(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-527437(P2016-527437A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】ファントラックライナー
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20160815BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
F02C7/00 E
F02C7/00 F
F02C7/00 C
F02C7/00 A
F01D25/24 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-530609(P2016-530609)
(86)(22)【出願日】2014年7月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】GB2014052343
(87)【国際公開番号】WO2015015208
(87)【国際公開日】20150205
(31)【優先権主張番号】1313594.2
(32)【優先日】2013年7月30日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515254563
【氏名又は名称】コンポジット テクノロジー アンド アプリケーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グレーンジャー,フィリップ スタンリー
(57)【要約】
ガスタービンエンジンのための封じ込め構造は、半径方向外側の環状ケーシング(12)と、第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる衝突域(30)を含むケーシング内に半径方向に位置するファントラックライナー(28)と、軸方向成分を有する方向に衝突域を通って延在する少なくとも1つの細長い隆起部であって、第1の圧縮強度よりも高い第2の圧縮強度を有する隆起部(26)と、ファントラックライナー内に半径方向に位置するガス洗浄層(38)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向外側の環状ケーシングと、
第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる衝突域と、
前記第1の圧縮強度よりも高い第2の圧縮強度を有する、軸方向成分を有する方向に前記衝突域を通って延在する少なくとも1つの細長い隆起部と、
を含む前記ケーシング内に半径方向に位置するファントラックライナーと、
前記ファントラックライナー内に半径方向に位置するガス洗浄層と、
を備えた、ガスタービンエンジンのための封じ込め構造。
【請求項2】
前記衝突域は、前記第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向外側層と、前記第1の圧縮強度よりも低い第3の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向内側層とを含む、請求項1に記載の封じ込め構造。
【請求項3】
前記衝突域の前記半径方向外側層と前記半径方向内側層との間に配置された隔壁層をさらに含む、請求項2に記載の封じ込め構造。
【請求項4】
前記ガス洗浄層は摩耗性である、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項5】
前記隆起部は分離した隆起要素を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項6】
前記隆起部は実質的に連続している、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項7】
前記隆起部の断面は実質的に三角形である、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項8】
前記隆起部の軸方向範囲は、前記ファントラックライナーの軸方向範囲に実質的に等しい、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項9】
前記隆起部は、前記ケーシングの軸に対して傾斜している、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項10】
前記隆起部は、実質的に軸方向に延在している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項11】
前記隆起部は、前記衝突域の前記半径方向内面の半径方向外側に位置する半径方向内側縁部を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項12】
前記ファントラックライナーは、複数のパネルを含み、各パネルは、前記衝突域の衝突部を形成し、各パネルは、前記第1の圧縮強度を有する前記セル状材料からなる、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項13】
前記隆起部は、2つの隣接するパネルの間に配置されている、請求項12に記載の封じ込め構造。
【請求項14】
前記隆起部の少なくとも一部は、前記パネルの少なくとも1つの前記衝突部内に形成された凹部に配置されている、請求項13に記載の封じ込め構造。
【請求項15】
2つの隣接するパネルには、その間に前記隆起部を収容する空隙を画定する縁凹部が設けられている、請求項13または14に記載の封じ込め構造。
【請求項16】
前記衝突域の前記セル状材料は、発泡構造、押出構造および/またはハニカム構造からなる、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項17】
前記隆起部はセル状材料からなる、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項18】
前記隆起部の前記セル状材料は、発泡構造、押出構造および/またはハニカム構造からなる、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項19】
前記ファントラックライナーは、円周方向に離間した複数の隆起部を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の封じ込め構造。
【請求項20】
ガスタービンエンジンのための封じ込め構造の環状ファントラックライナーのためのファントラックライナーパネルであって、前記ファントラックライナーパネルは、円周方向および軸方向に延在し、かつセル状材料からなり、前記ファントラックライナーパネルには軸方向成分を有する方向に延在する細長い凹部が設けられており、前記凹部は、前記パネルの少なくとも半径方向外面で開放され、かつ前記ファントラックライナーの細長い隆起部の少なくとも一部を受け入れるように構成されている、ファントラックライナーパネル。
【請求項21】
前記凹部は、前記パネルのうちの1つの縁部に形成されている、請求項20に記載のファントラックライナーパネル。
【請求項22】
前記パネルの前記縁部は、実質的に軸方向に延在している、請求項20または21に記載のファントラックライナーパネル。
【請求項23】
前記パネルの前記縁部は、前記ファントラックライナーの軸に対して傾斜している、請求項20または21に記載のファントラックライナーパネル。
【請求項24】
前記細長い隆起部は、前記凹部内に位置している、請求項20〜23のいずれか1項に記載のファントラックライナーパネル。
【請求項25】
前記凹部および前記隆起部は、相補的な実質的に三角形の断面を有する、請求項24に記載のファントラックライナーパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボファンエンジンのためのファンブレード封じ込め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボファンエンジンは典型的に、その上流端に向かって複数のファンブレードを含むファンを有する。各ファンブレードは、中央のファンディスクに接続されている。使用時に、ファンは、エンジンのタービン段によって回転するように駆動される。ファンの回転速度は、各ファンブレードに大きな遠心負荷を与える。例えば異物の衝突後に、ファンブレードの一部または全体がファンディスクから外れてしまう稀な事例では、ブレードの運動量により、ブレードが大きな速度で半径方向外側に移動してしまう。これは、ファンブレードオフ事象として知られている。
【0003】
ファンブレードは、空気をエンジンの中に引き込むように設計された空気力学的形状を有する。各ブレードに対する空気力により、ブレードがファンディスクから外れた場合、それがエンジンの前方に移動してしまうことがある。
【0004】
安全上の理由から、ファンブレード材料がターボファンエンジンの側方または前方から抜け出るのを防止することが望ましい。従って、ターボファンエンジンには典型的に、ファンの周りに円周方向に配置されたファンブレード封じ込め構造が設けられている。
【0005】
公知の封じ込め構造は、外側ケーシングとハニカム状ファントラックライナーとを備える。ファンブレードオフ事象の間、外れたファンブレードまたはファンブレードの外れた部分は、ハニカム状ファントラックライナーに衝突し、このファントラックライナーは、衝突しているブレードのエネルギーを吸収するにつれて圧縮および/または圧壊される。ファンの1つ以上のさらなるブレードが、外れたブレードと衝突する場合もあり、これにより、1つ以上のさらなるブレードが壊れたり外れたりする可能性がある。ファンブレードオフ事象下にあるファンブレード材料は、それ自体の運動量および/またはファンブレード材料に衝突しているファンのさらなるブレードにより、封じ込め構造の周りで吹き飛ばされることがある。ファンブレード材料が、エンジンの前方から噴き出されることもあり、これにより航空機が危険に曝される場合がある。
【0006】
ファンブレードオフ事象後は、ターボファンエンジンは通常、非常に不安定になり、これにより、エンジンおよびその支持構造(すなわち航空機の翼)に横荷重が加わり、その結果、支持構造が損傷されたり、航空機がさらに危険に曝されたりする場合がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、半径方向外側の環状ケーシングと、第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる衝突域を含む、ケーシング内に半径方向に位置するファントラックライナーと、第1の圧縮強度よりも高い第2の圧縮強度を有する、軸方向成分を有する方向に衝突域を通って延在する少なくとも1つの細長い隆起部と、ファントラックライナー内に半径方向に位置するガス洗浄層とを備えた、ガスタービンエンジンのための封じ込め構造を提供する。
【0008】
衝突域は、第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向外側層と、第1の圧縮強度よりも低い第3の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向内側層とを含む、セル状材料の2つの層を含んでいてもよい。3つ以上のセル状材料の層が存在してもよい。
【0009】
封じ込め構造は、衝突域の半径方向外側層と半径方向内側層との間に配置された隔壁層をさらに含んでいてもよい。隔壁層は、1mm〜10mmの半径方向範囲を有していてもよい。隔壁層は、複合材料、例えば、ガラスまたは炭素繊維強化ポリマー(GFRP、CFRP)で構成されていてもよい。複合材料は一般に、異なる材料特性、例えば、強度および延性を有する2種以上の構成材料からなる。複合材料は、マトリックス材料および繊維強化材料で構成されていてもよい。
【0010】
ガス洗浄層は、摩耗性層であってもよい。摩耗性層は、2mm〜10mmの半径方向範囲を有していてもよい。摩耗性層は、セル状材料で構成されていてもよい。摩耗性層のセル状材料は、発泡ハニカム構造で構成されていてもよい。セル状材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンまたはチタン合金あるいはプラスチック材料で構成されていてもよい。摩耗性層のセル状材料は、エポキシまたは他のプラスチック材料を含んでいてもよい。例えば、セル状材料内の空隙は、エポキシまたは他のプラスチック材料で少なくとも部分的に充填されていてもよく、それらの材料は顆粒状であってもよい。プラスチックまたはエポキシ材料は、例えば、氷や砂に対する向上した低い耐衝突性および耐摩耗性を有する摩耗性層を提供してもよい。
【0011】
隆起部は、連続していなくてもよい。隆起部は、分離した隆起要素を含んでいてもよく、それらは互いに軸方向に分離されていてもよい。あるいは、隆起部は連続していてもよい。
【0012】
隆起部の断面は、任意の好適な形状を有していてもよい。一実施形態では、この断面は、実質的に三角形である。他の実施形態では、隆起部の断面は、実質的に半円筒状または実質的に立方状であってもよい。隆起部は、平らな半径方向内面を提供するように切頭形状を有していてもよい。隆起部は、片側または両側に傾斜部を有していてもよい。
【0013】
隆起部の軸方向範囲は、ファントラックライナーの軸方向範囲と実質的に等しいかそれよりも小さくてもよい。隆起部は、実質的に軸方向に延在していてもよいが、いくつかの実施形態では、隆起部は、ケーシングの軸に対して傾いていてもよく、例えば、後退構造または螺旋状構造を有していてもよい。
【0014】
ファントラックライナーは、各パネルが衝突域の衝突部を形成する複数のパネル含んでいてもよい。各パネルは、第1の圧縮強度を有するセル状材料で構成されていてもよい。各パネルは、第1の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向外側層と第1の圧縮強度よりも低い第3の圧縮強度を有するセル状材料からなる半径方向内側層とを含む、セル状材料の2つの層を含んでいてもよい。各パネルは、セル状材料の3つ以上の層を含んでいてもよい。
【0015】
隆起部は、2つの隣接するパネルの間に配置されていてもよい。隆起部は、パネルのうちの1つの衝突部に形成された凹部に少なくとも部分的に配置されていてもよい。2つの隣接するパネルには、その間に隆起部を収容する、空隙を画定する縁凹部が設けられていてもよい。あるいは、隆起部は、パネルのうちの1つの衝突部に形成された凹部に全体が配置されていてもよい。
【0016】
隆起部は、半径方向内側縁部を有していてもよく、この縁部は、衝突域の半径方向内面の半径方向外側に位置する。
【0017】
ファントラックライナーパネルの衝突域および/または衝突部は、20mm〜50mm、25mm〜40mmまたは30mm〜35mmの半径方向範囲を有していてもよい。
【0018】
隆起部は、10mm〜40mm、15mm〜30mmまたは20mm〜25mmの半径方向範囲を有していてもよい。隆起部は、10mm〜50mm、15mm〜35mmまたは20mm〜30mmの円周範囲を有していてもよい。
【0019】
衝突域のセル状材料は、発泡構造、押出構造および/またはハニカム構造で構成されていてもよい。上記セル状材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンまたはチタン合金で構成されていてもよい。
【0020】
隆起部は、セル状材料で構成されていてもよい。衝突域のセル状材料は、発泡構造、押出構造および/またはハニカム構造で構成されていてもよい。隆起部のセル状材料は、発泡構造、押出構造および/またはハニカム構造で構成されていてもよい。上記セル状材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンまたはチタン合金で構成されていてもよい。
【0021】
ファントラックライナーは、円周方向に離間した複数の隆起部を含んでいてもよい。一実施形態では、4個の隆起部が存在していてもよいが、他の実施形態では、5個以上、例えば最大12個の隆起部が存在していてもよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、複数のファンブレードを含むファンと、ファンブレードの周囲に延在する本発明の第1の態様に係る封じ込め構造とを備えた、ガスタービンエンジンが提供される。
【0023】
各ファンブレードは、複合材料で構成されていてもよい。各複合材製ファンブレードには、前縁、後縁および/または先端金属細工物が設けられていてもよい。
【0024】
各ファンブレードは、金属製であってもよい。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、ファンブレードオフ事象が生じる本発明の第2の態様に係るガスタービンエンジンのための、ファンブレード封じ込め方法が提供され、本方法では、(a)外れたブレードまたはブレード断片を衝突域に取り込み、(b)衝突域内のブレードまたはブレード断片の円周方向変位により衝突域材料を掘り出し、(c)ブレードまたはブレード断片と掘り出された衝突域材料とを含む破片の円周方向変位を隆起部によって制止し、(d)この破片が、外れていないファンブレードの経路の中に突出し、(e)外れていないファンブレードを突出している破片に衝突させて、それにより短くする。
【0026】
ファンブレード材料が複合材料からなり、かつ先端金属細工物をさらに含む場合、各ファンブレードの先端金属細工物は、ファンブレードがその破片と衝突した際に、それぞれのファンブレードから外れることがある。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、ガスタービンエンジンのための封じ込め構造の環状ファントラックライナーのためのファントラックライナーパネルであって、ファントラックライナーパネルは、円周方向および軸方向に延在し、かつセル状材料からなり、ファントラックライナーパネルには軸方向成分を有する方向に延在する細長い凹部が設けられており、凹部は、パネルの少なくとも半径方向外面で開放され、かつファントラックライナーの細長い隆起部の少なくとも一部を受け入れるように構成されているファントラックライナーパネルが提供される。
【0028】
凹部は、パネルの半径方向外面および周縁部の両方において開放されている縁凹部であってもよい。パネルの周縁部は、実質的に軸方向に延在していてもよいが、いくつかの実施形態では、パネルの周縁部は、ファントラックライナーパネルの軸方向に対して傾斜していてもよく、例えば、それらは、後退構造または螺旋状構造を有していてもよい。
【0029】
凹部は、パネルの縁部の間に位置していてもよく、パネルの半径方向外面で開放されていてもよい。
【0030】
凹部の半径方向範囲は、20mm〜50mm、25mm〜40mmまたは30mm〜35mmであってもよい。
【0031】
凹部の円周範囲は、5mm〜50mm、8mm〜35mmまたは10mm〜30mmであってもよい。
【0032】
凹部の断面は、任意の好適な形状を有していてもよい。一実施形態では、当該断面は実質的に三角形である。他の実施形態では、凹部の断面は、実質的に半円筒状、1/4円筒状または実質的に立方状であってもよい。凹部は、平らな半径方向内面を与えるために切頭形状を有していてもよい。
【0033】
凹部および隆起部は、実質的に三角形の断面などの相補的な断面を有していてもよい。
【0034】
本発明の第5の態様によれば、ガスタービンエンジンのための封じ込め構造の環状ファントラックライナーの部品のためのキットが提供され、部品キットは、各パネルが円周方向および軸方向に延在し、かつファントラックライナーの衝突域の衝突部を構成するために第1の圧縮強度のセル状材料からなる複数のファントラックライナーパネルであって、ファントラックライナーパネルの少なくとも1つは、軸方向成分を有する方向に延在する細長い凹部を有し、凹部は、パネルの少なくとも半径方向外面で開放され、かつ細長い隆起部の少なくとも一部を受け入れるように構成されているファントラックライナーパネルと、凹部の形状に相補的な形状を有し、かつ第1の圧縮強度よりも高い第2の圧縮強度を有する細長い隆起部とを含む。
【0035】
各パネルは、本発明の第4の態様に係るものであってもよい。複数の隆起部が存在していてもよく、複数のファントラックライナーパネルには凹部が設けられていてもよい。
【0036】
パネルの少なくとも2つは、一方のパネルが他方のパネルに隣接して配置されている場合、それぞれの凹部がその間に空隙を画定するように配置されていてもよく、凹部は、隆起部を空隙に受け入れることができるように空隙が隆起部の形状に相補的であるように構成されている。
【0037】
隆起部の断面は、任意の好適な形状を有していてもよい。一実施形態では、当該断面は実質的に三角形である。他の実施形態では、隆起部の断面は、実質的に半円筒状または実質的に立方状であってもよい。隆起部は、平らな半径方向内面を与えるために切頭形状を有していてもよい。隆起部は、片側または両側に傾斜部を有していてもよい。
【0038】
隆起部は、1つ以上のそれぞれのファントラックライナーパネルに接合されていてもよい。
【0039】
ファントラックライナーパネルの少なくとも1つは、隆起部を受け入れるための凹部を有していなくてもよい。
【0040】
本発明は、相互に排他的であるような特徴の組み合わせを除く、本明細書に言及されている特徴および/または限定のあらゆる組み合わせを含むことができる。
【0041】
以下、本発明の実施形態について、一例として添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】ファン封じ込め構造を備えたターボファンエンジンを斜視図で概略的に示す。
【
図2】
図1の封じ込め構造の半径方向内面に向かう概略斜視図である。
【
図3】
図2の封じ込め構造を断面図で概略的に示す。
【
図4】
図3に対応するが、ファンブレードオフ事象の第1の段階の間の
図2の封じ込め構造を示す。
【
図5】
図3に対応するが、ファンブレードオフ事象の第2の段階の間の
図2の封じ込め構造を示す。
【
図6】
図3に対応するが、ファンブレードオフ事象の第3の段階の間の
図2の封じ込め構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、その上流端にファン4を有するターボファンエンジン2を示す。ファンは、ディスク6から延在する複数のファンブレード8を含み、環状ファンケーシング12を備えるファン封じ込め構造10によって封じ込まれている。エンジン2は、ファン4の直接下流であって外部案内羽根11の上流に、環状の破片保持空間13を備える。
【0044】
図2は、封じ込め構造10に隣接するファンブレード8の半径方向外側部分を示す。封じ込め構造は、環状ファンケーシング12と、複数の封じ込めパネル14とを備え、各パネル14は、封じ込め構造10のセグメントを形成している。各パネル14は、ケーシング12に接合されている。本実施形態では、8個のパネルが存在する。
【0045】
封じ込め構造10は、パネル14の前方および後方に配置され、かつ留め具によってケーシング12に固定された前方および後方の音響処理済ライナー16、18をさらに備える。
【0046】
図3に示すように、各パネルは、セル状材料からなる半径方向外側の衝突部22を含む。
【0047】
本実施形態では、衝突部22は、隔壁34によって分離されたセル状材料の2つの層23、24を含む。半径方向外側層23は中密度セル状材料からなり、半径方向内側層24は低密度セル状材料からなる。
【0048】
層23の中密度セル状材料は、セル方向がケーシング12の半径方向に揃えられた、押出アルミハニカム材料である。中密度セル状材料は、半径方向に14.5MPa〜22.8MPaの圧縮強度を有する。具体的な実施形態では、当該圧縮強度は、約18.5MPaであり、セル方向に対して横方向に約3.2mmのセルサイズと、約190kg/m
3の密度とを有する中密度材料を用いて達成される。
【0049】
層24の低密度セル状材料は、中密度セル状材料よりも低い圧縮強度および低い圧壊強度を有する。低密度セル状材料は、半径方向に2.4MPa〜4.5MPaの圧縮強度を有する。具体的な実施形態では、当該圧縮強度は約3.4MPaであり、セル方向に対して横方向に約6.4mmのセルサイズと、約70kg/m
3の密度とを有する低密度材料を用いて達成される。本実施形態では、衝突部22の半径方向範囲は約32mmであり、そのうち、半径方向外側層23の半径方向範囲は約20mmであり、半径方向内側層24の半径方向範囲は約12mmである。
【0050】
隔壁32は、衝突部22の半径方向外側層23と半径方向内側層24との間に配置されている。本実施形態では、隔壁32は、約5mmの厚さのガラス繊維強化ポリマー(GFRP)などの複合材料からなる。隔壁32は、半径方向外側層23および半径方向内側層24に接合されている。
【0051】
衝突部22は、ケーシング12に接合されているか、それ以外の方法で固定されている。
図3〜
図6に示す実施形態では、衝突部22は、衝突部22の半径方向外面に、その軸方向に延在する周縁部のうちの1つにおいて開放された凹部25を有する。本実施形態では、凹部25は、大きな縁面取り形態であるため、凹部25は、縁凹部と表わすことができる。本実施形態では、凹部25の半径方向範囲は約16mmであり、凹部25の円周範囲は約12mmである。従って、本実施形態では、凹部25は、衝突部22の半径方向外側層23にのみ形成されている。但し、当然のことながら、他の実施形態では、凹部25は、半径方向外側層23および半径方向内側層24の両方に形成されていてもよく、従って、隔壁32を横切って延在していてもよい。
【0052】
図3に示すように、一対の隣接するパネル14は、それぞれの衝突部22に形成された凹部25がケーシング12と一緒になって、実質的に三角形の細長い空隙を画定するように配置されている。
【0053】
衝突部22の凹部25と実質的に同じ軸方向範囲を有する細長い隆起部26は、上記空隙内に配置されている。隆起部26は、凹部25によって画定された空隙と実質的に同じ実質的に三角形の断面形状を有する。組み立てられた封じ込め構造10では、隆起部26は、衝突部22およびケーシング12に接合されている。
【0054】
隆起部26は、衝突部22のセル状材料よりも高い圧縮強度を有する(すなわち、衝突部22の半径方向外側層23および半径方向内側層24の両方の圧縮強度よりも高い)高密度セル状材料で形成されている。当該セル状材料は、セル方向がケーシング12の半径方向に実質的に揃えられた、高密度押出アルミハニカムである。高密度セル状材料は、半径方向に15MPa〜90MPaの圧縮強度を有する。具体的な実施形態では、当該圧縮強度は、約35MPaであり、セル方向に対して横方向に約1.6mmのセルサイズと、約320kg/m
3の密度とを有する高密度材料を用いて達成される。
【0055】
封じ込め構造10は、4対の隣接するパネル14(全部で8個のパネル14)を含むため、全部で4個の実質的に三角形の細長い空隙が存在する。空隙の半径方向内側に、隣接するパネル14の衝突部22は、互いに当接しているか、それらの側面が実質的に隣接するように位置合わせされている。
【0056】
パネル14の衝突部22およびその間に配置された4個の隆起部26は、環状ファントラックライナー28を形成している。それぞれのパネルの衝突部22は、ファントラックライナー28の衝突域30を形成している。ファントラックライナー28は、大部分が衝突域30からなり、隆起部26は、衝突域を通って延在している。衝突域30は、隆起部26をそれらの半径方向内面側で覆っている。ファントラックライナー28の半径方向内面は、衝突域30を形成している衝突部22の半径方向内面によって画定されており、ファントラックライナー28の半径方向外面は、衝突部22および隆起部26の半径方向外面によって画定されている。
【0057】
複数のパネル14の複数の隔壁32は一緒になって、ファントラックライナー28の衝突域30に埋め込まれた環状隔壁層34を形成している。
【0058】
各パネル14は、衝突部22内に半径方向に配置され、かつ衝突部22に接合または接着された摩耗性ライニング36をさらに含む。本実施形態では、摩耗性ライニング36は、セル方向がケーシングの半径方向に揃えられた押出アルミハニカムなどのセル状材料からなる。複数のパネル14の複数の摩耗性ライニング36は一緒になって、ファントラックライナー28の半径方向内側に配置された環状摩耗性層38を形成している。
【0059】
本実施形態では、
図2に示すように、各ブレード8のエアロフォイル部の大部分は、複合材料からなるが、そこには、その複合材料に接合され、かつブレード8の前縁および後縁をそれぞれ形成する前縁および後縁保護金属細工物42、44が設けられている。前縁および後縁金属細工物42、44は、ファンブレード8の先端を画定する先端金属細工物46と一体的に形成されており、先端金属細工物46もブレード8のエアロフォイル部の複合材料に接合されている。
【0060】
使用中、封じ込め構造10は、摩耗性層38が封じ込め構造10の半径方向内側のガス洗浄表面を画定するように、ファン4の周囲に配置されている。エンジン2の初期運転の間、ファンブレード8は、遠心力下で伸長し、摩耗性層38内のトラックを摩耗させて、ブレード8の先端と摩耗性層38との間でシールを形成する。
【0061】
封じ込め構造10は、破片がエンジン2の側方または前方から抜け出るのを防止するために、破片を吸収するように設計されている。ファンブレード8によって偏向されたボルトや小さい滑走路上の破片などの小さい物体が、封じ込め構造10に衝突すると、摩耗性層38が典型的に貫入および局所的に圧壊され、小さい物体が衝突域30の半径方向内側層24に進入することができ、その中にそれを保持することができる。隔壁層34は、半径方向外側層23のより大きな領域全体に半径方向内側層24内の負荷を伝達し、これにより、衝突域30の圧壊に対す抵抗性が向上する。どんなに小さい物体が隔壁層34に到達した場合であっても、隔壁層は、貫入に対して抵抗し、物体を衝突域30の半径方向内側層24の中に偏向させることができ、そこに物体を保持することができる。
【0062】
封じ込め構造10に衝突している、より大きい/高いエネルギーを有する物体は典型的に、隔壁層34に貫入し、衝突域30の半径方向外側層を圧壊し始めるが、これも衝突域30内に保持される。
【0063】
衝突域30の半径方向外側層23および半径方向内側層24の中密度および低密度セル状材料は、ファンブレードオフ事象においてファンブレード材料のエネルギーを吸収する間にそれらの貫入、変形、圧縮および/または圧壊を可能にする圧縮強度および圧壊強度特性に対して選択する。対照的に、隆起部26の材料は、そのような貫入、変形、圧縮および/または圧壊に抵抗するように選択する。本実施形態では、隆起部26は、高密度セル状材料からなるが、他の実施形態では、例えば、固体アルミニウムなどの他の材料を使用してもよい。
【0064】
図4、
図5および
図6に示すように、ファンブレードオフ事象の間に、ファンブレード8またはファンブレード8の一部がファン2から外れ、矢印47、48で示すように、半径方向外側および回転方向に高速で移動する。
図4に示す最初の衝突段階では、先端金属細工物46は、摩耗性層38および衝突域30の半径方向内側層24に衝突および貫入し、ブレード運動の回転成分が衝突域30を圧壊または掘り出し始める。この目的のために、先端金属細工物46の幾何学的形状を、回転方向に切断縁を設けるように成形してもよい。ブレードの前方(すなわち、ブレードの前方の回転経路内)の摩耗性層38および衝突域の半径方向内側層から掘り出された材料は、破片領域49を形成する。
【0065】
ブレードまたはブレード断片8は、後続のブレードによってファンケースライナー14に沿って吹き飛ばされる。
図5に示すように、ブレードが回転しながら衝突部を通って半径方向外側に移動する間、衝突域30の半径方向内側層24は、圧壊または掘り出され続け、ブレード8は、隔壁層34に貫入し、衝突域30の半径方向外側層24を圧壊または掘り出し始める。ブレード8が衝突域30内に衝突し、かつブレード8が衝突域30を通って移動することにより、衝突域30およびファンブレード8の両方に圧縮応力が加わる。複合材製ブレードは、衝突域30に衝突しているブレード8の先端部が破断する圧縮加重下で、徐々にモジュラス(modulus)が損なわれる。その後に、ファンブレード8の破断した材料は、破片領域49の一部を形成し、ブレードの残部は、ファントラックライナー28の衝突域30に衝突し、それを圧壊または掘り出し続ける。衝突し続けることにより、再びブレード8に圧縮応力が加わり、衝突域30に衝突しているブレード8のさらなる先端部が再び破断する。ブレード8のモジュラスが徐々に損なわれることより、ブレード8は、衝突域30に衝突してそこを通って移動する間に短くなる。ファンブレード8の破断した材料は、摩耗性ライナー38、隔壁層34ならびに衝突域30の内側および外側半径方向の層23、24の破断した材料と一緒になって、外れたファンブレード8の残部の前方の破片領域49を増加させる。
【0066】
図6に示すように、長さが短くなった外れたファンブレード8は、衝突域の半径方向外側層24の掘り出しおよび圧壊を続け、最終的に隆起部26に到達する。隆起部26の圧縮強度は、ファンブレードによる貫入、変形、圧縮および/または圧壊を防止するのに十分な程に高いため、ファンブレード8の先端部は、隆起部26によって制止される。ブレードの後退角を有する形状により(
図2を参照)、ファンブレード8の前縁の先端が隆起部26によって制止されると、ブレードは、その半径方向軸の周りを枢動する。これにより、ブレードは、ブレード8が軸方向成分を有する方向に沿って位置するように、前縁の先端の周りを後方に回転する。隆起部26の傾斜側により、ブレード8は、後方に回転して隆起部26上で転覆または転倒することがある。ファンブレード8の大きな断片およびブレードの根元は、
図1に示す破片保持空間13の中に後方に移動することができる。ファンブレード8を含み得る蓄積された破片領域49は、封じ込め構造内に制止され、かつ残りのファンブレード8の経路内に突出する破片50の塊を形成する。言い換えると、塊50は、外れたブレードまたはブレード断片8がライナーアセンブリの近くに位置している状態で、封じ込め構造10のガス洗浄表面の概念的な半径方向位置の半径方向内側に突出している。
【0067】
ファン4が回転し続ける間、後続のファンブレード8は、塊50に衝突し、それにより、塊50およびそれが埋め込まれているファントラックライナー28の一部が半径方向外側にさらに圧縮される。後続のファンブレード8が塊50に衝突する度に、ファンブレード8の先端部52が破断する。典型的には、各後続のブレードの先端金属細工物46は塊50に衝突し、破壊されて外れる。後続のブレードの破壊は、ブレードの複合材料内で生じる。破壊されて外れた先端部52は、塊50の一部を形成して保持空間13に保持されるか(
図1)、エンジンの中に吸い込まれる。
【0068】
ファン4の数回の回転後に、各ブレード8の先端部52はブレード8から外れ、各ブレード8は互いに実質的に同じ量だけ制御された方法で短くなる。従って、ファン4は、著しく減少した重量および著しく減少した慣性モーメントを有し、これにより、1つ以上のファンブレードの全体または部分的喪失によりエンジンが均衡を失う度合いが低下する。
【0069】
実験結果から、上記のようにファンブレードオフ事象においてファンブレード8が短くなることで、ファンブレードオフ事象後のウィンドミリングの際にエンジンが均衡を失う度合いを典型的な値から60%低下できることが分かる。ファンブレードオフ事象後のエンジン不均衡の標準的な尺度は、例えば、ファンの周りに存在する重量によって当量数のロータブレードを評価することにより、ファンの周りの他の位置のブレード材料の量と比較した場合に事象位置で失われているブレード材料の量から導出される。
【0070】
封じ込め構造10内に円周方向に離間された複数の隆起部26を設けることにより、ブレードが外れた直後に、外れたファンブレード8(またはファンブレード8の外れた部分)を隆起部26のうちの1つによって制止するように束縛することができる。隆起部が要求される数の計算は、第一に、ファンブレードの数、それぞれのファンブレードの1分当たりの典型的な回転数、ファンブレードが衝突域を通って移動する速度、および数多くの他の因子によって決まる。
【0071】
衝突域は隆起部の上方(すなわち半径方向内側に)に延在しているため、外れたファンブレード8は常に、衝突域の少なくとも一部を通って移動した後、隆起部26によって制止される。
【0072】
外れたファンブレード8の先端部の上記記載における言及は、全く無傷であるか材料の除去後であるかに関わらず、ブレードの半径方向最外部を示すために使用する。従って、「先端部」という意味は、外れたファンブレード8または外れていないファンブレード8の元の先端に限定されない。
【0073】
図7は、各隆起部54がケーシングの軸に対して傾斜しているという点で、上記とは異なる封じ込め構造の他の実施形態を示す。言い換えると、隆起部54は、後退角を有するか、ケーシングの周りに螺旋状に延在している。本実施形態では、パネル14は、隆起部54をパネルの縁凹部25内に受け入れることができるように、それに応じて傾斜した縁部を有する。但し、他の実施形態では、パネル14は、軸方向に延在する側面およびそこを通って延在する傾斜した凹部を有していてもよい。
【0074】
ファンブレードオフ事象では、隆起部26の傾斜角度は、大きな破片の断片およびブレードの根元が隆起部54に衝突した際に、それらを破片保持空間13の中へと後方に導く。従って、この破片が、前方に移動してエンジンの前方から排出されるのを防止する。破片領域49および塊50は、後続するファンブレードまたは外れた各ファンブレード8の長さを短くするように、上記のように形成される。
【0075】
セル状材料が押出アルミハニカム材料からなる本発明の実施形態について記載してきたが、当然のことながら、他のセル状材料を使用してもよい。例えば、セル状材料は、アルミニウム合金、チタンまたはチタン合金で構成されていてもよい。さらに、当該材料は、発泡性であってもよく、発泡もしくは固形プラスチックであってもよい。
【0076】
隆起部が、隣接するパネルの2つの凹部によって画定された空隙に配置されている本発明の実施形態について記載してきたが、当然のことながら他の実施形態では、隆起部は、1つのパネル内の単一の凹部に配置されていてもよい。
【0077】
隆起部および衝突部の対応する凹部が衝突部と実質的に同じ軸方向範囲を有する本発明の実施形態について記載してきたが、隆起部および/または対応する凹部は、衝突部の軸方向範囲よりも小さい軸方向範囲を有していてもよい。
【0078】
隆起部がセル状材料からなる本発明の実施形態について記載してきたが、当然のことながら他の実施形態では、隆起部は、衝突部の圧縮強度よりも高い圧縮強度を有するあらゆる材料で作られていてもよい。例えば、隆起部は、アルミニウムまたは複合材料の固体片で構成されていてもよい。
【0079】
隆起部が単一長さの連続的な材料であり、かつ対応する凹部が隆起部を受け入れるための連続的な溝である本発明の実施形態について記載してきたが、当然のことながら、他の実施形態では、隆起部は、連続していなくてもよく、軸方向成分を有する細長い線に沿って配置された分離した隆起要素を含んでいてもよい。例えば、隆起部は、複数の1列に並べられた小さい三角形の隆起要素を含んでいてもよい。当然のことながら、凹部は、対応する一連の分離した凹部を含んでいてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2016年3月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
ブレードまたはブレード断片8は、後続のブレードによってファンケースライナー14に沿って吹き飛ばされる。
図5に示すように、ブレードが回転しながら衝突部を通って半径方向外側に移動する間、衝突域30の半径方向内側層24は、圧壊または掘り出され続け、ブレード8は、隔壁層34に貫入し、衝突域30の半径方向外側層
23を圧壊または掘り出し始める。ブレード8が衝突域30内に衝突し、かつブレード8が衝突域30を通って移動することにより、衝突域30およびファンブレード8の両方に圧縮応力が加わる。複合材製ブレードは、衝突域30に衝突しているブレード8の先端部が破断する圧縮加重下で、徐々にモジュラス(modulus)が損なわれる。その後に、ファンブレード8の破断した材料は、破片領域49の一部を形成し、ブレードの残部は、ファントラックライナー28の衝突域30に衝突し、それを圧壊または掘り出し続ける。衝突し続けることにより、再びブレード8に圧縮応力が加わり、衝突域30に衝突しているブレード8のさらなる先端部が再び破断する。ブレード8のモジュラスが徐々に損なわれることより、ブレード8は、衝突域30に衝突してそこを通って移動する間に短くなる。ファンブレード8の破断した材料は、摩耗性ライナー38、隔壁層34ならびに衝突域30の内側および外側半径方向の層23、24の破断した材料と一緒になって、外れたファンブレード8の残部の前方の破片領域49を増加させる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
図6に示すように、長さが短くなった外れたファンブレード8は、衝突域の半径方向外側層
23の掘り出しおよび圧壊を続け、最終的に隆起部26に到達する。隆起部26の圧縮強度は、ファンブレードによる貫入、変形、圧縮および/または圧壊を防止するのに十分な程に高いため、ファンブレード8の先端部は、隆起部26によって制止される。ブレードの後退角を有する形状により(
図2を参照)、ファンブレード8の前縁の先端が隆起部26によって制止されると、ブレードは、その半径方向軸の周りを枢動する。これにより、ブレードは、ブレード8が軸方向成分を有する方向に沿って位置するように、前縁の先端の周りを後方に回転する。隆起部26の傾斜側により、ブレード8は、後方に回転して隆起部26上で転覆または転倒することがある。ファンブレード8の大きな断片およびブレードの根元は、
図1に示す破片保持空間13の中に後方に移動することができる。ファンブレード8を含み得る蓄積された破片領域49は、封じ込め構造内に制止され、かつ残りのファンブレード8の経路内に突出する破片50の塊を形成する。言い換えると、塊50は、外れたブレードまたはブレード断片8がライナーアセンブリの近くに位置している状態で、封じ込め構造10のガス洗浄表面の概念的な半径方向位置の半径方向内側に突出している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
図7は、各隆起部
26がケーシングの軸に対して傾斜しているという点で、上記とは異なる封じ込め構造の他の実施形態を示す。言い換えると、隆起部
26は、後退角を有するか、ケーシングの周りに螺旋状に延在している。本実施形態では、パネル14は、隆起部
26をパネルの縁凹部25内に受け入れることができるように、それに応じて傾斜した縁部を有する。但し、他の実施形態では、パネル14は、軸方向に延在する側面およびそこを通って延在する傾斜した凹部を有していてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
ファンブレードオフ事象では、隆起部26の傾斜角度は、大きな破片の断片およびブレードの根元が隆起部
26に衝突した際に、それらを破片保持空間13の中へと後方に導く。従って、この破片が、前方に移動してエンジンの前方から排出されるのを防止する。破片領域49および塊50は、後続するファンブレードまたは外れた各ファンブレード8の長さを短くするように、上記のように形成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】