(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-523712(P2016-523712A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(54)【発明の名称】レーザー溶接シームを作る方法及び車両シート
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20160715BHJP
B60N 2/58 20060101ALI20160715BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B60N2/58
B23K26/21 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-509362(P2016-509362)
(86)(22)【出願日】2014年4月8日
(85)【翻訳文提出日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2014057024
(87)【国際公開番号】WO2014173673
(87)【国際公開日】20141030
(31)【優先権主張番号】102013207541.3
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ、 マイケル
【テーマコード(参考)】
3B087
4E168
【Fターム(参考)】
3B087DE03
4E168BA02
4E168BA13
4E168BA14
4E168BA21
(57)【要約】
本発明は、2つの本質的に平面状の物体(20,30)を接続するためにレーザービームを用いてレーザー溶接シーム(40)を作る方法であって、本質的に平面状の物体(30)は初めに互いに接触して配置され、その後、レーザービームのエネルギーが一方の平面状の物体(30)を通って他方の平面状の物体(20)に達する溶接工程で互いに接続されることができる方法に関する。本発明により、レーザー溶接シーム(40)は、レーザービームが溶接軸(A)を中心とする揺動運動で導かれる少なくとも1つの揺動領域(46,48)と、レーザービームが溶接軸(A)に沿って少なくともほぼ直線的に導かれる少なくとも1つの中央領域(50)とを備えることが定められる。本発明はまた、本発明の方法に従って作られる少なくとも1つのレーザー溶接シーム(40)を備える車両シート(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの実質的に平面状の物体(20,30)を接続するためにレーザービームを用いてレーザー溶接シーム(40)を作る方法であって、前記実質的に平面状の物体(20、30)は初めに互いに接触させられ、その後、レーザービームのエネルギーが一方の平面状の物体(30)を通って他方の平面状の物体(20)に達する溶接工程で互いに接続され、前記レーザー溶接シーム(40)は、レーザービームが溶接軸(A)の周りで揺動運動の形で導かれる少なくとも1つの揺動領域(46、48)と、レーザービームが溶接軸(A)に沿って少なくともほぼ直線的に導かれる少なくとも1つの中央領域(50)とを備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
2つの揺動領域(46,48)、すなわち、開始領域(46)と終了領域(48)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中央領域(50)は前記開始領域(46)と前記終了領域(48)との間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的に平面状の物体(20、30)は、車両シート(1)の背もたれ(4)の背もたれフレーム(20)と背もたれパネル(30)であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザービームは前記揺動領域(46,48)における揺動運動中に前記溶接軸(A)を繰り返し横切ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記揺動運動の振幅は変えられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記揺動運動の振幅は前記中央領域(50)から離れた前記揺動領域(46、48)の始点(42)で最大値を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記揺動運動の振幅は前記中央領域(50)から離れた前記揺動領域(46、48)の終点(44)で最大値を有することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記揺動領域(46,48)から前記中央領域(50)への移行部で前記揺動運動の振幅はゼロに等しいことを特徴とする、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザー溶接シーム(40)は、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.2から1.3の長さの係数を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記レーザー溶接シーム(40)は、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.25の長さの係数を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの揺動領域(46、48)は、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.8から2.0の長さの係数を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記中央領域(50)の直線長さに対する前記少なくとも1つの揺動領域(46,48)の直線長さの比は、0.2から0.25の値にほぼ相当することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記中央領域(50)では、前記レーザー溶接シーム(40)は、約0.6mmから0.8mm、好ましくは約0.7mmの溶接軸(A)に対して垂直な長さを有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の方法に従って作られた少なくとも1つのレーザー溶接シーム(40)を備える車両シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有するレーザー溶接シームを作る方法、及び請求項15の特徴を有する車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車シートの構成要素及び構造(例えば、前後方向アジャスタ、下部構造及び背もたれ)は、レーザー溶接を用いて互いに接続された複数の個別の構成要素でしばしば構成される。
【0003】
この場合、レーザービームのエネルギーが1つの平面的な構成要素を通って別の構成要素に入り込み、それによって2つの構成要素の接触点で2つの構成要素の局所的な加熱が行われ、構成要素が互いに溶接される。
【0004】
特許文献1には、レーザー溶接シームを作る一般的な方法が開示されている。それによって車体構成要素に作られたレーザー溶接シームは、直線的に延びる中央領域を有し、端部領域で、補強する(詳細には、厚くする、広くする、保護する又は折り返す)ように設計される。結果として、このように作られたレーザー溶接シームの強度は、完全に直線的に延びるレーザー溶接シームと比べて増大している。
【0005】
特許文献2には、溶接シームを作る方法が開示され、前記溶接シームは、直線領域と、直線領域に隣接する円形又は液滴状の領域を備える。
【0006】
特許文献3には、揺動する溶接シームによって複数の平面的な金属シートを接続する方法が開示されている。
【0007】
特許文献4にも、揺動する溶接シームによって複数の平面的な金属シートを接続する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第19627913号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009052220号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102005001606号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102007063456号明細書
【特許文献5】特開昭59−178177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプのレーザー溶接シームを作る代替的な方法であって、作られるレーザー溶接シームが完全に直線的に延びるレーザー溶接シームと比べてより大きな強度を有する方法を提供することにある。本発明の目的はまた、それに応じて増大した強度を有するレーザー溶接シームを有する車両シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有するレーザー溶接シームを作る方法によって本発明に従って達成される。
【0011】
個別に又は互いに組み合わせて使用することができる有利な実施形態が従属請求項の主題を形成する。
【0012】
2つの実質的に平面状の物体を接続するためにレーザービームを用いてレーザー溶接シームを作る一般的な方法では、実質的に平面状の物体は初めに互いに接触させられ、その後、レーザービームのエネルギーが一方の平面状の物体を通って他方の平面状の物体に達する溶接工程で互いに接続される。
【0013】
本発明によれば、この場合、レーザー溶接シームは、レーザービームが溶接軸を中心とする揺動運動の形で導かれる少なくとも1つの揺動領域と、レーザービームが溶接軸に沿って少なくともほぼ直線的に導かれる少なくとも1つの中央領域とを備えることが定められる。
【0014】
本発明による方法を用いて、レーザー溶接シームが作られ、前記レーザー溶接シームは、一方で、揺動領域では比較的高い強度を有し、他方で、中心領域では比較的短い加工時間で作ることができる。好ましくは、この場合、レーザー溶接シームは、揺動領域が最大予想負荷の領域に位置するように配置され且つ向けられる。工程時間は、レーザービームを用いてレーザー溶接シームを作るのに必要とされる時間として理解される。
【0015】
好ましくは、ちょうど2つの揺動領域、すなわち、開始領域と終了領域が設けられる。
【0016】
好ましくは、中央領域は開始領域と終了領域との間に配置される。
【0017】
本発明による方法は、特に有利には車両シートの背もたれの製造に使用することができ、溶接される実質的に平面状の物体は、背もたれの背もたれフレームと背もたれパネルである。
【0018】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、レーザービームは揺動領域における揺動運動中に溶接軸を繰り返し横切る。
【0019】
有利には、揺動運動の振幅はそれに加えて変えられる。結果として、荷重の増加が予想される領域に、より大きな振幅を選択することができ、それにより強度が増大する。荷重の減少が予想される領域では、より小さな振幅を選択することができ、それにより工程時間が短縮される。
【0020】
好ましくは、揺動運動の振幅は、中央領域から離れた揺動領域の始点及び/又は終点で最大値を有し、従って、レーザー溶接シームの振幅も同様である。
【0021】
揺動領域から中心領域への移行部では、揺動運動の振幅は、好ましくはほぼゼロであるか又はゼロに等しい。
【0022】
特に有利には、レーザー溶接シームは、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.2から1.3、好ましくは約1.25の長さの係数を有する。レーザー溶接シームの延長長さは、この場合、レーザー溶接シームを作るときにレーザービームが進む経路に相当する。レーザー溶接シームの直線長さは、中央領域から離れたレーザー溶接シームの始点と中央領域から離れたレーザー溶接シームの終点との間の距離である。1.2から1.3、好ましくは約1.25の長さの係数は、比較的短い加工時間と同時に、レーザー溶接シームの比較的高い強度を確実にする。
【0023】
少なくとも1つの揺動領域(例えば、開始領域又は終了領域)は、好ましくは、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.8から2.0の長さの係数を有する。この場合の揺動領域の延長長さは、揺動領域を作るときにレーザービームが進む経路に相当する。揺動領域の直線長さは、中央領域から離れた揺動領域の始点又は終点と中心領域から揺動領域への移行部との間の距離である。
【0024】
中央領域の直線長さに対する少なくとも1つの揺動領域の直線長さの比は、有利には0.2から0.25の値にほぼ相当する。この場合の中央領域の直線長さは、溶接軸に沿った中央領域の長さである。
【0025】
中央領域において、レーザー溶接シームは、好ましくは、約0.6mmから0.8mm、好ましくは約0.7mmの溶接軸に垂直な長さを有する。
【0026】
上記目的はまた、請求項15の特徴を有する車両シートによって達成され、前記車両シートは、本発明による方法に従って作られる少なくとも1つのレーザー溶接シームを備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面に示される有利な例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明はこの例示的な実施形態には限定されない。図面において:
【
図3】本発明による方法によって作られたレーザー溶接シームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
自動車用の車両シート1(本例では後座席)が、座部3と、座部3に取り付けられ且つ傾きを調整することができる背もたれ4とを有する。車両シートは、しかしながら、前座席であってもよい。背もたれ4はまた、車両の構造体に堅固に接続することができる。
【0029】
車両シート1はシート構造10を備え、シート構造10は実質的に金属から成り且つ発泡体部品を取り付けられる。シート構造10及び発泡体部品は、例えば、革又は布から成るカバーで覆われる。発泡体部品とカバーは、車両シート1の乗員の座り心地を大幅に向上させる。
【0030】
車両の内部の車両シート1の配置と車両の通常の進行方向は、以下で使用される方向情報を定義する。この例では、地面に対して垂直に向けられた方向を以下で鉛直方向と称し、鉛直方向に対して垂直且つ進行方向に対して垂直な方向を以下で横方向と称する。鉛直方向は、背もたれ4が通常の使用位置で配置される、地面に対して垂直に向けられた方向に対する角度範囲も含んでいる。
【0031】
側面に配置され且つ手動で操作することができる背もたれ調整金具19を用いて、背もたれ4を傾きに関して調整することができ、それは座部3と背もたれ4との間の角度を調整することができることを意味する。代わりに、電気駆動装置も考えられる。傾きの調整では、背もたれ4は横方向に延びる旋回軸12を中心に旋回する。
【0032】
図1及び
図2を見ると、背もたれ4はその使用位置にあり、従って、鉛直方向に延びている。ヘッドレスト18が鉛直方向において座部3から離れた背もたれ4の上端に取り付けられ、前記ヘッドレストは高さと傾きに関して調整可能である。
【0033】
背もたれ4は、特に、背もたれフレーム20と、平面状の物体として構成される背もたれパネル30とを備える。背もたれパネル30は、補強リブ又は補強ビードを含むことができるが、それにもかかわらず、平面的とみなされる。
【0034】
背もたれフレーム20は、本例では、部分的な周囲輪郭として設計される。前記輪郭は、平行に延びる2つの突出部と、突出部を接続するベースとを備えた、略U字状の断面を有する。いずれも、ベースから離れた突出部の端部にフランジ21が設けられ、前記フランジはベースに対して平行に延びている。ベースとフランジ21はいずれも、平面形状のものであり、2つの突出部に対して直角に延びている。
【0035】
背もたれパネル30と背もたれフレーム20は、本例では金属、特に鋼から成り、複数のレーザー溶接シーム40を用いて互いに接続される。
図2には、2つのこのようなレーザー溶接シーム40が示されているが、一般には、3つ以上のレーザー溶接シーム40が存在する。
【0036】
車両シート1のシート構造10の背もたれ4を製造する場合、特に、背もたれパネル30と背もたれフレーム20は、レーザー溶接を用いて互いに接続される。
【0037】
この目的のため、背もたれパネル30と背もたれフレーム20は、互いに対して位置決めされ、そのために設けた装置内で互いに押し付けられる。従って、背もたれフレーム20の輪郭の突出部から突出するフランジ21は、背もたれパネル30に対して平面的に当接する。前記フランジ21とベースは、従って、背もたれパネル30に対して平行に延び、背もたれフレーム20の輪郭の突出部は背もたれパネル30に対して垂直に延びる。
【0038】
続いて、フランジ21と背もたれパネル30は、レーザービームのエネルギーが背もたれパネル30を通って背もたれフレーム20のフランジ21に達する、レーザー溶接によって互いに接続される。この場合、レーザービームは、背もたれパネル30へと向けられ、そこに可視のレーザー溶接シーム40を作る。複数のレーザー溶接シーム40が背もたれパネル30に作られた後、背もたれパネル30はレーザー溶接によって背もたれフレーム20に接続される。
【0039】
このようなレーザー溶接シーム40を作るために、レーザービームは最初は始点42へ向けられる。そこから、レーザービームは、背もたれパネル30の表面の上を通って終点44の所まで導かれ、その結果、その終点44への経路上にレーザー溶接シーム40を作る。レーザー溶接シーム40は、従って、始点42と終点44との間に延びる。
【0040】
レーザービームは、レーザー溶接シーム40が作られるとき主に溶接方向Sに移動する。
【0041】
始点42から始めて、レーザービームは初めに溶接方向Sに垂直な揺動運動も行う。このようにして、始点42から始まって終点44の方向へ溶接方向Sに延びるレーザー溶接シーム40の開始領域46に揺動シームが作られる。
【0042】
開始領域46を通過した後、レーザービームは専ら溶接方向Sに直線的に移動し、その結果、中央領域50に直線シームを作る。
【0043】
中心領域50を通過した後、レーザービームは更に溶接方向Sに移動し且つ更に溶接方向Sに対して垂直な揺動運動を行う。このようにして、更なる揺動シームがレーザー溶接シーム40の終了領域48に作られ、前記終了領域は終点44の所まで溶接方向Sに延びる。
【0044】
レーザー溶接シーム40は、従って、開始領域46と、終了領域48と、それらの間に位置する中央領域50とを含み、中央領域50は直線シームを有し、開始領域46及び終了領域48はいずれも揺動シームを有する。開始領域46と終了領域48は揺動領域とも称される。この例のレーザー溶接シーム40の始点42と終点44は、それぞれ、中心領域50から離れたレーザー溶接シーム40の端に位置する。
【0045】
本例では、レーザービームの揺動運動の振幅は、開始領域46及び終了領域48で変えられる。しかしながら、揺動運動の振幅は開始領域46及び/又は終了領域48において一定のままであることも考えられる。
【0046】
始点42から始まって、揺動運動の振幅は最大値を有し、開始領域46に沿って減少する。開始領域46から中央領域50への移行部では、揺動運動の振幅はその結果ゼロに等しく、揺動運動は従って終了させられる。
【0047】
中央領域50から終了領域48への移行部では、揺動運動の振幅は依然としてゼロに等しい。中央領域50から終了領域48への移行部から始まって、揺動運動が再び開始し、それと同時に揺動運動の振幅が増大する。終点44に達したとき、揺動運動の振幅は再び最大値を有する。
【0048】
開始領域46及び終了領域48における揺動運動中、レーザービームは溶接軸Aを繰り返し横切る。溶接軸Aは、溶接方向Sの方向に延び且つ中央領域50の中央を貫通する直線である。
【0049】
本例では、始点42も終点44も溶接軸A上に位置する。しかしながら、始点42及び/又は終点44が溶接軸Aに対して横方向にずれた場所に位置することも考えられる。
【0050】
図3に示すレーザー溶接シーム40は、本例では、約20mmの直線長さを有する。レーザー溶接シーム40の直線長さは、始点42と終点44との間の距離である。本例では、レーザービームが進む経路に相当するレーザー溶接シーム40の延長長さは、約25mmである。
【0051】
従って、本例では、直線長さに対する延長長さの比に相当する、約1.25の長さの係数が作られる。レーザー溶接シーム40の延長長さは、従って、直線長さよりも約25%大きい。
【0052】
始点42と中央領域50の始まりとの間の距離に相当する開始領域46の直線長さは、本例では約3mmである。また、終点44と中央領域50の終わりとの間の距離に相当する終了領域48の直線長さは、本例では約3mmである。本例における中央領域50の長さは約14mmである。
【0053】
レーザー溶接シーム40の延長長さと中心領域50の長さの他の寸法と同様に、レーザー溶接シーム40と開始領域46と終了領域48の直線長さの他の寸法も考えられる。
【0054】
上述の説明、特許請求の範囲及び図面に開示された特徴は、本発明をその様々な実施形態で実施するために、個別に及び互いに組み合わせての両方で重要であり得る。
【符号の説明】
【0055】
1 車両シート
3 座部
4 背もたれ
10 シート構造
12 旋回軸
18 ヘッドレスト
19 背もたれ調整金具
20 背もたれフレーム
21 フランジ
30 背もたれパネル
40 レーザー溶接シーム
42 始点
44 終点
46 開始領域
48 終了領域
50 中央領域
A 溶接軸
S 溶接方向
【国際調査報告】