特表2016-526040(P2016-526040A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-526040留紅草属植物来由の新規化合物及びこれを有効成分として含む糖尿病の予防または治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-526040(P2016-526040A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(54)【発明の名称】留紅草属植物来由の新規化合物及びこれを有効成分として含む糖尿病の予防または治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/04 20060101AFI20160805BHJP
   A61K 31/7028 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/10 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/08 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/191 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 36/39 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/431 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/64 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20160805BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20160805BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160805BHJP
   C07C 51/09 20060101ALI20160805BHJP
   C07C 59/105 20060101ALI20160805BHJP
【FI】
   C07H15/04 FCSP
   A61K31/7028
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P3/04
   A61P9/10
   A61P13/12
   A61P9/00
   A61P17/02
   A61P19/02
   A61P19/10
   A61P27/02
   A61P27/12
   A61P27/10
   A61P27/08
   A61P27/06
   A61P27/14
   A61K45/00
   A61K31/191
   A61K36/39
   A61K31/431
   A61K31/7034
   A61K31/64
   A61K31/155
   A61K31/198
   A61K31/4453
   A61K31/427
   A61P43/00 121
   C07C51/09
   C07C59/105
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-515281(P2016-515281)
(86)(22)【出願日】2014年5月26日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】KR2014004682
(87)【国際公開番号】WO2014189347
(87)【国際公開日】20141127
(31)【優先権主張番号】10-2013-0059270
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516101503
【氏名又は名称】ナノバイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン ボンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウィジン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソヨン
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
4C088
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C057AA06
4C057BB02
4C057DD01
4C057JJ10
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA45
4C084ZA70
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4C084ZA89
4C084ZA96
4C084ZA97
4C084ZC33
4C084ZC35
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC21
4C086BC82
4C086CC04
4C086DA22
4C086EA04
4C086EA08
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZA97
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC75
4C088AB12
4C088AC01
4C088BA08
4C088BA09
4C088BA13
4C088CA03
4C088CA05
4C088CA08
4C088CA25
4C088NA14
4C088ZA33
4C088ZA36
4C088ZA45
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4C088ZA81
4C088ZA89
4C088ZA96
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4C088ZC35
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206AA04
4C206DA07
4C206FA53
4C206HA31
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZA36
4C206ZA45
4C206ZA70
4C206ZA81
4C206ZA89
4C206ZA96
4C206ZA97
4C206ZC33
4C206ZC35
4C206ZC75
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AB84
4H006AC47
4H006BA02
4H006BA29
4H006BN10
4H006BS10
(57)【要約】

本発明は、留紅草属植物から分離した新規化合物及びそれを有効成分と留紅草属植物から分離した新規化合物を化学的に合成して製造する方法を提供し、これら新規化合物とそれを有効成分として含む糖尿病の予防または治療用組成物に関するもので、本発明による留紅草属植物由来化合物及びこれを有効成分として含む組成物は、優れたインシュリンの分泌促進効果を有することで、糖尿病及びこれによる各種合併症の予防または治療に効能を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される化合物;
【化1】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項2】
前記R及びRは、各々独立的にHまたは炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R及びRは、いずれもHであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物は、留紅草属植物来由であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記留紅草属植物は、丸葉留紅草であることを特徴とする請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
次の段階を含む下記化学式1で表示される化合物の製造方法:
(a)留紅草属植物を溶媒で抽出して留紅草抽出物を得る段階;
(b)前記留紅草抽出物を溶媒で分画して水分画物を得る段階;
(c)前記水分画物を酵素処理または化学的処理して下記化学式1で表示される化合物を収得する段階。
【化2】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項7】
次の段階を含む下記化学式1で表示される化合物の製造方法:
a)留紅草属植物を水、有機溶媒及びこれらの混合物で構成された群から選択される溶媒で抽出して留紅草抽出物を得る段階;
(b)前記留紅草抽出物に水を添加して懸濁させた後、ヘキサン、酢酸エチル及びブタノールで順次分画して水分画物を得る段階;
(c)前記水分画物を分離及び精製して下記化学式3の化合物を得る段階;及び
(d)前記化学式3の化合物を酵素処理または化学的処理して化学式1の化合物を収得する段階。
【化3】
【化4】
前記化学式1及び化学式3で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項8】
下記化学式3で表示される化合物を酵素処理または化学的処理して下記化学式1で表示される化合物を収得ることを特徴とする化学式1で表示される化合物の製造方法。
【化5】
【化6】
前記化学式1及び化学式3で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項9】
前記留紅草属植物は、丸葉留紅草であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記酵素処理は、(i)セルラーゼ、β−グルカナーゼ及びキシラナーゼで構成された群から選択された1種以上の酵素で処理する段階;及び
(ii)グルコシダーゼ、セルラーゼ、ガラクトシダーゼ、アミログルコシダーゼ、キシロシダーゼ及びキシラナーゼで構成された群から選択された1種以上の酵素で処理する段階を含むことを特徴とする請求項6〜請求項8のうちいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
次の段階を含む下記化学式1で表示される化合物の化学的合成の製造方法:
(a)1,5−ヘキセニルエーテルに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加して反応させた後、トリエチルアミンを添加して反応させて、アルキルマグネシウムブロマイドを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;
(b)糖、無水酢酸、ヨウ素を添加して反応させた後、ヨウ化物を添加して反応させて、炭酸水素ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;
(c)前記(a)段階の生成物と(b)段階の生成物、分子篩((Molecular Sieve)及び塩化亜鉛を添加して反応溶媒で反応させる段階;
(d)前記(c)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加して反応溶媒で反応させる段階;
(e)前記(d)段階の生成物に酢酸エチルを添加してリチウムジイソプロピルアマイド条件下で反応溶媒で反応させる段階;
(f)前記(e)段階の生成物にナトリウムアルコキシドを添加して反応溶媒で反応させる段階;及び
(g)前記(f)段階の生成物に塩基を添加して反応溶媒で反応させる段階。
【化7】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項12】
前記R及びRは、いずれもHであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記(b)段階の糖は、グルコース、フコース、ラムノース、アラビノース、キシロース、キノボース、マルトース、グルクロン酸、リボース、N−アセチルグルコサミン及びガラクトースで構成された群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記反応溶媒は、脂肪族または芳香族炭化水素、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素、エーテル、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びアセトニトリルで構成された群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記(a)段階及び(e)段階での反応溶媒は、テトラハイドロピュランであり、前記(b)段階及び(c)段階での反応溶媒は、ジクロロメタンであることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記(d)段階での反応溶媒は、ジエチルエーテルと水の混合溶液であり、前記(f)段階及び(g)段階での反応溶媒は、無水メタノールであることを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記(a)段階及び(e)段階は、−60℃〜−80℃の温度で実行され、前記(f)段階は、−10℃〜10℃の温度で実行されることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項18】
前記(a)段階でアルキルマグネシウムブロマイドは、ペンチルマグネシウムブロマイドであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項19】
前記(f)段階でナトリウムアルコキシドは、ナトリウムメトキシドであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項20】
下記化学式6で表示される化合物:
【化8】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項21】
次の段階を含む下記化学式6で表示される化合物の化学的合成の製造方法:
(a)1,5−ヘキセニルエーテルに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加して反応させた後、トリエチルアミンを添加して反応させて、アルキルマグネシウムブロマイドを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;
(b)前記(a)段階の生成物に無水酢酸、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンを添加して反応溶媒で反応させる段階;
(c)前記(b)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加して反応溶媒で反応させる段階;
(d)前記(c)段階の生成物に酢酸エチルを添加してリチウムジイソプロピルアマイド条件下で反応溶媒で反応させる段階;
(e)前記(d)段階の生成物にナトリウムアルコキシドを添加 して反応溶媒で反応させる段階;及び
(f)前記(e)段階の生成物に塩基を添加して反応溶媒で反応させる段階。
【化9】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項22】
前記R及びRは、いずれもHであることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記反応溶媒は、脂肪族または芳香族炭化水素、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素、エーテル、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びアセトニトリルで構成された群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項24】
前記(a)段階及び(d)段階での反応溶媒は、テトラハイドロピュランであり、前記(b)段階での反応溶媒は、ジクロロメタンであることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記(c)段階での反応溶媒は、ジエチルエーテルと水の混合溶液であり、前記(e)段階及び(f)段階での反応溶媒は、無水メタノールであることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項26】
前記(a)段階及び(d)段階は、−60℃〜−80℃の温度で実行され、前記(e)段階は、15℃〜35℃の温度で実行されることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項27】
前記(a)段階でアルキルマグネシウムブロマイドは、ペンチルマグネシウムブロマイドであることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項28】
前記(f)段階でナトリウムアルコキシドは、ナトリウムメトキシドであることを特徴とする請求項21に記載の製造方法。
【請求項29】
下記化学式1で表示される化合物;その塩;または化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物:
【化10】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項30】
下記化学式6で表示される化合物;その塩;または下記化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する化合物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物:
【化11】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項31】
前記R及びRは、各々独立的にHまたは炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項29または請求項30に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項32】
留紅草の植物培養または組職培養を通じて得た抽出物と、抽出物から得た化合物と、をさらに含むことを特徴とする請求項29または請求項30に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項33】
前記R及びRは、いずれもHであることを特徴とする請求項32に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項34】
前記糖尿合併症は、高血糖症、高インシュリン血症、高中性脂肪血症、インシュリン抵抗、脂質代謝異常、空腹血糖障害、耐糖能異常、肥満、動脈硬化、微細血管症、腎臓疾患、心臓疾患、足部潰瘍、関節炎、骨粗しょう症、糖尿により誘発される眼科疾患で構成された群から選択されることを特徴とする請求項29または請求項30に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項35】
前記糖尿により誘発される眼科疾患は、糖尿病性網膜症、白内障、黄斑変成症、外眼筋マヒ、紅彩毛様体炎、視神経炎、緑内障、網膜退行、眼底出血、屈折異常、結膜下出血及び硝子体出血で構成された群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項36】
抗糖尿病化合物をさらに含むことを特徴とする請求項29または請求項30に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項37】
前記抗糖尿病化合物は、ナテグリニド、レパグリニド、グリタゾン類、ズルホニルウレア系、メトホルミン、グリメピリド、チアゾリジンジオン系、ビグアナイド系、α−グルコシダーゼ抑制剤であるアカルボース、メグリチニド系のプランジンで構成された群から1種以上選択されることを特徴とする請求項36に記載の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項38】
下記化学式1で表示される化合物;その塩;または化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【化12】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項39】
下記化学式6で表示される化合物;その塩;または化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【化13】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【請求項40】
前記R及びRは、各々独立的にHまたは炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項38または請求項39に記載の糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【請求項41】
留紅草の植物培養または組職培養を通じて得た抽出物と、抽出物から得た化合物と、をさらに含むことを特徴とする請求項38または請求項39に記載の糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【請求項42】
前記R及びRは、いずれもHであることを特徴とする請求項40に記載の糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【請求項43】
前記糖尿合併症は、高血糖症、高インシュリン血症、高中性脂肪血症、インシュリン抵抗、脂質代謝異常、空腹血糖障害、耐糖能異常、肥満、動脈硬化、微細血管症、腎臓疾患、心臓疾患、足部潰瘍、関節炎、骨粗しょう症、糖尿により誘発される眼科疾患で構成された群から選択されることを特徴とする請求項38または請求項39に記載の糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【請求項44】
前記糖尿により誘発される眼科疾患は、糖尿病性網膜症、白内障、黄斑変成症、外眼筋マヒ、紅彩毛様体炎、視神経炎、緑内障、網膜退行、眼底出血、屈折異常、結膜下出血及び硝子体出血で構成された群から選択されることを特徴とする請求項43に記載の糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留紅草属植物来由の新規化合物及びこれを有効成分として含む糖尿病の予防または治療用組成物に関し、より詳しくは、優れたインシュリンの分泌促進効果を有することで、糖尿病及びこれによる各種合併症の予防または治療に効能を表す留紅草属植物から分離した新規化合物とこれを合成方法により製造した化合物及びこれを有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症の予防または治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病(diabetes)とは、インシュリンの分泌欠陥またはインシュリン作用の欠陥から起因した慢性高血糖症(hyperglycemia)の特徴を表す多重的病因の代謝障害のことをいい、血中の葡萄糖が異常に高い状態が長期間持続する場合、慢性的な代謝障害とこれに係る慢性的血管損傷で種々の合併症が発生する。
【0003】
糖尿病は、代表的な成人性代謝疾患で、世界人口の約5%が苦しんでおり、それによる人命的、経済的損失は実に莫大なものである。糖尿病患者の多くは、経口用治療剤を服用しているが、現在まで安全な治療剤が開発されていないのが実情である。インシュリン抵抗性(insulin resistance)が、最も重要な機序的原因として知られているが、正確な機序はいまだに確実ではなく、ただ遺伝的な素因と環境の複合的な原因が作用することが明らかになっている。
【0004】
糖尿病は、全世界的に3番目に深刻な病気で、2010年まで約2億5千万人の糖尿病患者が予想され、韓国内の場合にも継続的な増加が予想されている。韓国内の死亡原因の第7番目であり、全体糖尿病患者の90%以上を占めているインシュリン非依存性糖尿病(Non−insulin dependent diabetes mellitus、NIDDM)は、主に40代以後に発病して、成人型糖尿病と呼ばれ、インシュリンを十分に生成させることができないか適切に利用できないことによって引き起こされる代謝障害である(DeFronzo RA et al., Diabetes Care, 15:318, 1992)。NIDDMの発病原因は、明らかになっていないが、西洋化された食生活及び生活方式等の環境的要因と肥満及び運動不足のような遺伝的な要因が全て働くものと考えられる。NIDDMは、普通食事療法及び運動療法で治療を先に試みて、この方法による治療効果が充分でない場合、一般に薬物が利用されるが、多くの場合、インシュリンが用いられる。インシュリンは、食事療法と経口血糖降下剤で血糖が調節されない患者に必要であるが、インシュリンはタンパク質であるため、消化管では加水分解されて、非活性化されるため、口腔では摂取できず、静脈や皮下内に注射しなければならない短所がある。
【0005】
経口血糖降下剤は、細胞のインシュリンレセプターの感度を向上させて、すい臓を刺激してインシュリンの分泌を促すため、NIDDM患者の血糖を調節するために用いられる。 しかし、NIDDMの治療のための経口治療法は、低血糖症、吐き気、嘔吐、下痢、発疹などを起こせ、特に致命的な乳酸アシドーシスのような深刻な副作用を引き起こせる。この他にも経口血糖降下剤は、長期間使用時に心血管系障害や胃腸管及び肝の障害を誘発させるため、長時間の使用は推奨されない。このような欠点及び副作用があるため、現在の治療剤には満足できる効能を示すと共に安全性が高く副作用の側面においても安心できて、全ての糖尿病患者に適用できる薬物が殆どないため、糖尿病、特にNIDDMを治療するためのより効率的な薬物の開発が切に要求されている。
【0006】
糖尿病にかかった後10年が経つと、体内のほぼ全器官が損傷を受けて、合併症が誘発される。このような合併症のうち急性合併症としては、低血糖症、ケトン酸血症、高浸透圧性非ケトン性高血糖症、高血糖性昏睡、糖尿病性酸血症などがあり、慢性合併症としては、糖尿病性網膜症、糖尿病性白内障、糖尿病性腎疾患、糖尿病性神経障害、心血管系合併症、ウイルス感染などがある。慢性糖尿病性腎症は、血液透析治療及び末期腎不全の最も重要な原因になっており、糖尿病性白内障は、失明を招いて最終的には死に至る。
【0007】
このような糖尿病合併症を誘発する機序は、大きくタンパク質の非酵素的な糖化反応(nonenzymatic glycation of protein)、ポリオール経路(polyol pathway)などで説明されている。タンパク質の非酵素的な糖化反応(nonenzymatic glycation of protein)とは、タンパク質のリシン残基等のアミノ酸グループと還元糖が酵素作用なしに縮合反応、即ち、メイラード反応が生じるもので、この反応の結果で最終糖化産物が生成される。タンパク質の非酵素的な糖化反応は、(1)タンパク質のリシン残基等のアミノ酸グループと還元糖のアルデヒドまたはケトンが酵素作用なしに求核付加反応を行って初期工程産物であるシッフ塩基(schiff base)を形成し、前記シッフ塩基と隣接したケトアミン付加物(ketoamine adduct)が互いに縮合して、可逆的なアマドリ(amadori)型の早期糖化産物が生成される工程と、(2)高血糖状態が持続して可逆的なアマドリ型の早期糖化産物が分解されず再配列(rearrangement)されてタンパク質と交差結合(cross−linking)して、非可逆的な最終糖化産物が生成される工程とで分けられる。
【0008】
可逆的なアマドリ型の早期糖化産物とは異なり、最終糖化産物は、非可逆的な反応産物であるため、一旦生成されると血糖が正常に回復されても分解されずタンパク質生存期間の間組織に蓄積されて、組織の構造と機能を異常に変化させて、組織のあちこちに合併症を誘発させる(Vinson, J.A. et al., J. Nutritinal Biochemistry, 7: 559, 1996; Smith, P. R. et al., Eur. J. Biochem., 210:729, 1992)。
【0009】
例えば、葡萄糖と多種のタンパク質が反応して生成された最終糖化産物の中一つである糖化アルブミンは、慢性糖尿病性腎症を起こす重要な要因として作用する。糖化アルブミンは、糖化が進行されない正常アルブミンに比べてさらに容易に腎糸球体細胞内に流入し、高濃度の葡萄糖は、メサンジウム細胞を刺激して細胞外基質(extracellular matrix)合成を増加させる。過度に流入した糖化アルブミンと増加した細胞外基質によって腎糸球体の繊維化が引き起こされる。このような機序で腎糸球体が損傷を受け続けることになって、血液透析または臓器移植等の極端な治療法を用いるほかはない段階に至ることになる。また、慢性糖尿により動脈壁ではコラーゲンが、腎糸球体では基底膜性タンパク質が最終糖化産物と結合されて組織に蓄積されることが報告された(Brownlee, M. et al., Sciences, 232:1629:1986)。
【0010】
このように非酵素的タンパク質糖化反応によって基底膜、血漿アルブミン、水晶体タンパク質、フィブリン、コラーゲンなどのタンパク質で糖化が起き、生成された最終糖化産物が組織の構造と機能を異常に変化させて、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)、糖尿病性白内障(diabetic cataract)、糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)、糖尿病性神経症(diabetic neuropathy)等の慢性糖尿病合併症を誘発させる(Yokozawa, T. et al., J. of Trad. Med., 18:107, 2001)。したがって、糖尿病合併症の発病を遅らせたり予防または治療するためには、最終糖化産物の形成を抑制することが大変重要なことが明らかになった(Brownlee, M. et al., N. Engl. Med., 318:1315, 1988)。
【0011】
そこで、本発明者等は、糖尿病及びそれによる合併症治療のための副作用が少ない天然生薬物質の探索に鋭意努力した結果、大韓民国特許出願10−2012−0064524号に開示されている留紅草属植物から分離した新規した化合物を酵素処理して分子量がさらに小さい化合物を収得し、前記収得された低分子量の有効化合物が動物細胞でインシュリン分泌を一層増加させることを確認して、本発明の完成に至った。
【発明の開示】
【技術的解決課題】
【0012】
本発明の目的は、糖尿病及びそれによる合併症治療のための副作用が少ない天然生薬物質由来の新規化合物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、糖尿病及びそれによる合併症治療のための副作用が少ない天然生薬物質来由の新規化合物を酵素処理して取得した低分子量の有効化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、前記低分子量の有効化合物を有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症の予防または治療のための薬学的組成物または健康機能食品を提供することにある。
【0015】
本発明のまた他の目的は、糖尿病及びそれによる合併症治療のための天然生薬物質来由の新規化合物の有効化合物を化学的合成により製造して得た化合物及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明のまた他の目的は、前記化学的合成により製造した化合物を有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症の予防または治療のための薬学的組成物または健康機能食品を提供することにある。
【技術的解決方法】
【0017】
前記目的を達成するために本発明は、下記化学式1で表示される化合物を提供する。
【0018】
【化1】
【0019】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0020】
また、本発明は、(a)留紅草属植物を溶媒で抽出して留紅草抽出物を得る段階;(b)前記留紅草抽出物を溶媒分画して水分画物を得る段階;(c)前記水分画物を分離・精製し、酵素処理または化学的処理して下記化学式1で表示される化合物を収得する段階を含む下記化学式1で表示される化合物の製造方法を提供する。
【0021】
【化2】
【0022】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0023】
また、本発明は、下記化学式3で表示される化合物を酵素処理または化学的処理して前記化学式1で表示される化合物を収得する化学式1で表示される化合物の製造方法を提供する。
【0024】
【化3】
【0025】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0026】
また、本発明は、化学式1で表示される化合物;その塩;または化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0027】
また、本発明は、化学式1で表示される化合物;その塩;または化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病及び糖尿合併症予防用健康機能食品を提供する。
【0028】
また、本発明は、化学式1で表示される化学的合成化合物を提供して、化学式1で表示される化合物;その塩;または下記化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する化合物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物、または糖尿病または糖尿合併症予防用健康機能食品を提供する。
【0029】
【化4】
【0030】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0031】
また、本発明は、化学式6で表示される化合物を提供して、化学式6で表示される化合物;その塩;または下記化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する化合物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物、または糖尿病または糖尿合併症予防用健康機能食品を提供する。
【0032】
【化5】
【0033】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0034】
また、本発明は、化学式1または化学式6で表示される化合物;その塩;または化学式1または化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として糖尿病及び糖尿合併症を予防または治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1は、本発明の一実施例によって収得した丸葉留紅草由来の新規化合物のDOを溶媒で使用したH−NMRスペクトルである。
図2は、本発明の一実施例によって丸葉留紅草由来の新規化合物のDOを溶媒で使用したC−NMRスペクトルである。
図3は、本発明の一実施例によって丸葉留紅草由来の新規化合物がマウスすい臓β細胞株でインシュリンタンパク質の産生を促進することを示したグラフである(KRIBB−BH−P:留紅草単一化合物(化学式4)、KRIBB−BH−SFP:留紅草単一化合物の一部分(化学式2)、KRIBB−BH−SFP(合成):合成方法を利用した留紅草単一化合物の一部分(化学式2)、KRIBB−BH−SC:合成方法を利用した留紅草単一化合物一部分(化学式5))。
図4は、本発明の丸葉留紅草由来新規化合物の糖尿モデル動物における血糖抑制効果を示したグラフである。
図5は、本発明の丸葉留紅草由来新規化合物の空腹血糖検査を示したもので、留紅草来由の新規化合物の時間による血糖減少効果を示したグラフである。
図6は、本発明の丸葉留紅草由来新規化合物の空腹血糖検査を示したもので、留紅草来由新規化合物の血糖減少効果を示したグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
他の方式で定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野において熟練した専門家により通常的に理解されるものと同じ意味を有する。通常、本明細書で使用された命名法は、本技術分野において周知であり、しかも汎用されるものである。
【0037】
本発明では、大韓民国特許出願10−2012−0064524号に開示されている留紅草属植物から分離した新規化合物を酵素処理して分子量がより少ない化合物を収得し、その低分子量の有効化合物が動物細胞でインシュリン分泌を一層増加させることを確認する。
【0038】
本発明では、(a)留紅草を水、有機溶媒及びこれらの混合物からなる群より選択される溶媒で抽出して留紅草を製造する段階;(b)前記留紅草抽出物に水を加えて懸濁し、ノルマルヘキサン、酢酸エチル及びブタノールで順次分画して水分画物を得る段階;及び(c)前記水分画物を分離・精製して単一化合物を得る段階;(d)単一化合物から酵素処理または化学的処理して化学式1で表示される化合物を収得する段階を含む製造方法を実行した。
【0039】
その結果から得た前記化学式1の化合物は、すい臓β細胞株でインシュリンの発現が増加されることが確認できた。
【0040】
したがって、本発明は、一観点において、下記化学式1で表示される化合物に関する。
【0041】
【化6】
【0042】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基である。
【0043】
好ましくは、前記化学式1で、R及びRは、各々独立的にHまたは炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは、R及びRは、いずれもHである。
【0044】
前記炭素数1〜20のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であることができ、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換されることができる。
【0045】
前記炭素数6〜30のアリール基は、フェニル、クロロフェニルまたはトリルであることができ、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換されることができる。
【0046】
より好ましくは、前記化学式1の化合物は、下記化学式2で表示される構造を有することができる。
【0047】
【化7】
【0048】
本発明において、前記化学式1の化合物は、留紅草属植物、好ましくは、丸葉留紅草から分離することができる。
【0049】
本発明の実施例で使用された丸葉留紅草(Quamoclit angulata)は、ナス目ヒルガオ科ツル性一年草である。熱帯アメリカ原産であり、主に観賞用で栽培されており、ツルは、アサガオのように生長しがら左に巻き上がる特徴がある。全草の長さは3m前後である。葉は、ずれて葉袋が長くて心臓型円形をなす。葉先が尖って、下の部分の両側端が尖った角となる。花は、8〜9月に咲き黄色を帯びた紅色であり、長い花茎の端に3〜5ヶずつ垂れ下がる。花は、アサガオを縮小したような形を取っており、萼・雄蕊は、各々5ヶずつであり、雌蕊は1個である。実はさく果で丸く、9月に熟して萼が残る。留紅草と似ているが、葉が分かれない。
【0050】
本発明による化学式2の構造を有する化合物は、留紅草属植物から由来し、酵素処理を通じて得た低分子量の有効化合物として、C1828の分子式を有し、化学式1の構造を有する。本発明では、前記化学式2の構造を有する化合物をKRIBB−BH−SFPで命名した。前記新規化合物は、MALDI TOF分析した結果、分子イオンm/zが378.9であり、追加的に、1D−NMR(H NMR、C NMR)を実施して明確なNMR assignmentを完成した。
【0051】
本発明による新規化合物は、公知の方法を使用して製造することができる。例えば、留紅草から水、アルコール、アルコール水溶液などの有機溶媒またはこれらの混合物などの溶媒を利用して抽出されることができ、好ましくは、水またはアルコールを利用して抽出されることができ、追加的に活性炭を利用して分離精製することができる。
【0052】
本発明は、他の観点で、(a)留紅草属植物を溶媒で抽出して留紅草抽出物を得る段階;(b)前記留紅草抽出物を溶媒分画して水分画物を得る段階;及び(c)前記水分画物を分離、精製して酵素処理または化学的処理して前記化学式1で表示される化合物を収得する段階を含む化学式1で表示される化合物の製造方法に関する。
【0053】
本発明は、また他の観点で、(a)留紅草属植物を水、有機溶媒及びこれらの混合物で構成された群から選択される溶媒で抽出して留紅草抽出物を得る段階;(b)前記留紅草抽出物に水を添加して懸濁させた後、ノルマルヘキサン、酢酸エチル及びブタノールで順次分画して水分画物を得る段階;(c)前記水分画物を分離及び精製して下記化学式3の化合物を得る段階;(d)前記化学式3の化合物から酵素処理または化学的処理して化学式1で表示される化合物を収得する段階を含む化学式1で表示される化合物の製造方法に関する。
【0054】
【化8】
【0055】
前記式で、R及びRは、各々独立的にH、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数2〜20のアリル基、または炭素数6〜30のアリールアルキル基またはアシル基であり、前記アルキル基及びアリール基は、ビニル基、フェニル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、アクリル基、エポキシ基、アミド基、C1−7アルコキシ、C1−7ハロアルコキシ、ヒドロキシの中で選択された置換基に置換されるか非置換される。
【0056】
本発明は、また他の観点で、前記化学式3で表示される化合物を酵素処理または化学的処理して前記化学式1で表示される化合物を収得する化学式1で表示される化合物の製造方法に関する。
【0057】
前記(a)段階で、留紅草は、乾燥して使用することが好ましくて、留紅草抽出物を活性炭が充填されたカラムを利用して1次分離・精製することが好ましい。(c)段階での分離及び精製方法は、特別に限定されないが、例えば、クロマトグラフィを使用することができる。(d)段階での酵素処理方法の外に化学的処理を使用することができる。
【0058】
前記酵素処理は、(i)セルラーゼ、β−グルカナーゼ及びキシラナーゼで構成された群から選択された1種以上の酵素で処理する段階;(ii)グルコシダーゼ、セルラーゼ、ガラクトシダーゼ、アミログルコシダーゼ、キシロシダーゼ及びキシラナーゼで構成された群から選択された1種以上の酵素で処理する段階を含むことができる。
【0059】
前記化学的処理は、80℃〜120℃の温度範囲で1時間〜6時間、好ましくは、2時間〜4時間の間酸性または塩基性溶液を添加することで処理することができる。好ましくは、100℃で3時間の間2N HClまたは2N KOHを添加して実施する。
【0060】
本発明の一実施例では、次のような方法によって丸葉留紅草から化学式2の化合物を製造する。
【0061】
破砕した丸葉留紅草を水、アルコール、有機溶媒及びその混合溶液で構成された群から選択される溶媒を利用して室温で超音波抽出機を利用して2時間ごとに15分ずつ、2〜3日間抽出するか、または水を溶媒で50℃で熱水抽出する。前記抽出された抽出物を常温で真空回転濃縮期機で減圧濃縮した後、抽出された残渣を真空凍結乾燥機で乾燥し、水で可溶した丸葉留紅草抽出物を得る。
【0062】
前記収得された丸葉留紅草抽出物を活性炭が充填されたカラムに通過させて丸葉留紅草の有効成分を吸着させ、活性炭が充填されたカラムを蒸溜水で洗浄して非吸着成分を除去する。前記非吸着成分が除去された活性炭充填カラムに10〜50%(v/v)エタノールなどの有機溶媒を連続的または段階的に濃度を高めながら供給して、活性炭に吸着された丸葉留紅草の有効成分を溶出させて分離精製した後、丸葉留紅草抽出物を収得する。このように精製された丸葉留紅草抽出物は、真空回転濃縮機を利用して常温で減圧濃縮し、前記濃縮された抽出物を真空凍結乾燥させた後、水で可溶させて水に溶解された丸葉留紅草抽出物を収得する。
【0063】
前記水に溶解された丸葉留紅草抽出物を蒸溜水に懸濁させた後、ノルマルヘキサン(n−hexane)、酢酸エチル(EtOAc)及びブタノール(BuOH)で順次的に溶媒分画してn−hexane分画物、EtOAc分画物、BuOH分画物及び水分画物を各々得る。
【0064】
前記溶媒分画物を利用して各々VEGF生成抑制実験を実施し、その中で最も優れた効能を示す水分画物を、C18逆相silica gelを固定相としてアセトニトリル(acetonitrile)−水の混合溶媒(1:9→9:1 v/v)を移動相とするクロマトグラフィを実施して10個の分画に分けて、そのうちの分画物ACN20[acetonitrile−DW(2:8 v/v)で溶出]に対してセファデックスカラムクロマトグラフィ(Sephadex column chromatography, 5.0×65cm、MeOH)を実施して、新規化合物(化学式3)を精製する。 前記収得した新規化合物にセルラーゼ(cellulase)、β−グルカナーゼ(beta−glucanase)及びキシラナーゼ(xylanase)が主成分であるビスコザイム(Viscozyme)(Novozymes Co. デンマーク)を0.1%で入れて、30℃で24時間の間撹拌しながら酵素反応させる。以後、20mlのメタノールを添加して酵素反応を中止させ、原審分離した後に上層液の一部を取って高圧液体クロマトグラフィ(High−Performance Liquid Chromatography)を実行する。
【0065】
前記収得した新規化合物にグルコシダーゼ、セルラーゼ、ガラクトシダーゼ、アミログルコシダーゼ、キシロシダーゼ及びキシラナーゼで構成された群から選択された1種以上の糖を除去するための酵素を添加して処理した。この時、酵素反応時の酸度は、4.0〜5.5の範囲が適切であり、酵素反応時の温度は、30〜50℃が好ましい。
【0066】
本発明の他の実施例では、マウスすい臓細胞に、丸葉留紅草来由新規化合物から酵素処理して収得した分子量がより小さい有効化合物KRIBB−BH−SFPを処理した結果、インシュリンタンパク質の発現分泌が促進されることが確認できた。
【0067】
したがって、本発明は、他の観点で、前記化学式1で表示される化合物;その塩;または化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物及び健康機能食品に関する。 本発明において、前記化学式1で、R及びRは、各々独立的にHまたは炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましくて、前記化学式2の構造を有することがより好ましい。
【0068】
本発明による化学式2の構造を有する化合物は、留紅草属植物から由来して、化学式1の構造を有する化合物を化学的製造方法により合成した。本発明では、合成による前記化学式2の構造を有する化合物をKRIBB−BH−SFP(合成)で命名した。
【0069】
本発明による糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物及び健康機能食品は、前記化学式1で表示される化合物をさらに含むことができ、前記化学式1で表示される化合物は、好ましくは、前記化学式2で表示されることができる。
【0070】
本発明は、また他の観点で、前記化学式1で表示される化合物に関するもので、好ましくは、化学式1は、化学式2で表示される化合物であることができる。
【0071】
また、本発明は、前記化学式1で表示される化合物;その塩;または前記化学式1で表示される化合物またはその塩を含有する化合物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物または健康機能食品に関する。
【0072】
本発明は、また他の観点で、(a)1,5−ヘキセニルエーテルに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加して反応させた後、トリエチルアミンを添加して反応させて、アルキルマグネシウムブロマイドを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;(b)糖、無水酢酸、ヨウ素を添加して反応させた後、ヨウ化物を添加して反応させて、炭酸水素ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;(c)前記(a)段階の生成物と(b)段階の生成物、分子篩((Molecular Sieve)、塩化亜鉛を添加して反応溶媒で反応させる段階;(d)前記(c)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加して反応溶媒で反応させる段階;(e)前記(d)段階の生成物に酢酸エチルを添加してリチウムジイソプロピルアマイド条件下で反応溶媒で反応させる段階;(f)前記(e)段階の生成物にナトリウムアルコキシドを添加して反応溶媒で反応させる段階;及び(g)前記(f)段階の生成物に塩基を添加して反応溶媒で反応させる段階を含む前記化学式1で表示される化合物の製造方法に関する。
【0073】
前記(b)段階の糖は、グルコース、フコース、ラムノース、アラビノース、キシロース、キノボース、マルトース、グルクロン酸、リボース、N−アセチルグルコサミン及びガラクトースで構成された群から選択される1種以上であることができ、好ましくは、フコースを使用する。
【0074】
前記(a)段階及び(e)段階での反応溶媒は、テトラハイドロピュランであることができる。また、前記(b)段階及び(c)段階での反応溶媒は、ジクロロメタンであることができる。
【0075】
前記(d)段階では、溶媒としてジエチルエーテルと水の混合溶液を使用することができ、前記(f)段階及び(g)段階での有機溶媒は、無水メタノールであることができる。
【0076】
前記(a)段階でアルキルマグネシウムブロマイドは、ペンチルマグネシウムブロマイドであり、前記(f)段階でナトリウムアルコキシドは、ナトリウムメトキシドであることができる。
【0077】
本発明による化学式1で表示される化合物の製造方法のうち前記(a)段階は、1,5−へキセン−1−オールに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加し、−60℃〜−80℃の温度で1時間〜3時間の間反応させた後、トリエチルアミンを添加し、−10℃〜10℃の温度で10分〜1時間の間反応させて、ペンチルマグネシウムブロマイドを追加でテトラハイドロピュラン溶媒に添加し、−10℃〜10℃の温度で10分〜1時間の間反応させる段階。(b)段階は、L−(−)−フコース、無水酢酸、ヨウ素を添加して15℃〜35℃の温度で1時間〜3時間の間反応させた後、ヨウ化アルミニウムを添加して15℃〜35℃の温度で1時間〜3時間の間反応させて、炭酸水素ナトリウムと亜硫酸水素ナトリウムを追加で添加してジクロロメタン溶媒で反応させて、前記(c)段階は、前記(a)段階の生成物と(b)段階の生成物、分子篩(Molecular Sieve 4Å)、塩化亜鉛を添加し、ジクロロメタン溶媒で15℃〜35℃の温度で5時間〜7時間の間反応させて、前記(d)段階は、前記(c)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加し、ジエチルエーテルと水の混合溶媒で15℃〜35℃の温度で22時間〜26時間の間反応させて、前記(e)段階は、(d)段階の生成物に酢酸エチルを添加してリチウムジイソプロピルアマイド条件下で、無水のテトラハイドロピュラン溶媒で−60℃〜−80℃の温度で1時間〜3時間の間反応させて、前記(f)段階は、前記(e)段階の生成物にナトリウムアルコキシドを添加して無水メタノール溶媒で−10℃〜10℃の温度で2時間〜4時間の間反応させて、前記(g)段階は、前記(f)段階の生成物に塩基を添加して無水メタノール溶媒で60℃〜80℃の温度で30分〜2時間の間反応させる段階を含む前記化学式2で表示される化合物の製造方法に関する。
【0078】
本発明の他の実施例では、マウスすい臓細胞に丸葉留紅草由来新規化合物から得た有効化合物のKRIBB−BH−SFPと化学的合成方法により得たKRIBB−BH−SFP(合成)を処理した結果、インシュリンタンパク質の発現分泌が促進されることが確認できた。
【0079】
本発明による下記化学式5の構造を有する化合物は、留紅草属植物から由来して、化学式6の構造を有する化合物を化学的製造方法により合成した。本発明では、合成による前記化学式5の構造を有する化合物をKRIBB−BH−SCで命名した。
【0080】
【化9】
【0081】
本発明による糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物及び健康機能食品は、前記化学式6で表示される化合物を追加で含むことができ、前記化学式6で表示される化合物は、好ましくは、前記化学式5で表示されることができる。
【0082】
本発明は、また他の観点で、前記化学式6で表示される化合物に関するもので、好ましくは、化学式6は、化学式5で表示される化合物であることができる。
【0083】
また、本発明は、前記化学式6で表示される化合物;その塩;または前記化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として含む糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物または健康機能食品に関する。
【0084】
本発明は、また他の観点で、(a)1,5−ヘキセニルエーテルに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加して反応させた後、トリエチルアミンを添加して反応させて、アルキルマグネシウムブロマイドを追加で添加して反応溶媒で反応させる段階;(b)前記(a)段階の生成物に無水酢酸、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンを添加して反応溶媒で反応させる段階;(c)前記(b)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加して反応溶媒で反応させる段階;(d)前記(c)段階の生成物に酢酸エチルを添加してリチウムジイソプロピルアマイド条件下で反応溶媒で反応させる段階;(e)前記(d)段階の生成物にナトリウムアルコキシドを添加して反応溶媒で反応させる段階;及び(f)前記(e)段階の生成物に塩基を添加して反応溶媒で反応させる段階を含む前記化学式6で表示される化合物の製造方法に関する。
【0085】
前記(a)段階及び段階(d)での反応溶媒は、テトラハイドロピュランであることができる。また、前記(b)段階での反応溶媒は、ジクロロメタンであることができる。
【0086】
前記(c)段階では、溶媒としてジエチルエーテルと水の混合溶液を使用することができ、前記(e)段階及び(f)段階での有機溶媒は、無水メタノールであることができる。
【0087】
前記(a)段階で、アルキルマグネシウムブロマイドは、ペンチルマグネシウムブロマイドであり、前記(e)段階で、ナトリウムアルコキシドは、ナトリウムメトキシドであることができる。
【0088】
前記(a)段階は、1,5−へキセン−1−オールに塩化オキサリルとジメチルスルホキシドを添加し、−60℃〜−80℃の温度で1時間〜3時間の間反応させた後、トリエチルアミンを添加し、−10℃〜10℃の温度で10分〜1時間の間反応させて、ペンチルマグネシウムブロマイドを追加でテトラハイドロピュラン溶媒に添加し、−10℃〜10℃の温度で10分〜1時間の間反応させて、前記(b)段階は、(a)段階の生成物に無水酢酸、ピリジン及び4−ジメチルアミノピリジンを添加し、ジクロロメタン溶媒で15℃〜35℃の温度で1時間〜3時間の間反応させて、前記(c)段階は、前記(b)段階の生成物に四酸化オスミウム、過ヨウ素酸ナトリウム及びテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートを添加して、ジエチルエーテルと水の混合溶媒で15℃〜35℃の温度で22時間〜26時間の間反応させて、前記(d)段階は、(c)段階の生成物に酢酸エチルを添加し、リチウムジイソプロピルアマイド条件下で、無水のテトラハイドロピュラン溶媒で−60℃〜−80℃の温度で1時間〜3時間の間反応させて、前記(e)段階は、前記(d)段階の生成物にナトリウムアルキシドを添加し、無水メタノール溶媒で15℃〜35℃の温度で2時間〜4時間の間反応させて、前記(f)段階は、前記(e)段階の生成物に塩基を添加し、無水メタノール溶媒で60℃〜80℃の温度で30分〜2時間の間反応させる段階を含む前記化学式5で表示される化合物の製造方法に関する。
【0089】
本発明の他の実施例では、マウスすい臓細胞に化学的合成製造方法から得た有効化合物のKRIBB−BH−SCを処理した結果、インシュリンタンパク質の発現分泌が促進されることが確認できた。
【0090】
前記反応溶媒としては、核酸、ベンゼン及びトルエンのような脂肪族または芳香族炭化水素、アセトン及びメチルエチルケトンのようなケトン、酢酸エチルのようなエステル、ジクロロメタン、クロロホルム及び1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル及びテトラヒドロピュランのようなエーテル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノールのようなアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリルなどを使用することができ、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
【0091】
また、前記反応塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩、ハイドロキシド、ハイドライド、アルコキシドまたはアルキル化合物、アルカリ土金属の炭酸塩、ハイドロキシド、ハイドライド、アルコキシドまたはアルキル化合物などを使用することができる。
【0092】
本発明において、前記組成物及び健康機能食品は、留紅草の植物培養または組職培養を通じて得た抽出物を追加で含むことができる。
【0093】
本発明の新規化合物は、糖尿病だけではなく、糖尿病による合併症を予防または治療する効能を有し、前記合併症としては、特別にこれに限定されるものではないが、高血糖症(hyperglycemia)、高インシュリン血症(hyperinsulinemia)、高中性脂肪血症(hypertriglyceridemia)、インシュリン抵抗(insulin resistance)、脂質代謝異常(dyslipidemia)、空腹血糖障害(impaired fasting glucose)、耐糖能異常(impaired glucose tolerance)、肥満、動脈硬化、微細血管症、腎臓疾患、心臓疾患、足部潰瘍、関節炎、骨粗しょう症、糖尿病性網膜症及びその以外の一つ以上の眼科疾患を例で挙げることができる。
【0094】
ここで、糖尿病は、第1型糖尿病、第2型糖尿病、若者に発生する成人型糖尿病、潜在性自己免疫性糖尿病、すい臓糖尿病などの全ての種類の糖尿病を含み、糖尿病合併症には、前記例の以外にも糸球体硬化症、勃起不能、糖尿病性神経症、月経前症候群、血管再狭窄、潰瘍性大腸炎、冠状動脈疾患、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、皮膚及び結合組織疾患、代謝性酸症及び損傷された耐糖能による症状などが含まれる。
【0095】
また、前記眼科疾患は、糖尿病性網膜症以外にも、白内障、黄斑変成症、外眼筋マヒ、紅彩毛様体炎、視神経炎、緑内障、網膜退行、眼底出血、屈折異常、結膜下出血及び硝子体出血など糖尿病により誘発される全ての眼科疾患を意味する。
【0096】
本発明による薬学的組成物は、留紅草から分離した新規化合物を必須成分とし、これを単独で含むか、一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含んで薬学的組成物として提供されることができる。
【0097】
さらに本発明の薬学的組成物は、従来知らされている糖尿病またはその合併症の治療物質と混合して提供されてもよい。すなわち、本発明による薬学的組成物は、糖尿病またはその合併症の予防または治療効果を有する公知の化合物と共に投与することができる。
【0098】
これによって、本発明の糖尿病または糖尿合併症の予防または治療用薬学的組成物は、公知の抗糖尿化合物を追加的に含むことができる。
【0099】
このような抗糖尿化合物としては、ナテグリニド、レパグリニド、グリタゾン類、ズルホニルウレア系、メトホルミン、グリメピリド、チアゾリジンジオン系、ビグアナイド系、α−グルコシダーゼ抑制剤であるアカルボース、メグリチニド系のプランジンなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0100】
一方、本発明において、薬学的組成物の投与経路には、これらに限定されるものではないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、經皮内、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸が含まれる。
【0101】
また、薬学的組成物の投与方法としては、経口及び非経口投与が好ましい。本原で用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、硬膜内、病所内及び頭蓋骨内注射または注入技術を含む。
【0102】
本発明による薬学的組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液として、滅菌注射用製剤の形態であることができる。前記懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤(例えば、ツイン80)及び懸濁化剤を使用して本分野において公知された技術によって剤形されることができる。また、滅菌注射用製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液(例、1,3−ブタンジオール中の溶液)であることができる。許容されるビークル及び溶媒としては、マンニトール、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液などがある。また、滅菌不揮発性オイルが通常的に溶媒または懸濁化媒質として使用される。このような目的のため、合成モノまたはジグリセリドを含んだ刺激性が低いいかなる不揮発性オイルも使用ができる。オレイン酸及びこれのグリセリド誘導体のような脂肪酸が薬学的に許容される天然オイル(例えば、オリーブ油または蓖麻子油)、特に、これらのポリオキシエチル化されたものと同様に注射製剤に有用である。
【0103】
本発明の薬学的組成物は、これに限定されるものではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液及び溶液を含んで経口的に許容可能ないかなる形態でも経口投与できる。経口用錠剤の場合、一般的に使用される担体には、ラクトース及びトウモロコシ澱粉が含まれ、マグネシウムステアレートのような滑沢剤が典型的に添加される。カプセル形を経口投与する場合、有用な希釈剤には、ラクトース及びトウモロコシ澱粉が含まれる。水性懸濁液が経口投与される場合、活性成分は油化剤及び懸濁化剤と配合される。必要な場合、甘味剤及び/または風味剤及び/または着色剤が添加される。
【0104】
また、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための座剤の形態で投与されることができる。これら組成物は、本発明の化合物を、室温では固形であるが直腸温度では液状である適切な非刺激性賦形剤と混合して製造することができる。このような物質には、これらに限定されるものではないが、ココアバター、密蝋及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0105】
本発明による薬学的組成物の経口投与は、目的とする治療が局所適用で接近が容易な部位または器官と関連がある場合、特に有用である。皮膚に局所的に適用する場合、薬学的組成物は、担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する適当な軟膏として剤形される。本発明の化合物を局所投与するための担体には、これらに限定されるものではないが、鉱油、流動パラピン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、油化ワックス及び水が含まれる。他の手段として、薬学的組成物は、担体に懸濁または溶解された活性化合物を含有した適当なローションまたはクリームで剤形されることができる。適当な担体には、これらに限定されるものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が含まれる。また、本発明による薬学的組成物は、直腸座剤に適当な浣腸剤として下部腸管に局所適用できる。局所適用された経皮パッチも本発明に含まれる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、鼻内にエアロゾルまたは吸入により投与することができる。前記組成物は、薬学の分野においてよく知られている技術によって製造可能であり、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、生態利用率を増強させるための吸収促進剤、フルオロカーボン及び/またはその他本発明の分野において知られている可溶化剤または分散剤を使用して塩水中の溶液として製造することができる。
【0107】
上述した新規化合物は、本発明の薬学的組成物に治療学的有効量または予防学的有効量で含有される。
【0108】
しかし、特定患者に対する特定有効量は、使用される特定化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、規定食、投与期間、投与経路、排出率、薬物配合及び予防または治療する特定疾患の重症を含んだ多様な要因によって変わることができる。本発明による薬学的組成物は、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ケル、シロップ、スラリ、懸濁剤で剤形されることができる。
【0109】
本発明による薬学的組成物を魚類の皮下細胞に投与する場合、鰓嚢または消化管に投与することができる。注射は、筋肉組織内の筋肉細胞または他の細胞に注射することができ、腹腔内の内腸細胞にも注射することができる。
【0110】
好ましい様態として、口腔内投与のための薬学的組成物は、固体状の賦形剤と共に活性成分を混合して製造することができ、錠剤または糖衣錠の形態で製造するために顆粒形態で製造することができる。適当な賦形剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール及びソルビトールのような糖の形態またはトウモロコシ、小麦粉、米、ジャガイモまたは他の植物からの澱粉、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース、アラビアガム、トラガカントガムを含むガム類のようなカーボハイドレートまたはゼラチン、コラーゲンのようなタンパク質フィラーを使用することができる。必要な場合には、交差結合されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのような各々の塩の形態の崩壊剤または溶解剤を添加することができる。
【0111】
好ましい様態として、非経口的投与の場合、本発明の薬学的組成物は、水溶性溶液で製造することができる。好ましくは、ハンス溶液(Hank’s solution)、リンゲル溶液(Ringer's solution)または物理的に緩衝された塩水のような物理的に適切な緩衝溶液を使用することができる。水溶性注入(injection)懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのような懸濁液の粘度を増加させる基質を添加することができる。さらに、活性成分の懸濁液は、適当な油質の注入懸濁液(oily injection suspensions)として製造されることができる。適当な親脂性溶媒または担体は、ゴマ油のような脂肪酸またはオレイン酸エチル、トリグリセリドまたはリポソームのような合成脂肪酸エステルを含む。複数陽イオン性非脂質アミノポリマー(polycationic amino polymer)も運搬体として使用できる。任意に、懸濁液は、化合物の溶解度を増加させ、高濃度の溶液を製造するために、適当な安定化剤または薬剤を使用することができる。
【0112】
一方、本発明による留紅草由来新規化合物は、糖尿病及びその合併症の予防または改善のための食品の形態で製造することができる。
【0113】
本発明による健康機能食品は、食品組成物として、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加剤(food additives)などの全ての形態を含む。前記類型の健康機能食品は、当業界において公知された通常の方法によって多様な形態で製造することができる。例えば、健康食品としては、本発明の留紅草由来新規化合物を茶、ジュース及びドリンク状で製造して飲用するようにしたり、顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取してもよい。また、機能性食品としては、飲料(アルコール性飲料含む)、果実及びその加工食品(例:果物缶詰め、瓶詰、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージ、コンビーフなど)、パン類及び麺類(例:うどん、ザルソバ、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソースなど)などに本発明の留紅草由来新規化合物を添加して製造することができる。
【0114】
また、本発明による化学式1で表示される化合物及び化学式6で表示される化合物は、光学的に活性である立体異性質体、部分立体異性質体及びラセミ体混合物も全て含む。すなわち、光学的に活性である立体異性質体として、R−異性質体またはS−異性質体を含むことができる。
【0115】
光学活性形態の製造法(例えば、再結晶化技術、キラル合成、酵素による分解(resolution)、生体変換またはクロマトグラフィ分離によるラセミ体の分離)及び抗菌活性の測定法などは、当業界に公知されている。
【0116】
また、本発明は、化学式1または化学式6で表示される化合物;その塩;または化学式1または化学式6で表示される化合物またはその塩を含有する抽出物を有効成分として糖尿病及び糖尿合併症を予防または治療する方法を提供する。
【0117】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されないことは、当業者において通常の知識を有する者にとって自明である。
【0118】
<実施例>
実施例1:留紅草から新規化合物分離
韓国の済州市南郡安徳面西広里で採集された丸葉留紅草51gを、水を溶媒として50℃で熱水抽出した。抽出した後、抽出物を真空回転濃縮機で常温で減圧濃縮した後、抽出された残渣を真空凍結乾燥機で乾燥して、乾燥された丸葉留紅草抽出物を得た。前記濃縮液を水に懸濁して活性炭が充填されたカラムクロマトグラフィに通過させて丸葉留紅草の有効成分を吸着させて、活性炭が充填されたカラムを蒸留水で洗浄して非吸着成分を除去した。前記非吸着成分が除去された活性炭充填カラムに、10〜50(v/v)エタノールなどの有機溶媒を連続的または段階的に濃度を高めながら供給し、活性炭に吸着された丸葉留紅草の有効成分を溶出させて分離及び精製して、丸葉留紅草抽出物を収得した。前記分離及び精製された丸葉留紅草抽出物を減圧濃縮させ、前記濃縮された丸葉留紅草抽出物5gに水を加えて、丸葉留紅草抽出物の濃度が20mg/mLになるように溶解させた。
【0119】
この水抽出物を蒸留水に懸濁した後、ノルマルヘキサン(n−hexane)、酢酸エチル(EtOAc)及びブタノール(BuOH)で順次分画して、n−hexane分画物、EtOAc分画物、BuOH分画物及び水分画物を各々得た。
【0120】
前記溶媒分画物に対して各々VEGF生成抑制実験を実施し、その中で最も優れた効能を示す水分画物を、C18逆相シリカゲル(silica gel)を固定相としてアセトニトリル(acetonitrile)−水混合溶媒(1:9→9:1 v/v)を移動相とするカラムクロマトグラフィ(column chromatography)を実施して10個の分画に分けた。そのうちの分画物ACN20[MeOH−水(1:9 v/v)で溶出]に対してセファデックスカラムクロマトグラフィ(Sephadex column chromatography, 5.0×65cm、MeOH)を実施して、下記化学式4の化合物を精製した。
【0121】
【化10】
【0122】
使用した条件と結果は、次のとおりである:
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析(shimadzuモデル)
カラム:YMC ODS−18(4.6×250mm、4μm)
移動溶媒:20%アセト二トリル(Acetonitrile)に0.01%トリフルオロ酢酸(trifluroacetic acid)添加
流速:1ml/min
【0123】
実施例2:留紅草来由化合物の酵素処理
実施例1から分離された留紅草来由化合物に、セルラーゼ(cellulase)、β−グルカナーゼ(beta−glucanase)及びキシラナーゼ(xylanase)が主成分であるビスコザイム(Viscozyme、Novozymes Co. デンマーク)を0.1%で入れて、30℃で24時間の間撹拌しながら酵素反応をさせた。その後、20mlのメタノールを添加して酵素反応を中止させ、原審分離した後に上層液の一部を取って高圧液体クロマトグラフィ(High−Performance Liquid Chromatography)を実行した。
【0124】
他の方法として、前記収得した新規化合物から糖を除去するための酵素として、 β−グルカナーゼ(beta−glucanase)、キシラナーゼ(xylanaseを0.1%で入れて、酸度5.5、50℃で24時間の間撹拌しながら酵素反応させた。その後、熱水(80〜100℃)内で5〜15分間加熱して反応を終了した。反応液を減圧濃縮して収得された生成物を高圧液体クロマトグラフィ(High−Performance Liquid Chromatography)を実行して、低分子量の化合物を収得した。
【0125】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析(shimadzuモデル)
カラム:YMC ODS−18(4.6×250mm、4μm)
移動溶媒:30%アセト二トリル(Acetonitrile)に0.01%トリフルオロ酢酸(trifluroacetic acid)添加
流速:1ml/min
【0126】
実施例3:留紅草来由化合物の確認
実施例2で収得された低分子量化合物を対象としてMALDI−TOF分析した結果、分子イオンが378.9であり、C1828の分子式(elemental formula)を有し、追加的に、1D−NMR(H NMR、C NMR)を通じて明確なNMR assignmentを完成した。
【0127】
デューテリウム(DO)に置換された水を溶媒で使用し、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として測定した水素核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)結果を図1に示した。デューテリウム(DO)に置換された水を溶媒で使用し、テトラメチルシラン(TMS)を標準物質として測定した炭素核磁気共鳴スペクトル(C−NMR)結果を図2に示した。
【0128】
前記結果から、実施例2から分離した丸葉留紅草新規化合物を酵素処理することで、分子量がより小さい有効化合物は、C1828の分子式を有し、下記化学式2の構造を有することを確認した。
【0129】
【化11】
【0130】
前記化合物は、KRIBB−BH−SFPで命名した。
【0131】
実施例4:留紅草来由化合物の合成
実施例4−1:留紅草来由化合物(化学式2)の合成
【0132】
【化12】
【0133】
実施例4−1−1:化合物2の合成
ジクロロメタン300mLを−78℃に作った後、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、4.25mL、60.0mmol)と塩化オキサリル(oxalyl chloride、3.86mL、45.0mmol)を投入した。その後、5−へキセン−1−オール(5−hexen−1−ol、3.0g、30.0mmol)をゆっくり投入した。投入が完了すれば、−78℃で1.5時間の間撹拌した後、トリエチルアミン(triethylamine、16.7mL、120.0mmol)をゆっくり投入し、0℃で30分間撹拌した。飽和されたNH4Cl溶液50mLと水50mLを入れた後、ジエチルエーテル(diethylether)で抽出した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去して、粗生性物(crude product)を得た。得られた粗生性物に無水THFを300mLを投入した。反応混合物を0℃にした後、ペンチルマグネシウムブロマイド(pentylmagnesium bromide、22.5mL、45.0mmol、2.0M in ether)を投入し、0℃で30分間撹拌した。飽和されたNH4Cl溶液50mLと水50mLを入れた後、ジエチルエーテル(diethylether)で抽出した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルターを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物2を無色のオイル(oil)形態で4.36g(85% in two steps)を得た。
【0134】
実施例4−1−2:化合物4の合成
丸底フラスコに(RBF)にL−(−)−フコース(L−(−)−fucose、1.0g、6.1mmol)を投入した。ここに、無水酢酸(acetic anhydride、2.36mL、23.01mmol)とヨウ素(iodine、15.48mg、0.061mmol)を投入し、2時間の間室温で撹拌した。その後、ジクロロメタン60mLを投入してから、ヨウ化アルミニウム(aluminium iodide、2.98g、7.32mmol)をゆっくり投入した。2時間の間室温で撹拌した後、NaHCO水溶液60mLとNaHSO水溶液5mLを入れ、ジクロロメタン200mLを入れて抽出した。
【0135】
抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物4を無色の粘っこいオイル(sticky oil)形態で2.08g(85%)を得た。
【0136】
実施例4−1−3:化合物5の合成
ジクロロエタン30mLを投入した丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、実施例4−1−1から得た化合物2(638.5mg、3.75mmol)と実施例4−1−2から得た化合物4(1.0g、2.5mmol)を投入した。その後、MS4A(Molecular Sieve 4Å)5gとZnCl(375.0mg、2.75mmol)を投入し、6時間の間室温で撹拌した。以後、MS4Aをフィルタを利用して除去し、ジエチルエーテル(diethylether)100mLを入れて、飽和されたNH4Cl溶液30mLとブライン(brine)30mLで順に洗浄した。抽出溶液にMgSO3gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物5(diastereomer mixture)を無色のオイル(oil)形態で961.0mg(87%)を得た。
【0137】
実施例4−1−4:化合物6の合成
ジエチルエーテル(diethylether)40mLと水40mLの混合溶媒を投入した丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、実施例4−1−3から得た化合物5(3.0g、6.78mmol)を投入した。その後、OsO(60.3mg、0.237mmol)、NaIO(8.48g、39.6mmol)、BuNHSO(80.5mg、0.237mmol)を投入し、24時間の間室温で激しく撹拌した。以後、ジエチルエーテル(diethylether)200mLを入れて、水100mLとブライン(brine)100mLで順に洗浄した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物6を無色のオイル(oil)形態で3.7g(61%)を得た。
【0138】
実施例4−1−5:化合物7の合成
無水THF(anhydrous THF)15mLが入っている丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、酢酸エチル(ethyl acetate、134.2mg、1.524mmol)を投入し、−78℃に冷却させた。以後、リチウムジイソプロピルアマイド((LDA、lithium diisopropylamide)0.89mL、1.78mmol、2.0M in THF/heptane/ethylbenzene)をゆっくり投入し、−78℃で30分間撹拌した後、実施例4−1−4から得た化合物6(569.0mg、1.27mmol)を無水THF(anhydrous THF)5mLに希釈してゆっくり投入した。30分間−78℃で撹拌した後、ジエチルエーテル(diethylether)80mLを入れて、飽和されたNHCl溶液20mLとブライン(brine)20mLで順に洗浄した。抽出溶液にMgSO3gを入れた後、フィルターを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物7を無色のオイル(oil)形態で600.0mg(88%)を得た。
【0139】
実施例4−1−6:化合物8の合成
無水メタノール(anhydrous methanol)20mLが入っている丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、実施例4−1−5から得た化合物7(960.0mg、1.80mmol)を投入し、0℃に冷却させた。無水メタノール(anhydrous methanol)5mLで希釈させたナトリウムメトキシド(sodium methoxide、437.5mg、8.10mmol)を投入し、3時間の間0℃で撹拌した後、反応溶媒を蒸発器(evaporator)により除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物8を無色のオイル(oil)形態で550.0mg(78%)を得た。
【0140】
実施例4−1−7:化合物9の合成
無水メタノール(anhydrous methanol)20mLが入っている丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、実施例4−1−6から得た化合物8(860.0mg、2.19mmol)を投入し、0℃に冷却させた。2N−NaOH(1.31mL、2.62mmol)をゆっくり投入し、70℃で1時間の間撹拌した後、反応溶媒を蒸発器(evaporator)により除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)を通じて純粋な化合物9(化学式2)を白色の粘っこい固体(sticky solid)形態で665.0mg(80%)を得た。下記化学式2の構造を有し、前記化合物は、KRIBB−BH−SFP(合成)で命名した。
【0141】
【化13】
【0142】
実施例4−2:留紅草来由化合物(化学式5)の合成
【0143】
【化14】
【0144】
実施例4−2−1:化合物2の合成
ジクロロメタン300mLを−78℃に作った後、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、4.25mL、60.0mmol)と塩化オキサリル(oxalyl chloride、3.86mL、45.0mmol)を投入した。その後、5−へキセン−1−オール(5−hexen−1−ol、3.0g、30.0mmol)をゆっくり投入した。投入が完了すれば、−78℃で1.5時間の間撹拌した後、トリエチルアミン(triethylamine、16.7mL、120.0mmol)をゆっくり投入し、0℃で30分間撹拌した。飽和されたNHCl溶液50mLと水50mLを入れた後、ジエチルエーテル(diethylether)で抽出した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去して、粗生性物を得た。得られた粗生性物に無水THFを300mLを投入した。反応混合物を0℃にした後、ペンチルマグネシウムブロマイド(pentylmagnesium bromide、22.5mL、45.0mmol、2.0M in ether)を投入し、0℃で30分間撹拌した。飽和されたNHCl溶液50mLと水50mLを入れた後、ジエチルエーテル(diethylether)で抽出した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物2を無色のオイル(oil)形態で4.36g(85% in two steps)を得た。
【0145】
実施例4−2−2:化合物3の合成
実施例4−2−1から得た化合物2(2.7g、15.9mmol)にジクロロメタン100mLを投入し、ピリジン(pyridine、2.57mL、31.8mmol)と4−DMAP(4−dimethylaminopyridine、388.5mg、3.18mmol)を室温で投入した。反応混合物を0℃の低温に作った後、無水酢酸(acetic anhydride、2.25mL、23.85mmol)をゆっくり投入し、2時間の間室温で撹拌した。ジエチルエーテル(diethylether)200mLを入れて、飽和された水50mLと1N−HCl 50mL、ブライン(brine)50mLで順に洗浄した。その後、抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物3を無色のオイル(oil)形態で3.2g(95%)を得た。
【0146】
実施例4−2−3:化合物4の合成
実施例4−2−2から得た化合物3(3.78g、17.8mmol)にジエチルエーテル(diethylether)80mLと水80mLの混合溶媒を投入した。その後、OsO(35.3mg、0.623mmol)、NaIO(22.4g、106.8mmol)、BuNHSO(148.5mg、0.623mmol)を投入し、24時間の間室温で激しく撹拌した。以後、ジエチルエーテル(diethylether)200mLを入れて、水50mLとブライン(brine)50mLで順に洗浄した。抽出溶液にMgSO5gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物4を無色のオイル(oil)形態で2.51(66%)を得た。
【0147】
実施例4−2−4:化合物5の合成
無水THF(anhydrous THF)6mLが入っている丸底フラスコ(round bottom flask、RBF)に、酢酸エチル(ethyl acetate、53.8mg、0.66mmol)を投入し、−78℃に冷却させた。以後、LDA(0.36mL、0.72mmol、2.0M in THF/heptane/ethylbenzene)をゆっくり投入し、−78℃で30分間撹拌した後、実施例4−2−3から得た化合物4(130.0mg、0.60mmol)を無水THF(anhydrous THF)1mLに希釈してゆっくり投入した。30分間−78℃で撹拌した後、ジエチルエーテル(diethylether)50mLを入れて、飽和されたNHCl溶液10mLとブライン(brine)10mLで順に洗浄した。抽出溶液にMgSO1gを入れた後、フィルタを通じてMgSOを除去し、蒸発器(evaporator)により溶媒を除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物5を無色のオイル(oil)形態で157.8mg(87%)を得た。
【0148】
実施例4−2−5:化合物6の合成
実施例4−2−4から得た化合物5(190.0mg、0.63mmol)に無水メタノール(anhydrous methanol)6mLを投入し、0℃に冷却させた。無水メタノール(anhydrous methanol)2mLで希釈したナトリウムメトキシド(sodium methoxide、102.0mg、1.89mmol)を投入し、1時間の間室温で撹拌した後、反応溶媒を蒸発器(evaporator)により除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物6を白色の粘っこい固体(sticky solid)形態で120.0mg(77%)を得た。
【0149】
実施例4−2−6:化合物7の合成
実施例4−2−5から得た化合物6(120.0mg、0.48mmol)に無水メタノール(anhydrous methanol)5mLを投入し、0℃に冷却させた。2N−NaOH(0.48mL、0.97mmol)をゆっくり投入し、70℃で1時間の間撹拌した後、反応溶媒を蒸発器(evaporator)により除去した。得られた粗生性物は、シリカゲルカラム(silica−gel column)精製を通じて純粋な化合物7(化学式5)を白色の粘っこい固体(sticky solid)形態で105.0mg(93%)を得た。下記化学式5の構造を有し、前記化合物は、KRIBB−BH−SCで命名した。
【0150】
【化15】
【0151】
実施例5:留紅草来由化合物のインシュリン分泌促進確認
丸葉留紅草から分離した新規化合物のKRIBB−BH−SFPのインシュリン分泌促進能をマウスすい臓β細胞株であるMin6細胞株において確認した。
【0152】
Min6(ATCC、USA)は、HDMEM培地に15%FBS(fetal bovine serum)を添加して培養した。Min6細胞株でインシュリン発現を誘導するために、96wellプレートに1×10cell/プレート濃度で細胞を播種し、 DMEM high glucose培地に15%FBS無血清を添加して72時間培養した後、PBS緩衝溶液で洗浄して、HBSS緩衝溶液に2時間培養した後、25mMのグルコース(glucose)を添加したHBSS緩衝溶液に変えて、新規化合物のKRIBB−BH−Pを終濃度が0.5ng/mLになるように添加した後、インシュリン発現の促進可否を確認するために2時間培養した。この時、対照群として、5.5mMのグルコース(glucose)を処理してインシュリンの発現が誘導されない細胞自体のインシュリン発現量を基準点とし、陰性対照群として、25mMのグルコース(glucose)を処理した時インシュリンが発現される程度を確認して、丸葉留紅草由来新規化合物(KRIBB−BH−SFP)がインシュリンの発現を促進するかを比較分析した。前記方法により培養されたMin6細胞の培養液を収得して、インシュリンELISA kit(R&D、UK)を利用して分泌されるインシュリン量を測定した。
【0153】
その結果、図3に示したように、新規化合物のKRIBB−BH−SFP、KRIBB−BH−SFP(合成)、KRIBB−BH-SCが処理されたすい臓β細胞株からインシュリンの発現が増加することが確認できた。
【0154】
実施例6:留紅草由来新規化合物の処理によるマウス糖尿指標分析
6−1:血糖分析
正常マウスと実際糖尿病マウスに丸葉留紅草由来新規化合物を処理することで、糖尿指標である血糖、糖化血色素の変化を確認した。
【0155】
6週齢のマウス(Male C57BL/6J mouse、20g、中央実験動物、ソウル)と6週齢の糖尿病マウス(Male C57BL/Ks DB/DB mouse、20g、中央実験動物、ソウル)を購入し、一定温度(25℃)と湿度(50%)下で1週間適応させた後、実験に使用した。
【0156】
マウスを各群当たり5匹にして、正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、糖尿病マウス薬物処理(glimepride)群、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−P、1mg/kg)、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)に毎日経口投与して4週間飼育した。各群のマウスは、毎週血糖の変化を測定し、4週間飼育した後に血液を採取して糖化血色素の濃度を測定した。
【0157】
その結果、血糖変化においては、図4に示したように、糖尿病マウス対照群は、正常マウス対照群と比較して血糖が上昇しているが、糖尿病マウスに丸葉留紅草来由新規化合物を投与した群(KRIBB−BH−P、1mg/kg)、丸葉留紅草来由新規化合物を投与した群(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)では、有意な降下効果を示した。
【0158】
6−2:糖化血色素(HbA1c)分析
糖尿病治療を受ける患者に発生する合併症を低減させるためには、血糖数値を適切な水準に維持することが重要である。一時点で測定する血糖数値は、多くの要因によって変動が生ずることができるので、長期間の血糖調節推移を把握する目的で最も広く使用される検査が糖化血色素(HbA1c)である。糖化血色素は、赤血球に正常的に存在する血色素に糖が結合した形態で血糖が高く維持された場合に糖化血色素数値も高くなる。糖化血色素は、2〜4ヶ月の間の平均血糖数値を反映するので、長期間の血糖調節程度の把握において有用である。
【0159】
丸葉留紅草由来新規化合物の糖化血色素に対する影響を確認するために、4週間正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−P、1mg/kg)、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)に毎日経口投与し、4週間飼育した後、各群の血液を採取してELISAキット(Cusabio biotech、Japan)を利用して測定した。
【0160】
その結果、下記表1に示したように、糖化血色素の数値において、正常マウス対照群と比較して糖尿病マウスに丸葉留紅草来由新規化合物(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)を経口投与した群で有意に降下効果を示した。表1は、本発明の丸葉留紅草来由新規化合物の糖尿モデル動物に対する糖化血色素抑制効果を示す。
【0161】
【表1】
【0162】
6−3:血糖検査
血糖検査は、5週齢のマウス(Male C57BL/6J、19g、コアテク、平澤)を購入し、一定な温度(25℃)と湿度(50%)下で1週間適応させた後、実験に使用した。マウスを各群当たり5匹にして、対照群では、一般飼料を餌とする一般食餌群、高脂肪飼料を食べる高脂肪食餌群に分けて、2週間飼育した。
【0163】
6−3−1: 丸葉留紅草来由新規化合物の時間による空腹血糖検査
高脂肪食餌飼育2週目に実験動物を16時間節食させた後、空腹時の血糖を測定した。試料は、経口で24時間、16時間、8時間、4時間、2時間、1時間の前に投与した後、glucose 2g/kg(body weight)を経口で投与し、以後の血糖を測定した。
【0164】
その結果、図5のように、試料を経口投与してから8時間後が最も高い効能を示した。
【0165】
6−3−2:丸葉留紅草来由新規化合物投与群の空腹血糖検査
高脂肪食餌飼育2週目から正常マウス対照群、糖尿病マウス対照群、糖尿病マウス薬物処理(glimepride)群、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−P、1mg/kg)、丸葉留紅草来由新規化合物投与群(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)に毎日経口投与して、2週間飼育し、16時間節食させた後に血糖を測定した。
【0166】
その結果、血糖変化においては、図6に示したように、糖尿病マウス対照群は、正常マウス対照群と比較して血糖が上昇しているが、糖尿病マウスに丸葉留紅草来由新規化合物(KRIBB−BH−P、1mg/kg)、丸葉留紅草来由新規化合物(KRIBB−BH−SFP、1mg/kg)を投与した群では、有意的な降下効果を示した。
【0167】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界において通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記術は単に望ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は添付された請求の範囲及びその等価物によって定義される。
【産業上利用可能性】
【0168】
本発明による留紅草属植物来由新規化合物及びこれを含む組成物は、優れたインシュリン分泌促進効果を有するだけではなく、糖尿病及びそれによる合併症の予防または治療に効能を示すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】