(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-523706(P2016-523706A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(54)【発明の名称】塗布材の静電噴霧用噴霧ノズル及びそのような噴霧ノズルを含む塗布材の噴霧設備
(51)【国際特許分類】
B05B 5/025 20060101AFI20160715BHJP
B05B 5/16 20060101ALI20160715BHJP
【FI】
B05B5/025 A
B05B5/025 F
B05B5/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-524792(P2016-524792)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月26日
(86)【国際出願番号】EP2014064554
(87)【国際公開番号】WO2015004111
(87)【国際公開日】20150115
(31)【優先権主張番号】1356727
(32)【優先日】2013年7月9日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516009667
【氏名又は名称】サム テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バリュー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ディ−ジョイア、ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ゴワゾ、ジャイルス
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァナス、フィリップ
【テーマコード(参考)】
4F034
【Fターム(参考)】
4F034BA02
4F034BA14
4F034BB04
4F034BB15
4F034BB21
4F034BB25
4F034DA18
(57)【要約】
本発明は、塗布材の噴霧を制御するためのバルブ(63)の可動シャッタを形成し、噴霧ノズルのバレルの収納凹部(4)に配置される針(3)を備える、塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルに関する。収納凹部(4)は、その長手方向の軸(Y4)に沿って針(3)の軸方向の並進移動を案内するための案内面(S4)を定義する。針は、塗布材を流すダクト(2)を遮断するためのシート(33)に当接するのに適した形状を有する前端部(3a)と、針(3)の並進移動を制御する手段と相互作用する後部(3c)と、前端(3a)と後部(3c)との間に形成される中央部(3b)と、を備えるが、噴霧ノズル(1)に含まれる高電圧ユニットは、針(3)の前端(3a)に高電圧を印加することができる。収納凹部(4)の内部において、針の中央部(3b)に少なくとも1つの第1凸部(8)が設けられ、中央部(3b)に沿って電気沿面距離を伸長することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布材の噴霧を制御するためのバルブ(63)の可動シャッタを形成し、噴霧ノズルのバレル(13)の収納凹部(4)に配置される針(3、203、303)であって、前記収納凹部(4)は、前記収納凹部の長手方向の軸(Y4)に沿って前記針(3、203、303)の軸方向の並進移動を案内するための案内面(S4)を定義し、前記針(3、203、303)は、前記塗布材を流すダクト(2)を遮断するためにシート(33)に当接するのに適した形状を有する前端部(3a)と、前記針(3、203、303)の並進運動を制御するための手段(6)と相互作用する後部(3c)と、前記前端部(3a)と前記後部(3c)との間に形成される中央部(3b)と、を備える、針(3、203、303)と、
前記針(3)の前端部(3a)に高電圧を印加することができる高電圧ユニット(12)と、を備え、
前記収納凹部(4)の内部において、前記針の前記中央部(3b、203b、303b)に少なくとも1つの第1凸部(8、208、308)が設けられ、前記第1凸部は、前記中央部(3b)に沿って電気沿面距離を伸長することができる、
ことを特徴とする、塗布材の静電噴霧用噴霧ノズル(1)。
【請求項2】
前記針(3、203)の前記中央部(3b、203b)上に複数の第1凸部(8、208)が配置され、且つ、前記第1凸部(8、208)は、前記針(3、203)の前記中央部(3b、203b)の包絡面(S3b、S203b)に対して中空部を形成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴霧ノズル。
【請求項3】
前記第1凸部(208)(1又は複数)は、前記針(203)の前記中央部(203b)の前記包絡面(S203b)に対して第1中空螺旋(208)を形成する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の噴霧ノズル。
【請求項4】
前記中央部(303b)は、全体的に円筒形の部分(314)を備え、且つ、前記第1凸部(308)は、前記円筒形の部分(314)から突き出す突出螺旋(308)を形成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の噴霧ノズル。
【請求項5】
前記収納凹部(4)内に、少なくとも1つの第2凸部(9、309)が配置され、前記第1凸部(8、208、308)に面する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の噴霧ノズル。
【請求項6】
前記収納凹部(4)内に、複数の第2凸部(9、309)が配置され、且つ、前記第2凸部(9、309)は、前記針(3、203、303)を案内するための案内面(S4)に対して中空部を形成する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の噴霧ノズル。
【請求項7】
前記第2凸部(309)は、前記針(303)を案内するための案内面(S4)に対して第2中空螺旋(309)を形成する、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の噴霧ノズル。
【請求項8】
前記突出螺旋(308)及び前記第2中空螺旋(309)は、同一の方向にあり、
前記突出螺旋は、前記長手方向の軸(Y4)に沿って計測された全体的に一定である第1の幅(U308)を有し、
前記第2中空螺旋は、前記長手方向の軸(Y4)に沿って計測された全体的に一定である第2の幅(U309)を有し、
前記第1の幅(U308)は、前記第2の幅(U309)の10%から50%の間にある、
ことを特徴とする、請求項4及び7に記載の噴霧ノズル。
【請求項9】
前記突出螺旋(308)と前記第2中空螺旋(309)とは、反対の方向にある、
ことを特徴とする、請求項4及び7に記載の噴霧ノズル。
【請求項10】
前記第1凸部(1又は複数)は、前記針(3)の前記中央部(3b)の前記包絡面(S3b)の直径(D3)に対して小さい直径(D8)を有する部分(8)を形成し、
前記第1凸部の直径(D8)は、前記針(3)の前記包絡面の直径(D3)の15%から60%の間にあり、
前記長手方向の軸(Y4)に平行に計測された、第1凸部(8)のそれぞれが伸長して及ぶ長さ(U8)の合計は、前記針(3)の前記中央部(3b)の、前記長手方向の軸(Y4)に平行に計測された、長さ(U3b)の10%から50%の間にある、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の噴霧ノズル。
【請求項11】
前記第2凸部は、直径(D9)が前記針(3)を案内するための案内面(S4)の直径の101%から200%の間にある機械加工部(9)を形成し、前記長手方向の軸(Y4)に平行に計測された、第2凸部(9)のそれぞれが伸長して及ぶ長さ(U9)は、第1凸部(8)のそれぞれが伸長して及ぶ長さ(U8)の120%から200%の間にある、
ことを特徴とする、請求項5又は6、及び10に記載の噴霧ノズル。
【請求項12】
前記第1凸部(8、208、308)及び前記第2凸部(9、309)によって前記針(3、203、303)とその収納凹部(4)との間に形成された空間(V1)は、電気絶縁材料で満たされている、
ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の噴霧ノズル。
【請求項13】
電源(10)と、
塗布材の液だめ(20)と、
塗布材を静電噴霧するための少なくとも1つの噴霧ノズル(1)と、
を備える塗布材の噴霧用設備(100)であって、
前記噴霧ノズルは、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の噴霧ノズルであることを特徴とする、
塗布材の噴霧用設備(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布材の静電噴霧用噴霧ノズル及びそのような噴霧ノズルを含む塗布材の噴霧設備に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルは、塗布材を静電的に帯電させ、被覆される基材上で当該塗布材の良好な転送速度を提供することを可能とする。塗布材が帯電するように設計される場合、噴霧針の一端は、噴霧ノズルに含まれる高電圧ユニットを用いて、10から200キロボルト(kV)にまで達し得る高電圧にされる。
【0003】
塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルに対する繰り返し発生する課題の1つは、取扱いを改善するため、当該噴霧ノズルの長さ、大きさ及び全体的な重量を制限することに関するものである。塗布材を帯電させるため、噴霧ノズルの針の一端が高電圧に高められるとき、トリガ及び当該噴霧ノズルの後部は必ず接地電位でなければならないという事実によって、これらのパラメータの選び方が決定される。
【0004】
塗布材の噴霧を制御するバルブの可動シャッタを形成する針及び当該針の前端を高電圧に上げることができる高電圧ユニットを備える静電噴霧用噴霧ノズルが、特許文献1の文書から知られている。しかし、静電噴霧のために噴霧ノズルを用いる噴霧塗布材の噴霧の分野においては、現時点で最も制限的であるFM7260標準は、当該噴霧ノズルに含まれる高電圧ユニットが発生し得る最大電圧の1.5倍に等しい電圧が1分間、当該針の一端に印加されるとき、当該噴霧ノズルの針又はバレルに沿った電気クリーページが観測されないことを推奨する。このように、特許文献1の文書に記載されているような、既知の塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルは、長く、それゆえに、扱いづらい。さらに、この種の噴霧ノズルにおいては、針と当該噴霧ノズルのバレル内の収納凹部との間に閉じ込められた空気は、直ちにイオン化し、オゾン生成物を生成するが、それは、周囲の材料を腐食し、危険であり得る穿孔又は電気クリーページを最終的に引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第01/066261号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、より具体的には、扱いやすく、且つ、安全性を向上させた塗布材(produit de revetement、coating product)の静電噴霧用噴霧ノズルを提案することにより、これらの問題点を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明は、塗布材の噴霧を制御するためのバルブの可動シャッタを形成し、噴霧ノズルのバレルの収納凹部に配置される針であって、前記収納凹部は、前記収納凹部の長手方向の軸に沿って前記針の軸方向の並進移動を案内するための案内面を定義し、前記針は、前記塗布材を流すダクトを遮断するためにシートに当接するのに適した形状を有する前端部と、前記針の並進運動を制御するための手段と相互作用する後部と、前記前端部と前記後部との間に形成される中央部と、を備える針、を備える、塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルに関し、当該噴霧ノズルは、前記針の前端部に高電圧を印加することができる高電圧ユニットをも備える。本発明によれば、前記収納凹部の内部において、前記針の前記中央部に少なくとも1つの第1凸部が設けられ、前記第1凸部は、前記中央部に沿って電気沿面距離を伸長することができる。
【0008】
本発明により、第1機械加工が、同一の長さのバレル及び針に対して電気沿面距離を伸ばし、従って、それらの沿面に対する噴霧ノズルの抵抗を改善することを可能とするので、針に施される第1機械加工は、より軽く、小さく、扱いやすく、使用中の安全性が向上した噴霧ノズルの生産を可能にする。これらの凸部は、電気沿面距離の伸長を可能にする。それらは、用いられる材料の固有の性質が理論的に許容するものより小さい噴霧ノズルを生産することも可能にした。
【0009】
本発明の有利であるが選択的な観点によると、このような塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルは、任意の技術的に可能な組合せで考えられる以下の1又は複数の特徴を組み込んでもよい。
前記針の前記中央部上に複数の第1凸部が配置され、且つ、前記針の前記中央部の包絡面に対して中空部を形成する。
前記第1凸部は、前記針の前記中央部の前記包絡面に対して第1中空螺旋を形成する。
前記中央部は、全体的に円筒形の部分を備え、且つ、前記第1凸部は、前記円筒形の部分から突き出す突出螺旋を形成する。
前記収納凹部内に、少なくとも1つの第2凸部が配置され、前記第1凸部に面する。
複数の第2凸部は、前記収納凹部内に配置され、前記針を案内するための面に対して中空部を形成する。
前記第2凸部は、前記針を案内するための面に対して第2中空螺旋を形成する。
前記突出螺旋及び前記第2中空螺旋は、同一の方向にあり、前記突出螺旋は、前記長手方向の軸に沿って計測された全体的に一定である第1の幅を有し、前記第2中空螺旋は、前記長手方向の軸に沿って計測された全体的に一定である第2の幅を有し、前記第1の幅は、前記第2の幅の10%から50%の間にある。
前記突出螺旋と前記第2中空螺旋とは、反対の方向にある。
前記第1凸部は、前記針の前記中央部の前記包絡面の直径に対して小さい直径を有する部分を形成し、前記第1凸部の直径は、前記針の前記包絡面の直径の15%から60%の間にあり、前記長手方向の軸に平行に計測された、第1凸部のそれぞれが伸長して及ぶ長さの合計は、前記針の前記中央部の、前記長手方向の軸に平行に計測された、長さの10%から50%の間にある。
前記第2凸部は、直径が前記針を案内するための面の直径の101%から200%の間にある機械加工部を形成し、前記長手方向の軸に平行に計測された、第2凸部のそれぞれが伸長して及ぶ長さは、第1凸部のそれぞれが伸長して及ぶ長さの120%から200%の間にある。
前記第1凸部及び前記第2凸部によって前記針とその収納凹部との間に形成された空間は、電気絶縁材料で満たされている。
【0010】
本発明は、電源、塗布材の液だめ及び上述した、少なくとも1つの、塗布材の静電噴霧用噴霧ノズルを備える塗布材の噴霧設備にも関する。
【0011】
例としてのみ提供され、添付図面を参照してなされる、塗布材の静電噴霧用噴霧ガン及びその原理に従った設備に関する以下の2つの実施形態の記載に鑑みれば、本発明はより十分に理解され、その他の長所はより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るガンを備える設備の概略断面図である。
【
図4】第2の実施形態に係るガンの針の斜視図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係るガンのバレルの部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示されている設備100は、図示されていない、物体の静電塗装を可能にする。この設備100は、ホース21によって塗布材の液だめ20から塗布剤を供給される、塗布材の静電噴霧のためのガン1を備える。
【0014】
ガン1は、ホース31によって、圧縮空気供給源30にも接続されている。供給源30から送られる空気は、ガン1から塗布される物体に向けて塗布材を送ることによって、これを噴霧するために用いられる。
【0015】
参照2は、ガン1内の塗布材のフローダクトを示す。
【0016】
参照4は、オペレータがガン1のトリガ6を押し又は離したときに、その中で針3がスライドする、ガン1のバレル13に位置する収納凹部を示す。収納凹部4は、収納凹部4の長手方向の軸Y4に沿った針3の並進移動を案内するための面S4を定義する。面S4は、円形の底部を備えた円筒形である。
【0017】
針3は、塗布材の噴霧口S付近に配置され、三角形の先端を形成している、前端部3a以外では、完全に円筒形状である。針3は、トリガ6に接続された後部3c及び前端部3aと後部3cとの間にある中央部3bも備える。針3の運動は、後部3cとトリガ6との間の接続によって制御される。
【0018】
針3は、3つの異なる部分における3つの異なる材料から作られている。高電位になるように設計されている、針3の端3aは、特に、55HRC以上の高いショア硬さ(Shore hardness)を有する第1導電性材料から作られている。端3aは、
図1、2及び3において、複数の点を有する領域によって示されている。針の中央部3bは、第2絶縁材料から構成されている一方、
図1、2及び3においてクロスハッチされている針3の部分に対応する針3の後部3cは、導電性を有する硬い材料から作られている。3aと3bの部分の材料は、同一でも、異なっていてもよい。
【0019】
針3を受けるための収納凹部4は、当該針3の端3aと中央部3bとの間の接続部において、出口S及び端3aの側に位置する第1の溝4aを有する。第1シール41は、溝4a内で、針3の周囲に、すり接触で配置されている。このシール41は、ガン1の外部の要素に対して、且つ、塗布材の噴霧中に針3の端3aにおいてダクト2を通して出現する塗布材に対して、収納凹部4の密封を確実にする。さらに、収納凹部4は、第1の溝4aの反対側の、トリガ6及び後部3cの側に位置する第2の溝4bを有する。第2シール42は、溝4b内で、針3の周囲に、すり接触で配置されている。この第2シール4bは、埃、溶剤又は塗料残留物などの外部からの本体又は材の侵入に対して、収納凹部4の良好な密閉性を提供する。シール41及び42の材料は、それらのシールに対する針3の密封する収納を保証するために、端3a及び後部3cを構成する材料に適合される。
【0020】
参照5は、ガン1内の通風ダクトを示す。このダクト5は、第1セグメント5a及び第2セグメント5bを有し、両者の間に、空気の流れを制御するためのバルブ7がある。第2セグメント5bは、出口Sにおいて、針3の端3a付近に出現する。
【0021】
空気バルブ7は、ばね50に対する固定された支持点を形成するストッパ51により定められる位置に保持されたばね50によって与えられる戻し力Rの影響下で、対応する形状を有するシート7bに当接するのに適したシャッタ7aを含む。シャッタ7aは、針3と並進するように取り付けられている。このように、ばね50は、ガン1のトリガ6に力が作用していないとき、ダクト2から出口Sに向けて塗布材が流れるのを防ぐ位置に針3を保持することを可能にする。より具体的には、針3の端3aは、戻し力Rの影響下で、対応する形状を有するシート33に当接するのに適した形状を有している。こうして、針3及びシート33は、共に、塗布材の流れを制御するためのバルブ63を形成する。針3は、バルブ63の可動シャッタを形成する。
【0022】
トリガ6は、軸Y4に垂直な軸X6の周りで、ガンの本体15に接合されている。これにより、軸Y4に平行な針3の移動とともに、バルブ7の開閉が可能になる。より具体的には、トリガ6は、シャッタ7aに当接し、且つ、戻し力Rと反対方向の力を受けたときには、軸Y4に沿ってシャッタ7aをシート7bに対して軸方向にオフセットするように、シャッタ7aに戻し力Rと反対方向の力を与えることを可能にする。これにより、針3を軸Y4に平行に動かすことが可能になる。トリガ6が解放されたとき、ばね50は、シャッタ7b及び針3を、それぞれ、エアフローダクト5及び塗布材フローダクト2を遮断する位置に向かって押し戻す。トリガ6は、このように、フローダクト2及び5における塗布材及び圧縮空気の流れの制御を可能にする。
【0023】
ガン1は、そのバレル13に配置されている高電圧ユニット12に電流を供給することを可能にする電気ケーブル11によって、高電圧発生器10にも接続されている。発生器10は、今度は、セクタからケーブル17を用いて電流が供給される。
【0024】
高電圧ユニット12は、図示されていない手段によって当該高電圧ユニットと電気的に接続されている針3の端3aを、高電圧、すなわち、その絶対値が10kVから200kVの間にある電位にすることを可能にする。
【0025】
針3に沿った収納凹部4の向かいの当該針3の中央部3bの外面に、第1機械加工8が、規則的に配置されている。中央部3bは、円筒形で直径D3の円形の底部を備える包絡面S3bを有する。第1機械加工8は、針3の包絡面S3bに対して、中空部を形成しているが、当該中空部は、包絡面S3bの直径D3よりも小さい直径D8を有する。第1機械加工によって形成される中空部の直径D8は、好ましくは、包絡面S3bの直径D3の15%から60%の間にある。
【0026】
参照U8は、軸Y4に平行に測定される、第1機械加工8のそれぞれが伸長して及ぶ長さを示す。
【0027】
同様に、収納凹部4において、第2機械加工9が第1機械加工8の向かいに配置されている。第2機械加工9は針3を案内するための面S4に対して中空部を形成している。第2機械加工9によって形成される中空部の直径D9は、針3を受けて案内するための面S4の直径D4よりも大きい。中空部の直径D9は、好ましくは、面S4の直径D4の101%から200%の間にある。
【0028】
参照U9は、軸Y4に平行に測定される、第2機械加工9のそれぞれが伸長して及ぶ長さを示す。
【0029】
第1機械加工8のそれぞれが、長さU8にわたって軸Y4に平行に伸長する。それぞれの第1機械加工8が伸長して及ぶ長さU8の合計は、軸Y4に平行に測定される、針3の中央部3bの長さU3bの10%から50%の間にある。
【0030】
第2機械加工9のそれぞれは、長さU8よりも長い、長さU9にわたって伸長する。好ましくは、長さU9は、長さU8の120%から200%の間にある。第1機械加工8及び第2機械加工9は、針及び収納凹部が機械加工を有しない構成に対して、電気沿面距離を伸長し、従って、針3の端3aが高電圧にされたときに、ガン1のトリガ6又は後部16が接地電位と異なる電位になるのを防ぐことを可能にする。
【0031】
さらに、第2機械加工9は、第1機械加工8が配置されるのに要する長さU8よりも長い長さU9にわたって配置されるため、収納凹部4における針3の位置に関係なく、電気沿面距離は変化しない。
【0032】
さらに、針3とその収納凹部4との間に形成された空間V1は、電気絶縁材料で満たされる。この材料は、例えば、絶縁油であり得る。その特性を通して、前端部3aと後部3cとの間の沿面経路の長さを伸長し、従って、バレル13及び針3に使用される材料の固有の性質によって許容されるものより短いバレル13を生産することが可能になる。さらに、この電気絶縁材料は、オゾンの生成を防止する。実際、この絶縁材料がない場合には、バレル13内の針3とその収納凹部4の間に閉じ込められた空気は、急速にイオン化し、オゾンを生成する。オゾンは、健康に有害な気体であり、針3及びその収納凹部4の構成材料を腐食するが、手動のガン1の場合には、最終的に、オペレータの手に達し得る電気クリーページを引き起こす。
【0033】
図4に示されたガンの第2の実施形態において、針203は、第1の実施形態の針3に全体的に類似しているが、異なる第1機械加工208を有する。
【0034】
第2の実施形態において、第1の実施形態の要素に類似する要素は、200だけ増加した同様の番号の参照を保持する。
【0035】
次に、第2の実施形態が第1の実施形態から異なっている事項を説明する。
【0036】
このように、第1機械加工208は、中央部203bの周りに、針203の中央部203bの包絡面S203bに対し、螺旋状の中空部を形成する。第1機械加工は、それゆえ、針203の中央部203bの包絡面S203bに対し、第1中空螺旋を形成する。同様に、バレルの対応する収納凹部に配置された図示していない第2機械加工は、針203を案内するための面に対し、第1機械加工208の向かいに第2中空螺旋を形成する。
【0037】
図5及び6に示されているガンの第3の実施形態において、針303は、第2の実施形態の針203に全体的に類似しているが、第1機械加工208と異なる第1凸部308を有する。第3の実施形態において、第1の実施形態の要素に類似する要素は、同様の番号の参照を保持する。次に、第3の実施形態が第1の実施形態から異なっている事項を説明する。
【0038】
第1凸部308は、針303の中央部303bの周りに位置する螺旋を形成する。より具体的には、中央部303bは、全体的に円筒形の部分314と、当該円筒形の部分314から突き出す第1凸部308とを有している。参照D314は、当該円筒形の部分314の直径を示し、参照D308は、当該第1凸部308の直径を示す。
【0039】
第1凸部308によって形成された螺旋の直径D308は、円筒形の部分314の直径D314よりも大きい。好ましくは、直径D308は、直径D314の15%から60%の間にある。
【0040】
さらに、第2の実施形態に対して説明されたものと同様に、バレル13の収納凹部は、針303を案内するための面S4に対し、第1凸部308の向かいに、第2中空螺旋を形成する第2機械加工309を有する。
【0041】
参照U308は、突出螺旋308の長手方向の軸Y4に沿って計測された、第1の幅を示す。第1の幅U308は、中央部303bの周りにおいて、全体的に一定である。
【0042】
同様に、参照U309は、第2中空螺旋309の、長手方向の軸Y4に沿って計測された、第2の幅を示す。第2の幅U309は、収納凹部4に沿って全体的に一定である。
【0043】
突出螺旋308及び第2中空螺旋309は、当該突出螺旋308が当該第2中空螺旋309の中に螺合されるように、相補的な形状を有する。さらに、突出螺旋308及び第2中空螺旋309は、同一の方向にある。
【0044】
第1の幅U308は、第2の幅U309の10%から50%の間にある。より具体的には、第2の幅U309は、第2の幅U309が第1の幅U308と針303の長手方向の並進移動との合計よりも大きくなるように、第1の幅U308よりも大きい。針303の長手方向の並進移動は、ガン1のトリガ6が解放されるときの針303の位置と、トリガ6が完全に活性化されるときの針303の位置との間の、長手方向の軸Y4に沿って針303が移動する距離に対応する。
【0045】
代わって、第1及び第2機械加工が、任意の形状を有する中空部を形成する。
【0046】
別の実施例によれば、第2の実施形態において、針203は、第1中空螺旋を形成する単一の機械加工を有する。
【0047】
別の実施例によれば、第3の実施形態において、針303は、突出螺旋を形成する単一の第1凸部を有する。
【0048】
別の実施例によれば、機械加工は、針3の中央部3b及び収納凹部4に沿って、規則的に配置されていない。
【0049】
別の実施例によれば、発生器10は、自律的な電源から電流が供給される。
【0050】
別の実施例によれば、第2及び第3の実施形態において、収納凹部4は、第2中空螺旋を形成する単一の第2機械加工を有する。
【0051】
別の実施例によれば、第3の実施形態の突出螺旋308と第2中空螺旋309とは、反対の方向にある。
【0052】
別の実施例によれば、針及びその収納凹部は、相補的な形状を有するが、円筒形状ではない。
【0053】
また別の実施例によれば、中空部は針3と収納凹部4の突出要素によって形成される。その場合には、それらの要素は、針3若しくは収納凹部4を備える単一体を形成するか、又は、針3若しくは収納凹部4に取り付けられた部品を形成する。
【0054】
図1において、描かれたガン1は、塗布材の静電噴霧用の手動噴霧ノズルである。或いは、このガンは、塗布材の噴霧用の自動噴霧ノズルである。
【0055】
上記検討された実施形態及び代替例の技術的特徴は、別の実施形態を創出するために、お互いに組み合わされてもよい。
【国際調査報告】