【実施例】
【0040】
(0051)選択したペプチドバリアントの合成
(0052)材料
(0053) ペプチド合成用の保護アミノ酸及びカップリング剤をChemImpex Inc.(ウッドデール、イリノイ州、米国)から購入した。トリプシン、α−キモトリプシン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピペリジン、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(triisopropylsylane)(TIPS)、エタンジチオール(EDT)、フェニルシラン、チオアニソール、ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム、インドール、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)pH7.4及びカイザー(Kaiser)テストキットはSigma Aldrich(セントルイス、ミズーリ州、米国)から調達した。N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、HPLCグレードアセトニトリル及び水、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、氷酢酸はFisher Scientific(ピッツバーグ、ペンシルバニア州、米国)から購入した。Toyopearl AF−Amino−650M樹脂はTosoh Bioscience(キングオブプラシャ、ペンシルバニア州、米国)から購入した。
【0041】
(0054)方法
(0055) 選択した各配列を200mgのToyopearl AF−Amino−650M樹脂(d=75〜150ミクロン、アミノ基密度=0.4mmol/g)上で合成した。各アミノ酸カップリングステップを25分間にわたって、テフロンフリットを取り付けたポリプロピレン管において連続的な窒素流及び温度35℃の条件下で行った。樹脂をDMF中で10分間にわたってすすいだ後、カップリングを1度、3mLの無水DMF中のFmoc−Ala−OH(ベース樹脂官能基密度に対して3当量モル過剰)、HCTU(3当量)及びDIPEA(6当量)で行った。4mLのDMF中の無水酢酸及びDIPEA(50当量)でのアセチル化ステップを30分間にわたって室温で行った。次に、Fmoc保護を、DMF中の5mLの20%ピペリジンと20分間にわたってインキュベートすることで外した。
【0042】
(0056) ペプチド配列を慣用のFmoc/tBuストラテジーで合成した。各アミノ酸について、Fmoc−アミノ酸(2当量)、HCTU(2当量)及びDIPEA(4当量)の無水DMF溶液(2.5mL)を樹脂に添加した。カイザーテストでモニタしながら、2度のカップリングを各アミノ酸について行うことで全ての有効なアミノ基を飽和させた。最後のアミノ酸上のFmoc保護をDMF中の5mLの20%ピペリジンで20分かけて外し、各樹脂バッチを2つのアリコートに分割し、そのうちの1つを上述したようにアセチル化した。樹脂をDMF及びDCMですすいだ後、ペプチド脱保護を、TFA/DCM/インドール(70/28/2)を含有する切断カクテルを使用して1.5時間にわたって行った。次に、樹脂をDCM及びDMFで十分にすすぎ、最後に真空下で乾燥させた。
【0043】
(0057)アフィニティ吸着剤のクロマトグラフィ試験
(0058)材料
(0059) 凍結乾燥形態にあるヒトポリクローナル免疫グロブリンG(IgG)をEquitech−Bio,Inc.(カーンヴィル(Kernville)、テキサス州、米国)から購入した。全ての研究を室温で行った。2487UVディテクタと組み合わせたWaters 626 LCシステム(Waters、マサチューセッツ州、米国)を全てのクロマトグラフィ試験に使用した。マイクロボアステンレススチールカラム(長さ30mmx内径2.1mm)はAltech−Applied Science(サマセット、ペンシルバニア州、米国)から調達した。全ての実験を室温で行った。
【0044】
(0060)IgG結合及びペプチドリガンドのタンパク質分解酵素への耐性のクロマトグラフィによる評価
(0061) 全ての樹脂(各35mg)を30mmx内径2.1mmのマイクロボアカラム(0.1mL)(Alltech−Applied Science、サマセット、ペンシルバニア州、米国)に充填し、20%質量/質量のメタノールで膨潤させた。PBS(pH7.4)での平衡化後、3回のIgG結合試験を、10mg/mLのhIgGのPBS溶液を使用して行った。結合試験と結合試験との間に、樹脂を、0.15mg/mLのトリプシン又はα−キモトリプシンのTrisHClバッファ(pH8.5)溶液と接触させた。5回の注入の全てに用いたクロマトグラフィのプロトコルは以下の通りである。100マイクロリットルの供給物試料を流量0.05mL/分(87cm/時間)でカラムにロードした。流量0.2mL/分(348cm/時間)での2mLの平衡化バッファによる洗浄ステップ後、溶出を、4mLの0.2Mのアセテートバッファ(pH4.0)を流量0.4mL/分(696cm/時間)で使用して行った。最後に、吸着剤を4mLの0.85%リン酸で再生した。吸着剤HWRGWV−、HYFKFD−及びHFRRHL−Toyopearl(配列番号:6、16、17)樹脂をコントロールとして使用した。溶出物を280nmでの吸光度でモニタした。
【0045】
(0062)吸着剤HW
MetCitGW
MetV−、HY
MetF
MetK
(Met)2F
MetD−及びHF
MetCitCitHL−Toyopearl(配列番号:18〜20)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製
(0063) コーン画分II+IIIをPBS(pH7.4)に溶解させて約5mg/mLのIgG濃度を得て、Pall Corporation(ポートワシントン、ニューヨーク州、米国)の0.44μm及び0.22μmフィルタを使用して連続的に濾過した。上述したように各ペプチド樹脂を充填し、膨潤させた。0.25MのNaClを含有するPBSバッファでの平衡化後、100μLの供給物試料をカラムに流量0.05mL/分(87cm/時間)でロードした。カラムを2mLの平衡化バッファで流量0.2mL/分(348cm/時間)で洗浄した後、溶出を4mLの0.2Mのアセテートバッファ(pH5.0)で流量0.4mL/分(696cm/時間)で行った。清浄化及び再生を4mLの0.85%リン酸を使用して行い、続いてアセテートバッファ(pH4.0)中の4mLの2Mの尿素で洗浄した。Toyopearl AF−rProtein A−650F樹脂をポジティブコントロールとして使用した。製造業者の指示にしたがい、クロマトグラフィのプロトコルはPBS(pH7.4)(流量0.05mL/分)との結合及び0.1Mのグリシンバッファ(pH2.5)(流量0.4mL/分)での溶出を含んだ。溶出物を280nmでの吸光度でモニタした。画分を回収し、後述するようなIgG純度及び収率の分析に使用した。
【0046】
(0064)吸着剤Ac−HWRGWV−及びAc−HW
MetCitGW
MetV−Toyopearl(配列番号:21〜22)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgG精製に伝導率が及ぼす影響
(0065) 上述したように樹脂を充填し、膨潤させ、その間に注入用のコーン画分II+IIIを上述したように準備した。バインディングバッファの伝導率の影響を、PBSに添加する0、0.135及び0.25MのNaClで調査した。バインディングバッファでの平衡化後、100μLの供給物をカラムに流量0.05mL/分(87cm/時間)でロードした。クロマトグラフィのプロトコル及び画分の回収を上述した通りに行った。
【0047】
(0066)収率及び純度についての試料分析
(0067) 回収した画分中のIgG量を、1mL HiTrapプロテインGカラムを使用してHPLCにより定量化した。IgGの収率を、溶出したIgGのロードした全IgGに対する比として計算した。溶出した画分中のIgGの純度を、還元条件下、Xcell SuperLock(商標)ミニ−セルシステムにおいてNuPAGE(登録商標)Novex 4−12% Bis−Trisゲル(LifeSciences、カールスバッド、カリフォルニア州、米国)を使用し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により求めた。試料の準備を、5μLのNuPAGE(登録商標)LDSバッファ及び2μLのNuPAGE(登録商標)還元剤を13μLの試料に添加し、得られた混合物を10分間にわたって沸騰させることで行った。ゲルを、SimpleBlue(商標)SafeStainを使用してクーマシー染色した。IgG純度を、ImageJ 1.32jソフトウェア(アメリカ国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州、米国)を使用して、クーマシー染色したゲルのデンシトメトリ分析により求めた。
【0048】
(0068) 生成物の純度を、25及び50KDaでのIgGバンドと同等な総面積に対する割合として計算した。
【0049】
(0069)結果及び考察
(0070) 7種の非天然アミノ酸、すなわちN
in−メチル−トリプトファン、N
in−ホルミル−トリプトファン、4−メチル−フェニルアラニン、4−カルバモイル−フェニルアラニン、O−メチル−チロシン、e,e−ジメチル−リジン及びシトルリンを本研究のために選択した。これらの残基のパラメータ及びトポロジーファイルを、ベース構造としての対応する各標準アミノ酸について利用できるファイルを用いて作成した。側鎖官能基の修飾を、標準残基上の最もよくマッチする部分をコピーし、電荷分布を調節して電気的中性を確保することで導入した。得られたパラメータ及びトポロジーファイルの変更部分をPRODRGサーバに送信したものと照合して、アミノ酸修飾のパラメータ化についての標準的な検証工程を行った。こうしてペプチド配列のバーチャルライブラリが作成され、HADDOCK2.1を使用してhIgGに対するスクリーニングを行った[S.J.de Vries,A.D.J.van Djik,M.Krzeminski,M.van Dijk,A.Thureau,V.Hsu,T.Wassenaar,A.M.Bonvin,Proteins:Struc.Funct.&Bioinformatic 69(2007)726及びC.Dominguez,R.Boelens,A.M.Bonvin,J.Am.Chem.Soc.125(2003)1731]。
【0050】
(0071) 物理的に意味のあるドッキングを行うために、Yangらによるこれまでの発見に基づいた幾つかの制約をシミュレーションに取り入れた。第1に、hIgGのFcフラグメントのプロテアーゼ消化産物のMS分析により、pFcセグメント上でのHWRGWVに関する推定上の結合配列が明らかとなり、配列はループSer383〜Asn389(SNGQPEN)を含み、ループはプロテインA結合部位(hIgG上の残基341〜443)とはまるで異なることが判明した[23]。この結果はペプチドHWRGWVがhIgG結合に関してプロテインAと競合しないという観察結果と一致した。第2に、ペプチド配列の最初の3つのアミノ酸、すなわちヒスチジンとそれに続く芳香族残基及び塩基性残基を含む基本モチーフがIgG結合にとって極めて重要である。これは、ヘキサペプチドの固相ライブラリをスクリーニングすることで同定された、配列HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHL(配列番号:1〜3)に見られるコンセンサス配列により立証されている[21]。この相同性に基づき、2つの配列HYFKFD及びHFRRHLがHWRGWVと同じhIgGの結合部位と相互作用すると考えるのはもっともである。
【0051】
(0072) 最後に、ペプチドのC末端はクロマトグラフィ樹脂の表面に繋ぎ止められているため、どちらかというとヘキサペプチドリガンドの残基5及び6はIgGの標的化において限られた役割しか果たしていないと考えられる。この情報に基づき、hIgG上の残基Ser383〜Asn389を「活性である」と定義し、リガンドドッキングのための標的として使用した。全ての活性な残基は、プログラムNACCESSで明らかとなるように、40%より高い相対的溶媒接触率を示す[Campbell&Thornton(1991)J.Mol.Biol.220,507−530]。
【0052】
(0073) 更に、各ペプチドバリアントに関し、残基1〜2はhIgGの残基389〜387を標的とし、残基3〜4は残基386〜383を標的とし、残基5及び6には標的を割り当てず、相互作用しようするIgG上のいずれの残基とも相互作用するがままとした。検証におけるバイアスを最小限にとどめるために、ドッキングシミュレーションで得られる複合体を選定するにあたって、以下の一般基準を案出した。(1)分子ドッキングの最終段階において各配列について決定した全ての構造を、デフォルトクラスタ化RMSD(平均二乗距離の平方根)カットオフは通常7.5Åに設定されるのに対して2.5Åの厳しいRMSDカットオフ、また4構造の最小クラスタサイズに基づいてクラスタ化した。(2)分析に使用した構造は、各クラスタで最もエネルギー的に好適なドッキング構造であった。(3)各クラスタを、三次元構造が既知である所与のタンパク質−リガンド複合体の結合親和性を見積もる経験的スコアリング関数であるスコアリング法:dComplex、XScore及びFireDockを使用して分析した。
【0053】
(0074) これらの関数はファン・デル・ワールス相互作用、水素結合、変形ペナルティ、疎水作用、ACE、弱化したファン・デル・ワールス相互作用、部分静電気、結合自由エネルギーの追加推定値及び双極子-双極子相互作用を考慮する[Wang,R.,Y.Lu,and S.Wang,Comparative evaluation of 11 scoring functions for molecular docking.J Med Chem,2003.46(12):p.2287−303及びAndrusier,N.,et al.,Principles of flexible protein−protein docking.Proteins,2008.73(2):p.271−89及びMashiach,E.,et al.,FireDock:a web server for fast interaction refinement in molecular docking.Nucleic Acids Res,2008.36(Webサーバー版):p.W229−32及びLiu,S.,et al.,A physical reference state unifies the structure−derived potential of mean force for protein folding and binding.Proteins,2004.56(1):p.93−101]。複数のスコアリング法を用いたハイブリッドアプローチを採用することで、特定の1つの方法に結果が偏らないようにした。各クラスタをそれぞれのスコアリング法におけるその個々のスコアにしたがって順位づけし、そのようにして作成された個々の順位づけを総計及び平均した。元の配列及び幾つかの選択したバリアントの最終的な順位を表2に示す。
図1は、クラスタ番号1の配列(a)HWRGWV、(b)HFRRHL、(c)HW
MetCitDW
MetV及び(d)HF
MetCitCitHL(配列番号:1、3、4、5)を示す。
【0054】
(0075) ドッキングシミュレーションにより1つの配列あたり複数のクラスタが生成されるものの、多くの場合、クラスタ番号1が、最多構造数及び上記のハイブリッドスコアリング法で最低の平均値を示した。そのような再現性はドッキングシミュレーションがうまくいったことを示し、主要クラスタより著しく低いエネルギーで出現する外れ値を除外することを可能にする。HWRGWV及びHFRRHLをこれらのバリアントHWCitGWV及びHFCitCitHL(配列番号:1、3、10、23)と比較することで、前者は標的抗体との最も多くの接触部を有し、後者は最も多くの水素結合を有することが注目された。これは、アルギニンを含む元の配列と比べると、特には静電成分に関し、バリアントの結合機序が若干異なることを示している。実際、(pH7.4で)正に帯電したアルギニンを電気的に中性なシトルリンで置換すると、結合の静電成分は大幅に減少する。一方では、この置換により、ペプチドバリアントが標的抗体に結合する予想自由エネルギーは元の配列より低くなり、これは前者が後者より低い結合容量を有し得ることを示唆している。他方で、生成物の純度を低下させる負に帯電したタンパク質(特にはアルブミン)の非特異的な静電結合をバリアントが電位的に起こしにくくなる。これらの違いは、クロマトグラフィのプロトコル、特にはバインディングバッファの伝導率がIgG収率及び純度に及ぼす影響に直接影響し、それについては本明細書において論じる。
【0055】
(0076) HWRGWV及びHFRRHLの他のバリアントをホルミル−トリプトファン及びカルバモイル−フェニルアラニンを使用して設計したが、どちらも良好なスコアを得られなかった。アスパラギン酸とIgG上の残基383〜386(SNGQ)(配列番号:24)との間に水素結合を電位的に形成して親和性を上昇させることを目的として、もう1つのバリアントHW
MetCitDW
MetV(配列番号:4)を、グリシンをアスパラギン酸で置換することで作成した。しかしながら、予想に反して、この配列のスコアは低かった。HYFKFD並びにその2つのバリアントHY
MetF
MetK
MetF
MetD及びHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetD(配列番号:2、13、7)にも行ったが、得られたスコアは平均して悪く、これはHWRGWV、HFRRHL及びこれらのバリアントより親和性が低いことを示す。
【0056】
(0077) 表2に挙げた配列をToyopearl樹脂上に、全て密度約0.12ミリ当量/gで合成した。このようにして得られた各吸着剤をクロマトグラフィカラム(0.1mL)に充填し、IgG結合について試験した。素通り画分及び溶出画分を回収し、プロテインGクロマトグラフィで分析してIgG収率を求めた(表2)。各配列の平均順位と収率とを比較すると、ドッキングシミュレーションと抗体結合の実験結果とがよく一致していることがわかる。これは、バーチャルライブラリの設計、ドッキング制約の割り当て及びシミュレーション結果の分析がうまく行われ、ペプチドバリアントを選定するための効果的なストラテジーを構成していることを裏付けている。
【0057】
(0078)
【表2】
【0058】
(0079)IgG結合及びタンパク質分解酵素への耐性によるペプチドリガンドのクロマトグラフィによる評価
(0080) 表2で報告した結果に基づき、元の配列HWRGWV、HFRRHL及びHYFKFD(配列番号:1〜3)並びにこれらのバリアントHW
MetCitGW
MetV、HF
MetCitCitHL及びHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetD(配列番号:4、5、7)を、酵素による消化に対するその耐性について試験した。配列HW
MetCitGW
MetV、HF
MetCitCitHLをそれぞれの元のペプチドの最良のバリアントとして選択し、HY
MetF
MetK
Met2F
MetDをネガティブコントロールとして使用した。最後に、もう2つの配列HWCitGWV及びHW
MetRGW
MetVを中間バリアントとして選択し、したがって1種の酵素にしか耐性を示さないと予測した。各吸着剤をクロマトグラフィに5回連続して供した。まず、10mg/mLの純粋なヒトポリクローナルIgGのPBS溶液を注入して各吸着剤についてIgG収率を求めてからいずれの酵素とも接触させた。この最初の回で4種全てのペプチドバリアントが収率91%を超えた。次に、樹脂を、Trisバッファ(pH8.5)中のα−キモトリプシン溶液に10分間接触させた。カラムにロードした酵素の量は、Verdolivaら[35]が行ったように、質量比1:100のペプチド:酵素であった。樹脂をすすいだあと、次に2回目のIgG注入を行うことでα−キモトリプシンによるペプチドリガンドの消化を原因とする結合容量の損失を見積もった。次に、樹脂を第2の酵素溶液、すなわちTrisバッファ(pH8.5)中のトリプシンと同じペプチド:酵素比で接触させた。2回目の酵素処理後、3回目のIgG注入を最後に行うことで各樹脂の残りの結合容量を見積もった。
図4は、吸着剤HW
MetCitGW
MetV−Toyopearl、HW
MetRGW
MetV−Toyopearl、HWCitGWV−Toyopearl及びHWRGWV−Toyopearl(配列番号:18、25、26、6)樹脂についての3回のIgG注入のクロマトグラムを示す。
【0059】
(0081) HWRGWVはトリプシン及びα−キモトリプシンの両方により明らかに分解されており、両方の酵素で処理した後の結合容量の損失で示される通りであるが(
図2、a)、そのバリアントであるHW
MetCitGW
MetVはどちらにも全く影響されない(
図2、d)。予想した通り、中間バリアントHW
MetRGW
MetV及びHWCitGWVはそれぞれα−キモトリプシン及びトリプシンの1種の酵素にしか耐性を示さない(
図2、b及びc)。残りの吸着剤について得られた結果を表3にまとめる。表3は、α−キモトリプシン(2回目のIgG注入)及びトリプシン(3回目のIgG注入)での処理前(1回目)及び処理後のIgG収率値を示す。
【0060】
(0082)
図2のパネル(A)〜(D)は、天然のペプチドバインダ及び修飾ペプチドバインダのタンパク質分解消化産物を示す。
【0061】
(0083) (A)のクロマトグラムは、両方のタンパク質分解酵素が元のペプチドリガンドを消化することを示す。まず、トリプシンがRを攻撃し、次にα−キモトリプシンがWで切断する。
【0062】
(0084) (B)のクロマトグラムは、修飾W
Mのおかけでα−キモトリプシンはペプチドを切断しないこと、その一方でトリプシンはペプチドをRで切断することを示す。
【0063】
(0085) (C)のクロマトグラムは同様の挙動を示すが、シトルリンがRに取って代わるためトリプシンは効果がない。
【0064】
(0086) (D)のクロマトグラムは、WをW
Mに、またRをシトルリンに置換したことで、どちらの酵素でも分解の兆候がないことを示す。
【0065】
(0087) 幾つかの他のペプチド配列を、複合培地からの抗体のアフィニティ精製用に同定した。マウスの腹水から抗顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)モノクローナル抗体を捕捉するために、配列APAR(配列番号:27)を合成テトラペプチドライブラリから選択した。ペプチドリガンドPDTRPAP(配列番号:28)を、がん関連MUC1ムチンに対して産生させた抗体を使用したエピトープマッピングにより同定した。Ehrlich及び共同研究者はペプチド配列EPIHRSTLTALL(配列番号:29)を、ヒト化抗Tac IgG1抗体(HAT)のpFcフラグメントに対するバイオパニングを通してファージディスプレイライブラリから単離した。Fassina及び共同研究者は、TG19318又はPAM(プロテインA模倣物)としても知られる、IgGのFc部に結合するトリペプチドテトラマー(Arg−Thr−Tyr)
4−Lys
2−Lys−Gly(配列番号:30)を同定した。昨今、Lundらは、D
2AAG(配列番号:31)と称される、IgG精製用のペプチドリガンドを発表し、このペプチドリガンドはアルギニン(A)及びグリシン(G)並びに合成の芳香族の酸である2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアクリレート(D)を含む。抗体精製で知られるこれらのペプチドリガンドは全て、芳香族(トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン)又は塩基性アミノ酸(リジン及びアルギニン)のいずれかを含有し、これらがペプチドリガンドをトリプシン及び/又はα−キモトリプシンによるタンパク質分解を起こしやすくしている。したがって、ここで提案する方法は、プロテアーゼ耐性ペプチドバリアントの設計に関して極めて広い有効性を有する。したがって、酵素による切断に耐性があるペプチドリガンドバリアントの構築が可能である。これらのリガンドは、動物の血漿からのIgG及び他の目的とするタンパク質の精製に使用することができる。
【0066】
(0088) 追加の注釈として、生化学的に安定なペプチドリガンドを製造するための本明細書に記載の方法は概してタンパク質分解酵素を含有し得る任意の体液から精製しようとする全種類の標的生体分子に対して有効であるため、リガンドバリアントの設計及び標的生体分子に対するそのスクリーニングの工程のオートメーション化が可能なことに留意すべきである。天然アミノ酸を含む所与のペプチドリガンドについて、ソフトウェアは、修飾アミノ酸を使用してペプチドバリアントのライブラリを作成する。また、この設計ユニットは続くドッキングモジュールに連結され、ドッキングモジュールは設計した配列を標的分子又は、より理想的には、標的分子上の既知の結合領域にドッキングさせる。このソフトウェアパッケージは、本格的なドッキングプログラムがある設備を持ち合わせていないユーザにとって非常に価値があるものとなり得る。
【0067】
(0089)
【表3】
【0068】
(0090) リガンドHFRRHL及びその誘導体HF
MetCitCitHLで得られた結果はHWRGWV及びHW
MetCitGW
MetVの結果に非常によく似ている。配列HWRGWVはトリプシンにとって申し分のない基質であり、これはアルギニンに対してC位にあるグリシンが酵素によるペプチド攻撃にとって立体的に好ましいからである可能性が最も高い。配列上でのアルギニンの近接により酵素攻撃は若干弱るものの、ペプチドHFRRHLもトリプシンにとって良い基質である。逆に、HYFKFDはトリプシンによる攻撃の影響を殆どうけないが、これはペプチド上での酵素活性部位の効果的な係留を妨げ得る、リジンに隣接する残基の立体障害のせいであると考えられる。そのバリアントHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetDは、配列がタンパク質回収には不向きであることが低収率値により示されてはいるものの、タンパク質分解に対して高い耐性を示す。
【0069】
(0091) 配列次第であるが、これらの結果は、同様の抗体結合特性を維持したまま天然アミノ酸が類似の合成残基に置換されることをはっきりと実証している。
【0070】
(0092) ドッキングシミュレーションで予測されるように、元の配列の時の結合特性が、酵素による消化に対する高い耐性をもたらす。芳香族アミノ酸のメチル化がα−キモトリプシンによるタンパク質分解攻撃を大幅に弱化させ、シトルリン及びメチル化リジンの使用がトリプシンの作用を完全に防止すると思われる。提案する置換の中で最も重要と思われるにも関わらず、結合の静電成分を減少させる限り、シトルリンは標的への結合及び生化学的耐性の両方の観点から極めて優れた置換基であることが判明した。
【0071】
(0093)吸着剤HW
MetCitGW
MetV−、HF
MetCitCitHL−及びHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetD−Toyopearl樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製
(0094) IVIG精製用に提案のリガンドバリアントの適用可能性を測るために、配列HW
MetCitGW
MetV、HF
MetCitCitHL及びHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetDをヒト血漿のコーン画分II+IIIからのポリクローナル抗体の精製に使用した。元のペプチドリガンドをポジティブコントロールとして使用した。コーンII+IIIペーストの粗原料をPBSで希釈して供給物試料を調製し、固体粒子を濾過により除去してからカラムに注入した。この作業で採用したクロマトグラフィのプロトコルは前もっての最適化から導きだされ、バインディングバッファとしてのPBS中の0.25MのNaCl及び溶出用の0.2Mのアセテートバッファ(pH5.0)の使用を含んだ[24]。画分を回収し、プロテインGクロマトグラフィ及びSDS−PAGE(
図3)により分析することでIgG収率及び純度をそれぞれ求めた。結果を表4にまとめた。
【0072】
(0095)
【表4】
【0073】
(0096) バリアントHW
MetCitGW
MetV及びHF
MetCitCitHLで得られた生成物の収率及び純度は、元の配列及びプロテインAで得られる結果に全く引けをとらない。溶出した画分中に少量のアルブミンを検出する場合があるものの(
図3)、両方のリガンドが極めて高い生成物収率及び純度をもたらした。観察可能な汚染物質の殆どはカラムをあっさりと通過し、他の免疫グロブリン(すなわち、IgA及びIgM)が結合することが一部あるものの、溶出条件(pH5.0)を選択することで溶出画分でのその存在を最小限に抑えた[49]。バリアントHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetDでは高い生成物純度が得られたが、収率の点で劣った。後者は上記の結果から予想できたが、溶出画分における高IgG純度は予想外であった。アルキル化アミノ酸の使用に起因する高い配列疎水性にも関わらず疎水性相互作用による不純物の非特異的な結合が殆どなかったのは驚きである。
【0074】
(0097) また、ペプチドバリアントと結合するアルブミン及び他の不純物の量が元の配列で観察されるものより終始一貫して少ないことに注目すると興味深い。このことはこれまでの発見及びドッキングシミュレーションで得られた情報を考慮すると説明することができる。例えば、pH7.4で2つの正電荷(1つはアルギニン、もう一方はペプチドN末端)を有する元の配列HWRGWVは、血漿中に存在する最も豊富で負に帯電したタンパク質であるアルブミン(pI=4.7)を静電的相互作用により捕捉すると判明した。アルブミン及び類似のタンパク質不純物のこの非特異的な結合を回避するために、生成物の収率及び純度の点で最良の妥協点がもたらされる最適レベルまで塩化ナトリウムを添加することで、バインディングバッファの伝導率を上昇させた[25]。しかしながら、塩の使用は、精製工程に更に費用がかかるということである。正に帯電した残基をシトルリン、ジメチル化リジン等の電気的に中性なアミノ酸で置換することで、バインディングバッファ中に存在する塩の量に関係なく、静電結合の程度は本質的に低下する。これらの発見は、リガンドバリアントで得られる高い純度を説明する一方で(表3)、塩が収率及び純度に及ぼす影響についてのより徹底した研究を必要とし、この研究については後出のセクションで紹介する。
【0075】
(0098)吸着剤HWRGWV−Toyopearl、Ac−HWRGWV−Toyopearl、HW
MetCitGW
MetV−Toyopearl及びAc−HW
MetCitGW
MetV−Toyopearl(配列番号:6、32、18、22)樹脂を使用したヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGの精製に伝導率が及ぼす影響
(0099) 結合の静電成分の程度を測るために、バインディングバッファの伝導率が生成物の収率及び純度に及ぼす影響を、異なる電荷値及び分布を有する4種のペプチドリガンド:(a)元のHWRGWV、(b)そのアセチル化版Ac−HWRGWV、(c)バリアントHW
MetCitGW
MetV及び(d)そのアセチル化版Ac−HW
MetCitGW
MetVを使用して研究した。
【0076】
(0100) これら4種の配列を、コーン画分II+IIIからのIVIGの精製に使用した。HWRGWVを使用したIVIG精製のこれまでの研究において上述したように、PBS+0.25MのNaClを最適なバインディングバッファとして選択した。前出のセクションで得られた結果は、正に帯電したアミノ酸を中性の残基で置換するとリガンドの静電挙動が減少するため生成物純度が上昇するという仮説につながった。この仮説を検証するために、結合研究を上で挙げた配列並びにPBS中に0M、0.13M及び0.25MのNaClを含む3種のバインディングバッファを使用して繰り返した。
図4は4種の吸着剤のそれぞれでの、異なる伝導率で得られたSDS−PAGEの結果を示し、表9は得られた生成物収率及び純度の値を示す。
図3。吸着剤(a)HWRGWV−Toyopearl樹脂及びHW
MetCitGW
MetV−Toyopearl樹脂、(b)HFRRHL−Toyopearl樹脂及びHF
MetCitCitHL−Toyopearl樹脂並びに(c)HYFKFD−Toyopearl樹脂及びHY
MetF
MetK
(Met)2F
MetD−Toyopearl樹脂を使用した、ヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。表記:FT−素通り画分、EL−溶出画分。
【0077】
(0101)
図4異なる塩濃度のバインディングバッファで行ったヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIgGのクロマトグラフィ精製のSDS−PAGE(還元条件)。(a)HWRGWV及びAc−HWRGWV、(b)HW
MetCitGW
MetV及びAc−HW
MetCitGW
MetV。表記:FT−素通り画分、EL−溶出画分。
【0078】
(0102)
【表5】
【0079】
(0103) 表5が示すように、ペプチド上の正電荷の数値の低下はより高いIgG純度につながる。予想通り、バインディングバッファの伝導率が生成物の純度に及ぼす影響は、2つの正電荷を有するため静電力の遮蔽の影響を最も受けやすいHWRGWVで極めて明白であり、Ac−HW
MetCitGW
MetVでは、伝導率の影響はほぼ無視してよいものである。後者とHW
MetCitGW
MetV、また元の配列及びそのアセチル化形態とを比較すると、ペプチドN末端のアセチル化は、シトルリンによるアルギニンの置換より生成物の収率及び純度への影響が少ないことがわかる。低伝導率のバインディングバッファを使用してAc−HW
MetCitGW
MetVで得られたIgG純度(93%)は、HWRGWVを使用して得られたどの値(81〜83%)よりも高い。とりわけ、収率を犠牲にして高純度が達成されたことはなく、このバリアントに関して元の配列のものより若干低い結合のΔ
iGを予測したドッキング計算の結果に基づいて幾らかの低下を予測していたにも関わらず、純度は安定して90%を超え続けた。配列Ac−HW
MetCitGW
MetVは、小ペプチドリガンドアフィニティクロマトグラフィをベースとした手頃且つロバストな抗体精製法に必要とされる特徴を数多く有する。
【0080】
(0104)結論
(0105) 本研究は、標的親和性及び選択性並びに生化学的安定性の極めて優れた特徴を有する、非天然アミノ酸を含む小ペプチドリガンドを設計するためのストラテジーを提供する。既知のペプチド配列について得られる情報(特には、標的とする生体分子上での結合部位)及び最先端のモデリングツールの使用をベースとして、本方法は、鍵アミノ酸残基を非天然バリアントで置換することで結合機序を都合よく変化させる又は化学的及び生物学的な物質(例えば、強酸、強塩基及びタンパク質分解酵素)に対する安定性を付与することを指導する。HWRGWV、HYFKFD及びHFRRHLの3種の抗体結合ペプチドを、より高いタンパク質分解耐性を示し且つ高い標的親和性及び特異性を維持するリガンドバリアントを開発するためのモデルとして利用した。コーン画分及びハイブリドーマ細胞培養液等の血漿をベースとした流体から回収される抗体の価値が高いことから、本研究はこれらのペプチドに主要な血漿プロテアーゼであるトリプシン及びα−キモトリプシンに対する生化学的安定性を付与することを目指した。これを目的とし、芳香族及び塩基性アミノ酸をメチル化バリアント及びシトルリンで置換することでバリアントのバーチャルライブラリを設計し、次に分子ドッキングソフトウェアHADDOCKを使用してIgG上のペプチド結合部位(Ser383〜Asn389)に対するin silicoスクリーニングを行った。
【0081】
(0106) ドッキング計算の結果に基づいて選択したペプチドバリアントをクロマトグラフィ樹脂上に合成し、タンパク質分解に対する耐性及びヒト血漿のコーン画分II+IIIからのIVIGの精製について試験した。これらのバリアントはこれらの親配列に匹敵する標的親和性及びはるかに高い生化学的耐性を有する。更に、HWRGWV関連バリアントのIgG結合機序の静電成分についての徹底的な研究により、元の配列HWRGWVより高い選択性を示す配列Ac−HW
MetCitGW
MetVが同定された。アルブミン及び他の不純物との結合が本質的に少ないことを吸着剤Ac−HW
MetCitGW
MetV−Toyopearl樹脂は示し、これは高IgG純度を得るのにバインディングバッファで必要とされる塩の量が減少するため精製コストが低下するということである。
【0082】
(0107) 本発明で用いたアプローチは概して、生体分子を標的とするいずれの小合成又は天然ペプチドリガンドでも有効である。結合部位が一旦うまく絞れたならば、分子ドッキング用の信頼性の高いプログラムを使用して大きなライブラリを迅速且つ安価に設計及びスクリーニングすることが可能である。結合強度を適切に見積もることに加え、これらのツールは、リガンド−標的相互作用の性質に関する洞察も与える。アミノ酸置換基を慎重に選択することで、ペプチドリガンドの生化学的性質を微調整することができる。特に、電荷並びに疎水性及び親水性基の分布を変更することで、生化学的安定性に加えて親和性及び選択性を強化することが可能である。化学分解しやすいアミノ酸(例えば、アルカリ性条件下でアミド分解を起こすアスパラギン及びグルタミン)の代わりに合成バリアントを使用することは、タンパク質溶出並びにカラムの清浄化及び衛生化にきつい化学物質を使用するアフィニティクロマトグラフィ用のペプチドリガンドの設計に特に適している。化学分解の度合いの低下は吸着剤の寿命が延びることを意味する。
【0083】
(0108) また、本明細書で提示のアプローチには、タンパク質活性機序の根底にある非共有結合性相互作用についての基礎的な研究の余地がある。適切なアミノ酸を使用して特定の結合成分を抑制する又は活性化することで、生体認識現象を研究し、標的とリガンドとの特異的相互作用を制御する小生体分子を設計することが可能である。本研究は、標的抗体への結合において幾つかの点でプロテインAをしのぐ小ペプチドバリアントを提示することでこの方向の一例を示すものである。これらの発見は、バイオセパレーション、より広くはバイオテクノロジーにおける多種多様な用途向けの、大きな可能性を秘めた最適な合成タンパク質模倣物に向けての前進である。
【0084】
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【0085】
(0109) 本発明について詳述してきたが、上記は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の他の態様、利点及び改変は、後述する請求項の範囲に含まれる。本明細書で引用の全ての出版物、特許及び特許出願は、個々の出版物又は特許出願があたかも参照により具体的且つ個別に示されて援用されたかのように、参照により本願に援用される。
【0086】
【表6】