/又は支持ユニットの可能な再配置の表示を含んでもよい。
【0013】
本文において、“処置を施されるべきボリューム(volume to be treated)”は、直線に沿って延びる一次元の(1D)ボリューム(例えば、処置が、その部分にドリルで穴を開けることから成る場合)、平面に沿って延びる二次元の(2D)ボリューム(例えば、処置が、その部分を鋸で切ることから成る場合)、又は三次元の(3D)ボリューム(例えば、処置が、インプラントを完璧に一致させるために予め定められたボリュームを除去すること又は作業座標系と共に登録された画像上に規定された正確な部分を除去することから成る場合)、のいずれも意味する。
【0014】
“部分的、機械的なリンク(partial mechanical link)”は、少なくとも一つの自由度での少なくとも二つの部分の相対的な動きが可能な、少なくとも二つの部分の間の機械的なリンクを意味する。この用語は、“完全な(complete)”機械的なリンク、すなわち、複数の部分間の一切の相対的な動きが許されないリンク(そのような完全な機械的なリンクの例は、少なくとも一つのネジによって、処置が施されるべき部分(例えば骨)に対して基部を固く取り付けることであろう)を排除する。
【0015】
以下で更に詳細に記述されるように、基部と患者の身体の部分との間に設けられる部分的、機械的なリンクは、支持ユニットが処置を施されるべき部分自体と接触することを意味する、直接的なもの、であってもよく、支持ユニットが処置を施されるべき部分に隣接する患者の身体の部分と接触することを意味する、間接的なものであってもよい。前述した隣接する部分は、処置を施されるべき部分としての同じ関節に属する骨で構成されていてもよく、又は処置を施されるべき部分を取り囲む軟組織であってもよい。間接的、部分的、機械的なリンクはまた、支持ユニットが使用者の手によって保持され、その手が処置を施されるべき部分又は軟組織及び処置を施されるべき部分を取り囲む皮膚に寄り掛かる(leans onto)場合に得られてもよい。
【0016】
支持ユニットが接触する部分及び支持ユニット自体の設計に応じて、前述の部分的、機械的なリンクは、固いか(rigid)又は緩衝されている(damped)。
【0017】
装置は、(例えば、使用者の小さな動きによる)所与の量の姿勢誤差を相殺することができる。
【0018】
本文において、“姿勢(pose)”は、最大で6自由度の器具の3Dの位置及び3Dの向きを意味する。用途に応じて、全6自由度を決定することが必要でないかもしれず、それらの一つ又はいくつかのみを決定する必要があることが、留意されるべきである。
【0019】
“経路(path)”は、計画されたボリュームが処置を施されることを可能にする、一組の器具姿勢を意味する。下記の事項の少なくとも一つを最小化するように、装置及び処置されるべき残りの部分の現在の相対的な姿勢に基づいて、前述の一組の姿勢が計算された場合には、一つの経路が“最適化されている(optimized)”:
− 処置を達成するために必要な装置の再配置動作の数;
− 計画されたボリュームに処置を施すために必要な時間;
− 器具によって生成される熱;
− 処置された部分の表面粗さ及び正確性;
− 骨表面に対する器具の(又は切削器具の刃先の)向き;
(このリストは限定的ではない)。
【0020】
有利であるが任意的な本発明の複数の実施形態によれば、単独で又は組み合わせて:
【0021】
− 器具ガイド部はエンドエフェクタに装着され、支持ユニットは器具ガイド部を有する;
【0022】
− 支持ユニットは、使用者によって部分的、機械的なリンクに働かされる力を検出するための少なくとも一つのセンサを有し、
制御ユニットは、支持ユニットが最小緩衝パラメータを有するような閾値よりも力が大きいかどうかを確認するように設定されている;
【0023】
− 支持ユニットは、基部又はエンドエフェクタと処置を施されるべき部分との間に作り出される機械的なリンクが、処置を施される部分によって器具に対して働かされる反力を吸収できるように、少なくとも一つの緩衝要素を有する;
【0024】
− 少なくとも一つの緩衝要素の緩衝特性は、調節可能である;
【0025】
− 支持ユニットは少なくとも一つのピンを有し、ピンは、少なくとも一つの固い又は緩衝された自由度を有する;
【0026】
− 支持ユニットは第二の握り手として設計され、患者とマニピュレータとの間の部分的、機械的なリンクは、第二の握り手を保持する外科医の第二の手によって作り出される;
【0027】
− 支持ユニットは、処置を施されるべき部分に隣接する患者の軟組織に接着するように設計された表面を有する、少なくとも一つのパッドを有する;
【0028】
− 支持ユニットは、基部又はエンドエフェクタに接続された第一の部分、及び処置を施されるべき部分、若しくは処置を施されるべき部分に隣接する患者の部分に固定されるように意図された第二の部分、を有する;
【0029】
− 支持ユニットの第一の部分と第二の部分との間の接続は、面ファスナ又は磁気ファスナを含む;
【0030】
− 支持ユニットは、他の使用者の手によって保持され得る握り手を有する;
【0031】
− 支持ユニットは、基部に対して関節でつながれている(articulated);
【0032】
− 外科用器具は、エンドエフェクタに対して関節でつながれている;
【0033】
− 制御ユニットは、器具の現在の姿勢が計画されたボリュームの外側であることを制御ユニットが検出した場合に、作動ユニット及び/又は器具を停止するように設定されている;
【0034】
− 支持ユニットは、手持ち装置の基部に接続され、手術台等の機械的な支持部に接続されることに適する保持アームを有する;
【0035】
− 支持ユニットは、ばねプーリから延び且つ手持ち装置の基部に接続されたケーブルを有し、ばねプーリは、手術台、部屋の天井、床上の固定カート若しくは移動カート等の機械的な支持部に接続されることに適する;
【0036】
− 当該システムは計画システムを有し、計画システムは、器具によって処置を施されるべきボリューム、及び、適切であれば、器具の少なくとも一つの処理パラメータを決定するように設定されている;
【0037】
− ドリルガイド部又は鋸ガイド部がエンドエフェクタ又は支持ユニットに含まれ、器具は、装置の一部であってもそうでなくてもよいが、ガイド部の軸又は平面内で動かされるように意図されたドリル又は鋸(saw)である;
【0038】
− 外科用器具は、鋸、ドリル、ミル、シェーバ又はバーを有する;
【0039】
− 追跡ユニットは少なくとも一つのエミッタ及び少なくとも一つのセンサを有し、少なくとも一つのエミッタは基部又はエンドエフェクタに装着される、;
【0040】
− 追跡ユニットの少なくとも一つのセンサは、処置を施されるべき部分に取り付けられるように適合させられている。
【0041】
一つの実施形態によれば、手持ち装置の基部は、ばねプーリから延びるケーブルによって支持される。
【0042】
上述のシステムは、以下で記述されるプロセスに従って操作されてもよい。
【0043】
手持ち装置が使用者に提供され、手持ち装置は、
− 使用者の手で保持されることに適する、基部、
− 外科用器具を装着するため、又は外科用器具をガイドするためのガイド部をそれぞれ装着するためのエンドエフェクタであり、外科用器具は、患者の身体の部分の計画されたボリュームに処置を施すように設計されている、エンドエフェクタ、
− 計画されたボリュームに処置を施すために、基部に対して外科用器具及び/又は器具ガイド部を動かすために基部及びエンドエフェクタに接続された作動ユニット、
− 基部に接続され、又はエンドエフェクタにそれぞれ接続された支持ユニットであり、基部又はエンドエフェクタと処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクをそれぞれ提供するように、処置を施されるべき部分、又は処置を施されるべき部分に隣接する患者の身体の領域と接触することに適する少なくとも一つの要素を有する、支持ユニット、
を有する。
【0044】
処置を開始する前に、一つの可能性は、最初に最適な開始ポーズが計算されることである。開始ポーズは、下記の基準に関して最適化されてもよい。
− 処置を施されるべきボリュームの到達可能な部分を最大化する;
− (全ボリュームが到達可能なロボット作業空間の内側にある場合に)ロボット作業空間の限界までの、処置を施されるべきボリュームの距離を最大化する。距離は、ロボットがロボット基部の動きを相殺することができる最大の空間を持つために重要である;
− 骨表面に対する器具の向き;
(このリストは限定的ではない)。
【0045】
使用者はその後、最適な姿勢にロボット基部を配置するためにユーザーインターフェイスによってガイドされる。その目的のために、直線、棒、十字又は3D図解などの異なる共通のグラフィカルな図解が使用されてもよい。
【0046】
使用者は、基部又はエンドエフェクタと処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクをそれぞれ提供するように、処置を施されるべき部分、又は処置を施されるべき部分に隣接する患者の身体の領域に接触させて、支持ユニットを置く。
【0047】
処置を施されるべき部分に対する、器具、エンドエフェクタ及び基部のうちの少なくとも一つの姿勢は、追跡ユニットによって実時間で決定される。
【0048】
制御ユニットは、下記のプロセスを実行する:
(a) 測定された姿勢に応じて基部に対するエンドエフェクタの最適化された経路を実時間で計算し、
(b) 器具又はエンドエフェクタのそれぞれ計算された経路が基部の姿勢を変更することなく達成され得るかどうかを検出し、否定的である場合には、処置を施されるべき部分に対する基部の可能な再配置(新たな最適な開始位置)を決定し、
(c) 計算された経路に従ってエンドエフェクタを動かすように、作動ユニットを設定し、
(d) 計画されたボリュームに処置が施されるまでステップ(a)乃至(c)を繰り返す。
【0049】
器具の動作中に、ユーザーインターフェイスは、使用者にフィードバック情報を提供する。特に、一つの有利な実施形態において、ユーザーインターフェイスは、計算された経路が、処置を施されるべき部分に対する基部及び/又は支持ユニットの姿勢を変えることなく達成可能であるかどうかを表示し、否定的な場合は、制御ユニットによって決定された基部及び/又は支持ユニットの可能な再配置を表示する。
【0050】
再配置が必要な場合に、それは、ロボット及び器具が停止され、使用者は彼が最適な位置に到達してシステムを再始動するまでガイドされるような、開始位置のためのようなものであってもよく、又は、それは、新たな最適な位置の方向への再配置中にプロセスが停止しないような、連続的なプロセスであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の他の特徴、実施形態及び利点は、添付の図面に基づく、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明による、外科用システムの概観を示す。
図2】制御ユニットに接続された画面に表示され得る、詳細の計画を示す。
図3A】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3B】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3C】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3D】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3E】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3F】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3G】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3H】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3I】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3J】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3K】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図3L】手持ち装置及び支持ユニットの実施形態の例を示す。
図4A】追跡ユニットの異なる実装を含む装置を示す。
図4B】追跡ユニットの異なる実装を含む装置を示す。
図4C】追跡ユニットの異なる実装を含む装置を示す。
図4D】追跡ユニットの異なる実装を含む装置を示す。
図5A】ユーザーインターフェイスの異なる実施形態を示す。
図5B】ユーザーインターフェイスの異なる実施形態を示す。
図5C】ユーザーインターフェイスの異なる実施形態を示す。
図6】本発明に従ってシステムを実行する方法を表す流れ図である。
図7A】人工膝関節片側置換術(uni knee arthroplasty)に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図7B】人工膝関節片側置換術に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図8A】人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty)に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図8B】人工膝関節全置換術に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図8C】人工膝関節全置換術に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図9A】大腿寛骨臼インピンジメント(femoro-acetabular impingement)の処置に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図9B】大腿寛骨臼インピンジメントの処置に適する手持ち装置の実施形態を示す。
図10】手持ち装置が保持アームによって支持される、更なる実施形態を示す。
図11】手持ち装置がばねプーリから延びるケーブルによって支持される、更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
下記の説明は、股関節外科手術又は膝関節外科手術、特に、大腿寛骨臼インピンジメント(FAI)の処置、人工膝関節片側置換術(UKA)及び人工膝関節全置換術(TKA)に焦点を合わせられている。
【0053】
処置を施されるべき部分(part to be treated)は、骨盤、大腿骨及び/又は脛骨のような骨であり、処置は、骨の計画されたボリューム(planned volume)の除去から成る。
【0054】
しかしながら、本発明はこれらの特定の用途に限定されない。
【0055】
特に、処置を施されるべき部分は、骨でなくてもよく、その部分に適用される処置はその部分のボリュームの除去を伴わなくてもよい。
【0056】
例えば、装置は、様々な種類のインプラント(膝、腰、足首、足、手首、肩等)を正確に配置するために実行される任意の種類の整形外科手術において、尚又、軟組織のレーザー外科手術又はラジオ波焼灼術において、骨に穴を開けること、鋸で切ること、ミリングすることのために使用されてもよく、頭蓋顔面外科手術において骨を鋸引き及びミリングすること、歯科医術においてインレー又はアンレーと適合するように歯を再形成すること、歯科インプラントを配置するための穴を開けること、外傷学のために骨にネジを挿入すること、靭帯再建(ligament reconstruction)のためのトンネルを掘ること、一つ又は複数の平面又はドーム型の骨の截骨術(osteotomies)を実行すること、修正治療(revision procedure)の間セメントを除去すること、骨の断片を正確に一緒に配置すること、脊椎骨の椎弓根の内側に穴をあけること、軟骨の欠陥を除去すること、移植するために骨又は軟骨の健康な部分を採取すること、インレー、インプラント又は移植片を正確な位置に挿入すること、画像下治療(interventional radiology procedures)中に針を正確に配置すること、等のために使用されてもよい。
【0057】
以下で更に詳細に説明されるように、装置は、処置を施されるべき部分のボリュームが外科的介入の前に計画される文脈において使用される。
【0058】
処置を施されるべきボリュームの計画は、手術前の画像(例えば、CT、MRI、超音波画像、3DX線、PET等)、若しくは、手術中の3Dデータ(例えば、手術中のCT、手術中のMRI、超音波画像、2D又は3Dの手術中のX線画像、システムを局在化させ3Dの点、3Dの点のクラウド、3Dの点のクラウドから再構成された表面を提供することによって提供される幾何学的データ、等)、又はその両方を使用して実行される。
【0059】
マルチプルコンピュータ支援外科手術方法は、処置を施されるべき部分に付属する座標系と共に計画されたボリュームを記録する(register)ために使用される。
【0060】
典型的に、手術中の画像又はデータは、処置を施されるべき部分に付属する唯一の(unique)座標系において手術前の画像を記録するために使用され、トラッカー(光学的、磁気的、等)によって通常表示される。
【0061】
これらの従来のコンピュータ支援外科手術方法のいずれを使用しても、以下で詳述されるように、処置を施されるべきボリュームは、処置を施されるべき部分に付属する座標系において既知の幾何学的表示を有し、その動きは、追跡ユニットによって実時間で追跡されるという結果をもたらす。
【0062】
上で述べたように、このボリュームは、用途に応じて1D、2D又は3Dのボリュームであり得る。
【0063】
外科用システムの概要
図1は、本発明による、外科用システムの概観を示す。
【0064】
患者Pは、例えば人工膝関節片側置換術(UKA)のために、手術台500の上に横たわっている。
【0065】
この目的のために、脛骨及び大腿骨から3Dのボリュームを除去するように意図された器具3は、外科医(図示なし)によって操縦される手持ち装置100によって支持される。
【0066】
手持ち装置100は、制御ユニット300に接続されている。
【0067】
制御ユニットは、典型的に、電源、AC/DCコンバータ、作動ユニットのAC/DCモータに電力を供給するための運動制御装置、フューズ、実時間制御システムインターフェイス回路を有する。
【0068】
システムはまた、装置及び/又は処置を施されるべき骨の姿勢が実時間で追跡され、実時間制御システムと計画システムとの間で共有されるように、追跡ユニット200を有する。
【0069】
少なくとも一つの座標系201が処置を施されるべき部分に付属しており、一方で、少なくとも一つの座標系202が器具及び/又は手持ち装置に付属している。
【0070】
追跡ユニットは、両方の座標系201,202の間の相対的な運動を高周波で測定する。
【0071】
追跡ユニットによって得られるデータは、有線又は無線の(ここでは図示しない)任意の適切な接続を経由して制御ユニット300に伝達される。
【0072】
実時間制御システムは、提案された実時間制御アルゴリズムを合理的な高周波数で実行することができる。
【0073】
除去されるべきボリューム及び先に除去されたボリューム並びに処置を施されるべき骨に対する装置の実際の姿勢に基づいて、実時間制御システムは、最適な器具経路を算定する(calculates)。
【0074】
ロボット工学及び機械の文献に、除去されるべきボリュームの二値化、又は数値制御機械加工からのアイソパラメトリック経路生成アルゴリズムのような、幾何学的情報に基づく最適な切削経路生成のための、多くのよく知られたアルゴリズムが存在する。
【0075】
この図において、接続はワイヤ301によって表されるが、手持ち装置が蓄電池式であれば、それは代わりに無線であってもよい。
【0076】
制御ユニット及び追跡ユニットは、手術室内で移動することができるカート302に配置されてもよい。
【0077】
システムはまた、外科医に対してフィードバック情報を表示し、外科医によるシステム設定(system configuration)を可能にするように意図されたユーザーインターフェイス400を有する。
【0078】
ユーザーインターフェイス400は、有利には制御ユニット及び追跡ユニットと同じカート302に位置する画面を有してもよい。
【0079】
画面に加えて又は画面の代わりに、ユーザーインターフェイスは、手持ち装置自体に配置され、外科医に情報を提供する表示器(indicator)を有してもよい。
【0080】
制御ユニット、追跡ユニット及び/又はユーザーインターフェイスが手持ち装置自体に埋め込まれた外科用システムは、埋め込まれたユニットが十分に強力な電池によって電力供給され、それらの寸法及び重量が使用者による装置の操縦(manipulation)を妨げなければ、尚も本発明の範囲内である。
【0081】
外科用システムの動作の概要
外科的介入の前に、使用者は、手術前及び/又は手術中の医用画像及びデータに基づき、計画システムで介入を計画する。
【0082】
この計画ステップは従来のものであり、ここでは詳細に記述されない。
【0083】
それは、各用途に特有である。
【0084】
例えば、TKAの場合に、大腿骨に対する人工膝関節(knee prosthesis)の計画は、骨上の5つの切断面の定義付けを要求する。FAIの場合に、大腿骨頭及び大腿骨頸の除去されるべきボリュームの計画は、大腿骨頭の球形度のような、通常の幾何学的パラメータを有する形状を回復するために、除去されるべき複雑な形状の定義付けを要求する。
【0085】
計画システムは、本発明による外科用システムの一部を形成してもよい。別の方法で、計画システムは、別個に提供され、制御ユニットに接続されてもよい。
【0086】
外科的介入中に、使用者は、手術前のデータ/画像を手術中の記録方法と一緒に使用してもよく、又は手術中のデータ/画像を直接的に使用してもよい。
【0087】
両方の場合において、計画の結果は、器具によって処置を施されるべき少なくとも一つの連続的なボリュームから成り、処置を施されるべきそのボリュームの姿勢は、処置を施されるべき部分の座標系で決定される。
【0088】
そのボリュームは、次いで制御ユニットに伝達される。
【0089】
制御ユニットはそのサブシステムを初期化し、装置は使用準備が整う。
【0090】
処置が開始する前に、支持ユニットは、装置と処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクを提供するために、処置を施されるべき部分又は隣接する身体の部分に接続されなければならない。
【0091】
ひとたび処置が使用者によって開始されると、制御ユニットは、再計算及び視覚化の目的のために状況及び追跡情報を計画システムに連続的にフィードバックする。
【0092】
図2は、画面に表示され得る、詳細の計画の例を示す。
【0093】
部分p1は既に処置を施されたボリュームを示し、一方で部分p2は依然として処置を施されるべきであるボリュームを示す。その残りのボリュームは、処置を施されるべきボリューム及び既に処理されたボリュームのブールのメッシュ演算によって、又はボクセルボリュームを差し引くことによって、算定されてもよい。
【0094】
点線p3は、装置の作業空間、すなわち、安全に操作するために器具が使用されてもよい空間を表示する。
【0095】
装置の限定された作業空間に起因して、目標のボリュームに対する装置の単一の姿勢から、処置を施されるべき全ての部分に処置を施すことが可能でないかも知れない。処置を施されるべきボリュームのどの部分が、現在のロボット姿勢から安全に処置を施されることができるかを使用者に知らせるために、ユーザーインターフェイスは、処置を施されることができるボリュームのその部分を強調してもよい。ボリュームの安全に処置可能な部分は、処置を施されるべき残りのボリューム及びロボット作業空間の、ブールのメッシュ演算(又はボクセルボリュームの引き算)によって算定され得る。ボリュームのこの部分が“安全に”除去可能であることを確かにするために、この算定はまた、確かであるべき装置のより限定された寸法のボリュームを使って行われてもよく、たとえ処置を施されるべきボリュームの境界においても、ロボットの姿勢の小さな偏差が許容される。
【0096】
この制限された作業空間は、すなわち、数ミリメーター及び作業空間限界までの程度の補正値(offset)を有することによって、デカルトの(cartesian)作業空間内で算定されてもよく、又は各軸の限界までのある程度の量のエンコーダステップを使って、軸空間内で算定されてもよい。
【0097】
部分p4は、追跡ユニットによって測定された及び/又は実時間制御ユニットによって算定された、処置を施されるべき骨に対する器具の姿勢である。
【0098】
手持ち装置の使用中に、使用者は、器具を所定の作業空間内に維持するために実行されるべき装置の再配置に関する情報を提供される。
【0099】
本発明によれば、使用者は、一方では手持ち装置の基部の自由な操縦から利益を享受し、他方では、制御ユニットの自動的な器具経路最適化から利益を享受する。
【0100】
支持ユニットによって提供される部分的、機械的なリンクは、患者に対して追加的な侵襲動作をせずに、外科医が装置を再配置するために小さな動きを起こすことを可能にする。
【0101】
加えて、ユーザーインターフェイスは、使用者に、現在の装置位置で、計画された区域に処置を施す能力に関する情報を提供し、適切であれば、装置を適切に再配置するための方法に関する表示を与える。
【0102】
システムは、器具が計画された作業区域から離れた場合には制御ユニットが器具を停止させるため、介入の安全性を確かにする。加えて、装置の作業空間は小さく、固有の安全性を提供する。
【0103】
小さな作業空間の一つの他の利点は、小さなてこの作用に起因する、より高い正確性である。
【0104】
手持ち装置の概要
図3A乃至図3Cは、手持ち装置の実施形態の例を示す。
【0105】
図3A乃至図3Cは、手持ち装置の概要を提供するように意図されているが、本発明は、様々な実施形態によって実施され得る。
【0106】
いくつかの特定の実施形態−特定の外科的用途に関する−の記述は、以下で記述されるであろう。
【0107】
基部
手持ち装置は、外科医によって手で保持されるように意図された、基部1を有する。
【0108】
この目的のために、明確なハンドルが基部に装着されてもよく、又は基部はそれ自体が人間工学的な形状を提供するように設計されてもよい。
【0109】
器具/エンドエフェクタ
手持ち装置は、エンドエフェクタ2を更に有する。エンドエフェクタ2には、意図された処置専用の外科用器具3が装着されることができる(図3A−3B参照)。
【0110】
一つの実施形態によれば、器具3は、工場でエンドエフェクタ2に装着されてもよい。他の方法で、エンドエフェクタは、器具を固定するための取り付けシステム(例えば、クリップオン機構)を有してもよい。その器具は、別個に提供される従来の器具であってもよい。本実施形態は、作動ユニット及びエンドエフェクタを覆うために使用される無菌ドレープに容易に対応可能であるという、利点を有する。
【0111】
結果として器具3は、装置の一部分であってもよく、そうでなくてもよい。
【0112】
一つの他の実施形態によれば(図3C参照)、エンドエフェクタは、意図された処置専用の器具のためのガイド部20を支持する。
【0113】
器具が鋸である場合、器具ガイド部は、切断平面(除去されるべき2Dのボリューム)を規定する切断ガイド部である。
【0114】
器具がバーである場合、器具ガイド部は、切削線(除去されるべき1Dのボリューム)を規定する穿孔ガイド部である。
【0115】
器具ガイド部20は、工場でエンドエフェクタ2に装着されてもよい。他の方法で、エンドエフェクタは、従来のガイド部を固定するための取り付けシステム(例えば、クリップイン機構)を有してもよい。
【0116】
器具ガイド部は、エンドエフェクタに対して固定されてもよく又は移動可能(例えば、スライド可能及び/又は回転可能)であってもよい。
【0117】
作動ユニット
図3A乃至図3Cに示されるように、計画されたボリュームに処置を施すために、エンドエフェクタ2は、手持ち基部に対して器具3、又は適切であれば、器具ガイド部20を動かすために、作動ユニット4によって基部1に接続される。
【0118】
作動ユニットは、用途に応じて所与の数の自由度を有する。
【0119】
作動ユニット4は、一体的に接続されて運動構造を形成するモータ、ギア(任意的)及びセンサを有する。
【0120】
より詳細に以下で説明されるように、作動ユニット4は、制御ユニット300によって制御される。
【0121】
一つの実施形態によれば、器具3は球状のバー又はシェーバであってもよく、除去されるべきボリュームは、バー又はシェーバと同じ直径を有する複数の球体の接合としてモデル化される。
【0122】
そのような場合において、作動ユニット4は、(バーの回転を起動するための1自由度に加えて)3自由度を有するように設計される。
【0123】
更なる最適化は、処置を施されるべき部分に対する器具の刃先の向きを調節するために、5自由度を有してもよい。
【0124】
一つの他の実施形態において、器具は、円筒状のバー又はシェーバであってもよく、除去されるべきボリュームは、バー又はシェーバと同じ形状を有する複数の円筒状の区分の一つの可能な接合としてモデル化される。
【0125】
そのような場合において、作動ユニットは、5自由度を有するように設計される。
【0126】
除去されるべきボリュームはまた、ボクセル、三角形のメッシュデータ、平面の座標(鋸引きモードについて);点、方向及び深さ(穿孔について)によって表されてもよい。また、作動ユニットの設計は、処置を施されるべきボリュームの種類に適合させられ得る。
【0127】
作動ユニットを、各介入の前に滅菌される無菌の構成要素にすることが可能である。しかし、一つの好ましい実施形態において、作動ユニット及びそのケーブルは、単回使用の透明プラスチック無菌ドレープによって覆われる。システムの追加的な構成要素もまた、無菌ドレープの下に保護されることができる。しかし、器具自体は、従来の器具のように無菌である。典型的に、それは、各介入の前にオートクレーブを使用して滅菌される。無菌ドレープと器具との間の異なる種類の機械的なアダプタが提供されてもよい。そのようなアダプタは、器具が追跡ユニットを含む場合には非常に正確な再現可能な固定を要求せず、全体的なシステムの設計及び使用を容易にする。
【0128】
支持ユニット
手持ち装置は、基部1(図3A乃至図3B参照)又はエンドエフェクタ2(図3C参照)のいずれかに接続された支持ユニット5を更に有する。
【0129】
支持ユニット5は、基部1(又は図3Cに示されるようにエンドエフェクタ2)と処置を施されるべき部分との間に部分的、機械的なリンクを提供するように、処置を施されるべき部分又は処置を施されるべき部分に隣接する患者の身体の領域と接触するように意図された、少なくとも一つの要素を有する。使用者は、支持ユニットに常に圧力を加えて、処置を施されるべき部分との十分な接触を確かにするように訓練される。
【0130】
支持ユニット5は、通常は無菌の構成要素である。支持機能と基部又はエンドエフェクタとの間の接続は、その基部及びエンドエフェクタを備えた作動ユニットが無菌ドレープで覆われる場合、無菌ドレープ上に確立されてもよい。または、基部又はエンドエフェクタが無菌である場合、それは直接的に確立される。
【0131】
支持ユニット5は、安定化装置として働く、手持ち装置の決定的に重要な要素である。
【0132】
その支持ユニットは、固くても、緩衝されていてもよく(例えば、ばね荷重されている)、且つ/或いは、調節可能な緩衝特性を有してもよい。
【0133】
支持ユニット5と身体部分との接触は、一点若しくは幾つかの点又は少なくとも一つの面でなされてもよい。
【0134】
図3A及び図3Cに示される実施形態において、支持ユニット5は、処置を施されるべき部分P1と接触する固いピンを有する。
【0135】
一つの代替的な実施形態(図3B参照)において、支持ユニット5は、処置を施されるべき部分P1に隣接する患者の身体の部分P2と接触する緩衝されたピンを有する。
【0136】
一つの実施形態によれば、エンドエフェクタ2が器具ガイド部20を支持する場合、支持ユニット5は、器具ガイド部20自体を有してもよい(図3C参照)。
【0137】
いずれの場合も、支持ユニット5が、処置を施されるべき部分P1自体との直接的な接触又は部分P1に隣接する患者の身体の領域P2を介した間接的な接触のいずれかを成すという事実に起因して、支持ユニット5は、部分的、機械的なリンクの効果を有する。その部分的、機械的なリンクは、装置を操作しているときの使用者の動きを限定し−そして、有利な実施形態においてはまた、使用者の動き、切断器具の振動、及び作動ユニットの動きによって引き起こされる反力を緩衝する。
【0138】
加えて、支持ユニットは部分的、機械的なリンクのみを提供するため、それは如何なる侵襲動作も要求しない。
【0139】
この限定効果がなければ、処置を施されるべき部分に対する使用者の動き全てが、作動ユニットによって実時間で相殺され(compensated)なければならなくなる。それは、既存のロボット技術を使って達成することが極めて難しい。
【0140】
処置を施されるべき部分に対する使用者の微小な運動又は大きな運動は、ゆっくりとした運動及び速い運動を含め、装置の精度(precision)を規定する許容範囲内に相殺されなければならない。
【0141】
典型的に、骨の外科手術用途に関しては、十分な制度を得るために10分の数ミリメートルの範囲内の運動が相殺される必要がある。そのような相殺は、超高速の運動の検出及び測定、並びに、適用されるべき相殺運動の算定及び所望の相殺運動の遂行を要求する。相殺されない運動は、でこぼこ又は不規則な表面を結果として生じさせる。
【0142】
歯科用途に関しては、要求される制度は更に高く、典型的に100分の数ミリメートルの範囲内である。
【0143】
上述した性能を達成することができるセンサ、コンピュータ、モータ、制御装置、低慣性機構は、存在しないか又は開発及び製造するための費用が極めて高い。
【0144】
大幅に運動を限定すること−そして好ましくは緩衝すること−により、支持ユニットは、既存のロボット技術を使用して要求される制度を獲得することを可能にする。
【0145】
部分的、機械的なリンクはまた、処置を施されるべき部分が処置を施されているときにも重要である。
【0146】
支持ユニットは、支持ユニットが接する部分に戻る、装置を介して処置中に働かされる力の短く閉じた力のループを可能にする。
【0147】
処置中に働かされる力のうちの小さな分量のみが使用者によって相殺される必要があるので、その結果は、高い正確性である。
【0148】
支持ユニットの種類に応じて、働かされる力の一部は、閉じた力のループによって緩衝されることができる。
【0149】
例えば、支持として一つの鋭いピンを使用している場合、二つの方向の力が、ピンが位置する表面に平行に緩衝され得る。
【0150】
例えば、部分的、機械的なリンクは、外科医によって骨に装置が押し付けられるときに骨に刺さる(prick)ことができる一つ又はそれ以上の先端が鋭いピンによって達成されてもよい。
【0151】
そのような鋭いピンは、図3Dにおいて50として示される。
【0152】
そのような鋭いピン50は、3自由度から成る部分的なリンクを作り出す。
【0153】
二つの鋭いピンが使用される場合、両方のピン先端を通過する軸の回りの1自由度のみが許容される。
【0154】
部分的、機械的なリンクはまた、装置を使用しているときに使用者によって骨に対して押し付けられ得る丸みを帯びた先端を有する一つ又はそれ以上のピンによって達成されてもよい(図3Dの符号51を参照)。
【0155】
ピンの先端はまた、そこに取り付けられて緩衝効果を提供する、シリコン製の円盤(図示なし)有してもよい。
【0156】
一つの他の実施形態において、支持ユニットは、いくつかの鋭い歯が設けられた少なくとも一つの車輪を有してもよい。そのような車輪は、少なくとも一つの方向で骨の上をスライドすることが可能であり、任意的に、車軸の周りの回転を可能にする(図3Dの符号52を参照)。
【0157】
一つの他の実施形態において、支持ユニットは、取り付け装置を有する。その取り付け装置は、患者の身体の部分に適合するように患者の身体の部分に取り付けられるか又は少なくとも接触する表面、及び取り付け装置を手持ち装置の基部又はエンドエフェクタに接続する少なくとも一つのピンを有する。取り付け装置は、ピン端部が患者の身体に対してスライドすることを有利に防止する。ピンと取り付け装置との間の接続は、好ましくは可逆的であり、如何なる種類の接続(機械的、磁気的等)を使用することができる。例えば、接続は、ベルクロ(登録商標)のような面ファスナ(hook-and-loop fasteners)、磁気ファスナ(例えば、取り付け装置が金属を含み、ピン先端が磁石を含む)、又は機械的な連結方法(articulation)を含んでもよい。
【0158】
図3Eに示されるように、支持ユニット5はまた、ターニケット53を有してもよい。ターニケット53に対して支持ピン端部が接続され、またターニケット53は骨の周りの軟組織を圧迫するストラップとして働き、従って、他の目的のために標準的であり広く受け入れられている固くないリンクを作り出す。本文において、用語ターニケットは、止血の機能の有無にかかわらず、軟組織(皮膚)の周りに取り付けられるストラップを定義するために使用される。ピンとターニケットとの間の接続は、せん断力に耐え、従ってピンが軟組織上をスライドすることを防止する。上述したように、接続機構は、面ファスナ又は磁気ファスナとして設計されてもよい。
【0159】
一つの代替的な実施形態は、ターニケットの代わりに接着パッチ55を有してもよい。接着パッチ55は、患者の皮膚に取り付けられ、ピン端部に接続される(図3F)。パッチの外表面は、ピン端部がスライドすることを有利に防止する。
【0160】
代替的に、取り付け装置は、患者の身体の部分の上に型成形可能な材料を適用することによって形成されてもよい。例えば、歯科で使用されるペーストは、熱形成プロセスを使用することによって、場合により加熱器に助けられて、患者への如何なる損傷もなく型成形されることができ、迅速に硬化することができる。型成形される装置は、このように患者の身体の形状に適合するテンプレート(型)を形成することができる。
【0161】
図3Gに示される一つの他の実施形態によれば、支持ユニット5はピン54aを有してもよい。ピン54aの一端部は基部1に接続され、ピン54aの他端部は、(砂袋に類似する)変形可能なクッション54bに接続され、緩衝された支持機能を提供する。
【0162】
そのようなクッションは、器具の入口ポート付近の、患者の皮膚上に置かれるように意図されている。
【0163】
任意的に、より固い支持をもたらすために、そのような変形可能なクッション54bは真空によって固定されてもよい。
【0164】
図9A/9Bに示される一つの類似する実施形態において、ピン54aの端部は、例えばプラスチックで作られ、患者の身体と接触するように意図された表面を備えた円盤形状54cであってもよい。そのようなピン端部は、患者の皮膚へのより良好な接触のために、(シリコン又は泡のような)柔軟な種類の材料で被覆されてもよい。ピンは、概して金属、例えば鉄で作られる。
【0165】
ピン54aとクッション54b又は円盤54cとの間の接続は、玉継手(ball and socket joint)の形式を取ってもよい(図示なし)。
【0166】
ボールは、有利にはピン54aの端部にあり、金属で作られる。一方ソケットは、クッション54b又は円盤54cの中に統合される、プラスチックで作られる。
【0167】
従って玉継手は、ソケットの弾性変形によって容易に接続及び接続解除されることができる。
【0168】
その結果として、使用者は、最初に患者の身体の適切な場所にクッション54b又は円盤54cを付け、次いで手持ち装置100を取り、支持ユニット5を組み立てるために玉継手を介してピン54aをクッション54b又は円盤54cに接続してもよい。
【0169】
逆に、使用者が手持ち装置100の使用を停止するときに、使用者は、ピン54aをクッション54b又は円盤54cから接続解除し、後にクッション54b又は円盤54cを患者の身体から移動又は除去することができる。
【0170】
支持ユニット5は、有利には、基部と処置を施されるべき部分との間に作り出される前述の部分的、機械的なリンクが、処置を施されるべき部分によって器具に対して働かされる反力を吸収することができるように、緩衝を提供してもよい。
【0171】
その緩衝特性は、ばね荷重された要素によって提供されてもよく又は空気圧式又は液圧式の緩衝器によって提供されてもよい。
【0172】
有利には、支持ユニットの緩衝特定は、調節可能であってもよい。
【0173】
緩衝は、使用者が反力を相殺しなくてもよいときに、高い正確性の利点を示す。
【0174】
図3Iに示される一つの他の実施形態において、支持ユニットは、円形の断面のV字形状の端部をもつ少なくとも一つのピン56を有し、基部と患者との間に一つの安定化されない自由度を提供する。
【0175】
この自由度は、二つの前述のこれらのピン56を使用することによって(図3H)、又は山括弧のように形成された端部を有するピン57によって(図3J)ブロックされてもよい。(複数の)ピン端部のV字形状は、脛骨突起線との整列のためのテンプレートを提供し、従って支持ユニット及び手持ち装置の粗い配置のための可能性を提供する。
【0176】
本実施形態は、UKAにおいて特に有利である。なぜなら、支持ユニットは、脛骨上及び大腿骨上の両方の切削されるべき領域に達することを可能にする限定された数の配置を、迅速且つ直感的な方法で提供するからである。
【0177】
より一般的に、支持ユニットは、患者の生体構造の外表面に適合する予め定められた形状を有するように設計されてもよい。そのため、ロボット基部は、対応するロボット作業空間が処置を施されるべき部分のボリュームに一致するであろう領域内に即座に配置されるであろう。
【0178】
任意的に、図3Hに示されるように、ベルクロ(登録商標)又は磁気ファスナ機構を備えた上述のターニケット53又は接着パッチ55との組み合わせも、脛骨突起に対する(複数の)V字形状ピン端部のスライドを防止するために、可能である。
【0179】
図3Kに示される一つの実施形態によれば、支持ユニット5は、患者の身体の部分(ここでは、P2が脛骨突起を指し示す)に取り付けられる、上述したターニケット、接着パッチ又はテンプレートのような取り付け装置58を有する。装着要素59は、取り付け装置58に固定されている。手持ち装置の基部は、装着要素59とスライド可能に係合している(脛骨突起に沿って並進移動Tをする)接続部材によって取り付け装置に結合させられている。接続部材は、有利には、基部の回転R1を可能にする関節を有する。エンドエフェクタ又は器具も作動ユニット4に対して回動すること(回転R2)が許容される場合は、器具は、手持ち装置の基部を動かすことなく、患者の身体の異なる必要な部分の全て又はほとんど全てに達することができる。
【0180】
図3Lに示される一つの実施形態によれば、支持ユニット5は、(使用者によって通常保持される基部の部分に加えて、)使用者のための第二の握り手として設計されてもよい。例えば、図3Kにおいて、この握り手は、使用者の第二の手で保持されることができるボールとして設計されており、第一の手は基部を保持している。次いで、患者と装置との間の部分的、機械的なリンクが、患者の身体に寄り掛かる使用者の第二の手によって提供され、それは相対的な動きを安定化及び緩衝することができる。
【0181】
一つの実施形態(図示なし)によれば、支持ユニットはまた、使用者によって部分的、機械的なリンクの上に働かされる力を検出するための少なくとも一つのセンサを有してもよい。故に、制御ユニットは、支持ユニットが最小緩衝パラメータを有するような閾値よりもその力が大きいかどうかを確認することができる。これは、例えば鋭いピンが骨の上で滑り得ないことを確かにする。
【0182】
さもなければ、制御ユニットは、使用者に対して警報を発してもよく、又は自動的に装置を停止してもよい。
【0183】
用途に応じて、上述の支持ユニットの実施形態は、手持ち装置と患者の身体との間に適切な部分的、機械的なリンクを提供するために、組み合わせられてもよい。
【0184】
支持ユニット5は、好ましくは、特に支持機能を提供する要素の安定化及び/又は再配置のために、手持ち装置100から接続解除可能であるように設計される。
【0185】
例えば、しかし限定的にではなく、玉継手は、支持ユニットを基部に又はエンドエフェクタに容易に接続及び接続解除するために使用されてもよい。
【0186】
支持ユニット5が基部1に接続される場合に、それは、使用者が器具3を大きな空間内のどこかに配置することを防止することができる全体的な拘束を生成するだけでなく、その付近の任意のボリューム又は目標に達するために如何なる限定も生成しないこともできる。
【0187】
作動ユニット4は、切削経路を継続的に最適化しながら、基部1と処置を施されるべき部分100との間の相対的な運動のために、作動及び相殺を継続することができる。
【0188】
支持ユニット5は、複雑な制御及びシステムのダイナミクスの解決を助けるように意図されているが、局所的な近傍において幾何学的な拘束を加えるように意図されていない。
【0189】
いくつかの点において、支持ユニット5は、使用者に基部及び/又は支持ユニット接触領域を要求する、全体的な拘束を生成してもよい。
【0190】
追跡ユニット
システムはまた、処置を施されるべき部分100に対する、器具3、エンドエフェクタ2及び基部1のうちの少なくとも一つの姿勢を実時間で決定するように設定されている、追跡ユニット200を有する。
【0191】
エンドエフェクタ2に対する器具3の姿勢は、既知且つ機械的に決定されてもよく、又はそうでなくてもよい。
【0192】
エンドエフェクタに対する器具の姿勢の認識(Knowledge)は、運動学に基づく冗長性算定の観点で有用であり得る。
【0193】
追跡ユニットは、それ自体は既知の追跡システムを典型的に有し得る。
【0194】
コンピュータ支援外科手術において一般的に使用される追跡システムは、(パッシブオプティカル、アクティブオプティカル、電磁気、ジャイロスコープ測定を備えた慣性、超音波等の)様々な異なる技術を使用する。それらは個々又は組み合わせて使用され得る。
【0195】
追跡ユニットは、トラッカーを搭載した第一の物体の、同様にトラッカーを搭載した他の参照用の第二の物体に対する姿勢を測定する。
【0196】
いくつかの場合において、参照用の第二の物体は、追跡ユニット自体であり、第一の物体上の一つのトラッカーのみが必要である。
【0197】
トラッカーは、エミッタ又はセンサ(レシーバとも呼ばれる)であり得る。
【0198】
全ての場合において、追跡ユニットは、処置を施されるべき部分の姿勢と器具及び/又は装置の姿勢との間の変換マトリクス(transform matrix)を提供する。
【0199】
追跡ユニットの典型的な周波数は、50Hzから1000Hzまで又はそれ以上の範囲である。
【0200】
添付の図面において、エミッタ210は三角形によって表示されており、一方で、センサ220は四角形によって表示されている。
【0201】
エミッタ及びセンサは、姿勢測定の正確性を向上させるように、冗長であってもよい。
【0202】
エミッタ及びセンサに関するいくつかの可能な構成を備えた電磁気の追跡システムの一つの実施例において、第一の物体に取り付けられたエミッタと第二の物体に取り付けられたセンサとの間で得られる測定は、第二の物体に対する第一の物体の相対的な姿勢を完全に決定すると、我々は考える。その姿勢は通常、3D回転を表すマトリクス及び3D並進移動を表すベクトルによって、表される。
【0203】
センサが第三の物体に取り付けられた場合は、マトリクスの基本的な組み合わせは、第二の物体に対する第三の物体の(すなわち二つのセンサの間の)相対的な姿勢を決定する。
【0204】
図4A乃至図4Eに示されるように、(複数の)エミッタ及び(複数の)センサの様々な配置が可能である。
【0205】
好ましくは、周辺の金属の物体によって誘導される歪みの可能性を最小化するために、センサとエミッタとの間の距離は最小化される。
【0206】
一つの好ましい実施形態によれば、エミッタは装置自体に、より正確には基部上又はエンドエフェクタ上に装着される。
【0207】
処置を施されるべき部分に装置された一つのセンサのみが、十分であり得る。
【0208】
これは、必要な座標軸情報の数を減らし、それにより誤差発生を減らし、正確性を向上するという利点を有する。
【0209】
いくつかの場合において、例えば、器具がシェーバ又は小径のバーであって、エンドエフェクタの姿勢に基づく器具先端の姿勢決定を可能にするために十分に固くないときに、追加的なセンサが器具先端に(又は近くに)装着されてもよい。
【0210】
図4Aにおいて、追跡ユニットは、エンドエフェクタ2に位置するエミッタ210及び患者の身体に(ここでは、処置を施されるべき部分P1に隣接する部分P2に)位置するセンサ220を有する。
【0211】
図4Bにおいて、追跡ユニットは、器具3に位置するエミッタ210及び患者の身体に(ここでは、処置を施されるべき部分P1に隣接する部分P2に)位置するセンサ220を有する。
【0212】
この特定の実施形態においては、押圧動作の下で器具3(ここでは、鋸刃)がガイド部20から抜け出ることができるように、支持ユニット5及び器具ガイド部20はエンドエフェクタ2に接続され、ばね荷重されている。
【0213】
図4Cにおいて、追跡ユニットは、器具先端に位置するセンサ220及び処置を施されるべき部分P1に位置するエミッタ210を有する。
【0214】
図4Dにおいて、追跡ユニットは、手術室内に位置するエミッタ210及び二つのセンサ220:一方はエンドエフェクタ2に、他方は処置を施されるべき部分P1に位置する。
【0215】
図4Eにおいて、追跡ユニットは、装置の基部1に位置するエミッタ210及び患者の身体に位置するセンサ220を有する。
【0216】
加えて、作動ユニットの運動学及びエンドエフェクタの幾何学の認識もまた、基部の姿勢と器具の姿勢との間の変換マトリクスを決定するために使用され得ることが、留意されるべきである。エミッタ又はセンサが基部に取り付けられ、センサが器具に取り付けられる場合に、安全性及び最適化の目的のために使用される、冗長な測定を得ることができる。
【0217】
もちろん、上述の複数の実施形態はほんの例示であって、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、(複数の)センサ及び(複数の)エミッタを異なる方法で配置することができ、又はこれらの実施形態のいくつかを組み合せることができる
ユーザーインターフェイス
先に述べられたようにユーザーインターフェイスは、使用者に安全な装置の位置を示すように規定される。
【0218】
多くの場合において、固有安全性は、器具の作業空間が処置を施されるべきボリュームよりも小さい場合に達成される。これはまた、小さな装置寸法に、従って軽量且つコンパクトな手持ち装置を結果としてもたらす。
【0219】
ユーザーインターフェイスは、使用者に情報を提供して、連続的に、最適な姿勢に装置を再配置するように彼又は彼女を案内してもよい。
【0220】
ユーザーインターフェイスは、触覚、視覚及び/又は聴覚によるものであり得る。
【0221】
一つの実施形態によれば、ユーザーインターフェイス400は、制御ユニットに接続された画面410、例えば図1に示される画面を有してもよい。
【0222】
図5Aに示されるように、画面410は、ボリューム全体の連続的な処置を維持するために必要な調節を、例えば矢印の形式で表示する。
【0223】
この調節情報はまた、(例えば、FAI処置において、)内視鏡画像上に可視化されてもよい。
【0224】
装置の使用中に、制御システムは、処置を施されるべきボリュームが安全に処理されることができるかどうかを実時間で確認する。作業空間の境界が処置を施されるべきボリュームに近付くようにロボット基部が動かされる場合、誤差相殺のための大きな空間が存在しないことを意味し、そのときは、使用者に提供される情報が変化してもよい。例えば、矢印がその色を変化させてもよく又は聴覚フィードバックが生み出されてもよい。
【0225】
一つの他の実施形態によれば(図5B参照)、ユーザーインターフェイスは、装置100に固定された支持板421によって支持された複数のLED(LEDs)のような光学的な表示器420を有する。
【0226】
表示器420は、制御ユニット300に接続され、中断のない(non-interrupting)処置を確かにするためにどの方向及び/又は向きで装置が動かされなければならないかを、使用者に示すように配置される。
【0227】
LEDsは、どの程度の大きさの及び/又はどの程度迅速な、指示された方向の修正が必要であるかを表示するために、多色であるか又は複数の異なる頻度で点滅する。
【0228】
表示器420は装置100自体に配置されるため、外科医は、この姿勢情報を自然な位置で(in situ)受け取ることができ、これは彼又は彼女にとって非常に便利である。
【0229】
使用者に情報を提供するための他の方法は、患者の皮膚又は骨への直接的な、再配置情報の光学投影である。
【0230】
例えば、図5Cに示されるように、情報は、装置100に配置されるレーザー光指示装置(図示なし)によって投影され、制御ユニット300によって制御される、矢印430の形式を取ってもよい。
【0231】
制御ユニット
システムは、計画されたボリュームに処置を施すために、器具経路を光学的な方法で制御するように意図された制御ユニットを更に有する。
【0232】
制御ユニットの動作は、以下でより詳細に記述されるであろう。
【0233】
図6は、考えられるシステムの動作を示す要約の図である。ここで記述される方法は、UKA及びFAIの処置に適する。しかしながら、当業者は、他の外科的手技にそれを適合させることができるであろう。
【0234】
計画フェーズは、システム動作の前に実行される。
【0235】
ステップS100において、使用者は、上述の装置の操作を開始する。
【0236】
ステップS101において、処置を施されるべき部分に対する器具先端の姿勢が、追跡ユニットによって測定される。
【0237】
ステップS102において、制御ユニットは、処置を施されるべき部分の残りのボリュームを更新する。それは、プロセスの始まりにおいては、除去されるべき計画されたボリューム全体である。
【0238】
ステップS103において、制御ユニットは、基部に対するエンドエフェクタの姿勢を決定する。
【0239】
処置を施されるべき計画されたボリューム(入力I104)に基づき、制御ユニットは、処置を施されるべき残りのボリュームを決定し(ステップS105)、また、基部に対するエンドエフェクタの姿勢に基づき、安全に処置を施されることができるボリュームの部分を決定する(ステップS106)。
【0240】
安全にとは、本明細書においては、安全に除去可能なボリュームの如何なる位置においても、装置が、使用者によって誘発される動きによって引き起こされる誤差を相殺することができることを意味する。これは、装置が、所定の速度で若しくは所定の時間内でミリメートル単位の特定の定められた量だけ器具を動かすことができること、又は特定の定められた量の角度だけそれを回転させられることであり得る。これを行うことができるように、各姿勢におけるエンドエフェクタの動的挙動が、可動範囲と共に知られなければならない。
【0241】
ステップC107において、制御ユニットは、器具先端が計画されたボリュームの内側にあるか否かを確認する。
【0242】
さもなければ、制御ユニットは、即座に器具及び装置を停止し、使用者のためのメッセージを生成する(ステップS109)
有利には、外れ値が得られた場合に装置を停止することを避けるために、位置データは先にフィルタリングされてもよい。
【0243】
使用者がこの警報を認識した場合は(ステップC110)、次いで方法は、再びステップ101から始める。
【0244】
その目的のために、使用者は、ユーザーインターフェイスによって表示され得るように、装置を再配置しなければならない(そのようなユーザーインターフェイスの好ましい実施形態は、上述された)。
【0245】
器具先端が計画されたボリュームの内側にある場合は、制御ユニットは、ボリュームの安全に処置可能な部分が所与の閾値より上であるかどうかを確認する(ステップC108)。
【0246】
閾値は異なる方法で実装されてもよい。一つは、残りのボリュームの寸法が所定の寸法よりも小さいことであり得る。一つの他の実装は、安全に除去可能なボリュームの境界への距離が所定の値よりも小さいことであり得る。
【0247】
さもなければ、制御ユニット300は、ユーザーインターフェイス400を介して、使用者が装置を算定された方向に再配置すべきであることを表示する(ステップ115)。この再配置は、支持ユニットの位置を変更することを含んでもよく、又は(例えば、基部を支持ユニットの自由度に沿って動かすことによって)支持ユニットの位置を変更することなく行われてもよい。例えば、ユーザーインターフェイスは、固定された支持先端の周りを、所与の方向に且つ所与の量だけ、処置を施されるべき部分の新たなサブボリュームに達することを可能にできるであろう姿勢にそれが達するまで、装置の基部を回動させることを表示してもよい。そのサブボリュームは、予め定められた閾値を超える寸法を有する。次いで、方法は、ステップ101から再び繰り返す。
【0248】
ボリュームの安全に処置可能な部分が、前述の所与の閾値を超える場合は、制御ユニットは、装置の座標系における器具先端の最適化された経路を算定する(ステップ111)。最適化された経路は、特定の時間ステップにおける姿勢を含み得るだけでなく、器具の姿勢に応じて切削装置の回転速度を変更することのような、器具パラメータを含んでもよい。換言すれば、最適化された経路は、各時間ステップにおける、6自由度に準じた姿勢及び処理パラメータを含んでもよい。
【0249】
使用者が、手元スイッチ又は足元スイッチを用いて処理を有効にした場合は(ステップC111b)、次いで制御ユニットは、前述の算定された経路に従ってエンドエフェクタを動かすように、作動ユニットを調節する(ステップ112)。経路は処置を施されるべき部分上のセンサの座標で規定され、制御ユニットは、各時間ステップにおいて器具先端と算定された経路の現在の姿勢との間の距離を最小化するため、装置は、使用者が装置に加える動きから独立して、経路を辿ることができる。
【0250】
制御ユニットは、処置を施されるべき残りのボリュームが所与の閾値以下であるかどうかを確認する(ステップC113)。
【0251】
前述の所与の閾値は、たとえ処置を施されたボリュームが計画されたボリュームに対して厳密に同一でないとしても、満足に処置を施されたボリュームと同等な限界として、使用者によって規定されてもよい。
【0252】
肯定的である場合は、方法は終了する(ステップS114)。
【0253】
さもなければ、方法は、再びステップS101から繰り返す。
【0254】
繰り返しは、高周波数(例えば100kHz)で実行されてもよい。
【0255】
TKAの場合において、方法は、上述の方法とはわずかに異なる。
【0256】
この介入に関して、二つの可能性がある:
− 第一に、器具(鋸刃)は、装置とは別個のものであり、使用者(又は助手)の第一の手で把持される。一方で、装置は、(使用者又は助手の)第二の手で把持される(例えば図4E参照)、
− 第二に、(図4Bに示されるように)器具は、装置の部分であり、装置を骨に押しつけることによって、器具はガイド部から骨の中に滑り出る。
【0257】
ステップS101において、骨に対するエンドエフェクタ又は支持ユニットの姿勢が決定される。
【0258】
ステップC113において、計画された2Dのボリュームが除去されたかどうかを決めるのは使用者である。
【0259】
用途に応じて、数回、典型的には3回又は4回だが、ときには百回にわたって基部が再配置を要求することが可能である。しかしながら、大きな回数の再配置動作が必要な場合は、基部の個別の位置は必ずしも要求されない。代わりに、基部は、必要な、完全な作業空間をカバーするように連続的に且つゆっくりと動いてもよい。処置を施されるべき複雑な形状に関して、使用者は、支持ユニットの所与の位置を目指して基部を連続的に動かし、次いで支持ユニットを他の固定された場所に動かし、次いでその付近で基部を連続的に動かすこと、及びボリューム全体に処置が施されるまでこのプロセスを反復することを求められてもよい。
【0260】
基部又は支持ユニットの再配置は、新たな変更なく最大限のボリュームが除去され得る、新たな位置に達するように、ユーザーインターフェイスによって案内されてもよい。これは、必要な再配置ステップの回数を最小化するためである。
【0261】
上述したように、最適化された経路は、各時間ステップにおける姿勢及び処理パラメータ(例えば、器具速度)を含んでもよい。
【0262】
保持アーム
図10に示される一つの他の実施形態によれば、手持ち装置100の取り扱いは、保持アーム510によって支援されてもよい。保持アーム510は、手持ち装置100の基部1を支持し、機械的な支持部に接続されている。
【0263】
保持アーム510はいくつかの自由度をもって関節でつながれており、その位置にブレーキをかけるか又は動きを止めるためにスイッチが使用される(ブレーキを備えた空気圧式アーム、液圧式アーム、機械式アーム等)。加えて、保持アームは、それが運ぶ手持ち装置の重量を(例えば、パッシブ又はアクティブなカウンタウェイト機構を使用することによって)相殺するための機構を有してもよい。
【0264】
この場合において、保持アームは、先に記述された支持ユニットの一つの他の可能な実施形態であると考えられる。
【0265】
一つの他の変形は、先に記述された支持ユニットの実施形態と同様に、保持アームに加えて局所的な支持要素を使用することである。
【0266】
保持アーム510は、使用者が手持ち装置100を所望の位置に配置することを可能にするように、関節でつながれている。
【0267】
保持アーム510は、手持ち装置100の重量を相殺することを可能にし、特に外科的手技が長い時間を要する場合に、使用者の疲労度を最小化する。
【0268】
好ましくは、前述の機械的な支持部は、患者の身体と接触する。
【0269】
機械的な支持部はまた、処置を施されるべき部分と手持ち装置との間の部分的、機械的なリンク作り出すことに貢献する。
【0270】
機械的な支持部は、好ましくは手術台500又は患者を配置及び保持するために一般的に使用される支持要素(例えば、脚ホルダ、骨盤ホルダ、手術台ポスト等)である。
【0271】
追加的、局所的な支持は、より少ない振動を伴う、より小さな相殺されるべき力の鎖を持つように、上述されたようなエンドエフェクタ2又は基部1上の支持要素を統合することによって達成されてもよい。本実施形態は、保持アームの機械的な支持部が単純に移動カートであるか又は天井に装着される場合に特に有用である。
【0272】
保持ケーブル
図11に示される一つの更なる実施形態によれば、手持ち装置100の取り扱いは、ばねプーリ511から延びるケーブルによって支援されてもよい。それは、手持ち装置100の基部1を支持し、機械的な支持部511aに接続する。
【0273】
保持ケーブル511は、使用の間いつでも、手持ち装置のあらゆる自由度を可能にする。
【0274】
加えて、特に外科的手技が長い時間を要する場合に使用者の疲労度を最小化するために、保持ケーブルは、それが運ぶ手持ち装置の重量を(例えば、ケーブルを巻き取るためのリターンばねのために調節された重さによって)相殺するための機構を有してもよい。そのような方法で、手持ち装置100が自由にされたときに、それは、その位置に留まるか又はわずかに上方に戻る。
【0275】
機械的な支持511aは、部屋の天井512によって支持されてもよく、床に置かれた固定カート若しくは移動カート513によって支持されてもよく、又は手術台によって支持されてもよい。
【0276】
部分的、機械的なリンクは、上述されたように、エンドエフェクタ2又は基部1の支持ユニット(図示なし)によって提供される。
【0277】
第一の用途の実施例−人工膝関節片側置換術(UKA)
UKAにおいて、器具は、計画された位置及び向きでのインプラント固定に適するように脛骨及び大腿骨を準備するために使用される。除去されるべきボリュームは、インプラントがその最終的な位置にあるときの、インプラントの反対向きの形状(negative shape)と合致する(coincides)。
【0278】
使用される切削の方策はまた、患者特異的なインプラントを使用する場合のような、空洞が除去されなければならないか、又は骨の表面が再形成され(reshaped)なければならない、全ての他の用途のために使用され得る。
【0279】
この態様において、大腿骨側及び脛骨側の両方における(3Dの)骨のボリュームが、インプラント構成要素の挿入のために除去されなければならない。
【0280】
その目的のために、使用される器具は、典型的にミル又はシェーバである。
【0281】
図7A−7Bは、適切な手持ち装置100の一つの具体的な実施形態を示す。
【0282】
ここでは、器具3は、エンドエフェクタ2に取り付けられたミルである。
【0283】
作動ユニット及びエンドエフェクタは、前方作動ユニット4a及び対応するエンドエフェクタ2aと、後方作動ユニット4b及び対応するエンドエフェクタ2bとに分解される。
【0284】
手持ち装置100は、3自由度を提供する:
− 2自由度は、前方作動ユニット4a(ここでは、作動ユニットは平面的な5本のバーのリンク機構を有する)によって提供される、
− 1自由度(支点からの送り運動)は、後方作動ユニット4bによって提供される。
【0285】
支持ユニット5は、基部1に接続された一つの鋭いピン50を有する。
【0286】
鋭いピン50は、処置を施されるべき骨に隣接する骨と接触するように意図されている。
【0287】
使用するとき、使用者は、部分的、機械的なリンクを作り出すために、処置を施されるべき骨に隣接する骨の上に支持ユニット5を押しつける。
【0288】
第二の用途の実施例−人工膝関節全置換術(TKA)
TKAにおいて、器具は、計画された位置でのインプラント固定に適するように脛骨及び大腿骨を準備するために使用される。
【0289】
そのような介入において一般的に使用される器具は、鋸及びドリルである。
【0290】
典型的に、大腿骨における5つの平面的な切断及び脛骨における1つの平面的な切り込みが行われる。
【0291】
第一の実施形態において、器具は使用者によって手で把持され、器具ガイド部は手持ち装置のエンドエフェクタに固定される。
【0292】
このような方法で、器具自体は、使用者によって片手で自由に操縦されるが、それは、器具ガイド部によってガイドされる。器具ガイド部の姿勢は、本発明によるシステムによって適切な方法で規定される。手持ち装置は、使用者の他方の手又は助手によって保持される。
【0293】
図8A−8Bは、そのような手持ち装置の一つの具体的な実施形態を示す。
【0294】
器具ガイド部20は、ここでは鋸ガイド部であり(ただし器具がドリルである場合、もちろんそれはドリルガイド部であってもよい)、エンドエフェクタ2に取り付けられる。
【0295】
一つの代替的な実施形態によれば、器具3自体がエンドエフェクタに固定される。
【0296】
器具ガイド部は、この場合には必要ではない。
【0297】
図8Cは、そのような手持ち装置の一つの具体的な実施形態を示す。
【0298】
この場合において、器具3は、エンドエフェクタの端部に配置された鋸である。
【0299】
手持ち装置は、矢印によって表示される6自由度を提供する:
− 2自由度(XY平面)が、作動ユニットによってエンドエフェクタの遠位部分に提供される、
− 2自由度(XY平面)が、作動ユニットによってエンドエフェクタの近位部分に提供される、
− 1自由度(Z軸に沿った並進移動)が、エンドエフェクタによって提供される、
− 1自由度(Z軸の回りの回転)が、エンドエフェクタによって提供される。
【0300】
この構造(アーキテクチャ)は、人工膝関節全置換術を実行するための全ての要求される方向に鋸を動かすことを可能にする。
【0301】
ここに示される実施例において、支持ユニットは、処置を施されるべき骨と接触するように意図された、基部1に接続された二つの鋭いピン50を有する。
【0302】
使用するとき、使用者は、部分的、機械的なリンクを作り出すために、処置を施されるべき骨の上に支持ユニットを押しつける。
【0303】
第三の用途の実施例−大腿寛骨臼インピンジメント(FAI)
図9A−9Bは、本発明の第三の実施形態による、手持ち装置を示す。
【0304】
その装置は、FAIの処置に適している。とはいえ、この特定の用途に限定されない。
【0305】
FAIの処置において、目的は、大腿頭頸接合部及び/又は寛骨臼縁における、骨棘のように見える異常な形状の関節鏡による(arthroscopic)除去である。現在、術前評価(除去されるべき計画されたボリュームの決定)のためにCT/MRIデータが使用され、手術中の位置確認(orientation)のためにX線及び関節鏡画像が使用される。FAI外科手術における主なリスクの一つは、(股関節の不安定性につながるであろう)過剰切除又は(再手術の最も頻繁に起こる理由である)過小切除である。通常、各1cmの3つの切開を使用する関節鏡によるアプローチが使用される。処置を施されるべきボリュームへのアクセスは、関節鏡のポータル(portals)を通して行われる。外科医は、ロボットシステムを介した器機の動きの間の股関節の血液供給、軟骨及び/又は関節包(capsule)への傷害を避けなければならない。したがって、計画システムを使って、相殺に関して安全領域が既定される。
【0306】
上述の装置と同じ機能を満たす装置の部分は、同じ参照符号を有する。
【0307】
それ故に、それらは、それらの特有の特徴から離れて再び詳細には説明されないであろう。
【0308】
図9A−9Bに示される手持ち装置は、器具3を運ぶエンドエフェクタ2を有する。ここでは、器具3はシェーバである。
【0309】
もちろん、使用者は他の器具を使用し得る。
【0310】
具体的には、FAI処置において慣例的に使用される外科用器具は、高速ミル及びシェーバである。
【0311】
この手持ち装置は、3つの自由度を提供する:
− 2自由度が作動ユニットによって提供される;ここで図示される実施形態においては、作動ユニットは、二つのモータ−ギヤユニットによって同調して動かされる、二つの球状の5本のバーのリンク機構を有する。球状の5本のバーのリンク機構の代わりに、平面的なリンク機構も使用することができる。
− 1自由度(シェーバの送り運動(Z−並進移動))が、エンドエフェクタ2によって提供される。
【0312】
支持ユニット5は、患者の身体の軟組織との(より正確には、腰部の皮膚との)接触領域を提供する、クッション54cを有する。
【0313】
接触領域は、クッション54cと組織との間の接触を維持するために軟組織に加えられる圧力を低減するために、可能な限り大きい。
【0314】
クッション54cは、円盤形状を有してもよく、患者の身体の実質的に平坦な部分の上に置かれてもよい。
【0315】
代わりに、クッションは、環形状を有して、それが外科用ポータルの周りに置かれることを可能にしてもよい。
【0316】
クッションは、ストラップによって又は如何なる他の手段によって、例えば吸引効果、接着又はテープによって患者の身体に固定されてもよい。
【0317】
この場合において、患者の軟組織は、部分的、機械的なリンクのある程度の緩衝を提供する。
【0318】
緩衝は、支持ユニットに与えられた緩衝特性又はばね特性によって更に提供されてもよい。
【0319】
一つの他の可能性は(パッド又は真空クッションを使用して支持ユニットと軟組織との間に接触を提供することに加えて)、接合部へのアクセスを獲得するために使用され得るトロカールに支持ユニットを接続させることである。
【0320】
そのようなクッションは、患者の身体への固定が侵襲的でない点において有利であるが、クッションが軟組織に接触することに(加えて又は代わる)一つの他の可能性は、例えば他の種類の外科手術に関して記述されたような少なくとも一つのピンを用いて、処置を施されるべき部分の付近で骨への接触を提供することである。
【0321】
少なくとも一つのピンは、器具が導入されるポータルを経由して、又は他のポータルを経由して、患者の身体の中に挿入されてもよい。
[参考文献]
[Kwoh 1988]Kwoh YS,Hou J,Jonckheere EA,Hayati S:A robot with improved absolute positioning accuracy for CT guided stereotactic brain surgery,IEEE Transactions on Biomedical Engineering,1988,35(2):153-160
[Lavallee 1989]Lavallee S:A new system for computer assisted neurosurgery,IEEE Engineering in Medicine and Biology and Society,1989,3:926-927
[Bargar 1998]Bargar WL,Bauer A,Boerner M:Primary and revision total hip replacement using the Robodoc system,Clin Orthop Relat Res.1998 Sep;(354):82-91
[Prymka 2006]Prymka M,Wu L,Hahne HJ,Koebke J,Hassenpflug J:The dimensional accuracy for preparation of the femoral cavity in HIP arthroplasty.A comparison between manual- and robot-assisted implantation of hip endoprosthesis stems in cadaver femurs,Arch Orthop Trauma Surg.2006 Jan;126(1):36-44.Epub 2005 Dec 8.
[Bach 2002]Bach CM,Winter P,Nogler M,Goebel G,Wimmer C,Ogon M:No functional impairment after Robodoc total hip arthroplasty:gait analysis in 25 patients,Acta Orthop Scand.2002 Aug;73(4):386-91
[Maeso 2010]Maeso S,Reza M,Mayol JA,Blasco JA,Guerra M,Andradas E,Plana MN:Efficacy of the Da Vinci surgical system in abdominal surgery compared with that of laparoscopy:a systematic review and meta-analysis,Ann Surg.2010 Aug;252(2):254-62
[Lieberman 2006]Lieberman IH,Togawa D,Kayanja MM,Reinhardt MK,Friedlander A,Knoller N,Benzel EC:Bone-mounted miniature robotic guidance for pedicle screw and translaminar facet screw placement:Part I--Technical development and a test case result,Neurosurgery.2006 Sep;59(3):641-50
[Plaskos 2005]Plaskos C,Cinquin P,Lavallee S,Hodgson AJ:Praxiteles:a miniature bone-mounted robot for minimal access total knee arthroplasty,Int J Med Robot.2005 Dec;1(4):67-79
[Davies 2007]Davies BL,Rodriguez y Baena FM,Barrett AR,Gomes MP,Harris SJ,Jakopec M,Cobb JP:Robotic control in knee joint replacement surgery,Proc Inst Mech Eng H.2007 Jan;221(1):71-80
[Yen 2010]Yen PL,Davies BL:Active constraint control for image-guided robotic surgery,Proc Inst Mech Eng H.2010;224(5):623-31
[Lonner 2010]Lonner JH,John TK,Conditt MA:Robotic Arm-Assisted UKA Improved Tibial Component Alignment:A Pilot Study,Clin Orthop Relat Res (2010) 468:141-146
[Dorr 2011]Dorr LD,Jones RE,Padgett DE,Pagnano M,Ranawat AS,Trousdale RT:Robotic guidance in total hip arthroplasty:the shape of things to come,Orthopedics.2011 Sep 9;34(9):e652-5
[Cobb 2006]Cobb J,Henckel J,Gomes P,Harris S,Jakopec M,Rodriguez F,Barrett A,Davies B:Hands-on robotic unicompartmental knee replacement:a prospective,randomised controlled study of the acrobot system,J Bone Joint Surg Br.2006 Feb;88(2):188-97
[Strauss 2005]Strauss G,Koulechov K,Richter R,Dietz A,Trantakis C,Lueth T:Navigated control in functional endoscopic sinus surgery,Int J Med Robot,2005,vol.1,no.3,pp.31-41
[Brisson 2004]Brisson G,Kanade T,DiGioia A,Jaramaz B:Precision Freehand Sculpting of Bone,Proceedings of the 7th International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention (MICCAI 2004),vol.2,pp.105-112
[Mitchell 2007]Mitchell B,Koo J,Iordachita M,Kazanzides P,Kapoor A,Handa J,Hager G,Taylor R:Development and Application of a New Steady-Hand Manipulator for Retinal Surgery,IEEE International Conference on Robotics and Automation,2007:623-629
[Uneri 2010]Uneri A,Balicki MA,Handa J,Gehlbach P,Taylor RH,Iordachita I:New Steady-Hand Eye Robot with Micro-Force Sensing for Vitreoretinal Surgery,Proc IEEE RAS EMBS Int Conf Biomed Robot Biomechatron.2010 Sep 1;2010 (26-29):814-819
[Becker 2011]Becker BC,MacLachlan RA,Hager GD,Riviere CN:Handheld micromanipulation with vision-based virtual fixtures,IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA),2011:4127-4132
[MacLachlan 2012]MacLachlan RA,Becker BC,Cuevas Tabares J,Podnar GW,Lobes LA,Riviere CN:Micron:An Actively Stabilized Handheld Tool for Microsurgery,IEEE Transactions on Robotics,Feb.2012,28(1):195-212
米国特許出願公開第2006/0142657A1号明細書(Quaidら)
国際公開第2011/133927A2号(Nikouら)
米国特許出願公開第2005/0171553号明細書(Schwarzら)
米国特許出願公開第2012/0143084号明細書(Shoham)
米国特許出願公開第2011/0208196号明細書(Radermacherら)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
【国際調査報告】