(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-529418(P2016-529418A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(54)【発明の名称】構造用サンドイッチエレメントおよび該構造用サンドイッチエレメントの製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/36 20060101AFI20160826BHJP
E04C 2/26 20060101ALI20160826BHJP
B32B 3/12 20060101ALI20160826BHJP
B32B 3/08 20060101ALI20160826BHJP
【FI】
E04C2/36 G
E04C2/36 L
E04C2/26 Q
B32B3/12 Z
B32B3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-518927(P2016-518927)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月10日
(86)【国際出願番号】EP2014061608
(87)【国際公開番号】WO2014198609
(87)【国際公開日】20141218
(31)【優先権主張番号】102013106174.5
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013108874.0
(32)【優先日】2013年8月16日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513089419
【氏名又は名称】イゼリ・フレディ
【氏名又は名称原語表記】ISELI,Fredy
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】イゼリ・フレディ
【テーマコード(参考)】
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E162CA01
2E162EA15
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4F100AA00A
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4F100JJ07A
(57)【要約】
【課題】向上した強度および向上した耐力によって特徴付けられる構造用サンドイッチエレメント、該構造用サンドイッチエレメントの製造方法、ならびに少なくとも2つの隣接配置された該構造用サンドイッチエレメントを備えるシステムを提供する。
【解決手段】構造用サンドイッチエレメントは、少なくとも1つのセルロースハニカム芯材1;51,52,53;59,60を備える。セルロースハニカム芯材1;51,52,53;59,60は、複数の隣合って設けられたチャネル2;43を有し、かつ、第1および第2の被覆層6,7;44,45;55,56;61,62の間に収められている。第1および/または第2の被覆層6,7;44,45;55,56;61,62は、コンクリート、より特には、ハイパフォーマンスコンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層として作製されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の隣合って設けられたチャネル(2;43)を有し、かつ、第1および第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)の間に収められた、少なくとも1つのセルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)、を備える、構造用サンドイッチエレメント(より特には、壁部材)において、
前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)が、コンクリート(より特には、ハイパフォーマンスコンクリート)製の被覆層または石膏製の被覆層として作製されていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項2】
請求項1に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、耐火性および/または耐水性および/または機械的安定性を向上させるために、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)の前記チャネル(2;43)が、含浸コーティング(好ましくは無機系の含浸コーティング、より好ましくはセメントベースの含浸コーティング)で、コーティングされている(好ましくは、周の全体が軸方向に途切れなくコーティングされている)ことを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が、当該構造用サンドイッチエレメント(8;32)の長手方向面と直交する方向で前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)内へと侵入することにより、その前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)に取り付けられていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)の材料(より特には、コンクリートまたは石膏)が、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)の前記チャネル(2;43)内へと、その前記チャネル(2;43)の含浸コーティングに付着するように部分的に侵入していることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記第1および/または前記第2の被覆層(14,15)が、前記セルロースハニカム芯材に面していない側において、外側の層(より特には、紙層又は厚紙層の形態である外側の層)(6;44)を有していることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)に接着されていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記チャネル(2;43)が、断熱材および/または遮音材によって充填されていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)に、補強材(より特には、繊維および/またはメッシュ)が用いられていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、当該構造用サンドイッチエレメント(8;32;50;58)が(より特には、少なくとも1つの短辺部(11)において)、接続形状部[より特には複数の構造用サンドイッチエレメント(8;32;50;58)の重ね合わせ隣接配置用の接続形状部](例えば、溝のおよび/またはさねの形状部)(12;46)を有していることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項10】
請求項9に記載の構造用サンドイッチエレメントにおいて、前記接続形状部(12;46)が、コンクリートで構成され、かつ、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)に強固に連結しているか又は前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)と一体化して形成されていることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントを製造する方法であって、
● 複数の隣合って設けられたチャネル(2;43)を有する、(好ましくは含浸コーティングが設けられた)セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)を用意する工程と、
● 前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)を、第1および第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)に接合する工程と、
を含む方法において、
前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)が、コンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層の形態であることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)が、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)と接着によって接合されることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が、未だ硬化していない(より特には、未だ流動性を有している)コンクリート材料又は石膏材料と組み合わされることにより[より特には、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が前記コンクリート又は前記石膏材料内へと侵入してからそのコンクリートがセットするか又はその石膏材料が硬化することにより]、前記第1および/または前記第2の被覆層(6,7;44,45;55,56;61,62)と連結されることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、流動性のコンクリートが型枠(4)[より特には、型枠テーブル(5)上の型枠(4)]に配されて、そのコンクリートに前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が一部浸漬される[より特には、(好ましくはそのコンクリート上に当該セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が置かれた後)機械的に押されることによっておよび/または加振されることによって、一部浸漬される]、および/または、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が型枠(4)に配置されてから、当該セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)がコンクリート内へと部分的に侵入するように前記型枠(4)にコンクリートが充填されることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記第1および/または前記第2の被覆層(14,15)を作製するために、{好ましくは流動性の石膏材料(4)が搬送ベルト(7;45)上に配されて、より好ましくは流動性の石膏材料(4)が搬送ベルト(7;45)上に載せられた外側の層(6;44)[さらに好ましくは紙又は厚紙の外側の層(6;44)]に配されて}、その石膏材料(4)内に前記セルロースハニカム芯材が部分的に浸漬される(より特には、機械的に押されることによっておよび/または加振されることによって、部分的に浸漬される)、および/または、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が配置されてから、当該セルロースハニカム芯材が前記石膏材料(4)内へ部分的に侵入するように当該セルロースハニカム芯材の周囲に前記石膏材料(4)が流し込まれることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記第1の被覆層(6;44)がまず前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)と接合されて、その前記第1の被覆層を形成する前記コンクリートが少なくとも部分的にセットした後、前記第2の被覆層(7;45)が前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)と接合されることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項17】
請求項11から16のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記セルロースハニカム芯材の少なくとも1つの短辺部(11)を前記コンクリートが一部被覆し、その硬化後に端部形状部(12;46)が形成されるように、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が配置されることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記石膏材料(4)が、当該構造用サンドイッチエレメントへと導入される前に、被覆層の層厚が確実に一定となるように掻き取られることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項19】
請求項11から18のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントの製造方法において、前記セルロースハニカム芯材(1;51,52,53;59,60)が未だ硬化していない前記コンクリートと組み合わされる前に、任意の前記含浸コーティング(より特には、セメントベースの前記含浸コーティング)が少なくとも未だ湿潤しているか、あるいは、既に乾燥していることを特徴とする、構造用サンドイッチエレメントの製造方法。
【請求項20】
少なくとも2つの隣接配置された、請求項1から10のいずれか一項に記載の構造用サンドイッチエレメントを備える[好ましくは、これら前記構造用サンドイッチエレメントが、当該構造用サンドイッチエレメントの接続形状部(12;26)によって互いに接続されている]、システム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムにおいて、2つの前記構造用サンドイッチエレメント同士が、互いに離間しており、かつ、キャスト成形性化合物(より特には、コンクリート)によって互いに強固に接続されていることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおり、少なくとも2つの被覆層の間に収められた少なくとも1つのセルロースハニカム芯材(より特には、紙又は厚紙のハニカム芯材)を備える、構造用サンドイッチエレメント(structural sandwich element)に関する。より詳細には、本発明は、建築物における耐力部材(bearing element)としての使用、例えば、住宅の壁や部屋の壁としての使用、床部材や天井部材や架け渡し部材(bridge element)としての使用等に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースハニカム芯材は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載されている。
【0003】
上記の構造用サンドイッチエレメントの価値は証明されている。特に、耐火性、耐水性および機械的安定性を向上させるために、含浸コーティング(impregnation coating)でセルロースハニカム芯材がコーティングされた構造用サンドイッチエレメントの価値が証明されている。特許文献4からは、いわゆるハニカム複合材支持部(セルロースハニカム芯材)に対して、セメント系のコーティング(含浸コーティング)を減圧下で適用する技術が知られている。このようにしてコーティングされたセルロースハニカム芯材は、芯層として、木質層の間、厚紙層の間、発泡プラスチック層の間または合板層の間に含められ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10305747号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19654672号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第19820493号明細書
【特許文献4】国際公開第2012/045653号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の構造用サンドイッチエレメントの価値は証明されている。本発明は、向上した強度および向上した耐力によって特徴付けられる、代替的な構造用サンドイッチエレメントを提案することを土台とする。そのほかにも、本発明の目的は:そのような構造用サンドイッチエレメントを製造する方法を提供すること;および少なくとも2つの隣接配置された構造用サンドイッチエレメントを備えるシステムを提供すること;である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
構造用サンドイッチエレメント自体の目的については、請求項1の構成によって達成される。前記方法については、請求項11の構成によって達成される。前記システムについては、請求項19の構成によって達成される。本発明の有利なその他の実施形態は、従属請求項に記載されている。なお、明細書および/または特許請求の範囲および/または図面に開示されている少なくとも2つの構成のあらゆる組合せも、本発明に包含されているものとする。
【0007】
繰返しを避けるために、装置について開示された構成は、方法についても開示されているものとする。同様に、方法について開示された構成は、装置についても開示されているものとし、装置に係る請求項にもクレーム(請求)することが出来ると解釈されたい。
【0008】
本発明の基礎となる技術思想は、第1および/または第2の被覆層として、コンクリート製の被覆層を使用することである。特に好ましくは、そのコンクリート製の被覆層は、流動性のハイパフォーマンスコンクリートで構成される。ハイパフォーマンスコンクリートの例としては、Dyckerhoff AG社から販売されている「Flowstone」が挙げられる。ここで、前記被覆層は、セルロースハニカム芯材のチャネルを閉じるものである。前記第1および/または第2の被覆層としてコンクリートを使用することにより、構造用サンドイッチエレメントの耐力を大幅に向上させると共に、耐火性も遥かに向上する。本発明の技術思想に従った構成を有する構造用サンドイッチエレメントは、特に、建設業において壁構成部材、天井構成部材、床構成部材または架け渡し支持部材(bridge bearing element)として利用可能である。本発明にかかる構造用サンドイッチエレメントは、セルロースハニカム芯材を持たない構造用サンドイッチエレメントと比べて:比較的軽量であること;ならびに遮音性(音の絶縁性)および断熱性(熱の絶縁性);によって特徴付けられる。これらの特徴は、他の実施形態として考えられ得る構成として、前記チャネルを適切な絶縁材(insulating material)によって充填する場合、特に顕著である。
【0009】
前記構造用サンドイッチエレメントの変形例において、本発明の基礎となる技術思想は、第1および/または第2の被覆層として、石膏製の被覆層、より特には、石膏プラスターボードの形態の被覆層を使用することである。ここで、石膏製の被覆層とは、石膏を含有する被覆層のことを本質的に意味する。好ましくは、前記石膏製の被覆層は、石膏を50重量%以上、特に極めて好ましくは約100重量%で構成される。必要に応じて、石膏には、他の成分(例えば、石灰や、後で説明するように繊維またはその類似物などの材料等)が混合されてもよい。石膏製の被覆層の形態の場合の前記第1および/または第2の被覆層によっても、セルロースハニカム芯材の前記チャネルが閉じられる。前記第1および/または第2の被覆層の構成成分として石膏を使用することにより、比較的軽量であると共に、耐火性が大幅に向上する。
【0010】
石膏製の被覆層と共に、コンクリート製の被覆層を設けることも可能である。
【0011】
具体的に述べると、前記構造用サンドイッチエレメントの耐力は、前記被覆層の層厚を適宜選択することによって調節可能である。
【0012】
具体的に述べると、本発明の技術思想に従った構成を有する構造用サンドイッチエレメントは、非耐力部材としても利用可能である。そのような非耐力部材の例として、住宅建物における壁構成部材が挙げられる。本発明にかかる構造用サンドイッチエレメントは、セルロースハニカム芯材を持たない構造用サンドイッチエレメントと比べて:極めて軽量であること;ならびに良好な遮音性(音の絶縁性)および良好な断熱性(熱の絶縁性);によって特徴付けられる。これらの特徴は、他の実施形態として考えられ得る構成として、前記チャネルを適切な絶縁材によって充填する場合、特に顕著である。
【0013】
特に極めて好ましくは、少なくとも1つの前記石膏製の被覆層は(このような被覆層が設けられていることを前提とするが)、層厚が約0.5cm〜約2cm、特に好ましくは約10mm〜約15mmである。なおいっそう好ましくは、その少なくとも1つの石膏製の被覆層のかさ密度が、約600kg/m
3〜約800kg/m
3、好ましくは650kg/m
3〜750kg/m
3である。
【0014】
前記セルロースハニカム芯材の厚さ範囲は、前記構造用サンドイッチエレメント全体としての厚さ(総厚)に合わせて適宜調節され得る。好ましくは、前記構造用サンドイッチエレメント全体としての厚さは、約70mm〜約300mm、より好ましくは約40mm〜約250mm、さらに好ましくは50mm〜250mm、特に極めて好ましくは約75mm〜約150mm;好ましくは約50mm〜約150mmである。特に極めて好ましくは、前記セルロースハニカム芯材の厚さは、20mm〜190mm、なおいっそう好ましくは約30mm〜約130mmである。好ましくは、含浸後の前記セルロースハニカム芯材の密度は、約150kg/m
3〜約200kg/m
3である。
【0015】
前記第1および/または第2の被覆層の配置構成については、様々な選択肢がある。重要なのは、前記セルロースハニカム芯材が、前記被覆層の間に収められているということである。好ましくは、少なくとも1つの前記被覆層(好ましくは、両方の前記被覆層)が、前記セルロースハニカム芯材に直接隣合っており、および/または、前記構造用サンドイッチエレメントのうちの外側の層を形成している。しかし、前記セルロースハニカム芯材と少なくとも1つの前記被覆層との間に(さらなる)層を設けることや、2つの前記被覆層のうちの少なくとも一方の被覆層について、その被覆層の外側にさらなる層を設けることも考えられる。後者の場合、そのさらなる層が、前記構造用サンドイッチエレメントにおける最外層を形成することになる。
【0016】
前記構造用サンドイッチエレメントの特に極めて好ましい構造において、当該構造用サンドイッチエレメントは、セルロースハニカム芯材を1つだけ備えるのではなく(他の構成として、セルロースハニカム芯材を1つだけ備える構成も考えられ得る)、互いに平行に揃えられた少なくとも2つのセルロースハニカム芯材を備えており、かつ、これらのセルロースハニカム芯材が、2つの被覆層の間に包まれているか又は収められている。当然ながら、3つ以上のセルロースハニカム芯材を用いた配置構成(より特には、セルロースハニカム芯材を3つだけ用いた配置構成)も可能であり、好ましくは、隣合うセルロースハニカム芯材同士は、互いに接着されている(例えば、互いに直接接着されているか、あるいは、木質ボードなどの介在層を介して間接的に互いに接着されている)。後者の場合、その介在層は、2つの隣合うセルロースハニカム芯材間の接合部材(connecting member)を形成することになる。いずれの場合にも重要なのは、単一又は複数のセルロースハニカム芯材が、2つの被覆層の間に、被覆層に対して平行に並べられて隣合うように収められており、かつ、その2つの被覆層のうちの少なくとも一方の被覆層が、コンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層の形態であるということである。これらの被覆層のうちの少なくとも一方の被覆層について、その被覆層の外側に少なくとも1つのさらなる層が設けられてもよいし、あるいは、これらの被覆層が、前記構造用サンドイッチエレメントにおける最外層を形成するものであってもよい。
【0017】
特に好ましい変形例では、コンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層が1つだけ設けられたセルロースハニカム芯材が、さらなるセルロースハニカム芯材に対して直接又は間接的に接着されており(例えば、直接接着されることによって接着されているか、あるいは、介在ボードに接着されることによって接着されており)、かつ、当該さらなるセルロースハニカム芯材または第3のセルロースハニカム芯材(すなわち、別のさらなるセルロースハニカム芯材)の、第1の被覆層に面していない側に、第2の被覆層が設けられている。特に好ましくは、この第2の被覆層も、コンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層の形態である。
【0018】
好ましくは、前記セルロースハニカム芯材は、前記チャネルが前記構造用サンドイッチエレメントの長手方向面と直交する方向に(すなわち、外側の面と直交する方向に)延在するように配置されている。
【0019】
既述したように、特に好ましい変形例において、前記第1および/または前記第2の被覆層は、極めて高い初期流動性を有する、いわゆるハイパフォーマンスコンクリート(high-performance concrete)で構成される。好ましくは、このようなハイパフォーマンスコンクリートの圧縮強度は、65N/mm
2以上である。好ましくは、使用されるコンクリートのセメント含有量は、380kg/m
3〜450kg/m
3、あるいは、450kg/m
3を超える。特に極めて好ましくは、前記ハイパフォーマンスコンクリートは、マイクロシリカの添加剤を含有する。このマイクロシリカの添加剤は、100N/mm
2を超える圧縮強度を実現可能なものとされ得る。特に好ましくは、前記ハイパフォーマンスコンクリートは、オーストリア国の規格ONORM B 4710−1の要件を満足する。好ましくは、そのW/B値(水/セメント比)は、初期試験で最大値=0.31であり、適合性/確認試験で最大値=0.34である。好ましくは、そのコンシステンシー(consistency)は、F45以上であり、特に好都合にはF52である。好ましくは、そのフレッシュ温度(fresh temperature)は、温度依存性の応力を避けるために27℃未満である。
【0020】
前記セルロースハニカム芯材の構成については、様々な選択肢がある。重要なのは、前記セルロースハニカム芯材が、セルロース(より特には、紙又は厚紙)で構成されたハニカム体を伴うということである。このようなハニカム体は、既知の様々な様式で製作することが可能であり、例えば、厚紙性の複数の波形層(corrugated cardboard layers)を互いに接着することによって製作できる。変形例として、前記セルロースハニカム芯材は、いわゆる拡張性のハニカム体(expanded honeycomb body)から製作されたもの、すなわち、引き剥がし可能なハニカムエレメントから製作されたものであってもよく、クラフトライナー紙、テストライナー紙、ボーガスペーパー等が利用可能である。好ましくは、前記セルロースハニカム芯材は、波形段ボール製のハニカム体(より特には、特許文献4において
図1を参照しながら説明されている方法によって製作される、段ボール製のハニカム体)である。
【0021】
前記構造用サンドイッチエレメントの寸法については、様々な選択肢がある。好ましくは、前記構造用サンドイッチエレメントは、幅が625mm又は1,250mmであり、長さが約2,000mm〜約3,000mmである。原則として、好ましくは、前記セルロースハニカム芯材の両側に、同種の石膏製の被覆層が用いられる。また、一方の側のみに石膏製の被覆層を用いて、他方の側に非石膏製の被覆層(例えば、コンクリート層、木質層、プラスチック層等)を用いることも考えられる。
【0022】
コンクリート製の被覆層を用いる実施形態では、一方の側のみにコンクリート製の被覆層を用いて、他方の側に非コンクリート製の被覆層(例えば、石膏層、木質層、プラスチック層等)を用いることが考えられる。また、両側の被覆層のそれぞれを、異なる層厚の、異なる被覆層とすることも考えられ、これにより、強度、遮音値などを最適に調節することが可能となる。
【0023】
前記セルロースハニカム芯材の構成については、様々な選択肢がある。重要なのは、前記セルロースハニカム芯材が、セルロース(より特には、紙又は厚紙)で構成されたハニカム体を伴うということである。このようなハニカム体は、既知の様々な様式で製作することが可能であり、例えば、厚紙性の複数の波形層を互いに接着することによって製作できる。変形例として、前記セルロースハニカム芯材は、いわゆる拡張性のハニカム体から製作されたもの、すなわち、引き剥がし可能なハニカムエレメントから製作されたものであってもよく、クラフトライナー紙、テストライナー紙、ボーガスペーパー等が利用可能である。好ましくは、前記セルロースハニカム芯材は、段ボール製のハニカム体(より特には、特許文献4において
図1を参照しながら説明されている方法によって製作される、段ボール製のハニカム体)である。
【0024】
少なくとも1つの被覆層をコンクリート製の被覆層とする場合、特に有利には、前記第1および前記第2のコンクリート製被覆層の層厚が、5mm〜40mmの数値範囲から選択され、特に極めて好ましくは8mm〜30mmの数値範囲から選択される。なおいっそう好ましくは、層厚が15mmとされる。
【0025】
特に好ましくは、冒頭で述べたように、前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル(セル)が、耐火性・耐水性および/または機械的安定性を向上させるために、含浸コーティング(好ましくは無機系の含浸コーティング、より特にはセメントベースの含浸コーティング)で、コーティングされている(好ましくは、周の全体が軸方向に途切れなくコーティングされている)。好ましくは、このようなコーティングは、特許文献4に記載された形態のものである。特に好ましくは、後で説明するように、コンクリート製の前記第1および/または前記第2の被覆層が、前記構造用サンドイッチエレメントの長手方向面と直交する方向で侵入している。すなわち、前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル(セル)内へと、そこで前記含浸コーティングに接する(好ましくは、前記含浸コーティングと密に/強固に連結する)ように侵入している。
【0026】
原則としては、既述したように、前記セルロースハニカム芯材と少なくとも1つの前記被覆層との間には、さらなるボード層が設けられてもよいが、特に好ましいのは、前記セルロースハニカム芯材と前記第1および/または前記第2の被覆層とが直に(じかに)隣合っている構成である。具体的に述べると、後者の実施形態を製造する方法としては、様々な方法が考えられる。極めて単純な選択肢は、コンクリート製の被覆層または石膏製の被覆層の形態である前記第1の被覆層を、適切な接着剤によって前記セルロースハニカム芯材に接着することである。しかし、この構成に代えて、好ましくは接着剤の追加を省いてもよいし、および/または、前記第1および/または前記第2の被覆層が硬化する際に当該第1および/または当該第2の被覆層を前記セルロースハニカム芯材と一体接合させてもよい。この目的のために、好ましくは、前記セルロースハニカム芯材を、硬化中の未だ湿潤しているコンクリート(好ましくは高い流動性を有しているコンクリート、より特には流動性のハイパフォーマンスコンクリート)内に侵入させるか、あるいは、硬化中の少なくとも未だ湿潤している(石膏で構成されるか又は少なくとも石膏を含有している材料で構成される)石膏材料(好ましくは、未だ流動性を有している石膏材料)内に侵入させることにより、これら前記セルロースハニカム芯材と前記第1および/または前記第2の被覆層との接合が、縁部(すなわち、そのセルロースハニカム芯材の表面側)だけでなく前記チャネル内(好ましくは、前記セルロースハニカム芯材/構造用サンドイッチエレメントの長手方向面と直交する方向に延在している前記チャネル内)にも形成されることができる。好ましくは、(前記構造用サンドイッチエレメントの長手方向面と直交する方向で)前記セルロースハニカム芯材は、前記第1および/または前記第2の被覆層の、前記コンクリートまたは前記石膏材料内へと0.5cm以上、好ましくは0.5mmから、前記被覆層の層厚のうちの2/3の数値範囲から選択される所与の区間にわたって入り込んでいる。
【0027】
特に、前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル内に無機系の含浸コーティング(好ましくは、セメントベースの含浸コーティング)が設けられている場合(なおいっそう好ましくは、その含浸コーティングが未だ湿潤しているか、あるいは、少なくとも完全には硬化していない場合)、コンクリート製又は石膏製の前記第1および/または前記第2の被覆層の、極めて良好な接着を実現することができる。
【0028】
前記第1および/または前記第2の被覆層のコンクリート(より特には、ハイパフォーマンスコンクリート)が前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル内に侵入する上記のような密接な接合を有するための製造については、様々な選択肢がある。製造方法における特に好ましい実施形態では、まずコンクリートが型枠内(より特には、型枠テーブル上の型枠内)に流し込まれて、そのコンクリート(すなわち、コンクリート素地)上に前記セルロースハニカム芯材が置かれた後、当該セルロースハニカム芯材がそのコンクリート素地内へと少し挿入される。このとき、そのセルロースハニカム芯材がコンクリート層を完全に貫通しないようにするのが望ましいが、そのような構成も実施可能である。好ましくは、前記コンクリート素地内への前記セルロースハニカム芯材の挿入は、その前記セルロースハニカム芯材および/または前記型枠テーブルを適切な振動手段(好ましくは、偏心エレメント)によって振動させることにより、その前記セルロースハニカム芯材が加振されることによって行われる。原則として、そのような振動は、音波または同様の方法によっても生成することが可能である。加振に加えて、あるいは、加振の代わりに、前記型枠の相対変位運動(より特には、前記型枠テーブルと前記セルロースハニカム芯材との相対的な変位運動)を機械的に生成すること[好ましくは、このような相対変位運動により、前記セルロースハニカム芯材を、当該セルロースハニカム芯材の長手方向面と直交する方向で前記コンクリート(好ましくは、未だ流動性を有している前記コンクリート)内に押し込むこと]も可能である。他の変形例として、コンクリートを前記型枠に注ぎ込む前に又は注ぎ込んでいる間に前記セルロースハニカム芯材をその前記型枠に配置することで、前記チャネルをコンクリートによって下から一部満たすのに十分なコンクリート充填高さになった当該型枠内に前記セルロースハニカム芯材が突き出るように設定する構成も考えられる。
【0029】
コンクリート製の被覆層を作製するための、少なくとも未だ湿潤しているコンクリートに前記セルロースハニカム芯材を接触させる(より特には、そのようなコンクリート内に前記セルロースハニカム芯材を挿入させる)タイミングについては、様々な選択肢がある。具体的に述べると、前記含浸コーティングの硬化/セット前に前記セルロースハニカム芯材をコンクリートに接触させることも考えられるし、前記含浸コーティングの硬化/セット後に前記セルロースハニカム芯材をコンクリートに接触させることも考えられる。
【0030】
両方の層(すなわち、前記第1および前記第2の層)をコンクリート製とする好適な構成において、好ましくは、まず前記被覆層の1つが、これまでに説明した作製方法のうちの任意の1つによって作製される。さらに好ましくは、このようにして作製されたコンクリート製の被覆層が少なくとも部分的に乾燥および/または硬化した後に、被覆層被覆層平行な、コンクリート製のさらなる層が作製される(好ましくは、これまでに説明した作製方法のうちの任意の1つによって作製される)。特に好ましくは、この被覆層−セルロースハニカム芯材の組合せを、そのセルロースハニカム芯材のうちの第1の被覆層の側から反対側へと約180°回転させた後に、コンクリート製のさらなる層が作製される。
【0031】
前記含浸コーティング(好ましくは無機系の含浸コーティングと、少なくとも1つの石膏製の被覆層との間の密接な連結については、数多くの選択肢がある。石膏製の被覆層は、前記第1および/または前記第2の被覆層の作製時、石膏が前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル内に侵入している。特に極めて好ましくはセメントベースの含浸コーティング)と、少なくとも1つの石膏製の被覆層との間の密接な連結については、数多くの選択肢がある。製造方法における特に好ましい実施形態では、まず流動性の石膏材料が用意されて、前記セルロースハニカム芯材がその石膏材料内へと浸漬される。好ましくは、この石膏材料は搬送ベルトへと適用されて、当該搬送ベルト上にセルロースハニカム芯材が列状に載せられることにより、それらセルロースハニカム芯材が前記石膏材料内に順次浸漬される。
【0032】
前記石膏材料が、対象となる被覆層の外側の層に適用されるのが特に好ましい。この場合、その対象となる被覆層は、紙又は厚紙で構成された既知の石膏プラスターボードの様式であり、被覆層の外縁を形成する。
【0033】
特に極めて好ましくは、前記外側の層が搬送ベルト上に(より特には、ローラから搬送ベルト上に)載せられて、その前記外側の層上の前記石膏材料が平坦にされる(より特には、掻き取られる)。基本的には、単にこの石膏材料上に前記セルロースハニカム芯材を置いたり、重力によって前記セルロースハニカム芯材を石膏材料に沈ませるようにしてもよい。好ましくは、前記セルロースハニカム芯材がその石膏材料内に定められた量で挿入され、前記セルロースハニカム芯材がその石膏材料中に完全に入らないようにする。しかし、前記セルロースハニカム芯材がその石膏材料中に完全に入るようにさせる構成も可能である。特に、上記のような外側の層が設けられている場合に実施することができる。なぜなら、その外側の層が、前記セルロースハニカム芯材の下方移動を制限し、対象となる被覆層の外側までその前記セルロースハニカム芯材が突出するのを防ぐからである。好ましくは、石膏材料素地内への前記セルロースハニカム芯材の挿入は、その前記セルロースハニカム芯材が加振されることによって行われる。好ましくは、その前記セルロースハニカム芯材および/または適切な搬送装置が、適切な振動エレメント(好ましくは、偏心エレメント)によって振動させられる。原則として、そのような振動は、音波または同様の方法によっても生成することが可能である。加振に加えて、あるいは、加振の代わりに、前記石膏材料を搬送する搬送アセンブリと前記セルロースハニカム芯材との相対変位を機械的に生成すること[好ましくは、このような相対変位により、前記セルロースハニカム芯材を、当該セルロースハニカム芯材の長手方向面と直交する方向で前記石膏材料(好ましくは、未だ流動性を有している前記石膏材料)内に押し込むこと]も可能である。他の変形例として、前記石膏材料で被覆する前に又は被覆している間に前記セルロースハニカム芯材を型枠および/または搬送ベルト上へと配置させて、前記石膏材料を追加することによって前記セルロースハニカム芯材が当該石膏材料内に侵入するように設定する構成も考えられる。その充填レベルについては、その前記セルロースハニカム芯材の前記チャネルが石膏材料によって下から段階的に充填されるように計算されるのが望ましい。
【0034】
被覆層を作製するための、少なくとも未だ湿潤している石膏材料に前記セルロースハニカム芯材を接触させる(より特には、そのような石膏材料内に前記セルロースハニカム芯材を挿入させる)タイミングについては、様々な選択肢がある。具体的に述べると、前記含浸コーティングの硬化/セット前に前記セルロースハニカム芯材を石膏材料に接触させることも考えられるし、前記含浸コーティングの硬化/セット後に前記セルロースハニカム芯材を石膏材料に接触させることも考えられる。
【0035】
両方の層(すなわち、前記第1および前記第2の被覆層)を石膏材料製とする好適な構成において、好ましくは、まず前記被覆層のうちの一つが作製される。好ましくはこの被覆層は、これまでに説明した作製方法のうちの任意の1つによって作製される。特に好ましくは、このように製造された石膏製の被覆層が乾燥または硬化した後に、平行なさらなる石膏層が製造される。好ましくは、再び、これまでに説明した作製方法のうちの任意の1つによって作製される。特に好ましくは、この被覆層−セルロースハニカム芯材の複合構造体を約180°回転させた後に、そのセルロースハニカム芯材のうちの第1の被覆層の側から反対側に石膏製のさらなる層が作製される。
【0036】
特に好ましくは、既述したように、前記第1および/または前記第2の被覆層(より特には、前記第1および/または第2の、コンクリート製又は石膏製の被覆層)は、前記セルロースハニカム芯材の前記チャネル内に侵入している。基本的には、前記第1および/または前記第2の被覆層は、その端縁が前記セルロースハニカム芯材の外側部分で終了するもの(すなわち、被覆層が、セルロースハニカム芯材の端部を超えて突出しないか又はその端部を超えて僅かに突出するもの)とされてよい。しかし、好ましい実施形態では、前記第1および/または前記第2の被覆層が、当該前記セルロースハニカム芯材の外側へ、前記チャネルの長手方向に突出している(より特には、数ミリメートル突出している)。
【0037】
特に好ましくは、前記チャネルは、前記構造用サンドイッチエレメントの断熱性(熱の絶縁性)および/または遮音性(音の絶縁性)を最適化させるために、適切な絶縁材によって充填されている。遮音値を向上させるには、前記セル(チャネル)を充填するものとして、珪砂が特に好適である。より特には発熱性ケイ酸、特に粒子形態のものを導入することにより、断熱値を向上させることが可能であり得る。これらの構成に加えて、あるいは、これらの構成に代えて、そのような絶縁効果を向上させるために、前記チャネル内に、発泡プラスチック系の粒子および/またはポリスチレン系の粒子および/または気泡コンクリートおよび/または再生資材系の粒子および/または無機質発泡体の粒子を設けることが考えられる。
【0038】
前記構造用サンドイッチエレメントの安定性および/または耐力をさらに向上させるには、コンクリート製の被覆層として構成された前記第1および/または前記第2の被覆層に、補強材[より特には、繊維(例えば、ガラス繊維等)の形態の補強材および/またはメッシュ(より特には、プラスチック製のメッシュまたは金属製のメッシュ)の形態の補強材]を用いることが考えられる。
【0039】
特に好ましくは、前記構造用サンドイッチエレメントに(特には、少なくとも1つの短辺部の領域において)、接続形状部(好ましくは、2つの隣接配置される構造用サンドイッチエレメントを互いの接続方向に重ね合わせて配置することを可能にする接続形状部)が設けられている。これは、溝−さね形状部(groove-spring)の形態で実現することが可能である。例えば、前記構造用サンドイッチエレメントの短辺部に溝が設けられて、両側の短辺部のうちの一方に、隣接する構造用サンドイッチエレメントの溝への挿入用のさねが設けられる。変形例として、両側にさねの形状部を設けることにより、接続部については、溝状の接続片を使用することも考えられる。特に極めて好ましくは、少なくとも1つの短辺部に溝が設けられる。この場合、2つの隣接する構造用サンドイッチエレメント同士は、例えば、追加のさねによって接続可能である。
【0040】
特に好都合には、前記接続形状部(より特には、さねを収容する溝、または溝への挿入用のさね)が、コンクリートで構成される。特に好ましくは、前記接続形状部は、前記第1および/または前記第2の被覆層との一体化して作製されている。
【0041】
本発明は、さらに、少なくとも2つの隣接配置された構造用サンドイッチエレメントを備えるシステムであって、これら構造用サンドイッチエレメントが互いに強固に接続されているシステムに関する。好ましくは、これら構造用サンドイッチエレメントは、当該構造用サンドイッチエレメントの長手方向面の方向に重ね合っている。これは、例えば、短辺部における適切な側方接続形状部(例えば、溝−さね接続部の形態等)によって実現することが可能であるが、既述したように、その構成については様々な選択肢がある。
【0042】
具体的に述べると、前記構造用サンドイッチエレメントには溝のみを設けるようにし、接続部については、別体のさねによって形成することが考えられる。変形例として、前記構造用サンドイッチエレメントにはさねのみを設けるようにし、接続部については、溝状の接続エレメントによって形成することも考えられる。アダプター片を使用せずとも構造用サンドイッチエレメント同士を重ね合わせ状態に互いに押し込むことができるように、溝とさねとの両方を(より特には、構造用サンドイッチエレメントの両側の短辺部に)設けることも考えられる。特に好ましくは、前記接続形状部の特定の構成にかかわらず、2つの構造用サンドイッチエレメント同士を継ぎ合わせた際に生じるあらゆる中空状空間が、適切な材料(より特には石膏材料またはコンクリート材料、より特には強い流動性のコンクリート)によって充填される。
【0043】
少なくとも1つの層を石膏製とする場合、極めて好ましくは、2つの隣接し合うボード間の接触ポイントに、別の重ね合わせボード(より特には、石膏製の被覆層の形態の重ね合わせボード)が外から重ね合わされる。なおいっそう好ましくは、この別の重ね合わせボードは、2つの隣接し合う石膏プラスターボードに、例えば接着、螺合等によって留められる。
【0044】
前記システムの特に極めて好ましい実施形態では、2つの構造用サンドイッチエレメント同士が、互いに離間した状態で/互いに近接した状態で、キャスト成形性化合物(casting compound)によって互いに固着されている。好ましくは、このキャスト成形性化合物(すなわち、充填材)は、コンクリートである。なお、本発明は、このようなシステムを製造する方法にも関する。システムの製造方法も、システム自体とは別個にクレーム(請求)することが出来ると解釈されたい。この方法では、まず2つの構造用サンドイッチエレメントが当該構造用サンドイッチエレメント間に空間を空けて配置される。この空間には、(好ましくは、まず補強材を配して)充填材(すなわち、キャスト成形性化合物)(より特には、コンクリート)が、前記構造用サンドイッチエレメント同士をその状態のまま接続するように充填される。好ましくは、前記空間の外側に、前記キャスト成形性化合物(すなわち、前記充填材)を受け止める型枠が設けられる。このようにして、壁システムまたは天井システムを構築することができる。天井システムの場合には、好ましくは、互いに離間した前記構造用サンドイッチエレメントが、まず補助支柱上に載置される。この補助支柱は、前記キャスト成形性化合物(すなわち、前記充填材)(より特には、前記コンクリート)の硬化後に取り外すことが可能なものとされ得る。
【0045】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、図面を参照しながら行う、例示的な好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】(a)から(c)は構造用サンドイッチエレメントの製造段階を示す図である。
【
図3】本発明の技術思想に従った構成を有する構造用サンドイッチエレメントを示す図である。
【
図4】本発明の技術思想に従った構成を有する構造用サンドイッチエレメントの製造方法を実現する設備を示す図である。
【
図5】複数の互いに隣接配置された構造用サンドイッチエレメントを備えるシステムの一例を示す図である。
【
図6】2つの被覆層の間に収められた合計3つのセルロースハニカム芯材を備える構造用サンドイッチエレメントの分解図である。
【
図7】
図6の構造用サンドイッチエレメントを備えた天井構造体を示す図である。
【
図8】2つの被覆層の間に収められたセルロースハニカム芯材を合計2つだけとした、構造用サンドイッチエレメントの一変形例の分解図である。
【
図9】
図8の構造用サンドイッチエレメントを用いて製造された壁構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面において、同一の構成/構成要素および同一の機能を有する構成/構成要素は、同じ符号で表される。
【0048】
図1(a)に、構造用サンドイッチエレメントを製造するための製造段階の一つを示す。ボード状のセルロースハニカム芯材1が、複数のセル(すなわち、当該セルロースハニカム芯材1の長手方向面と直交する方向に延在する複数のチャネル2)を有している様子が見て取れる。図示の例示的な実施形態において、セルロースハニカム芯材1の厚さd(長手方向面と長手方向面との間の距離)は50mmである。チャネル2は、含浸コーティング(この例では、例えばセメントベースの含浸コーティング等)で、厚さdの方向において周の全体が軸方向に途切れなくコーティングされている。
図1(a)における矢印は、セルロースハニカム芯材1中で、未だ流動性を有しているコンクリート(好ましくは、高い流動性のコンクリート)が、型枠4に適用される適用方向を指している。図示の例示的な実施形態において、型枠4は、型枠テーブル5によって形成されている。コンクリート3上にセルロースハニカム芯材1が置かれた(図示せず)後、当該セルロースハニカム芯材1がそのコンクリート3内へと浸漬されはじめる。これにより、チャネル2が、コンクリート3によって段階的に満たされる。図示の例示的な実施形態において、この過程は、振動装置によって前記セルロースハニカム芯材が上から振動させられることによって、および/または、型枠テーブル5を振動させることによって、実行される。好ましくは、セルロースハニカム芯材1は、型枠4の底まで浸漬されるのではなく、その底から所定の距離を隔て、コンクリート製の閉じた層が外側に形成されることを確実にする位置まで浸漬される。当然ながら、セルロースハニカム芯材1を型枠4の底まで浸漬するという構成も考えられる。この場合のセルロースハニカム芯材1は、得られる被覆層のうちの外側まで張り出ることになる。
【0049】
セルロースハニカム芯材1が型枠4内のコンクリート3内に位置するのは、コンクリート3が乾燥及び硬化して当該セルロースハニカム芯材1と得られる(コンクリート製の被覆層の形態である第1の被覆層6と一体化する(複合体化する)までであり、その場合、被覆層の強度が
図1(b)に示す位置へと約180°回転させられる強度になる。
図1(b)では、コンクリート製の第1の被覆層6が適用された後のセルロースハニカム芯材1が見て取れる。この複合体は再び、
図1(b)における矢印の方向で型枠テーブル5上の型枠4内へと配置されて(より特には、その型枠4内に存在するコンクリート3上に置かれて)、(好ましくは、振動によって)そのコンクリート3に浸漬されはじめる。これにより、第1の被覆層6と平行に延びる、(コンクリート製の被覆層の形態である)第2の被覆層7が作製される。
【0050】
図示の例示的な実施形態において、上記の方法によって得られた構造用サンドイッチエレメント8は、セルロースハニカム芯材1と2つの被覆層6,7とを備える。好ましくは、このセルロースハニカム芯材1の厚さは約100mm〜約200mmである。図示の例示的な実施形態において、その2つの被覆層6,7の層厚は、好ましくは10mm〜25mmである。第2の被覆層7が十分に硬化したならば、型枠テーブル5の型枠4から、得られた構造用サンドイッチエレメントを取り出すことができる。
【0051】
必要に応じて、コンクリート3は、補強材(より特には、繊維および/またはメッシュ)によって強化され得る。必要に応じて、前記チャネルには、適切な絶縁材が充填され得る。
【0052】
図1(c)では、図示上の理由により、セルロースハニカム芯材1が被覆層6,7のうちの外側まで延在しているように見える(原則としては、このような構成も実施可能である)。しかし、好ましいのは、
図3に例示されている構成を有する構造用サンドイッチエレメント8である。この場合のセルロースハニカム芯材1は、コンクリート製の被覆層6,7内部で終了している(すなわち、被覆層6,7における外側の面9,10から距離を隔てた位置で終了している)。これにより、被覆層6,7における外側の面を滑らかにすることができる。
【0053】
図3では、前記構造用サンドイッチエレメントの短辺部11が、溝として形成されている様子(すなわち、溝状の接続形状部12が形成されている様子)が見て取れる。この接続形状部12は、被覆層6,7との一体構造体として作製されている(produced in one piece)か、あるいは、被覆層6,7によって形成されている。
【0054】
その接続形状部12の溝には、2つの構造用サンドイッチエレメント8同士を当該構造用サンドイッチエレメントの短辺部において互いに接続するアダプター片として、さねエレメントが挿入され得る。あるいは、その溝に、さねの接続プロファイルを有する構造用サンドイッチエレメントを直接挿入することも考えられる。
【0055】
図2に、異なる構成を有する型枠4を用いた製造方法の一段階を示す。具体的に述べると、接続プロファイル12が、短辺部11において第1の被覆層6が流し込まれることによって形成され得るか、あるいは、短辺部11において第1の被覆層6の上から形成され得る。このような接続プロファイル12は、2つの隣接し合う構造用サンドイッチエレメントについて、それらの2つの接続プロファイル同士を重ね合わせ状態で配置するのに適している。
【0056】
図4に、
図5に例示されている構成を有する構造用サンドイッチエレメント32を製造するための設備を示す。この設備31は、石膏材料34を連続供給する供給手段33を備える。供給手段33は、石膏材料を紙で構成された外側の層36上へと注出する注出装置35を含む。この外側の層36は、搬送ベルト(図示せず)37上を搬送方向38に搬送される。注出セクション39の後、基材36上へ適用された前記石膏材料の厚みが許容できない大きな厚みとなる場合に備え、搬送方向38には、スクレーパの形態の厚み規制手段40が設けられている。搬送方向38において、このスクレーパの後では、前記石膏材料の厚みが所望の厚みとなる。搬送方向38では、その厚み規制手段40の後に、セルロースハニカム芯材41が前記石膏材料内へと又は前記石膏材料上に置かれる(この点については、発明の概要において既述した様々な選択肢を参照されたい)。図示の例示的な実施形態において、セルロースハニカム芯材41は、セメントベースの含浸コーティング42でコーティングされたチャネル43がその途中まで前記石膏材料によって満たされるように、その石膏材料34内へと挿入される。図示の例示的な実施形態において、チャネル43は、搬送方向38と直交する方向に延在している。
【0057】
搬送方向38のさらに後(図示せず)では、前記石膏材料が少なくとも部分的に硬化される。そして、前記石膏材料が付いた前記セルロースハニカム芯材は、例えば、適切な支持体上に置かれるか又は適切な支持体上に積み上げられる。その石膏製の被覆層が少なくとも部分的に硬化した後、第2の被覆層が、[より特には、前記第1の被覆層が設けられた前記セルロースハニカム芯材を約180°回転させてから同じ設備又は類似の設備に運んで]適用され得る。
【0058】
図5に、複数の構造用サンドイッチエレメントからなる基本的な構造を示す。これらの構造用サンドイッチエレメントは、複数のチャネル43を有するセルロースハニカム芯材31を備える。これらのチャネル43の内周は、含浸コーティング42(好ましくは、セメントベースの含浸コーティング)でコーティングされている。セルロースハニカム芯材41の両側には、石膏製の被覆層の形態である被覆層が存在している。具体的に述べると、サンドイッチエレメント32は、第1の被覆層44およびこれと平行に延びる被覆層45を備えており、好ましくは、セルロースハニカム芯材41が、これらの被覆層44,45内へと例えば
図4等に示すように侵入している。変形例として、これらの被覆層は、例えば接着等によってセルロースハニカム芯材41と接合(connect)されていてもよい。
【0059】
被覆層44,45は、ハニカム芯材41の短辺部の方向において当該ハニカム芯材41を超えて突出することにより、溝状の接続形状部46を形成している。図示の例示的な実施形態では、構造用サンドイッチエレメント32が、両側の短辺部に溝の形態の接続形状部46を有している。これにより、2つの隣接する構造用サンドイッチエレメント31同士を、それらの2つの溝状の接続形状部(それぞれ、2つの被覆層によって画定されている)内にさねエレメント47を挿入することによって接続することが可能となる。図示の例示的な実施形態では、隣接し合う構造用サンドイッチエレメントについて、それらの2つの隣接する第2の被覆層が部分的に(in sections)、重ね合わせボード48によって覆われている。この重ね合わせボード48は、例えば、石膏プラスターボードとして形成される。重ね合わせボード48は、隣接し合う構造用サンドイッチエレメント間の接触ポイントに重ね合わされる。
【0060】
図5の左半分では、溝状の接続形状部46に係合するエンドプロファイル49を、接続形状部46に設けることが可能であることも見て取れる。
【0061】
接続形状部としては、発明の概要において既述した他の構成を有する接続形状部を製作することも可能である。
【0062】
包括的に述べると(すなわち、特定の実施形態に限らず)、本発明の技術思想によって包含される構造用サンドイッチエレメントは、どのような数のセルロースハニカム芯材を備えていてもよく、複数のサンドイッチエレメントが互いに異なる数のセルロースハニカム芯材を備えていてもよい。具体的に述べると、構造用サンドイッチエレメントとして、2つの被覆層(少なくとも一方の被覆層が、コンクリート製または石膏製の被覆層である)の間に収められたセルロースハニカム芯材の数が1つだけである構造用サンドイッチエレメントも実施可能である。その他の構成として、2つの被覆層(一方の被覆層が、コンクリート製の被覆層である)の間に収められたセルロースハニカム芯材の数を少なくとも2つ又は2つのみとする構成も考えられる。その他にも、2つの被覆層(少なくとも一方の被覆層が、コンクリート製または石膏製の被覆層である)の間に収められたセルロースハニカム芯材の数が3つ以上である(より特には、正確に3つ、または4つ以上)構造用サンドイッチエレメントも考えられる。
【0063】
上記を踏まえたうえで、以下において、
図6〜
図9を参照しながら例示的な実施形態を説明する。
【0064】
図6は、合計3つのセルロースハニカム芯材51,52,53を備える構造用サンドイッチエレメント50の分解図である。この特定の例示的な実施形態において、中央のセルロースハニカム芯材52は、隣合うセルロースハニカム芯材のそれぞれが接着剤層54によって接着されている。外側のセルロースハニカム芯材51,53のそれぞれが、1つの被覆層を有している。具体的に述べると、外側のセルロースハニカム芯材51が第1の被覆層55を有し、外側のセルロースハニカム芯材53が第2の被覆層56を有している。これらの被覆層55,56は、コンクリートまたは石膏からなる。特に極めて好ましくは、セルロースハニカム芯材51,53は、当該セルロースハニカム芯材51,53の長手方向面と直交する方向で、対応する被覆層55,56内へと突出している。言い換えると、被覆層55,56のコンクリート/石膏材料が、隣合うセルロースハニカム芯材51,53の、前記チャネル内へと入り込んでいる。
【0065】
セルロースハニカム芯材52を単一層とする構成に代えて、これを複数層のセルロースハニカム芯材とする構成、すなわち、図示の中央の単一層のセルロースハニカム芯材52を、複数のセルロースハニカム芯材による複合体に置き換える構成も考えられる。また、セルロースハニカム芯材51,52,53同士を接着剤の層54によって直接接着する構成に代えて、少なくとも2つのセルロースハニカム芯材の間(セルロースハニカム芯材51と52との間、52と53との間など)に、木質ボード、合板ボードなどのボード(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0066】
図7は、
図6に例示されている構造用サンドイッチエレメント50を備えた天井構造体を示す図である。
図7では、4つの隣接配置された構造用サンドイッチエレメント50を見て取ることができ、隣接し合う2つの構造用サンドイッチエレメントの間には、充填材57によって充填された支持領域(又は保持領域)が設けられている。この特定の例示的な実施形態では、好ましくは、充填材57がコンクリート系の充填材である。前記天井構造体を製造するには、好ましくは、まず個々の構造用サンドイッチエレメント50が補助的な支持体(又は側方に設けられる支持体)上に、互いに離間されて載置され、これらのサンドイッチエレメント間に存在する中空状空間に、(好ましくは、補強材が挿入されてから)前記充填材(より特には、流動性のコンクリート)が流し込まれる。前記補助的な支持体(又は側方に設けられる支持体)は、その充填材の硬化後に取り外すことが可能である。
【0067】
図8は、構造用サンドイッチエレメント58の一変形例の分解図である。この構造用サンドイッチエレメント58は、セルロースハニカム芯材59,60を2つだけ備えており、それらセルロースハニカム芯材59,60のそれぞれが、外側に被覆層61,62を有している。これらの被覆層のうちの少なくとも一方の被覆層は、コンクリートまたは石膏で構成される。好ましくは、その少なくとも一方の被覆層は、隣合うセルロースハニカム芯材59,60の前記チャネル内へと張り出している。
【0068】
2つのセルロースハニカム芯材59,60は、互いに直接接着されていない(ただし、互いに直接されている構成も実施可能である)。むしろ、2つのセルロースハニカム芯材59,60は、それぞれの介在ボード63を有している。この介在ボード63は、単一層のボードとしても複数層のボードとしても構成されてよい(より特には、木質ボードとしても合板ボードとしても構成されてよい)。
【0069】
介在ボード63に加えて、あるいは、介在ボード63に代えて、セルロースハニカム芯材59,60間に、さらなるセルロースハニカム芯材(複数可)が収められてもよい。
【0070】
図9は、
図8に従った構成を有する構造用サンドイッチエレメントを用いて製造された壁構造体を示す図である。同図では、構造用サンドイッチエレメント58同士が互いに離間しており、かつ、その間隔が充填材64によって充填されている様子が見て取れる。好ましくは、この充填材は、流動性のコンクリートである。
図7や
図9に従った構造体での中空状空間を充填する充填材として特に好適なのは、Dyckerhoff AG社から販売されている「flowstone」という商品名のハイパフォーマンスコンクリートである。
【符号の説明】
【0071】
1 セルロースハニカム芯材
2 チャネル
3 コンクリート
4 型枠
5 型枠テーブル
6 第1の被覆層
7 第2の被覆層
8 構造用サンドイッチエレメント
9 外側の面
10 外側の面
11 近辺部
12 接続形状部
31 設備
32 構造用サンドイッチエレメント
33 供給手段
34 石膏材料
35 注出装置
36 外側の層
37 搬送ベルト
38 搬送方向
39 注出エリア
40 厚み規制手段
41 セルロースハニカム芯材
42 含浸コーティング
43 チャネル
44 第1の被覆層
45 第2の被覆層
46 接続形状部
47 さね
48 重ね合わせプレート
49 エンドプロファイル
50 構造用サンドイッチエレメント
51 セルロースハニカム芯材
52 セルロースハニカム芯材
53 セルロースハニカム芯材
54 接着剤の層
55 第1の被覆層
56 第2の被覆層
57 充填材
58 構造用サンドイッチエレメント
59 セルロースハニカム芯材
60 セルロースハニカム芯材
61 第1の被覆層
62 第2の被覆層
63 介在ボード
64 充填材
【国際調査報告】