特表2016-527118(P2016-527118A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-527118(P2016-527118A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】タイヤ摩耗検出装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20160815BHJP
   B60C 11/24 20060101ALI20160815BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   B60C19/00 G
   B60C11/24 Z
   G01N27/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-518851(P2016-518851)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】EP2013062389
(87)【国際公開番号】WO2014198334
(87)【国際公開日】20141218
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】515345296
【氏名又は名称】フィスター アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ヘレルド,ヴィゴ アール.
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA09
2G060AC01
2G060AE26
2G060AF13
2G060KA05
(57)【要約】
タイヤ(15)の摩耗を検出および表示する装置(10)であって、タイヤ(15)の接地部に設けられた少なくとも1つの水分検出器(30)を有するタイヤ摩耗検出装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(15)の摩耗を検出および表示する装置(10)であって、タイヤ(15)の接地部に設けられた少なくとも1つの水分検出器(30)を有することを特徴とするタイヤ摩耗検出装置。
【請求項2】
前記装置(10)は、装置の固有情報を有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項3】
前記装置(10)は、タイヤ(15)の接地領域に位置する摩耗面をさらに有し、
前記水分検出器(30)は、前記摩耗面の下方に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項4】
前記装置(10)は、タイヤ(15)の接地領域にそれぞれ位置する積層された複数の摩耗面をさらに有し、
前記水分検出器(30)は、前記摩耗面それぞれの下方に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項5】
前記装置(10)の前記摩耗面はそれぞれ、タイヤ使用に伴って摩耗し切るまでの期間が各面で異なる期間となるように、異なる厚さおよび/または異なる材質を有することを特徴とする請求項4に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項6】
前記装置(10)は、電圧発生手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項7】
前記装置(10)の前記電圧発生手段は、タイヤ(15)の接地領域内の少なくとも1つの摩耗面の下方に設けられた少なくとも1つの乾式電荷触媒電極型蓄電池を有することを特徴とする請求項6に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項8】
前記装置(10)の前記電圧発生手段は、タイヤ(15)の接地領域内の少なくとも1つの摩耗面の上部にそれぞれ設けられた少なくとも2つの乾式電荷触媒電極型蓄電池を有し、
前記乾式電荷触媒電極型蓄電池はそれぞれ、異なる電圧を発生するための異なる種類の乾式電荷触媒電極型蓄電池によって構成されることを特徴とする請求項6に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項9】
前記装置(10)の前記水分検出器(30)は、単数または複数の前記乾式電荷触媒電極型蓄電池によって構成されることを特徴とする請求項7または8に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項10】
前記装置(10)は、前記電圧発生手段に接続された信号送信手段をさらに有し、
前記信号送信手段は、タイヤ(15)の摩耗を表す信号と共に、装置(10)の識別情報を送信する送信器(40)を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項11】
前記装置(10)は、水分以外の他の物理的なパラメータを検出する1つ以上の追加されたセンサ(50)をさらに有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項12】
前記装置(10)の前記追加されたセンサ(50)は、温度センサであることを特徴とする請求項11に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項13】
前記装置(10)は、ハウジング内に収容されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置。
【請求項14】
タイヤ(15)であって、前記タイヤは、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置(10)を有することを特徴とするタイヤ。
【請求項15】
自動車であって、少なくとも2つのタイヤ(15)を有し、前記タイヤのうちの少なくとも1つのタイヤは、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のタイヤ摩耗検出装置(10)を有することを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの摩耗を表示する構成に関し、特に、タイヤ内に設けられ、水分検出器を備えた装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、その使用に際して、タイヤの一部分であり、通常、路面に接する溝パターンを持つ接地領域(tread area、トレッド領域)が摩耗する。
【0003】
通常、タイヤは、道路に接触する溝パターンを備えているが、タイヤの一部である接地領域は、使用に伴って摩耗する。接地部(tread、トレッド)はとりわけ、停止、発進、コーナリングのための摩擦力を発生する一方、長寿命であるように、設計されている。
【0004】
タイヤの使用中は常に、タイヤと道路面との間に働く摩擦力により、タイヤの摩耗が生じている。この摩擦力はまた、道路面の摩耗をも引き起こす。冬季は、多くの場合スタッドタイヤが用いられるが、スタッドが道路面を引っ掻くため、道路面はとりわけ摩耗する。
【0005】
摩耗したタイヤは、ブレーキング距離(停止距離)の増加をもたらす。これは特に、ウェットな天候下で起こる。タイヤが十分な接地部を持っていないと、タイヤと道路面との間に水の層が形成されることにより、アクアプレーン現象(ハイドロプレーン現象)を引き起こす可能性があり、それは、操作入力に対する自動車の応答を阻害する摩擦力低下をもたらす。このことは、深刻な結果をもたらす可能性がある。
【0006】
接地面(tread surface)から主たる溝の底までの距離である接地部深さ(tread depth、トレッド深さ)が、ある程度の深さに到達したとき、タイヤは、使用を中止して交換されるべきである。
【0007】
仮に摩耗したタイヤが適切な時期に交換されないと、すり減った又はそれに近い状態のタイヤがスリップすることにより、事故を起こしかねない。また、過度に摩耗したタイヤは、道路の危険要因からのダメージを受け易い。
【0008】
タイヤの摩耗を見極めるための既知の方法は、目視検査や使用時間に基づく推定等である。
【0009】
タイヤの使用時間からの推定と目視検査との組み合わせは、タイヤを交換すべきかどうかをチェックする最も一般的な方法である。
【0010】
目視検査を行う際には、トレッド深さが計測されると共に、タイヤの傷等が検査される。
【0011】
タイヤの中には、主たる溝の底面に、かつ、タイヤの外周に等間隔に形成された接地部摩耗表示部を持つものがある。接地部摩耗表示部は、幅の狭い平坦なゴムの帯状を呈しており、接地部に交差するようにタイヤに形成されており、所定の摩耗点にまで到達したときにタイヤの表面に現れるようになっている。
【0012】
タイヤは頻繁に検査されるものではないこと、また、タイヤの劣化は事故を引き起こすことが知られている。
【0013】
人為的な検査の他に、タイヤの摩耗状態を自動的に検出するための装置も存在する。タイヤの摩耗を表示する既知の装置は、複雑かつ高価であり、一般に、タイヤとリムとの間のホイール内に設けられる装置を有している。そのような装置は、通常、タイヤ摩耗の状態を送信すべく十分な電力(power)で駆動される電子部品を必要とする。ケーブルを用いる電源供給は、ホイールが回転するため、好適ではない選択肢と言える。あるいは、電源供給にバッテリを用いる場合も、時間の経過に伴い、検査や維持のために装置に必要な電圧から低下するため、好適とは言い難い。
【0014】
特許文献1は、タイヤのリムに収容される圧電素子と送信器とを有するタイヤ摩耗検出装置について記述している。摩耗検出器からの信号は、タイヤの内部の空気圧を示す圧力センサユニットからの信号と組み合わされる。圧力センサは、ホイール内に設けられる。摩耗検出器ならびに圧力センサからの信号は、自動車の車体上に設けられた受信器ユニットによって受信される。
【0015】
特許文献2は、自動車に設けられた送信器について記述している。この送信器は、タイヤの接地部内に設けられた受動トランスポンダ(一般に、アンテナ)に対して信号を送信するものである。タイヤが摩耗した際には、トランスポンダが例えば摩耗し切る(擦り切れる)などして破壊される。この技術は、ホイール内に駆動電源を要する電子工学構成を必要としないものの、自動車に搭載される送受信器を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2368724号公報
【特許文献2】特許第3875349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
タイヤの摩耗を自動的に検出するための既知の技術はいずれも、ホイールおよび/またはホイールが取り付けられた自動車に搭載される複雑な装置に基づいている。
【0018】
それ故、ホイールが取り付けられた自動車に搭載される送信器や受信器の類を用いることなく、タイヤの摩耗とその度合いを自動的に検出して表示するための、簡素かつ安価な技術が要望されている。
【0019】
また、送信器を駆動するバッテリの状態の点検をすることなく数年に亘って使用できるタイヤを実現し得る、タイヤの摩耗を表示するための自己電源供給式の技術的解法も要望されている。
【0020】
それ故、本発明の目的は、ホイールが取り付けられた自動車に搭載される送信器や受信器の類を用いることなく、タイヤの摩耗とその度合いを自動的に検出して表示するための、簡素かつ安価な技術を提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、送信器を駆動するバッテリの状態の点検をすることなく数年に亘って使用できるタイヤを実現し得る、タイヤの摩耗を表示するための自己電源供給式の技術的解法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の基本的な実施態様によれば、タイヤの摩耗を表示するための水分(moisture、湿気)を検出する装置が得られる。
【0023】
本発明の一実施態様によれば、ホイールに装着されたタイヤの接地部の下方に設けられる少なくとも1つの水分検出器を有し、タイヤの摩耗を検出および表示することを特徴とするタイヤ摩耗検出装置が得られる。
【0024】
本発明のさらなる特徴は、独立請求項に定義されている。本発明の他の態様と高価は、本発明の主旨を具体例を伴って説明する以下の記述と図面とから明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るタイヤ摩耗検出装置は、機能性の低下を伴うことなく数年間に亘って動作することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態によるタイヤ摩耗検出装置を示す図である。
図2】本発明の実施形態によるタイヤ摩耗検出装置が装着されたタイヤを示す図である。
図3】タイヤの接地領域に積層された複数の摩耗面を有し、各摩耗面の下方に配置された複数の水分検出器を有する、本発明の他の実施形態によるタイヤ摩耗検出装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0028】
前述したように、本発明の目的は、タイヤ15の摩耗を検出して表示するための装置(タイヤ摩耗検出装置、タイヤ摩耗検出表示装置)10を提供することである。タイヤの摩耗検出は、タイヤ15の接地部に位置する水分検出器30を少なくとも備えた本装置10によって実現される。水分検出器30がタイヤ15の接地領域の摩耗面の下方に設けられたとき、水分は、摩耗面が所定の量まで摩耗するまでは検出されない。一実施形態において、摩耗面は、タイヤ自体と同じゴムから成るか、あるいは、タイヤと異なる材質から成るものとすることができる。また、摩耗面は、例えばタイヤ15自体と同じゴムから成る摩耗面とその下方の別の材質から成る摩耗面など、複数の積層された摩耗面を有していてもよい。
【0029】
即ち、摩耗面はそれぞれ、各面が異なる使用期間または摩耗し切る期間に相当するように、異なる厚さおよび/または異なる材質を有していてもよい。
【0030】
摩耗だけではなく、タイヤ15の摩耗の度合をも検出可能とするために、複数の積層された摩耗面をタイヤの接地領域に設けることができ、その場合、水分検出器は、各摩耗面の下方に設けられる。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態を示す。本実施形態において、本装置10は、タイヤの接地領域に設けられる空洞部(cavity)20内に他の部品と共に設けられた水分検出器30を有している。より具体的には、本実施形態の装置10は、信号送信手段と共に後述する電圧(energy)発生手段に接続された前記の水分検出器30を有している。送信器(信号送信器)40を有する信号送信手段は、水分が検出されたときにタイヤの摩耗を示す信号を送信する。空洞部20は、ドリル加工またはミル加工により、あるいは、タイヤ成形時に予め、タイヤ15の接地領域に形成された孔部であってもよい。
【0032】
空洞部20はまた、本装置10の異なる複数の部位を保持するハウジングを伴っていてもよい。ハウジングは、タイヤ15の接地領域に挿入される。ハウジングは、タイヤの空洞部20内に入ったときに刺さる逆棘によって結合される外側形状となっていてもよい。前述したように、摩耗面は、例えば、タイヤ自体と同じゴムから成るか、あるいは、タイヤと異なる材質から成るものとすることができるが、どちらの場合も、空洞部20、あるいは、前述したハウジングの上部に設けられる。
【0033】
電圧発生手段は、水分検出時に信号を送信開始する水分検出器30および信号送信器40に接続された小型のバッテリであってもよい。
【0034】
一実施形態においては、本発明の電圧発生手段は、少なくとも1つの乾式電荷触媒電極型蓄電池(dry charged catalytic electrode accumulator)を有し、この蓄電池は、摩耗した摩耗面を水分または水が浸透したときに水分検出器30としても機能する。
【0035】
蓄電池は、これに水分または水が到達したときに、活性化されて電圧の発生を開始し、そして、タイヤの摩耗を示す信号を送信する送信器40に必要な電力を供給する。
【0036】
この種のバッテリは、不活性を維持可能であり、数年に亘って劣化することがない。この種のバッテリは、乾式電荷型であるため、タイヤの摩耗に応じた水分または水によって活性化されるまでは、電力供給をしない。
【0037】
この蓄電池は、例えば、固体電解質としての乾いた塩類を間に介した銅電極と亜鉛電極によって構成される。ただし、これは考え得る複数種類の電極および電解質の一例に過ぎない。他の金属を含む他の既知の組み合わせによれば、銅と亜鉛に比べ、より高効率に高電圧特性を発揮し得る。
【0038】
また、所望の電圧を発生させるべく、分離された複数の蓄電池セルを直列に接続したり、セル毎に異なる組み合わせの電極としてもよい。
【0039】
銅および亜鉛から成る二電極からは約1ボルトの電圧を出力するが、複数を直列に接続することにより、電圧を高めることが可能である。
【0040】
二電極間に水が入ったときに、ハウジング上の摩耗面の摩耗に応じて、電解質は活性化され、電力が生み出される。このように、蓄電池は、水分検出器と電源との両方として動作する。また、間接的には、摩耗面に応じた摩耗センサとしても動作する。
【0041】
信号送信手段は、相応の電子部品を備えた電波送信器40を有する当業者に知られている手段で構成することができる。最も簡素な形態において、信号送信手段から送信される情報は、特定の周波数を伴うか、あるいは、パルス化信号を伴う搬送波とすることができる。複数のタイヤを有するシステムの場合には、装置毎の固有情報が搬送波に付加される。
【0042】
水分検出器上の摩耗面は、タイヤの用途に応じて調整された材料および厚さで作られるべきであり、調整された材料および厚さは、摩耗面が摩耗し切るまでの所望の猶予期間をもたらす。本装置10を有するタイヤが重量級の自動車に搭載されるタイヤである場合には、摩耗面は、自家用車のように比較的軽量の自動車用よりも、厚く、かつ、高い耐摩耗性の材料で製造すべきである。
【0043】
本発明の一実施形態において、一台の自動車に装着されているタイヤそれぞれに設けられる異なる装置10の識別を可能にすべく、装置10は、それぞれに固有の電子的な固有情報をさらに有している。その場合、摩耗信号は、装置の固有情報と共に送信される。
【0044】
蓄電池を用いる場合には、蓄電池は防水ハウジング内に配置される。例えば、装置10が配置される空洞部20が、防水ハウジングとなる。これにより、路面から摩擦面に加えられる摩擦力に起因して摩耗面が摩耗し切るまで、防水が維持される。装置10がタイヤの接地部内に設けられており、タイヤのトレッドと同時に摩耗するため、タイヤの摩耗の度合が検出および表示される。
【0045】
タイヤの摩耗の度合いは、装置10の摩耗面の摩耗の度合に反映される。
【0046】
装置10の摩耗面が如何にはやく摩耗するのかは、摩耗面の材質や装置10が接地領域の何処に位置しているかに因る。
【0047】
装置10の送信器40から送信された信号を受信するために、受信器が使用される。使用される受信器のタイプとしては、摩耗検出すべきタイヤが取り付けられた自動車に搭載されるタイプか、持ち運び可能なタイプがある。いずれにしても、受信器は、送信器から送信される信号を受信可能であるべきである。
【0048】
一実施形態において、送信器はブルートゥース(Bluetooth(登録商標))送信器であり、受信器はブルートゥース受信器である。ブルートゥース受信器は、例えば、機上で実行される専用のアプリケーションによって制御される携帯電話機であってもよい。
【0049】
それぞれ本措置10が搭載された新しい複数のタイヤ15を取り付ける際に、各装置10の固有情報(ID)は、前述のアプリケーションに登録可能であり、これは、各装置10を自動車に搭載することと同意である。登録は、既知の技術、例えば、バーコード技術やRFID(Radio Frequency IDentification)技術等を用いることにより、自動的に行うことが可能である。
【0050】
本装置10からの信号を受信し、タイヤの摩耗を検出および表示するために実行可能な他の方法としては、例えば、ガレージやサービスステーションといった固定的な位置に設置される受信器を用いるものがある。
【0051】
設置等の一実施形態としては、ガソリンスタンドにおいて、ガソリンポンプ付近に受信器を設置することである。摩耗したタイヤ15の表示は、例えば、摩耗したタイヤを持つ自動車が装置10を備えたポンプ脇に停車することによって得られる。
【0052】
図2は、本発明に係る装置10を接地領域に備えたタイヤ15を示している。タイヤ15の接地領域は、地面に接触する領域、したがって、タイヤ15を摩耗させる摩擦力に曝される領域である。タイヤ15における装置10を設ける位置は、タイヤ15の摩耗面と、摩耗面に対する装置10の位置とが相関的に、水分の正確な検出、ひいては、タイヤの摩耗の度合を規定することになるため、重要である。
【0053】
装置10の摩耗面については、タイヤ15の接地部の表面と同じ形状を有し、かつ、装置10がタイヤ15の接地部の数ミリメートル下方に位置するように設けられることが好ましい。
【0054】
図3は、タイヤの摩耗を検出する装置10を示し、図中、装置10は、タイヤ15の接地領域に積層された複数の摩耗面を有し、各摩耗面の下方には、水分検出器30A、30Bおよび30Cが位置している。装置10のこの構造は、複数の摩耗の度合いを判別可能である。
【0055】
一実施形態において、水分検出器30A、30Bおよび30Cは、積層された3つの蓄電池であり、各摩耗面の下方に設けられた水分検出器として動作する。この構造がタイヤ15内に埋め込まれることにより、摩耗データを、タイヤの摩耗の度合いの相違に応じた複数回数、送信可能である。
【0056】
図では、サンドイッチ構造の複数の蓄電池を示している。他の実施形態としては、複数の蓄電池は、各蓄電池の摩耗面が摩耗の度合が異なるような異なる材質によって形成された摩耗面を有する直列構造であってもよい。
【0057】
第1または最上の位置にある蓄電池30Aは、所定の度合の摩耗によって水分が浸透した場合、直列に接続された複数のセルが存在している等であるならば、使用される電極の種類に応じて得られる所定の電圧で電力を発生する。
【0058】
摩耗の度合が増加するのに伴い、第2の蓄電池が活性化され、最終的には、第3または最下部の蓄電池が活性化される。
【0059】
現在送信中なのがどの蓄電池であるのかを知るべく、異なる蓄電池30A、30Bおよび30Cを識別可能とするために、各蓄電池の発生電圧が異なるように各蓄電池におけるセル数を異ならせてもよい。
【0060】
異なる電圧を発生させる例は、次のとおりである:
・蓄電池30Aが、例えば1.8ボルトの電圧をもたらす2個のセルを有している。
・蓄電池30Bが、例えば2.7ボルトの電圧をもたらす3個のセルを有している。
・蓄電池30Cが、例えば3.6ボルトの電圧をもたらす4個のセルを有している。
【0061】
仮に、より多くの摩耗の度合いの種類を検出することが要求される場合には、蓄電池の数量を増やしてもよい。装置10の構造として、例えば、それぞれ積層された複数の摩耗面と複数の摩耗面との組み合わせを有していてもよく、その場合、全ての摩耗面下の水分検出器が直列に接続される。
【0062】
本発明の一実施形態において、装置10は、水分以外の他の物理的パラメータを検出するための1個以上の追加されたセンサ50をさらに有している。
【0063】
本発明はさらに、タイヤ15の摩耗を検出および表示する装置10を有するタイヤ15によって定義されるものであり、そのタイヤの発明において、装置10は、タイヤ15の接地部に設けられた少なくとも1つの水分検出器30を有している。以上説明した装置の実施形態はいずれも、タイヤ15に具備させることが可能である。
【0064】
タイヤのリトレッド(Retreading、接地部再形成)の目的のためのリラバー(Rerubbering、ゴム再生)は、トラック、ダンプカーおよびその他の自動車に用いられ、大きく摩耗する重荷重用のタイヤ15に対して実施されることが多い。タイヤ15のリラバーに際し、本装置10は、リラバーを行うよりも前に、摩耗した接地領域に配置することが可能である。
【0065】
本発明はさらに、少なくとも2つのタイヤ15を備えた自動車によって定義されるものであり、その自動車の発明において、少なくとも1つのタイヤは、摩耗を検出および表示する装置10を有しており、その装置10は、タイヤ15の接地部に設けられた少なくとも1つの水分検出器30を有するものである。
【0066】
本発明は、タイヤ15の摩耗の検出および表示に関し、高い汎用性を持つと共に低コストである解法を提供するものである。
図1
図2
図3
【国際調査報告】