(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-526612(P2016-526612A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(54)【発明の名称】身体保護装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/018 20060101AFI20160808BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20160808BHJP
A41D 13/05 20060101ALN20160808BHJP
【FI】
A41D13/018
A41D13/00 105
A41D13/05 162
A41D13/05 168
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-518624(P2016-518624)
(86)(22)【出願日】2014年6月11日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月19日
(86)【国際出願番号】IB2014062123
(87)【国際公開番号】WO2014199308
(87)【国際公開日】20141218
(31)【優先権主張番号】VR2013A000138
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】515295119
【氏名又は名称】ダイネーゼ ソシエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アッゾリーン,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ベンチーニ,マルチェッロ
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB16
3B011AC04
3B011AC17
3B011AC21
(57)【要約】
本開示は、使用者の身体の一部を保護するための身体保護装置(10)に関する。装置は、使用者の身体の領域を少なくとも部分的に保護することを目的とする膨脹可能部材(12)を含む。身体保護装置(10)は、膨脹可能部材(12)の少なくとも第1部分(20、30、40)及び膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)を含む。膨脹可能部材(12)の第1部分(20、30、40)及び膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)は、対応する重複領域又は重なり領域(A、B、C)で重ねられる。身体保護装置(10)は、重なり領域(A、B、C)において膨脹可能部材(12)の第1部分(20、30、40)及び膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)に結合された少なくとも1つの接続装置又は構造(50)を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体の一部を保護するための身体保護装置(10)であって、使用者の身体の領域を少なくとも部分的に保護することを目的とする膨脹可能部材(12)を含み、前記身体保護装置(10)が、前記膨脹可能部材(12)の少なくとも第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)を含み、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)が、対応する重複領域又は重なり領域(A、B、C)で重ねられ、及び、前記身体保護装置が、重複領域(A、B、C)において前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)に結合された少なくとも1つの接続装置又は構造(50)を含む、身体保護装置(10)。
【請求項2】
前記接続装置又は構造(50)が、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)と前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)との間の可逆的な接続を可能にする構造である、請求項1に記載の身体保護装置(10)。
【請求項3】
前記接続装置又は構造(50)が、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)の重なりの調整を可能にする構造である、請求項1又は2に記載の身体保護装置(10)。
【請求項4】
前記接続装置又は構造(50)が、ジッパー構造、又は、ストリング、ストラップ若しくはレースを有する構造である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項5】
前記接続装置又は構造(50)が前記重なり領域(A、B、C)の中心に置かれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項6】
前記接続構造(50)が、軟質材料から形成された2つのフラップ(51、52)又はパネルを含み、前記2つのフラップ(51、52)の1つの一方の側が、前記膨脹可能部材(12)の前記2つの部分の一方(20、30、40、21、31、41)に直接又は間接的に固定又は接続され、及び、前記2つのフラップ(51、52)の他方の側が、前記膨脹可能部材(12)の前記2つの部分の他方に面する側で、自由かつ移動可能であり、及び、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)の他方に結合された前記2つのフラップ(51、52)の他方に接続されるように適合される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項7】
前記2つのフラップ(51、52)の各々が、前記重複領域(A、B、C)と前記膨脹可能部材(12)の残りの部分(18)との間の中間領域において、前記膨脹可能部材(12)の前記各々の第1部分(20、30、40)又は前記膨脹可能部材(12)の前記各々の第2部分(21、31、41)に直接又は間接的に接続される生地又は布の片又はパネルである、請求項6に記載の身体保護装置(10)。
【請求項8】
前記接続構造(50)が、弾性インサート(55)を含む、又は、弾性材料から形成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項9】
前記2つのフラップの各々又は一方が、弾性インサート(55)を含む、又は、弾性材料から形成される、請求項7又は8に記載の身体保護装置(10)。
【請求項10】
前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)が、互いに向き合うように作られた前記膨脹可能部材(12)の終端部分又は端部部分である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項11】
前記重複領域(A、B、C)が使用者の胴部の前部領域及び/又は使用者の胴部の側部領域である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の身体保護装置(10)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の身体保護装置を含む、又は、それと組み合わされた衣類(100)。
【請求項13】
前記接続装置又は接続構造(50)が前記衣類(100)の一部であり、及び、前記重複領域(A、B、C)において、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)に間接的に結合される、請求項12に記載の衣類(100)。
【請求項14】
使用者を保護するための方法であって、
膨脹可能部材(12)を少なくとも部分的に使用者の身体の領域に配置するステップを含み、
前記膨脹可能部材(12)の第1部分(20、30、40)が対応の重複領域又は重なり領域(A、B、C)において前記膨脹可能部材(12)の第2部分(21、31、41)に重ねられ、並びに、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)が前記重なり領域(A、B、C)において相互に接続される、方法。
【請求項15】
前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)が弾性手段によって接続され、その結果、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)の膨張の間、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)が互いに一時的に離れるように移動し、従って、各重複した状態を低減し、及び膨張の終了時に、前記弾性手段が元の状態に戻り、その結果、前記膨脹可能部材(12)の前記第1部分(20、30、40)及び前記膨脹可能部材(12)の前記第2部分(21、31、41)が再び互いに近づくように移動する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スポーツ活動及び/又は仕事の間、オートバイの乗員若しくは運転者又は競馬の騎手又は同様の使用者を衝突及び/又は落下から保護するように適合された膨脹可能部材を含む身体保護用保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、全てのスポーツ活動の間、より一般的には生命にかかわるような状況で、又は高速で、特にオートバイの分野で行われる全てのそのような危険な活動の間の安全に関する継続した調査によれば、膨脹可能部材を用いて使用者の身体の上側部分の実用的及び効果的な保護の両方を提供することに関して開発されてきた保護装置の増加が見られる。衝突、滑り動作又は一般的には落下の間、膨脹可能バッグは圧縮ガスシリンダ又は流体生成器などの流体源に流体連通した状態に置かれる。
【0003】
衝突の間、膨脹可能要素は使用者の身体の上側部分の周囲に空気緩衝材を形成し、これにより使用者の身体を衝撃から保護することを可能にする。
【0004】
本開示は、膨脹可能バッグが通常、使用者によって簡単に着用されることができるように、又は、衣類に結合されることができるように、ベスト又はチョッキの形状又は形態に類似した形状又は形態を有するという本特許出願の発明者による認識に基づいている。結果として、膨脹可能バッグは、標準的なジャケットと同様に、例えば胸部の中間領域に、表面上の不連続部分又は中断部分を有する。これらの領域において、バッグは、バッグに直接結合されたジッパーによって閉鎖可能であり、又は、ジャケットのジッパー、又は、他の閉鎖装置によって閉鎖された状態に維持可能である。
【0005】
表面上の不連続部分又は中断部分がある他の領域は、例えば脇の下に側部に沿って配置された領域である。
【0006】
しかしながら、これらの表面上の不連続部分又は中断部分は、正確には保護が連続的でないため、使用者の保護に関して脆弱な領域を示す。さらに、特に胸部及び側部の領域は、使用者のいわゆる生命に関わる領域である。なぜなら、それら領域は、適切な保護がない場合、そこを介して生命に関わる臓器に到達し得る領域だからである。
【0007】
結果として、膨脹可能バッグの形状及び形態に関するベスト又はチョッキとの類似性は、一方の場合、それは膨脹可能バッグをより着やすくし、他方で、表面上の中断部分又は不連続部分のためにそれは膨脹可能バッグの保護性能に関して悪影響を有し得る。
【0008】
さらに、本開示の発明者は、一部のバッグにおいて、胸部の表面上の中断部分を回避し及び胸部の前にバッグを完全に配置することを可能にするために、表面上の不連続部分又は中断部分の領域を胸部の一方の側に肩の方へ移動することが必要であることを認識した。
【0009】
基本的に、バッグは、胸部で連続的であり、及び、バッグを開放して着ることを可能にする中断部分を一方の側に、すなわち、もはや胸部の中心でないところに有する。ジッパーが中断領域に提供されてもよい。
【0010】
しかしながら、側部領域にジッパーを配置することにより、使用者は、中心からずれて配置された領域であり従ってアクセスしにくいこの側部領域でジッパーを操作しなければならない。
【0011】
この一方の側への移動はまた、衣類を開放するためのジッパーが肩の領域に設けられるため、これらバッグが取り付けられる衣類の着心地の良さに関して、及び同じく、多数の使用者に好まれ得ない衣類の全体的外観に関して、必ずしも肯定的でない影響又は効果を有する可能性がある。
【0012】
これらの認識に基づいて、本開示の基礎を形成する技術的問題は、連続的な表面上の保護を保証する一方、同時に使用者による満足のいく着心地の良さを保証することができる保護装置を提供するという問題である。
【発明の概要】
【0013】
この技術的問題を解決するために、それぞれ請求項1で特定される主たる特性を有する身体保護装置が、請求項12による衣類及び請求項14による使用者を保護するための方法と一緒に提供される。
【0014】
本開示の主題を形成する二次的な特性は対応する従属請求項で定義される。
【0015】
特に、本開示によれば、表面上の中断部分を回避するために、膨脹可能部材が対応する重複又は重なり領域において重ね合わせられる少なくとも2つの膨脹可能部材の部分を含む身体保護装置が提供され、ここで接続装置又は構造が重なり領域において2つの膨脹可能部材の部分に結合される。接続装置又は構造は、可逆的な接続構造、すなわち、必要に応じて開放又は閉鎖可能である構造であってもよく、及び、また調整可能な接続構造、すなわち2つの部分の重なり又は重複を調整することを可能にし得る構造であってもよい。
【0016】
例えば、いくつかの実施形態では、接続構造は、ジッパー構造、任意選択によりベルクロを備えたストリング若しくはレース構造、バックル及び結合装置を備えた構造、又は同様の構造を含む。
【0017】
結果として、本開示によれば、表面上の不連続部分を回避するために、同じ膨脹可能部材の、又は2つの膨脹可能部材の2つの部分が重ねられる。これらの膨脹可能部材の部分は、膨脹可能部材が着用されるとき互いに向き合う終端又は端部部分であり得る。各膨脹可能部材の部分には、膨脹可能部材の2つの終端又は端部部分の確実な閉鎖を保証するように接続又は閉鎖構造が結合される。重複領域における接続構造の配置は、この接続構造を中心領域に及び中心からずれない領域に配置することを可能にし、それにより保護装置又はそれに取り付けられる衣類の着心地の良さを妨げないようにする。
【0018】
実際に、2つの膨脹可能部材の部分は、例えば使用者の胸部で重ね合わせられることができ、及び、接続構造は、同様に胸部の中心に、例えば保護装置の簡単な中心での開口/閉鎖を可能にするように胸部の中心に配置可能である。2つの膨脹可能部材の部分は、例えば使用者の側部で、又は身体の別の部分で、重ね合わせられることができる。
【0019】
本開示の一実施形態では、接続及び閉鎖構造は、布などの軟質材料から形成された2つのフラップ又はパネルを含む。2つのフラップの各々は、一方の側で、重なり又は重複領域に隣接した領域において2つの膨脹可能部材の部分の一方に固定され、例えば縫合又は糊付けされ、重なりが存在する他方の側で自由かつ移動可能である。このようにして、2つの膨脹可能部材の部分が重ねられるとき、2つのフラップは、近接して配置され、相互に接続されてもよい。2つのフラップのそれぞれは、膨脹可能部材の重複領域と非重複領域との間の中間領域において固定可能である。
【0020】
2つのフラップは、膨脹可能部材の部分に沿って延在する生地又は布の片又はパネルであってもよい。これらのフラップは、ジッパー部分又は開放又は反転可能なタイプの他の接続装置を設けることができる。特に、フラップに結合されたジッパー部分は、他方のフラップに付設された相補的なジッパー部分に可逆的又は一時的な方法で接続される。同様に、一方のフラップに結合されたベルクロ部分と他方のフラップに結合されたベルクロの相補的な部分とを相互に接続可能である。
【0021】
本開示の一実施形態では、フラップは、弾性インサートを備えてもよく、又は、弾性材料から形成可能であり、それにより膨張時、使用者の身体に対する身体保護装置の寸法の調整が可能になる。特に、膨張が起きると、膨脹可能部材の2つの重ねられた部分は、相互の重複の低減を伴って一瞬互いに離れる。膨張状態の最後に、弾性手段は、2つの膨脹可能部材の部分が再び互いの方に戻るように元の状態に戻る。
【0022】
上に記載した膨脹可能部材は、衣類の内側、例えば衣類の各ポケットの内側に簡単に組み込むことができる。衣類は、膨脹可能部材のように重ねられるポケットを有するように構造化することができる。あるいは、重ねられる膨脹可能部材の部分は衣類のポケットから突き出てもよい。
【0023】
上に記載した接続構造は、身体保護装置の膨脹可能部材に間接的に接続されるように衣類に固定可能である。
【0024】
一実施形態において、膨脹可能部材は、衣服に適した布で外側を被覆、又はカバーすることができ、及びそのままで着用できる衣類の外観を取得し得る。
【0025】
本開示の主題を形成するさらなる特徴的な特徴及び使用の方式は、非限定的な例として提供されるその実施形態の多数の好ましい例の以下の詳細な記載から明らかになる。しかしながら実施形態の各例は上に挙げられた利点の1つ又は複数を有し得ることが明らかであり、いかなる場合も各実施形態は挙げられた全ての利点を同時に有するべきであることを要求されない。
【0026】
添付図面の図に対する参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】着用された状態にある、本開示の実施形態による保護装置の正面図を示す。
【
図2】着用された状態にある、本開示の実施形態による保護装置の背面図を示す。
【
図3】
図1による保護装置の線III−IIIに沿った断面図を示す。
【
図4】表面を広げた状態の、本開示の実施形態による保護装置の上面図を示す。
【
図5】
図4による保護装置の線V−Vに沿った断面図を示す。
【
図6】着用された状態にある、本開示の実施形態による保護装置の側面図を示す。
【
図7】
図6による保護装置の線VII−VIIに沿った断面図を示す。
【
図8】本開示の実施形態による保護装置を含む衣類の正面図を示す。
【
図9】
図8による保護装置の線IX−IXに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照すると、参照符号10は、本開示の実施形態による本開示による身体保護装置を示す。
【0029】
身体保護装置10は、第1非作動状態すなわち収縮状態と、第2作動状態すなわち膨張状態とを実質的にとるように適合された膨脹可能部材12を備える。膨脹可能部材12を膨張する各モードを以下の説明中に記載する。
【0030】
本開示の一態様において、膨脹可能部材12は、ベストの形態であり、使用者の身体の上半身又は胸部領域を包むように作られる。特に、膨脹可能部材12は、胸部領域12a、背部領域12b及び側部領域12c、12dを含む。領域12a、12b、12c、12dは肩部を介して流体連通した状態でともに接続される。
【0031】
膨脹可能部材12は、特許出願第PCT/IB2009/055512号及び特許出願第PCT/IT2009/000547号に記載される技術を用いて形成可能であり、それらの特許出願は参照のソースとしてここで本開示に全体的に引用される。
【0032】
膨脹可能部材12は、第1膨脹可能部材部分20、30、40及び第2膨脹可能部材部分21、31、41を含む。この第1膨脹可能部材部分20、30、40及びこの第2膨脹可能部材部分21、31、41は、膨脹可能部材12の終端すなわち端部領域であり、部分的に重ね合わせられる。換言すると、膨脹可能部材12の第1膨脹可能部材部分20、30、40及び第2部分21、31、41は、膨脹可能部材の自由端部に配置された部分である。
【0033】
さらにより詳細には、図面に示されるもののような本開示の一実施形態では、参照文字A、B、Cで示される3つの重なり領域が設けられる。第1重なり領域Aは胸部の中心領域に対応する。第2重なり領域Bは使用者の第1側部領域に対応する。第3重なり領域Cは使用者の第2側部領域に対応する。1つの重なり領域が使用者の身体の胸部領域又は側部領域又は別の領域に設けられることを理解すべきである。
【0034】
結果として、図面に示されるもののような本開示の実施形態では、膨脹可能部材12の第1部分20及び第2部分21は、使用者の胸部領域に配置された端部部分である。膨脹可能部材の第1部分30及び第2部分31は、使用者の第1側部に沿って配置された端部部分である。膨脹可能部材の第1部分40及び第2部分41は、使用者の第2側部に沿って配置された端部部分である。
【0035】
重なり領域も重複した領域も有さない膨脹可能部材12の残りの部分は、重複領域A、B、Cに隣接し、参照番号18で全体的に示される。結果として膨脹可能部材12はまた、表面上の不連続部分なしに胴全体を実質的にカバーする。
【0036】
本開示の一態様によれば、身体保護装置10は、重なり領域A、B、Cの部分において膨脹可能部材の第1部分20、30、40及び膨脹可能部材の第2部分21、31、41に結合された1以上の接続及び閉鎖装置又は構造50を含む。接続装置又は構造50は、例えば重なり領域Aにおいてジッパー構造であり、かつ、領域B及び重なり領域Cにおいてストリング、ストラップ又はレースを有する構造である。3つの重なり領域の接続構造50は、全て同じであってもよく、又は、図に示される実施形態に対して異なる方法で反転可能であることを理解すべきである。
【0037】
第1膨脹可能部材の部分20、30、40及び第2膨脹可能部材の部分21、31、41の各々には接続構造50の一部が結合され、この接続構造50の一部は接続構造50の相補的部分に接続され、それにより第1膨脹可能部材の部分20、30、40及び第2膨脹可能部材の部分21、31、41の確実な閉鎖を保証することを見ることができる。
【0038】
図に示されるものなどの一実施形態では、使用者の胸部に配置されるものなどの接続構造50は、布などの軟質材料51、52から形成された2つのフラップ又はパネルを含む。2つのフラップ51、52のそれぞれは、重なり又は重複領域Aに隣接する領域で膨脹可能部材12の2つの部分20、21の1つに固定され、例えば縫合又は糊付けされる。これらのフラップは膨脹可能部材12全体にわたって延在し、それを外側で布設してもよい。
【0039】
重なり領域Aにおいて2つのフラップ51及び52は膨脹可能部材12に対して自由かつ可動である。
【0040】
このようにして、膨脹可能部材12の2つの部分20、21が重ねられるとき、2つのフラップ51、52は密接に配置され、相互に接続され得る。2つのフラップ51、52は、膨脹可能部材12の部分20、21の全長にわたって延在する生地又は布の片又はパネルであってもよく、それにより2つの部分20、21の間の連続した接続を可能にする。これらのフラップ51、52は各端部に、開放又は反転可能なタイプのジッパー部分53、54又は他の接続装置を備えてもよい。フラップ51に結合されるジッパー部分53は、他方のフラップ52に付設される相補的ジッパー部分54に可逆的又は一時的な方法で接続される。
【0041】
結果として、2つの膨脹可能部材の部分20、21は、例えば使用者の胸部で重ねることができ、及び接続構造50は保護装置10の便利な中心での開放/閉鎖を可能にするように胸部の中心に配置可能である。
【0042】
さらにより詳細には、フラップ51、52は、例えば重なり領域Aに、すなわちフラップ51、52が自由に可動である場所に弾性インサート55を設けられる。代替の実施形態では、フラップ51、52は、全体的に弾性の布から形成される。弾性である又は弾性の布から形成されたインサート55を備えたフラップの存在は、膨張の間、膨脹可能部材12が広がることを可能にし、従って膨脹可能部材の体積の増大が使用者の身体の制限を引き起こすことを防止する。換言すると弾性材料は膨脹可能部材12の膨張装置全体の調整を可能にし、また、膨脹可能部材が収縮した状態へ戻ることに有利に作用することもできる。これは弾性材料の典型的な性質により可能であり、すなわち、いったん(この場合膨脹可能部材の膨張によって引き起こされる)変形作用のもとで変形されると、変形作用が止むと通常又は初期の構造を取り戻す性質により可能である。
【0043】
実際に、膨脹可能部材12が膨張すると、インサートは完全に変形した状態にあり、保護装置の全体的な伸びは実際に増大するが、膨脹可能部材が収縮した状態にあるとき、弾性インサートは非変形状態又は一部のみ変形した状態に戻り、従って膨脹可能部材12全体をその初期状態に戻す。
【0044】
膨脹可能部材の部分20、21、30、31、40、41は、膨張の間互いに離れるように移動し、及び、弾性材料のために初期位置に戻ることに注目すべきである。
【0045】
図に示されるものなど、及び上に既に記載されたような一実施形態では、領域Bに及び重なり領域Cに結合されるものなどの接続構造50は、ストリップ又はストラップを含み、及びより詳細には例において引っ張り応力に適切な抵抗を有する布ストリップ又はストラップ60の2つの対を含む。ストリップ60は、相互に固定するためのベルクロ部分61を備える。
【0046】
各ストリップ60は、膨脹可能部材12の部分の1つ(第1部分30、40及び第2部分31、41)に結合される。ストリップ又はストリング60は、第1膨脹可能部材の部分30、40及び第2膨脹可能部材の部分31、41を可逆的な方法(
図7)で接続するようにベルクロを相互に固定することによって他方のストリップにベルクロによって接続される。ベルクロの伸びは、重なりの程度を調整することを可能にし、及び保護装置の密着を使用者の胸部に対して適合させることを可能にするようなものである。
【0047】
ストリップ60はまた、
図7で見ることができるように、弾性インサート55を備えてもよい。
【0048】
結果として、膨脹可能部材の2つの部分30、31;40、41は、保護装置10の簡単な中心での開放/閉鎖を可能にするように、及びまた、密着度の適合を伴う相互の重なりの調整を可能にするように、例えば使用者の側部で、又は胸部で重なることができる。
【0049】
本開示の一実施形態では、重ねられたときの膨脹可能部材の第1部分20、30、40及び膨脹可能部材の第2部分21、31、41の高さは、重複領域において、身体保護装置の残りの部分の高さより小さく、それにより、重複と無関係に、(
図3で見ることができるように)身体保護装置全体の実質的に均一の高さを保証する。異なる高さは、上に記載された特許出願第PCT/IB2009/055512号及び特許出願第PCT/IT2009/000547号に記載されるように、異なる高さの糸を有するテキスタイル構造を使用して得られる。
【0050】
より詳細には、前記技術によれば、膨脹可能部材は、あらかじめ決定可能な高さを有する。実際に、膨脹可能部材12は、複数の結合部材13、例では糸を含み、これらは
図3及び
図5に概略的に示され、及び膨脹可能部材12の内側に分散され、前記結合部材13は膨脹可能部材12の対向する表面部分に確実に接続される。
【0051】
前記結合部材13は詳細には以下のような長さを有する。すなわち、膨脹可能部材12が収縮した作動停止状態にあるとき、結合部材13は、張力を受けない状態にあり膨脹可能部材12の内側でつぶされるが、膨脹可能部材12が膨張した状態にあるとき、結合部材13は引っ張り応力を受けるような長さを有する。より詳細には、結合部材13は、シート又は壁15によって外側を被覆又はカバーされる各メッシュ14に接続される。実際には、膨脹可能部材12は、第1メッシュ14が接着式に固定される第1シート15又は第1壁と、第2メッシュが接着式に固定される第2シート15又は第2壁と、を含み、ここで前記メッシュ14は複数の結合部材13によって接続される。2つのシート15は、互いに対向して配置され、各周辺縁部に沿って封止された状態で周辺接続される。
【0052】
膨脹可能部材12の高さは、結合部材の最大の長手方向の伸びによってメッシュ14同士の間で得ることができる最大距離を適切に設定することによって調整可能である。本質的に膨脹可能部材12は、結合部材の長さ及び最大張力を制御することによって膨脹可能部材の最大の拡張を制御できるため、あらかじめ決定可能な高さを有する。
【0053】
結果として、異なる高さの部分を有する膨脹可能部材を得るために、(メッシュ14及び適切な高さの結合部材13によって形成された)2つの構造114a、114bを使用することが可能であり、2つの構造114a、114bでは、膨張した状態における各膨脹可能部材の最大局所的拡張に対応するメッシュ14同士の間の最大相互距離を決定するように長さが選択される。基本的に、異なる長さを有する結合部材13を有する2つのテキスタイル構造114a、11bが使用される。
【0054】
より小さい高さを有するテキスタイル構造114aの第1メッシュ14の縁部は、より大きい高さを有する別のテキスタイル構造114bのメッシュの各縁部に接合又は縫合可能であり、及び同様に、各対向するメッシュの縁部は
図3及び
図5に示されるように縫合又は接合される。このようにして、結合部材13が異なる長さを有する部分は接合される。
【0055】
メッシュ14及び異なる長さを有する結合部材は、軟質材料のシート15の間に包まれ、気密であり、例えばポリウレタン又はポリアミドから形成され、メッシュ14より大きい表面面積を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、結合部材のより短い長さは、約37mm高さの膨脹可能部材12の部分20、21;30、31、40、41を得るように選択される。
【0057】
膨脹可能部材12の残りの部分は代わりに50mmの高さを有する。
【0058】
このようにして、重複領域A、B、Cにおいて、全体体積を制御及び制限することが可能である。
【0059】
上に記載した膨脹可能部材12は、ジャケット100(
図8)などの衣類の内側に、例えば衣類の各ポケット80の内側に簡単に組み込むことができることも指摘される。
【0060】
衣類100は、膨脹可能部材12を含むためのポケット80を有する構造によって設計可能であり、ポケット80は膨脹可能部材と同じ方法で重ねられる。より詳細には、各ポケット80は、内側の裏地として機能する内壁80aと、衣類の視認可能な表面と一致する外壁と、を有する。
【0061】
衣類は、上に記載したフラップ51、52と構造及び機能に関して完全に比較可能であり、かつ適切であれば弾性インサート83を設けられるフラップ81、82を含む。フラップ81、82はポケットの外壁80bに固定され、重なり領域において自由かつ可動であり、それにより衣類を閉鎖すること、及び膨脹可能部材の閉鎖された状態を重なり領域において維持することが可能になる。
【0062】
代替的に、上に記載したように、一実施形態において、膨脹可能部材12は、衣服に適した布で外側を被覆又はカバーすることができ、及び、そのままで着用することができる衣類の外観を取得し得る。
【0063】
膨張に関して、膨脹可能部材12の膨張を実行するために、使用者又は乗られる/運転される乗り物を巻き込む突然の落下及び/又は滑り及び/又は衝突の際、保護装置10は、圧縮された低温ガス、例えばヘリウムを含有するシリンダ(不図示)に動作的に接続される特別の作動手段(不図示)と協働するように適合される。シリンダは各遮断弁(不図示)を設けられてもよい。
【0064】
代替的に、膨張流体源は、花火作りの技術に関する(pyrotechnical)又は他のハイブリッドタイプ又は最先端技術により知られる他のタイプのガス発生器を含み得る。
【0065】
各膨張シリンダの遮断弁の開放は、乗り物/運転者システムの状態の検出に依存して制御ユニットによって好ましくは制御され、例えば前記制御ユニットは落下予測システムを実装し得、落下予測システムは、乗り物(又は運転者)に固定された加速度計センサ手段と、前記センサによって生成された信号を処理するためのユニットとによって落下事象の早期特定及びその信頼ある予測を可能にする。
【0066】
代替的に、本開示による装置は、使用者が乗る乗り物に接続された作動ケーブルを使用して使用することも可能であり、このケーブルは、乗り物から離れる使用者の移動に続いて、例えば落下又は突然の衝突に続いて膨脹可能要素の膨張を作動させる。ケーブルの使用は特に乗馬の分野で採用される。
【0067】
いずれの場合にも、上記の作動及び膨張手段は、本発明による保護装置に一体化可能であり、又は、その外側に配置可能である。
【0068】
作動の方式は、装置の効果的な作動に特に重要な態様であるが、それらは身体を突然の衝突から保護する技術分野の当業者に本質的に既に知られている方法であるため、これ以上より詳しく記載しないことも注記しておく。
【0069】
本開示の主題をその好ましい実施形態を参照してこれまで記載してきた。同じ発明的考案に関連する他の実施形態が存在し得、それらの全ては以下に添付される請求項の保護の範囲内にあることを理解されたい。
【国際調査報告】