【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によると、本発明は、注射軸を定義する注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするための、上側開口を有する第1の管状要素を備えるハウジング;及び
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素
を備え、上記可動要素は、上記ハウジングの上記第1の管状要素内で摺動するよう配設された第1の部分と、上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設された第2の部分と、上記第1の部分と上記第2の部分とを接続する接続部分とを備え、上記可動要素は、上記第1の管状要素の上記上側開口の外へと延在する。
【0011】
その結果、スリットを用いずに第1の管状要素を形成できるため、より構造的に安定した注射デバイスが提供される。これにより、プラスチック等の安価な材料で注射デバイスを製造できるようになる。
【0012】
可動要素の第1の部分及び第2の部分の両方は、ハウジングの異なる部品上で摺動できるため、構造安定性が更に改善される。
【0013】
ハウジング及び/又は可動要素はプラスチック製であってよい。第1の管状要素の、ユーザの皮膚に対面する端部は、閉鎖されていてよい。従って使用時、第1の管状要素の上側開口は、ユーザの皮膚とは反対側を向いている。可動要素の第2の部分は、第1の管状要素、又はハウジングの別の要素、例えば第1の管状要素に取り付けられた要素の、第1の外側表面において摺動してよい。ハウジング及び可動要素は、通常使用中に実質的に変形不可能であってよく、即ちハウジング及び可動要素は、通常使用中に5%未満しか変形しなくてよい。可動要素はU字型であってよく、この場合第1の部分はU字型の第1の脚であり、第2の部分はU字型の第2の脚であり、接続部分はU字型の底部である。可動要素の第1の部分及び第2の部分は、おおよそ等しい長さであってよく、又は異なる長さであってよい。管状要素は、円形又は長方形断面を有してよい。シリンジホルダは、可動要素の第2の部分に接続されてよい。シリンジホルダは、把持アームの第1のセットと、把持アームの第2のセットとを備えてよい。シリンジホルダは可動要素に着脱可能に接続されてよく、これによりシリンジホルダを交換して、同一の注射デバイスを異なるサイズの皮下シリンジと共に使用できるようにすることができる。注射デバイスは、皮下シリンジの注射を開始するための解放機構を備えてよい。解放機構は、本発明の第7の態様に関連して説明されるような解放機構であってよい。注射デバイスは、上記可動要素が上記引き出し位置にあり、かつ上記解放機構が押圧されている場合に、上記可動要素が上記注射位置へと移動することによって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射し得るように構成してよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記注射軸に対して垂直である上記ハウジングのいずれの断面の外周の少なくとも50%が、上記可動要素のいずれの可能な位置において上記可動要素と干渉しないように、上記ハウジングに対して配設される。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記注射軸に対して垂直である上記ハウジングのいずれの断面の外周の少なくとも65%が、上記可動要素のいずれの可能な位置において上記可動要素と干渉しないように、上記ハウジングに対して配設される。
【0016】
これによりユーザは、注射デバイスをより自由に把持して取り扱うことができるようになり、例えば注射デバイスの下部の第3の部分に、より良好な制御をユーザに提供する把持領域を形成できる。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは更に針シールドを備える。
【0018】
針シールドは、可動要素が引き出し位置にあるときに、上記皮下シリンジに取り付けられた上記皮下シリンジの皮下針の先端が針シールドの内側に位置決めされるように、配設してよい。針シールドは管状針シールドであってよい。管状針シールドは、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザの皮膚に対面する、第1の開口を備える。ハウジングは、ユーザの皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備えてよく、第1の開口は上記平坦接触表面の一部を形成する。
【0019】
針シールドを有することにより、皮下針が刺さることからユーザを保護できる。これは、注射デバイスを医療従事者が使用する場合に特に重要である。というのは、これによって、医療従事者が、治療対象の患者からHIV又は肝炎等の疾患に感染するリスクが低減されるためである。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは把持領域を備え、上記針シールドは上記把持領域の一部を形成し、上記把持領域は、皮下シリンジの注射中に、ユーザが上記注射デバイスを上記把持領域のいずれの位置に安全に保持できるようにするために構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、上記可動要素が上記引き出し位置にある場合に、上記第1の部分が、上記第1の管状要素の上記上側開口を通って上記管状要素の外へと延在し、上記可動要素が上記注射位置にある場合に、上記第1の部分全体が上記第1の管状要素の内側に位置決めされ、上記第2の部分及び上記接続部分全体が上記ハウジングの外側に位置決めされるよう、構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングの上記第1の外側表面は、上記注射軸に沿って延在するガイドを備え、上記可動要素の上記第2の部分は上記ガイドと係合し、上記ガイドは、上記可動要素の上記第2の部分が、上記注射軸に沿った方向以外のいずれの方向に移動するのを防止する。
【0023】
その結果、注射デバイスの構造的強度を更に改善できる。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記ガイドは上記注射軸に沿って延在する溝であり、上記溝は、上記可動要素の上記第2の部分を把持することによって、上記可動要素の上記第2の部分が上記注射軸に沿った方向以外のいずれの方向に移動するのを防止するよう構成される。
【0025】
溝は、内向きに傾斜した第1の壁及び第2の壁を備えてよく、これによって上記第2の部分が上記注射軸に沿った方向以外のいずれの方向に移動するのが防止される。可動要素の第2の部分全体が溝の内側で摺動してよく、又は上記第2の部分の一部のみが上記溝の内側で摺動してよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記接続部分は、上記可動要素が上記注射位置にある場合にユーザが上記可動要素を把持して、上記可動要素を上記引き出し位置へと引き出すことができるようにする、ハンドルを備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、上記ハンドルは第1の把持領域を備える。
【0028】
この第1のハンドル把持領域は、ユーザの手との高摩擦把持を確立するよう構成された材料を含んでよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、注射軸に対して垂直な方向に突出した、第1の突出把持部分を備える。
【0030】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、注射軸及び上記第1の突出把持部分に対して垂直な方向に突出した、第2の突出把持部分を備える。
【0031】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、第2の突出把持部分及び第3の突出把持部分を備え、第2及び第3の突出把持部分はいずれも、注射軸及び上記第1の突出把持部分に対して垂直な方向に突出する。
【0032】
その結果、ユーザは上記ハンドルをいずれの方向から更に容易に把持できる。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、上記可動要素と上記ハウジングとを接続するばねを更に備え、上記ばねは、解放された場合に、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置へと移動させるよう構成される。
【0034】
このばねは、機械ばね又はガスばね等のいずれの種類のばねであってよい。このばねは圧縮ばね又は伸長ばねであってよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、上記可動要素の上記第1の部分は、上記ばねと相互作用する外側表面を有するディスクを備える。
【0036】
このディスクは、可動要素の第1の部分の遠位端を形成してよい。このディスクは、円形又は長方形等のいずれの形状を有してよい。
【0037】
ばねは圧縮ばね、即ち圧縮時に機械的エネルギを貯蔵するばねであってよい。圧縮ばねは、可動要素の第1の部分の一部を取り囲んでよく、また、上記ディスクの第1の上側表面に当接する第1の端部を有してよい。上記ディスクの上側表面は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザとは反対側を向く表面である。従って、可動要素が引き出し位置にある場合、圧縮ばねは圧縮され、これによって、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置に移動させるために使用できる機械的エネルギを貯蔵し、上記移動によって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射できる。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記ディスクは、上記第1の管状要素の内側表面に沿って摺動することによって、更なる機械的安定性を提供するよう構成される。
【0039】
このディスクは、上記第1の管状要素の内側表面の形状に適合する形状を有してよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは更に、上記第1の管状要素の頂部に挿入される第2の管状要素を備え、上記可動要素は上記第2の管状要素の外へと延在する。
【0041】
第2の管状要素は、第1の管状要素に恒常的に取り付けられてよい。第2の管状要素は、接着剤、及び/又は圧入、即ち摩擦嵌合を用いて取り付けてよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記第1の部分の一部が上記第2の管状要素の内側表面に沿って摺動することによって、更なる機械的安定性を提供するよう構成される。
【0043】
従って、可動要素の第1の部分は、上記第2の管状要素の内側表面に沿って摺動する細長部分と、第1の管状要素の内側表面に沿って摺動するディスクとを備えてよく、上記細長部分の(注射軸に対して垂直な平面内で測定した)最大幅は、ディスクの最大幅より小さい。
【0044】
ばねは圧縮ばね、即ち圧縮時に機械的エネルギを貯蔵するばねであってよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、ばねは、可動要素の第1の部分の一部を取り囲む圧縮ばねであり、上記ディスクの第1の上側表面に当接する第1の端部と、第2の管状要素の下側表面に当接する第2の端部とを有する。
【0046】
上記ディスクの上側表面は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザの皮膚とは反対側を向く表面であり、第2の管状要素の下側表面は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザの皮膚に対面する表面である。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、皮下シリンジを筋肉内注射するための、筋肉内注射デバイスである。
【0048】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、上記注射デバイスの中心軸に沿って皮下シリンジを皮下注射するための、皮下注射デバイスである。
【0049】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して90°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0050】
その結果、注射デバイスは、正確に角度設定された注射のために使用できる。
【0051】
平坦接触表面と注射軸との間の角度は、平面と直線との間で測定可能な2つの角度のうちの小さい方として定義される。
【0052】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して80°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0053】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して75°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0054】
いくつかの実施形態では、上記接触表面は、皮膚との高摩擦接触を確立するための複数の突出部を備える。
【0055】
第2の態様によると、本発明は、注射軸を定義する注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・皮膚に位置決めするための、細長本体及び上記細長本体に取り付けられた針シールドを備えるハウジング;並びに
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素であって、上記可動要素の一部分は上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設される、可動要素
を備え、上記ハウジングは把持領域を備え、上記針シールドは上記把持領域の一部を形成し、上記把持領域は、上記注射デバイスが皮下シリンジを注射している間、ユーザが上記把持領域のいずれの位置において上記注射デバイスを安全に保持できるようにするよう構成される。
【0056】
その結果注射デバイスを、注射されるユーザの皮膚に近接して安全に把持できる。これにより、特に角度付きの注射のために注射デバイスを使用する場合に、より良好な制御が提供される。針シールドを有することにより、皮下針が刺さることからユーザを保護できる。これは、注射デバイスを医療従事者が使用する場合に特に重要である。というのは、これによって、医療従事者が、治療対象の患者からHIV又は肝炎等の疾患に感染するリスクが低減されるためである。
【0057】
ハウジング及び/又は可動要素はプラスチック製であってよい。把持領域は、ハウジングの下部の第3の部分に位置決めしてよい。ハウジングの下部の第3の部分は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合に、ハウジングの第3の部分がユーザの皮膚に最も近接するよう定義される。ハウジング及び可動要素は、通常使用中に実質的に変形不可能であってよく、即ちハウジング及び可動要素は、通常使用中に5%未満しか変形しなくてよい。シリンジホルダは、把持アームの第1のセットと、把持アームの第2のセットとを備えてよい。シリンジホルダは可動要素に着脱可能に接続されてよく、これによりシリンジホルダを交換して、同一の注射デバイスを異なるサイズの皮下シリンジと共に使用できるようにすることができる。注射デバイスは、皮下シリンジの注射を開始するための解放機構を備えてよい。解放機構は、本発明の第7の態様に関連して説明されるような解放機構であってよい。注射デバイスは、上記可動要素が上記引き出し位置にあり、かつ上記解放機構が押圧されている場合に、上記可動要素が上記注射位置へと移動することによって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射し得るように構成してよい。針シールドは管状針シールドであってよい。管状針シールドは、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザの皮膚に対面する、第1の開口を備える。ハウジングは、ユーザの皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備えてよく、第1の開口は上記平坦接触表面の一部を形成する。
【0058】
いくつかの実施形態では、針シールドは、可動要素が引き出し位置にあるときに、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジの皮下針の先端が針シールドの完全に内側に位置決めされるように、配設され、上記可動要素は注射位置から引き出し位置へと引き出すことができる。
【0059】
その結果、注射の前後両方において、皮下針が刺さることから医療従事者を保護できる。
【0060】
いくつかの実施形態では、細長本体は上側開口を有する第1の管状要素であり、上記可動要素は、上記ハウジングの上記第1の管状要素内で摺動するよう配設された第1の部分と、上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設された第2の部分と、上記第1の部分と上記第2の部分とを接続する接続部分とを備え、上記可動要素は、上記第1の管状要素の上記上側開口の外へと延在する。
【0061】
第1の管状要素の、ユーザの皮膚に対面する端部は、閉鎖されていてよい。従って使用時、第1の管状要素は、ユーザの皮膚とは反対側を向いている。可動要素の第2の部分は、第1の管状要素、又はハウジングの別の要素、例えば第1の管状要素に取り付けられた要素の、第1の外側表面において摺動してよい。可動要素はU字型であってよく、この場合第1の部分はU字型の第1の脚であり、第2の部分はU字型の第2の脚であり、接続部分はU字型の底部である。可動要素の第1の部分及び第2の部分は、おおよそ等しい長さであってよく、又は異なる長さであってよい。
【0062】
あるいは、第1の管状要素は長手方向スロットを備えてよく、可動要素の第1の部分は、上記ハウジングの上記第1の管状要素内で摺動するよう配設され、第2の部分は上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設され、上記第1の部分と上記第2の部分とを接続する接続部分は、上記長手方向スロットを通って延在する。
【0063】
第1の管状要素は、円形又は長方形断面を有してよい。シリンジホルダは、可動要素の第2の部分に接続されてよい。シリンジホルダは、把持アームの第1のセットと、把持アームの第2のセットとを備えてよい。シリンジホルダは可動要素に着脱可能に接続されてよく、これによりシリンジホルダを交換して、同一の注射デバイスを異なるサイズの皮下シリンジと共に使用できるようにすることができる。注射デバイスは、皮下シリンジの注射を開始するための解放機構を備えてよい。解放機構は、本発明の第7の態様に関連して説明されるような解放機構であってよい。注射デバイスは、上記可動要素が上記引き出し位置にあり、かつ上記解放機構が押圧されている場合に、上記可動要素が上記注射位置へと移動することによって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射し得るように構成してよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記注射軸に対して垂直である上記ハウジングのいずれの断面の外周の少なくとも50%が、上記可動要素のいずれの可能な位置において上記可動要素と干渉しないように、上記ハウジングに対して配設される。
【0065】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記注射軸に対して垂直である上記ハウジングのいずれの断面の外周の少なくとも65%が、上記可動要素のいずれの可能な位置において上記可動要素と干渉しないように、上記ハウジングに対して配設される。
【0066】
その結果、ユーザは、上記可動要素の移動に干渉するリスクなしに、上記把持領域において上記注射デバイスを後ろから把持できる。
【0067】
これによりユーザは、ユーザの皮膚により近い位置において上記注射デバイスを安全に把持できる。
【0068】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの最小高さは少なくとも1cmである。
【0069】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの最小高さは少なくとも1.5cmである。
【0070】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの最小高さは少なくとも2cmである。
【0071】
上記最小高さは、注射軸に沿った針シールドの最小幅として測定される。
【0072】
いくつかの実施形態では、上記把持領域は、1つ又は複数の指を受承するための第1の凹状部分を備える。
【0073】
いくつかの実施形態では、上記把持領域は更に、1つ又は複数の指を受承するための第2の凹状部分を備える。
【0074】
いくつかの実施形態では、上記第1の凹状部分及び/又は上記第2の凹状部分は、ユーザの指との高摩擦接触を提供するための複数の突出要素を備える。
【0075】
いくつかの実施形態では、上記把持領域の一部は、ユーザの手との高摩擦接触を確立するための材料を備える。
【0076】
上記材料は、ゴム又はゴム様材料であってよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、上記細長本体に取り付けられた第1の部分、及び上記第1の部分に挿入された第2の部分から組み立てられたアセンブリである。
【0078】
いくつかの実施形態では、上記針シールド及び上記細長本体は一体として形成される。
【0079】
いくつかの実施形態では、上記針シールド及び上記細長本体は一体として成型される。
【0080】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、皮下シリンジを筋肉内注射するための、筋肉内注射デバイスである。
【0081】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、上記注射デバイスの中心軸に沿って皮下シリンジを皮下注射するための、皮下注射デバイスである。
【0082】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して90°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0083】
その結果、注射デバイスは、正確に角度設定された注射のために使用できる。
【0084】
平坦接触表面と注射軸との間の角度は、平面と直線との間で測定可能な2つの角度のうちの小さい方として定義される。
【0085】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して80°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0086】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して75°未満の角度で角度設定された平面内で位置決めされる。
【0087】
いくつかの実施形態では、上記接触表面は、皮膚との高摩擦接触を確立するための複数の突出部を備える。
【0088】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、ユーザが上記皮下針又は針ハブを点検できるような位置に配設された、点検窓を備える。
【0089】
その結果、上記針シールドは、ユーザによる点検、例えば血管に命中していないことをユーザが確認するのを妨げることなく、針シールドの透明性を制限する、把持用特徴部分と嵌合してよい。
【0090】
多くの処置に関して、活性物質が皮下又は筋肉内に堆積され、血管中に直接送達されないことを保証することが重要となる。というのは、活性物質の効果が極めて短い場合があるためである。従って、注射器デバイスを用いて皮下シリンジを注射した後、ユーザは典型的には、プランジャを僅かに引き抜き、血液に関してシリンジを注視する。シリンジ内へと引き抜かれる血液がない場合、ユーザは、適切な注射位置が選択されたことを把握し、プランジャを押圧することによってシリンジの活性物質の注射を続行できる。
【0091】
しかしながら、シリンジ内へと引き抜かれた少量の血液をユーザが検出するのは困難である場合がある。
【0092】
従って、選択した注射位置が適切であるかどうかをユーザがより容易に検出できるようにするデバイスの提供は、今なお課題となっている。
【0093】
第3の態様によると、本発明は、注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスであって、上記注射方向は注射軸を定義する、デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするための、細長本体、上記細長本体に取り付けられた針シールド、及び光源を備えるハウジング;並びに
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ針ハブを通して皮下針に接続された皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素
を備え、上記光源は、光源が起動され、可動要素が注射位置にある場合に、得られる光線のピーク強度が上記針ハブの位置又は上記針ハブの下側に位置決めされることによって、ユーザが針ハブ内又は皮下針内に存在する血液を検出できるよう、配設される。
【0094】
その結果、皮下針を血管内に注射する際、皮下シリンジの内容物が汚染される前に針ハブ内又は皮下針内で血液を検出できる。これによりユーザは、皮下シリンジ内に貯蔵された医薬品を廃棄する必要なしに、注射デバイスを引き抜いて針ハブ及び皮下針を交換できる。
【0095】
ハウジング及び/又は可動要素はプラスチック製であってよい。ハウジング及び可動要素は、通常使用中に実質的に変形不可能であってよく、即ちハウジング及び可動要素は、通常使用中に5%未満しか変形しなくてよい。シリンジホルダは可動要素に着脱可能に接続されてよく、これによりシリンジホルダを交換して、同一の注射デバイスを異なるサイズの皮下シリンジと共に使用できるようにすることができる。注射デバイスは、皮下シリンジの注射を開始するための解放機構を備えてよい。解放機構は、本発明の第7の態様に関連して説明されるような解放機構であってよい。注射デバイスは、上記可動要素が上記引き出し位置にあり、かつ上記解放機構が押圧されている場合に、上記可動要素が上記注射位置へと移動することによって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射し得るように構成してよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、上記シリンジホルダは、上記皮下シリンジのカラーを把持するための溝を備え、上記溝は、上記皮下シリンジが、上記皮下シリンジホルダに対して上記注射軸に沿って移動するのを防止するよう構成される。
【0097】
いくつかの実施形態では、上記光源は、光源が起動され、可動要素が注射位置にある場合に、得られる光線のピーク強度が上記針ハブの位置に位置決めされることによって、ユーザが針ハブ内に存在する血液を検出できるよう、配設される。
【0098】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記光源は、上記平坦接触表面までの距離が0cm〜2cm、0cm〜1.5cm又は0cm〜1cmとなるよう配設される。
【0099】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、可動要素が引き出し位置にあるときに、皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジの皮下針の先端が針シールドの完全に内側に位置決めされるように配設され、上記可動要素は注射位置から引き出し位置へと引き出すことができる。
【0100】
針シールドは注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザの皮膚に対面する、第1の開口を備える。ハウジングは、ユーザの皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備えてよく、第1の開口は上記平坦接触表面の一部を形成する。光源は上記針シールドの内側に位置決めしてよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、ユーザが上記皮下針又は針ハブを点検できるような位置に配設された、点検窓を備える。
【0102】
点検窓は透明点検窓である。
【0103】
いくつかの実施形態では、上記点検窓は、上記針シールドの不透明部分によって少なくとも部分的に縁取られる。
【0104】
その結果、皮下シリンジ/針の注射をユーザから隠すことができ、ユーザはそれにもかかわらず、血管に命中したかどうかをはっきりと点検できる。これは特に、注射恐怖症の多数の患者の群に関して有用であり得る。
【0105】
上記不透明部分は上記点検窓全体を縁取ってよい。不透明部分は、不透明又は半透明(例えば曇りガラス)であってよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、上記細長本体に取り付けられた第1の部分、及び上記第1の部分に挿入された第2の部分から組み立てられたアセンブリである。
【0107】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの上記第1の部分は、少なくとも部分的に透明材料からなり、上記第2の部分は少なくとも部分的に不透明材料からなり、上記第2の部分は、上記第2の部分の上記第1の部分に挿入される部分に少なくとも部分的に位置する貫通孔を備え、上記貫通孔は上記第1の部分と共に上記点検窓を形成する。
【0108】
その結果、点検窓を有する針シールドを製造する簡単な方法が提供される。これにより更に、例えば上記針シールドの第2の部分を、より小さい又は大きい貫通孔を有する新規の第2の部分に置換することによって、上記点検窓のサイズを容易に変更できるようにすることができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは更に、上記光源に動作可能に接続された圧力センサを備え、上記圧力センサは、上記ハウジングと上記ユーザの皮膚との間の接触圧を検出するよう構成され、上記注射デバイスは、所定の第1の閾値を超える圧力が検出された場合に、上記光源をオンにするよう構成される。
【0110】
その結果、注射デバイスは、注射デバイスと皮膚との間の適切な接触圧が得られた場合にユーザに信号送信してよい。これにより、ユーザがかなり高い圧力を印加してしまうのを防止でき、これにより、骨注射のリスクを低下させることができる。
【0111】
圧力センサは、上記ハウジングの底部に位置決めされたボタンであってよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは更に圧力センサを備え、上記注射デバイスは、上記圧力センサが第2の閾値を超える圧力を検出した場合に、過剰な圧力が印加されたことを上記ユーザに信号送信するよう構成される。
【0113】
注射デバイスは、光源を変化させる(光の強度を上昇若しくは低下させる)こと、代替光源をオン若しくはオフにすること、又はスピーカから発せられる可聴音声を用いて信号伝達することによって、過剰な圧力が印加されていることをユーザに信号伝達するよう構成してよい。第2の閾値は好ましくは第1の閾値よりも高くてよく、これにより注射デバイスは、印加されている圧力が低過ぎる場合及び高過ぎる場合の両方においてユーザに信号伝達できる。
【0114】
その結果、骨注射のリスクを更に低下させることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは更に、針ハブを通して皮下針に接続された皮下シリンジを更に備え、上記皮下シリンジは、上記皮下シリンジホルダ内に配設され、上記光源は、光源が起動され、可動要素が注射位置にある場合に、得られる光線のピーク強度が上記針ハブの位置又は上記針ハブの下側に位置決めされることによって、ユーザが針ハブ内又は皮下針内に存在する血液を検出できるよう、配設される。
【0116】
多くの処置に関して、活性物質が皮下又は筋肉内に堆積され、血管中に直接送達されないことを保証することが重要となる。というのは、活性物質の効果が極めて短い場合があるためである。従って、注射器デバイスを用いて皮下シリンジを注射した後、ユーザは典型的には、プランジャを僅かに引き抜き、血液に関してシリンジを注視する。シリンジ内へと引き抜かれる血液がない場合、ユーザは、適切な注射位置が選択されたことを把握し、プランジャを押圧することによってシリンジの活性物質の注射を続行できる。
【0117】
しかしながら、注射恐怖症の多数の患者の群に関して、皮膚内への針の注射を注視できることは極めて不快であり得る。
【0118】
従って、選択した注射位置が適切であるかどうかをユーザが検出できるようにする、注射恐怖症の人々にとって好適な注射デバイスの提供は、今なお課題となっている。
【0119】
第4の態様によると、本発明は、注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスであって、上記注射方向は注射軸を定義する、デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするための、細長本体及び上記細長本体に取り付けられた針シールドを備えるハウジング;並びに
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ針ハブを通して皮下針に接続された皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素
を備え、上記注射デバイスは、皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジのプランジャをユーザが手動で操作できるようにするよう構成され、針シールドは透明点検窓を備える。
【0120】
その結果、皮下シリンジ/針の注射はユーザから隠れていてよく、ユーザはそれにもかかわらず、血管に命中したかどうかをはっきりと点検できる。これは特に、注射恐怖症の多数の患者の群に関して有用であり得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、可動要素の一部分は、上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設される。
【0122】
点検窓は、例えば透明ガラス又はプラスチック材料等の透明材料で被覆してよい。あるいは点検窓は、針シールドの開口であってよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、上記点検窓は、上記可動要素が注射位置にあるときにユーザが上記皮下針又は針ハブを点検できるような位置に配設される。
【0124】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは、皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備え、上記点検窓は、上記平坦接触表面までの距離が0cm〜2cm、0cm〜1.5cm又は0cm〜1cmとなるよう配設される。
【0125】
点検窓から平坦接触表面までの距離は、点検窓の、平坦接触表面に最も近接した部分から測定される。
【0126】
いくつかの実施形態では、上記点検窓の最大幅は、0.2cm〜4cm、0.2cm〜3cm又は0.5cm〜2cmである。
【0127】
その結果、制限されたサイズの点検窓を有することにより、点検窓を通した注射の視認はこれに対応して制限され得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、点検窓は針シールドの側部に配設される。
【0129】
いくつかの実施形態では、針シールドは更に、上記(第1の)点検窓とは反対側に位置決めされた第2の点検窓を備える。
【0130】
第2の点検窓は、(第1の)点検窓と同一のサイズ及び形状を有してよい。第2の点検窓は、(第1の)点検窓と同一の高さに位置決めされてよく、即ち、上記(第1の点検窓)の中央部分及び上記第2の点検窓の中央部分を通る見通し線が存在してよく、上記見通し線は上記注射軸に対して垂直となる。
【0131】
その結果、2つの点検窓を有することにより、ユーザは注射デバイスをより自由に取り扱うことができる。これにより更に、単一の観察デバイスを、左利き及び右利きの両方のユーザが使用できるようになる。これにより、製品の製造コストを低減できる。
【0132】
いくつかの実施形態では、上記点検窓は、上記針シールドの不透明部分によって少なくとも部分的に縁取られる。
【0133】
不透明部分は、不透明又は半透明(例えば曇りガラス)であってよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、上記不透明部分は上記点検窓全体を縁取っている。
【0135】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、上記細長本体に取り付けられた第1の部分、及び上記第1の部分に取り付けられた第2の部分から組み立てられたアセンブリである。
【0136】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、上記細長本体に取り付けられた第1の部分、及び上記第1の部分に挿入された第2の部分から組み立てられたアセンブリである。
【0137】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの上記第1の部分は、少なくとも部分的に透明材料からなり、上記第2の部分は少なくとも部分的に不透明材料からなり、上記第2の部分は、上記第2の部分の上記第1の部分に挿入される部分に少なくとも部分的に位置する貫通孔を備え、上記貫通孔は上記第1の部分と共に上記点検窓を形成する。
【0138】
その結果、点検窓を有する針シールドを製造する簡単な方法が提供される。これにより更に、例えば上記針シールドの第2の部分を、より小さい又は大きい貫通孔を有する新規の第2の部分に置換することによって、上記点検窓のサイズを容易に変更できるようにすることができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、針シールドは、可動要素が引き出し位置にあるときに、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジの皮下針の先端が針シールドの完全に内側に位置決めされるように、配設してよく、上記可動要素は注射位置から引き出し位置へと引き出すことができる。
【0140】
その結果、針の先端をユーザから少なくとも部分的に隠すことができる。これは、注射恐怖症のユーザにとってストレスを更に低減できる。
【0141】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは把持領域を備え、上記針シールドは上記把持領域の一部を形成し、上記把持領域は、上記注射デバイスが皮下シリンジを注射している間、ユーザが上記把持領域のいずれの位置において上記注射デバイスを安全に保持できるようにするよう構成される。
【0142】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、針シールドの把持を改善するよう構成された把持要素を備え、上記把持要素は、針シールドの透明性を制限する。
【0143】
把持要素は、把持を改善するよう構成された小さな突出部であってよい。
【0144】
従って、点検窓によって更に、針シールドをこれに関連する特徴部分と嵌合させることができるようになる。
【0145】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは、針ハブを通して皮下針に接続された皮下シリンジを更に備え、上記皮下シリンジは、上記皮下シリンジホルダ内に配設される。
【0146】
いくつかの実施形態では、上記針シールドの上記第1の部分は、少なくとも部分的に透明材料からなり、上記第2の部分は少なくとも部分的に不透明材料からなり、上記第2の部分は、上記第2の部分の上記第1の部分に挿入される部分に少なくとも部分的に位置する貫通孔を備え、上記貫通孔は上記第1の部分と共に上記点検窓を形成する。
【0147】
第5の態様によると、本発明は、皮下シリンジを注射する方法に関し、この方法は:
・本発明の第1の態様、本発明の第2の態様、本発明の第3の態様、本発明の第4の態様、本発明の第7の態様、本発明の第8の態様、本発明の第9の態様又は本発明の第10の態様に関連して開示された、可動要素が引き出し位置にある状態の注射デバイスを得るステップ;
・皮下シリンジホルダ内に(皮下針が取り付けられた)皮下シリンジを配設するステップ;
・注射デバイスを患者の皮膚に位置決めするステップ;
・注射デバイス上の解放機構を押圧することによって、可動要素を注射位置へと移動させて、皮下シリンジを注射するステップ
を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、解放機構は、注射デバイスがハウジングの下方の第3の部分に保持されている間に押圧される。
【0149】
注射は、特に必要な専門知識を用いてこれを実行した場合に有意な健康リスクが発生しないことが確実となるような位置及び深さで実施してよい。
【0150】
第6の態様によると、本発明は、皮下シリンジ内に備えられた物質を患者に注射する方法に関し、この方法は:
・本発明の第1の態様、本発明の第2の態様、本発明の第3の態様、本発明の第4の態様、本発明の第7の態様、本発明の第8の態様、本発明の第9の態様又は本発明の第10の態様に関連して開示された、可動要素が引き出し位置にある状態の注射デバイスを得るステップ;
・皮下シリンジホルダ内に(皮下針が取り付けられた)皮下シリンジを配設するステップ;
・注射デバイスを患者の皮膚に位置決めするステップ;
・注射デバイス上の解放機構を押圧することによって、可動要素を注射位置へと移動させて、皮下シリンジを注射するステップ;
・皮下シリンジのプランジャを手動で押圧することによって、皮下シリンジの内容物を注射するステップ
を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、解放機構は、注射デバイスがハウジングの下方の第3の部分に保持されている間に押圧される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明は更に:
・注射デバイスのハンドルを用いて、可動要素を注射位置から引き出し位置へと引き出すことによって、皮下針の先端を針シールドの完全に内側に位置決めして、針が刺さることからユーザを保護するステップ
を含む。
【0153】
第7の態様によると、本発明は、注射軸を定義する注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするための、上側開口を有する第1の管状要素を備えるハウジング;
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダと、上記ハウジングの上記第1の管状要素内で摺動するよう配設された第1の部分とを備える、可動要素;
上記可動要素と上記ハウジングとを接続するばねであって、上記ばねは、解放された場合に、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置へと移動させるよう構成される、ばね;及び
・ユーザが上記ばねを解放できるように構成された、解放機構
を備え、上記可動要素の上記第1の部分は細長開口を備え、上記解放機構は、把持位置と解放位置との間で解放機構軸に沿って移動可能に配設され、上記細長開口に部分的に挿入され、また上記可動要素が上記引き出し位置にあるときに、上記解放機構は、上記把持位置から上記解放位置へと移動することによって上記ばねを解放するよう配設される。
【0154】
その結果、軸に沿って移動することによってばねを解放する解放機構を設けることにより、容易かつ安全に操作できる解放機構が提供される。
【0155】
ハウジング及び/又は可動要素はプラスチック製であってよい。第1の管状要素の、ユーザの皮膚に対面する端部は、閉鎖されていてよい。従って使用時、第1の管状要素の上側開口は、ユーザの皮膚とは反対側を向いている。ハウジング及び可動要素は、通常使用中に実質的に変形不可能であってよく、即ちハウジング及び可動要素は、通常使用中に5%未満しか変形しなくてよい。管状要素は、円形又は長方形断面を有してよい。シリンジホルダは、把持アームの第1のセットと、把持アームの第2のセットとを備えてよい。シリンジホルダは可動要素に着脱可能に接続されてよく、これによりシリンジホルダを交換して、同一の注射デバイスを異なるサイズの皮下シリンジと共に使用できるようにすることができる。解放機構は単一の要素であってよく、又は複数の要素のアセンブリであってよい。可動要素の細長開口は、貫通孔又は凹状部分であってよい。
【0156】
解放機構は上記細長開口に部分的に挿入され、即ち解放機構は上記細長開口に挿入されるものの、細長開口内に完全には封入されない。しかしながら、細長開口が貫通孔である場合、解放機構は上記貫通孔を通って延在してよい。
【0157】
ばねは、機械ばね又はガスばね等のいずれの種類のばねであってよい。このばねは圧縮ばね又は伸長ばねであってよい。可動要素の第1の部分は、上記ばねと相互作用する外側表面を有するディスクを備えてよい。このディスクは、可動要素の第1の部分の遠位端を形成してよい。このディスクは、円形又は長方形等のいずれの形状を有してよい。ばねは圧縮ばね、即ち圧縮時に機械的エネルギを貯蔵するばねであってよい。圧縮ばねは、可動要素の第1の部分の一部を取り囲んでよく、また、上記ディスクの第1の上側表面に当接する第1の端部を有してよい。上記ディスクの上側表面は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めした場合にユーザとは反対側を向く表面である。従って、可動要素が引き出し位置にある場合、圧縮ばねは圧縮され、これによって、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置に移動させるために使用できる機械的エネルギを貯蔵し、上記移動によって、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた皮下シリンジを注射できる。ハウジングは更に、上記第1の管状要素の頂部に挿入される第2の管状要素を備えてよく、上記可動要素は上記第2の管状要素の外へと延在する。第2の管状要素は、第1の管状要素に恒常的に取り付けられてよい。第2の管状要素は、接着剤、及び/又は圧入、即ち摩擦嵌合を用いて取り付けてよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、ばねは、可動要素の第1の部分の一部を取り囲む圧縮ばねであり、上記ディスクの第1の上側表面に当接する第1の端部と、第2の管状要素の下側表面に当接する第2の端部とを有する。
【0159】
いくつかの実施形態では、可動要素は更に、上記ハウジングの第1の外側表面において摺動するよう配設された第2の部分と、上記第1の部分と上記第2の部分とを接続する接続部分とを備え、上記可動要素は、上記第1の管状要素の上記上側開口の外へと延在する。
【0160】
可動要素の第2の部分は、第1の管状要素、又はハウジングの別の要素、例えば第1の管状要素に取り付けられた要素の、第1の外側表面において摺動してよい。可動要素はU字型であってよく、この場合第1の部分はU字型の第1の脚であり、第2の部分はU字型の第2の脚であり、接続部分はU字型の底部である。可動要素の第1の部分及び第2の部分は、おおよそ等しい長さであってよく、又は異なる長さであってよい。シリンジホルダを可動要素の第2の部分に接続してよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは第1の側部開口を備え、上記解放機構は上記第1の側部開口を通って延在し、ハウジングとは反対側を向いた接触表面を備え、ここで上記解放機構は、ユーザが上記接触表面を押圧したことに応答して、上記把持位置から上記解放位置へと移動するよう構成される。
【0162】
その結果、ばねを解放する容易な方法が提供される。
【0163】
第1の側部開口は、第1の管状要素の貫通孔であってよい。第2の管状要素は更に、第1の管状要素の第1の側部開口と整列された第1の側部開口を備えてよく、解放機構は更に、上記第2の管状要素の上記第1の側部開口を通って延在する。
【0164】
いくつかの実施形態では、上記解放機構軸は上記注射軸に対して垂直である。
【0165】
これによりユーザは、注射デバイスをユーザの皮膚中へと押圧する必要なしにばねを解放できる。その結果、注射デバイスが皮膚上で摺動するリスクが低減される。
【0166】
更に、医療従事者が注射デバイスを使用する場合、注射デバイスが皮膚に向かって押圧されない、又は捻れることがないため、患者は注射の直前まで気付くことがない。これにより、患者、特に注射恐怖症の患者にとって、体験がより快適なものとなる。
【0167】
いくつかの実施形態では、上記解放機構は第1の部分及び第2の部分を備え、上記第2の部分は、解放機構が上記把持位置にあり、かつ上記可動要素が上記引き出し位置にあるときに、上記細長開口の内側の上記可動要素と内部接触表面において当接し、上記ばねは上記内部接触表面を上記第2の部分に向かって押圧し、ここで上記解放機構は、上記把持位置から上記解放位置へと移動した場合に、上記第2の部分が上記内部接触表面に当接しなくなることによって上記ばねが解放されるよう、構成される。
【0168】
その結果、解放機構を可動要素から完全に取り外す必要なしに、ばねを解放できる。これにより解放機構はより容易に操作できるようになり、また容易に再使用できるようになり、即ち注射デバイスを複数の皮下シリンジの注射に使用できる。
【0169】
可動要素の細長開口は、貫通孔又は凹状部分であってよい。第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、共にアセンブリとして解放機構を形成する要素であってよい。あるいは第1の部分及び第2の部分は、単一の要素の異なる部分であってよい。可動要素の細長開口は、可動要素が引き出し位置から解放位置へと移動する際に、解放機構の第1の部分上を摺動できる。
【0170】
いくつかの実施形態では、上記細長開口は、注射軸に沿って、細長開口の下端の第1の領域と、第1の領域に隣接して位置決めされた第2の領域とを備え、上記解放機構は、可動要素が引き出し位置にあるときは上記第1の領域に、そして上記可動要素が注射位置に向かって移動しているときは上記第2の領域に位置決めされ:
・細長開口は第1の領域に、解放機構軸に沿って、第1の幅を有する部分及び第2の幅を有する部分を有し、上記第1の幅は、解放機構の第1の部分の幅より大きいが、解放機構の第2の部分の幅より小さく、上記第2の幅は、解放機構の第2の部分の幅より大きく;
・細長開口は第2の領域に、解放機構軸に沿って、第3の幅を有する部分及び第4の幅を有する部分を有し、上記第3の幅は、解放機構の第1の部分の幅より大きいが、解放機構の第2の部分の幅より小さく、上記第4の幅は、解放機構の第2の部分の幅より大きく;
・上記第2の幅は、上記第4の幅に比べて、解放機構軸のより長い部分に沿って延在し、内部接触表面は、第1の領域と第2の領域との間の境界の少なくとも一部を構成し、これにより解放機構の上記第2の部分は、可動要素が注射位置へと移動する際、第2の領域の上記第4の幅を有する部分に配設される。
【0171】
第1、第2、第3及び第4の幅、並びに第1の部分及び第2の部分の幅は、注射軸及び解放機構軸の両方に対して垂直な軸に沿って測定される。この第1の幅と第3の幅とは等しくてよい。これに対応して、第2の幅と第4の幅とは等しくてよい。細長開口の下端は、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めしたときにユーザの皮膚に最も近接する端部である。
【0172】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスは更にロック機構を備え、上記ロック機構は、ロック機構軸に沿ってロック位置と非ロック位置との間で移動可能に配設され、上記ロック機構は、ロック位置に位置決めされているときに、上記解放機構が上記把持位置から上記解放位置へと移動するのを防止するよう構成される。
【0173】
その結果、ばねの意図しない解放を回避できるため、より安全な注射デバイスが提供される。
【0174】
ロック機構は、単一の要素であってよく、又は複数の要素のアセンブリであってよい。ロック機構軸は注射軸と平行であってよい。ロック機構は、上記ロック位置から上記非ロック位置へと移動するときに、注射デバイスの遠位端、即ちユーザの皮膚上に静置されるよう構成された注射デバイスの端部に向かう方向に移動してよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、上記ロック機構は、上記ハウジングの第2の側部開口内に摺動可能に配設され、上記第2の側部開口は、上記第1の側部開口とは反対側にあり、上記ロック機構は、ハウジングに対面するブロック表面を備え、上記ブロック表面は、上記ロック機構がロック位置にあるときに上記解放機構軸と整列し、また上記ロック機構が上記非ロック位置にあるときに上記解放機構軸と整列せず、上記可動要素の上記細長開口は細長貫通孔であり、上記解放機構は、上記解放機構が上記解放位置において上記細長貫通孔を通って延在し、更に上記ブロック表面を超えて延在するよう配設される。
【0176】
その結果、簡潔かつ効果的なロック機構が提供される。
【0177】
ロック機構は、ブロック表面に隣接して配設された開口を備えてよく、上記解放機構は、上記解放機構が上記解放位置において可動要素の上記細長貫通孔を通って延在し、更に上記開口内へと延在するよう配設される。ロック機構の開口は貫通孔であってよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、上記可動要素は、上記注射位置から上記引き出し位置へと手動で移動させた場合に、上記ロック機構を上記非ロック位置から上記ロック位置へと移動させるよう構成される。
【0179】
このようにして、注射を実施した後のばねの意図しない解放を防止できる。これは、注射デバイスを医療従事者が使用する場合に特に重要である。というのは皮下シリンジが感染症で汚染されている場合があるためである。その結果、より安全な注射デバイスが提供される。
【0180】
いくつかの実施形態では、上記ハウジングは更に針シールドを備える。
【0181】
針シールドは、可動要素が引き出し位置にあるときに、上記皮下シリンジホルダに取り付けられた上記皮下シリンジの皮下針の先端が針シールドの内側に位置決めされるように、配設してよい。針シールドは管状針シールドであってよい。管状針シールドは、注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めしたときにユーザの皮膚に対面する、第1の開口を備える。ハウジングは、ユーザの皮膚に位置決めするための平坦接触表面を備えてよく、第1の開口は上記平坦接触表面の一部を形成する。
【0182】
針シールドを有することにより、可動要素が引き出し位置にあるときに、皮下針が刺さることからユーザを保護できる。
【0183】
このように、可動要素が上記注射位置から上記引き出し位置へと移動するときにロック位置へと移動するロック機構と、針シールドとを、上述のように併用することにより、極めて安全な注射デバイスが提供される。注射デバイスは以下のような方法で使用できる:
・皮下シリンジを皮下シリンジホルダ内に位置決めし;
・注射デバイスをユーザの皮膚に位置決めし;
・ロック機構をロック位置から非ロック位置へと移動させ;
・解放機構を把持位置から解放位置へと移動させることによって、可動要素を引き出し位置から、皮下シリンジを注射する注射位置へと移動させ;
・皮下シリンジ内の物質を注射し;
・可動要素を注射位置から引き出し位置へと手動で引き出すことによって、ロック機構を非ロック位置からロック位置へと移動させ、針の先端を完全に針シールド内に位置決めする。
【0184】
このように、針の先端が完全に針シールド内に位置決めされるため、針が刺さるリスクに医療従事者を曝すことなく、汚染された皮下シリンジを備える注射デバイスを安全に取り外すことができる。更に、ロック機構がロック位置へと移動しているため、ばねが偶発的に解放されるリスクもない。
【0185】
いくつかの実施形態では、上記可動要素はディスクを備え、上記ロック機構は、上記ディスクに対面する第1の端部において、ばねを備え、上記可動要素は、上記注射位置から上記引き出し位置に移動するときに、上記ロック機構ばねを押圧して、上記ロック機構を上記非ロック位置から上記ロック位置に移動させるよう構成される。
【0186】
その結果、ロック機構にばねを設けることにより、ロック機構の空間要件を低減できるため、よりコンパクトな注射デバイスを提供できる。ロック機構がばねを備えない場合、可動要素は、上記引き出し位置を超えて有意な距離だけ移動できる必要があり、ロック機構を上記非ロック位置から上記ロック位置へと押圧できる必要があり、更に、可動要素が引き出し位置にあるときに、上記ロック機構が、可動要素のディスクと干渉することなく上記ロック位置から上記非ロック位置へと移動できるようにする必要がある。
【0187】
いくつかの実施形態では、上記ロック機構は、上記可動要素が上記引き出し位置にあり、かつ上記ロック機構が上記非ロック位置にあるときに、上記ロック機構ばねが部分的に圧縮されるように配設され、ここで上記ロック機構ばねは、上記ロック機構軸に沿って、上記ロック位置に向かう方向の第1の力(F1)を提供し、上記ハウジングは、上記ロック機構軸に沿った、上記ロック位置に向かう方向の第2の力(F2)(ここで上記第2の力(F2)は上記第1の力(F1)より高い)が、上記ロック機構に対して作用していない場合に、上記ロック機構が上記非ロック位置から上記ロック位置へと移動するのを防止するよう構成された、把持部材を備え、これにより上記ロック機構は、ユーザからの支援なしに上記非ロック位置に留まることができる。
【0188】
その結果、ユーザは、例えばまずロック機構をロック解除し、続いて解放機構の接触表面を押圧する、といったように、1度に1つのタスクしか実施する必要がないため、注射デバイスは操作がより容易になる。これにより、解放機構及びロック機構の、片手での安全な操作が可能となる。空いた手は、デバイスを皮膚に確実に保持するために使用できる。
【0189】
いくつかの実施形態では、上記解放機構は、上記可動要素が上記注射位置から上記引き出し位置へと移動するときに、上記解放位置から上記把持位置へと移動するよう配設される。
【0190】
いくつかの実施形態では、上記解放機構は、上記ロック機構が上記非ロック位置から上記ロック位置へと移動するときに、上記ロック機構によって押圧されることによって、上記解放位置から上記把持位置へと移動するよう配設される。
【0191】
その結果、上記注射デバイスは、更なる注射を実施するために容易に再使用でき、即ち複雑な再設定手順が不要となる。
【0192】
解放機構は、ロック機構が非ロック位置からロック位置へと移動するときに、ロック機構が誘発した力が解放機構軸に沿って解放機構に作用するように、ロック機構の縁部と相互作用する、傾斜表面を備えてよい。
【0193】
第8の態様によると、本発明は、注射軸を定義する注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするためのハウジング;
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素;
・上記可動要素と上記ハウジングとを接続するばねであって、上記ばねは、解放された場合に、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置へと移動させるよう構成される、ばね;及び
・ユーザが上記ばねを解放できるように構成された、解放機構
を備え、上記注射デバイスは更にロック機構を備え、上記ロック機構は、ロック機構軸に沿ってロック位置と非ロック位置との間で移動可能に配設され、上記ロック機構は、ロック位置に位置決めされているときに、上記解放機構が上記ばねを解放するのを防止するよう構成され、上記可動要素は、上記注射位置から上記引き出し位置へと移動するときに、上記ロック機構を上記非ロック位置から上記ロック位置へと移動させるよう構成される。
【0194】
第9の態様によると、本発明は、注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスであって、上記注射方向は注射軸を定義する、デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・ユーザの皮膚に位置決めするための、細長本体を備えるハウジング;
・ユーザに状態を信号送信するための信号送信ユニット;
・注射デバイスとユーザの皮膚との間の接触を検出するよう構成された、第1のセンサ;
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素
を備え、上記第1のセンサは、上記信号送信ユニットに動作可能に接続され、上記注射デバイスは、上記第1のセンサが注射デバイスとユーザの皮膚との間の接触を検出した後、上記信号送信ユニットを制御して、注射デバイスが皮下シリンジを注射する準備ができた状態であることをユーザに信号送信させるよう構成される。
【0195】
その結果、ユーザは、注射を開始する前に、注射デバイスを皮膚に安全に配置するタイミングを知ることができる。
【0196】
第1の信号送信ユニットは、音声信号又は視覚信号等の、ユーザが知覚できる信号送信を生成できるいずれのユニットであってよい。第1のセンサは、温度センサ、インピーダンスセンサ又は圧力センサであってよい。注射デバイスは、本発明の態様1〜4、7又は9〜10に関連して開示されているような注射デバイスであってよく、例えばハウジングは、本発明の態様1〜4、7又は9〜10に関連して開示されているようなハウジングであってよく、また可動要素は、本発明の態様1〜4、7又は9〜10に関連して開示されているような可動要素であってよい。注射デバイスは、第1のセンサが接触を決定した直後、又は特定のタイプの接触、例えば特定の接触圧が決定された直後に、上記信号送信ユニットを制御して、ユーザへの信号送信を開始させるように構成してよい。
【0197】
注射デバイスは、第1のセンサ及び信号送信ユニットに動作可能に接続された処理ユニットを備えてよく、上記処理ユニットは、上記信号送信ユニットを制御して、注射デバイスが皮下シリンジを注射する準備ができた状態であることをユーザに信号送信させるよう構成される。あるいは注射デバイスは、上記第1のセンサが注射デバイスとユーザの皮膚との間の接触を検出した後、上記信号送信ユニットを制御して、注射デバイスが皮下シリンジを注射する準備ができた状態であることをユーザに信号送信させるよう、機械的に構成してよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、上記第1のセンサは、上記ハウジングと上記ユーザの皮膚との間の接触圧を検出するよう構成された圧力センサであり、上記注射デバイスは、所定の第1の閾値を超える接触圧を検出したときに、上記信号送信ユニットを制御して、注射デバイスが皮下シリンジを注射する準備ができた状態であることをユーザに信号送信させるよう構成される。
【0199】
いくつかの実施形態では、信号送信ユニットは1つ又は複数の光源である。
【0200】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の光源は:
・光の放出を開始すること;
・光の放出を停止すること;
・点滅を開始すること;
・点滅周期を変更すること;又は
・色を変更すること
によって、注射デバイスが皮下シリンジを注射する準備ができた状態であることをユーザに信号送信するよう構成される。
【0201】
いくつかの実施形態では、信号送信ユニットはスピーカである。
【0202】
いくつかの実施形態では、スピーカは:
・音声の再生を開始すること;
・音声の再生を停止すること;
・音声を変更すること
によって、上記ハウジングと上記ユーザの皮膚との間に十分な接触圧が存在することをユーザに信号送信するよう構成される。
【0203】
いくつかの実施形態では、上記圧力センサは、ハウジングの底部に配設される。
【0204】
いくつかの実施形態では、圧力センサは:第1の位置と第2の位置との間で移動可能に配設されたボタン;圧力センサばね;電源;上記信号送信ユニットと上記電源との間の第1の電気回路を形成又は遮断するよう構成された電子スイッチを備え、上記電子スイッチは、上記ボタンが上記第2の位置にあるときに上記第1の電気回路を形成するよう構成され、上記圧力センサばねは、上記第1の閾値を超える接触圧が上記ボタンに作用するまで、ボタンを上記第2の位置から離間した状態に維持するよう配設される。
【0205】
いくつかの実施形態では、注射デバイスは更に、所定の第2の閾値を超える接触圧を検出したときに、上記信号送信ユニットを制御して、上記ハウジングと上記ユーザの皮膚との間の接触圧が大き過ぎることをユーザに信号送信させるよう構成される。
【0206】
その結果、皮下シリンジを骨又は重要な臓器に注射してしまうリスクを防止できるため、注射の安全性を改善できる。
【0207】
いくつかの実施形態では、注射デバイスは更に、所定の第2の閾値を超える接触圧を検出したときに、上記可動要素を上記引き出し位置にロックするよう構成される。
【0208】
その結果、接触圧が大き過ぎることによって引き起こされる安全でない注射を全体として防止できる。
【0209】
第10の態様によると、本発明は、注射軸を定義する注射方向に沿って皮下シリンジを注射するための注射デバイスに関し、上記注射デバイスは:
・皮膚に位置決めするための平坦接触表面を有し、細長本体と、第1の側部及び第2の側部を有する針シールドとを備え、上記第2の側部は上記第1の側部とは反対側であり、上記針シールドは上記第1の側部において細長本体に取り付けられる、ハウジング;並びに
・引き出し位置と注射位置との間で上記ハウジングに対して移動可能に配設され、かつ皮下シリンジを保持するための皮下シリンジホルダを備える、可動要素
を備え、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して80°未満の角度で角度設定された平面内に配設され、上記針シールドは、指を受承するための凹状部分を備え、上記凹状部分は、ユーザが上記指を用いて上記注射デバイスを皮膚に確実に保持できるよう構成される。
【0210】
その結果、単一の指を用いて皮膚に確実に保持できる注射デバイスを提供することによって、注射デバイスを保持する手が可動要素と干渉しにくくなるため、角度付きの注射をより安全に実施できる。
【0211】
更に、注射デバイスを、注射デバイスの皮膚に対面する側部(指をフィットさせることが困難となり得る場所)において把持する必要がなくなるため、急峻な角度での注射をより容易に実施できるようになる。
【0212】
注射デバイスは、本発明の態様1〜4又は7〜9に関連して開示されているような注射デバイスであってよく、例えばハウジングは、本発明の態様1〜4又は7〜9に関連して開示されているようなハウジングであってよく、また可動要素は、本発明の態様1〜4又は7〜9に関連して開示されているような可動要素であってよい。
【0213】
いくつかの実施形態では、上記凹状部分は、上記針シールドの上記第2の側部に形成される。
【0214】
いくつかの実施形態では、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対して75°未満30°超の角度で角度設定された平面内に配設される。
【0215】
いくつかの実施形態では、上記平坦接触表面は、上記注射軸に対しておよそ45°の角度で角度設定された平面内に配設される。
【0216】
いくつかの実施形態では、凹状部分の最大幅は少なくとも1cmである。
【0217】
いくつかの実施形態では、凹状部分の最大幅は3cm以下である。
【0218】
いくつかの実施形態では、凹状部分の最大幅は2cm以下である。
【0219】
いくつかの実施形態では、凹状部分は少なくとも1mm、1.5mm又は2mmの深さを有する。
【0220】
その結果、凹状部分内に単一の指を配置できる。
【0221】
いくつかの実施形態では、上記針シールド及び上記細長本体は一体として成型される。
【0222】
いくつかの実施形態では、上記針シールドは、ユーザが、凹状部分に指を配置したまま、上記皮下針又は針ハブを点検できるような位置に配設された、点検窓を備える。
【0223】
いくつかの実施形態では、注射デバイスは更に:
・上記可動要素と上記ハウジングとを接続するばねであって、上記ばねは、解放された場合に、上記可動要素を上記引き出し位置から上記注射位置へと移動させるよう構成される、ばね;及び
・ユーザが上記ばねを解放できるようにするために構成された、解放機構
を備え、上記ハウジングの細長本体は第1の管状要素であり、上記可動要素は、上記ハウジングの上記第1の管状要素内で摺動するよう配設された第1の部分を備え、上記可動要素の上記第1の部分は細長開口を備え、上記解放機構は、解放機構軸に沿って把持位置と解放位置との間を移動可能に配設され、また上記細長開口に部分的に挿入され、上記可動要素が上記引き出し位置にあるとき、上記解放機構は、上記把持位置から上記解放位置へと移動することによって上記ばねを解放するよう配設される。
【0224】
いくつかの実施形態では、上記解放機構軸は、上記注射軸に対して垂直である。
【0225】
その結果、単一の指を用いて皮膚に固定できる注射デバイスを有することにより、解放機構をより容易に操作できるようになる。
【0226】
いくつかの実施形態では、上記注射デバイスはロック機構を更に備え、上記ロック機構は、ロック機構軸に沿ってロック位置と非ロック位置との間で移動可能に配設され、上記ロック機構は、ロック位置に位置決めされているときに、上記解放機構が上記把持位置から上記解放位置へと移動するのを防止するよう構成される。
【0227】
本発明の異なる複数の態様は、上述の及びこれ以降に記載する注射デバイスとして及び上記注射デバイスを使用する方法としての実装を含む異なる複数の様式で実装でき、これらはそれぞれ、上述の態様のうちの少なくとも1つに関連して記載されている便益及び利点のうちの1つ又は複数をもたらし、またそれぞれ、上述の及び/又は従属請求項において開示される態様のうちの少なくとも1つに関連して記載されている好ましい実施形態に対応する1つ又は複数の好ましい実施形態を有する。更に、本明細書に記載の態様のうちの1つに関連して記載されている実施形態は、他の態様にも等しく適用され得ることを理解されたい。
【0228】
添付の図面を参照し、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって、本発明の以上の及び/又は更なる目的、特徴及び利点が更に明らかになる。